特許第6857166号(P6857166)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857166
(24)【登録日】2021年3月23日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】球状銀粉およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 9/24 20060101AFI20210405BHJP
   B22F 1/00 20060101ALI20210405BHJP
   B22F 1/02 20060101ALI20210405BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20210405BHJP
   H01B 5/00 20060101ALI20210405BHJP
   H01B 1/02 20060101ALI20210405BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   B22F9/24 E
   B22F1/00 K
   B22F1/02 B
   H01B13/00 501Z
   H01B5/00 E
   H01B1/02 Z
   H01B1/22 A
【請求項の数】9
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2018-232210(P2018-232210)
(22)【出願日】2018年12月12日
(65)【公開番号】特開2019-108610(P2019-108610A)
(43)【公開日】2019年7月4日
【審査請求日】2020年3月2日
(31)【優先権主張番号】特願2017-240248(P2017-240248)
(32)【優先日】2017年12月15日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506334182
【氏名又は名称】DOWAエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107548
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 浩一
(72)【発明者】
【氏名】大迫 将也
【審査官】 山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−021252(JP,A)
【文献】 特開2012−214873(JP,A)
【文献】 特開2008−255370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00− 1/02
B22F 9/00− 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀イオンを含有する水性反応系に、炭素数が5以上で中性または塩基性のアミノ酸を水性反応系中の銀に対して0.05〜6質量%添加した後、還元剤を混合して、銀粒子を還元析出させることを特徴とする、球状銀粉の製造方法。
【請求項2】
前記アミノ酸が、α−アミノ酸であることを特徴とする、請求項1に記載の球状銀粉の製造方法。
【請求項3】
前記アミノ酸が、プロリン、チロシン、トリプトファン、フェニルアラニン、アルギニン、ヒスチジンおよびアントラニル酸からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の球状銀粉の製造方法。
【請求項4】
前記銀粒子を還元析出させた後、表面処理剤を添加することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の球状銀粉の製造方法。
【請求項5】
炭素数が5以上で中性または塩基性のアミノ酸を粒子内部に含有し、レーザー回折法による平均粒径D50が0.2〜5μmであり、BET比表面積が0.1〜3m/gであることを特徴とする、球状銀粉。
【請求項6】
前記アミノ酸が、α−アミノ酸であることを特徴とする、請求項に記載の球状銀粉。
【請求項7】
前記アミノ酸が、プロリン、チロシン、トリプトファン、フェニルアラニン、アルギニン、ヒスチジンおよびアントラニル酸からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項に記載の球状銀粉。
【請求項8】
前記粒子内部に含まれるアミノ酸の量が、0.00001〜1質量%であることを特徴とする、請求項乃至のいずれかに記載の球状銀粉。
【請求項9】
請求項乃至のいずれかに記載の球状銀粉と、有機ビヒクルとを含むことを特徴とする、導電性ペースト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球状銀粉およびその製造方法に関し、特に、太陽電池やタッチパネルの基板などの電子部品の電極や回路などを形成する導電性ペーストに使用するのに適した(導電性ペースト用)球状銀粉およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品の電極や回路などを形成する方法として、銀粉をガラスフリットとともに有機ビヒクル中に加えて混練することによって製造される焼成型の導電性ペーストを基板上に所定のパターンに形成した後、500℃以上の温度で加熱することによって、有機成分を除去し、銀粒子同士を焼結させて導電膜を形成する方法が広く用いられている。
【0003】
このような方法に使用される導電性ペースト用の銀粉は、電子部品の小型化による導体パターンの高密度化やファインライン化に対応したり、太陽電池の集光面積を増大して発電効率を向上させるためにフィンガー電極のファインライン化に対応するように、粒径が適度に小さく、粒度が揃っていることが要求されている。また、ファインライン化により導電パターンや電極の断面積が減少しても、電気を効率よく流す導電パターンや電極などを形成することができる導電性ペーストに使用するのに適した銀粉が望まれており、そのため、より低い温度で加熱して銀粒子同士を焼結させることができる銀粉が望まれている。
【0004】
このような導電性ペースト用の銀粉を製造する方法として、銀イオンを含有する水性反応系に還元剤を加えることによって球状銀粉を還元析出させる湿式還元法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−176620号公報(段落番号0008−0013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の湿式還元法により製造した球状銀粉と同程度の粒径の球状銀粉を焼成型の導電性ペーストに使用した場合に、比較的低い温度では銀粒子同士を十分に焼結させることができず、体積抵抗率が低い導電膜を形成することができない場合があった。
【0007】
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、従来の湿式還元法により製造した球状銀粉と同程度の粒径を有し且つ焼成型の導電性ペーストに使用した場合に比較的低い温度で銀粒子同士を十分に焼結させて体積抵抗率が低い導電膜を形成可能な球状銀粉およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、銀イオンを含有する水性反応系に、炭素数が5以上で中性または塩基性のアミノ酸を添加した後、還元剤を混合して、銀粒子を還元析出させることにより、従来の湿式還元法により製造した球状銀粉と同程度の粒径を有し且つ焼成型の導電性ペーストに使用した場合に比較的低い温度で銀粒子同士を十分に焼結させて体積抵抗率が低い導電膜を形成可能な球状銀粉を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明による球状銀粉の製造方法は、銀イオンを含有する水性反応系に、炭素数が5以上で中性または塩基性のアミノ酸を添加した後、還元剤を混合して、銀粒子を還元析出させることを特徴とする。
【0010】
この球状銀粉の製造方法において、アミノ酸が、α−アミノ酸であるのが好ましく、プロリン、チロシン、トリプトファン、フェニルアラニン、アルギニン、ヒスチジンおよびアントラニル酸からなる群から選ばれる1種以上であるのが好ましい。また、銀粒子を還元析出させた後、表面処理剤を添加するのが好ましい。また、アミノ酸の添加量が、水性反応系中の銀に対して0.05〜6質量%であるのが好ましい。
【0011】
また、本発明による球状銀粉は、炭素数が5以上で中性または塩基性のアミノ酸を粒子内部に含有し、レーザー回折法による平均粒径D50が0.2〜5μmであることを特徴とする。
【0012】
この球状銀粉において、アミノ酸が、α−アミノ酸であるのが好ましく、プロリン、チロシン、トリプトファン、フェニルアラニン、アルギニン、ヒスチジンおよびアントラニル酸からなる群から選ばれる1種以上であるのが好ましい。また、粒子内部に含まれるアミノ酸の量が、0.00001〜1質量%であるのが好ましい。また、球状銀粉のBET比表面積が0.1〜3m/gであるのが好ましい。
【0013】
なお、本明細書中において、「レーザー回折法による平均粒径D50」とは、レーザー回折式粒度分布装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)をいう。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従来の湿式還元法により製造した球状銀粉と同程度の粒径を有し且つ焼成型の導電性ペーストに使用した場合に比較的低い温度で銀粒子同士を十分に焼結させて体積抵抗率が低い導電膜を形成可能な球状銀粉を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例2で得られた球状銀粉の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す図である。
図2】実施例4で得られた球状銀粉のSEM写真を示す図である。
図3】実施例6で得られた球状銀粉のSEM写真を示す図である。
図4】実施例8で得られた球状銀粉のSEM写真を示す図である。
図5】実施例10で得られた球状銀粉のSEM写真を示す図である。
図6】実施例12で得られた球状銀粉のSEM写真を示す図である。
図7】比較例2で得られた球状銀粉のSEM写真を示す図である。
図8】比較例4で得られた球状銀粉のSEM写真を示す図である。
図9】比較例5で得られた球状銀粉のSEM写真を示す図である。
図10】実施例13で得られた球状銀粉のSEM写真を示す図である。
図11】実施例14で得られた球状銀粉のSEM写真を示す図である。
図12】実施例15で得られた球状銀粉のSEM写真を示す図である。
図13】実施例16で得られた球状銀粉のSEM写真を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明による球状銀粉の製造方法の実施の形態では、銀イオンを含有する水性反応系に、炭素数が5以上(好ましくは6以上)で中性または塩基性のアミノ酸を添加した後、還元剤を混合して、銀粒子を還元析出させる。
【0017】
銀イオンを含有する水性反応系として、硝酸銀、銀錯体または銀中間体を含有する水溶液またはスラリーを使用することができる。銀錯体を含有する水溶液は、硝酸銀水溶液または酸化銀懸濁液にアンモニア水またはアンモニウム塩を添加することにより生成することができる。これらの中で、銀粉が適当な粒径と球状の形状を有するようにするためには、硝酸銀水溶液にアンモニア水を添加して得られる銀アンミン錯体水溶液を使用するのが好ましい。銀アンミン錯体中におけるアンモニアの配位数は2であるため、銀1モル当たりアンモニア2モル以上を添加する。また、アンモニアの添加量が多過ぎると錯体が安定化し過ぎて還元が進み難くなるので、アンモニアの添加量は銀1モル当たりアンモニア8モル以下であるのが好ましい。なお、還元剤の添加量を多くするなどの調整を行えば、アンモニアの添加量が8モルを超えても適当な粒径の銀粉を得ることは可能である。なお、銀イオンを含有する水性反応系は、アルカリ性であるのが好ましく、pH調整剤として水酸化ナトリウムなどのアルカリを添加してアルカリ性に調整するのが好ましい。
【0018】
アミノ酸には、(塩基性を示す)アミノ基の数よりも(酸性を示す)カルボキシル基の数の方が多い酸性のアミノ酸と、カルボキシル基の数よりもアミノ基の数の方が多い塩基性のアミノ酸と、その他の中性のアミノ酸があるが、添加するアミノ酸は、炭素数が5以上(好ましくは6以上)で中性または塩基性のアミノ酸(好ましくはα−アミノ酸)であり、還元剤を混合する前に添加する。炭素数が3のアラニンのような炭素数が4以下のアミノ酸や、アスパラギン酸やグルタミン酸のような酸性のアミノ酸を添加しても、焼成型の導電性ペーストに使用した場合に比較的低い温度で銀粒子同士を十分に焼結させて体積抵抗率が低い導電膜を形成可能な球状銀粉を製造することができない。添加するアミノ酸は、プロリン、チロシン、トリプトファン、フェニルアラニン、アルギニン、ヒスチジンおよびアントラニル酸からなる群から選ばれる1種以上であるのが好ましい。また、アミノ酸の添加量は、水性反応系中の銀に対して0.05〜6質量%であるのが好ましく、0.1〜5質量%であるのがさらに好ましく、0.2〜4質量%であるのがさらに好ましく、0.2〜2質量%であるのが最も好ましい。なお、アミノ酸の添加量が2質量%以下であれば、球状銀粉を焼成型の導電性ペーストに使用した場合に、導電性ペーストの粘度が高くなるのを防止して導電膜を形成し易くするために使用可能な有機ビヒクルの種類が多くなる。
【0019】
還元剤としては、銀粒子を還元析出させる還元剤であればよく、例えば、アスコルビン酸、過酸化水素水、ギ酸、酒石酸、ヒドロキノン、ピロガロール、ぶどう糖、没食子酸、ホルマリン、ヒドラジン、ヒドラジン化合物、アルカノールアミンなどの1種以上を使用することができ、ホルマリン、ヒドラジンまたはヒドラジン化合物を使用するのが好ましい。このような還元剤を使用することにより、上述したような粒径の球状銀粉を得ることができる。還元剤の添加量は、銀の収率を高めるために、銀に対して1当量以上であるのが好ましく、還元力が弱い還元剤を使用する場合には、銀に対して2当量以上、例えば、10〜20当量でもよい。
【0020】
還元剤の添加方法については、球状銀粉の凝集を防ぐために、1当量/分以上の速さで添加するのが好ましい。この理由は明確ではないが、還元剤を短時間で投入することで、銀粒子の還元析出が一挙に生じて、短時間で還元反応が終了し、発生した核同士の凝集が生じ難いため、分散性が向上すると考えられる。したがって、還元剤の添加時間が短いほど好ましく、また、還元の際には、より短時間で反応が終了するように反応液を攪拌するのが好ましい。また、還元反応時の温度は、5〜80℃であるのが好ましく、5〜40℃であるのがさらに好ましい。また、還元剤により銀粒子を還元析出させた後、表面処理剤を添加して、銀粒子の表面に表面処理剤を付着させるのが好ましい。この表面処理剤として、脂肪酸、脂肪酸塩、界面活性剤、有機金属化合物、キレート剤、高分子分散剤などを使用することができる。脂肪酸および脂肪酸塩として、プロピオン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、アクリル酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、リシノール酸およびこれらの塩やエマルジョンを使用することができる。また、キレート剤として、ベンゾトリアゾールなどのアゾール類またはその塩や、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸などを使用することができる。
【0021】
銀粒子を還元析出させることによって得られた銀含有スラリーを固液分離し、得られた固形物を純水で洗浄して、固形物中の不純物を除去するのが好ましい。この洗浄の終点は、洗浄後の水の電気伝導度により判断することができ、この電気伝導度が0.5mS/m以下になるまで洗浄するのが好ましい。
【0022】
この洗浄後に得られた塊状のケーキは、多くの水分を含有しているため、真空乾燥機などの乾燥機によって、乾燥した球状銀粉を得るのが好ましい。この乾燥の温度は、乾燥の時点で球状銀粉同士が焼結するのを防止するために、100℃以下であるのが好ましい。
【0023】
また、得られた球状銀粉に乾式解砕処理や分級処理を施してもよい。この解砕の代わりに、粒子を機械的に流動化させることができる装置に球状銀粉を投入して、球状銀粉の粒子同士を機械的に衝突させることによって、球状銀粉の粒子表面の凹凸や角ばった部分を滑らかにする表面平滑化処理を行ってもよい。また、解砕や平滑化処理の後に分級処理を行ってもよい。なお、乾燥、粉砕および分級を行うことができる一体型の装置を用いて乾燥、粉砕および分級を行ってもよい。
【0024】
上記の球状銀粉の製造方法により、本発明による球状銀粉の実施の形態を製造することができる。本発明による球状銀粉の実施の形態は、炭素数が5以上で中性または塩基性のアミノ酸を粒子内部に含有し、レーザー回折法による平均粒径D50が0.2〜5μmである。
【0025】
この球状銀粉は、略球状(好ましくは長径/短径(アスペクト比)が1.5以下)の外形を有し、レーザー回折法による平均粒径D50が、0.2〜5μmであり、0.5〜4μmであるのが好ましく、1.1〜3.5μmであるのがさらに好ましい。レーザー回折法による平均粒径D50が大き過ぎると、導電性ペーストに使用して配線などの描写に使用した場合に、微細配線を描写し難くなり、一方、小さ過ぎると、導電性ペースト中の銀濃度を高くし難くなり、配線などが断線する場合がある。なお、球状銀粉の体積基準の粒子径分布において、ピークの幅が狭く、粒度のばらつきが少なく、粒径が揃った球状銀粉であるのが好ましい。
【0026】
球状銀粉の粒子の内部に含まれるアミノ酸は、プロリン、チロシン、トリプトファン、フェニルアラニン、アルギニン、ヒスチジンおよびアントラニル酸からなる群から選ばれる1種以上であるのが好ましい。また、球状銀粉の粒子の内部に含まれるアミノ酸の量は、(検知できる)0.00001質量%以上で1質量%以下であるのが好ましく、球状銀粉の粒子の表面に存在するアミノ酸の量は、0.0001質量%以上で1質量%以下であるのが好ましく、球状銀粉の粒子の内部と表面に存在するアミノ酸の合計量は、0.001質量%以上で2質量%以下であるのが好ましい。
【0027】
球状銀粉のBET比表面積は、0.1〜3m/gであるのが好ましく、0.2〜2m/gであるのがさらに好ましい。BET比表面積が0.1m/gより小さいと、球状銀粉の粒子が大きくなり、そのような大きい球状銀粉を導電性ペーストに使用して配線などの描写に使用すると、微細配線を描写し難くなり、一方、3m/gより大きいと、導電性ペーストの粘度が高くなり過ぎるために導電性ペーストを希釈して使用する必要があり、導電性ペーストの銀濃度が低くなって、配線などが断線する場合がある。
【0028】
また、球状銀粉を加熱したときに球状銀粉の収縮率が50%に達する温度が460℃以下であるのが好ましく、458℃以下であるのがさらに好ましい。なお、本明細書中において、「球状銀粉を加熱したときの球状銀粉の収縮率」とは、球状銀粉に荷重50kgfを1分間加えて作製した(直径5mmの)略円柱形のペレットを常温から昇温速度10℃/分で900℃まで昇温したときのペレットの収縮率(常温のときのペレットの長さと最も収縮したときのペレットの長さとの差に対するペレットの長さの減少量の割合)をいう。
【0029】
また、球状銀粉の結晶子径(Dx)は、500オングストローム以下であるのが好ましく、300オングストローム以下であるのがさらに好ましい。なお、このように球状銀粉の結晶子径を小さくすると、球状銀粉を加熱したときに球状銀粉の収縮率が50%に達する温度を低くすることができ、焼成型の導電性ペーストに使用した場合に体積抵抗率が低い導電膜を形成することができる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明による球状銀粉およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
【0031】
[実施例1]
銀イオンとして0.12モル/Lの硝酸銀水溶液3.5Lに、濃度28質量%の工業用アンモニア水155gを加えて、銀アンミン錯体溶液を得た。この銀アンミン錯体溶液に、濃度20質量%の水酸化ナトリウム水溶液5.5gを加えてpH調整した後、L−フェニルアラニン(和光純薬工業株式会社製の特級、分子量165.19、中性、炭素数9)を純水に溶解した2.4質量%のL−フェニルアラニン水溶液13.99g(銀に対して0.68質量%のL−フェニルアラニン)を添加し、液温を20℃に維持して、還元剤として37質量%のホルマリン水溶液240gを純水144gで希釈した水溶液を加えて、十分に撹拌し、銀粒子を含むスラリーを得た。その後、攪拌を止めて、銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液をろ過し、電気伝導度が0.5mS/m以下になるまで水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。
【0032】
このようにして得られた銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10,000倍で観察したところ、銀粉の形状は球状であることが確認された。
【0033】
また、得られた球状銀粉のBET比表面積を、BET比表面積測定器(株式会社マウンテック製のMacsorb HM−model 1210)を使用して、測定器内に60℃で10分間Ne−N混合ガス(窒素30%)を流して脱気した後、BET1点法により測定したところ、BET比表面積は0.55m/gであった。
【0034】
また、得られた球状銀粉の粒度分布を、レーザー回折式粒度分布装置(マイクロトラック・ベル株式会社製のマイクロトラック粒度分布測定装置MT−3300EXII)により測定して、体積基準の累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)および累積90%粒子径(D90)を求めたところ、それぞれ1.2μm、2.1μmおよび3.9μmであった。
【0035】
また、得られた球状銀粉5gに塩酸(関東化学株式会社製の精密分析用(濃度35〜37質量%))と純水を体積比1:1で混合した塩酸水溶液30mLを加えて、150℃で15分間加熱し、放冷した後、ろ過したろ液を上記と同じ塩酸水溶液で50mLに定容し、さらに超純水で5万倍に希釈して、液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)(アジレント・テクノロジー株式会社製のAgilent6470トリプル四重極LC/MS)により分析したところ、銀1g当たり2.2mgのL−フェニルアラニンが検出され、銀は塩酸に溶解しないことから、球状銀粉の表面に0.22質量%のL−フェニルアラニンが存在していることが確認された。
【0036】
また、得られた球状銀粉5gに塩酸(関東化学株式会社製の精密分析用(濃度35〜37質量%))30mLを加え、超音波を10分間照射した後、150℃で15分間加熱し、放冷した後、ろ過して得られた銀粉を純水で洗浄して球状銀粉の表面のL−フェニルアラニンを除去し、真空乾燥機により73℃で1時間加熱して乾燥させた後、この乾燥した球状銀粉1.0gに硝酸(関東化学株式会社製の精密分析用(濃度60〜61質量%))と純水を体積比1:1で混合した硝酸水溶液4mLを加えて超音波により溶解し、得られた溶液に純水6mLを加えて混合して10mLとし、この溶液から5mLを分取し、この分取した溶液に純水を加えて50mLに希釈し、この希釈した溶液100μLを分取し、アセトニトリル(関東化学株式会社製のLC/MS用)800μLと、0.1質量%の酢酸(関東化学株式会社製の高速液体クロマトグラフィー用)と10mMの酢酸アンモニウム(関東化学株式会社製の特級)を含む水溶液100μLとを加えて1.0mLに定容して、上記の液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)により分析したところ、球状銀粉の粒子の内部に0.0008質量%のL−フェニルアラニンが含まれていることが確認された。
【0037】
また、得られた球状銀粉1.0gに硝酸(関東化学株式会社製の精密分析用(60〜61%))と純水を体積比1:1で混合した硝酸水溶液10mLを加えて超音波により全溶解し、得られた溶液を超純水で1万倍に希釈して、上記の液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)により分析したところ、粒子全体から0.19質量%のL−フェニルアラニンが検出された。
【0038】
また、得られた球状銀粉にペレット成形機により荷重50kgfを1分間加えて(直径5mmの)略円柱形のペレットを作製し、このペレットを熱機械的分析(TMA)装置(株式会社リガク製のTMA8311)にセットし、大気雰囲気中において常温から昇温速度10℃/分で900℃まで昇温し、ペレットの収縮率(常温のときのペレットの長さaと最も収縮したときのペレットの長さbとの差(a−b)に対するペレットの長さの減少量cの割合)(=c×100/(a−b))を測定したところ、収縮率が50%に達した温度は439℃であった。
【0039】
また、得られた球状銀粉3gを秤量(w1)して磁性るつぼに入れ、電気炉(アドバンテック社製のKM−1302)により800℃で30分強熱した後、冷却し、再度秤量(w2)することにより、強熱減量値(%)=(w1−w2)×100/w1から、強熱減量値(Ig−loss)を求めたところ、1.18%であった。
【0040】
また、得られた球状銀粉について、X線回折装置(株式会社リガク製のSmart Lab)によりCuKα線源(45kV/200mA)で30〜50°/2θの範囲を測定して、X線回折(XRD)の評価を行って、このX線回折パターンから得られた球状銀粉の(111)面の半価幅βを用いて、Scherrerの式D=(K・λ)/(β・cosθ)から結晶子径(Dx)を算出したところ、結晶子径(Dx)は225オングストロームであった。なお、Scherrerの式において、Dは結晶子径(オングストローム)、λは測定X線波長(オングストローム)、βは結晶子による回折幅の広がり、θは回折角のブラッグ角、KはScherrer定数を示し、この式中の測定X線波長λを1.54オングストローム、Scherrer定数Kを0.94とした。
【0041】
[実施例2]
実施例1と同様の方法により得られた銀粒子を含むスラリーに、表面処理剤として15.5重量%のステアリン酸溶液0.635gを加えて、十分に撹拌した後、撹拌を止めて、銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液をろ過し、水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。
【0042】
このようにして得られた銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10,000倍で観察したところ、銀粉の形状は球状であることが確認された。また、得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積および粒度分布を測定し、表面および内部の分析を行い、熱機械的分析(TMA)による収縮率を測定し、強熱減量値(Ig−loss)を算出し、結晶子径(Dx)を求めた。その結果、BET比表面積は0.72m/g、累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)および累積90%粒子径(D90)はそれぞれ0.9μm、1.4μmおよび2.1μmであり、銀1g当たり2.3mgのL−フェニルアラニが検出され、表面に0.23質量%のL−フェニルアラニンが存在し、粒子の内部に0.0018質量%のL−フェニルアラニンが含まれていることが確認され、粒子全体からL−フェニルアラニンが検出された。また、TMAによる収縮率が50%に達した温度は402℃、強熱減量値(Ig−loss)は1.14%、結晶子径(Dx)は270オングストロームであった。
【0043】
また、得られた球状銀粉18.0gと、有機ビヒクルとして(エチルセルロースと2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートを重量比92:8で混合した)溶液2.0gとを自公転式真空攪拌脱泡装置(株式会社シンキー社製のあわとり練太郎)により混合(予備混練)した後、3本ロール(EXAKT社製のM−80S)により混練することにより、得られた導電性ペーストをシリコン基板の表面に、スクリーン印刷機(マイクロテック株式会社製のMT−320T)により、幅250μm×長さ55mmのライン状に印刷し、熱風式乾燥機により200℃で10分間加熱して予備焼成した後、高速焼成IR炉(日本ガイシ株式会社製の高速焼成試験4室炉)のイン−アウト22.9秒間としてピーク温度770℃で焼成した。このようにして得られた導電膜について、表面粗さ・輪郭形状測定機(東京精密株式会社製のサーフコム480B−12)により平均厚さを測定したところ、平均厚さは15.4μmであり、デジタルマルチメーター(株式会社アドバンテスト製のR6551)により抵抗値を測定したところ、抵抗値は0.288Ωであった。また、(この抵抗値と、膜厚、線幅および長さから求めた体積とから)導電膜の体積抵抗率を算出したところ、2.01μΩ・cmであった。
【0044】
また、焼成の際のピーク温度を720℃とした以外は、上記と同様の方法により得られた導電膜について、上記と同様の方法により、平均厚さと抵抗値を測定し、体積抵抗率を算出したところ、平均厚さは15.5μm、抵抗値は0.301Ω、体積抵抗率は2.12μΩ・cmであった。
【0045】
[実施例3]
銀イオンとして0.12モル/Lの硝酸銀水溶液3.5Lに、濃度28質量%の工業用アンモニア水155gを加えて、銀アンミン錯体溶液を得た。この銀アンミン錯体溶液に、濃度20質量%の水酸化ナトリウム水溶液4.9gを加えてpH調整した後、L−トリプトファン(和光純薬工業株式会社製、分子量204.23、中性、炭素数11)を濃度3.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液3.757gに溶解した10質量%のL−トリプトファン水溶液4.17g(銀に対して0.84質量%のL−トリプトファン)を添加し、液温を20℃に維持して、還元剤として37質量%のホルマリン水溶液240gを純水144gで希釈した水溶液を加えて、十分に撹拌し、銀粒子を含むスラリーを得た。その後、攪拌を止めて、銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液をろ過し、水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。
【0046】
このようにして得られた銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10,000倍で観察したところ、銀粉の形状は球状であることが確認された。また、得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積および粒度分布を測定し、表面および内部の分析を行い、熱機械的分析(TMA)による収縮率を測定し、強熱減量値(Ig−loss)を算出し、結晶子径(Dx)を求めた。その結果、BET比表面積は1.22m/g、累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)および累積90%粒子径(D90)はそれぞれ0.7μm、1.4μmおよび2.5μmであり、表面に0.003質量%のL−トリプトファンが存在し、粒子の内部に0.54質量%の(硝酸によりニトロ化された)L−トリプトファンが含まれていることが確認され、粒子全体から(硝酸によりニトロ化された)L−トリプトファンが検出された。また、TMAによる収縮率が50%に達した温度は380℃、強熱減量値(Ig−loss)は1.46%、結晶子径(Dx)は175オングストロームであった。
【0047】
[実施例4]
実施例3と同様の方法により得られた銀粒子を含むスラリーに、表面処理剤として15.5重量%のステアリン酸溶液0.635gを加えて、十分に撹拌した後、撹拌を止めて、銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液をろ過し、水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。
【0048】
このようにして得られた銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10,000倍で観察したところ、銀粉の形状は球状であることが確認された。また、得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積および粒度分布を測定し、表面および内部の分析を行い、熱機械的分析(TMA)による収縮率を測定し、強熱減量値(Ig−loss)を算出し、結晶子径(Dx)を求めた。その結果、BET比表面積は0.70m/g、累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)および累積90%粒子径(D90)はそれぞれ1.0μm、1.7μmおよび2.7μmであり、表面に0.0098質量%のL−トリプトファンが存在し、粒子の内部に0.12質量%のL−トリプトファンと0.012質量%の(硝酸によりニトロ化された)L−トリプトファンが含まれていることが確認され、粒子全体から(硝酸によりニトロ化された)L−トリプトファンが検出された。また、TMAによる収縮率が50%に達した温度は388℃、強熱減量値(Ig−loss)は1.53%、結晶子径(Dx)は190オングストロームであった。
【0049】
また、得られた球状銀粉を使用して、実施例2と同様の方法により、導電性ペーストおよび導電膜を作製して、平均厚さと抵抗値を測定し、体積抵抗率を算出したところ、焼成の際のピーク温度を770℃としたときの導電膜の平均厚さは15.2μm、抵抗値は0.306Ωであり、体積抵抗率は2.11μΩ・cmであり、焼成の際のピーク温度を720℃としたときの導電膜の平均厚さは14.7μm、抵抗値は0.304Ω、体積抵抗率は2.03μΩ・cmであった。
【0050】
[実施例5]
銀イオンとして0.12モル/Lの硝酸銀水溶液3.2Lに、濃度28質量%の工業用アンモニア水1.55gを加えて、銀アンミン錯体溶液を得た。この銀アンミン錯体溶液に、濃度20質量%の水酸化ナトリウム水溶液5.5gを加えてpH調整した後、L−チロシン(和光純薬工業株式会社製、分子量181.19、中性、炭素数9)を純水に溶解した0.12質量%のL−チロシン水溶液300g(銀に対して0.75質量%のL−チロシン)を添加し、液温を20℃に維持して、還元剤として37質量%のホルマリン水溶液210gを純水144gで希釈した水溶液を加えて、十分に撹拌し、銀粒子を含むスラリーを得た。その後、攪拌を止めて、銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液をろ過し、水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。
【0051】
このようにして得られた銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10,000倍で観察したところ、銀粉の形状は球状であることが確認された。また、得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積および粒度分布を測定し、表面および内部の分析を行い、熱機械的分析(TMA)による収縮率を測定し、強熱減量値(Ig−loss)を算出し、結晶子径(Dx)を求めた。その結果、BET比表面積は0.99m/g、累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)および累積90%粒子径(D90)はそれぞれ0.8μm、1.6μmおよび2.9μmであり、表面に0.098質量%のL−チロシンが存在し、粒子の内部に0.0008質量%のL−チロシンと0.0012質量%の(硝酸によりニトロ化された)L−チロシンが含まれていることが確認され、粒子全体から(硝酸によりニトロ化された)L−チロシンが検出された。また、TMAによる収縮率が50%に達した温度は417℃、強熱減量値(Ig−loss)は1.35%、結晶子径(Dx)は190オングストロームであった。
【0052】
[実施例6]
実施例5と同様の方法により得られた銀粒子を含むスラリーに、表面処理剤として15.5重量%のステアリン酸溶液0.635gを加えて、十分に撹拌した後、撹拌を止めて、銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液をろ過し、水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。
【0053】
このようにして得られた銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10,000倍で観察したところ、銀粉の形状は球状であることが確認された。また、得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積および粒度分布を測定し、表面および内部の分析を行い、熱機械的分析(TMA)による収縮率を測定し、強熱減量値(Ig−loss)を算出し、結晶子径(Dx)を求めた。その結果、BET比表面積は0.60m/g、累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)および累積90%粒子径(D90)はそれぞれ1.0μm、1.7μmおよび2.8μmであり、表面にL−チロシンが存在し、粒子の内部に0.0002質量%の(硝酸によりニトロ化された)L−チロシンが含まれていることが確認され、粒子全体から(硝酸によりニトロ化された)L−チロシンが検出された。また、TMAによる収縮率が50%に達した温度は381℃、強熱減量値(Ig−loss)は1.29%、結晶子径(Dx)は210オングストロームであった。
【0054】
また、得られた球状銀粉を使用して、実施例2と同様の方法により、導電性ペーストおよび導電膜を作製して、平均厚さと抵抗値を測定し、体積抵抗率を算出したところ、焼成の際のピーク温度を770℃としたときの導電膜の平均厚さは15.6μm、抵抗値は0.306Ω、体積抵抗率は2.17μΩ・cmであり、焼成の際のピーク温度を720℃としたときの導電膜の平均厚さは15.8μm、抵抗値は0.319Ω、体積抵抗率は2.29μΩ・cmであった。
【0055】
[実施例7]
銀イオンとして0.12モル/Lの硝酸銀水溶液3.5Lに、濃度28質量%の工業用アンモニア水155gを加えて、銀アンミン錯体溶液を得た。この銀アンミン錯体溶液に、濃度20質量%の水酸化ナトリウム水溶液5.5gを加えてpH調整した後、L−プロリン(和光純薬工業株式会社製、分子量115.13、中性、炭素数5)を純水に溶解した10質量%のL−プロリン水溶液2.35g(銀に対して0.47質量%のL−プロリン)を添加し、液温を20℃に維持して、還元剤として37質量%のホルマリン水溶液240gを純水144gで希釈した水溶液を加えて、十分に撹拌し、銀粒子を含むスラリーを得た。その後、攪拌を止めて、銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液をろ過し、水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。
【0056】
このようにして得られた銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10,000倍で観察したところ、銀粉の形状は球状であることが確認された。また、得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積および粒度分布を測定し、表面および内部の分析を行い、熱機械的分析(TMA)による収縮率を測定し、強熱減量値(Ig−loss)を算出し、結晶子径(Dx)を求めた。その結果、BET比表面積は0.81m/g、累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)および累積90%粒子径(D90)はそれぞれ0.8μm、1.7μmおよび3.0μmであり、表面に0.013質量%のL−プロリンが存在し、粒子の内部に0.00003質量%のL−プロリンが含まれていることが確認され、粒子全体からL−プロリンが検出された。また、TMAによる収縮率が50%に達した温度は457℃、強熱減量値(Ig−loss)は0.85%、結晶子径(Dx)は250オングストロームであった。
【0057】
[実施例8]
実施例7と同様の方法により得られた銀粒子を含むスラリーに、表面処理剤として15.5重量%のステアリン酸溶液0.635gを加えて、十分に撹拌した後、撹拌を止めて、銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液をろ過し、水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。
【0058】
このようにして得られた銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10,000倍で観察したところ、銀粉の形状は球状であることが確認された。また、得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積および粒度分布を測定し、表面および内部の分析を行い、熱機械的分析(TMA)による収縮率を測定し、強熱減量値(Ig−loss)を算出し、結晶子径(Dx)を求めた。その結果、BET比表面積は0.53m/g、累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)および累積90%粒子径(D90)はそれぞれ1.0μm、1.6μmおよび2.5μmであり、表面にL−プロリンが存在し、粒子の内部に0.0009質量%のL−プロリンが含まれていることが確認され、粒子全体からL−プロリンが検出された。また、TMAによる収縮率が50%に達した温度は446℃、強熱減量値(Ig−loss)は0.88%、結晶子径(Dx)は270オングストロームであった。
【0059】
また、得られた球状銀粉を使用して、実施例2と同様の方法により、導電性ペーストおよび導電膜を作製して、平均厚さと抵抗値を測定し、体積抵抗率を算出したところ、焼成の際のピーク温度を770℃としたときの導電膜の平均厚さは14.9μm、抵抗値は0.320Ω、体積抵抗率は2.17μΩ・cmであり、焼成の際のピーク温度を720℃としたときの導電膜の平均厚さは15.1μm、抵抗値は0.329Ω、体積抵抗率は2.26μΩ・cmであった。
【0060】
[実施例9]
銀イオンとして0.12モル/Lの硝酸銀水溶液3.5Lに、濃度28質量%の工業用アンモニア水155gを加えて、銀アンミン錯体溶液を得た。この銀アンミン錯体溶液に、濃度20質量%の水酸化ナトリウム水溶液0.16gを加えてpH調整した後、L−アルギニン(和光純薬工業株式会社製、分子量174.20、塩基性、炭素数6)を1.1質量%の水酸化ナトリウム水溶液6.7988gに溶解した5.0質量%のL−アルギニン水溶液7.16g(銀に対して0.72質量%のL−アルギニン)を添加し、液温を20℃に維持して、還元剤として37質量%のホルマリン水溶液240gを純水144gで希釈した水溶液を加えて、十分に撹拌し、銀粒子を含むスラリーを得た。その後、攪拌を止めて、銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液をろ過し、水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。
【0061】
このようにして得られた銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10,000倍で観察したところ、銀粉の形状は球状であることが確認された。また、得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積および粒度分布を測定し、表面および内部の分析を行い、熱機械的分析(TMA)による収縮率を測定し、強熱減量値(Ig−loss)を算出し、結晶子径(Dx)を求めた。その結果、BET比表面積は1.05m/g、累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)および累積90%粒子径(D90)はそれぞれ0.8μm、1.6μmおよび2.8μmであり、表面に0.42質量%のL−アルギニンが存在し、粒子の内部に0.00004質量%のL−アルギニンが含まれていることが確認され、粒子全体からL−アルギニンが検出された。また、TMAによる収縮率が50%に達した温度は436℃、強熱減量値(Ig−loss)は1.20%、結晶子径(Dx)は220オングストロームであった。
【0062】
[実施例10]
実施例9と同様の方法により得られた銀粒子を含むスラリーに、表面処理剤として15.5重量%のステアリン酸溶液0.635gを加えて、十分に撹拌した後、撹拌を止めて、銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液をろ過し、水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。
【0063】
このようにして得られた銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10,000倍で観察したところ、銀粉の形状は球状であることが確認された。また、得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積および粒度分布を測定し、表面および内部の分析を行い、熱機械的分析(TMA)による収縮率を測定し、強熱減量値(Ig−loss)を算出し、結晶子径(Dx)を求めた。その結果、BET比表面積は0.62m/g、累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)および累積90%粒子径(D90)はそれぞれ0.9μm、1.7μmおよび2.7μmであり、表面に0.26質量%のL−アルギニンが存在し、粒子の内部に0.0001質量%のL−アルギニンが含まれていることが確認され、粒子全体からL−アルギニンが検出された。また、TMAによる収縮率が50%に達した温度は415℃、強熱減量値(Ig−loss)は1.63%、結晶子径(Dx)は220オングストロームであった。
【0064】
また、得られた球状銀粉を使用して、実施例2と同様の方法により、導電性ペーストおよび導電膜を作製して、平均厚さと抵抗値を測定し、体積抵抗率を算出したところ、焼成の際のピーク温度を770℃としたときの導電膜の平均厚さは13.9μm、抵抗値は0.331Ω、体積抵抗率は2.09μΩ・cmであり、焼成の際のピーク温度を720℃としたときの導電膜の平均厚さは14.1μm、抵抗値は0.327Ω、体積抵抗率は2.09μΩ・cmであった。
【0065】
[実施例11]
銀イオンとして0.12モル/Lの硝酸銀水溶液3.5Lに、濃度28質量%の工業用アンモニア水155gを加えて、銀アンミン錯体溶液を得た。この銀アンミン錯体溶液に、濃度20質量%の水酸化ナトリウム水溶液0.16gを加えてpH調整した後、L−ヒスチジン(和光純薬工業株式会社製製、分子量155.16、塩基性、炭素数6)を濃度5.56質量%の水酸化ナトリウム水溶液6.04gに溶解した5.0質量%のL−ヒスチジン水溶液6.36g(銀に対して0.64質量%のL−ヒスチジン)を添加し、液温を20℃に維持して、還元剤として37質量%のホルマリン水溶液240gを純水144gで希釈した水溶液を加えて、十分に撹拌し、銀粒子を含むスラリーを得た。その後、攪拌を止めて、銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液をろ過し、水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。
【0066】
このようにして得られた銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10,000倍で観察したところ、銀粉の形状は球状であることが確認された。また、得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積および粒度分布を測定し、表面および内部の分析を行い、熱機械的分析(TMA)による収縮率を測定し、強熱減量値(Ig−loss)を算出し、結晶子径(Dx)を求めた。その結果、BET比表面積は1.47m/g、累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)および累積90%粒子径(D90)はそれぞれ0.8μm、1.5μmおよび2.6μmであり、表面に0.22質量%のL−ヒスチジンが存在し、粒子の内部に0.00035質量%のL−ヒスチジンが含まれていることが確認され、粒子全体からL−ヒスチジンが検出された。また、TMAによる収縮率が50%に達した温度は420℃、強熱減量値(Ig−loss)は1.12%、結晶子径(Dx)は195オングストロームであった。
【0067】
[実施例12]
実施例11と同様の方法により得られた銀粒子を含むスラリーに、表面処理剤として15.5重量%のステアリン酸溶液0.635gを加えて、十分に撹拌した後、撹拌を止めて、銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液をろ過し、水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。
【0068】
このようにして得られた銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10,000倍で観察したところ、銀粉の形状は球状であることが確認された。また、得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積および粒度分布を測定し、表面および内部の分析を行い、熱機械的分析(TMA)による収縮率を測定し、強熱減量値(Ig−loss)を算出し、結晶子径(Dx)を求めた。その結果、BET比表面積は1.55m/g、累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)および累積90%粒子径(D90)はそれぞれ0.9μm、1.7μmおよび2.7μmであり、表面に0.31質量%のL−ヒスチジンが存在し、粒子の内部に0.00023質量%のL−ヒスチジンが含まれていることが確認され、粒子全体からL−ヒスチジンが検出された。また、TMAによる収縮率が50%に達した温度は390℃、強熱減量値(Ig−loss)は1.25%、結晶子径(Dx)は205オングストロームであった。
【0069】
また、得られた球状銀粉を使用し、予備混練の際に、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートと酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチルを重量比1:1で混合した溶液0.6gをさらに混合した以外は、実施例2と同様の方法により、導電性ペーストおよび導電膜を作製して、平均厚さと抵抗値を測定し、体積抵抗率を算出したところ、焼成の際のピーク温度を770℃としたときの導電膜の平均厚さは13.7μm、抵抗値は0.350Ω、体積抵抗率は2.17μΩ・cmであり、焼成の際のピーク温度を720℃としたときの導電膜の平均厚さは14.2μm、抵抗値は0.360Ω、体積抵抗率は2.32μΩ・cmであった。
【0070】
[比較例1]
銀イオンとして0.12モル/Lの硝酸銀水溶液3.5Lに、濃度28質量%の工業用アンモニア水155gを加えて、銀アンミン錯体溶液を得た。この銀アンミン錯体溶液に、濃度20質量%の水酸化ナトリウム水溶液5.5gを加えてpH調整した後、液温を20℃に維持し、還元剤として37質量%のホルマリン水溶液240gを純水144gで希釈した水溶液を加えて、十分に撹拌し、銀粒子を含むスラリーを得た。その後、攪拌を止めて、銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液をろ過し、水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。
【0071】
このようにして得られた銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10,000倍で観察したところ、銀粉の形状は球状であることが確認された。また、得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積および粒度分布を測定し、熱機械的分析(TMA)による収縮率を測定し、強熱減量値(Ig−loss)を算出し、結晶子径(Dx)を求めた。その結果、BET比表面積は0.77m/g、累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)および累積90%粒子径(D90)はそれぞれ0.8μm、1.5μmおよび2.3μmであった。また、TMAによる収縮率が50%に達した温度は462℃、強熱減量値(Ig−loss)は0.65%、結晶子径(Dx)は305オングストロームであった。
【0072】
[比較例2]
比較例1と同様の方法により得られた銀粒子を含むスラリーに、表面処理剤として15.5重量%のステアリン酸溶液0.635gを加えて、十分に撹拌した後、撹拌を止めて、銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液をろ過し、水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。
【0073】
このようにして得られた銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10,000倍で観察したところ、銀粉の形状は球状であることが確認された。また、得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積および粒度分布を測定し、熱機械的分析(TMA)による収縮率を測定し、強熱減量値(Ig−loss)を算出し、結晶子径(Dx)を求めた。その結果、BET比表面積は0.55m/g、累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)および累積90%粒子径(D90)はそれぞれ0.9μm、1.4μmおよび2.1μmであった。また、TMAによる収縮率が50%に達した温度は461℃、強熱減量値(Ig−loss)は0.88%、結晶子径(Dx)は290オングストロームであった。
【0074】
また、得られた球状銀粉を使用して、実施例2と同様の方法により、導電性ペーストおよび導電膜を作製して、平均厚さと抵抗値を測定し、体積抵抗率を算出したところ、焼成の際のピーク温度を770℃としたときの導電膜の平均厚さは15.5μm、抵抗値は0.362Ω、体積抵抗率は2.55μΩ・cmであり、焼成の際のピーク温度を720℃としたときの導電膜の平均厚さは15.2μm、抵抗値は0.383Ω、体積抵抗率は2.65μΩ・cmであった。
【0075】
[比較例3]
銀イオンとして0.12モル/Lの硝酸銀水溶液3.5Lに、濃度28質量%の工業用アンモニア水155gを加えて、銀アンミン錯体溶液を得た。この銀アンミン錯体溶液に、濃度20質量%の水酸化ナトリウム水溶液5.5gを加えてpH調整した後、L−アラニン(和光純薬工業株式会社製、分子量89.09、中性、炭素数3)を5.56質量%の水酸化ナトリウム水溶液3.47gに溶解した5.0質量%のL−アラニン水溶液3.65g(銀に対して0.37質量%のL−アラニン)を添加し、液温を20℃に維持して、還元剤として37質量%のホルマリン水溶液240gを純水144gで希釈した水溶液を加えて、十分に撹拌し、銀粒子を含むスラリーを得た。その後、攪拌を止めて、銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液をろ過し、水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。
【0076】
このようにして得られた銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10,000倍で観察したところ、銀粉の形状は球状であることが確認された。また、得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積および粒度分布を測定し、表面および内部の分析を行い、熱機械的分析(TMA)による収縮率を測定し、強熱減量値(Ig−loss)を算出し、結晶子径(Dx)を求めた。その結果、BET比表面積は0.66m/g、累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)および累積90%粒子径(D90)はそれぞれ1.1μm、2.0μmおよび3.7μmであり、表面に0.017質量%のL−アラニンが存在し、粒子の内部に0.00002質量%のL−アラニンが含まれていることが確認され、粒子全体からL−アラニンが検出された。また、TMAによる収縮率が50%に達した温度は477℃、強熱減量値(Ig−loss)は0.78%、結晶子径(Dx)は265オングストロームであった。
【0077】
[比較例4]
比較例3と同様の方法により得られた銀粒子を含むスラリーに、表面処理剤として15.5重量%のステアリン酸溶液0.635gを加えて、十分に撹拌した後、撹拌を止めて、銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液をろ過し、水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。
【0078】
このようにして得られた銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10,000倍で観察したところ、銀粉の形状は球状であることが確認された。また、得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積および粒度分布を測定し、熱機械的分析(TMA)による収縮率を測定し、強熱減量値(Ig−loss)を算出し、結晶子径(Dx)を求めた。その結果、BET比表面積は0.60m/g、累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)および累積90%粒子径(D90)はそれぞれ0.9μm、1.5μmおよび2.3μmであった。また、TMAによる収縮率が50%に達した温度は441℃、強熱減量値(Ig−loss)は0.95%、結晶子径(Dx)は255オングストロームであった。
【0079】
また、得られた球状銀粉を使用して、実施例2と同様の方法により、導電性ペーストおよび導電膜を作製して、平均厚さと抵抗値を測定し、体積抵抗率を算出したところ、焼成の際のピーク温度を770℃としたときの導電膜の平均厚さは15.2μm、抵抗値は0.358Ω、体積抵抗率は2.47μΩ・cmであり、焼成の際のピーク温度を720℃としたときの導電膜の平均厚さは15.6μm、抵抗値は0.370Ω、体積抵抗率は2.62μΩ・cmであった。
【0080】
[比較例5]
銀イオンとして0.12モル/Lの硝酸銀水溶液3.5Lに、濃度28質量%の工業用アンモニア水155gを加えて、銀アンミン錯体溶液を得た。この銀アンミン錯体溶液に、濃度20質量%の水酸化ナトリウム水溶液5.5gを加えてpH調整した後、液温を20℃に維持し、還元剤として37質量%のホルマリン水溶液240gを純水144gで希釈した水溶液を加えて、十分に撹拌し、銀粒子を含むスラリーを得た。このスラリーに、L−フェニルアラニン(和光純薬工業株式会社製の特級、分子量165.19、中性、炭素数9)を純水に溶解した2.4質量%のL−フェニルアラニン水溶液13.99g(銀に対して0.68質量%のL−フェニルアラニン)を添加した後、表面処理剤として15.5質量%のステアリン酸溶液0.635gを加えて、十分に撹拌し、その後、撹拌を止めて、銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液をろ過し、水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。
【0081】
このようにして得られた銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10,000倍で観察したところ、銀粉の形状は球状であることが確認された。また、得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積および粒度分布を測定し、表面および内部の分析を行い、熱機械的分析(TMA)による収縮率を測定し、強熱減量値(Ig−loss)を算出し、結晶子径(Dx)を求めた。その結果、BET比表面積は0.55m/g、累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)および累積90%粒子径(D90)はそれぞれ1.0μm、1.4μmおよび2.1μmであり、表面に0.005質量%のL−フェニルアラニンが存在していることは確認されたが、粒子の内部にL−フェニルアラニンが含まれていることは確認されなかった。また、TMAによる収縮率が50%に達した温度は461℃、強熱減量値(Ig−loss)は0.87%、結晶子径(Dx)は285オングストロームであった。
【0082】
また、得られた球状銀粉を使用して、実施例2と同様の方法により、導電性ペーストおよび導電膜を作製して、平均厚さと抵抗値を測定し、体積抵抗率を算出したところ、焼成の際のピーク温度を770℃としたときの導電膜の平均厚さは14.5μm、抵抗値は0.356Ω、体積抵抗率は2.35μΩ・cmであり、焼成の際のピーク温度を720℃としたときの導電膜の平均厚さは14.2μm、抵抗値は0.373Ω、体積抵抗率は2.41μΩ・cmであった。
【0083】
[実施例13]
銀イオンとして0.13モル/Lの硝酸銀水溶液3.3Lに、濃度28質量%の工業用アンモニア水162gを加えて、銀アンミン錯体溶液を得た。この銀アンミン錯体溶液に、濃度20質量%の水酸化ナトリウム水溶液5.86gを加えてpH調整した後、L−トリプトファン(和光純薬工業株式会社製、分子量204.23、中性、炭素数11)を濃度2.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液3.76gに溶解した7質量%のL−トリプトファン水溶液6.54g(銀に対して0.84質量%のL−トリプトファン)を添加し、液温を28℃に維持して、還元剤として37質量%のホルマリン水溶液250gを純水125gで希釈した水溶液を加えて、十分に撹拌し、銀粒子を含むスラリーを得た。このスラリーに、表面処理剤として15.5質量%のステアリン酸水溶液0.614gを加えて、十分に撹拌した後、攪拌を止めて、銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液をろ過し、水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。
【0084】
このようにして得られた銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10,000倍で観察したところ、銀粉の形状は球状であることが確認された。また、得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積および粒度分布を測定し、熱機械的分析(TMA)による収縮率を測定し、強熱減量値(Ig−loss)を算出し、結晶子径(Dx)を求めた。その結果、BET比表面積は0.62m/g、累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)および累積90%粒子径(D90)はそれぞれ1.1μm、1.9μmおよび3.1μmであった。また、TMAによる収縮率が50%に達した温度は401℃、強熱減量値(Ig−loss)は1.51%、結晶子径(Dx)は190オングストロームであった。
【0085】
また、得られた球状銀粉を使用して、実施例2と同様の方法により、導電性ペーストおよび導電膜を作製して、平均厚さと抵抗値を測定し、体積抵抗率を算出したところ、焼成の際のピーク温度を770℃としたときの導電膜の平均厚さは13.7μm、抵抗値は0.330Ωであり、体積抵抗率は2.05μΩ・cmであり、焼成の際のピーク温度を720℃としたときの導電膜の平均厚さは14.0μm、抵抗値は0.337Ω、体積抵抗率は2.14μΩ・cmであった。
【0086】
[実施例14]
銀イオンとして0.13モル/Lの硝酸銀水溶液3.3Lに、濃度28質量%の工業用アンモニア水162gを加えて、銀アンミン錯体溶液を得た。この銀アンミン錯体溶液に、濃度20質量%の水酸化ナトリウム水溶液6.79gを加えてpH調整した後、L−トリプトファン(和光純薬工業株式会社製、分子量204.23、中性、炭素数11)を濃度2.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液2.03gに溶解した7質量%のL−トリプトファン水溶液2.18g(銀に対して0.28質量%のL−トリプトファン)を添加し、液温を28℃に維持して、還元剤として37質量%のホルマリン水溶液250gを純水125gで希釈した水溶液を加えて、十分に撹拌し、銀粒子を含むスラリーを得た。このスラリーに、表面処理剤として15.5質量%のステアリン酸水溶液0.614gを加えて、十分に撹拌した後、攪拌を止めて、銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液をろ過し、水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。
【0087】
このようにして得られた銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10,000倍で観察したところ、銀粉の形状は球状であることが確認された。また、得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積および粒度分布を測定し、熱機械的分析(TMA)による収縮率を測定し、強熱減量値(Ig−loss)を算出し、結晶子径(Dx)を求めた。その結果、BET比表面積は0.58m/g、累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)および累積90%粒子径(D90)はそれぞれ1.0μm、1.7μmおよび2.6μmであった。また、TMAによる収縮率が50%に達した温度は425℃、強熱減量値(Ig−loss)は1.21%、結晶子径(Dx)は235オングストロームであった。
【0088】
また、得られた球状銀粉を使用して、実施例2と同様の方法により、導電性ペーストおよび導電膜を作製して、平均厚さと抵抗値を測定し、体積抵抗率を算出したところ、焼成の際のピーク温度を770℃としたときの導電膜の平均厚さは13.6μm、抵抗値は0.329Ωであり、体積抵抗率は2.03μΩ・cmであり、焼成の際のピーク温度を720℃としたときの導電膜の平均厚さは14.1μm、抵抗値は0.330Ω、体積抵抗率は2.12μΩ・cmであった。
【0089】
[比較例6]
銀イオンとして0.13モル/Lの硝酸銀水溶液3.3Lに、濃度28質量%の工業用アンモニア水162gを加えて、銀アンミン錯体溶液を得た。この銀アンミン錯体溶液に、濃度20質量%の水酸化ナトリウム水溶液7.5gを加えてpH調整した後、液温を28℃に維持して、還元剤として37質量%のホルマリン水溶液250gを純水125gで希釈した水溶液を加えて、十分に撹拌し、銀粒子を含むスラリーを得た。このスラリーに、表面処理剤として15.5質量%のステアリン酸水溶液0.614gを加えて、十分に撹拌した後、攪拌を止めて、銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液をろ過し、水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。
【0090】
このようにして得られた銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10,000倍で観察したところ、銀粉の形状は球状であることが確認された。また、得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積および粒度分布を測定し、熱機械的分析(TMA)による収縮率を測定し、強熱減量値(Ig−loss)を算出し、結晶子径(Dx)を求めた。その結果、BET比表面積は0.51m/g、累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)および累積90%粒子径(D90)はそれぞれ1.1μm、1.7μmおよび2.6μmであった。また、TMAによる収縮率が50%に達した温度は463℃、強熱減量値(Ig−loss)は0.73%、結晶子径(Dx)は305オングストロームであった。
【0091】
また、得られた球状銀粉を使用して、実施例2と同様の方法により、導電性ペーストおよび導電膜を作製して、平均厚さと抵抗値を測定し、体積抵抗率を算出したところ、焼成の際のピーク温度を770℃としたときの導電膜の平均厚さは13.6μm、抵抗値は0.352Ωであり、体積抵抗率は2.18μΩ・cmであり、焼成の際のピーク温度を720℃としたときの導電膜の平均厚さは14.0μm、抵抗値は0.367Ω、体積抵抗率は2.33μΩ・cmであった。
【0092】
[実施例15]
銀イオンとして0.12モル/Lの硝酸銀水溶液3.3Lに、濃度28質量%の工業用アンモニア水172gを加えて、銀アンミン錯体溶液を得た。この銀アンミン錯体溶液に、濃度20質量%の水酸化ナトリウム水溶液5.3gを加えてpH調整した後、L−トリプトファン(和光純薬工業株式会社製、分子量204.23、中性、炭素数11)を濃度2.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液5.56gに溶解した7質量%のL−トリプトファン水溶液5.98g(銀に対して0.84質量%のL−トリプトファン)を添加し、液温を40℃に維持して、還元剤として37質量%のホルマリン水溶液241gを純水193gで希釈した水溶液を加えて、十分に撹拌し、銀粒子を含むスラリーを得た。このスラリーに、表面処理剤として13.1質量%のオレイン酸水溶液0.785gを加えて、十分に撹拌した後、攪拌を止めて、銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液をろ過し、水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。
【0093】
このようにして得られた銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10,000倍で観察したところ、銀粉の形状は球状であることが確認された。また、得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積および粒度分布を測定し、熱機械的分析(TMA)による収縮率を測定し、強熱減量値(Ig−loss)を算出し、結晶子径(Dx)を求めた。その結果、BET比表面積は0.51m/g、累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)および累積90%粒子径(D90)はそれぞれ1.3μm、2.4μmおよび3.8μmであった。また、TMAによる収縮率が50%に達した温度は421℃、強熱減量値(Ig−loss)は1.57%、結晶子径(Dx)は205オングストロームであった。
【0094】
また、得られた球状銀粉を使用して、高速焼成IR炉のイン−アウト時間を35秒間とした以外は、実施例2と同様の方法により、導電性ペーストおよび導電膜を作製して、平均厚さと抵抗値を測定し、体積抵抗率を算出したところ、焼成の際のピーク温度を770℃としたときの導電膜の平均厚さは13.3μm、抵抗値は0.329Ωであり、体積抵抗率は1.99μΩ・cmであり、焼成の際のピーク温度を720℃としたときの導電膜の平均厚さは14.4μm、抵抗値は0.338Ω、体積抵抗率は2.22μΩ・cmであった。
【0095】
[比較例7]
銀イオンとして0.12モル/Lの硝酸銀水溶液3.3Lに、濃度28質量%の工業用アンモニア水172gを加えて、銀アンミン錯体溶液を得た。この銀アンミン錯体溶液に、濃度20質量%の水酸化ナトリウム水溶液6.8gを加えてpH調整した後、液温を40℃に維持して、還元剤として37質量%のホルマリン水溶液241gを純水193gで希釈した水溶液を加えて、十分に撹拌し、銀粒子を含むスラリーを得た。このスラリーに、表面処理剤として13.1質量%のオレイン酸水溶液0.785gを加えて、十分に撹拌した後、攪拌を止めて、銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液をろ過し、水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。
【0096】
このようにして得られた銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10,000倍で観察したところ、銀粉の形状は球状であることが確認された。また、得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積および粒度分布を測定し、熱機械的分析(TMA)による収縮率を測定し、強熱減量値(Ig−loss)を算出し、結晶子径(Dx)を求めた。その結果、BET比表面積は0.39m/g、累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)および累積90%粒子径(D90)はそれぞれ1.5μm、2.4μmおよび4.0μmであった。また、TMAによる収縮率が50%に達した温度は476℃、強熱減量値(Ig−loss)は0.53%、結晶子径(Dx)は335オングストロームであった。
【0097】
また、得られた球状銀粉を使用して、実施例15と同様の方法により、導電性ペーストおよび導電膜を作製して、平均厚さと抵抗値を測定し、体積抵抗率を算出したところ、焼成の際のピーク温度を770℃としたときの導電膜の平均厚さは13.2μm、抵抗値は0.370Ωであり、体積抵抗率は2.22μΩ・cmであり、焼成の際のピーク温度を720℃としたときの導電膜の平均厚さは14.4μm、抵抗値は0.375Ω、体積抵抗率は2.46μΩ・cmであった。
【0098】
[実施例16]
銀イオンとして0.12モル/Lの硝酸銀水溶液3.3Lに、濃度28質量%の工業用アンモニア水150gを加えて、銀アンミン錯体溶液を得た。この銀アンミン錯体溶液に、濃度20質量%の水酸化ナトリウム水溶液6.2gを加えてpH調整した後、L−トリプトファン(和光純薬工業株式会社製、分子量204.23、中性、炭素数11)を濃度2.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液5.56gに溶解した7質量%のL−トリプトファン水溶液5.98g(銀に対して0.84質量%のL−トリプトファン)を添加し、液温を20℃に維持して、還元剤として37質量%のホルマリン水溶液230gを純水207gで希釈した水溶液を加えて、十分に撹拌し、銀粒子を含むスラリーを得た。このスラリーに、表面処理剤として2.0質量%のベンゾトリアゾール水溶液0.396gを加えて、十分に撹拌した後、攪拌を止めて、銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液をろ過し、水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。
【0099】
このようにして得られた銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10,000倍で観察したところ、銀粉の形状は球状であることが確認された。また、得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積および粒度分布を測定し、熱機械的分析(TMA)による収縮率を測定し、強熱減量値(Ig−loss)を算出し、結晶子径(Dx)を求めた。その結果、BET比表面積は1.05m/g、累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)および累積90%粒子径(D90)はそれぞれ0.6μm、1.3μmおよび2.0μmであった。また、TMAによる収縮率が50%に達した温度は396℃、強熱減量値(Ig−loss)は1.67%、結晶子径(Dx)は170オングストロームであった。
【0100】
また、得られた球状銀粉を使用して、予備混練の際に2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート0.39gをさらに混合した以外は、実施例15と同様の方法により、導電性ペーストおよび導電膜を作製して、平均厚さと抵抗値を測定し、体積抵抗率を算出したところ、焼成の際のピーク温度を770℃としたときの導電膜の平均厚さは11.1μm、抵抗値は0.391Ωであり、体積抵抗率は1.98μΩ・cmであり、焼成の際のピーク温度を720℃としたときの導電膜の平均厚さは11.4μm、抵抗値は0.405Ω、体積抵抗率は2.11μΩ・cmであった。
【0101】
[比較例8]
銀イオンとして0.12モル/Lの硝酸銀水溶液3.3Lに、濃度28質量%の工業用アンモニア水150gを加えて、銀アンミン錯体溶液を得た。この銀アンミン錯体溶液に、濃度20質量%の水酸化ナトリウム水溶液6.8gを加えてpH調整した後、液温を20℃に維持して、還元剤として37質量%のホルマリン水溶液230gを純水207gで希釈した水溶液を加えて、十分に撹拌し、銀粒子を含むスラリーを得た。このスラリーに、表面処理剤として2.0質量%のベンゾトリアゾール水溶液0.396gを加えて、十分に撹拌した後、攪拌を止めて、銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液をろ過し、水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。
【0102】
このようにして得られた銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10,000倍で観察したところ、銀粉の形状は球状であることが確認された。また、得られた球状銀粉について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積および粒度分布を測定し、熱機械的分析(TMA)による収縮率を測定し、強熱減量値(Ig−loss)を算出し、結晶子径(Dx)を求めた。その結果、BET比表面積は0.84m/g、累積10%粒子径(D10)、累積50%粒子径(D50)および累積90%粒子径(D90)はそれぞれ0.8μm、1.3μmおよび2.0μmであった。また、TMAによる収縮率が50%に達した温度は453℃、強熱減量値(Ig−loss)は0.83%、結晶子径(Dx)は260オングストロームであった。
【0103】
また、得られた球状銀粉を使用して、予備混練の際に2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート0.39gをさら混合した以外は、実施例15と同様の方法により、導電性ペーストおよび導電膜を作製して、平均厚さと抵抗値を測定し、体積抵抗率を算出したところ、焼成の際のピーク温度を770℃としたときの導電膜の平均厚さは11.1μm、抵抗値は0.400Ωであり、体積抵抗率は2.02μΩ・cmであり、焼成の際のピーク温度を720℃としたときの導電膜の平均厚さは11.5μm、抵抗値は0.419Ω、体積抵抗率は2.19μΩ・cmであった。
【0104】
これらの実施例および比較例で得られた球状銀粉の特性を表1〜表3に示す。また、実施例2、4、6、8、10、12および比較例2、4、5で得られた球状銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子株式会社製のJSM−IT300LV)により1万倍で観察したSEM写真をそれぞれ図1図9に示し、実施例13〜16で得られた球状銀粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により1万倍で観察したSEM写真をそれぞれ図10図13に示す。
【0105】
【表1】
【0106】
【表2】
【0107】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明による球状銀粉は、より低い温度で焼成可能な球状銀粉として、導電性ペーストの作製に利用することができ、この球状銀粉を含む導電性ペーストをスクリーン印刷などにより基板上に印刷して、太陽電池、チップ部品、タッチパネルなどの電子部品の電極や回路の他、電磁波シールド材などに使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13