【実施例】
【0052】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0053】
<実施例1>
まず豚皮由来アテロコラーゲンの凍結乾燥物(商品名:「beMatrixコラーゲンFD」、新田ゼラチン株式会社製)を滅菌蒸留水に溶解させ、0.6質量%濃度、pH3.0の水溶液を調製し、この水溶液300mLをポリテトラフルオロエチレンでコートされたステンレス製トレー(縦207mm×横248mm×高さ38mm)に流し込んだ。次に、このステンレス製トレー中の豚皮由来アテロコラーゲンへ向けて20℃の風を送りながら、これを乾燥させることにより、縦207mm×横248mm×厚み100μmのコラーゲンシートを作製した。さらに、このコラーゲンシートの表面の一部(第1領域)にシクロオレフィンポリマーを基材とする鋳型を載置し、加えて市販のポリテトラフルオロエチレン製のシート(厚み0.2mm)で鋳型およびステンレストレーを挟み込んだ。この状態で、鋳型を90℃に加熱し、かつ20MPaの圧力を与えて5分間維持することにより、鋳型の刻印面をコラーゲンシート上の第1領域に転写した。鋳型の刻印面には、深さが200nm、幅(径)が230nmの円柱状に凹んだ凹状物が、230nmピッチで三角配置されている。
【0054】
その結果、本実施例のコラーゲンシートは、鋳型の刻印面が転写された第1領域において、
図2に示すようなフォトニック結晶に起因する光学現象が確認された。さらに
図3に示すように、鋳型の刻印面が転写されたコラーゲンシートの表面の第1領域(
図3の右上側)のみにおいて、高さが200nm、幅(径)が230nmの円柱状の凸状物が、230nmピッチで三角配置されたナノ構造が確認された。
【0055】
<実施例2>
本実施例では、鋳型の刻印面のコラーゲンシートへの転写に、加熱状態の酸が影響するか否かを検討した。このため本実施例では、実施例1と同じ方法により得たコラーゲンシートをpH7.4のPBS(リン酸緩衝液)により十分に洗浄し、そのpHを中和した。さらに、この中和されたコラーゲンシートへ、実施例1と同じ方法により鋳型の刻印面を転写した。
【0056】
その結果、本実施例のコラーゲンシートは、実施例1のコラーゲンシートと同様のフォトニック結晶に起因する光学現象が確認され、高さが200nm、幅(径)が230nmの円柱状の凸状物が、230nmピッチで三角配置されたナノ構造が確認された。
【0057】
<実施例3>
まず酸処理豚皮由来ゼラチン(重量平均分子量100000、等電点9、ゼリー強度280)を5質量%濃度の水溶液となるように調製し、この水溶液300mLから実施例1と同じ方法によりゼラチンシート(縦207mm×横248mm×厚み100μm)を作製した。さらに、このゼラチンシートの片面全面に実施例1で用いたのと同じ鋳型を載置し、実施例1で用いたポリテトラフルオロエチレン製のシートと同じもので鋳型およびステンレストレーを挟み込んだ。この状態で、鋳型を60℃に加熱し、かつ20MPaの圧力を与えて1分間維持することにより、鋳型の刻印面をゼラチンシートに転写した。
【0058】
その結果、本実施例のゼラチンシートは、実施例1のコラーゲンシートと同様のフォトニック結晶に起因する光学現象が確認され、高さが200nm、幅(径)が230nmの円柱状の凸状物が、230nmピッチで三角配置されたナノ構造が確認された。
【0059】
<実施例4>
まずアルカリ処理牛骨由来ゼラチン(重量平均分子量170000、等電点5、ゼリー強度250)を5質量%濃度の水溶液となるように調製し、それ以外については実施例3と同じ方法によりゼラチンシートを作製し、かつ実施例3と同じ方法により鋳型の刻印面をゼラチンシートに転写した。
【0060】
その結果、本実施例のゼラチンシートは、実施例1のコラーゲンシートと同様のフォトニック結晶に起因する光学現象が確認され、高さが200nm、幅(径)が230nmの円柱状の凸状物が、230nmピッチで三角配置されたナノ構造が確認された。
【0061】
<実施例5>
まず酸処理豚皮由来ゼラチン(重量平均分子量100000、等電点9、ゼリー強度280)に10質量%濃度のグリセリンを添加し、15質量%濃度の水溶液となるように調製し、それ以外については実施例3と同じ方法によりゼラチンシートを作製し、かつ実施例3と同じ方法により鋳型の刻印面をゼラチンシートに転写した。
【0062】
その結果、本実施例のゼラチンシートは、実施例1のコラーゲンシートと同様のフォトニック結晶に起因する光学現象が確認され、高さが200nm、幅(径)が230nmの円柱状の凸状物が、230nmピッチで三角配置されたナノ構造が確認された。本実施例のゼラチンシートは、グリセリンを含むことにより、実施例1〜4のシートよりも柔軟であった。
【0063】
<比較例1>
実施例1と同じ方法によりコラーゲンシートを作製した。しかし本比較例では、実施例1で用いたのと同じ鋳型を25℃に加熱し、20MPaの圧力を与えて5分間維持する条件により鋳型の刻印面をコラーゲンシートに転写した。
【0064】
その結果、本比較例のコラーゲンシートは、フォトニック結晶に起因する光学現象が確認されず、かつ凸状物も確認することができなかった。
【0065】
<比較例2>
実施例1と同じ方法によりコラーゲンシートを作製した。しかし本比較例では、実施例1で用いたのと同じ鋳型を90℃に加熱し、5MPaの圧力を与えて5分間維持する条件により鋳型の刻印面をコラーゲンシートに転写した。
【0066】
その結果、本比較例のコラーゲンシートは、フォトニック結晶に起因する光学現象が確認されず、かつ凸状物も確認することができなかった。
【0067】
<比較例3>
実施例3と同じ方法によりゼラチンシートを作製した。しかし本比較例では、実施例1で用いたのと同じ鋳型を90℃に加熱し、20MPaの圧力を与えて1分間維持する条件により鋳型の刻印面をコラーゲンシートに転写した。
【0068】
その結果、本比較例のゼラチンシートは、フォトニック結晶に起因する光学現象が確認されず、かつ凸状物も確認することができなかった。
【0069】
上記実施例1〜5および比較例1〜3のシートに関し、これらの作製に用いたコラーゲンまたはゼラチンの組成、その濃度とともに、鋳型の刻印面を転写するための加熱温度、時間および圧力、ならびにフォトニック結晶に起因する光学現象が発現されたか否かについての一覧を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
<考察>
表1から、コラーゲンシートは、そのpHが酸性、中性であることを問わず、加熱温度、圧力および時間を適切に制御することにより、鋳型の刻印面を転写することができることが分かる。ゼラチンシートは、その等電点、原料種、ゼリー強度を問わず、加熱温度、圧力および時間を適切に制御することにより、鋳型の刻印面を転写することができることが分かる。コラーゲンシートは、鋳型の加熱温度が25℃であると低温すぎ、さらに5MPaの圧力でも低圧すぎることにより、鋳型の刻印面を転写することができなかった。ゼラチンシートは、鋳型の加熱温度が90℃であると高温すぎることにより、鋳型の刻印面を転写することができなかった。
【0072】
<比較例4>
実施例1で用いたのと同じシクロオレフィンポリマーを基材とする鋳型上に、実施例1で用いたのと同じ豚皮由来アテロコラーゲンの水溶液を滴下し、室温の風を送りながら、これを乾燥させた。その結果、豚皮由来アテロコラーゲンの水溶液の粘度が高く、鋳型の刻印面へ該水溶液が浸透しなかったことから、刻印面のナノ構造が転写されたコラーゲンシートを調製することができなかった。
【0073】
<実施例6>
本実施例では、実施例1と同じ方法で作製したコラーゲンシートを5層積層し(以下、「多層コラーゲンシート」と記す)、この多層コラーゲンシートの最上層の全面に対し、実施例1と同じ条件により鋳型の刻印面を転写した。
【0074】
その結果、本実施例の多層コラーゲンシートは、実施例1のコラーゲンシートと同様のフォトニック結晶に起因する光学現象が確認され、高さが200nm、幅(径)が230nmの円柱状の凸状物が、230nmピッチで三角配置されたナノ構造が確認された。したがって、生体適合性を有し、かつフォトニック結晶に起因する光学現象を発現することができるコラーゲンシートを厚みのあるものとして提供可能となることが分かった。
【0075】
<実施例7>
本実施例では、実施例1と同じ方法で作製したコラーゲンシートに、実施例1で用いたコラーゲン凍結乾燥物と同じものを重ねたもの(以下、「シート面含有コラーゲンスポンジ」と記す)を作製し、このシート面含有コラーゲンスポンジのシート面全面に実施例1と同じ条件により鋳型の刻印面を転写した。
【0076】
その結果、本実施例のシート面含有コラーゲンスポンジは、そのシート面において実施例1のコラーゲンシートと同様のフォトニック結晶に起因する光学現象が確認され、高さが200nm、幅(径)が230nmの円柱状の凸状物が、230nmピッチで三角配置されたナノ構造が確認された。したがって、生体適合性を有し、かつフォトニック結晶に起因する光学現象を発現することができるシート面を有するスポンジ状のコラーゲンを提供可能となる。これにより、コラーゲンシートに物理的強度を付与することができるため、細胞培養に用いた際には、細胞接着能の増強によってシートが収縮することなどを防ぐことができる。さらに細胞、組織の移植用基材として用いた際には、生体内のボリュームが必要な箇所への移植などに用いることができる。
【0077】
<実施例8>
本実施例では、実施例1と同じ方法で作製したコラーゲンシートの両面に、実施例1で用いたのと同じ鋳型を載置し、これらの鋳型およびステンレス製トレーを実施例1で用いたポリテトラフルオロエチレン製のシートと同じもので挟み込んだ。この状態で、鋳型を90℃に加熱し、かつ20MPaの圧力を与えて5分間維持することにより、鋳型の刻印面をコラーゲンシートに転写した。
【0078】
その結果、本実施例のコラーゲンシートは、その両面において実施例1のコラーゲンシートと同様のフォトニック結晶に起因する光学現象が確認され、かつ高さが200nm、幅(径)が230nmの円柱状の凸状物が、230nmピッチで三角配置されている様子が確認された。
【0079】
<実施例9>
本実施例では、実施例1で用いたのと同じ豚皮由来アテロコラーゲンの水溶液130mLをアクリル板上に滴下し、室温で風を送りながら、これを乾燥させることにより、縦15cm×横15cm×厚み100μmのコラーゲンでコーティングされたアクリル板(以下、「複合シート」と記す)を作製した。次に、この複合シートのコラーゲンコーティングされた面の全面に、実施例1で用いたのと同じ鋳型を用い、実施例1と同じ条件で鋳型の刻印面を転写した。
【0080】
その結果、本実施例の複合シートは、そのコラーゲンコーティングされた面においてフォトニック結晶に起因する光学現象が確認され、かつ高さが200nm、幅(径)が230nmの円柱状の凸状物が、230nmピッチで三角配置されたナノ構造が確認された。
【0081】
本実施例の複合シートは、アクリル板を含むことにより実施例1のコラーゲンシートよりも強度が付与されている。長期間の細胞培養では、細胞同士の引っ張る力が強くなることが知られるため、細胞が接着するシートに強度が不足していると、細胞によって該シートが収縮する傾向があった。このような場面に本実施例の複合シートを適用することにより、長期間の細胞培養に耐えるコラーゲンシートを提供することが可能となる。
【0082】
<実施例10>
本実施例では、複数のゼラチン顆粒をゼリー強度の大きいものから順に、実施例1で用いたポリテトラフルオロエチレン製のシートと同じものの上に密に並べた(以下、「グラジエントゼラチンシート状物」という)。このグラジエントゼラチンシート状物に対し、実施例1で用いたのと同じ鋳型を載置し、加えて上記ポリテトラフルオロエチレン製のシートで鋳型およびグラジエントゼラチンシート状物を挟み込んだ。この状態で、実施例3の条件により鋳型の刻印面をグラジエントゼラチンシート状物に転写した。
【0083】
その結果、鋳型の温度でゼラチン顆粒が溶け出すとともに鋳型の刻印面が転写されることにより、フォトニック結晶に起因する光学現象を発現するグラジエントゼラチンシートを得ることができた。このグラジエントゼラチンシートにおいて、高さが200nm、幅(径)が230nmの円柱状の凸状物が、230nmピッチで三角配置されたナノ構造が確認された。
【0084】
さらに、このナノ構造が確認されたグラジエントゼラチンシート状物に対し、グルタルアルデヒドの雰囲気下にて化学架橋を導入した。このようなシートは、同一シート上に物性値の異なる領域が複数存在するモザイク状シートとなるため、たとえば同一シート上で硬さおよび等電点のいずれか一方または両方が異なる足場材料として細胞培養用途で提供することができる。近年、細胞の足場材料の硬さ、柔らかさが細胞の分化を決定する重要な要素の一つであるなどとして注目されている。さらに、同一シート上に分解性の異なる領域が複数存在するシートでもあるため、細胞培養用途において、シートの上面と下面との物質(情報伝達物質など)の移動を容易にするゼラチンシートを提供することも可能となる。
【0085】
<実施例11>
本実施例では、ゼラチン顆粒を実施例1で用いたポリテトラフルオロエチレン製のシートと同じものの上に疎に並べた(以下、「疎グラジエントゼラチンシート状物」という)。この疎グラジエントゼラチンシート状物に対し、実施例10と同じ方法により鋳型の刻印面を転写した。
【0086】
その結果、鋳型の温度でゼラチン顆粒が溶け出すとともに鋳型の刻印面が転写されることにより、シートに複数の穴が認められるゼラチンシート(以下、「穴開きゼラチンシート」と記す)を得ることができた。この穴開きゼラチンシートはフォトニック結晶に起因する光学現象を発現する領域において、高さが200nm、幅(径)が230nmの円柱状の凸状物が230nmピッチで三角配置されたナノ構造が確認された。この穴開きゼラチンシートに、複数の穴が認められた理由は、ゼラチン顆粒を疎に並べたためである。さらに、このナノ構造が確認された疎グラジエントゼラチンシート状物に対し、グルタルアルデヒドの雰囲気下にて化学架橋を導入することにより、通常の細胞培養に耐えうる強度を得た。
【0087】
本シートは、たとえば、上述のナノ構造に抗体をアンカーリングさせるといった操作をさらに施すことにより、以下のような用途のゼラチンシートの提供が可能となる。すなわち、ゼラチンシートのナノ構造の無い領域(表面)で細胞培養を行ない、細胞から生じる液性因子を、シートの穴を通じて裏面にあるナノ構造にアンカーリングさせた抗体で感知させることにより、ナノ構造内で抗原抗体反応を起こす。その結果、この反応に基づいて光の屈折率が変化することを利用することにより、液性因子に含まれる物質(情報伝達物質など)のバイオインジケーターとしての用途を期待することができる。
【0088】
さらに、マトリックスメタロプロテアーゼを含む各種の酵素は、基質特異的にコラーゲンまたはゼラチンを分解することが知られている。その一方で、ゼラチンシートおよびコラーゲンシートに使用する材料は、それぞれI型コラーゲン、III型コラーゲンあるいはIV型コラーゲン、またはゼラチンを単独または複数混合して調製することができる。このため、酵素の基質特異性を利用することにより、シート上の局所的なナノ構造の分解を目視でまたはレーザーなどで分析することを通じ、酵素活性の定性または定量評価を行なうツールとしてゼラチンシートまたはコラーゲンシートを利用することが可能となる。ナノ構造の分解消失を目視確認できることにより、簡易的なインジケーターとしても使用することができる。
【0089】
<実施例12>
本実施例では、実施例1のコラーゲンシートを用い、以下の方法を用いて細胞培養を行なった。すなわち、ウエルの数が6つのプレート(商品名:「組織培養用マイクロプレート 6well」、AGCテクノグラス株式会社製)の各ウエルに、正常ヒト新生児包皮線維芽細胞(NB)(商品名:「凍結NHDF(NB)」、倉敷紡績株式会社製)を、1ウエルあたり20万個/2.5mLの割合で播種し、さらにPBSにより中和洗浄後の実施例1のコラーゲンシート(pH7.4)を各ウエルに浸漬し、37℃、5体積%CO
2の雰囲気で2日間、細胞培養を行なった。
【0090】
その結果、
図4に示すように、実施例1のコラーゲンシートの鋳型の刻印面が転写された第1領域(
図4中、矢印よりも右側)において細胞は接着せず、シートに対して忌避していた。一方、鋳型の刻印面が転写されていない第2領域(
図4中、矢印よりも左側)で細胞は接着し、進展していた。比較例1のコラーゲンシートを用いて上述した細胞培養を行なったところ、
図5に示すように細胞はその全面に接着し、進展していた。したがって、230nmピッチで三角配置されている高さが200nm、幅(径)が230nmの円柱状の凸状物(ナノ構造)が、細胞の接着性を制限していることが分かった。
【0091】
ここで
図5中の矢印は、上述のとおり比較例1のコラーゲンシートには刻印面が転写されなかったものの、その転写を試みた領域(第1領域)とそれ以外の領域(第2領域)との境界を示すために付したものである。
【0092】
<実施例13>
本実施例では、実施例1のコラーゲンシートの第1領域を用い、以下の方法を用いて細胞培養を行なった。すなわち、ウエルの数が6つのプレート(商品名:「組織培養用マイクロプレート 6well」、AGCテクノグラス株式会社製)の各ウエルの底面をPBSで洗浄した後、実施例1のコラーゲンシートの第1領域の部分を各ウエルに載置した。さらに正常ヒト新生児包皮線維芽細胞(NB)(商品名:「凍結NHDF(NB)」、倉敷紡績株式会社製)が3000個/mLの濃度に調製された細胞懸濁液を準備した。この細胞懸濁液を各ウエルのコラーゲンシートへ向けて20μLずつ滴下し、37℃、5体積%CO
2の雰囲気で2日間、細胞培養を行なった。
【0093】
その結果、
図6に示すように、実施例1のコラーゲンシートの第1領域において細胞は接着することなく、通常の細胞培養でみられる進展、増殖などが認められなかった。特に、細胞が集合し、凝集することにより複数の小さな細胞塊(スフェロイド:
図6において白色の塊状)となっていることが認められた。このような細胞忌避効果は通常のコラーゲンシートおよびゼラチンシートでは認められない効果である。したがって、本発明に係るコラーゲンシートまたはゼラチンシートは絆創膏の用途として、たとえば裂傷した皮膚組織において皮膚浸出液ならびに細胞を、シート上に吸着させることなく、目的の皮膚組織に届けることにより、治療を促進および進展させることが期待できる。
【0094】
以上より、本発明に係るゼラチンまたはコラーゲンのシートは、生体適合性を有し、フォトニック結晶に起因する光学現象を発現することができ、かつ細胞接着能を制御することができるシートとして提供可能であることが理解される。ゼラチンまたはコラーゲンのシートは、細胞接着を忌避する基材としてたとえば、手術後の細胞および組織の癒着を防止する医療機器としての活用を見込める。ゼラチンまたはコラーゲンのシートは、通常の細胞培養では実現されない立体的な細胞塊(組織)を形成するための基材となる可能性もある。さらに、生体適合性を有し、かつフォトニック結晶に起因する光学現象を利用した新たな光センサ、光デバイスへの展開を図ることも可能である。
【0095】
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせたり、様々に変形したりすることも当初から予定している。
【0096】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。