(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ビルやマンションなどの建物では、屋内または屋外にキャビネット型の給水装置を設置し、この給水装置で所定圧に加圧した水道水を各家庭に供給することが広く行われている。この種の給水装置としては、例えば、2台の立形ポンプと、このポンプの吸込側及び吐出側に接続された各種配管と、配管内の圧力を検出する圧力センサなどのセンサ類と、圧力タンクなどを備え、これらの機器をキャビネットの内部に収容したものが一般に知られている。キャビネット型の給水装置(以下では、単に給水装置と称する)は、例えば、水道本管に直接接続され、水道本管を流れる水を所定圧まで加圧し、この加圧された水を建物内の各家庭に供給する。
【0003】
給水装置は、キャビネット内に配置され、該キャビネットの内部を流れる水の流れを制御するための複数のバルブをさらに有している。例えば、給水装置は、水道本管内の水が流入する吸込ヘッダを有しており、該吸込ヘッダには、2台の立形ポンプの各吸込口が接続される。さらに、吸込ヘッダは、該吸込ヘッダ内に形成された流路を2台の立形ポンプの吸込口にそれぞれ連結するためのバルブを有している。
図13は、従来の給水装置のキャビネット内に配置された吸込ヘッダと、該吸込ヘッダに設けられたバルブとを示す断面図である。
【0004】
図13に示される吸込ヘッダ218は、略円筒状のヘッダ本体224を有する。ヘッダ本体224の下流側の端部は、閉塞されており、ヘッダ本体224の内部には、流路220が形成されている。このヘッダ本体224には、給水装置の立形ポンプ(図示せず)の吸込口にそれぞれ接続される供給口226a,226bが設けられ、ヘッダ本体224の流路220内の水が供給口226a,226bを通って立形ポンプにそれぞれ供給される。このヘッダ本体224の供給口226a,226bに対向する位置には、通孔228がそれぞれ設けられ、これら通孔228は、蓋体230でそれぞれ閉塞されている。さらに、ヘッダ本体224の上流側に位置する供給口226aと蓋体230との間に、球状の弁体232aを収納することで第1バルブ234aが構成されており、下流側に位置する供給口226bと蓋体230との間に、球状の弁体232bを収納することで第2バルブ234bが構成されている。
【0005】
第1バルブ234aおよび第2バルブ234bは、ヘッダ本体224の前方に位置するハンドル236a,236bをそれぞれ有しており、
図13では、これらハンドル236a,236bが仮想線(一点鎖線)で描かれている。各ハンドル236a,236bは、直線状に延びている。さらに、第1バルブ234aは、弁体232aから延びる弁軸(図示せず)を有しており、この弁軸は、ハンドル236aの中心にナット247によって連結される。同様に、第2バルブ234bは、弁体232bから延びる弁軸(図示せず)を有しており、この弁軸は、ハンドル236bの中心にナット247によって連結される。
【0006】
第1バルブ234aは、ハンドル236aを介して弁体232aを180゜回転させることで、ヘッダ本体224の上流側に位置する供給口226aを開閉する。第2バルブ234bは、ハンドル236bを介して弁体232bを180゜回転させることで、ヘッダ本体224の下流側に位置する供給口226bを開閉する。
【0007】
上流側に位置する立形ポンプの交換やメンテナンス時には、第1バルブ234aによって供給口226aが閉じられる。この時、第1バルブ234aは、該第1バルブ234aの弁体232aがヘッダ本体224内の流路220を閉塞しないように構成されている。したがって、第1バルブ234aが供給口226aを閉じても、下流側に位置する立形ポンプが運転可能な状態に維持される。下流側に位置する立形ポンプの交換やメンテナンス時には、第2バルブ234bによって供給口226bが閉じられるが、上流側に位置する立形ポンプには、第1バルブ234aを介して、ヘッダ本体224から水が供給される。このような構成で、一方の立形ポンプを運転しながら、他方の立形ポンプの交換やメンテナンスを行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記給水装置は、例えば、水道本管に直接接続され、水道本管を流れる水を所定圧まで加圧し、この加圧された水を各家庭に供給する。給水装置は、騒音、設置場所などに対する制約が多い大都市圏で普及している。しかしながら、大都市圏のごく一部の地域では、水道本管を流れる水の圧力が非常に高く、水道本管を流れる水が0.5MPa程度の圧力を有していることがある。この場合、上記吸込ヘッダ218に流入する水の圧力が高いので、バルブ234a,234bの開閉動作が困難となることがある。
【0010】
さらに、大都市圏では、給水装置を、地下または一階に設けられたユーティリティスペース(例えば、ユーティリティ室)や、2つの建物の間に設けられた僅かな隙間などに設置することが多い。この場合、給水装置をメンテナンするために必要とされる十分な作業スペースを確保することができないことが多く、そのため、バルブ234a,234bの開閉動作がより困難となることがある。
【0011】
バルブ234a,234bを開閉するためのハンドル236a,236bの大きさ(例えば、長さおよび厚さ)を増加させれば、バルブ234a,234bの開閉動作を容易に行うことができる。しかしながら、小型化された給水装置のキャビネット内部には、多数の部品や装置が密接して収容されているので、大型のハンドルをバルブに予め取り付けることが困難である。より具体的には、大型のハンドルを回転させるためのスペースをキャビネット内に確保すると、キャビネットが大型化してしまう。さらに、第1バルブ234aおよび第2バルブ234bは互いに隣接して配置されているので、ハンドル236a,236bの大きさを増加させると、第1バルブ234aおよび/または第2バルブ234bの開閉操作時に、ハンドル236a,236bが互いに干渉してしまうことがある。このようなレイアウト上の制約などにより、ハンドル236a,236bの大きさを増加させることが困難であった。
【0012】
さらに、給水装置は、建物内の各家庭に水を供給するライフライン設備であるため、故障の発生を予防するための定期的なメンテナンスが行われる。このメンテナンスが実行されているときでも、給水装置はできる限り継続して運転され、建物の断水を回避するのが好ましい。しかしながら、第1バルブ234aおよび/または第2バルブ234bの開閉動作が困難であり、ハンドル236aおよび/またはハンドル236bの変形または破損が生じるおそれがあると作業者が判断した場合には、給水装置を一旦停止する必要がある。建物の断水を伴うメンテナンスは、給水先のユーザーに断水のアナウンスなどを行う必要があるため、第1バルブ234aおよび/または第2バルブ234bの開閉動作を伴うメンテナンスを実行するために、作業者は後日出直さなければならない。
【0013】
そこで、本発明は、バルブの開閉動作が困難な場合でも、給水装置の停止を極力発生させないように構成されたバルブを提供することを目的とする。さらに、本発明は、このようなバルブが配置されたキャビネット型の給水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した目的を達成するために、本発明の第1の態様によれば、給水装置に配置されるバルブであって、前記バルブは、前記給水装置内を流れる水の流路を開閉する弁体と、前記弁体から延びる弁軸と、
前記弁軸に連結され、前記弁体を回転させるためのハンドルと、を備え、前記弁軸は、棒状治具を挿入可能な挿入孔を有
し、前記弁軸は、前記ハンドルを貫通して延びていることを特徴とするバルブが提供される。
この構成によれば、バルブの開閉動作が困難な場合でも、挿入孔に挿入された棒状治具により、弁体を容易に回転させることができる。
さらに、この構成によれば、ハンドルによるバルブの開閉動作が困難であり、ハンドルに変形が生じるおそれがある場合に、挿入孔に挿入された棒状治具により、弁体を容易に回転させることができる。
【0015】
一実施形態では、前記挿入孔は、前記弁軸を貫通している。
この構成によれば、作業者は、棒状治具の両端部を握って弁体を回転させることができるので、弁体を容易に回転させることができる。
【0016】
一実施形態では、前記挿入孔は、前記弁軸の軸心に対して垂直な方向に延びている。
この構成によれば、挿入孔に挿入された棒状治具を回転させるときに、弁軸の軸心に対して斜め方向の力が該弁軸に加わらないので、弁体をスムーズに回転させることができる。
【0018】
本発明の第2の態様によれば、給水装置に配置されるバルブであって、前記バルブは、前記給水装置内を流れる水の流路を開閉する弁体と、前記弁体から延びる弁軸と、前記弁軸に連結され、前記弁体を回転させるためのハンドルと、を備え、前記ハンドルは、該ハンドルの長手方向に対して屈曲した屈曲部を有
し、前記弁軸は、棒状治具を挿入可能な挿入孔を有することを特徴とするバルブが提供される。
この構成によれば、ハンドルの剛性が向上するので、ハンドルの操作性が向上する。
さらに、この構成によれば、ハンドルの変形が生じるおそれがある場合でも、挿入孔に挿入された棒状治具により、弁体を容易に回転させることができる。
【0019】
一実施形態では、前記ハンドルは、その端部に形成されたリブを有する。
この構成によれば、ハンドルの剛性をさらに向上させることができる。さらに、ハンドルの端部に設けられたリブによって、作業者は、ハンドルを掴みやすくなるので、ハンドルの操作性が向上する。
【0020】
一実施形態では、前記リブは、その先端に形成された切欠きを有する。
この構成によれば、ハンドルによるバルブの開閉動作が困難な場合でも、切欠きに棒状治具を挿入して、弁体を回転させることができる。
【0021】
一実施形態では、前記リブは、貫通孔を有する。
この構成によれば、ハンドルによるバルブの開閉動作が困難な場合でも、貫通孔に棒状治具を挿入して、弁体を回転させることができる。
【0023】
本発明の第3の態様によれば、給水装置に配置されるバルブであって、前記バルブは、前記給水装置内を流れる水の流路を開閉する弁体と、前記弁体から延びる弁軸と、前記弁軸に連結され、前記弁体を回転させるためのハンドルと、を備え、前記ハンドルは、その端部に形成されたリブを有
し、前記弁軸は、棒状治具を挿入可能な挿入孔を有することを特徴とするバルブが提供される。
この構成によれば、ハンドルの剛性が向上するので、ハンドルの操作性が向上する。さらに、ハンドルの端部に設けられたリブによって、作業者は、ハンドルを掴みやすくなるので、ハンドルの操作性が向上する。
さらに、この構成によれば、ハンドルの変形が生じるおそれがある場合でも、挿入孔に挿入された棒状治具により、弁体を容易に回転させることができる
【0024】
一実施形態では、前記リブは、その先端に形成された切欠きを有する。
この構成によれば、ハンドルによるバルブの開閉動作が困難な場合でも、切欠きに棒状治具を挿入して、弁体を回転させることができる。
【0025】
一実施形態では、前記リブは、貫通孔を有する。
この構成によれば、ハンドルによるバルブの開閉動作が困難な場合でも、貫通孔に棒状治具を挿入して、弁体を回転させることができる。
【0027】
一実施形態では、前記ハンドルは、直線状に延びるレバー式ハンドルであり、前記弁軸は、前記レバー式ハンドルの中心に連結されている。
一実施形態では、前記ハンドルは、直線状に延びるレバー式ハンドルであり、前記弁軸は、前記レバー式ハンドルの一方の端部に連結されている。
一実施形態では、前記ハンドルは、直線状に延びるレバー式ハンドルであり、前記弁軸は、前記レバー式ハンドルの一方の端部に連結されており、前記リブは、前記レバー式ハンドルの他方の端部に形成されている。
一実施形態では、前記ハンドルは、蝶ハンドルであり、前記弁軸は、前記蝶ハンドルの中心に連結されている。
一実施形態では、前記ハンドルは、略円盤形状または略多角柱形状を有する玉形ハンドルであり、前記弁軸は、前記玉形ハンドルの中心に連結されている。
このように、様々なタイプのハンドルをバルブに用いることができる。
【0028】
本発明の第4の態様によれば、水を移送するためのポンプと、上記バルブと、前記ポンプおよび前記バルブを収容するキャビネットと、を備えることを特徴とするキャビネット型の給水装置が提供される。
この構成によれば、キャビネット内に配置されたバルブの開閉動作が困難な場合でも、給水装置の停止が極力防止される。
【0029】
一実施形態では、前記キャビネットに収容され、前記ポンプの吸込口が連結される吸込ヘッダをさらに備え、前記バルブは、前記吸込ヘッダ内に形成された流路を開閉する。
この構成によれば、ポンプのメンテナンスを実行するときに、吸込ヘッダ内に形成された流路を開閉するバルブの開閉動作が困難な場合でも、給水装置の停止が極力防止される。
【発明の効果】
【0030】
本発明の第1の態様によれば、バルブの開閉動作が困難な場合、あるいは、バルブがハンドルを有していない場合でも、弁軸に形成された挿入孔に挿入された棒状治具を回転させることにより、バルブの弁体を回転させることができる。その結果、給水装置の停止を極力防止することができる。さらに、棒状治具として、ドライバーなどの汎用工具を用いることができるので、メンテナンスの作業性を向上させることができる。
本発明の第2の態様および第3の態様によれば、ハンドルの剛性を向上させることができるので、ハンドルの操作性が向上する。すなわち、ハンドルによるバルブの開閉動作が困難な場合でも、ハンドルに変形または破損を生じさせずに、該ハンドルを回転させることができる。その結果、給水装置の停止を極力防止することができる。特に、ハンドルの端部に形成されたリブが切欠きまたは貫通孔を有する場合は、ハンドルによるバルブの開閉動作が困難であり、ハンドルに変形が発生するおそれがある場合でも、切欠きまたは貫通孔に棒状治具を挿入することにより、バルブの弁体を回転させることができる。一方で、ハンドルによってバルブの開閉動作を容易に実行できる場合は、棒状治具を用いることなく、ハンドル操作のみによって弁体を回転させることができる。さらに、棒状治具として、ドライバーなどの汎用工具を用いることができるので、給水装置の停止を極力防止しつつ、メンテナンスの作業性を向上させることができる。
本発明の第4の態様によれば、キャビネット内に配置されたバルブの開閉動作が困難な場合でも、給水装置の停止が極力防止される。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る給水装置のキャビネット内部の正面図である。
図2は、
図1に示される給水装置の左側面図である。この給水装置は、以下に説明される機器を収納する矩形ボックス状のキャビネット10を有し、
図1及び
図2は、このキャビネット10の内部構造を示している。なお、本明細書では、説明の便宜上、
図2に示される矢印D1方向を前方向と称し、矢印D2方向を後方向と称する。
【0033】
キャビネット10の内部には、2台の立形ポンプ12a,12bが水平方向に沿って並行に配置されている。これら立形ポンプ12a,12bは、例えばブースタポンプであり、それぞれポンプ部14とモータ部16とを有する。立形ポンプ12a,12bの吸込側には、水平方向に延びる吸込ヘッダ18が配置されており、吸込ヘッダ18に、立形ポンプ12a,12bの吸込口がそれぞれ連結される。この吸込ヘッダ18とストレーナ付きボール弁20を備えた吸込管22との間に、減圧式逆流防止器24が配置されている。吸込管22には、吸込側の圧力を検出する圧力センサ26が取付けられている。ストレーナ付きボール弁20のストレーナ部に水道本管を連結し、ボール弁20を開いた状態で各立形ポンプ12a,12bを運転すると、水道水が吸込管22、減圧式逆流防止器24及び吸込ヘッダ18を経由して、各立形ポンプ12a,12bに吸込まれる。
【0034】
一方、立形ポンプ12a,12bの吐出側には、吐出エルボ管28がそれぞれ連結されており、各吐出エルボ管28に、吐出された水の逆流を防止する吐出側逆止弁30が連結される。さらに、吐出側逆止弁30に、立形ポンプ12a,12bから吐出された水を集合(合流)させる吐出集合管34が連結されており、吐出集合管34には、小水量を検出して信号を送るフロースイッチ32が接続されている。この吐出集合管34は、吐出側の圧力を検出する圧力センサ36を有するバイパスヘッダ38の上端に接続され、このバイパスヘッダ38の長手方向に沿った所定の位置に、圧力タンク40から延びる圧力タンク配管42が接続されている。さらに、このバイパスヘッダ38の下端は、ボール弁44を有する吐出管46に連結される。この吐出管46は、その内部に逆止弁(図示せず)を有しており、吸込ヘッダ18に設けられた連通部122(後述する
図3および
図4参照)を介して、吸込ヘッダ18の内部に連通している。
【0035】
この構成により、立形ポンプ12a(または、立形ポンプ12b)の運転に伴って該立形ポンプ12a(または、立形ポンプ12b)から吐出された水は、吐出エルボ管28、吐出側逆止弁30、吐出集合管34及びバイパスヘッダ38を経由して吐出管46から外部に吐出される。吸込ヘッダ18内の水の圧力が充分に高い場合には、吸込ヘッダ18内の水が直接吐出管46に導かれて外部に吐出される。圧力タンク40は、立形ポンプ12a,12bから吐出された加圧水を蓄圧することで立形ポンプ12a,12bの頻繁な起動停止を防止し、且つ給水圧を円滑に一定に保つ作用をする。
【0036】
キャビネット10内における立形ポンプ12a,12bの上方位置には、インバータ装置54を収納するインバータケース56が、ヒンジ58を介して前方に開閉自在に配置されている。インバータケース56は、例えばアルミニウム製で放熱フィン50を有するヒートシンク52を有しており、このヒートシンク52の上面にインバータ装置54が載置されている。インバータ装置54は、立形ポンプ12a,12bの各モータ部16に交流電力を周波数及び電圧を変えて供給することで各モータ部16を可変速駆動するための装置であり、内部に冷却が必要な半導体デバイスを有している。
【0037】
各立形ポンプ12a,12bは、その上部において、モータ部16の駆動に伴って回転する主軸70を外部に延出させている。そして、この各主軸70には、主軸70と一体に回転し、この回転に伴って上方へ向かう空気の流れを作る冷却ファン72が取付けられる。さらに、これら冷却ファン72は、円筒状で立形ポンプ12a,12bのモータ部16に沿って上下に延びるファンカバー74でそれぞれ覆われている。
【0038】
モータ部16を駆動させてポンプ部14を運転すると、主軸70と一体に冷却ファン72が回転し、この冷却ファン72の回転に伴って、インバータケース56の放熱フィン50に向かう気流が形成される。ファンカバー74は、この気流をヒートシンク52の放熱フィン50に案内する。すると、立形ポンプ12a(または、立形ポンプ12b)で冷却された空気がモータ部16の外周部を通って放熱フィン50に衝突し、この空気でモータ部16が冷却され、更に放熱フィン50が冷却されてインバータ装置54が冷却される。そして、この気流は、放熱フィン50に衝突してその向きを変え、キャビネット10内に大きく循環する気流となる。このキャビネット10内の大きな気流の循環により、例えば、後述する制御盤76などが吸込管22、減圧式逆流防止器24、吸込ヘッダ18などの周辺から運ばれた冷却された空気と接触して冷却される。即ち、この冷却ファン72によって、キャビネット10内を全体的に循環する気流が形成されることにより、キャビネット10内の空気が常に攪拌され、その内部温度が均一化される。
【0039】
キャビネット10の上部には、制御盤76が備えられており、この制御盤76は、上記圧力センサ26,36などの信号を受けて、各家庭における給水圧が所定の圧力となるように立形ポンプ12a,12bを可変速運転する制御などを行う。より具体的には、制御盤76は、上記圧力センサ26,36の出力信号に基づいて、各家庭における給水圧を所定の圧力に維持するための指令信号をインバータ装置54に送る。インバータ装置54は、制御盤76から送られた指令信号に基づいて、モータ16の回転速度を変更する。このような構成で、給水装置は、水道本管を流れる水を所定圧まで加圧して、この加圧された水を建物内の各家庭に供給する。
【0040】
次に、
図3及び
図4を参照して、
図1に示される吸込ヘッダ18を説明する。
図3は、
図1に示される吸込ヘッダ18を示す上面図である。
図4は、
図3に示される吸込ヘッダ18と、該吸込ヘッダ18に設けられたバルブ134a,134bの内部を示す断面図である。
図4では、バルブ134aのハンドル136a、およびバルブ134bのハンドル136bが仮想線(一点鎖線)で描かれている。
【0041】
図3および
図4に示される吸込ヘッダ18は、略円筒状のヘッダ本体124を有する。ヘッダ本体124の下流側の端部は、閉塞されており、ヘッダ本体124の内部には、流路120が形成されている。吸込ヘッダ18のヘッダ本体124は、上記吐出管46に連結される連通部122を有している。さらに、このヘッダ本体124には、立形ポンプ12a,12bの吸込口にそれぞれ接続される供給口126a,126bが設けられ、ヘッダ本体124の流路120内の水が供給口126a,126bを通って、立形ポンプ12a,12bにそれぞれ供給される。ヘッダ本体124の供給口126a,126bに対向する位置には、通孔128がそれぞれ設けられ、通孔128は、蓋体130でそれぞれ閉塞されている。さらに、ヘッダ本体124の上流側に位置する供給口126aと蓋体130との間に、球状の弁体132aを収納することでバルブ134aが構成されており、下流側に位置する供給口126bと蓋体130との間に、球状の弁体132bを収納することでバルブ134bが構成されている。以下の説明では、上記バルブ134aを第1バルブ134aと称し、上記バルブ134bを第2バルブ134bと称する。
【0042】
第1バルブ134aおよび第2バルブ134bは、ヘッダ本体124の前方(
図2の矢印D1参照)に位置するハンドル136a,136bをそれぞれ有しており、これらハンドル136a,136bは、直線状に延びている。さらに、第1バルブ134aは、弁体132aから延びる弁軸135aを有しており、この弁軸135aは、ハンドル136aの中心に連結される。同様に、第2バルブ134bは、弁体132bから延びる弁軸135bを有しており、この弁軸135bは、ハンドル136bの中心に連結される。
【0043】
第1バルブ134aは、ハンドル136aを介して弁体132aを180゜回転させることで、ヘッダ本体124の上流側に位置する供給口126aを開閉する。第2バルブ134bは、ハンドル136bを介して弁体132bを180゜回転させることで、ヘッダ本体124の下流側に位置する供給口126bを開閉する。第1バルブ134aは、弁体132aを回転させて供給口126aを開閉した時に、ヘッダ本体124内の流路120を弁体132aで閉塞しないように構成される。
【0044】
本実施形態では、第1バルブ134aの弁体132aの内部には、直線状に延びる第1内部流路138aと該第1内部流路138aと直交する方向に延びる第2内部流路138bとを有するT字状の内部流路138が形成されている。
図4に示すように、第2内部流路138bを供給口126aに向けることにより、供給口126aが開かれる。この状態から、弁体132aを180゜回転させて、弁体132aの肉部を供給口126aに向けることにより、供給口126aが閉じられる。このように供給口126aを開閉したときに、直線状に延びる第1内部流路138aは常にヘッダ本体124内の流路120と接続されている。したがって、第1バルブ134aの弁体132aを回転させて供給口126aを開閉しても、ヘッダ本体124の流路120が弁体132aによって閉塞されない。
【0045】
一方で、第2バルブ134bの弁体132bの内部には、鈎状に屈曲する内部流路140が設けられている。
図4に示すように、内部流路140の一方の開口端をヘッダ本体124内の流路120に、他方の開口端を供給口126bに向けることで供給口126bが開かれる。この状態から、弁体132bを180゜回転させて、弁体132bの肉部を供給口126bに向けることで供給口126bが閉じられる。
【0046】
上流側に位置する立形ポンプ12aの交換やメンテナンス時には、第1バルブ134aで供給口126aが閉じられる。この時、第1バルブ134aの弁体132aはヘッダ本体124内の流路120を閉塞しないので、下流側に位置する立形ポンプ12bを運転可能な状態に維持することができる。下流側に位置する立形ポンプ12bの交換やメンテナンス時には、第2バルブ134bで供給口126bが閉じられるが、立形ポンプ12aには、第1バルブ134aを介してヘッダ本体124から水を供給することができる。したがって、一方の立形ポンプ12a(または12b)を運転しながら、他方の立形ポンプ12b(または12a)の交換やメンテナンスを行うことができる。
【0047】
このように、第1バルブ134aおよび第2バルブ134bを内蔵した吸込ヘッダ18に、2台の立形ポンプ12a,12bを直接接続すると、高さ方向に沿った給水装置の寸法(全高)の増加を抑えることができる。その結果、給水装置のコンパクト化を図ることができる。
【0048】
上述したように、立形ポンプ12a(または立形ポンプ12b)の交換やメンテナンスを行うときは、第1バルブ134a(または、第2バルブ134b)が操作される。しかしながら、多数の部品や装置が密接してキャビネット10内に収容される給水装置(
図1および
図2参照)では、ハンドル136a(または、136b)による第1バルブ134a(または第2バルブ134b)の開閉動作が困難な場合がある。特に、水道本管を流れる水の圧力が高い場合は、第1バルブ134a(または、第2バルブ134b)を回転させるために、強い力をハンドル136a(または、136b)に加える必要があるため、第1バルブ134a(または第2バルブ134b)の開閉動作がより困難となる。さらに、作業者がハンドル136a(ハンドル136b)の変形が生じるおそれがあると判断した場合は、給水装置を一旦停止しなければならない。
【0049】
そこで、本実施形態では、第1バルブ134aおよび第2バルブ134bは、
図5および
図6を参照して以下に説明される構造を有する。第2バルブ134bは、弁体132bに形成された内部流路140以外は、第1バルブ134aと同様の構造を有するので、
図5および
図6では、第1バルブ134aの要部の構成が描かれている。
【0050】
図5は、一実施形態に係る第1バルブ134aのハンドル136a近傍の弁軸135aの断面図である。
図5に示されるように、第1バルブ134aの弁軸135aは、ハンドル136aを貫通して延びている。本実施形態では、弁軸135aは、その端部にねじ部145を有しており、ねじ部145の外周面には、ねじ溝が形成されている。本実施形態の説明では、弁軸135aのねじ部145以外の部分を、軸本体146と称する。ハンドル136aは、弁軸135aが挿入される貫通孔148を有している。この貫通孔148に弁軸135aのねじ部145を通した状態で、弁軸135aのねじ部145にナット147を螺合させ、該ナット147でハンドル136aを軸本体146に締め付ける。これにより、ハンドル136aは、ナット147と軸本体146とに挟まれて、弁軸135aに固定される。一実施形態では、ナット147とハンドル136aとの間に座金を配置してもよい。
【0051】
図5に示されるように、ハンドル136aから突出する弁軸135aの突出部には、挿入孔150が形成されている。より具体的には、ハンドル136aから突出する弁軸135aのねじ部145に、挿入孔150が形成されている。本実施形態では、挿入孔150は、弁軸135aの軸心に対して垂直な方向に延びており、該弁軸135aを貫通している。この挿入孔150は、後述する棒状治具を挿入する孔として機能する。
【0052】
図6は、
図5に示される挿入孔150に棒状治具153が挿入された状態を示す図である。
図6に示されるように、棒状治具153を挿入孔150に挿入すると、作業者は、棒状治具153の両端部を握って弁軸135a(すなわち、弁体132a)を回転させることができる。したがって、ハンドル136aによる第1バルブ134aの操作が困難な場合でも、弁体132aを容易に回転させることができる。その結果、第1バルブ134aの操作性が向上するとともに、給水装置の停止を極力防止することができる。
【0053】
図5および
図6に示される第1バルブ134aは、ハンドル136aを有しているが、本発明はこの実施形態に限定されない。より具体的には、第1バルブ134aは、ハンドル136aを有していなくてもよい。第1バルブ134aがハンドル136aを有していない場合でも、作業者は、挿入孔150に挿入された棒状治具153を回転させることにより、弁体132aを容易に回転させることができる。さらに、メンテナンス時にハンドル136aの操作が困難である場合は、ナット147を緩めて、ハンドル136aを弁軸135aから取り外してもよい。この場合でも、挿入孔150に挿入された棒状治具153を回転させることで、弁体132aを容易に回転させることができる。
【0054】
図6に示されるように、棒状治具153の長手方向における長さがハンドル136aの長手方向における長さよりも大きい場合は、作業者は、ハンドル136aに加える力よりも小さい力で弁体132aを回転させることができる。さらに、作業者は、棒状治具153の両端部を握りながら、該棒状治具153を回転させることができる。したがって、給水装置が狭いスペースに配置されている場合、すなわち、給水装置のメンテナンススペースが狭い場合でも、作業者は、第1バルブ134aの開閉動作を容易に行うことができる。
【0055】
本実施形態では、挿入孔150は、弁軸135aの軸心に対して垂直な方向に延びている。したがって、挿入孔150に挿入された棒状治具153を回転させるときに、弁軸135aの軸心に対して斜め方向の力が該弁軸135aに加わらないので、弁体132aをスムーズに回転させることができる。
【0056】
棒状治具153は、任意の棒状体を用いることができる。例えば、棒状治具153として、挿入孔150に挿入可能な専用の棒を用いてもよいし、ドライバーなどの汎用工具を用いてもよい。挿入孔150の断面形状は円形状に限られない。例えば、挿入孔150の断面形状は、楕円形状、四角形状、六角形状などであってもよい。
【0057】
図示はしないが、挿入孔150は、弁軸135aを貫通していなくてもよい。このような構成でも、棒状治具153を挿入孔150に挿入して、弁軸135a(すなわち、弁体132a)を回転させることができる。棒状治具153が弁軸135aを貫通しない挿入孔150に挿入されると、該棒状治具153は、弁軸135aの一方の側面からのみ突出する。したがって、棒状治具153が弁軸135aの両側面から突出するスペースをキャビネット10内に確保できない場合でも、該棒状治具153によって、弁体132aを回転させることができる。棒状治具153を弁軸135aを貫通しない挿入孔150に強固に固定するために、挿入孔150にねじ溝を形成し、該ねじ溝に係合するねじが形成された専用の棒状治具153を用意してもよい。
【0058】
図5および
図6に示されるハンドル136aは、直線状に延びるレバー式ハンドルであるが、本発明は、この例に限定されない。例えば、略円盤形状または略多角柱形状を有するハンドル(ハンドル車または玉形ハンドルと称されることがある)を用いてもよいし、蝶ハンドルを用いてもよい。さらに、上述したハンドル136aは、その中心がナット147によって弁軸135aに連結されているが、ハンドル136aの連結位置および連結方法はこの例に限定されない。ハンドル136aは、弁体132aを操作可能な状態で弁軸135aに連結されていればよい。例えば、ハンドル136aの一方の端部が弁軸135aに連結されていてもよい。
【0059】
図7(a)乃至
図7(c)は、ハンドル136aの他の例をそれぞれ示す図である。
図7(a)に示されるハンドル136aは、レバー式ハンドルであり、弁軸135aは、このハンドル136aの一方の端部にナット147により連結されている。
図7(b)に示されるハンドル136aは、略六角柱形状を有する玉形ハンドルである。弁軸135aは、このハンドル136aの中心にナット147により連結されている。
図7(c)に示されるハンドル136aは、蝶ハンドルであり、弁軸135aは、このハンドル136aの中心にナット147により連結されている。いずれの場合も、弁軸135aは、ハンドル136aを貫通して延びており、この弁軸135aには、上記棒状治具153が挿入可能な挿入孔150が形成される。このように、様々なタイプのハンドルを、ハンドル136aとして用いることができる。
【0060】
図8(a)は、別の実施形態に係る第1バルブ134aのハンドル136aを模式的に示す斜視図であり、
図8(b)は、
図8(a)のA−A線断面図である。
図8(a)および
図8(b)に示されるハンドル136aには、該ハンドル136aの長手方向(すなわち、ハンドル136aが延びている方向)D3に対して屈曲した断面形状を有する屈曲部149が形成されている。図示した例では、ハンドル136aは、円弧状の断面形状を有する屈曲部149を有している。
【0061】
ハンドル136aが屈曲部149を有する場合は、ハンドル136aの剛性を高めることができるので、ハンドル136aの操作性が向上する。すなわち、第1バルブ134aを回転させるために、強い力をハンドル136aに加えたときに、ハンドル136aが変形しにくくなる。したがって、ハンドル136aによる第1バルブ134aの開閉動作が困難な場合でも、ハンドル136aの変形または破損を生じさせずに、該ハンドル136aを回転させることができるので、給水装置の停止を極力防止することができる。
【0062】
図8(a)に示されるように、弁軸135aをハンドル136aを貫通するまで延ばし、該弁軸135aに上述した挿入孔150を形成してもよい。この構成により、ハンドル136aによる第1バルブ134aの開閉動作が困難であり、ハンドル136aの変形が生じるおそれがある場合でも、挿入孔150に上述した棒状治具153を挿入することにより、弁体132aを容易に回転させることができる。さらに、棒状治具153として、ドライバーなどの汎用工具を用いることができるので、給水装置の停止を極力防止しつつ、メンテナンスの作業性を向上させることができる。
【0063】
一方で、ハンドル136aによって第1バルブ134aを開閉できる場合は、棒状治具153を用いることなく、ハンドル136aの操作のみによって、弁体132aを回転させることができる。
【0064】
屈曲部149の断面形状は任意である。例えば、
図9(a)に示されるように、ハンドル136aの屈曲部149の断面形状は、該ハンドル136aの最頂部から斜めに延びる2つの傾斜壁から構成される山形形状であってもよい。あるいは、
図9(b)に示されるように、ハンドル136aの屈曲部149は、隣接する複数の(
図9(b)では2つの)山形形状部から構成される断面形状を有していてもよい。さらに、
図9(c)に示されるように、ハンドル136aの屈曲部149は、隣接する複数の(
図9(c)では2つの)円弧状部から構成される断面形状を有していてもよい。
【0065】
ハンドル136aの屈曲部149は、該ハンドル136a全体にわたって形成されていてもよい。あるいは、屈曲部149は、ハンドル136aの一部に形成されていてもよい。すなわち、屈曲部149は、ハンドル136aの少なくとも一部に形成されていればよい。さらに、屈曲部149を、
図7(a)または
図7(c)に示されるハンドル136aの少なくとも一部に形成してもよい。
【0066】
図10(a)は、さらに別の実施形態に係る第1バルブ134aのハンドル136aを模式的に示す斜視図であり、
図10(b)は、
図10(a)に示されるハンドル136aの変形例を模式的に示す斜視図である。
図10(a)または
図10(b)に示されるハンドル136aは、屈曲部149を有していない一方で、ハンドル136aの端部に設けられたリブ156を有する点で、
図8(a)および
図8(b)に示される実施形態とは異なる。特に説明しない本実施形態の構成は、
図8(a)および
図8(b)に示される実施形態と同一であるため、その重複する説明を省略する。
【0067】
本実施形態では、リブ156は、ハンドル136aの両端部にそれぞれ設けられており、各リブ156は、ハンドル136aの端部から該ハンドル136aの長手方向D3に対して略垂直に延びている。一実施形態では、リブ156は、ハンドル136aの端部から該ハンドル136aの長手方向D3に対して斜めに延びてもよい。
【0068】
ハンドル136aの端部にリブ156を設けると、ハンドル136aの剛性を高めることができるので、ハンドル136aの操作性が向上する。すなわち、第1バルブ134aを回転させるために、強い力をハンドル136aに加えたときに、ハンドル136aが変形しにくくなる。したがって、ハンドル136aによる第1バルブ134aの開閉動作が困難な場合でも、ハンドル136aの変形または破損を生じさせずに、該ハンドル136aを回転させることができるので、給水装置の停止を極力防止することができる。さらに、ハンドル136aの端部に設けられたリブ156によって、作業者は、ハンドル136aを掴みやすくなるので、ハンドル136aによる第1バルブ134aの操作性が向上する。
【0069】
図10(a)に示されるように、各リブ156は、その先端に形成された切欠き160を有していてもよい。この構成により、ハンドル136aによる第1バルブ134aの開閉動作が困難であり、ハンドル136aの変形が生じるおそれがある場合でも、
図11に示されるように、両方の切欠き160に上述した棒状治具153を挿入することにより、弁体132aを容易に回転させることができる。
【0070】
図10(b)に示されるように、各リブ156は、貫通孔162を有していてもよい。この構成により、ハンドル136aによる第1バルブ134aの開閉動作が困難であり、ハンドル136aの変形が生じるおそれがある場合でも、両方の貫通孔162に上述した棒状治具153を挿入することにより、弁体132aを容易に回転させることができる。
【0071】
図10(a)および
図10(b)に示されるように、弁軸135aをハンドル136aを貫通するまで延ばし、該弁軸135aに上述した挿入孔150を形成してもよい。この場合、リブ156、または切欠き160あるいは貫通孔162が変形するか、または破損したときに、挿入孔150に上述した棒状治具153を挿入することにより、弁体132aを回転させることができる。
【0072】
図7(a)乃至
図7(c)に示される各ハンドル136aに、上記リブ156を設けてもよい。
図7(a)に示されるレバー式ハンドル136aでは、リブ156は、弁軸135aが連結される端部とは反対側の端部に設けられている。
図7(b)に示される玉形ハンドル136aでは、リブ156は、略六角柱形状を有するハンドル136aの対向する2辺にそれぞれ設けられている。
図7(c)に示される蝶ハンドル136aでは、リブ156は、該蝶ハンドル136aの両端部にそれぞれ設けてられている。
図7(b)に示される玉形ハンドル136aの対向する2辺にリブ156が設けられる場合、または
図7(c)に示される蝶ハンドル136aの両端部にリブ156が設けられる場合、各リブ156に切欠き160または貫通孔162を設けてもよい。
【0073】
図12は、さらに別の実施形態に係る第1バルブ134aのハンドル136aを示す斜視図である。
図12に示されるハンドル136aは、
図8(a)および
図8(b)を参照して説明された屈曲部149を有し、さらに、
図10(a)を参照して説明されたリブ156を有する。特に説明しない本実施形態の構成は、
図8(a)および
図8(b)に示される実施形態と同一であるため、その重複する説明を省略する。
【0074】
図12に示されるハンドル136aは、該ハンドル136aの長手方向D3に対して屈曲した屈曲部149を有するとともに、該ハンドル136aの両端部に設けられたリブ156を有する。この場合、屈曲部149とリブ156との相乗効果により、ハンドル136aの剛性をさらに向上させることができる。さらに、ハンドル136aの端部に設けられたリブ156によって、作業者は、ハンドル136aを掴みやすくなるので、ハンドル136aによる第1バルブ134aの操作性が向上する。
【0075】
上述したように、ハンドル136aによる第1バルブ134aの開閉動作が困難であり、ハンドル136aの変形が生じるおそれがある場合でも、各リブ156の先端に形成された2つの切欠き160に棒状治具153を挿入することにより、弁体132aを容易に回転させることができる。各リブ156は、切欠き160に代えて、上述した貫通孔162を有していてもよい。
【0076】
経年劣化などに起因して、第1バルブ134aの弁体132aがヘッダ本体124に強固に固着してしまうことがある。この場合、各リブ156の先端に形成された2つの切欠き160(または貫通孔162)に棒状治具153を挿入して、弁体132aを回転させようとすると、リブ156および/または切欠き160(または貫通孔162)が変形するか、または破損してしまうことがある。このような場合でも、ハンドル136aを貫通して延びる弁軸135aに形成された挿入孔150に棒状治具153を挿入することにより、弁体132aを回転させることができる。
【0077】
このように、本実施形態の第1バルブ134aによれば、ハンドル136aによる第1バルブ134aの開閉動作が困難な場合でも、切欠き160または貫通孔162に棒状治具153を挿入するか、または弁軸135aに形成された挿入孔150に棒状治具153を挿入することにより、弁体132aを容易に回転させることができる。したがって、給水装置の停止を極力防止することができる。
【0078】
図示はしないが、屈曲部149を、
図7(a)に示されるレバー式ハンドル136aの少なくとも一部に形成し、さらに、リブ156を、
図7(a)に示されるレバー式ハンドル136aの、弁軸135aが連結される端部とは反対側の端部に設けてもよい。屈曲部149を、
図7(c)に示される蝶ハンドル136aの少なくとも一部に形成し、さらに、リブ156を
図7(c)に示される蝶ハンドル136aの両端部に設けてもよい。
図7(c)に示される蝶ハンドル136aの両端部にリブ156が設けられる場合、各リブ156に切欠き160または貫通孔162を設けてもよい。
【0079】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した第1バルブ134aの構造を、給水装置に配置され、該給水装置内を流れる水の流路を開閉するための弁体を備える他のバルブに採用することができる。
【0080】
さらに、上述した実施形態は、球状の弁体132aを有する第1バルブ134a(すなわち、ボール弁)を例にとって説明されたが、本発明のバルブは、ボール弁に限定されない。ボール弁以外の弁(バタフライ弁、ゲート弁など)にも、上述した実施形態の構成を適用することができる。
【0081】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。