(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0013】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
《自動分析装置の概略構成および概略動作》
【0015】
図1は、本発明の実施の形態1による自動分析装置の主要部の構成例を示す概略図である。
図1に示す自動分析装置は、例えば、血清や尿などの検体(試料)中に含まれる特定成分の分析を行うための生化学分析装置や免疫分析装置などである。ただし、自動分析装置は、特に、これらに限定されるものではなく、例えば、臨床検査に用いる質量分析装置や、血液の凝固時間を測定する凝固分析装置などであってもよい。また、自動分析装置は、質量分析装置、凝固分析装置、生化学分析装置、免疫分析装置などを適宜組み合わせた複合システム、あるいは、これらを応用した自動分析システムの形態であってもよい。
【0016】
図1の自動分析装置(例えば、免疫分析装置)は、試料を乗せるサンプルラック101を搬送する搬送装置と、試薬ディスク103と、格納箱110と、反応部111と、磁気分離器116を含む磁気分離機構と、検出部120と、試薬容器や反応容器を装置の各部に搬送する各種搬送機構とを備える。また、当該自動分析装置は、装置全体の動作を制御する装置制御部10と、装置制御部10とオペレータとの間のインタフェースを担う装置操作部11とを備える。
【0017】
装置制御部10は、例えば、プロセッサ12と、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等のメモリ13とを含み、プロセッサ12によるプログラム処理によって装置全体の動作シークエンスを制御する。装置制御部10は、このようなプログラム処理を用いる構成に限らず、専用のハードウェア処理を用いる構成や、プログラム処理とハードウェア処理とを適宜組み合わせて用いる構成であってもよい。装置操作部11は、例えばディスプレイ等の表示部や、マウス、キーボードなどの入力装置等で構成される。
【0018】
搬送装置は、例えば、サンプルラック101をベルト上に設置して、ベルトにより搬送する。搬送装置は、試料を設置して、回転により搬送するディスクであってもよいし、サンプルラック101を掴み動作や持ち上げ動作により搬送するものであってもよい。試薬ディスク103には、免疫反応に必要な試薬及び磁性粒子の入った試薬容器102が収納される。この試薬容器102には蓋が付いている。格納箱110には、反応に用いる反応容器108および試料の分取・分注に用いる試料分注チップ109(以下チップと呼ぶ)が収納される。反応容器108やチップ109は、分析で使用される消耗品となる。反応部111は、反応容器108が設置され、当該設置された反応容器108内で試料と試薬の反応を行う。反応部111は、試料と試薬の反応に必要な温度制御機構を有している。
【0019】
各種搬送機構には、共通搬送機構114と、搬送機構117とが含まれる。共通搬送機構114は、複数種類の消耗品を共通の機構で搬送する。この例では、共通搬送機構114は、反応容器108を反応部111へ搬送し、チップ109をバッファ113へ搬送する。バッファ113は、分注に使用する前のチップ109の一時保管場所となる。共通搬送機構114は、具体的には、例えば、チップ109や反応容器108を把持する把持機構と、当該把持機構をX軸、Y軸、Z軸方向に設けられたレールを介して移動させるレール機構とを備える。搬送機構117は、反応容器108を、反応部111、磁気分離器116、検出部120および反応容器廃棄口112との間で適宜搬送する。
【0020】
また、当該自動分析装置は、容器蓋開閉機構104、試料分注プローブ105、試薬分注プローブ106、および磁性粒子攪拌機構107を備える。試料分注プローブ105は、バッファ113に保管されたチップ109を装着した状態で、サンプルラック101から試料の分取・分注を行う。容器蓋開閉機構104は、試薬容器102の蓋の開閉を行う。試薬分注プローブ106は、試薬容器102から試薬及び磁性粒子の分取・分注を行う。
【0021】
磁気分離機構には、磁気分離器116、不純物吸引機構118、および洗浄液吐出機構119が含まれる。不純物吸引機構118は、磁気分離器116に搬送された反応容器108内の不純物を含む液体を吸引する。洗浄液吐出機構119は、磁気分離器116に搬送された反応容器108内へ洗浄液を吐出する。また、検出部120付近には、試薬吐出機構121が設けられる。試薬吐出機構121は、検出部120に搬送された反応容器108に対し検出用の試薬を吐出する。
【0022】
次に、
図1の自動分析装置の動作を説明する。各部の動作は、装置制御部10からの指示を受けて行われる。まず、共通搬送機構114は、反応容器108を格納箱110から反応部111へ搬送する。また、共通搬送機構114は、チップ109をバッファ113へ搬送する。反応部111は、回転し、搬送された反応容器108を試薬分注位置まで移動させる。試薬分注プローブ106は、試薬ディスク103から反応部111上の反応容器108へ試薬を分注する。
【0023】
その後、反応部111は、再び回転し、反応容器108を試料分注位置まで移動させる。試料分注プローブ105は、チップ保持部を備え、バッファ113へ搬送されたチップ109を回転運動および上下動作によってチップ保持部に装着する。チップ109が装着された試料分注プローブ105は、サンプルラック101上に設置された試料容器124から試料を分取し、試料分注位置まで移動した反応容器108へ分注する。分取の際、試料容器124は、容器挟持装置123によって挟持される。試料分注プローブ105は、使用されたチップ109を回転運動および上下動作によってチップ廃棄口115へ移動させ、当該チップ109を取り外してチップ廃棄口115へ廃棄する。
【0024】
一方、反応部111は、試料と試薬の分注が終了した反応容器108を載せた状態で一定時間待ったのち、反応容器108を回転により試薬分注位置まで移動させる。当該一定時間は、試料と試薬の反応に必要とされる時間である。試薬分注プローブ106は、試薬ディスク103から磁性粒子を分取し、試薬分注位置にあるべき反応容器108に分注する。さらに、反応部111で一定時間反応を待った後、反応部111は所定の位置まで回転し、搬送機構117は、反応部111上の反応容器108を磁気分離器116へ搬送する。
【0025】
磁気分離器116は、反応容器108内の反応生成物を含んだ磁性成分と不純物を含む非磁性成分とを分離する。より具体的には、不純物吸引機構118による吸引と洗浄液吐出機構119による洗浄液の吐出とが数回繰り返され、最終的に、反応容器108内には反応生成物を含んだ磁性成分のみが残る。搬送機構117は、磁性成分が残った反応容器108を検出部120へ搬送する。その後、試薬吐出機構121により検出のための試薬が反応容器108に対して吐出され、検出が行われる。搬送機構117は、検出が終了した反応容器108を反応容器廃棄口112へ搬送し、廃棄する。以降、自動分析装置は、その後の試料に対しても前述した動作を繰り返す。
【0026】
以上のような構成および動作において、
図1の自動分析装置は、さらに、種別判別部122を備える。種別判別部122は、共通搬送機構114で搬送中の消耗品の種別(この例では、反応容器108かチップ109か)を判別する。
図1の自動分析装置は、種別判別部122の判別結果に応じて共通搬送機構114とは別に設けられる複数の搬送経路のいずれかを選択し、共通搬送機構114からの消耗品が当該選択した搬送経路で搬送されるように制御する。また、複数の搬送経路の先には、それぞれ複数の廃棄口(この例では、反応容器廃棄口112とチップ廃棄口115)が設けられ、自動分析装置は、当該複数の搬送経路を介して、最終的に、消耗品の廃棄を実施する。これに関して、以下、具体的に説明する。
【0027】
まず、反応容器108は、格納箱110に格納され、共通搬送機構114によって把持された状態で搬送され、種別判定部122で種別判定される。自動分析装置は、当該判定結果に応じて、種別判定が行われた位置から反応容器廃棄口112までの経路となる第1の搬送経路を選択する。第1の搬送経路おいて、反応容器108は、まず、共通搬送機構114によって反応部111に設置される。続いて、反応容器108は、反応部111の回転により試薬分注位置や試料分注位置に移動し、試薬・試料・磁性粒子が分注された後に搬送機構117によって把持され、磁気分離器116に設置される。磁気分離器116によって磁性成分の分離が実施された反応容器108は、搬送機構117によって検出部120に搬送される。その後、検出が終了した反応容器108は、搬送機構117によって反応容器廃棄口112へ廃棄される。
【0028】
一方、チップ109は、格納箱110に格納され、共通搬送機構114によって把持された状態で搬送され、種別判定部122で種別判定される。自動分析装置は、当該判定結果に応じて、種別判定が行われた位置からチップ廃棄口115までの経路となる第2の搬送経路を選択する。第2の搬送経路おいて、チップ109は、まず、共通搬送機構114によってバッファ113へ設置される。続いて、チップ109は、試料分注プローブ105の動作により試料分注プローブ105に装着される。その後、チップ109は、検体の分取・吐出を行った後に、試料分注プローブ105の動作によって試料分注プローブ105から外され、チップ廃棄口115へ廃棄される。
【0029】
反応容器廃棄口112とチップ廃棄口115は、図示しない箇所で繋がっておらず、反応容器廃棄口112へ廃棄された消耗品と、チップ廃棄口115へ廃棄された消耗品は、それぞれ、個別に収集される。その結果、消耗品を適切に分別廃棄することが可能になる。
【0030】
なお、この例では、共通搬送機構114の動作範囲は、反応容器108およびチップ109が設置された格納箱110の領域を含んでいる。ただし、例えば、反応容器108およびチップ109が複数の機構を組み合わせて搬送される場合、動作範囲は、格納箱110を含まなくてもよい。
《装置制御部の詳細》
【0031】
ここで、実際の運用上、消耗品を廃棄するケースとして、レギュラーなケースと、イレギュラーなケースとがある。レギュラーなケースとは、前述した第1の搬送経路や第2の搬送経路のように、消耗品が、分析に必要な各種処理で用いられたのちに廃棄されるケースである。このようなレギュラーなケースでは、通常、装置制御部10は、消耗品の搬送経路を所定のタイムシークエンスに基づき逐次管理しており、共通搬送機構114で搬送中の消耗品の種別もタイムシークエンスに基づき予め認識している。したがって、このような場合、種別判定部122は、必ずしも種別判定を行う必要はない。
【0032】
一方、例えば、イレギュラーなケースでは、搬送中の消耗品の種別が不明となる場合がある。イレギュラーなケースとは、例えば、共通搬送機構114で消耗品を搬送中に所定の装置エラー(言い換えれば異常停止)が生じたような場合や、様々な事情により分析を緊急で中断する必要性が生じた場合等が挙げられる。このようなイレギュラーなケースでは、安全性の観点から、搬送中の消耗品を、一旦、廃棄することが望まれる。しかし、搬送中の消耗品の種別が不明な場合、消耗品を適切に分別廃棄することが困難となる。そこで、種別判定部122を用いることが有益となる。
【0033】
図2Aは、
図1における装置制御部の一部の処理内容の一例を示すフロー図である。
図2Aにおいて、装置制御部10は、搬送物の廃棄処理が必要か否かを判定する(ステップS201)。具体的には、装置制御部10は、装置エラーの発生等のイレギュラーなケースが生じたか否かを判定する。搬送物の廃棄処理が必要な場合、装置制御部10は、共通搬送機構114が搬送物を搬送中か否かを判定する(ステップS202)。具体的には、例えば、共通搬送機構114がグリッパにより搬送物を把持して搬送するような場合、装置制御部10は、グリッパの開閉検知により搬送物の有無を判定する。なお、装置制御部10は、ステップS201で搬送物の廃棄処理が不要な場合、または、ステップS202で搬送物が無い場合には、処理を終了する。
【0034】
ステップS202で搬送物が有る場合、装置制御部10は、種別判定部122に搬送物の種別を判定させる(ステップS203)。装置制御部10は、種別判定部122によって種別が特定された場合、種別毎の廃棄処理を行う(ステップS204,S205)。一方、装置制御部10は、種別判定部122によって種別が特定されない場合、装置動作を停止し、装置操作部11へその旨の通知を行う(ステップS204,S206)。なお、ここでは、装置制御部10は、ステップS206で装置動作を停止したが、場合によっては、装置動作を停止せずに処理を終了してもよい。また、装置制御部10は、ステップS202の処理を行わずに、搬送物の有無に関わらずステップS203で搬送物の種別判定を行ってもよい。
【0035】
ここで、搬送物は、通常、消耗品(この例では、反応容器108またはチップ109)であるが、装置デバックのための特殊部品となる場合がある。特殊部品として、例えば、装置の位置調整に用いられる雇が挙げられる。搬送物が特殊部品であり、種別判定部122が当該特殊部品を特定できない場合には、ステップS206の処理が行われる。その結果、当該特殊部品が廃棄されるような事態を防止することができる。
【0036】
図2Bは、
図2Aにおける種別毎の廃棄処理(ステップS205)の詳細な処理内容の一例を示すフロー図である。
図2Bにおいて、装置制御部10は、種別判定部122の判定結果に基づき搬送物(すなわち消耗品)がチップ109の場合、共通搬送機構114に当該チップ109のバッファ113への搬送を指示する(ステップS211,S212)。続いて、装置制御部10は、試料分注プローブ105に、バッファ113上のチップ109のチップ廃棄口115への廃棄を指示する(ステップS213)。
【0037】
一方、装置制御部10は、種別判定部122の判定結果に基づき搬送物(すなわち消耗品)が反応容器108の場合、共通搬送機構114に当該反応容器108の反応部111への搬送を指示する(ステップS211,S214)。続いて、装置制御部10は、反応部111に回転動作を指示する(ステップS215)。その後、装置制御部10は、搬送機構117に、反応部111上の反応容器108の反応容器廃棄口112への廃棄を指示する(ステップS216)。
【0038】
このように、装置制御部10は、共通搬送機構114で搬送中の消耗品を廃棄する際、共通搬送機構114に、消耗品の種別に応じた処理機構への受け渡しを行わせ、当該処理機構に、分析処理の一部となる本来の処理を行わせずに廃棄口への廃棄処理を行わせる。例えば、消耗品がチップ109の場合、対象の処理機構を試料分注プローブ105として、装置制御部10は、共通搬送機構114に試料分注プローブ105への受け渡しを行わせ、試料分注プローブ105に本来の分注処理を行わせることなくチップ廃棄口115への廃棄を行わせる。また、消耗品が反応容器108の場合、対象の処理機構を反応部111および搬送機構117として、装置制御部10は、共通搬送機構114に反応部111への受け渡しを行わせ、反応部111および搬送機構117に、試料分注、磁気分離、検出といった本来の処理を行わせることなく反応容器廃棄口112への廃棄を行わせる。
《種別判定部の詳細》
【0039】
図3は、
図1における種別判定部の構成例を示す概略図である。
図3の種別判定部122は、予め定めた一軸方向の検出ライン300上のそれぞれ異なる座標における物質の有無を検出する複数のセンサ302a,302bを有する。複数のセンサ302a,302bとしては、例えば、反射型や透過型の光電センサや、超音波の反射を利用したセンサや、接触の有無により検知を行うセンサ等が知られている。
【0040】
図1の共通搬送機構114は、
図3に示されるように、グリッパ301で搬送物を把持した状態でX軸、Y軸、Z軸方向に移動可能となっている。共通搬送機構114は、XY平面上で搬送物を種別判定部122の領域へ搬送し、搬送物を検出ライン300上(ここではZ軸上)に配置したのち、Z軸方向に規定量305だけ動かす。この状態で、種別判定部122は、複数のセンサ302a,302bのそれぞれの検出結果に基づいて搬送物の種別を判定する。
【0041】
図3の例では、搬送物(消耗品)となるチップ109が反応容器108よりも長い場合で、2個のセンサ302a,302bを用いる場合を想定する。この場合、搬送物の形状(ここでは長手方向の長さ)によって2個のセンサ302a,302bの検出結果に違いが生じる。搬送物がチップ109の場合、ケースAに示されるように2個のセンサ302a,302bが共に物質有りを検出し、搬送物が反応容器108の場合、ケースBに示されるように2個のセンサ302a,302bの一方のみが物質有りを検出する。この検出結果の違いに基づいて搬送物の種別を判定することが可能となる。
【0042】
このような種別判定方式を用いると、センサの個数、または、センサの個数+1種類の種別判定を行うことが可能になる。すなわち、搬送物が有ることを前提とすると、前述した2種類に加えて、センサ302a,302bが共に物質無しを検出することで、より短い搬送物(例えば、雇)を区別することができる。また、搬送物が有ることを前提としない場合、例えば、搬送され得る最短の搬送物を検出できる位置にセンサを設置することで、種別判定部122によって搬送物の有無を含めて判定を行うことも可能である。
《実施の形態1の主要な効果》
【0043】
以上、実施の形態1の自動分析装置を用いることで、消耗品を適切に分別廃棄することが可能になる。この際には、共通搬送機構114のように、共通の機構で複数種類の消耗品を搬送する場合であっても、搬送する消耗品の種別に応じて適切に分別廃棄を行うことができる。また、
図2Aに示したように、種別判定部122を必要な時のみ動作させた場合、装置のスループットを維持することが可能になる。
(実施の形態2)
《種別判定部の詳細(変形例)》
【0044】
図4は、本発明の実施の形態2による自動分析装置において、
図1の種別判定部の構成例を示す概略図である。
図4の種別判定部122は、予め定めた一軸方向の検出ライン300上の所定の座標における物質の有無を検出するセンサ402を有する。すなわち、種別判定部122は、
図3では複数のセンサを備えたが、
図4では1個のセンサ402を備える。共通搬送機構114は、
図3の場合と同様に、搬送物を検出ライン300上に配置し、かつ検出ライン300上で移動させる。この状態で、
図4の種別判定部122は、
図3の場合と異なり、センサ402が物質の有りを検出するのに要する共通搬送機構114の移動量に基づいて搬送物の種別を判定する。
【0045】
具体的には、
図4に示されるように、搬送物の形状(ここでは長手方向の長さ)によって、センサ402が物質の有りを検出するまでの共通搬送機構114の移動量に違いが生じる。搬送物がチップ109の場合、ケースAに示されるように、センサ402が物質の有りを検出するまで所定の移動量405が必要とされる。一方、搬送物がチップ109よりも短い反応容器108の場合、センサ402が物質の有りを検出するまで移動量405よりも大きい移動量407が必要とされる。この移動量の違いに基づいて、搬送物の種別を判定することができる。
《実施の形態2の主要な効果》
【0046】
以上、実施の形態2の自動分析装置を用いることで、実施の形態1の場合と同様の効果が得られる。さらに、
図3の方式と比較して、1個のセンサで足りるため、コストの低減や、センサ402を設置するにあたっての自由度の向上等が図れる。なお、移動量の違いを区別する際には、搬送物の個体差による寸法差や、共通搬送機構114の移動量誤差を加味して移動量に範囲を定め、当該範囲に搬送物を対応付けるとよい。
【0047】
なお、ここでは、センサが物質の有りを検出するまで移動量の違いに基づいて、搬送物の種別を判定したが、逆に、センサが物質の無しを検出するまでの移動量の違いに基づいて、搬送物の種別を判定してもよい。すなわち、共通搬送機構114は、物質の有りが検出されている状態を初期状態として、物質の無しが検出されるまで移動してもよい。また、ここでは、センサを固定した状態で共通搬送機構114を移動させたが、共通搬送機構114を固定した状態でセンサを移動させてもよい。ただし、この場合、センサの移動機構に伴うコスト増等が生じ得るため、この観点では、共通搬送機構114を移動させる方が望ましい。
(実施の形態3)
《種別判定部の詳細(変形例)》
【0048】
図5Aおよび
図5Bは、本発明の実施の形態3による自動分析装置において、種別判定部の構成例を示す概略図である。自動分析装置によっては、複数種類の搬送物の搬送経路上に、
図5Aに示されるように、複数種類の搬送物が共通に設置される共通設置部501が設けられる場合がある。この場合、例えば、共通搬送機構114等が搬送物を共通設置部501に設置した状態で、搬送物の種別判定を行うことができる。
【0049】
共通設置部501には、
図5Aに示されるように、少なくとも一つのセンサ502が設けられる。この例では、センサ502は、共通設置部501に設置された搬送物の長さに応じて検出結果が異なるように取り付けられている。その結果、当該検出結果に基づいて、搬送物の種別を判定することができる。当該方式では、
図3の場合と同様に、センサの個数+1種類の種別判定を行うことが可能である。
【0050】
また、自動分析装置によっては、
図5Bに示されるように、複数種類の搬送物の共通の搬送経路上にセンサ505a,505bを設けることも可能である。
図5Bの例では、搬送物を、Z軸方向に延伸するように装着した状態で、XY平面上での回転運動によって搬送物を搬送する共通搬送機構506が設けられる。センサ505a,505bは、あるXY座標において、Z軸上のそれぞれ異なる座標における物体の有無を検出するように取り付けられる。搬送物の種別判定は、共通搬送機構506の回転運動によって搬送物が当該XY座標を通過した際のセンサ505a,505bの検出結果に基づき行われる。
《実施の形態3の主要な効果》
【0051】
以上、実施の形態3の自動分析装置を用いることで、実施の形態1の場合と同様の効果が得られる。また、
図3や
図4の方式では、種別判定部122の領域を別途設け、当該領域に搬送物を搬送させるように共通搬送機構114を別途制御する必要があった。一方、
図5Aおよび
図5Bの方式では、搬送物を通常通りに搬送する過程で、種別判定を行うことが可能になるため、スペース効率や制御効率の点で有益となる場合がある。なお、ここでは、回転運動を行う共通搬送機構506を例としたが、
図1に示したような共通搬送機構114を用いる場合であっても、
図5Bと同様な方式を用いて、Z軸方向への移動を伴わずに種別判定を行える場合がある。
(実施の形態4)
《装置制御部の詳細(変形例)》
【0052】
実施の形態1〜3では、センサを用いて種別判定を行った。一方、
図1の自動分析装置が、動作の過程で、逐次、メモリ13に動作履歴を記録するような場合、センサを用いずとも種別判定を行える場合がある。動作履歴は、例えば、タイムシークエンス情報やモータの駆動パルス結果、センサステータスなどが主であるが、搬送物の種別判定が可能であれば、それらに限定されない。
【0053】
図6は、本発明の実施の形態4による自動分析装置において、装置制御部の一部の処理内容の一例を示すフロー図である。
図6に示すフローは、
図2Aに示したフローと比較して、ステップS203の処理がステップS603の処理に置き換わっている。ステップS603において、装置制御部10は、種別判定部として動作し、共通搬送機構114で搬送中の搬送物の廃棄処理が必要となった際(ステップS201)に、メモリ13に記録された最新の動作履歴を参照することで搬送物の種別を判定する。
《実施の形態4の主要な効果》
【0054】
以上、実施の形態4の自動分析装置を用いることで、実施の形態1の場合と同様の効果が得られる。さらに、動作履歴を用いることで、搬送物の形状に限らず、材質、状態、用途等を含めて種別判定を行うことができる。例えば、搬送物が既に分析に使用されたか否かについての判定も可能である。これにより、判定結果に基づき、消耗品が生体試料の容器として使用されたか否かに応じて、搬送経路(廃棄経路)を変更することも可能となる。
(実施の形態5)
《種別判定部の詳細(変形例)》
【0055】
図7は、本発明の実施の形態5による自動分析装置において、種別判定部の構成例を示す概略図である。
図7に示す種別判定部は、撮影部702と、画像解析部703と、動作制御部704とを備える。撮影部702は、共通搬送機構114で搬送中の搬送物を撮影する。搬送物の撮影は、搬送物の移動中に実施してもよいし、搬送物が静止している状態で実施してもよい。撮影部702は、共通搬送機構114による通常の搬送経路上のいずれかの位置に設置することができ、また、
図1の種別判定部122に示したように、別途、専用の領域を設置してもよい。
【0056】
画像解析部703は、撮影部702によって撮影された画像を解析することで搬送物の種別を判定する。当該解析処理は、例えば、搬送物の形状から搬送物の種別を判定してもよいし、搬送物の色から種別を判定してもよい。動作制御部704は、例えば、装置制御部10からの指示に基づき、撮影部702による撮影タイミング等を制御する。
【0057】
図7の例では、チップ109が共通搬送機構114のグリッパ301によって把持された状態で、撮影部702が当該チップ109を撮影している。ここで、自動分析装置によっては、各処理機構の間で搬送を行う際に共通搬送機構114が適宜介在する場合がある。このような場合、例えば、共通搬送機構114によって把持されるチップ109には、未使用な状態、使用中の状態、使用済みの状態が生じ得る。
図7のチップ109は、生体試料(検体)701が分注されており、使用中の状態となっている。
図7のような方式を用いると、搬送物の形状に限らず、状態等を含めて搬送物の種別判定を行うことができ、例えば、チップ109が使用中であるか否かの判定を行える。これにより、当該判定結果に基づき、搬送経路(廃棄経路)を変更することも可能となる。
《実施の形態5の主要な効果》
【0058】
以上、実施の形態5の自動分析装置を用いることで、実施の形態1の場合と同様の効果が得られる。さらに、搬送物の形状に限らず、状態等を含めて種別判定を行うことができる。
(実施の形態6)
《自動分析装置の概略構成および概略動作(変形例)》
【0059】
図8は、本発明の実施の形態6による自動分析装置の主要部の構成例を示す概略図である。
図8に示す自動分析装置は、
図1の構成例と比較して、チップ廃棄口115や反応容器廃棄口112が、試料分注プローブ105や搬送機構117の移動範囲内ではなく、共通搬送機構114の移動範囲内に設けられる点が異なっている。この場合、共通搬送機構114は、搬送中の消耗品を、直接、廃棄口へ分別廃棄することができる。具体的には、装置制御部10は、種別判定部122の判定結果に応じて、複数の廃棄口のいずれかを選択し、共通搬送機構114で搬送中の消耗品が当該選択した廃棄口へ廃棄されるように共通搬送機構114を制御すればよい。
《実施の形態6の主要な効果》
【0060】
以上、実施の形態6の自動分析装置を用いることで、実施の形態1の場合と同様の効果が得られる。ただし、この場合、
図1の構成例と異なり、試料分注プローブ105や搬送機構117が、直接、消耗品を廃棄することができなくなり、常に、共通搬送機構114を介して廃棄を行う必要性が生じる。この場合、装置のスループットが低下する恐れがある。また、チップ廃棄口115や反応容器廃棄口112を、試料分注プローブ105や搬送機構117の移動範囲内と、共通搬送機構114の移動範囲内の両方に設けることも考えられる。しかし、この場合、装置のスペース効率が低下する恐れがある。さらに、
図1の構成例において、共通搬送機構114の移動範囲をチップ廃棄口115や反応容器廃棄口112へ拡張することも考えられる。しかし、この場合、装置のコスト増や、装置のスペース効率の低下を招く恐れがある。したがって、このような観点からは、
図1の構成例が有益となる。
【0061】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、前述した実施の形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。