【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年8月25日、公益社団法人高分子学会発行の第64回高分子討論会予稿集にて公開、同年9月17日、東北大学にて開催された同討論会で発表(3S02)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
[イオン伝導性縮環キノンポリマー]
本発明のイオン伝導性縮環キノンポリマーは、下記式(1)及び/又は(2)で表される繰り返し単位を含む。
【化5】
【0015】
式中、Xは、それぞれ独立に、単結合、又は2価の基を表す。前記2価の基としては−O−、−S−、−NH−、−COO−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−等が好ましく、−O−がより好ましい。Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立に、ベンゾキノン骨格上の2つの炭素原子とともに形成される芳香族炭化水素環又は酸素原子若しくは硫黄原子を含む芳香族複素環を表す。
【0016】
前記芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環が好ましい。前記芳香族複素環としては、チオフェン環、フラン環等が好ましい。これらのうち、ベンゼン環、チオフェン環等が特に好ましい。
【0017】
具体的には、式(1)で表される繰り返し単位としては、下記式(1')又は(1'')で表されるものが好ましく、式(2)で表される繰り返し単位としては、下記式(2')又は(2'')で表されるものが好ましい。
【化6】
【0018】
式中、Xは、前記と同じ。R
1〜R
18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、炭素数1〜12の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素数2〜12の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜12の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素数6〜12の置換若しくは非置換のアリール基、炭素数3〜12の置換若しくは非置換のヘテロアリール基、炭素数1〜12の置換若しくは非置換のアルコキシ基、炭素数1〜12の置換若しくは非置換のアルキルチオ基、炭素数1〜12の置換若しくは非置換のモノアルキルアミノ基、各々のアルキル基が独立に炭素数1〜12の置換若しくは非置換のアルキル基であるジアルキルアミノ基、又は炭素数2〜12のアルキルカルボニル基を表す。
【0019】
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ
る。
【0020】
前記アルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、c−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、c−ブチル基、1−メチル−c−プロピル基、2−メチル−c−プロピル基、n−ペンチル基、1−メチル−n−ブチル基、2−メチル−n−ブチル基、3−メチル−n−ブチル基、1,1−ジメチル−n−プロピル基、1,2−ジメチル−n−プロピル基、2,2−ジメチル−n−プロピル基、1−エチル−n−プロピル基、c−ペンチル基、1−メチル−c−ブチル基、2−メチル−c−ブチル基、3−メチル−c−ブチル基、1,2−ジメチル−c−プロピル基、2,2−ジメチル−c−プロピル基、2,3−ジメチル−c−プロピル基、1−エチル−c−プロピル基、2−エチル−c−プロピル基、n−ヘキシル基、1−メチル−n−ペンチル基、2−メチル−n−ペンチル基、3−メチル−n−ペンチル基、4−メチル−n−ペンチル基、1,1−ジメチル−n−ブチル基、1,2−ジメチル−n−ブチル基、1,3−ジメチル−n−ブチル基、2,2−ジメチル−n−ブチル基、2,3−ジメチル−n−ブチル基、3,3−ジメチル−n−ブチル基、1−エチル−n−ブチル基、2−エチル−n−ブチル基、1,1,2−トリメチル−n−プロピル基、1,2,2−トリメチル−n−プロピル基、1−エチル−1−メチル−n−プロピル基、1−エチル−2−メチル−n−プロピル基、c−ヘキシル基、1−メチル−c−ペンチル基、2−メチル−c−ペンチル基、3−メチル−c−ペンチル基、1−エチル−c−ブチル基、2−エチル−c−ブチル基、3−エチル−c−ブチル基、1,2−ジメチル−c−ブチル基、1,3−ジメチル−c−ブチル基、2,2−ジメチル−c−ブチル基、2,3−ジメチル−c−ブチル基、2,4−ジメチル−c−ブチル基、3,3−ジメチル−c−ブチル基、1−n−プロピル−c−プロピル基、2−n−プロピル−c−プロピル基、1−i−プロピル−c−プロピル基、2−i−プロピル−c−プロピル基、1,2,2−トリメチル−c−プロピル基、1,2,3−トリメチル−c−プロピル基、2,2,3−トリメチル−c−プロピル基、1−エチル−2−メチル−c−プロピル基、2−エチル−1−メチル−c−プロピル基、2−エチル−2−メチル−c−プロピル基、2−エチル−3−メチル−c−プロピル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。
【0021】
前記アルケニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、例えば、エテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−メチル−1−エテニル基、1−n−ブテニル基、2−n−ブテニル基、3−n−ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−エチルエテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、1−n−ペンテニル基、2−n−ペンテニル基、3−n−ペンテニル基、4−n−ペンテニル基、1−n−プロピルエテニル基、1−メチル−1−n−ブテニル基、1−メチル−2−n−ブテニル基、1−メチル−3−n−ブテニル基、2−エチル−2−プロペニル基、2−メチル−1−n−ブテニル基、2−メチル−2−n−ブテニル基、2−メチル−3−n−ブテニル基、3−メチル−1−n−ブテニル基、3−メチル−2−n−ブテニル基、3−メチル−3−n−ブテニル基、1,1−ジメチル−2−プロペニル基、1−i−プロピルエテニル基、1,2−ジメチル−1−n−プロペニル基、1,2−ジメチル−2−n−プロペニル基、1−c−ペンテニル基、2−c−ペンテニル基、3−c−ペンテニル基、1−n−ヘキセニル基、2−n−ヘキセニル基、3−n−ヘキセニル基、4−n−ヘキセニル基、5−n−ヘキセニル基、1−メチル−1−n−ペンテニル基、1−メチル−2−n−ペンテニル基、1−メチル−3−n−ペンテニル基、1−メチル−4−n−ペンテニル基、1−n−ブチルエテニル基、2−メチル−1−n−ペンテニル基、2−メチル−2−n−ペンテニル基、2−メチル−3−n−ペンテニル基、2−メチル−4−n−ペンテニル基、2−n−プロピル−2−n−プロペニル基、3−メチル−1−n−ペンテニル基、3−メチル−2−n−ペンテニル基、3−メチル−3−n−ペンテニル基、3−メチル−4−n−ペンテニル基、3−エチル−3−n−ブテニル基、4−メチル−1−n−ペンテニル基、4−メチル−2−n−ペンテニル基、4−メチル−3−n−ペンテニル基、4−メチル−4−n−ペンテニル基、1,1−ジメチル−2−n−ブテニル基、1,1−ジメチル−3−n−ブテニル基、1,2−ジメチル−1−n−ブテニル基、1,2−ジメチル−2−n−ブテニル基、1,2−ジメチル−3−n−ブテニル基、1−メチル−2−エチル−2−n−プロペニル基、1−s−ブチルエテニル基、1,3−ジメチル−1−n−ブテニル基、1,3−ジメチル−2−n−ブテニル基、1,3−ジメチル−3−n−ブテニル基、1−i−ブチルエテニル基、2,2−ジメチル−3−n−ブテニル基、2,3−ジメチル−1−n−ブテニル基、2,3−ジメチル−2−n−ブテニル基、2,3−ジメチル−3−n−ブテニル基、2−i−プロピル−2−n−プロペニル基、3,3−ジメチル−1−n−ブテニル基、1−エチル−1−n−ブテニル基、1−エチル−2−n−ブテニル基、1−エチル−3−n−ブテニル基、1−n−プロピル−1−n−プロペニル基、1−n−プロピル−2−n−プロペニル基、2−エチル−1−n−ブテニル基、2−エチル−2−n−ブテニル基、2−エチル−3−n−ブテニル基、1,1,2−トリメチル−2−プロペニル基、1−t−ブチルエテニル基、1−メチル−1−エチル−2−n−プロペニル基、1−エチル−2−メチル−1−n−プロペニル基、1−エチル−2−メチル−2−プロペニル基、1−i−プロピル−1−プロペニル基、1−i−プロピル−2−n−プロペニル基、1−メチル−2−c−ペンテニル基、1−メチル−3−c−ペンテニル基、2−メチル−1−c−ペンテニル基、2−メチル−2−c−ペンテニル基、2−メチル−3−c−ペンテニル基、2−メチル−4−c−ペンテニル基、2−メチル−5−c−ペンテニル基、2−メチレン−c−ペンチル基、3−メチル−1−c−ペンテニル基、3−メチル−2−c−ペンテニル基、3−メチル−3−c−ペンテニル基、3−メチル−4−c−ペンテニル基、3−メチル−5−c−ペンテニル基、3−メチレン−c−ペンチル基、1−c−ヘキセニル基、2−c−ヘキセニル基、3−c−ヘキセニル基等が挙げられる。
【0022】
前記アルキニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−n−ブチニル基、2−n−ブチニル基、3−n−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、1−n−ペンチニル基、2−n−ペンチニル基、3−n−ペンチニル基、4−n−ペンチニル基、1−メチル−2−n−ブチニル基、1−メチル−3−n−ブチニル基、2−メチル−3−n−ブチニル基、3−メチル−1−n−ブチニル基、1,1−ジメチル−2−プロピニル基、2−エチル−2−プロピニル基、1−n−ヘキシニル基、2−n−ヘキシニル基、3−n−ヘキシニル基、4−n−ヘキシニル基、5−n−ヘキシニル基、1−メチル−2−n−ペンチニル基、1−メチル−3−n−ペンチニル基、1−メチル−4−n−ペンチニル基、2−メチル−3−n−ペンチニル基、2−メチル−4−n−ペンチニル基、3−メチル−1−n−ペンチニル基、3−メチル−4−n−ペンチニル基、4−メチル−1−n−ペンチニル基、4−メチル−2−n−ペンチニル基、1,1−ジメチル−2−n−ブチニル基、1,1−ジメチル−3−n−ブチニル基、1,2−ジメチル−3−n−ブチニル基、2,2−ジメチル−3−n−ブチニル基、3,3−ジメチル−1−ブチニル基、1−エチル−2−ブチニル基、1−エチル−3−ブチニル基、1−n−プロピル−2−プロピニル基、2−エチル−3−n−ブチニル基、1−メチル−1−エチル−2−プロピニル基、1−i−プロピル−2−プロピニル基等が挙げられる。
【0023】
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、o−ビフェニル基、m−ビフェニル基、p−ビフェニル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基等が挙げられる。
【0024】
前記ヘテロアリール基としては、例えば、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、1−イミダゾリル基、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基等が挙げられる。
【0025】
前記アルコキシ基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、c−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、c−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、1−メチル−n−ブトキシ基、2−メチル−n−ブトキシ基、3−メチル−n−ブトキシ基、1,1−ジメチル−n−プロポキシ基、c−ペンチルオキシ基、2−メチル−c−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、1−メチル−n−ペンチルオキシ基、2−メチル−n−ペンチルオキシ基、1,1−ジメチル−n−ブトキシ基、1−エチル−n−ブトキシ基、1,1,2−トリメチル−n−プロポキシ基、c−ヘキシルオキシ基、1−メチル−c−ペンチルオキシ基、1−エチル−c−ブトキシ基、1,2−ジメチル−c−ブトキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基等が挙げられる。
【0026】
前記アルキルチオ基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、1−メチルブチルチオ基、2−メチル−n−ブチルチオ基、3−メチル−n−ブチルチオ基、1,1−ジメチルプロピルチオ基、2,2−ジメチルプロピルチオ基、n−ヘキシルチオ基、1−メチル−n−ペンチルチオ基、2−メチル−n−ペンチルチオ基、1,1−ジメチル−n−ブチルチオ基、1−エチル−n−ブチルチオ基、1,1,2−トリメチルプロピルチオ基、n−ヘプチルチオ基、n−オクチルチオ基、2−エチル−n−ヘキシルチオ基、n−ノニルチオ基、n−デシルチオ基、n−ウンデシルチオ基、n−ドデシルチオ基等が挙げられる。
【0027】
前記モノアルキルアミノ基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、i−プロピルアミノ基、c−プロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、i−ブチルアミノ基、s−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、c−ブチルアミノ基、1−メチル−c−プロピルアミノ基、2−メチル−c−プロピルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、1−メチル−n−ブチルアミノ基、2−メチル−n−ブチルアミノ基、3−メチル−n−ブチルアミノ基、1,1−ジメチル−n−プロピルアミノ基、1,2−ジメチル−n−プロピルアミノ基、2,2−ジメチル−n−プロピルアミノ基、1−エチル−n−プロピルアミノ基、c−ペンチルアミノ基、1−メチル−c−ブチルアミノ基、2−メチル−c−ブチルアミノ基、3−メチル−c−ブチルアミノ基、1,2−ジメチル−c−プロピルアミノ基、2,3−ジメチル−c−プロピルアミノ基、1−エチル−c−プロピルアミノ基、2−エチル−c−プロピルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、1−メチル−n−ペンチルアミノ基、2−メチル−n−ペンチルアミノ基、3−メチル−n−ペンチルアミノ基、4−メチル−n−ペンチルアミノ基、1,1−ジメチル−n−ブチルアミノ基、1,2−ジメチル−n−ブチルアミノ基、1,3−ジメチル−n−ブチルアミノ基、2,2−ジメチル−n−ブチルアミノ基、2,3−ジメチル−n−ブチルアミノ基、3,3−ジメチル−n−ブチルアミノ基、1−エチル−n−ブチルアミノ基、2−エチル−n−ブチルアミノ基、1,1,2−トリメチル−n−プロピルアミノ基、1,2,2−トリメチル−n−プロピルアミノ基、1−エチル−1−メチル−n−プロピルアミノ基、1−エチル−2−メチル−n−プロピルアミノ基、c−ヘキシルアミノ基、1−メチル−c−ペンチルアミノ基、2−メチル−c−ペンチルアミノ基、3−メチル−c−ペンチルアミノ基、1−エチル−c−ブチルアミノ基、2−エチル−c−ブチルアミノ基、3−エチル−c−ブチルアミノ基、1,2−ジメチル−c−ブチルアミノ基、1,3−ジメチル−c−ブチルアミノ基、2,2−ジメチル−c−ブチルアミノ基、2,3−ジメチル−c−ブチルアミノ基、2,4−ジメチル−c−ブチルアミノ基、3,3−ジメチル−c−ブチルアミノ基、1−n−プロピル−c−プロピルアミノ基、2−n−プロピル−c−プロピルアミノ基、1−i−プロピル−c−プロピルアミノ基、2−i−プロピル−c−プロピルアミノ基、1,2,2−トリメチル−c−プロピルアミノ基、1,2,3−トリメチル−c−プロピルアミノ基、2,2,3−トリメチル−c−プロピルアミノ基、1−エチル−2−メチル−c−プロピルアミノ基、2−エチル−1−メチル−c−プロピルアミノ基、2−エチル−2−メチル−c−プロピルアミノ基、2−エチル−3−メチル−c−プロピルアミノ基等が挙げられる。
【0028】
前記ジアルキルアミノ基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジ−i−プロピルアミノ基、ジ−c−プロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−i−ブチルアミノ基、ジ−s−ブチルアミノ基、ジ−t−ブチルアミノ基、ジ−c−ブチルアミノ基、ジ−(1−メチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−メチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−n−ペンチルアミノ基、ジ−(1−メチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(2−メチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(3−メチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(1,1−ジメチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−(1,2−ジメチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−(2,2−ジメチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−(1−エチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−c−ペンチルアミノ基、ジ−(1−メチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(2−メチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(3−メチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(1,2−ジメチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2,3−ジメチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(1−エチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−エチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−(1−メチル−n−ペンチル)アミノ基、ジ−(2−メチル−n−ペンチル)アミノ基、ジ−(3−メチル−n−ペンチル)アミノ基、ジ−(4−メチル−n−ペンチル)アミノ基、ジ−(1,1−ジメチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(1,2−ジメチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(1,3−ジメチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(2,2−ジメチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(2,3−ジメチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(3,3−ジメチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(1−エチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(2−エチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(1,1,2−トリメチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−(1,2,2−トリメチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−(1−エチル−1−メチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−(1−エチル−2−メチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−c−ヘキシルアミノ基、ジ−(1−メチル−c−ペンチル)アミノ基、ジ−(2−メチル−c−ペンチル)アミノ基、ジ−(3−メチル−c−ペンチル)アミノ基、ジ−(1−エチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(2−エチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(3−エチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(1,2−ジメチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(1,3−ジメチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(2,2−ジメチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(2,3−ジメチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(2,4−ジメチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(3,3−ジメチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(1−n−プロピル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−n−プロピル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(1−i−プロピル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−i−プロピル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(1,2,2−トリメチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(1,2,3−トリメチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2,2,3−トリメチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(1−エチル−2−メチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−エチル−1−メチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−エチル−2−メチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−エチル−3−メチル−c−プロピル)アミノ基等が挙げられる。
【0029】
前記アルキルカルボニル基としては、例えば、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、i−プロピルカルボニル基、c−プロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、i−ブチルカルボニル基、s−ブチルカルボニル基、t−ブチルカルボニル基、c−ブチルカルボニル基、1−メチル−c−プロピルカルボニル基、2−メチル−c−プロピルカルボニル基、n−ペンチルカルボニル基、1−メチル−n−ブチルカルボニル基、2−メチル−n−ブチルカルボニル基、3−メチル−n−ブチルカルボニル基、1,1−ジメチル−n−プロピルカルボニル基、1,2−ジメチル−n−プロピルカルボニル基、2,2−ジメチル−n−プロピルカルボニル基、1−エチル−n−プロピルカルボニル基、c−ペンチルカルボニル基、1−メチル−c−ブチルカルボニル基、2−メチル−c−ブチルカルボニル基、3−メチル−c−ブチルカルボニル基、1,2−ジメチル−c−プロピルカルボニル基、2,3−ジメチル−c−プロピルカルボニル基、1−エチル−c−プロピルカルボニル基、2−エチル−c−プロピルカルボニル基、n−ヘキシルカルボニル基、1−メチル−n−ペンチルカルボニル基、2−メチル−n−ペンチルカルボニル基、3−メチル−n−ペンチルカルボニル基、4−メチル−n−ペンチルカルボニル基、1,1−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、1,2−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、1,3−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、2,2−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、2,3−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、3,3−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、1−エチル−n−ブチルカルボニル基、2−エチル−n−ブチルカルボニル基、1,1,2−トリメチル−n−プロピルカルボニル基、1,2,2−トリメチル−n−プロピルカルボニル基、1−エチル−1−メチル−n−プロピルカルボニル基、1−エチル−2−メチル−n−プロピルカルボニル基、c−ヘキシルカルボニル基、1−メチル−c−ペンチルカルボニル基、2−メチル−c−ペンチルカルボニル基、3−メチル−c−ペンチルカルボニル基、1−エチル−c−ブチルカルボニル基、2−エチル−c−ブチルカルボニル基、3−エチル−c−ブチルカルボニル基、1,2−ジメチル−c−ブチルカルボニル基、1,3−ジメチル−c−ブチルカルボニル基、2,2−ジメチル−c−ブチルカルボニル基、2,3−ジメチル−c−ブチルカルボニル基、2,4−ジメチル−c−ブチルカルボニル基、3,3−ジメチル−c−ブチルカルボニル基、1−n−プロピル−c−プロピルカルボニル基、2−n−プロピル−c−プロピルカルボニル基、1−i−プロピル−c−プロピルカルボニル基、2−i−プロピル−c−プロピルカルボニル基、1,2,2−トリメチル−c−プロピルカルボニル基、1,2,3−トリメチル−c−プロピルカルボニル基、2,2,3−トリメチル−c−プロピルカルボニル基、1−エチル−2−メチル−c−プロピルカルボニル基、2−エチル−1−メチル−c−プロピルカルボニル基、2−エチル−2−メチル−c−プロピルカルボニル基、2−エチル−3−メチル−c−プロピルカルボニル基等が挙げられる。
【0030】
これらのうち、容量、電気伝導性の向上を考慮すると、R
1〜R
18としては、水素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基等が好ましく、水素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等がより好ましく、水素原子が最も好ましい。
【0031】
また、前記の基の炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部が置換基で置換されていてもよい。前記置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、炭素数1〜11のアルコキシ基、炭素数1〜11のハロアルコキシ基、炭素数1〜11のアルキルチオ基、炭素数1〜11のモノアルキルアミノ基、各々のアルキル基がそれぞれ独立に炭素数1〜11のジアルキルアミノ基、グリシドキシ基、炭素数2〜11のアルキルカルボニル基、炭素数3〜11のアルケニルカルボニル基、炭素数3〜11のアルキニルカルボニル基、炭素数2〜11のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数3〜11のアルケニルカルボニルオキシ基、炭素数3〜11のアルキニルカルボニルオキシ基、炭素数6〜11のアリール基、炭素数6〜11のハロゲン化アリール基、炭素数3〜11のヘテロアリール基、炭素数3〜11のハロゲン化ヘテロアリール基等が挙げられる。ただし、前記置換基を有する場合、R
1〜R
18における炭素総数の上限は、それぞれ12である。
【0032】
前記炭素数1〜11のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、c−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、c−ブトキシ基、1−メチル−c−プロポキシ基、2−メチル−c−プロポキシ基、n−ペンチルオキシ基、1−メチル−n−ブトキシ基、2−メチル−n−ブトキシ基、3−メチル−n−ブトキシ基、1,1−ジメチル−n−プロポキシ基、1,2−ジメチル−n−プロポキシ基、2,2−ジメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−n−プロポキシ基、c−ペンチルオキシ基、1−メチル−c−ブトキシ基、2−メチル−c−ブトキシ基、3−メチル−c−ブトキシ基、1,2−ジメチル−c−プロポキシ基、2,3−ジメチル−c−プロポキシ基、1−エチル−c−プロポキシ基、2−エチル−c−プロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、1−メチル−n−ペンチルオキシ基、2−メチル−n−ペンチルオキシ基、3−メチル−n−ペンチルオキシ基、4−メチル−n−ペンチルオキシ基、1,1−ジメチル−n−ブトキシ基、1,2−ジメチル−n−ブトキシ基、1,3−ジメチル−n−ブトキシ基、2,2−ジメチル−n−ブトキシ基、2,3−ジメチル−n−ブトキシ基、3,3−ジメチル−n−ブトキシ基、1−エチル−n−ブトキシ基、2−エチル−n−ブトキシ基、1,1,2−トリメチル−n−プロポキシ基、1,2,2−トリメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−1−メチル−n−プロポキシ基、1−エチル−2−メチル−n−プロポキシ基、c−ヘキシルオキシ基、1−メチル−c−ペンチルオキシ基、2−メチル−c−ペンチルオキシ基、3−メチル−c−ペンチルオキシ基、1−エチル−c−ブトキシ基、2−エチル−c−ブトキシ基、3−エチル−c−ブトキシ基、1,2−ジメチル−c−ブトキシ基、1,3−ジメチル−c−ブトキシ基、2,2−ジメチル−c−ブトキシ基、2,3−ジメチル−c−ブトキシ基、2,4−ジメチル−c−ブトキシ基、3,3−ジメチル−c−ブトキシ基、1−n−プロピル−c−プロポキシ基、2−n−プロピル−c−プロポキシ基、1−i−プロピル−c−プロポキシ基、2−i−プロピル−c−プロポキシ基、1,2,2−トリメチル−c−プロポキシ基、1,2,3−トリメチル−c−プロポキシ基、2,2,3−トリメチル−c−プロポキシ基、1−エチル−2−メチル−c−プロポキシ基、2−エチル−1−メチル−c−プロポキシ基、2−エチル−2−メチル−c−プロポキシ基、2−エチル−3−メチル−c−プロポキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基等が挙げられる。
【0033】
前記炭素数1〜11のハロアルコキシ基としては、例えば、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ブロモジフルオロメトキシ基、2−クロロエトキシ基、2−ブロモエトキシ基、1,1−ジフルオロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基、2−クロロ−1,1,2−トリフルオロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、3−ブロモプロポキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イルオキシ基、3−ブロモ−2−メチルプロポキシ基、4−ブロモブトキシ基、パーフルオロペンチルオキシ基等が挙げられる。
【0034】
前記炭素数1〜11のアルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、c−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、i−ブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、c−ブチルチオ基、1−メチル−c−プロピルチオ基、2−メチル−c−プロピルチオ基、n−ペンチルチオ基、1−メチル−n−ブチルチオ基、2−メチル−n−ブチルチオ基、3−メチル−n−ブチルチオ基、1,1−ジメチル−n−プロピルチオ基、1,2−ジメチル−n−プロピルチオ基、2,2−ジメチル−n−プロピルチオ基、1−エチル−n−プロピルチオ基、c−ペンチルチオ基、1−メチル−c−ブチルチオ基、2−メチル−c−ブチルチオ基、3−メチル−c−ブチルチオ基、1,2−ジメチル−c−プロピルチオ基、2,3−ジメチル−c−プロピルチオ基、1−エチル−c−プロピルチオ基、2−エチル−c−プロピルチオ基、n−ヘキシルチオ基、1−メチル−n−ペンチルチオ基、2−メチル−n−ペンチルチオ基、3−メチル−n−ペンチルチオ基、4−メチル−n−ペンチルチオ基、1,1−ジメチル−n−ブチルチオ基、1,2−ジメチル−n−ブチルチオ基、1,3−ジメチル−n−ブチルチオ基、2,2−ジメチル−n−ブチルチオ基、2,3−ジメチル−n−ブチルチオ基、3,3−ジメチル−n−ブチルチオ基、1−エチル−n−ブチルチオ基、2−エチル−n−ブチルチオ基、1,1,2−トリメチル−n−プロピルチオ基、1,2,2−トリメチル−n−プロピルチオ基、1−エチル−1−メチル−n−プロピルチオ基、1−エチル−2−メチル−n−プロピルチオ基、c−ヘキシルチオ基、1−メチル−c−ペンチルチオ基、2−メチル−c−ペンチルチオ基、3−メチル−c−ペンチルチオ基、1−エチル−c−ブチルチオ基、2−エチル−c−ブチルチオ基、3−エチル−c−ブチルチオ基、1,2−ジメチル−c−ブチルチオ基、1,3−ジメチル−c−ブチルチオ基、2,2−ジメチル−c−ブチルチオ基、2,3−ジメチル−c−ブチルチオ基、2,4−ジメチル−c−ブチルチオ基、3,3−ジメチル−c−ブチルチオ基、1−n−プロピル−c−プロピルチオ基、2−n−プロピル−c−プロピルチオ基、1−i−プロピル−c−プロピルチオ基、2−i−プロピル−c−プロピルチオ基、1,2,2−トリメチル−c−プロピルチオ基、1,2,3−トリメチル−c−プロピルチオ基、2,2,3−トリメチル−c−プロピルチオ基、1−エチル−2−メチル−c−プロピルチオ基、2−エチル−1−メチル−c−プロピルチオ基、2−エチル−2−メチル−c−プロピルチオ基、2−エチル−3−メチル−c−プロピルチオ基、n−ヘプチルチオ基、n−オクチルチオ基、n−ノニルチオ基、n−デシルチオ基、n−ウンデシルチオ基等が挙げられる。
【0035】
前記炭素数1〜11のモノアルキルアミノ基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、i−プロピルアミノ基、c−プロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、i−ブチルアミノ基、s−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、c−ブチルアミノ基、1−メチル−c−プロピルアミノ基、2−メチル−c−プロピルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、1−メチル−n−ブチルアミノ基、2−メチル−n−ブチルアミノ基、3−メチル−n−ブチルアミノ基、1,1−ジメチル−n−プロピルアミノ基、1,2−ジメチル−n−プロピルアミノ基、2,2−ジメチル−n−プロピルアミノ基、1−エチル−n−プロピルアミノ基、c−ペンチルアミノ基、1−メチル−c−ブチルアミノ基、2−メチル−c−ブチルアミノ基、3−メチル−c−ブチルアミノ基、1,2−ジメチル−c−プロピルアミノ基、2,3−ジメチル−c−プロピルアミノ基、1−エチル−c−プロピルアミノ基、2−エチル−c−プロピルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、1−メチル−n−ペンチルアミノ基、2−メチル−n−ペンチルアミノ基、3−メチル−n−ペンチルアミノ基、4−メチル−n−ペンチルアミノ基、1,1−ジメチル−n−ブチルアミノ基、1,2−ジメチル−n−ブチルアミノ基、1,3−ジメチル−n−ブチルアミノ基、2,2−ジメチル−n−ブチルアミノ基、2,3−ジメチル−n−ブチルアミノ基、3,3−ジメチル−n−ブチルアミノ基、1−エチル−n−ブチルアミノ基、2−エチル−n−ブチルアミノ基、1,1,2−トリメチル−n−プロピルアミノ基、1,2,2−トリメチル−n−プロピルアミノ基、1−エチル−1−メチル−n−プロピルアミノ基、1−エチル−2−メチル−n−プロピルアミノ基、c−ヘキシルアミノ基、1−メチル−c−ペンチルアミノ基、2−メチル−c−ペンチルアミノ基、3−メチル−c−ペンチルアミノ基、1−エチル−c−ブチルアミノ基、2−エチル−c−ブチルアミノ基、3−エチル−c−ブチルアミノ基、1,2−ジメチル−c−ブチルアミノ基、1,3−ジメチル−c−ブチルアミノ基、2,2−ジメチル−c−ブチルアミノ基、2,3−ジメチル−c−ブチルアミノ基、2,4−ジメチル−c−ブチルアミノ基、3,3−ジメチル−c−ブチルアミノ基、1−n−プロピル−c−プロピルアミノ基、2−n−プロピル−c−プロピルアミノ基、1−i−プロピル−c−プロピルアミノ基、2−i−プロピル−c−プロピルアミノ基、1,2,2−トリメチル−c−プロピルアミノ基、1,2,3−トリメチル−c−プロピルアミノ基、2,2,3−トリメチル−c−プロピルアミノ基、1−エチル−2−メチル−c−プロピルアミノ基、2−エチル−1−メチル−c−プロピルアミノ基、2−エチル−2−メチル−c−プロピルアミノ基、2−エチル−3−メチル−c−プロピルアミノ基等が挙げられる。
【0036】
前記各々のアルキル基がそれぞれ独立に炭素数1〜11のジアルキルアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジ−i−プロピルアミノ基、ジ−c−プロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−i−ブチルアミノ基、ジ−s−ブチルアミノ基、ジ−t−ブチルアミノ基、ジ−c−ブチルアミノ基、ジ−(1−メチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−メチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−n−ペンチルアミノ基、ジ−(1−メチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(2−メチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(3−メチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(1,1−ジメチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−(1,2−ジメチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−(2,2−ジメチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−(1−エチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−c−ペンチルアミノ基、ジ−(1−メチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(2−メチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(3−メチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(1,2−ジメチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2,3−ジメチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(1−エチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−エチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−(1−メチル−n−ペンチル)アミノ基、ジ−(2−メチル−n−ペンチル)アミノ基、ジ−(3−メチル−n−ペンチル)アミノ基、ジ−(4−メチル−n−ペンチル)アミノ基、ジ−(1,1−ジメチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(1,2−ジメチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(1,3−ジメチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(2,2−ジメチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(2,3−ジメチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(3,3−ジメチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(1−エチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(2−エチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(1,1,2−トリメチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−(1,2,2−トリメチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−(1−エチル−1−メチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−(1−エチル−2−メチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−c−ヘキシルアミノ基、ジ−(1−メチル−c−ペンチル)アミノ基、ジ−(2−メチル−c−ペンチル)アミノ基、ジ−(3−メチル−c−ペンチル)アミノ基、ジ−(1−エチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(2−エチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(3−エチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(1,2−ジメチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(1,3−ジメチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(2,2−ジメチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(2,3−ジメチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(2,4−ジメチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(3,3−ジメチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(1−n−プロピル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−n−プロピル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(1−i−プロピル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−i−プロピル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(1,2,2−トリメチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(1,2,3−トリメチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2,2,3−トリメチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(1−エチル−2−メチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−エチル−1−メチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−エチル−2−メチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−エチル−3−メチル−c−プロピル)アミノ基等が挙げられる。
【0037】
前記炭素数2〜11のアルキルカルボニル基としては、例えば、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、i−プロピルカルボニル基、c−プロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、i−ブチルカルボニル基、s−ブチルカルボニル基、t−ブチルカルボニル基、c−ブチルカルボニル基、1−メチル−c−プロピルカルボニル基、2−メチル−c−プロピルカルボニル基、n−ペンチルカルボニル基、1−メチル−n−ブチルカルボニル基、2−メチル−n−ブチルカルボニル基、3−メチル−n−ブチルカルボニル基、1,1−ジメチル−n−プロピルカルボニル基、1,2−ジメチル−n−プロピルカルボニル基、2,2−ジメチル−n−プロピルカルボニル基、1−エチル−n−プロピルカルボニル基、c−ペンチルカルボニル基、1−メチル−c−ブチルカルボニル基、2−メチル−c−ブチルカルボニル基、3−メチル−c−ブチルカルボニル基、1,2−ジメチル−c−プロピルカルボニル基、2,3−ジメチル−c−プロピルカルボニル基、1−エチル−c−プロピルカルボニル基、2−エチル−c−プロピルカルボニル基、n−ヘキシルカルボニル基、1−メチル−n−ペンチルカルボニル基、2−メチル−n−ペンチルカルボニル基、3−メチル−n−ペンチルカルボニル基、4−メチル−n−ペンチルカルボニル基、1,1−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、1,2−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、1,3−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、2,2−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、2,3−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、3,3−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、1−エチル−n−ブチルカルボニル基、2−エチル−n−ブチルカルボニル基、1,1,2−トリメチル−n−プロピルカルボニル基、1,2,2−トリメチル−n−プロピルカルボニル基、1−エチル−1−メチル−n−プロピルカルボニル基、1−エチル−2−メチル−n−プロピルカルボニル基、c−ヘキシルカルボニル基、1−メチル−c−ペンチルカルボニル基、2−メチル−c−ペンチルカルボニル基、3−メチル−c−ペンチルカルボニル基、1−エチル−c−ブチルカルボニル基、2−エチル−c−ブチルカルボニル基、3−エチル−c−ブチルカルボニル基、1,2−ジメチル−c−ブチルカルボニル基、1,3−ジメチル−c−ブチルカルボニル基、2,2−ジメチル−c−ブチルカルボニル基、2,3−ジメチル−c−ブチルカルボニル基、2,4−ジメチル−c−ブチルカルボニル基、3,3−ジメチル−c−ブチルカルボニル基、1−n−プロピル−c−プロピルカルボニル基、2−n−プロピル−c−プロピルカルボニル基、1−i−プロピル−c−プロピルカルボニル基、2−i−プロピル−c−プロピルカルボニル基、1,2,2−トリメチル−c−プロピルカルボニル基、1,2,3−トリメチル−c−プロピルカルボニル基、2,2,3−トリメチル−c−プロピルカルボニル基、1−エチル−2−メチル−c−プロピルカルボニル基、2−エチル−1−メチル−c−プロピルカルボニル基、2−エチル−2−メチル−c−プロピルカルボニル基、2−エチル−3−メチル−c−プロピルカルボニル基等が挙げられる。
【0038】
前記炭素数3〜11のアルケニルカルボニル基としては、例えば、エテニルカルボニル基、1−プロペニルカルボニル基、2−プロペニルカルボニル基、1−メチル−1−エテニルカルボニル基、1−ブテニルカルボニル基、2−ブテニルカルボニル基、3−ブテニルカルボニル基、2−メチル−1−プロペニルカルボニル基、2−メチル−2−プロペニルカルボニル基、1−エチルエテニルカルボニル基、1−メチル−1−プロペニルカルボニル基、1−メチル−2−プロペニルカルボニル基、1−ペンテニルカルボニル基、2−ペンテニルカルボニル基、3−ペンテニルカルボニル基、4−ペンテニルカルボニル基、1−n−プロピルエテニルカルボニル基、1−メチル−1−ブテニルカルボニル基、1−メチル−2−ブテニルカルボニル基、1−メチル−3−ブテニルカルボニル基、2−エチル−2−プロペニルカルボニル基、2−メチル−1−ブテニルカルボニル基、2−メチル−2−ブテニルカルボニル基、2−メチル−3−ブテニルカルボニル基、3−メチル−1−ブテニルカルボニル基、3−メチル−2−ブテニルカルボニル基、3−メチル−3−ブテニルカルボニル基、1,1−ジメチル−2−プロペニルカルボニル基、1−i−プロピルエテニルカルボニル基、1,2−ジメチル−1−プロペニルカルボニル基、1,2−ジメチル−2−プロペニルカルボニル基、1−c−ペンテニルカルボニル基、2−c−ペンテニルカルボニル基、3−c−ペンテニルカルボニル基、1−ヘキセニルカルボニル基、2−ヘキセニルカルボニル基、3−ヘキセニルカルボニル基、4−ヘキセニルカルボニル基、5−ヘキセニルカルボニル基、1−メチル−1−ペンテニルカルボニル基、1−メチル−2−ペンテニルカルボニル基、1−メチル−3−ペンテニルカルボニル基、1−メチル−4−ペンテニルカルボニル基、1−n−ブチルエテニルカルボニル基、2−メチル−1−ペンテニルカルボニル基、2−メチル−2−ペンテニルカルボニル基、2−メチル−3−ペンテニルカルボニル基、2−メチル−4−ペンテニルカルボニル基、2−n−プロピル−2−プロペニルカルボニル基、3−メチル−1−ペンテニルカルボニル基、3−メチル−2−ペンテニルカルボニル基、3−メチル−3−ペンテニルカルボニル基、3−メチル−4−ペンテニルカルボニル基、3−エチル−3−ブテニルカルボニル基、4−メチル−1−ペンテニルカルボニル基、4−メチル−2−ペンテニルカルボニル基、4−メチル−3−ペンテニルカルボニル基、4−メチル−4−ペンテニルカルボニル基、1,1−ジメチル−2−ブテニルカルボニル基、1,1−ジメチル−3−ブテニルカルボニル基、1,2−ジメチル−1−ブテニルカルボニル基、1,2−ジメチル−2−ブテニルカルボニル基、1,2−ジメチル−3−ブテニルカルボニル基、1−メチル−2−エチル−2−プロペニルカルボニル基、1−s−ブチルエテニルカルボニル基、1,3−ジメチル−1−ブテニルカルボニル基、1,3−ジメチル−2−ブテニルカルボニル基、1,3−ジメチル−3−ブテニルカルボニル基、1−i−ブチルエテニルカルボニル基、2,2−ジメチル−3−ブテニルカルボニル基、2,3−ジメチル−1−ブテニルカルボニル基、2,3−ジメチル−2−ブテニルカルボニル基、2,3−ジメチル−3−ブテニルカルボニル基、2−i−プロピル−2−プロペニルカルボニル基、3,3−ジメチル−1−ブテニルカルボニル基、1−エチル−1−ブテニルカルボニル基、1−エチル−2−ブテニルカルボニル基、1−エチル−3−ブテニルカルボニル基、1−n−プロピル−1−プロペニルカルボニル基、1−n−プロピル−2−プロペニルカルボニル基、2−エチル−1−ブテニルカルボニル基、2−エチル−2−ブテニルカルボニル基、2−エチル−3−ブテニルカルボニル基、1,1,2−トリメチル−2−プロペニルカルボニル基、1−t−ブチルエテニルカルボニル基、1−メチル−1−エチル−2−プロペニルカルボニル基、1−エチル−2−メチル−1−プロペニルカルボニル基、1−エチル−2−メチル−2−プロペニルカルボニル基、1−i−プロピル−1−プロペニルカルボニル基、1−i−プロピル−2−プロペニルカルボニル基、1−メチル−2−c−ペンテニルカルボニル基、1−メチル−3−c−ペンテニルカルボニル基、2−メチル−1−c−ペンテニルカルボニル基、2−メチル−2−c−ペンテニルカルボニル基、2−メチル−3−c−ペンテニルカルボニル基、2−メチル−4−c−ペンテニルカルボニル基、2−メチル−5−c−ペンテニルカルボニル基、2−メチレン−c−ペンチルカルボニル基、3−メチル−1−c−ペンテニルカルボニル基、3−メチル−2−c−ペンテニルカルボニル基、3−メチル−3−c−ペンテニルカルボニル基、3−メチル−4−c−ペンテニルカルボニル基、3−メチル−5−c−ペンテニルカルボニル基、3−メチレン−c−ペンチルカルボニル基、1−c−ヘキセニルカルボニル基、2−c−ヘキセニルカルボニル基、3−c−ヘキセニルカルボニル基等が挙げられる。
【0039】
前記炭素数3〜11のアルキニルカルボニル基としては、例えば、エチニルカルボニル基、1−プロピニルカルボニル基、2−プロピニルカルボニル基、1−ブチニルカルボニル基、2−ブチニルカルボニル基、3−ブチニルカルボニル基、1−メチル−2−プロピニルカルボニル基、1−ペンチニルカルボニル基、2−ペンチニルカルボニル基、3−ペンチニルカルボニル基、4−ペンチニルカルボニル基、1−メチル−2−ブチニルカルボニル基、1−メチル−3−ブチニルカルボニル基、2−メチル−3−ブチニルカルボニル基、3−メチル−1−ブチニルカルボニル基、1,1−ジメチル−2−プロピニルカルボニル基、2−エチル−2−プロピニルカルボニル基、1−ヘキシニルカルボニル基、2−ヘキシニルカルボニル基、3−ヘキシニルカルボニル基、4−ヘキシニルカルボニル基、5−ヘキシニルカルボニル基、1−メチル−2−ペンチニルカルボニル基、1−メチル−3−ペンチニルカルボニル基、1−メチル−4−ペンチニルカルボニル基、2−メチル−3−ペンチニルカルボニル基、2−メチル−4−ペンチニルカルボニル基、3−メチル−1−ペンチニルカルボニル基、3−メチル−4−ペンチニルカルボニル基、4−メチル−1−ペンチニルカルボニル基、4−メチル−2−ペンチニルカルボニル基、1,1−ジメチル−2−ブチニルカルボニル基、1,1−ジメチル−3−ブチニルカルボニル基、1,2−ジメチル−3−ブチニルカルボニル基、2,2−ジメチル−3−ブチニルカルボニル基、3,3−ジメチル−1−ブチニルカルボニル基、1−エチル−2−ブチニルカルボニル基、1−エチル−3−ブチニルカルボニル基、1−n−プロピル−2−プロピニルカルボニル基、2−エチル−3−ブチニルカルボニル基、1−メチル−1−エチル−2−プロピニル基、1−i−プロピル−2−プロピニルカルボニル基等が挙げられる。
【0040】
前記炭素数2〜11のアルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、i−プロピルカルボニルオキシ基、c−プロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、i−ブチルカルボニルオキシ基、s−ブチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基、c−ブチルカルボニルオキシ基、1−メチル−c−プロピルカルボニルオキシ基、2−メチル−c−プロピルカルボニルオキシ基、n−ペンチルカルボニルオキシ基、1−メチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、2−メチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、3−メチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1,1−ジメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、2,2−ジメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1−エチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、c−ペンチルカルボニルオキシ基、1−メチル−c−ブチルカルボニルオキシ基、2−メチル−c−ブチルカルボニルオキシ基、3−メチル−c−ブチルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−c−プロピルカルボニルオキシ基、2,3−ジメチル−c−プロピルカルボニルオキシ基、1−エチル−c−プロピルカルボニルオキシ基、2−エチル−c−プロピルカルボニルオキシ基、n−ヘキシルカルボニルオキシ基、1−メチル−n−ペンチルカルボニルオキシ基、2−メチル−n−ペンチルカルボニルオキシ基、3−メチル−n−ペンチルカルボニルオキシ基、4−メチル−n−ペンチルカルボニルオキシ基、1,1−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1,3−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、2,2−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、2,3−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、3,3−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1−エチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、2−エチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1,1,2−トリメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1,2,2−トリメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1−エチル−1−メチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1−エチル−2−メチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、c−ヘキシルカルボニルオキシ基、1−メチル−c−ペンチルカルボニルオキシ基、2−メチル−c−ペンチルカルボニルオキシ基、3−メチル−c−ペンチルカルボニルオキシ基、1−エチル−c−ブチルカルボニルオキシ基、2−エチル−c−ブチルカルボニルオキシ基、3−エチル−c−ブチルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−c−ブチルカルボニルオキシ基、1,3−ジメチル−c−ブチルカルボニルオキシ基、2,2−ジメチル−c−ブチルカルボニルオキシ基、2,3−ジメチル−c−ブチルカルボニルオキシ基、2,4−ジメチル−c−ブチルカルボニルオキシ基、3,3−ジメチル−c−ブチルカルボニルオキシ基、1−n−プロピル−c−プロピルカルボニルオキシ基、2−n−プロピル−c−プロピルカルボニルオキシ基、1−i−プロピル−c−プロピルカルボニルオキシ基、2−i−プロピル−c−プロピルカルボニルオキシ基、1,2,2−トリメチル−c−プロピルカルボニルオキシ基、1,2,3−トリメチル−c−プロピルカルボニルオキシ基、2,2,3−トリメチル−c−プロピルカルボニルオキシ基、1−エチル−2−メチル−c−プロピルカルボニルオキシ基、2−エチル−1−メチル−c−プロピルカルボニルオキシ基、2−エチル−2−メチル−c−プロピルカルボニルオキシ基、2−エチル−3−メチル−c−プロピルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0041】
前記炭素数3〜11のアルケニルカルボニルオキシ基としては、例えば、エテニルカルボニルオキシ基、1−プロペニルカルボニルオキシ基、2−プロペニルカルボニルオキシ基、1−メチル−1−エテニルカルボニルオキシ基、1−ブテニルカルボニルオキシ基、2−ブテニルカルボニルオキシ基、3−ブテニルカルボニルオキシ基、2−メチル−1−プロペニルカルボニルオキシ基、2−メチル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、1−エチルエテニルカルボニルオキシ基、1−メチル−1−プロペニルカルボニルオキシ基、1−メチル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、1−ペンテニルカルボニルオキシ基、2−ペンテニルカルボニルオキシ基、3−ペンテニルカルボニルオキシ基、4−ペンテニルカルボニルオキシ基、1−n−プロピルエテニルカルボニルオキシ基、1−メチル−1−ブテニルカルボニルオキシ基、1−メチル−2−ブテニルカルボニルオキシ基、1−メチル−3−ブテニルカルボニルオキシ基、2−エチル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、2−メチル−1−ブテニルカルボニルオキシ基、2−メチル−2−ブテニルカルボニルオキシ基、2−メチル−3−ブテニルカルボニルオキシ基、3−メチル−1−ブテニルカルボニルオキシ基、3−メチル−2−ブテニルカルボニルオキシ基、3−メチル−3−ブテニルカルボニルオキシ基、1,1−ジメチル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、1−i−プロピルエテニルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−1−プロペニルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、1−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、2−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、3−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、1−ヘキセニルカルボニルオキシ基、2−ヘキセニルカルボニルオキシ基、3−ヘキセニルカルボニルオキシ基、4−ヘキセニルカルボニルオキシ基、5−ヘキセニルカルボニルオキシ基、1−メチル−1−ペンテニルカルボニルオキシ基、1−メチル−2−ペンテニルカルボニルオキシ基、1−メチル−3−ペンテニルカルボニルオキシ基、1−メチル−4−ペンテニルカルボニルオキシ基、1−n−ブチルエテニルカルボニルオキシ基、2−メチル−1−ペンテニルカルボニルオキシ基、2−メチル−2−ペンテニルカルボニルオキシ基、2−メチル−3−ペンテニルカルボニルオキシ基、2−メチル−4−ペンテニルカルボニルオキシ基、2−n−プロピル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、3−メチル−1−ペンテニルカルボニルオキシ基、3−メチル−2−ペンテニルカルボニルオキシ基、3−メチル−3−ペンテニルカルボニルオキシ基、3−メチル−4−ペンテニルカルボニルオキシ基、3−エチル−3−ブテニルカルボニルオキシ基、4−メチル−1−ペンテニルカルボニルオキシ基、4−メチル−2−ペンテニルカルボニルオキシ基、4−メチル−3−ペンテニルカルボニルオキシ基、4−メチル−4−ペンテニルカルボニルオキシ基、1,1−ジメチル−2−ブテニルカルボニルオキシ基、1,1−ジメチル−3−ブテニルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−1−ブテニルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−2−ブテニルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−3−ブテニルカルボニルオキシ基、1−メチル−2−エチル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、1−s−ブチルエテニルカルボニルオキシ基、1,3−ジメチル−1−ブテニルカルボニルオキシ基、1,3−ジメチル−2−ブテニルカルボニルオキシ基、1,3−ジメチル−3−ブテニルカルボニルオキシ基、1−i−ブチルエテニルカルボニルオキシ基、2,2−ジメチル−3−ブテニルカルボニルオキシ基、2,3−ジメチル−1−ブテニルカルボニルオキシ基、2,3−ジメチル−2−ブテニルカルボニルオキシ基、2,3−ジメチル−3−ブテニルカルボニルオキシ基、2−i−プロピル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、3,3−ジメチル−1−ブテニルカルボニルオキシ基、1−エチル−1−ブテニルカルボニルオキシ基、1−エチル−2−ブテニルカルボニルオキシ基、1−エチル−3−ブテニルカルボニルオキシ基、1−n−プロピル−1−プロペニルカルボニルオキシ基、1−n−プロピル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、2−エチル−1−ブテニルカルボニルオキシ基、2−エチル−2−ブテニルカルボニルオキシ基、2−エチル−3−ブテニルカルボニルオキシ基、1,1,2−トリメチル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、1−t−ブチルエテニルカルボニルオキシ基、1−メチル−1−エチル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、1−エチル−2−メチル−1−プロペニルカルボニルオキシ基、1−エチル−2−メチル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、1−i−プロピル−1−プロペニルカルボニルオキシ基、1−i−プロピル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、1−メチル−2−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、1−メチル−3−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、2−メチル−1−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、2−メチル−2−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、2−メチル−3−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、2−メチル−4−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、2−メチル−5−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、2−メチレン−c−ペンチルカルボニルオキシ基、3−メチル−1−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、3−メチル−2−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、3−メチル−3−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、3−メチル−4−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、3−メチル−5−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、3−メチレン−c−ペンチルカルボニルオキシ基、1−c−ヘキセニルカルボニルオキシ基、2−c−ヘキセニルカルボニルオキシ基、3−c−ヘキセニルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0042】
前記炭素数3〜11のアルキニルカルボニルオキシ基としては、例えば、エチニルカルボニルオキシ基、1−プロピニルカルボニルオキシ基、2−プロピニルカルボニルオキシ基、1−ブチニルカルボニルオキシ基、2−ブチニルカルボニルオキシ基、3−ブチニルカルボニルオキシ基、1−メチル−2−プロピニルカルボニルオキシ基、1−ペンチニルカルボニルオキシ基、2−ペンチニルカルボニルオキシ基、3−ペンチニルカルボニルオキシ基、4−ペンチニルカルボニルオキシ基、1−メチル−2−ブチニルカルボニルオキシ基、1−メチル−3−ブチニルカルボニルオキシ基、2−メチル−3−ブチニルカルボニルオキシ基、3−メチル−1−ブチニルカルボニルオキシ基、1,1−ジメチル−2−プロピニルカルボニルオキシ基、2−エチル−2−プロピニルカルボニルオキシ基、1−ヘキシニルカルボニルオキシ基、2−ヘキシニルカルボニルオキシ基、3−ヘキシニルカルボニルオキシ基、4−ヘキシニルカルボニルオキシ基、5−ヘキシニルカルボニルオキシ基、1−メチル−2−ペンチニルカルボニルオキシ基、1−メチル−3−ペンチニルカルボニルオキシ基、1−メチル−4−ペンチニルカルボニルオキシ基、2−メチル−3−ペンチニルカルボニルオキシ基、2−メチル−4−ペンチニルカルボニルオキシ基、3−メチル−1−ペンチニルカルボニルオキシ基、3−メチル−4−ペンチニルカルボニルオキシ基、4−メチル−1−ペンチニルカルボニルオキシ基、4−メチル−2−ペンチニルカルボニルオキシ基、1,1−ジメチル−2−ブチニルカルボニルオキシ基、1,1−ジメチル−3−ブチニルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−3−ブチニルカルボニルオキシ基、2,2−ジメチル−3−ブチニルカルボニルオキシ基、3,3−ジメチル−1−ブチニルカルボニルオキシ基、1−エチル−2−ブチニルカルボニルオキシ基、1−エチル−3−ブチニルカルボニルオキシ基、1−n−プロピル−2−プロピニルカルボニルオキシ基、2−エチル−3−ブチニルカルボニルオキシ基、1−メチル−1−エチル−2−プロピニル基、1−i−プロピル−2−プロピニルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0043】
前記炭素数6〜11のアリール基、炭素数6〜11のハロゲン化アリール基、炭素数3〜11のヘテロアリール基、炭素数3〜11のハロゲン化ヘテロアリール基としては、例えば、フェニル基、o−クロロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−クロロフェニル基、o−フルオロフェニル基、p−フルオロフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、フリル基、クロロフリル基、フルオロフリル基、チエニル基、クロロチエニル基、フルオロチエニル基、ピロリル基、クロロピロリル基、フルオロピロリル基、イミダゾリル基、クロロイミダゾリル基、フルオロイミダゾリル基等が挙げられる。
【0044】
本発明のイオン伝導性縮環キノンポリマーにおいて、式(1)及び/又は(2)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位中10〜100モル%が好ましく、30〜100モル%がより好ましく、50〜100モル%がより一層好ましい。
【0045】
本発明のイオン伝導性縮環キノンポリマーは、更に下記式(3)で表される繰り返し単位を含んでもよい。
【化7】
【0046】
式中、Yは、ハロゲン原子を表す。前記ハロゲン原子としては、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等が好ましい。
【0047】
式(3)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位中0〜90モル%が好ましく、0〜70モル%がより好ましく、0〜50モル%がより一層好ましい。
【0048】
本発明のイオン伝導性縮環キノンポリマーは、更に下記式(4)で表される繰り返し単位を含んでもよい。
【化8】
【0049】
式中、Zは、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜12のアルコキシ基、メチル基、エチル等の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、炭素数1〜12のアシル基、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、ポリエチレングリコール等のポリアルキレンエーテル基、ポリエチレンイミン等のポリアルキレンアミン基、又はアリール基を表す。
【0050】
式(4)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位中0〜10モル%が好ましく、0〜5モル%がより好ましく、0〜1モル%がより一層好ましい。
【0051】
本発明のイオン伝導性縮環キノンポリマーは、更に下記式(4')で表される繰り返し単位を含んでもよい。
【化9】
【0052】
式中、Z'は、−O−(CH
2)
a−O−、−(CH
2)
a−、−S−(CH
2)
a−S−、−C(=O)−(CH
2)
b−C(=O)−、−NH−(CH
2)
a−NH−、−O−(R−O)
c−、−NH−(R−NH)
c−、又はフェニレン基を表し、Rは、炭素数1〜12のアルキレン基を表し、aは、1〜12の整数を表し、bは、1〜10の整数を表し、cは、2〜4の整数を表す。
【0053】
式(4')で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位中0〜80モル%が好ましく、0〜50モル%がより好ましい。
【0054】
本発明のイオン伝導性縮環キノンポリマーの重量平均分子量(Mw)は、電解液への溶出を抑制する観点から、1,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましく、100,000以上がより一層好ましい。また、Mwは、後述する電極スラリー用溶媒への溶解性の観点から、5,000,000以下が好ましく、3,000,000以下がより好ましく、2,000,000以下がより一層好ましい。なお、本発明において、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算測定値である。
【0055】
次に、本発明のイオン伝導性縮環キノンポリマーの合成方法の例について説明する。
まず、下記スキームAに示されるように、溶媒中、有機アルミニウム錯体や三フッ化ホウ素エーテル錯体等の重合触媒を用いてエピハロヒドリンを開環重合させて、主鎖となる式(3)で表される繰り返し単位からなるイオン伝導性ポリマーを合成する。
【化10】
(式中、Yは、前記と同じ。)
【0056】
前記開環重合の条件としては、従来公知の方法でよい。また、合成の際に副生する位置異性体が混入してもよい。また、式(3)で表される繰り返し単位からなるポリマーとしては、市販品を使用してもよい。
【0057】
式(1)で表される繰り返し単位及び式(3)で表される繰り返し単位を含むイオン伝導性縮環キノンポリマーは、例えば、下記スキームBに示されるように、溶媒中、式(3)で表される繰り返し単位からなるイオン伝導性ポリマーと式(5)で表される縮環キノン誘導体とを反応させることによって合成することができる。
【化11】
【0058】
式中、X、Y、Ar
1及びAr
2は、前記と同じ。X'は、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボン酸基を表す。m及びnは、繰り返し単位の含有比(モル比)を表し、0.01≦m≦1.0、0≦n≦0.99、0.01≦m+n≦1.0を満たす正数である。
【0059】
また、式(2)で表される繰り返し単位及び式(3)で表される繰り返し単位を含むイオン伝導性縮環キノンポリマーは、例えば、下記スキームCに示されるように、溶媒中、式(3)で表される繰り返し単位からなるイオン伝導性ポリマーと式(6)で表される縮環キノン誘導体とを反応させることによって合成することができる。
【化12】
(式中、X、X'、Y、Ar
1、Ar
2、m及びnは、前記と同じ。)
【0060】
エピハロヒドリンや縮環キノン誘導体は、市販品として入手するか、従来公知の反応を組み合わせて製造することができる。
【0061】
式(5)又は(6)で表される縮環キノン誘導体は、1種単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0062】
式(3)で表される繰り返し単位に対して、同等乃至は過剰の物質量の縮環キノン誘導体を反応させることによって、式(1)又は(2)で表される繰り返し単位のみを含むポリマーを合成することもできる。また、式(3)で表される繰り返し単位に対して、より少ない物質量の縮環キノン誘導体を反応させることにより、未置換のハロゲン化アルキル置換エチレンオキシド部を残すことができる。
【0063】
式(1)又は(2)で表される繰り返し単位のみを含むポリマーを合成する場合は、式(5)又は(6)で表される化合物の使用量は、式(3)で表される繰り返し単位1モルに対して1〜10モルが好ましく、1〜5モルがより好ましく、1〜2モルがより一層好ましい。式(1)又は(2)で表される繰り返し単位に加えて式(3)で表される繰り返し単位も含むポリマーを合成する場合は、式(5)又は(6)で表される化合物の使用量は、式(3)で表される繰り返し単位1モルに対して0.01〜1モルが好ましく、0.1〜0.9モルがより好ましく、0.5〜0.8モルがより一層好ましい。
【0064】
スキームB及びCに示される反応において使用される溶媒は、反応に悪影響を与えず、合成に用いる試薬及び生成物に対する充分な溶解性を有するものであれば特に限定されず、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、水等を使用することができる。
【0065】
スキームB又はCに示される反応において、反応温度は、通常、20〜100℃程度であるが、50〜80℃が好ましい。反応時間は、通常、1〜300時間程度であるが、100〜280時間が好ましい。
【0066】
式(3)で表される繰り返し単位からなるポリマーを合成した後、更に式(5)及び式(6)で表される縮環キノン誘導体を同時に反応させることで、式(1)及び(2)で表される繰り返し単位の両方を含むポリマーを合成することもできる。すなわち、下記式で表されるポリマーを合成することができる。
【化13】
【0067】
式中、X、Y、Ar
1及びAr
2は、前記と同じ。m1、m2及びn1は、繰り返し単位の含有比(モル比)を表し、0<m1<1.0、0<m2<1.0、0≦n1≦0.99、0.01≦m1+m2≦1.0及び0.01≦m1+m2+n1≦1.0を満たす正数である。
【0068】
こののときに用いる溶媒、反応温度、反応時間等の反応条件としては、スキームB又はCに示される反応において述べたものと同様のものでよい。
【0069】
更に、式(4)で表される繰り返し単位を含む場合は、スキームB又はCに示される反応で得られたポリマーに、各種アルコール、アミン、アルキル化剤、ヘキサメチレンジアミン、テトラエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール等の化合物を反応させればよい。このとき、反応させる前記化合物の使用量は、式(3)で表される繰り返し単位1モルに対して0.001〜0.01モルが好ましく、0.001〜0.05モルがより好ましく、0.001〜0.1モルがより一層好ましい。
【0070】
式(1)又は(2)で表されるイオン伝導性縮環キノンポリマーの合成方法のその他の例として、下記スキームD又はEに示されるように、エポキシ基を含む縮環キノン化合物(7)又は(8)を有機アルミニウム錯体や三フッ化ホウ素エーテル錯体等の重合触媒を用いて開環重合させる方法が挙げられる。
【化14】
(式中、Ar
1、Ar
2及びXは、前記と同じ。)
【0071】
このときに用いる溶媒としては、スキームB及びCに示される反応において使用される溶媒として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0072】
縮環キノン化合物(7)及び(8)を混合して開環重合を行えば、式(1)で表される繰り返し単位及び式(2)で表される繰り返し単位を含むポリマーを合成することができる。
【0073】
また、縮環キノン化合物(7)又は(8)と、エピハロヒドリンと、式(9)及び/又は(9')で表される化合物とを重合触媒を用いて開環重合させることで、式(1)又は(2)で表される繰り返し単位に加えて、式(3)、式(4)及び/又は式(4')で表される繰り返し単位を含むポリマーを合成することができる、
【化15】
(式中、Z及びZ'は、前記と同じ。)
【0074】
例えば、下記スキームFに示されるように、縮環キノン化合物(7)と式(9')で表される化合物とを開環重合させることで、式(1)で表される繰り返し単位及び式(4')で表される繰り返し単位を含むポリマーを合成することができる。
【化16】
(式中、Ar
1、Ar
2、X及びZ'は、前記と同じ。)
【0075】
エピハロヒドリンや式(9')で表される繰り返し単位を与えるグリシジル基含有化合物の使用量は、縮環キノン化合物(7)又は(8)1モルに対して0〜80モル%が好ましく、0〜50モル%がより好ましく、0〜20モル%がより一層好ましい。また、式(9)又は(9')で表される化合物の使用量は、縮環キノン化合物(7)又は(8)1モルに対して0〜80モル%が好ましく、0〜50モル%がより好ましく、0〜20モル%がより一層好ましい。
【0076】
なお、縮環キノン化合物(7)及び(8)は、従来公知の反応を組み合わせて製造することができる。式(9)又は(9')で表される化合物は、市販品として入手するか、従来公知の反応を組み合わせて製造することができる。
【0077】
[電荷貯蔵材料]
本発明のイオン伝導性縮環キノンポリマーは、電荷貯蔵材料として好適に使用できる。電荷貯蔵材料とは電荷を貯蔵することができる材料のことであり、これは、例えば、二次電池の電極活物質として有用である。
【0078】
[二次電池]
本発明の二次電池は、前述したイオン伝導性縮環キノンポリマーからなる電荷貯蔵材料を電極活物質として用いることに特徴があり、その他の電池素子の構成部材は従来公知のものから適宜選択して用いればよい。
【0079】
一例として、一般的な二次電池について説明する。
二次電池は、一般的に、正極層と、負極層と、正極層と負極層の間に配されるセパレータ層と、これら全てを含む電池素子内部に充填される電解液とから構成される。正極層及び負極層は、集電体である基板上に、電極活物質と、必要に応じて電極層の導電性向上のために炭素等からなる導電助剤と、更に必要に応じて成膜均一性向上、イオン伝導性向上、電解液への溶出抑制等のためにバインダーとを含む薄膜を形成することで構成される。電解液は、イオン伝導の本体である塩からなる電解質と溶媒等とから構成される。
【0080】
この正極層又は負極層の電極活物質として、本発明のイオン伝導性縮環キノンポリマーが用いられる。前記電極活物質を正極層、負極層のいずれの電極層に使用するかは特に限定されず、相対する電極の電位の貴、卑によって決定される。また、両極ともに前記電極活物質を使用してもよい。
【0081】
二次電池の形態、電極活物質や電解液の種類は特に限定されず、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、マンガン電池、空気電池等のいずれの形態を用いてもよい。ラミネート方法や生産方法についても特に限定されない。
【0082】
前記電極層は、本発明のイオン伝導性縮環キノンポリマー、溶媒、必要に応じて導電助剤、バインダー、従来公知の他の電極活物質等を混合して電極スラリーを調製し、これを用いて基板上に薄膜を形成することで作製することができる。前記薄膜の形成方法としては、特に限定されず、従来公知の各種方法を用いることができる。例えば、イオン伝導性縮環キノンポリマーを含む材料を溶媒に溶解又は懸濁した溶液、懸濁液あるいはスラリーを用いたオフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の各種印刷法、ディップコート法、スピンコート法、バーコート法、スリット(ダイ)コート法、インクジェット法等が挙げられる。
【0083】
前記電極層の下地に用いられる集電体としては、例えば、アルミニウム、銅、リチウム、ステンレス鋼、鉄、クロム、白金、金等の金属箔あるいは基板、これらの金属の任意の組み合わせからなる合金箔あるいは基板、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)等の酸化物基板、又はグラッシーカーボン、パイロリティックグラファイト、カーボンフェルト等の炭素基板、カーボン材料を前記金属箔にコートしたカーボンコート箔等が挙げられる。
【0084】
前記導電助剤としては、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラフェン等の炭素材料、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子等が挙げられる。前記導電助剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0085】
前記バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸塩、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、SBR樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、又はこれらの任意の組み合わせからなる共重合体やブレンドポリマー等が挙げられる。
【0086】
前記電極スラリー用溶媒としては、NMP、ジメチルスルホキシド、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、THF、ジオキソラン、スルホラン、DMF、DMAc、水、2−プロパノール、プロピレングリコール等が挙げられる。
【0087】
本発明のイオン伝導性縮環キノンポリマーを含む電極活物質を正極層に使用する場合、負極層内に含まれる負極活物質としては、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラフェン等の炭素材料、Li、Li-Al、Li-Si、Li-Sn等のリチウム合金、Si、SiO、SiO
2、Si-SiO
2複合体、Sn、SnO、SnO
2、PbO、PbO
2、GeO、GeO
2、WO
2、MoO
2、Fe
2O
3、Nb
2O
5、TiO
2、Li
4Ti
5O
12、Li
2Ti
3O
7等が挙げられる。また本発明のイオン伝導性縮環キノンポリマーを含む電極活物質を負極層に使用する場合、これらの負極活物質と共存させて使用してもよい。
【0088】
本発明のイオン伝導性縮環キノンポリマーを含む電極活物質を負極層に使用する場合、正極層内に含まれる正極活物質としては、ニトロキシラジカル基を含有する化合物、有機硫黄ポリマー、本発明のイオン伝導性縮環キノンポリマー以外のキノンポリマー、キノイド系材料、ジオン系材料、ルベアン酸系材料等の有機電極活物質、LiCoO
2、LiMn
2O
4、LiNiO
2、LiNi
0.5Mn
0.5O
2、LiFePO
4、LiMnPO
4、LiCoPO
4、Fe
2(SO
4)
3、LiMnSiO
4、V
2O
5等の無機電極活物質等が挙げられる。また本発明のイオン伝導性縮環キノンポリマーを含む電極活物質を正極層に使用する場合、これらの正極活物質と共存させて使用してもよい。
【0089】
本発明のイオン伝導性縮環キノンポリマーを含む電極活物質を空気極(正極)とし、空気電池として用いてもよい。この場合、負極層内に含まれる負極活物質としては、前記の負極活物質に加え、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、亜鉛等を用いることができる。
【0090】
なお、正極を空気極とし、空気電池として用いる場合、正極層内に含まれる酸化還元補助材として、本発明のイオン伝導性縮環キノンポリマーに加え、酸化マンガン等の無機材料、TEMPOポリマー等のニトロキシラジカル材料を併用してもよい。
【0091】
前記電極層の膜厚は、特に限定されないが、好ましくは0.01〜1,000μm程度、より好ましくは0.1〜100μm程度である。
【0092】
前記セパレータ層に使用される材料としては、例えば、多孔質ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル等が挙げられる。
【0093】
前記電解液を構成する電解質としては、例えば、LiPF
6、LiBF
4、LiN(C
2F
5SO
2)
2、LiAsF
6、LiSbF
6、LiAlF
4、LiGaF
4、LiInF
4、LiClO
4、LiN(CF
3SO
2)
2、LiCF
3SO
3、LiSiF
6、LiN(CF
3SO
2)(C
4F
9SO
2)等のリチウム塩、LiI、NaI、KI、CsI、CaI
2等の金属ヨウ化物、4級イミダゾリウム化合物のヨウ化物塩、テトラアルキルアンモニウム化合物のヨウ化物塩及び過塩素酸塩、LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr
2等の金属臭化物等が挙げられる。
【0094】
また、ポリエチレンオキサイド系材料、Li
2S-P
2S
5等のチオリシコン系材料や、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、フッ化ビニリデン等のモノマーを重合又は共重合して得られる高分子化合物等の固体電解質を用いてもよい。
【0095】
前記電解液を構成する溶媒は、電池を構成する物質に対して腐食や分解を生じさせて性能を劣化させるもので無く、前記電解質を溶解するものであれば特に限定されない。例えば、水系の溶媒として水、非水系の溶媒として、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等のカーボネート類;THF、ジメトキシエタン、テトラグライム等のエーテル類;γ―ブチロラクトン等のエステル類;アセトニトリル等のニトリル系;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;エチルイソプロピルスルホン、スルホラン等のスルホン類;2−プロパノール、プロピレングリコール等のアルコール類;ヘキサフルオロリン酸1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム等のイオン液体類等が用いられる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。
【実施例】
【0096】
以下、合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。なお、使用した装置及び測定条件は以下のとおりである。
【0097】
(1)
1H-NMR
日本電子(株)製、核磁気共鳴装置ECX-500(溶媒CDCl
3、内標TMS)
(2)元素分析
Perkin Elmer社製、元素分析装置PE2400 II
(3)CV測定
ビー・エー・エス(株)製 ALSCHI760EW
(4)電池の特性評価
ビー・エー・エス(株)製 ALSCHI760EW
【0098】
[1]イオン伝導性縮環キノンポリマーの合成
[実施例1]イオン伝導性縮環キノンポリマーAの合成
下記スキームに従って、イオン伝導性縮環キノンポリマーAを合成した。
【化17】
【0099】
200mLナスフラスコに、ポリエピクロロヒドリン(シグマアルドリッチ社製、重量平均分子量70万、ベンゼン−メタノール溶媒を用いて沈殿精製し、真空乾燥したものを使用)1g(10.8mmol)、2−ヒドロキシアントラキノン2.66g(12mmol)、及びN−メチルピロリドン54mLを加え、窒素雰囲気下80℃で加熱撹拌した。溶解を確認後、ジアザビシクロウンデセン1.8g(12mmol)を添加し、80℃で一週間反応させた。反応終了後、メタノールへの沈殿精製を経て紫色固体のイオン伝導性縮環キノンポリマーAを得た。NMR測定より主鎖由来のピークと芳香環由来のピークの積分比を比較したところ、アントラキノン部位の導入率は約60モル%であると算出された。
1H−NMRによる測定結果を以下に示す。
1H-NMR(CDCl
3, 500MHz, ppm): 8.11-6.91(br, 3.9H, Ph), 4.32-3.41(br, 5H, aliphatic)
【0100】
[実施例2]イオン伝導性縮環キノンポリマーBの合成
下記スキームに従って、イオン伝導性縮環キノンポリマーBを合成した。
【化18】
【0101】
200mLナスフラスコに、2−クロロアントラキノン2.5g(10.3mmol)、ビニルトリブチルスズ4.9g(15.5mmol)及びPd(PPh
3)
4 357mg(0.31mmol)をトルエン51.5mLに溶解した。得られた溶液を100℃で14時間反応させた後、分液抽出、カラムクロマトグラフィーによって精製して、2−ビニルアントラキノン1.8gを得た。
得られた2−ビニルアントラキノン500mg(2.13mmol)、メタクロロ安息香酸551mg(3.20mmol)、1,2−ジブロモエタン20mL及びトリデカフルオロヘキサン20mLをジクロロメタン20mLに溶解した。得られた溶液を室温で48時間反応させた後、分液抽出、カラムクロマトグラフィーによって精製して、2−エポキシアントラキノン331mgを得た。
得られた2−エポキシアントラキノン250mg(1.0mmol)、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル20.2mg(0.10mmol)(シグマアルドリッチ社製)及びトリ(ペンタフルオロフェニル)ボラン5.12mg(0.01mmol)をジクロロメタン10mLに溶解させ、窒素雰囲気下−11℃で24時間反応させた。反応終了後、メタノールによるソックスレー精製を経て、イオン伝導性縮環キノンポリマーBを得た(60mg)。電気化学測定を行い、得られた充放電容量より、アントラキノン含有単位は51モル%であると算出された。
【0102】
[2]イオン伝導性縮環キノンポリマーを含む電極及び電池の評価
[実施例3、4]イオン伝導性縮環キノンポリマーAを用いた薄膜電極のCV測定
図1に示されるビーカーセルを用いて、CV測定を行った。
実施例1で合成したイオン伝導性縮環キノンポリマーA10mgに、炭素粉末80mg及びNMP1gに溶解させたポリフッ化ビニリデンバインダー10mgを加え、ボールミルを用いて混練した。15分程混合して得られた混合体をGC基板上に塗布し、これを室温(20)℃で12時間加熱真空乾燥して薄膜電極11を得た。
次に得られた電極を電解液に浸して、電極中の空隙に電解液を染み込ませた。電解液としては、0.1mol/Lの過塩素酸リチウム(実施例3)又は過塩素酸テトラブチルアンモウム(実施例4)のアセトニトリル溶液を用いた。
上記薄膜電極11を作用極に、白金電極12を対極に、Ag/AgCl電極13を参照極に用い、これらをビーカー内に設置し、この中に前記と同様の電解液14を加えて、
図1に示すようなビーカーセル1を作製した。
このビーカーセル1を用いて、スキャンレート10mV/secでCV測定を行った。結果を
図2に示す。なお、
図2中、実線は実施例3を、点線は実施例4を表す。
図2に示すように、イオン伝導性縮環キノンポリマーAを用いて作製した薄膜電極は、支持塩が過塩素酸テトラブチルアンモウムではE
1/2=−0.71、−0.97Vに二段階の酸化還元波が、過塩素酸リチウムではE
1/2=−0.53、−0.84Vに酸化還元波が現れ、繰り返し掃引の後も安定であった。
【0103】
[実施例5]イオン伝導性縮環キノンポリマーAを電極に用いた電池の特性評価
実施例1で合成したイオン伝導性縮環キノンポリマーAを用い、実施例3の方法によってビーカーセル型の半電池を作製した。
作製した半電池を833μAの定電流で電圧が−1.45Vになるまで充電し、その後、833μAで放電を行った。その結果、電圧が−0.55V付近で44秒間ほぼ一定となった後、急速に低下し、放電容量は100mAh/gとなった。クーロン効率は約90%であった。これにより、イオン伝導性縮環キノンポリマーAが効果的な電荷貯蔵材料として動作していることを確認した。電圧が0.15Vまで上昇したところで再び充電を行い、更に0.15〜−1.45Vの範囲で充放電を50回繰り返した。充放電量を変化させた場合の基準電極との電位差の測定結果を
図3に示す。また、充放電した時のサイクル特性を
図4に示す。充放電を50回繰り返した後も充放電容量は70%以上を維持した。
【0104】
[実施例6]イオン伝導性縮環キノンポリマーAを用いた薄膜電極のCV測定
図1で示されるビーカーセルを用いて、CV測定を行った。
実施例1で合成したイオン伝導性縮環キノンポリマーA10mgに、炭素粉末80mg及びNMPに溶解させたPVdFバインダー10mgを加え、ボールミルを用いて混練した。50Hzで15分混練して得られた混合体をグラッシーカーボン基板上に塗布し、これを60℃で18時間加熱真空乾燥して薄膜電極を得た。
上記薄膜電極を作用極11に、白金電極を対極12に、Ag/AgCl電極を参照極13に用い、これらをビーカー内に設置し、この中に10mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の電解液14を加えて
図1に示すようなビーカーセル1を作製した。
このビーカーセル1を用いて、スキャンレート10mV/secでCV測定を行った。結果を
図5に示す。
図5に示すように、イオン伝導性縮環キノンポリマーAを用いて作製した薄膜電極は、E
1/2=−0.81Vに一段階の酸化還元波が現れ、繰り返し掃引後も安定であった。
【0105】
[実施例7]イオン伝導性縮環キノンポリマーAを電極に用いた電池の特性評価
実施例1で合成したイオン伝導性縮環キノンポリマーAを用い、実施例5に記載の方法によってビーカーセル型の半電池を作製した。
作製した半電池を433μAの定電流で電圧が−1.1Vになるまで充電し、その後、433μAで放電を行った。その結果、電圧が−0.82V付近で50秒間ほぼ一定となった後、急速に上昇し、放電容量は102mAh/gとなった。クーロン効率はほぼ100%であった。これにより、イオン伝導性縮環キノンポリマーAが電荷貯蔵材料として動作していることを確認した。電圧が−0.5Vまで上昇したところで再び充電を行い、更に0.5〜−1.1Vの範囲で充放電を50回繰り返した。充放電容量を変化させた場合の基準電極との電位差の測定結果を
図6に示す。また、充放電した時のサイクル特性を
図7に示す。50回充放電を繰り返した後も、充放電容量は95%以上を維持した。
【0106】
[実施例8]イオン伝導性縮環キノンポリマーAを電極に用いた空気二次電池の特性評価
実施例1で合成したイオン伝導性縮環キノンポリマーA/炭素複合電極を負極、酸素還元触媒電極(Electric Fuel社製、MnO
x/Carbon)を正極とし、電解液は10mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を選択し空気二次電池を作製した。
スキャンレート10mV/secでCV測定を行った。E
1/2=−0.77V(vs. O
2/4OH
-)に一段階の酸化還元波が現れ、繰り返し掃引後も安定であった。CV測定の結果を
図8に示す。充放電容量を変化させた場合の基準電極との電位差の測定結果を
図9に示す。
【0107】
[実施例9〜12]
炭素及びバインダー比率を変更させて実施例7と同様にキノンポリマーAの炭素複合電極を作製し、空気二次電池を作製した。理論容量(120mAh/g)との相対容量値(放電容量)とクーロン効率を表1に示す。電極中におけるキノンポリマーAの比率を50%とし、バインダーを用いずとも理論容量通りの放電容量を示し、ほぼ100%のクーロン効率を示した。キノンポリマーAの比率を67%とした場合も、相対容量値は70%と高い値を示した。
【0108】
【表1】
【0109】
[実施例13]イオン伝導性縮環キノンポリマーBを電極に用いた空気二次電池の特性評価
実施例2で合成したイオン伝導性縮環キノンポリマーB2mg及び多層カーボンナノチューブ(シグマアルドリッチ社製)0.22mgをNMP800μLに加え、超音波処理によって分散させた。得られた分散液をグラッシーカーボン基板上にドロップキャストし、120℃で加熱真空乾燥させ、複合電極を作製した。
得られた複合電極を負極、酸素還元触媒電極(Electric Fuel社製、MnOx/Carbon)を正極、電解液は10mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を選択し、空気二次電池を作製した。
スキャンレート10mV/secでCV測定を行った。CV測定の結果を
図10に示す。充放電容量を変化させた場合の基準電極との電位差の測定結果を
図11に示す。また、充放電した時のサイクル特性を
図12に示す。バインダーを使用せず、電極中のキノンポリマーB比率は90%と高比率であったにもかかわらず、
図11から、放電容量は119mAh/gと高容量を示した。クーロン効率は100%であった。
図12から、100回充放電を繰り返した後も、充放電容量は80%以上を維持した。
非特許文献6において、ポリエチレンを主鎖とする縮環キノン系材料について、電極内の当該材料比率を40%とすることで、10%のときと比較して容量が大きく低下する事、また充放電サイクルに伴って容量が大きく低下する事が示されているが、本発明のイオン伝導性縮環キノンポリマーにおいては、そのような課題を克服して高い二次電池特性を示すことがわかった。