特許第6857885号(P6857885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6857885指定装置、指定装置の制御プログラムおよび制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857885
(24)【登録日】2021年3月25日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】指定装置、指定装置の制御プログラムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20210405BHJP
【FI】
   G06T19/00 A
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-144915(P2017-144915)
(22)【出願日】2017年7月26日
(65)【公開番号】特開2019-28574(P2019-28574A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 正宏
(72)【発明者】
【氏名】中川 真智子
(72)【発明者】
【氏名】久田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 清了
(72)【発明者】
【氏名】鷲尾 巧
(72)【発明者】
【氏名】岡田 純一
【審査官】 片岡 利延
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−223429(JP,A)
【文献】 特開平11−128191(JP,A)
【文献】 特開2009−160045(JP,A)
【文献】 特開2013−254445(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/162365(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0274582(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0023130(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
臓器の3次元モデルを記憶する記憶部と、
前記臓器の3次元モデルの複数の平面の指定を取得する第1の取得部と、
前記複数の平面のいずれかまたはいずれもについて前記臓器の梗塞部位を示す特定個数の点情報の指定を取得する第2の取得部と、
前記点情報に基づき、前記複数の平面で挟まれた前記臓器の梗塞部位を判定する判定部と、
前記判定部によって判定された前記臓器の梗塞部位の判定を前記3次元モデルで再現した画像を出力する出力部と、
を有することを特徴とする指定装置。
【請求項2】
前記第1の取得部は、前記臓器の3次元モデルの複数の断面位置の指定を取得し、
前記第2の取得部は、前記複数の断面のうち1つの断面について、予めまたは指定により断面に規定された点情報の中の特定個数の点情報の指定を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の指定装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記1つの断面について指定された点情報と当該点情報に対応する他の断面の点情報に基づき、前記1つの断面と前記他の断面とで挟まれた前記臓器の梗塞部位を判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の指定装置。
【請求項4】
前記第1の取得部は、前記臓器の3次元モデルの内膜の写像平面および外膜の写像平面の指定を取得する、
前記第2の取得部は、2つの前記写像平面のそれぞれについて前記臓器の梗塞部位を示す特定個数の点情報の指定を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の指定装置。
【請求項5】
前記第2の取得部は、それぞれの写像平面について前記臓器の梗塞部位と推定される範囲を示す特定個数の点情報の指定を取得する
ことを特徴とする請求項4に記載の指定装置。
【請求項6】
前記判定部は、2つの前記写像平面についてそれぞれ指定された点情報に基づき、前記2つの写像平面で挟まれた前記臓器の梗塞部位を判定する
ことを特徴とする請求項4に記載の指定装置。
【請求項7】
前記臓器は、心臓であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の指定装置。
【請求項8】
指定装置に、
臓器の3次元モデルを記憶し、
前記臓器の3次元モデルの複数の平面の指定を取得し、
前記複数の平面のいずれかまたはいずれもについて前記臓器の梗塞部位を示す特定個数の点情報の指定を取得し、
前記点情報に基づき、前記複数の平面で挟まれた前記臓器の梗塞部位を判定し、
前記臓器の梗塞部位の判定を前記3次元モデルで再現した画像を出力する
処理を実行させることを特徴とする指定装置の制御プログラム。
【請求項9】
指定装置が、
臓器の3次元モデルを記憶し、
前記臓器の3次元モデルの複数の平面の指定を取得し、
前記複数の平面のいずれかまたはいずれもについて前記臓器の梗塞部位を示す特定個数の点情報の指定を取得し、
前記点情報に基づき、前記複数の平面で挟まれた前記臓器の梗塞部位を判定し、
前記臓器の梗塞部位の判定を前記3次元モデルで再現した画像を出力する
各処理を実行することを特徴とする指定装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指定装置、指定装置の制御プログラムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓における興奮伝播のシミュレーションは、心臓の機能を再現する数値解析の1つである。興奮伝播のシミュレーションでは、心筋上の電気現象(興奮伝播)の時刻変化がコンピュータで再現される。かかる興奮伝播のシミュレーションによって、患者の心筋の挙動や虚血の状態が再現される。
【0003】
心臓の興奮伝播を再現するために、医師による心筋の梗塞部位の指定が必要である。例えば、医師は、ドローイングツールを用いて心筋の梗塞部位の指定を行う。ドローイングツールの一例として、Adobe Photoshop(登録商標)が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−223429号公報
【特許文献2】国際公開第2010/021309号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の心筋の梗塞部位の指定技術では、医師が心筋の梗塞部位を効率的に指定することができないという問題がある。すなわち、医師がドローイングツールを用いて心筋の梗塞部位を指定する場合には、マウス等のポインティングデバイスを用いて描くこととなるので、効率的に指定することが難しい。
【0006】
本発明は、1つの側面では、心筋の梗塞部位を効率的に指定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、指定装置は、臓器の3次元モデルを記憶する記憶部と、前記臓器の3次元モデルの複数の平面の指定を取得する第1の取得部と、前記複数の平面のいずれかまたはいずれもについて前記臓器の梗塞部位を示す特定個数の点情報の指定を取得する第2の取得部と、前記点情報に基づき、前記複数の平面で挟まれた前記臓器の梗塞部位を判定する判定部と、前記判定部によって判定された前記臓器の梗塞部位の判定を前記3次元モデルで再現した画像を出力する出力部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
1実施態様によれば、心筋の梗塞部位を効率的に指定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例1に係る指定装置の機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、断面位置の指定を説明する図である。
図3図3は、梗塞部位指定処理を説明する図である。
図4図4は、断面間の指定演算の一例を説明する図である。
図5図5は、非構造格子データ記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
図6図6は、梗塞部位要素リストのデータ構造の一例を示す図である。
図7図7は、実施例1に係る指定装置のフローチャートを示す図である。
図8図8は、断面間の指定演算処理のフローチャートを示す図である。
図9図9は、実施例1に係る心臓の梗塞部位の表示例を示す図である。
図10図10は、実施例2に係る指定装置の機能構成を示すブロック図である。
図11図11は、写像展開を説明する図である。
図12図12は、梗塞部位指定処理を説明する図である。
図13図13は、実施例2に係る指定装置の処理のフローチャートを示す図である。
図14図14は、実施例2に係る心臓の梗塞部位の表示例を示す図である。
図15図15は、実施例3に係る心臓シミュレーション処理を説明する図である。
図16図16は、実施例3に係る指定装置の処理のフローチャートを示す図である。
図17図17は、内外判定処理のフローチャートを示す図である。
図18図18は、梗塞部位指定処理の用途を示す図である。
図19図19は、指定装置の制御プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する指定装置、指定装置の制御プログラムおよび制御方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、実施例により限定されるものではない。
【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1に係る指定装置の構成を示す機能ブロック図である。図1に示す指定装置100は、臓器の一種である心臓のシミュレーションを前提とした場合に、心筋の梗塞部位の指定を効率的に取得するものである。
【0012】
指定装置100は、制御部110と、記憶部120とを有する。
【0013】
記憶部120は、例えば、RAM、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置である。記憶部120は、非構造格子データ記憶部121と、梗塞部位要素リスト122とを有する。
【0014】
非構造格子データ記憶部121は、心臓の3次元モデルとして心臓の形状を3次元で表す非構造格子データを記憶する。非構造格子データでは、例えば複数の4面体の要素によって心臓の形状が表される。この場合、心臓が存在する空間に、多数の節点が設けられる。そして、4つの節点を頂点とする多数の4面体が定義される。1つの4面体が、例えば心臓の心筋細胞を表す要素である。なお、以降、1つの4面体を要素という場合がある。また、非構造格子データ記憶部121のデータ構造の一例は、後述する。
【0015】
梗塞部位要素リスト122は、梗塞部位と判定される要素をリスト形式で表した情報である。梗塞部位は、後述する梗塞部位指定処理部112を用いて指定される。梗塞部位要素リスト122は、心臓シミュレーション部113によって、梗塞部位と判定される要素を集めた集合である。なお、梗塞部位要素リスト122のデータ構造の一例は、後述する。
【0016】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置に対応する。そして、制御部110は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。制御部110は、前処理部111と、梗塞部位指定処理部112と、心臓シミュレーション部113と、表示部114とを有する。
【0017】
前処理部111は、心臓の3次元モデルに基づいて、梗塞部位指定の前処理を行う。
【0018】
例えば、前処理部111は、心臓の3次元モデルを用いて、心臓の心室の断面位置の指定を取得する。前処理部111は、少なくとも2つの断面位置の指定を取得する。断面位置の指定は、例えば断面を包含する平面を定義する情報である。かかる指定は、例えば、心臓シミュレーションを実施するユーザによって行われる。
【0019】
また、前処理部111は、心臓の3次元モデルを用いて、心房と心室心筋の境界を示す線分の指定を取得する。すなわち、前処理部111は、右心房側を除外するために、2つの、心房と心室心筋の境界を示す4点(測定点)の指定を取得する。また、前処理部111は、心臓の3次元モデルを用いて、心軸位置と当該心軸位置を中心とする半径情報を示す線分の指定を取得する。すなわち、前処理部111は、心軸位置と当該心軸位置を中心とする半径情報を示す2点(測定点)の指定を取得する。かかる指定は、例えば、心臓シミュレーションを実施するユーザによって行われる。
【0020】
梗塞部位指定処理部112は、心臓の3次元モデルに基づいて、梗塞部位指定処理を行う。例えば、梗塞部位指定処理部112は、心臓の3次元モデルを用いて、前処理部111によって指定された複数の断面ごとに、予めまたは指定により断面に規定された点情報の中の特定個数の点情報の指定を取得する。複数の断面ごとに指定された点情報で構成される閉領域が、各断面上の心臓の梗塞部位の領域である。特定個数とは、例えば、4個が挙げられる。かかる指定は、例えば、心臓シミュレーションを実施するユーザによって行われる。なお、特定個数は、例えば、4個であると説明したが、3個以上であれば良い。
【0021】
ここで、断面位置の指定および梗塞部位の指定を図2および図3を参照して説明する。図2は、断面位置の指定を説明する図である。なお、図2の例では、心臓の3次元モデル10が表されている。この3次元モデル10は、4面体の要素の集合体である。
【0022】
図2に示すように、前処理部111は、心臓の心室の断面位置の指定を取得する。ここでは、符号P1で示される弁輪付近の位置の断面位置の指定が取得される。符号P2で示される心先部付近の位置の断面位置の指定が取得される。なお、符号P1で示される断面と符号P2で示される断面との間の断面である符号P3や符号P4で示される位置の断面位置の指定がさらに取得されても良い。
【0023】
図3は、梗塞部位指定処理を説明する図である。なお、図3の例では、心臓の1つの断面の3次元モデルが表わされている。この3次元モデルは、4面体の要素の集合体である。
【0024】
図3左図に示すように、前処理部111は、心房と心室心筋の境界を示す線分の指定を取得する。ここでは、1つの、心房と心室心筋の境界を示す2点の指定P10、P11が取得される。もう1つの、心房と心室心筋の境界を示す2点の指定P12、P13が取得される。これにより、前処理部111は、例えば、左心房側の梗塞部位を指定する場合に、右心房側を除外することができる。
【0025】
また、前処理部111は、心軸位置と当該心軸位置を中心とする半径情報を示す線分の指定を取得する。ここでは、心軸位置と当該心軸位置を中心とする半径情報を示す2点の指定P14、P15が取得される。これにより、前処理部111は、断面上の内分点を配置(規定)する際に用いられる起点となる位置を取得することができる。
【0026】
図3中図に示すように、前処理部111は、心筋の360度の周方向にn分割、心筋の厚み方向にm分割で内分点を配置する。かかる内分点は、予め規定されていても良い。また、かかる内分点は、前処理部111が、nの値とmの値の指定を取得したうえで、360度の周方向にn分割、厚み方向にm分割で内分点を配置しても良い。ここでは、nは、36であり、mは、4であるとする。
【0027】
図3右図に示すように、梗塞部位指定処理部112は、心臓の梗塞部位を示す特定個数の点情報の指定を取得する。ここでは、特定個数は4であるとすると、4点の指定P20、P21、P23、P24が取得される。指定された4点で構成される閉領域がこの断面の心臓の梗塞部位である。
【0028】
図3では、これにより、心臓シミュレーションを実施するユーザは、心臓の梗塞部位を指定するとき、1断面につき10点を指定することで、心臓の梗塞部位を効率的に指定することができる。
【0029】
図1に戻って、心臓シミュレーション部113は、心臓の3次元モデルに基づいて、断面間の梗塞部位の領域の判定をシミュレーションする。すなわち、心臓シミュレーション部113は、梗塞部位指定処理部112によって複数の断面ごとに取得された梗塞部位を示す特定個数の点情報に基づき、複数の断面で挟まれた心臓の梗塞部位の領域を判定する。そして、心臓シミュレーション部113は、シミュレーション結果を、梗塞部位要素リスト122に格納する。なお、梗塞部位の領域の判定は、断面間の指定演算によって行われる。
【0030】
ここで、断面間の指定演算について、図4を参照して説明する。図4は、断面間の指定演算を説明する図である。なお、前処理部111は、符号P1および符号P2で示される2つの断面位置の指定を取得したものとする。また、梗塞部位指定処理部112は、断面P1について、心臓の梗塞部位を示す4個の指定P10、P11、P12、P13を取得したものとする。梗塞部位指定処理部112は、断面P2について、心臓の梗塞部位を示す4個の指定P20、P21、P22、P23を取得したものとする。すなわち、梗塞部位指定処理部112は、ユーザによって指定された点で構成される3次元の閉領域を心臓の梗塞部位の領域とする。
【0031】
このような状況の下、心臓シミュレーション部113は、4面体の要素の集合体である3次元モデルから1つずつ要素を選択し、選択した要素における梗塞部位の判定を行う。例えば、心臓シミュレーション部113は、選択した要素m0が閉領域に完全に含まれる場合には、選択した要素m0が全部梗塞部位であることを梗塞部位要素リスト122に格納する。
【0032】
一方、心臓シミュレーション部113は、選択した要素m0が閉領域に完全に含まれない場合には、ユーザにより指定された閉領域の各面(断面)の断面を示す複数の断面関数を用いて、選択した要素m0がいずれかの断面関数と交差するか否かを判定する。ここでは、図4左図において、心臓シミュレーション部113は、ユーザにより指定された閉領域の各面(断面)の断面を示す断面関数f1をabb´a´として特定する。そして、図4中図において、心臓シミュレーション部113は、選択した要素m0が特定した断面関数f1と交差した場合には、交差面を抽出する。ここでは、交差面cdeが抽出される。
【0033】
そして、図4右図において、心臓シミュレーション部113は、抽出した交差面cdeに関し、断面関数f1の法線方向が閉領域の内側を全て向いているか否かにより梗塞部位であるか否かを判定する。すなわち、心臓シミュレーション部113は、断面関数f1の法線方向が閉領域の内側を全て向いている場合には、要素m0の中で交差面より法線方向の部分が梗塞部位であると判定する。ここでは、抽出した交差面cdeに対して断面関数f1の法線方向nf1が閉領域の内側を全て向いている場合には、要素m0について、交差面cdeより法線方向nf1側を梗塞部位であると判定される。そして、心臓シミュレーション部113は、要素m0の部分が梗塞部位であると判定すると、閉領域に部分的に含まれる要素m0の情報を梗塞部位要素リスト122に格納する。一例として、要素m0の情報として、交差面の交点の座標が含まれる。
【0034】
なお、心臓シミュレーション部113は、交差面に対して断面関数の法線方向のいずれかが閉領域の内側を向いていない場合には、梗塞部位でないと判定する。
【0035】
表示部114は、心臓の梗塞部位の判定の様子を3次元モデルで再現した画像をモニタに表示する。
【0036】
[非構造格子データ記憶部のデータ構造の一例]
ここで、非構造格子データ記憶部121のデータ構造の一例を、図5を参照して説明する。図5は、非構造格子データ記憶部のデータ構造の一例を示す図である。図5に示すように、非構造格子データ記憶部121には、例えば、節点情報テーブル121aと要素情報テーブル121bとが含まれる。節点情報テーブル121aには、節点ごとに、節点番号と節点の位置を示す座標とが設定されている。要素情報テーブル121bには、要素ごとに、要素番号と4面体の要素の頂点となる節点の節点番号とが設定されている。図5に示した非構造格子データ記憶部121に格納されたデータに基づいて、心臓の3次元モデルが生成される。
【0037】
[梗塞部位要素リストのデータ構造の一例]
ここで、梗塞部位要素リスト122のデータ構造の一例を、図6を参照して説明する。図6は、梗塞部位要素リストのデータ構造の一例を示す図である。図6に示すように、梗塞部位要素リスト122には、要素ごとに、要素番号と全部/部分と面の交点の座標とが設定されている。全部/部分には、要素の全部が梗塞部位であるか、要素の部分が梗塞部位であるかが示される。要素の全部が梗塞部位である場合には「全部」、要素の部分が梗塞部位である場合には「部分」が設定される。面の交点の座標は、要素の部分が梗塞部位である場合に、断面関数と要素との交差面の交点の座標のことをいう。
【0038】
[指定装置の処理のフローチャート]
図7は、実施例1に係る指定装置のフローチャートを示す図である。
【0039】
図7に示すように、前処理部111は、心臓の3次元モデルから心筋データを読み込む(ステップS11)。前処理部111は、心筋データを用いて、断面位置の指定を取得する(ステップS12)。例えば、前処理部111は、非構造格子データ記憶部121を参照し、節点情報テーブル121aに示される節点と要素情報テーブル121bに示される要素とに基づいて心臓の3次元モデルを把握し、その3次元モデルの表面を示すデータを取得する。
【0040】
前処理部111は、心筋データを用いて、弁輪付近の断面のみ、測定点の指定を取得する(ステップS13)。例えば、前処理部111は、2つの、心房と心室心筋の境界を示す4点(測定点)の指定を取得する。これは、右心房側を除外するためである。前処理部111は、心軸位置と当該心軸位置を中心とする半径情報を示す2点(測定点)の指定を取得する。
【0041】
そして、前処理部111は、心筋データを用いて、他の断面の測定点の指定を取得する(ステップS14)。例えば、前処理部111は、弁輪付近の断面の場合と同様に、当該断面と異なる他の断面について、6点の測定点の指定を取得する。なお、前処理部111は、弁輪付近の断面と他の断面との間の断面についても、6点の測定点の指定を取得しても良い。
【0042】
そして、梗塞部位指定処理部112は、心筋データを用いて、梗塞部位の指定を取得する(ステップS15)。例えば、梗塞部位指定処理部112は、前処理部111によって取得された複数の断面ごとに、断面に規定された点情報の中の特定個数の点情報の指定を取得する。複数の断面ごとに指定された点情報で構成される閉領域が、断面上の心臓の梗塞部位の領域である。
【0043】
そして、心臓シミュレーション部113は、断面間の指定演算を行う(ステップS16)。なお、断面間の指定演算処理のフローチャートは、後述する。
【0044】
そして、表示部114は、演算結果を表示する(ステップS17)。例えば、表示部114は、心臓の梗塞部位の判定の様子を3次元モデルで再現した画像をモニタに表示する。
【0045】
[断面間の指定演算処理のフローチャート]
図8は、実施例1に係る断面間の指定演算処理のフローチャートを示す図である。
【0046】
図8に示すように、心臓シミュレーション部113は、指定された閉領域の各面(断面)の断面を示す関数fnを特定する(ステップS21)。例えば、関数fnは、図4左図のabb´a´を示す関数である。
【0047】
心臓シミュレーション部113は、fnごとに、臓器の境界でない関数の集合のみを抽出する(ステップS22)。そして、心臓シミュレーション部113は、変数iに初期値「1」を設定する(ステップS23)。なお、変数iに設定される値は、要素番号である。
【0048】
心臓シミュレーション部113は、変数iが要素番号の最大値を示すmax_e以下であるか否かを判定する(ステップS24)。変数iがmax_e以下であると判定した場合には(ステップS24;Yes)、心臓シミュレーション部113は、変数iで示される要素が閉領域に完全に含まれるか否かを判定する(ステップS25)。変数iで示される要素が閉領域に完全に含まれると判定した場合には(ステップS25;Yes)、心臓シミュレーション部113は、要素番号iを梗塞部位要素リストに格納する(ステップS26)。そして、心臓シミュレーション部113は、次の要素を処理すべく、ステップS31に移行する。
【0049】
一方、変数iで示される要素が閉領域に完全に含まれないと判定した場合には(ステップS25;No)、心臓シミュレーション部113は、変数iで示される要素がいずれかの断面関数fnと交差するか否かを判定する(ステップS27)。変数iで示される要素がいずれの断面関数fnとも交差しないと判定した場合には(ステップS27;No)、心臓シミュレーション部113は、次の要素を処理すべく、ステップS31に移行する。
【0050】
一方、変数iで示される要素がいずれかの断面関数fnと交差すると判定した場合には(ステップS27;Yes)、心臓シミュレーション部113は、交差面を抽出する(ステップS28)。例えば、交差面は、図4中図のc,d,eの面を示す。
【0051】
そして、心臓シミュレーション部113は、特定された関数fnの法線方向により梗塞部位を判定する(ステップS29)。すなわち、心臓シミュレーション部113は、法線方向が閉領域の内側を全て向いている場合には、変数iで示される要素の中で交差面より法線方向の部分を梗塞部位と判定する。
【0052】
そして、心臓シミュレーション部113は、要素番号iと交差面により切り出された梗塞部位の面情報とを梗塞部位要素リスト122に格納する(ステップS30)。そして、心臓シミュレーション部113は、次の要素を処理すべく、ステップS31に移行する。
【0053】
ステップS31において、心臓シミュレーション部113は、変数iの値をインクリメント(1だけ増加)し、処理をステップS24に移行する。
【0054】
ステップS24において、変数iがmax_eより大きいと判定した場合には(ステップS24;No)、心臓シミュレーション部113は、梗塞部位要素リスト122を用いて、交差面により切り出された要素の部分、および閉領域に完全に含まれる要素の体積を演算する(ステップS32)。すなわち、心臓シミュレーション部113は、梗塞部位の領域の体積を演算する。そして、心臓シミュレーション部113は、指定演算処理を終了する。
【0055】
[表示例]
図9は、実施例1に係る心臓の梗塞部位の表示例を示す図である。図9では、時間ごとの心臓の梗塞部位の判定の様子が3次元モデルで表わされる。
【0056】
図9に示すように、t1の時点で、表示部114は、非構造格子データ記憶部121を用いて、心臓の3次元モデルをメッシュデータの形式で表示する。t2の時点で、表示部114は、メッシュデータ上の、前処理部111によって指定された心臓の心室の断面位置に、梗塞部位指定処理部112によって指定された梗塞部位の位置を表示する。ここでは、PおよびPが、それぞれ梗塞部位の位置である。
【0057】
t3の時点で、表示部114は、メッシュデータ上の、前処理部111によって指定された心臓の心室のさらにもう1つの断面位置に、梗塞部位指定処理部112によって指定された梗塞部位の位置を表示する。ここでは、Pが、梗塞部位の位置である。
【0058】
そして、t4の時点で、表示部114は、心臓シミュレーション部113による断面間の指定演算によって得られた梗塞部位要素リスト122を用いて、メッシュデータ上に梗塞部位を表示する。ここでは、ISが梗塞部位である。
【0059】
このようにして、上記実施例1では、指定装置100は、心臓の3次元モデルの複数の平面の指定を取得する。指定装置100は、複数の平面のいずれかまたはいずれもについて心臓の梗塞部位を示す特定個数の点情報の指定を取得する。指定装置100は、取得された特定個数の点情報に基づき、複数の平面で挟まれた心臓の梗塞部位を判定する。そして、指定装置100は、心臓の梗塞部位の判定を3次元モデルで再現した画像を表示する。かかる構成によれば、指定装置100は、心筋の梗塞部位を効率的に指定させることができる。
【0060】
また、指定装置100は、心臓の3次元モデルの複数の断面位置の指定を取得する。指定装置100は、複数の断面のうち1つの断面について、予めまたは指定により断面に規定された点情報の中の特定個数の点情報の指定を取得する。かかる構成によれば、指定装置100は、複数の断面位置の指定と、1つの断面について特定個数の点の指定とをさせることで、心筋の梗塞部位を効率的に指定させることができる。例えば、指定装置100は、1断面につき、測定点の指定として6点、梗塞部位の指定として4点を指定させればよいので、心筋の梗塞部位を効率的に指定させることが可能となる。
【0061】
また、指定装置100は、1つの断面について指定された点情報と当該点情報に対応する他の断面の点情報に基づき、1つの断面と他の断面とで挟まれた心臓の梗塞部位を判定する。かかる構成によれば、指定装置100は、正確に心臓の梗塞部位を可視化することができる。
【実施例2】
【0062】
ところで、実施例1では、指定装置100が、複数の断面について心臓の梗塞部位を示す特定個数の点情報の指定を取得し、取得した特定個数の点情報に基づき、複数の断面で挟まれた心臓の梗塞部位を判定すると説明した。しかしながら、指定装置100は、これに限定されず、2つの写像平面について心臓の梗塞部位を示す特定個数の点情報の指定を取得し、取得した特定個数の点情報に基づき、2つの写像平面で挟まれた心臓の梗塞部位を判定するようにしても良い。ここでいう2つの写像平面とは、3次元の心室の内膜および外膜をそれぞれ2次元に写像展開した平面(展開図)のことをいう。
【0063】
そこで、実施例2では、指定装置100が、2つの写像平面について心臓の梗塞部位を示す特定個数の点情報の指定を取得し、取得した特定個数の点情報に基づき、2つの写像平面で挟まれた心臓の梗塞部位を判定する場合について説明する。
【0064】
[実施例2に係る指定装置の構成]
図10は、実施例2に係る指定装置の構成を示す機能ブロック図である。なお、図1に示す指定装置100と同一の構成については同一符号を示すことで、その重複する構成および動作の説明については省略する。実施例1と実施例2とが異なるところは、梗塞部位指定処理部112を梗塞部位指定処理部112Aに変更した点にある。実施例1と実施例2とが異なるところは、心臓シミュレーション部113を心臓シミュレーション部113Aに変更した点にある。
【0065】
梗塞部位指定処理部112Aは、心室の内膜および外膜の写像平面の指定を取得する。
【0066】
また、梗塞部位指定処理部112Aは、心室の内膜および外膜の写像平面に基づいて、梗塞部位指定を行う。例えば、梗塞部位指定処理部112Aは、心室の内膜の写像平面を用いて、特定個数の点情報の指定を取得する。梗塞部位指定処理部112Aは、心室の外膜の写像平面を用いて、特定個数の点情報の指定を取得する。2つの写像平面ごとに指定された点情報で構成される閉領域が、各写像平面上の心臓の梗塞部位の領域である。特定個数とは、例えば、10であったり、20であったりするが、これに限定されない。かかる指定は、例えば、心臓シミュレーションを実施するユーザによって行われる。なお、心室の内膜の梗塞部位を示す点および心室の外膜の梗塞部位を示す点は、同じ特定個数となるように指定される。
【0067】
心臓シミュレーション部113Aは、心室の内膜および外膜の写像平面に基づいて、写像平面間の梗塞部位の領域の判定をシミュレーションする。すなわち、心臓シミュレーション部113Aは、梗塞部位指定処理部112Aによって取得された梗塞部位を示す特定個数の点情報に基づき、心室の内膜の写像平面と心室の外膜の写像平面とで挟まれた心臓の梗塞部位の領域を判定する。そして、心臓シミュレーション部113Aは、シミュレーション結果を、梗塞部位要素リスト122に格納する。なお、梗塞部位の領域の判定は、断面間の指定演算によって行われる。断面間の指定演算処理は、心臓シミュレーション部113で説明した処理と同様であるので、この処理の説明を省略する。
【0068】
ここで、心室の内膜および外膜の写像展開および梗塞部位の指定について、図11および図12を参照して説明する。図11は、写像展開を説明する図である。なお、図11の例では、心臓の3次元モデル10が表されている。この3次元モデル10は、4面体の要素の集合体である。
【0069】
図11の右上図に示すように、心臓の外側を示す外膜が写像展開された図である。図11の右下図に示すように、心臓の内側を示す内膜が写像展開された図である。なお、写像展開された平面のそれぞれの丸は、心臓の弁の位置を表す。なお、内膜および外膜の平面は、心臓の3次元モデルから予め写像展開され、内膜および外膜の平面の情報は記憶部120に記憶される。かかる平面のことを「写像平面」というものとする。
【0070】
図12は、梗塞部位指定処理を説明する図である。なお、図12左図の例では、心室の外膜の写像平面と心室の内膜の写像平面が表わされている。図12右図の例では、心臓の3次元モデルが表わされている。
【0071】
図12左上図に示すように、梗塞部位指定処理部112Aは、心室の外膜の写像平面を用いて、特定個数の点情報の指定を取得する。心室の外膜の写像平面に指定された点情報で構成される閉領域が当該写像平面の心臓の梗塞部位の領域である。ここでは、P30の領域が、心室の外膜の写像平面における心臓の梗塞部位の領域である。図12左下図に示すように、梗塞部位指定処理部112Aは、心室の内膜の写像平面を用いて、内膜を指定した特定個数と同じ個数の点情報の指定を取得する。ここでは、P31の領域が、心室の内膜の写像平面における心臓の梗塞部位の領域である。
【0072】
この後、心臓シミュレーション部113Aは、梗塞部位指定処理部112Aによって取得された外膜の梗塞部位の領域と内膜の梗塞部位の領域とを用いて、2つの領域で挟まれた心臓の梗塞部位の領域を判定する。すなわち、図12右図に示すように、心臓シミュレーション部113Aは、指定された心室の内膜における梗塞部位の領域と、指定された心室の外膜における梗塞部位の領域との間の対応する点同士を接続し、2つの領域で挟まれた心臓の梗塞部位の領域を判定する。
【0073】
これにより、心臓シミュレーションを実施するユーザは、心臓の梗塞部位を指定するとき、心室の外膜および内膜のそれぞれの写像平面につきそれぞれ特定の個数の点を指定することで、心臓の梗塞部位を効率的に指定することができる。
【0074】
[指定装置の処理のフローチャート]
図13は、実施例2に係る指定装置の処理のフローチャートを示す図である。
【0075】
図13に示すように、前処理部111は、心臓の3次元モデルから心筋データを読み込む(ステップS41)。
【0076】
梗塞部位指定処理部112Aは、心筋データを用いて、心室の内膜および外膜の梗塞部位の指定を取得する(ステップS42)。例えば、梗塞部位指定処理部112Aは、心室の内膜の写像平面を用いて、特定個数の点情報の指定を取得する。梗塞部位指定処理部112Aは、心室の外膜の写像平面を用いて、特定個数の点情報の指定を取得する。
【0077】
そして、心臓シミュレーション部113Aは、写像平面間の指定演算を行う(ステップS43)。なお、写像平面間の指定演算処理の説明は、図8の断面間の指定演算処理と同様であるので、この説明を省略する。
【0078】
そして、表示部114は、演算結果を表示する(ステップS44)。例えば、表示部114は、心臓の梗塞部位の判定の様子を3次元モデルで再現した画像をモニタに表示する。
【0079】
[表示例]
図14は、実施例2に係る心臓の梗塞部位の表示例を示す図である。なお、図14左上図には、梗塞部位の領域P30が指定された外膜の写像平面が表わされている。図14左下図には、梗塞部位の領域P31が指定された内膜の写像平面が表わされている。
【0080】
図14右図に示すように、表示部114は、心臓シミュレーション部113Aによる写像平面間の指定演算によって得られた梗塞部位要素リスト122を用いて、3次元モデル上に梗塞部位を表示する。ここでは、IS10が梗塞部位である。
【0081】
このようにして、上記実施例2では、指定装置100は、心臓の3次元モデルの内膜の写像平面および外膜の写像平面の指定を取得する。指定装置100は、2つの写像平面のそれぞれについて、心臓の梗塞部位を示す特定個数の点情報の指定を取得する。指定装置100は、取得された特定個数の点情報に基づき、複数の平面で挟まれた心臓の梗塞部位を判定する。そして、指定装置100は、心臓の梗塞部位の判定を3次元モデルで再現した画像を出力する。かかる構成によれば、指定装置100は、心筋の梗塞部位を効率的に指定させることができる。
【0082】
また、上記実施例2では、指定装置100は、それぞれの写像平面について心臓の梗塞部位と推定される範囲を示す特定個数の点情報の指定を取得する。かかる構成によれば、指定装置100は、ドローイングツールより容易に梗塞部位を指定させることができる。
【0083】
また、上記実施例2では、指定装置100は、2つの写像平面についてそれぞれ指定された点情報に基づき、2つの写像平面で挟まれた心臓の梗塞部位を判定する。かかる構成によれば、指定装置100は、正確に心臓の梗塞部位を表示することができる。
【実施例3】
【0084】
ところで、実施例1では、指定装置100が、複数の断面について心臓の梗塞部位を示す特定個数の点情報の指定を取得し、取得した特定個数の点情報に基づき、複数の断面で挟まれた心臓の梗塞部位を判定する(手法A)と説明した。実施例2では、指定装置100が、心室の内膜および外膜の2つの写像平面について心臓の梗塞部位を示す特定個数の点情報の指定を取得し、取得した特定個数の点情報に基づき、2つの写像平面で挟まれた心臓の梗塞部位を判定する(手法B)と説明した。しかしながら、指定装置100は、2つの手法をどちらとも用いて心臓の梗塞部位を判定しても良い。
【0085】
そこで、実施例3では、指定装置100が、手法Aと手法Bの2つの手法をどちらとも用いて心臓の梗塞部位を判定する場合について説明する。
【0086】
ここで、実施例3に係る心臓シミュレーション処理について、図15を参照して説明する。図15は、実施例3に係る心臓シミュレーション処理を説明する図である。
【0087】
図15に示すように、まず、心臓シミュレーション部113Aは、実線の線分が示す領域と破線の線分が示す領域のどちらか一方の領域を選択し、選択した領域を先行して心臓の梗塞部位を判定する。この後、心臓シミュレーション部113Aは、他方の領域を用いて、心臓の梗塞部位を判定する。そして、心臓シミュレーション部113Aは、後に選択した他方の領域に、先行して選択した一方の領域外があれば、その領域を梗塞部位に加える。すなわち、心臓シミュレーション部113Aは、手法Aの梗塞部位の領域と手法Bの梗塞部位の領域との集合領域を集積する。なお、手法Aと手法Bの順番は、どちらが先行してもかまわない。
【0088】
[指定装置の処理のフローチャート]
図16は、実施例3に係る指定装置の処理のフローチャートを示す図である。なお、図16は、手法Aが手法Bより先行する場合であるが、手法Bが手法Aより先行しても良い。
【0089】
図16に示すように、指定装置100は、手法Aを実行する(ステップS51)。すなわち、指定装置100は、複数の断面について心臓の梗塞部位を示す特定個数の点情報の指定を取得し、取得した特定個数の点情報に基づき、複数の断面で挟まれた心臓の梗塞部位を判定する。指定装置100は、判定結果を梗塞部位要素リスト122に格納する。つまり、指定装置100は、指定された断面間の閉領域に全部および部分的に含まれるそれぞれの要素の情報を梗塞部位要素リスト122に格納する。
【0090】
そして、指定装置100は、手法Bを実行する(ステップS52)。すなわち、指定装置100は、心室の内膜および外膜の2つの写像平面について心臓の梗塞部位を示す特定個数の点情報の指定を取得し、取得した特定個数の点情報に基づき、2つの写像平面で挟まれた心臓の梗塞部位を判定する。指定装置100は、判定結果を梗塞部位要素リスト122に格納する。つまり、指定装置100は、指定された断面間の閉領域に全部および部分的に含まれるそれぞれの要素の情報を梗塞部位要素リスト122に格納する。
【0091】
そして、指定装置100は、内外判定処理を実行する(ステップS53)。なお、内外判定処理のフローチャートは、後述する。そして、判定装置100は、処理をステップS51に移行し、繰り返し処理を行っても良い。
【0092】
そして、指定装置100は、演算結果を表示する(ステップS54)。すなわち、指定装置100は、手法Aの結果と手法Bの結果とを集積した集積結果(集積リスト)を用いて、心臓の梗塞部位の判定の様子を3次元モデルで再現した画像をモニタに表示する。
【0093】
[内外判定処理のフローチャート]
図17は、内外判定処理のフローチャートを示す図である。なお、図17では、手法Aの梗塞部位要素リスト122と手法Bの梗塞部位要素リスト122とを集積したリストを「集積リスト」というものとする。
【0094】
図17に示すように、指定装置100は、変数iに初期値「1」を設定し、変数jに初期値「1」を設定する(ステップS61)。指定装置100は、変数iが要素番号の最大値を示すmax_e以下であるか否かを判定する(ステップS62)。
【0095】
変数iがmax_e以下であると判定した場合には(ステップS62;Yes)、指定装置100は、手法Aの梗塞部位要素リスト122と手法Bの梗塞部位要素リスト122とを比較する(ステップS63)。指定装置100は、要素iの情報が手法Aおよび手法Bのどちらにも存在または後に処理した手法Bのみに存在するか否かを判定する(ステップS64)。
【0096】
要素iの情報が手法Aおよび手法Bのどちらにも存在または後に処理した手法Bのみに存在すると判定した場合には(ステップS64;Yes)、指定装置100は、要素番号iに、変数jを対応付ける(ステップS65)。指定装置100は、変数jの値をインクリメント(1だけ増加)し(ステップS66)、処理をステップS67に移行する。
【0097】
一方、要素iの情報が手法Aおよび手法Bのどちらにも存在しない、または先行して処理した手法Aのみに存在すると判定した場合には(ステップS64;No)、指定装置100は、処理をステップS67に移行する。
【0098】
ステップS67において、指定装置100は、変数iの値をインクリメント(1だけ増加)し(ステップS67)、処理をステップS62に移行する。
【0099】
ステップS62において、変数iがmax_eより大きいと判定した場合には(ステップS62;No)、指定装置100は、変数jの値から1だけ減少させた値をfind_eに設定し、処理をステップS68に移行する。なお、find_eは、要素iの情報がどちらにも存在または後に処理した手法Bのみに存在した要素の存在数を示す。
【0100】
ステップS68において、指定装置100は、変数jに初期値「1」を設定する(ステップS68)。指定装置100は、変数jが要素番号の存在数を示すfind_e以下であるか否かを判定する(ステップS69)。変数jがfind_e以下であると判定した場合には(ステップS69;Yes)、指定装置100は、集積リスト外の要素の情報を集積リストに追加する(ステップS70)。
【0101】
そして、指定装置100は、変数jの値をインクリメント(1だけ増加)し(ステップS71)、処理をステップS69に移行する。
【0102】
ステップS69において、変数jがfind_eより大きいと判定した場合には(ステップS69;No)、指定装置100は、集積リストを用いて、交差面により切り出された要素の部分、および閉領域に完全に含まれる要素の体積を演算する(ステップS72)。すなわち、指定装置100は、梗塞部位の領域の体積を演算する。そして、指定装置100は、内外判定処理を終了する。
【0103】
このようにして、指定装置100は、手法Aおよび手法Bの異なる手法で実行されたそれぞれの結果を集積することで、1つの手法だけで実行された結果よりも正確に心臓の梗塞部位を可視化することができる。
【0104】
なお、実施例1および実施例2では、梗塞部位指定処理は、例えば、指定装置100によって行われると説明した。しかしながら、梗塞部位指定処理は、これに限定されず、例えば、クラウドの計算サービス拠点で行われても良い。
【0105】
[梗塞部位指定処理の用途の一例]
ここで、梗塞部位指定処理が、クラウドの計算サービス拠点で行われる場合を説明する。図18は、梗塞部位指定処理の用途の一例を示す図である。図18に示すように、病院がクラウドと接続されている。クラウドの計算サービス拠点は、病院から、梗塞部位の指定情報を受信し、受信した梗塞部位の指定情報を、通信サーバを介して、心臓シミュレータに渡す。そして、心臓シミュレータは、梗塞部位の指定情報を用いて、前処理部111の処理を行い、梗塞部位指定処理部112の処理を行えば良い。すなわち、前処理部111は、少なくとも2つの断面位置の指定を取得する。前処理部111は、2つの、心房と心室心筋の境界を示す4点(測定点)の指定を取得する。前処理部111は、心軸位置と当該心軸位置を中心とする半径情報を示す2点(測定点)の指定を取得する。梗塞部位指定処理部112は、指定された複数の断面ごとに、特定個数の点情報の指定を取得する。
【0106】
そして、心臓シミュレータは、心臓シミュレーション部113の処理を行い、表示部114の処理を行えば良い。
【0107】
これにより、梗塞部位指定処理は、クラウド上にあっても、心筋の梗塞部位を効率的にユーザに指定させることができる。
【0108】
[その他]
なお、図示した指定装置100の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、指定装置100の分散・統合の具体的態様は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、前処理部111と梗塞部位指定処理部112とを1つの部として統合しても良い。また、前処理部111を、心臓の心室の断面位置の指定を取得する機能部と、測定点の指定を取得する機能部とに分離しても良い。また、記憶部120を指定装置100の外部装置としてネットワーク経由で接続するようにしても良い。
【0109】
また、上記実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図1に示した指定装置100と同様の機能を実現する指定装置100の制御プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図19は、指定装置の制御プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
【0110】
図19に示すように、コンピュータ200は、各種演算処理を実行するCPU203と、ユーザからのデータの入力を受け付ける入力装置215と、表示装置209を制御する表示制御部207とを有する。また、コンピュータ200は、記憶媒体からプログラムなどを読取るドライブ装置213と、ネットワークを介して他のコンピュータとの間でデータの授受を行う通信制御部217とを有する。また、コンピュータ200は、各種情報を一時記憶するメモリ201と、HDD205を有する。そして、メモリ201、CPU203、HDD205、表示制御部207、ドライブ装置213、入力装置215、通信制御部217は、バス219で接続されている。
【0111】
ドライブ装置213は、例えばリムーバブルディスク210用の装置である。HDD205は、制御プログラム205aおよび制御関連情報205bを記憶する。
【0112】
CPU203は、制御プログラム205aを読み出して、メモリ201に展開し、プロセスとして実行する。かかるプロセスは、指定装置100の各機能部に対応する。制御関連情報205bは、非構造格子データ記憶部121および梗塞部位要素リスト122に対応する。そして、例えばリムーバブルディスク210が、制御プログラム205aなどの各情報を記憶する。
【0113】
なお、制御プログラム205aについては、必ずしも最初からHDD205に記憶させておかなくても良い。例えば、コンピュータ200に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に当該プログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ200がこれらから制御プログラム205aを読み出して実行するようにしても良い。
【符号の説明】
【0114】
100 指定装置
110 制御部
111 前処理部
112,112A 梗塞部位指定処理部
113,113A 心臓シミュレーション部
114 表示部
120 記憶部
121 非構造格子データ記憶部
122 梗塞部位要素リスト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19