特許第6858013号(P6858013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6858013
(24)【登録日】2021年3月25日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】組付構造体及びブラケット
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20210405BHJP
   B60R 19/48 20060101ALN20210405BHJP
【FI】
   B60R16/02 610J
   !B60R19/48 B
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-242574(P2016-242574)
(22)【出願日】2016年12月14日
(65)【公開番号】特開2018-95118(P2018-95118A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】陣鎌 真一
(72)【発明者】
【氏名】松村 昌浩
【審査官】 浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−201963(JP,A)
【文献】 特開2009−092116(JP,A)
【文献】 特開2011−077114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60R 19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に装着させる機器と、該機器を保持するとともに車体に取り付け可能なブラケットとが組み付けられた組付構造体であって、
前記機器が前記ブラケットに対して組付け状態に向かう枢動を支持する枢動支持部が前記ブラケットに備えられ、
前記機器の組付け状態に向かう枢動により、前記機器と前記ブラケットとを固定する枢動固定部が備えられ
前記枢動固定部は、
前記ブラケットに設けられたブラケット側固定部と、前記機器に設けられた機器側固定部とで構成され、
前記ブラケット側固定部は、組付け状態において前記機器に向けて突出する凸部が設けられ、
前記機器側固定部は、前記凸部と枢動によって嵌合可能な凹部が設けられた
組付構造体。
【請求項2】
前記凸部と前記枢動支持部とが対向する向きで配置されるとともに、前記機器において前記枢動支持部より前記機器側固定部と反対側であって、枢動方向前側となる表面と前記枢動固定部とが前記枢動支持部を介して反対側に配置された
請求項に記載の組付構造体。
【請求項3】
前記凸部と前記枢動支持部とが対向する向きにおける、前記枢動支持部の先端部と前記ブラケット側固定部との間隔が、
前記機器側固定部の板厚と同じ長さで構成された
請求項に記載の組付構造体。
【請求項4】
前記凸部の先端がテーパー状に形成された
請求項乃至請求項のうちのいずれかに記載の組付構造体。
【請求項5】
前記機器と前記ブラケットとを組み付け状態に向かうように枢動する枢動状態において、前記機器側固定部と前記ブラケット側固定部とを囲繞する囲繞部が備えられた
請求項乃至請求項のうちのいずれかに記載の組付構造体。
【請求項6】
前記枢動支持部に対して、前記枢動固定部が配置された側と反対側に、枢動した前記機器と前記ブラケットとを固定する固定部が設けられた
請求項1乃至請求項のうちのいずれかに記載の組付構造体。
【請求項7】
前記枢動固定部が2つ設けられるとともに、
前記固定部が、2つの前記枢動固定部の間に対応する位置に1つ設けられた
請求項に記載の組付構造体。
【請求項8】
組み付け状態において、前記機器と前記ブラケットとを枢動によって仮固定する仮固定部が設けられた
請求項1乃至請求項のうちのいずれかに記載の組付構造体。
【請求項9】
車両に装着させる機器を保持するとともに、車体に取り付け可能なブラケットであって、
前記機器が組付け状態に向けて枢動可能に支持する枢動支持部と、
前記機器の組付け状態に向かう枢動により、前記機器と固定するブラケット側固定部とが備えられ
前記ブラケット側固定部は、組付け状態において前記機器に向けて突出し、前記機器に設けられた機器側固定部の凹部に枢動によって嵌合可能な凸部が設けられた
ブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に装着させる機器と、該機器を保持するブラケットとが組み付けられた組付構造体、及び、前記機器を組み付け可能なブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の安全性を向上させることを目的として、車両周辺に存在する先行車両や歩行者、障害物等の物体を検知する物体検知センサなどの機器が車両に搭載されている。これらの物体検知センサなどの機器は例えば、は車両の前方又は後方に備えられたバンパの左右隅部に搭載されている。
【0003】
しかしながら、これらの物体検知センサが取り付けられているバンパ内側などの取付け箇所の構造は車種ごとに異なっているため、所定の車種の仕様に合わせて製造された物体検知センサなどを他の車種にそのまま転用することは困難であった。そこで、物体検知センサをブラケットに組み付け、ブラケットを車両本体の適当な箇所に固定する構成とすることで、異なる車種の車であっても車両の所望な位置に物体検知センサを配置している。
【0004】
このように物体検知センサなどの機器をブラケットに組み付けた組付構造体の一つとして、例えば特許文献1には、一方向に向けて狭幅となるガイド孔と、前記ガイド孔の他方側に設けられた挿通孔とを備えたブラケットに、機器本体から突出するガイド突部と、前記ガイド突部の他方側に設けられた係止部とを備えた機器を組み付けた組付構造体が開示されている。
【0005】
この特許文献1に開示された組付構造体は、前記ガイド突部と前記係止部とをそれぞれガイド孔と挿通孔とに挿入させて、前記ブラケットを前記機器に対して他方側にスライドさせることで、前記ガイド突部が前記ガイド孔に案内されながら挟持されるとともに、前記係止部に設けられた係止爪が前記ガイド孔の他方側端部に係止して、前記機器と前記フランジとを固定できるとされている。
【0006】
しかしながら、前記組付構造体は簡単な構成で前記フランジと前記機器とを固定できるが、前記フランジのスライド方向に沿って前記係止部が係止されているため、例えば車体の振動などにより、前記係止部と前記ガイド孔との係止状態が解除され、前記機器が前記フランジから不用意に外れ、所定の位置から外れた状態で配置されるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭61−187755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、上述した問題を鑑み、簡単な構成で、容易かつ確実に機器とブラケットとを固定できる組付構造体、及び、前記機器を組み付けるブラケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、車両に装着させる機器と、該機器を保持するとともに車体に取り付け可能なブラケットとが組み付けられた組付構造体であって、前記機器が前記ブラケットに対して組付け状態に向かう枢動を支持する枢動支持部が前記ブラケットに備えられ、前記機器の組付け状態に向かう枢動により、前記機器と前記ブラケットとを固定する枢動固定部が備えられ、前記枢動固定部は、前記ブラケットに設けられたブラケット側固定部と、前記機器に設けられた機器側固定部とで構成され、前記ブラケット側固定部は、組付け状態において前記機器に向けて突出する凸部が設けられ、前記機器側固定部は、前記凸部と枢動によって嵌合可能な凹部が設けられたことを特徴とする。
【0010】
またこの発明は、車両に装着させる機器を保持するとともに、車体に取り付け可能なブラケットであって、前記機器が組付け状態に向けて枢動可能に支持する枢動支持部と、前記機器の組付け状態に向かう枢動により、前記機器と固定するブラケット側固定部とが備えられ、前記ブラケット側固定部は、組付け状態において前記機器に向けて突出し、前記機器に設けられた機器側固定部の凹部に枢動によって嵌合可能な凸部が設けられたことを特徴とする。
前記機器とは、例えば超音波や赤外線などの光を利用した物体検知センサや、エアーバックシステムの衝突検知のための加速度センサなど、車両に搭載可能な様々な機器を含む。
【0011】
前記枢動支持部は、例えば前記機器の機器本体や、前記機器本体から所定の方向に延出した延出部などを枢支して、前記ブラケットに対して前記機器を枢動させる支持部をさす。換言すると、前記枢動支持部は、前記機器の一部を枢支し、前記ブラケットに対して前記機器が組付け状態に向かって枢動可能に支持する支持部である。
【0012】
この発明により、前記機器と前記ブラケットを容易且つ確実に固定できる。
詳述すると、この発明は、前記枢動支持部に支持された前記機器を組み付け状態に向けて枢動させる構成により、前記機器と前記ブラケットとを枢動固定部で固定できる。このように、前記機器を枢動させるといった簡単な構成且つ容易な作業で、前記機器と前記ブラケットとを組み付けて確実に固定することができる。
【0013】
また、前記枢動固定部は、前記ブラケットに設けられたブラケット側固定部と、前記機器に設けられた機器側固定部とで構成され、前記ブラケット側固定部は、組付け状態において前記機器に向けて突出する凸部が設けられ、前記機器側固定部は、前記凸部と枢動によって嵌合可能な凹部が設けられたことにより、前記機器を枢動することにより、前記ブラケットに設けた前記凸部と前記機器に設けた前記凹部とを枢動した際の圧力で嵌合し固定されるため、前記ブラケットと前記機器とを容易かつ強固に固定できるとともに、前記ブラケットに対する前記機器の位置決めを容易にできる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記凸部と前記枢動支持部とが対向する向きで配置されるとともに、前記機器において前記枢動支持部より前記機器側固定部と反対側であって、枢動方向前側となる表面と前記枢動固定部とが前記枢動支持部を介して反対側に配置されたことを特徴とする。
前記機器の表面とは、例えば発信した超音波や光などを利用して物体を検知する場合には、超音波などを発信する面をさし、また他の物体から発信された光などを受信して作用する場合には受信部がある面をさす。すなわち、前記機器の表面とは、前記機器の機能に関与する面をさす。
【0015】
この発明により、前記ブラケットに対する前記機器の配置位置を調整することができる。
詳述すると、前記凸部と前記枢動支持部とが対向することから、前記枢動支持部側に、組付け状態における前記機器の表面(例えば超音波を発信する面)が配置されることとなる。この場合において、前記凸部の突出方向に沿った前記枢動支持部の長さを調整することにより、前記ブラケットに対する前記機器の表面の位置を調整することができる。
【0016】
これにより、例えば前記機器が超音波を利用した超音波センサであった場合などに、別部材を設けることなく超音波の波長特性などを考慮した位置に前記機器が配置されるように、前記ブラケットに対する前記機器の位置を調整することが簡単な構成ででき、また部品点数を削減できる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記凸部と前記枢動支持部とが対向する向きにおける、前記枢動支持部の先端部と前記ブラケット側固定部との間隔が、前記機器側固定部の板厚と同じ長さで構成されたことを特徴とする。
この発明により、前記機器と前記ブラケットとを組み付けた組付状態において前記ブラケット側固定部と前記枢動支持部とで前記機器側固定部を挟み込んで固定することができる。すなわち、前記枢動支持部と前記枢動固定部とで前記機器と前記ブラケットとを固定することができる。また、前記機器固定部を挟み込むことができるため、前記機器と前記枢動支持部との間のガタツキを防止できる。
【0018】
またこの発明の態様として前記凸部の先端がテーパー状に形成されたことを特徴とする。
この発明により、前記凹部が前記凸部に確実に案内されるため、前記機器と前記枢動支持部とをより容易に固定できるとともに、前記ブラケットに対する前記機器の位置決めをより容易にできる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記機器と前記ブラケットとを組み付け状態に向かうように枢動する前記機器側固定部と、前記ブラケット側固定部とを囲繞する囲繞部が備えられたことを特徴とする。
上述の枢動する前記機器側固定部とは、組み付け状態において前記ブラケット側固定部と固定された前記機器側固定部のみならず、前記枢動支持部に枢支されて組み付け状態に向けて枢動する前記機器側固定部も含む。
【0020】
この発明により、前記囲繞部が、組付け状態において前記機器側固定部及び前記ブラケット側固定部と他の部品とが干渉することを防止できるため、前記枢動固定部に外力が作用して、前記機器側固定部と前記ブラケット側固定部との固定が解除されることを防止できる。
【0021】
また、仮に前記機器側固定部と前記ブラケット側固定部との固定が解除された場合であっても、前記囲繞部が前記枢動固定部を受け止めて保持することができるため、前記機器が落下することを防止できる。
【0022】
さらにまた、前記囲繞体に前記機器側固定部が枢動する際に、前記機器側固定部が前記囲繞部に沿って案内できるため、前記凸部に前記凹部を確実に案内して嵌合させることができる。これにより、前記機器と前記ブラケットとを確実に固定させることができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記枢動支持部に対して、前記枢動固定部が配置された側と反対側に、枢動した前記機器と前記ブラケットとを固定する固定部が設けられたことを特徴とする。
この発明によると、前記枢動支持部に対して一方側に前記枢動固定部が配置されるとともに、他方側に前記固定部が配置されるため、前記枢動支持部の一方側及び他方側の双方を固定することができ、前記機器と前記ブラケットとをより強固に固定できる。
【0024】
さらに、例えば前記固定部が、組み付け状態に向けて枢動する前記機器の枢動方向側にネジなどを螺合して固定する場合、前記固定部を固定することにより、前記枢動支持部を介して反対側に配置された前記凹部も前記凸部側に向けて力が作用するため、前記凹部と前記凸部とをより強固に固定することができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記枢動固定部が2つ設けられるとともに、前記固定部が、2つの前記枢動固定部の間に対応する位置に1つ設けられたことを特徴とすることができる。
この発明により、前記機器と前記ブラケットと3点で固定することができるため、二軸回転を防止できるとともに、前記機器と前記ブラケットとを安定して固定できる。
【0026】
またこの発明の態様として、組み付け状態において、前記機器と前記ブラケットとを枢動によって仮固定する仮固定部が設けられたことを特徴とする。
この発明により、位置決めされた位置で前記固定部を仮固定できるため、前記固定部を容易に固定できる。また、仮に前記固定部の固定が解除された場合であっても、前記仮固定部によって前記機器と前記ブラケットとの固定状態を維持できる。
【発明の効果】
【0027】
この発明により、簡単な構成で、容易かつ確実に機器とブラケットとを固定できる組付構造体、及び、前記機器を組み付けるブラケットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】センサ組付構造体の概略斜視図。
図2】センサ組付構造体の概略分解斜視図。
図3】センサ保持枠の断面図。
図4】枢動固定部による固定の説明図。
図5】枢動固定部による固定の説明図。
図6】枢動固定部による固定の説明図。
図7】物体センサとセンサ保持枠の固定の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図1はセンサ組付構造体1の概略斜視図を示し、図2は背面斜め上から視たセンサ組付構造体1の概略分解斜視図及び図2中のα部の拡大図斜視図を示し、図3は物体検知センサ2及びセンサ保持部3の断面図及び各β部の拡大断面図を示し、図4及び図5図6はセンサ保持部3に対して物体検知センサ2を固定する固定方法の説明図を示し、図7はセンサ組付構造体1の固定の説明図を示している。
【0030】
図1について詳述すると、図1(a)は正面斜め上方からセンサ組付構造体1を視た概略斜視図であり、図1(b)はセンサ組付構造体1を背面斜め上から視た概略斜視図を示す。ここで、図1(a)の上下方向を高さ方向Hとし、左奥から右手前方向を幅方向W、左手前から右奥方向を奥行方向Dとし、上方を+H方向、下方を−H方向、左奥を−W方向、右手前を+W方向、左手前(前方)を+D方向、右奥(後方)を−D方向とする。なお、図1(b)乃至図7においても図1(a)に対応するものとする。
また図1(a)において、センサ組付構造体1の構成を明確にするため、バンパ100は点線で表示することで透過した状態を表している。
【0031】
図3は、物体検知センサ2及びセンサ保持部3の断面図を示し、詳述すると図3(a)は図2におけるセンサ保持部3のA−A矢視断面図を、図3(b)は図2における物体検知センサ2のB−B矢視断面図を示す。
【0032】
図6について詳述すると、図6(a)は物体検知センサ2とセンサ保持部3の組付け前の状態におけるγ部の拡大図を示し、図6(b)は物体検知センサ2とセンサ保持部3とを組付け状態におけるγ部の拡大図を示している。
【0033】
組付構造体に対応するセンサ組付構造体1は、このセンサ組付構造体1は、図1に示すように、障害物などの接近を検知する物体検知センサ2と、物体検知センサ2を保持するセンサ保持部3とを組み付けて構成され、車体の前方角部などに設けられたバンパ100の内側における所定の位置に配置されている。
なお、センサ組付構造体1は、必ずしもバンパ100の内側である必要はなく、その機能や目的に応じて適宜配置位置を変更することができる。
【0034】
機器に対応する物体検知センサ2は、図1及び図2に示すように、平板上の機器本体21と、機器本体21の下方両端から斜め方向に延出する延出部22と、機器本体21の上端中央部から上方に突出する固定部23と、機器本体21の下端中央部から下方に設けたコネクタ接続部24とで構成されている。
【0035】
物体検知センサの本体部分である機器本体21は、平板状に構成された直方体状の筐体であり、内部には様々な電子機器類が収容されている。なお、機器本体21の前方を表面21aとし、後方を裏面21bとする。
【0036】
延出部22は、機器本体21の裏面21bから後方(−D方向)に突出するとともに、幅方向Wの両端から下方両端側に向けて延出した板状の突出片であり、端部が半円状に形成されている。すなわち、延出部22は幅方向Wから視た側面視において、延出部22は機器本体21に対して後方に配置されるとともに、機器本体21から下方に向けて突出している(図3参照)。また、延出部22の半円状端部の中央部分には板厚方向に貫通した凹部25が形成されている。
【0037】
機器本体21の上端中央部から突出する固定部23は、図2及び図3に示すように、延出部22と同様に、後方に突出するとともに、+H方向に突出する板状体であり、上端部分が半円状に形成されているとともに、中央部分には固定部23の板厚方向に貫通した固定用貫通孔26が形成されている。
【0038】
機器本体21の下端中央部から下方に設けたコネクタ接続部24は、機器本体21の内部に収容された電子機器類に対して電力を供給したり、電気信号を送受信したりするためのケーブルを接続するための接続部である。
【0039】
このような構成を有する物体検知センサ2は、コネクタ接続部24にコネクタを接続し、電力を供給することで、表面21aから超音波を発するとともに、反射した超音波を受信し、近傍に障害物などが存在するか否かを検知することができる。
【0040】
なお、本実施形態において物体検知センサ2は超音波を利用した物体検査センサであるが、必ずしもこの超音波を利用した物体検査センサである必要はなく、例えば赤外線などの光を利用してもよいし、また加速度センサなど異なる機能を有するセンサであってもよい。
【0041】
物体検知センサ2を保持するセンサ保持部3は、物体検知センサ2の外周を囲繞するフレーム31と、フレーム31の下方両端部から後方に突出するポケット32と、ポケット32の後端面を形成するブラケット側固定部32aから前方(+D方向)に突出する凸部33と、凸部33と対向するように後方(−D方向)に突出する枢動支持部34と、フレーム31の上端中央部分に設けられた固定用ネジ受け部35と、固定用ネジ受け部35の下に設けられた一対の係止片36とで構成されている。なお、フレーム31には車体との固定に用いられる車体用固定部が設けられているが、ここでは図示を省略する。
【0042】
フレーム31は、上辺が底辺よりもわずかに短い正面視略等脚台形状に形成された、奥行方向に所定の幅を有する枠体であり、正面中央部分には表面21aよりも一回り大きな貫通孔である機器設置空間Iが形成される。また、正面に形成された機器設置空間Iの底辺を形成する下方枠体31aは奥行方向Dに所定の幅を有する。
【0043】
ポケット32は、反円柱形状をした中空状の柱体であり、円弧部分が下方に配置されているとともに、上面が開口されている。このポケット32を形成する−D側の底面であるブラケット側固定部32aから略円錐台形状の凸部33が+D方向に突出している。
【0044】
この凸部33は、図2のα部の拡大図及び図3に示すように、上方側(+H方向側)のテーパー面が下方側(−H方向側)のテーパー面よりも長くなるように形成された略円錐台形状した柱体である。なお、凸部33の突出方向(奥行方向D)の長さは、延出部22の板厚と同じ長さとなるように構成されている。
【0045】
枢動支持部34はポケット32に対応するフレーム31の下端裏面から−D方向に突出する平板状の突出片であり、ポケット32を形成する半円状の底面における直径の約3分の1の幅を有する。また、枢動支持部34の奥行方向の先端の位置(−D方向端部)は、凸部33の先端(+D方向端部)の位置と略一致するように形成されている。換言すると、枢動支持部34の先端とブラケット側固定部32aとの間隔gは延出部22の板厚tと同じ長さである。
【0046】
また、枢動支持部34は凸部33の中心よりも、幅方向Wに対して内寄りに配置され、凸部33と枢動支持部34とは、図3(a)におけるβ部の拡大断面図に示すように、高さ方向Hに所定の間隔を隔てて配置されており、ポケット32に延出部22の先端部分を挿入可能な挿入口Sが形成されている。
【0047】
固定用ネジ受け部35は、フレーム31の上端中央部分から−D方向に突出する中空状の円柱体であり、その先端はコネクタ接続部24の先端と略同じ位置となるような高さとしている。なお、固定用ネジ受け部35の内部にはネジが螺合できるように螺旋状の溝部が設けられている(図示省略)。
【0048】
固定用ネジ受け部35の下方に設けられた係止片36は、固定用ネジ受け部35を幅方向Wの中心として左右に設けられた一対の係止片からなる係合部で、−D方向に延びた可撓性を有する係止軸部361と、係止軸部361の先端(−D方向端部)から幅方向Wの内側に向けて突出する係止爪362で構成されている。なお、係止爪362同士は互いに対向して配置されている。
【0049】
このような構成を有する物体検知センサ2とセンサ保持部3とを組み付ける方法について以下図4乃至図6に基づいて説明する。
はじめに、物体検知センサ2の下方両端部から延出される延出部22を、凸部33と枢動支持部34とで形成される挿入口Sに差込み(図4参照)、延出部22をポケット32に収容する(図5参照)。
【0050】
次に、ポケット32に挿入した延出部22の基端側前面を枢動支持部34に当接させて、枢動支持部34と延出部22との当接面を枢動軸として、物体検知センサ2を反時計回りに枢動させる(図5参照)。これにより、機器本体21が起き上がるとともに、ポケット32に案内されて延出部22に設けた凹部25が凸部33と嵌合する位置に枢動される(図6(a)及び図6(b)参照)。
【0051】
さらに、物体検知センサ2が組付け状態に向かうように枢動させることで、テーパー形状に形成された凸部33に凹部25が案内されて、凹部25と凸部33とが嵌合され、物体検知センサ2とセンサ保持部3とを固定できる(図6(b)及び図7参照)。この結果、機器本体21が高さ方向Hに沿うように立設されるとともに、表面21aが前面となるように機器本体21がフレーム31に形成される機器設置空間Iに設置されることとなる(図7参照)。なお、機器設置空間Iに設置された機器本体21の底面は下方枠体31a上に配置される。
【0052】
また、凹部25と凸部33とが嵌合されることにより、センサ保持部3に対する物体検知センサ2の位置を正確に決まることとなるため、固定部23に設けられた固定用貫通孔26が、固定用ネジ受け部35の位置に配置されるとともに、係止片36が固定部23を挟持して仮固定することとなる。
【0053】
このようにセンサ保持部3に対して物体検知センサ2が仮固定された状態で、固定用貫通孔26及び固定用ネジ受け部35にネジを螺合させて物体検知センサ2とセンサ保持部3とを固定する。これにより、物体検知センサ2とセンサ保持部3とが組付けられたセンサ組付構造体1を準備でき、例えば車体固定部と車体などに固定して、センサ組付構造体1を所望の位置に配置することができる。
【0054】
このような構成を有するセンサ組付構造体1は、車両に装着させる物体検知センサ2と、物体検知センサ2を保持するとともに車体に取り付け可能なセンサ保持部3とが組み付けられ、物体検知センサ2がセンサ保持部3に対して組付け状態に向かうように枢動を支持する枢動支持部34がセンサ保持部3に備えられ、物体検知センサ2とセンサ保持部3とを固定する延出部22に設けた凹部25及びブラケット側固定部32aに設けた枢動支持部34が備えられたことにより、簡単な構成で物体検知センサ2とセンサ保持部3とを容易且つ簡単に固定できる。
【0055】
詳述すると、センサ組付構造体1は、枢動支持部34に支持された物体検知センサ2を組付け状態に向けて枢動させる構成とすることより、延出部22に設けた凹部25およびブラケット側固定部32aから突出した凸部33とで物体検知センサ2とセンサ保持部3とを固定できる。すなわち、物体検知センサ2を枢動させるといった簡単な構成且つ容易な動作で、物体検知センサ2とセンサ保持部3とを組み付けることができる。
【0056】
また、ブラケット側固定部32aは、組付け状態において物体検知センサ2に向けて突出する凸部33が設けられ、延出部22は、凸部33と嵌合可能な凹部25が設けられ、この凸部33の突出方向と凹部25が設けられた延出部22とが組付け状態において交差する状態ため、物体検知センサ2を枢動させることで凸部33と凹部25とが枢動動作による圧力で嵌合して固定される。したがって、物体検知センサ2とセンサ保持部3とを容易かつ強固に固定できる。
また、凹部25と枢動支持部34とを嵌合する構成であるため、枢動動作によりセンサ保持部3に対する物体検知センサ2の位置決めを容易にできる。
【0057】
さらにまた、凸部33と枢動支持部34とが対向する向きで配置されるとともに、物体検知センサ2の表面である表面21aと延出部22およびブラケット側固定部32aとが枢動支持部34を介して反対側に配置されたことより、センサ保持部3に対する機器本体21の配置位置を調整することができる。
【0058】
詳述すると、凸部33と枢動支持部34とが対向することから、より具体的には、枢動支持部34が表面21aの表側(+D側)に設けられるとともに、凸部33が裏側(−D側)に設けられることから、枢動支持部34側(+D側)に組付け状態における物体検知センサ2の表面21aが配置されることとなる。この場合において、凸部33の突出方向(奥行方向D)に沿った枢動支持部34の長さを調整することにより、センサ保持部3に対する物体検知センサ2の表面の位置を調整することができる。
【0059】
より詳しくは、仮に枢動支持部34の長さを長くした場合、機器本体21の表面である表面21aも後方(−D方向側)に配置されることとなり、逆に枢動支持部34の距離を短くした場合には表面21aが前方(+D方向側)に配置されることとなる。すなわち、枢動支持部34の長さを調整することにより、物体検知センサ2の特性に応じた位置に物体検知センサ2を配置できる。
【0060】
例えば、物体検知センサ2のような超音波を利用した超音波センサでは、別部材を設けることなく超音波の波長特性などを考慮した位置に物体検知センサ2を配置できる。このように、センサ保持部3に対する物体検知センサ2の位置を調整することが簡単な構成でできるとともに、余計な位置調整機構を設けることを防止できる。
【0061】
また、枢動支持部34の先端とブラケット側固定部32aとの間隔gが、延出部22の板厚tと同じ長さで構成することにより、物体検知センサ2とセンサ保持部3とを組み付けた組付状態においてブラケット側固定部32aと枢動支持部34とで延出部22を挟み込んで固定することができる(図6(b)参照)。
【0062】
具体的には、枢動支持部34と延出部22およびブラケット側固定部32aとで物体検知センサ2とセンサ保持部3とを固定することができる。また、物体検知センサ2、枢動支持部34とブラケット側固定部32aで延出部22を挟み込むことができるため物体検知センサ2とセンサ保持部3との間のガタツキを防止できる。
【0063】
また、凸部33の先端がテーパー状に形成されたことにより、凹部25が凸部33に確実に案内されるため、物体検知センサ2と枢動支持部34とをより容易に固定できるとともに、センサ保持部3に対する物体検知センサ2の位置決めをより容易にできる。
【0064】
さらにまた、物体検知センサ2がセンサ保持部3との組み付け状態に向かうように枢動する枢動状態において、延出部22とブラケット側固定部32aとを囲繞するポケット32が備えられたことにより、ポケット32が、組付け状態において延出部22及びブラケット側固定部32aと他の部品とが干渉することを防止できるため、延出部22およびブラケット側固定部32aに外力が作用して、延出部22とブラケット側固定部32aとの固定が解除されることを防止できる。
【0065】
また、仮に延出部22とブラケット側固定部32aとの固定が解除された場合であっても、ポケット32が延出部22およびブラケット側固定部32aを受け止めて保持することができるため、物体検知センサ2が落下することを防止できる。
【0066】
さらにまた、囲繞体に延出部22が枢動する際に、延出部22がポケット32に沿って案内できるため、凸部33に凹部25を確実に案内して嵌合させることができる。これにより、物体検知センサ2とセンサ保持部3とを確実に固定させることができる。
【0067】
また、枢動支持部34に対して、延出部22およびブラケット側固定部32aが配置された側と反対側(+H方向側)に固定部23及び固定用ネジ受け部35を設けたことにより、すなわち、枢動支持部34に対して一方側に延出部22およびブラケット側固定部32aが配置されるとともに、他方側に固定部23及び固定用ネジ受け部35が配置されるため、枢動支持部34に対する一方側(下方側)及び他方側(上方側)の双方を固定することができ、物体検知センサ2とセンサ保持部3とをより強固に固定できる。
【0068】
さらに、図7に示すように、固定部23及び固定用ネジ受け部35が、組み付け状態に向けて枢動する物体検知センサ2の枢動方向側にネジなどを螺合して固定する場合、具体的には、固定部23及び固定用ネジ受け部35をネジなどを螺合して枢動方向側へ固定することにより、枢動支持部34を介して反対側に配置された凹部25に力が作用して、凹部25と凸部33とをより強固に固定することができる。
【0069】
また、延出部22およびブラケット側固定部32aが下端側の幅方向両端に2つ設けられるとともに、固定部23及び固定用ネジ受け部35が、2つの延出部22およびブラケット側固定部32aの間に対応する位置に1つ設けられたことにより、物体検知センサ2とセンサ保持部3とを3点で固定することができ、二軸での軸回転を防止でき、物体検知センサ2とセンサ保持部3とを安定してて固定できるとともに、位置ずれを防止できる。
【0070】
また、組み付け状態において、物体検知センサ2とセンサ保持部3とを枢動によって仮固定する係止片36が設けられたことにより、係止片36により固定部23の幅方向を挟み込んで仮固定できる。これにより、物体検知センサ2とセンサ保持部3とが正確に位置決めされた位置で固定部23及び固定用ネジ受け部35を仮固定できるため、固定部23及び固定用ネジ受け部35を容易に固定できる。また、仮に固定部23及び固定用ネジ受け部35の固定が解除された場合であっても、係止片36によって物体検知センサ2とセンサ保持部3との固定状態を維持できる。
【0071】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、機器は、物体検知センサ2に対応し、
ブラケットは、センサ保持部3に対応し、
組付構造体は、センサ組付構造体1に対応し、
枢動支持部は、枢動支持部34に対応し、
枢動固定部は、延出部22及びブラケット側固定部32aに対応し、
ブラケット側固定部は、ブラケット側固定部32aに対応し、
機器側固定部は、延出部22に対応し、
凸部は、凸部33に対応し、
凹部は、凹部25に対応し、
囲繞部は、ポケット32に対応し、
固定部は、固定部23及び固定用ネジ受け部35に対応、
仮固定部は、係止片36に対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0072】
例えば、本実施形態において、枢動固定部は延出部22及びブラケット側固定部32aに対応しているが、固定部23を突部とするとともに、固定用ネジ受け部35を凹部とした構成とし、これらの凸部と凹部とが物体検知センサ2の枢動により固定される構成としてもよい。
【0073】
このように、枢動固定部は固定部23が配置されている箇所に配置してもよいし、また仮固定部に対応する係止片36を枢動固定部に対応させてもよい。これらの場合、延出部22及びブラケット側固定部32aを備えない構成としても構わない。
【0074】
換言すると、本実施形態では物体検知センサ2とセンサ保持部3とを固定する手段として、凸部33及び凹部25、並びに、固定部23及び固定用ネジ受け部35の2箇所で固定する構成としているが、どれか一か所を枢動固定部として物体検知センサ2とセンサ保持部3とを固定する構成としてもよい。
【0075】
また、本実施形態では、延出部22が枢動支持部34に枢動支持される構成としているが、枢動支持部34が機器本体21を枢動支持する構成としても構わない。この場合に、枢動固定部を枢動支持部34で支持される機器本体21に設けてもよいが、機器本体21を支持する枢動支持部34を枢動軸として物体検知センサ2を枢動することにより固定できるのであれば、他の場所に設けても構わない。すなわち、枢動支持部34に枢支される位置は、必ずしも延出部22の一部である必要はなく、機器本体の端部でも構わない。
【0076】
さらにまた、本実施形態では、枢動支持部34を平板状としているが、物体検知センサ2の一部を枢動可能に支持できれば形状は限定されず、例えば、鉤爪状に形成するとともに、延出部22に鉤爪状に形成された枢動支持部34を係止可能な貫通孔が設けられていても構わない。
【0077】
この場合、センサ保持部3に対する物体検知センサ2の枢動が容易となるとともに、枢動支持する位置が所定の箇所に固定し易いため、凸部33と凹部25との嵌合がより確実かつ容易に行われるとともに、仮に嵌合部位に破損が生じた場合でも枢動支持部34で物体検知センサ2とセンサ保持部3とを係止することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 センサ組付構造体
2 物体検知センサ
3 センサ保持部
22 延出部
23 固定部
25 凹部
32 ポケット
32a ブラケット側固定部
33 凸部
34 枢動支持部
35 固定用ネジ受け部
36 係止片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7