(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
[第1実施形態]
<自動分析装置10>
図1は、第1実施形態に係る自動分析装置10の構成を示す図である。
自動分析装置10は、試薬保冷装
置1、試料保管装置2及び反応装置3を有している。
(試薬保冷装置1)
試薬保冷装置1は、検査(ここでは血液凝固反応)のための試薬が保管される装置である。
試薬保冷装置1は、試薬保冷庫(
試薬保冷装置)100と、冷却機(冷却部)200とを有する。なお、
図1の試薬保冷庫100は、図が煩雑になるのを避けるため、試薬カバー120(
図2参照)を省略している。
試薬保冷庫100は、冷却機200によって、その内部が低温に保たれている。
試薬ボトル101は、試薬が周囲環境により変性(劣化)するのを防止するため、低温に温度制御された試薬保冷庫(保冷部)100の中に収納されている。
【0017】
試薬保冷庫100は、その内部に試薬ディスク102を有する。試薬ディスク102は、後記する
図5等に示すように有底円筒型L字状の形態を有しており、複数の試薬ボトル101を載置(収容)している。
試薬ディスク102は、回転軸130に接続している。図示しないモータ等の駆動部によって回転軸130が正逆方向に回転することに伴い、試薬ディスク102も正逆方向に回転可能である。このような試薬ディスク102の回転により、試薬ボトル101は試薬の分注位置に移動される。そして、試薬分注プローブ5が、前もって試料が分注されている反応容器32に必要量の試薬をノズル51によって分注する。ここで、試料とは血液等の検体のことである。
なお、前記したように試薬保冷庫100には蓋として試薬カバー120が備えられるが、
図2において試薬カバー120の説明をし、前記のように
図1では試薬カバー120を図示省略している。
試薬保冷装置1の詳細は、
図2を参照して後記する。
【0018】
(試料保管装置2)
試料保管装置2は、検査に用いられる血液検体等の試料を保管する装置である。
試料保管装置2は、図示しないモータによって回転可能な試料ディスク22を有している。そして、試料ディスク22の周囲には試料の入った複数の試料容器21が配置されている。試料ディスク22が図示しないモータによって回転すると、試料容器21が分注位置に移動される。そして、試料分注プローブ4が試料容器21から必要量の試料を吸い上げ、反応容器32に分注する。
【0019】
(反応装置3)
反応装置3は、試料と試薬とが混合し、反応(ここでは、血液凝固反応)させる装置である。
反応装置3は、図示しないモータによって回転可能な反応ディスク31を有している。反応ディスク31の周囲には反応容器32が配列されている。反応容器32の周囲には恒温水が収容されている恒温槽33が備えられている。恒温水は反応容器32の温度を一定(例えば37℃)に保つために温度制御されている水である。また、反応ディスク31には光度計34が備えられている。光度計34は、反応容器32、つまり混合液に光を照射する光源(不図示)と、混合液を通過した光を検出する検出器(不図示)からなる。
このようにして、光度計34は反応容器32に分注された試料と試薬との混合液の反応に基づく光を測定する。
【0020】
<試薬保冷装置1の詳細>
図2は、第1実施形態に係る試薬保冷装置1の構成を示す図である。
図1に示す自動分析装置10における試薬保冷装置1について
図2を用いて詳しく説明する。なお、
図2において、
図1に示してある構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
試薬保冷装置1に備えられる冷却機200は冷媒が循環する凝縮器、放熱器、圧縮器、循環ポンプ等のヒートポンプ機構を備えている。そして冷却機200は、5℃〜10℃に冷却した冷却水を試薬保冷庫100に供給する。これにより、試薬保冷庫100の内部が冷却される。
【0021】
試薬保冷装置1は試薬ジャケット(保冷部)110と、試薬カバー(保冷部)120を有している。
試薬ジャケット110は、試薬を収納した複数の試薬ボトル101を配列できる回転可能な試薬ディスク102の周囲及び下部(上部を除く)を囲うように配置されている。また、試薬ジャケット110は、発泡材等の断熱材で構成され、その内部に、冷却機200から供給される冷却水の循環経路(不図示)を備えている。試薬ジャケット110の内部に備えられている循環経路を冷却水が循環することにより、試薬保冷庫100の内部が冷却される。
【0022】
試薬カバー120は試薬ジャケット110の上部開放部を覆うものである。
なお、試薬カバー120は発泡材等の断熱材で構成されている。これにより、試薬カバー120と、試薬ジャケット110によって試薬保冷庫100は断熱を保つことが可能である。そして、前記したように冷却水が試薬ジャケット110の内部を循環することにより、試薬保冷庫100の内部は冷却されている。
【0023】
試薬カバー120には試薬ボトル101を出し入れするための開口部121と、この開口部121を開け閉めする開閉自在な開閉扉(開閉部)122が設けられている。開閉扉122は試薬カバー120と同様、結露を生じにくくするために発泡材等の断熱材で構成されている。開口部121には開閉扉122の開け閉めを検出する検出装置(開閉検出部)123が備えられている。検出装置123は、開閉扉122が開いている場合では分析動作を行わないようにするためのものである。また、この検出装置123は開閉扉122の開け閉めによってオン・オフ作動するスイッチである。なお、検出装置123は開口部121又は開閉扉122の周辺や、開閉扉122に備えられていてもよい。検出装置123は、例えば、赤外線センサや、機械スイッチ等である。
【0024】
さらに、試薬カバー120には、試薬分注プローブ5のノズル51(
図1参照)が出入りするための出入り孔(開口部、孔)124が設けられている。この出入り孔124を介して、
図1に示す試薬分注プローブ5が出し入れされる。出入り孔124に挿入された試薬分注プローブ5は、試薬ボトル101から試薬を小出しに吸引して反応容器32(
図1参照)に分注する。この出入り孔124は、開口部121に比べて小さい開口であるので、開閉扉122のような蓋を設けていない。
【0025】
<吸引機構>
次に、第1実施形態で用いられる試薬カバー120に設けられる多孔質枠部材201(
図3等参照)と吸引機構について説明する。
図3は試薬カバー120を上面からみた際における吸引枠部材201の配置を説明する図であり、
図4は、
図3に示す符号A―Aの断面概略図である。なお、
図3及び
図4では、
図5及び
図6で後記する循環ファン404や、配管301〜303,311,312等が省略されている。
なお、
図3において、図をわかりやすくするため、開閉扉122が省略されている。
多孔質枠部材(吸引部、多孔質部)201は第1多孔質枠部材(吸引部、多孔質部)201aと、第2多孔質枠部材(吸引部、多孔質部)201bとを有する。
第1多孔質枠部材201aは、
図3及び
図4に示すように試薬カバー120の開口部121の周辺を取り囲むように設置されている。
第2多孔質枠部材201bは、出入り孔124周辺を取り囲むように設置されている。
【0026】
多孔質枠部材201は、例えば、スポンジ状につながった穴が形成されたセラミック製の多孔質材料である。このような構成とすることで真空吸引等の吸引機構と接続することで、広範囲を均一に吸引することが可能である。
【0027】
第1多孔質枠部材201aは、開閉扉122が開状態となっている場合、開口部121から高温多湿な外気を試薬保冷庫100内に流入させないことを目的に設置されるものである。
同様に、第2多孔質枠部材201bは、出入り孔124から高温多湿な外気を試薬保冷庫100内に流入させないことを目的に設置されるものである。
なお、配管301,311については後記する。
【0028】
<動作:開閉扉122 開状態>
次に、第1実施形態に係る試薬保冷装置1の動作について
図5及び
図6を参照して説明する。なお、
図5及び
図6において、
図1〜
図4で説明済みの構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図5は、開閉扉122が開状態である場合における試薬保冷装置1における空気の流れを示す図である。
なお、
図5及び
図6において、白抜きの矢印は空気の流れを示している。
【0029】
(第1多孔質枠部材201a)
まず、第1多孔質枠部材201aについて説明する。
なお、
図5に示すように、第1多孔質枠部材201a(201)には配管301が接続されている。そして、配管301は制御バルブ401に接続されている。制御バルブ401には、配管301の他に、プローブ洗浄水の残渣吸引等を行う、その他機構部402に接続されている配管302、真空ポンプ(排出部)403に接続している配管303が接続されている。ここで、真空ポンプ403はプローブ洗浄水の残渣を吸引する等の目的で一般的に設置されている真空ポンプ403を使用することができる。また、制御バルブ401は、三方弁であり、配管301と、配管302とで入口側を切り替えることができる。ちなみに、制御バルブ401(三方弁)の出口側は、配管303となるように固定されている。
【0030】
図5に示すように、開閉扉122が開状態となっている場合、制御バルブ401(三方弁)は配管301が入口側となるように切り替えられている。なお、開閉扉122が開状態となるのは試薬ボトル101が交換される場合等である。この場合、
図7で後記する制御装置500の開閉検出部521が、開口部121に設けられている検出装置123によって開閉扉122の開状態を検出する。すると、
図7で後記する制御装置500のバルブ制御部522が制御バルブ401(三方弁)の入口側が配管301となるよう、制御バルブ401を切り替える。
【0031】
これによって、開口部121から流入した外気は、真空ポンプ403によって第1多孔質枠部材201a、配管301、制御バルブ401、真空ポンプ403、配管303を介して、試薬保冷装置1の外部へ排出される。
このようにすることで、開閉扉121を開けた際に開口部121から試薬保冷庫100内に向かう外気を吸引し、この外気が試薬保冷庫100内に到達することを防止することができる。これにより、外気が試薬保冷庫100内に流入することを防止することができ、外気に由来する結露を防止することができる。
【0032】
また、前記したように第1多孔質枠部材201aは広範囲の空気を均一に吸引することが可能なため、開口部121から流入する外気を効率よく吸引することができる。さらに、第1多孔質枠部材201aが開口部121を取り囲むように設置されている。このようにすることで、開口部121の4辺(全周方向)から吸引可能とすることを容易に実現することができる。
【0033】
(第2多孔質枠部材201b)
続いて、第2多孔質枠部材201bについて
図5を参照して説明する。
第2多孔質枠部材201b(201)には、配管311が接続されており、その配管311は循環ファン404の入口側に接続されている。また、循環ファン404の出口側には配管312が接続されている。なお、この例での循環ファン404は冷却機200とは別に備えられているものである。
循環ファン404によって、試薬保冷庫100内の冷気及び出入り孔124から流入した外気は、循環ファン404によって生成される空気の流れによって第2多孔質枠部材201bから吸引される。そして、第2多孔質枠部材201bから吸引された冷気及び外気は、配管311、循環ファン404、配管312を介して試薬保冷庫100に戻る。
【0034】
このように、試薬保冷庫100内の冷気は、循環ファン404の吸引力によって第2多孔質枠部材201bから吸引され、試薬ジャケット110の底面から試薬保冷庫100に戻るように循環する。このような循環路により試薬保冷庫100内において出入り孔124付近に向かう上向きの流れが生じる。このような流れが生じることで出入り孔124における外気の流入を防止することができる。さらに、出入り孔124に流入した外気も第2多孔質枠部材201bから吸引されるため、試薬保冷庫100内に直接到達することはない。
【0035】
このように、出入り孔124の周囲に第2多孔質枠部材201bが配置される。そして、その第2多孔質枠部材201bから試薬保冷庫100内の空気が吸引されるようにすることで、試薬保冷庫100の内部に外気が流入することを防止することができる。これにより、外気に由来する結露が試薬カバー120の裏側に生じることを防止することができる。
【0036】
なお、前記したように第2多孔質枠部材201bは広範囲の空気を均一に吸引することが可能なため、複数設けられる出入り孔124に流入する冷気及び外気を効率よく吸引することができる。また、出入り孔124を取り囲むように第2多孔質枠部材201bが設置されることにより、出入り孔124の全周方向から空気を吸引することができる。
また、冷気循環経路(配管311、循環ファン404、配管312)を流れるのは試薬保冷庫100内の冷気のみであるため、試薬保冷庫100内の温度に与える影響を低減することができる。また、前記したように、冷気循環経路(配管311、循環ファン404、配管312)を流れる冷気は、試薬保冷庫100の底面から試薬保冷庫100に流入する。このため、例え、外気の影響で配管311、循環ファン404、配管312を流れる冷気が、多少温まっても、これによって生じる結露は試薬保冷庫100の下部に生じる。その結果、試薬カバー120の裏側に生じることはない。
【0037】
<動作:開閉扉122 閉状態>
図6は、開閉扉122が閉状態である場合における試薬保冷装置1における空気の流れを示す図である。
(第1多孔質枠部材201a)
図6に示すように開閉扉122が、閉状態となるのは自動分析装置10が待機中、又は分析中の状態となっている場合である。自動分析装置10が、このような状態である場合、開閉扉122は閉められているので、開口部121からの外気の流入はない。従って、第1多孔質枠部材201aによる外気の吸引を行う必要は特にない。
具体的には、開閉扉122が閉状態となっている場合、制御バルブ401(三方弁)は制御バルブ401の入口側が配管302となるように切り替えられている。すなわち、
図7で後記する制御装置500の開閉検出部521が、開閉扉122に設けられている検出装置123によって開閉扉122の閉状態を検出する。すると、
図7で後記する制御装置500のバルブ制御部522が制御バルブ401(三方弁)の入口側が配管302となるよう、制御バルブ401を切り替える。これにより、第1多孔質枠部材201aによる吸引は停止する。
【0038】
この状態では、真空ポンプ403は制御バルブ401等を介し、プローブ洗浄水の残渣吸引等のその他機構部402の吸引源として使用されている。
【0039】
このようにすることにより、開閉扉122が閉状態となっている場合、第1多孔質枠部材201aによる吸引が行われない。このため、無駄な吸引が行われず、作動効率を向上させることができる。
また、その他機構部402の吸引源として使用される真空ポンプ403を、第1多孔質枠部材201aの吸引源として利用することで、新たな真空ポンプ403を設置する必要がなくなる。その結果、コストの削減、構造の単純化等を実現することができる。
【0040】
(第2多孔質枠部材201b)
図6に示すように、開閉扉122が閉状態でも、第2多孔質枠部材201bは、
図5に示す開閉扉122が開状態と同じ動作をする。すなわち、第2多孔質枠部材201bでは、常時吸引が行われている。
また、第1多孔質枠部材201aの吸引機構は開閉扉122の開け閉めを検出する検出装置123(
図2参照)と連携することで、開閉扉122が開いている時のみ動作させることは容易である。
【0041】
なお、
図5及び
図6では、制御バルブ401は三方弁であり、入口側を配管301と、配管302を切替可能となっているが、配管301、配管302それぞれに二方弁が備えられるようにしてもよい。そして、開閉扉122が開状態の場合、配管301に備えられた二方弁が開状態となり、配管302に備えられた二方弁が閉状態となる。また、開閉扉122が閉状態の場合、配管301に備えられた二方弁が閉状態となり、配管302に備えられた二方弁が開状態となる。
【0042】
<システム>
図7は、第1実施形態に係る自動分析システムZの構成を示すブロック図である。
自動分析システム(保冷システム)Zは、自動分析装置10及び制御装置500を有する。
自動分析装置10は試薬保冷装置1を有している。そして、試薬保冷装置1は検出装置123、制御バルブ401を有している。なお、自動分析装置10及び試薬保冷装置1において、
図7の説明に不要な構成は図示省略している。
制御装置500は、検出装置123から開閉扉122の開閉を検出すると、開閉扉122の開閉状態に応じて制御バルブ401を
図5及び
図6に示すように制御する。
【0043】
<制御装置500>
図8は、第1実施形態で用いられる制御装置500の構成を示す図である。
制御装置500は、CPU510、メモリ520、記憶装置530及び通信装置540を有している。
通信装置540は、試薬保冷装置1に備えられている検出装置123(
図7参照)から検出信号を受信する。
メモリ520には記憶装置530に格納されているプログラムがロードされている。そして、メモリ520にロードされたプログラムがCPU510によって実行されることで、開閉検出部521、バルブ制御部522が具現化する。
開閉検出部521は、通信装置540を介して受信した検出装置123の検出信号から開閉扉122の開閉状態を検出する。
バルブ制御部522は、開閉検出部521が検出した開閉扉122の開閉状態に応じて制御バルブ401(
図5〜
図7)を制御する。
【0044】
また、第1実施形態によれば、
図5及び
図6に示す配管301〜303,311,312を試薬保冷庫100の外部に設置することができる。そのため、試薬カバー120を大型化する必要がなく、多くの試薬ボトル101を収容することができる。
【0045】
第1実施形態によれば、内部が冷気で満たされている試薬保冷庫100の開口部(開口部121、出入り孔124)に空気を吸引する吸引部(多孔質枠部材201)が備えられている。このようにすることで、開口部から暖かい外気が流入するのを防ぐことができる。その結果、試薬保冷庫100の内部の結露を低減することができる。
【0046】
そして、特許文献1のような送風機を試薬保冷庫100の内部に設けなくてもよいので、試薬保冷庫100の内部を有効に利用することができ、収容可能な試薬ボトル101を増やすことができる。さらに、特許文献2のようなエアーカーテンを設けないので、結露防止のための機構を簡略化することができ、試薬保冷庫100内部に配置する配管の数を減らすことができる。
【0047】
また、第1実施形態によれば、吸引部が多孔質部材である多孔質枠部材201で構成されている。このようにすることで、吸引機構を簡略化することができる。また、広範囲の空気を均一に吸引することができる。
さらに、多孔質枠部材201は、開口部(開口部121、出入り孔124)を取り囲むように設置されている。このようにすることで、簡略な構成で開口部(開口部121、出入り孔124)の全周方向から空気を吸引することができる。
【0048】
そして、開口部が容器である試薬ボトル101を出し入れするための開口部121であり、開閉扉122を備えている。このようにすることで、試薬ボトル101を出し入れする開閉扉122を備えている試薬保冷装置1は、外気に由来する結露を防止することができる。
【0049】
また、開口部121の開閉扉122の開閉を検出する検出装置123が備えられている。そして、開閉扉122が開状態の場合、吸引部である第1多孔質枠部材201aからの吸引が行われる。また、開閉扉122が閉状態の場合、第1多孔質枠部材201aからの吸引が行われない。このようにすることで、無駄な吸引を行わないようにすることができる。
【0050】
さらに、第1多孔質枠部材201aでの吸引以外の目的で設置されている排出部である真空ポンプ403によって試薬保冷庫100の外部へ第1多孔質枠部材201aで吸引された空気が排出される。このようにすることで、既存の真空ポンプ403を利用することが可能となる。
【0051】
そして、試薬保冷庫100の内部に保管されている試薬ボトル101から試薬を吸引するためのノズル51が挿入されるための出入り孔124に第2多孔質枠部材201bが設けられている。そして、第2多孔質枠部材201bが吸引する空気は、外部から出入り孔124に流入した外気であるとともに、試薬保冷庫100内部の冷気である。ノズル51が挿入される出入り孔124には、開閉扉を設けていない。そこで、外部から出入り孔124に流入した外気と共に、試薬保冷庫100内部の冷気を吸引することで、出入り孔124に上向きの空気の流れが生じる。これにより、常時開口している出入り孔124からの外気の試薬保冷庫100内への流入を防ぐことができる。このため、試薬カバー120の裏側での結露が防止される。
【0052】
また、出し入れ孔124から吸引された空気は、試薬保冷庫100に戻るよう循環している。このようにすることで、試薬保冷庫100内の冷気のみを循環させることができ、試薬保冷庫100内の温度に与える影響が低減される。
【0053】
また、第2多孔質枠部材201bでは常時吸引が行われている。これにより、出入り孔124に上向きの空気の流れが常時生じるため、外気の試薬保冷庫100内への流入を常時防ぐことができる。
【0054】
また、第1実施形態では、開口部121及び出入り孔124が試薬カバー120の天面に設けられている。このようにすることで、天面に設けられている開口部121及び出入り孔124から流入した外気が、試薬カバー120の裏側に結露することを防止することができる。これにより、試薬ボトル101に試薬カバー120の裏側で結露した水滴が滴下するのを防止することができる。
【0055】
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態に係る試薬保冷装置1aにおける空気の流れを示す図である。
図9に示す試薬保冷装置1aが、
図5及び
図6に示す試薬保冷装置1aと異なる点は、第2多孔質枠部材201bによる吸引の循環経路である。すなわち、第1多孔質枠部材201aによる吸引の経路は
図5及び
図6と同様である。
【0056】
第1実施形態の試薬保冷装置1aが水冷式の保冷機構を有しているのに対し、
図9に示す試薬保冷装置1aでは、空冷式の保冷機構を有している。すなわち、
図9の冷却機200aは、
図1の冷却機200に相当するものであり、その内部には、冷却のための循環ファン211を備えている。
【0057】
すなわち、試薬保冷装置1aの冷却機200aは冷媒が循環する凝縮器(不図示)、放熱器(不図示)、圧縮器(不図示)、循環ファン211等のヒートポンプ機構を備えている。そして、第2多孔質枠部材201bから吸引された空気は、配管321を介して冷却機200aへ送られる。そして、冷却機200aの循環ファン211によって5℃〜10℃に冷却された冷気が、配管322を介して試薬保冷庫100に戻る。
【0058】
冷却機200aにより冷却された冷気は、配管322を介して試薬ジャケット110の底面から試薬保冷庫100に導入され、試薬保冷庫100内の導風板(不図示)により、試薬ボトル101を冷却する。その後、試薬保冷庫100内の冷気は試薬カバー120に設けられた第2多孔質枠部材201bから吸引され、配管321を介して冷却機200aに戻る。
【0059】
第2多孔質枠部材201bによって、試薬保冷庫100内部の空気が吸引されることにより、出入り孔124において上向きの流れが発生する。この上向きの空気の流れにより、出入り孔124から高温多湿な外気が流入することが防止され、試薬保冷庫100内の結露の発生を防止することができる。ちなみに、外気が出入り孔124に流入したとしても、その外気は第2多孔質枠部材201bから吸引され、すぐに冷却機200aに到達する。そして、冷却機200a内で外気中の水分は結露する。このため、試薬カバー120の裏側で結露が生じることはない。
【0060】
第2実施形態によれば、第2多孔質枠部材201bで吸引される空気(冷気)の流れは、冷却機200aの循環ファン211により形成される。つまり、第1実施形態では、冷却機200とは別に循環ファン404(
図5及び
図6参照)を設ける必要がある。しかし、第2実施形態では、冷却機200aの循環ファン211を利用することができるため、第1実施形態のように循環ファン404を別途備えることがない。そのため、第2実施形態における試薬保冷装置1aは、第1実施形態における試薬保冷装置1よりも簡単な構造で結露の発生を防止することができる。
【0061】
[第3実施形態]
図10は、第3実施形態にに係る試薬保冷装置1bの構成を示す図である。
図10において、
図5及び
図6と同様の構成については、
図5及び
図6と同一の符号を付して説明を省略する。
図10に示す試薬保冷装置1bが、
図5及び
図6に示す試薬保冷装置1と異なる点は、試薬ジャケット110aにおいて開閉扉122aを備えた開口部121aが試薬保冷庫100bの側面に設けられていることである。
このように、開口部121aが試薬保冷庫100bの側面に設けられた場合でも、第1実施形態と同様に、第1多孔質枠部材201a(201)が開口部121aの周辺を取り囲むように設置される。そして、制御バルブ401が
図5及び
図6と同様に制御される。これにより、真空ポンプ403による吸引によって、開閉扉122aが開いている時に開口部121aから流入する高温多湿な外気が試薬保冷庫100b内に流入することを防ぐことができる。
なお、第1実施形態と同様の構造及び制御方法で試薬保冷庫100b内への出入り孔124における外気の流入を防止することができる。
【0062】
[第4実施形態]
図11は、第4実施形態に係る試薬保冷装置1cの構成を示す図である。
図11において、
図9と同様の構成については、
図9と同一の符号を付して説明を省略する。
図11に示す試薬保冷装置1cが、
図9に示す試薬保冷装置1aと異なる点は、試薬ジャケット110aにおいて開閉扉122aを備えた開口部121aが試薬保冷庫100cの側面に設けられていることである。
ここでは、空冷式の冷却機200aを備える試薬保冷装置1cにおいて、
図10と同様に試薬保冷庫100cの側面に開口部121aが設けられている。そして、第1多孔質枠部材201a(201)が開口部121aの周辺を取り囲むように設置される。そして、制御バルブ401が
図5及び
図6と同様に制御される。これにより、真空ポンプ403による吸引によって、開閉扉122aが開いている時に開口部121aから流入する高温多湿な外気が試薬保冷庫100c内に流入することを防ぐことができる。
なお、第2実施形態と同様の構造及び制御方法で試薬保冷庫100c内への出入り孔124における外気の流入を防止することができる。
【0063】
なお、第3実施形態及び第4実施形態では、試薬ジャケット110の側面に開口部121aが設けられているが、これに限らず、試薬保冷庫100の天面以外の場所に設けられてもよい。例えば、試薬ジャケット110の下面等に開口部が設けられてもよい。このようにすることで、試薬保冷庫100の天面以外の場所に開口部が設けらている場合でも、本実施形態を適用することができる。
【0064】
なお、出入り孔124は省略可能である。
また、本実施形態では、多孔質枠部材201で吸引機構を構成しているが、これに限らない。例えば、開口部121(121a)や、出入り孔124に細かい穴が開いており、そこに接続された配管301で吸引が行われてもよい。
【0065】
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を有するものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0066】
また、前記した各構成、機能、各部521,522、記憶装置530等は、それらの一部又はすべてを、例えば集積回路で設計すること等によりハードウェアで実現してもよい。また、
図8に示すように、前記した各構成、機能等は、CPU510等のプロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、HD(Hard Disk)に格納すること以外に、メモリ520や、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、IC(Integrated Circuit)カードや、SD(Secure Digital)カード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に格納することができる。
また、各実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてよい。