(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
体内に埋め込まれて用いられる本体部と、前記本体部のうち薬液注入のための注射針が挿通される軟質部と、前記軟質部の周囲に設けられた第1のコイルを有する受電部と、を備える医療器具の所定箇所を検出する体外ユニットに対して着脱自在な送電シートであって、
板状をなすシート部と、
前記シート部の一方に設けられ、電力を伝送するための第2のコイルと、
前記シート部の他方に設けられ、前記第2のコイルと前記体外ユニットの電源部とを電気的に接続する接続部と、
前記第2のコイル内に、注射針を注入可能な孔と、
を備え、
前記孔の内径寸法は、前記軟質部の外形寸法よりも小さく、
前記孔は、複数個で構成される、
送電シート。
電力を非接触によって伝送する送電部と、前記送電部から伝送された前記電力を受電する受電部と、前記送電部および前記受電部のどちらか一方を有し、体内に埋め込まれて用いられる医療器具と、前記送電部および前記受電部のどちらか他方を有する体外ユニットと、を備える医療装置が実行する位置検出方法であって、
前記医療器具は、
体内に埋め込まれて用いられる本体部と、
前記本体部のうち薬液注入のための注射針が挿通される軟質部と、
を有し、
前記受電部は、
前記軟質部の周囲に設けられた第1のコイルを有し、
前記送電部は、
前記電力を伝送するための第2のコイルと、
前記第2のコイル内に、注射針を注入可能な孔と、
を有し、
前記孔の内径寸法は、前記軟質部の外形寸法よりも小さく、
前記孔は、複数個で構成され、
前記体外ユニットを移動させながら、前記送電部が前記電力を前記受電部に向けて伝送している場合において、前記送電部と前記受電部との相対的な位置関係が所定の状態に達したとき、該所定の状態になったことを報知する、
位置検出方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、発光材を樹脂材料に混合させて軟質部を構成した場合、発光材が凝集してしまい、濃度消光により発光材が発する近赤外蛍光量が低減し、結果的に軟質部の位置を特定することが困難となる可能性がある。
【0007】
なお、ここでは、軟質部を有する医療器具について述べたが、軟質部を有さない体内埋込型の医療装置においても同様の問題を有している。
【0008】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、体内に埋め込められて用いられる医療器具における所定箇所を容易に確認することができる医療装置、体外ユニット、送電シート、医療器具および位置検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に医療装置は、電力を非接触によって伝送する送電部と、前記送電部から伝送された前記電力を受電する受電部と、前記送電部および前記受電部のどちらか一方を有し、体内に埋め込まれて用いられる医療器具と、前記送電部と前記受電部のどちらか一方の移動に伴って、前記送電部と前記受電部との相対的な位置関係が所定の状態に達した場合に、該所定の状態になったことを報知する報知部と、を備える。
【0010】
また、本開示に係る医療装置は、上記開示において、前記報知部は、前記受電部が受電した前記電力に基づいて、前記所定の状態になったことを報知する。
【0011】
また、本開示に係る医療装置は、上記開示において、前記報知部は、前記受電部が受電した電力値が所定の閾値を超えた場合、前記所定の状態になったことを報知する。
【0012】
また、本開示に係る医療装置は、上記開示において、前記報知部は、光を発することによって前記所定の状態になったことを報知する発光部、音声を出力することによって前記所定の状態になったことを報知する出力部および前記所定の状態になったことを示す情報を表示することによって報知する表示部のうち一つ以上で構成されている。
【0013】
また、本開示に係る医療装置は、上記開示において、前記医療器具は、体内に埋め込まれて用いられる本体部と、前記本体部のうち薬液注入のための注射針が挿通される軟質部と、を有し、前記受電部は、前記軟質部の周囲に設けられた第1のコイルを有する。
【0014】
また、本開示に係る医療装置は、上記開示において、前記送電部および前記報知部を有する体外ユニットをさらに備える。
【0015】
また、本開示に係る医療装置は、上記開示において、前記体外ユニットは、前記送電部に電力を供給する電源部と、前記電源部を収容する筐体部と、をさらに有し、前記送電部は、前記筐体部に対して着脱自在である。
【0016】
また、本開示に係る医療装置は、上記開示において、前記送電部は、板状をなすシート部と、前記シート部の一方に設けられ、前記電力を伝送するための第2のコイルと、前記シート部の他方に設けられ、前記第2のコイルと前記電源部とを電気的に接続する接続部と、を有する。
【0017】
また、本開示に係る医療装置は、上記開示において、前記シート部は、前記第2のコイル内に、注射針を注入可能な孔を有する。
【0018】
また、本開示に係る医療装置は、上記開示において、前記シート部は、前記第2のコイルの近傍に設けられ、注射針を注入可能な孔と、前記孔の外周から前記シート部の外縁に向けて切り欠かれた切欠部と、をさらに有する。
【0019】
また、本開示に係る医療装置は、上記開示において、前記シート部は、両面のいずれか一方に被検体に貼付可能な粘着部材をさらに有する。
【0020】
また、本開示に係る医療装置は、上記開示において、前記シート部を収容可能であり、被検体に貼付可能な収容部をさらに備える。
【0021】
また、本開示に係る医療装置は、上記開示において、前記収容部は、前記シート部を内部で移動可能に収容する。
【0022】
また、本開示に係る医療装置は、上記開示において、前記収容部は、表面側に形成され、前記シート部の位置を移動可能な窓部と、裏面側に設けられ、被検体に貼付可能な粘着部材と、を有する。
【0023】
また、本開示に係る医療装置は、上記開示において、前記医療器具は、電力値を計測する計測部と、前記計測部によって計測された前記電力値を、前記受電部を介して送信する第1の通信部と、を有し、前記体外ユニットは、前記送電部を介して前記第1の通信部から送信された前記電力値を受信する第2の通信部をさらに有し、前記報知部は、前記第2の通信部によって受信された前記電力値に基づく情報を報知する。
【0024】
また、本開示に係る医療装置は、上記開示において、前記体外ユニットは、少なくとも報知部を制御する制御部をさらに備え、前記医療器具は、被検体を識別する被検体情報を記録する記録部をさらに備え、前記第1の通信部は、前記被検体情報を、前記受電部を介して送信し、前記制御部は、前記第2の通信部を介して受信した前記被検体情報に基づいて、前記送電部が送電する前記電力を制御する。
【0025】
また、本開示に係る医療装置は、上記開示において、前記医療器具は、体内に埋め込まれて用いられる本体部と、前記本体部のうち薬液注入のための注射針が挿通される軟質部と、を有し、前記受電部は、前記軟質部の周囲に設けられた第1のコイルを有し、前記報知部は、前記軟質部の周囲に所定の間隔で複数設けられ、前記第1のコイルを介して受電した前記電力に基づいて、前記所定の状態になったことを報知する。
【0026】
また、本開示に係る医療装置は、上記開示において、前記送電部および前記報知部を有する体外ユニットをさらに備え、前記医療器具は、体内に埋め込まれて用いられる本体部と、前記本体部のうち薬液注入のための注射針が挿通される軟質部と、を有し、前記受電部は、前記軟質部の周囲に設けられた磁性体と、前記磁性体に巻かれた第1のコイルと、を有し、前記体外ユニットは、前記送電部に電力を供給する電源部を収容する筐体部をさらに有し、前記送電部は、板状をなすシート部と、前記シート部の一方に設けられ、前記電力を伝送するための第2のコイルと、前記シート部の他方に設けられ、前記第2のコイルと前記電源部とを電気的に接続する接続部と、を有し、前記報知部は、前記シート部に設けられ、前記第2のコイルに前記電力が供給されている場合において、被検体を介して前記第2のコイルが前記磁性体に固着し、かつ、前記第2のコイルと前記接続部との位置関係を相対的に変化させることによって、前記所定の状態になったことを報知する。
【0027】
また、本開示に係る体外ユニットは、体内に埋め込まれて用いられ、外部から非接触によって伝送された電力を受電する受電部を有する医療器具の所定箇所を検出する体外ユニットであって、前記電力を非接触によって伝送する送電部と、当該体外ユニットの移動に伴って、前記送電部と前記受電部との相対的な位置関係が所定の状態に達した場合に、前記所定の状態になったことを報知する報知部と、を備える。
【0028】
また、本開示に係る送電シートは、体内に埋め込まれて用いられ、外部から非接触によって伝送された電力を受電する受電部を有する医療器具の所定箇所を検出する体外ユニットであって、前記電力を非接触によって伝送する送電部と、当該体外ユニットの移動に伴って、前記送電部と前記受電部との相対的な位置関係が所定の状態に達した場合に、前記所定の状態になったことを報知する報知部と、を備える。
【0029】
また、本開示に係る医療器具は、体内に埋め込まれて用いられ、体外ユニットから非接触によって伝送された電力を受電する医療器具であって、体内に埋め込まれて用いられる本体部と、前記本体部のうち薬液注入のための注射針が挿通される軟質部と、前記軟質部の周囲に設けられた第1のコイルを有し、該第1のコイルを介して前記電力を受電する受電部と、を備える。
【0030】
また、本開示に係る医療器具は、上記開示において、医療器具であって、前記軟質部の周囲に所定の間隔で複数設けられ、前記第1のコイルを介して受電した前記電力に基づいて、前記体外ユニットと前記受電部との相対的な位置関係が所定の状態になったことを報知する報知部をさらに備える。
【0031】
また、本開示に係る位置検出方法は、電力を非接触によって伝送する送電部と、前記送電部から伝送された前記電力を受電する受電部と、前記送電部および前記受電部のどちらか一方を有し、体内に埋め込まれて用いられる医療器具と、前記送電部および前記受電部のどちらか他方を有する体外ユニットと、を備える医療装置が実行する位置検出方法であって、前記体外ユニットを移動させながら、前記送電部が前記電力を前記受電部に向けて伝送している場合において、前記送電部と前記受電部との相対的な位置関係が所定の状態に達したとき、該所定の状態になったことを報知する。
【発明の効果】
【0032】
本開示によれば、体内に埋め込められて用いられる医療器具における所定箇所を容易に確認することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本開示を実施するための形態を図面とともに詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本開示が限定されるものでない。また、以下の説明において参照する各図は、本開示の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。即ち、本開示は、各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものでない。さらに、以下の説明では、人および動物を含む被検体の生体内に埋め込まれて用いられる医療器具における所定箇所を検出する医療装置、体外ユニット、受信装置および位置検出方法について詳細に説明する。
【0035】
(実施の形態1)
〔医療装置の構成〕
図1は、実施の形態1に係る医療装置の概略構成を示す模式図である。
図2は、実施の形態1に係る医療装置の機能構成を示すブロック図である。
図1および
図2に示す医療装置1は、被検体の生体100内に埋め込まれて用いられる医療器具10と、医療器具10における所定箇所を検出する体外ユニット20と、を備える。
【0036】
〔医療器具の構成〕
まず、医療器具10の詳細な構成について説明する。
図3は、医療器具10の概略構成を示す模式図である。
【0037】
図1〜
図3に示す医療器具10は、例えば皮下埋込型ポート(CVポート)と称されるものである。医療器具10は、
図1〜
図3に示すように、本体部11が生体100内に埋め込まれて用いられる。
【0038】
本体部11は、例えばエポキシ樹脂等により構成される筐体である。本体部11は、
図1〜
図3に示すように、薬液容器12と、軟質部13と、カテーテル14と、第1のコイル15と、受電回路16と、第1の通信部17と、を備える。
【0039】
薬液容器12は、薬液を一時的に貯留する室である。薬液容器12は、体外側に円状をなす開口12aを有する。
【0040】
軟質部13は、いわゆるセプタムと称されるものである。そして、軟質部13は、薬液容器12の開口12aを閉塞する。軟質部13は、例えばシリコーンゴムにより構成された軟質な蓋体(シリコーン隔膜)であり、本体部11からも露出する態様で設けてある。また、軟質部13は、円柱状をなす。軟質部13は、本体部11が生体100内に埋め込まれたあとに、被検体の体表101より薬液注入(輸液)のための注射針が挿通可能な部分である。
【0041】
カテーテル14は、一端が薬液容器12に連通し、他端が図示せぬ血管等に挿入されている。このカテーテル14は、薬液容器12に一時的に貯留された薬液を輸送するものである。
【0042】
第1のコイル15は、薬液容器12の体外側の端面に円環状に複数巻かれて形成されてなり、軟質部13の周囲に設けられてなる。第1のコイル15は、小型で給電電力を大きくするために主には銅線により構成されるが、より軽量化のため、アルミ線により構成されてもよい。例えば、第1のコイル15は、5g程度になるように形成してなる。第1のコイル15は、本体部11と一体となる態様でモールド成型により形成してなる。
【0043】
受電回路16は、第1のコイル15において発生した電力(誘導起電力)を受電し、この受電した受電結果を第1の通信部17へ出力する。なお、実施の形態1では、第1のコイル15と受電回路16が受電部として機能する。
【0044】
第1の通信部17は、第1のコイル15を介して受電回路16から入力された受電結果を受けて体外ユニット20へ電波を発信する。なお、受電回路16および第1の通信部17は、ICチップ内に一体的に形成されてもよいし、別々に形成されてもよい。なお、医療器具10を体に埋め込まれた被験者がMRIを利用した場合、ICチップが強磁界に曝露される可能性がある。このため、医療器具10は、第1のコイル15に流れる電流を検出する電流検知機能と、第1のコイルと受電回路16と第1の通信部17とを電気的に遮断するスイッチ等の遮断機能と、を有する構成でもよい。このような構成によれば、ICチップは、電流検知機能で所定の閾値以上の大電流を検知した場合、遮断機能によって第1のコイルと受電回路16と第1の通信部17とを電気的に遮断することで、第1の通信部17に流れる電流を遮断することができる。
【0045】
〔体外ユニットの構成〕
次に、体外ユニット20の概略構成について説明する。
図4は、体外ユニット20の概略構成を示す模式図である。
【0046】
図1、
図2および
図4に示す体外ユニット20は、生体100内に埋め込まれて用いられる医療器具10における所定箇所を検出するものである。体外ユニット20は、医療器具10の第1のコイル15と後述する送電部との相対的な位置関係が所定の状態に達した場合、第1のコイル15と後述する送電部との相対的な位置関係が所定の状態になったことを報知する。体外ユニット20は、
図1、
図2および
図4に示すように、筐体部21と、筐体部21に対して着脱自在な送電部22と、を備える。なお、筐体部21および送電部22を一体的に形成してもよい。
【0047】
〔筐体部の構成〕
まず、筐体部21の構成について説明する。筐体部21は、内部に後述する電源やICチップ等が実装された回路基板を収容する。筐体部21は、送電部22に対して電力を供給するとともに、送電部22が受電した受電結果を受信する。筐体部21は、第1の接続部211と、電源部212と、第2の通信部213と、入力部214と、記録部215と、出力部216と、表示部217と、発光部218と、制御部219と、を備える。
【0048】
第1の接続部211は、筐体部21に装着される送電部22に対して電気的に接続可能であり、電源部212から入力された電力を送電部22へ供給する。第1の接続部211は、例えばメス型の電気カプラを用いて構成される。
【0049】
電源部212は、制御部219の制御のもと、第1の接続部211を介して送電部22へ電力を供給する。電源部212は、電池や昇圧回路等を用いて構成される。
【0050】
第2の通信部213は、制御部219の制御のもと、第1の接続部211を介して送電部22が受信した受電結果(信号)を制御部219へ出力する。
【0051】
入力部214は、ユーザが操作の入力を受け付ける。入力部214は、ボタン、スイッチおよびタッチパネル等を用いて実現される。ここで、ユーザとは、医者、看護師、介護者および被検体の患者自身のいずれかである。
【0052】
記録部215は、体外ユニット20が実行する各種のプログラムおよび情報を記録する。記録部215は、揮発性メモリおよび不揮発性メモリを用い実現される。
【0053】
出力部216は、制御部219の制御のもと、音声を出力する。出力部216は、例えばスピーカ等を用いて実現される。
【0054】
表示部217は、制御部219の制御のもと、所定の情報を表示する。表示部217は、液晶や有機EL(Electro Luminescence)等を用いて実現される。
【0055】
発光部218は、制御部219の制御のもと、発光する。発光部218は、LED(Light Emitting Diode)を用いて実現される。
【0056】
制御部219は、体外ユニット20を構成する各部を制御する。制御部219は、入力部214が押下された場合、電源部212を制御して、第1の接続部211を介して送電部22に電力を供給させる。また、制御部219は、第2の通信部213から受電結果が入力された場合、発光部218を発光させることによって、送電部22と医療器具10との相対的な位置関係が所定の状態になったことを報知させる。具体的には、制御部219は、制御部219は、第2の通信部213から受電結果の電力に基づいて、医療器具10との相対的な位置関係が所定の状態、例えば医療器具10の第1のコイル15上に、後述する送電部22の第2のコイル222が位置する状態となったことを発光部218に発光させることによって報知させる。制御部219は、メモリと、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアを有するプロセッサと、を用いて実現される。
【0057】
〔送電部の構成〕
次に、送電部22の構成について説明する。
図5Aは、送電部22の概略構成を示す模式図である。送電部22は、電力を非接触によって伝送する機能を有する。
【0058】
図1、
図2および
図5Aに示す送電部22は、シート部221と、第2のコイル222と、第2の接続部223と、孔224と、を有する。なお、実施の形態1では、送電部22が送電シートとして機能する。ここで、軟質部13に対して注射針を刺すときに、何度も同じ箇所に注射針を刺す場合がある。そこで、
図1に示すように、注射針を刺す位置を一か所に集中させないために、孔224の内径寸法R2は、軟質部13の外径寸法R1よりも、少しだけ小さい設計が好ましい。例えば、孔224の内径寸法R2は、軟質部13の外径寸法R1よりもφ1mm程度小さい構成が考えられる。
【0059】
シート部221は、板状をなし、長手方向における両端部が円弧状に形成される。シート部221は、例えば不織布等を用いて実現される。また、シート部221は、2枚の不織布によって第2のコイル222および第2の接続部223を挟み込んで形成される。なお、実施の形態1では、シート部221の裏面側(被検体側)に、被検体に貼付可能な貼付部材または粘着部材等が施されたシール部材を設けてもよい。また、実施の形態1では、シート部221の裏面側(被検体側)にシール部材に代えて、被検体の外表101を滑らかに移動できるように潤滑剤を設けてもよい。
【0060】
第2のコイル222は、円環状をなし、シート部221の長手方向における一方に設けられる。第2のコイル222は、第2の接続部223を介して筐体部21から入力された電力に応じて磁束を発生する。
【0061】
第2の接続部223は、シート部221の長手方向における他方に設けられ、第2のコイル222と筐体部21の電源部212とを電気的に接続する。第2の接続部223は、例えばオス型の電気カプラを用いて構成される。
【0062】
孔224は、第2のコイル222内に設けられる。例えば、孔224は、第2のコイル222が設けられた中央に設けられる。孔224は、注射針を挿脱可能である。なお、第2のコイル222内径と孔224の直径は、軟質部13の直径に応じて適宜変更可能である。
【0063】
また、孔224は、
図5B、
図5Cおよび
図5Dに示すように、複数個で構成されていてもよい。例えば、孔224が
図5Bのように3つで構成される場合、ユーザは、一回目に注射針を射すとき、孔224aを利用する。そして、ユーザは、二回目に注射針を射すとき、孔224bを利用する。さらに、ユーザは、三回目に注射針を射すとき、孔224cを利用する。このような構成によれば、注射針を刺す位置を有効に分散させることができ、軟質部13の劣化を抑制することができる。なお、孔224の数および形成される位置は、任意に決定することができ、限定されない。
【0064】
〔医療装置が実行する位置検出方法〕
次に、医療装置1が実行する位置検出方法について説明する。
図6A〜
図6Dは、医療装置1が実行する位置検出方法の概要を模式的に示す図である。なお、
図6A〜
図6Dにおいては、医療器具10が生体100内に埋め込まれた状態について説明する。
【0065】
図6Aに示すように、まず、ユーザは、体外ユニット20の入力部214を押下することによって、筐体部21の電源部212から送電部22の第2のコイル222に電力を供給させる。そして、ユーザは、生体100内に埋め込まれた医療器具10を探索しながら体外ユニット20の送電部22を近づける(
図6A→
図6B)。この場合、第2のコイル222は、第2の接続部223および第1の接続部211を介して電源部212から電力が供給されることによって、磁束を発生させる。
【0066】
続いて、ユーザは、体外ユニット20を医療器具10にさらに近づける(
図6B→
図6C)。この状況下において、発光部218は、医療器具10の第1のコイル15と第2のコイル222との相対的な位置関係が所定の位置に達した場合、医療器具10における所定箇所に到達したことを示す発光を行うことによってユーザに報知する。この場合において、医療装置1は、医療器具10の第1のコイル15と第2のコイル222との位置関係が鉛直方向において互いに重なる位置に到達した場合、発光することによってユーザに報知する。具体的には、医療装置1は、医療器具10の第1のコイル15の中心と第2のコイル222の中心とのズレが小さくなればなるほど、給電電力が大きくなることを利用する。即ち、医療装置1は、医療器具10の第1のコイル15の中心と第2のコイル222の中心とが一致した場合に、第2のコイル222に流れる電流がICチップの一部をなす受電回路16および第1の通信部17の駆動電力に到達する。なお、厳密に言えば、深さ方向が患者により一定ではないため、体外ユニット20は、給電電力量を調整する機能を有する構成が好ましい。これにより、医療器具10の第1の通信部17は、第1のコイル15を介して送電部22から電力を受電した受電結果を送信する。そして、制御部219は、送電部22および第2の通信部213を介して受電結果を受信した場合、発光部218に発光させることによって、医療器具10の第1のコイル15と第2のコイル222との相対的な位置関係が所定の位置に達したことをユーザに報知する。この結果、ユーザは、生体100内に埋め込められて用いられる医療器具10における軟質部13の位置を容易に確認することができる。具体的には、ユーザは、発光部218が発光した場所において、孔224の下方に軟質部13が位置していることを把握することができる。
【0067】
なお、制御部219は、医療器具10の第1のコイル15と第2のコイル222との相対的な位置関係が所定の位置に達した場合、発光部218に発光させるだけでなく、出力部216に音声を出力させることによってユーザに報知してもよい。さらに、制御部219は、表示部217に第2のコイル222が医療器具10における軟質部13に到達したことを示す情報を表示させることによってユーザに報知してもよい。
【0068】
その後、ユーザは、発光部218が発光した状態で、医療器具10が埋め込まれた生体100の体表101にテープ30等で送電部22を固定し、送電部22を筐体部21から取り外す(
図6C→
図6D)。そして、ユーザは、送電部22における孔224を目印に注射針40を挿通する。これにより、ユーザは、医療器具10の軟質部13の位置を迷うことなく、軟質部13に注射針40を挿通することができるので、容易に薬液容器12に薬液を注入することができる。なお、
図6Dでは、ユーザがテープ30等を用いて送電部22を医療器具10の直上に固定しているが、例えば送電部22の裏面側に、シール部材や粘着部材等の貼付部材を設けることによって、生体100の体表101に貼付できるようにしてもよい。さらに、
図6Dでは、送電部22を生体100に固定することなく、送電部22の孔224を介して注射針40を挿通してもよい。
【0069】
以上説明した実施の形態1によれば、医療器具10の第1のコイル15と第2のコイル222との相対的な位置関係が所定の位置に達した場合、発光部218が発光することによって医療器具10の第1のコイル15と第2のコイル222との相対的な位置関係が所定の位置に達したことを報知するので、生体100内に埋め込められて用いられる医療器具10における軟質部13の位置を容易に確認することができる。
【0070】
また、実施の形態1によれば、体外ユニット20の送電部22が筐体部21に対して着脱自在なので、筐体部21を他の被検体であっても使い回すことができるので、医療装置1を導入する際のコストを低減することができる。
【0071】
また、実施の形態1によれば、第1のコイル15が軟質部13の周囲に円環状に設けられるので、発光部218が発光して報知することによって、医療器具10における軟質部13の位置(形)を容易に確認することができる。
【0072】
また、実施の形態1によれば、送電部22の第2のコイル222が設けられた中央に孔224を設けたので、医療器具10の第1のコイル15と第2のコイル222との相対的な位置関係が所定の位置に達した状態で、注射針を医療器具10における軟質部13に容易に挿入することができる。
【0073】
なお、実施の形態1では、第1の接続部211と第2の接続部223が、ケーブル(不図示)により接続される構成でもよい。この構成の場合、ユーザは、筐体部21を机の上などに載置し、シート部221だけを手に持って医療器具10の探索を行うことができる。
【0074】
(実施の形態1の変形例1)
次に、実施の形態1の変形例1について説明する。上述した実施の形態1では、送電部22における第2のコイル222の中央に孔224が設けられていたが、これに限定されることなく、送電部の形状を適宜変更することができる。
【0075】
〔送電部の構成〕
図7Aは、実施の形態1の変形例1に係る送電部の概略構成を示す模式図である。
図7Aに示す送電部22Aは、上述した実施の形態1に係る送電部22のシート部221、第2のコイル222および孔224に代えて、シート部221A、第2のコイル222Aおよび孔224Aを有する。さらに、送電部22Aは、切欠部225を有する。
【0076】
シート部221Aは、板状をなし、長手方向における両端部が円弧状に形成される。シート部221Aは、例えば不織布等を用いて実現される。また、シート部221Aは、2枚の不織布によって第2のコイル222Aおよび第2の接続部223を挟み込んで形成される。
【0077】
第2のコイル222Aは、電流E1による逆方向磁束B1の打ち消しが起こらないように、電流E1の流れが対向する部分を離間するようにシート部221A上に配置してなる。具体的には、第2のコイル222Aは、シート部221Aの縁に沿って配置してなる。とくに、孔224Aが形成されている部分では、シート部221Aの幅R2が孔224Aの直径R1と同等かそれ以上で形成されてもよい(R2≧R1)。また、
図7Aに示すように、第2のコイル222Aは、孔224A付近に形成されている部分以外は、導電性を有するシートXで覆われていることが好ましい。導電性を有するシートXは、シールドの役目を果たすので、孔224A付近に形成されている部分以外の第2のコイル22Aから外部への磁界の放射をシールドすることができ、ここの部分が第1のコイル15と相互作用することを防止することができる。なお、導電性を有するシートXは、例えば、金属シートが考えられる。
【0078】
孔224Aは、第2のコイル222Aの近傍に設けられる。孔224Aは、注射針を挿脱可能である。
【0079】
切欠部225は、孔224Aからシート部221Aの外縁に向けて切り欠かれた形成される。
【0080】
以上説明した実施の形態1の変形例1によれば、ユーザは、注射針を医療器具10に挿通した状態で、送電部22Aを被検体の体表から取り除くことができ、清潔性を旦保することができる。
【0081】
また、実施の形態1の変形例1によれば、ユーザは、医療器具10における軟質部13の位置を検出した場合、テープ等によってシート部材221Aを一時的に被検体に一時固定した後、注射針を医療器具10に挿入する。その後、ユーザは、注射針を残した状態で、切欠部225を介してシート部221Aを含む体外ユニット20を被検体から取り外す。取り外した後の体外ユニット20は、何度も利用することができるので、よりコストを低減することができる。
【0082】
(実施の形態1の変形例2)
次に、実施の形態1の変形例2について説明する。上述した実施の形態1では、送信部22における第2のコイル222の形状が被検体への貼付状態の有無に関わらず、常に同じであったが、これに限定されることなく、第2のコイルおよび送電部の形状を適宜変更することができる。
【0083】
図7Bは、実施の形態1の変形例2に係る送電部の概略構成を示す模式図である。
図7Cは、
図7Bに示す領域A1の一部を模式的に拡大した拡大である。
図7Bおよび
図7Cに示す送電部22AAは、上述した実施の形態1に係る送電部22のシート部221、第2のコイル222および孔224に代えて、シート部221AA、第2のコイル222AAを有する。さらに、送電部22AAは、上述した実施の形態1の変形例1に係る孔224Aおよび切欠部225を有する。
【0084】
シート部221AAは、板状をなし、長手方向における両端部が円弧状に形成される。シート部221AAは、例えば不織布等を用いて実現される。また、シート部221AAは、2枚の不織布によって第2のコイル222AAおよび第2の接続部223を挟み込んで形成される。
【0085】
第2のコイル222AAは、円環状をなし、シート部221AAの長手方向における一方に設けられる。第2のコイル222AAは、第2の接続部223を介して筐体部21から入力された電力に応じて磁束を発生する。また、第2のコイル222AAは、円環部226と、円環部226の一端226aと他端226bとを電気的に連結し、かつ取付自在な連結部227を有する。連結部227は、シール等の部材と円環部226の一端226aと他端226bとを電気的に連結する電線やアルミ線等を用いて構成される。なお、連結部227は、円環部226の一端226aおよび他端226bから取り外す構成であれる必要がなく、例えば中央に切り込み線を設け、円環部226が断線するような構成であってもよいし、カプラ等を用いて円環部226の一端226aおよび他端226bを挿脱可能な構成であってもよい。
【0086】
このように構成された送電部22AAは、
図7Dおよび
図7Eに示すように、ユーザが医療器具10における軟質部13の位置を検出した場合、テープ等によってシート部材221AAを一時的に被検体に一時固定した後、注射針を医療器具10に挿入する。そして、連結部227をシート部材221AAから取り外す。これにより、ユーザは、注射針を残して切欠部225を介してシート部221AAを含む体外ユニット20を被検体から取り外すことができる。取り外した後の体外ユニット20は、何度も利用することができるので、よりコストを低減することができる。
【0087】
以上説明した実施の形態1の変形例2によれば、第2のコイル222AAに円環部226の一端226aと他端226bとを電気的に連結し、かつ取付自在な連結部227を設けたので、注射針を残した状態で、切欠部225を介してシート部221AAを含む体外ユニット20を被検体から取り外せるので、体外ユニット20を何度も利用することができるので、よりコストを低減することができる。
【0088】
(実施の形態1の変形例3)
次に、実施の形態1の変形例3について説明する。上述した実施の形態1では、送電部22が生体100の外表に取り付けられていたが、これに限定されることなく、送電部を種々の方法によって生体100の外表に取り付けてもよい。
【0089】
〔送電部の構成〕
図8は、実施の形態1の変形例3に係る送電部を被検体に取り着けた状態を模式的に示す図である。
図9は、実施の形態1の変形例3に係る送電部の斜視図を模式的に示す図である。
【0090】
図8および
図9に示す送電部22Bは、平板状のシート部221Bと、実施の形態1で説明した第2のコイル222と、上述した筐体部21の第1の接続部211に着脱自在に電気的に接続される第2の接続部223と、孔224と、を有する。さらに、送電部22Bは、被検体に貼付可能な収容部50に収容された状態で被検体102に装着される。
【0091】
収容部50は、シート部221Bを内部で移動可能に収容する。収容部50は、上面の面積がシート部221Bの上面の面積より大きい。また、収容部50は、表面側にシート部221Bの位置を操作可能な窓部51と、裏面側に物体に貼付可能な粘着部材52と、を有する。また、収容部50は、摩擦係数が小さい部材、例えばポリカーボネート等によって形成される。
【0092】
このように構成された送電部22Bは、収容部50が被検体102に貼付され、かつ、収容部50に収容された状態で、上述した実施の形態1の位置検出方法を用いて、医療器具10における軟質部13の直上で筐体部21から取り外される。なお、ユーザは、医療器具10が埋め込まれている大体の場所を知っているので、収容部50を医療器具10が埋め込まれている場所近傍の被検体102に貼付する。その後、
図10に示すように、送電部22Bは、ユーザが窓部51を介してシート部221Bの位置の微調整を行った後に、テープ等によって収容部50内で固定される。
【0093】
以上説明した実施の形態1の変形例3によれば、送電部22Bを収容部50に収容した状態で、被検体102に装着するので、被検体102での摩擦を小さい状態で取り付けることができるので、医療器具10における軟質部13の位置を容易に確認することができる。
【0094】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、医療器具10が受電した電力を体外ユニット20に送信することによって、医療器具10における所定箇所の位置を報知していたが、実施の形態2では、受信装置が医療器具から受信する電力値に基づいて、報知する内容を変更する。なお、上述した実施の形態1に係る医療装置1と同一の構成には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0095】
〔医療装置の構成〕
図11は、実施の形態2に係る医療装置の機能構成を示すブロック図である。
図11に示す医療装置1Cは、被検体の生体100内に埋め込まれて用いられる医療器具10Cと、医療器具10Cにおける所定箇所を検出する体外ユニット20Cと、を備える。
【0096】
〔医療器具の構成〕
まず、医療器具10Cの構成について説明する。
図12は、医療器具10Cの概略構成を示す模式図である。
図11および
図12に示す医療器具10Cは、上述した実施の形態1に係る医療器具10の第1の通信部17に代えて、第1の通信部17Cを備える。さらに、医療器具10Cは、計測部18と、記録部19と、をさらに備える。
【0097】
第1の通信部17Cは、第1のコイル15を介して計測部18が計測した計測結果を体外ユニット20Cへ送信する。さらに、第1の通信部17Cは、第1のコイル15を介して記録部19が記録する情報を体外ユニット20Cへ送信する。
【0098】
計測部18は、受電回路16が受電した電力の電力値を計測し、この計測結果を第1の通信部17Cへ出力する。
【0099】
記録部19は、医療器具10Cが埋め込まれる被検体に関する被検体情報を記録する。ここで、被検体情報とは、被検体(患者)を識別するための名前、生年月日、体重、担当医、適用可能な薬液の種別等である。記録部19は、ICメモリ等を用いて実現される。なお、実施の形態2では、受電回路16、第1の通信部17C、計測部18および記録部19は、ICチップ内に一体的に形成されてもよいし、別々に形成されてもよい。
【0100】
〔体外ユニットの構成〕
次に、体外ユニット20Cの構成について説明する。体外ユニット20Cは、上述した実施の形態1に係る制御部219に代えて、制御部219Cを備える。
【0101】
制御部219Cは、体外ユニット20Cを構成する各部を制御する。制御部219Cは、入力部214が押下された場合において、第2の通信部213を介して入力される電流値に基づいて、発光部218が発光する発光状態を制御する。制御部219Cは、メモリと、CPU等のハードウェアを有するプロセッサと、を用いて実現される。
【0102】
〔体外ユニットが実行する位置検出方法〕
次に、医療装置1Cが実行する位置方法について説明する。
図13は、体外ユニットが実行する位置検出方法の概要を示すフローチャートである。なお、
図13においては、医療器具10Cが生体100内に埋め込まれた状態について説明する。
【0103】
図13に示すように、まず、制御部219Cは、ユーザが入力部214を押下し、電源部212から送電部22の第2のコイル222に電力が供給されている状態において、シート部221を移動させ、生体100内に埋め込まれた医療器具10に近づけた場合(例えば上述した
図6A→
図6Bを参照)、第2の通信部213を介して入力される医療器具10Cが受電した電力値が第1の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS101)。制御部219Cによって第2の通信部213を介して医療器具10Cが受電した電力値が第1の閾値以上でないと判断された場合(ステップS101:No)、体外ユニット20Cは、後述するステップS102へ移行する。これに対して、制御部219Cによって第2の通信部213を介して医療器具10Cが受電した電力値が第1の閾値以上であると判断された場合(ステップS101:Yes)、体外ユニット20Cは、後述するステップS103へ移行する。
【0104】
ステップS102において、制御部219Cは、発光部218を第1の点灯によって発光させる。具体的には、制御部219Cは、発光部218を青色で点灯させる。ステップS102の後、体外ユニット20Cは、後述するステップS106へ移行する。
【0105】
ステップS103において、制御部219Cは、発光部218を第2の点灯によって発光させる。具体的には、制御部219Cは、発光部218を黄色または橙色で点灯させる。
【0106】
続いて、制御部219Cは、電源部212から送電部22の第2のコイル222に電力が供給されている状態において、シート部221を移動させ、生体100内に埋め込まれた医療器具10にさらに近づけた場合(例えば上述した
図6A→
図6B→
図6Cを参照)、第2の通信部213を介して入力される医療器具10Cが受電した電力値が第2の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS104)。制御部219Cによって第2の通信部213を介して入力される医療器具10Cが受電した電力値が第2の閾値以上であると判断された場合(ステップS104:Yes)、体外ユニット20Cは、後述するステップS105へ移行する。これに対して、制御部219Cによって第2の通信部213を介して入力される医療器具10Cが受電した電力値が第2の閾値以上でないと判断された場合(ステップS104:No)、体外ユニット20Cは、後述するステップS106へ移行する。
【0107】
ステップS105において、制御部219Cは、発光部218を第3の点灯によって発光させる。具体的には、制御部219Cは、発光部218を緑色で発光させる。発光部218の緑色に点灯した場所は、孔224の下方に軟質部13が位置していることを示している。よって、ユーザは、光部218の緑色に点灯した場所において、孔224を目印に注射針40を挿通すると、医療器具10の軟質部13の位置を迷うことなく、軟質部13に注射針40を挿通することができる。
【0108】
続いて、制御部219Cは、医療器具10Cにおける軟質部13の位置を検出することを終了するか否かを判断する(ステップS106)。具体的には、制御部219Cは、ユーザが入力部214から指等を離間することによって入力部214から信号が停止したか否かを判断する。制御部219Cによって医療器具10Cにおける軟質部13の位置を検出することを終了すると判断された場合(ステップS106:Yes)、体外ユニット20Cは、本処理を終了する。これに対して、制御部219Cによって医療器具10Cにおける軟質部13の位置を検出することを終了しないと判断された場合(ステップS106:No)、上述したステップS101へ戻る。
【0109】
以上説明した実施の形態2によれば、発光部218が第2の通信部213によって受信された電力値に基づいて、発光の状態を変更して報知するので、医療器具10Cの軟質部13と送電部22の第2のコイル222との距離を直感的に把握することができる。
【0110】
なお、実施の形態2では、制御部219Cが第2の通信部213を介して入力される被検体情報に基づいて、電源部212が供給する電力の電力値を制御する構成でもよい。この構成によれば、体外ユニット20Cから医療器具10Cに被検体毎に適した電力を供給することができる。
【0111】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。上述した実施の形態1,2では、体外ユニット20,20Cの発光部218が発光等を行うことによって医療器具10,10Cにおける第1のコイル15と第2のコイル222の相対的な位置関係が所定の状態になったことを報知していたが、実施の形態3では、医療器具に報知部を設けることによって報知する。なお、上述した実施の形態1に係る医療装置1と同一の構成には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0112】
〔医療装置の構成〕
図14は、実施の形態3に係る医療器具の概略構成を示す模式図である。
図15は、実施の形態3に係る医療装置の機能構成を示すブロック図である。
【0113】
図14および
図15に示す医療装置1Dは、被検体の生体100内に埋め込まれて用いられる医療器具10Dと、医療器具10における所定箇所を検出する体外ユニット20Dと、を備える。
【0114】
〔医療器具の構成〕
まず、医療器具10Dの詳細な構成について説明する。
図16Aは、医療器具10Dの概略構成を示す模式図である。
【0115】
図14〜
図16Aに示す医療器具10Dは、上述した実施の形態1の構成に加えて、複数の発光部60を備え、第1の通信部17が省略されている。
【0116】
発光部60は、軟質部13の周囲に所定の間隔で円環状に配置される。具体的には、発光部60は、第1のコイル15の中心に120度毎に円環状に軟質部13の周囲に3箇所に配置される。発光部60は、受電回路16が受電した電力に応じて発光する。発光部60は、LEDを用いて構成される。具体的には、発光部60は、指向性の高いLEDを用いることが好ましい。より具体的には、発光部60は、被検体等の生体透過上、赤色の波長帯域の光を発光する赤色LEDを用いることが好ましい。なお、
図16Bに示すように、発光部60の数や配置は、適宜変更することができる。
【0117】
〔体外ユニットの構成〕
次に、体外ユニット20Dの構成について説明する。
図14および
図15に示す体外ユニット20Dは、上述した実施の形態1の筐体部21の構成から第2の通信部213、出力部216、表示部217および発光部218が省略されている。さらに、体外ユニット20Dは、第2のコイル230をさらに備える。
【0118】
第2のコイル230は、円環状をなし、電源部212から入力された電力に応じて磁束を発生させ、第1のコイルへ電力を送電する。また、第2のコイル230が供給する電力は、第2のコイル230と第1のコイル15とが所定の距離、例えば例えば数十cm程度の距離であっても、発光部60を発光可能な程度のものである。
【0119】
このように構成された医療装置1Dは、体外ユニット20Dから電力を供給し、医療器具10Dにおける複数の発光部60が発光することによって医療器具10Dが埋め込まれている場所を報知する。これにより、ユーザは、被検体の外部から医療器具10Dにおける軟質部13の位置および中心を直感的に把握することができる。
【0120】
以上説明した実施の形態3によれば、医療器具10Dにおける複数の発光部60が発光することによって報知するので、被検体の外部から医療器具10Dにおける軟質部13の位置を直感的に把握することができる。
【0121】
なお、実施の形態3では、体外ユニット20Dが医療器具10Dに電力を送電するのみであった、例えば上述した実施の形態2のように医療器具10Dに、第1の通信部17C、記録部19を設け、体外ユニット20Dに第2の通信部213および制御部219C等を設けることによって、被検体情報を記録したり、被検体情報の読み書きを行ったりしてもよい。
【0122】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。上述した実施の形態1〜3では、電磁誘導方式によって医療器具と体外ユニットとの相対的な位置関係が所定の状態になった場合に、発光部が発光することによって、医療器具と体外ユニットとの相対的な位置関係が所定の状態となったことを報知していたが、実施の形態4では、医療器具が磁化し、かつ、体外ユニットが被検体の表面に固着することによって、医療器具と体外ユニットとの相対的な位置関係が所定の状態となったことを報知する。以下において、実施の形態4に係る医療装置の構成について説明する。なお、上述した実施の形態1に係る医療装置1と同一の構成には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0123】
〔医療装置の構成〕
図17は、実施の形態4に係る医療装置の概略構成を示す模式図である。
図17に示す医療装置1Eは、被検体の生体100内に埋め込まれて用いられる医療器具10Eと、医療器具10Eに給電する体外ユニット20Eと、を備える。
【0124】
〔医療器具の構成〕
まず、医療器具10Eの詳細な構成について説明する。
図17に示す医療器具10Eは、上述した実施の形態1に係る医療器具10の第1のコイル15に代えて、第1のコイル70を備え、受電回路16および第1の通信部17を省略している。さらに、医療器具10Eは、薬液容器12の体外側の端面に円環状に形成されてなり、軟質部13の周囲に設けられてなる磁性体71をさらに備える。第1のコイル70は、磁性体71に対して巻かれて形成されている。
【0125】
〔体外ユニットの構成〕
次に、体外ユニット20Eの構成について説明する。
図17に示す体外ユニット20Eは、上述した実施の形態1に係る体外ユニット20の送電部22に代えて、送電部22Eを備える。送電部22Eは、上述した実施の形態1に係る送電部22のシート部221に代えて、シート部221Eを備える。シート部221Eは、長手方向に蛇腹状に形成されており、伸縮可能であるとともに、伸縮自在な変化部300をさらに有する。
【0126】
このように構成された医療装置1Eは、ユーザが体外ユニット20Eの入力部214を押下し、筐体部21の電源部212から送電部22の第2のコイル222に電力を供給されている場合において、ユーザが生体100内に埋め込まれた医療器具10Eを探索しながら体外ユニット20Eを近づけた場合、医療器具10Eと体外ユニット20Eとの相対的な位置関係が所定の状態となったとき、変化部300が被検体の体表101に固着する。具体的には、第2のコイル222が磁性体71の磁力に引き寄せられたことによって被検体の体表101に固着する(
図18を参照)。これにより、ユーザは、変化部300が変化することによって、体外ユニット20Eから擬似的に相対的な関係となったことを報知されるので、医療器具10Eにおける所定箇所、即ち、軟質部13の位置を容易に特定することができる。
【0127】
以上説明した実施の形態4によれば、第2のコイル222が磁性体71の磁力に引き寄せられたことによって被検体の体表101に固着し、変化部300が変化することによって報知されるので、医療器具10Eにおける軟質部13の位置を容易に特定することができる。
【0128】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5について説明する。上述した実施の形態1では、筐体部21に電源部212が設けられていたが、実施の形態5では、送電部に電源部を設けるとともに、送電部と体外ユニットとを無線によって双方向に通信可能とする。なお、上述した実施の形態1に係る医療装置1と同一の構成には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0129】
〔医療装置の構成〕
図19は、実施の形態5に係る医療装置の概略構成を示す模式図である。
図20は、実施の形態5に係る医療装置の機能構成を示すブロック図である。
図19および
図20に示す医療装置1Fは、上述した実施の形態1に係る医療器具10と、医療器具10における所定箇所を検出する送電部400と、送電部400が検出した検出結果を受信して報知する体外ユニット500と、を備える。
【0130】
〔送電部の構成〕
まず、送電部400の構成について説明する。送電部400は、矩形状をなし、被検体に貼付可能なシート部401と、第2のコイル222と、孔224を備える。さらに、送電部400は、電源部212Fと、第2の通信部213と、制御部219Fと、第3の通信部402と、をさらに備える。
【0131】
電源部212fは、シート部401に設けられる。電源部212fは、例えば極薄型のボタン電池等を用いて構成される。電源部212fは、制御部219Fの制御のもと、第2のコイル222へ電力を供給する。
【0132】
制御部219Fは、電源部212F、第2の通信部213および第3の通信部402を制御する。制御部219Fは、メモリと、CPU等のハードウェアを有するプロセッサと、を用いて実現される。
【0133】
第3の通信部402は、制御部219Fの制御のもと、後述する体外ユニット500の第4の通信部501と双方向に通信を行う。第3の通信部402は、制御部219Fの制御のもと、第2の通信部213が受信した受電結果(信号)を後述する体外ユニット500の第4の通信部501へ送信する。第3の通信部402は、例えばBluetooth(登録商標)およびWi-Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)等の通信規格に従って通信可能な通信モジュールを用いて構成される。
【0134】
〔体外ユニットの構成〕
次に、体外ユニット500の構成について説明する。体外ユニット500は、電源部212と、入力部214と、記録部215と、出力部216と、表示部217と、発光部218と、第4の通信部501と、制御部502と、を備える。
【0135】
第4の通信部501は、制御部502の制御のもと、送電部400の第3の通信部402から送信された受電結果を受信して制御部502へ出力する。第4の通信部501は、例えばBluetoothおよびWi-Fi等の通信規格に従って通信可能な通信モジュールを用いて構成される。
【0136】
制御部502は、体外ユニット500を構成する各部を制御する。制御部502は、第4の通信部501を介して入力された送電部400の第3の通信部402から送信された受電結果に基づいて、発光部218を発光させることによって、送電部22と医療器具10との相対的な位置関係が所定の状態になったことを報知させる。制御部502は、メモリと、CPU等のハードウェアを有するプロセッサと、を用いて実現される。制御部502は、発光部218に発光させるだけでなく、出力部216に音声を出力させたり、表示部217に情報を表示させたりしてもよい。
【0137】
以上説明した実施の形態5によれば、送電部400に電源部212Fを設けることによって、体外ユニット500から電力を供給するためのワイヤーや接続コネクタ等を省略することができるので、簡易な構成を実現することができる。
【0138】
(その他の実施の形態)
上述した本開示の実施の形態1〜5では、磁気誘導方式によって、医療器具と体外ユニットとの相対的な位置関係が所定の状態となった場合に、ユーザに報知していたが、これに限定されることなく、磁界共鳴方式、電波受信方式および電界結合方式であっても適用することができる。
【0139】
また、上述した本開示の実施の形態1〜5では、送電部と筐体部とが別体であったが、これに限定されることなく、送電部と筐体部とが一体的であってもよい。
【0140】
また、上述した本開示の実施の形態1〜5では、送電部と筐体部とが電気的に接続されることによって、送電部へ電力を供給していたが、これに限定されることなく、例えば無線給電によって筐体部から送電部へ電力を供給するようにしてもよい。
【0141】
また、上述した本開示の実施の形態1〜5では、筐体部に電源部が設けられていたが、これに限定されることなく、例えば送電部に電源部を設けてもよい。この場合、送電部に送信アンテナを設けるとともに、筐体部に受信アンテナを設け、医療器具と体外ユニットとの相対的な位置関係が所定の状態となった場合に、送信アンテナから受信アンテナに向けて医療器具と体外ユニットとの相対的な位置関係が所定の状態となったことを報知する信号を送信するようにしてもよい。
【0142】
また、上述した本開示の実施の形態1〜5では、体外ユニットの第2のコイルが医療器具の第1のコイルに向けて電力を送信していたが、これに限定されることなく、第1のコイルから第2のコイルに電力を送信するようにしてもよい。
【0143】
また、上述した本開示の実施の形態1〜5に係る医療装置に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成することができる。例えば、上述した本開示の実施の形態1〜4に係る医療装置に記載した全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、上述した本開示の実施の形態1〜4に係る医療装置で説明した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0144】
また、上述した本開示の実施の形態1〜5に係る医療装置では、上述してきた「部」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、制御部は、制御手段や制御回路に読み替えることができる。
【0145】
また、本開示の実施の形態1〜5に係る医療装置に実行させるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルデータでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)、USB媒体、フラッシュメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0146】
なお、本明細書におけるフローチャートの説明では、「まず」、「その後」、「続いて」等の表現を用いてステップ間の処理の前後関係を明示していたが、本発明を実施するために必要な処理の順序は、それらの表現によって一意的に定められるわけではない。即ち、本明細書で記載したフローチャートにおける処理の順序は、矛盾のない範囲で変更することができる。
【0147】
以上、本願の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、本発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。