(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記円筒形状の内部空間に設けられ、一端が前記第1の導電部材と接続され、他端が前記第2の導電部材と接続された、断熱性を有する絶縁部材により形成された支持部材を有する、
請求項3に記載の給電部材。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0011】
本実施形態に係る給電部材は、電力を供給するために用いられる給電部材であって、第1の導電部材と、第2の導電部材と、少なくとも一部が多孔質金属又は複数のバルク金属により形成され、前記第1の導電部材と前記第2の導電部材とを電気的に接続する接続部材と、を有する。このように、接続部材が多孔質金属又は複数のバルク金属により形成されているので、表面積の拡大により放熱効果が向上し、断面積の縮小により断熱効果が向上する。また、給電部材は、第1の導電部材、第2の導電部材、及び多孔質金属又は複数のバルク金属により形成されているので、電気伝導性を確保することができる。その結果、断熱性に優れ、低損失で電力を伝送することができる。
【0012】
(基板処理装置)
最初に、本実施形態に係る給電部材が適用可能な基板処理装置について、エッチング装置を例に挙げて説明する。
図1は、本実施形態に係るエッチング装置の概略図である。
【0013】
図1に示されるように、エッチング装置1は、処理容器であるチャンバ10内に載置台20とガスシャワーヘッド25とを対向配置した平行平板型のプラズマ処理装置(容量結合型プラズマ処理装置)である。載置台20は、半導体ウエハ等の被処理基板(以下、単に「ウエハW」という。)を保持する機能を有すると共に下部電極として機能する。ガスシャワーヘッド25は、ガスをチャンバ10内にシャワー状に供給する機能を有すると共に上部電極として機能する。
【0014】
チャンバ10は、例えば表面がアルマイト処理(陽極酸化処理)されたアルミニウムからなり、円筒形である。チャンバ10は、電気的に接地されている。載置台20は、チャンバ10の底部に設置され、ウエハWを載置する。
【0015】
載置台20は、例えばアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、炭化ケイ素(SiC)等から形成されている支持体104と、載置台20の上面を形成し、ウエハを静電吸着するための静電チャック106が設けられた構成をしている。静電チャック106は、例えばアルミナ(Al
2O
3)等の誘電体からなる絶縁体106bの間にチャック電極106aを挟み込んだ構造になっている。
【0016】
チャック電極106aには直流電圧源112が接続され、直流電圧源112からチャック電極106aに直流電力が供給される。これにより、クーロン力によってウエハWが静電チャック106の表面に吸着される。
【0017】
支持体104の内部には、冷媒流路104aが形成されている。冷媒流路104aには、冷媒入口配管104b及び冷媒出口配管104cが接続されている。チラー107から出力された例えば冷却水やブライン等の冷却媒体は、冷媒入口配管104b、冷媒流路104a及び冷媒出口配管104cを循環する。これにより、載置台20及び静電チャック106は冷却される。
【0018】
伝熱ガス供給源85は、ヘリウムガス(He)やアルゴンガス(Ar)等の伝熱ガスをガス供給ライン130に通して静電チャック106上のウエハWの裏面に供給する。係る構成により、静電チャック106は、冷媒流路104aに循環させる冷却媒体と、ウエハWの裏面に供給する伝熱ガスとによって温度制御される。この結果、ウエハWを所定の温度に制御することができる。また、加熱源を使用することでウエハWを加熱する構成にしてもよい。
【0019】
載置台20には、2周波重畳電力を供給する電力供給装置30が接続されている。電力供給装置30は、第1高周波電源32と、第2高周波電源34とを有する。
【0020】
第1高周波電源32は、第1整合器33及び給電部材70を介して載置台20に電気的に接続される。第1高周波電源32は、第1周波数(例えば100MHz)のプラズマ生成用の高周波電力HF(High Frequency)を載置台20に印加する。なお、本実施形態では、高周波電力HFは載置台20に印加されるが、ガスシャワーヘッド25に印加してもよい。
【0021】
第2高周波電源34は、第2整合器35及び給電部材71を介して載置台20に電気的に接続される。第2高周波電源34は、第1周波数よりも低い第2周波数(例えば13.56MHz)のバイアス用の高周波電力LF(Low Frequency)を載置台20に印加する。
【0022】
第1整合器33は、第1高周波電源32の内部(又は出力)インピーダンスに負荷インピーダンスを整合させる。第1整合器33は、チャンバ10内にプラズマが生成されているときに第1高周波電源32の内部インピーダンスと負荷インピーダンスとが見かけ上一致するように機能する。
【0023】
第2整合器35は、第2高周波電源34の内部(又は出力)インピーダンスに負荷インピーダンスを整合させる。第2整合器35は、チャンバ10内にプラズマが生成されているときに第2高周波電源34の内部インピーダンスと負荷インピーダンスとが見かけ上一致するように機能する。
【0024】
給電部材70は、第1高周波電源32により生成される高周波電力HFを載置台20に伝送する。給電部材70の構成については後述する。給電部材71は、第2高周波電源34により生成される高周波電力LFを載置台20に伝送する。
図1では、給電部材71を簡略化して示しているが、給電部材71は、給電部材70と同様の形態であってよい。
【0025】
ガスシャワーヘッド25は、その周縁部を絶縁する絶縁部材40を介してチャンバ10の天井部の開口を閉塞するように取り付けられている。ガスシャワーヘッド25は、
図1に示されるように電気的に接地してもよい。また、可変直流電源を接続してガスシャワーヘッド25に所定の直流(DC)電圧が印加されるようにしてもよい。
【0026】
ガスシャワーヘッド25には、ガスを導入するガス導入口45が形成されている。ガスシャワーヘッド25の内部にはガス導入口45から分岐したセンタ側の拡散室50a及びエッジ側の拡散室50bが設けられている。ガス供給源15から出力されたガスは、ガス導入口45を介して拡散室50a、50bに供給され、それぞれの拡散室50a、50bにて拡散されて多数のガス供給孔55から載置台20に向けて導入される。
【0027】
チャンバ10の底面には排気口60が形成されており、排気口60に排気管を介して接続された排気装置65によってチャンバ10内が排気される。これにより、チャンバ10内を所定の真空度に維持することができる。チャンバ10の側壁にはゲートバルブGが設けられている。ゲートバルブGの開閉によりチャンバ10からウエハWの搬入及び搬出が行われる。
【0028】
エッチング装置1には、装置全体の動作を制御する制御部100が設けられている。制御部100は、CPU(Central Processing Unit)105、ROM(Read Only Memory)110及びRAM(Random Access Memory)115を有している。CPU105は、これらの記憶領域に格納された各種レシピに従って、後述されるエッチング等の所望の処理を実行する。レシピにはプロセス条件に対する装置の制御情報であるプロセス時間、圧力(ガスの排気)、高周波電力や電圧、各種ガス流量、チャンバ内温度(上部電極温度、チャンバの側壁温度、静電チャック温度等)、チラー107の温度等が記載されている。なお、これらのプログラムや処理条件を示すレシピは、ハードディスクや半導体メモリに記憶されてもよい。また、レシピは、CD−ROM、DVD等の可搬性のコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体に収容された状態で記憶領域の所定位置にセットするようにしてもよい。
【0029】
エッチング処理の際、ゲートバルブGの開閉が制御され、ウエハWがチャンバ10に搬入され、載置台20に載置される。直流電圧源112からチャック電極106aに直流電流が供給されることにより、クーロン力によってウエハWが静電チャック106に吸着され、保持される。
【0030】
次いで、エッチングガス、プラズマ励起用の高周波電力HF及びバイアス用の高周波電力LFがチャンバ10内に供給され、プラズマが生成される。生成されたプラズマによりウエハWにプラズマエッチング処理が施される。
【0031】
エッチング処理の後、直流電圧源112からチャック電極106aにウエハWの吸着時とは正負が逆の直流電圧HVを印加してウエハWの電荷を除電し、ウエハWを静電チャック106から剥がす。ゲートバルブGの開閉が制御され、ウエハWがチャンバ10から搬出される。
【0032】
ところで、給電部材70としては、低損失で高周波電力を伝送することが求められる。そのため、電気抵抗が低いバルク金属(例えばAl、Cu)を用いてきたが、それらは熱伝導性が高い場合が多い。
【0033】
そのため、載置台20を高温又は低温に調節してウエハWに処理を行う場合、載置台20の温度が給電部材70を介して第1整合器33等の周辺機器に伝わり、周辺機器の温度が使用温度範囲から外れる虞がある。
【0034】
そこで、本発明者らは、従来技術に対する問題点を鋭意検討した結果、第1の導電部材と、第2の導電部材と、多孔質金属又は複数のバルク金属により形成され、第1の導電部材と第2の導電部材とを電気的に接続する接続部材と、を有する給電部材により、断熱性に優れ、低損失で電力の伝送が可能であることを見出した。以下、断熱性に優れ、低損失で電力を伝送することが可能な本実施形態に係る給電部材について説明する。
【0035】
(給電部材)
本実施形態に係る給電部材70について説明する。
図2は、本実施形態に係る給電部材70の一例を示す図である。
図3は、
図2の給電部材70の中心軸を通る縦断面図である。
図4は、
図2の給電部材70の接続部材の断面形状の説明図である。
【0036】
本実施形態に係る給電部材70は、載置台20と第1整合器33とを着脱自在に電気的に接続し、第1高周波電源32により生成される高周波電力HFを載置台20に供給するために用いられる。
【0037】
図2及び
図3に示されるように、給電部材70は、第1の導電部材710と、第2の導電部材720と、接続部材730と、支持部材740と、を有する。
【0038】
第1の導電部材710は、円板状に形成されている。第1の導電部材710は、例えばAl、Cu等のバルク金属により形成されている。第1の導電部材710の上面は、載置台20と電気的に接続可能に構成されている。
【0039】
第2の導電部材720は、第1の導電部材710と所定の間隔を有して対向配置されている。第2の導電部材720は、第1の導電部材710と同様に、円板状に形成されている。第2の導電部材720は、例えばAl、Cu等のバルク金属により形成されている。第2の導電部材720の下面は、第1整合器33と電気的に接続可能に構成されている。
尚、本実施形態では第1の導電部材710と第2の導電部材720は対向配置されているが、対向配置されていない場合でも電気的に接続可能である。
【0040】
接続部材730は、第1の導電部材710と第2の導電部材720とを電気的に接続する。接続部材730は、内部が中空の円筒部732と、円筒部732の上端において円筒部732から径方向外方に延びる上フランジ部734と、円筒部732の下端において円筒部732から径方向外方に延びる下フランジ部736と、を含む。
【0041】
上フランジ部734は、円筒部732の直径よりも大きい内径を有する円環形状に形成された押え部材750、及びボルト等の締結部材752により、第1の導電部材710に固定される。これにより、上フランジ部734は、第1の導電部材710と電気的に接続される。
【0042】
下フランジ部736は、円筒部732の直径よりも大きい内径を有する円環形状に形成された押え部材754、及びボルト等の締結部材756により、第2の導電部材720に固定される。これにより、下フランジ部736は、第2の導電部材720と電気的に接続される。
【0043】
係る構成により、第1高周波電源32により生成される高周波電力HFは、第2の導電部材720、接続部材730、及び第1の導電部材710を介して載置台20に供給される。
【0044】
本実施形態では、接続部材730は、シート状に加工された多孔質金属(以下「多孔質金属シート」という。)により形成されている。多孔質金属シートとしては、金属繊維の不織布、金属繊維の焼結体等の金属繊維が無配向に分散して配置したシートを用いることができる。金属繊維の材料は、例えばステンレス鋼(SUS)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)等であってよい。金属繊維の繊維径は、電気伝導性の観点から、載置台20に印加される高周波電力HFの周波数に応じて定められる表皮深さdよりも大きいことが好ましい。なお、dは後述する数式(1)により定義される。また、多孔質金属シートとしては、発泡金属等の連通した多数の気孔を有する金属材料のシートを用いることもできる。さらに、複数の多孔質金属シートを積層してもよい。
【0045】
支持部材740は、断熱性を有する絶縁部材により形成されている。支持部材740は、円柱部742と、円柱部742の一端(上端)において円柱部742から径方向外方に延びる上フランジ部744と、円柱部742の他端(下端)において円柱部742から径方向外方に延びる下フランジ部746と、を含む。
【0046】
円柱部742の内部には、ドライエアー等の伝熱ガスを通流させて接続部材730の円筒部732の内部空間に向けて伝熱ガスを供給する伝熱ガス供給路(図示せず)が形成されていてもよい。伝熱ガス供給部を設けることにより、接続部材730の円筒部732を伝熱ガスにより冷却することができる。その結果、放熱性が向上する。上フランジ部744は、ボルト等の締結部材(図示せず)により、第1の導電部材710に固定される。下フランジ部746は、ボルト等の締結部材760により、第2の導電部材720に固定される。支持部材740により、給電部材70の上方又は下方から外力が加わった場合に、多孔質金属シートにより形成された接続部材730の変形を防止することができる。
【0047】
(効果)
本実施形態に係る給電部材70の効果について説明する。
【0048】
最初に、給電部材70の接続部材730を形成する多孔質金属シートの断熱性について説明する。
図5は、多孔質金属シートの一例を示す概略図である。
図5に示されるように、多孔質金属シートは、繊維径が10μm〜20μmの金属繊維により形成されている。これにより、細かな金属繊維間に数多くの隙間が形成されることで、伝熱ガスと金属繊維間の接触面積が拡大し、放熱特性が向上する。さらに、金属繊維の断面積が小さいことにより、断熱特性も向上する。
【0049】
次に、給電部材70の接続部材730を形成する多孔質金属シートの電気伝導性について説明する。交流電流が導体を流れる場合、電流密度が導体の表面で高く、表面から離れると低くなる表皮効果が生じる。表皮効果は、交流電流の周波数が高くなるほど電流が表面に集中するので、導体の交流抵抗が高くなる。より具体的には、電流が導体の表面を流れる電流の1/eになる深さである表皮深さdは、下記の数式(1)により算出される。
【0051】
例えば、銅により形成された導体に100MHzの高周波電力を伝送させる場合、上記の数式(1)を用いると、表皮深さdは6.5μmと算出される。
【0052】
図6は、表皮効果の説明図である。
図6(a)はバルク金属の一例である銅バルクの断面を示し、
図6(b)は金属繊維の一例である銅繊維の断面を示す。
【0053】
図6(a)に示されるように、断面の直径が70mmの銅バルクに100MHzの高周波電力を伝送させる場合、交流電流は銅バルクの表面に集中するため(d=6.5μm)、交流抵抗が高くなる。
【0054】
これに対し、
図6(b)に示されるように、繊維径が20μm程度の銅繊維に100MHzの高周波電力を伝送させる場合、銅繊維の大部分に交流電流が流れる(d=6.5μm)。これにより金属繊維1本辺りの高周波電力伝送に寄与する面積の使用率が向上する。従って、多くの金属繊維で構成された金属シートは同程度のサイズのバルク金属に対して交流抵抗が低くなる。その結果、低損失で電力を伝送することができる。
【0055】
(変形例)
次に、本実施形態に係る給電部材70の接続部材730の変形例について説明する。
図7から
図9は、本実施形態に係る給電部材の接続部材の別の例の断面形状の説明図である。
【0056】
図2から
図4では、給電部材70の接続部材730の形状が円筒(断面形状が円環)である場合を例に挙げて説明したが、接続部材730の形状はこれに限定されない。
【0057】
接続部材730は、多孔質金属シートを種々の形状に変形させたものであってもよい。例えば
図7に示されるように、接続部材730は、多孔質金属シートをロール状に変形させた構成であってもよい。この構成により、放熱面積がより広く取れるので、放熱特性が向上する。
【0058】
また、接続部材730は、板状に加工された多孔質金属(以下「多孔質金属板」という。)を複数配置したものであってもよい。例えば
図8に示されるように、接続部材730は、複数(例えば8つ)の多孔質金属板を放射状に配置した構成であってもよい。この構成により、放熱面積がより広く取れるので、放熱特性が向上する。また、複数の多孔質金属板は、構造的な偏りがないように対称性を有する位置に配置することが好ましい。なお、複数の多孔質金属板の一部又は全部を、板状に加工されたバルク金属に置き換えてもよい。
【0059】
また、接続部材730は、棒状に加工された多孔質金属(以下「多孔質金属棒」という。)を複数配置したものであってもよい。例えば
図9に示されるように、複数(例えば9つ)の多孔質金属棒を格子状に配置した構成であってもよい。この構成により、放熱面積がより広く取れるので、放熱特性が向上する。また、複数の多孔質金属棒は、構造的な偏りがないように対称性を有する位置に配置することが好ましい。なお、複数の多孔質金属棒の一部又は全部を、棒状に加工されたバルク金属に置き換えてもよい。
【0060】
また、接続部材730は、これらを組み合わせた複合構造であってもよい。さらに、接続部材730の一部が前述した多孔質金属又は複数のバルク金属により形成されていてもよい。
【0061】
(実施例)
次に、多孔質金属シートにより形成された接続部材を有する給電部材の断熱性及び電気伝導性について、具体的に説明する。
【0062】
まず、多孔質金属シートにより形成された接続部材を有する給電部材の断熱性について説明する。
図10は、断熱性評価のための評価系の説明図である。
図10(a)に示されるように、ホットプレート500上に、多孔質金属シートにより形成された接続部材730を有する給電部材70を載置し、ホットプレート500の表面温度が150℃となるように加熱した(実施例1)。このとき、第1の導電部材710が下側、第2の導電部材720が上側となるようにホットプレート500上に接続部材730を載置した。また、比較のために、
図10(b)に示されるように、ホットプレート500上に、バルク金属により形成された接続部材730Rを有する給電部材70Rを載置し、ホットプレート500の表面温度が150℃となるように加熱した(比較例1)。このとき、第1の導電部材710が下側、第2の導電部材720が上側となるようにホットプレート500上に接続部材730を載置した。また、給電部材70,70Rを加熱した状態で、第1の導電部材710の温度(図中のp1で示す位置の温度)及び第2の導電部材720の温度(図中のp2で示す位置の温度)を測定した。本実施例では、位置p1と位置p2との間の距離は120mmである。
【0063】
図11は、断熱性の評価結果を示す図である。
図11(a)は実施例1の評価結果であり、
図11(b)は比較例1の評価結果である。
図11(a)及び
図11(b)において、横軸は時間(分)を示し、縦軸は温度(℃)を示す。また、
図11(a)及び
図11(b)において、T
p1は
図10の位置p1での温度を示し、T
p2は
図10の位置p2での温度を示し、ΔTは位置p1と位置p2との間の温度差(T
p1−T
p2)を示す。
【0064】
図11(a)に示されるように、実施例1では、位置p1と位置p2との間の温度差が100℃程度であることが確認できる。これに対し、比較例1では、位置p1と位置p2との間の温度差が20℃以下である。これらのことから、多孔質金属シートにより形成された接続部材730を有する給電部材70は、バルク金属により形成された接続部材730Rを有する給電部材70Rよりも高い断熱性を有すると言える。
【0065】
次に、多孔質金属シートにより形成された接続部材を有する給電部材を、
図1に示される給電部材70,71として用いて、第1の条件で、ウエハWにプラズマエッチング処理を行ったときのエッチング特性を評価した(実施例2)。また、比較のために、バルク金属により形成された接続部材を有する給電部材を、
図1に示される給電部材70,71に用いて、第1の条件で、ウエハWにプラズマエッチング処理を行った時のエッチング特性を評価した(比較例2)。第1の条件は、以下の通りである。
【0066】
<第1の条件>
圧力:50mTorr(6.7Pa)
高周波電力HF:2400W
高周波電力LF:0W
エッチングガス:CF
4(150sccm)
エッチング時間:1分
ウエハW:SiO
2/Si(φ300mm)
【0067】
図12は、実施例2及び比較例2におけるエッチングレートの測定結果であり、ウエハWの位置(mm)とエッチングレート(arb.units)との関係を示す。
【0068】
図12に示されるように、実施例2におけるエッチングレートは、比較例2におけるエッチングレートと同等であることが確認できる。即ち、多孔質金属シートにより形成された接続部材を有する給電部材は、バルク金属により形成された接続部材を有する給電部材と同等の電気伝導性を有すると言える。
【0069】
次に、多孔質金属シートにより形成された接続部材を有する給電部材を、
図1に示される給電部材70,71として用いて、第2の条件で、ウエハWにプラズマエッチング処理を行ったときのエッチング特性を評価した(実施例3)。また、比較のために、バルク金属により形成された接続部材を有する給電部材を、
図1に示される給電部材70,71に用いて、第2の条件で、ウエハWにプラズマエッチング処理を行った時のエッチング特性を評価した(比較例3)。第2の条件は、以下の通りである。
【0070】
<第2の条件>
圧力:20mTorr(2.7Pa)
高周波電力HF:0W
高周波電力LF:2000W
エッチングガス:O
2(150sccm)
エッチング時間:1分
ウエハW:SiO
2/Si(φ300mm)
【0071】
図13は、実施例3及び比較例3におけるエッチングレートの測定結果であり、ウエハWの位置(mm)とエッチングレート(arb.units)との関係を示す。
【0072】
図13に示されるように、実施例3におけるエッチングレートは、比較例3におけるエッチングレートと同等であることが確認できる。即ち、多孔質金属シートにより形成された接続部材を有する給電部材は、バルク金属により形成された接続部材を有する給電部材と同等の電気伝導性を有すると言える。
【0073】
次に、多孔質金属シートにより形成された接続部材を有する給電部材を、
図1に示される給電部材70,71として用いて、第3の条件で、ウエハWにプラズマエッチング処理を行ったときのエッチング特性を評価した(実施例4)。また、比較のために、バルク金属により形成された接続部材を有する給電部材を、
図1に示される給電部材70,71に用いて、第3の条件で、ウエハWにプラズマエッチング処理を行った時のエッチング特性を評価した(比較例4)。第3の条件は、以下の通りである。
【0074】
<第3の条件>
圧力:20mTorr(2.7Pa)
高周波電力HF:2400W
高周波電力LF:500W
エッチングガス:O
2(150sccm)
エッチング時間:1分
ウエハW:SiO
2/Si(φ300mm)
【0075】
図14は、実施例4及び比較例4におけるエッチングレートの測定結果であり、ウエハWの位置(mm)とエッチングレート(arb.units)との関係を示す。
【0076】
図14に示されるように、実施例4におけるエッチングレートは、比較例4におけるエッチングレートと同等であることが確認できる。即ち、多孔質金属シートにより形成された接続部材を有する給電部材は、バルク金属により形成された接続部材を有する給電部材と同等の電気伝導性を有すると言える。
【0077】
次に、多孔質金属シートにより形成された接続部材を有する給電部材を、
図1に示される給電部材70,71として用いて、第4の条件で、ウエハWにプラズマエッチング処理を行ったときのエッチング特性を評価した(実施例5)。また、比較のために、バルク金属により形成された接続部材を有する給電部材を、
図1に示される給電部材70,71に用いて、第4の条件で、ウエハWにプラズマエッチング処理を行った時のエッチング特性を評価した(比較例5)。第4の条件は、以下の通りである。
【0078】
<第4の条件>
圧力:20mTorr(2.7Pa)
高周波電力HF:600W
高周波電力LF:4500W
エッチングガス:O
2(150sccm)
エッチング時間:1分
ウエハW:SiO
2/Si(φ300mm)
【0079】
図15は、実施例5及び比較例5におけるエッチングレートの測定結果であり、ウエハWの位置(mm)とエッチングレート(arb.units)との関係を示す。
【0080】
図15に示されるように、実施例5におけるエッチングレートは、比較例5におけるエッチングレートと同等であることが確認できる。即ち、多孔質金属シートにより形成された接続部材を有する給電部材は、バルク金属により形成された接続部材を有する給電部材と同等の電気伝導性を有すると言える。
【0081】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
【0082】
上記の実施形態では、給電部材70を、第1高周波電源32及び/又は第2高周波電源34により生成される高周波電力を伝送するために用いる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。給電部材70は、例えば、静電チャック用の直流電圧源112により生成される直流電流を伝送するために用いてもよい。この場合、給電部材70は、直流電圧源112とチャック電極106aとの間に設けられる。
【0083】
本発明のエッチング装置1は、容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)装置だけでなく、その他のプラズマ処理装置にも適用可能である。その他のプラズマ処理装置としては、例えば誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)装置、ラジアルラインスロットアンテナを用いたプラズマ処理装置、電子サイクロトロン共鳴プラズマ(ECR:Electron Cyclotron Resonance Plasma)装置、ヘリコン波励起型プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)装置が挙げられる。
【0084】
また、本発明のエッチング装置1により処理される基板は、ウエハに限定されず、例えばフラットパネルディスプレイ用の大型基板、EL素子又は太陽電池用の基板であってもよい。