特許第6859095号(P6859095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6859095
(24)【登録日】2021年3月29日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】成膜方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20210405BHJP
   C23C 14/50 20060101ALI20210405BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   C23C14/34 U
   C23C14/50 K
   C23C14/34 J
   H01L21/316 Y
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-250026(P2016-250026)
(22)【出願日】2016年12月22日
(65)【公開番号】特開2018-104738(P2018-104738A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】小梁 慎二
(72)【発明者】
【氏名】福本 英範
(72)【発明者】
【氏名】伊東 潤一
【審査官】 宮崎 園子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0003771(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/34
C23C 14/50
H01L 21/316
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成膜室内に被処理基板とターゲットとを対向配置し、成膜室内にスパッタガスを導入し、ターゲットに電力投入してターゲットをスパッタリングし、被処理基板の表面にスパッタ粒子を付着、堆積させて所定の目標膜厚で成膜する成膜方法であって、
被処理基板からターゲットに向かう方向を上として、ターゲットのスパッタリング中、タ一ゲットの上方に配置される磁石ユニットによりターゲットの下方空間にトンネル状の漏洩磁場をターゲット中心からターゲットの周縁部側に偏在させて発生させると共に、この発生させた漏洩磁場をターゲットの中心回りに周回させるものにおいて、
ターゲットのスパッタリング開始時、被処理基板とターゲットとが正対する当該被処理基板の位置を基準位置とし、基準位置にて目標膜厚より薄い第1膜厚で成膜する工程と、
被処理基板の中心を回転中心として基準位置から所定の回転角で回転させた当該被処理基板の位置を補正位置とし、複数箇所の補正位置にて目標膜厚より薄い第2膜厚で成膜する工程とを有し、前記基準位置及び前記複数箇所の補正位置で成膜して目標膜厚とし、
前記複数箇所の補正位置のうち少なくとも一箇所の補正位置にて前記第1膜厚とは異なる前記第2膜厚で成膜することを特徴とする成膜方法
【請求項2】
記回転角は、被処理基板を回転させることなく成膜したときに生じる膜厚分布に基づいて設定することを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
【請求項3】
前記第1膜厚及び第2膜厚は、被処理基板を回転させることなく成膜したときに生じる膜厚分布に基づいて設定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の成膜方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜室内に被処理基板とターゲットとを対向配置し、成膜室内にスパッタガスを導入し、ターゲットに電力投入してターゲットをスパッタリングし、被処理基板の表面にスパッタ粒子を付着、堆積させて所定の目標膜厚で成膜する成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程において、酸化アルミニウム膜等の絶縁膜を成膜する工程があり、このような絶縁膜を生産性よく成膜する成膜方法として、上記スパッタリング法が用いられる。このものでは、被処理基板からターゲットに向かう方向を上として、ターゲットのスパッタリング中、タ一ゲットの上方に配置される磁石ユニットによりターゲットの下方空間にトンネル状の漏洩磁場をターゲット中心からターゲットの周縁部側に偏在させて発生させ、ターゲットの下方空間での電子密度、ひいては、プラズマ密度を高くし、成膜レートの向上を図ることができる。この場合、漏洩磁場が作用するターゲットの領域は、ターゲットの高密度のプラズマと対向する部分は局所的にスパッタリングされるため、当該部分に対向する被処理基板の部分の膜厚が比較的厚くなる。そこで、成膜中、磁石ユニットをターゲット中心回りに周回させることで、漏洩磁場をターゲットの中心回りに周回させて、被処理基板に対して膜厚面内分布よく成膜できるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記従来例のように磁石ユニットを回転させても、被処理基板に成膜される薄膜の膜厚分布が径方向で偏ることが判明した。これは、絶縁物製のターゲットは一般に焼結により作製されるが、焼結時に絶縁物粒子の密度に偏りが生じるため、ターゲットをスパッタリングしたときのスパッタ粒子の飛散分布に偏りが生じることに起因するものと考えられる。次世代の半導体デバイスでは、膜厚面内分布を例えば2%以内、より好ましくは1%以内に制御することが要求されており、この要求を満たすには、膜厚分布の径方向の偏りを如何に抑制するかが重要となるが、磁石ユニットによる改善には限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−41137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、被処理基板に成膜される薄膜の膜厚分布の径方向の偏りを効果的に抑制することができる成膜方法を提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、成膜室内に被処理基板とターゲットとを対向配置し、成膜室内にスパッタガスを導入し、ターゲットに電力投入してターゲットをスパッタリングし、被処理基板の表面にスパッタ粒子を付着、堆積させて所定の目標膜厚で成膜する本発明の成膜方法は、被処理基板からターゲットに向かう方向を上として、ターゲットのスパッタリング中、タ一ゲットの上方に配置される磁石ユニットによりターゲットの下方空間にトンネル状の漏洩磁場をターゲット中心からターゲットの周縁部側に偏在させて発生させると共に、この発生させた漏洩磁場をターゲットの中心回りに周回させ、ターゲットのスパッタリング開始時、被処理基板とターゲットとが正対する当該被処理基板の位置を基準位置とし、基準位置にて目標膜厚より薄い第1膜厚で成膜する工程と、被処理基板の中心を回転中心として基準位置から所定の回転角で回転させた当該被処理基板の位置を補正位置とし、複数箇所の補正位置にて目標膜厚より薄い第2膜厚で成膜する工程とを有し、前記基準位置及び前記複数箇所の補正位置で成膜して目標膜厚とし、前記複数箇所の補正位置のうち少なくとも一箇所の補正位置にて前記第1膜厚とは異なる前記第2膜厚で成膜することを特徴とする
【0007】
本発明によれば、被処理基板を基準位置から所定の回転角で回転させて補正位置にすることで、被処理基板に対するスパッタ粒子の飛散分布を変えることができる。このように、被処理基板に対するスパッタ粒子の飛散分布を変えながら成膜を間欠的に行うことで、被処理基板に成膜される薄膜の膜厚分布の径方向の偏りを効果的に抑制することができ、ひいては、膜厚面内分布を著しく改善することができる。本発明者らの実験によれば、膜厚面内分布を2%以内に制御できることが確認された。
【0009】
本発明において、前記回転角や前記第1膜厚及び第2膜厚は、被処理基板を回転させることなく成膜したときに生じる膜厚分布に基づいて設定することが好ましい。これによれば、膜厚面内分布をより一層改善することができ、本発明者らの実験では、被処理基板に成膜される薄膜の膜厚面内分布を1%以内に制御できることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態の成膜方法を実施するスパッタリング装置を示す模式的断面図。
図2図1に示す成膜室の模式的断面図。
図3】被処理基板の基準位置及び補正位置を説明する図。
図4】(a)〜(c)は、本発明の効果を確認する実験結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の成膜方法を実施するクラスターツールで構成されるスパッタリング装置について説明する。図1に示すように、スパッタリング装置SMは、搬送ロボットRが配置される中央の搬送室Tと、この搬送室Tを囲うように配置される成膜室C1、回転室C2及びロードロック室L1,L2とを備える。これら搬送室T、ロードロック室L1,L2、成膜室C1及び回転室2は、真空ポンプ(図示省略する場合もある)により夫々真空引きできるようになっている。搬送ロボットRとしては、例えば、ロボットアーム10aと、ロボットアーム10aの先端に取り付けられて被処理基板Wを保持するロボットハンド10bとを有する、所謂フロッグレッグ式の公知のものを用いることができるため、ここでは詳細な説明を省略する。このような搬送ロボットRにより被処理基板Wを各室の所定位置に搬送できるようになっている。また、搬送室Tとロードロック室L1,L2、成膜室C1及び回転室C2とは、仕切バルブIvを介してそれぞれ連結され、各室が相互に隔絶できるようになっている。
【0012】
図2も参照して、成膜室C1は真空チャンバ1によって画成され、真空チャンバ1の側壁には、スパッタガスを導入するガス導入手段としてのガス管11が接続され、このガス管11がマスフローコントローラ12を介して図示省略のガス源に連通する。スパッタガスには、成膜室C1にプラズマを形成する際に導入されるアルゴンガス等の希ガスだけでなく、反応性スパッタに用いられる酸素ガスや窒素ガス等の反応ガスが含まれる。真空チャンバ1の側壁にはまた、ターボ分子ポンプやロータリポンプなどで構成される真空排気手段Pに通じる排気管13が接続され、成膜室C1を一定速度で真空引きし、所定圧力に保持できるようにしている。
【0013】
真空チャンバ1の天井部には、カソードユニットCが着脱自在に取付けられている。カソードユニットCは、ターゲット2と、このターゲット2の上方に配置される磁石ユニット3とで構成されている。ターゲット2は、酸化アルミニウム、窒化シリコンや炭化シリコンなどの絶縁物製の焼結ターゲットであり、被処理基板Wの輪郭に応じて、公知の方法で平面視円形や矩形に形成されたものである。ターゲット2は、バッキングプレート21に装着した状態で、スパッタリングされるスパッタ面22を下方にして、真空チャンバ1の上壁に設けた絶縁体Iを介して真空チャンバ1の上部に取り付けられる。また、ターゲット2は、公知の高周波電源Eに接続され、スパッタリング時、アースとの間で所定周波数(例えば、13.56MHz)の高周波(交流)電力が投入されるようにしている。
【0014】
磁石ユニット3としては、例えば、ヨーク31と、ヨーク31の下面に設けた複数個の第1磁石32と、これら第1磁石32の周囲に設けた複数個の第2磁石33とを有するものを用いることができ、スパッタ面22の下方空間にトンネル状の漏洩磁場をターゲット2の中心からターゲット2の周縁部側に偏在させて発生させるようにしている。さらに、ヨーク31の上面には、図示省略する駆動源の駆動軸34が接続され、ターゲット2の中心を回転中心として磁石ユニット3を回転駆動することで、上記漏洩磁場をターゲット2の中心回りに周回させるようにしている。
【0015】
成膜室C1の底部中央には、ターゲット2に対向させてステージ4が配置されている。ステージ4は、例えば筒状の輪郭を持つ金属製の基台41と、基台41上面に接着されるチャックプレート42とで構成されている。チャックプレート42は、基台41上面より一回り小さい外径を有し、静電チャック用の電極42a,42bが埋設され、図示省略のチャック電源から電圧が印加されると、ターゲット2に対向させて被処理基板Wを保持できるようになっている。チャックプレート42は、リング状の第1防着板43により基台41の上面に着脱自在に取り付けられている。第1防着板43は、スパッタリング中に被処理基板Wに発生するバイアス電位を低減するために、絶縁体Iを介して基台41の上面に取り付けられている。なお、静電チャックの構造については、単極型や双極型等の公知のものが利用できるため、ここでは詳細な説明を省略する。基台41は、真空チャンバ1の底面に設けた開口に気密に装着された絶縁体Iで保持され、電気的にフローティングにされている。また、基台41に冷媒循環用の通路やヒータを設けて、スパッタリング中、被処理基板Wを所定温度に制御できるように構成してもよい。
【0016】
成膜室C1内でステージ4の周囲には、環状の第2防着板5が設けられている。第2防着板5は、その内周縁部から径方向外側に下方に傾斜するように形成されたものである。そして、第2防着板5は、アース接地の真空チャンバ1の底面に設置され、スパッタリング時にアース電極としての役割を果たすようにしている。なお、第2防着板5は、その上下方向に貫通する複数個の貫通孔が開設されたものであってもよい。
【0017】
成膜室C1内にはまた、真空チャンバ1の内壁面へのスパッタ粒子の付着を防止するために、ターゲット2と被処理基板Wとの間の空間を囲う第3防着板6が配置されている。第3防着板6は、真空チャンバ1の上壁に吊設した上防着板61と、真空チャンバ1の底面に立設した下防着板62と、これら上防着板61と下防着板62との間で両防着板61,62より真空チャンバ1の内側に設けられて上防着板61及び下防着板62と上下方向でオーバーラップする可動防着板63とで構成されている。可動防着板63の外側面には、周方向に90°間隔で真空チャンバ1の底面を貫通して設けたシリンダCyの駆動軸Crが夫々連結されている。そして、シリンダCyにより、成膜時に真空チャンバ1の内壁面へのスパッタ粒子の付着を防止する下動位置(図2に示す位置)と、上防着板61側に移動することで可動防着板63と下防着板62との間に隙間を形成し、仕切バルブIvで開閉される搬送用の透孔Toを通して被処理基板Wの搬出または搬入を行い得る上動位置との間で可動防着板63が移動自在となる。
【0018】
また、図1に示す回転室C2には、被処理基板Wを保持して回転させる回転ステージStと、光学式のエッジセンサSeとが設けられている。そして、回転ステージStにより被処理基板Wを回転させながら、被処理基板Wのエッジ部分に形成されたノッチを検出するようになっている。ノッチが検出された被処理基板Wは、搬送ロボットRにより成膜室C1のターゲット2と正対する後述の基準位置に搬送される。本実施形態では、回転室C2に設けられる回転ステージStは、被処理基板Wを補正位置に搬送するために、被処理基板Wを所定の回転角で回転させる役割も果たす。尚、回転ステージSt及びエッジセンサSeとしては、公知のものを用いることができるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0019】
上記スパッタリング装置SMは、マイクロコンピュータやシーケンサ等を備えた公知の制御手段Ctを有し、仕切バルブIvの操作、搬送ロボットRの作動、マスフローコントローラ12の稼働、真空排気手段Pの稼働、駆動源の駆動等を統括制御するようになっている。さらに、上記制御手段Ctは、被処理基板Wを回転角θで回転させて基準位置から補正位置とするために、回転室C2の回転ステージStの稼働を制御するようになっている。以下、上記スパッタリング装置SMを用いて、被処理基板Wをシリコン基板(以下「基板W」という)とし、ターゲット2として酸化アルミニウム製の焼結ターゲットを用い、基板W表面に酸化アルミニウム膜を成膜する場合を例に、本発明の実施形態の成膜方法について説明する。
【0020】
先ず、大気中でロードロック室L1に基板Wを投入し、ロードロック室L1を真空引きした後、搬送ロボットRによりロードロック室L1から搬送室Tを介して回転室C2に基板Wを搬送する。回転室C2では、回転ステージStにより基板Wを回転させながら、基板Wに形成されたノッチNをエッジセンサSeにより検出し、検出したノッチNが仕切バルブIv側(搬送室T側)となる位置で回転ステージStを停止させる。
【0021】
次に、搬送ロボットRにより回転室C2から成膜室C1のステージ4に基板Wを搬送する。成膜室C1に搬送された基板Wは、ノッチNを仕切バルブIv側(搬送室T側)に位置させてターゲット2に正対した状態でステージ4により保持され、この基板Wの位置を基準位置とする。そして、磁石ユニット3を回転させながら、成膜室C1内にアルゴンガスを例えば、150〜250sccmの流量で導入し(このときの真空チャンバ1内の圧力は2〜4Pa)、スパッタ電源Eからターゲット2に高周波電力(例えば、13.56MHz、0.2kW〜3.0kW)を投入することにより、真空チャンバ1内にプラズマを形成し、ターゲット2のスパッタ面2aをスパッタリングし、飛散したスパッタ粒子を基板Wの表面に付着、堆積させて酸化アルミニウム膜を成膜する。
【0022】
ここで、基準位置の基板Wの表面に目標膜厚で成膜すると、酸化アルミニウム膜の膜厚分布が径方向に偏る場合がある。そこで、本実施形態では、基準位置の基板Wに対する成膜を目標膜厚より薄い第1膜厚で停止し、即ち、第1膜厚に対応する成膜時間が経過した時点で、スパッタガスの導入とターゲット2への電力投入とを停止する。そして、成膜室C1内の残留ガスを排気して成膜室C1内が所定圧力に達すると、搬送ロボットRにより基板Wを回転室C2に搬送し、回転ステージStにより基板Wを所定の回転角回転させる。このように回転させた基板Wを搬送ロボットRにより成膜室C1に再搬送する。
【0023】
成膜室C1に再搬送された基板Wは、基準位置から所定の回転角θ(例えば、図3に示すように反時計回りに90°)回転した状態でステージ4により保持され、この基板Wの位置を第1補正位置とする。この第1補正位置にて、基準位置での成膜条件と同一条件で、酸化アルミニウム膜を成膜する。このとき、第1補正位置では、ターゲット2に対して基板Wがねじれた位置関係となるため、当該第1補正位置の基板Wに対するスパッタ粒子の飛散分布は、基準位置のときのものとは異なることとなる。そして、目標膜厚より薄い第2膜厚に対応する成膜時間が経過した時点で、スパッタガスの導入とターゲット2への電力投入とを停止し、成膜室C1内の残留ガスを排気する。
【0024】
なお、第1補正位置での第2膜厚は、基準位置での第1膜厚と異なるように設定されてもよく、同一に設定されてもよい。これら第1膜厚、第2膜厚や回転角θは、基板Wを回転させることなく目標膜厚で成膜したときに生じる膜厚分布に基づいて設定することが好ましい(後述の実験を参照)。
【0025】
このような回転室C2における回転と成膜室C1における補正位置での成膜とを、酸化アルミニウム膜の膜厚が目標膜厚となるまで、交互に繰り返す。図3に示す例では、第1補正位置から反時計回りに更に90°回転させた第2補正位置と、第2補正位置から反時計回りに更に90°回転させた第3補正位置とで、更に2回の成膜を行うことで、基板W表面に目標膜厚の酸化アルミニウム膜を成膜する。言い換えると、基板Wを間欠的に90°ずつ回転させて計4回の成膜を間欠的に行うことで、目標膜厚の酸化アルミニウム膜が得られる。その後、搬送ロボットRにより基板Wを成膜室C1からロードロック室L2に搬送し、ロードロック室L2を大気圧までベントして基板Wを取り出す。
【0026】
以上説明したように、本実施形態によれば、基板Wを基準位置から所定の回転角θで回転させてターゲット2に対して基板Wがねじれた位置関係となる補正位置とすることで、基板Wに対するスパッタ粒子の飛散分布を変えることができる。このように、基板Wに対するスパッタ粒子の飛散分布を変えながら成膜を間欠的に行うことで、基板Wに成膜される薄膜の膜厚分布の径方向の偏りを効果的に抑制することができ、ひいては、膜厚面内分布を著しく改善することができる。
【0027】
次に、上記効果を確認するために、上記スパッタリング装置SMを用いて次の実験を行った。ここでは、被処理基板Wをφ300mmのシリコン基板(以下「基板W」という)とし、ターゲット2としてφ400mmの酸化アルミニウム製の焼結ターゲットを用い、基板W表面に酸化アルミニウム膜を目標膜厚30nmで成膜することとした。
【0028】
先ず、比較実験として、基板Wを回転させることなく基準位置にて目標膜厚まで成膜したときに生じる膜厚分布を求めた。即ち、成膜室C1内のステージ4で基板Wを保持した後、磁石ユニット3を回転速度40rpmで回転させると共に、成膜室C1内にアルゴンガスを所定流量で導入し(このときの成膜室C1内の圧力は0.36Pa)、ターゲット2へ13.56MHzの高周波電力を600W投入してプラズマを生成し、基板W表面に酸化アルミニウム膜を成膜した。成膜時間は120secであった。本比較実験によれば、成膜した酸化アルミニウム膜の膜厚面内分布(σ)は7.50%であり、図4(a)に示すように膜厚分布の径方向の偏りが生じていることが確認された。この膜厚分布に基づいて、以下に説明する発明実験1及び2での回転角θを45°に設定した。また、発明実験1での第1膜厚及び第2膜厚を同一の7.1nmに設定し、発明実験2では1つの補正位置(第7補正位置)での第2膜厚を1.2倍の8.5nmに設定した。
【0029】
次に、発明実験1として、成膜室C1にて基準位置の基板Wに対して、上記比較実験と同一の成膜条件で第1膜厚に対応する15sec成膜する。その後、基板Wを回転室C2に搬送して回転角θ=45°回転させる工程と、成膜室C1に再搬送された補正位置の基板Wに対して第2膜厚(本実験では第1膜厚と同一)に対応する15sec成膜する工程とを交互に7回ずつ繰り返すことで、基板W表面に目標膜厚の酸化アルミニウム膜を成膜した。本発明実験1によれば、成膜した酸化アルミニウム膜の膜厚面内分布(σ)は1.16%であり、図4(b)に示すように同一膜厚を有する部分が略同心円状となって膜厚分布の径方向の偏りが抑制されていることが確認された。
【0030】
次に、発明実験2として、1つの補正位置(第7補正位置)での成膜時間を1.2倍とした点を除き、上記発明実験1と同様にして酸化アルミニウム膜を成膜した。本発明実験2によれば、成膜した酸化アルミニウム膜の膜厚面内分布(σ)は0.87%であり、図4(c)に示すように同一膜厚を有する部分が略同心円状となって膜厚分布の径方向の偏りがより一層抑制されていることが確認された。
【0031】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、焼結ターゲットを用いて絶縁膜を成膜する場合を例に説明したが、金属ターゲットを用いて金属膜を成膜する場合にも本発明を適用することができる。金属ターゲットは、一般に圧延工程を経て作製されるが、圧延方向に起因して膜厚分布の径方向の偏りが生じることがある。この場合に、本発明を適用すれば、被処理基板に成膜される金属膜の膜厚分布の径方向の偏りを効果的に抑制することができる。
【0032】
上記実施形態では、回転室C2に設けられた回転ステージStを用いて被処理基板Wを所定の回転角で回転させる場合を例に説明したが、成膜室C1内に被処理基板Wを保持した状態で回転可能な回転ステージを有する場合には、この回転ステージを用いて被処理基板Wを回転させてもよい。この場合、基準位置にて第1膜厚で成膜した後、回転ステージを所定の回転角で回転させて補正位置にて第2膜厚で成膜すればよいため、成膜室C1と回転室C2との間の搬送が不要となり、スループットを向上させることができる。但し、成膜室C1内には、防着板5,6などの構成部品が設置されてるため、スペース上の制約により回転ステージを成膜室C1内に設置できない場合がある。このような場合に、上記実施形態の如く回転室C2の回転ステージStを用いれば、装置コストの上昇を防ぐことができ、有利である。
【0033】
また、上記発明実験2では、1つの補正位置にて第1膜厚とは異なる第2膜厚で成膜しているが、2以上の補正位置にて第2膜厚で成膜してもよい。この場合、基板Wを回転させることなく成膜したときに生じる膜厚分布の径方向の偏りに基づいて、第2膜厚で成膜する補正位置を設定すれば、膜厚分布の径方向の偏りをより一層抑制できる。
【符号の説明】
【0034】
C1…成膜室、W…被処理基板、θ…回転角、2…ターゲット、3…磁石ユニット。
図1
図2
図3
図4