(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記糖衣部が、カロチノイド色素を含む糖衣層、及び艶出し層を含み、糖衣グミの表面の最大高さ粗さ(Rz)が40〜60μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の糖衣グミ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の糖衣グミは、グミ部と、当該グミ部を被覆する糖衣部とを含み、水分活性値が0.2〜0.3であることを特徴とする。以下、本発明の糖衣グミについて詳述する。
【0012】
[水分活性値]
本発明の糖衣グミは、水分活性値が0.2〜0.3である。このような特定の水分活性値を有することにより、保存しても糖衣部の割れが生じ難くなり、しかも咀嚼時にパリッとした食感を備えさせることが可能になる。保存後の割れ抑制効果を高めつつ、咀嚼時にパリッとした食感をより一層強調した糖衣グミを得るという観点から、水分活性値として、好ましくは0.24〜0.29が挙げられる。
【0013】
本発明において、糖衣グミの水分活性値は、25℃において、糖衣グミを入れた密閉容器内の蒸気圧と、同条件での純水の蒸気圧の比であり、下記式に従って求められる値である。
【数1】
【0014】
糖衣グミの水分活性値は、AquaLab 4TE(Decagon社製)等の水分活性値測定装置を使用して測定することができる。
【0015】
糖衣グミの水分活性値を前記範囲にするには、グミ部と糖衣部の組成や比率、製造条件(特に、糖衣部の製造時の乾燥条件や冷却条件等)を適宜調節すればよい。糖衣グミの水分活性値を前記範囲に充足させるための具体的条件等については、後記する[グミ部]、[糖衣部]、及び[製造方法]の欄にて言及する。
【0016】
[グミ部]
グミ部は、グミ状可食性組成物によって構成される。
【0017】
グミ部を構成するグミ状可食性組成物は、グミ状を呈するために、ゲル化剤が含まれる。ゲル化剤としては、可食性であり、且つグミ状を呈させ得ることを限度として、特に制限されないが、例えば、ゼラチン、寒天、ペクチン、カラギーナン、グルコマンナン、ペクチン、ジェランガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガントガム、グアガム、カラヤガム、タマリンドシードガム等が挙げられる。これらのゲル化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0018】
これらのゲル化剤の中でも、前記水分活性値の範囲を好適に充足させて、保存後の割れ抑制効果及び咀嚼時のパリッとした食感をより一層向上させるという観点から、好ましくはゼラチンが挙げられる。また、ゲル化剤としてゼラチンを使用すると、グミ部に柔らかい食感を備えさせることも可能になる。
【0019】
グミ状可食性組成物においてゼラチンを使用する場合、その由来については、特に制限されないが、例えば、牛、豚等の獣由来のゼラチン;鶏由来のゼラチン;魚等の水生生物由来のゼラチン等が挙げられる。グミ状可食性組成物においてゼラチンを使用する場合、1種の由来のゼラチンを単独で使用してもよく、2種以上の由来のゼラチンを組み合わせて使用してもよい。
【0020】
グミ状可食性組成物におけるゲル化剤の含有量については、所望のゼリー強度となるように適宜調整すればよいが、例えば、グミ状可食性組成物の総量に対して5〜20重量%、好ましくは9〜17重量%、より好ましくは10〜16重量%が挙げられる。
【0021】
グミ部を構成するグミ状可食性組成物には、モノテルペンが含まれていてもよい。特に、グミ部を構成するグミ状可食性組成物において、ゲル化剤としてゼラチンを使用している場合には、更にモノテルペンが含まれていると、糖衣グミの咀嚼時のパリッとした食感を備えさせつつ、グミ部に柔らかい食感を付与することが可能になる。
【0022】
モノテルペンとしては、可食性であることを限度として、特に制限されないが、例えば、メントール、リモネン、メントン、カルボン、ネロール、ジヒドロカルボン、ピネン、ゲラニオール、リナロール、チモール、ボルネオール、ペリルアルデヒド、シトラール、シトロネラール、カンフル、シネオール、ペリルアルデヒド等が挙げられる。また、本発明において使用されるモノテルペンについては、光学異性体が存在する場合、d体、l体、dl体のいずれもが包含される。
【0023】
また、これらのモノテルペンは、精油の状態で使用することもできる。モノテルペンを含む精油としては、公知のものから適宜選択して使用することができるが、例えばメントールを含む精油としては、ハッカ油、ペパーミント油、スペアミント油等が挙げられる。
【0024】
グミ状可食性組成物にモノテルペンを含有させる場合、その含有量については、特に制限されないが、例えば、グミ状可食性組成物の総量に対して、0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜4重量%が挙げられる。なお、モノテルペンを含む精油を使用する場合には、前記含有量は、精油中のモノテルペン量に換算した値として計算される。
【0025】
グミ部を構成するグミ状可食性組成物には乳化剤が含まれていてもよい。特に、グミ状可食性組成物において、モノテルペンを含有させる場合には、モノテルペンを可溶化又は乳化させるために、乳化剤が含まれていることが望ましい。また、グミ状可食性組成物において、ゼラチン及びモノテルペンが含まれている場合に、乳化剤を更に含有させることによって、糖衣グミの咀嚼時のパリッとした食感を備えさせつつ、グミ部の柔らかい食感を更に向上させることができる。
【0026】
乳化剤としては、可食性であることを限度として特に制限されないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、これらの誘導体等が挙げられる。
【0027】
グリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、特に制限されないが、例えば、グリセリンモノ脂肪酸エステル(モノグリセリド)、グリセリンジ脂肪酸エステル(ジグリセリド)、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステル及びポリグリセリンジ脂肪酸エステル等が挙げられ、これらの中でも、好ましくは、モノグリセリンモノ脂肪酸エステル、ジグリセリンモノ脂肪酸エステル、トリグリセリンモノ脂肪酸エステルが挙げられる。ショ糖脂肪酸エステルとしては、特に制限されないが、例えば、ショ糖モノ脂肪酸エステル等が挙げられる。ソルビタン脂肪酸エステルとしては、特に制限されないが、例えば、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ソルビタンジ脂肪酸エステル、ソルビタントリ脂肪酸エステル等が挙げられ、好ましくはソルビタンモノ脂肪酸エステルが挙げられる。プロピレングリコール脂肪酸エステルとしては、特に制限されないが、例えば、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、プロピレングリコールジ脂肪酸エステル等が挙げられ、好ましくはプロピレングリコールモノ脂肪酸エステルが挙げられる。
【0028】
前記誘導体としては、例えば、有機酸モノグリセリド(有機酸としてコハク酸、酢酸、乳酸、クエン酸及びジアセチル酒石酸等が挙げられ、好ましくはクエン酸が挙げられる)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられ、好ましくは有機酸モノグリセリドが好適に用いられる。
【0029】
また、前記乳化剤の構成成分として含まれる脂肪酸については、食用可能な動物由来又は植物由来の油脂を起源とする脂肪酸であればよいが、例えば、炭素数6〜24の、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸等が挙げられる。前記乳化剤の構成成分として含まれる脂肪酸として、具体的には、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸;より好ましくはてステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸が挙げられる。
【0030】
これらの乳化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0031】
グミ状可食性組成物に乳化剤を含有させる場合、その含有量については、特に制限されないが、例えば、グミ状可食性組成物の総量に対して、0.05〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%が挙げられる。
【0032】
また、グミ部を構成するグミ状可食性組成物には、クエン酸及び/又はその塩を含んでもよい。特に、グミ状可食性組成物において、ゼラチン及びモノテルペンが含まれている場合に、クエン酸及び/又はその塩を更に含有させることによって、糖衣グミの咀嚼時のパリッとした食感を備えさせつつ、グミ部の柔らかい食感をより一層向上させることができる。
【0033】
クエン酸の塩としては、可食性であることを限度として特に制限されないが、例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸二カリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム等のクエン酸のアルカリ金属塩が挙げられる。これらのクエン酸の塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0034】
グミ状可食性組成物は、クエン酸又はクエン酸の塩のいずれか一方を含んでいてもよく、これらの双方を含んでいてもよい。
【0035】
グミ状可食性組成物にクエン酸及び/又はその塩を含有させる場合、その含有量については、特に制限されないが、例えば、グミ状可食性組成物の総量に対して、クエン酸及び/又はその塩の総量が0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜2重量%が挙げられる。
【0036】
また、グミ部を構成するグミ状可食性組成物には、甘味や栄養源の付与等の目的で、糖質(ゲル化剤として作用するもの以外の糖質)が含まれていることが好ましい。このような糖類としては、可食性であることを限度として特に制限されないが、例えば、ショ糖、果糖、乳糖、水飴、果糖ブドウ糖液糖、糖アルコール(例えば、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、還元パラチノース)、オリゴ糖(例えば、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イヌロオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖)、ポリデキストロース、デキストリン、難消化性デキストリン、還元難消化性デキストリン、デンプン(コーンスターチ、バレイショデンプン、小麦デンプン、米デンプン、タピオカデンプン等)等が挙げられる。これらの糖類は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0037】
グミ状可食性組成物に糖質(ゲル化剤として作用するもの以外の糖質)を含有させる場合、その含有量については、特に制限されないが、例えば、グミ状可食性組成物の総量に対して、当該糖質の乾燥重量換算で、50〜75重量%、好ましくは55〜70重量%、より好ましくは60〜70重量%が挙げられる。
【0038】
更に、グミ部を構成するグミ状可食性組成物には、グミ部の食感の改善や栄養源の付与等の目的で、油脂を含んでいてもよい。
【0039】
油脂は、可食性であることを限度として特に制限されず、動物性油脂であってもよく、植物性油脂であってもよい。
【0040】
油脂として、より具体的には、バター、馬油、魚油、ラード等の動物性油脂;パセリ種子油、パーム油、やし油、コーン油、オリーブ油等の植物性油脂が挙げられる。これらの油脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0041】
更に、グミ部を構成するグミ状可食性組成物は、前述する成分の他に、必要に応じて、各種添加成分を含有することができる。このような添加成分としては、医薬品や食品に使用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、リコペン等のビタミン類;塩酸ベタイン、塩化カルニチン、塩化ベタネコール等の健胃剤;ニンジン、ヨクイニン、加工大蒜、麻黄、南天実、桂皮、ゲンチアナ、陳皮、センブリ、ゴシュウ、ソウジュツ、チョウジ、アロエ、ホップ、葛根湯、桂枝湯、柴胡桂枝湯、麻黄湯、小柴胡湯、小青竜湯等の生薬エキス又は漢方薬;アスピリン、アセトアミノフェン、エテンザミド、イブプロフェン、サリチルアミド等の解熱鎮痛剤;塩酸ノスカピン、ノスカピン等の去痰剤;アクリノール、塩化ベルベリン、クレオソート、タンニン酸、臭化水素酸スコポラミン、臭化メチルアトロピン、塩酸パパベリン、アミノ安息香酸エチル等の止瀉剤;臭化水素酸デキストロメトルファン、ヒベンズ酸チペピジン、リン酸ジヒドロコデイン等の血管拡張剤;塩酸イソチベンジル、塩酸ジフェニルピラリン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、酒石酸アリメマジン等の抗ヒスタミン剤;臭化水素酸デキストロメトルファン、ヒベンズ酸チペピジン、リン酸ジヒドロコデイン等の鎮咳剤;カルシウム、イオウ、マグネシウム、亜鉛、セレン、鉄等のミネラル類;大豆タンパク、卵白粉末、乳清タンパク等のタンパク質;グリシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、フェニルアラニン、タウリン、トリプトファン等のアミノ酸;EPA、DHA、リノール酸、γ−リノレン酸、α−リノレン酸等の脂肪酸類;カラメル色素、クチナシ色素、アントシアニン色素、アナトー色素、パプリカ色素、紅花色素、紅麹色素、フラボノイド色素、コチニール色素、アマランス、エリスロシン、アルラレッドAC、ニューコクシン、フロキシン、ローズベンガル、アシッドレッド、タートラジン、サンセットイエローFCF、ファストグリーンFCF、ブリリアントブルーFCF、インジゴカルミン等の色素;各種フルーツのフレーバーやエッセンス等の香料;リンゴ酸及びその塩、酒石酸及びその塩、酢酸及びその塩、乳酸及びその塩、食塩、グルタミン酸及びその塩、みりん、食酢、天然果汁、野菜・果実・海産物等の裁断物又は粉末化物等の調味剤;アガリクス、シイタケエキス、レイシ、ヤマブシタケ等のキノコ類又はそのエキス;防腐剤;pH調整剤;コンドロイチン硫酸、グルコサミン、セラミド、ヒアルロン酸等のその他機能性素材等が挙げられる。これらの添加成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの添加成分の含有量については、使用する添加成分の種類や糖衣グミの用途等に応じて適宜設定される。
【0042】
グミ部を構成するグミ状可食性組成物の水分含量については、特に制限されないが、前記水分活性値を充足させるという観点から、グミ状可食性組成物の総量に対して、通常10〜20重量%、好ましくは14〜18重量%、より好ましくは15.5〜17.5重量%が挙げられる。
【0043】
[糖衣部]
本発明の糖衣グミは、前記グミ部を被覆する層として糖衣部を含む。本発明の糖衣グミにおいて、糖衣部は、前記グミ部表面の一部又は全体を、直接又は少なくとも1種の中間層を介して被覆するように形成すればよく、前記グミ部表面全体を被覆していることが好ましい。
【0044】
グミ部と糖衣部の間に必要に応じて設けられる前記中間層としては、特に制限されないが、例えば、グミ部とは異なる風味及び/又は食感を有する層;糖衣工程中におけるグミ部への水分移行を抑制するための層等の糖衣部から隔離してグミ部を保護するための層;グミ部から隔離して糖衣部を保護するための層;機能性成分を配合するための層等が挙げられる。
【0045】
糖衣部は、少なくとも糖質及び結合剤を含む糖衣層が、少なくとも1層設けられていていればよい。当該糖衣層を2層以上設ける場合であれば、例えば、当該糖衣層として、少なくとも、下掛け層と、中掛け層及び/又は上掛け層とを設ければよい。下掛け層、中掛け層及び上掛け層は、それぞれ同一組成のものであってもよく、また相互の異なる組成のものであってもよい。
【0046】
また、糖衣部は、糖衣層に加えて、光沢剤を含む艶出し層を最表面に含んでいることが好ましい。糖衣部に艶出し層が含まれることにより、糖衣グミに対して前述する水分活性値を好適に具備させることが可能になる。
【0047】
糖衣部の好適な層構造として、下掛け層(糖衣層)、中掛け層(糖衣層)、上掛け層(糖衣層)、及び艶出し層の4層構造;下掛け層(糖衣層)、上掛け層(糖衣層)、及び艶出し層の3層構造;下掛け層(糖衣層)及び艶出し層の2層構造等が挙げられる。これらの層構造の中でも、好ましくは、下掛け層、中掛け層、上掛け層、及び艶出し層の4層構造;下掛け層、上掛け層、及び艶出し層の3層構造、より好ましくは下掛け層、中掛け層、上掛け層、及び艶出し層の4層構造が挙げられる。
【0048】
糖衣部に使用される糖質としては、特に制限されないが、例えば、ショ糖、果糖、乳糖、水飴、糖アルコール(例えば、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、還元パラチノース)、オリゴ糖(例えば、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イヌロオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖)、ポリデキストロース、デキストリン、難消化性デキストリン、還元難消化性デキストリン等が挙げられる。これらの糖質の中でも、糖衣グミに前記水分活性値を好適に充足させるという観点から、好ましくはショ糖が挙げられる。これらの糖質は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0049】
糖衣部における糖質の含有量については、特に制限されず、糖衣部の層構造に応じて適宜設定すればよいが、例えば、糖衣部の総量に対して、糖質の乾燥重量換算で、通常85〜97重量%、好ましくは90〜95重量%、より好ましくは91〜94重量%が挙げられる。
【0050】
また、糖衣部に使用される結合剤としては、可食性があり、糖質を保持させ得ることを限度として特に制限されないが、例えば、アラビアガム、プルラン等の増粘多糖類;デンプン;ゼラチン等が挙げられる。これらの結合剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0051】
糖衣部における結合剤の含有量については、特に制限されず、糖衣部の層構造に応じて適宜設定すればよいが、例えば、糖衣部の総量に対して、通常1〜2重量%、好ましくは1.2〜2重量%、より好ましくは1.4〜1.8重量%が挙げられる。
【0052】
糖衣部の艶出し層に使用される光沢剤の種類については、可食性であり、表面を被覆できるものであることを限度として特に制限されないが、例えば、ミツロウ、カルナウバワックス、白シェラック、パラフィンワックス等が挙げられる。これらの光沢剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0053】
これらの光沢剤の中でも、糖衣グミに対して前述する水分活性値を好適に具備させるという観点から、好ましくはミツロウ、カルナウバワックス、白シェラックが挙げられる。
【0054】
糖衣部における光沢剤の含有量については、特に制限されず、糖衣部の層構造に応じて適宜設定すればよいが、例えば、糖衣部の総量に対して、通常0.05〜0.5重量%、好ましくは0.05〜0.2重量%、より好ましくは0.075〜0.18重量%、更に好ましくは0.1〜0.16重量%が挙げられる。
【0055】
また、糖衣部には、所望の色調を呈させるために、着色料が含まれていてもよい。糖衣部に使用される着色料については、可食性であることを限度として特に制限されないが、好適な一例としてカロチノイド色素が挙げられる。カロチノイド色素は、太陽光暴露によって退色するという欠点があるが、本発明の糖衣グミでは、前述する水分活性値を具備することによって、糖衣部にカロチノイド色素が含まれていても、太陽光暴露による退色を抑制し、外観を安定に維持することが可能になっている。
【0056】
カロチノイド色素を構成する成分の種類については、特に制限されないが、例えば、ルテイン、ゼアキサンチン、カンタキサンチン、フコキサンチン、アスタキサンチン、アンテラキサンチン、ゼオラキサンチン、クリプトキサンチン、カプサンチン、カプソルビン、ビキシン、クロセチン、αカロテン、βカロテン、γカロテン、δカロテン、リコペン、εカロテン、これらの脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0057】
また、カロチノイド色素の由来については、特に制限されず、植物、動物、微生物等の天然物由来のものであってもよく、化学合成で得られたものであってもよい。また、カロチノイド色素は、天然物から得られた前記成分を含む色素であってもよく、具体的には、マリーゴールド色素、アナトー色素、パプリカ色素、トマト色素、エビ色素、カニ色素、サフラン色素、ヘマトコッカス藻色素等が挙げられる。
【0058】
これらのカロチノイド色素の中でも、太陽光暴露による退色をより一層効果的に抑制するという観点から、好ましくは、ルテイン、ゼアキサンチン及びこれらの脂肪酸エステルの内少なくとも1種を含むもの、より好ましくはマリーゴールド色素が挙げられる。
【0059】
糖衣部にカロチノイド色素等の着色料を含有させる場合、糖衣層に着色料を含有させればよい。糖衣層が2層以上の複層構造の場合、着色料は、いずれの層に含まれていてもよいが、上掛け層に含まれていることが好ましい。
【0060】
また、糖衣部にカロチノイド色素等の着色料を含有させる場合、その含有量については、付与すべき着色の程度に応じて適宜設定すればよいが、例えば、糖衣部の総量に対して、通常0.1〜0.5重量%、好ましくは0.15〜0.4重量%、より好ましくは0.2〜0.3重量%が挙げられる。
【0061】
また、糖衣部には、アスコルビン酸、その誘導体、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種のアスコルビン酸類が含まれていてもよい。糖衣部にアスコルビン酸類が含まれる場合、糖衣グミの咀嚼時のパリッとした食感を更に向上させることが可能になる。
【0062】
アスコルビン酸の誘導体としては、可食性であることを限度として特に制限されないが、例えば、アスコルビン酸−2グルコシド、アスコルビン酸−6グルコシド等のアスコルビン酸グルコシド;アスコルビン酸−2−リン酸エステル、アスコルビン酸−3−リン酸エステル、アスコルビン酸−6−リン酸エステル等のアスコルビン酸リン酸エステル;アスコルビン酸−2−ポリリン酸エステル、アスコルビン酸−2−硫酸エステル、アスコルビン酸−2−パルミチン酸エステル、アスコルビン酸−6−パルミチン酸エステル、アスコルビン酸−2−ステアリン酸エステル、アスコルビン酸−6−ステアリン酸エステル等が挙げられる。
【0063】
アスコルビン酸及び/又はその誘導体の塩としては、可食性であることを限度として特に制限されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
【0064】
これらのアスコルビン酸類はL体であることが好ましい。また、アスコルビン酸類として、アスコルビン酸、その誘導体、及びそれらの塩の中から1種を選択して使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0065】
これらのアスコルビン酸類の中でも、糖衣グミの咀嚼時のパリッとした食感をより一層向上させるという観点から、好ましくはアスコルビン酸及び/又はその塩が挙げられる。
【0066】
糖衣部にアスコルビン酸類を含有させる場合、糖衣層にアスコルビン酸類を含有させればよい。糖衣層が2層以上の複層構造の場合、アスコルビン酸類は、いずれの層に含まれていてもよいが、下掛け層に含まれていることが好ましい。
【0067】
糖衣部にアスコルビン酸類を含有させる場合、その含有量については、特に制限されず、糖衣部の層構造に応じて適宜設定すればよいが、例えば、糖衣部の総量に対して、アスコルビン酸類が総量で、通常3〜8重量%、好ましくは4〜7重量%、より好ましくは5〜6重量%が挙げられる。
【0068】
また、糖衣部には、前述する成分の他に、必要に応じて、乳化剤が含まれていてもよい。糖衣部に使用される乳化剤の種類について、前記グミ部の欄で例示したものと同様である。更に、糖衣部には、必要に応じて、医薬品や食品に使用される各種添加成分が含まれていてもよい。糖衣部に使用される各種添加成分の種類については、前記グミ部の欄で例示したものと同様である。
【0069】
また、本発明の糖衣グミの一態様として、糖衣部が、少なくとも、カロチノイド色素を含む糖衣層、及び艶出し層を含み、糖衣グミの表面(即ち、光艶出し層の表面)の最大高さ粗さ(Rz)が40〜60μm、好ましくは40〜58μmであるものが挙げられる。本発明において、最大高さ粗さ(Rz)は、JIS B 0601−2001に記載の方法で測定される値である。
【0070】
本発明の糖衣グミにおいて、グミ部と糖衣部の比率については、前記水分活性値を充足させるという観点から、グミ部100重量部当たり、糖衣部が通常60〜80重量部、好ましくは63〜75重量部、より好ましくは61〜73重量部が挙げられる。
【0071】
[形状・用途]
本発明の糖衣グミの形状については、特に制限されないが、咀嚼し易さの観点から、1粒当たりの重量として、通常0.5〜0.9g程度、好ましくは0.59〜0.9g、より好ましくは0.7〜0.8g程度が挙げられる。
【0072】
本発明の糖衣グミは、食品や医薬品として様々な用途に使用できる。例えば、本発明の糖衣グミは、グミキャンディ等の菓子、並びにグミ部に有効成分を有するサプリメント、機能性食品及び経口医薬品等として使用できる。
【0073】
[製造方法]
本発明の糖衣グミは、グミ部を糖衣部で被覆する工程において、糖衣グミの水分活性値を0.2〜0.3に調節することにより製造することができる。
【0074】
グミ部を構成するグミ状可食性組成物は、例えば、使用するゲル化剤の溶解温度以上の温度条件下で各成分を水と混合し、ゲル化剤を溶解させた状態の原料溶液を調製し、当該原料溶液を所望の形状の型に入れて所望の水分量になるまで乾燥固化した後に、冷却することによって得ることができる。
【0075】
次いで、得られたグミ部に対して、糖衣部の層構造に応じて、下掛け工程、中掛け工程、上掛け工程、艶出し工程等の糖衣部形成工程を適宜行うことにより、糖衣グミを得ることができる。これらの糖衣部形成工程は、公知の手法で行えばよいが、糖衣グミの水分活性値は、糖衣部形成工程の各工程の乾燥条件や冷却条件等によって変動するので、糖衣グミの水分活性値が0.2〜0.3を満たすように糖衣部形成工程の各工程の乾燥条件や冷却条件等を適宜設定すればよい。
【0076】
例えば、糖衣部として、艶出し層を設ける場合には、艶出し工程の直前の工程(例えば、上掛け層を設ける場合には、上掛け工程)で得られた成型物(以下、「艶出し工程前成型物」と表記することもある)の水分活性値を0.3〜0.4に調節し、これを艶出し工程に供して艶出し層を形成することにより、製造される糖衣グミの水分活性値を0.2〜0.3の範囲内に調節することができる。なお、艶出し工程前成型物の水分活性値の測定方法については、糖衣グミの水分活性値の場合と同様である。
【0077】
艶出し工程前成型物の水分活性値を0.3〜0.4に調節するには、艶出し工程前成型物に対して、下記条件の乾燥処理及び冷却処理を順次行えばよい。
(乾燥処理の条件)
22〜32℃、好ましくは24〜30℃の温度条件で、20〜24時間、好ましくは22〜24時間。
(冷却処理の条件)
前記乾燥処理時の温度よりも1〜14℃低い温度条件、好ましくは2〜12℃低い温度条件(実際の温度としては、18〜26℃、好ましくは20〜24℃)で、15〜180分間、好ましくは30〜150分間、より好ましくは45〜120分間。
【実施例】
【0078】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0079】
試験例
1.糖衣グミの製造
表1に示す組成のグミ状可食性組成物を調製し、熱風発生装置(電気式熱風発生機TSK−18、株式会社関西電熱)を備える糖衣機(糖衣・艶出機No.16 D−S、株式会社菊水製作所製)を用いて糖衣部を被覆させることにより、糖衣グミを製造した。具体的な製造条件は、以下の通りである。
【0080】
1−1.実施例1〜3及び比較例1〜2
(1)グミ部(グミ状可食性組成物)の調製
[油性溶液の準備]
パセリ種子油(0.2重量部)、グリセリンクエン酸モノオレイン酸エステル(ポエムK−37V:理研ビタミン株式会社製)(0.45重量部)、及びメントール(1重量部)をステンレス製カップ中でよく混合し、約60℃にて保温し、油性溶液を調製した。
【0081】
[ゼラチン液の準備]
乳酸カルシウム(2重量部)及び水(15重量部)を量り取り、約60℃の温水にて溶解させた。乳酸カルシウムが完全に溶解したことを確認した後、ゼラチンA(5重量部)及びゼラチンB(8重量部)を添加し、温水にて完全に溶解させて、ゼラチン液を調製した。
【0082】
[グミ部(グミ状可食性組成物)の調製工程]
砂糖(25重量部)、麦芽糖(18重量部)、水飴(12重量部)、54%ソルビトール(ソルビトールを54重量%、還元水飴を16重量%、水を30重量%含有)18重量部、及び水10重量部をステンレス製ボール中で混合し、ガスコンロを用いて直火でBx.90(Bx:Brix)になるまで加熱し、糖液を得た。
【0083】
Bx.90に調整した糖液が100℃以下になったのを確認し、当該糖液(Bx.90に調整する前の重量が83重量部に相当する量)に前記「ゼラチン液」(30重量部)を添加し、よく混合した。次いで、前記「油性溶液」(1.65重量部)を添加し、Bx.78となるように湯煎した。湯煎によって泡の入った膜が生じたので、これを廃棄し、お湯で温めておいたホッパーに液を流し込み、スターチ型に充填した。
【0084】
25℃にて48時間乾燥固化させた後に、室温まで冷却を行った。冷却したものに篩にかけながらスターチを振り掛けて、更に光沢剤として、やし油99重量%及びカルナウバワックス1重量%の混合物を数滴落とし、均一にからめ、グミ部(グミ状可食性組成物)を製造した。なお、表1に記載の処方における各成分の含有量は、前記乾燥固化して冷却した後であって、且つ前記スターチ並びにやし油及びカルナウバワックスの混合物を添加する前のグミ状可食性組成物における含有量を示している。
【0085】
【表1】
【0086】
(2)糖衣部の被覆
[原料溶液の準備]
・ベースシロップ
グラニュー糖4739.6g、水1966.6g、40%ゼラチン溶液(新田ゼラチン株式会社製「ゼラチンAP-200」を40重量%含有)312.8g、50%アラビアガム溶液(アラビアガム末を50重量%含有)439.6g、25%プルラン溶液(プルランを25重量%含有)41.4gを混合し、50〜55℃に保温した。使用直前に、水を加えて、糖度(Brix)を68に調整した。
【0087】
・スムージングシロップ
グラニュー糖335.6g、水153.4g、40%ゼラチン溶液(新田ゼラチン株式会社製「ゼラチンAP-200」を40重量%含有)11gを混合し、50〜55℃に保温した。使用直前に、水を加えて、糖度(Brix)を65に調整した。
【0088】
・中掛け液
グラニュー糖2802.1g、水972g、40%ゼラチン溶液(新田ゼラチン株式会社製「ゼラチンAP-200」を40重量%含有)92g、香料133.9gを混合し、40〜45℃に保温した。使用直前に、水を加えて、糖度(Brix)を65に調整した。
【0089】
・上掛け液(色掛け用)
グラニュー糖2485.4g、水851.4g、カロチノイド色素(リケカラーマリーゴールド30(WS)、理研ビタミン株式会社製)81.6g、40%ゼラチン溶液(新田ゼラチン株式会社製「ゼラチンAP-200」を40重量%含有)81.6gを混合し、40〜45℃に保温した。使用直前に、水を加えて、糖度(Brix)を72に調整した。
【0090】
・上掛け液(色止め用)
グラニュ糖552.4g、水229.4g、40%ゼラチン溶液(新田ゼラチン株式会社製「ゼラチンAP-200」を40重量%含有)18.2gを混合し、40〜45℃に保温した。使用直前に、水を加えて、糖度(Brix)を70に調整した。
【0091】
・艶出し液
光沢剤溶液(ラックグレーズ14E−BC、日本シェラック工業株式会社製;エタノール86重量%、シェラック2重量%、ミツロウ10重量%、及びカルナウバロウ2重量%含有)150g、カルナウバロウ12.3gを混合した。
【0092】
[糖衣工程]
・下掛け工程
前記で得られたグミ部(グミ状可食性組成物)30kgを30℃で52時間乾燥させた後に、20℃で8時間冷却を行った。その後、糖衣装置に投入し、回転させながら以下のステップ1〜8で下掛け工程を行い、下掛け層を形成した。具体的には、ステップ1を1回、ステップ2を4回、ステップ3を1回、ステップ4を1回、ステップ5を1回、ステップ6を1回、ステップ7を3回、ステップ8を1回繰り返した後、30℃雰囲気下で1日間保存し、これを下掛けグミとした。
ステップ1:グラニュー糖300g散布→30%アラビアガム溶液(アラビアガム末を30重量%含有)350g散布→グラニュー糖1200g散布→約12分間室温の風を送風。
ステップ2:下掛け液650g散布→グラニュー糖1300g散布→約2分間室温の風を送風。
ステップ3:下掛け液530g散布→アスコルビン酸600g散布→約5分間室温の風を送風。
ステップ4:下掛け液620g散布→アスコルビン酸600g散布→約7分間室温の風を送風。
ステップ5:下掛け液360g散布→粉糖1000g散布→約6分間室温の風を送風。
ステップ6:下掛け液400g散布→粉糖1000g散布→約6分間室温の風を送風。
ステップ7:掛け液450g散布→粉糖1000g散布→約5分間室温の風を送風。
ステップ8:スムージングシロップ350g散布→約7分間無送風で回転→約5分間室温の風を送風。
【0093】
・中掛け工程
得られた下掛けグミを糖衣装置に投入し、回転させながら中掛け液270gを散布し、約6分間室温の風を送風するステップを9回行った後に、回転させながら中掛け液270gを散布し、無送風状態で約15分間乾燥するステップを2回繰り返すことにより、中掛け層を形成した。得られたものを30℃設定の乾燥機内で一晩保管し、これを中掛けグミとした。
【0094】
・上掛け工程
前記で得られた中掛けグミを糖衣装置に投入し、回転させながら以下のステップA〜Cで上掛け工程を行い、上掛け層を形成した。具体的には、ステップAを1回、ステップBを1回、ステップCを1回行い、これを上掛けグミとした。
ステップA:上掛け液(色掛け用)360gを散布し、約6分間室温の風を送風。
ステップB:上掛け液(色掛け用)330gを散布し、無送風で約17分間回転。
ステップC:上掛け液(色止め用)330gを散布し、無送風で10〜15分回転。
【0095】
ステップC後に得られた上掛けグミを表1に示す条件の乾燥工程及び冷却工程を順次行った。
【0096】
・艶出し工程
得られた色掛けグミを糖衣装置に投入し、回転させながら艶出し液162.3gを散布し、更にミツロウ150gを糖衣装置内に投入後、約15分間室温の風を送風することにより、艶出し層を形成し、糖衣グミ(1粒当たりの重量0.74g、グミ部100重量部当たり糖衣部が68重量部)を得た。
【0097】
得られた糖衣グミ25粒をポリプロピレン製容器に充填後、乾燥剤(商品名「ケアドライ CP1」、大江化学工業株式会社製)1gを投入し、ピロー包装(ポリエチレンテレフタレート製フィルム、ナイロン製フィルム及びポリプロピレン製フィルムが積層されている積層シートを使用)して密封した。
【0098】
1−2.実施例4
(1)グミ部(グミ状可食性組成物)の調製
前記実施例1〜3及び比較例1〜2の場合と同様の組成及び製造方法でグミ部(グミ状可食性組成物)を調製した。
【0099】
(2)糖衣部の被覆
[原料溶液の調製]
・ベースシロップ
グラニュー糖73g、40%ゼラチン溶液(新田ゼラチン株式会社製「ゼラチンAP-200」を40重量%含有)2.4g、及び水24.6gを混合し、60℃にて保温した。
【0100】
・下掛け液
ベースシロップ7750g、水437.5g、40%ゼラチン溶液(新田ゼラチン株式会社製「ゼラチンAP-200」を40重量%含有)187.5g、50%アラビアガム溶液(アラビアガム末を50重量%含有)525g、及び25%プルラン溶液(プルランを25重量%含有)50gを混合し、40〜50℃で保温した。使用直前に、水を加えて、糖度(Brix)を68に調整した。
【0101】
・スムージングシロップ
ベースシロップ500g及び水40.4gを混合し、40〜50℃で保温した。使用直前に、水を加えて、糖度(Brix)を68に調整した。
【0102】
・中掛け液
ベースシロップ3598g、香料126g、及び水26gを混合し、40〜50℃で保温した。使用直前に、水を加えて、糖度(Brix)を71に調整した。
【0103】
・上掛け液(色掛け用)
ベースシロップ5000g、カロチノイド色素120g(リケカラーマリーゴールド30(WS)、理研ビタミン株式会社製)、水20gを混合し、40〜50℃で保温した。使用直前に、水を加えて、糖度(Brix)を70に調整した。
【0104】
・上掛け液(色止め用)
ベースシロップ473g、及び水27gを混合し40〜50℃で保温した。使用直前に、水を加えて、糖度(Brix)を70に調整した。
【0105】
[糖衣工程]
・下掛け工程
前記で得られたグミ部(グミ状可食性組成物)30kgを30℃で52時間乾燥させた後に、20℃で8時間冷却を行った。その後、糖衣装置に投入し、回転させながら以下のステップ1〜8で下掛け工程を行い、下掛け層を形成した。具体的には、ステップ1を1回、ステップ2を2回、ステップ3を1回、ステップ4を1回、ステップ5を1回、ステップ6を7回、ステップ7を1回繰り返した後、28〜30℃雰囲気下で2日間保存し、これを下掛けグミとした。
ステップ1:グラニュー糖250g散布→30%アラビアガム溶液(アラビアガム末を30重量%含有)270mL散布→グラニュー糖800g散布→10〜15分間室温の風を送風。
ステップ2:グラニュー糖250g散布→下掛け液400mL散布→グラニュー糖400g散布→8〜11分室温の風を送風。
ステップ3:下掛け液400mL散布→グラニュー糖150g、アスコルビン酸500g散布→7〜8分室温の風を送風。
ステップ4:下掛け液500mL散布→アスコルビン酸700g散布→7〜8分室温の風を送風。
ステップ5:下掛け液400mL散布→粉糖1250g散布→6〜8分室温の風を送風。
ステップ6:下掛け液400〜500mL散布→粉糖1250g散布→6〜8分室温の風を送風。
ステップ7:粉糖200g散布→スムージングシロップ270mLの散布→約20分室温の風を送風。
【0106】
・中掛け工程及び上掛け工程
前記で得られた下掛けグミを糖衣装置に投入し、回転させながら中掛け液360mLを散布し、6〜12分室温の風を送風するステップを8回繰り返すことにより中掛け層を形成した。
【0107】
次いで、回転させながら以下のステップA〜Cで上掛け工程を行い、上掛け層を形成した。具体的には、ステップAを11回、ステップBを1回、ステップCを1回行い、これを下掛けグミとした。
ステップA:上掛け液(色掛け用)270mLを散布し、2〜10分間室温の風を送風。
ステップB:上掛け液(色掛け用)270mLを散布し、無送風で10分間回転。
ステップC:上掛け液(色止め用)270mLを散布し、無送風で10〜15分回転。
【0108】
ステップC後に得られた上掛けグミを表1に示す条件の乾燥工程及び冷却工程を順次行った。
【0109】
・艶出し工程
得られた上掛けグミを糖衣装置に投入し、回転させながら光沢剤溶液(ラックグレーズ14E−BC、日本シェラック工業株式会社製;エタノール86重量%、シェラック2重量%、ミツロウ10重量%、及びカルナウバロウ2重量%含有)150gを散布し、5〜15分間室温の風を送風することにより、艶出し層を形成し、糖衣グミ(1粒当たりの重量0.75g、グミ部100重量部当たり糖衣部が68重量部)を得た。
【0110】
得られた糖衣グミ25粒をポリプロピレン製容器に充填後、乾燥剤(商品名「ケアドライ CP1」、大江化学工業株式会社製)1gを投入し、ピロー包装(ポリエチレンテレフタレート製フィルム、ナイロン製フィルム及びポリプロピレン製フィルムが積層されている積層シートを使用)して密封した。
【0111】
2.糖衣グミの評価
2−1.水分活性値の測定
容器に収容した状態の各糖衣グミを太陽光の暴露を受ける室内環境で10日間保存した後に、水分活性値を測定した。水分活性値の測定は、具体的には、サンプルカップ(外径40mm、内径39.4mm、高さ11.4mm、容量15mL、高密度ポリエチレン製)に、糖衣グミを10粒入れ、AquaLab 4TE(Decagon製)のチャンバー内にセットし、25℃における水分活性値を測定することにより行った。なお、本水分活性値の測定時の室内の相対湿度は50%RHであった。
【0112】
また、艶出し工程に供される直前の上掛けグミについても、同様の方法で、水分活性値を測定した。
【0113】
2−2.糖衣グミの表面の最大高さ粗さの測定
非接触三次元粗さ測定装置(NewView 7300Zygo Corporation製)を用いて、糖衣グミの表面の最大高さ粗さ(Rz)を測定した。
【0114】
2−3.食感の評価
10名のパネラーに各糖衣グミを摂食させ、咀嚼時の食感について、パリッとした食感があるを「10点」、パリッとした食感がないを「1点」として、VAS(Visual Analogue Schale)法にて評点化し、各糖衣グミについて評点の平均値(小数点以下は四捨五入)を求めた。
【0115】
2−4.経時的安定性(糖衣部の割れ抑制)の評価
各糖衣グミ25粒を40℃、75%RH(相対湿度)環境下で2ヶ月保管し、目視でグミ部が見える程度の割れが発生している粒の個数を計測し、下記判定基準に従って、経時的安定性を評価した。
<経時的安定性の判定基準>
◎:グミ部が見える程度の割れが発生している粒が10個以下
○:グミ部が見える程度の割れが発生している粒が11個以上19個以下
×:グミ部が見える程度の割れが発生している粒が20個以上
【0116】
2−5.太陽光暴露後の色調変化の評価
容器に収容した状態の各糖衣グミを太陽光の暴露を受ける室内環境で10日間保存した後に、分光測色計(コニカミノルタ製CM−5)にて日光照射試験前後のL*、a*、b*値を測定し、色差(ΔE
*ab)を算出した。また、目視にて、太陽光暴露後の色調が実施例1の糖衣グミと同程度の場合には○、太陽光暴露後の色調が実施例1の糖衣グミよりも著しく退色している場合には×として、太陽光暴露後の色調変化を評価した。
【0117】
3.評価結果
得られた結果を表2に示す。この結果、水分活性値が0.2〜0.3の範囲内にある糖衣グミは、咀嚼時にパリッとした食感が強く感じられ、斬新な食感を呈することが確認された(実施例1〜4)。更に、水分活性値が0.2〜0.3の範囲内であれば、保存後の糖衣部の割れを抑制でき、更に糖衣部にカロチノイド色素を含んでいても、太陽光暴露後にカロチノイド色素の退色を抑制できることも確認された(実施例1〜4)。また、水分活性値が0.2〜0.3の範囲内にある糖衣グミは、艶出し工程に供する上掛けグミの水分活性値を0.3〜0.4に制御することによって得られることも確認された(実施例1〜4)。
【0118】
【表2】