【発明の効果】
【0031】
このタイプの媒体は、特に、ECB効果に基づいたアクティブ−マトリックスアドレス指定を有する電気光学ディスプレイおよびIPS(in-plane switching;平面内スイッチング)ディスプレイに使用することができる。
よって、本発明は、式Iで表される少なくとも1種の化合物および式IIで表される1種または2種以上の化合物、ならびに好ましくはさらに式III−1〜III−4で表される化合物からなる群から選択される1種または2種以上の化合物を含む、極性化合物の混合物をベースとする液晶混合物に関する。
【0032】
本発明の混合物は、−20℃および−30℃での良好な低温安定性に加え、極めて低い回転粘度と同様に、透明点が≧70℃である極めて広範なネマチック相範囲、極めて有益な容量閾値、相対的に高い保持比を示す。本発明の混合物は、さらに、透明点および回転粘度の比により、および高い負の誘電異方性により区別される。
【0033】
驚くべきことに、従来技術の材料の欠点を有さないか、またはかなり減少した程度を有するのみである、好適な高いΔε、好適な相範囲およびΔnを有する液晶混合物を達成することが可能であることが見出された。
【0034】
驚くべきことに、式Iで表される化合物により、熱安定剤を添加せずに単独で使用された場合であっても、UV曝露にもまた加熱にも、液晶混合物の、かなりの、多くの場合においては十分な、安定化がもたらされることが見出された。これは、特に、多くの場合において、使用した式Iで表される化合物におけるパラメータR
11がO
・(酸素ラジカル)を示す場合である。したがって、式中、R
11がO
・を示す式Iで表される化合物が、特に好ましく、液晶混合物におけるこれらの化合物の精密な使用が、特に好ましい。
【0035】
しかしながら、特に、さらに1種または2種以上の化合物が、好ましくは、フェノール性安定剤が、式Iで表される1種の化合物または式Iで表される2種以上の化合物に加えて、液晶混合物中に存在する場合に、UV曝露に対しても、および加熱に対しても、液晶混合物の十分な安定化を達成することができる。これらのさらなる化合物は、熱安定剤として好適である。
【0036】
よって、本発明は、式Iで表される化合物に関し、ネマチック相および負の誘電異方性を有する液晶混合物に関し、前記液晶混合物は、
a)好ましくは1ppm〜1000ppmの範囲の、好ましくは、1ppm〜500ppmの範囲の、特に好ましくは、1ppm〜250ppmの範囲の濃度の式I
【化5】
【0037】
式中、
nは、1〜4の整数、好ましくは、1、2または3、特に好ましくは、1または2、および極めて特に好ましくは、2を示し、
mは、(4−n)を示し、
【0038】
【化5-1】
は、4個の結合部位を有する有機基を示し、好ましくは、1〜20個のC原子を有するアルカンテトライル(alkanetetrayl)単位であり、式中、分子中に存在するm個の基R
12に加え、しかしそれとは独立して、さらなるH原子は、R
12により置き換えられていてもよく、または複数のさらなるH原子は、R
12により置き換えられていてもよく、好ましくは、2個の末端C原子の各々において1価を有する直鎖状アルカンテトライル単位であり、ここで、1個の−CH
2−基または複数の−CH
2−基は、−O−または−(C=O)−により、2個のO原子が互いに直接結合しないように置き換えられていてもよく、あるいは、1〜4価を有する置換されたまたは非置換の芳香族または複素芳香族炭化水素基を示し、式中、分子中に存在するm個の基R
12に加え、しかしそれとは独立して、さらなるH原子は、R
12により置き換えられていてもよく、または複数のさらなるH原子は、R
12により置き換えられていてもよく、
【0039】
Z
11およびZ
12は、互いに独立して、−O−、−(C=O)−、−(NR
14)−または単結合を示すが、両方が同時に−O−を示さず、
rおよびsは、互いに独立して、0または1を示し、
Y
11〜Y
14は、各々互いに独立して、1〜4個のC原子を有するアルキル、好ましくは、メチルまたはエチルを示し、特に好ましくは、全てがメチルまたはエチル、極めて特に好ましくは、メチルを示し、
あるいは代替的に、互いに独立して、2個の対である(Y
11およびY
12)および(Y
13およびY
14)は、3〜6個のC原子、好ましくは5個のC原子を有する2価の基、最も好ましくは、1,5−ペンチレンを一緒に形成する結合により連結していてもよく、
【0040】
R
11は、O−R
13、O
・またはOH、好ましくは、O−R
13またはO
・、特に好ましくは、O
・、イソプロポキシ、シクロヘキシルオキシ、アセトフェノキシまたはベンゾキシ、極めて特に好ましくは、O
・を示し、
【0041】
R
12は、各々存在する場合には、互いに独立して、H、F、OR
14、NR
14R
15、1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル鎖を示し、ここで、1個の−CH
2−基または複数の−CH
2−基は、−O−または−(C=O)−により置き換えられていてもよいが、隣接した2個の−CH
2−基は、−O−により置き換えられていてはならず、あるいは、シクロアルキルまたはアルキルシクロアルキル単位を含有する炭化水素基を示し、ここで、1個の−CH
2−基または複数の−CH
2−基は、−O−または−(C=O)−により置き換えられていてもよいが、隣接した2個の−CH
2−基は、−O−により置き換えられていてはならず、およびここで、1個のH原子または複数のH原子は、OR
14、N(R
14)(R
15)またはR
16により置き換えられていてもよく、あるいは、芳香族または複素芳香族炭化水素基を示し、ここで、1個のH原子または複数のH原子は、OR
14、N(R
14)(R
15)またはR
16により置き換えられていてもよく、
【0042】
R
13は、各々存在する場合には、互いに独立して、1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル鎖を示し、ここで、1個の−CH
2−基または複数の−CH
2−基は、−O−または−(C=O)−により置き換えられていてもよいが、隣接した2個の−CH
2−基は、−O−により置き換えられていてはならず、あるいは、シクロアルキルまたはアルキルシクロアルキル単位を含有する炭化水素基を示し、およびここで、1個の−CH
2−基または複数の−CH
2−基は、−O−または−(C=O)−により置き換えられていてもよいが、隣接した2個の−CH
2−基は、−O−により置き換えられていてはならず、およびここで、1個のH原子または複数のH原子は、OR
14、N(R
14)(R
15)またはR
16により置き換えられていてもよく、あるいは、芳香族または複素芳香族炭化水素基を示し、ここで、1個のH原子または複数のH原子は、OR
14、N(R
14)(R
15)またはR
16により置き換えられていてもよく、あるいは、
【化6】
(シクロへキシル)であり得、ここで、1個または2個以上の−CH
2−基は、−O−、−CO−または−NR
14−により置き換えられていてもよく、あるいは、アセトフェニル、イソプロピルまたは3−ヘプチル基であり、
【0043】
R
14は、各々存在する場合には、互いに独立して、1〜10個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキルあるいはアシル基、好ましくは、n−アルキル、あるいは6〜12個のC原子を有する芳香族炭化水素またはカルボキシル基を示し、好ましくは、R
14が、N(R
14)(R
15)(R
14は、Nに結合している)の部分である場合には、少なくとも1個のアシル基が存在するという条件であり、
【0044】
R
15は、各々存在する場合には、互いに独立して、1〜10個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキルあるいはアシル基、好ましくは、n−アルキル、あるいは6〜12個のC原子を有する芳香族炭化水素またはカルボキシル基を示し、好ましくは、R
15が、N(R
14)(R
15)(R
15は、Nに結合している)の部分である場合には、少なくとも1個のアシル基が存在するという条件であり、
【0045】
R
16は、各々存在する場合には、互いに独立して、1〜10個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基を示し、ここで、1個の−CH
2−基または複数の−CH
2−基は、−O−または−(C=O)−により置き換えられていてもよいが、隣接した2個の−CH
2−基は、−O−により置き換えられていてはならず、
【0046】
以下の条件、
n=1、R
11=O
・および−[Z
11−]
r−[Z
12]
s−=−O−、−(CO)−O−、−O−(CO)−、−O−(CO)−O−、−NR
14−または−NR
14−(CO)−である場合には、
【化7】
は、1〜10個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、またシクロアルキル、シクロアルキルアルキルまたはアルキルシクロアルキルを示さず、ここで、これら全ての基における1個または2個以上の−CH
2−基は、分子中の2個のO原子が互いに直接結合しないように、−O−により置き換えられていてもよく、
【0047】
n=2およびR
11=O
・である場合には、
【化8】
は
【化9】
を示さず、および
n=2およびR
11=O−R
13である場合には、
R
13は、n−C
1〜9−アルキルを示さない、
である、
で表される1種または2種以上の化合物、
【0048】
および
b)式II
【化10】
式中、
R
21は、1〜7個のC原子を有する非置換のアルキル基または2〜7個のC原子を有する非置換のアルケニル基、好ましくは、n−アルキル基を示し、特に好ましくは、3、4または5個のC原子を有する、好ましくは、n−アルキル基を示し、
R
22は、2〜7個のC原子を有する、好ましくは、2、3または4個のC原子を有する非置換のアルケニル基、より好ましくは、ビニル基または1−プロペニル基および特にビニル基を示す、
で表される1種または2種以上の化合物、
【0049】
および/または
c)式III−1〜III−4、好ましくは、式III−2
【化11】
【0050】
式中、
R
31は、1〜7個のC原子を有する非置換のアルキル基、特に好ましくは、2〜5個のC原子を有する、好ましくは、n−アルキル基を示し、
R
32は、1〜7個のC原子を有する、好ましくは、2〜5個のC原子を有する非置換のアルキル基、または1〜6個のC原子を有する、好ましくは、2、3または4個のC原子を有する非置換のアルコキシ基を示し、
m、nおよびoは、各々互いに独立して、0または1を示す、
で表される群から選択される1種または2種以上の化合物を含む。
好ましいのは、以下の態様
【化12-1】
は、
【化12-2】
(ベンゼン−1,2,4,5−テトライル)、または−CH
2−(CH−)−[CH
2]
q−CH
2−もしくは>CH−[CH
2]
p−CH<(式中、p∈{0,1,2,3,4,5〜18}および
q∈{0,1,2,3〜16}である)を示し、または
【化12-3】
は、
>CH−[CH
2]
p−CH
2−(式中、p∈{0,1,2,3,4,5〜18})を示し、または
【化12-4】
は、
−CH
2−[CH
2]
p−CH
2−(式中、p∈{0,1,2,3,4,5〜18})、プロパン−1,2−ジイル、ブタン−1,2−ジイル、エタン−1,2−ジイル、
【化12-5】
である。
【0051】
本願において、元素は全てそれらの個別の同位体を含む。特に、化合物中の1個または2個以上のH原子は、Dにより置き換えられていてもよく、これはまた、態様によっては特に好ましい。対応する化合物の対応した高度の重水素化は、例えば化合物の検知および認識を可能にする。これは、場合によっては、特に式Iで表される化合物の場合には極めて有益である。
【0052】
本願において、
alkylは、特に好ましくは、直鎖状アルキル、特に、CH
3−、C
2H
5−、n−C
3H
7−、n−C
4H
9−またはn−C
5H
11−を示し、
alkenylは、特に好ましくは、CH
2=CH−、E−CH
3−CH=CH−、CH
2=CH−CH
2−CH
2−、E−CH
3−CH=CH−CH
2−CH
2−またはE−(n−C
3H
7)−CH=CH−を示す。
【0053】
本発明に従い、液晶媒体は、好ましくは、全体で1ppm〜1000ppmの、好ましくは、1ppm〜500ppmの、より一層好ましくは、1ppm〜200ppmの、極めて特に好ましくは、1ppm〜100ppmの式Iで表される化合物を含む。
【0054】
本発明の媒体における式Iで表される化合物の濃度は、好ましくは、90ppm以下、特に好ましくは、50ppm以下である。本発明の媒体における式Iで表される化合物の濃度は、極めて特に好ましくは、10ppm〜80ppm以下である。
【0055】
本発明の好ましい態様において、式Iで表される化合物において、
【化13】
を示し、および/または
【0056】
−[Z
11−]
r−[Z
12−]
sは、各々存在する場合には、互いに独立して、−O−、−(C=O)−O−もしくは−O−(C=O)−、−(N−R
14)−または単結合、好ましくは、−O−または−(C=O)−O−もしくは−O−(C=O)−および/または
R
11は、−O
・、OHまたはO−R
13、好ましくは:
【化14】
を示し、および/または
【0057】
R
12は、存在する場合には、アルキルまたはアルコキシを示し、および/または
R
13は、イソプロピルまたは3−ヘプチル、アセトフェニルまたはシクロヘキシルを示す。
【0058】
本発明の好ましい態様において、式Iで表される化合物における基
【化15】
【0059】
は、各々存在する場合には、互いに独立して、
【化16】
を示す。
【0060】
本発明の特に好ましい態様において、式Iで表される化合物において存在する全ての基
【化17】
は同一の意味を有する。
【0061】
これらの化合物は、液晶混合物中における安定剤として高度に好適である。特に、それらは、UV曝露に対する混合物のVHRを安定化させる。
【0062】
本発明の特に好ましい態様において、各場合における本発明の媒体は、式I−1〜I−9で表される化合物の群から選択される、好ましくは式I−1〜I−4で表される化合物の群から選択される、
【化18】
【0063】
【化19】
【0064】
【化20】
【0065】
式中、パラメータは、上記に示した式Iに従った意味を有し、
tは、1〜12の整数を示し、
【0066】
R
17は、1〜12個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル鎖を示し、ここで、1個の−CH
2−基または複数の−CH
2−基は、−O−または−(C=O)−により置き換えられていてもよいが、隣接した2個の−CH
2−基は、−O−により置き換えられていてはならず、あるいは、芳香族または複素芳香族炭化水素基を示し、ここで、1個のH原子または複数のH原子は、OR
14、N(R
14)(R
15)またはR
16により置き換えられていてもよい、
式Iで表される1種または2種以上の化合物を含む。
【0067】
本発明のより一層好ましい態様において、各場合における本発明の媒体は、式I−1a−1〜I−8a−1で表される以下の化合物:
【0068】
【化21】
【0069】
【化22】
【0070】
【化23】
の群から選択される、式Iで表される1種または2種以上の化合物を含む。
【0071】
本発明のより一層好ましい態様において、各場合における本発明の媒体は、式I−2a−1およびI−2a−2で表される以下の化合物:
【化24】
【0072】
本発明の代替的な、好ましい態様において、各場合における本発明の媒体は、式I−1b−1およびI−1b−2で表される以下の化合物:
【化25】
の群から選択される、式Iで表される1種または2種以上の化合物を含む。
【0073】
本発明の代替的な、好ましい態様において、各場合における本発明の媒体は、式I−1c−1およびI−1c−2で表される以下の化合物:
【化26】
の群から選択される、式Iで表される1種または2種以上の化合物を含む。
【0074】
本発明のさらに代替的な、好ましい態様において、各場合における本発明の媒体は、式I−1d−1〜I−1d−4で表される以下の化合物:
【化27】
の群から選択される、式Iで表される1種または2種以上の化合物を含む。
【0075】
本発明のさらに代替的な、好ましい態様において、各場合における本発明の媒体は、式I−3d−1〜I−3d−8で表される以下の化合物、
【0076】
【化28】
の群から選択される、式Iで表される1種または2種以上の化合物を含む。
【0077】
本発明のさらに代替的な、好ましい態様において、各場合における本発明の媒体は、式I−4d−1およびI−4d−2で表される以下の化合物、
【化29】
の群から選択される、式Iで表される1種または2種以上の化合物を含む。
【0078】
本発明のさらに代替的な、好ましい態様において、各場合における本発明の媒体は、式I−1e−1およびI−1e−2で表される以下の化合物、
【化30】
の群から選択される、式Iで表される1種または2種以上の化合物を含む。
【0079】
本発明のさらに代替的な、好ましい態様において、各場合における本発明の媒体は、式I−5e−1〜I−8e−1で表される以下の化合物、
【化31】
の群から選択される、式Iで表される1種または2種以上の化合物を含む。
【0080】
式Iおよびそれらの好ましい従属式で表される化合物に加え、本発明に従い、媒体は、好ましくは、全濃度における式IIで表される1種または2種以上の誘電的に中性の化合物を、5%〜90%、好ましくは、10%〜80%、特に好ましくは、20%〜70%の範囲で含む。
【0081】
本発明の媒体は、好ましくは、全濃度における式III−1〜III−4からなる群から選択される1種または2種以上の化合物を、10%〜80%、好ましくは、15%〜70%、特に好ましくは、20%〜60%の範囲で含む。
【0082】
本発明の媒体は、特に好ましくは、
全濃度における式III−1で表される1種または2種以上の化合物を、5%〜30%の範囲で、
全濃度における式III−2で表される1種または2種以上の化合物を、3%〜30%の範囲で、
【0083】
全濃度における式III−3で表される1種または2種以上の化合物を、5%〜30%の範囲で、
全濃度における式III−4で表される1種または2種以上の化合物を、1%〜30%の範囲で、
を含む。
【0084】
式IIで表される好ましい化合物は、式II−1および式II−2で表される化合物からなる群から選択される化合物であり、好ましくは、式II−1で表される化合物から選択され、
【化32】
【0085】
式中、
alkylは、1〜7個のC原子を有する、好ましくは、2〜5個のC原子を有するアルキル基を示し、
alkenylは、2〜5個のC原子を有する、好ましくは、2〜4個のC原子を有する、特に好ましくは、2個のC原子を有するアルケニル基を示し、
alkenyl’’は、2〜5個のC原子を有する、好ましくは、2〜4個のC原子を有する、特に好ましくは、2〜3個のC原子を有するアルケニル基を示す。
【0086】
本発明の媒体は、好ましくは、式III−1で表される1種または2種以上の化合物を、好ましくは、式III−1−1および式III−1−2で表される化合物の群から選択される1種または2種以上の化合物を含み、
【化33】
【0087】
式中、パラメータは、式III−1について与えた意味を有し、好ましくは、
R
31は、2〜5個のC原子を有する、好ましくは、3〜5個のC原子を有するアルキル基を示し、および
R
32は、2〜5個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を、好ましくは、2〜4個のC原子を有するアルコキシ基を、あるいは、2〜4個のC原子を有するアルケニルオキシ基を示す。
【0088】
本発明の媒体は、好ましくは、式III−2で表される1種または2種以上の化合物を、好ましくは、式III−2−1および式III−2−2で表される化合物の群から選択される1種または2種以上の化合物を含み、
【化34】
【0089】
式中、パラメータは、式III−2について与えた意味を有し、好ましくは、
R
31は、2〜5個のC原子を有する、好ましくは、3〜5個のC原子を有するアルキル基を示し、および
R
32は、2〜5個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を、好ましくは、2〜4個のC原子を有するアルコキシ基を、あるいは、2〜4個のC原子を有するアルケニルオキシ基を示す。
【0090】
本発明の媒体は、好ましくは、式III−3で表される1種または2種以上の化合物を、好ましくは、式III−3−1および式III−3−2で表される化合物の群から選択される1種または2種以上の化合物を含み、
【化35】
【0091】
式中、パラメータは、式III−3について与えた意味を有し、好ましくは、
R
31は、2〜5個のC原子を有する、好ましくは、3〜5個のC原子を有するアルキル基を示し、および
R
32は、2〜5個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を、好ましくは、2〜4個のC原子を有するアルコキシ基を、あるいは、2〜4個のC原子を有するアルケニルオキシ基を示す。
【0092】
好ましい態様において、本発明の媒体は、式II−1および式II−2で表される化合物の群から選択される、式IIで表される1種または2種以上の化合物を含む。
異なった好ましい態様において、本発明の媒体は、式IIで表される化合物を含まない。
【0093】
本発明の媒体は、好ましくは、全濃度における以下に規定する化合物:
10〜60重量%の式III−1〜III−4の群から選択される1種または2種以上の化合物および/または
30〜80重量%の式IVおよび/またはVで表される1種または2種以上の化合物、
ここで、媒体における全ての化合物の全容量は、100%である、
を含む。
【0094】
特に好ましい態様において、本発明の媒体は、式OH−1〜OH−6、
【化36】
で表される化合物の群から選択される1種または2種以上の化合物を含む。
【0095】
これらの化合物は、媒体の熱安定化に高度に好適である。
本発明の他の好ましい態様において、ここで、本発明の媒体が、特に、式中、R
11または少なくとも1個のR
11が、O
・を示す式Iで表される1種または2種以上の化合物を含み、それらが、特に式OH−1〜OH−6で表される化合物の群から選択されるフェノール化合物を含まない場合に、これらはまた、十分な安定性を有する。
【0096】
本発明のさらなる好ましい態様において、本発明の媒体は、少なくとも式Iで表される1種の化合物の基R
11が、式Iで表される他の化合物における異なる意味を有する、式Iで表される1種または2種以上の化合物を含む。
【0097】
本発明はまた、本発明の液晶媒体を含有する電気光学ディスプレイまたは電気光学部品に関する。好ましいのは、VAまたはECB効果に基づいた電気光学ディスプレイであり、特にアクティブマトリックスアドレス方式デバイスにより印加されるものである。
【0098】
したがって、本発明は同様に、電気光学ディスプレイにおけるまたは電気光学部品における本発明の液晶媒体の使用に関し、式Iで表される1種または2種以上の化合物を、式IIで表される1種または2種以上の化合物と、好ましくは、従属式II−1で表される1種または2種以上の化合物、および好ましくは、式III−1〜III−4およびIVおよび/またはVで表される化合物の群から選択される、1種または2種以上のさらなる化合物と混合することを特徴とする、本発明の液晶媒体の調製方法に関する。
【0099】
さらに、本発明は、式IIで表される1種または2種以上の化合物および式III−1〜III−4で表される化合物の群から選択される、1種または2種以上の化合物を含み、式Iで表される1種または2種以上の化合物を媒体に添加することを特徴とする、液晶媒体の安定化方法に関する。
【0100】
さらなる好ましい態様において、媒体は、式IVで表される1種または2種以上の化合物を含み、
【化37】
【0101】
式中、
R
41は、1〜7個のC原子を有する、好ましくは、2〜5個のC原子を有するアルキル基を示し、および
R
42は、1〜7個のC原子を有するアルキルまたは1〜6個のC原子を有するアルコキシを示し、好ましくは、2〜5個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシを示す。
【0102】
さらなる好ましい態様において、媒体は、式IVで表される1種または2種以上の化合物を含み、式IV−1およびIV−2で表される化合物の群から選択され、
【化38】
【0103】
式中、
alkylおよびalkyl’は、互いに独立して、1〜7個のC原子を有する、好ましくは、2〜5個のC原子を有するアルキルを示し、
alkoxyは、1〜5個のC原子を有する、好ましくは、2〜4個のC原子を有するアルコキシを示す。
【0104】
さらなる好ましい態様において、媒体は、式Vで表される1種または2種以上の化合物を含み、
【化39】
【0105】
式中、
R
51およびR
52は、互いに独立して、R
21およびR
22に与えた意味の一つを有し、好ましくは、1〜7個のC原子を有するアルキル、好ましくは、n−アルキル、特に好ましくは、1〜5個のC原子を有するn−アルキル、1〜7個のC原子を有するアルコキシ、好ましくは、n−アルコキシ、特に好ましくは、2〜5個のC原子を有するn−アルコキシ、2〜7個のC原子を有するアルコキシアルキル、アルケニル、またはアルケニルオキシ、好ましくは、アルケニルオキシを示し、
【0106】
【化40】
は、存在する場合には、各々互いに独立して、
【化41】
好ましくは、
【化42】
を示し、
好ましくは、
【化43】
を示し、
【0107】
および、存在する場合には、
【化44】
Z
51〜Z
53は、各々互いに独立して、−CH
2−CH
2−、−CH
2−O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−または単結合を、好ましくは、−CH
2−CH
2−、−CH
2−O−または単結合を、特に好ましくは、単結合を示し、
pおよびqは、各々互いに独立して、0または1を示し、
(p+q)は、好ましくは、0または1を示す。
【0108】
さらなる好ましい態様において、媒体は、式V−1〜V−10で表される化合物の群から選択される、式Vで表される1種または2種以上の化合物を含み、好ましくは、式V−1〜V−5で表される化合物の群から選択され、
【化45】
【0109】
【化46】
【0110】
式中、パラメータは、式Vについて与えた意味を有し、および
Y
5は、HまたはFを示し、および好ましくは、
R
51は、1〜7個のC原子を有するアルキルまたは2〜7個のC原子を有するアルケニルを示し、および
【0111】
R
52は、1〜7個のC原子を有するアルキル、2〜7個のC原子を有するアルケニルまたは1〜6個のC原子を有するアルコキシ、好ましくは、アルキルまたはアルケニル、特に好ましくはアルケニルを示す。
【0112】
さらなる好ましい態様において、媒体は、式V−1aおよびV−1bで表される、好ましくは、式V−1bで表される化合物の群から選択される、式V−1で表される1種または2種以上の化合物を含み、
【化47】
【0113】
式中、
alkylおよびalkyl’は、互いに独立して、1〜7個のC原子を有する、好ましくは、2〜5個のC原子を有するアルキルを示し、
alkoxyは、1〜5個のC原子を有する、好ましくは、2〜4個のC原子を有するアルコキシを示す。
【0114】
さらなる好ましい態様において、媒体は、式V−3aおよびV−3bで表される化合物の群から選択される、式V−3で表される1種または2種以上の化合物を含み、
【化48】
【0115】
式中、
alkylおよびalkyl’は、互いに独立して、1〜7個のC原子を有する、好ましくは、2〜5個のC原子を有するアルキルを示し、および
alkenylは、2〜7個のC原子を有する、好ましくは、2〜5個のC原子を有するアルケニルを示す。
【0116】
さらなる好ましい態様において、媒体は、式V−4aおよびV−4bで表される化合物の群から選択される、式V−4で表される1種または2種以上の化合物を含み、
【化49】
【0117】
式中、
alkylおよびalkyl’は、互いに独立して、1〜7個のC原子を有する、好ましくは、2〜5個のC原子を有するアルキルを示す。
【0118】
さらなる好ましい態様において、媒体は、式III−4で表される、好ましくは、式III−4−aで表される1種または2種以上の化合物を含み、
【化50】
【0119】
式中、
alkylおよびalkyl’は、互いに独立して、1〜7個のC原子を有する、好ましくは、2〜5個のC原子を有するアルキルを示す。
本発明に従い、液晶媒体は、1種または2種以上のキラル化合物を含んでもよい。
【0120】
本発明の特に好ましい態様は、以下の条件を満たし、
ここで、頭字語(略号)は、表AおよびDにおいて説明され、表Dにおける例により例示される。
【0121】
i.液晶媒体は、0.060以上、特に好ましくは、0.070以上の複屈折を有する。
ii.液晶媒体は、0.130以下、特に好ましくは、0.120以下の複屈折を有する。
【0122】
iii.液晶媒体は、0.090〜0.120の範囲での複屈折を有する。
iv.液晶媒体は、2.0以上、特に好ましくは、3.0以上の値を有する負の誘電異方性を有する。
【0123】
v.液晶媒体は、5.5以下、特に好ましくは、4.0以下の値を有する負の誘電異方性を有する。
vi.液晶媒体は、2.5〜3.8の範囲での値を有する負の誘電異方性を有する。
【0124】
vii.液晶媒体は、以下の従属式から選択される式IIで表される1種または2種以上の特に好ましい化合物を含む:
【化51】
【0125】
式中、アルキルは、上記に与えた意味を有し、好ましくは、各場合において、互いに独立して、1〜6個の、好ましくは、2〜5個のC原子を有するアルキル、および特に好ましくは、n−アルキルを示す。
【0126】
viii.全体としての混合物における式IIで表される化合物の全濃度は、25%以上、好ましくは、30%以上であり、好ましくは、25〜49%の範囲、特に好ましくは、29〜47%の範囲、および極めて特に好ましくは、37〜44%の範囲である。
【0127】
ix.液晶媒体は、以下の式で表される化合物の群から選択される式IIで表される1種または2種以上の化合物を含む:CC−n−Vおよび/またはCC−n−Vm、特に好ましくは、CC−3−Vであり、好ましくは、50%以下までの濃度で、特に好ましくは、42%以下までの濃度であり、任意に、さらに、好ましくは、15%以下までの濃度でCC−3−V1、および/または好ましくは、20%以下までの濃度で、特に好ましくは、10%以下までの濃度でCC−4−V1である。
【0128】
x.全体としての混合物における式CC−3−Vで表される化合物の全濃度は、20%以上、好ましくは、25%以上である。
xi.全体としての混合物における式III−1〜III−4で表される化合物の割合は、50%以上であり、好ましくは、75%以下である。
【0129】
xii.液晶媒体は、本質的には、式I、II、III−1〜III−4、IVおよびVで表される化合物から、好ましくは、式I、IIおよびIII−1〜III−4で表される化合物からなる。
xiii.液晶媒体は、好ましくは、全濃度における5%以上、特に10%以上、および極めて特に好ましくは、15%〜40%で、式IVで表される1種または2種以上の化合物を含む。
【0130】
本発明は、さらに、VAまたはECB効果に基づいたアクティブマトリックスアドレス方式を有する電気光学ディスプレイに関し、本発明に従い、誘電材料として、液晶媒体を含有することを特徴とする。
液晶混合物は、好ましくは、少なくとも80度の幅および20℃で最大30mm
2・s
−1の流動粘度(flow viscosity)ν
20を有するネマチック相領域を有する。
【0131】
本発明の液晶混合物は、−0.5〜−8.0の、特に、−1.5〜−6.0の、極めて特に好ましくは、−2.0〜−5.0のΔεを有し、ここで、Δεは、誘電異方性を示す。
回転粘度γ
1は、好ましくは、120mPa・s以下、特に、100mPa・s以下である。
【0132】
本発明の混合物は、例えば、VAN、MVA、(S)−PVAおよびASVなどの全てのVA−TFT用途に好適である。それらはさらに、負のΔεを有する、IPS(
in-
plane
switching;平面内スイッチング)、FFS(
fringe-
field
switching;フリンジ領域スイッチング)およびPALC用途に好適である。
本発明のディスプレイにおけるネマチック液晶混合物は、通常、2種の構成成分AおよびBを含み、それらは、それら自身が1種または2種以上の個々の化合物からなる。
【0133】
本発明の液晶媒体は、好ましくは、4〜15種の、特に、5〜12種の、特に好ましくは10種以下の化合物を含む。これらは、好ましくは、式I、IIおよびIII−1〜III−4、および/またはIVおよび/またはVで表される化合物の群から選択される。
本発明の液晶媒体は、任意にまた、18種以上の化合物を含む。この場合において、それらは、好ましくは、18〜25種の化合物を含む。
【0134】
式I〜Vで表される化合物の他に、例えば、全体としての混合物における45%までであるが、好ましくは、35%まで、特には10%までの量で、他の成分もまた存在してもよい。
本発明の媒体はまた、任意に、全濃度が媒体全体に基づいて好ましくは10%以下の誘電的に正の構成成分を含んでいてもよい。
【0135】
好ましい態様において、本発明の液晶媒体は、全体としての混合物に基づき、全体で、
10ppm〜1000ppm、好ましくは、50ppm〜500ppm、より一層好ましくは、100〜400ppmおよび極めて特に好ましくは、150ppm〜300ppmの式Iで表される化合物、
【0136】
20%〜60%、好ましくは、25%〜50%、特に好ましくは、30%〜45%の式IIで表される化合物、および
50%〜70%の式III−1〜III−4で表される化合物
を含む。
【0137】
より好ましい態様において、本発明の液晶媒体は、式I、II、III−1〜III−4、IVおよびVで表される化合物の群から選択される、好ましくは、式I、IIおよびIII−1〜III−4で表される化合物の群から選択される化合物を含む;それらは、好ましくは、主に、特に好ましくは、本質的に、および極めて特に好ましくは、実質的に完全に、かかる式で表される化合物からなる。
【0138】
本発明の液晶媒体は、好ましくは、各場合において、−20℃以下〜70℃以上、特に好ましくは、−30℃以下〜80℃以上、極めて特に好ましくは、−40℃以下〜85℃以上、および最も好ましくは、−40℃以下〜90℃以上でネマチック相を有する。
【0139】
本明細書での表現「ネマチック相を有する」とは、一方で、スメクチック相および結晶化が、低温において対応する温度において観察されないことを意味し、他方で、ネマチック相外での加熱の際に透明化が起こらないことを意味する。低温における実験を、対応する温度において流動粘度計(flow viscometer)中で行い、電気光学用途に対応するセル厚みを有するテストセル中での少なくとも100時間の貯蔵によりチェックする。
【0140】
対応するテストセルにおける−20℃での貯蔵安定性が1000時間以上である場合には、媒体がこの温度において安定であると見なす。−30℃および−40℃においては、対応時間は、それぞれ500時間および250時間である。高温において、透明点を、毛細管中で従来の手法により測定する。
【0141】
好ましい態様において、本発明の液晶媒体は、中程度から低い領域における光学異方性値により特徴付けられる。複屈折値は、好ましくは、0.065〜0.130の範囲、特に好ましくは、0.080〜0.120の範囲、および極めて特に好ましくは、0.085〜0.110の範囲である。
【0142】
この態様において、本発明の液晶媒体は、負の誘電異方性を有し、好ましくは、2.7〜5.3、好ましくは、4.5以下、好ましくは、2.9〜4.5、特に好ましくは、3.0〜4.0および極めて特に好ましくは、3.5〜3.9の範囲の相対的に高い誘電異方性の絶対値(|Δε|)を有する。
【0143】
本発明の液晶媒体は、1.7V〜2.5V、好ましくは、1.8V〜2.4V、特に好ましくは、1.9V〜2.3Vおよび極めて特に好ましくは、1.95V〜2.1Vの相対的に低い電圧閾値(V
0)の値を有する。
【0144】
さらなる好ましい態様において、本発明の液晶媒体は、好ましくは、5.0〜7.0、好ましくは、5.5〜6.5、なおより好ましくは、5.7〜6.4、特に好ましくは、5.8〜6.2および極めて特に好ましくは、5.9〜6.1の範囲の相対的に低い平均誘電異方性値(ε
av.≡(ε
||+2ε
⊥)/3)を、好ましくは有する。
【0145】
さらに、本発明の液晶媒体は、液晶セルにおける高いVHR値を有する。
セル中の20℃で新たに充填したセルにおいて、これらは、95%以上、好ましくは、97%以上、特に好ましくは、98%以上、および極めて特に好ましくは、99%以上であり、100℃のオーブンで5分後のセル中では、90%、好ましくは、93%以上、特に好ましくは、96%以上、および極めて特に好ましくは、98%以上である。
【0146】
一般的に、本明細書中において低いアドレス電圧または電圧閾値を有する液晶媒体は、より高いアドレス電圧または電圧閾値を有するものより低いVHRを有し、その逆のこともある。
これらの好ましい個々の物理的特性値はまた、好ましくは、各場合において、互いを組み合わせた本発明の媒体により維持される。
【0147】
本願において、「化合物」(compound(s))とも書かれる用語「化合物」(compounds)は、他に具体的に示されない限り、1種または複数の化合物の両方を意味する。
他に示されない限り、個々の化合物は、通常、混合物中において、各場合において1%〜30%、好ましくは、2%〜30%および特に好ましくは、3%〜16%の濃度で用いられる。
【0148】
好ましい態様において、本発明の液晶媒体は、
式Iで表される化合物、
式IIで表される1種または2種以上の化合物、好ましくは、CC−n−VおよびCC−n−Vmで表される化合物の群から選択され、好ましくは、CC−3−V、CC−3−V1、CC−4−VおよびCC−5−Vであり、特に好ましくは、CC−3−V、CC−3−V1およびCC−4−Vで表される化合物の群から好ましくは選択され、極めて特に好ましくは、CC−3−Vであり、任意に、さらに、化合物CC−4−Vおよび/またはCC−3−V1であり、
【0149】
式III−1−1で表される1種または2種以上の化合物、好ましくは、式CY−n−Omで表され、式CY−3−O2、CY−3−O4、CY−5−O2およびCY−5−O4で表される化合物の群から選択され、
式III−1−2で表される1種または2種以上の化合物、好ましくは、式CCY−n−mおよびCCY−n−Omであり、好ましくは、式CCY−n−Omで表され、好ましくは、式CCY−3−O2、CCY−2−O2、CCY−3−O1、CCY−3−O3、CCY−4−O2、CCY−3−O2およびCCY−5−O2で表される化合物の群から選択され、
【0150】
任意に、好ましくは義務的に、式III−2−2で表される1種または2種以上の化合物、好ましくは、式CLY−n−Omで表され、好ましくは、式CLY−2−O4、CLY−3−O2、CLY−3−O3で表される化合物の群から選択され、
式III−3−2で表される1種または2種以上の化合物、好ましくは、CPY−n−Omで表され、好ましくは、式CPY−2−O2およびCPY−3−O2、CPY−4−O2およびCPY−5−O2で表される化合物の群から選択され、
【0151】
式III−4で表される1種または2種以上の化合物、好ましくは、式PYP−n−mで表され、好ましくは、式PYP−2−3およびPYP−2−4で表される化合物の群から選択される、
を含む。
【0152】
本発明について、個々の場合において他に示さない限り、組成物の成分の明細書に関連して、以下の定義を適用する:
【0153】
− 「含む」:組成物中の当該成分の濃度が、好ましくは、5%以上、特に好ましくは、10%以上、極めて特に好ましくは、20%以上であり、
− 「主に〜からなる」:組成物中の当該成分の濃度が、好ましくは、50%以上、特に好ましくは、55%以上、および極めて特に好ましくは、60%以上であり、
【0154】
− 「本質的に〜からなる」:組成物中の当該成分の濃度が、好ましくは、80%以上、特に好ましくは、90%以上、および極めて特に好ましくは、95%以上であり、
− 「実質的に〜からなる」:組成物中の当該成分の濃度が、好ましくは、98%以上、特に好ましくは、99%以上、および極めて特に好ましくは、100.0%である。
【0155】
これは、組成物として、構成成分および化合物であり得る成分に関する(with their constituents)媒体にも、成分、化合物に関する構成成分にも適用される。混合物全体に関連する個々の化合物の濃度の関係のみにおいて、用語「含む」は:当該化合物の濃度は、好ましくは、1%以上、特に好ましくは、2%以上、極めて特に好ましくは、4%以上である、を意味する。
【0156】
本発明について、「≦」は、「以下」を、好ましくは、「より少なく」を意味し、「≧」は、「以上」を、好ましくは、「より多く」を意味する。
本発明について、
【化52】
は、
trans−1,4−シクロへキシレンを示し、
【化53】
は、
1,4−フェニレンを示す。
【0157】
本発明について、表現「誘電的に正の化合物」は、Δε>1.5を有する化合物を意味し、表現「誘電的に中性の化合物」は、−1.5≦Δε≦1.5であるものを意味し、表現「誘電的に負の化合物」は、Δε<−1.5であるものを意味する。本明細書における化合物の誘電異方性を、液晶ホスト中で10%の化合物を溶解し、各場合において、1kHzでのホメオトロピックおよびホモジニアス表面配向を有し、20μmのセル厚みを有する、少なくとも1個のテストセル中において、得られた混合物のキャパシタンスを決定することにより決定する。測定電圧は、典型的には、0.5V〜1.0Vであるが、常に実験する個々の液晶混合物の容量閾値より低い。
【0158】
誘電的に正のおよび誘電的に中性の化合物に使用されるホスト混合物は、ZLI−4792であり、誘電的に負の化合物に使用されるものは、ZLI−2857であり、両方ともMerck KGaA、ドイツ国からのものである。実験する個々の化合物の値は、実験する化合物を添加した後のホスト混合物の誘電定数における変化および用いた化合物の100%への外挿から得られる。実験する化合物を、10%の量でホスト混合物中に溶解する。物質の溶解性が、この目的のために低すぎる場合には、実験が所望の温度において行えるまで、段階的に半減させる。
【0159】
本発明の液晶媒体はまた、必要であれば、例えば、通常量の安定剤および/または多色性色素および/またはキラルドーパントなどの添加剤を、さらに含んでもよい。用いるこれらの添加剤は、混合物全体の量に基づき、好ましくは、全体で、0%〜10%、特に好ましくは、0.1%〜6%である。用いる個々の化合物の濃度は、好ましくは、0.1〜3%である。これらおよび同様の添加剤の濃度は、液晶媒体における液晶化合物の濃度および濃度範囲を特定する場合には、通常考慮しない。
【0160】
好ましい態様において、本発明の液晶媒体は、1種または2種以上の反応性化合物、好ましくは、反応性メソゲンを含むポリマー前駆体を含み、必要であれば、例えば、通常量の重合開始剤および/または重合調節剤などの、さらなる添加剤を含む。用いるこれらの添加剤の量は、全体で、0%〜10%、混合物全体の量に基づき、好ましくは、0.1%〜2%である。これらおよび同様の添加剤の濃度は、液晶媒体における液晶化合物の濃度および濃度範囲を特定する場合には、考慮しない。
【0161】
組成物は、複数の化合物からなり、好ましくは、3〜30種、特に好ましくは、6〜20種、および極めて特に好ましくは、10〜16種であり、従来の方式で混合される。一般的に、より少量で使用される所望量の構成成分を、構成成分中で溶解し、混合物の第一成分とする。これは、高温で有利に行われる。選択された温度が第一成分の透明点より高い場合には、溶解操作の完了は、特に観察しやすい。しかしながら、例えば、プレミックスの使用またはいわゆる「マルチボトルシステム」からなどの、他の従来の方法において液晶混合物を調製することも可能である。
【0162】
本発明の混合物は、65℃以上の透明点を有する極めて広範なネマチック相範囲、極めて有益な容量閾値の値、比較的高い保持比の値および同時に−30℃および−40℃で極めて良好な低温安定性を示す。さらに、本発明の混合物は、低い回転粘度γ
1により区別される。
【0163】
当業者には言うまでもないが、VA、IPS、FFSまたはPALCディスプレイに使用のための本発明の媒体はまた、例えば、H、N、O、Cl、Fが対応する同位体で置き換えられた化合物を含む。
本発明の液晶ディスプレイの構造は、例えば、EP A 0 240 379などに記載されるように、普通の形状に対応する。
【0164】
今まで開示されたあらゆるタイプのディスプレイ、例えば、ECB、VAN、IPS、GHまたはASM−VA LCDディスプレイなどにおいて用いることができるように、本発明の液晶相を、好適な添加剤を用いることにより改変することができる。
以下の表Eは、本発明の混合物に添加することができるドーパントを示す。混合物が1種または2種以上のドーパントを含む場合には、それは(それらは)、0.01〜4%、好ましくは、0.1〜1.0%の量で用いる。
【0165】
例えば、好ましくは、0.01〜6%、特に、0.1〜3%の量で本発明の混合物に添加できる安定剤を、表Fにおいて以下に示す。
本発明の目的のために、全ての濃度は、他に具体的に断りのない限り、重量パーセントにて示し、他に具体的に断りのない限り、対応する混合物または混合物構成成分に関する。
【0166】
他に具体的に断りのない限り、本願において示す、例えば、融点 T(C,N)、スメクチック(S)からネマチック(N)相転移 T(S,N)および透明点 T(N,I)などの全ての温度の値は、セルシウス温度(℃)にて示し、全ての温度差は、相応して度鎖(°または度)にて示す。
他に具体的に断りのない限り、本発明について、用語「電圧閾値」は、フレデリクス閾値としても既知の容量閾値(V
0)に関する。
【0167】
他に具体的に断りのない限り、各場合において、全ての物理的特性を、"Merck Liquid Crystals, Physical Properties of Liquid Crystals", status Nov. 1997, Merck KGaA, ドイツ国、に従い、決定するおよび決定した(are and have been determined)、および20℃の温度において適用し、ならびにΔnを589nmにおいておよびΔεを1kHzにおいて決定する。
【0168】
例えば、電圧閾値(V
0)などの電気光学特性を、スイッチング挙動のとおりに、メルクジャパンで製造されたテストセル中において決定する。測定セルは、ソーダ石灰ガラス基板を有し、互いに垂直にラビングし、液晶のホメオトロピック配向が生じたポリイミド配向層(希釈剤
**26とのSE-1211(混合比 1:1)、共に日産化学工業株式会社からのもの、日本国)を用いてECBまたはVA配置に構成される。透明で、実質的に四角形のITO電極の表面積は、1cm
2である。
【0169】
他に示さない限り、キラルドーパントは、使用する液晶媒体に添加しないが、後者はまた、このタイプのドープが必要な用途には特に好適である。
VHRを、メルクジャパンで製造されたテストセル中において決定する。測定セルは、ソーダ石灰ガラス基板を有し、互いに垂直にラビングされた、層厚み50nmのポリイミド配向層(AL-3046、JSR株式会社からのもの、日本国)を用いて構成される。層厚みは、均一な6.0μmである。透明ITO電極の表面積は、1cm
2である。
【0170】
VHRを、20℃にて(VHR
20)、5分後に、Autronic Melchers社、ドイツ国から商業的に入手可能な装置中で、オーブン中で100℃にて(VHR
100)決定する。使用する電圧は、60Hzの周波数を有する。
VHR測定値の精度は、それぞれのVHR値に依存する。精度は値の減少に伴って、減少する。種々の大きさの範囲における値の場合に通常観測される偏差は、以下の表における大きさのそれらの順に従う。
【0171】
【表1】
【0172】
UV照射への安定性を、Heraeus、ドイツ国からの市販の装置である「Suntest CPS」中で実験する。密閉されたテストセルに、さらなる加熱をせずに2.0時間照射する。波長領域300nm〜800nmにおける照射出力は、765W/m
2Vである。いわゆる窓ガラスモード(window glass mode)をシミュレートするために、端波長(edge wavelength)310nmを有するUV「遮断」フィルタを用いる。各一連の実験において、少なくとも4個のテストセルを各条件について実験し、対応する個々の測定の平均としてそれぞれの結果を示す。
【0173】
例えば、LCDバックライトのUV照射などによる曝露により大低引き起こされる電圧保持比(ΔVHR)の減少を、以下の方程式(1):
【数1】
に従って決定する。
【0174】
時間tに対する負荷へのLC混合物の相対的安定性(S
rel)を、以下の方程式(2):
【数2】
ここで、「rel」は、対応する安定化されていない混合物を表す、
に従って決定する。
【0175】
VHRに加えて液晶混合物の導電性を特徴付けることができる、さらなる特性量は、イオン密度である。イオン密度の高い値は、頻繁に残像およびちらつきなどのディスプレイ障害の発生をもたらす。イオン密度を、好ましくは、メルクジャパン株式会社で製造されたテストセル中において決定する。テストセルは、ソーダ石灰ガラスを有し、ポリイミド層厚み40nmを有するポリイミド配向層(AL-3046、JSR株式会社からのもの、日本国)を用いて設計される。
【0176】
液晶混合物の層厚みは、均一な5.8μmである。さらにガードリングに適合した円形の透明ITO電極の面積は、1cm
2である。測定手法の精度は、約±15%である。これらのセルを、関連の液晶混合物で充填する前に、オーブン中で120℃において一晩乾燥する。
【0177】
イオン密度を、株式会社東陽テクニカ、日本国から商業的に入手可能な装置を使用して決定する。測定手法は、M. Inoue, "Recent Measurement of Liquid Crystal Material Characteristics", Proceedings IDW 2006, LCT-7-1,647に記載されるように、サイクリック・ボルタンメトリーと類似の本質的な測定手法である。この手法において、印加する直流電圧を、事前指定した三角波プロファイル(triangular profile)に従って、正および負の最大値間を変化させる。
【0178】
よって、プロファイルを全て通過させることで、1つの測定サイクルを形成する。印加した電圧が、場のイオンがそれぞれの電極に移動できる程度に十分である場合には、イオンの放出によりイオン電流が形成される。ここでの電荷移動量は、典型的には、数pC〜数nCの範囲である。これにより、上述の装置により保証される、極めて高感度の検出を必要とする。結果を、電流/電圧曲線に図示する。
【0179】
ここでのイオン電流は、液晶混合物の電圧閾値より小さい電圧のピークの発生から明白である。ピーク領域の積分により、実験する混合物のイオン密度の値を与える。混合物毎に4個のテストセルを測定する。三角波電圧の繰り返し周波数は、0.033Hzであり、測定温度は、60℃であり、最大電圧は、±3V〜±10Vであり、関連する混合物の誘電異方性の大きさに依存する。
【0180】
回転粘度を、回転永久磁石法(rotating permanent magnet method)および改変したウベローデ粘度計中での流動粘度を使用して決定する。液晶混合物ZLI-2293、ZLI-4792およびMLC-6608について、全ての製品は、Merck KGaA, Darmstadt,ドイツ国からのものであり、20℃において決定される回転粘度値は、それぞれ161mPa・s、133mPa・sおよび186mPa・sであり、流動粘度値(ν)は、それぞれ21mm
2・s
−1、14mm
2・s
−1および27mm
2・s
−1である。
【0181】
他に具体的に示されない限り、以下の記号を使用する:
【表1-2】
【0182】
【表1-3】
【0183】
以下の例により、本発明を説明するが、これに限定するものではない。しかしながら、それらは当業者に、好ましく用いられる化合物との好ましい混合物の概念ならびにそれぞれその濃度およびその互いの組み合わせを示す。さらに、例は、利用しやすい特性および特性の組み合わせを例示する。
【0184】
本発明についておよび以下の例において、液晶化合物の構造を、以下の表A〜Cに従って生じる化学式への変換を伴う頭字語により示す。全ての基C
nH
2n+1、C
mH
2m+1およびC
lH
2l+1またはC
nH
2n、C
mH
2mおよびC
lH
2lは、直鎖状アルキル基またはアルキレン基であり、各場合において、それぞれn、mおよびl個のC原子を有する。
【0185】
表Aは、化合物の中心部の環要素についてのコードを示し、表Bは、架橋単位を一覧にし、表Cは、分子の左側および右側の末端基についての記号の意味を一覧にしている。頭字語は、任意の連結基との環要素についてのコードを構成し、第1のハイフンおよび左側の末端基についてのコードならびに第2のハイフンおよび右側の末端基についてのコードが続く。表Dは、それらのそれぞれの略号と共に化合物の例示的な構造を示す。
【0186】
表A:環要素
【表2】
【0187】
【表3】
【0188】
【表4】
【0189】
【表5】
【0190】
【表5-1】
【表5-2】
【0191】
式中、nおよびmは、各々整数であり、3個の点「...」は、この表からの他の略号のためのプレースホルダーである。
【0192】
式Iで表される化合物の他に、本発明の混合物は、好ましくは、以下に言及する1種または2種以上の化合物を含む。
【0193】
以下の略号を使用する:
(n、mおよびzは、互いに独立して、各々整数であり、好ましくは、1〜6である。)
【0194】
【化54】
【0195】
【化55】
【0196】
【化56】
【0197】
【化57】
【0198】
【化58】
【0199】
【化59】
【0200】
表Eは、本発明の混合物中で好ましく用いられるキラルドーパントを示す。
【0201】
【化60】
【0202】
【化61】
【0203】
本発明の好ましい態様において、本発明の媒体は、表Eからの化合物の群から選択される、1種または2種以上の化合物を含む。
【0204】
表Fは、式Iで表される化合物に加え、本発明の混合物中で好ましく用いることができる安定剤を示す。パラメータnは、ここで、1〜12の範囲の整数を示す。特に、示したフェノール誘導体は、それらが抗酸化剤の役割を果たすため、追加の安定剤として用いることができる。
【0205】
【化62】
【0206】
【化63】
【0207】
【化64】
【0208】
【化65】
【0209】
本発明の好ましい態様において、本発明の媒体は、表Fからの化合物の群から選択される、特に2つの式で表される化合物の群から選択される、1種または2種以上の化合物を含む。
【化66】