特許第6859489号(P6859489)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6859489運動強度推定方法、運動強度推定装置およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6859489
(24)【登録日】2021年3月29日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】運動強度推定方法、運動強度推定装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/346 20210101AFI20210405BHJP
   A61B 5/332 20210101ALI20210405BHJP
   A61B 5/24 20210101ALI20210405BHJP
【FI】
   A61B5/04 312A
   A61B5/04 310H
   A61B5/04ZDM
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-513405(P2020-513405)
(86)(22)【出願日】2019年4月9日
(86)【国際出願番号】JP2019015430
(87)【国際公開番号】WO2019198704
(87)【国際公開日】20191017
【審査請求日】2020年5月28日
(31)【優先権主張番号】特願2018-75230(P2018-75230)
(32)【優先日】2018年4月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121669
【弁理士】
【氏名又は名称】本山 泰
(72)【発明者】
【氏名】松浦 伸昭
(72)【発明者】
【氏名】樋口 雄一
(72)【発明者】
【氏名】都甲 浩芳
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004-275281(JP,A)
【文献】 特開2008-220556(JP,A)
【文献】 特開2015-112460(JP,A)
【文献】 特開2015-192802(JP,A)
【文献】 特表2015-536690(JP,A)
【文献】 特開2016-171983(JP,A)
【文献】 特開2017-144132(JP,A)
【文献】 特開2017-169885(JP,A)
【文献】 特表2017-525477(JP,A)
【文献】 米国特許第7072708(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0143552(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/349
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の心電図波形のR波のピーク値からS波のピーク値までのRS振幅、前記R波の高さ、または前記S波の深さのいずれかを算出する第1のステップと、
前記心電図波形のT波の振幅または高さのいずれかを算出する第2のステップと、
前記T波の振幅または高さを、前記RS振幅、前記R波の高さ、または前記S波の深さのいずれかを用いて規格化した値を、前記対象者の運動強度を示す第1の指標として算出する第3のステップとを含むことを特徴とする運動強度推定方法。
【請求項2】
請求項1記載の運動強度推定方法において、
さらに、前記心電図波形から心拍数を算出する第4のステップと、
前記第1の指標に前記心拍数を乗じた値を、前記対象者の運動強度を示す第2の指標として算出する第5のステップとを含むことを特徴とする運動強度推定方法。
【請求項3】
請求項1記載の運動強度推定方法において、
さらに、前記第1の指標に基づいて前記対象者の運動強度を推定する第6のステップを含むことを特徴とする運動強度推定方法。
【請求項4】
請求項2記載の運動強度推定方法において、
さらに、前記第2の指標に基づいて前記対象者の運動強度を推定する第7のステップを含むことを特徴とする運動強度推定方法。
【請求項5】
対象者の心電図波形のR波のピーク値からS波のピーク値までのRS振幅、前記R波の高さ、または前記S波の深さのいずれかを算出するように構成された第1の算出部と、
前記心電図波形のT波の振幅または高さのいずれかを算出するように構成された第2の算出部と、
前記T波の振幅または高さを、前記RS振幅、前記R波の高さ、または前記S波の深さのいずれかを用いて規格化した値を、前記対象者の運動強度を示す第1の指標として算出するように構成された第3の算出部とを備えることを特徴とする運動強度推定装置。
【請求項6】
請求項5記載の運動強度推定装置において、
さらに、前記心電図波形から心拍数を算出するように構成された第4の算出部と、
前記第1の指標に前記心拍数を乗じた値を、前記対象者の運動強度を示す第2の指標として算出するように構成された第5の算出部とを備えることを特徴とする運動強度推定装置。
【請求項7】
対象者の心電図波形のR波のピーク値からS波のピーク値までのRS振幅、前記R波の高さ、または前記S波の深さのいずれかを算出する第1のステップと、
前記心電図波形のT波の振幅または高さのいずれかを算出する第2のステップと、
前記T波の振幅または高さを、前記RS振幅、前記R波の高さ、または前記S波の深さのいずれかを用いて規格化した値を、前記対象者の運動強度を示す第1の指標として算出する第3のステップとを、コンピュータに実行させることを特徴とする運動強度推定プログラム。
【請求項8】
請求項7記載の運動強度推定プログラムにおいて、
さらに、前記心電図波形から心拍数を算出する第4のステップと、
前記第1の指標に前記心拍数を乗じた値を、前記対象者の運動強度を示す第2の指標として算出する第5のステップとを、コンピュータに実行させることを特徴とする運動強度推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の心電図波形から運動強度を推定する運動強度推定方法、運動強度推定装置およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、シャツ等の衣服に電極を仕込んだタイプのウェアラブルなECG(Electrocardiogram、心電図)波形計測デバイスが開発され、いろいろなシーンで活用されるようになってきている。
【0003】
ECG波形を計測できると、様々な生体情報の取得が可能となる。例えば、スポーツトレーニングなどにおいて、運動強度がある一定の程度を超えると、体への血流量を増やす必要から、心臓は心拍数を上げることに加え、心室の拡張末期容量を増やすようになる(前負荷予備能)。そうした場合、ECG波形では、心室の拡張期に対応する、T波のプロファイルが変化すると考えられる。したがって、T波を分析することは、運動強度の推定等に活用できる。
【0004】
しかしながら、ウェアラブルなECG波形計測デバイスでは、電極の濡れ方の具合や、体表面との接触の状況により、ECG波形の振幅レベルが変動する場合がある。そのような場合、T波の高さも振幅レベルに従って変動してしまい、運動強度の影響を正しく評価することが難しくなる。
特許文献1には、心臓の弛緩時間、すなわちT波の長さの変化に基づいて、運動強度を評価する構成が開示されている。しかし、特許文献1に開示された構成では、ECG波形の振幅レベルの変動については考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−275281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、ECG波形の振幅が変動する場合でも、運動強度を示す適切な指標を得ることができる運動強度推定方法、運動強度推定装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の運動強度推定方法は、対象者の心電図波形のR波のピーク値からS波のピーク値までのRS振幅、前記R波の高さ、または前記S波の深さのいずれかを算出する第1のステップと、前記心電図波形のT波の振幅または高さのいずれかを算出する第2のステップと、前記T波の振幅または高さを、前記RS振幅、前記R波の高さ、または前記S波の深さのいずれかを用いて規格化した値を、前記対象者の運動強度を示す第1の指標として算出する第3のステップとを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の運動強度推定方法の1構成例は、さらに、前記心電図波形から心拍数を算出する第4のステップと、前記第1の指標に前記心拍数を乗じた値を、前記対象者の運動強度を示す第2の指標として算出する第5のステップとを含むことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の運動強度推定装置は、対象者の心電図波形のR波のピーク値からS波のピーク値までのRS振幅、前記R波の高さ、または前記S波の深さのいずれかを算出するように構成された第1の算出部と、前記心電図波形のT波の振幅または高さのいずれかを算出するように構成された第2の算出部と、前記T波の振幅または高さを、前記RS振幅、前記R波の高さ、または前記S波の深さのいずれかを用いて規格化した値を、前記対象者の運動強度を示す第1の指標として算出するように構成された第3の算出部とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の運動強度推定プログラムは、対象者の心電図波形のR波のピーク値からS波のピーク値までのRS振幅、前記R波の高さ、または前記S波の深さのいずれかを算出する第1のステップと、前記心電図波形のT波の振幅または高さのいずれかを算出する第2のステップと、前記T波の振幅または高さを、前記RS振幅、前記R波の高さ、または前記S波の深さのいずれかを用いて規格化した値を、前記対象者の運動強度を示す第1の指標として算出する第3のステップとを、コンピュータに実行させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、T波の変化を的確に把握することができ、対象者の心電図波形の振幅が変動する場合でも、対象者の運動強度を示す適切な指標を得ることができる。本発明では、ウェアラブルな波形計測デバイスを用いた場合にも、適切な指標を得ることができる。その結果、本発明では、対象者の運動強度を正しく推定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、ECG波形の例を示す図である。
図2図2は、心拍数の例を示す図である。
図3図3は、ECG波形のT波の振幅をプロットした図である。
図4図4は、ECG波形のRS振幅で規格化したT波の振幅をプロットした図である。
図5図5は、ECG波形のT波の振幅に心拍数を乗じた値を示す図である。
図6図6は、ECG波形の規格化したT波の振幅に心拍数を乗じた値を示す図である。
図7図7は、本発明の実施例に係る運動強度推定装置の構成を示すブロック図である。
図8図8は、本発明の実施例に係る運動強度推定装置の動作を説明するフローチャートである。
図9図9は、ECG波形のP波、Q波、R波、S波、T波の例を示す図である。
図10図10は、本発明の実施例に係る運動強度推定装置を実現するコンピュータの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
[発明の原理]
図1は、被験者がランニングをしているときに、ウェアラブルデバイスを用いて取得した、被験者のECG波形を示す図である。図1の(a)のグラフ(600秒分)において、横軸のおよそ220〜440秒の区間では、ECG波形の振幅レベルが何らかの理由によって低下している。
【0013】
図1の(b)は図1の(a)のグラフの150秒付近を拡大したものであり、図1の(c)は図1の(a)のグラフの350秒付近を拡大したものである。図1の(b)、(c)の○印はT波のピークの位置を示している。図1の(b)、(c)によると、150秒付近に比べ、350秒付近ではR波の振幅レベルが低下していることが分かる。したがって、T波の高さを評価するには、R波の振幅との相対的な関係を考慮すべきであることが示唆される。
【0014】
図2は、図1の(a)と同一の計測期間における被験者の心拍数を示す図である。図2によれば、220〜440秒の区間の心拍数が高く、また330秒あたりにはピークもあり、この付近で最も運動強度が上がっていると推測できる。
【0015】
前述のように、T波の高さは、心室の拡張末期容量に対応しており、心臓にかかっている負荷、すなわち被験者に課されている運動の強度を、心拍数とは異なる側面から反映する指標になっていると考えられる。ただし、ECG波形の振幅レベルの変動を考慮して適切に評価する必要がある。
【0016】
図3は、図1の(a)のECG波形におけるT波の振幅をプロットした図である。T波の振幅は、例えばECG波形からR波を検出し、そのR波に引き続く一定の時間幅における最大値と最小値を検出して、最大値と最小値との差を取る、などといった手法で求めることができる。
【0017】
一方、図4は、図3のT波の振幅を、このT波と同じ心拍のRS振幅で除した値、すなわちRS振幅で規格化したT波の振幅をプロットした図である。ここでは、ECG波形のノイズの影響を取り除き、滑らかな曲線を得るため、T波の振幅とRS振幅の各々を、0.5秒間隔で再サンプリングし、30秒分の移動平均をとっている。
【0018】
図3では、220〜440秒の区間でT波の振幅が、他の区間よりも25%程度大きな値になっている。一方、図4では、240〜440秒の区間で、規格化したT波の振幅が、他の区間よりも50%ほど大きくなっており、心臓の前負荷予備能の発動や運動強度を、より正確に表している蓋然性が高い。
【0019】
また、T波の振幅を、心拍数と組み合わせる(例えば、T波の振幅と心拍数を掛け合わせる)ことにより、心拍数の情報も取り込んで、運動の強度を表す新たな指標を与えることもできる。
図5は、図3のT波の振幅に図2の心拍数を乗じた値を示し、図6は、図4の規格化したT波の振幅に図2の心拍数を乗じた値を示している。図3図4と同様に、図5図6には差異が見られる。図6の方が、心臓が駆出している血液量に関して、より的確に評価していると考えられる。
【0020】
[実施例]
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図7は本発明の実施例に係る運動強度推定装置の構成を示すブロック図である。運動強度推定装置は、ECG波形のサンプリングデータ列を出力する心電計1と、ECG波形のサンプリングデータ列とサンプリング時刻の情報とを記憶する記憶部2と、ECG波形のR波のピーク値からS波のピーク値までのRS振幅を算出するRS波算出部3(第1の算出部)と、ECG波形のT波の振幅を算出するT波算出部4(第2の算出部)と、ECG波形から心拍数を算出する心拍数算出部5(第4の算出部)と、RS振幅で規格化したT波の振幅を、対象者の運動強度を示す第1の指標として算出する指標算出部6(第3の算出部)と、第1の指標に心拍数を乗じた値を、対象者の運動強度を示す第2の指標として算出する指標算出部7(第5の算出部)と、指標算出部6の算出結果を出力する算出結果出力部8と、指標算出部7の算出結果を出力する算出結果出力部9と、第1の指標に基づいて対象者の運動強度を推定する運動強度推定部10と、第2の指標に基づいて対象者の運動強度を推定する運動強度推定部11と、運動強度推定部10の推定結果を出力する推定結果出力部12と、運動強度推定部11の推定結果を出力する推定結果出力部13とを備えている。
【0021】
以下、本実施例の運動強度推定装置の動作を図8図9を用いて説明する。図8は運動強度推定装置の動作を説明するフローチャート、図9はECG波形のP波、Q波、R波、S波、T波の例を示す図である。
【0022】
心電計1は、運動強度推定の対象者のECG波形を測定し、ECG波形のサンプリングデータ列を出力する(図8ステップS100)。このとき、心電計1は、各サンプリングデータにサンプリング時刻の情報を付加して出力する。なお、ECG波形の具体的な測定方法は周知の技術であるので、詳細な説明は省略する。記憶部2は、心電計1から出力されたECG波形のサンプリングデータ列とサンプリング時刻の情報とを記憶する。
【0023】
RS波算出部3は、記憶部2に記憶されたECG波形のR波のピーク値から直後のS波のピーク値までの振幅であるRS振幅(図9のA1)を心拍毎に算出する(図8ステップS101)。なお、R波とS波を検出する方法は、例えば特開2015−156936号公報に開示されている。
【0024】
T波算出部4は、記憶部2に記憶されたECG波形のT波の振幅を心拍毎に算出する(図8ステップS102)。具体的には、T波算出部4は、R波のピーク値の時刻から所定の待機時間が経過した後の一定の時間幅の検出期間における最大値(T波のピーク値)と最小値(T波のボトム値)とを検出して、最大値から最小値までの振幅(図9のA2)を、T波の振幅として算出する。待機時間は、R波の直後のS波が除去されるように予め設定される。なお、R波ではなく、S波のピーク値の時刻を始点として待機時間を定めてもよい。検出期間の時間幅は、T波のピーク値とその後に続くボトム値とが含まれるように予め設定される。
【0025】
心拍数算出部5は、記憶部2に記憶されたECG波形から心拍数HR(瞬時心拍数)を心拍毎に算出する(図8ステップS103)。心拍数算出部5は、R波と1つ前のR波の時間間隔であるR−R間隔(図9のI)を心拍毎に検出し、次式により心拍数HRを心拍毎に算出する。
HR[bpm]=60000/I[ms] ・・・(1)
【0026】
指標算出部6は、RS振幅A1で規格化したT波の振幅A2’を、運動強度を示す第1の指標E1として心拍毎に算出する(図8ステップS104)。具体的には、指標算出部6は、次式のようにT波の振幅A2を、このT波と同じ心拍のRS振幅A1(すなわち、T波の直前のRS振幅A1)で除した値を第1の指標E1として算出する。
E1=A2’=A2/A1 ・・・(2)
【0027】
なお、上記の発明の原理で説明したとおり、式(2)で用いるT波の振幅A2を、指標E1を算出しようとする心拍におけるT波の振幅と、この心拍よりも過去の一定時間(例えば30秒)のT波の振幅との平均値としてもよい。同様に、式(2)で用いるRS振幅A1を、指標E1を算出しようとする心拍におけるRS振幅と、この心拍よりも過去の一定時間(例えば30秒)のRS振幅との平均値としてもよい。
【0028】
指標算出部7は、第1の指標E1に、この第1の指標E1(T波)と同じ心拍から算出された心拍数HRを乗じた値を、運動強度を示す第2の指標E2として心拍毎に算出する(図8ステップS105)。
E2=E1×HR ・・・(3)
【0029】
算出結果出力部8,9は、それぞれ指標算出部6,7による算出結果を出力する(図8ステップS106)。このときの出力方法としては、例えば算出結果のグラフ表示、算出結果の外部機器への送信などがある。
【0030】
運動強度推定部10は、指標算出部6によって算出された第1の指標E1と所定の閾値TH1とを比較して、対象者の運動強度を推定する(図8ステップS107)。具体的には、運動強度推定部10は、第1の指標E1が閾値TH1以下の場合、対象者の運動強度が低いと推定し、第1の指標E1が閾値TH1を超える場合、対象者の運動強度が高いと推定する。図4の例では、例えば0.25[a.u.]程度を閾値TH1とすればよい。なお、閾値TH1を複数設けて、対象者の運動強度を多段階評価してもよい。
【0031】
運動強度推定部11は、指標算出部7によって算出された第2の指標E2と所定の閾値TH2とを比較して、対象者の運動強度を推定する(図8ステップS108)。具体的には、運動強度推定部11は、第2の指標E2が閾値TH2以下の場合、対象者の運動強度が低いと推定し、第2の指標E2が閾値TH2を超える場合、対象者の運動強度が高いと推定する。図6の例では、例えば40[a.u.]程度を閾値TH2とすればよい。上記と同様に、閾値TH2を複数設けて、対象者の運動強度を多段階評価してもよい。
【0032】
推定結果出力部12,13は、それぞれ運動強度推定部10,11の推定結果を出力する(図8ステップS109)。このときの出力方法としては、例えば推定結果の表示、推定結果の音声出力、推定結果の外部機器への送信などがある。
【0033】
こうして、本実施例では、T波の変化を的確に把握することができ、ECG波形の振幅が変動する場合でも、対象者の運動強度を示す適切な指標E1,E2を得ることができる。その結果、本実施例では、対象者の運動強度を正しく推定することが可能となる。
【0034】
なお、本発明は、シャツ等の衣服の内側の面に電極を配置して、電極を対象者の体表面と接触させることにより、ECG波形を取得するECG波形計測デバイス(ウェアラブルデバイス)に好適である。ただし、本発明の適用対象はこのようなECG波形計測デバイスに限るものではない。
【0035】
本実施例で説明した運動強度推定装置の記憶部2とRS波算出部3とT波算出部4と心拍数算出部5と指標算出部6,7とは、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及びインターフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。このコンピュータの構成例を図10に示す。コンピュータは、CPU100と、記憶装置101と、インターフェース装置(以下、I/Fと略する)102とを備えている。I/F102には、心電計1と、算出結果出力部8,9のハードウェアとが接続される。このようなコンピュータにおいて、本発明の運動強度推定方法を実現させるための運動強度推定プログラムは記憶装置101に格納される。CPU100は、記憶装置101に格納された運動強度推定プログラムに従って本実施例で説明した処理を実行する。
【0036】
なお、本実施例において、RS振幅A1の代わりに、ECG波形の基線からR波のピーク値までのR波の高さ(図9のH1)を用いてもよい。この場合は、RS波算出部3の代わりに、R波の高さH1を心拍毎に算出するR波算出部(第1の算出部)を設けることになる。また、RS振幅A1の代わりに、ECG波形の基線からS波のピーク値までのS波の深さ(図9のD)を用いてもよい。この場合は、RS波算出部3の代わりに、S波の深さDを心拍毎に算出するS波算出部(第1の算出部)を設けることになる。また、T波の振幅A2の代わりに、ECG波形の基線からT波のピーク値までのT波の高さ(図9のH2)を用いてもよい。この場合は、T波算出部4の代わりに、T波の高さH2を心拍毎に算出するT波算出部(第2の算出部)を設けることになる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、人の運動強度を推定する技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1…心電計、2…記憶部、3…RS波算出部、4…T波算出部、5…心拍数算出部、6,7…指標算出部、8,9…算出結果出力部、10,11…運動強度推定部、12,13…推定結果出力部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10