(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保護フィルム(4)に圧力を加えるステップは、前記少なくとも一つの凹部(7)を有する前記基板(W)の前記面に前記保護フィルム(4)を加える間および/または加えた後、前記保護フィルム(4)に真空を適用する工程を有する又は前記工程から成る、請求項1に記載の方法。
前記基板(W)の前記一面(1)に少なくとも一つの分割ライン(11)が形成され、前記少なくとも一つの凹部(7)が前記少なくとも一つの分割ライン(11)に沿って延びている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
前記少なくとも一つの凹部(7)を有する前記基板(W)の前記面に前記保護フィルム(4)を加える間および/または加えた後に前記保護フィルム(4)を加熱するステップを更に有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
前記圧力は、前記保護フィルム(4)を前記少なくとも一つの凹部(7)に3〜500μm、好ましくは5〜300μm、特に5〜50μmの深さまで入れるように加えられる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
前記少なくとも一つの凹部(7)を形成するように、前記基板(W)の前記一面(1)上の基板材料または前記一面(1)の反対側にある前記基板(W)の前記面(6)上の基板材料を除去するステップを更に含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
前記保護フィルム(4)の周辺部分を環状フレーム(25)、特に、半導体サイズの環状フレームに付けるステップを更に含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の概要】
【0010】
したがって、本発明は、一面に凹部を有する基板を処理する方法であって、基板に対する汚染および損傷の危険性を最小限にでき、信頼性および効率の良い方法を提供することを目的とする。この目的は、請求項1の技術的特徴を備えた基板処理法によって達成される。本発明の好ましい実施形態は、従属形式の請求項から得られる。
【0011】
本発明は、基板を処理する方法を提供する。基板は、一面(例えば、表面)および、その一面の反対側にある面(例えば、裏面)を有する。基板は、一面またはその一面の反対側にある面に、少なくとも一つの凹部を有する。この方法は、保護フィルム又はシートを準備するステップと、保護フィルム又はシートを、少なくとも一つの凹部を有する基板の面に加えるステップと、を有し、保護フィルム又はシートの表の面の少なくとも中央領域が、少なくとも一つの凹部を有する基板の面と直接接触する。さらに、この方法は、保護フィルム又はシートに圧力を加えるステップであって、保護フィルム又はシートは凹部の深さの少なくとも一部に沿って、少なくとも一つの凹部に入る、ステップと、基板の一面および/または一面の反対側にある基板の面を処理するステップと、を有する。
【0012】
保護フィルムは、少なくとも一つの凹部を有する基板の面に加えられ、保護フィルム又はシートの表の面の少なくとも中央領域は、少なくとも一つの凹部を有する基板の面と直接接触する。そのため、保護フィルムの表の面の少なくとも中央領域と少なくとも一つの凹部を有する基板の面との間には何も材料、特に、何も接着材が存在しない。
【0013】
したがって、例えば、基板上の接着材残渣または接着層による、基板に対する可能な汚染又は損傷の危険性を著しく減少させることができ、排除さえ可能である。
【0014】
少なくとも一つの凹部を有するウキバンの面に保護フィルムを加える間および/または加えた後、圧力が保護フィルムに加えられ、保護フィルムは、凹部の深さの少なくとも一部に沿って、少なくとも一つの凹部に入る。このように、保護フィルムを、少なくとも一つの凹部を有する基板の面に付けることができる。保護フィルムを基板の所定位置に保持する、保護フィルムおよび基板を付ける力は、圧力を加えるステップによって発生させることができる。このため、少なくとも一つの凹部を有する基板の面に保護フィルムを付ける為に、追加の接着材料は不要である。
【0015】
特に、保護フィルムに圧力を加えることによって、積極嵌合のような形状適合(form fit)および/または接着結合のような材料結合(material bond)が、保護フィルムおよび基板の間に形成されてもよい。用語「材料結合」と「接着結合」は、保護フィルムと基板との間を、これら2つのコンポーネント間に作用する原子及び/又は分子力によって付けること又は接続することを定める。
【0016】
用語「接着結合」は、これらの原子及び/又は分子力の存在に関し、これらが、保護フィルムを基板に付ける又は接着するように作用し、保護フィルムと基板との間に追加の接着材の存在を意味しない。むしろ、保護フィルムの表の面の少なくとも中央領域は、前述してきたように、少なくとも一つの凹部を有する基板の面と直接接触する。
【0017】
基板は、一面で、又は、その面の反対側にある面で、少なくとも一つの凹部を有する。
【0018】
基板は、一面で、又は、その面の反対側にある面で、複数の凹部を有してもよい。少なくとも一つの凹部は、たとえば、トレンチ、溝、基板の厚さの一部に沿って延びる部分的な切断部のような切断部でもよい。少なくとも一つの凹部は、基板の平坦面から内部に、即ち、表面から基板の大部分に向かう方向に延びてもよい。
【0019】
圧力が保護フィルムに加えられるので、保護フィルムは、凹部の深さの少なくとも一部に入る。このため、少なくとも一つの凹部は、特に、信頼性良く密封されるので、汚染から安全に保護される。さらに、少なくとも一つの凹部の側壁の少なくとも一部は、保護フィルムによって保護される。
【0020】
そのため、本発明の方法は、基板面の一面に凹部を有する基板の信頼性及び効率の良い処理を可能にし、基板に対する汚染及び損傷の危険性を最小限にする。
【0021】
保護フィルムは、少なくとも一つの凹部を有する基板の面に加えられてもよく、保護フィルムの表の面は、少なくとも一つの凹部が存在する全区域において、少なくとも一つの凹部を有する基板の面と直接接触する。このように、特に接着材残渣による凹部の汚染を、特に信頼性良く避けることができる。
【0022】
圧力は、基板の一面、および/または、その一面の反対側にある基板の面を処理する前に、保護フィルムに加えられてもよい。
【0023】
圧力は、ローラ、ローラマウント、圧縮プレート、スタンプ、膜などのような圧力を加える手段によって保護フィルムに加えられてもよい。
【0024】
保護フィルムに圧力を加えるステップは、少なくとも凹部を有する基板の面に保護フィルムを加える間および/または加えた後、保護フィルムに真空を加える工程を含んでもよく、又は、その工程から成り得る。保護フィルムが凹部の深さの少なくとも一部に沿って少なくとも一つの凹部に入るように、真空が保護フィルムに加えられてもよい。このように、保護フィルムが凹部の深さの少なくとも一部に沿って少なくとも一つの凹部に入ることが特に信頼性良く確保できる。
【0025】
圧力は、更に詳細に後述されるように、真空チャンバ内で保護フィルムに加えられてもよい。
【0026】
保護フィルムは、減圧環境、特に、真空下で、少なくとも一つの凹部を有する基板の面に加えられ、更に/又は、付けられてもよい。このように、特に信頼性良く確保できることは、凹部の深さの少なくとも一部に沿って少なくとも一つの凹部に保護フィルムが入ること、さらに/または、保護フィルムおよび基板の間に空洞及び/又は気泡が何も存在しないことである。このため、基板の一面、および/または、その一面の反対側にある基板の面を処理する間、例えば、加熱処理中に膨張する、そのような気泡による基板の応力又は歪が避けられる。
【0027】
たとえば、少なくとも一つの凹部を有する基板の一面に保護フィルムを加えるステップおよび/または付けるステップは、真空チャンバ内で実行されてもよい。特に、保護フィルムは、真空ラミネート装置を使用することによって、少なくとも一つの凹部を有する基板の面に加えられ、更に/又は、付けられてもよい。そのような真空ラミネート装置において、基板は、少なくとも一つの凹部を持たない基板面がチャックテーブルの上面と接触して少なくとも一つの凹部を有する基板面が上方に向けられる状態で、真空チャンバ内のチャックテーブル上に置かれる。チャックテーブルは、たとえば、加熱されたチャックテーブルでもよい。
【0028】
少なくとも一つの凹部を有する基板面に加えられる保護フィルムは、環状フレームによって、その周辺部分に保持され、真空チャンバ内で、この基板面の上方に置かれる。チャックテーブルの上方に位置される真空チャンバの上部と環状フレームには、拡張可能なゴム製膜によって閉じられる空気入口ポートが設けられている。
【0029】
基板および保護フィルムが真空チャンバにロードされた後、チャンバが排気され、空気がゴム製膜に空気入口ポートを通って供給され、排気済みチャンバにゴム製膜を拡張させる。このように、少なくとも一つの凹部を有する基板面に保護フィルムを押し付けるように、ゴム製膜は真空チャンバ内を下方に移動され、基板の周辺部分を保護フィルムで密封し、少なくとも一つの凹部を有する基板面にフィルムを押し付ける。このため、凹部の深さの少なくとも一部に沿って少なくとも一つの凹部に保護フィルムが入ることが信頼性良く確保できる。
【0030】
保護フィルムは、少なくとも一つの凹部を有する基板面に保護フィルムを加える間および/または加えた後に、例えば、チャックテーブルを加熱することによって、保護フィルムが加熱されてもよい。
【0031】
続いて、真空チャンバ内の真空が解除され、保護フィルムは、真空チャンバ内で正圧を経て、更に、オプションで加熱処理を経て発生される付ける力によって、少なくとも凹部を有する基板面上の所定位置に保持される。以下、そのような加熱処理を更に詳細に説明する。
【0032】
あるいは、柔らかいスタンプまたは柔らかいローラ(例えば、加熱された柔らかいスタンプ又は加熱された柔らかいローラ)によってゴム製膜を置き換えることができる。
【0033】
基板は、ウェハでもよい。基板は、例えば、半導体ウェハ、ガラスウェハ、サファイヤウェハ、アルミナ(Al
2O
3)のようなセラミックウェハ、石英ウェハ、ジルコニアウェハ、PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)ウェハ、ポリカーボネートウェハ、金属(例えば、銅、鉄、鋼、アルミニウムなど)または金属で被覆された材料のウェハ、フェライトウェハ、光学的結晶ウェハ、樹脂(例えば、エポキシ樹脂)、被覆または成形されたウェハなどでもよい。
【0034】
特に、基板は、例えば、Siウェハ、GaAsウェハ、GaNウェハ、GaPウェハ、InAsウェハ、InPウェハ、SiCウェハ、SiNウェハ、LT(タンタル酸リチウム)ウェハ、LN(ニオブ酸リチウム)ウェハなどでもよい。
【0035】
基板は、単一材料で形成されてもよく、或いは、異なる材料の組合せ(例えば、2種以上の上記識別された材料)で形成されてもよい。たとえば、基板は、Siで形成された基板要素がガラスで形成された基板要素に結合されるSi・ガラス結合基板でもよい。
【0036】
基板は、どのような種類の形状を有してもよい。ここで、用語「半導体サイズのウェハ」は、半導体ウェハの寸法(標準化された寸法)、特に、直径(標準化された直径)、即ち、外径を持つウェハを指す。半導体ウェハの寸法、特に、直径、すなわち、外径は、SEMI基準で規定されている。たとえば、半導体サイズウェハは、Siウェハでもよい。研磨された単結晶Siウェハは、SEMI規格において、M1およびM76と規定されている。半導体サイズのウェハは、3インチ、4インチ、5インチ、6インチ、8インチ、12インチまたは18インチウェハでもよい。
【0037】
基板は、どのような形式の形状を有してもよい。その上面視において、基板は、たとえば、円形状、楕円形状、矩形又は正方形のような多角形状を有してもよい。
【0038】
保護フィルムは、どのような形状を有してもよい。その上面視において、保護フィルムは、たとえば、円形状、楕円形状、長円形状、矩形又は正方形のような多角形状を有してもよい。
【0039】
保護フィルムは、基板と実質的に同一または同一の形状を有してもよい。
【0040】
保護フィルムは、基板の外径より大きな外径を有してもよい。このように、基板の処理、取扱い及び/又は運搬を容易にできる。特に、保護フィルムの外周部分には、後述するように、環状フレームを付けることができる。
【0041】
保護フィルムは、基板の外径より小さな外径を有してもよい。
【0042】
保護フィルムは、基板の外径と実質的に同一の外径を有してもよい。
【0043】
基板は、複数のデバイスを備えたデバイス領域を一面に有してもよい。特に、基板は、複数のデバイスを備えたデバイス領域を一面に有するウェハでもよい。
【0044】
少なくとも一つの凹部は、基板の一面に存在してもよい。本発明の方法は、デバイス領域に形成されたデバイスが、効率および信頼性良く、損傷および汚染から保護されることを可能にする。
【0045】
基板は、その一面に周辺限界領域を有してもよく、周辺限界領域は、何もデバイスを持たず、デバイス領域の周りに形成される。
【0046】
少なくとも一つの分割ラインが、基板の一面に形成されてもよい。少なくとも一つの凹部は、少なくとも一つの分割ラインに沿って延びてもよい。複数の分割ラインは、基板の一面に形成されてもよい。複数の凹部が、基板の一面に存在してもよい。複数の凹部の各々は、複数の分割ラインのそれぞれに沿って延びてもよい。一つ又は複数の分割ラインは、基板の一面に形成される複数のデバイスを区切ってもよい。本発明の方法は、効率および信頼性の良い方法で、複数のデバイスの表面および側面が損傷および汚染から保護されることを可能にする。
【0047】
少なくとも一つの分割ラインの幅は、30μm〜200μm、好ましくは、30μm〜150μm、より好ましくは、30μm〜100μmの範囲内でもよい。
【0048】
本発明の方法は、少なくとも一つの凹部を有する基板面に保護フィルムを加える間および/または加えた後、保護フィルムを加熱するステップを更に有してもよい。特に、当該方法は、保護フィルムを加熱するステップと、保護フィルムに真空を加えるステップとを含んでもよい。この場合、真空は、保護フィルムを加熱する間および/または加熱する前および/または加熱した後、保護フィルムに加えられてもよい。
【0049】
当該方法は、加熱処理の後、保護フィルムが冷却されることを可能にするステップを更に含んでもよい。特に、保護フィルムは、その初期温度(すなわち、加熱処理前の温度)まで冷却されてもよい。保護フィルムは、基板の一面(例えば、基板の表面)および/または、その一面の反対側にある基板の面(例えば、基板の裏面)を処理する前、例えば、その初期温度まで冷却されてもよい。
【0050】
保護フィルムおよび基板を付ける力は、加熱処理を通して発生されてもよい。保護フィルムを基板に付けるステップは、加熱処理自体および/または保護フィルムの冷却を可能にする後処理に生じてもよい。
【0051】
保護フィルムは、加熱処理によって軟化されてもよい。保護フィルムは、例えば、初期温度まで冷却する際、例えば、形状適合および/または材料結合が基板に対して生じるように、再び硬化してもよい。
【0052】
加熱処理を通じて保護フィルムを軟化させることによって、凹部の深さの少なくとも一部に沿って、少なくとも一つの凹部に保護フィルムが入ることを特に信頼性良く確保することができる。
【0053】
保護フィルムは、180℃以上の温度、好ましくは、220℃の温度、より好ましくは、250℃の温度、より更に好ましくは、300℃の温度で耐熱性を有してもよい。
【0054】
保護フィルムは、30℃〜250℃、好ましくは、50℃〜200℃、より好ましくは、60℃〜150℃、より更に好ましくは、70℃〜110℃の範囲の温度まで加熱されてもよい。特に好ましくは、保護ファーム得は、約80℃の温度まで加熱される。
【0055】
保護フィルムは、少なくとも一つの凹部を有する基板の面に保護フィルムを加える間および加えた後、30秒〜10分、好ましくは、1分〜8分、より好ましくは、1分〜6分、更により好ましくは、1分〜4分、もっと更により好ましくは、1分〜3分の範囲の期間にわたって、加熱されてもよい。
【0056】
保護フィルムは、直接および/または間接に加熱されてもよい。
【0057】
保護フィルムは、例えば、加熱されたローラ、加熱されたスタンプ等のような加熱手段、または熱放射手段を使用して、熱を直接、保護フィルムに加えることによって加熱されてもよい。保護フィルムおよび基板は、真空チャンバのようなレセプタクル又はチャンバ内に配置されてもよく、保護フィルムを加熱する為にレセプタクル又はチャンバの内容積が加熱されてもよい。レセプタクル又はチャンバには、熱放射手段が備えられてもよい。
【0058】
保護フィルムは、例えば、少なくとも一つの凹部を有する基板の面に保護フィルムを加える前および/または加える間および/または加えた後、基板を加熱することによって、間接的に加熱されてもよい。たとえば、チャックテーブルのような支持体またはキャリアに基板を配置し、その支持体またはキャリアを加熱することによって、基板が加熱されてもよい。
【0059】
たとえば、チャックのような支持体又はキャリアは、30℃〜250℃、好ましくは50℃〜200℃、より好ましくは60℃〜150℃、更により好ましくは70℃〜110℃の範囲内の温度まで加熱されてもよい。特に好ましくは、支持体又はキャリアは、およそ80℃の温度まで加熱されてもよい。
【0060】
例えば、加熱されたローラ等のような加熱手段、あるいは、保護フィルムの直接加熱および基板を通した保護フィルムの間接加熱の為に熱放射手段を使用することによって、これらの方法が組み合わされてもよい。
【0061】
保護フィルムは、しなやかであり、弾性があり、柔軟性があり、伸ばすことができ、柔らかく、さらに/または、圧縮性があるのが好ましい。保護フィルムは、室温、例えば、18〜23℃および/または加熱された状態にあるとき、しなやかであり、弾性があり、柔軟性があり、伸ばすことができ、柔らかく、さらに/または、圧縮性があるのが好ましい。特に好ましくは、保護フィルムは、室温で、しなやかであり、弾性があり、柔軟性があり、伸ばすことができ、柔らかく、さらに/または、圧縮性があり、保護フィルムが加熱されるとき、しなやかさ、弾性、柔軟性、伸縮性、柔らかさ、圧縮性は、更に高められる。
【0062】
このように、保護フィルムが、凹部の深さの少なくとも一部に沿って、少なくとも一つの凹部に入ることが特に信頼性良く確保できる。
【0063】
好ましくは、保護フィルムは、冷却の際、ある程度まで硬くされ、或いは、堅くされ、冷却状態で、より剛性があり、さらに/または頑丈になる。このように、基板の研削及び/又は切断のような基板の後処理中に、特に信頼性の良い基板の保護が確保できる。
【0064】
保護フィルムの加熱前および/または加熱中および/または加熱後に、圧力を保護フィルムに加えてもよい。
【0065】
特に好ましくは、加熱されたローラ、加熱された加圧プレート又は加熱されたスタンプのような組み合わされた熱及び圧力を加える手段が使用されてもよい。この場合、圧力は保護フィルムに加えることができるが、同時に、保護フィルムを加熱する。
【0066】
保護フィルムが、3〜500μm、好ましくは、5〜300μm、特に、5〜50μmの深さまで、少なくとも一つの凹部に入るように、保護フィルムに圧力を加えてもよい。
【0067】
少なくとも一つの凹部は、5〜1500μmの範囲内、又は、50〜1000μmの範囲内、又は、100〜800μmの範囲内で、深さ、即ち、基板の厚さ方向に沿った拡張部を有してもよい。少なくとも一つの凹部は、基板の厚さの2%〜90%の範囲内、又は、5%〜70%の範囲内、又は、8%〜50%の範囲内、又は、10%〜40%の範囲内、又は、12%〜30%の範囲内の深さを有してもよい。
【0068】
保護フィルムが、2%〜100%、好ましくは、5%〜90%、より好ましくは10%〜80%、更により好ましくは15%〜70%、もっと更により好ましくは、20%〜60%の深さまで、少なくとも一つの凹部に入るように、保護フィルムに圧力が加えられてもよい。
【0069】
本発明の方法は、少なくとも一つの凹部を形成するように、基板の一面で、または、その一面の反対側にある基板の面で、基板材料を除去するステップを更に含んでもよい。
【0070】
たとえば、基板材料の除去は、(例えば、ブレードダイシング又は鋸引きによる)機械的切断および/またはレーザ切断および/またはプラズマ切断および/またはエッチング(ウェットエッチング又はドライエッチング)および/または(光リソグラフィ又は電子ビームリソグラフィのような)リソグラフィによって、行われてもよい。基板材料は、単一の機械的切断ステップ、単一のレーザ切断ステップ、単一のプラズマ切断ステップ、単一のエッチングステップ、単一のリソグラフィステップで除去されてもよい。あるいは、基板材料は、連続した2つ以上の上記特定ステップによって除去されてもよい。
【0071】
レーザ切断は、たとえば、アブレーションレーザ切断によって、および/またはステルスレーザ切断によって、即ち、レーザビームを加えることによって基板内部に改質領域を形成することによって、および/またはレーザビームを加えることによって基板内に複数のホール区域を形成することによって、行われてもよい。これらのホール区域の各々は、基板の表面に開いた改質区域内の空間と改質区域とから構成されてもよい。
【0072】
少なくとも一つの凹部は、少なくとも一つの分割ラインが存在する場合、少なくとも一つの分割ラインに沿って基板材料を除去することによって形成されてもよい。複数の分割ラインが存在する場合、複数の凹部は、複数の分割ラインの各々に沿って基板材料を除去することによって形成されてもよい。
【0073】
基板材料は、基板の厚さの一部に沿って、たとえば、基板の厚さの5%以上に沿って、10%以上に沿って、20%以上に沿って、30%以上に沿って、40%以上に沿って、50%以上に沿って、60%以上に沿って、70%以上に沿って、80%以上に沿って、90%以上に沿って、除去されてもよい。基板材料は、基板の厚さの90%以下に沿って、80%以下に沿って、70%以下に沿って、60%以下に沿って、50%以下に沿って、40%以下に沿って、30%以下に沿って、20%以下に沿って、10%以下に沿って、除去されてもよい。
【0074】
本発明の方法は、一面の反対側にある基板の面を処理するステップを含んでもよい。基板の一面の反対側にある面を処理するステップは、基板の厚さを調整するため、一面の反対側にある基板面を研削する工程を含んでもよい。
【0075】
当該方法は、基板の一面の反対側にある面を研磨するステップ(例えば、ドライ研磨または化学機械的研磨(CMP))および/またはエッチング(例えば、ウェットエッチング又はプラズマエッチングのようなドライエッチング)を更に含んでもよい。基板の一面の反対側にある面が研削ステップを受ける場合、研磨ステップおよび/またはエッチングステップは、研削ステップの後に行われてもよい。
【0076】
当該方法は、複数の分離要素に基板を分割するステップを更に含んでもよい。たとえば、基板は、複数のデバイスを備えたデバイス領域を一面に有するウェハでもよい。当該方法は、そのウェハを複数の個々のチップ又はダイに分割するステップを含んでもよい。たとえば、基板は、以下の方法で、個々のチップ又はダイのような複数の分離要素に分割されてもよい。
【0077】
基板は、少なくとも一つの凹部を形成するように、(存在する場合には)例えば、少なくとも一つの分割ラインに沿って、除去されてもよい。基板材料を除去するステップは、たとえば、前述した方法で行われてもよい。基板材料の除去処理は、基板の一面から行われてもよい。保護フィルムは、少なくとも一つの凹部が内部に形成された基板面に加えられてもよい。その後、少なくとも一つの凹部を有する基板の面の反対側にある面を、基板の厚さを調整する為に研削してもよい。基板の厚さの一部だけに沿って基板材料を除去してもよい。少なくとも一つの凹部を有する基板の面の反対側にある面を研削するステップは、例えば、少なくとも一つの分割ラインに沿って、基板を分割するように、何もウェハ材料が除去されなかった基板の厚さの残部に沿って行われてもよい。
【0078】
あるいは、基板は、例えば、存在する場合には少なくとも一つの分割ラインに沿って基板を切断することによって、個々のチップ又はダイのような複数の分離要素に完全に分割されてもよい。少なくとも一つの凹部を有する基板の面の反対側にある面から基板を切断してもよい。切断処理は、少なくとも一つの凹部を有する基板の面の反対側にある面を研削する前または研削した後に行われてもよい。
【0079】
切断処理は、たとえば、前述した方法、例えば、(ブレードダイシング又は鋸引きによる)機械的切断によって、および/または、レーザ切断によって、および/または、プラズマ切断によって、および/または、エッチング(例えば、ウェットエッチング又はドライエッチング)によって、実行されてもよい。
【0080】
レーザ切断は、たとえば、アブレーションレーザ切断によって、および/またはステルスレーザ切断によって、即ち、レーザビームを加えることによって基板内部に改質領域を形成することによって、および/またはレーザビームを加えることによって基板内に複数のホール区域を形成することによって、行われてもよい。これらのホール区域の各々は、基板の表面に開いた改質区域内の空間と改質区域とから構成されてもよい。基板内に改質領域又はホール区域を形成することに続いて、基板は、基板の径方向に外力を加えることによって、例えば、拡張テープを径方向に拡張させることによって、完全に分離されてもよい。たとえば、保護フィルムは、そのような拡張テープのように使用されてもよい。
【0081】
さらに、例えば、ダイヤモンドスクライバ、レーザスクライバ等を使用して基板をスクライビングし、その後、それに外力を加えることによって基板を割ることによって、基板を複数の分離要素に分割してもよい。
【0082】
基板は、前述した処理の組合せによって、分離要素に分割されてもよい。たとえば、少なくとも一つの凹部を有する基板の面の反対側にある面は、第1切断幅で部分的に機械的に切断され、基板の残部は、第2切断幅で少なくとも一つの凹部を有する基板の面の反対側にある面から、部分的切断部又は複数の切断部が形成された区域又は複数の区域で、その厚さ方向において、機械的に切断、および/または、レーザにより切断、および/または、プラズマにより切断されてもよい。第2切断幅は、第1切断幅より小さくても等しくてもよい。その後、例えば、機械的部分切断ステップにより生じる可能性のある損傷部を除去する為に、少なくとも一つの凹部を有する基板面の反対側の面を研削してもよい。
【0083】
当該方法は、保護フィルムから、個々のチップ又はダイのような分離要素をピックアップするステップを更に含んでもよい。ピックアップステップは、ピックアップデバイスを使用して行われてもよい。
【0084】
本発明の方法において、保護フィルムの表の面の少なくとも中央領域が、少なくとも一つの凹部を有する基板面と直接接触するように、少なくとも一つの凹部を有する基板面に保護フィルムが加えられる。このため、少なくとも中央領域において接着層が存在しないため、分離要素のピックアップステップは非常に容易になる。特に、ピックアップステップにおける分離要素に対する損傷の危険性を相当に減少させることができ、排除すら可能である。また、分離要素を保護フィルムからピックアップする為に必要な力は、著しく低減される。
【0085】
さらに、本方法では、凹部の深さの少なくとも一部に沿って、少なくとも一つの凹部に保護フィルムが入るように、圧力が保護フィルムに加えられる。このように、保護フィルムは、基板を分割する前に所定位置で基板をしっかりと保持することができ、基板を分割した後、所定位置で分離要素をしっかりと保持することができる。このため、要素を研削又はピックアップするステップのような処理ステップにおいて、これらの分離要素または基板の移動またはシフトを信頼性良く防止することができる。特に、研削中、そのような移動又はシフトが生じないことから、可能な後の切断、ダイシング、ピックアップステップにおいて、特に正確かつ簡単な整列を達成できる。たとえば、この高度な整列精度のため、薄いブレード又は薄い鋸引きのような薄い機械的切断手段を使用することによって、基板を、一面から、或いは、一面の反対側にある面から、信頼性良く切断できる。
【0086】
保護フィルムの表の面が、少なくとも一つの凹部を有する基板面と接触する全体の区域において、保護フィルムの表の面が、少なくとも凹部を有する基板面と直接接触するように、少なくとも一つの凹部を有する基板面に保護フィルムが加えられてもよい。そのため、保護フィルムと、少なくとも一つの凹部を有する基板面との間には、何も材料、特に、接着材が存在しない。
【0087】
このように、例えば、基板上の接着層又は接着材残渣の接着力による、基板に対する可能な汚染又は損傷の危険性を信頼性良く排除することができる。
【0088】
あるいは、保護フィルムには、接着層が設けられてもよい。この場合、接着層は、保護フィルムの表の面の周辺領域だけに設けられるが、周辺領域は、保護フィルムの表の面の中央領域を囲む。保護フィルムは、接着層が、少なくとも一つの凹部を有する基板面の周辺部分のみと接触するように、少なくとも一つの凹部を有する基板面に加えられる。基板が複数のデバイスを備えたデバイス領域を一面に有するウェハの場合、少なくとも一つの凹部を有する基板面の周辺部分は、基板の一面に形成された周辺限界領域であってもよく、或いは、周辺限界領域に対応してもよい。
【0089】
このように、保護フィルムを基板に付けるステップを、更に改善することができる。接着層は保護フィルムの表の面の周辺領域だけに設けられることから、接着層によって保護フィルム及び基板が互いに付けられる領域は、保護フィルムの全体の表の面に接着層が設けられる場合と比較すると、著しく減少される。そのため、保護フィルムは、より簡単に基板から剥がすことができ、基板に対する損傷は相当に減少される。
【0090】
接着層の接着材は、熱、UV線、電界および/または化学剤のような外部刺激によって硬化可能であってもよい。このように、処理の後、基板から保護フィルムを特に簡単に除去できる。外部刺激は、接着材に、その接着力を低減するように、即ち、保護フィルムの簡単な除去を可能にする為に、加えられてもよい。また、個々のチップ又はダイのような分離要素は、保護フィルムから簡単にピックアップできる。
【0091】
たとえば、接着層は、実質的に環状形状、開いた(open)矩形の形状または開いた正方形の形状(即ち、接着層の中央に開口を備えた矩形又は正方形の形状)を有してもよい。
【0092】
クッション層は、保護フィルムの表の面の反対側の保護フィルムの裏の面に付けられてもよい。
【0093】
バンプ、光学素子(例えば、光学レンズ)、他の構造体などのような突出部又は突起が、基板の厚さ方向に沿って、少なくとも一つの凹部を有する基板面から、突出し、延び、出っ張っている場合、このアプローチは特に有利である。
【0094】
クッション層が保護フィルムの裏の面に付けられる場合、そのような突出部をクッション層に埋め込むことができる。このため、切断、研磨、研削のような後の基板処理ステップで、突出部の否定的影響を排除することができる。特に、クッション層は、そのような処理中、圧力の、特に一様かつ均一分布を達成するのに、特に貢献することができる。
【0095】
クッション層に突出部を埋め込むことによって、たとえば、光学素子又は他の構造体のような突出部は、基板処理中、例えば、後の切断又は研削処理において、どのような損傷からも信頼性良く保護される。
【0096】
クッション層の材料は、特に限定されない。特に、基板の厚さ方向に沿って突出する突出部が内部に埋め込まれることを可能にする材料の種類からクッション層が形成されてもよい。たとえば、クッション層は、樹脂、接着材、ゲルなどから形成されてもよい。
【0097】
クッション層は、UV線、熱、電界および/または化学剤のような外部刺激によって硬化可能であってもよい。この場合、クッション層は、外部刺激を加える際、少なくとも一定の程度まで硬くなる。たとえば、クッション層は、硬化性樹脂、硬化性接着材、硬化性ゲルなどで形成されてもよい。
【0098】
クッション層は、硬化後、ある程度の圧縮性、弾性および/または柔軟性を呈するように、即ち、圧縮性、弾性および/または柔軟性を持つように構成されてもよい。たとえば、クッション層は、硬化によってゴムのような状態にもたらされるものでもよい。あるいは、クッション層は、硬化後、剛性があり、硬い状態に達するように構成されてもよい。
【0099】
本発明の方法においてクッション層として使用されるUV硬化性樹脂の好ましい実施例は、DISCO株式会社によるResiFlatとDENKAによるTEMPLOCである。
【0100】
本発明の方法は、基板の処理(例えば、切断又は研削)前に、クッション層を硬化させるようにクッション層に外部刺激を加えるステップを更に含んでもよい。このように、切断及び/又は研削中の基板の保護と、切断及び/又は研削の精度とを更に改善することができる。
【0101】
クッション層は、180℃以上の温度まで、好ましくは220℃以上の温度まで、より好ましくは250℃以上の温度まで、より更に好ましくは300℃の温度まで耐熱性があってもよい。
【0102】
クッション層は、10〜300μm、好ましくは20〜250μm、より好ましくは50〜200μmの範囲の厚さを有してもよい。
【0103】
クッション層は、少なくとも一つの凹部を有する基板の面に保護フィルムを加える前に、保護フィルムの裏の面に付けられてもよい。
【0104】
この場合、保護フィルムおよびクッション層は、最初に積層され、クッション層と、クッション層に付けられた保護フィルムとを備える保護シーティングを形成してもよい。このように形成された保護シーティングは、例えば、ウェハの平坦面から突出する突出部又は突起が保護フィルムによって覆われ、保護フィルム及びクッション層に埋め込まれるように、少なくとも一つの凹部を有する基板面に後で付けられてもよい。保護シーティングは、少なくとも一つの凹部を有する面の反対側にある基板面に対してクッション層の裏の面が実質的に平行になるように、加えられてもよい。保護フィルムの表の面は、保護シーティングが、少なくとも一つの凹部を有する基板面に加えられるとき、少なくとも一つの凹部を有する基板面に加えられる。
【0105】
このように、特に単純かつ効率の良い方法で基板処理法を実行することができる。たとえば、保護シーティングは、事前に準備することができ、後の使用の為に貯蔵され、必要なときに基板処理の為に使用される。そのため、保護シーティングは、時間と費用の観点から、大量に製造され、その生産を特に効率良くさせてもよい。
【0106】
クッション層は、少なくとも一つの凹部を有する基板の面に保護フィルムを加えた後、保護フィルムの裏の面に付けられてもよい。
【0107】
この場合、保護フィルムは、最初に、少なくとも一つの凹部を有する基板面に加えられ、その後、保護フィルムが加えられた、少なくとも一つの凹部を有する基板面は、基板の平坦面から突出する突出部又は突起が保護フィルム及びクッション層に埋め込まれるようにクッション層の表の面に付けられ、クッション層の裏の面は、少なくとも一つの凹部を有する面の反対側にある基板面に対して、実質的に平行になる。このアプローチは、特に、ウェハの平坦面から突出する突出部又は突起に関して、保護フィルムが、特に高精度で、少なくとも一つの凹部を有する基板面に付けられることを可能にする。
【0108】
クッション層は、少なくとも一つの凹部を有する基板面に保護フィルムを付ける前および/または付ける間および/または付けた後に、保護フィルムの裏の面に付けられてもよい。
【0109】
クッション層が凹部の深さの少なくとも一部に沿って、少なくとも一つの凹部に入るように、クッション層に圧力が加えられてもよい。
【0110】
保護フィルムに付けられる表の面の反対側のクッション層の裏の面にベースシートが付けられてもよい。
【0111】
ベースシートの材料は、特に限定されない。ベースシートは、たとえば、高分子材料のような、柔らかく、しなやかな材料(例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)又はエチレン酢酸ビニルコポリマ(EVA)又はポリオレフィン)で形成されてもよい。
【0112】
あるいは、ベースシートは、ポリエチレンテレフタレート(PET)および/またはシリコンおよび/またはガラスおよび/またはステンレス鋼(SUS)のような剛性又は硬い材料で形成されてもよい。
【0113】
たとえば、ベースシートがポリエチレンテレフタレート(PET)またはガラスで形成され、クッション層が外部刺激によって硬化可能である場合、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はガラスを透過可能な放射線(例えば、UV線)でクッション層が硬化されてもよい。ベースシートがシリコン又はステンレス鋼(SUS)で形成される場合、費用効果に優れたベースシートが設けられる。
【0114】
また、ベースシートは、前述した材料の組合せで形成されてもよい。
【0115】
ベースシートは、180℃以上の温度まで、好ましくは220℃以上の温度まで、より好ましくは250℃以上の温度まで、より更に好ましくは、300℃以上の温度まで、耐熱性があってもよい。
【0116】
ベースシートは、30〜1500μm、好ましくは40〜1200μm、より好ましくは50〜1000μmの範囲の厚さを有してもよい。
【0117】
クッション層及びベースシートは、少なくとも一つの凹部を有する基板面に保護フィルムを加える前または加えた後、保護フィルムの裏の面に付けられてもよい。特に、保護フィルムおよびクッション層およびベースシートを最初に積層し、ベースシート、クッション層、クッション層に付けられた保護フィルムを備える保護シーティングを形成してもよい。このように形成された保護シーティングは、その後、少なくとも一つの凹部を有する基板の面に加えられてもよい。
【0118】
ベースシートの表の面は、クッション層の裏の面に接触してもよく、ベースシートの表の面に対して反対側にあるベースシートの裏の面は、少なくとも一つの凹部を有する基板面の反対側にある面に対して実質的に平行であってもよい。そのため、基板を処理(例えば切断又は研削)するとき、例えば、この裏の面をチャックテーブル上に配置することによって、最適なカウンタ圧力をベースシートの裏の面に加えることができる。
【0119】
この場合、ベースシートの平坦な裏の面は、少なくとも一つの凹部を有する基板の面の反対側にある面に対して実質的に平行になっていることから、切断処理のような処理中(例えば、切断装置の切断又はダイシングブレードによって)基板に加えられる圧力は、基板にわたって、均一かつ均質に分布されるので、基板の割れの危険性を最小にする。さらに、少なくとも一つの凹部を有する基板面の反対側にある面とベースシートの平坦かつ均一な裏の面との実質的に平行な整列は、高精度で切断及び研削ステップを実行することを可能にする。
【0120】
保護フィルムは、単一の材料、特に、単一の均質な材料から形成されてもよい。
【0121】
保護フィルムは、高分子のようなプラスチック材料から形成されてもよい。特に好ましくは、保護フィルムはポリオレフィンから形成される。たとえば、保護フィルムは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)又はプリブチレン(PB)で形成されてもよい。
【0122】
特に、当該方法が保護フィルムの加熱ステップを有する場合、ポリオレフィンフィルムは、本発明の基板処理法で使用する為に特に有利な材料特性を有する。ポリオレフィンは、加熱された状態にあるとき、例えば、60℃〜150℃の範囲内の温度まで加熱されたとき、しなやかで、伸ばすことができ、柔らかい。そのため、保護フィルムが凹部の深さの少なくとも一部に沿って少なくとも一つの凹部に入ることを特に信頼性良く確保できる。
【0123】
さらに、ポリオレフィンフィルムは、冷却された状態で、より剛性があり、頑丈になるように、冷却の際に硬化し堅くなる。このため、ウェハの後処理中、特に信頼性の良い基板の保護を確保できる。
【0124】
保護フィルムは、5〜200μm、好ましくは8〜100μm、より好ましくは10〜80μm、更により好ましくは12〜50μmの範囲の厚さを有してもよい。特に好ましくは、保護フィルム又はシートは、80〜150μmの範囲の厚さを有する。
【0125】
このように、保護フィルムは、凹部の深さの少なくとも一部に沿って少なくとも一つの凹部に入るのに十分な柔軟性としなやかさを有し、同時に、処理中に基板を信頼性および効率良く保護する為に、十分な厚さを呈することが、特に信頼性良く確保できる。
【0126】
当該方法は、保護フィルムの周辺部分を環状フレームに付けるステップを更に有してもよい。特に、保護フィルムの周辺部分は、保護フィルムが環状フレームの中央開口部(即ち、環状フレームの内径の内側の領域)を閉じるように環状フレームに付けられてもよい。このように、保護フィルム、特に、その中央部分に付けられた基板は、保護フィルムを介して環状フレームによって保持される。したがって、基板、保護フィルム、環状フレームを備えた基板ユニットが形成され、基板の処理、取扱い、及び/又は運搬が容易になる。
【0127】
保護フィルムの周辺部分を環状フレームに付けるステップは、保護フィルムを基板に加える前または加えた後に行われてもよい。
【0128】
保護フィルムの周辺部分を環状フレームに付けるステップは、保護フィルムを基板に付ける前または付けた後に行われてもよい。
【0129】
保護フィルムの周辺部分を環状フレームに付けるステップは、基板の一面および/またはその一面の反対側にある基板の面を処理する前または処理した後に行われてもよい。
【0130】
環状フレームは、半導体サイズの環状フレームでもよい。本書において、用語「半導体サイズの環状フレーム」とは、半導体ウェハを保持する為の環状フレームの寸法(規格化された寸法)、特に内径(規格化された内径)を持つ環状フレームを指す。
【0131】
半導体ウェハを保持する為の環状フレームの寸法、特に内径は、SEMI規格でも規定されている。たとえば、300mmウェハの為のテープフレームの寸法は、SEMI規格SEMI G74において規定され、300mmウェハの為のプラスチックテープフレームの寸法は、SEMI規格SEMI G87で規定されている。環状フレームは、たとえば、3インチ、4インチ、5インチ、6インチ、8インチ、12インチ、又は18インチサイズの半導体サイズウェハを保持する為のフレームサイズを有してもよい。
【0132】
半導体サイズの環状フレームに保護フィルムの周辺部分を付けるステップが提供する利点は、慣例的ピックアップデバイスのような慣例的半導体ウェハ取扱い及び処理設備が、基板および個々のチップ又はダイのような分離要素の取扱い及び処理の為に使用できる点である。
【0133】
本発明の方法において、保護フィルムは、基板処理の最初から最後まで、基板に付けられたままでもよい。そのため、例えば、基板を分割することによって得られた個々のチップ又はダイのような分離要素が保護フィルムからピックアップされるまで、基板処理の最初から最後まで、同一の保護フィルムを使用することができる。この場合、基板から保護フィルムを剥がすステップ、基板を異なるフィルム又はテープに再装着するステップは不要である。このように、処理法を非常に単純化することができる。さらに、基板の取扱い及び処理に必要なステップ数の減少のため、基板に対する損傷の危険性を更に減少させることができる。また、このアプローチは、たとえば、処理時間及び費用の観点で、特に効率的である。
【0134】
保護フィルムは、拡張可能であってもよい。保護フィルムは、少なくとも一つの凹部を有する基板の面に加えられるとき、拡張可能であってもよい。このように、凹部の深さの少なくとも一部に沿って、少なくとも一つの凹部に保護フィルムが入ることが特に信頼性良く確保できる。特に、保護フィルムは、その当初の大きさから2倍以上、好ましくは3倍以上、より好ましくは4倍以上に拡張されてもよい。
【0135】
保護フィルムが拡張可能である場合、基板を分離することによって得られるチップ又はダイのような要素を互いに分離する為に使用されてもよい。特に、当該方法は、基板の一面および/またはその一面の反対側にある基板の面を処理した後、要素を互いに分離するように保護フィルムを径方向に拡張するステップを更に有してもよい。
【0136】
たとえば、基板は、例えば、機械的切断処理またはプラズマ切断処理、研削処理前のダイシングによって、完全に分離されてもよい。その後、完全に分割されたチップ又はダイのような要素は、保護フィルムを径方向に拡張させることによって、お互いから遠ざかるように移動されてもよく、これによって、隣接したデバイス間の距離が増加する。
【0137】
あるいは、基板は、ステルスダイシング処理、即ち、前述されてきたように、レーザビームを加えることによって改質区域がウェハ内部に形成される処理を受けてもよい。その後、基板は、保護フィルムを径方向に拡張させることによって改質区域が形成された場所で、少なくとも分割ラインに沿って、分割され(例えば、割れ)てもよく、これによって、個々のチップ又はダイを得る。
【0138】
保護フィルムを径方向に拡張させるステップの代替として、別個の拡張テープが使用されてもよい。