特許第6860117号(P6860117)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6860117複合焼結体、静電チャック部材、静電チャック装置および複合焼結体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6860117
(24)【登録日】2021年3月30日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】複合焼結体、静電チャック部材、静電チャック装置および複合焼結体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/117 20060101AFI20210405BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   C04B35/117
   H01L21/68 R
【請求項の数】9
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-507925(P2020-507925)
(86)(22)【出願日】2019年3月22日
(86)【国際出願番号】JP2019012059
(87)【国際公開番号】WO2019182107
(87)【国際公開日】20190926
【審査請求日】2020年9月3日
(31)【優先権主張番号】特願2018-55209(P2018-55209)
(32)【優先日】2018年3月22日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100206999
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 綾夏
(72)【発明者】
【氏名】日▲高▼ 宣浩
(72)【発明者】
【氏名】木村 直人
【審査官】 神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/131159(WO,A1)
【文献】 特開2008−127258(JP,A)
【文献】 特表2010−525930(JP,A)
【文献】 特開平08−267305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/117
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主相である金属酸化物と、副相である炭化ケイ素と、を含むセラミックスの複合焼結体であり、
前記炭化ケイ素の結晶粒は、前記金属酸化物の結晶粒内および前記金属酸化物の結晶粒界に分散しており、
前記金属酸化物の結晶粒界に分散している前記炭化ケイ素の平均結晶粒径(D50)が、0.30μm以下であり、
前記金属酸化物の結晶粒内に分散している前記炭化ケイ素の結晶粒の割合は、前記炭化ケイ素の結晶粒全体に対し、面積比で40%以上である、複合焼結体。
【請求項2】
前記金属酸化物の結晶粒内に分散している前記炭化ケイ素の平均結晶粒径(D50)が、0.20μm以下である、請求項1に記載の複合焼結体。
【請求項3】
前記金属酸化物は、酸化アルミニウムまたは酸化イットリウムである、請求項1又は2に記載の複合焼結体。
【請求項4】
前記金属酸化物の平均結晶粒径は、1.2μm以上10μm以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の複合焼結体。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項に記載の複合焼結体を形成材料とし、一主面が板状試料を載置する載置面である板状の基体と、
前記基体の前記載置面とは反対側、または前記基体の内部に設けられた静電吸着用電極と、を有する静電チャック部材。
【請求項6】
請求項に記載の静電チャック部材を備える静電チャック装置。
【請求項7】
金属酸化物粒子と炭化ケイ素粒子と分散媒を混合する工程と、
前記混合する工程で得られたスラリーについて、前記スラリー中の前記金属酸化物粒子の表面電荷が正となり、前記スラリー中の前記炭化ケイ素粒子の表面電荷が負となる範囲に、前記スラリーのpHを調整する工程と、
pHを調整した前記スラリーから分散媒を除去した後、成形体を成形する工程と、
得られる成形体を、非酸化性雰囲気下、25MPa以上の圧力で押し固めながら1600℃以上に加熱して加圧焼結する工程と、を有し、
前記混合する工程が、金属酸化物粒子と、炭化ケイ素と分散媒とを、分散媒体とともに分散攪拌ミルに投入して、混合する工程であり、
前記混合する工程に先立って、前記炭化ケイ素粒子の表面を酸化処理する工程を有する、複合焼結体の製造方法。
【請求項8】
前記pHを調整する工程は、前記スラリーのpHを5以上7以下とする請求項に記載の、複合焼結体の製造方法。
【請求項9】
前記金属酸化物粒子は、金属酸化物の含有量が99.99%以上である請求項7又は8に記載の、複合焼結体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合焼結体、静電チャック部材、静電チャック装置および複合焼結体の製造方法に関するものである。
本願は、2018年3月22日に、日本に出願された特願2018−055209号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ工程を実施する半導体製造装置では、試料台に簡単に板状試料(ウエハ)を取付けて、固定することができるとともに、そのウエハを所望の温度に維持することができる静電チャック装置が用いられている。静電チャック装置は、一主面がウエハを載置する載置面である基体と、載置面に載置したウエハとの間に静電気力(クーロン力)を発生させる静電吸着用電極と、を備えている(例えば、特許文献1参照)。基体は、通常セラミックス焼結体を形成材料としている。
【0003】
このような静電チャック装置では、ウエハと静電吸着用電極との間に発生させた静電気力を利用して、ウエハを固定している。具体的には、静電チャック装置においては、ウエハを固定する際には、静電吸着用電極に電圧を印加し、ウエハと静電吸着用電極との間に静電気力を発生させる。一方、静電チャック装置において載置面に固定したウエハを取り外す際には、静電吸着用電極への電圧印加を停止し、ウエハと静電吸着用電極との間の静電気力を消失させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4744855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで半導体製造装置では、構成部材のガス腐食や損傷(プラズマエローション)が生じる。その結果発生した微粒子(パーティクル)によって、デバイスの品質が低下するという課題がある。例えば、半導体製造プロセス中に回路上に微細なパーティクルが落下すると、回線破断等の不具合が発生し、歩留まりを低下させる原因となる。
半導体製造装置に用いられる静電チャック装置に使用される部材にも、パーティクルの発生を抑制することが求められる。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、パーティクルの発生を抑制した静電チャック用の複合焼結体を提供することを目的とする。また、このような複合焼結体を用いた静電チャック部材、静電チャック装置を提供することを併せて目的とする。さらに、このような複合焼結体を容易に製造可能とする複合焼結体の製造方法を提供することを併せて目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の[1]〜[11]を包含する。
[1]主相である金属酸化物と、副相である炭化ケイ素と、を含むセラミックスの複合焼結体であり、前記炭化ケイ素の結晶粒は、前記金属酸化物の結晶粒内および前記金属酸化物の結晶粒界に分散しており、前記金属酸化物の結晶粒界に分散している前記炭化ケイ素の平均結晶粒径(D50)が、0.30μm以下である、複合焼結体。
[2]前記金属酸化物の結晶粒内に分散している前記炭化ケイ素の平均結晶粒径(D50)が、0.20μm以下である、[1]に記載の複合焼結体。
[3]前記金属酸化物の結晶粒内に分散している前記炭化ケイ素の結晶粒の割合は、前記炭化ケイ素の結晶粒全体に対し、面積比で40%以上である、[1]又は[2]に記載の複合焼結体。
[4]前記金属酸化物は、酸化アルミニウムまたは酸化イットリウムである、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の複合焼結体。
[5]前記金属酸化物の平均結晶粒径は、1.2μm以上10μm以下である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の複合焼結体。
[6][1]〜[5]のいずれか1つに記載の複合焼結体を形成材料とし、一主面が板状試料を載置する載置面である板状の基体と、前記基体の前記載置面とは反対側、または前記基体の内部に設けられた静電吸着用電極と、を有する静電チャック部材。
[7][6]に記載の静電チャック部材を備える静電チャック装置。
[8]金属酸化物粒子と炭化ケイ素粒子と分散媒を混合する工程と、前記混合する工程で得られたスラリーについて、前記スラリー中の前記金属酸化物粒子の表面電荷が正となり、前記スラリー中の前記炭化ケイ素粒子の表面電荷が負となる範囲に、前記スラリーのpHを調整する工程と、pHを調整した前記スラリーから分散媒を除去した後、成形体を成形する工程と、得られる成形体を、非酸化性雰囲気下、25MPa以上の圧力で押し固めながら1600℃以上に加熱して加圧焼結する工程と、を有し、前記混合する工程が、金属酸化物粒子と、炭化ケイ素と分散媒とを、分散媒体とともに分散攪拌ミルに投入して、混合する工程である、複合焼結体の製造方法。
[9]前記混合する工程に先立って、前記炭化ケイ素粒子の表面を酸化処理する工程を有する[8]に記載の、複合焼結体の製造方法。
[10]前記pHを調整する工程は、前記スラリーのpHを5以上7以下とする[8]または[9]に記載の、複合焼結体の製造方法。
[11]前記金属酸化物粒子は、金属酸化物の含有量が99.99%以上である[8]〜[10]のいずれか1つに記載の、複合焼結体の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、パーティクルの発生を抑制した静電チャック用の複合焼結体を提供することができる。また、このような複合焼結体を用いた静電チャック部材、静電チャック装置を提供することができる。さらに、このような複合焼結体を容易に製造可能とする複合焼結体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の静電チャック装置を示す概略断面図。
図2】実施例で体積固有抵抗値を測定する際の焼結体の様子を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1を参照しながら、本実施形態に係る静電チャック装置の好ましい例について説明する。なお、以下の説明は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。本発明を逸脱しない範囲で、数や位置や大きさや数値などの変更や省略や追加をする事ができる。また以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などの全て又は一部は適宜異ならせてある。
【0011】
[静電チャック装置]
図1は、本実施形態の静電チャック装置を示す断面図である。本実施形態の静電チャック装置1は、静電チャック部2と、温度調節用ベース部3と、を備えている。静電チャック部2は、一主面(上面)側を載置面とした平面視円板状である。温度調節用ベース部3は、前記静電チャック部2の下方に設けられて、静電チャック部2を所望の温度に調整する、厚みのある平面視円板状を有する部材である。また、静電チャック部2と温度調節用ベース部3とは、静電チャック部2と温度調節用ベース部3の間に設けられた、接着剤層8を介して接着されている。
以下、順に説明する。
【0012】
(静電チャック部)
静電チャック部2は、載置板11と、支持板12と、これら載置板11と支持板12との間に設けられた静電吸着用電極13と、および静電吸着用電極13の周囲を絶縁する絶縁材層14と、を有している。載置板11は、その上面が、半導体ウエハ等の板状試料Wを載置する載置面11aである。支持板12は、前記載置板11と一体化され、該載置板11の底部側を支持する。載置板11および支持板12は、本発明における「基体」に該当する。
【0013】
載置板11および支持板12は、重ね合わせた面の形状を同じくする円板状の部材である。載置板11および支持板12は、機械的な強度を有し、かつ腐食性ガスおよびそのプラズマに対する耐久性を有するセラミックス焼結体からなる。載置板11および支持板12の形成材料について、詳しくは後述する。
【0014】
載置板11の載置面11aには、直径が板状試料の厚みより小さい突起部11bが複数所定の間隔で形成され、これらの突起部11bが板状試料Wを支える。
【0015】
載置板11、支持板12、静電吸着用電極13および絶縁材層14を含めた全体の厚み、即ち、静電チャック部2の厚みは任意に選択できるが、一例として0.7mm以上かつ5.0mm以下である。
【0016】
例えば、静電チャック部2の厚みが0.7mmを下回ると、静電チャック部2の機械的強度を確保することが難しくなる場合がある。静電チャック部2の厚みが5.0mmを上回ると、静電チャック部2の熱容量が大きくなり、載置される板状試料Wの熱応答性が劣化し、静電チャック部の横方向の熱伝達の増加により、板状試料Wの面内温度を所望の温度パターンに維持することが難しくなる場合がある。なお、ここで説明した各部の厚さは一例であって、前記範囲に限るものではない。
【0017】
静電吸着用電極13は、電荷を発生させて静電吸着力で板状試料Wを固定するための静電チャック用電極として用いられるものである。電極の用途によって、その形状や、大きさが適宜調整される。
【0018】
静電吸着用電極13は、酸化アルミニウム−炭化タンタル(Al−Ta)導電性複合焼結体、酸化アルミニウム−タングステン(Al−W)導電性複合焼結体、酸化アルミニウム−炭化ケイ素(Al−SiC)導電性複合焼結体、窒化アルミニウム−タングステン(AlN−W)導電性複合焼結体、窒化アルミニウム−タンタル(AlN−Ta)導電性複合焼結体、酸化イットリウム−モリブデン(Y−Mo)導電性複合焼結体等の導電性セラミックス、あるいは、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)等の高融点金属により形成されることが好ましい。
【0019】
静電吸着用電極13の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、0.1μm以上かつ100μm以下の厚みを選択することができ、5μm以上かつ20μm以下の厚みがより好ましい。
【0020】
静電吸着用電極13の厚みが0.1μmを下回ると、充分な導電性を確保することが難しくなる場合がある。静電吸着用電極13の厚みが100μmを越えると、静電吸着用電極13と載置板11および支持板12との間の熱膨張率差に起因し、静電吸着用電極13と載置板11および支持板12との接合界面にクラックが入り易くなる。
【0021】
このような厚みの静電吸着用電極13は、スパッタ法や蒸着法等の成膜法、あるいはスクリーン印刷法等の塗工法により容易に形成することができる。
【0022】
絶縁材層14は、静電吸着用電極13を囲繞して腐食性ガスおよびそのプラズマから静電吸着用電極13を保護するとともに、載置板11と支持板12との境界部、すなわち静電吸着用電極13以外の外周部領域を接合一体化するものである。絶縁材層14は、載置板11および支持板12を構成する材料と同一組成または主成分が同一の絶縁材料により構成されている。
【0023】
(温度調整用ベース部)
温度調節用ベース部3は、静電チャック部2を所望の温度に調整するためのもので、厚みのある円板状のものである。この温度調節用ベース部3としては、例えば、その内部に冷媒を循環させる流路3Aが形成された液冷ベース等が好適である。
【0024】
この温度調節用ベース部3を構成する材料としては、熱伝導性、導電性、加工性に優れた金属、またはこれらの金属を含む複合材であれば特に制限はない。例えば、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、銅(Cu)、銅合金、ステンレス鋼(SUS)等が好適に用いられる。この温度調節用ベース部3の少なくともプラズマに曝される面は、アルマイト処理が施されているか、あるいはアルミナ等の絶縁膜が成膜されていることが好ましい。
【0025】
温度調節用ベース部3の上面側には、接着層6を介して絶縁板7が接着されている。接着層6はポリイミド樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂等の耐熱性、および、絶縁性を有するシート状またはフィルム状の接着性樹脂からなる。接着層は例えば厚み5〜100μm程度に形成される。絶縁板7はポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの耐熱性を有する樹脂の薄板、シートあるいはフィルムからなる。
【0026】
なお、絶縁板7は、樹脂シートに代え、絶縁性のセラミック板でもよく、またアルミナ等の絶縁性を有する溶射膜でもよい。
【0027】
(フォーカスリング)
フォーカスリング10は、温度調節用ベース部3の周縁部に載置される平面視円環状の部材である。フォーカスリング10は、例えば、載置面に載置されるウエハと同等の電気伝導性を有する材料を形成材料としている。このようなフォーカスリング10を配置することにより、ウエハの周縁部においては、プラズマに対する電気的な環境をウエハと略一致させることができ、ウエハの中央部と周縁部とでプラズマ処理の差や偏りを生じにくくすることができる。
【0028】
(その他の部材)
静電吸着用電極13には、静電吸着用電極13に直流電圧を印加するための給電用端子15が接続されている。給電用端子15は、温度調節用ベース部3、接着剤層8、支持板12を厚み方向に貫通する貫通孔16の内部に挿入されている。給電用端子15の外周側には、絶縁性を有する碍子15aが設けられ、この碍子15aにより金属製の温度調節用ベース部3に対し給電用端子15が絶縁されている。
【0029】
図では、給電用端子15を一体の部材として示しているが、複数の部材が電気的に接続して給電用端子15を構成していてもよい。給電用端子15は、熱膨張係数が互いに異なる温度調節用ベース部3および支持板12に挿入されている。このため、例えば、温度調節用ベース部3および支持板12に挿入されている部分について、それぞれ異なる材料で構成することとするとよい。
【0030】
給電用端子15のうち、静電吸着用電極13に接続され、支持板12に挿入されている部分(取出電極)の材料としては、耐熱性に優れた導電性材料であれば特に制限されるものではない。しかしながら、熱膨張係数が静電吸着用電極13および支持板12の熱膨張係数に近似したものが好ましい。例えば、Al−TaCなどの導電性セラミック材料からなることが好ましい。
【0031】
給電用端子15のうち、温度調節用ベース部3に挿入されている部分は、例えば、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、コバール合金等の金属材料からなる。
【0032】
これら2つの部材は、柔軟性と耐電性を有するシリコン系の導電性接着剤で接続するとよい。
【0033】
静電チャック部2の下面側には、ヒータエレメント5が設けられている。ヒータエレメント5は、一例として、厚みが0.2mm以下、好ましくは0.1mm程度の一定の厚みを有する非磁性金属薄板が挙げられ、形状も任意に選択できる。例えばチタン(Ti)薄板、タングステン(W)薄板、モリブデン(Mo)薄板等を、フォトリソグラフィー法やレーザー加工により、所望のヒータ形状、例えば、帯状の導電薄板を蛇行させた形状の全体輪郭を円環状に加工することで得られる。
【0034】
このようなヒータエレメント5は、静電チャック部2に非磁性金属薄板を接着した後に、静電チャック部2の表面で加工成型することで設けてもよい。あるいは、静電チャック部2とは異なる位置でヒータエレメント5を加工成形したものを、静電チャック部2の表面に転写印刷することで設けてもよい。
【0035】
ヒータエレメント5は、厚みの均一な耐熱性および絶縁性を有するシート状またはフィルム状のシリコン樹脂またはアクリル樹脂からなる接着層4により支持板12の底面に接着・固定されている。
【0036】
ヒータエレメント5には、ヒータエレメント5に給電するための給電用端子17が接続されている。給電用端子17を構成する材料は先の給電用端子15を構成する材料と同等の材料を用いることができる。給電用端子17は、それぞれ温度調節用ベース部3に形成された貫通孔3bを貫通するように設けられている。給電用端子17の外周側には、絶縁性を有する筒状の碍子18が設けられる。
【0037】
また、ヒータエレメント5の下面側には温度センサー20が設けられている。本実施形態の静電チャック装置1では、温度調節用ベース部3と絶縁板7を厚さ方向に貫通するように設置孔21が形成され、これらの設置孔21の最上部に温度センサー20が設置されている。なお、温度センサー20はできるだけヒータエレメント5に近い位置に設置することが望ましい。このため、図に示す構造から更に接着剤層8側に突き出るように設置孔21を延在して形成し、温度センサー20とヒータエレメント5とを近づけることとしてもよい。
【0038】
温度センサー20は一例として石英ガラス等からなる直方体形状の透光体の上面側に蛍光体層が形成された蛍光発光型の温度センサーである。この温度センサー20が透光性および耐熱性を有するシリコン樹脂系接着剤等によりヒータエレメント5の下面に接着されている。
【0039】
蛍光体層は、ヒータエレメント5からの入熱に応じて蛍光を発生する材料からなる。蛍光体層の形成材料としては、発熱に応じて蛍光を発生する材料であれば多種多様の蛍光材料を選択できる。蛍光体層の形成材料は、一例として、発光に適したエネルギー順位を有する希土類元素が添加された蛍光材料、AlGaAs等の半導体材料、酸化マグネシウム等の金属酸化物、ルビーやサファイア等の鉱物を挙げることができる。前記形成材料は、これらの材料の中から適宜選択して用いることができる。
【0040】
ヒータエレメント5に対応する温度センサー20はそれぞれ給電用端子などと干渉しない位置であってヒータエレメント5の下面周方向の任意の位置にそれぞれ設けられている。
【0041】
これらの温度センサー20の蛍光からヒータエレメント5の温度を測定する温度計測部22は任意に選択できるが、一例として、以下の構成が挙げられる。温度計測部22は、温度調節用ベース部3の設置孔21の外側(下側)に前記蛍光体層に対し励起光を照射する励起部23と、蛍光体層から発せられた蛍光を検出する蛍光検出器24と、励起部23および蛍光検出器24を制御するとともに前記蛍光に基づき主ヒータの温度を算出する制御部25とから構成されることができる。
【0042】
さらに、静電チャック装置1は、温度調節用ベース部3から載置板11までをそれらの厚さ方向に貫通するように設けられたガス穴28を有している。ガス穴28の内周部には筒状の碍子29が設けられている。
【0043】
このガス穴28には、ガス供給装置(冷却手段)(図示略)が接続される。ガス供給装置からは、ガス穴28を介して板状試料Wを冷却するための冷却ガス(伝熱ガス)が供給される。冷却ガスは、ガス穴を介して載置板11の上面において複数の突起部11bの間に形成される溝19に供給され、板状試料Wを冷却する。
【0044】
さらに、静電チャック装置1は、温度調節用ベース部3から載置板11までをそれらの厚さ方向に貫通するように設けられた不図示のピン挿通孔を有している。ピン挿通孔は、例えばガス穴28と同様の構成を採用することができる。ピン挿通孔には、板状試料離脱用のリフトピンが挿通される。
静電チャック装置1は、以上のような構成となっている。
【0045】
(複合焼結体)
次に、本実施形態の基体(載置板11および支持板12)について、詳述する。
本実施形態の載置板11および支持板12は、主相である金属酸化物と、副相である炭化ケイ素と、を含むセラミックスの複合焼結体を形成材料としている。
【0046】
本実施形態の複合焼結体において、炭化ケイ素の結晶粒は、前記金属酸化物の結晶粒内および前記金属酸化物の結晶粒界に分散している。
金属酸化物の結晶粒内に分散している炭化ケイ素の平均結晶粒径は、0.20μm以下であることが好ましい。 金属酸化物の結晶粒界に分散している前記炭化ケイ素の平均結晶粒径は、0.30μm以下である。
【0047】
炭化ケイ素は金属酸化物に比べてフッ素ガス等に浸食されやすい。このため、半導体製造装置内の洗浄工程であるウエハレスドライスクリーニング中に、正電チャックの基体である複合焼結体に対し、フッ素系ガスなどのラジカル・イオンなどが接触すると、炭化ケイ素が浸食され、微粒子(パーティクル)が発生する。
【0048】
本実施形態においては、炭化ケイ素の結晶粒は、金属酸化物の結晶粒界だけでなく、結晶粒内に分散している。金属酸化物はガス耐食性が炭化ケイ素よりも高い。このため、結晶粒内に炭化ケイ素が取り込まれることにより、フッ素系ガスが炭化ケイ素に接触しにくくなるため浸食を防止し、パーティクルの発生を防止できる。これにより、パーティクルの発生に起因する回線破断等の不具合の発生や、歩留まりの低下を防止できる。
【0049】
・金属酸化物の結晶粒内に分散している炭化ケイ素の平均結晶粒径
金属酸化物の結晶粒内に分散している炭化ケイ素の平均結晶粒径(D50)は、0.20μm以下が好ましく、0.18μm以下がより好ましく、0.16μm以下がさらに好ましく、0.15μm以下が特に好ましい。前記粒径の下限は任意に選択できるが、例えば、下限値の例として、0.01μmを挙げることができる。
【0050】
・金属酸化物の結晶粒界に分散している炭化ケイ素の平均結晶粒径
金属酸化物の結晶粒界に分散している炭化ケイ素の平均結晶粒径(D50)は、0.30μm以下であり、0.29μm以下が好ましく、0.285μm以下がより好ましく、0.28μm以下が特に好ましい。前記粒径の下限は任意に選択できるが、例えば、下限値の例として、0.05μmを挙げることができる。
【0051】
本実施形態において、炭化ケイ素の平均粒径を上記特定の粒径以下とするような、微細な炭化ケイ素を製造時に用いることにより、金属酸化物の結晶粒内に炭化ケイ素を分散させることができる。
炭化ケイ素粒子の平均結晶粒径が特定の粒径以下であると、焼結工程における金属酸化物の粒界移動に追従できないため、金属酸化物内に留まりやすくなる。その結果、金属酸化物の結晶粒内に炭化ケイ素を分散させることができる。
【0052】
(金属酸化物の平均結晶粒径と、炭化ケイ素の平均結晶粒径の測定方法)
複合酸化物内に含まれる、金属酸化物の平均結晶粒径と、炭化ケイ素の平均結晶粒径は下記の方法により測定できる。
【0053】
・測定方法
複合酸化物(焼結体)の表面をダイヤモンドペーストで鏡面研磨した後、サーマルエッチングを施す。
得られた焼結体の表面を、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー株式会社製、型番:S−4000)を用いて、拡大倍率10000倍で組織観察する。
【0054】
上記電子顕微鏡写真を画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(Mac−View Version4)に取り込み、200個以上の金属酸化物の結晶粒の長軸径を算出する。得られた各結晶粒の長軸径の算術平均値を、求める金属酸化物の「平均結晶粒径」とする。
【0055】
得られた電子顕微鏡写真を画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(Mac−View Version4)に取り込み、200個以上の炭化ケイ素粒子の結晶粒の長軸径を算出する。得られた各結晶粒の長軸径の算術平均値を、求める炭化ケイ素粒子の「平均結晶粒径」とする。
【0056】
複合焼結体全体における炭化ケイ素の割合は、8質量%以下であると好ましい。より好ましくは7質量%以下であり、さらに好ましくは6質量%以下である。炭化ケイ素の下限値は任意に選択できるが、例を挙げると、1質量%以上であることが挙げられる。必要に応じて、1〜3質量%であったり、3〜5質量%であったり、又は、5〜8質量%であったりしても良い。
【0057】
本実施形態の複合焼結体が有する金属酸化物としては任意に選択できるが、例えば、酸化アルミニウム、酸化イットリウムの少なくとも1つを好ましく使用可能である。
【0058】
本実施形態の複合焼結体において、金属酸化物の平均結晶粒径は任意に選択できるが、1.2μm以上10μm以下であると好ましい。
【0059】
複合焼結体において、金属酸化物の平均結晶粒径が1.2μm以上であることにより、金属酸化物の粒子自体の抵抗率が低下し過ぎることなく、十分な絶縁効果を発現させることができる。また、金属酸化物の平均結晶粒径が10μm以下であることにより、得られる焼結体の機械的強度が十分高いものとなり、欠け(チッピング)が生じ難くなる。
【0060】
複合焼結体において、金属酸化物の平均結晶粒径は、焼結温度を制御することにより調節可能である。焼結温度が高くなると、金属酸化物の平均結晶粒径が大きくなる傾向にあり、焼結温度が低くなると、金属酸化物の平均結晶粒径が小さくなる傾向にある。
【0061】
また、本実施形態の複合焼結体において、炭化ケイ素の結晶粒は、金属酸化物の結晶粒内および金属酸化物の結晶粒界に分散している。
【0062】
また、本実施形態の複合焼結体において、金属酸化物の結晶粒内に分散している炭化ケイ素の結晶粒の割合は、絶縁性の十分な向上の点からは、炭化ケイ素の結晶粒全体に対し面積比で40%以上であることが好ましい。残りの炭化ケイ素の結晶粒は、金属酸化物の結晶粒界に存在している。
【0063】
複合焼結体において、「炭化ケイ素の結晶粒全体」に対する「金属酸化物の結晶粒内に分散している炭化ケイ素の結晶粒」の割合が、面積比で40%以上であることにより、十分に絶縁性を向上させることができる。絶縁性を向上させるためには、上記割合は大きいほど好ましく、全ての炭化ケイ素の結晶粒が酸化アルミニウムの結晶粒内に分散している状態が特に好ましい。
【0064】
上記割合が40%以上であることにより、複合焼結体の誘電率が高くなる。また、上記割合が40%以上であることにより、低周波での誘電正接が小さくなる。
上記割合は、パーティクルの発生を抑制する点からは、30%以上が好ましく、35%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましい。上記割合が上記上限値以下であることにより、パーティクルの発生を抑制できる。
【0065】
なお、本発明において、複合焼結体における「金属酸化物の結晶粒内に分散している炭化ケイ素の結晶粒の割合」は、複合焼結体の任意の視野の走査型電子顕微鏡写真から算出する。
【0066】
すなわち、無作為に選ばれた視野にて拡大倍率10000倍の電子顕微鏡写真を撮影し、この電子顕微鏡写真に写された炭化ケイ素の結晶粒の総面積を「炭化ケイ素の結晶粒全体」の面積とする。一方、上記電子顕微鏡写真において「金属酸化物の結晶粒内に分散している炭化ケイ素の結晶粒」の面積を求める。このようにして求められた面積から、「炭化ケイ素の結晶粒全体」に対する「金属酸化物の結晶粒内に分散している炭化ケイ素の結晶粒」の割合を面積比で求める。
【0067】
同様の処理を2つの視野の電子顕微鏡写真において行い、平均値を「金属酸化物の結晶粒内に分散している炭化ケイ素の結晶粒の割合」を示す面積比として求める。
【0068】
載置板11および支持板12の形成材料である複合焼結体は、上述のような構成であることにより、金属微粒子の発生を抑制できる。さらには高い誘電率と高い体積固有抵抗値、すなわち、高い誘電率と低い誘電正接とを達成することができる。
【0069】
本実施形態の複合焼結体は、電子が移動しやすい結晶粒界に存在する導電体(炭化ケイ素)の平均結晶粒径が0.30μm以下と従来のものよりも小さい。さらに好ましい実施形態においては、結晶粒内に分散している炭化ケイ素の平均結晶粒径が0.20μm以下と従来のものよりも小さい。
【0070】
ここで、本実施形態の複合焼結体を構成する物質のうち、主相である金属酸化物は絶縁体であり、副相である炭化ケイ素は導電体である。そのため、複合焼結体に通電しようとすると、電子は、導電体が配置された結晶粒界及び結晶粒内を移動しやすい。
【0071】
このように金属酸化物の結晶粒界及び結晶粒内に、平均結晶粒が小さい炭化ケイ素が分散していると、結晶粒界及び結晶粒内において導電体である炭化ケイ素粒子間の距離が短くなり、電気容量が増加する。そのため、本実施形態のような複合焼結体では、誘電率が高くなる傾向がある。
【0072】
なお、SiC(炭化ケイ素)には、結晶構造が多数あることが知られており、立方晶系で3C型(閃亜鉛鉱型)の結晶構造を有するもの、4H型、6H型等の六方晶系でウルツ鉱型の結晶構造を有するもの、菱面体晶系で15R型の結晶構造を有するもの、が挙げられる。このうち、3C型の結晶構造を有するものを「β−SiC」と称する。また、それ以外の結晶構造を有するもの全てを「α−SiC」と称する。
【0073】
本実施形態の載置板11および支持板12は、複合焼結体に含まれるSiCがβ−SiCであることが好ましい。また、複合焼結体においては、β−SiCの結晶粒が、マトリックス材料である金属酸化物の結晶粒に取り囲まれる状態で分散して存在していることが好ましい。複合焼結体において、β−SiCの体積比率は、任意に選択できるが、複合焼結体全体の1体積%以上、10体積%以下であることが好ましい。3体積%以上8体積%以下がより好ましく、4体積%以上7体積%以下がさらに好ましい。ただしこれらのみに限定されない。体積比率は、4体積%以上15体積%以下や、6体積%以上10体積%以下などであっても良い。
【0074】
β−SiCの体積比率が1体積%より少ないと、SiC粒子による電子導電性の発現効果が少ないことがある。また、β−SiCの体積比率が15体積%より多いと、SiC粒子同士の接触を生じSiC粒子を介した抵抗値低下を生じるおそれがあるためである。
【0075】
また、本実施形態の複合焼結体においては、アルミニウム及びケイ素以外の成分に由来する金属不純物含有量が100ppm以下であることが好ましい。金属不純物含有量は、50ppm以下であることが好ましく、25ppm以下であることがより好ましい。
【0076】
[複合焼結体の製造方法]
本実施形態に係る複合焼結体の製造方法は、
(a)金属酸化物粒子と、炭化ケイ素とを、分散媒体とともに分散攪拌ミルに投入して、金属酸化物粒子と炭化ケイ素とを衝突させ、粉砕処理又は分散処理することにより混合する工程と、
(b)混合する工程で得られたスラリーについて、スラリー中の金属酸化物粒子の表面電荷が正となり、スラリー中の前記炭化ケイ素粒子の表面電荷が負となる範囲に、スラリーのpHを調整する工程と、
(c)pHを調整し前記スラリーから分散媒を除去した後、成形する工程と、
(d)得られる成形体を、非酸化性雰囲気下、25MPa以上の圧力で押し固めながら1600℃以上に加熱して加圧焼結する工程と、を有する。
【0077】
本実施形態においては、金属酸化物として酸化アルミニウムを用いるものとして、以下に好ましい例を説明する。
【0078】
本実施形態に係る複合焼結体の製造方法では、用いる酸化アルミニウム粒子は、酸化アルミニウムの含有量が99.99%以上であることが好ましい。このような高純度の酸化アルミニウム粒子は、ミョウバン法を用いることにより調整可能である。ミョウバン法を用いて調整した酸化アルミニウム粒子は、例えばバイヤー法を用いて調整した酸化アルミニウム粒子と比べると、金属不純物であるナトリウム原子の含有量を大幅に低減することが可能である。また、所望の純度の酸化アルミニウム粒子が得られるのであれば、種々の方法を採用可能である。
【0079】
((a)混合する工程)
混合する工程においては、金属酸化物粒子と、炭化ケイ素の粒子とを、分散媒体とともに分散攪拌ミルに投入して、金属酸化物粒子と炭化ケイ素とを衝突させ、粉砕処理又は分散処理することにより混合する。これにより、酸化アルミニウム粒子と炭化ケイ素粒子とが粉砕され、これらの粉砕粒子を含む分散液(スラリー)が得られる。
本工程においては、スラリー中における粒子が凝集した二次粒子の径は、任意に選択できるが、0.03μm以上0.50μm以下の範囲とすることが好ましく、0.05μm以上0.15μm以下の範囲とすることがより好ましい。
粉砕前のスラリーには、蒸留水などの水等を、分散媒として加えることができる。必要に応じて分散剤等を加えても良い。分散媒や分散剤の種類や量は必要に応じて選択できる。
【0080】
混合する工程は、機械的な分散によって、分散媒体とともに分散攪拌ミルで混合することが好ましく、分散媒体としてビーズを用いた、ビーズ分散(又はビーズミル分散)がより好ましい。分散媒体の量や種類は任意に選択できる。
分散に用いるビーズとしては、アルミナビーズ、炭化ケイ素ビーズ、ウレタンなどの樹脂ビーズ等が使用可能である。
【0081】
分散に用いるビーズの直径は小径化するほど金属酸化物の結晶粒内及び結晶粒界に分散している炭化ケイ素の平均結晶粒径を小さくできる。本実施形態においては、例えば0.3mm以下が好ましく、0.10mm以下がより好ましく、0.05mm以下がさらに好ましい。
【0082】
本実施形態において分散攪拌ミルとしては、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドミル等が挙げられる。本実施形態においては、サンドミルが好ましい。
【0083】
混合する工程において、攪拌混合条件はビーズの種類、ビーズの径、分散攪拌ミルの種類等によっても異なる。例えばサンドミルの場合には、混合条件は500rpm以上6000rpm以下が好ましく、1000rpm以上4000rpm以下がより好ましい。また、混合時間は3分間以上12時間以内で適宜調整できる。
【0084】
撹拌機の回転数を多くする又は混合時間を長くすることにより、炭化ケイ素の平均結晶粒径をより微細な範囲に制御できる。
【0085】
分散媒体の添加量を多くすると、炭化ケイ素の平均結晶粒径をより微細な範囲に制御できる。また、混合する工程に要する時間を短縮できる。
【0086】
本実施形態に係る複合焼結体の製造方法では、用いる炭化ケイ素粒子について、酸化性雰囲気下で加熱処理を施し、予め炭化ケイ素粒子の表面を酸化処理する工程を有するとよい。以下、上記酸化処理のことを「プレ酸化」と称する。プレ酸化は、例えば500℃で12時間加熱することにより行う。
【0087】
炭化ケイ素粒子をプレ酸化処理することにより、炭化ケイ素粒子の親水性が高まる。これにより、スラリー中での炭化ケイ素粒子の分散性が向上する。
【0088】
((b)pHを調整する工程)
pHを調整する工程においては、スラリー中の酸化アルミニウム粒子と炭化ケイ素粒子との表面電荷を考慮してpH調整を行う。上記混合する工程で得られるスラリー(pH調整前のスラリー)は、通常、pH11程度の塩基性を示す。
【0089】
系のpHは、3以上7以下が好ましく、5以上7以下がより好ましく、6以上7以下がさらに好ましい。pH調整後の両粒子のζ電位同士を比べた場合、ζ電位の絶対値が近いほどヘテロ凝集しやすく、所望の凝集状態となる。
【0090】
pHの調整は、スラリーに酸を加えることにより行う。使用可能な酸としては、硝酸、リン酸、塩酸、硫酸等の無機酸、酢酸等の有機酸を挙げることができる。このうち、塩酸、硫酸等は、後述の焼結する工程において装置内で塩素や硫黄を生じ、装置劣化の原因となり得る。そのため、pHの調整には、硝酸、リン酸、有機酸等を用いることが好ましい。
なお分散媒体は、(a)や(b)の工程の後等の好適なタイミングで、スラリーから分離することができる。
【0091】
((c)成形する工程)
成形する工程においては、分散媒の除去と成形をする。まず、例えば、pH調整後の分散液をスプレードライすることにより、酸化アルミニウム粒子と炭化ケイ素粒子との混合粒子からなる顆粒を得る。
【0092】
次いで、目的とする焼結体の形状に応じて、得られた顆粒を一軸成形(一軸プレス成形)する。
【0093】
次いで、得られた成形体を不活性ガス雰囲気下、常圧で(プレスすることなく)例えば500℃に加熱し、成形体に含まれる水分や分散媒等の夾雑物を除去する。不活性ガスとしては、任意で選択されるガス、好ましくは、窒素またはアルゴンを用いることができる。この操作においては、成形体を変性することなく成形体から夾雑物を除去できるならば、加熱温度は任意に選択でき、500℃に限られない。
【0094】
さらに、夾雑物を除去した成形体を、大気中、例えば400℃で加熱して成形体を構成する混合粒子を、酸化処理する酸化工程を有することが好ましい。このような操作によれば、酸化処理において混合粒子に含まれる炭化ケイ素粒子の表面には酸化膜が形成される。酸化膜には、混合粒子に含まれる金属不純物が溶け出しやすいため、混合粒子に含まれる金属不純物が粒子表面に偏って存在することになる。すると、後述する加圧焼結する工程において、金属不純物を除去しやすいため好ましい。
【0095】
((d)加圧焼結する工程)
加圧焼成する工程においては、まず、上述の成形体を、真空雰囲気(第1の非酸化性雰囲気)において、1600℃よりも低い温度且つ常圧で(プレスすることなく)、加熱(予備加熱)する。このような操作によれば、予備加熱時の温度を適宜設定することにより、混合粒子に含まれるアルカリ金属等の金属不純物が蒸発し、金属不純物を容易に除去できる。そのため、このような操作によれば、混合粒子の純度を向上しやすくなり、基体の体積抵抗値を制御しやすくなる。
【0096】
また、成形する工程において、上述したように夾雑物を除去した成形体に対し酸化処理を施しておくと、真空雰囲気下で予備加熱することにより、粒子表面に形成された酸化膜が揮発する。同時に、酸化膜に含まれる金属不純物が蒸発する。そのため、成形体から金属不純物を容易に除去できる。したがって、このような操作によれば、混合粒子の純度を向上しやすくなり、基体の体積抵抗値を制御しやすくなる。
【0097】
なお、本実施形態において「真空」とは、「大気圧より低い圧力の基体で満たされた空間内の状態」のことであり、JIS規格において工業的に利用できる圧力として定義された状態のことを指す。本実施形態においては、真空雰囲気は、低真空(100Pa以上)であってもよいが、中真空(0.1Pa〜100Pa)であると好ましく、高真空(10−5Pa〜0.1Pa)であるとより好ましい。
【0098】
本実施形態の複合焼結体の製造方法においては、例えば、真空雰囲気下、1200℃で4時間以上予備加熱した後、大気圧まで、アルゴンで気圧を戻す。
【0099】
次いで、予備加熱を施した成形体を、アルゴン雰囲気(第2の非酸化性雰囲気)において、5MPa以上の圧力で押し固めながら1600℃以上に加熱して加圧焼結する。このような操作によれば、成形体に含まれる酸化アルミニウム粒子や炭化ケイ素粒子の焼結が進行し、気孔の少ない緻密な焼結体が得られる。
【0100】
本実施形態の複合焼結体の製造方法においては、加圧焼結は、上記範囲であれば圧力と温度は任意に選択できる。例えば、アルゴン雰囲気下、1600℃以上1850℃以下で、焼結圧力25MPa以上50MPa以下の範囲で焼結する。
【0101】
このような方法で製造して得られた焼結体は、金属不純物含有量が低減し高純度なものとなる。金属不純物含有量が目標値に達しない場合には、予備加熱の時間を長くする、または予備加熱の温度を高くするとよい。
【0102】
以上のようにして、本実施形態の複合焼結体を製造することができる。
【0103】
得られた複合焼結体は、続く工程において研削することにより、所望の基体とすることができる。基体の載置面に形成された突起については、公知の方法により適宜形成可能である。
【0104】
以上のような複合焼結体によれば、パーティクルの発生を抑制できる。さらに、高い誘電率と低い誘電正接とを達成することができる。
【0105】
また、このような複合焼結体を用いた静電チャック部、静電チャック装置によれば、低周波領域において好適に用いることができるものとなる。
【0106】
また、以上のような複合焼結体の製造方法によれば、上述の複合焼結体を容易に製造可能となる。
【0107】
また、以上のような静電チャック部、静電チャック装置によれば、高いウエハ吸着力と高い耐電圧とを備えた高性能なものとなる。
【実施例】
【0108】
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0109】
(体積固有抵抗値)
本実施例においては、直流三端子法により円盤状の焼結体の体積固有抵抗値を測定した。
【0110】
(使用機器)
スクリーン印刷機:MODEL MEC−2400型、ミタニマイクロニクス株式会社製
抵抗率測定装置:西山製作所製
絶縁計:デジタル絶縁計(型式DSM−8103、日置電機株式会社)
【0111】
(測定条件)
温度:室温(24℃)、50℃、100℃、150℃、200℃、250℃、300℃
雰囲気:窒素(純度99.99995%、流量200ml/分)
印加電圧:0.5kV、1kV
【0112】
(測定方法)
スクリーン印刷機を用いて、銀ペースト(NP−4635、株式会社ノリタケカンパニーリミテッド製)を、焼結体の上面及び下面に印刷し、大気中100℃で12時間乾燥させた。この後、大気中450℃で1時間焼き付け、主電極、ガード電極、対極を形成した。図2は、本実施例で体積固有抵抗値を測定する際の焼結体の様子を示す模式図である。図において、符号100は焼結体、符号110は主電極、符号120はガード電極、符号130は対極を示す。
【0113】
このとき、主電極直径は1.47cmであり、ガード電極の内径は1.60cmであった。
【0114】
上述のように電極を形成した焼結体に対し、各測定温度において直流電圧を印加し、1分間充電後の電流を測定して、焼結体の体積抵抗を求めた。その後、焼結体の厚み、および電極面積を用いて下記式(1)より体積固有抵抗値(ρv)を算出した。
ρv=S/t×Rv=S/t×V/I …(1)
(S:電極の有効面積(cm)、t:焼結体の厚み(cm)、Rv:体積抵抗、V:直流電圧(V)、I:電流(A))
【0115】
(比誘電率・誘電正接)
本実施例においては、プレシジョン・インピーダンス・アナライザー(Agilent
Technologies社製、型番:4294A)、および誘電体テスト・フィクスチャ(Agilent Technologies社製、型番:16451B)を用い、平行平板法にて比誘電率・誘電正接を測定した。
【0116】
(耐電圧)
本実施例においては、高圧電源(松定プレシジョン社製、型番HGR10−20P)を用い、焼結体を、直径20mmの円柱状電極で挟んだ。この後、室温のシリコーン油中にて昇温速度1kV/秒で電圧を印加したとき、焼結体である試験片に1μAの電流が流れる電圧(耐電圧)を測定した。
【0117】
(金属酸化物の平均結晶粒径と、炭化ケイ素の平均結晶粒径)
本実施例においては、複合酸化物(焼結体)の表面を3μmのダイヤモンドペーストで鏡面研磨した。この後、アルゴン雰囲気下、1400℃で30分サーマルエッチングを施した。
得られた焼結体の表面を、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー株式会社製、型番:S−4000)を用いて、拡大倍率10000倍で組織観察を行った。
【0118】
得られた電子顕微鏡写真を画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(Mac−View Version4)に取り込み、200個以上の炭化ケイ素粒子の面積を算出させた。電子顕微鏡写真から各炭化ケイ素粒子について金属酸化物の結晶粒内に存在しているか否かを判断し、面積を求めた炭化ケイ素粒子全体に対する、金属酸化物の結晶粒内に分散している炭化ケイ素の結晶粒の割合を求めた。
【0119】
上記電子顕微鏡写真を画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(Mac−View Version4)に取り込み、金属酸化物の結晶粒内と結晶粒界とで、それぞれ200個以上の金属酸化物の結晶粒の長軸径を算出させた。得られた各結晶粒の長軸径の算術平均値(SiC粒子の体積粒度分布における累積体積百分率が50体積%の粒子径D50)を、求める「平均結晶粒径」とした。
また、複合焼結体におけるSiC粒子の体積粒度分布における累積体積百分率が10体積%の粒子径D10と、SiC粒子の体積粒度分布における累積体積百分率が90体積%の粒子径D90をそれぞれ求めた。
【0120】
(金属不純物(パーティクル)発生比の測定)
本実施例においては、ICP−MS法にて測定した値を金属不純物量として採用した。
測定においては、原料および焼結体ともに、適切な濃度の酸に溶解させた後、ICP−MSを用い不純物の定量を行った。
比較例2の金属不純物量を1とした場合の、実施例1及び比較例1の金属不純物発生比(パーティクル発生比)を算出した。
【0121】
(実施例1)
出発原料として、平均粒子径が0.03μmであり熱プラズマCVDで合成されたβ−SiC型の炭化ケイ素(β−SiC)粒子と、平均粒子径が0.1μmであり金属不純物含有量が95ppmの酸化アルミニウム(Al)粒子とを用いた。
【0122】
β−SiC粒子については、大気雰囲気下、500℃で12時間加熱処理し、粒子表面を酸化させた。以下、上記酸化処理のことを「プレ酸化」と称する。以下の工程においては、プレ酸化処理を施したβ−SiCを用いた。
【0123】
β−SiC粒子とAl粒子との全体量に対し、β−SiC粒子が5質量%となるように秤量し、分散剤が入った蒸留水に投入した。β−SiC粒子とAl粒子とを投入した分散液について、超音波分散装置にて分散処理の後、サンドミルを用いて粉砕混合した。その結果スラリーを得た。
サンドミルを用いた粉砕混合工程には、下記のビーズを使用した。
材質:アルミナビーズ
粒径:φ0.1mm
回転:2500rpm
時間:2h
本操作は、本発明における「混合する工程」に該当する。
【0124】
得られた混合溶液(スラリー)について、スラリーに硝酸を添加し、スラリーのpHを6.5に調整した。
本操作は、本発明における「pHを調整する工程」に該当する。
【0125】
pHを調整したスラリーをスプレードライ装置にて噴霧乾燥させ、β−SiCとAlとの混合粒子とした。
本操作は、本発明における「成形する工程」の一部に該当する。
【0126】
次いで、混合粒子を窒素雰囲気下、370℃まで昇温させ、水分および分散剤(夾雑物)を除去した。
【0127】
混合粒子をプレス圧8MPaで一軸プレス成形し、直径320mm×15mm厚の成形体とした。
本操作は、本発明における「成形する工程」の一部に該当する。
【0128】
得られた成形体を黒鉛製のモールドにセットし、加圧焼結を行った。まず、成形体を、真空雰囲気下、プレス圧を加えることなく1200℃まで昇温させた。その後、アルゴン雰囲気下、プレス圧40MPa、1800℃で焼結を行い、実施例1の複合焼結体を得た。
本操作は、本発明における「加圧焼結する工程」に該当する。
【0129】
また、実施例1の複合焼結体について、上述の条件にて電子顕微鏡写真を撮影した。
得られた電子顕微鏡写真からAlの平均結晶粒径を求めたところ、1.31μmであった。また、SiCの平均結晶粒径を求めたところ、0.15μmであった。
【0130】
Alの結晶粒内に分散しているSiCの結晶粒の割合は、48%であった。
【0131】
(比較例1)
混合する工程を、超音波分散装置にて分散処理の後、2流粒子衝突型の粉砕混合装置(アルティマイザー)を用いて粉砕混合した以外は実施例1と同様の方法により、比較例1の複合焼結体を得た。
【0132】
比較例1の複合焼結体について、上述の条件にて電子顕微鏡写真を撮影した。得られた電子顕微鏡写真からAlの平均結晶粒径を求めたところ、1.44μmであった。
また、SiCの平均結晶粒径を求めたところ、0.18μmであった。
【0133】
Alの結晶粒内に分散しているSiCの結晶粒の割合は、35%であった。
【0134】
(比較例2)
β−SiC粒子とAl粒子との全体量に対し、β−SiC粒子が8.5質量%となるように原料を秤量し、超音波分散装置にて分散処理の後、2流粒子衝突型の粉砕混合装置を用いて粉砕混合した。
【0135】
得られた混合溶液について、スラリーに硝酸を添加し、スラリーのpHを6.5に調整した。
【0136】
pHを調整したスラリーをスプレードライ装置にて噴霧乾燥させ、β−SiCとAlとの混合粒子とした。
【0137】
混合粒子をプレス圧8MPaで一軸プレス成形し、直径320mm×15mm厚の成形体とした。
【0138】
次いで、成形体を窒素雰囲気下、プレス圧を加えることなく370℃まで昇温させ、水分および分散剤(夾雑物)を除去した。その後、夾雑物を除去した成形体を大気中370℃に加熱し、成形体に含まれるβ−SiC粒子の表面を酸化した。
【0139】
得られた成形体について実施例1と同様に焼結を行い、比較例2の複合焼結体を得た。
【0140】
比較例2の複合焼結体について、上述の条件にて電子顕微鏡写真を撮影した。得られた電子顕微鏡写真からAlの平均結晶粒径を求めたところ、0.94μmであった。
また、SiCの平均結晶粒径を求めたところ、0.34μmであった。
【0141】
Alの結晶粒内に分散しているSiCの結晶粒の割合は、14%であった。
【0142】
(比較例3)
β−SiC粒子とAl粒子との全体量に対し、β−SiC粒子が8.5質量%となるように原料を秤量し、分散剤が入った蒸留水に投入した。β−SiC粒子とAl粒子とを投入した分散液について、超音波分散装置にて分散処理の後、サンドミルを用いて粉砕混合した。
サンドミルを用いた粉砕混合工程には、下記のビーズを使用した。
材質:アルミナビーズ
粒径:φ0.1mm
回転:2500rpm
時間:2h
【0143】
得られた混合溶液について、スラリーに硝酸を添加し、スラリーのpHを11に調整した。
【0144】
pHを調整したスラリーをスプレードライ装置にて噴霧乾燥させ、β−SiCとAlとの混合粒子とした。
【0145】
混合粒子をプレス圧8MPaで一軸プレス成形し、直径320mm×15mm厚の成形体とした。
【0146】
次いで、成形体を窒素雰囲気下、プレス圧を加えることなく370℃まで昇温させ、水分および分散剤(夾雑物)を除去した。その後、夾雑物を除去した成形体を大気中370℃に加熱し、成形体に含まれるβ−SiC粒子の表面を酸化した。
【0147】
得られた成形体について実施例1と同様に焼結を行い、比較例3の複合焼結体を得た。
【0148】
比較例3の焼結体について、体積抵抗率、誘電率、誘電正接、耐電圧を測定した。その結果を表2に記載する。比較例3は分散性が悪く、焼結体はこれらの結果が実施例1よりも不良であったため、焼結体組織の観察は実施しなかった。
【0149】
【表1】
【0150】
【表2】
【0151】
【表3】
【0152】
上記結果に示した通り、本発明を適用した実施例1は、比較例1と比べてパーティクル発生比が低かった。
【産業上の利用可能性】
【0153】
パーティクルの発生を抑制した静電チャック用の複合焼結体を提供できる。
【符号の説明】
【0154】
1…静電チャック装置
2 静電チャック部
3 温度調節用ベース部
3A 流路
3b 貫通孔
4 接着層
5ヒータエレメント
6 接着層
7 絶縁板
8 接着剤層
10 フォーカスリング
11…載置板(基体)
11a…載置面
11b 突起部
12…支持板(基体)
13…静電吸着用電極
14 絶縁材層
15 給電用端子
15a 碍子
16 貫通孔
17 給電用端子
18 筒状の碍子
19 溝
20 温度センサー
21 設置孔
22 温度計測部
23 励起部
24 蛍光検出器
28 ガス穴
29 筒状の碍子
100 焼結体
110 主電極
120 ガード電極
130 対極 W…板状試料
図1
図2