【実施例1】
【0016】
図1は、本実施例のメモリ装置100の構成を示す回路図である。
【0017】
メモリ装置100は、メモリセルM0及びM1、プリチャージトランジスタ11及び12、センスアンプ17、容量素子21、可変容量装置Cv1及びCv2を含む。
【0018】
メモリセルM0は、セル容量Ca及びセルトランジスタT1から構成されている。セル容量Caは、例えば強誘電体キャパシタであり、セルトランジスタT1は、例えばNMOSトランジスタである。セル容量Caの一端は、プレート線P0に接続され、プレート線P0上の信号PL0が供給される。セル容量Caの他端は、セルトランジスタT1のドレインに接続されている。セルトランジスタT1のソースは、互いに隣接する一対のビット線BL1及びBL2のうちの一方のビット線BL1に接続されている。
【0019】
メモリセルM1は、セル容量Cb及びセルトランジスタT2から構成されている。セル容量Cbは、例えば強誘電体キャパシタであり、セルトランジスタT2は、例えばNMOSトランジスタである。セル容量Cbの一端は、プレート線P1に接続され、プレート線P1上の信号PL1が供給される。セル容量Cbの他端は、セルトランジスタT2のドレインに接続されている。セルトランジスタT2のソースは、他方のビット線BL2に接続されている。
【0020】
セルトランジスタT1及びT2の各々のゲートは、共通のワード線W0に接続され、信号WL0の供給を受ける。以下の説明では、ワード線W0、プレート線P0及びP1を、まとめて選択線群と称する。選択線群は、ビット線BL1及びBL2と交叉している。メモリセルM0及びM1は、その交叉位置に配置されている。
【0021】
プリチャージトランジスタ11は、例えばNMOSトランジスタである。プリチャージトランジスタ11のドレインはビット線BL1に接続されており、ソースは例えば接地電位に接続されている。プリチャージトランジスタ11のゲートには、プリチャージ信号EQ0が供給される。プリチャージトランジスタ11は、プリチャージ信号EQ0に応じてビット線BL1と接地電位等との間を選択的に接続状態又は開放状態とするスイッチとして動作する。
【0022】
プリチャージトランジスタ12は、例えばNMOSトランジスタである。プリチャージトランジスタ12のドレインはビット線BL2に接続されており、ソースは例えば接地電位に接続されている。プリチャージトランジスタ12のゲートには、プリチャージ信号EQ1が供給される。プリチャージトランジスタ12は、プリチャージ信号EQ1に応じてビット線BL2と接地電位等との間を選択的に接続状態又は開放状態とするスイッチとして動作する。
【0023】
ビット線BL1は、スイッチ(以下、SWと称する)13を介して電位保持線BL3に接続されている。また、ビット線BL1は、SW14を介して電位保持線BL4に接続されている。ビット線BL2は、SW16を介して電位保持線BL4に接続されている。また、ビット線BL2は、SW15を介して電位保持線BL3に接続されている。SW13〜16の各々は、スイッチ開閉信号(図示せず)に応じてオンオフし、ビット線BL1及びBL2のうちの一方と、電位保持線BL3及びBL4のうちの一方とを選択的に接続する接続スイッチである。
【0024】
センスアンプ17は、一端が電位保持線BL3に接続され、他端が電位保持線BL4に接続されている。センスアンプ17は、電位保持線BL3の電位と電位保持線BL4の電位との電位差を増幅する。電位保持線BL3の電位は、寄生容量Ccによって維持される。電位保持線BL4の電位は、寄生容量Cdによって維持される。
【0025】
容量素子21は、例えばNMOSトランジスタであり、MOS容量素子として機能する。以下の説明では、容量素子21をトランジスタ21とも称する。トランジスタ21は、ソース及びドレインが互いに接続されるとともに電位保持線BL3に接続されている。トランジスタ21のバックゲートは、接地電位等の所定電位に接続されている。トランジスタ21のゲートは、ノードn2に接続されている。
【0026】
ノードn2は、スイッチトランジスタとしてのトランジスタ22を介してプリチャージ電位VCAPに接続されている。トランジスタ22は、例えばPMOSトランジスタであり、ドレインがノードn2に接続され、ソースがプリチャージ電位VCAPに接続されている。トランジスタ22のゲートには、開閉信号sig1が供給される。
【0027】
信号供給部23は、オフセット指令信号sig2を出力し、インバータ24に供給する。
【0028】
インバータ24は、入力端が信号供給部23に接続され、出力端がノードn1に接続されている。ノードn1の電位は、オフセット指令信号sig2の信号レベルを反転した信号の信号レベルに応じて変動する。
【0029】
可変容量装置Cv1は、ノードn1とノードn2との間に接続されている。可変容量装置Cv1は、容量値切替信号(図示せず)により容量値が調整可能である。
【0030】
図2(a)は、可変容量装置Cv1の構成を示す図である。可変容量装置Cv1は、ドレイン及びソースが互いに接続されるとともにノードn1に接続された複数のMOSトランジスタ(図中、トランジスタ31−1〜31−nとして示す)と、各MOSトランジスタのゲート電極及びノードn2の間に接続された複数のスイッチ素子(図中、SW32−1〜32−nとして示す)と、から構成されている。これらは、直列に接続された一対のMOSトランジスタ及びスイッチ素子を単位として、ノードn1及びn2の間に並列接続されている。
【0031】
トランジスタ31−1〜31−nの各々は、例えばNMOSトランジスタであり、MOS容量素子として機能する。また、SW32−1〜32−nは、例えばCMOSスイッチ、PMOSスイッチ、メタルヒューズ、ポリヒューズ等のうちの少なくとも1つから構成されている。
【0032】
メモリ装置100の電源投入時に、SW32−1〜32−nの各々のオンオフを切り替えるための容量値切替信号の信号レベル(“H”か、“L”か)を示す情報が図示せぬ記憶手段(例えばメモリセル、ヒューズ等)から読み出され、SW32−1〜32−nに供給される。これにより、データ読み出し動作の開始前に、可変容量装置Cv1の容量値の切り替えが行われる。
【0033】
トランジスタ22、信号供給部23、インバータ24、及び可変容量装置Cv1は、容量素子21を介して電位保持線BL3にオフセット(電圧)を発生させるためのオフセット指令信号供給部25を構成している。
【0034】
可変容量装置Cv2は、電位保持線BL4に接続されている。可変容量装置Cv2は、可変容量装置Cv1と同様、容量値切替信号(図示せず)に応じて容量値が調整可能であり、当該容量値に応じて電位保持線BL4の総容量(ビット線総容量)値を変化させる可変容量装置である。
【0035】
図2(b)は、可変容量装置Cv2の構成を示す図である。可変容量装置Cv2は、ドレイン及びソースが互いに接続され且つゲートにプリチャージ電位VCAPが供給される複数のMOSトランジスタ(図中、トランジスタ33−1〜33−mとして示す)と、各MOSトランジスタのソース及びドレインと電位保持線BL4との間に接続された複数のスイッチ素子(図中、SW34−1〜34−mとして示す)と、から構成されている。これらは、直列に接続された一対のMOSトランジスタ及びスイッチ素子を単位として、並列に接続されている。
【0036】
トランジスタ33−1〜33−mの各々は、例えばNMOSトランジスタであり、MOS容量素子として機能する。また、SW34−1〜34−mは、例えばCMOSスイッチ、PMOSスイッチ、メタルヒューズ、ポリヒューズ等のうち少なくとも1つから構成されている。
【0037】
メモリ装置100の電源投入時に、SW34−1〜34−mの各々のオンオフを切り替えるための容量値切替信号の信号レベル(“H”か、“L”か)を示す情報が図示せぬ記憶手段(例えばメモリセル、ヒューズ等)から読み出され、SW34−1〜34−mに供給される。これにより、データ読み出し動作の開始前に、可変容量装置Cv2の容量値の切り替えが行われる。
【0038】
可変容量装置Cv1及びCv2は、変更可能な容量値の上限値(最大容量値)が互いに異なる。例えば、可変容量装置Cv2は容量素子21の容量値と同程度の最大容量値を有し、可変容量装置Cv1は容量素子21の容量値よりも十分に大きい最大容量値を有する。
【0039】
次に、本実施例のメモリ装置100のデータ読み出し動作について、
図3のタイムチャートを参照しつつ説明する。以下の説明では、可変容量装置Cv2の容量値が、容量素子21の容量値よりも小さくなるように調節されている場合を例として説明する。また、
図3において、B0は最初の読み出しで読み出したデータ値が“0”の場合の電位BLSAを示し、B1は最初の読み出しで読み出したデータ値が“1”の場合の電位BLSAを示している。また、ここではメモリセルM0を選択して読み出しを行う場合を例として説明する。
【0040】
メモリ装置100は、SW13がオンで且つSW14がオフである状態を初期状態として、データ読み出し動作を開始する。
【0041】
まず、メモリ選択信号WL0の信号レベルを“H”とすることにより、メモリセルM0が選択される。
【0042】
次に、時刻T0において、信号PL0のレベルを“H”とし、メモリセルM0に記憶されているデータを読み出す。以下、当該読み出しを「最初の読み出し」と称する。
【0043】
電位保持線BL3の電位BLSAは、メモリセルM0から読み出されたデータ値に応じて定まる。電位BLSAは、時刻T0から時刻T1まで、寄生容量Ccが充電されるに従って上昇する。
【0044】
次に、時刻T1において、SW13に供給するスイッチ開閉信号(SW1開閉信号と称する)の信号レベルを“L”とし、SW13をオフにする。SW13がオフになった後も、電位BLSAは寄生容量Ccによって維持される。
【0045】
次に、時刻T2において、プリチャージ信号EQ0の信号レベルを“H”とし、プリチャージトランジスタ11をオンにする。これにより、ビット線BL1の電位が接地電位VSSとなり、メモリセルM0に論理値“0”が書き込まれる。論理値“0”の書き込みの後、信号PL0の信号レベルを一旦“L”に引き下げる。
【0046】
また、時刻T2において、開閉信号sig1の信号レベルを接地電位VSSからプリチャージ電位VCAPに変化させ、トランジスタ22をオフにする。結果、ノードn2の電位は、プリチャージ電位VCAPに固定された状態から電位が変化し得る状態へと移行する。
【0047】
次に、時刻T3において、オフセット指令信号sig2の信号レベルを接地電位VSSから電位VDDに変化させる。これにより、インバータ24の出力に接続されているノードn1の電位は、電位VDDから接地電位VSSに変化する。
【0048】
ノードn2の電位ADは、プリチャージ電位VCAPから“α”だけ低下してVCAP−αとなる。可変容量装置Cv1の容量値をC1、容量素子21の容量値をC2、寄生容量Ccの容量値をC3とすると、“α”は、以下の式から求められる。
【0049】
α=C1×(C1+C2)×VDD/(C1×C2+C2×C3+C3×C1)
また、電位BLSAは、“β”だけ低下(降下)する。“β”は以下の式から求められる。
【0050】
β=C1×C2×VDD/(C1×C2+C2×C3+C3×C1)
最初の読み出しで読み出されたデータ値が“1”のときの電位BLSA(図中、電位B1として示す)は、データ値が“0”のときの電位BLSA(
図3に電位B0として示す)よりも高い。
【0051】
次に、時刻T4において、SW14に供給するスイッチ開閉信号(SW2開閉信号と称する)の信号レベルを“H”とし、SW14をオンにする。また、時刻T2における論理値“0”の書き込みから時刻T4までの間のいずれかの時点(例えば、
図3では時刻T3の後)で信号PL0の信号レベルを一旦“L”に引き下げ、時刻T4において再び信号PL0の信号レベルを“H”とする。これにより、電位保持線BL4にデータ値“0”が読み出される。以下、当該読み出しを「後半の読み出し」と称する。
【0052】
電位保持線BL4の電位REF(
図3に破線で示す)は、メモリセルM0から読み出されたデータ値によって定まる。電位REFは、電位B0と電位B1との間に位置し、寄生容量Cdによって維持される。
【0053】
次に、時刻T5において、SW2開閉信号の信号レベルを“L”として、SW14をオフにする。SW14がオフになった後も、電位REFは寄生容量Cdによって維持される。
【0054】
次に、時刻T6において、センスアンプ17が、電位BLSAと電位REFとの電位差を増幅する。その結果、最初の読み出しデータ値が“0”の場合には電位B0が低下し、最初の読み出しデータ値が“1”の場合には電位B1が上昇する。
【0055】
最初の読み出しにおいてデータ値“0”が読み出された場合、当該最初の読み出し時に電位保持線BL3に導入されるメモリセルM0からの読み出し電荷と、後半の読み出し時に電位保持線BL4に導入されるメモリセルM0からの読み出し電荷とは同等である。従って、仮に電位保持線BL3と電位保持線BL4の総容量値が等しいとすると、時刻T2〜T3における電位保持線BL3の電位BLSA(すなわち、電位B0)と時刻T6における電位保持線BL4の電位REFとは、ほぼ等電位となる。
【0056】
しかし、本実施例のメモリ装置100では、可変容量装置Cv2の容量値が調整可能に構成されている。従って、電位保持線BL4の負荷容量値を電位保持線BL3の負荷容量値よりも減らすように可変容量装置Cv2の容量値を調整しておくことにより、オフセットを生成することが出来る。
【0057】
具体的には、可変容量装置Cv2の容量値が容量素子21の容量値よりも小さくなるように調節されている場合、最初の読み出し時に時刻T2〜T3において電位保持線BL3に生じる電位BLSA(B0)よりも、後半の読み出し時に時刻T6において電位保持線BL4に生じる電位REFの方が高くなる。
【0058】
このように、本実施例のメモリ装置100では、オフセット指令信号供給部25の動作により時刻T3において電位保持線BL3の電位BLSAを低下させることに加えて、後半の読み出し時における電位保持線BL4の電位を比較的高くすることが可能である。従って、オフセット調整幅の上限を広げることができる。
【0059】
本実施例のメモリ装置100とは異なり、特許文献2の容量素子40のように、電位保持線BL3の総容量値と電位保持線BL4の総容量値とを揃えるための通常の容量素子が可変容量装置Cv2の代わりに接続されている場合、オフセット調整幅の上限拡大を企図して、例えば電位保持線BL3に直結されている容量素子21の容量値を増やすと、相対的にメモリセルM0又はM1からの読み出し電荷の影響が弱まるため、センスアンプ17の読み出しマージンが減ってしまう。
【0060】
これに対し、本実施例のメモリ装置100では、可変容量装置Cv2の容量値を調整することにより、参照電位側(電位REF側)のビット線である電位保持線BL4の負荷容量を減らすことができるため、読み出しマージンの低下を防止することが出来る。
【0061】
また、特許文献2の
図5のような構成において、オフセット調整幅の上限拡大を企図して、容量素子21に接続され且つビット線BL3に直結されていない容量素子(本実施例の可変容量装置Cv1に相当する位置に接続されている容量素子)の容量値を増やした場合、2つの容量素子の合成容量値が飽和傾向に陥るため、オフセットの調整範囲の上限を拡大することが困難となる。
【0062】
これに対し、本実施例のメモリ装置100では、可変容量装置Cv1の容量値が容量素子21の容量値と比べて大きくなりすぎないように抑えつつ可変容量装置Cv2の容量値を調整することが出来るため、オフセット調整幅の上限拡大するために行う容量素子の容量値の調整において可変容量装置Cv1及び容量素子21の合成容量値が飽和傾向に陥る問題を回避することができる。
【0063】
また、本実施例の可変容量装置Cv1に相当する位置に接続される容量素子は、容量素子21を介して間接的に電位保持線BL3の電位BLSAを低下させなければならないため、一般的に容量値が大きく、面積が大きくなりがちである。しかし、本実施例のメモリ装置100では、可変容量装置Cv2の容量値を調整することができるため、可変容量装置Cv1が取り得る容量値の上限が比較的小さく設定されている場合においても、同等のオフセット調整範囲を実現することができる。従って、可変容量装置の総面積を小さく抑えることができる。
【0064】
また、一般的に、半導体メモリはメモリセル数が多いためメモリセルの幅に合わせて素子をレイアウトする必要があり、
図1の可変容量Cv2や容量素子21を接続するために、センスアンプ側のビット線(電位保持線)が長くなり、寄生容量値が大きくなりがちである。しかし、本実施例のメモリ装置100によれば、電位保持線BL3側と電磁保持線BL4側とで協調してオフセットを生成可能であるため、一定のオフセットに対し、容量素子の面積の総和を低減することができる。従って、特許文献2よりもレイアウトが容易であり、相対的に電位保持線BL3及びBL4を短縮し、寄生容量値を低減することが可能である。また、オフセット生成効率及び面積効率が改善される。
【実施例2】
【0065】
図4は、実施例2のメモリ装置200の構成を示す回路図である。メモリ装置200は、電位保持線BL3と容量素子21との間に挿入されたSW41と、電位保持線BL4と可変容量装置Cv2との間に挿入されたSW42と、を有する点で実施例1のメモリ装置100と異なる。
【0066】
SW41は、例えばNMOSトランジスタであり、ソース及びドレインが容量素子21及び電位保持線BL3に接続されている。同様に、SW42は、例えばNMOSトランジスタであり、ソース及びドレインが可変容量装置Cv2及び電位保持線BL4に接続されている。SW41及びSW42のゲート電極は互いに接続され、容量素子活性化信号swcapの供給を受ける。SW41及びSW42は、例えば同じサイズで形成されている。
【0067】
SW41及びSW42は、センスアンプ17の2つの入力端子の負荷容量値の不均衡を回避するために設けられている。すなわち、センスアンプ17による増幅動作の開始(活性化)の瞬間は、2つの入力端子の夫々の負荷容量にわずかな不均衡があっても、センスマージンが悪化しかねない。そこで、例えば可変容量装置Cv2を極端な容量値に設定したような場合にも、負荷容量値の不均衡によるセンスマージンの悪化を防ぐため、センスアンプの活性化の瞬間及びそれ以降の期間において、SW41及びSW42はオフに制御される。
【0068】
次に、本実施例のメモリ装置200のデータ読み出し動作について、
図5のタイムチャートを参照しつつ説明する。
図5のタイムチャートは、容量素子活性化信号swcapを含む点で、実施例1の
図3のタイムチャートと異なる。
【0069】
容量素子活性化信号swcapは、例えば“H”レベルでプリチャージ電位VCAPのレベルとなり、“L”レベルで接地電位VSSのレベルとなる信号である。
【0070】
時刻T5において、容量素子活性化信号swcapを“H”レベルから“L”レベルに遷移させる。これにより、少なくとも時刻T6以降において、SW41及びSW42がオフとなる。
【0071】
時刻T6は、センスアンプ17の活性化タイミングに相当する。SW41及びSW42がオフとなることにより、時刻T6以降は、センスアンプ17の2つの入力端子の負荷容量値が均衡する状態となる。従って、センスアンプ17のセンスマージンの悪化が防止される。
【0072】
なお、
図5のタイムチャートでは、時刻T5に同期して、電位BLSA及び電位REFが若干低下している。これは、容量素子活性化信号swcapの立下りに伴い、SW41及びSW42を構成するNMOSトランジスタのゲート―ドレイン間の容量カップリングによって、各々電位保持線BL3とBL4にノイズが発生するためである。しかし、SW41及びSW42はサイズが同一であり、規則的にレイアウトされているため、電位BLSA及び電位REFに生じるカップリングノイズは同等とみなすことができる。従って、カップリングノイズによるセンスマージンの悪化は生じない。
【0073】
このように、本実施例のメモリ装置200では、センスアンプの活性化時(増幅動作開始時)に、センスアンプの2つの入力端子の負荷容量が均等になるように制御される。従って、例えば可変容量装置Cv2の容量値を極端に小さく設定したような場合でも、センスマージンの悪化を防止することができる。
【0074】
なお、本実施例のメモリ装置200を用いて、2T2C型のデータ読み出しを行っても良い。その際、SW41及びSW42を常にオフとなるように制御することにより、電位保持線BL3及びBL4の負荷容量が小さくなるため、センスマージンの悪化の回避の他、メモリセルの読み書きを高速化することができ、動作電力を相対的に低減することも可能となる。
【0075】
また、容量素子活性化信号swcapの立ち下げのタイミングは、センスアンプ17の活性化のタイミングである時刻T6の直前であれば良い。従って、
図5ではSW2開閉信号の立ち下げのタイミングと同時に容量素子活性化信号swcapを立ち下げているが、必ずしも同時でなくても良い。例えば、時刻T5よりも早く容量素子活性化信号swcapを立ち下げれば、後半の読み出し期間の途中で電位保持線BL4の負荷容量が小さくなるため、
図5のタイムチャートで示される場合以上に、電位REFが高くなる効果が得られる。すなわち、容量素子活性化信号swcapの立ち下げのタイミングを早めることにより、さらにオフセット調整範囲の上限を拡大することができる。
【実施例3】
【0076】
図6は、実施例3のメモリ装置300の構成を示す回路図である。メモリ装置300は、可変容量装置Cv2を有さず、SW42のゲート電極に容量素子活性化信号swcapの代わりに接地電位VSSが供給されている点で、実施例2のメモリ装置200(
図4)と異なる。SW42のソース端子は、浮遊電位(floating)でも接地電位VSSでも構わない。
【0077】
図7は、本実施例のメモリ装置300のデータ読み出し動作を示すタイムチャートである。
【0078】
ゲート電極が接地電位VSSに接続されているため、SW42は常にオフ状態となる。従って、後半の読出し時における電位保持線BL4の負荷容量は、実施例2よりもさらに小さくなる。従って、後半の読出し時における電位REFは、実施例2よりもさらに高くなる。
【0079】
また、容量素子活性化信号swcap遷移時のカップリングノイズは、電位保持線BL3のみに及び、電位保持線BL4には影響しない。従って、実施例2とは異なり、容量素子活性化信号swcapの立ち下げ時に、電位REFの低下が生じない。
【0080】
このように、本実施例のメモリ装置300では、電位保持線BL4の容量値を出来るだけ減らし、電位保持線BL3の電位が下がるノイズのみ発生させることができるため、後半の読み出し時に生成されるオフセットが増加する。
【0081】
また、本実施例のメモリ装置300においても、時刻T6では電位保持線BL3及びBL4の間の負荷容量値は均一であるため、センスマージンは悪化しない。この場合でも、可変容量装置Cv1を用いて、時刻T3におけるオフセットを調整することができるため、時刻T6における“0”の読出しマージンと“1”の読出しマージンとを同等に揃えることが可能である。
【0082】
以上のように、本発明によれば、一対の電位保持線(BL3及びBL4)のうち、参照電位が導入される側の電位保持線(BL4)の電位を相対的に高くすることにより、オフセット調整範囲の上限を拡大させることができる。
【0083】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施例3では、可変容量装置Cv2を有さず、SW42のゲート電極に接地電位VSSが供給されている場合を例として説明した。しかし、例えば実施例1のメモリ装置100や実施例2のメモリ装置200において、単に可変容量装置Cv2を削除した構成としても良い。この場合においても、可変容量装置Cv1を用いてオフセットの調整を行うことが可能である。この構成によれば、可変容量装置Cv2の分だけ面積を削減することができ、メモリ装置の低コスト化を図ることができる。
【0084】
また、上記実施例1及び実施例2では、可変容量装置Cv2のゲート電極をプリチャージ電位VCAPとしていたが、プリチャージ電位VCAPとは異なる電位(VCAPよりも高い電位)としても良い。
【0085】
また、上記実施例では、容量素子21や可変容量装置Cv1及びCv2が、MOS容量(MOSトランジスタ)からなる容量素子により構成される例について説明したが、容量素子の種類はこれに限られるものではなく、MiM(Metal-insulator-Metal、メタル間)容量やPiP(Poly-insulator-Poly、ポリ間)容量等を用いても良い。
【0086】
また、実施例2では、SW41及びSW42がNMOSトランジスタである場合を例として説明したが、これに限られず、CMOSスイッチ等から構成しても良い。
【0087】
また、実施例2のメモリ装置200あるいは実施例3のメモリ装置300を用いて、2T2C型のデータ読み出しを行っても良い。例えば、1T1Cモードと2T2Cモードとを切り替えることが可能なメモリ装置として本実施例のメモリ装置200を構成した場合、2T2Cモードでは、オフセットの生成が不要であるため、容量素子活性化信号swcapが常に“L”レベルとなるように制御を行う。これにより、電位保持線BL3及びBL4の負荷容量が小さくなるため、センスマージンの悪化の回避の他、メモリセルの読み書きを高速化することができ、動作電力を相対的に低減することも可能となる。
【0088】
また、上記実施例では、容量素子活性化信号swcapが“H”レベルでプリチャージ電位VCAPのレベルとなる例について説明したが、これに限られず、電位BLSAやREFが通常動作で取りうる範囲の最高電位よりも少なくともSW41やSW42を構成するNMOSトランジスタの閾値Vth以上高く、且つNMOSトランジスタの耐圧を超えない範囲であれば良い。