特許第6860765号(P6860765)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6860765
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】化合物及びこれを含む有機発光素子
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/10 20060101AFI20210412BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20210412BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20210412BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   C07D403/10CSP
   C07D405/14
   C09K11/06 650
   H05B33/14 B
【請求項の数】9
【全頁数】57
(21)【出願番号】特願2019-562311(P2019-562311)
(86)(22)【出願日】2019年5月30日
(86)【国際出願番号】KR2019006482
(87)【国際公開番号】WO2020153542
(87)【国際公開日】20200730
【審査請求日】2019年11月11日
(31)【優先権主張番号】10-2019-0008873
(32)【優先日】2019年1月23日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0043217
(32)【優先日】2019年4月12日
(33)【優先権主張国】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】321001986
【氏名又は名称】ソウルブレイン シーオー., エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,クワン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン ス
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ヒョン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ハ,ジョン ジン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ソク ジョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,チュン ヨン
【審査官】 神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/195370(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/052819(WO,A1)
【文献】 特表2017−531309(JP,A)
【文献】 国際公開第2019/004782(WO,A1)
【文献】 特表2019−500326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C09K
H01L
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1から9からなる群から選択されるいずれか1つの化合物。
[化1]
[化2]
[化3]
[化4]
[化5]
[化6]
[化7]
[化8]
[化9]
【請求項2】
下記化学式1から9からなる群から選択される1種以上の化合物を含む有機発光素子用材料。
[化1]
[化2]
[化3]
[化4]
[化5]
[化6]
[化7]
[化8]
[化9]
【請求項3】
前記材料は、正孔輸送材料、電子注入材料、電子輸送材料及び発光層のホスト材料からなる群から選択された1種以上として使用されるものである請求項2に記載の有機発光素子用材料。
【請求項4】
下記化学式1から9からなる群から選択される1種以上の化合物を含む有機発光素子。
[化1]
[化2]
[化3]
[化4]
[化5]
[化6]
[化7]
[化8]
[化9]
【請求項5】
前記有機発光素子は第1電極、第2電極及び前記第1電極と第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含み、
前記有機物層が前記化合物を含む請求項4に記載の有機発光素子。
【請求項6】
前記有機物層は正孔輸送層、発光層及び電子輸送層のうち少なくとも1層を含む請求項5に記載の有機発光素子。
【請求項7】
前記有機物層は電子輸送層を含む請求項5に記載の有機発光素子。
【請求項8】
前記化合物は、電子輸送物質として使用されるものである請求項7に記載の有機発光素子。
【請求項9】
請求項4から請求項8のうちいずれか1項に記載の有機発光素子を含む電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物及びこれを含む有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(OLED)は自発光型素子として視野角が広く、コントラストが優れており、応答時間が速く、輝度、駆動電圧及び応答速度特性に優れ、多色化が可能であるという長所がある。一般的な有機発光ダイオードはアノード及びカソードと、これらアノード及びカソード間に介在された有機層が含まれる。有機層は正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層などが含まれる。アノード及びカソード間に電圧を印加すると、アノードから注入された正孔は正孔輸送層を経由して発光層に移動し、カソードから注入された電子は電子輸送層を経由して発光層に移動する。正孔及び電子のようなキャリアは発光層領域で再結合してエクシトン(exciton)を生成するが、このエクシトンが基底状態に変わって光が生成される。一般的に、有機発光ダイオードの駆動時に生成されるエクシトンは確率的に単一項状態が25%、三重項状態が75%生成され、蛍光発光材料の場合、単一項状態が25%の励起子による発光のみが生成されて内部量子効率が最大25%水準に留まるようになる。このような特性を改善するために、三重項エネルギーを利用することができるイリジウムまたは白金錯体を利用しており、優れた量子効率特性を保有しているものが知られている。
しかし、このような材料は高価であり、特に、青色発光材料の不安定性に起因してその応用に限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は電気化学的及び熱的安定性を有して寿命特性に優れ、低い駆動電圧でも高い発光効率を有する化合物及びこれを含む有機発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、下記化学式1から9からなる群から選択される1種以上を含む化合物を提供する。
また、本発明は前記化合物を含む有機発光素子用材料を提供する。
さらに、本発明は前記化合物を含む有機発光素子を提供する。
本発明は前記有機発光素子を含む電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0005】
本発明の化合物は、有機発光素子の正孔注入または正孔輸送材料、ホスト材料、または電子注入または電子輸送材料として利用されることができる。さらに、前記化合物は、電子輸送性能、正孔(hole)またはエクシトン(exciton)ブロッキング性能及び電子注入性能に優れて有機発光素子の素材として非常に適している。
また、前記化合物を含む有機発光素子は優れた電気化学的及び熱的安定性を有して寿命特性に優れ、低い駆動電圧でも高い発光効率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の一実施形態に係る有機発光素子の積層構造を概略的に示したものである。
図2】(a)は本発明の化合物1のUV−Visスペクトルであり、(b)はフォトルミネッセンス(PL)分光法の結果であり、(c)は低温フォトルミネッセンス(LTPL)分光法の結果である。
図3】(a)は本発明の化合物2のUV−Visスペクトルであり、(b)はフォトルミネッセンス(PL)分光法の結果であり、(c)は低温フォトルミネッセンス(LTPL)分光法の結果である。
図4】(a)は本発明の化合物3のUV−Visスペクトルであり、(b)はフォトルミネッセンス(PL)分光法の結果であり、(c)は低温フォトルミネッセンス(LTPL)分光法の結果である。
図5】(a)は本発明の化合物5のUV−Visスペクトルであり、(b)はフォトルミネッセンス(PL)分光法の結果であり、(c)は低温フォトルミネッセンス(LTPL)分光法の結果である。
図6】(a)は本発明の化合物6のUV−Visスペクトルであり、(b)はフォトルミネッセンス(PL)分光法の結果であり、(c)は低温フォトルミネッセンス(LTPL)分光法の結果である。
図7】(a)は本発明の化合物7のUV−Visスペクトルであり、(b)はフォトルミネッセンス(PL)分光法の結果であり、(c)は低温フォトルミネッセンス(LTPL)分光法の結果である。
図8】(a)は本発明の化合物8のUV−Visスペクトルであり、(b)はフォトルミネッセンス(PL)分光法の結果であり、(c)は低温フォトルミネッセンス(LTPL)分光法の結果である。
図9】(a)は本発明の化合物9のUV−Visスペクトルであり、(b)はフォトルミネッセンス(PL)分光法の結果であり、(c)は低温フォトルミネッセンス(LTPL)分光法の結果である。
図10】(a)は本発明の化合物1の1H NMRグラフであり、(b)は13C NMRグラフである。
図11】(a)は本発明の化合物2の1H NMRグラフであり、(b)は13C NMRグラフである。
図12】(a)は本発明の化合物3の1H NMRグラフであり、(b)は13C NMRグラフである。
図13】(a)は本発明の化合物5の1H NMRグラフであり、(b)は13C NMRグラフである。
図14】(a)は本発明の化合物6の1H NMRグラフであり、(b)は13C NMRグラフである。
図15】(a)は本発明の化合物7の1H NMRグラフであり、(b)は13C NMRグラフである。
図16】(a)は本発明の化合物8の1H NMRグラフであり、(b)は13C NMRグラフである。
図17】(a)は本発明の化合物9の1H NMRグラフであり、(b)は13C NMRグラフである。
図18】本発明の化合物1のHRMS(High Resolution Mass Spectrometry)グラフである。
図19】本発明の化合物2のHRMSグラフである。
図20】本発明の化合物3のHRMSグラフである。
図21】本発明の化合物5のHRMSグラフである。
図22】本発明の化合物6のHRMSグラフである。
図23】本発明の化合物7のHRMSグラフである。
図24】本発明の化合物8のHRMSグラフである。
図25】本発明の化合物9のHRMSグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本明細書について詳細に説明する。
化合物
本発明は下記化学式1から9からなる群から選択される1種以上の化合物を提供する。
【0008】
本発明の化合物はヘテロ環に特徴的な3個の置換基、即ちカルバゾール基、ナフタレン基及び多環芳香族炭化水素基が結合された両極性化合物であり、HOMOエネルギー準位またはLUMOエネルギー準位を適切に調節することができる。また、正孔及び電子のバランスを一分子内で調節が可能であり、効率及び寿命特性を調節することができる。
本発明の化合物はカルバゾール基を含んで素子寿命特性に優れ、ナフタレン基を含んで電界下でカルバゾールから形成されたラジカル陽イオン安定化による寿命改善効果があり、多環芳香族炭化水素基を含んでリジッドでバルキーな置換基を導入して分子パッキングが有利であることにより駆動電圧の改善効果及び材料の熱安定性の改善効果が卓越している。
また、本発明の化合物を含む材料は正孔阻止能力及びエクシトン(exciton)阻止能力に優れ、消費電力特性も非常に優れている。
【0009】
前記化合物の置換基は当技術分野で知られている方法によって結合されることができ、置換基の種類、位置または個数は当技術分野で知られている技術によって変更されてもよい。
化合物の共役長とエネルギーバンドギャップは密接な関係がある。例えば、化合物の共役長が長いほどエネルギーバンドギャップが小さくなる。そこで、本発明に係る化合物に多様な置換基を導入することで多様なエネルギーバンドギャップを有する化合物を合成することができる。また、本発明では上記のような構造のコア構造に多様な置換基を導入することで化合物のHOMO及びLUMOエネルギー準位も調節することができる。
上記のような構造のコア構造に多様な置換基を導入することで導入された置換基の固有特性を有する化合物を合成することができる。例えば、有機発光素子の製造時に使用される正孔注入物質、正孔輸送物質、発光層物質及び/または電子輸送物質に主に使用される置換基を前記コア構造に導入することにより、各有機物層で要求する条件を満たす物質を合成することができる。
さらに、前記化学式1から9の構造に多様な置換基を導入することでエネルギーバンドギャップを微細に調節可能であり、有機物間で界面特性を向上させることができ、これにより物質の用途を多様にすることができる。
一方、前記化合物はガラス転移温度(Tg)が高く、熱的安定性に優れている。このような熱的安定性の増加は素子に駆動安定性を提供する重要な要因となる。
【0010】
本発明に係る化合物は多段階化学反応によって製造することができる。一部中間体化合物が先に製造され、前記中間体化合物から本発明の化合物が製造されることができる。例えば、本発明に係る化合物の製造方法は後述する実施例のように製造されることができる。
【0011】
有機発光素子用材料
本発明に係る有機発光素子用材料は上記化合物を含む。
前記材料は、正孔阻止材料、電子注入材料、電子輸送材料及び発光層のホスト材料からなる群から選択された1種以上として使用することができる。
前記化合物は電子輸送性能、正孔またはエクシトン阻止性能、及び電子注入性能に優れ、有機発光素子用材料として非常に適している。前記化合物を含む有機発光素子用材料は電子注入特性及び電子移動性に優れ、前記化合物の両極性特性の均衡、即ちn型タイプ部分とp型タイプ部分の適切な均衡が維持されてHOMOエネルギー準位またはLUMOエネルギー準位を適切に調節され得、寿命特性に優れ、正孔阻止能力及びエクシトン阻止能力に優れ、消費電力特性も非常に優れている。
【0012】
有機発光素子
本発明に係る有機発光素子は上記化合物を含む。本発明の化合物を有機発光素子に使用する場合、有機発光素子の効率が向上し、低い駆動電圧を有し、優れた寿命特性を有する。
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする場合、これは特に反対の
記載がない限り他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素がさらに含まれることを意味する。
本明細書において、ある部材が他の部材「上に」位置していると言う時、これはある部
材が他の部材に接する場合だけでなく、二つの部材の間にまた別の部材が存在する場合も含む。
【0013】
前記有機発光素子は第1電極、第2電極及び前記第1電極と第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含み、前記有機物層が前記化合物を含んでもよい。具体的に、前記有機物層は正孔輸送層、発光層及び電子輸送層のうち少なくとも1層を含んでもよい。前記有機物層は電子輸送層を含み、前記電子輸送層は前記化合物を含んでもよい。
前記有機発光素子は前述の化合物を含むことを除き、通常の有機発光素子の製造方法及び材料によって製造することができる。
本発明の化合物は有機発光素子の製造時、真空蒸着法だけでなく溶液塗布法によって有機物層として形成することができる。ここで、溶液塗布法とはスピンコーティング、ディップコーティング、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、スプレー法、ロールコーティングなどが挙げられるが、これに限定されない。例えば、本発明の化合物を発光層、正孔阻止層、電子輸送層または電子注入層の材料として使用する場合にも溶液塗布法を利用して有機物層の形成が可能である。
本発明の化合物で有機物層を形成する時、その下部の有機物層は溶液塗布法によって形成し、本発明の化合物を含む有機物層は真空蒸着法を利用して形成してもよい。本発明の化合物を正孔輸送層、電子輸送層または電子注入層材料として利用する場合、第1電極上に発光層を形成するか、第1電極上に正孔輸送層及び/または電子輸送層及び発光層を形成する際、溶液塗布法を利用し、その上に真空蒸着法を利用して本発明の化合物を含む有機物層を形成してもよい。この場合、本発明の化合物を含む有機物層を真空蒸着法で製造されても、その下部に溶液塗布法で形成された有機物層とよくマッチングする。
図1に本発明の一実施形態に係る有機発光素子の断面、電極と有機物層の積層順序を例示した。しかし、前述の図面によって本発明の範囲が限定されることを意図したものではなく、当技術分野で知られている有機発光素子の構造が本発明にも適用することができる。
図1を参照すると、前記有機発光素子は基板上に第1電極、正孔注入層、発光層及び第2電極が順次積層され得るが、積層順序がこれに限定されるものではない。前記図1の構造のうち発光層または正孔注入層に本発明の化合物を含むことができる。
前記有機発光素子は、基板/第1電極/発光層/第2電極;基板/第1電極/正孔注入層/発光層/第2電極;基板/第1電極/正孔輸送層/発光層/第2電極;基板/第1電極/発光層/電子輸送層/第2電極;基板/第1電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/第2電極;基板/第1電極/発光層/電子輸送層/第2電極;基板/第1電極/発光層/電子注入層/第2電極;基板/第1電極/発光層/正孔阻止層/第2電極;基板/第1電極/発光層/正孔輸送層/電子注入層/第2電極;基板/第1電極/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/第2電極;基板/第1電極/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/第2電極;基板/第1電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/第2電極;基板/第1電極/正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/電子輸送層/電子注入層/第2電極;基板/第1電極/正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/第2電極などの構造を有してもよく、この時、第1電極と第2電極との間の1層以上の有機物層、例えば正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層または電子注入層が本発明の化合物を含んでもよい。
本発明の化合物は上記のような構造の素子で発光層、正孔阻止層、電子輸送層または電子注入層の材料として使用されることができる。より具体的に、本発明の化合物は上記のような構造の素子で電子輸送層の材料として使用されることができる。
【0014】
他の実施例において、前記有機発光素子は本発明の化合物を含む電荷発生層を含んでもよい。例えば、前記有機発光素子は発光層を含む発光ユニットを2個以上含んでもよく、隣接した2個の発光ユニット間に電荷発生層を備えてもよい。また他の例として、前記有機発光素子は1個以上の発光ユニットを含み、発光ユニットと第1電極との間または発光ユニットと第2電極との間に電荷発生層を備えてもよい。
本発明の化合物を含む電荷発生層はn型電荷発生層の役割を遂行し得るので、本発明の化合物を含む電荷発生層はp型有機物層と接して備えてもよい。
前記発光ユニットは発光層のみからなる場合もあり、必要に応じて正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層などの有機物層を1層以上さらに含んでもよい。
前記有機発光素子は、基板/第1電極/発光ユニット/電荷発生層(n型)/電荷発生層(p型)/発光ユニット/第2電極;基板/第1電極/電荷発生層(n型)/電荷発生層(p型)/発光ユニット/第2電極;基板/第1電極/発光ユニット/電荷発生層(n型)/電荷発生層(p型)/第2電極などの構造を有してもよい。この時、発光ユニットの個数は必要に応じて2個または3個以上含まれてもよい。前記発光ユニットは発光層を含み、必要に応じて正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、正孔阻止層、電子輸送層及び電子注入層のうち1個以上の層をさらに含んでもよい。
【0015】
本発明の化合物は、前記有機発光素子で発光層、正孔阻止層、電子輸送層または電子注入層の材料として使用することができる。
本発明の化合物が発光層材料として使用される場合、本発明の化合物は発光ホストとしての役割をしてもよく、この時、前記発光層は追加でドーパントを含んでもよい。例えば、本発明の化合物はn型燐光ホストとして使用することができる。
また、本発明の表される化合物とともに使用されることができるドーパントは当技術分野で知られたものを使用してもよい。例えば、本発明の化合物が燐光ホストとして使用される場合、ともに使用される燐光ドーパントとしては遷移金属の錯体が挙げられる。前記燐光ドーパントはイリジウム(Ir)、白金(Pt)、オスミウム(Os)、白金(Au)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ユウロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)またはツリウム(Tm)の錯体が挙げられ、より具体的には、Ir(ppy)3、Ir(ppy)2(acac)、Ir(mppy)3、Ir(mpp)2(acac)、F2Irpic、(F2ppy)2Ir(tmd)、Ir(ppy)2tmd、Ir(pmi)3、Ir(pmb)3、FCNIr、FCNIrpic、FIr6、FIrN4、FIrpic、PtOEP、Ir(chpy)3、P0−01(C3123IrN222)、Ir(ppz)3及びIr(dfppz)3からなる群から選択された少なくとも一つが挙げられるが、これに限定されない。
【0016】
前記有機発光素子は、有機物層のうち1層以上に本発明の化合物を含むことを除いて当技術分野で知られている材料と方法で製造することができる。また、本発明の化合物は単独で有機発光素子の有機物層のうち1層以上を構成してもよい。必要に応じて他の物質と混合して有機物層を構成してもよい。
前記有機発光素子において、本発明の化合物以外の材料を下に例示するが、これらは例示のためのもの過ぎず、本発明の範囲を限定するためのものではなく、当技術分野で公知の材料で代替してもよい。
第1電極はアノードで、第2電極はカソードが挙げられる。
アノード材料としては、比較的仕事関数が大きい材料を利用してもよく、透明導電性酸化物、金属または導電性高分子などを使用してもよい。前記アノード材料の例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO2:Sbのような金属と酸化物の結合;ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ[3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロール及びポリアニリンのような導電性高分子などがあるが、これに限定されない。
カソード材料としては、比較的仕事関数が低い材料を利用してもよく、金属、金属酸化物または導電性高分子などを使用してもよい。前記カソード材料の例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、イッテルビウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズ及び鉛のような金属またはこれらの合金;LiF/Al、LiO2/Al、LiF/Mg:Ag、LiF/Mg:Ag/Agなどのような多層構造物質などがあるが、これに限定されない。
正孔注入材料としては、公知の正孔注入材料を利用することもできるが、例えば、米国特許第4,356,429号に開示された銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物または文献[Advanced Material,6,p.677(1994)]に記載されているスターバースト型アミン誘導体類、例えばトリス(4−カルバゾール−9−イルフェニル)アミン(TCTA)、4,4’,4’’−トリ[フェニル(m−トリル)アミノ]トリフェニルアミン(m−MTDATA)、1,3,5−トリス[4−(3−メチルフェニルフェニルアミノ)フェニル]ベンゼン(m−MTDAPB)、溶解性がある導電性高分子であるポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(polyaniline/dodecylbenzenesulfonic acid)またはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホネート)(poly(3,4−ethylenedioxythiophene)/poly(4−styrenesulfonate))、ポリアニリン/カンファースルホン酸(polyaniline/camphor sulfonic acid)またはポリアニリン/ポリ(4−スチレンスルホネート)(polyaniline/poly(4−styrene−sulfonate))などを使用してもよいが、これに限定されない。
正孔輸送材料としては、ピラゾリン誘導体、アリールアミン系誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などが使用されることができ、低分子または高分子材料が使用されることもできるが、これに限定されない。
電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体などが使用されることができ、低分子物質だけでなく高分子物質が使用されることもできるが、これに限定されない。
電子注入材料としては、例えば、LiFが当業界で代表的に使用されるが、これに限定されない。
発光材料としては、赤色、緑色または青色発光材料を使用してもよく、必要な場合、2個以上の発光材料を混合して使用してもよい。また、発光材料として蛍光材料を使用してもよいが、燐光材料として使用してもよい。発光材料としては、単独としてアノードとカソードから各々注入された正孔と電子を結合して発光させる材料を使用してもよいが、ホスト材料とドーパント材料がともに発光に関与する材料が使用されてもよい。
前記有機発光素子は使用される材料によって前面発光型、背面発光型または両面発光型が挙げられる。
本発明に係る化合物は有機太陽電池、有機感光体、有機トランジスタなどをはじめとする有機電子素子でも有機発光素子に適用されるものと類似する原理で作用する場合がある。
【0017】
電子機器
また、本発明に係る電子機器は上記有機発光素子を含む。
例えば、前記電子機器はディスプレイが挙げられる。具体的に、RGB OLED、ホワイトOLED、ソルブル(soluble)OLED及びQLEDからなる群から選択された1種以上の構造を有するディスプレイが挙げられるが、これに限定されない。
前記RGB OLEDは発光層に赤色(R)を発光するサブピクセル、緑色(G)を発光するサブピクセル及び青色(B)を発光するサブピクセルを含む有機発光表示装置であり、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔注入層、正孔輸送層などが含まれる。例えば、前記RGB OLEDは電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層及び正孔注入層が順次積層された形態を含んでもよい。他の例として、前記RGB OLEDは正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、電子輸送層及び電子注入層が順次積層された形態を含んでもよい。
また、前記ホワイトOLED(WOLED)は白色有機発光表示装置であり、薄型光源、液晶表示装置のバックライトまたはカラーフィルタを採用したフルカラー表示装置である。例えば、前記ホワイトOLEDは通常タンデム(スタック)構造からなり、スタック毎に含まれる発光層を互いに異なる色の複数層で構成してもよい。この時、発光層ユニット毎に電子輸送層が適用され、2スタックの場合は2個の電子輸送層が、3スタックの場合は3個の電子輸送層が適用されてもよい。また、スタック毎に形成されるCGL(Charge generation layer)の電荷注入特性の差によって共通層の役割が非常に重要である。特に、電子輸送層はn−CGLとの接合面をなして電子注入特性に大きな影響を与えることで素子特性に大きな影響を及ぼす。
【0018】
さらに、前記ソルブルOLEDはWOLEDとともに大面積OLEDパネルの代表的な次世代モデルとして開発されており、ハイブリッドタイプが代表的である。ハイブリッドタイプのソルブルOLEDは両極から発光層までソルブル材料が適用されて溶解工程を通じて製造され、電子輸送層から陰極までは蒸着材料を利用して製造することができる。特に、溶解工程の発光材料と蒸着タイプの電子輸送材料間の界面特性は素子特性に重要な技術的問題の一つである。従って、溶解工程に適した電子輸送材料の開発が重要である。
QLEDは発光層を量子ドットで形成してフルカラーを具現するディスプレイ装置である。発光層を除く共通層の材料はOLED素子と類似するコンセプトで構成され、駆動原理も類似する。
前記電子機器はモバイル、TVなど多様な大きさが挙げられる。
【0019】
以下、実施例を通じて本明細書をさらに詳細に説明するが、これらは本出願を例示するためのものに過ぎず、本出願の範囲を限定するためのものではない。
[製造例]
製造例1
1)化合物1−1の製造
2Lの丸底フラスコに9H−カルバゾール(9H−carbazole)39g(233.24mmol,1eq)と1,4−ジブロモナフタレン(1,4−dibromonaphthalene)100g(349.85mmol,1.5eq)、銅(Cu)3g(46.65mmol,0.2eq)、18−クラウン−6(18−crown−6)31g(116.62mmol,0.5eq)及び炭酸カリウム(K2CO3)64.5g(446.48mmol,2eq)を入れ、ニトロベンゼン1,000mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、ニトロベンゼンを減圧蒸留して除去し、ジクロロメタン(CH2Cl2)/水で抽出してCH2Cl2層を硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物1−1 71.2gを82%の収率で得た。
【0020】
2)化合物1−2の製造
500mlの丸底フラスコに化合物1−1 15g(40.29mmol,1eq)とビス(ピナコラート)ジボロン(bis(pinacolato)diboron)15g(60.44mmol,1.5eq)、Pd(dppf)Cl2([1,1′−Bis(diphenylphosphino)ferrocene]dichloropalladium(II))1.5g(2.01mmol,0.05eq)及び酢酸カリウム(KOAc)16g(161.17mmol,4eq)を入れ、1,4−ジオキサン(1,4−dioxane)300mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物1−2 15.1gを89%の収率で得た。
【0021】
3)化合物1−3の製造
1Lの丸底フラスコに化合物1−2 14g(33.39mmol,1eq)と4−ブロモ−ヨードベンゼン(4−bromo−iodobenzene)19g(66.77mmol,2eq)、Pd(PPh3)4(Tetrakis(triphenylphosphine)palladium)1.9g(1.67mmol,0.05eq)、K2CO3 14g(100.16mmol,3eq)を入れてテトラヒドロフラン(THF)350ml及びH2O 70mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物1−3 12.6gを84%の収率で得た。
【0022】
4)化合物1−4の製造
500mlの丸底フラスコに化合物1−3 12g(26.76mmol,1eq)とbis(pinacolato)diboron 10.2g(40.15mmol,1.5eq)、Pd(dppf)Cl2 1g(1.34mmol,0.05eq)、KOAc 10.5g(107.06mmol,4eq)を入れ、1,4−dioxane 150mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物1−4 11.9gを90%の収率で得た。
【0023】
5)化合物1の製造
500mlの丸底フラスコに化合物1−4 10g(20.18mmol,1eq)と4−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−6−クロロ−2−フェニルピリミジン(
4−([1,1’−Biphenyl]−4−yl)−6−chloro−2−phen
ylpyrimidine)7g(20.18mmol,1eq)、Pd(PPh3)4 1.2g(1.01mmol,0.05eq)、K2CO3 8.4g(60.55mmol,3eq)を入れ、トルエン(Tolene,Tol)100ml、エタノール(Etanol,EtOH)20ml及びH2O 20mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物1 10.8gを79%の収率で得た。
【0024】
6)化合物C−1の製造
500mlの丸底フラスコに5’−ブロモ−m−テルフェニル(5’−Bromo−m
−terphenyl)150g(485.11mmol,1eq)、bis(pinacolato)diboron 184.78g(727.66mmol,1.5eq)、Pd(dppf)Cl2 17.7g(24.26mmol,0.05eq)、KOAc 190.4g(1940.43mmol,4eq)を入れ、1,4−dioxane 2Lを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物C−1 138gを80%の収率で得た。
【0025】
7)化合物C−2の製造
1Lの丸底フラスコに化合物C−1 50g(140.34mmol,1eq)と4,6−ジクロロ−2−フェニルピリミジン(4,6−Dichloro−2−phenylpyrimidine)47.4g(210.51mmol,1.5eq)、Pd(PPh3)4 8.1g(7.02mmol,0.05eq)、K2CO3 58.2g(421.03mmol,3eq)を入れ、THF 1500ml及びH2O 300mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物C−2 36.2gを62%の収率で得た。
【0026】
8)化合物2の製造
1Lの丸底フラスコに化合物1−4 10g(20.19mmol,1eq)と化合物C−2 8.5g(20.19mmol,1eq)、Pd(PPh3)4 1.2g(1.01mmol,0.05eq)、K2CO3 8.4g(60.55mmol,3eq)を入れ、トルエン150ml、EtOH 30ml及びH2O 30mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物2 12.8gを84%の収率で得た。
【0027】
9)化合物3−1の製造
3Lの丸底フラスコに2−ブロモ−4−クロロフェノール(2−Bromo−4−chlorophenol)120g(578.45mmol,1eq)とフェニルボロン酸(Phenylboronic acid)78g(636.29mmol,1.1eq)、Pd(PPh3)4 34g(28.92mmol,0.05eq)、K2CO3 240g(1735.36mmol,3eq)を入れ、THF 2000ml及びH2O 400mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物3−1 81.3gを69%の収率で得た。
【0028】
10)化合物3−2の製造
3Lの丸底フラスコに化合物3−1 85g(415.34mmol,1eq)とbis(pinacolato)diboron 158.2g(623.02mmol,1.5eq)、Pd(dba)2(Tris(dibenzylideneacetone)dipalladium(0))11.9g(20.77mmol,0.05eq)、トリシクロヘキシルホスフィン(Tricyclohexylphosphine)11.7g(41.53mmol,0.1eq)、KOAc 163g(1661.37mmol,4eq)を入れ、1,4−dioxane 2Lを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物3−2 98.1gを80%の収率で得た。
【0029】
11)化合物3−3の製造
1Lの丸底フラスコに化合物1−1 10g(26.86mmol,1eq)と化合物3−2 8g(26.86mmol,1eq)、Pd(PPh3)4 1.6g(1.34mmol,0.05eq)、K2CO3 11.1g(80.59mmol,3eq)を入れ、トルエン150ml、EtOH 30ml及びH2O 30mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物3−3 8.1gを65%の収率で得た。
【0030】
12)化合物3−4の製造
250mlの丸底フラスコに化合物3−3 4.6g(10.0mmol,1eq)とCH2Cl2 50mlを入れて0℃で冷却する。その後、トリエチルアミン(Triethylamine)2g(19.93mmol,2eq)とトリフルオロメタンスルホン酸無水物(Trifluoromethanesulfonic anhydride)4.2g(14.95mmol,1.5eq)を入れて常温に昇温して撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物3−4 5.1gを86%の収率で得た。
【0031】
13)化合物3−5の製造
250mlの丸底フラスコに化合物3−4 5g(8.42mmol,1eq)とbis(pinacolato)diboron 3.2g(12.63mmol,1.5eq)、Pd(dba)2 0.2g(0.42mmol,0.05eq)、PCy3 0.2g(0.84mmol,0.1eq)、KOAc 3.3g(33.69mmol,4eq)を入れ、1,4−dioxane 100mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物3−5 4.1gを85%の収率で得た。
【0032】
14)化合物3の製造
1Lの丸底フラスコに化合物3−5 3.4g(5.95mmol,1eq)と化合物C−2 2.5g(5.95mmol,1eq)、Pd(PPh3)4 0.3g(0.30mmol,0.05eq)、K2CO3 2.5g(17.85mmol,3eq)を入れ、トルエン100ml、EtOH 20ml及びH2O 20mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物3 4.1gを84%の収率で得た。
【0033】
15)化合物C−3の製造
1Lの丸底フラスコに化合物C−2 12.4g(29.60mmol,1eq)と4−クロロフェニルボロン酸(4−chlorophenylboronic acid)4.8g(31.08mmol,1.05eq)、Pd(PPh3)4 1.7g(1.48mmol,0.05eq)、K2CO3 12.3g(88.80mmol,3eq)を入れ、THF 300ml及びH2O 60mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物C−3 11.9gを81%の収率で得た。
【0034】
16)化合物C−4の製造
250mlの丸底フラスコに化合物C−3 11g(22.22mmol,1eq)とbis(pinacolato)diboron 8.5g(33.33mmol,1.5eq)、Pd(dba)2 0.6g(1.11mmol,0.05eq)、PCy3 0.6g(2.22mmol,0.1eq)、KOAc 8.7g(88.88mmol,4eq)を入れ、1,4−dioxane 110mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物C−4 4.11.8gを91%の収率で得た。
【0035】
17)化合物4−1の製造
1Lの丸底フラスコに1−フェニル−9H−カルバゾール(1−Phenyl−9H−carbazole)14g(57.61mmol,1eq)と1,4−dibromonaphthalene 33g(115.22mmol,2eq)、Cu 14.5g(230.45mmol,4eq)、18−crown−6 9.1g(34.56mmol,0.6eq)、K2CO3 15.9g(115.08mmol,2eq)を入れ、nitrobenzene 600mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、nitrobenzeneを減圧蒸留して除去し、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物3−1 11.3gを44%の収率で得た。
【0036】
18)化合物4の製造
1Lの丸底フラスコに化合物4−1 5.1g(10.91mmol,1eq)と化合物C−4 6.4g(10.91mmol,1eq)、Pd(PPh3)4 0.63g(0.54mmol,0.05eq)、K2CO3 4.5g(32.76mmol,3eq)を入れ、トルエン100ml、EtOH 20ml及びH2O 20mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物4 7.8gを83%の収率で得た。
【0037】
19)化合物C−5の製造
1Lの丸底フラスコに化合物ナフタレン−1−ボロン酸(Naphthalene−1−boronic acid)10g(58.14mmol,1eq)と1−ブロモ−4−クロロベンゼン(1−Bromo−4−chlorobenzene)13g(69.77mmol,1.2eq)、Pd(PPh3)4 3.4g(2.91mmol,0.05eq)、K2CO3 24g(174.43mmol,3eq)を入れ、トルエン300ml、EtOH 60ml及びH2O 60mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物C−5 13gを94%の収率で得た。
【0038】
20)化合物C−6の製造
1Lの丸底フラスコに化合物C−5 13g(54.46mmol,1eq)とbis(pinacolato)diboron 21g(81.69mmol,1.5eq)、Pd(dba)2 1.5g(2.72mmol,0.05eq)、PCy3 1.5g(5.44mmol,0.1eq)、KOAc 21g(217.83mmol,4eq)を入れ、1,4−dioxane 300mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物C−6 14gを78%の収率で得た。
【0039】
21)化合物C−7の製造
1Lの丸底フラスコに化合物C−6 14g(42.39mmol,1eq)と4,6−Dichloro−2−phenylpyrimidine 19g(84.78mmol,2eq)、Pd(PPh3)4 2.5g(2.12mmol,0.05eq)、K2CO3 18g(127.18mmol,3eq)を入れ、THF 400ml及びH2O 80mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物C−7 10.1gを61%の収率で得た。
【0040】
22)化合物5の製造
500mlの丸底フラスコに化合物1−4 10g(20.19mmol,1eq)と化合物C−7 7.9g(20.19mmol,1eq)、Pd(PPh3)4 1.2g(1.01mmol,0.05eq)、K2CO3 8.4g(60.55mmol,3eq)を入れ、トルエン100ml、EtOH 20ml及びH2O 20mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物5 10.3gを70%の収率で得た。
【0041】
23)化合物C−8の製造
1Lの丸底フラスコに化合物ナフタレン−2−ボロン酸(Naphthalene−2−boronic acid)10g(58.14mmol,1eq)と1−Bromo−4−chlorobenzene 13g(69.77mmol,1.2eq)、Pd(PPh3)4 3.4g(2.91mmol,0.05eq)、K2CO3 24g(174.43mmol,3eq)を入れ、トルエン300ml、EtOH 60ml及びH2O 60mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物C−8 13.3gを96%の収率で得た。
【0042】
24)化合物C−9の製造
1Lの丸底フラスコに化合物C−8 13g(54.46mmol,1eq)とbis(pinacolato)diboron 21g(81.69mmol,1.5eq)、Pd(dba)2 1.5g(2.72mmol,0.05eq)、PCy3 1.5g(5.44mmol,0.1eq)、KOAc 21g(217.83mmol,4eq)を入れ、1,4−dioxane 300mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物C−9 15.1gを84%の収率で得た。
【0043】
25)化合物C−10の製造
1Lの丸底フラスコに化合物C−9 14g(42.39mmol,1eq)と4,6−Dichloro−2−phenylpyrimidine 19g(84.78mmol,2eq)、Pd(PPh3)4 2.5g(2.12mmol,0.05eq)、K2CO3 18g(127.18mmol,3eq)を入れ、THF 400ml及びH2O 80mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物C−10 12.8gを77%の収率で得た。
【0044】
26)化合物6の製造
500mlの丸底フラスコに化合物1−4 10g(20.19mmol,1eq)と化合物C−10 7.9g(20.19mmol,1eq)、Pd(PPh3)4 1.2g(1.01mmol,0.05eq)、K2CO3 8.4g(60.55mmol,3eq)を入れ、トルエン100ml、EtOH 20ml及びH2O 20mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物6 11.1gを76%の収率で得た。
【0045】
27)化合物C−11の製造
3Lの丸底フラスコに化合物9−フェナントレンボロン酸(9−Phenanthracenylboronic acid)50g(225.17mmol,1eq)と1−Bromo−4−iodobenzene 127.4g(450.35mmol,2eq)、Pd(PPh3)4 13g(11.26mmol,0.05eq)、K2CO3 93.4g(675.52mmol,3eq)を入れ、THF 2000ml及びH2O 400mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物C−11 39.5gを53%の収率で得た。
【0046】
28)化合物C−12の製造
3Lの丸底フラスコに化合物C−11 39.5g(118.54mmol,1eq)とbis(pinacolato)diboron 45.15g(177.81mmol,1.5eq)、Pd(dppf)Cl2 4.33g(5.93mmol,0.05eq)、KOAc 34.9g(355.62mmol,3eq)を入れ、1,4−dioxane 2Lを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物C−12 41.7gを93%の収率で得た。
【0047】
29)化合物C−13の製造
1Lの丸底フラスコに化合物C−12 30g(78.89mmol,1eq)と4,6−Dichloro−2−phenylpyrimidine 26.8g(118.33mmol,1.5eq)、Pd(PPh3)4 4.6g(3.94mmol,0.05eq)、K2CO3 32.7g(236.67mmol,3eq)を入れ、THF 780ml及びH2O 160mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物C−13 21.5gを62%の収率で得た。
【0048】
30)化合物7の製造
500mlの丸底フラスコに化合物1−4 10g(20.19mmol,1eq)と化合物C−13 8.9g(20.19mmol,1eq)、Pd(PPh3)4 1.2g(1.01mmol,0.05eq)、K2CO3 8.4g(60.55mmol,3eq)を入れ、トルエン100ml、EtOH 20ml及びH2O 20mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物7 12.4gを79%の収率で得た。
【0049】
31)化合物8の製造
500mlの丸底フラスコに化合物1−4 10g(20.18mmol,1eq)と4−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−6−クロロ−2−フェニルピリミジン(
4−([1,1’−Biphenyl]−3−yl)−6−chloro−2−phen
ylpyrimidine)7g(20.18mmol,1eq)、Pd(PPh3)4 1.2g(1.01mmol,0.05eq)、K2CO3 8.4g(60.55mmol,3eq)を入れ、トルエン100ml、EtOH 20ml及びH2O 20mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物8 11.6gを85%の収率で得た。
【0050】
32)化合物C−14の製造
2Lの丸底フラスコに化合物3−ジベンゾフランボロン酸(3−Dibenzofuranboronic acid)20g(94.34mmol,1eq)と4,6−Dichloro−2−phenylpyrimidine 31.9g(141.50mmol,1.5eq)、Pd(PPh3)4 5.5g(4.72mmol,0.05eq)、K2CO3 39.1g(283.01mmol,3eq)を入れ、THF 1000ml及びH2O 200mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物C−14 17.8gを53%の収率で得た。
【0051】
33)化合物9の製造
500mlの丸底フラスコに化合物1−4 10g(20.19mmol,1eq)と化合物C−14 7.2g(20.19mmol,1eq)、Pd(PPh3)4 1.2g(1.01mmol,0.05eq)、K2CO3 8.4g(60.55mmol,3eq)を入れ、トルエン100ml、EtOH 20ml及びH2O 20mlを入れて還流撹拌した。
反応終了後、CH2Cl2/H2Oで抽出してCH2Cl2層をMgSO4で乾燥した。シリカゲルカラム精製して化合物9 10.3gを74%の収率で得た。
【0052】
上記製造例のような方法で化合物を製造し、その合成確認結果を表1から3に示した。
【表1】
【表2】
【表3】
【0053】
具体的に、表1から3の物性はRIKEN Surface analyzer model AC−2で測定し、紫外線−可視光線(UV−vis)スペクトルはCary 8454 UV−Vis Diode Array systemを利用し、フォトルミネッセンス(PL)分光はPerkinElmer LS55 Luminescence Spectrometerを利用し、前記物性はMETTLER TOLEDO DSC−1,METTLER TOLEDO TGA−1で測定し、1H及び13C NMRはVarian Inc.Unity−Inova500で測定し、HRMSはThermoFisher Scientific LTQ Orbitrap XLで測定した。
前記測定はAgilent 1200 series High Performance Liquid Chromatography(HPLC)systemで測定した。
【0054】
<実施例>
実施例1
素子製作に使用される基板は蒸溜水で超音波洗浄を10分間進行し、100℃状態のオーブンで30分間乾燥させた後、真空蒸着チャンバに移送させた。
実施例に使用される基板はトップエミッション(Top emission)方式であり、アノード電極(anode)の構成は金属/ITO層(layer)で形成した。この時、金属としては銀(Ag)を使用し、ITO(Indium Tin Oxide)の厚さは10nmで形成した。ITO電極上には正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、有機発光層、電子輸送層及び電子注入層の順に蒸着した。
正孔注入層(HIL,Hole Injection Layer)は5nm厚さで蒸着した。また、正孔注入層上に正孔輸送層(HTL,Hole Transport Layer)は120nm厚さで蒸着した。前記蒸着された正孔輸送層上に電子阻止層(EBL,Electron Blocking Layer)を15nm厚さで蒸着した。次に、有機発光層としてBH化合物を20nmで蒸着し、不純物としてBD化合物5重量%を添加した。また、有機発光層上に製造例1で合成した化合物1とリチウムキノレート(LiQ,Lithium Quinolate)を2:1の重量比で混合し、30nmで蒸着して電子輸送層(ETL,Electron Transport Layer)を形成した。また、電子注入層(EIL,Electron Injection Layer)はLiFを使用して1nmで蒸着した。
前記過程で有機物層の蒸着速度は0.5〜1.0オングストローム/secを維持し、蒸着時真空度は1〜4×10-7torrを維持した。
また、共振効果を極大化するために電子注入層上に半透明電極(cathode)を適用し、この時、半透明電極形成はマグネシウム(Mg)−銀(Ag)合金を使用し、半透明電極は厚さ14nmで形成した。
最後に、光効率改善層(capping layer,CPL)は63nmで蒸着した。また、真空蒸着後に基板はグローブボックス(Glove Box)に移されて封止工程を進行した。密封部材は内部に吸湿剤(getter)が備えられたグラスキャップ(glass cap)を使用した。また、各層の蒸着時に使用した化合物は下記のとおりである。
【0055】
【0056】
実施例2
化合物1の代わりに化合物2を使用したことを除き実施例1と同一に実験した。
実施例3
化合物1の代わりに化合物3を使用したことを除き実施例1と同一に実験した。
実施例4
化合物1の代わりに化合物4を使用したことを除き実施例1と同一に実験した。
実施例5
化合物1の代わりに化合物5を使用したことを除き実施例1と同一に実験した。
実施例6
化合物1の代わりに化合物6を使用したことを除き実施例1と同一に実験した。
実施例7
化合物1の代わりに化合物7を使用したことを除き実施例1と同一に実験した。
実施例8
化合物1の代わりに化合物8を使用したことを除き実施例1と同一に実験した。
実施例9
化合物1の代わりに化合物9を使用したことを除き実施例1と同一に実験した。
【0057】
比較例1
化合物1の代わりに化合物ET1を使用したことを除き実施例1と同一に実験した。
[ET1]
【0058】
比較例2
化合物1の代わりに化合物ET2を使用したことを除き実施例1と同一に実験した。
[ET2]
【0059】
比較例3
化合物1の代わりに化合物ET3を使用したことを除き実施例1と同一に実験した。
[ET3]
【0060】
比較例4
化合物1の代わりに化合物ET4を使用したことを除き実施例1と同一に実験した。
[ET4]
【0061】
比較例5
化合物1の代わりに化合物ET5を使用したことを除き実施例1と同一に実験した。
[ET5]
【0062】
比較例6
化合物1の代わりに化合物ET6を使用したことを除き実施例1と同一に実験した。
[ET6]
【0063】
比較例7
化合物1の代わりに化合物ET7を使用したことを除き実施例1と同一に実験した。
[ET7]
【0064】
実験例
実施例及び比較例で製造した有機発光素子を対象に10mA/cm2の電流密度で駆動電圧と発光効率を測定し、1,000cd/m2の初期輝度対比95%となる時間(LT95)を測定し、測定結果を表4に示した。
【表4】
【0065】
表4から分かるように、本発明の化合物を電子輸送層物質として使用して製造された有機発光素子(実施例1から9)は、比較例1から7の物質を使用した場合と比べて、発光効率と安定性の面で優れた特性を示すことが分かった。
以上を通じて本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明の範囲の中で様々に変形して実施することが可能であり、これも発明の範疇に属する。
【要約】
本発明は化学式で表される化合物及びこれを含む有機発光素子を提供する。
図1
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図8c
図9a
図9b
図9c
図10a
図10b
図11a
図11b
図12a
図12b
図13a
図13b
図14a
図14b
図15a
図15b
図16a
図16b
図17a
図17b
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25