(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の樹脂添加剤組成物は、(A)上記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物、および、(B)下記一般式(2)で表される脂肪酸ナトリウム塩からなる樹脂添加剤組成物であって、質量比で(B)/(A)が、0.55〜1.0である。かかる要件を満足することで、熱可塑性樹脂に対して優れた物性を付与することができる樹脂添加剤組成物となる。
【0028】
<(A)一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物>
本発明の樹脂添加剤組成物に係るリン酸エステル化合物は、下記式(1)、
で表される。
【0029】
一般式(1)中のR
1〜R
4で表される炭素原子数1〜9の直鎖または分岐を有するアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、アミル基、tert−アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基等が挙げられるが、R
1〜R
4は、tert−ブチル基が好ましい。
【0030】
一般式(1)中のR
5で表される炭素原子数1〜4のアルキリデン基としては、例えば、メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、ブチリデン基等が挙げられるが、本発明の樹脂組成物においては、メチレン基が好ましい。
【0031】
一般式(1)で表される化合物の具体例として、下記の化合物が挙げられる。ただし、本発明の樹脂添加剤組成物は、これらの化合物に限定されるものではない。
【0033】
本発明においては、ナトリウム[2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート]が、ポリオレフィン系樹脂に対して優れた物理的特性を付与することができるので好ましい。
【0034】
<(B)一般式(2)で表される脂肪酸ナトリウム>
本発明の樹脂添加剤組成物に係る脂肪酸ナトリウムは、下記式(2)、
で表される。
【0035】
一般式(2)中のR
6は、炭素原子数7〜30の脂肪族有機酸から導入される基であり、炭素原子数7〜30の脂肪族有機酸から導入される基とは、炭素原子数7〜30のアルキル基、アルキニル基、アルケニル基、2つ以上の不飽和結合が導入されたアルキル基等の炭化水素基が挙げられる。これらは、ヒドロキシル基で置換されていてもよく、分岐を有していてもよい。
【0036】
具体的には、カプリン酸、2−エチルヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の飽和脂肪酸、4−デセン酸、4−ドデセン酸、パルミトレイン酸、α−リノレン酸、リノール酸、γ−リノレン酸、ステアリドン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等の直鎖不飽和脂肪酸、トリメシン酸等の芳香族脂肪酸が挙げられる。本発明の樹脂添加剤組成物においては、炭素原子数10〜21である脂肪族基が好ましく、特に、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の飽和脂肪酸が、本発明の樹脂添加剤組成物の効果が顕著なものとなるので好ましい。
【0037】
本発明の樹脂添加剤組成物は、(A)一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物と(B)一般式(2)で表される脂肪酸ナトリウム塩の質量比は、質量比で(B)/(A)が、0.55〜2.0であり、0.67〜1.50の範囲がより好ましい。(A)に対して、(B)の割合が0.55よりも少ないと、流動性が乏しくなる場合があり、2.00よりも多いと、核剤効果に乏しくなる場合がある。
【0038】
本発明の樹脂添加剤組成物は、粒子径や粒度分布等の粒子状態によって限定されるものではないが、(A)一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物は、粒子径が微細であれば樹脂中への分散性が良化することが知られており、体積平均粒子径が20μm以下であることが好ましく、10μm以下がより好ましい。
【0039】
次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物について説明する。
本発明の一好適な実施の形態に係る熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、(A)一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物が0.001〜10質量部となるように本発明の樹脂添加剤組成物を含有する。
【0040】
本発明の樹脂組成物に利用可能な樹脂は、熱可塑性樹脂であれば制限はないが、本発明の効果が顕著であるとの観点から、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、含ハロゲン樹脂が好ましく、ポリオレフィン系樹脂がより好ましい。
【0041】
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、架橋ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ランダムコポリマーポリプロピレン、ブロックコポリマーポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチックポリプロピレン、ポリブテン、シクロオレフィンポリマー、ステレオブロックポリプロピレン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン重合体、エチレン−プロピレンのブロックまたはランダム共重合体、インパクトコポリマーポリプロピレン、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のα−オレフィン共重合体、ポリフルオロオレフィン、さらにポリオレフィン系熱可塑性エラストマーが挙げられ、これらの2種以上の共重合体でもよい。
【0042】
スチレン系樹脂としては、例えば、ビニル基含有芳香族炭化水素単独、および、ビニル基含有芳香族炭化水素と、他の単量体(例えば、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、(メタ)アクリル酸エステル、ブタジエン、(メタ)アクリロニトリル等)との共重合体が挙げられ、例えば、ポリスチレン(PS)樹脂、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン(MBS)樹脂、耐熱ABS樹脂、アクリロニトリル−アクリレート−スチレン(AAS)樹脂、スチレン−無水マレイン酸(SMA)樹脂、メタクリレート−スチレン(MS)樹脂、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)樹脂、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン(AES)樹脂、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン(SBBS)樹脂、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(MABS)樹脂等の熱可塑性樹脂、並びに、これらのブタジエンあるいはイソプレンの二重結合を水素添加したスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)樹脂、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEPS)樹脂、スチレン−エチレン−プロピレン(SEP)樹脂、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEEPS)樹脂等の水素添加スチレン系エラストマー樹脂が挙げられる。
【0043】
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート;ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレート等の芳香族ポリエステル;ポリテトラメチレンテレフタレート等の直鎖ポリエステル;および、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサン、ポリ(2−オキセタノン)等の分解性脂肪族ポリエステル等が挙げられる。
【0044】
ポリエーテル系樹脂としては、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトンケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
【0045】
ポリカーボネート系樹脂としては、ポリカーボネート、ポリカーボネート/ABS樹脂、分岐ポリカーボネート等が挙げられる。
【0046】
ポリアミド系樹脂としては、例えば、ε−カプロラクタム(ナイロン6)、ウンデカンラクタム(ナイロン11)、ラウリルラクタム(ナイロン12)、アミノカプロン酸、エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−ピロリドン、α−ピペリドン等の重合物;ヘキサメチレンジアミン、ノナンジアミン、ノナンメチレンジアミン、メチルペンタジアミン、ウンデカンメチレンジアミン、ドデカンメチレンジアミン、メタキシレンジアミン等のジアミンと、アジビン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸等のジカルボン酸等のカルボン酸化合物とを共重合させて得られる共重合体、または、これらの重合体または共重合体の混合物等が挙げられる。また、デュポン社製商品名“ケブラー”、デュポン社製商品名“ノ−メックス”、株式会社帝人製商品名“トワロン”、“コーネックス”等のアラミド系樹脂が挙げられる。
【0047】
含ハロゲン樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体等が挙げられる。
【0048】
さらに熱可塑性樹脂の例を挙げると、例えば、石油樹脂、クマロン樹脂、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリフェニレンサルファイド、ポリウレタン、繊維素系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリサルフォン、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂およびこれらのブレンド物を用いることができる。
【0049】
また、熱可塑性樹脂は、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ポリエステル系エラストマー、ニトリル系エラストマー、ナイロン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等のエラストマーであってもよく、併用してもよい。
【0050】
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、これらの熱可塑性樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を併せて使用してもよい。また、アロイ化されていてもよい。なお、これらの熱可塑性樹脂は、分子量、重合度、密度、軟化点、溶媒への不溶分の割合、立体規則性の程度、触媒残渣の有無、原料となるモノマーの種類や配合比率、重合触媒の種類(例えば、チーグラー触媒、メタロセン触媒等)等に関わらず使用することができる。
【0051】
本発明の樹脂添加剤組成物の(A)成分および(B)成分を熱可塑性樹脂に配合する方法は、特に制限を受けず、一般に用いられる方法、例えば、熱可塑性樹脂粉末もしくはペレットと、各成分をドライブレンドする方法、または、各成分のいずれかを高濃度で含有するマスターバッチを作製し、これを熱可塑性樹脂に添加する方法、本発明の樹脂添加剤組成物をペレット形状に加工して熱可塑性樹脂に添加する方法が挙げられる。また、各成分を同時にオレフィン系樹脂に添加してもよく、別々に添加するものであってもよい。
【0052】
ペレット形状に加工する方法としては、例えば、本発明の樹脂添加剤組成物とフェノール系酸化防止剤および必要に応じて任意で含まれる他の添加剤を混合した混合物を加熱して、融解状態のフェノール系酸化防止剤の存在下で混合することによって製造することができる。加工条件、加工機器等については何ら限定されることなく、周知一般の加工方法、加工機器を使用することができる。具体的な製造方法としては、ディスクペレッター法、押出法等が挙げられる。
【0053】
本発明の樹脂組成物においては、熱可塑性樹脂に対する樹脂添加剤組成物の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、(A)一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物が0.001〜10質量部であり、0.006〜5質量部がより好ましい。配合量が、0.001質量部未満の場合、核剤効果が得られない場合があり、10質量部を超えると、熱可塑性樹脂中への分散が困難になり、成形品の物性や外観に悪影響する場合がある。
【0054】
本発明の樹脂添加剤組成物または熱可塑性樹脂組成物において、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、任意で公知の樹脂添加剤(例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン化合物、(A)一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物とは異なる核剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、充填剤、ハイドロタルサイト類、帯電防止剤、顔料、蛍光増白剤、染料等)を含有させてもよい。
【0055】
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、スチレン化フェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス−(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−メチル−4,6−ビス(オクチルスルファニルメチル)フェノール、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、イソオクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド、2,2’−オキサミド−ビス[エチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−エチルヘキシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−エチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパン酸およびC13−15アルキルのエステル、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、ヒンダードフェノールの重合物(アデカパルマロール社製商品名「AO.OH.98」)、2,2’−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフォビン、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス[モノエチル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート]カルシウム塩、5,7−ビス(1,1−ジメチルエチル)−3−ヒドロキシ−2(3H)−ベンゾフラノンとo−キシレンとの反応生成物、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、DL−a−トコフェノール(ビタミンE)、2,6−ビス(α−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、ビス[3,3−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−フェニル)ブタン酸]グリコールエステル、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル−3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−tert−ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−tert−ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、ステアリル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、パルミチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、ミリスチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、ラウリル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド等の3−(3,5−ジアルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸誘導体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。フェノール系酸化防止剤を配合する場合の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001〜5質量部、より好ましくは、0.03〜3質量部である。
【0056】
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジイソオクチルホスファイト、ヘプタキス(ジプロピレングリコール)トリホスファイト、トリイソデシルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジイソオクチルフェニルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジフェニルホスファイト、トリス(ジプロピレングリコール)ホスファイト、ジオレイルヒドロゲンホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(トリデシル)ホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジノニルフェニルビス(ノニルフェニル)ホスファイト、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト、テトラフェニルジプロピルグリコールジホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−tert−ブチル−4−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリ(デシル)ホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールとステアリン酸カルシウム塩との混合物、アルキル(C10)ビスフェノールAホスファイト、テトラフェニル−テトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2―tert−ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、(1−メチル−1―プロペニル−3−イリデン)トリス(1,1−ジメチルエチル)−5−メチル−4,1−フェニレン)ヘキサトリデシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス−tert−ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、3,9−ビス(4−ノニルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスフェススピロ[5,5]ウンデカン、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル−2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールホスファイト、ポリ4,4’−イソプロピリデンジフェノールC12−15アルコールホスファイト、ビス(ジイソデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。リン系酸化防止剤を配合する場合の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは、0.01〜0.5質量部である。
【0057】
チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、テトラキス[メチレン−3−(ラウリルチオ)プロピオネート]メタン、ビス(メチル−4−[3−n−アルキル(C12/C14)チオプロピオニルオキシ]5−tert−ブチルフェニル)スルファイド、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ラウリル/ステアリルチオジプロピオネート、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、2,2’−チオビス(6−tert−ブチル−p−クレゾール)、ジステアリル−ジサルファイドが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。チオエーテル系酸化防止剤を配合する場合の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは、0.01〜0.5質量部である。
【0058】
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−tert−オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−アクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−tert−ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−tert−オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−tert−ブチルフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−tert−アミル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクチル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ドデシル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、テトラデシル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ヘキサデシル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、オクタデシル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ベヘニル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;各種の金属塩、または金属キレート、特にニッケル、クロムの塩、またはキレート類等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。紫外線吸収剤を配合する場合の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは、0.01〜0.5質量部である。
【0059】
ヒンダードアミン化合物としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−tert−オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、ビス{4−(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジル}デカンジオナート、ビス{4−(2,2,6,6−テトラメチル−1−ウンデシルオキシ)ピペリジル)カーボナート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。ヒンダードアミン化合物を配合する場合の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは、0.01〜0.5質量部である。
【0060】
(A)一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物とは異なる核剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、4−tert−ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウムおよび2ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシレート等のカルボン酸金属塩、ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、およびビス(ジメチルベンジリデン)ソルビトール等の多価アルコール誘導体、N,N’,N”−トリス[2−メチルシクロヘキシル]−1,2,3−プロパントリカルボキサミド、N,N’,N”−トリシクロヘキシル−1,3,5−ベンゼントリカルボキサミド、N,N’−ジシクロヘキシルナフタレンジカルボキサミド、1,3,5−トリ(ジメチルイソプロポイルアミノ)ベンゼン等のアミド化合物等を挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。核剤を配合する場合の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、(A)一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物との合計量が0.001〜10質量部、より好ましくは、0.006〜5質量部の範囲内である。
【0061】
充填剤としては、例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ガラス粉末、ガラス繊維、クレー、ドロマイト、シリカ、アルミナ、チタン酸カリウムウィスカー、ワラステナイト、繊維状マグネシウムオキシサルフェート等を挙げることができ、粒子径(繊維状においては繊維径や繊維長およびアスペクト比)を適宜選択して用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。また、充填剤は、必要に応じて表面処理したものを用いることができる。充填剤を配合する場合の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、1〜80質量部、より好ましくは、3〜50質量部、さらに好ましくは、5〜40質量部である。
【0062】
難燃剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジル−2,6−ジキシレニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、(1−メチルエチリデン)−4,1−フェニレンテトラフェニルジホスフェート、1,3−フェニレンテトラキス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート、株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブFP−500」、「アデカスタブFP−600」、「アデカスタブFP−800」の芳香族リン酸エステル、フェニルホスホン酸ジビニル、フェニルホスホン酸ジアリル、フェニルホスホン酸(1−ブテニル)等のホスホン酸エステル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド誘導体等のホスフィン酸エステル、ビス(2−アリルフェノキシ)ホスファゼン、ジクレジルホスファゼン等のホスファゼン化合物、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン、ポリリン酸ピペラジン、リン含有ビニルベンジル化合物および赤リン等のリン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビステトラブロモフタルイミド、1,2−ジブロモ−4−(1,2−ジブロモエチル)シクロヘキサン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリスチレンおよび2,4,6−トリス(トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、トリブロモフェニルマレイミド、トリブロモフェニルアクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、テトラブロモビスフェノールA型ジメタクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、および、臭素化スチレン等の臭素系難燃剤等を挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。これら難燃剤はフッ素樹脂等のドリップ防止剤や多価アルコール、ハイドロタルサイト等の難燃助剤と併用することが好ましい。難燃剤を配合する場合の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、1〜100質量部、より好ましくは、10〜70質量部である。
【0063】
滑剤としては、成形体表面に滑性を付与し傷つき防止効果を高める目的で加えられる。滑剤としては、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;ベヘン酸アミド、ステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド、ブチルステアレート、ステアリルアルコール、ステアリン酸モノグリセライド、ソルビタンモノパルミチテート、ソルビタンモノステアレート、マンニトール、ステアリン酸、硬化ひまし油、ステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。滑剤を配合する場合の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.01〜2質量部、より好ましくは、0.03〜0.5質量部である。
【0064】
ハイドロタルサイト類としては、天然物や合成物として知られるマグネシウム、アルミニウム、水酸基、炭酸基および任意の結晶水からなる複合塩化合物であり、マグネシウムまたはアルミニウムの一部をアルカリ金属や亜鉛等他の金属で置換したものや水酸基、炭酸基を他のアニオン基で置換したものが挙げられ、具体的には、例えば、下記一般式(4)で表されるハイドロタルサイトの金属をアルカリ金属に置換したものが挙げられる。また、Al―Li系のハイドロタルサイト類としては、下記一般式(5)で表される化合物も用いることができる。
【0065】
ここで、一般式(4)中、x1およびx2はそれぞれ下記式、
0≦x2/x1<10,2≦x1+x2≦20
で表される条件を満たす数を表し、pは0または正の数を表す。
【0066】
ここで、一般式(5)中、A
q−は、q価のアニオンを表し、pは0または正の数を表す。また、これらハイドロタルサイト類における炭酸アニオンは、一部を他のアニオンで置換したものでもよい。
【0067】
ハイドロタルサイト類は、結晶水を脱水したものであってもよく、ステアリン酸等の高級脂肪酸、オレイン酸アルカリ金属塩等の高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩等の有機スルホン酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステルまたはワックス等で被覆されたものであってもよい。
【0068】
ハイドロタルサイト類は、天然物であってもよく、また合成品であってもよい。ハイドロタルサイト類の合成方法としては、特公昭46−2280号公報、特公昭50−30039号公報、特公昭51−29129合公報、特公平3−36839号公報、特開昭61−174270号公報、特開平5−179052号公報等に記載されている公知の方法が挙げられる。また、ハイドロタルサイト類は、その結晶構造、結晶粒子等に制限されることなく使用することができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。ハイドロタルサイト類を配合する場合の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001〜5質量部、より好ましくは、0.01〜3質量部である。
【0069】
帯電防止剤としては、例えば、脂肪酸第四級アンモニウムイオン塩、ポリアミン四級塩等のカチオン系帯電防止剤;高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールEO付加物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アニオン型のアルキルスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキシド付加物硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキシド付加物リン酸エステル塩等のアニオン系帯電防止剤;多価アルコール脂肪酸エステル、ポリグリコールリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル等のノニオン系帯電防止剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性型アルキルベタイン、イミダゾリン型両性活性剤等の両性帯電防止剤が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。帯電防止剤を配合する場合の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.03〜2質量部、より好ましくは、0.1〜0.8質量部である。
【0070】
顔料としては、市販の顔料を用いることもでき、例えば、ピグメントレッド1、2、3、9、10、17、22、23、31、38、41、48、49、88、90、97、112、119、122、123、144、149、166、168、169、170、171、177、179、180、184、185、192、200、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254;ピグメントオレンジ13、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、65、71;ピグメントイエロー1、3、12、13、14、16、17、20、24、55、60、73、81、83、86、93、95、97、98、100、109、110、113、114、117、120、125、126、127、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、166、168、175、180、185;ピグメントグリーン7、10、36;ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、22、24、29、56、60、61、62、64;ピグメントバイオレット1、15、19、23、27、29、30、32、37、40、50等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0071】
染料としては、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料、スチルベン染料、チアゾール染料、ナフトール染料、キノリン染料、ニトロ染料、インダミン染料、オキサジン染料、フタロシアニン染料、シアニン染料等の染料等が挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0072】
蛍光増白剤とは、太陽光や人工光の紫外線を吸収し、これを紫〜青色の可視光線に変えて輻射する蛍光作用によって、成形体の白色度や青味を助長させる化合物である。蛍光増白剤としては、スチルオキサゾール系化合物C.I.Fluorescent Brightner184;クマリン系化合物C.I.Fluorescent Brightner52;ジアミノスチルベンジスルフォン酸系化合物C.I.Fluorescent Brightner24、85、71等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。蛍光増白剤を用いる場合の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.00001〜0.1質量部、より好ましくは、0.00005〜0.05質量部である。
【0073】
本発明の樹脂組成物を成形する場合、公知の成形方法を用いて成形することができる。例えば、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、真空成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法、スラッシュ成形法、ディップ成形法、発泡成形法等を用いて成形品を得ることができる。
【0074】
本発明の樹脂組成物の用途としては、バンパー、ダッシュボード、インパネ等自動車材料、冷蔵庫、洗濯機、掃除機等のハウジング用途、食器、バケツ、入浴用品等の家庭用品、玩具等の雑貨品、タンク類等の貯蔵、保存用容器等の成形品や、フィルム、繊維等が挙げられる。
【0075】
次に、本発明の他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物について説明する。
また、本発明の他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、(A)上記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物0.001〜10質量部、(B)上記一般式(2)で表される脂肪酸ナトリウム、(C)熱可塑性エラストマー1〜80質量部、および(D)充填剤1〜80質量部を含有する樹脂組成物である。本実施の形態に係る樹脂組成物においては、(A)成分に対し、(B)成分が、質量比で(B)/(A)=0.55〜2.0の範囲である。かかる要件を満足することで、耐衝撃性と剛性とを高度に両立させた成形体を得ることができる樹脂組成物となる。本実施の形態においては、本発明の樹脂添加剤組成物を用いてもよい。また、熱可塑性樹脂についても、上述のものを用いることができる。
【0076】
<(C)熱可塑性エラストマー>
本発明の他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物に係る(C)熱可塑性エラストマーは、公知の熱可塑性エラストマーであれば制限はないが、エチレンと他の単量体の共重合であるものが、ポリオレフィン系樹脂との相溶性に優れるので好ましい。
【0077】
他の単量体としては、直鎖または分岐を有する炭素原子数3〜20のα−オレフィン、炭素原子数8〜20の芳香族ビニル化合物、その他のビニル化合物、共役ジエン、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。これら他の単量体は、1種類であってもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0078】
炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3−エチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられ、好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが挙げられる。
【0079】
炭素原子数8〜20の芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、好ましくは、モノまたはポリアルキルスチレンが挙げられる。
【0080】
その他のビニル化合物としては、ハロゲン化オレフィン、不飽和アミン、不飽和カルボン酸、ビニルエステル、不飽和エポキシ化合物、エチレン性不飽和シラン化合物等が挙げられる。
【0081】
ここで、ハロゲン化オレフィンとは、上記のα−オレフィンに、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子を付加したものを表す。
【0082】
不飽和アミンとしては、アリルアミン、5−ヘキセンアミン、6−ヘプテンアミン等が挙げられる。
【0083】
不飽和カルボン酸としては、例えば、プロピオン酸、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、6−ヘプテン酸、7−オクテン酸、8−ノネン酸、9−デセン酸、10−ウンデセン酸等が挙げられ、ハロゲン原子で置換されたものであってもよい。
【0084】
ビニルエステルとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、トリメチル酢酸ビニル、ペンタン酸ビニル、デカン酸ビニル、ウンデシル酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、ペンタデシル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサテート酸ビニル(炭素原子数9〜11のカルボン酸混合物)等の脂肪族ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等が挙げられる。好ましいビニルエステルとしては、炭素原子数3〜20、より好ましくは炭素原子数4〜10であるビニルエステルが挙げられ、さらに好ましくは、酢酸ビニルが挙げられる。
【0085】
不飽和エポキシ化合物としては、例えば、4−エポキシ−1−ブテン、5−エポキシ−1−ペンテン、6−エポキシ−1−ヘキセン、7−エポキシ−1−ヘプテン、8−エポキシ−1−オクテン、9−エポキシ−1−ノネン、10−エポキシ−1−デセン、11−エポキシ−1−ウンデセン等が挙げられる。
【0086】
エチレン性不飽和シラン化合物としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0087】
共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−メチルペンタジエン、4−メチルペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン等が挙げられる。
【0088】
メタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルペンチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−オクタデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0089】
アクリル酸アルキルエステルとしては、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−(n−プロポキシ)エチルアクリレート、2−(n−ブトキシ)エチルアクリレート、3−メトキシプロピルアクリレート、3−エトキシプロピルアクリレート、2−(n−プロポキシ)プロピルアクリレート、2−(n−ブトキシ)プロピルアクリレート等が挙げられる。
【0090】
本発明の他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物において、(C)熱可塑性エラストマーは、これらの単量体を単独でエチレンと共重合したものであってもよく、二種以上の単量体を組み合わせて、エチレンと共重合したものであってもよい。
【0091】
本発明の他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物において、(C)熱可塑性エラストマーの具体例としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−オクテン共重合体等のブロックまたはランダム共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
【0092】
エチレンと他の単量体の組み合わせ以外の熱可塑性エラストマーとしては、例えば、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリウレタン等が挙げられる。
【0093】
本発明の他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物においては、エチレン−α−オレフィン共重合体が、オレフィン樹脂との相溶性に優れるので好ましい。また、エチレンとビニルエステルとの共重合体も好ましい。
【0094】
本発明の他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物においては、これらの熱可塑性樹脂および(C)熱可塑性エラストマーは、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上を併せて使用してもよい。また、アロイ化されていてもよい。なお、これらの熱可塑性樹脂および(C)熱可塑性エラストマーは、分子量、重合度、密度、軟化点、溶媒への不溶分の割合、立体規則性の程度、触媒残渣の有無、原料となるモノマーの種類や配合比率、重合触媒の種類(例えば、チーグラー触媒、メタロセン触媒等)等に関わらず使用することができる。
【0095】
本発明の他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物において、(C)熱可塑性エラストマーの配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、1〜80質量部であり、3〜50質量部が好ましく、5〜40質量部がより好ましい。1質量部より少ないと配合した効果が得られない場合があり、80質量部を超える場合、低温環境下での耐衝撃強度が不十分になる場合がある。
【0096】
本発明の他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物を自動車内外装材、電気・電子部品用のハウジング材料用途に用いる場合、樹脂組成物中の(C)熱可塑性エラストマーが、1〜30質量%含有していることが好ましい。1質量%未満では、熱可塑性エラストマーを添加効果が得られない場合があり、30質量%を超える場合、成形品の物性が低下する場合がある。
【0097】
<(D)充填剤>
本発明の他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物において、(D)充填剤は、熱可塑性樹脂組成物に用いられる公知の充填剤を制限なく用いることができる。充填剤としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム繊維、シリカ、クレー、カオリン、アルミナ、カーボンブラック、ガラス繊維等が挙げられ、成形体の力学特性の点から、特にタルクが好ましい。また、タルクは、微粉化や微粒子化等の処理をされていてもよい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0098】
(D)充填剤の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、1〜80質量部であり、より好ましくは、3〜50質量部、さらに好ましくは、5〜40質量部である。1質量部より少ない場合は、(D)充填剤の添加効果が得られない場合があり、80質量部を超えると、本発明の効果が得られない場合がある。
【0099】
本発明の他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物を自動車内外装材、電気・電子部品用のハウジング材料用途に用いる場合、樹脂組成物中の(D)充填剤が、1〜30質量%含有していることが好ましい。1質量%未満では、(D)充填剤の添加効果が得られない場合があり、30質量%を超える場合、成形品の物性が低下する場合がある。
【0100】
本発明の他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物において、(A)成分、(B)成分および(D)成分を熱可塑性樹脂に配合する方法は、特に制限を受けず、一般に用いられる方法、例えば、熱可塑性樹脂の粉末もしくはペレットと、各成分をドライブレンドする方法、または、各成分のいずれかを高濃度で含有するマスターバッチを作製し、これを熱可塑性樹脂に添加する方法、本発明の樹脂組成物をペレット形状に加工して熱可塑性樹脂に添加する方法が挙げられる。また、各成分を同時にオレフィン系樹脂に添加してもよく、別々に添加するものであってもよい。
【0101】
ペレット形状に加工する方法としては、例えば、(A)成分、(B)成分および(D)成分を、バインダーおよび必要に応じて任意の添加剤を混合した混合物を加熱して、融解状態のバインダーの存在下で混合することによって製造することができる。バインダーとしては、(A)、(B)、(D)成分よりも融点が低く、かつ通常の樹脂添加剤として用いられる化合物が好ましい。バインダーとしては、例えば、フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。加工条件、加工機器等については何ら限定されることなく、周知一般の加工方法、加工機器を使用することができる。具体的な製造方法としては、ディスクペレッター法、押出法等が挙げられる。
【0102】
本発明の他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物においても、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、任意で公知の樹脂添加剤(例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン化合物、(A)成分とは異なる核剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、ハイドロタルサイト類、脂肪酸金属塩、帯電防止剤、顔料、蛍光増白剤、染料等)を含有させてもよい。
【0103】
(A)一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物と異なる核剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、4−tert−ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウムおよび2ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシレート等のカルボン酸金属塩、ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、およびビス(ジメチルベンジリデン)ソルビトール等の多価アルコール誘導体、N,N’,N”−トリス[2−メチルシクロヘキシル]−1,2,3−プロパントリカルボキサミド、N,N’,N”−トリシクロヘキシル−1,3,5−ベンゼントリカルボキサミド、N,N’−ジシクロヘキシルナフタレンジカルボキサミド、1,3,5−トリ(ジメチルイソプロポイルアミノ)ベンゼン等のアミド化合物等を挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。核剤を配合する場合の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、(A)一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物との合計量が0.001〜10質量部、より好ましくは、0.006〜0.5質量部の範囲内である。
【0104】
本発明の他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物を成形する場合、公知の成形方法を用いて成形することができる。例えば、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、真空成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法、スラッシュ成形法、ディップ成形法、発泡成形法等を用いて成形品を得ることができる。
【0105】
本発明の他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物の用途としては、バンパー、ダッシュボード、インパネ等自動車材料、冷蔵庫、洗濯機、掃除機等のハウジング用途、食器、バケツ、入浴用品等の家庭用品、玩具等の雑貨品、タンク類等の貯蔵、保存用容器等の成形品や、フィルム、繊維等が挙げられる。
【0106】
次に、本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物について説明する。
さらに、本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、(A)一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物0.001〜10質量部、(B)一般式(2)で表される脂肪酸ナトリウム、および(E)下記一般式(3)で表されるホスファイト化合物0.01〜10質量部を含有する樹脂組成物であって、質量比で(B)/(A)が、0.55〜2.0の範囲である。かかる要件を満足することで、優れた結晶化作用を有し、かつ、熱履歴による変色防止効果に優れた成型体を提供することができる樹脂組成物となる。本実施の形態においても、本発明の樹脂添加剤組成物を用いてもよい。また、熱可塑性樹脂についても、上述のものを用いることができる。
【0107】
<(E)一般式(3)で表されるホスファイト化合物>
本発明の樹脂組成物に係るホスファイト化合物は、下記式(3)、
で表され、式(3)中、R
7、R
8は、各々独立して、炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子数6〜40のアリール基を表す。
【0108】
一般式(3)中、R
7およびR
8で表される炭素原子数1〜40のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、シクロプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、iso−ブチル、ペンチル、iso−ペンチル、tert−ペンチル、シクロペンチル、4−エチル−2−メチルへプチル、ヘキシル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、2,4−ジメチルヘキシル、シクロヘキシル、1,2,4−トリメチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、iso−ヘプチル、tert−ヘプチル、1−オクチル、iso−オクチル、tert−オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、イコシル、アダマンチル、ノルボルニル等が挙げられる。
【0109】
炭素原子数6〜40のアリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、フルオレニル、インデニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−ビニルフェニル、3−iso−プロピルフェニル、4−iso−プロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−iso−ブチルフェニル、4−tert−ブチル−フェニル、4−ヘキシルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、4−オクチルフェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニル、4−ステアリルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル、2,5−ジ−tert−ブチルフェニル、2,6−ジ−tert−ブチルフェニル、2,4−ジ−tert−ペンチルフェニル、2,5−ジ−tert−アミルフェニル、2,5−ジ−tert−オクチルフェニル、2,4−ジクミルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、(1,1’−ビフェニル)−4−イル、2,4,5−トリメチルフェニル、フェロセニル等が上げられる。
【0110】
一般式(3)で表されるホスファイト化合物の具体例としては、例えば、ビス(ジイソデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
【0111】
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物においては、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが、熱安定化効果に特に優れるので好ましい。
【0112】
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物においては、ホスファイト化合物は分子量が、300〜1,000である化合物が好ましく、400〜700の範囲がより好ましい。分子量が300より小さいと、樹脂中から揮散しやすくなり、成形品の外観を損なう場合があり、分子量が1,000を超えると、熱安定化効果が乏しくなる場合がある。
【0113】
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物においては、熱可塑性樹脂に対する(E)一般式(3)で表されるホスファイト化合物の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.01〜0.5質量部がより好ましい。配合量が、0.01質量部未満の場合、本発明の効果が得られない場合があり、10質量部を超えると、熱可塑性樹脂中への分散が困難になり、成形品の物性や外観に悪影響する場合がある。
【0114】
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物において、(A)成分、(B)成分および(E)成分を熱可塑性樹脂に配合する方法は、特に制限を受けず、一般に用いられる方法、例えば、熱可塑性樹脂の粉末もしくはペレットと、各成分をドライブレンドする方法、または、各成分のいずれかを高濃度で含有するマスターバッチを作製し、これを熱可塑性樹脂に添加する方法、本発明の樹脂組成物をペレット形状に加工して熱可塑性樹脂に添加する方法が挙げられる。また、各成分を同時にオレフィン系樹脂に添加してもよく、別々に添加するものであってもよい。
【0115】
ペレット形状に加工する方法としては、例えば、(A)成分、(B)成分および(E)成分を、バインダーおよび必要に応じて任意の添加剤を混合した混合物を加熱して、融解状態のバインダーの存在下で混合することによって製造することができる。バインダーとしては、(A)、(B)、(E)成分よりも融点が低く、かつ通常の樹脂添加剤として用いられる化合物が好ましい。バインダーとしては、例えば、フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。加工条件、加工機器等については何ら限定されることなく、周知一般の加工方法、加工機器を使用することができる。具体的な製造方法としては、ディスクペレッター法、押出法等が挙げられる。
【0116】
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物においても、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、任意で公知の樹脂添加剤(例えば、フェノール系酸化防止剤、(E)一般式(3)で表されるホスファイト化合物とは異なるホスファイト化合物、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン化合物、(A)一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物とは異なる核剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、充填材、ハイドロタルサイト類、帯電防止剤、顔料、染料等)を含有させてもよい。
【0117】
(E)成分とは異なるホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジイソオクチルホスファイト、ヘプタキス(ジプロピレングリコール)トリホスファイト、トリイソデシルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジイソオクチルフェニルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジフェニルホスファイト、トリス(ジプロピレングリコール)ホスファイト、ジオレイルヒドロゲンホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(トリデシル)ホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジノニルフェニルビス(ノニルフェニル)ホスファイト、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト、テトラフェニルジプロピルグリコールジホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−tert−ブチル−4−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリ(デシル)ホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールとステアリン酸カルシウム塩との混合物、アルキル(C10)ビスフェノールAホスファイト、テトラフェニル−テトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2―tert−ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、(1−メチル−1―プロペニル−3−イリデン)トリス(1,1−ジメチルエチル)−5−メチル−4,1−フェニレン)ヘキサトリデシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス−tert−ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、3,9−ビス(4−ノニルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスフェススピロ[5,5]ウンデカン、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル−2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールホスファイト、ポリ4,4’−イソプロピリデンジフェノールC12−15アルコールホスファイト等が挙げられる。(E)成分とは異なるホスファイト化合物を配合する場合の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、(E)一般式(3)で表されるホスファイト化合物との合計量が、0.001〜10質量部が好ましく、0.01〜0.5質量部がより好ましい。
【0118】
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物を成形する場合、公知の成形方法を用いて成形することができる。例えば、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、真空成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法、スラッシュ成形法、ディップ成形法、発泡成形法等を用いて成形品を得ることができる。
【0119】
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物の用途としては、バンパー、ダッシュボード、インパネ等自動車材料、冷蔵庫、洗濯機、掃除機等のハウジング用途、食器、バケツ、入浴用品等の家庭用品、玩具等の雑貨品、タンク類等の貯蔵、保存用容器等の成形品や、フィルム、繊維等が挙げられる。
【0120】
次に、本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物について説明する。
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、(A)一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物0.001〜10質量部、(B)一般式(2)で表される脂肪酸ナトリウム、および(F)難燃剤1〜100質量部を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、(A)成分に対し、(B)成分が、質量比で(B)/(A)=0.55〜2.0の範囲である。かかる要件を満足することで、高度の難燃性と優れた物性とを有する成形品を提供することができる熱可塑性樹脂組成物となる。本実施の形態においても、本発明の樹脂添加剤組成物を用いてもよい。また、熱可塑性樹脂についても、上述のものを用いることができる。
【0121】
<(F)難燃剤>
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物においては、(F)難燃剤については特に制限はなく、公知の難燃剤を用いることができる。例えば、(F)難燃剤としてはリン酸エステル系化合物を挙げることができるが、本発明の樹脂組成物においては、一般式(6)で表されるリン酸エステル系難燃剤を用いることが好ましい。
【0122】
(式(6)中、R
9、R
10、R
11およびR
12は、各々独立して、炭素原子数1〜10のアルキル基、または下記一般式(7)で表される芳香族基を表し、R
13は、下記一般式(8)、(9)または(10)で表される2価の芳香族基を表し、rは、0〜30の数を表す。)
【0123】
(式(7)中のH
1およびH
2は各々独立に、水素原子、ヒドロキシ基または炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。)
【0124】
(式(8)、(9)および(10)中、H
3、H
4、H
5、H
6、H
7、H
8、H
9、H
10、H
11およびH
12は、各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。Lは直接結合、2価の硫黄原子、スルホニル基または炭素原子数1〜5のアルキリデン基またはアルキレン基を表す。)
【0125】
式(6)中、R
9、R
10、R
11およびR
12で表される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、sec−ペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、tert−オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノニル、デシル等を挙げることができる。
【0126】
一般式(6)中、R
9、R
10、R
11およびR
12において、一般式(7)で表される芳香族基としては、例えば、フェニル、2,6−ジメチルフェニル、クレジル、キシレニル、イソプロピルフェニル、tert−ブチルフェニル、等が挙げられる。
【0127】
一般式(7)中、H
1およびH
2で表される炭素原子数1〜10のアルキル基は、前述したものと同じものが挙げられる。
【0128】
一般式(6)中のR
13は、上記一般式(8)、(9)および(10)から選択される2価の芳香族基を表す。
【0129】
一般式(8)、(9)および(10)において、H
3、H
4、H
5、H
6、H
7、H
8、H
9、H
10、H
11およびH
12で表される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、sec−ペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、tert−オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノニル、デシル等が挙げられ、好ましくは、炭素原子数1〜8のアルキル基であり、特に好ましくは、メチル、tert−ブチルである。
【0130】
一般式(8)、(9)および(10)中、H
3、H
4、H
5、H
6、H
7、H
8、H
9、H
10、H
11およびH
12で表されるシクロアルキル基としては、例えば、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。好ましくは、炭素原子数3〜7のシクロアルキル基であり、特に好ましくは、シクロヘキシルである。
【0131】
一般式(8)、(9)および(10)中、H
3、H
4、H
5、H
6、H
7、H
8、H
9、H
10、H
11およびH
12で表されるアリール基としては、例えば、フェニル、クレジル、キシリル、2,6−キシリル、2,4,6−トリメチルフェニル、ブチルフェニル、ノニルフェニル等が挙げられる。
【0132】
一般式(8)、(9)および(10)中、H
3、H
4、H
5、H
6、H
7、H
8、H
9、H
10、H
11およびH
12で表されるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等が挙げられる。
【0133】
一般式(8)、(9)および(10)中、H
3、H
4、H
5、H
6、H
7、H
8、H
9、H
10、H
11およびH
12で表されるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0134】
一般式(9)中のLは、直接結合、2価の硫黄原子、スルホニル基、または炭素原子数1〜5のアルキリデン基またはアルキレン基を表す。
【0135】
一般式(9)中のLで表される炭素原子数1〜5のアルキリデン基としては、例えば、エチリデン、イソプロピリデン、ブチリデン、イソブチリデン等が挙げられ、炭素原子数1〜5のアルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、へプチレン等が挙げられる。
【0136】
一般式(8)で表される2価の芳香族基の具体例としては、例えば、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン等が挙げられる。
【0137】
一般式(9)で表される2価の芳香族基の具体例としては、例えば、1,4’−ビフェニレン、(1−メチルエチリデン)−ジ−4,1−フェニレン、4,4’−チオジフェニレン、4,4’−スルホニルジフェニレン等が挙げられる。
【0138】
一般式(10)で表される2価の芳香族基の具体例としては、例えば、1,5−ナフチレン、2,6−ナフチレン等が挙げられる。
【0139】
また、一般式(6)におけるrは、0〜30の数を表し、縮合物であるリン酸エステル系化合物はより難燃性が高い。本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物においては、rは、1〜10がより好ましく、1〜5がより好ましい。
【0140】
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物において、一般式(6)で表されるリン酸エステル系難燃剤の具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ビス(t−ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、および下記に示す化合物が挙げられる。ただし、本発明の樹脂組成物は、これらの例示した化合物によって制限されるものではない。
【0142】
リン酸エステル系難燃剤の製品としては、例えば、株式会社ADEKA製「アデカスタブPFR」、「アデカスタブFP−500」、「アデカスタブFP−600」、「アデカスタブFP−700」、「アデカスタブFP−800」、「アデカスタブFP−900」、大八化学工業株式会社製「CR−504L」、「CR−570」、味の素ファインテクノ株式会社製「クロニテックスTXP」、「デュラッドTXP」、「レオフォス35」、「レオフォス50」、「レオフォス65」、「レオフォス95」、「レオフォス110」等が挙げられる。
【0143】
次に、本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物には、臭素系難燃剤を用いることもできる。本発明の樹脂組成物においては、臭素系難燃剤は特に制限なく公知であるものを用いることができる。難燃性や入手の容易さの点から、臭素化ジフェニル化合物、臭素化ビスフェノール系化合物、臭素化ビスフェノール−ビス(アルキルエーテル)系化合物、臭素化フタルイミド系化合物、臭素化トリアジン系化合物、臭素化熱可塑性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有するものが好ましい。
【0144】
臭素化ジフェニル化合物としては、例えば、臭素化ジフェニルエーテル系化合物、臭素化ジフェニルアルカン系化合物、臭素化ジフェニルケトン系化合物等が挙げられる。これらの中でもデカブロモジフェニルエーテルやオクタブロモジフェニルエーテル等の臭素化ジフェニルエーテル系化合物、デカブロモジフェニルエタン等のハロゲン化ジフェニルアルカン化合物が好ましい。
【0145】
臭素化ビスフェノール系化合物としては、例えば、臭素化ビスフェニルアルカン類、臭素化ビスフェニルエーテル類、臭素化ビスフェニルチオエーテル類、臭素化ビスフェニルスルフォン類、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂の分子鎖末端のグリシジル基の一部または全部を封止した変性物、臭素化ビスフェノールAから合成したポリカーボネートオリゴマー等が挙げられる。これらの中でもテトラブロモビスフェノールA等の臭素化ビスフェニルアルカン類、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルフォン等のハロゲン化ビスフェニルチオエーテル類が好ましい。
【0146】
臭素化ビスフェノール−ビス(アルキルエーテル)系化合物としては、臭素化ビスフェノールA−ビス(アルキルエーテル)、臭素化ビスフェノールS−ビス(アルキルエーテル)、臭素化ビスフェノールF−ビス(アルキルエーテル)等が挙げられる。これらの中でも2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)プロパン等の臭素化ビスフェノールA(臭素化脂肪族エーテル)、(3,5−ジブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)−(3−ブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシフェニル))スルフォン、ビス(3,5−ジブロモ−4−2,3−ジブロモプロポキシフェニル)スルフォン等の臭素化ビスフェノールS(臭素化脂肪族エーテル)が好ましい。
【0147】
臭素化フタルイミド系化合物としては、例えば、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)等が挙げられる。
【0148】
臭素化トリアジン系化合物としては、例えば、2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン等のトリス(臭素化フェノキシ)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0149】
臭素化熱可塑性樹脂としては、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリアクリレート、臭素化ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。これらの中でもポリ(トリブロモスチレン)等の臭素化ポリスチレン、ポリ(ジブロモフェニレンオキシド)等の臭素化ポリフェニレンエーテルが好ましい。
【0150】
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物において、(F)難燃剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、1〜100質量部であり、10〜70質量部がより好ましい。1質量部未満では十分な難燃化効果が得られず、100質量部を超えると樹脂物性を低下させる場合がある。
【0151】
<(G)難燃助剤>
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物には、(G)難燃助剤を用いることができる。本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物においては、(G)難燃助剤としては特に制限はなく、公知のものを用いることができる。この中でも、(G)難燃助剤としての性能と入手の容易さの点から、アンチモン系化合物、ホウ素系化合物、金属酸化物、およびドリップ防止剤が好ましい。
【0152】
アンチモン系化合物としては、例えば、酸化アンチモン、アンチモン酸のアルカリ金属塩、アンチモン酸のアルカリ土類金属塩、金属アンチモン、塩化アンチモン、硫化アンチモン等が挙げられる。これらの中でも三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム等のアンチモン酸のアルカリ金属塩が好ましい。
【0153】
ホウ素系化合物としては、例えば、オルトホウ酸を含むホウ酸、メタホウ酸、過ホウ酸、次ホウ酸、ボロン、ボリン酸、四ホウ酸等が好ましく挙げられる。
【0154】
金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウムおよび酸化ケイ素等が挙げられる。これらの中でも、酸化亜鉛が好ましい。また金属酸化物は表面処理されていてもよい。
【0155】
ドリップ防止剤としては、例えば、フッ素系ドリップ防止剤やシリコンゴム類、層状ケイ酸塩等が挙げられる。
【0156】
層状ケイ酸塩としては、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ、タルク等が挙げられ、その層間に、有機カチオン、第4級アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオンがインターカレートされているものでもよい。
【0157】
ドリップ防止剤の中でも、特にフッ素系のドリップ防止剤が好ましい。フッ素系のドリップ防止剤の具体例としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素系樹脂やパーフルオロメタンスルホン酸ナトリウム塩、パーフルオロ−n−ブタンスルホン酸カリウム塩、パーフルオロ−t−ブタンスルホン酸カリウム塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム塩、パーフルオロ−2−エチルヘキサンスルホン酸カルシウム塩等のパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩化合物またはパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。上記フッ素系のドリップ防止剤の中でも、ドリップ防止性の点から、ポリテトラフルオロエチレンが、特に、好ましい。
【0158】
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物において、(G)難燃助剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、1〜30質量部であり、3〜30質量部であることがより好ましい。1質量部未満では十分な難燃助剤効果が得られず、30質量部を超えると樹脂の特性を低下させる場合がある。
【0159】
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物において、(A)成分、(B)成分および(F)成分を熱可塑性樹脂に配合する方法は、特に制限を受けず、一般に用いられる方法、例えば、熱可塑性樹脂の粉末もしくはペレットと、各成分をドライブレンドする方法、または、各成分のいずれかを高濃度で含有するマスターバッチを作製し、これを熱可塑性樹脂に添加する方法、本発明の樹脂組成物をペレット形状に加工して熱可塑性樹脂に添加する方法が挙げられる。また、各成分を同時にオレフィン系樹脂に添加してもよく、別々に添加するものであってもよい。
【0160】
ペレット形状に加工する方法としては、例えば、(A)成分、(B)成分および(F)成分を、バインダーおよび必要に応じて任意の添加剤を混合した混合物を加熱して、融解状態のバインダーの存在下で混合することによって製造することができる。バインダーとしては、(A)、(B)、(F)成分よりも融点が低く、かつ通常の樹脂添加剤として用いられる化合物が好ましい。バインダーとしては、例えば、フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。加工条件、加工機器等については何ら限定されることなく、周知一般の加工方法、加工機器を使用することができる。具体的な製造方法としては、ディスクペレッター法、押出法等が挙げられる。
【0161】
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物においても、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、任意で公知の樹脂添加剤(例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン化合物、(A)一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物とは異なる核剤、滑剤、充填剤、ハイドロタルサイト類、帯電防止剤、顔料、蛍光増白剤、染料等)を含有させてもよい。
【0162】
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物を成形する場合、公知の成形方法を用いて成形することができる。例えば、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、真空成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法、スラッシュ成形法、ディップ成形法、発泡成形法等を用いて成形品を得ることができる。
【0163】
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物の用途としては、バンパー、ダッシュボード、インパネ等自動車材料、冷蔵庫、洗濯機、掃除機等のハウジング用途、食器、バケツ、入浴用品等の家庭用品、玩具等の雑貨品、タンク類等の貯蔵、保存用容器等の成形品や、フィルム、繊維等が挙げられる。
【0164】
次に、本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物について説明する。
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、(A)上記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物が0.001〜10質量部、(B)上記一般式(2)で表される脂肪酸ナトリウム、および(H)光安定剤0.001〜10質量部を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、(A)成分に対し、(B)成分が、質量比で(B)/(A)が、0.55〜2.0である。かかる要件を満足する樹脂組成物は、光安定剤を含有しつつも、優れた核剤効果を示す熱可塑性樹脂組成物およびその成形体となる。本実施の形態においても、本発明の樹脂添加剤組成物を用いてもよい。また、熱可塑性樹脂についても、上述のものを用いることができる。
【0165】
<(H)光安定剤>
次に、本発明のさらに他の実施の形態に係る樹脂組成物に用いる(H)光安定剤について説明する。本発明のさらに他の実施の形態に係る樹脂組成物において(H)光安定剤は、(I)ヒンダードアミン化合物および/または(J)紫外線吸収剤を含有するものが好ましい。
【0166】
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物において使用可能な(I)ヒンダードアミン化合物は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジルの構造を有する化合物が挙げられ、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)ピペリジル−4−イル)セバケート、メチル(1、2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−tert−オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、セバシン酸1−メチル−10−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)およびビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートの重縮合物、ブタンテトラカルボン酸テトラメチルエステル,スピログリコールおよびN−メチルピペリジノールとのエステル、ブタンテトラカルボン酸、3−ヒドロキシ−2,2−ジメイツペンタナールおよびN−メチルピペリジノールとのエステルの重縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラメチルエステル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールおよびβ,β,β’,β’−テトラメチル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジエタノールの重縮合物、2,4−ジクロロ−6−(1,1,3,3−テトラメチルブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン重縮合物、2,4−ジクロロ−6−(1,1,3,3−テトラメチルブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、ビス{4−(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジル}デカンジオナート、ビス{4−(2,2,6,6−テトラメチル−1−ウンデシルオキシ)ピペリジル)カーボナート、BASF社製商品名「CHIMASSORB119」、BASF社製商品名「CHIMASSORB944」、BASF社製商品名「CHIMASSORB2020」、BASF社製商品名「TINUVIN XT850}、BASF社製TINUVIN NOR 371、株式会社ADEKA製商品名の「アデカスタブLA−77」、「アデカスタブLA−94」、「アデカスタブLA−402XP」「アデカスタブLA−402AF」、「アデカスタブLA−40MP」、「アデカスタブLA−502XP」等が挙げられる。
【0167】
また、本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物においては、(I)ヒンダードアミン化合物は二種以上の混合物であってもよく、これらを含有するマスターバッチであってもよい。また、(I)ヒンダードアミン化合物が常温で液状の性質を有するもの、非加熱または加熱によって流動状態になるものは、後述する担体に含浸させたものであってもよい。
【0168】
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物において、好ましく用いられる(I)ヒンダードアミン化合物として、下記一般式(11)で表される化合物について説明する。
【0169】
式(11)中、R
14は水素原子、ヒドロキシ基、炭素原子数1〜30の直鎖または分岐を有するアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルコキシ基またはオキシラジカルを表し、R
15は、直鎖または分岐を有する炭素原子数1〜31の脂肪族炭化水素基、または、下記一般式(12)で表される置換基を表し、jは1〜4の整数を表すが、R
15が一般式(12)で表される置換基である場合、jは1を表す。
【0170】
式(12)中、R
14は、式(11)と同じものを表す。
【0171】
一般式(11)において、R
14で表される直鎖または分岐を有する炭素原子数1〜30のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、sec−ペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、tert−オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、トリアコンチル等を挙げることができる。
【0172】
一般式(11)において、R
14で表される炭素原子数1〜30のヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル等、上記アルキル基のヒドロキシ基置換体を挙げることができる。
【0173】
一般式(11)において、R
14で表される炭素原子数1〜30のアルコキシ基としては、上記アルキル基に対応するメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、オクトキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ウンデシルオキシ、トリアコンタデシルオキシ等を挙げることができる。
【0174】
一般式(11)において、R
14で表される炭素原子数1〜30のヒドロキシアルコキシ基としては、例えば、ヒドロキシエチルオキシ、2−ヒドロキシプロピルオキシ、3−ヒドロキシプロピルオキシ、4−ヒドロキシブチルオキシ、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルオキシ、6−ヒドロキシヘキシルオキシ等、上記アルコキシ基のヒドロキシ置換体を挙げることができる。
【0175】
一般式(11)において、R
15で表される直鎖または分岐を有する炭素原子数1〜31の脂肪族炭化水素基は、一価、二価、三価または四価の脂肪族炭化水素基を含むものである。直鎖または分岐を有する炭素原子数1〜31の一価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、tert−アミル、シクロペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、ビシクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、イソヘプチル、tert−ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、tert−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシルウンデシル、ドデシル、トリアコンチル等のアルキル基;ビニル、1−メチルエテニル、2−メチルエテニル、2−プロペニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、イソブテニル、3−ペンテニル、4−ヘキセニル、シクロヘキセニル、ビシクロヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、デセニル、ペンタデセニル、ヘプタデセニル、エイコセニル、トリアコンテニル等のアルケニル基(二重結合の位置は、α−位であっても、内部であっても、ω−位であってもよい)等が挙げられる。
【0176】
直鎖または分岐を有する炭素原子数1〜31の二価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブチルジイル等のアルキレン;前記アルキレンのメチレン鎖が−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−で置き換えられたもの;エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等のジオールの残基;エタンジチオール、プロパンジチオール、ブタンジチオール、ペンタンジチオール、ヘキサンジチオール等のジチオールの残基等が挙げられる。
【0177】
直鎖または分岐を有する炭素原子数1〜31の三価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、プロパントリイル、ブタントリイル、ヘプタントリイル等のアルカントリイル基、ブテントリイル、ヘプテントリイル等のアルケントリイル基、プロピリジン、1,1,3−ブチリジン等のアルキリジン等が挙げられる。
【0178】
直鎖または分岐を有する炭素原子数1〜31の四価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、ブタンテトライル、ペンタンテトライル、オクタンテトライル等のアルカンテトライル基、ペンテンテトライル、ヘプテンテトライル、オクテンテトライル等のアルケンテトライル基が挙げられる。
【0179】
一般式(11)で表されるヒンダードアミン化合物の具体的な構造としては、例えば、下記の化合物を挙げることができる。ただし、本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物は、以下の化合物により何ら制限を受けるものではない。なお、一般式(11)中のR
15が、R
Aである化合物は、R
15が炭素原子数15〜17のアルキル基であるヒンダードアミン化合物の混合物を表し、上記一般式(11)中のR
15がR
Bである化合物は、R
15が炭素原子数13〜19のアルキル基であるヒンダードアミン化合物の混合物を表す。
【0181】
一般式(11)で表される化合物を用いた商品としては、Cytec社製「Cyasorb UV−3808PP5」、「Cyasorb Cynergy V−703」、株式会社ADEKA製の「アデカスタブLA−77」、「アデカスタブLA−81」、「アデカスタブLA−402AF」(マスターバッチ)、「アデカスタブLA−402XP」(マスターバッチ)等が挙げられる。
【0182】
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物において、好ましく用いられる(I)ヒンダードアミン化合物として、下記一般式(13)〜(16)で表される化合物が挙げられる。
【0183】
式(13)中、R
14は、式(11)と同じものを表す。
【0184】
式(14)中、複数のR
14は、式(11)と同じものを表し、Yは、直接結合またはメチレン基を表し、kは1〜20の整数を表す。
【0185】
式(15)中、R
14は、式(11)と同じものを表し、R
16は、直鎖または分岐を有する炭素原子数1〜31のアルキル基、直鎖または分岐を有する炭素原子数2〜31のアルケニル基、2,2,6,6−テトラメチルピペリジル基、または、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル基を表し、lは2〜20の整数を表す。
【0186】
式(16)中、mは、2〜20の数を表す。
【0187】
一般式(13)で表される化合物を用いた商品としては、株式会社ADEKA製「アデカスタブLA−52」、「アデカスタブLA−57」、「アデカスタブLA−502XP」(マスターバッチ)等が挙げられる。
【0188】
一般式(14)で表される化合物を用いた商品としては、株式会社ADEKA製「アデカスタブLA−63P」、「アデカスタブLA−68」等が挙げられる。
【0189】
一般式(15)で表される化合物を用いた商品としては、株式会社ADEKA製の「アデカスタブLA−94」、BASF社製「Chimassorb944」、「Tinuvin783」、「Tinuvin791」、「Irgastab FS−210」、「Irgastab FS−410」等が挙げられる。
【0190】
一般式(16)で表される化合物を用いた商品としては、BASF社製「Tinuvin622」、「Tinuvin111」、「Tinuvin783」等が挙げられる。
【0191】
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物において、(I)ヒンダードアミン化合物を配合する場合の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは、0.01〜0.5質量部である。
【0192】
次に、本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物に用いる(J)紫外線吸収剤について説明する。本発明において(J)紫外線吸収剤は、公知の化合物であれば特に限定されず用いることができる。具体的な化合物としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−tert−オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチルヒドロキシ−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−アクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−tert−ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−tert−オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−tert−ブチルフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−tert−アミル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ビス(4−ブトキシ−2−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−3,5−ジブトキシフェノール、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(3−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェノール、2−(4,6−ジ([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−メチルヘキシル−2−(4,(4,6−ジ([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−3−ヒドロキシフェノキシ)プロパノエート等のフェノール含有トリアジン類;2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)、1,4−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)−ブタン等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクチル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ドデシル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、テトラデシル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ヘキサデシル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、オクタデシル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ベヘニル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2’−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、4−(2−シアノ−3−(4−エチルフェノキシ)−3−オキソプロペニル)フェニル−4−プロピルシクロヘキサン−1−カルボキシレート、4−(2−シアノ−3−(4−エチルフェノキシ)−3−オキソプロペニル)フェニル−4−プロピルベンゾエート、4−ブチルフェニル−4−(2−シアノ−3−オキソ−3−(4−プロピルフェノキシ)プロペニル)ベンゾエート、4−(2−シアノ−3−(4−シアノフェノキシ)−3−オキソプロペニル)フェニル−4−ペンチルベンゾエート、4−(2−シアノ−3−(4−フルオロフェノキシ)−3−オキソプロペニル)フェニル−4−メチルシクロヘキサン−1−カルボキシレート、4−(2−シアノ−3−(4−メトキシフェノキシ)−3−オキソプロペニル)フェニル−4−ヘキシルシクロヘキサン−1−カルボキシレート、4−(2−シアノ−3−(4−エトキシフェノキシ)−3−オキソプロペニル)フェニル−4−オクチルシクロヘキサン−1−カルボキシレート、4−(2−シアノ−3−オキソ−3−(4−プロポキシフェノキシ)プロペニル)フェニル−4−プロピルシクロヘキサン−1−カルボキシレート、4−(2−シアノ−3−オキソ−3−(4−ペンチルフェノキシ)プロペニル)フェニル−4−プロピルシクロヘキサン−1−カルボキシレート、4−(2−シアノ−3−(4−オクチルフェノキシ)−3−オキソプロペニル)−4−プロピルシクロヘキサン−1−カルボキシレート、1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス−[[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル]プロパン等のシアノアクリレート類;4−tert−ブチルフェニルサリシレート、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸類)各種の金属塩、または金属キレート、特にニッケル、クロムの塩、またはキレート類が挙げられる。
【0193】
また、本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物においては、(J)紫外線吸収剤は二種以上の混合物であってもよく、これらを含有するマスターバッチであってもよい。また、紫外線吸収剤が常温で液状の性質を有するもの、非加熱または加熱によって流動状態になるものは、後述する担体に含浸させたものであってもよい。
【0194】
本発明においては、(J)紫外線吸収剤は、下記一般式(17)〜(21)で表される化合物が好ましく用いられる。
【0196】
ここで、R
17およびR
18は、各々独立して、水素原子、塩素原子、または、直鎖または分岐を有する炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R
19およびR
20は、各々独立して、水素原子、または、直鎖または分岐を有する炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜18のヒドロキシアルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、炭素原子数1〜18のヒドロキシアルコキシ基、炭素原子数7〜30のアルキルアリール基を表し、R
21、R
22は各々独立に、水素原子、または、直鎖または分岐を有する炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。
【0198】
ここで、R
26は、水素原子、塩素原子、または、直鎖または分岐を有する炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R
24、R
25は各々独立に、水素原子、直鎖または分岐を有する炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜18のヒドロキシアルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、炭素原子数1〜18のヒドロキシアルコキシ基、炭素原子数7〜30のアルキルアリール基を表し、nは1または2を表し、
nが1の場合、R
23は、水素原子、直鎖または分岐を有する炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜18のヒドロキシアルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、炭素原子数1〜18のヒドロキシアルコキシ基、炭素原子数7〜30のアルキルアリール基を表し、
nが2の場合、R
23は、炭素原子数1〜20のアルカンジイル基を表し、R
24、R
25およびR
26で表されるアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルコキシ基、アルキルアリール基およびアルカンジイル基中のメチレン基が、エチレングリコール、プロピレングリコール、−O−、−CO−、−OCO−、−COO−で置換されていてもよい。
【0200】
ここで、R
27は、直鎖または分岐を有する炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、炭素原子数3〜20のアルケニル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜30のアルキルアリール基または炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表し、
R
28は水素原子、直鎖または分岐を有する炭素原子数1〜8のアルキル基または炭素原子数3〜8のアルケニル基を表し、
R
29およびR
30は水素原子、ヒドロキシ基、直鎖または分岐を有する炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、
R
31は水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子6〜20のアリール基または−O−R
27を表し、
R
27〜R
31のアルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基中のメチレン基およびシクロアルキル基の環状構造を形成する炭素原子が、−O−、−S−、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、―NR’−で置き換わっていてもよく、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基およびアリールアルキル基の水素原子が、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、または炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換されていてもよく、R’は、水素原子または炭素原子数1〜18のアルキル基を表し、複数のR
27、R
28、R
29、R
30およびR
31は、各々、同一であってもよく、異なるものであってもよい。
【0202】
ここで、R
32は、水素原子、ヒドロキシ基、直鎖または分岐を有する炭素原子数1〜8のアルキル基を表わし、複数のR
32は、各々同一であってもよく、異なるものであってもよく、tは2〜14の数を表す。
【0204】
ここで、R
33、R
34およびR
37は各々独立に、水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、直鎖または分岐を有する炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜18のヒドロキシアルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、炭素原子数1〜18のヒドロキシアルコキシ基、炭素原子数7〜30のアルキルアリール基、炭素原子数7〜30のアルコキシアリール基、アセトフェノン、炭素原子数4〜15のアクリロイルオキシアルコキシ基または炭素原子数5〜15のメタクリロイルオキシアルコキシ基を表し、R
35、R
36は各々独立に、水素原子、ヒドロキシ基、スルホニル基、ナトリウムスルホニル基、ヒドロキシスルホニル基を表す。
【0205】
一般式(17)中、R
17,R
18,R
21およびR
22で表される直鎖または分岐を有する炭素原子数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等が挙げられる。
【0206】
一般式(17)において、R
19およびR
20で表される直鎖または分岐を有する炭素原子数1〜18のアルキル基としては、例えば、上記のアルキル基に加えて、ペンチル、sec−ペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、tert−オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル等が挙げられる。
【0207】
一般式(17)において、R
19およびR
20で表される炭素原子数1〜18のヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル等、上記アルキル基のヒドロキシ基置換体を挙げることができる。
【0208】
一般式(17)において、R
19およびR
20で表される炭素原子数1〜18のアルコキシ基としては、上記アルキル基に対応するメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、オクトキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ウンデシルオキシ、オクタデシルオキシ等を挙げることができる。
【0209】
一般式(17)において、R
19およびR
20で表される炭素原子数1〜18のヒドロキシアルコキシ基としては、例えば、ヒドロキシエチルオキシ、2−ヒドロキシプロピルオキシ、3−ヒドロキシプロピルオキシ、4−ヒドロキシブチルオキシ、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルオキシ、6−ヒドロキシヘキシルオキシ等、上記アルコキシ基のヒドロキシ置換体を挙げることができる。
【0210】
一般式(17)において、R
19およびR
20で表される炭素原子数7〜30のアルキルアリール基としては、上記アルキル基の一つの水素原子がアリール基で置換された基が挙げられ、アリール基としては、フェニル、クレジル、キシリル、2,6−キシリル、2,4,6−トリメチルフェニル、ブチルフェニル、ノニルフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル等が挙げられる。
【0211】
一般式(17)で表される化合物の具体的な構造としては、下記の化合物が挙げられる。ただし、本発明はこれらの化合物によって限定されるものではない。
【0212】
一般式(17)で表される化合物を含有する市販品としては、例えば、株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブLA−31」、「アデカスタブLA−31G」、「アデカスタブLA−31RG」、大塚化学株式会社製「RUVA−100」、Fairmout社製商品名「Mixxim BB/150」、「Mixxim BB/200」等を挙げることができる。
【0213】
一般式(18)において、R
23、R
24およびR
25で表される炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜18のヒドロキシアルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、炭素原子数1〜18のヒドロキシアルコキシ基、炭素原子数7〜30のアルキルアリール基としては、前述と同じものを表すが、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルコキシ基およびアルキルアリール基のメチレン基が、エチレングリコール、プロピレングリコール、−O−、−CO−、−OCO−、−COO−で置換されたものでもよい。
【0214】
一般式(18)において、R
23、R
24およびR
25で表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基としては、上記アリール基の一つの水素原子が上記のアルキル基で置換された基が挙げられる。
【0215】
一般式(18)において、R
23、R
24およびR
25で表される炭素原子数3〜20のアルケニル基としては、例えば、ビニル、1−メチルエテニル、2−メチルエテニル、2−プロペニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、イソブテニル、3−ペンテニル、4−ヘキセニル、シクロヘキセニル、ビシクロヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、デセニル、ペンタデセニル、エイコセニル等が挙げられる。
【0216】
一般式(18)において、R
23で表される炭素原子数1〜20のアルカンジイル基としては、例えば、メタンジイル、エタンジイル、ヘキサンジイル、オクタンジイル等が挙げられるが、アルカンジイル基のメチレン基がエチレングリコール、プロピレングリコール、−O−、−CO−、−OCO−、−COO−で置換されたものも挙げられる。具体的には、例えば、1,6−ヘキサンジイル−ジブチレート等が挙げられる。
【0217】
一般式(18)において、R
23で表される炭素原子数1〜20のアルカンジイル基としては、例えば、メタンジイル、エタンジイル、ヘキサンジイル、オクタンジイル等が挙げられるが、アルカンジイル基のメチレン基がエチレングリコール、プロピレングリコール、−O−、−CO−、−OCO−、−COO−で置換されたものも挙げられる。具体的には、例えば、1,6−ヘキサンジイル−ジブチレート等が挙げられる。
【0218】
一般式(18)で表される化合物の具体的な構造としては、下記の化合物が挙げられる。ただし、本発明はこれらの化合物によって限定されるものではない。
【0220】
一般式(18)で表される化合物を含む製品としては、例えば、株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブLA−29」、「アデカスタブLA−32」、「アデカスタブLA−36」、「アデカスタブLA−36RG」、シプロ化成株式会社製商品名「Seesorb704」、「Seesorb705」「Seesorb706」、「Seesorb707」、「Seesorb708」、「Seesorb709」、大塚化学株式会社製商品名「RUVA93」、住友化学株式会社製商品名「Sumisorb250」、BASF社製商品名「TinuvinPS」、「Tinuvin109」「Tinuvin213」、「Tinuvin234」、「Tinuvin327」、「Tinuvin328」、「Tinuvin350」、「Tinuvin384」、「Tinuvin571」、「Tinuvin1130」等が挙げられる。
【0221】
一般式(19)において、R
27で表される直鎖または分岐を有する炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、上記のアルキル基に加えて、ノナデシル、エイコデシル等が挙げられる。
【0222】
一般式(19)において、R
27で表される炭素原子数3〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等を挙げることができる。
【0223】
一般式(19)において、R
27で表される炭素原子数3〜20のアルケニル基としては、例えば、ビニル、1−メチルエテニル、2−メチルエテニル、2−プロペニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、イソブテニル、3−ペンテニル、4−ヘキセニル、シクロヘキセニル、ビシクロヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、デセニル、ペンタデセニル、エイコセニル等が挙げられる。
【0224】
一般式(19)において、R
27およびR
31で表される炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル、クレジル、キシリル、2,4−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、ブチルフェニル、ノニルフェニル、ビフェニル、インデニル、ナフチル、ジメチルナフチル、アントリル、フェナントリル等が挙げられる。
【0225】
一般式(19)において、R
27で表される炭素原子数7〜30のアルキルアリール基としては、上記アルキル基の一つの水素原子が上記アリール基で置換された基が挙げられる。
【0226】
一般式(19)において、R
27で表される炭素原子数7〜30のアリールアルキル基としては、上記アリール基の一つの水素原子が上記のアルキル基で置換された基が挙げられる。
【0227】
一般式(19)において、R
28、R
29、R
30およびR
31で表される炭素原子数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、sec−ペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、tert−オクチル等を挙げることができる。
【0228】
一般式(19)において、R
28で表される炭素原子数3〜8のアルケニル基としては、1−メチルエテニル、2−メチルエテニル、2−プロペニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、イソブテニル、3−ペンテニル、4−ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル等が挙げられる。
【0229】
一般式(19)で表される化合物は、上記のアルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基およびアリールアルキル基におけるメチレン基並びにシクロアルキル基の環状構造を形成する炭素原子が、−O−、−S−、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−NR’−に置き換わった構造を有していてもよい。
【0230】
一般式(19)で表される化合物は、上記のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基およびアリールアルキル基の水素原子が、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、直鎖または分岐を有する炭素原子数1〜12のアルキル基、または炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換されていてもよい。
【0231】
一般式(19)で表される化合物の具体的な構造としては、下記の化合物が挙げられる。ただし、本発明はこれらの化合物によって限定されるものではない。
【0233】
一般式(19)で表される化合物を含む製品としては、例えば、株式会社ADEKA製「アデカスタブLA−46」、「アデカスタブLA−F70」、Cytec社製商品名「Cyasorb1164」、BASF社製商品名「Tinuvin400」、「Tinuvin405」、「Tinuvin460」、「Tinuvin477」、「Tinuvin479」、「Tinuvin1577」、「Tinuvin1600」等が挙げられる。
【0234】
一般式(20)において、R
32で表される炭素原子数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、sec−ペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、tert−オクチル等を挙げることができる。
【0235】
一般式(20)で表される化合物の具体的な構造としては、下記の化合物が挙げられる。ただし、本発明はこれらの化合物によって限定されるものではない。
【0237】
一般式(21)において、R
33、R
34およびR
37で表される炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜18のヒドロキシアルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、炭素原子数1〜18のヒドロキシアルコキシ基、炭素原子数7〜30のアルキルアリール基としては、上記と同じものが挙げられる。
【0238】
一般式(21)において、R
33、R
34およびR
37で表される炭素原子数7〜30のアルコキシアリール基としては、上記の炭素原子数1〜18のアルコキシ基の一つの水素原子が、アリール基で置換された基が挙げられ、例えば、ベンジルオキシ等が挙げられる。
【0239】
一般式(21)において、R
33、R
34およびR
37で表される炭素原子数4〜15のアクリロイルオキシアルコキシ基または炭素原子数5〜15のメタクリロイルオキシアルコキシ基としては、(メタ)アクリロイルオキシメトキシ基、(メタ)アクリロイルオキシエトキシ基、(メタ)アクリロイル(2−ヒドロキシ)プロポキシ基が挙げられる。
【0240】
一般式(21)で表される化合物の具体的な構造としては、下記の化合物が挙げられる。ただし、本発明はこれらの化合物によって限定されるものではない。
【0242】
一般式(21)で表される化合物を含有する市販品としては、例えば、株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブ1413」、「アデカスタブLA−51」、シプロ化成株式会社製商品名「Seesorb100」、「Seesorb101」、「Seesorb104」、「Seesorb106」、「Seesorb107」、「Seesorb151」、Cytec社製商品名「Cyasorb UV−21」、「Cyasorb UV−24」、「Cyasorb UV−207」、「Cyasorb UV−284」、「Cyasorb UV−2126」、BASF社製商品名「Uvinul3030」、「Uvinul3048」等が挙げられる。
【0243】
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物において、(J)紫外線吸収剤を配合する場合の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは、0.01〜0.5質量部である。
【0244】
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物において、(H)光安定剤の好ましい配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは0.01〜0.5質量部である。光安定剤の量が、0.001質量部未満では、耐侯性を付与できない場合があり、10質量部を超えると添加量効果が得られない場合や、成形体の表面にブリードアウトして外観を損ねる場合がある。(H)光安定剤は、(I)ヒンダードアミン化合物または(J)紫外線吸収剤を単体で配合するものであってもよく、これらの二種以上の化合物を配合してもよい。
【0245】
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物において、必要に応じて(H)光安定剤を担体に含侵させてから、熱可塑性樹脂に添加してもよい。担体に含浸させるには、そのまま加熱混合してもよいし、必要に応じて、有機溶媒で希釈してから担体に含浸させ、その後に溶媒を除去する方法でもよい。こうした担体としては、合成樹脂のフィラーや充填剤として知られているもの、または、常温で固体の難燃剤や光安定剤が使用でき、例えば、ケイ酸カルシウム粉末、シリカ粉末、タルク粉末、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、または、これら担体の表面を化学修飾したもの、下記に挙げる難燃剤や酸化防止剤の中で固体のもの等が挙げられる。これらの担体の中でも担体の表面を化学修飾したものが好ましく、シリカ粉末の表面を化学修飾したものがより好ましい。これらの担体は、平均粒径が0.1〜100μmのものが好ましく、0.5〜50μmのものがより好ましい。
【0246】
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物の(A)成分、(B)成分、(H)成分((I)成分および/または(J)成分)を熱可塑性樹脂に配合する方法は、特に制限を受けず、一般に用いられる方法、例えば、熱可塑性樹脂粉末もしくはペレットと、各成分をドライブレンドする方法、または、各成分のいずれかを高濃度で含有するマスターバッチを作製し、これを熱可塑性樹脂に添加する方法、(A)成分、(B)成分、(H)((I)成分および/または(J)成分)をペレット形状に加工して熱可塑性樹脂に添加する方法が挙げられる。また、各成分を同時にオレフィン系樹脂に添加してもよく、別々に添加するものであってもよい。
【0247】
ペレット形状に加工する方法としては、例えば、(A)成分、(B)成分、(H)成分((I)成分および/または(J)成分)のいずれかの成分とフェノール系酸化防止剤および必要に応じて任意で含まれる他の添加剤を混合した混合物を加熱して、融解状態のフェノール系酸化防止剤の存在下で混合することによって製造することができる。加工条件、加工機器等については何ら限定されることなく、周知一般の加工方法、加工機器を使用することができる。具体的な製造方法としては、ディスクペレッター法、押出法等が挙げられる。
【0248】
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物においても、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、任意で公知の樹脂添加剤(例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、(A)一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物とは異なる核剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、充填剤、ハイドロタルサイト類、帯電防止剤、顔料、蛍光増白剤、染料等)を含有させてもよい。
【0249】
(A)上記式(1)で表されるリン酸エステル化合物とは異なる核剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、4−tert−ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウムおよび2ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシレート等のカルボン酸金属塩、ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、およびビス(ジメチルベンジリデン)ソルビトール等の多価アルコール誘導体、N,N’,N”−トリス[2−メチルシクロヘキシル]−1,2,3−プロパントリカルボキサミド、N,N’,N”−トリシクロヘキシル−1,3,5−ベンゼントリカルボキサミド、N,N’−ジシクロヘキシルナフタレンジカルボキサミド、1,3,5−トリ(ジメチルイソプロポイルアミノ)ベンゼン等のアミド化合物等を挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。核剤を配合する場合の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、式(1)で表されるリン酸エステル化合物(A)との合計量が0.001〜10質量部、より好ましくは、0.006〜0.5質量部の範囲内である。
【0250】
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物を成形する場合、公知の成形方法を用いて成形することができる。例えば、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、真空成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法、スラッシュ成形法、ディップ成形法、発泡成形法等を用いて成形品を得ることができる。
【0251】
本発明のさらに他の好適な実施の形態に係る樹脂組成物の用途としては、バンパー、ダッシュボード、インパネ等自動車材料、冷蔵庫、洗濯機、掃除機等のハウジング用途、食器、バケツ、入浴用品等の家庭用品、玩具等の雑貨品、タンク類等の貯蔵、保存用容器等の成形品や、フィルム、繊維等が挙げられる。
【実施例】
【0252】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
【0253】
(樹脂添加剤組成物の調製)
〔参考例1−1〜1−6および比較例1−1〜1−3〕
表1に示す割合で、(A)一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物と(B)一般式(2)で表される脂肪酸ナトリウムの樹脂添加剤組成物を調製した。表中の配合量の単位は質量部である。得られた各組成物につき、下記の手順にしたがって、安息角の測定および付着性の評価を行なった。
【0254】
(1)安息角
円筒型容器(500mL)に、表1に記載の樹脂添加剤組成物を円筒容器の半分の容量となるように投入して蓋をしめ、筒井理化学器械株式会社製 安息角測定器(Revolving Cylinder Test)を用いて、2.0rpmの速度で等速回転させて試料の流動性を評価した。円筒型容器が回転すると、試料は回転する容器に沿って持ち上げられるが、高い位置から試料が崩れ落ちる。この崩れ落ちる試料で形成される斜面が一定の状態になったとき、試料の斜面と水平面がなす角度を安息角として測定した。得られた結果を表1に示す。なお、比較例1−1は、試料の崩落が断続的で斜面が平面状にならなかったため、安息角を測定しなかった。
【0255】
(2)付着性
表1に記載の配合の樹脂添加剤組成物2.5kgを、ヘンシェルミキサーを用いて、1000rpm×1minの条件でブレンドした後、ヘンシェルミキサーの撹拌層内の内壁に付着した樹脂添加剤組成物の状態を評価した。ヘンシェルミキサーの撹拌層内の内壁の5割以上で、樹脂添加剤組成物が付着していた場合は、「×」とし、壁面の5割未満で樹脂添加剤組成物が付着していた場合は、「△」とし、内壁に付着している樹脂添加剤組成物がわずかの場合は、「○」として評価した。得られた結果を表1に示す。
【0256】
【表1】
(A)−1:ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート
(B)−1:ステアリン酸ナトリウム
【0257】
表1の比較例1−1より、(A)一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物のみからなる樹脂添加材組成物の場合、流動性が悪かった。また、比較例1−2および1−3より、(B)/(A)の質量比が、0.55未満の樹脂添加剤組成物は、流動性が悪く、ヘンシェルミキサー壁面に樹脂添加剤組成物の付着が多いことが確認された。これらに対し、参考例1−1〜1−6の樹脂添加剤組成物は、安息角は小さくて流動性に優れることが確認できた。
【0258】
〔参考例2−1〜2−4、比較例2−1〜2−5〕
(樹脂組成物の評価)
ホモポリプロピレン(株式会社プライムポリマー社製品名「H700」,メルトフローレート=8.0g/10min(ISO規格1133準拠 2.16kg×230℃))100質量部に対し、フェノール系酸化防止剤(テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)0.05質量部、リン系酸化防止剤(トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト)0.1質量部、ステアリン酸カルシウム0.05質量部、および、表2、3に示す樹脂添加剤組成物を配合し、ヘンシェルミキサーで、1000rpm×1min混合後、二軸押出機を用いて、押出温度=230℃、スクリュー回転速度=150rpm、フィード速度=7.2kg/hの条件で混練し、ペレットを製造した。ただし、比較例2−5は、樹脂添加剤組成物を配合せずに混練してペレットを得た。表中の配合量の単位は質量部である。得られた樹脂組成物につき、下記の方法で評価した。得られた結果を表2、3に示す。
【0259】
(3)結晶化温度
得られたペレットを少量切り取り、示差走査熱量測定器(ダイアモンド・パーキエルマー社製)を用いて結晶化温度を測定した。測定方法は、室温から50℃/minの速度で230℃まで昇温し、10分間保持後、10℃/minの速度で50℃まで冷却して得られたチャートにおいて、吸熱反応がピークトップとなる温度を結晶化温度とした。
【0260】
(4)曲げ弾性率
得られたペレットを、射出成型機(EC100−2A;東芝機械株式会社製)にて、200℃の射出温度、50℃の金型温度の条件で射出成形し、寸法80mm×10mm×4mmの試験片を作成し、成形後直ちに23℃の恒温機にいれて48時間静置後、試験片を取り出してISO−178に準拠して試験片の曲げ弾性率(MPa)を測定した。
【0261】
(5)HAZE
得られたペレットを、射出成型機(EC100−2A;東芝機械株式会社製)にて、200℃の射出温度、50℃の金型温度の条件で射出成形し、寸法60mm×60mm×1mmの試験片を作成し、成形後直ちに23℃の恒温機にいれて48時間静置後、試験片を取り出してISO−14782に準拠して試験片のHAZEを測定した。
【0262】
【表2】
【0263】
【表3】
【0264】
(A)−1:ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート
(B)−1:ステアリン酸ナトリウム
(B)−2:ラウリン酸ナトリウム
(B)−3:ミリスチン酸ナトリウム
(B)−4:パルミチン酸ナトリウム
(B)’−1:ステアリン酸リチウム
(B)’−2:ステアリン酸マグネシウム
(B)’−3:ステアリン酸亜鉛
(B)’−4:ステアリン酸アルミニウム
【0265】
表2、3の比較例2−1〜2−4および比較例2−5との対比により、脂肪酸ナトリウム塩とは異なる脂肪酸金属塩をブレンドした場合、(A)一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物のみからなる樹脂添加剤組成物を添加した場合よりも、物性が低下した。これらに対し、参考例2−1〜2−4より本発明の樹脂組成物は、比較例2−5の樹脂組成物よりも優れた物性を有することが確認できた。
【0266】
〔参考例3−1〜3−8、比較例3−1〜3−7〕
ポリプロピレンのインパクトコポリマー(株式会社プライムポリマー社製品名「J70
5P」,メルトフローレート=11.5g/10min(ISO規格1133準拠 2.16kg×230℃))に過酸化物(2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン)を加えて、メルトフローレートが40g/10minとなるように調製したポリオレフィン樹脂100質量部に対し、フェノール系酸化防止剤(テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)0.05質量部、リン系酸化防止剤(トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト)0.1質量部、ステアリン酸カルシウム0.05質量部、および、表4、5に示す樹脂添加剤組成物を配合し、ヘンシェルミキサーで、1000rpm×1min混合後、二軸押出機を用いて、押出温度=230℃、スクリュー回転速度=150rpm、フィード速度=7.2kg/hの条件で混練し、ペレットを製造した。ただし、比較例3−1は、樹脂添加剤組成物を配合せずに混練してペレットを得た。
【0267】
【表4】
【0268】
【表5】
(A)−1:ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート
比較核剤1:Milliken社製商品名「HPN−20E」(ジシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸カルシウム化合物)
(B)−1:ステアリン酸ナトリウム
【0269】
表5の比較例3−1と比較例3−4の比較により、ステアリン酸ナトリウムは、核剤効果としては小さかった。また、比較例3−6と比較例3−7の比較により、(A)一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物とは異なる核剤を用いた場合、本発明の効果が得られないことが確認できた。これらに対し、参考例3−1〜3−8より(A)一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物と(B)一般式(2)で表される脂肪酸ナトリウムを特定の比率でブレンドすることで、熱可塑性樹脂に対して、優れた物性を付与できることが確認できた。
【0270】
〔参考例4−1〜4−4、比較例4−1〜4−4〕
ホモポリプロピレン(メルトフローレート=8.0g/10min(ISO規格1133準拠 2.16kg×230℃))100質量部に対し、フェノール系酸化防止剤(テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)0.05質量部、リン系酸化防止剤(トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト)0.1質量部、ステアリン酸カルシウム0.05質量部、および、表6、7記載の樹脂添加剤組成物を配合し、ヘンシェルミキサーで、1000rpm×1min混合後、二軸押出機を用いて、押出温度=230℃、スクリュー回転速度=150rpm、フィード速度=7.2kg/hの条件で混練し、ペレットを製造した。また、Y.I.(黄色度)を以下の手順で評価した。
【0271】
(6)Y.I.
得られたペレットを、射出成型機(EC100−2A;東芝機械株式会社製)を用いて、200℃の射出温度、50℃の金型温度の条件で、寸法60mm×60mm×2mmの試験片を成形した。成形後、直ちに室温23℃、湿度50%の標準状態下にて48時間放置後、分光測色計(SC−T;スガ試験機株式会社製)を用いて、試験片のY.I.を測定した。
【0272】
【表6】
【0273】
【表7】
【0274】
(A)−1:ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート
比較核剤2:Milliken社製品名「Hyperform(R) HPN−20E」
比較核剤3:安息香酸ナトリウム
(B)−1:ステアリン酸ナトリウム
Blue Outremer 32:Holliday Pigments SAS製(カラーインデックス:pigment blue 29)
Violet Outremer 11:Holliday Pigments SAS製(カラーインデックス:pigment violet 15)
蛍光増白剤:2,5−thiophenediylbis(5−tert−butyl−1,3−benzoxazole)
【0275】
比較例4−1と比較例4−2の比較により、(B)/(A)の質量比が、0.55〜2.0の範囲を超えると、本発明の効果が得られないことが確認できた。また、比較例4−3および比較例4−4より、リン酸エステル化合物とは異なる核剤を用いた場合、物性改善効果に乏しいことが確認できた。これらに対し、参考例4−1と比較例4−2との比較により、本発明の樹脂添加剤組成物を配合した樹脂組成物は、リン酸エステル化合物単独配合の樹脂組成物よりも、核剤効果が改善されることが確認できた。
【0276】
〔参考例5−1〜5−6、比較例5−1〜5−6〕
ポリプロピレンのインパクトコポリマー{株式会社プライムポリマー社製品名「J708P」,メルトフローレート=45g/10min(ISO規格1133準拠 2.16kg×230℃)}100質量部に対し、フェノール系酸化防止剤;テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.083質量部、リン系酸化防止剤:トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト0.167質量部、ステアリン酸カルシウム0.083質量部、および表8、9に示す(A)および(B)成分を配合し、ヘンシェルミキサー(FM200;三井鉱山(株)製)で1000rpm×1分間混合後、さらに、(C)、(D)成分を配合し、ロッキングミキサー(愛知電機株式会社製)で30分間混合後、二軸押出機(TEX−28V;日鋼TPK商事株式会社)を用いて、真空減圧にて230℃の押出温度で造粒し、ペレットを製造した。ペレットは、60℃で8時間乾燥してから、下記(7)〜(9)の評価を行った。なお、表8、9中の配合量の単位は質量部である。
【0277】
(7)結晶化温度および半結晶化時間
得られたペレットを細かく破断して、5mg秤量してアルミパンに充填し、示差走査熱量測定機(装置:パーキンエルマー社製ダイアモンド)で結晶化温度および半結晶化時間を測定した。測定は、50℃/minの速度で230℃まで昇温し、5分間保持後、10℃/minで50℃まで冷却した際に、測定した発熱ピークの温度を結晶化温度として求めた。また半結晶化時間は、50℃/minの速度で230℃まで昇温し、5分間保持した後、100℃/minで135℃まで冷却保持した際に、測定した発熱ピーク総面積の50%時点より求めた。
【0278】
(8)アイゾット衝撃強度
得られたペレットを、射出成形機(装置:東芝機械株式会社製EC100−2A)を用いて、射出温度200℃、金型温度40℃の条件で射出成形し、80mm×10mm×4mmのノッチ付き試験片を成形した。ノッチ付き試験片は、成形後ただちに23℃湿度50%の恒温器に48時間静置後、試験片を取り出してISO−180に準拠して、アイゾット衝撃強度(J/m)を測定した。
【0279】
(9)Y.I.(黄色度)
得られたペレットを、射出成型機(EC100−2A;東芝機械株式会社製)を用いて、200℃の射出温度、50℃の金型温度の条件で、寸法60mm×60mm×2mmの試験片を成形した。成形後、直ちに室温23℃、湿度50%の標準状態下にて48時間放置後、分光測色計(SC−T;スガ試験機株式会社製)を用いて、試験片のY.I.を測定した。
【0280】
【表8】
(A)−1:株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブNA−11」
(B)−1:ステアリン酸ナトリウム
(C)−1:Dow社製製品名ポリオレフィンエラストマー「Engage8200」
(D)−1:松村産業株式会社製品名「クラウンタルクPP」
比較核剤1:Milliken社製商品名「Hyperform HPN20E」
比較核剤2:安息香酸ナトリウム
【0281】
【表9】
【0282】
比較例5−4と比較例5−5の比較結果より、リン酸エステル化合物ではない核剤に脂肪酸ナトリウムをブレンドしても、核剤効果はほとんど影響がみられなかったのに対し、参考例5−1〜5−6と比較例5−3の比較結果より、リン酸エステル化合物と脂肪酸ナトリウムが特定の比率で含有する樹脂組成物は、リン酸エステル化合物を単独で添加した場合よりも、著しく核剤効果が改善されることが確認できた。また、本発明の樹脂組成物を用いた成形体は、リン酸エステル化合物を単独で添加した場合よりも、耐衝撃強度に優れ、黄変度を抑制できる成形体が得られることが確認できた。
【0283】
以上より、本発明の樹脂組成物は、自動車材料等特に、耐衝撃性が求められる用途において好適に用いることができる。
【0284】
〔実施例6−1〜6−5、参考例6−1〜6−4、比較例6−1〜6−9〕
インパクトコポリマー{株式会社プライムポリマー社製品名「J708P」,メルトフローレート=45g/10min(ISO規格1133準拠 2.16kg×230℃)}100質量部に対し、フェノール系酸化防止剤(テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)0.05質量部、ステアリン酸カルシウム0.05質量部、および、表10〜12記載の樹脂添加剤組成物を配合し、ヘンシェルミキサーで、1000rpm×1min混合後、二軸押出機を用いて、230℃の押出温度で造粒した。造粒したペレットは、80℃で2時間乾燥させた後、同一の二軸押出機を用いて、230℃の押出温度で造粒を繰り返し、熱履歴による下記(10)〜(12)に対する影響を評価した。なお、表10〜12中の配合量の単位は質量部である。
【0285】
(10)Y.I.(黄色度)
熱履歴が異なるそれぞれのペレットについて、射出成型機(EC100−2A;東芝機械株式会社製)を用いて、200℃の射出温度、50℃の金型温度の条件で、寸法60mm×60mm×2mmの試験片を成形した。成形後、直ちに室温23℃、湿度50%の標準状態下にて48時間放置後、分光測色計(SC−T;スガ試験機株式会社製)を用いて、試験片のY.I.を測定した。
【0286】
(11)結晶化温度
得られたペレットを少量切り取り、示差走査熱量測定器(ダイアモンド・パーキエルマー社製)を用いて結晶化温度を測定した。測定方法は、室温から50℃/minの速度で230℃まで昇温し、10分間保持後、−10℃/minの速度で50℃まで冷却して得られたチャートにおいて、吸熱反応がピークトップとなる温度を結晶化温度とした。
【0287】
(12)アイゾット衝撃強度
熱履歴が異なるそれぞれのペレットについて、射出成型機(EC100−2A;東芝機械株式会社製)にて、200℃の射出温度、50℃の金型温度の条件で射出成形し、寸法10mm×4mm×100mmのノッチ付き試験片を成形した。成形後、直ちに23℃の恒温機にいれて48時間静置後、試験片を取り出してISO−180に準拠してノッチ付き試験片のアイゾット衝撃強度率(J/m)を測定した。
【0288】
【表10】
(A)−1:株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブNA−11」
(B)−1:ステアリン酸ナトリウム
(E)−1:PEP−24(3,9−ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン)比較核剤:安息香酸ナトリウム
比較ホスファイト:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト
【0289】
【表11】
【0290】
【表12】
【0291】
比較例6−4より、核剤が、本発明の樹脂組成物に使用する(A)成分とは異なる場合、熱履歴による変色が大きく、結晶化温度は満足できるものではなかった。また、比較例6−2および比較例6−3より、(B)/(A)質量比の、0.55〜2.0の範囲を超えた場合は、熱履歴による黄変度が高くなることが確認できた。また、参考例6-1〜参考例6−4より、ホスファイト化合物が、本発明の樹脂組成物に使用する(E)成分とは異なる場合、熱履歴による黄変度が高く、結晶化温度もわずかに低下することが確認できた。一般に造粒加工等の熱履歴を繰り返すと、成形品のアイゾット衝撃強度が低下するが、本発明の樹脂組成物を用いた成形品は、熱履歴によって衝撃強度は低下せず、逆に改善されることが確認できた。
【0292】
〔実施例7−1〜7−7、比較例7−1〜7−2〕
インパクトコポリマー{株式会社プライムポリマー社製品名「J708P」,メルトフローレート=45g/10min(ISO規格1133準拠 2.16kg×230℃)}100質量部に対し、フェノール系酸化防止剤(テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)0.05質量部、ステアリン酸カルシウム0.05質量部、および、表13、14記載の樹脂添加剤組成物を配合し、ヘンシェルミキサーで、1000rpm×1min混合後、二軸押出機を用いて、230℃の押出温度で造粒した。造粒したペレットは、80℃で2時間乾燥させた後、同一の二軸押出機を用いて、230℃の押出温度で造粒を繰り返し、熱履歴によるメルトフローレート(MFR)への影響を評価した。なお、表中の配合量の単位は質量部である。
【0293】
(13)MFR(g/10min)
ISO1133規格に準じ、得られたペレットを230℃で溶融させ、2.16kgの荷重をかけて押し出された溶融樹脂の重量を計測し、10分換算での樹脂の吐出量をメルトフローレート(MFR:g/10min)とした。
【0294】
【表13】
(A)−1:株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブNA−11」
比較核剤:安息香酸ナトリウム
(B)−1:ステアリン酸ナトリウム
(E)−2:PEP−36(3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン
【0295】
【表14】
【0296】
比較例7−1と比較例7−2の対比結果より、核剤が、本発明の樹脂組成物の(A)成分とは異なる場合、熱履歴を繰り返すと核剤なしの樹脂組成物よりもMFRが増大することが確認できたのに対し、実施例7−1〜7−7より、本発明のオレフィン樹脂組成物を用いた場合、熱履歴によるMFR値の上昇を抑制できることが確認できた。
【0297】
以上より、本発明の樹脂組成物は、熱履歴による変色防止に優れ、物性に優れるオレフィン樹脂組成物を提供するものである。
【0298】
〔参考例8−1〜8−13、比較例8−1〜8−11〕
フェノール系酸化防止剤(テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)0.05質量部、リン系酸化防止剤(トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト)0.1質量部、およびステアリン酸カルシウム0.05質量部および、下記の表15〜18に記載の樹脂組成物を配合し、ヘンシェルミキサーで、1000rpm×1min混合後、二軸押出機を用いて、押出温度=230℃、スクリュー回転速度=150rpm、フィード速度=7.2kg/hの条件で混練し、ペレットを製造した。ペレットを用いて、下記(14)〜(16)の評価を行った。なお、表15〜18中の配合量の単位は質量部である。
【0299】
(14)結晶化温度
得られたペレットを少量切り取り、示差走査熱量測定器(ダイアモンド・パーキンエルマー社製)を用いて結晶化温度を測定した。測定方法は、室温から50℃/minの速度で230℃まで昇温し、10分間保持後、10℃/minの速度で50℃まで冷却して得られたチャートにおいて、吸熱反応がピークトップとなる温度を結晶化温度とした。
【0300】
(15)曲げ弾性率
得られたペレットを、射出成型機(EC100−2A;東芝機械株式会社製)にて、200℃の射出温度、50℃の金型温度の条件で射出成形し、寸法80mm×10mm×4mmの試験片を作成し、成形後直ちに23℃の恒温機にいれて48時間静置後、試験片を取り出してISO−178に準拠して試験片の曲げ弾性率(MPa)を測定した。
【0301】
(16)難燃性UL−94V試験
得られた難燃性UL−94V試験用試験片(127mm×12.7mm×1.6mm)を垂直に保ち、下端にバーナーの火を10秒間接炎させた後で炎を取り除き、試験片に着火した火が消える時間を測定した。次に、火が消えると同時に2回目の接炎を10秒間行ない、1回目と同様にして着火した火が消える時間を測定した。また、落下する火種により試験片の下の綿が着火するか否かについても同時に評価した。1回目と2回目の燃焼時間、および綿着火の有無等から、UL−94V規格にしたがって燃焼ランクをつけた。燃焼ランクはV−0が最も難燃性に優れ、V−1、V−2となるにしたがって難燃性は低下し、V−0〜V−2のランクの何れにも該当しないものはNRとした。
【0302】
【表15】
【0303】
熱可塑性樹脂:インパクトコポリマー(株式会社プライムポリマー社製品名「J705P」,メルトフローレート=11.5g/10min(ISO規格1133準拠 2.16kg×230℃))
(A)−1:ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート
比較核剤1:ジシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸カルシウム化合物
比較核剤2:安息香酸ナトリウム
(B)−1:ステアリン酸ナトリウム
(F)−1:イントメッセント系難燃剤;株式会社ADEKA製商品名(ADK STAB FP−2500S)
(F)−2:イントメッセント系難燃剤;株式会社ADEKA製商品名(ADK STAB FP−2100JC)
(F)−3:ポリリン酸アンモニウム
(F)−4:デカブロモジフェニルエタン
(G)−1:THEIC(トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート)
(G)−2:三酸化アンチモン
(G)−3:ポリテトラフルオロエチレン
【0304】
【表16】
【0305】
【表17】
【0306】
【表18】
【0307】
比較例8−3と参考例8−7,8−8との比較により、(A)一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物と(B)一般式(2)で表される脂肪酸ナトリウム塩をブレンドしたものを配合した本発明の樹脂添加剤組成物は、(A)一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物を単独で配合した樹脂組成物よりも、優れた物性を付与できることが確認できた。
【0308】
以上より、本発明の樹脂組成物は、難燃剤配合下において、優れた物性改善効果を得られることが確認できた。
【0309】
〔参考例9−1〜9−20、比較例9−1〜9−5〕
インパクトコポリマー{株式会社プライムポリマー社製品名「J705P」,メルトフローレート=11.5g/10min(ISO規格1133準拠 2.16kg×230℃)}100質量部に対し、フェノール系酸化防止剤(テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)0.05質量部、ステアリン酸カルシウム0.05質量部、および、表19〜23の樹脂添加剤組成物を配合し、ヘンシェルミキサーで、1000rpm×1min混合後、二軸押出機を用いて、230℃の押出温度で造粒し、ペレットを得た。なお、表19〜23中の配合量の単位は質量部である。
【0310】
(17)結晶化温度[℃]
得られたペレットを細かく破断して、5mg秤量してアルミパンに充填し、示差走査熱量測定機(装置:パーキンエルマー社製ダイアモンド)で結晶化温度を測定した。測定は、50℃/minの速度で230℃まで昇温し、5分間保持後、10℃/minで50℃まで冷却した際に、測定した発熱ピークの温度を結晶化温度として求めた。
【0311】
(18)曲げ弾性率[MPa]
得られたペレットを、射出成型機(EC100−2A;東芝機械株式会社製)にて、200℃の射出温度、50℃の金型温度の条件で射出成形し、寸法80mm×10mm×4mmの試験片を作成し、成形後直ちに23℃の恒温機にいれて48時間静置後、試験片を取り出してISO−178に準拠して試験片の曲げ弾性率(MPa)を測定した。
【0312】
【表19】
【0313】
【表20】
【0314】
【表21】
【0315】
【表22】
【0316】
【表23】
【0317】
熱可塑性樹脂:インパクトコポリマー{株式会社プライムポリマー社製品名「J705P」,メルトフローレート=11.5g/10min(ISO規格1133準拠 2.16kg×230℃)
(A)−1:株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブNA−11」
比較核剤1:Milliken社製品名「Hyperform(R) HPN−20E」
比較核剤2:安息香酸ナトリウム
(B)−1:ステアリン酸ナトリウム
(I)−1:株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブLA−77Y」
(I)−2:株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブLA−72」
(I)−3:株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブLA−52」
(I)−4:株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブLA−502」
(I)−5:株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブLA−63P」
(I)−6:株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブT−1640L」
(I)−7:株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブLA−81」
(I)−8:株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブLA−704」
(I)−9:株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブLA−40」
(I)−10:株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブLA−402」
(I)−11:BASF社製商品名「Chimassorb944」
(I)−12:BASF社製商品名「Chimassorb2020」
(I)−13:Cytec社製商品名「CyasorbUV−3808PP5」
(I)−14:BASF社製商品名「Tinuvin XT−855FF」
(J)−1:株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブLA−36」
(J)−2:株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブLA−29」
(J)−3:Cytec社製商品名「Cyasorb UV−1164」
【0318】
比較例9−1と参考例9−1〜9−5の比較により、質量比で(B)/(A)が、0.55〜2.0の範囲を超える場合、核剤効果に乏しかった。また、比較例9−3、9−4より、一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物とは異なる核剤を配合した場合、および、比較例9−2より、核剤が(A)一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物であっても、脂肪酸ナトリウムを配合しない場合は、いずれも核剤効果に乏しかった。
【0319】
これらに対し、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、優れた核剤効果を示すことが確認できた。