(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861211
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】効率的な計測のために信号を高速自動判定するシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
G01N 21/21 20060101AFI20210412BHJP
G01N 21/47 20060101ALI20210412BHJP
G01N 23/04 20180101ALI20210412BHJP
G01N 23/2251 20180101ALI20210412BHJP
G01N 23/201 20180101ALI20210412BHJP
【FI】
G01N21/21 Z
G01N21/47 A
G01N23/04
G01N23/2251
G01N23/201
【請求項の数】28
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-529600(P2018-529600)
(86)(22)【出願日】2016年12月8日
(65)【公表番号】特表2018-536862(P2018-536862A)
(43)【公表日】2018年12月13日
(86)【国際出願番号】US2016065571
(87)【国際公開番号】WO2017100424
(87)【国際公開日】20170615
【審査請求日】2019年11月29日
(31)【優先権主張番号】62/264,842
(32)【優先日】2015年12月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/362,741
(32)【優先日】2016年11月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲリノー アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】クズネツォフ アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ヘンチ ジョン
【審査官】
塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−538532(JP,A)
【文献】
特表2015−531056(JP,A)
【文献】
特表2015−514984(JP,A)
【文献】
特表2013−533980(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0358488(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0104494(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0167651(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0019097(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第102183212(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/01
G01N 21/17−21/61
G01N 23/00−23/2276
G01B 11/00−11/30
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シミュレータモジュールを実行するプロセッサを介して、計測ツールによって測定されるべき計測標的の1つ以上のパラメータを特定する信号の集合をシミュレートするステップと、
前記信号の集合に対応する正規化されたヤコビ行列を生成するステップと、
前記正規化されたヤコビ行列に基づいて、前記計測標的の前記1つ以上のパラメータの測定と関連付けられる、測定の正確さを示す性能基準値を最適化する、前記シミュレートした信号の集合における信号の部分集合を選択するステップと、
計測ツールを利用して、前記計測標的に対する前記信号の部分集合における各信号の測定値を収集するステップとを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記信号の部分集合を選択するステップが、
前記計測標的の前記1つ以上のパラメータに対して共分散行列を生成するステップと、
前記共分散行列の1つ以上の固有ベクトル上に行を投影することによって、前記正規化されたヤコビ行列の各行に対するノルム射影値を算出するステップと、
前記信号の部分集合として、最大のノルム投影値を有する前記正規化されたヤコビ行列の前記行に対応する前記シミュレートした信号の集合における多数の信号を選択するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、各行に対する前記ノルム射影値を算出するステップが、重みによって乗算するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記重みが、前記計測ツールの選択、波長、入射角、方位角、偏光、焦点長さ、積分時間、および/または測定と関連付けられる他のパラメータのうち少なくとも1つを含む基準にしたがって設定されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記1つ以上のパラメータが、前記計測標的の重要な寸法、および材料特性のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記性能基準値が各パラメータの測定値の精度に基づくことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記性能基準値が、重み係数を利用する複数の性能基準値を組み合わせる統一された性能基準値であることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記シミュレータモジュールが、モデリングパラメータの集合によって定義されるウェハ上の前記計測ツールと1つ以上の計測標的とを含む、システムのモデルに基づいて前記信号の集合を生成する命令を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記計測ツールが、
分光エリプソメータ(SE)、
複数の照明角度を有するSE、
ミュラー行列要素を測定するSE、
単波長エリプソメータ、
ビームプロファイルエリプソメータ、
ビームプロファイル反射率計、
広帯域反射分光計、
単波長反射率計、
角度分解反射率計、
イメージングシステム、
散乱計、
小角度X線散乱(SAXS)デバイス、
X線粉末回折(XRD)デバイス、
X線蛍光(XRF)デバイス、
X線光電子分光(XPS)デバイス、
X線反射率(XRR)デバイス、
ラマン分光デバイス、
走査電子顕微鏡検査(SEM)デバイス、
トンネル電子顕微鏡検査(TEM)デバイス、および
原子間力顕微鏡検査(AFM)デバイスのうち1つから選択されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記計測ツールを利用して、1つ以上の追加の計測標的に対する前記信号の部分集合における各信号の測定値を収集するステップと、
前記計測標的および前記1つ以上の追加の計測標的に対して収集された前記測定値を分析して、前記計測標的それぞれに対して前記1つ以上のパラメータを決定するステップとを更に含み、
特定の計測標的に対して前記1つ以上のパラメータを決定するステップが、少なくとも1つの他の計測標的と関連付けられる測定値の分析を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記計測標的および前記1つ以上の追加の計測標的に対して前記信号の部分集合における各信号の収集された前記測定値が、高スループットの計測ツールを校正する基準の信号の集合として利用されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、前記計測ツールがX線計測ツールであることを特徴とする方法。
【請求項13】
非一時的コンピュータ可読媒体上で具体化されるコンピュータプログラム製品であって、
シミュレータモジュールを実行するプロセッサを介して、計測ツールによって測定されるべき計測標的の1つ以上のパラメータを特定する信号の集合をシミュレートするステップと、
前記信号の集合に対応する正規化されたヤコビ行列を生成するステップと、
前記正規化されたヤコビ行列に基づいて、前記計測標的の前記1つ以上のパラメータの測定と関連付けられる、測定の正確さを示す性能基準値を最適化する、前記シミュレートした信号の集合における信号の部分集合を選択するステップと、
計測ツールを利用して、前記計測標的に対する前記信号の部分集合における各信号の測定値を収集するステップとを含む方法を実施するのにコンピュータによって実行されるように適合されたコードを含むことを特徴とする、コンピュータプログラム製品。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータプログラム製品であって、
前記信号の部分集合を選択するステップが、
前記計測標的の前記1つ以上のパラメータに対して共分散行列を生成するステップと、
前記共分散行列の1つ以上の固有ベクトル上に行を投影することによって、前記正規化されたヤコビ行列の各行に対するノルム射影値を算出するステップと、
前記信号の部分集合として、最大のノルム投影値を有する前記正規化されたヤコビ行列の前記行に対応する前記シミュレートした信号の集合における多数の信号を選択するステップとを含むことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項15】
請求項13に記載のコンピュータプログラム製品であって、前記シミュレータモジュールが、モデリングパラメータの集合によって定義されるウェハ上の前記計測ツールと1つ以上の計測標的とを含む、システムのモデルに基づいて前記信号の集合を生成する命令を含むことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項16】
請求項13に記載のコンピュータプログラム製品であって、
前記方法が、
前記計測ツールを利用して、1つ以上の追加の計測標的に対する前記信号の部分集合における各信号の測定値を収集するステップと、
前記計測標的および前記1つ以上の追加の計測標的に対して収集された前記測定値を分析して、前記計測標的それぞれに対して前記1つ以上のパラメータを決定するステップとを更に含み、
特定の計測標的に対して前記1つ以上のパラメータを決定するステップが、少なくとも1つの他の計測標的と関連付けられる測定値の分析を含むことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項17】
シミュレータモジュールを格納するメモリと、
ウェハ上の計測標的と関連付けられる測定値を収集する計測ツールと、
前記メモリに結合されたプロセッサであって、
前記シミュレータモジュールを介して、計測ツールによって測定されるべき計測標的の1つ以上のパラメータを特定する信号の集合をシミュレートし、
前記信号の集合に対応する正規化されたヤコビ行列を生成し、
前記正規化されたヤコビ行列に基づいて、前記計測標的の前記1つ以上のパラメータの測定と関連付けられる、測定の正確さを示す性能基準値を最適化する、前記シミュレートした信号の集合における信号の部分集合を選択し、
前記計測ツールを利用して、前記計測標的に対する前記信号の部分集合における各信号の測定値を収集するように構成された、プロセッサとを備えることを特徴とする、システム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムであって、
前記信号の部分集合の選択が、
前記計測標的の前記1つ以上のパラメータに対して共分散行列を生成するステップと、
前記共分散行列の1つ以上の固有ベクトル上に行を投影することによって、前記正規化されたヤコビ行列の各行に対するノルム射影値を算出するステップと、
前記信号の部分集合として、最大のノルム投影値を有する前記正規化されたヤコビ行列の前記行に対応する前記シミュレートした信号の集合における多数の信号を選択するステップとを含むことを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムであって、各行に対する前記ノルム射影値を算出するステップが、重みによって乗算するステップを含むことを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムであって、前記重みが、前記計測ツールの選択、波長、入射角、方位角、偏光、焦点長さ、積分時間、および/または測定と関連付けられる他のパラメータのうち少なくとも1つを含む基準にしたがって設定されることを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項17に記載のシステムであって、前記1つ以上のパラメータが、前記計測標的の重要な寸法、および材料特性のうち少なくとも1つを含むことを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項17に記載のシステムであって、前記性能基準値が各パラメータの測定値の精度に基づくことを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項17に記載のシステムであって、前記性能基準値が、重み係数を利用する複数の性能基準値を組み合わせる統一された性能基準値であることを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項17に記載のシステムであって、前記シミュレータモジュールが、モデリングパラメータの集合によって定義されるウェハ上の前記計測ツールと1つ以上の計測標的とを含む、システムのモデルに基づいて前記信号の集合を生成する命令を含むことを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項17に記載のシステムであって、
前記計測ツールが、
分光エリプソメータ(SE)、
複数の照明角度を有するSE、
ミュラー行列要素を測定するSE、
単波長エリプソメータ、
ビームプロファイルエリプソメータ、
ビームプロファイル反射率計、
広帯域反射分光計、
単波長反射率計、
角度分解反射率計、
イメージングシステム、
散乱計、
小角度X線散乱(SAXS)デバイス、
X線粉末回折(XRD)デバイス、
X線蛍光(XRF)デバイス、
X線光電子分光(XPS)デバイス、
X線反射率(XRR)デバイス、
ラマン分光デバイス、
走査電子顕微鏡検査(SEM)デバイス、
トンネル電子顕微鏡検査(TEM)デバイス、および
原子間力顕微鏡検査(AFM)デバイスのうち1つから選択されることを特徴とするシステム。
【請求項26】
請求項17に記載のシステムであって、
前記プロセッサが、
前記計測ツールを利用して、1つ以上の追加の計測標的に対する前記信号の部分集合における各信号の測定値を収集し、
前記計測標的および前記1つ以上の追加の計測標的に対して収集された前記測定値を分析して、前記計測標的それぞれに対して前記1つ以上のパラメータを決定するように更に構成され、
特定の計測標的に対して前記1つ以上のパラメータを決定するステップが、少なくとも1つの他の計測標的と関連付けられる測定値の分析を含むことを特徴とするシステム。
【請求項27】
請求項26に記載のシステムであって、前記計測標的および前記1つ以上の追加の計測標的に対して前記信号の部分集合における各信号の収集された前記測定値が、高スループットの計測ツールを校正する基準の信号の集合として利用されることを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項26に記載のシステムであって、前記計測ツールがX線計測ツールであることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測ツールに関し、より詳細には計測ツールの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願
本出願は、2015年12月8日付けの米国仮特許出願第61/264,482号の利益を主張し、その全内容を本願に引用して援用する。
【0003】
計測は、概して、標的構成要素の様々な物理的特徴の測定を伴う。例えば、標的構成要素の構造特性および材料特性(例えば、材料組成、構造の寸法特性、および/または構造の重要な寸法など)を、計測ツールを使用して測定することができる。半導体計測の例では、加工された半導体構成要素の様々な物理的特徴が、計測ツールを使用して測定されることがある。
【0004】
計測測定値が得られると、測定値を分析することができる。この分析には、一般的に、標的構成要素のパラメータモデルのパラメータ値を推論するアルゴリズムが関与し、それらの値と関連付けられた測定値のシミュレーションは実際の測定値と緊密に合致する。かかるアルゴリズムは、一般的に、「逆問題」と呼ばれる数学的問題の分類内にある。1つのかかる実施形態は、実際の測定値とパラメータモデルから派生するシミュレートした測定値との間のノルム誤差を最小限に抑える回帰である。多くの場合、逆問題を解決するのに必要な時間の総量を低減する目的で、測定値の厳密なシミュレーションは、標的構成要素に特異的なモデルパラメータ表示に関するシミュレーションの高速で十分に正確な数学的近似であるライブラリに置き換えられる。一般的に、ライブラリは、シミュレートした測定値の大集合に対して学習済みの補間回路によって計算され、そのパラメータは標的構成要素に関するパラメータの予期される範囲内にある。
【0005】
状況によっては、標的構成要素を測定するのに複数の異なる計測ツールを使用することが望ましい。この技術は、一般に、「ハイブリッド計測」として知られている。個々の計測ツールの測定性能が不十分なことなど、複数の異なる計測ツールを採用する多くの理由があり得る。そのため、異なる測定技術を使用する2つ以上の計測ツールの組み合わせが可能であることが予測され、使用される各技術は、その特定の強度にしたがって、標的構成要素の全ての重要な寸法および組成のパラメータに対して、安定性およびプロセス追跡に関する規格を満たす合計測定値を生成する。既存のハイブリッド計測ツールの一例が、A・バイドら(A. Vaid et al.,)“A Holistic Metrology Approach: Hybrid Metrology Utilizing Scatterometry, CD-AFM, and CD-SE M”, SPIE Proc. Vol. 7971 (2011)に記載されている。
【0006】
パラメータの正確な測定値を得るために、2つ以上の計測ツールを使用して多くの異なる測定値を収集することができる。例えば、反射率計および分光エリプソメータを使用して、1つ以上のパラメータを測定するための信号の集合が収集されてもよい。これらのツールの構成は、波長、偏光、方位角、および/または入射のパラメータの選択を含んでもよい。例えば、分光エリプソメータは、0〜90度の方位角、および紫外から赤外範囲の100〜900nmの波長で構成されてもよい。反射率計は、垂直から水平までの偏光角と、紫外から赤外範囲の100〜900nmの波長とを使用して構成されてもよい。構成の全スペクトルにわたって測定値を取ることによって、標的パラメータの最も精密な測定値が得られてもよい。しかしながら、これには数千の個々の測定値を要し、時間が掛かる場合がある。
【0007】
高スループットの製造作業において、時間的な制約は、測定値の部分集合が取られることを表すことがある。従来、収集される個々の測定値の数を低減するため、各ツール構成内で波長の部分集合のみが選ばれる。例えば、反射率計は水平偏光および垂直偏光で設定することができ、各構成に対して、波長の動作帯域内で均一に分配された波長の部分集合に基づいて多数の測定値が取られる(例えば、波長は、各測定間で20nmずつ増分される)。同様に、分光エリプソメータは、0、45、および90度の方位角で構成されてもよく、各構成に対して、波長の動作帯域内で均一に分配された波長の部分集合に基づいて多数の測定値が取られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0358488号
【特許文献2】国際公開第2012/012345号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、全スペクトルからの測定値の数を低減することによって、測定されたパラメータの誤差が増加することがある。更に、これらの測定値の多くが、実際にはさほど有用な情報をもたらさないことがある。したがって、検査システムの先行技術の実現と関連付けられたこれらおよび/または他の問題に対処する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
測定の精度を最適化する計測ツールを利用して測定される信号を選択する、システム、方法、およびコンピュータプログラム製品が提供される。その技術は、計測標的の1つ以上のパラメータを測定するための信号の集合をシミュレートするステップを含む。この技術の核心は、本質的に、測定スペクトルのノイズを重み付けしたパラメータ感度である、正規化されたヤコビ行列である。パラメータ精度などの多くの性能基準値は、正規化されたヤコビ行列から直接計算されてもよい。信号の集合に対応する正規化されたヤコビ行列が生成されると、シミュレートされた信号の集合において、計測の1つ以上のパラメータの測定と関連付けられた性能基準値を最適化する信号の部分集合が選択され、計測ツールを利用して、計測標的に関して信号の部分集合の各信号に対する測定値が収集される。計測ツールによって収集される所定数の信号に関して、この技術は、ある範囲のプロセスパラメータにわたって均一に分配された信号を収集する従来の技術に対して、かかる測定値の精度を最適化する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】先行技術と関連する例示の計測ツールを示す概略図である。
【
図2】一実施形態による計測標的の測定値を収集する方法を示す図である。
【
図3A】一実施形態による、複数の計測標的から信号を収集することによって測定値の精度を増大する方法を示す図である。
【
図3B】一実施形態による、複数の計測標的から信号を収集することによって測定値の精度を増大する方法を示す図である。
【
図4】一実施形態による計測標的を測定するシステム400を示す概念図である。
【
図5】様々な以前の実施形態の様々なアーキテクチャおよび/または機能性を実現することができる例示的なシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
半導体計測の分野では、計測ツールは、標的を照明する照明システムと、照明システムと標的、デバイス、または特徴との相互作用(もしくは相互作用がないこと)によって提供される関連情報を捕捉する収集システムと、1つ以上のアルゴリズムを使用して収集された情報を分析する処理システムとを備えてもよい。計測ツールを使用して、様々な半導体加工プロセスと関連付けられる、構造特性および材料特性(例えば、材料組成、フィルム厚さなど構造およびフィルムの寸法特性、ならびに/または構造の重要な寸法、オーバーレイなど)を測定することができる。これらの測定値は、半導体ダイの製造において、プロセス制御および/または収量効率を促進するのに使用される。
【0013】
計測ツールは、例えば、様々な上述の半導体の構造特性および材料特性を測定するのに、本発明の特定の実施形態と併せて使用されてもよい、1つ以上のハードウェア構成を備えることができる。かかるハードウェア構成の例としては、以下のものが挙げられるがそれらに限定されない。
分光エリプソメータ(SE)、
複数の照明角度を有するSE、
ミュラー行列要素を測定するSE(例えば、回転補償子を使用する)、
単波長エリプソメータ、
ビームプロファイルエリプソメータ(角度分解エリプソメータ)、
ビームプロファイル反射率計(角度分解反射率計)、
広帯域反射分光計(分光反射率計)、
単波長反射率計、
角度分解反射率計、
イメージングシステム、
散乱計(例えば、スペックル分析器)、
小角度X線散乱(SAXS)デバイス、
X線粉末回折(XRD)デバイス、
X線蛍光(XRF)デバイス、
X線光電子分光(XPS)デバイス、
X線反射率(XRR)デバイス、
ラマン分光デバイス、
走査電子顕微鏡検査(SEM)デバイス、
トンネル電子顕微鏡検査(TEM)デバイス、および
原子間力顕微鏡検査(AFM)デバイス。
【0014】
ハードウェア構成は別々の動作システムに分離することができる。他方で、1つ以上のハードウェア構成を組み合わせて単一のツールとすることができる。複数のハードウェア構成をこのように組み合わせて単一のツールとする一例が、あらゆる目的で全体を本願に引用して援用する米国特許第7,933,026号から本明細書に援用する、
図1に示されている。
図1は、例えば、a)広帯域SE(即ち、18)と、b)回転補償子(即ち、98)を有するSE(即ち、2)と、c)ビームプロファイルエリプソメータ(即ち、10)と、d)ビームプロファイル反射率計(即ち、12)と、e)広帯域反射分光計(即ち、14)と、f)深紫外反射分光計(即ち16)とを備える、例示的な計測ツールの概略図を示している。それに加えて、一般的に、かかるシステムには、特定のレンズ、コリメータ、ミラー、四分の一波長プレート、偏光子、検出器、カメラ、アパーチャ、および/または光源を含む、多数の光学素子がある。光学系の波長は約120nmから3ミクロンまで様々であることができる。非エリプソメータ系のシステムの場合、収集した信号は偏光分解または非偏光することができる。
図1は、同じツールに統合された複数の計測ヘッドの例示を提供している。しかしながら、多くの場合、複数の計測ツールが単一または複数の計測標的に関する測定値に対して使用される。これは、例えば、あらゆる目的で全体を本願に引用して援用する、米国特許第7,478,019号、「Multiple tool and structure analysis」に記載されている。
【0015】
特定のハードウェア構成の照明システムは、1つ以上の光源を含む。光源は、1つの波長のみを有する光(即ち、単色光)、多数の別々の波長を有する光(即ち、多色光)、複数の波長を有する光(即ち、広帯域光)、および/または波長間で連続的にもしくはホッピングして波長を掃引する光(即ち、同調光源もしくは掃引光源)を生成してもよい。適切な光源の例は、白色光源、紫外(UV)レーザー、アークランプまたは無電極ランプ、レーザー維持プラズマ(LSP)光源、例えばマサチューセッツ州ウーバン(Woburn, Massachusetts)のエナジティックテクノロジー社(Energetiq Technology, Inc.)から市販されているもの、ニュージャージー州モーガンビル(Morganville, New Jersey)のNKTフォトニクス社(NKT Photonics Inc.)から市販されているものなどの超連続光源(広帯域レーザー源など)、またはX線源、極端UV光源などの単波長光源、あるいはそれらの何らかの組み合わせである。光源はまた、場合によっては約1W(nm cm
2 Sr)超過の明るさであってもよい、十分な明るさを有する光を提供するように構成されてもよい。計測システムはまた、光源の出力および波長を安定化させる、光源に対する高速フィードバックを含んでもよい。光源の出力は、自由空間伝播を介して送達することができ、または場合によっては、任意のタイプの光ファイバーまたは光ガイドを介して送達することができる。
【0016】
計測ツールは、半導体製造に関連する多くの異なるタイプの測定を行うように設計される。特定の実施形態は、かかる測定値に対して適用可能であってもよい。例えば、特定の実施形態では、ツールは、重要な寸法、オーバーレイ、側壁の角度、フィルム厚さ、プロセス関連パラメータ(例えば、焦点および/または線量)など、1つ以上の標的の特性を測定してもよい。標的は、例えばメモリーダイの格子など、本質的に周期的である特定の対象領域を含むことができる。標的は複数の層(またはフィルム)を含むことができ、その厚さは計測ツールによって測定することができる。標的は、例えば、アライメントおよび/またはオーバーレイ位置合わせ動作と共に使用される、半導体ウェハ上に配置される(もしくは既存の)標的設計を含むことができる。特定の標的を半導体ウェハ上の様々な位置に位置させることができる。例えば、標的は、けがき線内(例えば、ダイ間)に位置すること、および/またはダイ自体に位置することができる。特定の実施形態では、米国特許第7,478,019号に記載されるように、複数の標的が同じまたは複数の計測ツールによって(同時にもしくは異なる時に)測定される。かかる測定からのデータは組み合わされてもよい。計測ツールからのデータは、半導体製造プロセスにおいて、例えば、プロセス(例えば、リソグラフィ、エッチ)に対する正方向送り、逆方向送り、または横方向送りの補正で使用され、したがって、完全なプロセス制御の解決策をもたらすことができる。
【0017】
半導体デバイスのパターン寸法が縮小し続けるにつれて、より小さい計測標的が必要とされる場合が多い。更に、測定の正確さ、および実際のデバイス特性に対する合致により、デバイス様の標的ならびにダイ内および更にはデバイス上の測定の必要性が増大する。その目標を達成するため、様々な計測の実現例が提案されてきた。例えば、一次反射光学系に基づく集束ビーム楕円偏光法はその1つであり、ピウォンカ−コーレら(Piwonka-Corle et al.)による特許(米国特許第5,608,526号、「Focused beam spectroscopic ellipsometry method and system」)に記載されている。アポダイザを使用して、幾何光学によって定義されるサイズを超える照明スポットの拡散を引き起こす光回折の作用を軽減することができる。アポダイザの使用は、ノートン(Norton)による特許、米国特許第5,859,424号、「Apodizing filter system useful for reducing spot size in optical measurements and other applications」に記載されている。高開口数ツールを同時の複数入射角の照明と共に使用するのは、小標的の能力を達成する別の手法である。この技術は、例えば、オプサルら(Opsal et al.)による特許、米国特許第6,429,943号、「Critical dimension analysis with simultaneous multiple angle of incidence measurements」に記載されている。
【0018】
他の測定例としては、半導体スタックの1つ以上の層における組成の測定、ウェハ上(もしくは中)の特定の欠陥の測定、およびウェハに露光されるフォトリソグラフィ放射量の測定を挙げることができる。いくつかの事例では、計測ツールおよびアルゴリズムは、非周期的な標的を測定するように構成されてもよい。例えば、P・ジャン(P. Jiang et al.)による「The Finite Element Method for Full Wave Electromagnetic Simulations in CD Metrology Using Scatterometry」(係属中の米国特許出願第14/294,540号、2014年6月3日出願)、またはA・クズネツォフら(A. Kuznetsov et al.)による「Method of electromagnetic modeling of finite structures and finite illumination for metrology and inspection」(係属中の米国特許出願第14/170,150号)を参照のこと。
【0019】
対象のパラメータの測定には、通常、多数のアルゴリズムが関与する。例えば、入射ビームとサンプルとの光学的相互作用は、EM(電磁)ソルバーを使用してモデル化され、RCWA、FEM、モーメント法、表面積分法、体積積分法、FDTDなどのアルゴリズムを使用する。対象の標的は、通常、形状エンジンを、または場合によってはプロセスモデル化エンジン、もしくは両方の組み合わせを使用してモデル化(パラメータ化)される。プロセスモデル化の使用は、A・クズネツォフら(A. Kuznetsov et al.)による「Method for integrated use of model-based metrology and a process model」(係属中の米国特許出願第14/107,850号)に記載されている。形状エンジンは、例えば、KLA-TencorのAcuShapeソフトウェア製品で実現される。
【0020】
収集したデータは、ライブラリ、高速次数低減モデル、回帰、神経ネットワークおよびサポートベクトルマシン(SVM)などの機械学習アルゴリズム、例えばPCA(主成分分析)、ICA(独立成分分析)、LLE(局所線形埋め込み)などの次元低減アルゴリズム、フーリエもしくはウェーブレット変換などの疎表現、カルマンフィルタ、同じもしくは異なるツールタイプからの合致を促進するアルゴリズムなどを含む、多数のデータ当てはめおよび最適化の技法および技術によって分析することができる。
【0021】
収集したデータはまた、モデル化、最適化、および/または当てはめを含まないアルゴリズムによって分析することができる。例えば、米国特許出願第14/057,827号である。
【0022】
計算アルゴリズムは、通常、計測アプリケーションに対して最適化され、計算ハードウェアの設計および実装、並列化、計算の分散、負荷の平衡、多重サービス対応、動的負荷最適化など、1つ以上の方策が使用される。アルゴリズムの異なる実現は、ファームウェア、ソフトウェア、FPGA、プログラマブル光学素子などで行うことができる。
【0023】
データ分析および当てはめステップは、通常、次の目標の1つ以上を追求する。
CD、SWA、形状、応力、組成、フィルム、バンドギャップ、電気的性質、焦点/線量、オーバーレイ、生成プロセスパラメータ(例えば、レジスト状態、分圧、温度、焦点モデルなど)、および/またはそれらの任意の組み合わせの測定。
計測システムのモデル化および/または設計、ならびに
計測標的のモデル化、設計、および/または最適化。
【0024】
以下の説明は、計測ツールを利用して計測標的を測定する、方法、システム(方法を実施するプロセッサを有する)、ならびにコンピュータプログラム製品(非一時的コンピュータ可読媒体に埋め込まれ、コンピュータによって実行されて方法を実施するように適合されたコードを有する)の実施形態について開示する。
【0025】
計測ツールは、
図1を参照して上述したツールのいずれかであってもよく、または他のタイプの計測ツールであってもよい。複数の計測ツールが、単一のハードウェアプラットフォームまたは異なるハードウェアプラットフォームに常駐してもよい。単一のハードウェアプラットフォームにある場合、同じまたは異なるハードウェアプラットフォームに常駐するコンピュータシステムのプロセッサは、計測ツールと連通して、後続の図面に関して後述する方法を実施する。異なるハードウェアプラットフォームにある場合、コンピュータのプロセッサは、計測ツールの1つを有するハードウェアプラットフォームの1つに常駐してもよく、または全く異なるプラットフォームに常駐してもよいが、やはり計測ツールと連通して、後続の図面に関して後述する方法を実施する。
【0026】
後述する技術は、計測標的の1つ以上のパラメータの測定値を収集するのに最良の性能を提供する、信号ならびに計測ツールおよび構成を選択することによって、電磁シミュレーションの効率および計測システムの獲得時間を最適化する。これらの技術は、可視光スペクトル内の波長(例えば、400nm以下〜700nm)を使用する光学系に適用されてもよいが、技術はまた、X線、極端紫外、遠赤外、ならびにその他などのより広範囲の波長に拡張されてもよい。
【0027】
本明細書で使用するとき、性能は、結果として得られる測定値の精度を指すことがある。精度は、シミュレートした信号と、選択した信号の部分集合によって定義されるシステムを用いて収集した信号との間の誤差を取ることによって、算出されてもよい。精度は、システムを単一の「理想的な」システムと比較すること(ツール対ツール)によって、またはシステムを、複数の異なるシステムからの平均測定値と比較すること(ツール対フリート)によって、定義されてもよい。精度はまた、知られているシステム誤差、または任意のもしくは全ての測定したパラメータに対するこれら基準値の任意の組み合わせによる、結果として得られる測定システムの堅牢性および/または正確さを指すことがある。
【0028】
測定されたパラメータに小さい変化(ΔP)がある場合、測定された信号(S
m)からパラメータへのマッピングは、式1に示されるように、補正信号(S
0)の周りのテイラー級数によって十分な程度まで説明することができる。
S
m≒S
0+JΔP (式1)
【0029】
起こり得る測定の誤差は、補正信号(S
0)とシミュレートした測定信号(S
m)との差である。起こり得る誤差としては、既知の共分散行列とのノイズによる誤差(S
cov)(例えば、システムノイズ、フリートマッチング分散など)、および固定のパラメータ、システム公差などのオフセットとの誤差などが挙げられる。いずれの場合も、既知の共分散行列の存在下における最良の性能は、式2に示されるように、周知の最良線形不偏推定量(BLUE)である。
【数1】
【0030】
式2では、用語
【数2】
は、項が、共分散行列によって説明されるノイズを脱相関(「白色化」)し、ならびに各信号のノイズ分散が単一であることを担保する、正規化されたヤコビ行列(H)と呼ばれる場合が多い。これによって最良の精度が得られ、平均の測定されたパラメータが、したがって項の最良線形不偏推定量が劣化しなくなる。しかしながら、最良の性能には、全ての信号(即ち、正規化されたヤコビ行列の全ての行と関連付けられた信号)が測定値を取るのに利用されることが求められることがあり、これはスループットの影響を受けやすい半導体業界では実現不能である。信号の選択の最適化は、選択された信号の数が全ての可能な信号の部分集合のみであるとき、精度の改善を分析することによって可能である。
【0031】
図2は、一実施形態による計測標的の測定値を収集する方法200を示している。ステップ202で、計測標的の1つ以上のパラメータを測定する信号の集合をシミュレートする。信号Sの集合は、計測ツールTによって測定されるスペクトルを指してもよい。信号Sの特定の形式は、校正されている計測ツールのタイプに応じて決まる。例えば、信号は、光のビームが計測標的と関連付けられる場所Lに集束された際に、検出器によって測定される光の強度を指してもよい。信号の集合における各信号は、異なる場所Lで、または光の異なる波長を使用して、または計測ツールの異なる構成もしくは配向を用いて取られる、測定値を指してもよい。
【0032】
一実施形態では、モデリングパラメータの集合によって定義されるウェハ上の計測ツールと1つ以上の計測標的とを含む、システムのモデルに基づいて信号の集合を生成する命令を含む、シミュレータモジュールが実装される。モデリングパラメータは、幾何学パラメータ(例えば、重要な寸法、側壁の角度、プロファイル高さなど)、材料組成パラメータ、プロセスパラメータ(例えば、焦点パラメータ、線量パラメータなど)、オーバーレイパラメータ、および/または他の任意のパラメータであってもよい。シミュレータモジュールは、計測システムのモデルを定義するモデリングパラメータに基づいて、1つ以上の計測ツールによって生成された信号をエミュレートする、シミュレートした信号の集合を生成するように構成されてもよい。
【0033】
特に、シミュレートした信号の集合は、計測標的の1つ以上のパラメータを測定する計測ツールによって収集される、未加工データの形態を取ってもよい。表1は、異なる計測ツールによって収集される未加工データの様々な例を示している。表1の例は、異なるツールからの他のタイプの未加工データがシミュレートした信号によってエミュレートされてもよいものと、いかなる形でも限定的であると解釈されるべきではなく、また本開示の範囲内にある。
表1
(1)HRXRDツールからの回折強度対回折角度
(2)X線蛍光(XRF)ツールからの蛍光強度対光子エネルギー
(3)ラマン散乱ツールからのラマン散乱強度対波数
(4)X線光電子分光(XPS)ツールの場合のX線光電子数対結合エネルギー
(5)分光散乱計(OCD)ツールの場合のエリプソメータまたは反射率計信号対波長
(6)X線反射率計(XRR)の場合のX線反射対入射角
(7)角度に基づく散乱計測ツールの場合の反射対入射
(8)小角度X線散乱(SAXS)ツールの場合の回折強度対角度
【0034】
ステップ204で、シミュレートした信号の集合に基づいてヤコビ行列を生成する。ヤコビ行列は、1つ以上のパラメータそれぞれに対して、信号の集合における各信号の偏導関数をエンコードする。一実施形態では、シミュレータモジュールは、シミュレーション中にパラメータを変調して、パラメータの変化によって正規化されるシミュレートした信号値の差を算出することによって、特定のパラメータの変化が各信号にどのように影響し、ヤコビ行列を生成するかを判断する。別の実施形態では、各パラメータに対するパラメータ値を変更して、入力パラメータの様々な組み合わせに基づいて各信号に対する複数の値を生成することによって、ヤコビ行列が生成されてもよい。次に、シミュレートした信号値を曲線に当てはめる(例えば、二次多項式)。次に、曲線の導関数を異なる入力パラメータに対して評価して、ヤコビ行列の偏導関数に対する推定値を導き出してもよい。本質的に、曲線の係数は、信号それぞれの偏導関数を評価するのに利用されてもよい。シミュレートした信号値を高次多項式に当てはめるなど、ヤコビ行列を生成する他の方法が実現されてもよく、それらは本開示の範囲内である。
【0035】
ステップ206で、ヤコビ行列および共分散行列に基づいて、正規化されたヤコビ行列を生成する。正規化されたヤコビ行列は、シミュレートした信号の集合の共分散行列(S
cov)を見つけ、ヤコビ行列を、シミュレートした信号の集合の共分散行列における平方根の逆数、即ち
【数3】
によって乗算することによって算出されてもよい。平方根演算子は、ここでは行列Mとして定義されるので、M
TM=S
covであることが認識されるであろう。
【0036】
ステップ208で、正規化されたヤコビ行列に基づいて、シミュレートした信号の集合から信号の部分集合を選択する。一実施形態では、正規化されたヤコビ行列(H)の構造は、計測標的の1つ以上のパラメータの測定と関連付けられる性能基準値を最適化する、信号の最初の部分集合を生成するのに利用される。性能基準値は、各パラメータの測定値の精度に基づいてもよい。正規化されたヤコビ行列の共分散が単位行列であることを所与として、測定されたパラメータの共分散を、式3で与えられるように効率的に算出することができる。
P
cov=(H
TH)
−1 (式3)
【0037】
特異値分解を使用して、式4に示されるように、Hを対角化する直交基底の集合を見出すことができる。
H=UΣV
T (式4)
【0038】
次に、パラメータの共分散行列を次式のように書くことができる。
P
cov=(VΣ
2V
T)
−1=V
TΣ
−2V (式5)
【0039】
パラメータの共分散行列の固有値(Λ)および対応する固有ベクトル(M)は次式の通りである。
Λ=Σ
−2,V=M (式6)
【0040】
近似として、Λの最大の固有値、およびしたがってΣの最小値と関連付けられる、大きい固有ベクトルに対する最大のノルム射影を有する正規化されたヤコビ行列(H)の行は、正規化されたヤコビ行列Hの構造に対して最大の利益を提供する。ノルム射影は単純に、Hの行の内積および共分散行列P
covの固有ベクトルである。換言すれば、Λの主固有ベクトルに対する最大の射影を有する正規化されたヤコビ行列Hの行に対応する信号は、計測ツールを利用するパラメータの測定値を最適化する信号の部分集合として選択されてもよい。この技術は、信号の部分集合の最初の選択が高感度を含み、正規化されたヤコビ行列Hの階数に対応することを担保する。
【0041】
一実施形態では、重みが選択プロセスに付加されてもよい。例えば、正規化されたヤコビ行列Hの各行は、Λの主固有ベクトル上に投影され、次に適切な重みによって調整されてもよい。次に、信号の部分集合を選択するために、重み付けられた射影値が比較される。重みは、獲得またはシミュレーションの時間と、特定の測定されるパラメータの重要度とを考慮に入れてもよい。例えば、一部の信号は、他の信号よりも設定および収集に時間がかかることがある。収集が簡単な信号は特定の時間枠で収集することが可能であってもよいので、重みは、収集が簡単な信号の方が収集が難しい信号よりも優先度が高いことを反映してもよい。別の例では、製造されたデバイスに対する1つのパラメータの重要度が、別のパラメータを上回る1つのパラメータの精度に影響する信号が所定の優先順位であることを反映する、重みによって考慮に入れられてもよい。一般に、所定の信号に対する重みは、計測ツールの選択、波長、入射角、方位角、偏光、焦点長さ、積分時間、および/または測定と関連付けられる他のパラメータのうち少なくとも1つを含む基準にしたがって設定される。
【0042】
上述の技術は、精度に基づいて(即ち、パラメータの共分散行列に基づいて予期される誤差を最小限に抑えることによって)信号の部分集合を選択する。一実施形態では、信号Sの集合の各信号に対して算出される、性能基準値(PM)を定義する式が指定されてもよい。例えば、上述の性能基準値は次式のように与えられる。
PM
1=〈P
cov,M〉 (式7)
【0043】
式7は、信号ごとに算出され、固有ベクトルMの信号に対応する、共分散行列の行の内積を与える。
【0044】
信号を生成するのに使用される選択された計測ツールの正確さの違いに基づいた性能基準値など、更なる性能基準値も算出されてもよい。特定のツールの製造公差および校正の正確さが、所定の信号の測定値の正確さに影響する場合がある。特定のツールの公称寸法からの乖離が、測定される信号の正確さに影響することがある。これらの寸法と関連付けられる公差が他のものよりも一部の信号に影響することがあるので、モデルを構築して、ツール対ツールの選択の差に基づいて信号の正確さを評価することができる。換言すれば、性能基準値は、信号の分散がツール対ツールの合致によってどのように影響されるかに基づいて、信号を区別してもよい。性能基準値は次式のように与えられてもよい。
PM
2=(J
TJ)
−1J
TΔSignal
Tool((J
TJ)
−1J
T)
T
(式8)
【0045】
やはり、式8は、信号ごとに算出され、ツール対ツールの合致の分散によって影響されるような信号の分散を定量化する。この実施形態では、項ΔSignal
Toolはツールにまたがる信号の共分散である。このベクトルは、同じウェハに対するツールのフリートにまたがる信号の分散を記録することによって、実験的に生成することができる。この分散はまた、ツールにまたがる、分かっている不整合の源を使用することによって計算することができる。
【0046】
各信号の堅牢性に基づいた性能基準値など、更に別の性能基準値が算出されてもよい。モデルに基づく計測は、信号を計測値にマッピングする物理モデルを要する。モデルには性能を低下させ得る多くの不確実さがある。例えば、材料の分散、観察された信号に合致するのに要するフーリエモードの数、構造間の失われた界面層、または標的の非周期性である。信号の摂動ΔSignal
errorを引き起こす、モデルに対する摂動によって、これらの誤差の影響をシミュレートすることができる。結果として得られる信号の選択は、測定された信号に対する仮定の誤差の最も低い射影を有する。換言すれば、性能基準値は、信号の分散が様々な誤差源によってどのように影響されるかに基づいて、信号を区別してもよい。性能基準値は次式のように与えられてもよい。
PM
3=(J
TJ)
−1J
TΔSignal
error((J
TJ)
−1J
T)
T
(式9)
【0047】
やはり、式9は、信号ごとに算出され、推定される誤差源によって影響されるような信号の分散を定量化する。項ΔSignal
errorは、信号が様々な誤差源によってどのように影響されるかを定量化するベクトルである。
【0048】
性能基準値のいずれかが信号の部分集合を選択するのに利用されてもよいが、次式のように、統一された性能基準値を生成するために、複数の性能基準値が組み合わされてもよいことが認識されるであろう。
【数4】
【0049】
式10に示されるように、統一された性能基準値は、重み係数(α、β、およびγ)を使用して、各信号に対して複数の独立した性能基準値を組み合わせる。一実施形態では、重み係数はそれぞれ0〜1に設定されてもよい。
【0050】
ステップ210で、選択された信号の部分集合が調節されてもよい。いくつかの実施形態では、ステップ210は省略されてもよく、ステップ208で選択された信号の部分集合が、計測標的の測定値を取るのに利用される。ステップ208で正規化されたヤコビ行列に基づいて選択された信号の最初の部分集合の調節は、信号の部分集合のアニーリングと呼ばれることがある。アニーリングは、信号の部分集合における信号の数の成長または縮小から成ってもよい。
【0051】
一実施形態では、信号の部分集合は、測定の精度の向上に最大の影響を有する、信号の部分集合に含まれない全ての信号のうち次の信号を追加することによって成長させてもよい。例えば、正規化されたヤコビ行列Hの行と関連付けられる射影値を比較して、最大射影値が見出され、次に、正規化されたヤコビ行列Hの行と関連付けられる信号が信号の部分集合に追加される。選択された信号の部分集合の計算される性能レベルが何らかの閾値を上回るまで、更なる信号が部分集合に追加されてもよい。
【0052】
別の実施形態では、信号の部分集合は、測定の精度の向上に最小の影響を有する、信号の部分集合のうちの信号を除去することによって、縮小されてもよい。例えば、信号の部分集合における信号と関連付けられる正規化されたヤコビ行列Hの行と関連付けられる射影値を比較して、最小射影値が見出され、次に、その正規化されたヤコビ行列Hの行と関連付けられる信号が信号の部分集合から除去される。選択された信号の部分集合の計算される性能レベルが何らかの閾値を下回るまで、更なる信号が部分集合から除去されてもよい。信号を信号の部分集合から除去することによって、パラメータを測定する測定時間が減少してもよく、それによって製造プロセスのスループットが増大すると共に、測定の精度が何らかの容認可能な境界内にあることが担保される。
【0053】
更に別の実施形態では、信号の部分集合は、一部の信号を信号の部分集合から除去し、他の信号を信号の部分集合に追加することによって、成長させ縮小させてもよい。アニーリングステップは、(1)信号の部分集合と関連付けられる性能が性能の閾値レベルを超えるか、(2)アニーリングステップが、2つの隣接したステップで同じ信号が部分集合に除去および/または追加される収束に達するか、あるいは(3)何らかの時間切れの段階に達するまで、多数回繰り返されて、各ステップで信号の部分集合を成長または縮小してもよい。
【0054】
図2に示されるように、測定の精度は、1つ以上の計測ツールを使用して収集するのに信号の部分集合を最適に選択することによって向上させてもよい。この技術を介して選択される信号の部分集合の精度は、例えば、特定の波長範囲内で均一に分割された同じ数の信号を利用するよりも良好になるであろう。測定のために収集される信号の数を低減することによってスループットが増加する一方で、収集した信号の低減された集合に関する最適な性能が担保される。
【0055】
測定の精度を向上する別の技術は、同じ標的の複数の測定値を取ることである。例えば、同じ信号の複数のサンプルを収集することで、多数の値が特定の範囲内で分配されてもよい。様々な異なる値の理由は、ノイズなどの様々な誤差源、ツールの精度などによるものであり得る。しかしながら、サンプルの数が増加するにしたがって、値の分布が現実の測定値に集中する傾向になる。例えば、ランダムノイズがあると、サンプリングされた値の分布は、現実の値を中心にした平均値の周りで正規分布を形成することがある。任意のある特定の測定値の誤差が大きいと、多数のサンプリングされた値の平均と関連付けられる誤差ははるかに小さくなり得る。
【0056】
当然ながら、特定の計測標的を測定するためのサンプル数の増加は、測定値を収集するのに要する時間の増加を意味する。これは、特に、単一の測定のより長い積分時間がそれ自体でより良好な精度になり得るX線計測ツールのような場合に、理想的ではない。しかしながら、多くのシリコンウェハは、ほぼ同じ構造を有する複数の同様の計測標的を含む。計測標的は同一であるように設計されているので、構造のほんのわずかな分散が加工の間に現れることがある。更に、分散はウェハ上の場所と良好に相関することがある。例えば、重要な寸法パラメータの変動は、ウェハの中心よりもウェハの縁部に近いウェハ上の場所で最も大きいことがある。これらの関係を利用して、複数の計測標的に同時に適用される測定の精度を向上することができる。
【0057】
図3Aは、一実施形態による、複数の計測標的から信号を収集することによって測定値の精度を増大する方法300を示している。ステップ302で、複数の信号Sが、ウェハ上の異なる位置にある複数の計測標的から収集される。計測標的は、理想的には同じパラメータ(即ち、重要な寸法、組成など)を有する、類似の構造であるべきである。異なる場所での加工条件の違いによって、計測標的に軽微な違いがあることがあるが、理論上は、信号Sは類似しているが異なる構造の同じ測定値を取るように試みるべきである。
【0058】
方法200で選択された信号の部分集合は、各計測標的から測定値を収集するのに使用されてもよい。換言すれば、
図2を参照して上記に示した技術を使用して、複数の計測標的のうち特定の計測標的に対してどの信号を収集するかを決定してもよく、次に、複数の計測標的のうち各計測標的において、信号の部分集合に対する測定値を収集して、複数の信号Sが複数の計測標的から収集される。
【0059】
ステップ304で、複数の信号を成分Cにマッピングする変換Tが決定される。変換Tは信号Sの集合に基づいて決定されてもよい。一実施形態では、信号Sの集合は、信号Sの集合の主成分を決定するのに、主成分分析(PCA)を使用して分析される。次に、主成分を利用して、変換Tが信号Sの集合に当てはめられ、それによって主成分に対する緊密な適合が得られる。他の実施形態では、ICA、カーネルPCA、または学習済みオートエンコーダなど、PCA以外の技術を利用して、信号Sの集合に基づいて変換Tを見出してもよい。
【0060】
ステップ306で、成分C
1の部分集合が成分Cから選択される。一実施形態では、成分C
1の部分集合は信号対雑音比(SNR)に基づいて選択され、閾値レベルを上回るSNRを有する成分Cの集合の全ての成分は、成分C
1の部分集合内にあるものとして選択される。別の実施形態では、成分C
1の部分集合は、成分Cの情報コンテンツの分析に基づいて選択される。例えば、アルゴリズムは、各タイプの成分の値が予期される範囲内にあるか否かを判断してもよい。
【0061】
ステップ306は、本質的に、収集されたスペクトルからノイズを除去することが認識されるであろう。ノイズ閾値を上回るスペクトルの主成分のみが、分析に使用するのに保持される。これによって、収集された信号の集合が多数のノイズを含む場合であっても測定の精度が向上する。
【0062】
ステップ308で、成分C
1の部分集合は、変換Tに基づいて変換後信号S
1へと変換される。変換Tは線形なので、成分C
1の部分集合は対応する信号S
1に逆変換されてもよい。いくつかの成分が成分Cの集合から除去されることにより、対応する信号S
1は収集された信号Sの集合とは異なってもよいことが認識されるであろう。
【0063】
ステップ310で、信号S
1を分析して、ウェハ上の複数の計測標的に対する少なくとも1つのパラメータが決定される。特定の計測標的に対して1つ以上のパラメータを決定することは、少なくとも1つの他の計測標的と関連付けられる測定値の分析を含む。換言すれば、計測標的群と関連付けられる信号は、その特定の計測標的に対するパラメータを決定するのに、分離された計測標的と関連付けられる信号のみを分析するのではなく、全体として分析される。
【0064】
ウェハ計測で利用される従来の分析システムでは、計測標的の特定のパラメータを決定するのに、単一の計測標的と関連付けられる全ての信号が分析されることがある。対照的に、ステップ310で、信号S1は、ウェハの異なる場所で取られた異なる計測標的に対する、類似の信号(即ち、同じツール、同じツール構成、同じ波長など)を含む。複数の計測標的に対する信号を同時に分析することによって、測定値の精度の向上が達成されてもよい。
【0065】
代替実施形態では、成分C
1の部分集合を直接利用して計測標的のパラメータが決定され、ステップ308は省略される。かかる実施形態では、ステップ310は、信号S
1ではなく成分C
1の部分集合を分析する。
【0066】
図3Bは、別の実施形態による、複数の計測標的から信号を収集することによって測定値の精度を増大する方法350を示している。ステップ352で、積分時間が、計測ツールを使用して収集される各測定値に対して決定される。積分時間は、信号が計測ツールによって収集される時限を指してもよい。積分時間は、第1の精度レベルを満たすように決定されてもよい。例えば、X線計測ツール(例えば、SAXS、XRD、XRF、XPSなど)を使用するとき、特定の測定値の精度はフォトンショットノイズによって制限されることがあり、その場合の精度は式8−2によって与えられる。
【数5】
【0067】
式8−2は、測定時間が増加すると測定の標準偏差が減少する(即ち、精度が向上する)ことを示している。測定時間と特定の精度レベルとの実際の関係は、分析的に決定され、特定の測定値に対して求められる精度レベルに基づいて選択されてもよい。
【0068】
ステップ354で、決定された積分時間に基づいて、計測ツールを利用してウェハ上の異なる位置にある複数の計測標的の測定値が収集される。特定の積分時間に対して収集される個別の測定値はそれぞれ、複数の計測標的のうち計測標的ごとに一度取られてもよく、1つ以上の計測ツールおよび異なる積分時間を使用する複数の測定値が、各計測標的に対して収集されてもよい。
【0069】
ステップ356で、複数の計測標的に対応する収集された測定値が分析されて、各測定値の統計的変動が低減される。やはり、測定値を個別ではなく全体として分析することによって、特定の測定値の精度を第1の精度レベルよりも向上させることができる。
【0070】
一実施形態では、収集された測定値に基づいてオーバーレイマップが生成される。オーバーレイマップは、複数の同様のウェハ上にある同じ計測標的を測定する高スループットの計測ツールを校正するのに利用されてもよい、基準測定値の集合を表してもよい。測定されたパラメータの精度を向上させるために、1つのウェハからのオーバーレイマップが、異なるウェハから収集された測定値の分析中に利用されてもよい。
【0071】
図4は、一実施形態による、計測標的を測定するシステム400の概念図である。
図4に示されるように、システム400は、シミュレータモジュール410と計測モジュール420とを含む。シミュレータモジュール410は、モデリングパラメータP
modelを受け取り、信号S’の集合をシミュレートし、ヤコビ行列を算出し、共分散行列に基づいてヤコビ行列を正規化し、測定値と関連付けられる性能基準値を最適化する、シミュレートした信号S’の集合から信号Sの部分集合を選択する。計測モジュール420は、選択された信号Sの部分集合を受け取り、ウェハ上の1つ以上の計測標的に対して測定された構造パラメータPを生成する。計測ツールは、選択された信号Sの部分集合において指定される各測定値を収集するために、計測モジュール420によって構成されてもよい。
【0072】
システム400は、複数の計測ツールそれぞれに対して繰り返されてもよいことが認識されるであろう。例えば、
図1に示される各計測ツールは、異なる個別のシミュレータモジュール410および対応する計測モジュール420と関連付けられてもよい。これらのモジュールは、複数の計測ツールそれぞれに対して指定された信号Sの測定値を収集するために、並行して操作されてもよい。
【0073】
図5は、様々な以前の実施形態の様々なアーキテクチャおよび/または機能性を実現することができる例示的なシステムを示している。図示されるように、1つ以上の計測ツール550と関連付けられるプロセッサ502とメモリ504とを少なくとも含む、システム500が提供される。メモリ504は、プログラム命令および/またはデータを格納する、揮発性および非揮発性両方のメモリを含んでもよい。一実施形態では、メモリ504は、シミュレータモジュール410および計測モジュール420を格納するハードディスクドライブ(HDD)と、実行中にオペレーティングシステム、アプリケーション、シミュレータモジュール410、および計測モジュール420がロードされてもよいSDRAMとを含む。
【0074】
一実施形態は、本明細書で考察するようなコンピュータにより実現される方法を実施するため、コンピュータシステム上で実行可能なプログラム命令を格納する、非一時的コンピュータ可読媒体に関する。本明細書に記載するもののような、方法を実現するプログラム命令は、メモリ504などのコンピュータ可読媒体に格納されてもよい。コンピュータ可読媒体は、磁気もしくは光学ディスク、または磁気テープ、または当該技術分野で知られている他の任意の適切な非一時的コンピュータ可読媒体などの記憶媒体であってもよい。選択肢として、コンピュータ可読媒体はシステム500内に位置してもよい。あるいは、コンピュータ可読媒体はシステム500の外部にあってもよく、システム500は、コンピュータ可読媒体からメモリ504へとプログラム命令をロードするように構成される。
【0075】
プログラム命令は、中でも特に、処理手順ベースの技術、コンポーネントベースの技術、および/またはオブジェクト指向の技術を含む、様々な手法のいずれかで実現されてもよい。例えば、プログラム命令は、所望に応じて、ActiveXコントロール、C++オブジェクト、JavaBeans(登録商標)、Microsoft Foundation Classes(「MFC」)、または他の技術もしくは方法論を使用して実現されてもよい。
【0076】
システム500は、パーソナルコンピュータシステム、イメージコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、ネットワークアプライアンス、インターネットアプライアンス、または他のデバイスを含む、様々な形態を取ってもよい。一般に、「コンピュータシステム」という用語は、メモリ媒体からの命令を実行する、1つ以上のプロセッサを有する任意のデバイスを包含するように広範に定義されてもよい。システム500はまた、並列プロセッサなど、当該技術分野で知られている任意の適切なプロセッサを含んでもよい。それに加えて、システム500は、独立型またはネットワーク化ツールのどちらかとして、高速処理およびソフトウェアを有するコンピュータプラットフォームを含んでもよい。
【0077】
様々な実施形態について上述してきたが、それらは限定ではなく単なる例として提示されていることが理解されるべきである。したがって、好ましい実施形態の広さおよび範囲は上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲およびそれらの等価物のみにしたがって定義されるべきである。