(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の粗さ測定機において、高さの異なる被測定物を測定する場合には、例えば検出器の高さを調整する高さ調整部を測定部本体に設け、高さ調整部によって検出器の高さを、測定物の高さに合わせることが考えられる。しかしながら、高さ調整部によって調整される検出器の上限の高さには制限があるので、その上限の高さ以上の高さの被測定物は測定することができない。
【0006】
また、従来の粗さ測定機では、その測定部本体によって例えば、被測定物の上面に位置する表面の粗さを測定することができるものの、その測定部本体を用いて例えば被測定物の孔部の内周面の粗さ、又は被測定物の天井面の粗さ等の様々な形状の被測定物の粗さを1台の測定部本体で測定することが難しい。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、様々な形状、高さの被測定物に対して粗さ測定を行うことができる粗さ測定機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、本発明の目的を達成するために、第1面を第1方向の一方側に向けた第1姿勢と、第1面とは反対側の第2面を第1方向の一方側に向けた第2姿勢との間で反転可能な測定部本体と、測定部本体に設けられ、第1方向に直交する第2方向に移動可能な移動体と、移動体を移動させる駆動部と、移動体に設けられた検出器ホルダと、検出器ホルダに保持され、被測定物の表面粗さを検出する検出器と、第1面側又は第2面側に配置された被測定物の表面に対する検出器の高さを調整する高さ調整部と、検出器の向きを第1面側と第2面側との間で切り替える切替部と、を備える、粗さ測定機を提供する。
【0009】
本発明の粗さ測定機によれば、被測定物の高さ、測定面の形状に応じて測定部本体の姿勢を第1姿勢又は第2姿勢に変更するとともに、測定部本体に対する被測定物の測定面の位置に応じて検出器の向きを第1側面と第2側面との間で切り替えることができる。また、被測定物の測定面に対する検出器の高さも高さ調整部によって調整することができるので、被測定物の測定面である表面の高さが異なる場合でも粗さ測定することができる。したがって、本発明によれば、様々な形状、高さの被測定物に対して粗さ測定を行うことができる。
【0010】
本発明の一態様は、測定部本体の第1面及び第2面には、被測定物に対する測定部本体の傾きを調整する角度調整部が設けられていることが好ましい。
【0011】
本発明の一態様によれば、第1面側で測定を行う場合でも、また第2側面側で測定を行う場合であっても、被測定物に対する測定部本体の傾きを角度調整部によって調整することができる。
【0012】
本発明の一態様は、測定部本体には、移動体を挟んで対向配置され、移動体の第1方向の移動を規制しつつ第2方向に沿って案内する一対のガイド部が設けられていることが好ましい。
【0013】
本発明の一態様によれば、被測定物に対する測定部本体の相対的な測定姿勢を変更しても、移動部は、一対のガイド部によって第1方向の移動が規制されているので、移動部の移動時に生じるブレを抑止できる。よって、被測定物に対する測定部本体の相対的な測定姿勢を変更しても、検出器は第1方向に沿って確実に移動するので、測定精度を保持することができる。
【0014】
本発明の一態様は、検出器は、検出器ホルダに対して第1方向を中心に回転自在に保持され、検出器及び検出器ホルダの一方には係合部、他方には被係合部が設けられ、切替部は、検出器を検出器ホルダに対して回転させたときに、係合部と被係合部とを係合させることで、検出器の向きを第1面側又は第2面側のいずれか一方に位置決めすることにより、検出器の向きを第1面側と第2面側との間で切り替えることが好ましい。
【0015】
本発明の一態様によれば、検出器の向きを第1面側又は第2面側に容易に位置決めすることができる。
【0016】
本発明の一態様は、角度調整部は、測定部本体の第1面及び第2面から突出自在な脚部と、脚部の突出量を調整する調整部と、を備えることが好ましい。
【0017】
本発明の一態様によれば調整部を操作して脚部の突出量を調整することにより、被測定物に対する測定部本体の傾きを調整することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の粗さ測定機によれば、様々な形状、高さの被測定物に対して粗さ測定を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面に従って本発明に係る粗さ測定機の好ましい実施形態について詳説する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る粗さ測定機10の全体構成を示した外観図である。
図1の如く、実施形態の粗さ測定機10は、測定部12とデータ処理部14とを備える。
【0022】
〔測定部12〕
図2は、測定部12の全体斜視図である。
図3は、測定部12の組立斜視図である。
図4は、検出器22の概略構成図である。
【0023】
図2〜
図4の如く測定部12は、測定部本体16と、測定部本体16に配置され、被測定物の表面に当接される触針18及び触針18の変位量を測定する変位量測定部20を備えた検出器22と、測定部本体16に配置され、検出器22に連結された移動体24と、測定部本体16に配置され、移動体24を介して検出器22を一点鎖線で示す移動軸Aに沿って移動させる駆動部26と、を備える。
【0024】
ここで、移動軸Aとは、外観視で円筒状に構成された検出器22の長手方向の中心軸を指す。実施形態の粗さ測定機10によれば、移動軸Aに沿って検出器22が移動されることにより、触針18が被測定物の表面をトレースし、被測定物の表面粗さを測定する。また、移動軸Aに沿って移動する検出器22の移動方向が第2方向に相当する。
【0025】
<測定部本体16>
測定部本体16は、外観視において直方体の箱型に構成される。測定部本体16は、角筒状の外装ケース28、及び外装ケース28に覆われた骨格部30を備える。骨格部30の所定の位置に検出器22、移動体24及び駆動部26等が配置されて測定部12の主要部が構成される。
【0026】
外装ケース28の対向する2つの側面のうち一方の側面28Aには、固定型の一対の脚部32、及び角度調整部70を構成する可動型の脚部34が配置される。これらの脚部32、34は、外装ケース28の長手方向において離間して配置される。また、外装ケース28の対向する2つの側面の他方の側面28Bにも同様に、固定型の板状の脚部36、及び角度調整部70を構成する可動型の脚部38が配置される。これらの脚部36、38も同様に外装ケース28の長手方向において離間して配置される。ここで、側面28Aが第1面に相当し、側面28Aとは反対側の側面28Bが第2面に相当する。
【0027】
これらの脚部32〜38は、被測定物に対する測定部本体16の相対的な測定姿勢を変更して被測定物の表面粗さを測定する際に、被測定物が載置される測定台に載置されたり、被測定物が直接載置されたりする。
【0028】
図に基づいて説明すると、
図5は、側面28Aを下面として脚部32、34を測定台100に載置し、同じく測定台100に載置された直方体形状の被測定物W1の表面粗さを測定する第1の測定形態を示した説明図である。つまり、
図5には、第1面である側面28Aを、移動軸A(第2方向)に直交する矢印B方向(第1方向)の下方側(一方側)に向けた、測定部本体16の第1姿勢が示されている。
【0029】
一方、
図6は、測定部12を天地逆さま姿勢に変更し、上面となった側面28A及び脚部34に円柱状の被測定物W2を直接載置し、被測定物W2の表面粗さを測定する第2の測定形態を示した説明図である。つまり、
図6には、第2面である側面28Bを、矢印B方向(第1方向)の下方側(一方側)に向けた、測定部本体16の第2姿勢が示されており、
図5の第1姿勢に対して反転されている。
【0030】
第2の測定形態は、側面28Aに断面がV字状の溝102Aを有するプレート102を固定し、溝102Aに被測定物W2を載置する形態である。
【0031】
可動型の脚部34は、粗さ測定に先立ち、検出器22の移動軸Aと被測定物W1の表面とが相対的に平行となるように、側面28Aからの突出量が調整される。
【0032】
具体的に説明すると、
図5の第1の測定形態においては、側面28Aからの脚部34の突出量を調整すれば、測定台100に対して測定部本体16が傾くので、検出器22の移動軸Aを被測定物W1の表面に対して平行に調整することができる。
【0033】
この際、
図5の第1の測定形態において、固定型の脚部32は、移動軸Aを被測定物W1の表面に対して平行に調整するための支点部として利用される。側面28Aから突出した脚部32を支点部として利用することにより、移動軸Aの上記調整が容易になる。
【0034】
なお、
図6の第2の測定形態において、脚部32が被測定物W2に干渉する場合には、脚部32を外装ケース28の内部に傾動して収納することが好ましい。また、後述するが、可動型の脚部38の側面28Bからの突出量を調整することで、検出器22の移動軸Aを被測定物の表面と平行に調整することができる。また、可動型の脚部34、38を含む角度調整部70については後述する。また、
図5の第1の測定形態、及び
図6の第2の測定形態では、側面28Aの法線方向に、触針18の後述する測定方向が向いているが、側面28Bの法線方向に触針18の測定方向を向けることもできる。この点についても後述する。
【0035】
<検出器22>
図2〜
図4の如く、検出器22は、その長手方向が移動軸Aに沿って配置されたアーム40を備える。アーム40の先端部には、触針18の基端部が固定されている。触針18は、その長手方向がアーム40の長手方向に対して直交する方向に固定されている。ここで、触針18の基端部から先端部に向かう長手方向が、前述した触針18の測定方向であり、触針18の測定方向が検出器22の向きに相当する。また、触針18の先端部には、例えばダイヤモンド製のコンタクト42が取り付けられ、このコンタクト42が被測定物の表面(測定面)に実質的に当接される。ここで、測定部本体16の長手方向において、検出器22が備えられた部分を測定部本体16の先端部16Aと称し、先端部16Aに対して反対側の部分を測定部本体16の基端部16Bと称する。
【0036】
図4の如く、アーム40は、その基端側が検出器22の内部に挿通配置され、検出器22の内部において、支点部40Aにより矢印Cの如く上下方向に揺動自在に支持される。また、アーム40の基端部にはコア20Aが取り付けられており、このコア20Aとボビン20Bとからなる差動トランス等の変位量測定部20によってアーム40の上下方向の揺動量、つまり、被測定物の表面をトレースする際に上下に変位する触針18の変位量が測定される。具体的には、触針18の変位量が変位量測定部20によって電圧に変換され、この電圧値がデータ処理部14(
図1参照)に出力される。そして、電圧値は、データ処理部14に内蔵されたA/D変換器によってA/D変換される。そして、データ処理部14は、A/D変換されたデジタル信号を処理して表面粗さを数値化する。なお、検出器22の詳細な構成は周知であるので、ここではその説明を省略する。
【0037】
<移動体24>
図3の如く、移動体24は、検出器22の基端部に連結される。
【0038】
図7は、検出器22と移動体24との連結構造を誇張して示した断面図である。
図7によれば、検出器22の基端部は、移動体24の先端部に設けられたホルダ部(検出器ホルダ)44の孔部46に嵌合され、かつ孔部46に対し移動軸Aを中心に矢印D方向に回転自在に備えられている。孔部46の内周面には、半球状の凸部(係合部)48が備えられる。凸部48は側面28A側に配置される。また、凸部48に係合する一対の凹部(被係合部)50A、50Bが検出器22の基端部に180°の間隔をもって備えられている。
【0039】
孔部46に対して検出器22を、移動軸Aを中心に回転させて、凹部50Bを凸部48に係合させる。これにより、検出器22の向きが、外装ケース28の側面28A側に切り替えられて位置決めされる。一方で、この状態から検出器22を、孔部46に対して180°回転させて、凹部50Aを凸部48に係合させると、検出器22の向きが、外装ケース28の側面28B側に切り替えられて位置決めされる。つまり、凸部48と凹部50A、50Bとを備える切替部によって、検出器22の向きが側面28A側と側面28B側との間で切り替えられる。
【0040】
図3に戻り移動体24は、ホルダ部44を有する本体52と、本体52の側面に固定された送りナット54と、本体52の内部に備えられ、ホルダ部44を介して検出器22を矢印E方向に上下移動させて検出器22の上下方向の高さを調整する高さ調整部55と、を備える。送りナット54は、駆動部26を構成する送りネジ56に螺合される。すなわち、駆動部26を構成するモータ58によって送りネジ56を正転及び逆転させることによって、移動体24を介して検出器22が移動軸Aに沿って所定の測定範囲で往復移動される。すなわち、検出器22が所定の「測定開始位置」と所定の「測定終端位置」との間で往復移動される。
【0041】
ところで、高さ調整部55は、送りネジ等によって検出器22をホルダ部44とともに矢印E方向に上下に移動させて、側面28A側又は側面28B側に配置された被測定物の表面に対する検出器22の高さを調整する調整部であるが、その上下の移動範囲は数センチと狭い範囲に制限されている。つまり、
図5に示した第1の測定形態では、被測定物W1の高さ寸法H1に合わせて検出器22が高さ調整部55によって上下移動されるが、被測定物W1の高さ寸法H1が検出器22の上下の移動範囲を超えた場合は、第1の測定形態で被測定物W1の表面粗さを測定することができない、という問題が生じる。
【0042】
そこで、実施形態の粗さ測定機10では、測定部12の天地逆さま姿勢での使用を可能にし、かつ、前述の如く検出器22をホルダ部44に対して回転自在に設けたことによって上記の問題を解消している。この点についても後述する。
【0043】
<駆動部26>
図3の如く、駆動部26は、送りネジ56及びモータ58を備える。また、駆動部26は、移動体24に摺接されて移動体24を移動軸Aに沿った第2方向に移動自在に案内するガイド機構部60を備える。
【0044】
モータ58は、不図示の回転軸が移動軸Aと平行となるように骨格部30に固定され、この回転軸の先端部に、送りネジ56の基端部が固定される。送りネジ56の先端部は、不図示の軸受に回転自在に支持されるとともに、この軸受を介して骨格部30に固定され、これによって、送りネジ56の長手方向が移動軸Aと平行に配置される。
【0045】
《ガイド機構部60》
ガイド機構部60は、移動軸Aに沿って配置され、移動体24の左右方向から移動体24を挟んで対向配置された一対のガイドレール(ガイド部)62、62を有する。ガイドレール62、62は、骨格部30に固定され、又は骨格部30の一部を成し、互いに対向する内側面には、移動軸Aに沿ったV字状の溝64が備えられる。なお、溝64の形状はU字状であってもよい。
【0046】
図8は、ガイドレール62、62に対する移動体24の摺動構造を示した断面図である。ガイドレール62、62の溝64には、移動体24の本体52の左右の両側面に備えられた複数個(実施形態では各々の側面に2個)の凸状部66が摺動自在に嵌合される。また、ガイドレール62、62の壁面に当接される1個の凸部66Aが移動体24の本体52の左右の両側面に備えられる。これにより、移動体24が測定範囲での往復移動において、ガイドレール62、62から脱落したり、移動時に軸ブレ(ピッチング、ヨーイング、ローリング)したりすることなく移動軸Aに沿って移動される。すなわち、移動体24は、一対のガイドレール62、62によって、矢印B方向(第1方向)の移動が規制されつつ第2方向である移動軸Aに沿って移動される。
【0047】
図9は、移動体24をガイドするメインガイド90とサブガイド92を示した骨格部30の斜視図である。また、
図10の(A)は、移動体24に対するメインガイド90とサブガイド92の摺動構造を示した斜視図であり、(B)は、(A)の摺動構造の断面図である。
【0048】
図9、
図10の如く、実施形態のガイド機構部60は、移動軸Aに沿って配置され、移動体24を貫通する棒状のメインガイド90と、メインガイド90の軸心を中心とする、移動体24の回転方向の移動を規制する棒状のサブガイド92を有する。メインガイド90とサブガイド92は、骨格部30に固定される。
【0049】
移動体24の貫通孔24Aにメインガイド90が挿通されることにより、移動体24とメインガイド90は摺動自在に嵌合され、サブガイド92は移動体24の側方段部24Bにおいて板バネ94を介して押圧保持されることにより移動体24の軸ブレを規制する。これにより、移動体24が測定範囲での往復移動において、サブガイド92から脱落したり、移動時に軸ブレ(ピッチング、ヨーイング、ローリング)したりすることなく移動軸Aに沿って移動される。すなわち、移動体24は、メインガイド90とサブガイド92によって、矢印B方向(第1方向)の移動が規制されつつ第2方向である移動軸Aに沿って移動される。
【0050】
実施形態では、上述の如く、移動体24を一対のガイドレール62、62で挟持した形態でガイド機構部60を構成している。これに対し、一義的に定められた一つの姿勢で粗さ測定を行う従来の測定部では、移動体24を一対のガイドレール62、62で挟持する必要はなく、1本のガイドレール62のみで移動体24を移動自在に支持すればよい。つまり、移動体24が1本のガイドレール62から脱落したり移動時に軸ブレが生じたりすることがないように、移動体24の下部を1本のガイドレール62によって移動自在に支持すればよい。
【0051】
これに対し、被測定物に対する測定部本体16の相対的な測定姿勢を変更して被測定物の表面粗さを測定する実施形態の測定部12において、1本のガイドレール62のみ使用した場合には、測定部12の測定姿勢を例えば天地逆さまに変更した際に、移動体24が1本のガイドレール62から脱落する虞があるので、粗さ測定機としての機能を喪失する。
【0052】
これに対し、実施形態のガイド機構部60は、移動体24を一対のガイドレール62、62で挟持することで、測定部12の測定姿勢を天地逆さまに変更しても、移動体24が一対のガイドレール62、62から脱落したり移動時に軸ブレが生じたりすることを防止している。これにより、
図5に示した第1の測定形態において、被測定物W1の高さ寸法H1が検出器22の上下の移動範囲を超えた場合でも、測定部12を天地逆さま姿勢に変更して測定することが可能となり、かつホルダ部44に対する検出器22の向きも側面28A側と側面28B側との間で切り替え可能なので、粗さ測定機としての機能を確保することができる。
【0053】
なお、実施形態のガイド機構部60の一対のガイドレール62、62は、移動体24を左右方向から挟持する形態であるが、上下方向から挟持する形態でもよく、左右方向及び上下方向の両方向から挟持する形態でもよい。
【0054】
<角度調整部70>
角度調整部70は、測定部本体16の外装ケース28の2つの側面28A、28Bから突出自在な脚部34、38と、脚部34、38の突出量を調整する調整部68と、を備える。
【0055】
脚部34、38は軸方向に一体化されネジ棒であり、調整部68は脚部34、38であるネジ棒に螺合されたナット部である。また、脚部34、38であるネジ棒は外装ケース28を貫通して配置される。更に、調整部68は円盤状に構成され、その中心部に形成された雌ネジ部に脚部34、38であるネジ棒が螺合されている。調整部68は、手動で操作されるように外装ケース28の外部に配置されている。
【0056】
角度調整部70によれば、調整部68を正転及び逆転させることで、外装ケース28の2つの側面28A、28Bから突出する脚部34、38の突出量を調整することができ、これによって、検出器22の移動軸Aが被測定物の表面に対して平行に調整される。
【0057】
〔データ処理部14〕
図1の如くデータ処理部14は、箱状の本体部72を備える。本体部72は、上部にコネクタ74を備え、このコネクタ74と測定部本体16のコネクタ78とが、破線で示すケーブル76を介して接続されることにより、測定部12とデータ処理部14とが電気的に接続される。
【0058】
また、本体部72の正面部には、各種情報を表示するディスプレイ80、及び各種操作を行う操作パネル82等が備えられる。更に、本体部72の一方の側面には、電源スイッチ84及びコネクタ86等が備えられる。コネクタ86には、パソコン等の外部機器と接続される通信コネクタ86Aと、USBメモリ等の外部記憶媒体と接続されるメモリコネクタ86Bと、が備えられる。
【0059】
データ処理部14は、通信コネクタ86Aを外部機器にケーブルを介して接続することにより、外部機器に測定データを送信することができる。また、外部機器から所要のデータを受信することもできる。通信コネクタ86Aは、例えばUSBコネクタで構成することができ、USB規格に従った通信が行われる。更に、データ処理部14は、メモリコネクタ86Bに外部記憶媒体を接続することにより、例えば、測定したデータをその外部記憶媒体に記録することができる。メモリコネクタ86Bは、例えば、USBコネクタで構成することができ、USBメモリを外部記憶媒体として使用することができる。更にまた、本体部72の上面部には、測定結果をプリントした用紙が排紙される排紙口88が備えられる。
【0060】
〔測定方法〕
<第1の測定形態及び第2の測定形態での測定方法>
実施形態の粗さ測定機10を用いて
図5の第1の測定形態、及び
図6の第2の測定形態での測定方法について説明する。
【0061】
まず、測定条件の設定を行う。具体的には、評価長さ及び検出器22の移動速度等の設定を行う。この設定は、
図1に示したデータ処理部14の操作パネル82を利用して行う。設定された情報は、ディスプレイ80に表示され、また、設定された情報に基づいて駆動部26が測定時にデータ処理部14によって制御される。
【0062】
《第1の測定形態》
まず、測定部12のセッティングを行う。すなわち、測定部12の側面28Aを下面として脚部32、34を測定台100に載置する。そして、検出器22をホルダ部44に対し、必要に応じて回転させて、触針18の測定方向を側面28Aの法線方向に向ける。そして、測定台100に被測定物W1を載置するとともに、被測定物W1の表面に対する検出器22の高さを高さ調整部55によって調節する。
【0063】
次に、触針18のコンタクト42を被測定物W1の表面に当接させた後、角度調整部70を利用して、検出器22の移動軸Aを被測定物W1の表面に対して平行となるように、可動型の脚部34の側面28Aからの突出量を調整する。具体的には、調整部68を回転させて、外装ケース28の側面28Aから突出する脚部34の突出量を調整する。
【0064】
次に、データ処理部14の操作パネル82を介して測定の実行を指示する。
【0065】
操作パネル82から測定の実行が指示されると、検出器22は移動軸Aに沿って一定の移動速度で、かつ測定部本体16の先端部16Aから基端部16Bに向けた方向に一定距離移動する。その際に触針18の変位データを変位量測定部20にて取得する。
【0066】
触針18の変位データは、アナログの電気信号としてデータ処理部14に取り込まれる。データ処理部14は、検出器22から取り込んだ電気信号を一定のサンプリング周期でデジタルの電気信号に変換する。そして、このデジタル信号を所定の制御プログラムに従って信号処理することにより、表面粗さの測定を行う。
【0067】
測定結果は、ディスプレイ80に出力され、また、数値データとして出力されるとともに、必要に応じてグラフ表示される。以上が第1の測定形態による測定方法である。
【0068】
《第2の測定形態》
まず、測定部12のセッティングを行う。すなわち、
図6の如く、測定部12の側面28Aを上面としてプレート102の溝102Aに被測定物W2を直接載置する。そして、触針18の測定方向が側面28Aの法線方向に向いていることを確認後、被測定物W2の測定面に対する検出器22の高さを高さ調整部55によって調節する。
【0069】
次に、データ処理部14の操作パネル82を介して測定の実行を指示する。以下の動作は第1の測定形態と同一なので説明は省略する。
【0070】
《第3の測定形態》
図5に示した第1の測定形態において、被測定物W1の高さ寸法H1が、高さ調整部55による検出器22の上下の移動範囲を超えた場合の第3の測定形態について説明する。
【0071】
図11は、第3の測定形態における測定部12の姿勢を示した斜視図であり、
図12は、第3の測定形態を示した測定部の斜視図である。
【0072】
図11の如く、測定部本体16は、被測定物W1の高さ寸法H1(
図5参照)よりも高い寸法H3を有する被測定物W3の表面粗さを測定するために、
図5の測定部本体16の測定姿勢から天地逆さま姿勢に変更されている。すなわち、外装ケース28の側面28Bを下面として脚部36、38が測定台100に載置されている。測定部本体16を
図5の測定姿勢から
図11の測定姿勢に反転することで、側面28Bからの検出器22の高さが、
図5の測定姿勢における側面28Aからの高さよりも高くなるので、高さ調整部55による検出器22の移動範囲を変更することなく、
図5の測定姿勢で測定不能であった高さの被測定物W3の粗さ測定が可能となる。
【0073】
この後、
図12に示すように、ホルダ部44に対する検出器22の矢印Dで示す回転方向の位置を180°変更して触針18の測定方向を側面28Bの法線方向に切り替える。また、検出器22の矢印Eで示す上下位置が高さ調整部55によって調整される。
【0074】
これにより、
図5の第1の測定形態では、被測定物W3の表面に触針18を当接することが不可能であったが、測定部12の測定姿勢を天地逆さま姿勢に変更し、かつ検出器22の向きを180°変更することで、
図12の如く、被測定物W3の表面に触針18を当接することができる。よって、被測定物W3の表面粗さを測定することができる。すなわち、1台の粗さ測定機10によって、高さの異なる被測定物W1、W3の粗さ測定を行うことができる。
【0075】
また、この測定時において、実施形態のガイド機構部60は、移動体24が一対のガイドレール62、62によって挟持されているので、移動体24が一対のガイドレール62、62から脱落したり移動時に軸ブレが生じたりするのが防止されている。これにより、粗さ測定機10としての機能が確保されている。
【0076】
なお、
図5の第1の測定形態及び
図11の第3の測定形態において、検出器22の向きを側面28A側と側面28B側との間で切り替えることにより、被測定物の天井面の粗さ、及び被測定物の孔の内周面の粗さ等の様々な形状の被測定物の粗さを測定することができる。
【0077】
以上の如く、実施形態の粗さ測定機10によれば、測定部本体16の複数の側面のうち、角度調整部70が備えられた2つの側面28A、28Bを利用して被測定物W1、W2の表面粗さを測定する。また、粗さ測定に先立って、検出器22の高さを高さ調整部55によって調整し、かつ検出器22をホルダ部44に対して回転させて、測定姿勢に対応する向きに検出器22を向ける。これにより、実施形態の粗さ測定機10によれば、被測定物W1、W2に対する測定部本体16の相対的な測定姿勢を変更して被測定物W1、W2の表面粗さを測定することができる。
【0078】
また、
図11の如く測定部12の測定姿勢を天地逆さま姿勢に変更しても、移動体24は、一対のガイドレール62、62によって両側から挟持されているので、移動体24の移動時に生じるブレを抑止できる。よって、被測定物W1に対する測定部本体16の相対的な測定姿勢を変更しても、検出器22は移動軸Aに沿って移動するので、通常の精度の高い粗さ測定を行うことができる。
【0079】
以上の如く、実施形態の粗さ測定機10によれば、様々な高さの被測定物、及び様々な形状の測定面に対して粗さ測定を行うことができる。
【0080】
なお、検出器22の高さ調整を自動化し、かつ測定部12の測定姿勢を検出するスイッチ又はセンサを測定部12に搭載することで、検出器22の向きを自動で認識させることが好ましい。