(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
拡径していない状態の前記位置決めピンを前記ピン挿通孔に挿通させた際に、前記チャックトップの下面と前記アライナーの上面とが当接して垂直方向の位置合わせがなされ、前記位置決めピンが拡径することで水平方向の位置合わせがなされることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
前記位置決めピンは、中空状の本体と、本体内に収容された拡径部と、前記拡径部を本体の外側に突出させて拡径する駆動部とを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の検査装置。
前記位置決めピンおよび前記ピン挿通部材は2つ有し、前記位置決めピンの一方の拡径部は径方向に突出し、前記位置決めピンの他方の拡径部は円周方向に突出することを特徴とする請求項3に記載の検査装置。
前記ピン挿通部材は、円筒状をなし、その内壁は垂直な円周面である垂直部と、前記垂直部における前記位置決めピンの挿通口側に設けられ、前記位置決めピンの挿通口が前記垂直部の径よりも大きく形成され、その内壁が前記垂直部に至る傾斜面となっていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の検査装置。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスにおいては、半導体ウエハ(以下単にウエハと記す)における全てのプロセスが終了した段階で、ウエハに形成されている複数の半導体デバイス(以下単にデバイスと記す)の電気的検査が行われる。このような検査を行う検査装置(プローバ)は、複数の接触端子であるコンタクトプローブを有するプローブカードを備え、ウエハをプローブカードへ当接させることにより、各コンタクトプローブをデバイスの電極パッドや半田バンプと接触させ、各コンタクトプローブから各電極に接続されたデバイスの電気回路へ電気を流すことによって該電気回路の導通状態等の電気的特性をテスターにより検査する(例えば特許文献1参照)。
【0003】
近時、検査効率を向上させるために、プローブカードとテスターを有する検査装置を複数備え、アライナーとチャックトップからなる搬送ステージによって一の検査装置へウエハを搬送中に他の検査装置でウエハに形成されたデバイスを検査可能なウエハ検査システムが提案されており、このウエハ検査システムでは、各検査装置のプローブカードへウエハを接触させる際、ウエハを吸着保持するチャックトップとプローブカードとの間の空間を減圧することによって、チャックトップを吸着させた状態でウエハに形成されているデバイスの電極とプローブカードのコンタクトプローブとを接触させる構造を有している(特許文献2参照)。
【0004】
そして、特許文献2に記載された検査システムにおいては、チャックトップとアライナー(チャックベース)とを連結させた状態で搬送ステージを構成し、ウエハWをチャックトップに載置して吸着保持し、アライナーによりチャックトップの位置合わせを行い、アライナーによりチャックトップを上昇させて、チャックトップを吸着させた後、アライナーがチャックトップから切り離され、他の検査装置(テスター)に移動して検査後のウエハを載置したチャックトップを接続し、検査後のウエハの搬送に用いられる。
【0005】
この場合、アライナーとチャックトップとを接続する際に、アライナーに対してチャックトップを、精度良く、平面方向、垂直方向、回転方向に位置合わせすることが求められる。
【0006】
そこで、特許文献3には、アライナーとチャックトップとが接離可能な検査装置において、アライナーの上面に設けられた複数の位置決めピンと、これら複数の位置決めピンにそれぞれ対応してチャックトップの下面に設けられたV溝を有する複数の位置決めブロックとを有する位置規定機構を設け、各位置決めピンを各位置決めブロックに係合させてこれらの位置合わせを行う技術が提案されている(特許文献3)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態につい説明する。
【0022】
<検査システム>
まず、検査システムの一例の全体構成の一例について説明する。
図1は、検査システムの一例の全体構成を概略的に示す水平断面図であり、
図2は
図1のII-II′線による縦断面図である。
【0023】
図1および
図2において、検査システム10は筐体11を有し、筐体11内には、ウエハWの半導体デバイスの電気的特性の検査を行う検査領域12と、検査領域12に対するウエハW等の搬入出を行う搬入出領域13と、検査領域12及び搬入出領域13の間に設けられた搬送領域14とを有する。
【0024】
検査領域12は、
図1のY方向に沿って複数(本例では6つ)のウエハ検査用インターフェースとしてのテスター15が配置されたテスター列がZ方向(上下方向)に3段に配置されている。また、テスター列の各々に対応して1つのテスター側カメラ16(傾斜確認機構)が配置される。各テスター側カメラ16は対応するテスター列に沿って水平に移動し、テスター列を構成する各テスター15の前に位置して後述する搬送ステージ18が搬送するウエハW等の位置や後述するチャックトップ29の傾斜の程度を確認する。各テスター15には、後述するようにプローブカード19が装着され、後述するチャックトップ29上のウエハWをプローブカード19のコンタクトプローブ25に接触させる機構により検査部30が構成される。
【0025】
搬入出領域13は、複数のポートに区画され、複数のウエハを収容する容器であるFOUPを収容するウエハ搬入出ポート17a、ウエハの位置合わせを行うアライナーを収容するアライナーポート17b、プローブカード19が搬入されかつ搬出されるローダを収容するローダポート17c、ウエハ検査装置10の各構成部の動作を制御する制御部70を収容する制御部収容ポート17dを有する。
【0026】
搬送領域14には、Y方向に沿って移動自在であるとともに、検査領域12や搬入出領域13へも移動自在な搬送ステージ18が配置されている。搬送ステージ18は各テスター列に対応して1つずつ設けられ、搬入出領域13のウエハ搬入出ポート17aからウエハWを受け取って各テスター15へ搬送し、また、半導体デバイスの電気的特性の検査が終了したウエハWを各テスター15からポート17aへ搬送する。
【0027】
このウエハ検査システム10においては、各検査部30(テスター15)に搬送されたウエハWのデバイスの電気的特性を行うが、後述するように、搬送ステージ18が一の検査部30へ向けてウエハWを搬送している間に、他の検査部30では他のウエハWのデバイスの電気的特性を行うことができるようになっている。
【0028】
制御部70は、検査システム10を構成する各構成部、例えば、各検査部30のテスター15、搬送ステージ18、真空機構等を制御する、CPU(コンピュータ)を有する主制御部と、入力装置(キーボード、マウス等)、出力装置(プリンタ等)、表示装置(ディスプレイ等)、記憶装置(記憶媒体)を有している。制御部80の主制御部は、例えば、記憶装置に内蔵された記憶媒体、または記憶装置にセットされた記憶媒体に記憶された処理レシピに基づいて、検査システム10に所定の動作を実行させる。
【0029】
<検査部および搬送ステージの一実施形態>
次に、検査部30および搬送ステージ18の一実施形態について説明する。
図3は、検査部30および搬送ステージ18の構成を、検査部30を中心に説明する断面図であり、
図4は、搬送ステージ18を詳細に説明する断面図であり、
図5は、搬送ステージのチャックトップ29とアライナー32とが接続された状態を示す図であり、
図6は、その際のVI-VI′線による断面図である。なお、
図3、4において、左右方向がX方向、奥行き方向がY方向、上下方向がZ方向、Z方向の軸回りの回転方向がθ方向である。
【0030】
図3は、搬送ステージ18がウエハWをプローブカード19へ当接させた状態を示し、主にテスター15およびプローブカード19等を含む検査部30の構成を示す。
【0031】
図3に示すように、検査部30は、テスター15を体的に組み込んでおり、テスター15はその下端部にマザーボード21を有している。なお、テスター15は、マザーボード21に垂直姿勢で嵌め込まれる複数の検査回路ボード(図示せず)を有している。
【0032】
テスター15の下には、装置フレーム(図示せず)に固定されるようにポゴフレーム20が設けられている。ポゴフレーム20の下部にはプローブカード19が装着される。ポゴフレーム20に対して上下方向に関して移動自在な円筒状をなすフランジ22が当該ポゴフレーム20に係合される。ポゴフレーム20およびフランジ22の間には円筒状のベローズ23が介在している。
【0033】
プローブカード19は、円板状の本体24と、本体24の上面のほぼ一面に配置される多数の電極(図示せず)と、本体24の下面から図中下方へ向けて突出するように配置される多数のコンタクトプローブ25(接触端子)とを有する。各電極は対応する各コンタクトプローブ25と接続され、各コンタクトプローブ25は、ウエハWに形成された各デバイスの電極パッドや半田バンプと接触する。
【0034】
ポゴフレーム20は、略平板状の本体26と、該本体26の中央部近辺に穿設された複数の貫通穴であるポゴブロック挿嵌穴27とを有し、各ポゴブロック挿嵌穴27には多数のポゴピンが配列されて形成されるポゴブロック28が挿嵌される。ポゴブロック28はテスター15が有する検査回路(図示せず)に接続されるとともに、ポゴフレーム20へ装着されたプローブカード19における本体24の上面の多数の電極へ接触し、該電極に接続されるプローブカード19の各コンタクトプローブ25へ電流を流すとともに、ウエハWの各半導体デバイスの電気回路から各コンタクトプローブ25を介して流れてきた電流を検査回路へ向けて流す。
【0035】
フランジ22は円筒状の本体22aと、該本体22aの下部に形成された円環状部材からなる当接部22bとを有し、プローブカード19を囲むように配される。後述するようにフランジ22へチャックトップ29が当接するまでは、フランジ22は自重によって当接部22bの下面がプローブカード19の各コンタクトプローブ25の先端よりも下方に位置するように下方へ移動する。ベローズ23は金属製の蛇腹構造体であり、上下方向に伸縮自在に構成される。ベローズ23の下端及び上端はそれぞれフランジ22の当接部22bの上面およびポゴフレーム20の下面に密着する。
【0036】
ポゴフレーム20およびマザーボード21の間の空間31がシール部材31aで封止されており、該空間が真空引きされることによってポゴフレーム20がマザーボード21に装着される。ポゴフレーム20およびプローブカード19の間の空間もシール部材27aで封止され、その空間が真空引きされることによってプローブカード19がポゴフレーム20に装着される。これらの真空引きは、第1のバキューム機構61により行われる。
【0037】
搬送ステージ18は、厚板部材のチャックトップ29およびアライナー32から構成され、チャックトップ29の上面にウエハWが載置される。ウエハWは第4のバキューム機構64によりチャックトップ29に真空吸着される。ウエハWの搬送時は、チャックトップ29がアライナー32に接続され、チャックトップ29は第5のバキューム機構65によりアライナー32に真空吸着される。したがって、搬送ステージ18が移動する際、ウエハWが搬送ステージ18に対して相対的に移動するのを防止することができる。チャックトップ29の上面の周縁部には段差29aが形成され、該段差29aにはシール部材33が配置される。
【0038】
チャックトップ29とアライナー32は接離可能に設けられており、これらを分離する際には、第5のバキューム機構65による吸着が解除される。チャックトップ29は各検査部30に設けられており、後述するように、検査部30による検査の際には、チャックトップ29がアライナー32から分離され、ウエハWを搬送する際にいずれかのチャックトップ29がアライナー32に接続されて搬送ステージ18を構成する。
【0039】
なお、チャックトップ29やウエハWの保持方法は真空吸着に限られず、チャックトップ29やウエハWのアライナー32に対する相対的な移動を防止できる方法であればよく、例えば、電磁吸着やクランプによる保持であってもよい。
【0040】
搬送ステージ18は移動自在であるため、搬送ステージ18が検査部30のプローブカード19の下方へ移動してチャックトップ29に載置されたウエハWをプローブカード19へ対向させることができるとともに、検査部30へ向けて移動させることができる。チャックトップ29がフランジ22の当接部22bへ当接し、ウエハWがプローブカード19へ当接した際に形成される、チャックトップ29、フランジ22、ポゴフレーム20及びプローブカード19が囲む空間Sはベローズ23およびシール部材33によって封止され、空間Sが第2のバキューム機構62により真空引きされ、シール部材33内が第3のバキューム機構63によって真空引きされることによって、チャックトップ29がプローブカード19に保持され、チャックトップ29に載置されるウエハWがプローブカード19へ当接する。このとき、ウエハWの各デバイスにおける各電極パッドや各半田バンプと、プローブカード19の各コンタクトプローブ25とが当接する。なお、ウエハ検査システム10では、搬送ステージ18の移動は制御部70によって制御され、制御部70は搬送ステージ18の位置や移動量を把握する。
【0041】
図4は、搬送ステージ18を、チャックトップ29がアライナー32から離間された状態で描いた図であるが、この図に示すように、アライナー32は、板状部材のXベース34と、Xベース34上においてX方向に延伸するレール状のXガイド35と、Xガイド35と係合してX方向に移動可能な複数のXブロック36と、各Xブロック36によって支持される板状部材のYベース37と、Yベース37上においてY方向に延伸するレール状のYガイド38と、Yガイド38と係合してY方向に移動可能な複数のYブロック39と、各Yブロック39によって支持される板状部材のZベース40と、Zベース40を貫通して上下方向に移動するZブロック41と、Zブロック41上に設けられたチャックベース42とを備える。
【0042】
各Xブロック36がX方向に移動することによってYベース37はXベース34に対してX方向に移動可能であり、各Yブロック39がY方向に移動することによってZベース40はYベース37およびXベース34に対してY方向に移動可能であり、Zブロック41はボールねじ機構等の図示しない複数の昇降機構によりチャックベース42を昇降可能であり、チャックベース42は図示しない回転機構によりθ方向に回転可能である。
【0043】
チャックベース42は上面の中心部分にチャックトップ吸着面52を有する。また、チャックトップ29は底部にボトムプレート53を有する。チャックトップ29は、ボトムプレート53の下面、およびチャックベース42のチャックトップ吸着面52が合わさった状態で真空吸着される。これにより、チャックトップ29がアライナー32へ載置されて装着される。
【0044】
また、チャックベース42の上面の周縁部には複数のハイトセンサ54が配置され、チャックトップ29の下面の周縁部には、各ハイトセンサ54と対応する位置に複数の検出用プレート56が設けられている。
【0045】
チャックベース42の上面のハイトセンサ54のさらに外側には、複数(本例では3つ(
図6参照))の拡径可能な位置決めピン55が設けられており、チャックトップ29の下面の検出用プレート56の外側には、位置決めピン55と対応する位置に複数(3つ)のピン挿通部材57が設けられている。位置決めピン55およびピン挿通部材57は、それぞれ前記チャックベース42および前記チャックトップ29の中心を中心として描かれた円周上に等間隔で設けられている。位置決めピン55とピン挿通部材57により位置合わせ機構が構成される。ピン挿通部材57は円筒状をなし、拡径していない状態の位置決めピン55の径よりも大きな径の挿通孔57aが垂直に設けられている。すなわち、ピン挿通部材57の内壁は垂直な円周面となっている。そして、チャックトップ29にアライナー32を接続させるとき、位置決めピン55とピン挿通部材57により、チャックトップ29とアライナー32との位置合わせが行われる。
【0046】
このとき、チャックベース42が上昇して、拡径していない状態の位置決めピン55がピン挿通部材57の挿通孔57aに挿通され、その状態でさらにチャックベース42が上昇することにより、
図5に示すように、ボトムプレート53とチャックトップ吸着面52が当接されてチャックトップ29とアライナー32の垂直方向の位置合わせがなされた状態となる。
【0047】
図7は位置決めピンの一例を示す図である。位置決めピン55は、
図7(a)に示すように、中空構造をなす本体58と、本体58内に収容された拡径部59を有しており、本体58内にエアライン(エア供給機構)55aを介してエアを供給することにより、
図7(b)に示すように、拡径部59が本体58に形成された切り欠き部(図示せず)から外側に突出し、位置決めピン55が拡径されるようになっている。また、エアの供給を停止した際には、拡径部59は、バネ等の弾性部材により本体58の内部に戻るようになっている。縮径した状態の位置決めピン55が、ピン挿通部材57の挿通孔57aに挿通された後、
図8に示すように、拡径部59が突出されることにより位置決めピン55が拡径されることにより、チャックベース42とチャックトップ29との水平方向および回転方向の位置合わせがなされる。
【0048】
また、アライナー32は、
図4に示すように、プローブカード19やポゴフレーム20の傾斜の程度を確認するための上方確認カメラ72を有する。上方確認カメラ62はZブロック41に取り付けられる。また、アライナー32は、上述したようにチャックベース42を昇降する昇降機構を複数有しており、上方確認カメラ62の情報に基づいてこれらのリフト量を調整することにより、チャックベース42の傾斜を調整することができる。
【0049】
<プローブカード交換の際に用いる構成>
検査システム10においては、プローブカード19を交換する際に、搬送ステージ18を用いてローダポート17cに従前のプローブカード19を戻し、新しいプローブカード19を装着するが、この際に、プローブカード19のコンタクトプローブ25を保護するために、
図9に示すように、装着治具80を用いる。装着治具80は、プローブカード19よりも大きな径を有するプレート81と、プレート81の下面の周縁部に取り付けられた円筒状の脚部82と、プレート81の上面の周縁部に取り付けられた円筒状のプローブカード支持部83とを有する。
【0050】
このとき、プローブカード19をポゴプレート20に正確な位置で装着するため、脚部82をチャックトップ29上で位置決めした後、真空吸着して固定し、また、プローブカード19をプローブカード支持部83に真空吸着して固定する。脚部82を真空吸着する空圧回路は、チャックトップ29に設けられた排気流路91と、アライナー32側に設けられた排気流路95と、排気流路91と排気流路95とを接続するカプラ93と、排気流路95に接続された第6のバキューム機構66とを有する。また、プローブカード19をプローブカード支持部83に吸着する空圧回路は、プローブカード支持部83からプレート81および脚部82の下面まで延びる排気流路84と、チャックトップ29に排気流路84と連続するように設けられた排気流路92と、アライナー32側に設けられた排気流路96と、排気流路92と排気流路96とを接続するカプラ94と、排気流路96に接続された第7のバキューム機構67とを有する。
【0051】
カプラ93および94は、それぞれ排気流路95および96が接続された際には開かれて真空引き可能となり、排気流路95および96が外された際には閉じられるようになっている。
【0052】
これらの空圧回路においては、第6のバキューム機構66および第7のバキューム機構67がいずれもアライナー32側に設けられており、
図10に示すように、チャックトップ29がフランジ22に吸着されてアライナー32がチャックトップ29から切り離された際、カプラ93および94から排気流路95および96が外され、カプラ93および94は閉じられるので、第2のバキューム機構62による空間Sの真空引きへの影響はない。
【0053】
従来は、プローブカード交換の際に用いる2つの空圧回路は、チャックトップ側に持たせていたため、複数の検査部30に対応する数のチャックトップにこれらの空圧回路を設けなくてはならなかったが、本例では、これらの空圧回路をアライナー側に設けて、チャックトップ側の排気流路とアライナー側の排気流路とをカプラにより接離可能としたので、各段における空圧回路の数を減少させることができる。例えば、本例のように各段の検査部30の数が6つの場合には、従来、検査部30に対応して12個の空圧回路が必要であったが、本例の場合は2個に削減することができる。
【0054】
<検査システムの動作>
次に、本実施形態に係る検査システムの動作について説明する。
ウエハ搬入出ポート17aのFOUPから、搬送ステージ18によりウエハWを受け取り、チャックトップ29上にウエハWが載せられた搬送ステージ18を、所定の検査部30(テスタ15)の下方位置に移動させる。
【0055】
この状態で、まず、
図11(a)に示すように、アライナー32によりチャックトップ29の水平方向の位置合わせを行う。その後、
図11(b)に示すように、アライナー32のZブロック41によりチャックベース42を上昇させてウエハWをプローブカード19のコンタクトプローブ25へ当接させ、チャックトップ29、フランジ22、ポゴフレーム20およびプローブカード19に囲まれた空間Sを真空引きしてチャックトップ29をフランジ22の当接部22bに吸着させる。これによりチャックトップ29およびプローブカード19の位置関係が維持され、ウエハWがプローブカード19のコンタクトプローブ25へ当接されたままの状態となる。このとき、空間Sの真空引きに起因してチャックトップ29がウエハWに付与される押圧力が、ベローズ23の圧縮によりチャックトップ29におよぼされる反力よりも大きくなるように、真空度が調整される。
【0056】
次いで、
図11(c)に示すように、空間Sを真空引きした状態のまま、アライナー32とチャックトップ29の真空吸着を解除し、アライナー32をチャックトップ29から離間させる。この状態で、ウエハWに形成されたデバイスの電気的検査が行われる。このとき、チャックトップ29の存在によりウエハWには真空引きによる負圧が付与されないので、ウエハWの反りは発生しない。
【0057】
チャックトップ29から切り離されたアライナー32は、ウエハの検査が終了した別の検査部30(テスタ15)の下方に移動され、チャックベース42を上昇させて、検査部30に吸着保持されているチャックトップ29にアライナー32を接続させる。これにより、搬送ステージ18が構成され、チャックトップ29上のウエハWをウエハ搬入出ポート17aのFOUPへ搬出する。そして、搬送ステージ18のチャックトップ29上には新たなウエハWを載置し、同じ検査部30に搬送して同様の動作でチャックトップ29を上昇させ、ウエハWをプローブカード19のコンタクトプローブ25に当接させるとともに、チャックトップ29を吸着させて電気的検査を行う。そして、以上の動作をFOUP内のウエハWの数だけ繰り返す。
【0058】
このとき、チャックトップ29とアライナー32を接続する際には、これらを高精度で位置合わせする必要があり、従来は、
図12(a)に示すように、アライナー32のチャックベース42の上面に複数の位置決めピン155を設け、チャックトップ29の下面にこれら複数の位置決めピン155にそれぞれ対応してV溝を有する複数の位置決めブロック157を設け、各位置決めピン155を各位置決めブロック157に係合させることにより、垂直方向と水平方向および回転方向の位置合わせを同時に行っていた。
【0059】
しかし、このような手法は効率よく位置合わせができるものの、位置決めピン155が位置決めブロック157のV溝の傾斜面で位置合わせされてしまい、アライナー32とチャックトップ29の平行度等にばらつきが生じる場合があった。これを防止するために、チャックトップ29をアライナー32へ載置した後にアライナー32のチャックベース42を揺動させることも行われているが、それでも不十分な場合があった。
【0060】
そこで、本実施形態では、アライナー32におけるチャックベース42の上面周縁部に複数の拡径可能な位置決めピン55を設け、チャックトップ29の下面の周縁部の位置決めピン55に対応する位置に、拡径していない状態の位置決めピンの径よりも大きな径の挿通孔57aを有する、複数のピン挿通部材57を設けて、これらにより、チャックトップ29とアライナー32の位置合わせを行う。
【0061】
具体的には、制御部70の座標に基づいてアライナー32の大まかな水平方向の位置合わせを行った後、アライナー32のチャックベース42を上昇させ、拡径していない状態の位置決めピン55を、それよりも径が大きいピン挿通部材57の挿通孔57aに挿通させ、その状態でさらにチャックベース42を上昇させて、
図5で説明したように、そのチャックトップ吸着面52を、チャックトップ29におけるボトムプレート53の下面に当接させる。これにより、チャックトップ29とアライナー32の垂直方向の位置合わせがなされる。
【0062】
次いで、
図7(b)および
図8で説明したように、位置決めピン55の本体58から拡径部59が本体58の外側に突出され、位置決めピン55の径が拡径される。これにより、アライナー32の水平位置がずれていても、位置決めピン55が拡径されることにより、そのずれが矯正され、チャックトップ29とアライナー32の水平方向および回転方向の位置合わせがなされる。
【0063】
このように、チャックトップ29とアライナー32の位置合わせを、垂直方向の位置合わせを行った後、水平方向および回転方向の位置合わせを行う手法で実行することにより、従来の、位置決めピン155と位置決めブロック157により垂直方向と水平方向の位置合わせを同時に行う場合のような、アライナー32とチャックトップ29の平行度等にばらつきが生じる等の問題を防止することができ、アライナー32とチャックトップ29を確実に高精度で位置合わせすることができる。
【0064】
この場合、拡径部59の突出方向が問題となるが、位置決めピン55およびピン挿通部材57を同一円周状に等間隔でそれぞれ3つずつ設けた場合、拡径部59の突出方向としては、
図13の(a),(b),(c)に例示したものを挙げることができる。(a)の例は3つの位置決めピン55の拡径方向が外側の場合、(b)は拡径方向が内側の場合、(c)は拡径方向が周方向の場合である。これらいずれも高精度で位置合わせ可能であるが、これらの中では(c)が最も好ましい。位置決めピン55を拡径する場合、拡径するタイミングを同一に設定しても、そのタイミングがわずかにずれる場合があるが、(c)の場合はその場合でもより確実に位置合わせを行うことができる。なお、3つの位置決めピン55の拡径部59の突出方向は、少なくとも一つが他と異なっていてもよい。
【0065】
なお、位置決めピン55およびピン挿通部材57の数は2つでも位置決めが可能である。ただし、この場合は、拡径部59の突出方向が限定的である。例えば、2つの位置決め部材55における拡径部59の突出方向が両方とも径方向の場合、および両方とも周方向の場合、位置が決まらないが、
図14に示すように、拡径部59の突出方向が、一方が径方向で他方が周方向の場合には位置決めが可能である。また、位置決めピン55とピン挿通部材57の個数は4つ以上であってもよい。
【0066】
位置決めピン55における拡径部59を突出させる手段は、エアに限らず、機械的なものや電気的なものであってもよい。機械的なものとしては、ばね等の弾性体を圧縮した状態の保持手段により拡径部59を本体58内に保持しておき、保持手段を解除することにより拡径部を本体58の外側に突出させるものを挙げることができる。
【0067】
また、
図15に示すように、ピン挿入部材57の挿通孔57aの下端部、すなわち位置決めピンの挿通口の径をその上の垂直部よりも大きくしてピン挿入部材57の下端部に傾斜部57bを形成するようにしてもよい。これにより、位置決めピン55の位置のずれが大きくても、位置決めピン55が傾斜部57bに沿って上昇して確実に挿通孔57aに挿通することができる。
【0068】
<他の適用>
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0069】
例えば、上記実施の形態では、位置決めピンとして、本体内部に収容されている拡径部を本体の外側に突出させることにより拡径するものを例示したが、これに限らず、他の手法で拡径するものを用いることができる。例えば、位置決めピンの外面を縦方向に複数に分割し、分割された部材が機械的に外側に移動してピン全体が拡径する構造であってもよい。
【0070】
また、上記実施の形態では、アライナーの上面(チャックベースの上面)に位置決めピンを設け、チャックトップの下面にピン挿通部材を設けた例を示したが、アライナーの上面にピン挿通部材を設け、チャックトップの下面に位置決めピンを設けてもよい。
【0071】
さらに、上記実施の形態では、プローブカードとテスターを有する検査装置を複数備え、アライナーとチャックトップからなる搬送ステージによって一の検査装置へウエハを搬送中に他の搬送装置でウエハに形成されたデバイスを検査可能な検査システムに本発明を適用した場合について示したが、チャックトップとアライナーが接離可能な搬送ステージを有する検査装置であれば適用可能である。