(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下は本発明の各種実施形態の説明である。そして、それは単に実施例の方法を図を参照して記載されている。図は、一定の比率では描画されておらず、単に説明の便宜上の目的とされるものである。
【0008】
図1は、荷電粒子マルチ小ビームリソグラフィシステム1の実施形態の簡略した図面を示す。このようなリソグラフィシステムは、例えば本出願の出願人に帰する米国特許第6,897,458号、6,958,804号および7,084,414号および7,129,502号に記載され、そしてそれらの全体が本願明細書に引用したものとする。
【0009】
このようなリソグラフィシステム1は、複数の小ビームを生成している小ビームジェネレータと、変調された小ビームを形成するように小ビームをパターン化する小ビームモジュレータと、ターゲットの表面上へ変調された小ビームを投影するための小ビームプロジェクタとを適切に備えている。
【0010】
小ビームジェネレータは、一般的に源および少なくとも1つのビームスプリッタを備える。
図1の源は、実質的に均一で、拡大している電子ビーム4を作成するために配置される電子源3である。電子ビーム4のビームエネルギーは、好ましくは約1〜10keVの範囲で比較的低く保たれる。これを達成するために、加速電圧は好ましくは低く、そして電子源3は、他の設定も使用されることはできるが、グラウンド電位でのターゲットに対して約−1〜−10kV間の電圧に保たれることができる。
【0011】
図1において、電子源3からの電子ビーム4は、電子ビーム4を平行(コリメート)にするためのコリメータレンズ5を通過する。コリメータレンズ5は、平行にする光学系の何らかのタイプであることができる。コリメーションの前に、電子ビーム4は、ダブルの八重極(図示せず)を通過することができる。その後、電子ビーム4は、ビームスプリッタ、
図1の実施形態においては開口アレイ6に当たる。開口アレイ6は、好ましくは、スルーホールを有するプレートを備えている。開口アレイ6は、ビーム4の部分を妨げるように配置される。加えて、アレイ6は、複数の平行電子小ビーム7を作成するために、複数の小ビーム7が通過することを許容する。
【0012】
多少の小ビームが生成されることはもちろん可能性であるけれども、
図1のリソグラフィシステム1は、多数の小ビーム7、好ましくは約10,000〜1,000,000の小ビームを生成する。他の周知の方法は、また、平行にされた小ビームを生成するために使用されることができる点に注意する。第2の開口アレイは、電子ビーム4からサブビームを生成し、サブビームから電子小ビーム7を生成するために、システムに追加されることができる。これは、下流に更なるサブビームの操作を可能にするものであり、特にシステムの小ビームの数が5,000以上であるときに、それはシステムオペレーションのために有益であるとわかる。
【0013】
変調システム8として
図1にて示される小ビームモジュレータは、一般的に、複数のブランカーの装置を備えている小ビームブランカーアレイ9および小ビームストップアレイ10を備える。ブランカーは、一つ以上の電子小ビーム7の偏向が可能である。本発明の実施形態では、ブランカーは、より詳しくは、第1の電極、第2の電極および開口が提供される静電偏向装置(electrostatic deflectors)である。電極は、それで、開口を横切る電界を生成するために開口の対向する側面に設置される。通常、第2の電極は、接地電極であり、すなわちグラウンド電位に接続される電極である。
【0014】
ブランカーアレイ9の面内に電子小ビーム7の焦点を合わせるために、リソグラフィシステムは、コンデンサーレンズアレイ(図示せず)を更に備えることができる。
【0015】
図1の実施形態において、小ビームストップアレイ10は、小ビームが通過することを可能にするための開口アレイを備える。小ビームストップアレイ10は、その基本形式において、他の形状も使用されることができるけれども一般的に丸い孔のスルーホールが提供される基板を備える。いくつかの実施形態において、小ビームストップアレイ10の基板は、スルーホールの一様に間隔を置かれたアレイを有するシリコンウェハから形成され、表面チャージングを防ぐように金属の表面層でコーティングされる。いくつかの更なる実施形態において、金属は、自然酸化被膜を形成しないタイプ(例えばCrMo)のものである。
【0016】
小ビームブランカーアレイ9および小ビームストップアレイ10は、小ビーム7をブロックするかまたは通過させるか一緒に操作する。いくつかの実施形態において、小ビームストップアレイ10の開口は、小ビームブランカーアレイ9の静電偏向装置の開口に位置合わせされる。小ビームブランカーアレイ9が小ビームを偏向させる場合、それは小ビームストップアレイ10の対応する開口を通過しない。その代わりに、小ビームは、小ビームブロックアレイ10の基板によって妨げられる。小ビームブランカーアレイ9が小ビームを偏向させない場合、小ビームは小ビームストップアレイ10の対応する開口を通過する。いくつかの別の実施例においては、小ビームブランカーアレイ9及び小ビームストップアレイ10の間の協同は、ブランカーアレイ9の偏向装置による小ビームの偏向が小ビームストップアレイ10の対応する開口を介した小ビームの通過をもたらし、一方、非偏向は小ビームストップアレイ10の基板による妨害をもたらすようになされる。
【0017】
変調システム8は、制御ユニット60によって提供される入力を基礎としてパターンを小ビーム7に加えるように配置される。制御ユニット60は、データ記憶ユニット61、読出しユニット62およびデータコンバータ63を備えることができる。制御ユニット60は、他のシステムから、例えばクリーンルームの内側部分の外側から遠く離れて設置されることができる。光ファイバ64を使用して、パターンデータを保持している被変調光ビーム14は、リソグラフィシステム1の電子光学部分(概略的に点線ボックスおよび参照番号18によって示される)にファイバアレイ内のファイバの端部(概略的に、プレート15として記載される)からの光を投影するプロジェクタ65に伝えられることができる。
【0018】
図1の実施形態において、被変調光ビームは、小ビームブランカーアレイ9に投影される。より詳しくは、光ファイバ端部からの被変調光ビーム14は、小ビームブランカーアレイ9上に設置される対応する光感応素子に投影される。光感応素子は、光信号を異なるタイプの信号(例えば電気信号)に変換するために配置されることができる。被変調光ビーム14は、対応する光感応素子に接続される1つ以上のブランカーを制御するためのパターンデータの一部を伝導する。適切に、対応する光感応素子上へ光ビーム14を投影するために、プロジェクタ65のような光学素子は、使用されることができる。加えて、適切な入射角で光ビーム14の投影を可能にするために、ミラーは、例えばプロジェクタ65と小ビームブランカーアレイ9との間に適切に配置されるように、含まれることができる。プロジェクタ65は、制御ユニット60の制御下において、プロジェクタ位置決め装置17によってプレート15と適切に位置合わせされることができる。その結果、プロジェクタ65と複数の光感応素子内の光感応素子との間の距離は、同様に変化することができる。
【0019】
いくつかの実施形態において、光ビームは、少なくとも部分的に、光導波管によってプレートから光感応素子の方へ転送されることができる。光導波管は、光感応素子に非常に近づいた位置に、適切に1センチメートルよりも短く、好ましくは1ミリメートルのオーダーで離れて、光をガイドすることができる。光導波管と対応する光感応素子との間の短い距離は、光損失を減らす。他方で、荷電粒子小ビームによって占有されうる空間から離れて設置されるプレート15およびプロジェクタ65の使用は、小ビーム外乱が最小化され、および小ビームブランカーアレイ9の組立がより複雑にならないという効果がある。
【0020】
小ビームモジュレータから出てくる被変調小ビームは、小ビームプロジェクタによってターゲット24のターゲット表面13の上へのスポットとして投影される。小ビームプロジェクタは、一般的に、ターゲット表面13の全体に被変調小ビームを走査するためのスキャン偏向装置およびターゲット表面13の上へ被変調小ビームの焦点合せのための投影レンズシステムを備える。これらのコンポーネントは、単一の端部モジュール内に存在し得る。
【0021】
このような端部モジュールは、好ましくは、挿入可能で取り替え可能なユニットとして構成される。端部モジュールは、それで偏向装置アレイ11および投影レンズ装置12を備えることができる。挿入可能で取り替え可能なユニットは、また、小ビームモジュレータに関して上記したように小ビームストップアレイ10を含むことができる。端部モジュールを出た後に、小ビーム7は、ターゲット板に配置されるターゲット表面13に当たる。リソグラフィアプリケーションのために、ターゲットは、通常、荷電パーティクル感応層またはレジスト層が提供されるウェーハを備える。
【0022】
偏向装置アレイ11は、小ビームストップアレイ10を通過した各々の小ビーム7を偏向させるために配置されるスキャン偏向装置アレイという形をとることができる。偏向装置アレイ11は、比較的小さい駆動電圧のアプリケーションを可能にする複数の静電偏向装置を備えることができる。偏向装置アレイ11が投影レンズ装置12の上流に記載されているけれども、偏向装置アレイ11は、また、投影レンズ装置12とターゲット表面13との間に位置することができる。
【0023】
投影レンズ装置12は、小ビーム7の焦点を合わせるように、偏向装置アレイ11による偏向の前か後に配置される。好ましくは、焦点合せは、直径約10〜30ナノメートルの幾何学的なスポットサイズとなる。このような好ましい実施態様において、投影レンズ装置12は、約100〜500倍に、最も好ましくは、できるだけ大きく例えば約300〜500倍の縮小を提供するように、好ましくは配置される。この好ましい実施形態において、投影レンズ装置12は、有利にターゲット表面13の近くに設置されることができる。
【0024】
いくつかの実施形態において、ビームプロテクタ(図示せず)は、ターゲット表面13と投影レンズ装置12との間に設置されることができる。ビームプロテクタは箔、または、複数の適切に配置された開口が提供されたプレートであることができる。リソグラフィシステム1の感応素子のいずれかにレジストパーティクルが達し得る前に、ビームプロテクタは、放出されたレジストパーティクルを吸収するように配置される。
【0025】
投影レンズ装置12は、それで、ターゲット表面13の上の単一の画素(pixel)のスポットサイズが適切なことを確実にすることができ、一方、偏向装置アレイ11は適切なスキャン動作によってターゲット表面13の上の画素の位置がマイクロスケール上で適切なことを確実にすることができる。特に、偏向装置アレイ11の動作は、画素が最終的にターゲット表面13の上のパターンを構成する画素のグリッドへと適合するようになされる。ターゲット表面13の上の画素のマクロスケール位置決めがターゲット24の下にあるウェハ位置決めシステムによって適切に可能にされることは理解される。
【0026】
一般に、ターゲット表面13は、基板の上部にレジスト膜を備えたものである。レジスト膜の部分は、荷電粒子、すなわち電子の小ビームの適用によって化学的に修正される。その結果として、フィルムの照射を受けた部分は現像液にほぼ可溶性となる。そして、ウェーハ上のレジストパターンに結果としてなる。ウェーハ上のレジストパターンは、下位層へその後転送されることができ、すなわち、周知のように半導体製造のインプルメンテーション、エッチングおよび/または堆積ステップによってなされる。明らかに、照射が均一でない場合、レジストは均一な方法で現像されることができず、そして、パターン内においてミスへと導く。高品質の投影は、それゆえに、再現可能な結果を提供するリソグラフィシステムを得るために重要である。照射の差異は、偏向工程からの結果とされるものではない。
【0027】
図2は、
図1のリソグラフィシステムの小ビームブランカーアレイ9の実施形態の動作を概略的に示す。特に、
図2は、小ビームブランカーアレイ9および小ビームストップアレイ10を備えている小ビームモジュレータの部分の断面図を概略的に示す。小ビームブランカーアレイ9は、複数の開口が提供される。参照のために、ターゲット24も示された。図は一定の比率で描画されない。
【0028】
小ビームモジュレータの示された部分は、3つの小ビーム7a、7bおよび7cを変調させるように配置される。小ビーム7a、7b、7cは、単一の源から発生するビームから、または単一のサブビームから生成され得る小ビームの単一のグループの部分を形成することができる。
図2の小ビームモジュレータは、各々のグループに対する収束Pの共有点の方へと小ビームのグループを収束するために配置される。収束Pのこの共有点は、小ビームのグループのための光軸O上に、好ましくは設置される。
【0029】
図2に示された小ビーム7a、7b、7cを考慮すると、小ビーム7a、7cは、小ビームと光軸Oとの間に延びる入射角を有する。小ビーム7bの方向は、実質的に光軸に対して平行である。小ビームストップアレイ10の基板によって被偏向小ビームのブロッキングを確立する小ビーム偏向の方向は、各々の小ビームに対して異なることができる。小ビーム7aは、左の方へ、すなわち破線7a−によって示される
図2の“−”の方向に偏向によってブロックされる。他方、小ビーム7b、7cは、それぞれの小ビームのブロックを確立するように、右の方へ、すなわち“+”の方向へ偏向される。これらのブロッキング方向は、それぞれ破線7b+および7c+によって示される。偏向方向の選択は、任意ではない点に留意する。例えば、小ビーム7aに対して、破線7a+は、小ビーム7aの右の方への偏向が小ビームストップアレイ10を介して通過する結果となることを示す。それゆえに、ライン7a+に沿った小ビーム7aの偏向は、不適当である。他方では、小ビーム7bの左への偏向は、破線7b−によって示され、それはオプションである。
【0030】
図3Aは、
図1のリソグラフィシステムで使用されることができる小ビームブランカーアレイ9の一部の断面図を概略的に示す。小ビームブランカーアレイ9は、複数のモジュレータ101を備えている。モジュレータは、第1の電極103a、第2の電極103b、および開口105を備えている。電極103a、103bは、開口を横切る電界を生成するために開口105の対向する側面上に設置される。
【0031】
光感応素子107は、パターンデータを伝送する光ビーム(図示せず)を受けるために配置される。光感応素子107は、電気的接続109を介して1つ以上のモジュレータ101に電気的に接続される。光感応素子107は、光ビームを介してパターンデータを受け、光信号を電気信号に変換し、そして、1つ以上の接続されたモジュレータ101の方へと電気的接続109を介して受けられ変換されたパターンデータを送り届ける。1つ以上のモジュレータ101は、それで通過する荷電粒子小ビーム、例えば受けられたパターンデータに従った電子小ビーム7を変調させる。光感応素子107は、光ビームによって運ばれるデータの適切な読取りを妨げる、反射光によって生じるバックグラウンド放射線を減らすために反射防止膜108が提供されることができる。
【0032】
小ビームの変調は、従って小ビームブランカーアレイ9内の開口を横切る電界の印加を制御することに基づいてなされる。しかしながら、
図1に示したようなリソグラフィシステムの実用は、効果的変調が必ずしも可能性でないことを示す。光感応素子107は、それらの表面上の散乱電子の収集のために電界源として働くことができることがわかる。これは、特に
図3A、3Bのコーティング108のような反射防止膜が使用される場合である。反射防止膜は通常、電気絶縁であり、そして、それは散乱する荷電粒子の比較的速い収集に結果としてなる。加えて、光感応素子、例えば光ファイバの方へ光を転送するために使用されるコンポーネントは、特に、それらが導電コーティングで完全には被覆されない場合に、同様に荷電粒子を集めることができる。
【0033】
散乱する荷電粒子の局所的な収集によって生じられる電界の強さは、統計パラメータおよび他の制御不能なアクターに一般に依存する。それゆえに、フィールドがどれくらい大きいかおよびそれらが正確にどこに設置されるか予測することは、非常に難しい。実験は、散乱電子の収集から発生した電界が荷電粒子小ビームの位置に重要な影響を有しうることを示した。これは、小ビーム位置が不安定でありえることを意味する。さらにまた、荷電粒子小ビーム偏向の範囲は、同様に予測不可能になりうる。その結果、小ビームブランカーアレイによる変調によって得られたパターン化された小ビームは、光ビーム伝送パターンデータを介して小ビームブランカーアレイ9に提供されるパターンと一致するパターンを転送することができない。
【0034】
図3Bは、シールド構造111が提供される小ビームブランカーアレイ9の一部の断面図を概略的に示す。シールド構造111は、電気導電構造であって、かつ光感応素子107の付近において生成される電界および/または磁場をシールドするために配置される。そしてそれは、例えば、モジュレータ105から、保護および/または反射防止目的のために光感応素子107をカバーすることができる電気絶縁層の上に配置される。この明細書にて表示「電界」の引用は、電気的なおよび/または磁気的なフィールドを意味すると理解されなければならないことに留意すべきである。
【0035】
シールド構造111は、モジュレータ101によって生成されるフィールドを有する追加の電界の干渉を減らし、好ましくは除去する。電界干渉の減少または除去は、モジュレータ101による荷電粒子小ビーム7のより正確で強力な変調の結果としてなる。シールド構造111は、予め定められた電位に保たれる。好ましくは、シールド構造111は、グラウンド電位に接続される。
【0036】
図3Bで分かるように、シールド構造は、必然的に小ビームブランカーアレイ9と接触してない。シールド構造111の目的は、光感応素子107の付近において生成される電界を遮断することである。小ビームブランカーアレイ9へのシールド構造111の固定された接続は、このような目的を達成するために基本的でない点に注意する。
【0037】
図3Cは、
図3Bのブランカーアレイの一部の断面図を概略的に示す。特に、
図3Cは、シールド構造111の高さhと、光感応素子107および小ビームブランカーアレイ9上へのシールド構造111の垂直な投影の間の距離dとの間の比率を示す。距離dは、以下で横のシールディング距離と呼ばれる。好ましくは、高さhは、横のシールディング距離dと少なくともほぼ同じである。このようなディメンションは、光感応素子付近で生成された電界を効果的にシールドすることを可能にする。特に、高さhが横のシールディング距離dの約2.5倍以上である場合、モジュレータの動作上、光感応素子付近において生成される電界の影響はごくわずかである。
【0038】
図4は、本発明の実施形態において使用されることができる小ビームブランカーアレイ9のレイアウトの上面図を概略的に示す。
図4に示される小ビームブランカーアレイ9は、ビームエリア121および非ビームエリア122に分けられる。ビームエリア121および非ビームエリア122の幅はほぼ同じであることが示されているけれども、これは基本的ではない。エリアのディメンションは、使用されるレイアウトに基づいて異なることができる。
【0039】
ビームエリア121は、小ビームを変調させるための1つ以上のモジュレータを含む。非ビームエリア122は、1つ以上の光感応素子を含む。マスクレスリソグラフィシステムの光学カラム内でのビームエリア121および非ビームエリア122の使用は、モジュレータおよび光感応エリアの密度が増加することができる効果を有する。
【0040】
図5Aは、シールド構造111が提供される
図4の小ビームブランカーアレイを概略的に示す。シールド構造111は、すなわち、少なくとも小ビームブランカーアレイ表面に対して実質的に垂直な方向の投影であり、そしてそれは非ビームエリア122内の光感応素子と、ビームエリア121内のモジュレータとの間に設置される。シールド構造111は、実質的に、光感応素子付近において生成される電界をシールドするために配置される。
【0041】
図5Aのシールド構造111は、開放式のボックス状構造を形成する側壁を具備するように記載される。側壁は、例えば付加構造111’への接続によって単一の本体に組み込まれることができる。単一の本体は、増加する機械式のローブスト性の利点を有する。さらに、構造111、111’は、より容易に扱われることができる。シールド構造111、111’を形成するように異なるコンポーネントの統合化は、例えば溶接によって、機能的なシールド構造111を形成している別個の壁に、部分111を追加することによって実施されることができる。あるいは、シールド構造は、例えば放電加工のような技術を使用して1つのピースから製造されることができる。統合シールド構造111、111’を生成することのさらに他の方法は、支持基板に異なるコンポーネントを取り付けることである。この基板は、小ビームブランカーアレイ9またはそのコンポーネントであることができるが、また、別個の適切な基板であることができる。
【0042】
シールド構造111は、必然的かつ物理的に小ビームブランカーアレイ9に接続されない。十分に小ビームブランカーアレイ9の近い距離に設置される場合、シールド構造111は電界をまだ十分にシールドすることができる。
【0043】
図5Aに図示した実施形態において、シールド構造111は、部分111’を更に含む。この追加の部分111’は、シールド構造111に機械的な支持を提供することができる。いくつかの実施形態において、追加の部分111’は、電気ケーブルのような電界を生成している源を妨げる他のポテンシャルから生じる電気的なおよび/または磁気的なフィールドをシールドするために配置される。
【0044】
シールド構造111に適している材料は、十分に高い導電率を有する材料である。加えて、材料は、十分な強さおよび加工性を有しなければならない。シールド構造の主成分として使用される典型的な適切な材料は、チタン(Ti)である。使用されることができる他の典型的な材料は、モリブデン(Mo)と、アルミニウム(Al)とを含む。例示的実施形態では、シールド構造は、Moで被覆されたTiプレートを使用して作成される。他の例示的実施形態において、シールド構造は、Alスペーサを有するMoシートのスタックを含む。
【0045】
図5Bは、本発明の実施形態において使用されることができる小ビームブランカーアレイ9の一部のより詳細なレイアウトの上面図を概略的に示す。ブランカーアレイ部分は、シールド構造141のために確保されるエリアに囲まれていることができるビームエリア121を含む。そして、それは
図5Aにおいて記載されるシールド構造111と大きさおよび形において同様であることができる。
図4に関して議論されるように、小ビームブランカーアレイ9は、ビームエリア121のために、もしあるならシールド構造141のために確保されない全ての空間である非ビームエリアを効果的に更に含んでいる。シールド構造141は、実質的に、外部的に生成される電界をシールドするために、例えば非ビームエリアの中の光感応素子、例えばフォトダイオードの付近に配置される。
【0046】
シールド構造141の示された実施形態は、開放式のボックス状構造を形成する側壁を具備するものとして記載される。また、シールド構造141は、必然的かつ物理的に小ビームブランカーアレイ9に接続されない。十分に小ビームブランカーアレイ9に近い距離の範囲内で設置される場合、シールド構造141は電界をまだ十分にシールドすることができる。
【0047】
シールド構造141に適している材料は、十分に高い導電率を有する材料である。加えて、材料は、十分な強さおよび加工性を有しなければならない。シールド構造の主成分として使用される典型的な適切な材料は、チタン(Ti)である。使用されることができる他の典型的な材料は、モリブデン(Mo)と、アルミニウム(Al)とを含む。例示的実施形態では、シールド構造は、Moで被覆されたTiプレートを使用して作成される。他の例示的実施形態において、シールド構造は、Alスペーサを有するMoシートのスタックを含む。
【0048】
図5Bの小ビームブランカーアレイ部分は、小ビームブランカーアレイ9の中で伝送光信号および光感応素子のために配置される光ファイバ間の光インターフェースを決めるために確保される光インターフェースエリア143を更に含む。光感応素子、例えばフォトダイオードは、従って光インターフェースエリア143の中に配置される。光ファイバは、全体の光インターフェースエリア143またはその一部をカバーすることができる。光ファイバは、リソグラフィシステム使用中に、ビームエリア121の中で電子小ビームを物理的に妨げないように、光ファイバは適切に配置される。
【0049】
加えて、小ビームブランカーアレイ9の非ビームエリアは、電力インターフェースエリア145を含む。電力インターフェースエリア145は、光インターフェースエリア143内で、適切に光感応素子および任意に他のコンポーネントに電力を供給するための電力配置(power arrangement)を収容するために配置される。電力配置145は、ブランカーアレイ9に対して実質的に垂直で、そしてそこから離れる方向に延びることができる。このような配置145は、大きい表面積の上の電力線の広がりを可能にすることができる。そして、それは効率を改善し損失を減らす。それは例えば増加された放射表面積によって生じられる減少した熱抵抗による。
【0050】
光インターフェースエリア143の側面上の電力インターフェースエリア145の位置は、光感応素子への比較的短い電源ラインの使用を可能にする。結果的に、異なる電力線間、すなわち近くの光感応素子との接続と、更に離れた光感応素子との接続との間の電圧降下の変化は、減少されることができる。
【0051】
非ビームエリアは、更なる回路、例えばクロックおよび/または制御の収容を可能にするために、追加のインタフェースエリア147を更に含むことができる。電力インターフェースエリア145内の電力配置は、また、追加のインタフェースエリア147に十分な電力を提供するために配置されることができる。
【0052】
図5Bは、いくつかのエリアの非常に特定のレイアウトを概略的に示すけれども、異なるレイアウトを有することが可能性であると理解される。同様に、異なるインタフェースエリアのサイズおよび形状は、特定のアプリケーションに依存して変化することができる。
【0053】
図1に関して議論されるように、光ビームは、光ファイバアレーを使用することにより光感応素子の方へ向けられることができる。いくつかの実施形態において、ファイバアレイと光感応素子との間の距離を光の損失を減らすために比較的短く保つことは、有利である。
【0054】
図6Aは、
図4の小ビームブランカーアレイ9の上に選択的に配置される光ファイバ配置131の例示的実施形態を概略的に示す。光ファイバ配置131は、非ビームエリア122内の光感応素子の方へパターンデータを伝送する光ビームをガイドするために配置される複数の光ファイバ133を備えている。ファイバ133は、それらが小ビームブランカーアレイ9のビームエリア121内の開口を通過するように配置される荷電粒子小ビームの通路を妨げないように、配置される。
【0055】
図6Aの典型的な光ファイバ配置131は、非ビームエリア122につき2つの部分を備える。第1の部分131aは、1つの側から非ビームエリア122より上の空間に入る多くのファイバ133を備え、一方、第2の部分131bは、反対側で非ビームエリア122より上の空間に入る多くのファイバ133を備える。各々の部分131a、131b内のファイバ133の数は、各々に対して等しくなることができる。異なる部分の使用は、ファイバ133あたりより多くの空間を許容し、およびファイバ133に損害を与える危険を減らす。
【0056】
図6Bは、
図6Aに示される配置の実施形態のラインVIB−VIB’に沿った断面図を概略的に示す。配置131の範囲内のファイバ133は、ファイバアレイ135で終端する。ファイバアレイ135の範囲内のファイバの端部は、小ビームブランカーアレイ9の非ビームエリアの中の光感応素子(図示せず)の方へ向けられる。ファイバアレイ135は、ファイバアレイ135内で十分に向きを定められなかったファイバ133によるアライメントエラーを最小化するために、小ビームブランカーアレイ9の表面の近傍において、好ましくは配置される。
【0057】
図6Bの図示した実施形態において、シールド構造111は、非ビームエリア122内の位置から生じる電界に対して効果的なシールドを提供するように、完全に非ビームエリア122を受け入れる。
図6Bで分かるように、本実施形態において、壁111の1つ以上の小開口137は、筐体にファイバ133の導入を可能にするために提供される。シールドするために、これらの開口137の断面積は、好ましくはできる限り小さい。部分の使用は、ファイバアレイ135の表面に対して実質的に垂直な方向の断面積のディメンションを減らすのを助けることができる。しかしながら、開口137の断面積の摩擦および/または曲げによるファイバ133のダメージを回避するために、いくぶん、より大きく選択されることができる。
【0058】
図6Cは、
図6Aに示される配置の他の実施形態のラインVIB−VIB’に沿った断面図を概略的に示す。この実施形態において、配置161の範囲内のファイバ163は、また、ファイバアレイを形成しているファイバ固定基板165にて終端する。ファイバ固定基板165の範囲内のファイバの端部は、小ビームブランカーアレイ9の非ビームエリア内の光感応素子(図示せず)の方へ向けられる。本実施形態において、シールド構造が不在である点に注意する。
【0059】
図6Dは、
図6B、6Cの実施形態の両方使用されうる光ファイバ配置の実施形態のより詳細な図を概略的に示す。
図6Dの実施形態において、ファイバ固定基板165は、例えば、エッチングのような半導体処理技術を使用することによって複数の適切に配置された開口を有する基板を備える。ファイバ163は、開口にて配置され、そして接着剤171、例えば適切なグリュー(glue)を使用することにより固定される。固定基板165の開口を介して延びているファイバ163の高さの違いは0.2ミクロン未満であることが望ましい。これは、ファイバ163の配置および固定の後、基板を研磨することによって達成されることができる。
【0060】
ファイバ163は、支持ユニット175を介して開口の方へガイドされることができる。支持ユニット175は、ファイバ163の曲げを単純化することができる。さらにまた、支持ユニット175の存在は、曲げプロセスの間に生じるキンク(kinks)のような欠陥を回避することができる。ファイバ163および基板165の全体の配置は、例えば接着剤173を使用し、ファイバ163を互いに接続することによって、および好ましくは支持ユニット175にも接続することによって更に強化されることができる。基板165の開口の範囲内で使用される接着剤175は、ファイバ163を互いに、好ましくは支持ユニット175に固定するために使用される接着剤173と同様であることができる。固定基板165にファイバ163を固定することは、信頼性が高い光アウトプットを提供する丈夫なファイバアレイを提供する。ファイバ163を互いに、好ましくは支持ユニット173にも固定することは、設計のローブスト性(robustness)を更に改良する。
【0061】
図7Aは、
図6C(それが
図6Bのファイバアレイ135に等しくよく適用することができるけれども)のファイバ固定基板165内の光ファイバ163と、ブランカーアレイ9の非ビームエリア内の対応する光感応素子107との間のアラインメントのより詳細な図を概略的に示す。ファイバ固定基板165は、好ましくは約100ミクロン未満の距離離れて、より好ましくは、約50ミクロン未満の距離離れて光感応素子107の近傍に配置される。光感応素子107とファイバ端部との間の短い距離のために、減少された光損失にて光学コミュニケーションは、達成されることができる。例えば、このような位置は、ファイバ固定基板165内で十分に向きを定められなかったファイバ163によるアライメントエラーを最小化する。
【0062】
ファイバ固定基板165のファイバ163およびブランカーアレイ9の光感応素子107のアラインメントは、好ましくは固定される。これは、ブランカーアレイ9上の標識(例えば光学標識)の使用法を含むことができるアライメント手順の後にされることができる。代わりとして、ファイバ固定基板165およびブランカーアレイ9上の光感応素子107のアレイの両方は、お互いに2つの構造のアラインメントが対応するファイバ163と光感応素子107との間の十分なアラインメントを導く十分な精度にて製造される。リソグラフィシステムの実際の操作の前の試験結果が特定のファイバ163および対応する光感応素子107の組合せが予め定められた仕様に従って実行しないことを示す場合には、このような組合せはリソグラフィ処理中に、制御ユニットによって除外されることができる。
【0063】
図7Bは、
図6B(それが
図6Cのファイバ固定基板165に等しくよく適用することができるけれども)の光ファイバ配置のアラインメントのより詳細な図を概略的に示す。
図7Bで分かるように、ファイバアレイ135の範囲内のファイバ133は、小ビームブランカーアレイ9の非ビームエリアにおいて設置される対応する光感応素子107と実質的に位置合わせされる。
【0064】
図7Bに図示した実施形態において、ファイバアレイ135は、マイクロレンズ138のアレイを含む。マイクロレンズ138の使用は、光通信を改善する。マイクロレンズ138は、光感応素子107上にそれぞれのファイバ133を出ている光に焦点を合わせるために配置される。マイクロレンズ138は、それで光感応素子107の受光表面で、光ビーム139のスポットサイズを縮小する。マイクロレンズの使用は、ファイバアレイ135と光感応素子107との間のアライメント要求を緩和する。最も、全てではないにしてもまだそれぞれのファイバ133を出ている光がその受光表面上へ落ちるので、縮小されたスポットサイズの少ない偏差は光感応素子によってまだ処理されることができる。
【0065】
マイクロレンズ138を使用する代わりに、ファイバアレイ135は、減らされた光損失をとコミュニケーションを達成するために、光感応素子107の近傍において配置されることができる。このような配置の実施形態は
図7Aに示される。このような配置は、それがマイクロレンズ138の欠如のためにより複雑でないという効果がある。
【0066】
図8A、8Bは、ブランカーアレイ9にファイバアレイを形成しているファイバ固定基板165を固定する2つの異なる方法を概略的に示す。両方の図において、ファイバ163および光感応素子107の単一の組合せだけが示される。
【0067】
図8Aにおいて、ファイバ固定基板165は、接着剤191を使用することにより、ブランカーアレイ9に接続される。接着剤191は、適切なグリュー(例えばエポキシグリュー)であることができる。接着剤と光感応素子107との間に接点がないように、接着剤191はブランカーアレイ9と接触する。固定のこの方法は、少量の接着剤の使用を可能にして、そして、実行するのが容易である。
【0068】
また、マイクロレンズなしで
図7Aに示されるように、ファイバ163を出ている光ビーム181は発散する。その結果、ブランカーアレイ9の表面上のビームスポットサイズは、ファイバ固定基板165とブランカーアレイ9との間の距離の増加と共に増加する。さらにまた、単位面積あたりのビームスポットの光の強度は、減少する。それゆえに、距離の増加は、光感応素子107によって捕獲されることができる光量を減らす。光感応素子107が適当な動作のために特定の最小光量を捕獲可能であることを必要とするので、ファイバ固定基板165とブランカーアレイ9との間の距離があまりに大きくなる場合には、アライメントエラーはより重大な影響となり得る。
【0069】
ある場合、特に、ファイバと光感応素子との間の距離を減らすことが望ましくないときには、
図8Bに概略的に示されるように、固定は好ましくは適切な透明な接着材層193(時々下層と称する)を使用してなされる。透明な接着材層193は、ブランカーアレイ9およびファイバ固定基板165の大部分と接触し、そして効果的にブランカーアレイ9と基板165との間のギャップを埋める充填材として働くことができる。
【0070】
図8Aに示される接着剤191とは逆に、接着材層193は、また、光感応素子107と接触している。接着材層193内の材料は、光学ファイバ163を出る光ビーム181の開口角度を減らすのに十分に高い屈折率を有する。
【0071】
十分に高い屈折率を有する接着材層193の使用は、アラインメント公差が改良される効果がある。例えば、
図8Aで、光学ファイバ163を出る光ビーム181は、光感応素子107が完全にカバーされるような開口角度αを有する。しかしながら、光ファイバ163と光感応素子107との間のアラインメントが完全でない場合、一部の光は光感応素子107上へ落ちてはこない。結果的に、光感応素子107によって受けられる光出力は、不完全なアラインメントによって容易に減少する。
【0072】
図8Bにおいて、十分に高い屈折率を有する材料を備えている接着材層193の存在のために、ファイバ163を出る光の開口角度は、開口角度α’を有する。ここでα’は、αより小さい。より小さい開口角度は、光感応素子上へ落ちる小ビームのスポットサイズを減らし、一方、スポットの光出力は同じである。結果的に、
図8Bに概略的に示されるように、光ファイバ163および光感応素子が距離dxの上へミスアライメントされた場合でさえ、光感応素子107はまだ全体のビーム181を捕獲する。そして感応素子によって受けられる光出力が、ミスアライメントがこのような距離dxより大きくなる場合には単に減少してスタートするだけである。
【0073】
接着材層193のための適切な材料は、ファイバ163によって放射される光に実質的に透明であり、かつ十分に高い屈折率、例えば1.4を超え、好ましくは約1.5を超える屈折率を有しているエポキシ接着剤またはグリューである。
【0074】
他の固定組立が同様に使用されることができると認識される。例えば、ファイバ固定基板165およびブランカーアレイ9は、Dowelピンのような接続用素子を使用することにより、共に固定されることができる。
【0075】
さらにまた、小ビームブランカーアレイおよび固定されたファイバ基板のうちの少なくとも1つは、1つ以上の相互位置決めエレメントによって提供されることができる。このような位置エレメントの実施例は、突起およびストップを含むが、これに限定されるものではない。
【0076】
図9は、小ビームブランカーアレイ9の局所配置の上面図を概略的に示す。小ビームブランカーアレイ9は、ビームエリア121および非ビームエリア122に再び分けられる。
図9において、ビームエリア121および非ビームエリア122は、上記したように、シールド構造111を形成する壁によって分離される。
【0077】
ビームエリア121は、複数のモジュレータ101を備える。非ビームエリア122は、複数の光感応素子107を備える。光感応素子107の適切な実施形態は、フォトダイオードおよびフォトトランジスタを含むが、これに限定されるものではない。
【0078】
非ビームエリア122は、デマルチプレクサ(demultiplexers)140を更に含む。この実施形態において、光感応素子107によって受けられる光信号は、複数のモジュレータ101のための情報を含む多重化信号(multiplexed signals)である。光感応素子107によって受けられる信号は、デマルチプレクサ140へ転送される。デマルチプレクサ140は、信号を非多重化し、デディケート(dedicated)された電気的接続142を介して適切なモジュレータ101に前方へ(forwards)信号を非多重化(demultiplexed)した。
【0079】
多重化された光信号、デマルチプレクサ140および非多重化された電気信号の結果として、光感応素子107の数は、モジュレータ101の数より低い。限定された数の光感応素子107を有することは、非ビームエリア122のディメンションの縮小を可能にする。ビームエリア121は、従ってブランカーアレイ9の単位面積当たりのモジュレータ101の数を増加させるために、共により密接に配置されることができる。モジュレータ101の同数が使用される場合、非多重化された実施形態と比較して、小ビームブランカーアレイ9のレイアウトはそれよりコンパクトになる。ブランカーアレイ9のディメンションが実質的に同じである場合、より多くのモジュレータは使用されることができる。別法として、非ビームエリア122のサイズを減少させる代わりに、
図9で示すような多重化された実施形態の使用は、より大きな受光エリアを有する光感応素子107の使用を可能にすることができる。光感応素子107当たりのより大きい受信面積の使用は、適切な光感応素子107の方へ光信号を向けるために必要な光学部品の複雑さを減らし、および光ビームおよび光感応素子107のアラインメントに関連した要求を軽減することができる。
【0080】
図10は、小ビームブランカーアレイ9の他の局所配置の上面図を概略的に示す。
図9に図示した実施形態とは対照的に、シールド構造111は、ここで非ビームエリア122内の光感応素子107およびデマルチプレクサ142の部分を受け入れる。このモジュール方式は、デマルチプレクサ142のような故障しているチャンネルおよび/またはコンポーネントがより容易に修正されることができる効果を有する。
【0081】
図11は、小ビームブランカーアレイ9のさらに他の局所配置の上面図を概略的に示す。
図10に図示した実施形態とは対照的に、シールド構造111は、ここで単に非ビームエリア122内の光感応素子107を受け入れるだけである。
【0082】
先行する実施形態、特に
図6A−6Dに関して記載される実施形態が光ファイバを介して光感応素子の付近の位置の方へ光ビーム伝送パターンデータの転送をするために向けられたけれども、このようなパターンデータが自由空間光通信(free space optics)を使用して、特に小ビームブランカーアレイの近くのエリアで、転送されることができる点に注意する。自由空間光通信の使用は、空間がファイバの収容能力のために確保される必要はない効果がある。さらにまた、異なる光路は、ミラーのような光学素子を使用することにより生成されることができる。自由空間光通信の光学素子の使用は、光路を形成する柔軟性を増加させる。光ファイバの機械的な限定(例えば小さい空間において曲がる限られた能力)は、影響を及ぼさない。
【0083】
図12は、自由空間光通信を使用しているシールド構造111の実施形態を有する小ビームブランカーアレイ9の断面図を概略的に示す。ここで破線の矢印によって示される光ビーム139は、ほぼ90度の入射角を有する。これが基本的でない点に注意する。
【0084】
図12に示されるシールド構造111の具体例は、その上に延びている側壁161を提供される基板160を含む。側壁161は、小ビームブランカーアレイ9内の1つ以上の開口105と位置合わせされる基板160の中で、開口165に隣接して設置される。
図12の小ビーム7が小ビームアレイ9に実質的に垂直であると認めるけれども、これが基本的でない点に注意する。
【0085】
側壁161は、導電材料で適切にできている。いくつかの実施形態において、側壁161は、開口165周辺に取り囲むように配置される。いくつかの他の実施形態において、側壁161は、1つ以上の光感応素子107によって規定される横方向エリア周辺を取り囲むように配置される。このような場合、側壁161の構造は、光感応素子の横方向エリア周辺で延びている側壁および開口165周辺で延びている側壁を含んで提供されることができる。シールド構造111は、小ビームブランカーアレイ9に封止される必要はない。
【0086】
図9に概略的に示されるように、シールド構造111の実施形態は局所的な配置(topographical arrangement)に特に適している。一方向(
図9において縦方向)の側壁の長い延長、シールド構造111の高さの要求は、データ伝送光ビームが光感応素子107上へ向けられることができる角度に重要な影響を及ぼさない。特に、シールド構造の高さが実質的に横のシールディング距離より大きいデザインで使用される場合、それはシールド構造を形成する壁の方向に対して実質的に垂直な重要なコンポーネントを有する方向から光を導入し、光が光感応素子107に達することができる角度を制限する。
【0087】
ビームが側壁方向に対して実質的に垂直な重要なコンポーネントを有する方向から生じる場合、シールド構造111を形成する側壁の方向のシールドされたエリアの長い延長は、光ビームのこのような限定された可能なエントリを生じることを確かにする。重要なシールドがこれらの方向において必要でないように、側壁方向に実質的に平行の方向からの入射が非常に広く変化するとき、光はシールドされたエリア内に接続させることができる。
【0088】
上述したように、シールド構造111は、小ビームブランカーアレイ9に、必然的に物理的に接続されない。しかしながら、いくつかの実施形態で、両方の構造は接続される。例えば、
図13は、シールド構造111がソルダーボール170を使用してブランカーアレイ9に接続される実施形態を示す。ソルダーボール170は、IC製造において共通して使うパッシベーション層(図示せず)を介して延びることができる。このような半田付けの接続の使用は、特に比較的小さいエリア(例えば
図10、11で示す局所的な配置を有する実施形態)を受け入れるシールド構造111の実施形態に適していることができる。
【0089】
さらに、上記の実施形態で、シールド構造111は、横のシールディング距離にディメンションにおいて少なくとも同じである高さを有する壁状の構造である。しかしなから、いくつかのアプリケーションでは、開口175を有するプレート171を備えているシールド構造111を使用するのに十分である。いくつかの開口は小ビームブランカーアレイ9内の開口105と位置合わせされる。一方、他は、光ビーム(図示せず)を伝えているデータによってこれらのエレメントの照明を可能にするために光感応素子107と位置合わせされる。
【0090】
図13に図示した実施形態は、モジュレータ105の静電偏向装置103a、103bを有する異なる高さで光感応素子107の接続を可能にするために配置される相互接続構造体173が提供される小ビームブランカーアレイ9を含む。このようなマルチレベル接続構造は、小ビームブランカーアレイ9内のモジュレータピッチを減らすことができる。
そして、それはよりコンパクトな設計に結果としてなりうる。
【0091】
プレート171は、小ビームブランカーアレイ9に、例えばソルダーボール170を介して、物理的に接続されることができる。しかし、いくらかの距離に置かれることもでき、それは破線の等高線が提供される構造171’によって
図13に示す。このようなケースにおいて、小ビームブランカーアレイ9および構造171’は、両方の構造が各々に関して適切に位置合わせされることを確実にするために、同じフレームに接続されることができる。構造171’とブランカーアレイ9との間の距離は、電界シールドの所望の範囲および光感応素子107を「ヒット」するように光ビームを伝送するデータのために利用できる角度に基づいて適切に設計されることができる。
【0092】
プレート171、171’は、開口が穿孔によって成型される金属片であることができる。このようなピースの実施例は半導体産業においてリードフレームとして称される。あるいは、プレート171、171’は、例えば1つ以上の適切なエッチング技術を使用することにより作成される半導体またはスルーホールが提供されたセラミック基板の形をとることができる。
【0093】
荷電粒子小ビーム7の方向が基本的でない点に注意する。
図13に図示された実施形態は、また、使用されることができる。一方、パーティクル小ビーム7が実質的に上方の方向の開口105を通過する。
【0094】
図14は、シールド構造111が提供される小ビームブランカーアレイ9のさらに他の実施形態を示す。この実施形態の小ビームブランカーアレイ9は、第1の基板200と第2の基板201を備えている。偏向装置103a、103bを有するモジュレータは、第1の基板200に規定される。光感応素子107は、第2の基板201の表面に規定される。ソルダーボール202は、第1の基板200から第2の基板201への機械的結合を提供し、および光感応素子107と偏向装置103a、103bとの間の電気接続を提供し、および/または、何らかの中間の回路を提供する。光ビーム141は、ここで反対方向(例えばカラムの頂部側)から、光感応素子107に到着する。それに対して、放射開口(radiation apertures)205は、第1の基板200に存在する。示された実施形態において、シールド構造111は、第2の基板201に接続されて、そして側壁という形をとる。側壁は、単一の方向(例えば
図9の局所配置を参照)に延びることができるかまたは1つ以上の光感応素子107(例えば
図10および11の局所配置を参照)を受け入れることができる。
【0095】
本発明は、上で議論される特定の実施形態を参照することによって記載される。これらの実施形態は、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、当業者にとって公知のさまざまな修正および代替物形状に影響されやすいと認識される。したがって、特定の実施例が記載されているけれども、これらは実施例だけであって、本発明の範囲を制限するものではない。そして、それは添付の特許請求の範囲において規定されるものである。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 複数の荷電粒子小ビームを使用してターゲットの表面上にパターンを転送する荷電粒子マルチ小ビームリソグラフィシステムであって:
− 複数の荷電粒子小ビームを生成するためのビーム発生装置と;
− パターンに係る複数の小ビームをパターン化するための小ビームブランカーアレイであって、小ビームブランカーアレイは1つ以上のモジュレータを備えている第1のエリアと、モジュレータが無い第2のエリアとを備えている基板が提供され、および1つ以上の光感応素子を備えており、1つ以上の光感応素子は1つ以上のモジュレータに電気的に接続されており、およびパターンデータを伝えている光ビームを受け、1つ以上のモジュレータに受けられたパターンデータを提供するように配置されている、小ビームブランカーアレイと;
− 1つ以上の光感応素子の方へパターンデータを伝えている光ビームをガイドするための、複数の光ファイバを備えている光ファイバ配置と;
− 前記ターゲット表面上へパターン化された小ビームを投影するためのプロジェクションシステムと;を具備し、
前記表面に対して垂直な方向の小ビームブランカーアレイの表面の上への光ファイバ配置の投影は、第2のエリア内に完全に落ちる、システム。
[2] 前記第1のエリアおよび前記第2のエリアは、隣接の細片の形をとり、
各々の細片は、2つの実質的に平行な長い側および2つの実質的に平行した短い側を有し、
前記小ビームブランカーアレイの上の前記光ファイバ配置の投影は、その短い側で第2のエリアの境界を横断する、[1]のシステム。
[3] 前記光ファイバ配置は、組立てられたグループとしてパターンデータを伝えている光ビームを提供するためのファイバアレイを備える、[1]又は[2]のシステム。
[4] 前記ファイバアレイは、固定された接続によって前記複数の光ファイバの端セクションを収容するファイバ固定基板によって形成される、[3]のシステム。
[5] 前記ファイバ固定基板は、複数の開口を備え、
前記ファイバは、前記開口の中に位置づけられ、および接着剤を使用して前記基板に固定されている、[4]のシステム。
[6] 前記固定基板の開口を介して延びている前記ファイバの高さの差は、0.2ミクロン未満である、[5]のシステム。
[7] 前記光ファイバ配置は、前記開口の方へ前記ファイバをガイドするための支持ユニットを更に備える、[5]または[6]のシステム。
[8] 少なくとも1つのファイバは、前記支持ユニットに接続される、[7]のシステム。
[9] 少なくとも2つの光ファイバは、互いに接続される、[4]−8のいずれか1項のシステム。
[10] 前記光ファイバ配置は、複数のマイクロレンズを更に備え、
前記マイクロレンズは、前記複数のファイバのファイバに対応する、先行するいずれか1項のシステム。
[11] 前記システムは、1つ以上のモジュレータから1つ以上の光感応素子に近接して生成される電界を実質的にシールドするための電気導電材料のシールド構造を更に備え、
前記シールド構造は、予め定められたポテンシャルにセットされるように配置される、先行するいずれか1項のシステム。
[12] 前記シールド構造は、長さおよび高さを有する壁を備え、
実質的に前記壁の高さと平行で、かつ実質的に前記壁の長さに対して垂直な方向の小ビームブランカーアレイの基板表面上の投影は、第2のエリアから第1のエリアを切り離す、[11]のシステム。
[13] 前記シールド構造は、開放式のボックス状構造を形成している側壁を備える、[11]または[12]のシステム。
[14] 前記シールド構造の少なくとも1つの側壁は、前記シールド構造によって受け入れられる体積に光ファイバのエントリを収容するための開口を備える、[13]のシステム。
[15] 荷電パーティクルマルチ小ビームリソグラフィシステムための変調装置であって:
− パターンに係る複数の小ビームをパターン化するための小ビームブランカーアレイであって、小ビームブランカーアレイは1つ以上のモジュレータを備えている第1のエリアと、モジュレータが無い第2のエリアとを備えている基板が提供され、および1つ以上の光感応素子を備えており、1つ以上の光感応素子は1つ以上のモジュレータに電気的に接続されており、およびパターンデータを伝えている光ビームを受け、1つ以上のモジュレータに受けられたパターンデータを提供するように配置されている、小ビームブランカーアレイと;
− 1つ以上の光感応素子の方へパターンデータを伝えている光ビームをガイドするための、複数の光ファイバを備えている光ファイバ配置と;を具備し、
前記表面に対して垂直な方向の小ビームブランカーアレイの表面の上への光ファイバ配置の投影は、第2のエリア内に完全に落ちる、変調装置。
[16] 前記第1のエリアおよび前記第2のエリアは、隣接の細片の形をとり、
各々の細片は、2つの実質的に平行な長い側および2つの実質的に平行した短い側を有し、
前記小ビームブランカーアレイの上の前記光ファイバ配置の投影は、その短い側で第2のエリアの境界を横断する、[15]の変調装置。
[17] 前記光ファイバ配置は、組立てられたグループとしてパターンデータを伝えている光ビームを提供するためのファイバアレイを備える、[15]又は[16]の変調装置。
[18] 前記ファイバアレイは、固定された接続によって前記複数の光ファイバの端セクションを収容するファイバ固定基板によって形成される、[17]の変調装置。
[19] 前記ファイバ固定基板は、複数の開口を備え、
前記ファイバは、前記開口の中に位置づけられ、および接着剤を使用して前記基板に固定されている、[18]の変調装置。
[20] 前記固定基板の開口を介して延びている前記ファイバの高さの差は、0.2ミクロン未満である、[19]の変調装置。
[21] 前記光ファイバ配置は、前記開口の方へ前記ファイバをガイドするための支持ユニットを更に備える、[19]または[20]の変調装置。
[22] 少なくとも1つのファイバは、前記支持ユニットに接続される、[21]の変調装置。
[23] 少なくとも2つの光ファイバは、互いに接続される、[18]−22のいずれか1項の変調装置。
[24] 前記光ファイバ配置は、複数のマイクロレンズを更に備え、
前記マイクロレンズは、前記複数のファイバのファイバに対応する、[15]−23noいずれか1項の変調装置。
[25] 前記変調装置は、1つ以上のモジュレータから1つ以上の光感応素子に近接して生成される電界を実質的にシールドするための電気導電材料のシールド構造を更に備え、
前記シールド構造は、予め定められたポテンシャルにセットされるように配置される、[15]−24のいずれか1項の変調装置。
[26] 前記シールド構造は、長さおよび高さを有する壁を備え、
実質的に前記壁の高さと平行で、かつ実質的に前記壁の長さに対して垂直な方向の小ビームブランカーアレイの基板表面上の投影は、第2のエリアから第1のエリアを切り離す、[25]の変調装置。
[27] 前記シールド構造は、開放式のボックス状構造を形成している側壁を備える、[25]または[26]の変調装置。
[28] 前記シールド構造の少なくとも1つの側壁は、前記シールド構造によって受け入れられる体積に光ファイバのエントリを収容するための開口を備える、[27]の変調装置。