(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861710
(24)【登録日】2021年4月1日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】非対称なチャンバ環境における均一なウエハ温度の実現
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20210412BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20210412BHJP
C23C 16/50 20060101ALI20210412BHJP
C23C 16/46 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/205
C23C16/50
C23C16/46
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-530796(P2018-530796)
(86)(22)【出願日】2016年12月6日
(65)【公表番号】特表2019-502262(P2019-502262A)
(43)【公表日】2019年1月24日
(86)【国際出願番号】US2016065158
(87)【国際公開番号】WO2017139011
(87)【国際公開日】20170817
【審査請求日】2019年11月22日
(31)【優先権主張番号】62/269,599
(32)【優先日】2015年12月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/369,219
(32)【優先日】2016年12月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ハー, スンウォン
(72)【発明者】
【氏名】コナーズ, ポール
(72)【発明者】
【氏名】チョウ, チェンホア
(72)【発明者】
【氏名】ロチャ−アルヴァレス, フアン カルロス
(72)【発明者】
【氏名】リー, クァンドゥック ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】トアン, ツーチン
(72)【発明者】
【氏名】ブライト, ニコラス ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】ビィ, フェン
【審査官】
鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−335425(JP,A)
【文献】
特開2004−047540(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/092920(WO,A1)
【文献】
特開平08−107072(JP,A)
【文献】
特開平08−260154(JP,A)
【文献】
特開平09−063977(JP,A)
【文献】
特開平09−209151(JP,A)
【文献】
特開2005−302936(JP,A)
【文献】
特開2009−054871(JP,A)
【文献】
特開2012−028428(JP,A)
【文献】
特表2006−514159(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/106190(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0049317(US,A1)
【文献】
米国特許第05891251(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
C23C 16/46
C23C 16/50
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバの中の処理空間内に配置された基板支持体と、
前記基板支持体に連結された基板支持ステムと、
前記基板支持ステムに連結されたリフトシステムと、
放射シールドであって、
前記基板支持体の下に配置された放射プレート、及び、
前記放射プレートに連結され、前記リフトシステムと前記放射プレートとの間に配置されている、放射ステムを備える、放射シールドと、
を備え、
前記放射ステムが、中空コアを有する管状部材であり、前記基板支持ステムを取り囲んでいる、処理チャンバ。
【請求項2】
前記放射プレートがディスク状である、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項3】
前記放射プレートが、前記放射プレートを貫通して配置された複数の孔を有する、請求項1又は2に記載の処理チャンバ。
【請求項4】
前記放射プレートが、酸化アルミニウム又は窒化アルミニウムの材料を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の処理チャンバ。
【請求項5】
PECVD処理チャンバである、請求項1から4のいずれか一項に記載の処理チャンバ。
【請求項6】
プラズマ源が連結されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の処理チャンバ。
【請求項7】
前記放射ステムが石英材料を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の処理チャンバ。
【請求項8】
前記放射プレートが、50mmから200mmまでの範囲内の厚さを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の処理チャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本書で開示されている実施形態は、概して半導体処理に関し、より具体的には、処理チャンバにおける均一な熱放射損失をもたらす装置に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
プラズマ化学気相堆積(PECVD)は、半導体ウエハや透明基板などの基板に薄膜を堆積させるために使用される。PECVDは通常、基板を包含する真空チャンバ内に前駆体ガス又は混合ガスを導入することによって、実現される。前駆体ガス又は混合ガスは、典型的には、チャンバの上部付近に置かれた分配プレートを通して、下向きに導かれる。チャンバ内の電極に、この電極に連結された一又は複数の電源から、高周波(RF)電力などの電力を印加することによって、チャンバ内の前駆体ガス又は混合ガスは、エネルギーを与えられて(例えば励起されて)プラズマになる。励起されたガス又は混合ガスは、反応して、基板の表面上に材料の層を形成する。この層は、例えば、パッシべーション層、ゲート絶縁体、緩衝層、及び/又はエッチング停止層でありうる。
【0003】
PECVD処理により、低温での堆積が更に可能になる。このことは、多くの場合、半導体の製造において重要になる。かかる低温により、ナノ粒子の表面機能化に使用されてきた有機コーティング(プラズマポリマーなど)の堆積も、可能になる。処理チャンバ関連の温度は、主としてスリットバルブ開口が存在することによって、非対称になることがある。基板は、このスリットバルブ開口を通って移送されて、処理チャンバに出し入れされる。この非対称性により、ヒータ及び基板からの不均一な放射熱損失が発生し、更に、基板における温度変動が大きくなる。放射熱損失をより均一にすることで、基板上の膜均一性が向上しうる。
【0004】
したがって、当該技術分野において必要とされているのは、基板の温度均一性を向上させる放射シールドである。
【発明の概要】
【0005】
本開示は概して、基板の温度均一性を向上させる、処理チャンバ向けの放射シールドに関する。この放射シールドは、処理チャンバのスリットバルブと、処理チャンバの中に配置された基板支持体との間に配置されうる。一部の実施形態では、放射シールドは、処理チャンバのヒータの下に配置されうる。更に、放射シールドは、処理チャンバから供給される放射及び/又は熱を遮断しうる。一部の実施形態では、放射シールドは、放射を吸収及び/又は反射し、ひいては、温度均一性の向上と共に、基板の平面プロファイルの改善をもたらしうる。
【0006】
一実施形態では、処理チャンバ向けの放射シールドが開示される。この放射シールドは、ディスク状の放射プレートであってそれを貫通して配置された複数の孔を有する放射プレートと、放射プレートに連結された放射ステムとを含む。
【0007】
別の実施形態では、処理チャンバが開示される。この処理チャンバは、処理チャンバの中の処理空間内に配置された、基板支持体と、 基板支持体に連結された基板支持ステムと、処理チャンバの壁の内部に配置されたスリットバルブと、基板支持ステムのベースに連結されたリフトシステムとを、含む。処理チャンバは、放射シールドを更に含む。放射シールドは、放射プレートと放射ステムとを含む。放射プレートは、スリットバルブと基板支持体との間に配置される。放射ステムは、放射プレートに連結され、かつ、リフトシステムと放射プレートとの間に配置される。
【0008】
更に別の実施形態では、処理チャンバが開示される。この処理チャンバは、処理チャンバの処理空間内に配置された基板支持体と、基板支持体に連結された基板支持ステムと、処理チャンバの壁の内部に配置されたスリットバルブと、基板支持ステムのベースに連結されたリフトシステムとを、含む。処理チャンバは、放射シールドと、処理チャンバに連結されたプラズマ源とを更に含む。放射源は、放射プレートと放射ステムとを含む。放射プレートは、スリットバルブと基板支持体との間に配置される。放射ステムは、放射プレートに連結され、かつ、リフトシステムと放射プレートとの間に配置される。
【0009】
本開示の上述の特徴を詳しく理解しうるように、上記で簡単に要約した本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られる。一部の実施形態は、付随する図面に示されている。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることから、付随する図面はこの開示の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】放射シールドを有する処理チャンバの一実施形態の概略断面図である。
【
図2】一実施形態による放射シールドの平面図である。
【
図3】一実施形態による、
図2の放射シールドが内部に配置されている、
図1の処理チャンバの処理空間の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
理解を容易にするために、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。一実施形態の要素及び特徴は、更なる記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれうることが想定される。
【0012】
本書で開示されている実施形態は概して、基板の温度均一性を向上させる、処理チャンバ向けの放射シールドに関する。この放射シールドは、処理チャンバのスリットバルブドアと、処理チャンバの中に配置された基板支持体との間に配置されうる。一部の実施形態では、放射シールドは、処理チャンバのヒータの下に配置されうる。更に、放射シールドは、処理チャンバから供給される放射及び/又は熱を遮断しうる。一部の実施形態では、放射シールドは、放射を吸収及び/又は反射し、ひいては、温度均一性の向上と共に、基板の平面プロファイルの改善をもたらしうる。
【0013】
本書の実施形態について、カリフォルニア州Santa ClaraのApplied Materials, Inc.から入手可能なPECVDシステムなどの、基板を処理するよう構成されたPECVDシステムの使用に言及しつつ、以下で例示的に説明する。しかし、開示されている主題は、エッチングシステム、他の化学気相堆積システム、及び、処理チャンバの中で基板が放射及び/又は熱に曝露される他の任意のシステムといった、その他のシステム構成における有用性も有することを、理解すべきである。本書で開示されている実施形態は、他の製造業者が提供する処理チャンバ、及び、様々な形状の基板を使用するチャンバを使用して実践されうることを、更に理解すべきである。本書で開示されている実施形態は、様々なサイズ及び寸法の基板を処理するよう構成された処理チャンバを使用して実践されうることも、理解すべきである。
【0014】
図1は、電子デバイスを形成するためのチャンバ100の一実施形態の、概略断面図である。チャンバ100はPECVDチャンバである。図示しているように、チャンバ100は、壁102と、底部104と、ディフューザー110と、基板支持体130とを含む。壁102と、底部104と、ディフューザー110と、基板支持体130とは、集合的に、処理空間106を画定する。基板105が移送されてチャンバ100に出し入れされうるように、処理空間106には、壁102を通って形成された、密封可能なスリットバルブ開口108を通じてアクセスする。基板105の寸法は変わることがある。
【0015】
一実施形態では、基板支持体130はセラミック材料を含む。例えば、基板支持体130は、酸化アルミニウム又は陽極酸化アルミニウムを含みうる。基板支持体130は、基板105を支持する基板受容面132を含む。ステム134は、一端部で基板支持体130に連結される。ステム134は、反対端部で、基板支持体130を上昇及び下降させるためのリフトシステム136に連結される。
【0016】
稼働中、基板105の上面とディフューザー110の底面150との間の間隔は、約10mmから約30mmまででありうる。他の実施形態では、この間隔は、約10mmから約20mmまででありうる。更に別の実施形態では、間隔は、約10mmから約15mmまで(例えば約13mm)でありうる。他の実施形態では、間隔が約10mmを下回るか、又は約30mmを上回ることもある。
【0017】
一実施形態では、堆積中に、加熱要素及び/又は冷却要素139が、基板支持体130及びその上の基板105の温度を維持するために使用されうる。例えば、基板支持体130の温度は、約400℃未満に維持されうる。一実施形態では、加熱要素及び/又は冷却要素139は、基板温度を約100°C未満(例えば約20°Cから約90°Cまで)に制御するために、利用されうる。
【0018】
基板105を、基板受容面132に近づくように、及び、基板受容面132から離れるように動かして、基板の移送を容易にするために、リフトピン138が、基板支持体130を通って可動式に配置される。基板支持体130は、基板支持体の周縁に、RF接地を設けるための接地ストラップ151も含みうる。
【0019】
ガスコンファイナアセンブリ(ガス制限アセンブリ)129が、基板支持体130の周縁に沿って配置される。一実施形態では、ガスコンファイナアセンブリ129は、カバーフレーム133と、ガスコンファイナ135とを含む。図示しているように、ガスコンファイナアセンブリ129は、基板支持体130の周縁に形成された棚状部140及び棚状部141の上に位置付けられる。他の実施形態では、ガスコンファイナアセンブリ129は、代替的な様態で(例えば、ファスナ(図示せず)を使用するなどして)、基板支持体130に隣接して位置付けられうる。例えば、ファスナによって、ガスコンファイナアセンブリ129が基板支持体130に留め付けられうる。ガスコンファイナアセンブリ129は、基板105のエッジ領域における速い堆積速度を鈍化させるよう構成される。一実施形態では、ガスコンファイナアセンブリ129は、基板105の広範囲均一性プロファイルに影響を与えることなく、基板105のエッジにおける早い堆積速度を鈍化させる。
【0020】
図示しているように、カバーフレーム133は、基板支持体130の基板受容面132の周縁に位置付けられ、この周縁に沿って配置される。カバーフレーム133は、ベース144とカバー143とを備える。一部の実施形態では、ベース144とカバー143とは別個の構成要素でありうる。他の実施形態では、ベース144とカバー143とは、一体型構造体を形成しうる。ベース144及びカバー143は、セラミック材料やガラス材料などの非金属材料を含みうる。ベース144及び/又はカバー143は、インピーダンスが低い材料で構成されうる。一部の実施形態では、ベース144及び/又はカバー143は、高い誘電率を有しうる。例えば、誘電率は約3.6を上回りうる。一部の実施形態では、誘電率は、約3.6から約9.5まで、例としては、約9.1から約9.5まででありうる。一部の実施形態では、誘電率は9.1以上でありうる。代表的なセラミック材料は、酸化アルミニウム、陽極酸化アルミニウムを含む。ベース144とカバー143は、同じ又は別々の材料で構成されうる。一部の実施形態では、ベース144及び/又はカバー143は、基板受容面132と同じ材料を含む。
【0021】
一部の実施形態では、カバーフレーム133は、処理中に、重力によって基板支持体130に固定される。カバーフレーム133が重力によって固定される一部の実施形態では、カバーフレーム133の底面の一又は複数のノッチ(図示せず)が、基板支持体130から突出している一又は複数のポスト(図示せず)と位置合わせされる。代替的に又は追加的には、カバーフレーム133を基板支持体130に固定するために、基板支持体130の一又は複数のノッチ(図示せず)を、カバーフレーム133の底面から突出している一又は複数のポスト(図示せず)と位置合わせすることもある。他の実施形態では、カバーフレーム133は基板に留め付けられる。一実施形態では、カバーフレーム133は、ガスコンファイナ135と位置を合わせるための一又は複数の位置決めピン(図示せず)を含む。他の実施形態では、カバーフレーム133は、代替的な技法によって基板支持体に固定される。カバーフレーム133は、処理中に基板支持体130を覆うよう構成される。カバーフレーム133は、基板支持体130がプラズマに曝露されるのを防止する。
【0022】
本書で開示されている実施形態は、オプションで、ガスコンファイナ135を含む。ガスコンファイナ135は、カバーフレーム133の上に位置付けられうる。図示しているように、ガスコンファイナ135は、カバーフレーム133の直上に、カバーフレーム133と接触するように、位置付けられる。ガスコンファイナ135は、非金属又はガラスを含みうる。例えば、ガスコンファイナ135は、酸化アルミニウム(Al
2O
3)などのセラミックを含みうる。
【0023】
ディフューザー110は、懸架部114によってバッキング板112の周縁に連結される。ディフューザー110は、ディフューザー110の下落の防止を支援し、かつ/又は真直度/湾曲を制御するための、一又は複数の中心支持体116によっても、バッキング板112に連結されうる。ガス源120が、バッキング板112に連結される。ガス源120は、ディフューザー110に形成された複数のガス通路111を通じて、処理空間106に一又は複数のガスを提供しうる。好適なガスは、ケイ素含有ガス、窒素含有ガス、酸素含有ガス、不活性ガス、又はその他のガスを含みうるが、それらに限定されるわけではない代表的なケイ素含有ガスはシラン(SiH
4)を含む。代表的な窒素含有ガスは、窒素(N
2)、酸化窒素(N
2O)、及びアンモニア(NH
3)を含む。代表的な酸素含有ガスは酸素(O
2)を含む。代表的な不活性ガスはアルゴン(Ar)を含む。代表的なその他のガスは、例えば水素(H
2)を含む。
【0024】
処理空間106の中の圧力を制御するために、真空ポンプ109がチャンバ100に連結される。ディフューザー110にRF電力を提供するために、RF電源122が、バッキング板112に連結され、かつ/又は、ディフューザー110に直接連結される。RF電源122は、ディフューザー110と基板支持体130との間に電場を生成しうる。生成された電場は、ディフューザー110と基板支持体130との間に存在するガスからプラズマを形成しうる。様々なRF周波数が使用されうる。例えば、周波数は、約0.3MHzから約200MHzまで(例えば約13.56MHz)でありうる。
【0025】
誘導結合された遠隔プラズマ源などの遠隔プラズマ源124も、ガス源120とバッキング板112との間に連結されうる。基板処理と基板処理との間に、遠隔プラズマ源124に洗浄ガス(cleaning gas)が提供されうる。洗浄ガスは、遠隔プラズマ源124の中で励起されてプラズマになり、遠隔プラズマを形成しうる。遠隔プラズマ源124によって生成された励起種は、チャンバ部品を洗浄するために、処理チャンバ100内に提供されうる。洗浄ガスは、解離された洗浄ガス種の再結合を低減するために、設けられたRF電源122によって更に励起されて、ディフューザー110を通って流れうる。好適な洗浄ガスは、NF
3、F
2、及びSF
6を含むが、それらに限定されるわけではない。
【0026】
チャンバ100は、ケイ素含有材料などの任意の材料を堆積させるために使用されうる。例えば、チャンバ100は、アモルファスシリコン(a−Si)、窒化ケイ素(SiN
x)、及び/又は酸化ケイ素(SiO
x)の一又は複数の層を堆積させるために使用されうる。
【0027】
図2は、チャンバ100などの処理チャンバ向けの放射シールド200の平面図である。図示しているように、放射シールド200は、放射プレート202と放射ステム204とを含みうる。放射プレート202は円形又はディスク状でありうるが、他の形状の放射プレート202が利用されうることも想定される。放射プレート202は、特定の処理デバイス又は処理チャンバの中で利用される基板支持体の形状に類似又は合致しうることが、更に想定される。一部の実施形態では、放射プレートは、約10インチから約20インチまで(例えば約14インチ)の直径を有しうる。しかし、放射プレートは任意の好適な直径を有しうることが想定される。
【0028】
放射プレート202は、酸化アルミニウム材料又は窒化アルミニウム材料を含みうる。放射プレート202は、それを貫通して配置された複数の孔206を更に含みうる。一部の実施形態では、複数の孔206は、上述のリフトピン138がこれらの穴を通り抜けることを可能にしうる。特定の実施形態では、複数の孔206の各々は、放射プレート202の中心軸の周囲に配置されうる。特定の実施形態では、複数の孔206は、均等に離間していることがある。放射プレート202は、放射プレート202の中心に配置された孔208を更に含みうる。孔208はステム134を取り囲み、ゆえに、ステム134がこの孔を通り抜けることが可能になりうる。
【0029】
放射プレート202は均一な厚さを有しうる。一部の実施形態では、放射プレート202は、約25mmから約250mmまで、例としては約50mmから約200mmまで(例えば約100mm)の厚さを有しうる。特定の実施形態では、放射プレート202は、約25mmから約250mmまで、例としては約50mmから約200mmまでの、変動可能な厚さを有しうる。
【0030】
放射ステム204は、管状部材又は円筒状部材であってよく、一部の実施形態では、中空コアを有しうる。放射ステムは、放射プレート202に連結されうる。放射ステム204は、第1端部210で放射プレート202の孔208に連結されうる。放射ステム204は、石英材料、又は、半導体処理での使用に適する他の任意の材料を含みうる。
【0031】
図3は、
図1のチャンバ100の処理空間106の概略断面図である。図示しているように、処理空間106は、内部に配置された放射シールド200を含む。放射シールド200は、基板支持体130の基板受容面132の下に配置されうる。一部の実施形態では、放射プレート202は、スリットバルブ開口108と基板支持体130との間に配置されうる。一部の実施形態では、放射ステム204は、リフトシステム136と放射プレート202との間に配置されうる。更に、一部の実施形態では、放射ステム204は、基板支持ステム134を支持し、かつ/又は収容しうる。
【0032】
処理中、熱損失を避けるために、放射シールド200は、スリットバルブ開口108と基板支持体130との間に配置されうる。放射シールド200自体は、基板支持体130の下に配置されうる。また、基板支持体130が上昇及び/又は下降する時に放射シールドも上昇及び/又は下降するように、放射シールド200は、基板支持体130と係合し、基板支持体130に連結されうる。したがって、基板支持体130が処理位置(例えば上昇位置)にある時に、スリットバルブ開口108は放射プレート202の下に配置され、ゆえに、熱損失が回避される。
【0033】
加えて、一部の実施形態では、放射ステム204は、冷却ハブ156とスリットバルブ開口108との間に配置されうる。冷却ハブ156は、基板支持ステム134の下に配置されてよく、処理空間106を冷却しうる。更に、パージバッフル158が処理空間106の中に配置されうる。パージバッフル158は、流体又はガスの流れを制限しうる。
【0034】
試験が実施され、結果は、上述の放射シールド200を使用することで、処理チャンバ内の前部から後部までの温度が6°Cから1°Cに低下したことを示した。更に、結果は、処理される基板の温度プロファイルがほぼ対称になることを示した。また、2mmEEにおける周方向温度(azimuthal temperature)も、5.9°Cから4.1°Cに低下した。
【0035】
放射シールド200の試験中、ヒータ温度は90°C上昇し、かつ、基板温度は60°C上昇した。底部構成要素(ライナ、ポンピングプレート、スリットバルブ開口、及びシャフトなど)への熱損失は、およそ15%減少した。更に、上部及び/又は側部の構成要素(FPとPPMのスタックなど)への熱損失は、ヒータ温度及び基板温度の上昇により、およそ40%増加した。
【0036】
放射シールド200の試験により、放射シールドを備える半導体処理チャンバにおける基板の最高到達温度は約584°Cであった一方、放射シールドを有さない、類似の基板処理チャンバにおける基板の最高到達温度は約523°Cであったことが、更に示された。放射シールドを備える半導体処理チャンバにおけるヒータの最高到達温度は約742°Cであった一方、放射シールドを有さない、類似の基板処理チャンバにおけるヒータの最高到達温度は約654°Cであった。
【0037】
本開示の利点は、開示されている放射シールドが、スリットバルブ開口ではなく基板支持体に連結されることを更に含む。放射シールドは、ヒータの下に配置され、したがって、より均一な放射及び加熱をもたらすと共に、基板の平面プロファイルを改善する。加えて、本開示は、様々な製造業者によるものを含む、いかなる熱遮断装置及び/又はPECVD処理チャンバにも、利用されうる。
【0038】
追加の利点は、基板における温度変動を少なくすることだけでなく、均一な熱損失を促進し、ひいては基板の膜均一性を向上させることも含む。
【0039】
前述の利点は、例示的なものであって、限定的なものではない。全ての実施形態が前述の利点を有することが、必要なわけではない。上記の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱しなければ、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。