【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例と比較例により具体的に説明する。実施例、比較例において配合に用いた各成分を下記に示した。なお、表中における実施例及び比較例の配合の数値は純分の質量%を表す。また、EOはエチレンオキシド、POはプロピレンオキシドの略であり、その後の数字はそれぞれEO、POの平均付加モル数を表す。pH調整剤の含有量を示す「適量」とは、中性洗浄剤組成物のpH(25℃)を表に示すpHに調整するために配合した量を示す。pH調整剤としては、2M−塩酸または2M−水酸化ナトリウムを用いて、中性洗浄剤組成物の原液のpH(25℃)が表に示す値となるように調整した。
なお、実施例7、10、12、21及び57は参考例である。
【0040】
(A)成分
A−1:ラウリルアルコールEO8モルPO3モル付加物
A−2:トリデシルアルコールEO5モルPO3モル付加物
A−3:トリデシルアルコールEO3モルPO3モル付加物
A−4:リバースプルロニック型ブロックポリマー(ポリオキシエチレン鎖の両端にポリオキシプロピレン鎖が結合したブロックポリマー)オキシエチレン鎖の含有率が20%、アデカプルロニック25R−2、ADEKA社製
【0041】
(B)成分
B−1:クメンスルホン酸ナトリウム
B−2:クメンスルホン酸カリウム
B−3:キシレンスルホン酸ナトリウム
【0042】
(C)成分
C−1:プロピレングリコール
C−2:ペンチレングリコール
C−3:ヘキシレングリコール
C−4:グリセリン
【0043】
(D)成分
D−1:アミラーゼ1、商品名:Termamyl Ultra 300L、ノボザイムズ社製
D−2:アミラーゼ2、商品名:Stainzyme 12L、ノボザイムズ社製
【0044】
(E)成分
E−1:プロテアーゼ1、商品名:Savinase Evity 16L、ノボザイムズ社製
E−2:プロテアーゼ2、商品名:Blaze Evity 16L、ノボザイムズ社製
【0045】
(F)成分
F−1:イオン交換水
【0046】
(G)成分
G−1:グルコン酸ナトリウム
G−2:クエン酸ナトリウム
G−3:乳酸ナトリウム
【0047】
(H)成分
H−1:リパーゼ、商品名:Lipex 100L、ノボザイムズ社製
【0048】
その他成分
(I)成分
I−1:塩酸
I−2:水酸化ナトリウム
【0049】
実施例1〜60、比較例1〜9
表1〜7に示す中性洗浄剤組成物を調製した。各中性洗浄剤組成物を用いて、pH、洗浄性(デンプン、タンパク質、油脂)、腐食防止性、抑泡性、貯蔵安定性、酵素安定性を測定した。表1〜6に実施例1〜60の結果を、表7に比較例1〜9の結果をそれぞれ示す。
【0050】
※1:pHの測定方法
pHメーター(HORIBA製;pH/イオンメーター F−23)にpH測定用複合電極(HORIBA製;ガラス摺り合わせスリーブ型)を接続し、電源を入れる。pH電極内部液としては、飽和塩化カリウム水溶液(3.33mol/L)を使用した。
次に、pH4.01標準液(フタル酸塩標準液)、pH6.86(中性リン酸塩標準液)、pH9.18標準液(ホウ酸塩標準液)をそれぞれ100mLビーカーに充填し、25℃の恒温槽に30分間浸漬した。恒温に調整された標準液にpH測定用電極を3分間浸し、pH6.86→pH9.18→pH4.01の順に校正操作を行った。
各中性洗浄剤組成物を100mLビーカーに充填し、恒温槽内にて25℃に調整した。恒温に調整された試料にpH測定用電極を3分間浸し、pHを測定した。
【0051】
※2:洗浄性試験(デンプン汚れ)
<被洗浄物>
米デンプン汚れ(7.1%米デンプン水溶液を100℃で15分加熱したもの)を150×150mmのガラスパネルにコーティングロッドを用いて均一に塗布し、室温で乾燥させたものをデンプン洗浄試験片とした。
【0052】
<試験方法>
デンプン洗浄試験片3枚を洗浄ラックの所定位置に設置し、以下に記載の洗浄条件で洗浄後、室温にて乾燥させた。乾燥後、0.1質量%よう素液を試験片全体に振りかけ、よう素呈色した着色部分の状態を目視評価にて判定した。
【0053】
<洗浄条件>
使用洗浄機:SANYO製自動食器洗浄機(DW−DR62)
洗浄液温度:60℃
洗浄時間:40秒
洗浄剤濃度:0.1質量%
使用水:炭酸カルシウム換算で、50mg/L[ドイツ硬度2.8°DH]の硬水
【0054】
<評価基準>
◎:着色がほとんどない
○:着色が若干ある
△:着色がみられる
×:着色が多い
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0055】
※3:洗浄性試験(タンパク質汚れ)
<被洗浄物>
5質量%の卵黄水溶液を150×150mmのガラスパネルにコーティングロットを用いて均一に塗布し、室温で乾燥後、100℃で30秒間加温し、変性させたものをタンパク質洗浄試験片とした。
【0056】
<試験方法>
上記の方法で調整したタンパク質洗浄試験片4枚を洗浄ラックに設置し、以下に記載の洗浄条件にて洗浄、すすぎ後、室温にて乾燥させた。乾燥後、0.1質量%アミドブラック液を試験片全体に振りかけ、呈色した着色部分の状態を目視評価にて判定した。
【0057】
<洗浄条件>
使用洗浄機:SANYO製自動食器洗浄機(DW−DR62)
洗浄温度:60℃
洗浄時間:45秒
すすぎ温度:85℃
すすぎ時間:9秒
洗浄回数:上記洗浄/すすぎ工程を3回繰り返し
洗浄剤濃度:0.07質量%
使用水:炭酸カルシウム換算で、50mg/L[ドイツ硬度2.8°DH]の硬水
【0058】
<評価基準>
◎:着色がほとんどない
○:着色が若干ある
△:着色がみられる
×:着色が多い
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0059】
※4:洗浄性試験(油脂汚れ)
<被洗浄物>
米デンプン水溶液(20質量%米デンプン水溶液を80℃で3分加熱したもの)に、100℃で加熱し溶解した牛脂20gを加えよく攪拌し53℃まで冷ました後、卵黄10gを加えて攪拌したものを汚れとした。この汚れを15cm×15cmの塩化ビニル製の黒色プレートに、コーティングロッドを用いて均一に塗布し、室温で乾燥させ油脂洗浄試験片とした。
【0060】
<試験方法>
上記の方法で調整した油脂洗浄試験片1枚を洗浄ラックに設置し、以下に記載の洗浄条件にて洗浄後、流水で軽くすすいだ。洗浄すすぎ後の試験片の汚れ残留部分を5mm四方の碁盤目上にスケッチし、清浄な碁盤目を数え、その清浄面積率を洗浄率とした。洗浄率の数値が大きいほど洗浄力が優れているといえる。
【0061】
<洗浄条件>
使用洗浄機:ホシザキ製自動食器洗浄機(機種JWE−680)
洗浄温度:64 ℃
洗浄時間:40秒
洗浄剤濃度:0.07質量%
使用水:炭酸カルシウム換算で、50mg/L[ドイツ硬度2.8°DH]の硬水
【0062】
<評価基準>
◎:洗浄率が50%以上、100%以下
○:洗浄率が30%以上、50%未満
△:洗浄率が10%以上、30%未満
×:洗浄率が0%以上、10%未満
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0063】
※5:腐食防止性試験(銅合金)
試験片[砲金(BC−6)縦75mm×横25mm×厚さ3mm]は、予め中性洗剤(製品名:キャプテンV、ADEKAクリーンエイド社製)で洗浄しアセトン処理して乾燥させたものを使用する。炭酸カルシウム換算で、50mg/L[ドイツ硬度2.8°DH]の硬水で、各中性洗浄剤組成物を蒸留水で0.07質量%に希釈した希釈液120mLを200mL容量の蓋付ポリプロピレン製容器に入れ、その中に試験片を浸漬し、60℃の恒温器内で1週間保存した。保存後の試験片を取り出し、イオン交換水にて濯ぎ、乾燥させて、試験片表面の状態を目視により外観観察し、下記基準で腐食防止性を判定した。
【0064】
<評価基準>
○:腐食がない
△:やや腐食がみられるが、使用上問題ないレベル
×:腐食した
とし、△、○、を実用性のあるものとして判定した。
【0065】
※6:腐食防止性試験(アルミニウム)
試験片[アルミニウム(A1100P)縦75mm×横25mm×厚さ2mm]は、予め中性洗剤(製品名:キャプテンV、ADEKAクリーンエイド社製)で洗浄しアセトン処理して乾燥させたものを使用する。炭酸カルシウム換算で、50mg/L[ドイツ硬度2.8°DH]の硬水で、各中性洗浄剤組成物を蒸留水で0.07質量%に希釈した希釈液120mLを200mL容量の蓋付ポリプロピレン製容器に入れ、その中に試験片を浸漬し、60℃の恒温器内で1週間保存した。保存後の試験片を取り出し、イオン交換水にて濯ぎ、乾燥させて、試験片表面の状態を目視により外観観察し、下記基準で腐食防止性を判定した。
【0066】
<評価基準>
○:腐食がない
△:やや腐食がみられるが、使用上問題ないレベル
×:腐食した
とし、△、○、を実用性のあるものとして判定した。
【0067】
※7:抑泡性試験
<試験方法>
食器洗浄機の第1タンクのオーバーフローに栓をした状態でタンクのオーバーフロー水位まで水を溜め、水を40℃まで加温した後、以下の試験濃度になるように中性洗浄剤組成物を投入し、30分間洗浄機を稼動した。30分後の残渣カゴ内の泡高を測定し、抑泡性を評価した。
【0068】
<洗浄条件>
使用洗浄機:IHI社製フライトリンクコンベアタイプ洗浄機(機種JWF−645)
洗浄温度:40℃
洗浄時間:30分
洗浄剤濃度:0.07質量%
使用水:炭酸カルシウム換算で、50mg/L[ドイツ硬度2.8°DH]の硬水
【0069】
<評価基準>
◎:泡高0cm以上、2.0cm未満
○:泡高2.0cm以上、5.0cm未満
△:泡高5.0cm以上、10.0cm未満
×:泡高10.0cm以上
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0070】
※8:貯蔵安定性試験
各中性洗浄剤組成物を100mL透明ポリプロピレン容器にとり、蓋をして−5℃、25℃、40℃の恒温槽中で6か月間静置保管した後に、外観を観察し以下の基準で評価した。
【0071】
<評価基準>
○:分離や濁りが見られず安定である
△:全体的な分離はないが、若干の濁りが見られる
×:分離もしくは濁りが見られる
とし、△、○、を実用性のあるものとして判定した。
【0072】
※9:酵素安定性試験(アミラーゼ)
< アミラーゼ活性測定>
各中性洗浄剤組成物を蒸留水で0.07質量%に希釈し、その希釈液0.05mLと0.1質量%可溶性デンプン水溶液0.5mLとをpH7.0、60℃の条件下で10分間反応させた後、ヨウ素試薬0.5mLと蒸留水2mLを添加した。分光光度計(SHIMADZU UV−1800)を用いて、得られた反応液の620nmにおける吸光度を測定した。試料溶液1mLが60℃、1分間の反応でデンプンを分解する酵素の活力(アミラーゼ活性)を1単位として力価を求めた。この力価より、洗浄剤中のアミラーゼ活性の初期値を100として40℃、30日間保存後のアミラーゼ活性の残存率を求めた。
【0073】
<評価基準>
◎:初期活性値の90%以上、100%以下
○:初期活性値の75%以上、90%未満
△:初期活性値の50%以上、75%未満
×:初期活性値の0%以上、50%未満
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0074】
※10:酵素安定性試験(プロテアーゼ)
<プロテアーゼ活性測定>
各中性洗浄剤組成物をpH7.0の酢酸緩衝液で0.1質量%に希釈し、その希釈液0.2mLと0.6質量%カゼイン水溶液1mLとをpH7.0、60℃の条件下で10分間反応させた後、タンパク質沈殿試薬(TCA混液)1mLを添加して30℃で30分間放置した。放置後、得られた水溶液をろ過し、このろ液1mLに0.55MのNa
2CO
3水溶液2.5mL、および蒸留水で3倍希釈したFolin試薬0.5mLを添加し30℃、30分間反応させた。分光光度計(SHIMADZU UV−1800)を用いて、得られた反応液の660nmにおける吸光度を測定し、60℃、1分間にこの反応液全体で1γのL−チロジンの呈するFolin 呈色度を与えるプロテアーゼ活性を1単位として力価を求めた。この力価より、洗浄剤中のプロテアーゼ活性の初期値を100として40℃、30日間保存後のプロテアーゼ活性の残存率を求めた。
【0075】
<評価基準>
◎:初期活性値の90%以上、100%以下
○:初期活性値の75%以上、90%未満
△:初期活性値の50%以上、75%未満
×:初期活性値の0%以上、50%未満
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】
【表5】
【0081】
【表6】
【0082】
【表7】