特許第6862431号(P6862431)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6862431還流冷却下でポリアスパラギン酸を生成させるための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862431
(24)【登録日】2021年4月2日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】還流冷却下でポリアスパラギン酸を生成させるための方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 69/08 20060101AFI20210412BHJP
   C11D 3/37 20060101ALN20210412BHJP
【FI】
   C08G69/08
   !C11D3/37
【請求項の数】8
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2018-512188(P2018-512188)
(86)(22)【出願日】2016年9月5日
(65)【公表番号】特表2018-527444(P2018-527444A)
(43)【公表日】2018年9月20日
(86)【国際出願番号】EP2016070793
(87)【国際公開番号】WO2017042112
(87)【国際公開日】20170316
【審査請求日】2019年9月3日
(31)【優先権主張番号】15184264.8
(32)【優先日】2015年9月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエイエスエフ・ソシエタス・エウロパエア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トゥエーコグル,ガジ
(72)【発明者】
【氏名】デテルイング,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】フェーリンガー,ディートリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ベンツ,クリスティアン
【審査官】 櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/036344(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/036325(WO,A1)
【文献】 国際公開第96/019524(WO,A1)
【文献】 特表平11−501079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G,C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアスパラギン酸を生成させるための方法であって、以下のステップ:
(a)(i)アスパラギン酸、
(ii)1〜25モル%の酸触媒、及び
(iii)任意選択で、水
の混合物を反応器中で接触させるステップ、
(b)(a)による混合物を、水の蒸留除去なしに還流冷却下で、100〜220℃の反応温度で加熱して、少なくとも1%の、アスパラギン酸の変換率まで前縮合させるステップ、
(c)(b)による反応混合物を、水の同時蒸留除去と共に、170〜250℃で重縮合させるステップ、
(d)(c)による重縮合物を塩基の添加によって加水分解するステップ、並びに
(e)任意選択で(d)で得られたポリアスパラギン酸の塩を酸性化するステップ
を含む方法。
【請求項2】
3〜15モル%の酸触媒が添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
酸触媒が、メタンスルホン酸である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
重縮合が、200〜250℃で行われる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
塩基が、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア及び水酸化アンモニウムからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
酸性化が、鉱酸又は酸性イオン交換体で行われる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(b)において、アスパラギン酸の変換率が少なくとも5%である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(b)において、温度が、160〜180℃である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、還流冷却下でポリアスパラギン酸を生成させるための方法、そのようにして得ることができるポリアスパラギン酸を含む組成物、並びにそのようにして得ることができるポリアスパラギン酸の食器洗浄剤(dishwashing agent)、洗剤(detergent)及び清浄剤(cleaning agent)中での使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアスパルトイミドへのアスパラギン酸の酸触媒熱重縮合、及びその後の、ポリアスパルトイミドのアルカリ加水分解による、ポリアスパラギン酸及びその塩の調製は、原則として公知である。使用される酸触媒は、例えば、鉱酸、例えば、リン酸、亜リン酸、硫酸及び亜硫酸である。有機酸、例えば、メタンスルホン酸又はアミドスルホン酸を使用することも可能である。リン酸は、適度に強く且つ非酸化性の酸として特に適することが証明されている。メタンスルホン酸(MSA)も、その非酸化性作用のために適当な触媒である。好ましくは、酸、例えば、リン酸は、触媒としてだけでなく、溶媒としても役立つ。リン酸が同時に触媒及び溶媒である場合の、良く制御された重縮合の利点は、必要な生成物精製の不利点と対立している。酸は洗浄によって除去されなければならず、費用の理由で、労力をかけて回収されなければならない。代替手段は、ほんの少量の触媒の使用であろう。しかしながら、ほんの少量の酸触媒(使用されるアスパラギン酸の量に基づいて、1〜25モル%)が使用される場合、これは、縮合中にきわめて粘性が高い乃至非常に硬い縮合相を生じさせ、これは、ケーキ化しやすく、攪拌装置又は混練機においてもはや攪拌又は混練することができない。結果として、熱で硬くなった(baked)固体重縮合物を再度分解し、粉砕するために、縮合は止めらなければならないか、又は少なくとも中断されなければならない。その場合にだけ、重縮合を継続することができる。例えば、米国特許第5,457,176A号には、触媒量のリン酸又はメタンスルホン酸を使用するアスパラギン酸の熱重縮合が記載されている。両方の実施例において、重縮合は中断され、固体中間体は、労力をかけて単離され、粉砕され、粉砕された中間体は、反応容器に戻されて、縮合を完了する。同様のプロセスが、独国特許出願公開第4023463A1号に記載されており、ここで、リン酸はアスパラギン酸の縮合における触媒として使用され、得られた反応生成物は、第2段階で機械的に粉砕されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,457,176A号
【特許文献2】独国特許出願公開第4023463A1号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
この技術的課題は、本明細書に記載され及び特許請求の範囲に定義されるとおりの本発明によって達成された。
【0005】
本発明は、ポリアスパラギン酸を生成させるための方法であって、以下のステップ:
(a)(i)アスパラギン酸、
(ii)1〜25モル%、好ましくは2〜20モル%、好ましくは3〜15モル%、好ましくは3〜10モル%、特に好ましくは3〜8モル%の酸触媒、及び
(iii)任意選択で、水
の混合物を反応器中で接触させるステップ、
(b)(a)による混合物を、水の蒸留除去なしに還流冷却下で、100〜220℃、好ましくは120〜200℃、好ましくは140〜200℃、好ましくは150〜200℃、特に好ましくは160〜180℃の反応温度で、少なくとも1%、好ましくは少なくとも3%、好ましくは少なくとも5%、好ましくは少なくとも7%、好ましくは15%までの程度まで、特に好ましくは10%までの程度までの変換率(degree of conversion)まで加熱するステップ、
(c)(b)による反応混合物を、水の同時蒸留除去と共に、170〜250℃、特に好ましくは200〜230℃で重縮合させるステップ、
(d)(c)による重縮合物を塩基の添加によって加水分解するステップ、並びに
(e)任意選択で(d)で得られたポリアスパラギン酸の塩を酸性化するステップ
を含む、方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の全般的理解のために、当業者に容易に明らかであるとおりに、本明細書に記載されるとおりの縮合は、熱エネルギーの供給(加熱)によって行わることが再度明確にされる。例えば、本明細書に記載される本発明の全体的見方において、縮合は本発明のステップ(b)の間に起こる(初期縮合物(precondensate)が形成される)こと、及び逆に、重縮合は本発明のステップ(c)による加熱によっても起こることが明らかである。
【0007】
本発明による方法におけるポリアスパラギン酸塩の酸性化の任意選択のステップ(e)は、酸形態のポリアスパラギン酸を得るのに役立ち、当業者に公知の仕方で、及び例として本明細書に示されるとおりに行うことができる。例えば、中間段階として、ポリアスパラギン酸の塩だけが望まれる場合、本発明におけるステップ(e)は省くことができる。本発明において、ポリアスパラギン酸が対象である場合、ポリアスパラギン酸はまた、それに応じて、本発明の調製方法のステップ(d)によって得ることができるか、又は得られ、且つ当業者によって理解される、その対応する塩も含む。本発明における潜在的な酸は、例えば、鉱酸又は酸性イオン交換体である。ここで、鉱酸は、例えば、硫酸又は塩酸であってもよい。しかしながら、任意の他の酸も可能であり、これは、対応する酸形態を得るためのポリアスパラギン酸の塩の酸性化に適当であるものとして当業者にとって明らかである。ポリアスパラギン酸の酸形態はまた、例えば、酸性イオン交換体、例えば、Amberlite IR 120(水素形態)での処理によって、例えば、ポリアスパラギン酸のNa塩水溶液(又は別の適切な塩の溶液)を酸性イオン交換体で充填されたカラムに通して流すことによって得られてもよい。これは、本明細書で既に提供され且つ記載されたとおりの、ポリアスパラギン酸を生成させるための本発明によるすべての方法に同様に適用される。
【0008】
可能な限り薄いか又は無色のポリアスパラギン酸又はその塩が望まれる場合、ステップ(d)後に得られるポリアスパラギン酸の塩は、漂白剤、例えば、次亜塩素酸、塩素、二酸化塩素、過酸化水素、過酸、オゾン又は過ホウ酸塩(perborate)で処理されてもよい。任意選択で、色光沢化も、ステップ(c)により得られた重縮合物を前述の漂白剤で処理することによって達成することができる。さらに、前述の漂白剤の存在下でステップ(d)、すなわち、塩基の添加によっての(c)による重縮合物の加水分解を行うことも可能である。特に好ましい漂白剤は、過酸化水素である。使用される漂白剤の正確な量は、所望の脱色度に依存する。色光沢化は、ポリアスパラギン酸の合成で使用されるL-アスパラギン酸の量に基づいて、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.5〜10重量%の漂白剤を使用して行われる。
【0009】
意外なことに、本発明において見出されたとおりに、粘性で、硬く、ほとんど攪拌又は混練り可能でない縮合中間体相の出現は、酸触媒の添加後、水の蒸留除去なしに還流冷却下で、少なくとも1%、好ましくは少なくとも3%、好ましくは少なくとも5%、好ましくは少なくとも7%、好ましくは10%までの程度までのアスパラギン酸の変換率まで、初めにアスパラギン酸を熱的に前縮合させるステップ(本発明のステップ(b)参照)によって回避することができる。大部分でなお未反応のアスパラギン酸及び水を含む初期縮合物が形成される。次いで、初期縮合物は、所望の重縮合物が存在するまで水の蒸留除去と共にさらに縮合される(本発明のステップ(c)参照)。この場合、本発明において、180分後の比較的長い時間にわたるステップ(b)により本発明によって行われた還流冷却は、約10%のアスパラギン酸の最大変換率を確立したことが見出された。本発明の教示にしたがい、還流段階(b)を終了し、水を蒸留除去する(ステップ(c))その時点での、アスパラギン酸のこの最大変換率は、180分までの還流冷却の期間を延長することだけでは増加させることができないが、本発明による方法のステップ(b)によって達成されるアスパラギン酸の変換率がまた、原則として10%を超える、例えば、15%になり得ないことは除外されるべきではない。特に、本発明による方法のステップ(b)によるアスパラギン酸の最大変換率は、本発明の利点が、より高い変換率で達成され得ないことを意味するように理解されるべきでない。本発明のステップ(b)の間に、アスパラギン酸のさらにより高い変換率が、一例としてステップ(b)のさらにより長い期間によって達成され得ることが考えられる。アスパラギン酸の最大変換率はまた、例えば変換率が比較的ゆっくりとしか増加しない、本発明のステップ(b)による還流冷却の長い期間を回避するために、経済的観点から賢明であり得る。例えば、本発明による方法のステップ(b)によるアスパラギン酸の最大変換率はまた、一例として、15%、好ましくは10%であり得、ここで、ステップ(b)による還流冷却は、本明細書で実施例においても示されるとおりに、一例として、20分間、90分間、120分間、150分間、180分間又はそれ以上継続してもよい。本発明による方法のステップ(c)における蒸留と共の重縮合の間に、アスパラギン酸の変換率は、比較的短い期間に増加し、やはり本明細書に記載され及び実施例に示されるとおりに、ステップ(c)の開始から1時間後に既に50又は60%になり得る。理論に拘束されないが、還流段階における反応は、特定のオリゴマー形成のために進行せず、アスパラギン酸のさらなる変換のための推進力は、水の蒸留であると推測される。
【0010】
したがって、本発明において、本明細書に記載される方法のステップ(b)による還流冷却の期間よりも重要なのは、ステップ(c)による水の蒸留除去と共に重縮合が始まるその時点での、この還流冷却の間に達成されたアスパラギン酸の変換率である。ステップ(c)が開始されるその時点での、アスパラギン酸の最小変換率は、本発明において1%である。しかしながら、最小変換率は、より高くても、例えば、3%、5%又は7%であってもよい。還流冷却の間のアスパラギン酸の最大変換率は、概して10%〜15%を超えず、これは、本明細書に記載されるとおりに還流冷却を単に延長することによってはさらに増加させることができない。ステップ(c)においてさらに重縮合されるその時点での、本発明による方法のステップ(b)により達成されるアスパラギン酸の最大変換率は、したがって、一例として一実施形態で10%、又は一例として別の実施形態で15%であり得るが、さらにより高い変換率であっても、本発明の実現可能性及び有用性にとって一般に障害ではない。
【0011】
本発明によって調製されたポリアスパラギン酸は、例えば、清浄組成物、洗剤組成物及び食器洗浄組成物、特に排他的ではないが、自動食器洗浄用の食器洗浄洗剤に使用される。本発明によって調製されたポリアスパラギン酸のさらなる利点は、それらが、このような組成物に使用され、且つカルボキシル含有モノマーのフリーラジカル重合によって調製された他のポリマーと対照的に好気条件下で生分解性であることである。
【0012】
本発明による調製方法で使用されるアスパラギン酸は、L-及びD-アスパラギン酸の両方並びにDL-アスパラギン酸であり得る。L-アスパラギン酸の使用が優先される。
【0013】
本発明による方法のステップ(b)における酸触媒の添加後の温度は、一般に100〜220℃、好ましくは120〜200℃、好ましくは140〜200℃、好ましくは150〜200℃、特に好ましくは160〜180℃である。本発明において、温度は、特に断りのない限り、反応温度を指す。この場合の温度値は、1バールの圧力に関係するが、当業者には明らかであるが、対応する圧力の増加又は低下によって、より低いか又はより高い温度がまた、適用されてもよい。本発明による方法のステップ(b)の間に、混合物は、水の蒸留除去なしに還流冷却下で縮合(加熱)される。本発明によるこのステップは、少なくとも、1%、好ましくは3%、5%又は7%のアスパラギン酸の変換率まで行われる。
【0014】
変換率は、例えば、未反応モノマーアスパラギン酸の定量的測定によって、ここで決定されてもよい。このために、ステップ(b)によって得られた規定量の反応混合物が、1N塩酸によって抽出され、それによって、未反応モノマーアスパラギン酸は、アスパラギン酸塩酸塩の形成によって溶液中にもたらされる。抽出物のアスパラギン酸含有量Y[g]の液体クロマトグラフィーによる定量的測定によって、本発明における変換率Cは、
C=(X-Y)/X
(式中、X[g]は、ステップ(b)の開始前の規定量の反応混合物のアスパラギン酸含有量である)
によって計算され得る。
【0015】
本発明による方法のステップ(a)における酸触媒としての使用に適当なものは、例えば、リン及び硫黄の無機酸、例えば、リン酸、亜リン酸、ジ亜リン酸、硫酸又は亜硫酸、有機酸、例えば、メタンスルホン酸、アミドスルホン酸、p-トルエンスルホン酸又はイセチオン酸、及びまた、ハロゲン化水素、例えば、塩酸である。前述の酸はまた、それらの酸性塩の形態でこのために使用されてもよい。一実施形態において、本発明によって使用される酸触媒は、メタンスルホン酸(MSA)である。本発明において、メタンスルホン酸はまた、その塩の形態で使用されてもよい。メタンスルホン酸の塩は、例えば、メタンスルホン酸のアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物、水酸化アンモニウム、第一級、第二級又は第三級の脂肪族アミン又はヘテロ環式芳香族アミン、例えば、ピリジン、イミダゾール又は1-メチルイミダゾールによる部分又は完全中和によって得ることができる。第二級又は第三級脂肪族アミンはまた、この場合、環状形態、例えば、ピペリジンであってもよい。本発明による調製方法におけるステップ(a)で使用される酸触媒(例えば、MSA)の量は、特に断りのない限り、ステップ(a)で使用されるアスパラギン酸の量に関係する。本発明によれば、1〜25モル%の酸触媒が使用される。すなわち、例えば、本発明による方法において、10モルのアスパラギン酸が使用される場合、0.1〜2.5モルの酸触媒が使用される。それぞれの場合において、使用されるアスパラギン酸の量(モル単位)に基づいて、好ましくは、2〜20モル%、好ましくは3〜15モル%、好ましくは3〜10モル%、特に好ましくは3〜8モル%の酸触媒が使用される。
【0016】
酸触媒(例えば、メタンスルホン酸)は、計量添加によって、好ましくは本発明による方法のステップ(a)の開始時に一度に、添加され得る。1〜25モル%、好ましくは2〜20モル%、好ましくは3〜15モル%、好ましくは3〜10モル%、特に好ましくは3〜8モル%のここに記載される触媒(例えば、メタンスルホン酸)の量が、本発明によるステップ(a)の間にここで使用される。この場合、この触媒の量のすべてを一度に(ステップ(a)の間の、開始時に、最後に又は途中に)、又は個別の用量でステップ(a)の間に連続的に若しくは段階的に添加することが可能である。さらに、本発明による方法の次に続くステップ(b)及び/又はステップ(c)の間になおさらなる触媒を添加することも可能であり、ここで、ステップ(a)で使用されたもの以外の触媒を使用してもよい。
【0017】
本発明による方法のステップ(a)において、使用される酸触媒をより一様に分布させるために任意選択で追加の水を添加することもできる。追加の水は、酸触媒とは別個に又は酸触媒との混合物として(例えば、触媒を水性溶液として使用する場合)のいずれかで使用することができる。
【0018】
本発明による調製方法のステップ(c)の間の重縮合における温度は、170〜250℃、好ましくは180〜250℃、より好ましくは200〜250℃、特に好ましくは200〜230℃である。本発明において述べられる温度は、特に断りのない限り、1バールの反応圧力でのそれぞれの反応温度を指す。当業者にはっきりと明らかなとおりに、圧力の増加又は低下に対応して、より低いか又はより高い温度がまた、適用されてもよい。重縮合は、理想的には、本発明による調製方法のステップ(c)によって反応パートナーの重縮合物への完全な変換まで、例えば、1分〜50時間までの期間行われる。本発明において、完全な変換は、未反応アスパラギン酸の残存量が、使用されるアスラギン酸の量に基づいて、≦0.5重量%であることを意味する。
【0019】
重縮合(熱処理)は、好ましくは本発明にしたがって、例として、減圧下又は不活性ガス雰囲気(例えば、N2、アルゴン)下で行われる。或いは、重縮合は、高圧下又はガス流、例えば、二酸化炭素、空気、酸素若しくはスチーム中で行うこともできる。選択される反応条件に依存して、縮合のための反応時間は、一般に1分〜50時間である。
【0020】
重縮合を行うために、当業者に公知の連続又はバッチ方式で稼働可能な反応器及び装置のすべて、例えば、加熱バンド、混練機、ミキサー、パドル乾燥機、硬質相乾燥機、高粘度反応器、押出機、回転式管型オーブン及び他の加熱可能な機器が適当であり、ここで、固形物の縮合は、反応の水の除去と共に行うことができる。また、例えば、混合、又は混合及び自己清浄のための1つ以上のシャフトを有する連続又はバッチ方式で稼働する装置も適当である。このような装置は、例えば、商品名Discotherm(登録商標)B、ORP(Opposite Roating Processor)若しくはCRP(Co-Roating Processor)の下でLIST AG、Arisforf、スイス国により、又は商品名Reactotherm(登録商標)の下でBuss-SMS-Canzlerから供給される。対流装置、例えば、流動床反応器も、例えば、縮合に適当である。低分子量を有する重縮合物は、同様に耐圧密封容器で生成させることができ、ここで、結果として生じる反応の水は、あったとしても、部分的に除去されるのみである。重縮合はまた、原則として、例えば、電気加熱、スチーム、循環ガス、熱媒油又は塩浴によって、直接加熱される装置で行うことができる。重縮合はまた、必要な熱エネルギーが主に規定周波数(例えば、赤外、高周波、マイクロ波)の放射によって供給される装置で行うことができる。
【0021】
酸触媒(例えば、メタンスルホン酸)によるアスパラギン酸の熱重縮合において、重縮合物は、一般に水不溶性ポリアスパルトイミドの形態で生じる。ここで、使用される少量の酸触媒が、適用性に不利点をもたらすことなく生成物中に残っていてもよい。しかしながら、望まれる場合、アスパラギン酸の重縮合物は、例えば、水不溶性ポリアスパルトイミドを粉砕し、水により10〜100℃の温度で抽出することによって、酸触媒から精製することができる。ここで、使用される酸触媒は、洗浄除去される。未変換アスパラギン酸は、1N塩酸により抽出することによって容易に、浸出させ得る。
【0022】
本発明による方法のステップ(c)による重縮合後、得られた重縮合物は、塩基の添加によって加水分解される。本明細書にしたがってここで使用される塩基は、原則として当業者に適当である任意の塩基であり得る。このような塩基は、とりわけ、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩基、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム又は水酸化バリウム;炭酸塩、例えば、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウム;アンモニア及び第一級、第二級又は第三級アミン;第一級、第二級又は第三級アミノ基を有する他の塩基を含む。本発明の一実施形態において、本発明による方法のステップ(d)で使用される塩基は、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア及び水酸化アンモニウムからなる群から選択される。本発明において、水酸化ナトリウム溶液又は水酸化アンモニウムが優先される。
【0023】
ポリアスパラギン酸(又は上に記載されるとおりのその塩)は、好ましくは、ステップ(c)による重縮合物から、重縮合物を水にスラリー化し、ここに記載される適当な塩基の添加によって好ましくは0℃〜90℃の範囲の温度で加水分解及び中和することによって得られる。加水分解及び中和は、好ましくは8〜10のpH値で行われる。本発明において、例えば、先行する縮合と同じ容器/反応器/装置で加水分解を行うことによって、装置の関係で、縮合及び加水分解を互いに合わせることも有利である。その後、そのようにして得られたポリアスパラギン酸の塩は、本明細書に記載されるとおりの対応する酸形態を得るために酸性化されてもよい。
【0024】
本発明によって使用されるか、又は生成される/調製可能であるポリアスパラギン酸又はその塩は、水性溶液として又は固体形態で、例えば、粉末形態若しくは顆粒形態で使用されてもよい。当業者に公知であるとおりに、粉末又は顆粒形態は、例えば、ポリアスパラギン酸又はその塩の水性溶液の、噴霧乾燥、噴霧造粒、流動床噴霧造粒、噴流層造粒、ドラム乾燥又は凍結乾燥によって得られてもよい。
【0025】
本発明によって調製されるポリアスパラギン酸は、異なる重量平均分子量、好ましくは6000〜30000g/モルを有してもよい。重量平均分子量は、本発明による調製方法のステップ(a)で使用される酸触媒の量、及びまた、ステップ(c)における重縮合の間に適用される温度の関数としてここで調整することができる。この場合、6000〜30000g/モルの重量平均分子量を有するポリアスパラギン酸を得るための最適温度は、200℃〜230℃である。より低いか又はより高い温度、さらにはより多量の触媒(例えば、>25モル%のメタンスルホン酸)を使用する場合、より小さい重量平均分子量及び/又はより低い生成物収率をもたらす。より高い温度では、収率、変換率及び分子量の調整に対する悪影響と共に、酸触媒の熱分解を増加させる危険がやはりある。過剰に多量な酸触媒の使用は、一般に関連する量の酸触媒がその後生成物中に残存し、そして次にこれは、生成物の利用性を制限し得る不利点も有する。
【0026】
本発明で特定される分子質量Mwは、とりわけ、当業者に知られているとおりに、及び本明細書に記載されるとおりに、M=1250g/モル〜M=130500g/モルの分子量を有する、Polymer Standard Serviceからの狭分布のポリアクリル酸ナトリウム標準を使用して作成され得る、校正曲線を用いて計算することができる。さらに、とりわけ、校正用に、Na-PAA M=150と同義である、M=96の分子量を有するNa-アクリレート及びM=620を有するPEG標準を使用することができる。
【0027】
本明細書で提供及び記載される本発明によるポリアスパラギン酸を調製するための方法において、言及された酸触媒(例えば、MSA)に加えてステップ(a)で追加の酸を導入することも本発明において可能である。例えば、ここで追加的にカルボン酸(モノカルボン酸又はポリカルボン酸)、ヒドロキシカルボン酸及び/又はアミノ酸(アスパラギン酸を除く)を使用することが可能である。このようなカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸は、好ましくは多塩基性である。これに関連して、したがって、ステップ(a)における本発明によるポリアスパラギン酸の調製において、ここで言及及び記載される酸触媒に加えて、多塩基性カルボン酸及びその無水物、例えば、シュウ酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、アコニチン酸、コハク酸、無水コハク酸、マロン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ジグリコール酸、グルタル酸、C1〜C26アルキルコハク酸(例えば、オクチルコハク酸)、C2〜C26アルケニルコハク酸(例えば、オクテニルコハク酸)、1,2,3-プロパントリカルボン酸、1,1,3,3-プロパンテトラカルボン酸、1,1,2,2-エタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、1,2,2,3-プロパンテトラカルボン酸、1,3,3,5-ペンタンテトラカルボン酸、トリメリット酸又は無水トリメリット酸が使用されてもよい。さらに、これに関連して、多塩基性ヒドロキシカルボン酸、例えば、クエン酸、イソクエン酸、ムチン酸(mucic acid)、酒石酸、タルトロン酸、又はリンゴ酸を使用することが可能である。この関連で使用されるアミノ酸には、とりわけ、アミノカルボン酸(例えば、グルタミン酸、システイン)、塩基性ジアミノカルボン酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アミノカプロラクタム)、非荷電アミノ酸(例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、システイン、ノルロイシン、カプロラクタム、アスパラギン、イソアスパラギン、グルタミン、イソグルタミン)、アミノスルホン酸(例えば、タウリン)、ヒドロキシアミノ酸(例えば、ヒドロキシプロリン、セリン、スレオニン)、イミノカルボン酸(例えば、プロリン、イミノジ酢酸)、又は芳香族及びヘテロ環式アミノ酸(例えば、アントラニル酸、トリプトファン、チロシン、ヒスチジン)が含まれてもよいが、アスパラギン酸ではない。本発明によって使用される変性ポリアスパラギン酸の調製における好ましいカルボキシル含有化合物(ii)は、ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、クエン酸、グリシン、グルタミン酸、イタコン酸、コハク酸、タウリン、マレイン酸及びグルタル酸、特に好ましくはブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、クエン酸、グリシン及びグルタミン酸である。
【0028】
本発明によって調製可能なポリアスパラギン酸は、とりわけ、特に無機及び有機の堆積物の両方に関して、それらの非常に良好なスケール抑制及び分散効果によって特徴付けられる。特に、それらは、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム、並びにリン酸カルシウム及びホスホン酸カルシウム、並びにリン酸マグネシウム及びホスホン酸マグネシウムの堆積物を抑制する。さらに、それらは、すすぎ液(rinse liquor)の汚れ構成物質に由来する堆積物、例えば、脂肪、タンパク質及びデンプンの堆積物を防止する。
【0029】
したがって、本発明はまた、スケール抑制剤(scale inhibitor)又は分散剤としての本発明によって調製可能なポリアスパラギン酸の使用に関する。ポリアスパラギン酸は、清浄剤、食器洗浄剤(特に、機械的食器洗浄剤)又は洗剤における添加剤として、及びまた、本明細書に示され及び記載されるとおりの導水システム(water-conducting system)におけるスケール抑制剤又は分散剤としての両方でここで使用され得る。
【0030】
本発明はまた、本発明による方法によって調製可能であるか又は得ることができるポリアスパラギン酸を含む組成物、-特に、清浄組成物、食器洗浄組成物及び洗剤組成物に関する。本発明の一実施形態は、特に、本明細書に記載されるとおりのポリアスパラギン酸を含む、機械的食器洗浄用の食器洗浄組成物に関する。このような組成物は、本発明のポリアスパラギン酸に加えて、さらなる成分、例えば、溶媒、界面活性剤又は錯化剤などを含む。本発明のポリアスパラギン酸は、当業者に公知の方法によってそれらの様々な投与形態で配合物(混合物)中に直接組み込むことができる。例として、固体配合物、例えば、粉末、錠剤、ゲル及び液体配合物がここで挙げられるべきである。本発明の機械的食器洗浄組成物、並びに他の清浄組成物、食器洗浄組成物及び洗剤組成物は、液体、ゲル又は固体形態で、単相又は多相形態で、錠剤として又は他の用量単位の形態で、及び充填又は非充填の形態で提供されてもよい。これに関連して、本発明によって調製可能なポリアスパラギン酸は、多成分製品系(洗剤、すすぎ助剤及び再生塩の別個の使用)においてと、洗剤、すすぎ助剤及び再生塩の機能が一製品に合わせられているような食器洗浄剤(例えば、3-in-1製品、6-in-1製品、9-in-1製品、一体型(all-in-one)製品)においてとの両方で使用され得る。
【0031】
したがって、本発明は、本発明による方法にしたがって調製されるか又は調製可能なポリアスパラギン酸を含むさらなる組成物を含む。この場合の一実施形態は、食器洗浄組成物の形態、特に機械的食器洗浄(ADW)に適する形態を採る。
【0032】
本発明による食器洗浄組成物は、例えば、
(a)本発明によって調製されるか又は調製可能な、及び本明細書に記載される、1〜20重量%、好ましくは1〜15重量%、特に好ましくは2〜12重量%のポリアスパラギン酸;
(b)0〜50重量%の錯化剤;
(c)0.1〜80重量%のビルダー及び/又はコビルダー(co-builder);
(d)0.1〜20重量%の非イオン性界面活性剤;
(e)0〜30重量%の漂白剤、漂白活性化剤及び漂白触媒;
(f)0〜8重量%の酵素;並びに
(g)0〜50重量%の添加剤
を含む。
【0033】
使用することができる錯化剤(b)は、例えば、ニトリロトリ酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、メチルグリシンジ酢酸、グルタミン酸ジ酢酸、イミノジコハク酸、ヒドロキシイミノジコハク酸、エチレンジアミンジコハク酸、アルパラギン酸ジ酢酸、及びまたそれぞれの場合におけるそれらの塩である。好ましい錯化剤(b)は、メチルグリシンジ酢酸及びグルタミン酸ジ酢酸並びにそれらの塩である。特に好ましい錯化剤(b)は、メチルグリシンジ酢酸及びその塩、とりわけ、モノ-、ジ-及びトリナトリウム、-カリウム、-リチウム及び-アンモニウム塩である。メチルグリシンジ酢酸の塩は、D-及びL-エナンチオマーが等モル混合物で存在することを意味するラセミ形態であってもよく、又は一方のエナンチオマー、例えば、L-エナンチオマーが、過剰に存在してもよい。本発明による3〜50重量%の錯化剤(b)が優先される。
【0034】
使用されるビルダー及び/又はコビルダー(c)は、特に、その主たる仕事がカルシウム及びマグネシウムのイオンを結合することからなる水溶性又は水不溶性の物質であり得る。これらは、低分子量カルボン酸及びまたその塩、例えば、アルカリ金属クエン酸塩、特に無水クエン酸三ナトリウム又はクエン酸三ナトリウム二水和物、アルカリ金属コハク酸塩、アルカリ金属マロン酸塩、脂肪酸スルホネート、オキシジスクシネート、アルキル又はアルケニルジスクシネート、グルコン酸、オキサジアセテート、カルボキシメチルオキシスクシネート、タートレートモノスクシネート、タートレートジスクシネート、タートレートモノアセテート、タートレートジアセテート、及びα-ヒドロキシプロピオン酸であってもよい。本発明の清浄組成物中に存在してもよい、コビルダー特性を有するさらなる物質クラスは、ホスホネートのものである。これらは、特にヒドロキシアルカンホスホネート又はアミノアルカンホスホネートである。ヒドロキシアルカンホスホネートの中で、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホネート(HEDP)は、コビルダーとして特に重要なものである。それは、好ましくはナトリウム塩の形態で使用され、二ナトリウム塩は、中性反応を与え、四ナトリウム塩は、アルカリ反応(pH9)を与える。適当なアミノアルカンホスホネートは、好ましくはエチレンジアミンテトラメチレンホスホネート(EDTMP)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネート(DTPMP)及びそれらの高級同族体(ホモログ)である。それらは、好ましくは中性反応性ナトリウム塩の形態で、例えば、EDTMPの六ナトリウム塩として又はDTPMPの七ナトリウム塩及び八ナトリウム塩として使用される。この場合に使用されるビルダーは、ホスホネートのクラス、好ましくはHEDPからである。アミノアルカンホスホネートは、顕著な重金属結合能力をさらに有する。したがって、特に組成物が漂白剤も含む場合、アミノアルカンホスホネート、特にDTPMP、又は言及されるホスホネートの混合物を使用することが好ましいことがあり得る。ビルダーとして、とりわけ、シリケートが使用されてもよい。一般式NaMSixO2x+1yH2Oを有する結晶性シートシリケートが存在してもよく、ここで、Mは、ナトリウム又は水素であり、xは、1.9〜22、好ましくは1.9〜4の数であり、xについての特に好ましい値は、2、3又は4であり、yは、0〜33、好ましくは0〜20の数である。さらに、1対3.5、好ましくは1.6対3、特には2対2.8のSiO2:Na2O比を有する非晶性ケイ酸ナトリウムが使用されてもよい。
【0035】
さらに、本発明による食器洗浄組成物において、使用されるビルダー及び/又はコビルダー(c)は、カーボネート及びハイドロゲンカーボネートであってもよく、それらの中では、アルカリ金属塩、特にナトリウム塩が好ましい。
【0036】
さらに、使用されるコビルダーは、好ましくは2000〜50000g/モルの重量平均モル質量を有する、アクリル酸又はメタクリル酸のホモポリマー及びコポリマーであってもよい。適当なコモノマーは、特にモノエチレン性不飽和ジカルボン酸、例えば、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸、並びにまた、それらの無水物、例えば、無水マレイン酸である。また適当であるものは、スルホン酸基を有するコモノマー、例えば、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸及びメタンスルホン酸である。疎水性コモノマー、例えば、イソブテン、ジイソブテン、スチレン、10以上の炭素原子を有するアルファ-オレフィンも適当である。ヒドロキシル官能基又はアルキレンオキシド基を有する親水性コモノマーも、コモノマーとして使用してもよい。例には、アリルアルコール及びイソプレノール並びにまた、それらのアルコキシレート、並びにメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが含まれる。
【0037】
本発明の食器洗浄組成物におけるビルダー及び/又はコビルダーの好ましい量は、5〜80重量%、より好ましくは10〜75重量%、15〜70重量%又は15〜65重量%である。
【0038】
本発明による食器洗浄組成物において、使用される非イオン性界面活性剤(d)は、例えば、弱いか又は低い起泡性の非イオン性界面活性剤である。これらは、0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.25〜10重量%又は0.5〜10重量%の割合で存在してもよい。適当な非イオン性界面活性剤は、とりわけ、一般式(I)
R1-O-(CH2CH2O)a-(CHR2CH2O)b-R3 (I)
(式中、R1は、8〜22個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル基であり、
R2及びR3は、それぞれ独立して、水素、又は1〜10個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルキル基若しくはHであり、ここで、R2は、好ましくはメチルであり、
a及びbは、それぞれ独立して0〜300である)
の界面活性剤を含む。好ましくは、a=1〜100であり、b=0〜30である。
【0039】
また、本発明において、式(II)
R4-O-[CH2CH(CH3)O]c[CH2CH2O]d[CH2CH(CH3)O]eCH2CH(OH)R5 (II)
(式中、R4は、4〜22個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐脂肪族ヒドロカルビル基又はその混合物であり、
R5は、2〜26個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐ヒドロカルビル基であるか、又はその混合物を指し、
c及びeは、0〜40の値を有し、
dは、少なくとも15の値である)
の界面活性剤も適当である。
【0040】
また、本発明において、式(III)
R6O-(CH2CHR7O)f(CH2CH2O)g(CH2CHR8O)h-CO-R9 (III)
(式中、R6は、8〜16個の炭素原子を有する分岐又は非分岐アルキル基であり、
R7、R8は、それぞれ独立して、H、又は1〜5個の炭素原子を有する分岐若しくは非分岐アルキル基であり、
R9は、5〜17個の炭素原子を有する非分岐アルキル基であり、
f、hは、それぞれ独立して、1〜5の数であり、
gは、13〜35の数である)
の界面活性剤も適当である。
【0041】
式(I)、式(II)及び式(III)の界面活性剤は、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーのいずれかであり得、それらは、好ましくはブロックコポリマーである。
【0042】
さらに、本発明において、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから構成されるジ-及びマルチ-ブロックコポリマーを使用することができ、これらは、例えば、名称Pluronic(登録商標)(BASF SE)又はTetronic(登録商標)(BASF Corporation)の下で市販されている。さらに、ソルビタンエステルとエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとの反応生成物を使用することができる。アミンオキシド又はアルキルグリコシドも適当である。適当な非イオン性界面活性剤の概説は、EP-A 851023及びDE-A 19819187に開示されている。
【0043】
2種以上の異なる非イオン性界面活性の混合物も、存在してもよい。本発明の食器洗浄組成物は、好ましくは非イオン性界面活性剤との混合物で、アニオン性又は双性界面活性剤をさらに含んでもよい。適当なアニオン性及び双性界面活性剤は、EP-A 851023及びDE-A 19819187に同様に具体化されている。
【0044】
本発明による食器洗浄組成物において使用される漂白剤及び漂白活性化剤(e)
は、当業者に公知の代表的なものであり得る。漂白剤は、酸素漂白剤及び塩素漂白剤に細分される。使用される酸素漂白剤は、アルカリ金属過ホウ酸塩及びその水和物、並びにまたアルカリ金属過炭酸塩である。これに関連する好ましい漂白剤は、一-又は四水和物の形態の過ホウ酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム又は過炭酸ナトリウムの水和物である。同様に酸素漂白剤として使用可能なものは、パーサルフェート及び過酸化水素である。典型的な酸素漂白剤はまた、有機過酸、例えば、過安息香酸、ペルオキシ-アルファ-ナフトン酸、ペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、フタルイミドペルオキシカプロン酸、1,12-ジペルオキシドデカンジオン酸、1,9-ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキソイソフタル酸(diperoxoisophthalic acid)又は2-デシルジペルオキシブタン-1,4-ジオン酸である。さらに、以下の酸素漂白剤も、食器洗浄組成物に使用されてもよい:カチオン性過酸(これは、US 5,422,028、US 5,294,362及びUS 5,292,447に記載されている)、及びスルホニルペルオキシ酸(これは、US 5,039,447に記載されている)。酸素漂白剤は、一般に、食器洗浄組成物全体に基づいて、0.1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは3〜15重量%の量で使用されてもよい。
【0045】
塩素漂白剤、及び塩素漂白剤と過酸化物漂白剤との組み合わせも、本発明の食器洗浄組成物において使用されてもよい。公知の塩素漂白剤は、例えば、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、N-クロロスルファミド、クロラミンT、ジクロラミンT、クロラミンB、N,N'-ジクロロベンゾイル尿素、p-トルエンスルホンジクロロアミド又はトリクロロエチルアミンである。この場合の好ましい塩素漂白剤は、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸マグネシウム、二塩化イソシアヌル酸カリウム又は二塩化イソシアヌル酸ナトリウムである。これに関連して、塩素漂白剤は、食器洗浄組成物全体に基づいて、0.1〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜10重量%、より好ましくは0.3〜8重量%の量で使用されてもよい。
【0046】
さらに、少量の漂白安定剤、例えば、ホスホネート、ボレート、メタボレート、メタシリケート又はマグネシウム塩が添加されてもよい。
【0047】
本発明における漂白活性化剤は、過加水分解(perhydrolysis)条件下で、好ましくは1〜10個の炭素原子、特には2〜4個の炭素原子を有する脂肪族ペルオキソカルボン酸、及び/又は置換過安息香酸を生じる化合物であり得る。この場合、適当な化合物は、とりわけ、1個以上のN-若しくはO-アシル基及び/又は任意選択で置換されたベンゾイル基、例えば、無水物、エステル、イミド、アシル化イミダゾール若しくはオキシムのクラスからの物質を含む。例は、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、テトラアセチルメチレンジアミン(TAMD)、テトラアセチルグリコルリル(TAGU)、テトラアセチルヘキシレンジアミン(TAHD)、N-アシルイミド、例えば、N-ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、アシル化フェノールスルホネート、例えば、n-ノナノイル-又はイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n-又はイソ-NOBS)、ペンタアセチルグルコース(PAG)、1,5-ジアセチル-2,2-ジオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(DADHT)又はイサト酸無水物(ISA)である。また、ニトリルクワット、例えば、N-メチルモルホリニウムアセトニトリル塩(MMA塩)又はトリメチルアンモニウムアセトニトリル塩(TMAQ塩)も、漂白活性化剤として適当である。好ましい適当な漂白活性化剤は、ポリアシル化アルキレンジアミン、より好ましくはTAED、N-アシルイミド、より好ましくはNOSI、アシル化フェノールスルホネート、より好ましくはn-又はイソ-NOBS、MMA、及びTMAQからなる群からである。漂白活性化剤は、本発明において、洗浄組成物全体に基づいて、0.1〜30重量%、好ましくは0.1〜10重量%、好ましくは1〜9重量%、より好ましくは1.5〜8重量%の量で使用されてもよい。
【0048】
従来の漂白活性化剤に加えて又はそれらの代わりに、いわゆる漂白触媒も、すすぎ助剤粒子に組み込まれてもよい。これらの物質は、漂白増強遷移金属塩又は遷移金属錯体、例えば、マンガン、鉄、コバルト、ルテニウム又はモリブデンのサレン錯体又はカルボニル錯体である。マンガン、鉄、コバルト、ルテニウム、モリブデン、チタン、バナジウム及び銅と、窒素含有三脚型配位子との錯体、並びにまたコバルト、鉄、銅及びルテニウムのアミン錯体も、漂白触媒として使用可能である。
【0049】
本発明による食器洗浄組成物は、成分(f)として0〜8重量%の酵素を含んでもよい。食器洗浄組成物が酵素を含む場合、食器洗浄組成物は、酵素を好ましくは0.1〜8重量%の量で含む。酵素は、清浄性能を増加させるか、又はより穏やかな条件下で(例えば、低温で)清浄性能の同じ品質を確保するために食器洗浄組成物に添加されてもよい。酵素は、遊離形態で、又は支持体上に化学的若しくは物理的に固定化された形態で、或いはカプセル化形態において使用され得る。これに関連して最も頻繁に使用される酵素には、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ及びプロテアーゼが含まれる。さらに、例えば、エステラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ及びペルオキシダーゼを使用することも可能である。アミラーゼ及びプロテアーゼの使用が、本発明によって優先される。
【0050】
本発明による食器洗浄組成物において、使用される添加剤(g)は、例えば、アニオン性若しくは双性界面活性剤、アルカリ担体、ポリマー分散剤、腐食抑制剤、消泡剤、染料、芳香剤、充填剤、錠剤崩壊剤、有機溶媒、錠剤化助剤、崩壊剤、増粘剤、可溶化剤又は水であり得る。使用されるアルカリ担体は、例えば、ビルダー物質として既に言及されたアンモニウム又はアルカリ金属の炭酸塩に加えて、アンモニウム又はアルカリ金属の炭酸水素塩、及びアンモニウム又はアルカリ金属のセスキ炭酸塩、及びアンモニウム又はアルカリ金属の水酸化物、アンモニウム又はアルカリ金属のケイ酸塩及びアンモニウム又はアルカリ金属のメタケイ酸塩、並びにまた、前述の物質の混合物であってもよい。
【0051】
使用される腐食抑制剤は、とりわけ、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、ビスベンゾトリアゾール、アミノトリアゾール、アルキルアミノトリアゾール、及び遷移金属塩又は錯体の群からの銀防食剤であってもよい。
【0052】
ガラス上で曇り、虹色、筋(streak)及び線として目立つ、ガラス腐食を防止するために、ガラス腐食抑制剤の使用が優先される。好ましいガラス腐食抑制剤は、例えば、マグネシウム、亜鉛及びビスマスの塩及び錯体である。
【0053】
パラフィン油及びシリコーン油が、消泡剤として、並びにプラスチック及び金属表面を保護するために、本発明によって任意選択で使用されてもよい。消泡剤は、好ましくは0.001重量%〜5重量%の割合で使用される。さらに、染料、例えば、パテントブルー、防腐剤、例えば、Kathon CG、香料及び他の芳香剤が、本発明の清浄配合物に添加されてもよい。
【0054】
本発明の食器洗浄組成物において、適当な充填剤の例は、硫酸ナトリウムである。
【0055】
本発明に関連して言及されるべきさらなる可能な添加剤は、両性及びカチオン性ポリマーである。
【0056】
一実施形態において、本発明の食器洗浄組成物は、ホスフェートを含まない。これに関連する用語「ホスフェートを含まない」は、ホスフェートを本質的に含まない、すなわち、技術的に非有効な量でホスフェートを含む食器洗浄組成物も包含する。特に、これは、組成物全体に基づいて、1.0重量%未満、好ましくは0.5重量%未満のホスフェートを有する組成物を包含する。
【0057】
本発明はさらに、食器洗浄剤、特に機械的食器洗浄用の食器洗浄剤(ADW)中の添加剤としての、本発明によって調製されるか若しくは調製可能なポリアスパラギン酸、又はこれを含む組成物の使用を含む。
【0058】
本発明はさらに、洗剤組成物及び清浄組成物中の洗浄力増強剤、灰色化抑制剤及び外皮抑制剤(encrustation inhibitor)としての(例えば、洗濯後処理剤、洗浄助剤、テキスタイルのための洗剤及び清浄剤用の添加剤としての)、本発明によって調製可能なポリアスパラギン酸の使用に関する。
【0059】
本発明はさらに、本発明によって調製可能なポリアスパラギン酸を含む清浄組成物及び洗剤組成物に関する。本発明によるポリアスパラギン酸を使用することができる、洗剤及び清浄組成物は、粉末、顆粒、錠剤、ペースト、ゲル又は液体の形態であってもよい。それらの例は、重質洗剤、マイルドアクション洗剤(mild-action detergent)、カラー洗剤(color detergent)、ウール洗剤、カーテン用洗剤、モジュール洗剤、洗濯錠剤、棒状石鹸、汚れ除去塩、洗濯のり及び硬化剤(stiffener)、並びにアイロンがけ助剤である。それらは、少なくとも0.1重量%、好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.2〜5重量%の本発明によって調製可能なポリアスパラギン酸を含む。組成物は、洗浄されるテキスタイル又は清浄される表面の種類に対してそれらの組成物に関するそれらの意図された使用に従って適応されるべきである。それらは、従来技術に対応するとおりの、慣用の洗剤及び清浄成分を含む。このような洗剤及び清浄成分並びに組成物の代表例は、以下に記載される。
【0060】
本発明はさらに、
(AL)本明細書に記載され及び本発明によって使用される、0.1〜20重量%の少なくとも1種のポリアスパラギン酸、
(BL)1〜80重量%の界面活性剤、
(CL)0.1〜50重量%のビルダー、コビルダー及び/又は錯化剤、
(DL)0〜20重量%の漂白系、
(EL)0.1〜60重量%の洗剤又は清浄組成物成分、すなわち、他の通例の成分、例えば、アルカリ担体、消泡剤、酵素(例えば、リパーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ)、染料、芳香剤、香料担体、灰色化抑制剤、染料移行抑制剤、色保護添加剤、繊維保護添加剤、光学的増白剤(optical brightener)、防汚ポリエステル、腐食抑制剤、殺細菌剤及び防腐剤、有機溶媒、可溶化剤、pH調整剤、ヒドロトロープ、増粘剤、レオロジー調整剤及び/又はアルカノールアミン、並びに
(FL)0〜98.7重量%の水
を含む、液体又はゲル形態の洗剤及び清浄組成物に関する。(AL)〜(FL)の総合計は、100重量%である。
【0061】
個別の成分の量比は、液体及びゲル形態の洗剤及び清浄組成物の使用の特定分野に依存して当業者により調整される。
【0062】
本発明はさらに、
(AF)本明細書に記載され及び本発明によって使用される0.1〜20重量%の少なくとも1種のポリアスパラギン酸、
(BF)1〜50重量%の界面活性剤、
(CF)0.1〜70重量%のビルダー、コビルダー及び/又は錯化剤、
(DF)0〜30重量%の漂白系、並びに
(EF)0.1〜70重量%の洗剤又は清浄組成物成分、すなわち、他の通例の成分、例えば、調整剤(例えば、硫酸ナトリウム)、消泡剤、酵素(例えば、リパーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ)、染料、芳香剤、香料担体、灰色化抑制剤、染料移行抑制剤、色保護添加剤、繊維保護添加剤、光学的増白剤、防汚ポリエステル、腐食抑制剤、殺細菌剤及び防腐剤、溶解促進剤、崩壊剤、加工助剤及び/又は水
を含む、固形洗剤及び清浄組成物に関する。(AF)〜(EF)からの成分の総合計は、100重量%である。
【0063】
固形洗剤及び清浄組成物は、例えば、粉末、顆粒、押出物又は錠剤の形態で存在することができる。
【0064】
個別の成分の量比は、固形洗剤及び清浄組成物の使用の特定分野に依存して当業者により調整される。
【0065】
本発明において、使用される界面活性剤(BL又はBF)は、例えば、非イオン性界面活性剤(NIS)であってもよい。使用される非イオン性界面活性剤は、好ましくはアルコキシ化された、有利にはエトキシル化された、特に、好ましくは8〜18個の炭素原子、及び平均で、アルコール1モル当たり1〜12モルのエチレンオキシド(EO)を有する第一級アルコールであり、ここで、アルコール基は、直鎖若しくは好ましくは2-メチル分岐であり得、及び/又はオキソアルコール残基中に通例存在しているとおりに、混合物において直鎖及びメチル分岐残基を含み得る。しかしながら、特に、例えば、ココナツアルコール、パームアルコール、タロー脂肪アルコール又はオレイルアルコールからの、12〜18個の炭素原子、及び平均で、アルコール1モル当たり2EO〜8EOを有する天然又は石油化学起源のアルコールからの直鎖又は分岐残基を有するアルコールエトキシレートが優先される。好ましいエトキシル化アルコールには、例えば、3EO、5EO、7EO又は9EOを有するC12〜C14アルコール、7EOを有するC9〜C11アルコール、3EO、5EO、7EO又は9EOを有するC13〜C15アルコール、3EO、5EO、7EO又は9EOを有するC12〜C18アルコール、及びこれらの混合物、例えば、3EOを有するC12〜C14アルコールと7EOを有するC12〜C18アルコールとの混合物、3EO〜9EOを有する2プロピルヘプタノールが含まれる。短鎖アルコールエトキシレート(例えば、2-プロピルヘプタノール×7EO)と長鎖アルコールエトキシレート(例えば、C16、18×7EO)との混合物。述べられたエトキシル化レベルは、統計的平均(数平均、Mn)であり、これは、具体的な生成物について整数又は小数(分数)であってもよい。好ましいアルコールエトキシレートは、狭いホモログ分布を有する(狭範囲エトキシレート、NRE)。これらの非イオン性界面活性剤に加えて、12超のEOを有する脂肪アルコールを使用することも可能である。これらの例は、14EO、25EO、30EO又は40EOを有するタロー脂肪アルコールである。分子中にエチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)の基を一緒に含む非イオン性界面活性剤も使用可能である。ここでは、EO-POブロック単位又はPO-EOブ
ロック単位を有するブロックコポリマーだけでなく、EO-PO-EOコポリマー又はPO-EO-POコポリマーも使用することが可能である。当然に、EO及びPO単位が、ブロックでないが、ランダム分布である、混合アルコキシル化非イオン性界面活性剤を使用することも可能である。このような生成物は、脂肪アルコール上でのエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの同時作用によって得ることができる。
【0066】
さらに、本発明によって、さらなる非イオン性界面活性剤として、一般式(V)
R10O(G)i (V)
(式中、R10は、8〜22個、好ましくは12〜18個の炭素原子を有する、第一級直鎖又はメチル分岐、特に2-メチル分岐の脂肪族基であり、Gは、5又は6個の炭素原子を有するグリコシド単位、好ましくはグルコースである)
のアルキルグリコシドを使用することも可能である。モノグリコシド及びオリゴグリコシドの分布を示す、オリゴマー化度iは、1〜10の任意の所望の数であり、好ましくはiは、1.2〜1.4である。
【0067】
本発明において、唯一の非イオン性界面活性剤として又は他の非イオン性界面活性剤と組み合わせてのいずれかで使用される、優先して使用される非イオン性界面活性剤のさらなるクラスは、アルコキシル化、好ましくはエトキシル化、又はエトキシル化及びプロポキシル化された、好ましくはアルキル鎖中に1〜4個の炭素原子を有する脂肪酸アルキルエステルのもの、特に、例えば、特開昭58/217598号に記載されたとおりの、又は好ましくはWO90/13533に記載された方法によって調製される、脂肪酸メチルエスエルのものである。これに関連して、アミンオキシドタイプの非イオン性界面活性剤、例えば、N-ココアルキル-N,N-ジメチルアミンオキシド及びN-タロー-アルキル-N,N-ジヒドロキシエチルアミンオキシド、並びに脂肪酸アルカノールアミドも適切であり得る。これらの非イオン性界面活性剤の量(重量)は、好ましくはエトキシル化脂肪アルコールのもの以下、特にはその半分以下である。
【0068】
さらなる適当な界面活性剤(BL又はBF)は、本発明によって、式(VI)
【0069】
【化1】
(式中、R11C(=O)は、6〜22個の炭素原子を有する脂肪族アシル基であり、R12は、水素、1〜4個の炭素原子を有するアルキル又はヒドロキシアルキル基であり、R13は、3〜10個の炭素原子及び3〜10個のヒドロキシ基を有する直鎖又は分岐ポリヒドロキシアルキル基である)
のポリヒドロキシ脂肪酸アミドである。ポリヒドロキシ脂肪酸アミドは、典型的にはアンモニア、アルキルアミン又はアルカノールアミンによる還元糖の還元アミノ化、及びその後の、脂肪酸、脂肪酸アルキルエステル又は脂肪酸クロリドによるアシル化によって得ることができる公知の物質である。これに関連して、ポリヒドロキシ脂肪酸アミドの群にはまた、式(VII)
【0070】
【化2】
(式中、R14は、7〜12個の炭素原子を有する直鎖又は分岐のアルキル又はアルケニル基であり、R15は、2〜8個の炭素原子を有する直鎖、分岐若しくは環状アルキレン基又は6〜8個の炭素原子を有するアリーレン基であり、R16は、1〜8個の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状のアルキル基又はアリール基又はオキシアルキル基であり、ここで、C1〜C4アルキル又はフェニル残基が好ましく、R17は、そのアルキル鎖が少なくとも2個のヒドロキシル基で置換されている直鎖ポリヒドロキシアルキル基であるか、又はこの基のアルコキシル化、好ましくはエトキシル化若しくはプロポキシル化された誘導体である)
の化合物が含まれる。R17は、好ましくは糖、例えば、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース、ガラクトース、マンノース又はキシロースの還元アミノ化によって得られる。次いで、N-アルコキシ-又はN-アリールオキシ-置換化合物は、例えば、WO95/07331に従い、触媒としてのアルコシドの存在下での脂肪酸メチルエステルとの反応によって、所望のポリヒドロキシ脂肪酸アミドに変換され得る。
【0071】
界面活性剤(BL又はBF)は、本発明によって、またアニオン性界面活性剤であってもよい。本発明において、使用されるアニオン性界面活性剤は、例えば、スルホネート型及びサルフェート型のものであってもよい。本明細書において、スルホネート型の適当な界面活性剤は、C9〜C13アルキルベンゼンスルホネート,オレフィンスルホネート、すなわち、アルケン-及びヒドロキシアルカンスルホネートの混合物、及びまた、例えば、末端又は内部に二重結合を有するC12〜C18モノオレフィンから、ガス状三酸化硫黄によるスルホン化、その後のスルホン化生成物のアルカリ又は酸加水分解によって得られるとおりの、ジスルホネートである。また、C12〜C18アルカンから、例えば、スルホ塩素化又はスルホキシド化、その後の加水分解及び/又は中和によって得られるアルカンスルホネートも適当である。同様に、α-スルホ脂肪酸のエステル(スルホン酸エステル)、例えば、水素化ココナツ、パーム核又はタロー脂肪酸のα-スルホン化メチルエステルも適当である。さらに適当なアニオン性界面活性剤は、本発明によって、硫酸化脂肪酸グリセロールエステルであってもよい。脂肪酸グリセロールエステルは、とりわけ、モノグリセロールの1〜3モルの脂肪酸によるエステル化による、又はトリグリセリドの0.3〜2モルのグリセロールによるエステル交換における調製で得られるとおりに、モノ-、ジ-及びトリエスエル、並びにそれらの混合物を意味することが理解される。ここで好ましい硫酸化脂肪酸グリセロールエステルは、6〜22個の炭素原子を有する飽和脂肪酸、例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はベヘン酸の硫酸化生成物である。
【0072】
ここでアルキル(又はアルケニル)サルフェートは、好ましくはC12〜C18脂肪アルコール、例えば、ココナツ脂肪アルコール、タロー脂肪アルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール若しくはステアリルアルコール、又はC10〜C20オキソアルコールの硫酸半エステル、及びこれらの鎖長の第二級アルコールの半エステルの、アルカリ金属、特にナトリウム塩である。さらに、オレオケミカル原材料をベースとした適切な化合物に類似の分解挙動を有する、石油化学ベースで調製された合成の直鎖アルキル基を含む、特定鎖長のアルキル(又はアルケニル)サルフェートが優先される。洗浄の観点から、C12〜C16アルキルサルフェート及びC12〜C15アルキルサルフェート、及びまたC14〜C15アルキルサルフェートが優先される。例えば、米国特許明細書米国特許第3,234,258号又は同第5,075,041号に従って調製され、及び名称DAN(登録商標)の下でShell Oil Companyの市販生成物として得ることができる2,3-アルキルサルフェートも、適当なアニオン性界面活性剤である。1〜6モルのエチレンオキシド(EO)でエトキシル化された直鎖又は分岐C7〜C21アルコール、例えば、とりわけ、平均3.5モルのエチレンオキシド(EO)を有する2-メチル分岐C9〜C11アルコール又は1〜4のEOを有するC12〜C18脂肪アルコールの硫酸モノエステルも適当である。それらの高い起泡特性のために、それらは、典型的には比較的少量、例えば、1〜5重量%の量のみで清浄組成物に使用される。本発明におけるさらなる適当なアニオン性界面活性剤はまた、アルキルスルホコハク酸の塩であり、これは、スルホスクシネート又はスルホコハク酸エステルとも称され、これらは、スルホコハク酸とアルコール、好ましくは脂肪アルコール、特にはエトキシル化脂肪アルコールとのモノエステル及び/又はジエステルである。好ましいスルホスクシネートは、C8〜C18脂肪アルコール基又はこれらの混合物を含む。特に好ましいスルホスクシネートは、エトキシル化脂肪アルコールに由来する脂肪アルコール基を含む。この関連で、その脂肪アルコール残基が狭いホモログ分布を有するエトキシル化脂肪アルコールに由来するスルホスクシネートが特に優先される。好ましくはアルキル(又はアルケニル)鎖に8〜18個の炭素原子を有するアルキル(又はアルケニル)コハク酸又はその塩を使用することも同様に可能である。
【0073】
特に好ましいアニオン性界面活性剤は、石鹸である。飽和及び不飽和脂肪酸石鹸、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、(水素添加)エルカ酸及びベヘン酸の塩、特に天然脂肪酸、例えば、ココナツ脂肪酸、パーム核脂肪酸、オリーブ油脂肪酸又はタロー脂肪酸に由来する石鹸混合物が適当である。
【0074】
石鹸を含むアニオン性界面活性剤は、それらのナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩の形態で、及びまた有機塩基、例えば、モノ-、ジ-又はトリエタノールアミンの可溶性塩として本発明によって存在することができる。アニオン性界面活性剤は、好ましくはそれらのナトリウム又はカリウム塩の形態、特にはナトリウム塩の形態である。
【0075】
本発明において、使用される界面活性剤(BL又はBF)はまた、カチオン性界面活性剤であってもよい。本明細書において言及され得る特に適当なカチオン性界面活性剤は、例えば、
- C7〜C25アルキルアミン、
- N,N-ジメチル-N-(ヒドロキシ-C7〜C25アルキル)アンモニウム塩、
- アルキル化剤で四級化されたモノ-及びジ(C7〜C25アルキル)ジメチルアンモニウム化合物、
- エステルクワット、特にC8〜C22カルボン酸でエステル化された第四級エステル化モノ-、ジ-及びトリアルカノールアミン、
- イミダゾリンクワット、特に式VIII又は式IX
【0076】
【化3】
【化4】
(ここで、可変要素は以下のとおりに定義される:
R18 C1〜C25-アルキル又はC2〜C25-アルケニル、
R19 C1〜C4-アルキル又はヒドロキシ-C1〜C4-アルキル、
R20 C1〜C4-アルキル、ヒドロキシ-C1〜C4-アルキル又はR1-(CO)-R21-(CH2)j-(R21:-O-又は-NH-;j:2又は3)基、
ここで、少なくとも1個のR18基は、C7〜C22アルキルである)
の1-アルキルイミダゾリニウム塩
である。
【0077】
本発明において、界面活性剤(BL又はBF)はまた、両性界面活性剤であってもよい。ここで適当な両性界面活性剤は、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノプロピオネート、アミノグリシネート及び両性イミダゾリウム化合物である。
【0078】
液体及びゲル形態での本発明の洗剤及び清浄組成物中の界面活性剤の含有量は、それぞれの場合に組成物全体に基づいて、好ましくは2〜75重量%、特には5〜65重量%である。
【0079】
本発明の固形洗剤及び清浄組成物中の界面活性剤の含有量は、それぞれの場合に組成物全体に基づいて、好ましくは2〜40重量%、特には5〜35重量%である。
【0080】
本発明において、ビルダー、コビルダー及び/又は錯化剤(CL又はCF)として適当なものは、とりわけ、無機ビルダー、例えば、
- イオン交換特性を有する結晶性及び非晶性アルミノシリケート、例えば、特にゼオライト:様々なタイプのゼオライト、特に、ゼオライトA、X、B、P、MAP及びHS(それらのNa形態、又はNaが他のカチオン、例えば、Li、K、Ca、Mg又はアンモニウムと部分的に交換されている形態)、
- 結晶性シリケート、例えば、特にジシリケート(disilicate)及び層状シリケート(sheet silicate)、例えば、δ-及びβ-Na2Si2O5。シリケートは、それらのアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム塩の形態で使用することができ、Na、Li及びMgのケイ酸塩が優先される、
- 非晶性シリケート、例えば、メタケイ酸ナトリウム及び非晶性ジシリケート、
- カーボネート及びハイドロゲンカーボネート:これらは、それらのアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムの塩の形態で使用され得る。Na、Li及びMgの炭酸塩及び炭酸水素塩、特に炭酸ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウム、並びに
- ポリホスフェート、例えば、三リン酸五ナトリウム
である。
【0081】
本発明において、適当なコビルダー及び錯化剤(CL又はCF)には、
- 低分子量カルボン酸、例えば、クエン酸、疎水性変性クエン酸、例えば、アガリン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、グルタル酸、コハク酸、イミドジコハク酸、オキシジコハク酸、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、アルキル-及びアルケニルコハク酸及びアミノポリカルボン酸、例えば、ニトリロトリ酢酸、β-アラニンジ酢酸、エチレンジアミン四酢酸、セリンジ酢酸、イソセリンジ酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル)イミノ酢酸、エチレンジアミンジコハク酸、グルタミン酸ジ酢酸並びにメチル-及びエチルグリシンジ酢酸又はそれらのアルカリ金属塩;特に好ましい錯化剤は、メチルグリシンジ酢酸及びその塩、とりわけ、そのモノ-、ジ-及びトリナトリウム、-カリウム、-リチウム及び-アンモニウム塩である。メチルグリシンジ酢酸の塩は、D-及びL-エナンチオマーが等モル混合物で存在することを意味するラセミ形態であってもよく、又は一方のエナンチオマー、例えば、L-エナンチオマーが、過剰に存在してもよい。
- オリゴマー及びポリマーカルボン酸、例えば、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とスルホン酸基含有コモノマー、例えば、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、アリルスルホン酸及びビニルスルホン酸とのコポリマー、オリゴマレイン酸、マレイン酸とアクリル酸、メタクリル酸又はC2〜C22オレフィン、例えば、イソブテン又は長鎖α-オレフィン、ビニル-C1〜C8アルキルエーテル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、C1〜C8アルコールの(メタ)アクリル酸エステル及びスチレンとのコポリマー。アクリル酸のホモポリマー、及びアクリル酸とマレイン酸又はAMPSとのコポリマーが優先される。オリゴマー及びポリマーカルボン酸は、酸形態で又はそのナトリウム塩として使用される;
- ホスホン酸、例えば、1-ヒドロキシエチレン(1,1-ジホスホン酸)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)及びジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)並びにそれらのアルカリ金属塩
が含まれる。
【0082】
本発明による適当な漂白剤(DL又はDF)には、過ホウ酸ナトリウム四水和物、過ホウ酸ナトリウム一水和物、過炭酸ナトリウム、ペルオキシピロホスフェート、クエン酸過酸化水素化物(citrate perhydrate)、及びまた、過酸塩又は過酸、例えば、過安息香酸塩、ペルオキソフタル酸塩、ジペルアゼライン酸、フタロイミノ過酸又はジペルドデカンジオン酸が含まれる。60℃の温度で洗浄し、それにより、改善された漂白効果を得るために、漂白活性化剤が、本発明によって、洗剤又は清浄組成物中に組み込まれてもよい。使用される漂白活性化剤は、例えば、過加水分解条件下で、好ましくは1〜10個の炭素原子、特には2〜4個の炭素原子を有する脂肪族ペルオキソカルボン酸、及び/又は任意選択で置換された過安息香酸を生じさせる化合物であり得る。適当なものは、とりわけ、特定された炭素原子数のO-アシル及び/若しくはN-アシル基、並びに/又は任意選択で置換されたベンゾイル基を有する物質である。本発明によれば、ポリアシル化アルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、アシル化トリアジン誘導体、特に1,5-ジアセチル-2,4-ジオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(DADHT)、アシル化グリコルリル、特にテトラアセチルグリコルリル(TAGU)1N-アシルイミド、特にN-ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、アシル化フェノールスルホネート、特にn-ノナノイル-又はイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n-又はイソ-NOBS)、無水カルボン酸、特に無水フタル酸、アシル化多価アルコール、特にトリアセチン、エチレングリコールジアセテート、及び2,5-ジアセトキシ-2,5-ジヒドロフランであり得る。慣用の漂白活性化剤に加えて又はそれらの代わりで、漂白触媒と呼ばれるものがまた、本発明によって、成分(DL)として液体洗剤又は清浄組成物中に組み込まれてもよい。これらの物質は、漂白増強遷移金属塩又は遷移金属錯体、例えば、Mn、Fe、Co、Ru又はMoのサレン錯体又はカルボニル錯体などである。Mn、Fe、Co、Ru、Mo、Ti、V及びCuと窒素含有三脚型配位子との錯体並びにまた、Co、Fe、Cu及びRuのアミン錯体も、漂白触媒として使用可能である。
【0083】
清浄又は洗剤組成物のための通例の成分(EL又はEF)は、当業者に公知であり、例えば、液体若しくはゲルタイプ清浄若しくは洗剤組成物のために(EL)、アルカリ担体、消泡剤、酵素(例えば、リパーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ)、染料、芳香剤、香料担体、灰色化抑制剤、染料移行抑制剤、色保護添加剤、繊維保護添加剤、光学的増白剤、防汚ポリエステル、腐食抑制剤、殺細菌剤及び防腐剤、有機溶媒、可溶化剤、pH調整剤、ヒドロトロープ、増粘剤、レオロジー調整剤並びに/若しくはアルカノールアミン、又は固形清浄若しくは洗剤組成物のために(EF)、調整剤(例えば、硫酸ナトリウム)、消泡剤、酵素(例えば、リパーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ)、染料、芳香剤、香料担体、灰色化抑制剤、染料移行抑制剤、色保護添加剤、繊維保護添加剤、光学的増白剤、防汚ポリエステル、腐食抑制剤、殺細菌剤及び防腐剤、溶解促進剤、崩壊剤、加工助剤並びに/若しくは水を含む。
【0084】
本発明による適当な酵素(EL又はEF)は、特に、ヒドロラーゼ、例えば、プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ又は脂肪分解酵素、アミラーゼ、セルラーゼ及び他のグリコシルヒドロラーゼ並びに前記酵素の混合物のクラスからのものである。これらのヒドロラーゼのすべては、洗浄の間に、汚れ、例えば、タンパク質-、脂肪-又はデンプン含有汚れ及び灰色化の除去に寄与する。セルラーゼ及び他のグリコシルヒドロラーゼはさらに、色保持、並びにピリング及びミクロフィブリルを除去することによるテキスタイルの柔らかさの増加に寄与する。オキシレダクターゼも、漂白のために、又は色移行の抑制のために使用され得る。特によく適するものは、細菌株又は菌類、例えば、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyceus griseus)及びフミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)から得られる活性な酵素化合物である。スブチリシンタイプのプロテアーゼ、特にバチルス・レンタス(Bacillus lentus)から得られるプロテアーゼを使用することが優先される。ここで、酵素混合物、例えば、プロテアーゼ及びアミラーゼ、又はプロテアーゼ及びリパーゼ若しくは脂肪分解酵素、又はプロテアーゼ及びセルラーゼの酵素混合物、又はセルラーゼ及びリパーゼ若しくは脂肪分解酵素の酵素混合物、又はプロテアーゼ、アミラーゼ及びリパーゼ若しくは脂肪分解酵素、又はプロテアーゼ、リパーゼ若しくは脂肪分解酵素及びセルラーゼの酵素混合物、しかし、特にプロテアーゼ及び/又はリパーゼを含有する混合物、若しくは脂肪分解酵素との混合物が、特に興味深い。このような脂肪分解酵素の例は、公知のクチナーゼである。ペルオキシダーゼ又はオキシダーゼも、この場合に使用されてもよい。適当なアミラーゼには、特にα-アミラーゼ、イソアミラーゼ、プルラナーゼ及びペクチナーゼが含まれる。使用されるセルラーゼは、好ましくはセロビオヒドロラーゼ、エンドグルカナーゼ、及びセロビアーゼとも呼ばれるβ-グルコシダーゼ、又はこれらの混合物である。異なるセルラーゼタイプは、それらのCMCアーゼ及びアビセラーゼ活性によって相違するので、セルラーゼの選択混合物によって所望の活性を確立することが可能である。
【0085】
酵素は、本発明によって、それらを早期破壊から保護するために担体物質に吸着されてもよい。酵素、酵素混合物又は酵素顆粒の割合は、本発明によって、例えば、それぞれの場合に全配合物に基づいて、約0.1〜5重量%、好ましくは0.12〜約2.5重量%であってもよい。
【0086】
適当な灰色化抑制剤(EL又はEF)は、例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールに対する酢酸ビニルのグラフトポリマー、及びポリエチレンイミンのアルコキシレートである。増粘剤(EL)としては、いわゆる会合性増粘剤が使用されてもよい。増粘剤の適当な例は、当業者に公知であり、とりわけ、WO 2009/019225A2、EP 013836又はWO 2006/016035に記載されている。
【0087】
本発明において、光学的増白剤(「白色化剤」と呼ばれる)(EL又はEF)は、処理されるテキスタイル布地の灰色化及び黄色化をなくすために、液体洗剤又は清浄組成物に添加することができる。これらの物質は、繊維に付着し、不可視の紫外線を可視のより長い波長の光に変換し、日光から吸収された紫外光を淡青色の蛍光として放出して、灰色化及び/又は黄色化した洗濯物の黄色の陰(shade)と共に純白色を与えることによって、光沢及び疑似漂白をもたらす。適当な化合物は、例えば、4,4'-ジアミノ-2,2'-スチルベンジスルホン酸(フラボン酸)、4,4'-ジスチリルビフェニレン、メチルウンベリフェロン、クマリン、ジヒドロキノリノン、1,3-ジアリールピラゾリン、ナフタルイミド、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール及びベンゾイミダゾール系、並びにヘテロ環で置換されたピレン誘導体の物質のクラスに由来する。光学的増白剤は、典型的には最終組成物に基づいて、0.03〜0.3重量%の量で使用される。
【0088】
適当な染料移行抑制剤(EL又はEF)は、本発明によって、例えば、1-ビニルピロリドン、1-ビニルイミダゾール又は4-ビニルピリジンN-オキシドのホモポリマー、コポリマー及びグラフトポリマーである。クロロ酢酸と反応させた4-ビニルピリジンのホモポリマー及びコポリマーも、染料移行抑制剤として適当である。
【0089】
洗剤成分は、別に一般に公知である。詳細な説明は、例えば、WO 99/06524及びWO 99/04313;Liquid Detergents、編集者: Kuo-Yann Lai、Surfactant Sci. Ser.、第67巻、Marcel Decker、New York、1997年、272〜304頁に見出すことができる。洗剤及び清浄剤成分のさらなる詳細な説明は、例えば、Handbook of Detergents、Part D: Formulation、Surfactant Sci Ser、第128巻、編集者: Michael S. Showell、CRC Press 2006年; Liquid Detergents 第2版、Surfactant Sci Ser、第129巻、編集者: Kuo-Yann Lai、CRC Press 2006年;又はWaschmittel:Chemie、Umwelt、Nachhaltigkeit、(Detergents: chemistry、environment、sustainability)、Guenter Wagner、Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA、2010年8月に見出される。
【0090】
本発明において見出されたように、ここに記載される本発明による方法によって生成されるか又は調製可能なポリアスパラギン酸は、炭酸カルシウムスケール抑制剤として非常によく適する。したがって、本発明はさらに、スケール抑制剤としての、好ましくは炭酸カルシウムスケール抑制剤としての、本発明によって生成されるか若しくは調製可能なポリアスパラギン酸又はこれらを含む組成物の使用を含む。
【0091】
本発明はさらに、導水システムにおけるスケール抑制剤又は分散剤としての、本発明のポリアスパラギン酸又はそれらの混合物の使用に関する。本発明の方法によって調製可能なポリアスパラギン酸が使用され得る導水システムは、原則として、水、例えば、海水、汽水、河水、都市又は産業廃水若しくは産業プロセス水、例えば、冷却水と永続的又は定期的に接触し、スケール形成が起こり得るすべてのシステムである。
【0092】
本発明のポリマーが使用され得る導水システムは、特に、海水脱塩プラント、汽水脱塩プラント、冷却水システム及びボイラー給水システム、ボイラー、ヒーター、連続式フローヒーター、高温水槽、冷却塔、冷却水回路及び他の産業プロセス水である。脱塩プラントは、本質的に熱によっていても、又は膜プロセス、例えば、逆浸透若しくは電気透析に基づいていてもよい。
【0093】
一般に、本発明のポリマーは、導水システムに0.1mg/l〜100mg/lの量で添加される。最適投与量は、それぞれの用途の要件によって、又は関連プロセスの稼働条件によって決定される。例えば、熱による海水脱塩において、ポリマーは、好ましくは0.5mg/l〜10mg/lの濃度で使用される。100mg/lまでのポリマー濃度が、産業冷却回路又はボイラー給水システムで使用される。スケール形成塩の割合、したがって最適投与量を決定するために、水分析がしばしば行われる。
【0094】
本発明のポリマーに加えて、且つ要件に応じて、とりわけ、ホスホネート、ポリホスフェート、亜鉛塩、モリブデン酸塩、有機腐食抑制剤、例えば、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ベンゾイミダゾール若しくはエチニルカルビノールアルコキシレート、殺生物剤、錯化剤及び/又は界面活性剤を含み得る配合物も、導水システムに添加されてもよい。ホスホネートの例は、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸(PBTC)、アミノトリメチレンホスホン酸(ATMP)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)及びエチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMP)であり、これらは、それぞれの場合に酸形態又はそのナトリウム塩の形態で使用される。
【0095】
いくつかの実施形態を以下に示す。
項1
ポリアスパラギン酸を生成させるための方法であって、以下のステップ:
(a)(i)アスパラギン酸、
(ii)1〜25モル%の酸触媒、及び
(iii)任意選択で、水
の混合物を反応器中で接触させるステップ、
(b)(a)による混合物を、水の蒸留除去なしに還流冷却下で、100〜220℃の反応温度で、少なくとも1%の、アスパラギン酸の変換率まで加熱するステップ、
(c)(b)による反応混合物を、水の同時蒸留除去と共に、170〜250℃で重縮合させるステップ、
(d)(c)による重縮合物を塩基の添加によって加水分解するステップ、並びに
(e)任意選択で(d)で得られたポリアスパラギン酸の塩を酸性化するステップ
を含む方法。
項2
3〜15モル%の酸触媒が添加される、項1に記載の方法。
項3
酸触媒が、メタンスルホン酸である、項1又は2に記載の方法。
項4
重縮合が、200〜250℃で行われる、項1から3のいずれか一項に記載の方法。
項5
塩基が、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア及び水酸化アンモニウムからなる群から選択される、項1から4のいずれか一項に記載の方法。
項6
酸性化が、鉱酸又は酸性イオン交換体で行われる、項1から5のいずれか一項に記載の方法。
項7
ステップ(b)において、アスパラギン酸の変換率が少なくとも5%である、項1から6のいずれか一項に記載の方法。
項8
ステップ(b)において、温度が、160〜180℃である、項1から7のいずれか一項に記載の方法。
項9
項1〜8のいずれか一項によって得ることができるポリアスパラギン酸を含む組成物であって、食器洗浄組成物、洗剤組成物及び清浄組成物からなる群から選択される、組成物。
項10
食器洗浄剤、洗剤及び清浄剤における添加剤としての、項1から9のいずれか一項によって得ることができるポリアスパラギン酸の使用。
項11
食器洗浄剤が、機械的食器洗浄用である、項10に記載の使用。
項12
導水システムにおけるスケール抑制剤又は分散剤としての、項1から9のいずれか一項によって得ることができるポリアスパラギン酸の使用。
以下の実施例は、本発明を例証するために役立つものであり、それに対する制限と理解されてはならない。
【実施例】
【0096】
[比較例1]:ガラス反応器中5モル%のメタンスルホン酸の存在下でのL-アスパラギン酸の重縮合
133.1gのL-アスパラギン酸、30gの水及び4.81gのメタンスルホン酸(100%)を、撹拌機及び温度センサーを備えた2l容量のガラス反応器に最初に投入した。この反応混合物を、蒸留による水の同時除去と共に穏やかな窒素流下で攪拌しながら210℃〜220℃の縮合温度に加熱した。15分後、非常に粘性の高いペーストが形成し、これはもはや攪拌することができなかった。さらに15分以内に、反応生成物が、固体塊に固化していた。反応器を室温に冷却した。ケーキ化した反応混合物をへらで反応器から取り出し、乳棒及び乳鉢を使用して粉末に粉砕した。粉砕された反応混合物を反応器に再度入れ、穏やかな窒素流下で攪拌しながら210℃〜220℃の縮合温度に加熱し、この温度で蒸留による水の同時除去と共にさらに5.5時間重縮合させた。ポリアスパラギン酸のナトリウム塩水溶液を調製するために、100gの冷却反応生成物を100gの水に分散させ、この混合物を70℃に加熱し、この温度でpHが7〜9の範囲であるように十分な50%水酸化ナトリウム水溶液を添加した。水に分散された粉末は徐々に溶解し、ポリアスパラギン酸の透明なナトリウム塩水溶液が得られた。重量平均分子量Mwは、7700g/モルであった。
【0097】
[比較例2]:0.7LのLIST Discotherm B反応器中5モル%のメタンスルホン酸の存在下でのL-アスパラギン酸の重縮合
266.2gのL-アスパラギン酸、60gの水及び9.62gのメタンスルホン酸を、0.7lのLIST Discotherm B反応器に最初に投入した。反応器内容物を、蒸留による水の同時除去と共に穏やかな窒素流下で1分当たり20回転で攪拌しながら230℃の縮合温度に加熱した。15分後、非常に粘性が高い粘着性のペーストが形成され、高いトルク増加が観測された。さらに15分後、反応生成物は固体塊に固化し、撹拌機シャフトは最終的に停止した。室温に冷却後、ケーキ化した反応混合物をへらによって反応器から取り出し、乳棒及び乳鉢を使用して粉末に粉砕した。粉砕された反応混合物を反応器に再度入れ、穏やかな窒素流下で攪拌しながら230℃の縮合温度に加熱し、この温度で蒸留による水の同時除去と共にさらに5.5時間重縮合させた。ポリアスパラギン酸のナトリウム塩水溶液を得るための得られた最終生成物の加水分解は、C1に記載したとおりに行った。重量平均分子量Mwは、7700g/モルであった。
【0098】
[実施例1]:還流冷却下でガラス反応器中5モル%のメタンスルホン酸の存在下でのL-アスパラギン酸の加熱
266.2gのL-アスパラギン酸、10gの水及び13.7gのメタンスルホン酸(水中70%)を、撹拌機及び温度センサーを備えた2l容量のガラス反応器に最初に投入した。反応器内容物を、還流冷却下、170〜180℃の温度で1分当たり20回転で攪拌した。試料を、30分後、90分後、120分後及び180分後のそれぞれの場合において採取し、L-アスパラギン酸の変換率を決定した(以下に記載されるとおりに測定した):
30分後のL-アスパラギン酸の変換率は、2.0%であった。
90分後のL-アスパラギン酸の変換率は、5.2%であった。
120分後のL-アスパラギン酸の変換率は、9.5%であった。
180分後のL-アスパラギン酸の変換率は、8.5%であった。
【0099】
[実施例A]:0.7LのLIST Discotherm B反応器中5モル%のメタンスルホン酸の存在下での還流冷却下のL-アスパラギン酸の重縮合
266.2gのL-アスパラギン酸、10gの水及び13.7gのメタンスルホン酸(水中70%)を、0.7lのLIST Discotherm B反応器に最初に投入した。反応器内容物を、1分当たり20回転で攪拌しながら170〜180℃の温度で還流冷却下で2時間加熱した。このステップ後のL-アスパラギン酸の変換率は、9.5%であった(以下に記載されるとおりに測定した)。次いで、この反応混合物を、穏やかな窒素流下で攪拌しながら210℃〜220℃の縮合温度に加熱し、この温度で蒸留による水の同時除去と共に5時間重縮合させた。反応混合物のケーキ化、したがって装置の停止は、起こらなかった。へら又は乳鉢による手作業の粉砕は必要なかった。ポリアスパラギン酸のナトリウム塩水溶液を得るための得られた最終生成物の加水分解は、C1に記載したとおりに行った。重量平均分子量Mwは、7680g/モルであった。
【0100】
[実施例B]:0.7LのLIST Discotherm B反応器中5モル%のメタンスルホン酸の存在下での還流冷却下のL-アスパラギン酸の重縮合
266.2gのL-アスパラギン酸、20gの水及び13.7gのメタンスルホン酸(水中70%)を、0.7lのLIST Discotherm B反応器に最初に投入した。反応器内容物を、1分当たり20回転で攪拌しながら170〜180℃の温度で還流冷却下で1時間加熱した。このステップ後のL-アスパラギン酸の変換率は、2.0%であった(以下に記載されるとおりに測定した)。次いで、この反応混合物を、穏やかな窒素流下で攪拌しながら210℃〜220℃の縮合温度に加熱し、この温度で蒸留による水の同時除去と共に5時間重縮合させた。反応混合物のケーキ化、したがって装置の停止は、起こらなかった。へら又は乳鉢による手作業の粉砕は必要なかった。ポリアスパラギン酸のナトリウム塩水溶液を得るための得られた最終生成物の加水分解は、C1に記載したとおりに行った。重量平均分子量Mwは、7530g/モルであった。
【0101】
[実施例C]:ガラス反応器中8モル%のリン酸の存在下での還流冷却下のL-アスパラギン酸の重縮合
266.2gのL-アスパラギン酸、10gの水及び18.5gのリン酸(水中85%)を、撹拌機及び温度センサーを備えた2l容量のガラス反応器に最初に投入した。反応器内容物を、1分当たり20回転で攪拌しながら170〜180℃の温度で還流冷却下で2時間加熱した。このステップ後のL-アスパラギン酸の変換率は、3.7%であった(以下に記載されるとおりに測定した)。次いで、この反応混合物を、穏やかな窒素流下で攪拌しながら210℃〜220℃の縮合温度に加熱し、この温度で蒸留による水の同時除去と共に4.5時間重縮合させた。反応混合物のケーキ化、したがって装置の停止は、起こらなかった。へら又は乳鉢による手作業の粉砕は必要なかった。ポリアスパラギン酸のナトリウム塩水溶液を得るための得られた最終生成物の加水分解は、C1に記載したとおりに行った。重量平均分子量Mwは、9780g/モルであった。
【0102】
[実施例D]:ガラス反応器中5モル%のメタンスルホン酸の存在下での還流冷却下のL-アスパラギン酸の重縮合
266.2gのL-アスパラギン酸及び9.61gのメタンスルホン酸(100%)を、撹拌機及び温度センサーを備えた2l容量のガラス反応器に最初に投入した。反応器内容物を、1分当たり20回転で攪拌しながら170〜180℃の温度で還流冷却下で1.5時間加熱した。このステップ後のL-アスパラギン酸の変換率は、5.2%であった(以下に記載されるとおりに測定した)。次いで、この反応混合物を、穏やかな窒素流下で攪拌しながら210℃〜220℃の縮合温度に加熱し、この温度で蒸留による水の同時除去と共に6時間重縮合させた。反応混合物のケーキ化、したがって装置の停止は、起こらなかった。へら又は乳鉢による手作業の粉砕は必要なかった。ポリアスパラギン酸のナトリウム塩水溶液を得るための得られた最終生成物の加水分解は、C1に記載したとおりに行った。重量平均分子量Mwは、8300g/モルであった。
【0103】
分子量(Mw及びMn)の決定
実施例の重量平均又は数平均分子量(Mw及びMn)は、以下の条件下でGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により決定した:
【0104】
【表1】
【0105】
分子量を決定するために、重縮合ステップ後に形成された少量のポリアスパルトイミドを採取し、水で繰り返し洗浄して、使用したメタスルホン酸を除去した。次いで、洗浄した粉末を記載されるとおりに水酸化ナトリウム水溶液で加水分解した(すなわち、洗浄した粉末を水に分散させ、混合物を70℃に加熱し、この温度でpHが7〜9の範囲であるように十分な50%水酸化ナトリウム水溶液を添加した。水に分散された粉末は、徐々に溶解し、ポリアスパラギン酸の透明なナトリウム塩水溶液が得られた)。試料溶液を、Sartorius Minisart RC 25(0.2μm)に通してろ過した。校正は、M=1250g/モル〜M=130500g/モルの分子量を有するPolymer Standard Serviceからの狭分布のNa-PAA標準を使用して行った。さらに、M=96の分子量を有するNa-アクリル酸塩及びM=620を有するPEG標準(これは、Na-PAA M=150と同義である)を使用した。この溶出範囲の外側の値は、外挿した。評価限界は、122g/モルであった。
【0106】
変換率の決定
変換率Cを決定するために、ステップ(b)後の反応混合物中の未反応モノマーのアスパラギン酸の割合を決定した。このために、ステップ(b)後に得られた100mgの初期縮合物を、50mlのガラスアンプル中に秤量し、9.9mLの1N HClを添加し、この混合物を350rpmで3時間攪拌した。次いで、試料をSpartan 30mm/0.45μm RCシリンジフィルター(GE Healthcare)に通してろ過し、水で1:10(v/v)に希釈した。この希釈溶液のアスパラギン酸含有量Yを、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により、
C=(X-Y)/X
(ここで、Xは、ステップ(b)の開始前の100mgの反応混合物中のアスパラギン酸含有量である)
に従って、決定した。
【0107】
[例示的実施例1]:ステップ(b)の開始前に、100mgの反応混合物は、91.8mg(=X)のアスパラギン酸を含有した。
【0108】
還流下で30分間加熱後、反応混合物100mg当たり90mg(=Y)のアスパラギン酸含有量が決定された。したがって、変換率Cは、
C=(91.8mg-90mg)/91.8mg=2.0%
であった。
【0109】
還流下で90分間加熱後、反応混合物100mg当たり87mg(=Y)のアスパラギン酸含有量が決定された。したがって、変換率は、
C=(91.8mg-87mg)/91.8mg=5.2%
であった。
【0110】
還流下で120分間加熱後、反応混合物100mg当たり83mg(=Y)のアスパラギン酸含有量が決定された。したがって、変換率Cは、
C=(91.8mg-83mg)/91.8mg=9.5%
であった。
【0111】
還流下で180分間加熱後、反応混合物100mg当たり84mg(=Y)のアスパラギン酸含有量が決定された。したがって、変換率Cは、
C=(91.8mg-84mg)/91.8mg=8.5%
であった。
【0112】
【表2】