(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の半導体装置の一例である電池電圧測定用の半導体装置について説明する。
【0012】
まず、本実施の形態の半導体装置の構成について図面を参照して説明する。
図1には、本実施の形態の半導体装置10の一例の回路図を示す。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態の半導体装置10は、制御部(以下、「CNT」という。)12と、入力端子14
1〜14
4(以下、総称する場合は「入力端子14」という。)と、出力端子16と、スイッチ群20と、アナログレベルシフタ30と、バッファアンプBAMP1、BAMP2と、スイッチSW0_1、SW0_2、SW_Gと、を備える。
【0014】
本実施の形態の半導体装置10は、4つの電池セルVc1〜Vc4(以下、総称する場合は、「電池セルVc」という。)の各々の電池電圧を測定するための機能を有する。電池セルVc1〜Vc4は、電池セルVc1を最下段とし、電池セルVc4を最上段として直列に接続されている。なお、本実施の形態では、直列に接続された電池セルVcのうち、最高電位側を最上段、最低電位側を最下段という。電池セルの具体的一例としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等が挙げられる。
【0015】
電池セルVc1〜Vc4の各々は、ローパスフィルタLPF1〜LPF4(以下、総称する場合は「ローパスフィルタLPF」という。)を介して、半導体装置10に接続されている。本実施の形態のローパスフィルタLPF1〜LPF4各々は、抵抗素子RLpf(RLpf1〜RLpf4)及び容量素子CLpf(CLpf1〜CLpf4)を組み合わせた、いわゆるRCフィルタである。
【0016】
具体的には、半導体装置10の入力端子14
1には、ローパスフィルタLPF1を介して、電池セルVc1の高電位側の電圧(電池セルVc2の低電位側の電圧と同義)が入力される。また、半導体装置10の入力端子14
2には、ローパスフィルタLPF2を介して電池セルVc2の高電位側の電圧(電池セルVc3の低電位側の電圧と同義)が入力される。また、入力端子14
3には、ローパスフィルタLPF3を介して電池セルVc3の高電位側の電圧(電池セルVc4の低電位側の電圧と同義)が入力される。さらに、入力端子14
4には、ローパスフィルタLPF4を介して電池セルVc4の高電位側の電圧が入力される。
【0017】
スイッチ群20は、スイッチSW1_1、1_2、2_1、2_2、3_1、3_2、4_1を備える。以下では、スイッチ群20が備えるこれらのスイッチを総称する場合は、「スイッチ群20のスイッチSW」という。また、スイッチ群20のスイッチSW、及びスイッチSW0_1、SW0_2、SW_Gを総称する場合は、「半導体装置10の全スイッチSW」という。
【0018】
スイッチSW1_1は、オン状態の場合に入力端子14
1と、バッファアンプBAMP1の非反転入力端子とを接続する。スイッチSW1_2は、オン状態の場合に入力端子14
1と、バッファアンプBAMP2の非反転入力端子とを接続する。スイッチSW2_1は、オン状態の場合に入力端子14
2と、バッファアンプBAMP1の非反転入力端子とを接続する。スイッチSW2_2は、オン状態の場合に入力端子14
2と、バッファアンプBAMP2の非反転入力端子とを接続する。スイッチSW3_1は、オン状態の場合に入力端子14
3と、バッファアンプBAMP1の非反転入力端子とを接続する。スイッチSW3_2は、オン状態の場合に入力端子14
3と、バッファアンプBAMP2の非反転入力端子とを接続する。スイッチSW4_1は、オン状態の場合に入力端子14
4と、バッファアンプBAMP1の非反転入力端子とを接続する。
【0019】
アナログレベルシフタ30は、抵抗素子R1、R2、R3と、アンプAMP1と、を備える。
【0020】
アンプAMP1の非反転入力端子には、バッファアンプBAMP1から出力された電圧が抵抗素子R1を介して入力される。抵抗素子R4は、一方の端子がアンプAMP1の非反転入力端子と抵抗素子R1との間に接続され、他方の端子が基準電圧VSSに接続されている。
【0021】
また、アンプAMP1の反転入力端子には、バッファアンプBAMP2から出力された電圧、及びスイッチSW_Gを介して基準電圧の一例である基準電圧VSSのいずれかが、抵抗素子R2を介して入力される。アンプAMP1(アナログレベルシフタ30)からは、バッファアンプBAMP1から出力された電圧とバッファアンプBAMP2から出力された電圧との差に応じた電圧、または、バッファアンプBAMP1から出力された電圧と基準電圧VSSとの差に応じた電圧が出力される。アナログレベルシフタ30から出力された電圧は、出力端子16を介して、半導体装置10の内部回路または外部回路に出力される。
【0022】
スイッチSW0_1は、バッファアンプBAMP1の非反転入力端子に入力される電圧を切り替える機能を有する。スイッチSW0_1がオン状態の場合は、バッファアンプBAMP1の非反転入力端子には、基準電圧VSSが入力される。一方、スイッチSW0_1がオフ状態の場合は、バッファアンプBAMP1の非反転入力端子には、電池電圧を測定する電池セルVcの高電位側の電圧が入力される。
【0023】
スイッチSW0_2は、バッファアンプBAMP2の非反転入力端子に入力される電圧を切り替える機能を有する。スイッチSW0_2がオン状態の場合は、バッファアンプBAMP2の非反転入力端子には、基準電圧VSSが入力される。一方、スイッチSW0_2がオフ状態の場合は、バッファアンプBAMP2の非反転入力端子には、電池電圧を測定する電池セルVcの低電位側の電圧が入力される。
【0024】
スイッチSW_Gは、アンプAMP1の反転入力端子に入力される電圧を切り替える機能を有する。スイッチSW_Gがオン状態の場合は、アンプAMP1の反転入力端子には、基準電圧VSSが入力される。一方、スイッチSW_Gがオフ状態の場合は、アンプAMP1の反転入力端子には、バッファアンプBAMP2から出力された電圧が入力される。
【0025】
CNT12は、半導体装置10の外部に設けられたMCU(Memory Control Unit)から入力される制御信号に基づいて、半導体装置10の全スイッチSW各々のオン、オフを制御する機能を有する。
【0026】
なお、
図1に示した寄生容量C1は、バッファアンプBAMP1と、ローパスフィルタLPFとの間に生じる寄生容量であり、寄生容量C2は、バッファアンプBAMP2と、ローパスフィルタLPFとの間に生じる寄生容量である。バッファアンプBAMP1に印加(入力)された電圧は、バッファアンプBAMP1と、ローパスフィルタLPFに含まれる容量素子CLpfと、寄生容量C1と、に蓄積される。バッファアンプBAMP2に印加(入力)された電圧は、バッファアンプBAMP2と、ローパスフィルタLPFに含まれる容量素子CLpfと、寄生容量C2と、に蓄積される。なお、
図1では、寄生容量C1、C2を説明するため、便宜上、容量素子の記号を用いて寄生容量C1、C2を明示しているが、実際に容量素子がバッファアンプBAMP1、BAMP2の非反転入力端子に接続されているわけではない。
【0027】
次に、本実施の形態の半導体装置10における電池セルVcの電池電圧の測定動作について、図面を参照して説明する。
図2には、本実施の形態の半導体装置10における測定動作の一例を表すフローチャートを示す。なお、本実施の形態では、最下段の電池セルVc1から、順次、最上段の電池セルVc4まで、各電池セルVcの電池電圧を測定する場合について説明する。
【0028】
図2に示した測定動作は、CNT12が、MCUから電池電圧の測定を行う指示を表す制御信号を受信した場合に実行される。なお本実施の形態の半導体装置10では、
図2に示した測定動作の実行開始においては、半導体装置10の全スイッチSWがオフ状態にされている。
【0029】
まず、最下段の電池セルVc1の電池電圧を測定する前に、ステップS100で、CNT12が、スイッチSW0_1、SW0_2をオン状態にする。
図3には、スイッチSW0_1、SW0_2をオン状態にした場合の電荷の流れを表す回路図を示す。
【0030】
スイッチSW0_1がオン状態のため、
図3中の矢印Aで示したように、寄生容量C1に蓄積された電荷は、基準電圧VSSに放電される。また、スイッチSW0_2がオン状態のため、
図3中の矢印Bで示したように、寄生容量C2に蓄積された電荷は、基準電圧VSSに放電される。
【0031】
次のステップS102で、CNT12が、所定時間が経過したか否かを判断する。本実施の形態の半導体装置10では、寄生容量C1、C2の各々に蓄積された電荷を放電するのに十分な時間を予め実験等により得ておき、この時間を所定時間としてCNT12内の記憶部13に予め記憶させておく。CNT12は、所定時間が経過するまで待機状態になり、所定時間が経過するとステップS104へ移行する。
【0032】
ステップS104で、CNT12が、半導体装置10の全スイッチSWをオフ状態にする。ステップS102から移行したステップS104では、スイッチSW0_1、SW0_2がオン状態からオフ状態になる。
【0033】
次のステップS106で、CNT12は、電池セルVc1の電池電圧を測定するか否かを判断する。電池セルVc1を測定する場合は、ステップS108へ移行する。
【0034】
ステップS108で、CNT12は、電池電圧を測定するために選択した電池セルVc1に対応するスイッチ群20のスイッチSW1_1と、スイッチSW_Gと、をオン状態にする。
図4には、スイッチSW_G、SW1_1をオン状態にした場合の電荷の流れを表す回路図を示す。
【0035】
バッファアンプBAMP1の非反転入力端子には、スイッチSW1_1、入力端子14
1、ローパスフィルタLPF1を介して、電池セルVc1の高電位側の電圧が入力される。ここでは、上記ステップS100の処理により、寄生容量C1に蓄積された電荷が放電されているため、バッファアンプBAMP1の非反転入力端子には、寄生容量C1に蓄積された電荷に応じた電圧は入力されない。
【0036】
バッファアンプBAMP1から出力された電圧は、アナログレベルシフタ30のアンプAMP1の非反転入力端子に入力される。
【0037】
一方、アナログレベルシフタ30のアンプAMP1の反転入力端子には、スイッチSW_Gを介して基準電圧VSSが入力される。
【0038】
従って、アナログレベルシフタ30のアンプAMP1からは、バッファアンプBAMP1から出力された電圧と、基準電圧VSSとの差に応じた電圧が出力される。すなわち、アンプAMP1からは、電池セルVc1の高電位側の電圧と、基準電圧VSSとの差に応じた電圧が出力される。電池セルVc1の低電位側は、基準電圧VSSに接続されているため、アンプAMP1からは、電池セルVc1の電池電圧に応じた電圧が出力される。
【0039】
ここで、電池セルVcの電池電圧の測定に与える寄生容量C1、C2の影響について説明する。
【0040】
電池セルVcの電池電圧を測定する場合、バッファアンプBAMP1、BAMP2には、各電池セルVcの電池電圧に応じた電圧が入力されるため、寄生容量が発生して寄生容量C1、C2の各々に電荷が蓄積される。寄生容量C1、C2の各々に電荷が蓄積された状態で電池セルVcの電池電圧を測定する場合、測定する電池セルVcの電池電圧に加えて、寄生容量C1、C2の各々に蓄積された電荷に応じた電圧がそれぞれバッファアンプBAMP1、BAMP2に入力される。
【0041】
図5には、電池セルVc1の電池電圧を測定する場合における寄生容量C1、C2の影響を説明するための回路図を示す。なお、上述のように、本実施の形態の電池セルVc1の電池電圧を測定する場合には、寄生容量C1、C2の各々には電荷が蓄積されていないが、ここでは、寄生容量C1、C2の各々に電荷が蓄積されていると仮定した場合について説明する。
【0042】
図5に示すように、スイッチSW1_1がオン状態であるため、寄生容量C1に蓄積された電荷は、スイッチSW1_1及び入力端子14
1を介してローパスフィルタLPF1に放電される。これにより、ローパスフィルタLPF1に電流が流れて、バッファアンプBAMP1の非反転入力端子には、電池セルVc1の高電位側の電圧と、寄生容量C1に蓄積された電荷に応じた電圧とが入力される。従って、アナログレベルシフタ30のアンプAMP1の非反転入力端子には、電池セルVc1の高電位側の電圧に寄生容量C1に蓄積された電荷に応じた電圧が加わった電圧が入力される。一方、アンプAMP1の反転入力端子には、寄生容量C1、C2の各々に蓄積された電荷に係わらず、基準電圧VSSが入力される。アンプAMP1からは、電池セルVc1の高電位側の電圧+寄生容量C1に蓄積された電荷に応じた電圧と、基準電圧VSSとの差に応じた電圧が出力される。
【0043】
基準電圧VSSは、ほぼ一定である。一方、寄生容量C1に蓄積された電荷は、バッファアンプBAMP1の非反転入力端子に入力される電圧に応じて変化する。上述したように、本実施の形態の半導体装置10では、電池セルVc4の電池電圧の測定後、次回の測定では、また、電池セルVc1から電池電圧の測定を開始する。そのため、電池セルVc1の電池電圧を測定する場合に寄生容量C1に蓄積されている電荷の電荷量は、電池セルVc4の高電位側の電圧に応じた電荷量になる。バッファアンプBAMP1の非反転入力端子に入力される電圧が大きくなると、寄生容量C1に蓄積される電荷の電荷量が多くなる。従って、電池セルVc4の電池電圧の測定後に寄生容量C1に蓄積されている電荷の電荷量は多くなる。本実施の形態では、直列に接続されている電池セルVcの数を4つとしているが、電池セルVcの数が多くなるほど、寄生容量C1に蓄積される電荷の電荷量は多くなる。そのため、電池セルVc1の電池電圧の測定においては、寄生容量C1に蓄積された電荷に応じた電圧が誤差として無視できなくなり、電池セルVc1の高電位側の電圧+寄生容量C1に蓄積された電荷に応じた電圧と、基準電圧VSSとの差が、電池セルVc1の電池電圧と異なる値となってしまう。
【0044】
これに対して、本実施の形態の半導体装置10では、上述したように、ステップS100の処理により、寄生容量C1、C2の各々に蓄積された電荷を放電している。そのためLPFに電荷が流れる(
図5参照)ことがなく、寄生容量C1、C2の各々に蓄積された電荷による誤差の発生を抑制することができ、アンプAMP1からは、電池セルVc1の電池電圧に応じた電圧が出力される。
【0045】
電池セルVc1の電池電圧の測定が終わると、次のステップS112で、CNT12は、全電池セルVcの電池電圧を測定したか否か判断する。未だ電池電圧を測定していない電池セルVcが有る場合は、ステップS104に戻る。電池セルVc1の電池電圧の測定後は、まだ電池セルVc2〜Vc4の電池電圧の測定が残っているため、ステップS104に戻り、次に、次段の電池セルVc2の電池電圧の測定を行う。
【0046】
電池セルVc2の電池電圧を測定するために、ステップS104で、CNT12は、半導体装置10の全スイッチSWをオフ状態にする。
【0047】
次のステップS106で、CNT12は、電池セルVc1の電池電圧を測定するか否かを判断する。電池セルVc1以外(電池セルVc2〜Vc4)の電池電圧を測定する場合は、ステップS110へ移行する。
【0048】
ステップS110で、CNT12は、電池電圧を測定するために選択した電池セルVcn(nは、2〜4の整数)に対応するスイッチ群20のスイッチSWn_1、SWn−1_2をオン状態にする。電池セルVc2の電池電圧を測定する場合(n=2)は、スイッチSW2_1、SW1_2をオン状態にする。
図6には、スイッチSW2_1、SW1_2をオン状態にした場合の電荷の流れを表す回路図を示す。
【0049】
バッファアンプBAMP1の非反転入力端子には、スイッチSW2_1、入力端子14
2、ローパスフィルタLPF2を介して、電池セルVc2の高電位側の電圧が入力される。バッファアンプBAMP1から出力された電圧は、アナログレベルシフタ30のアンプAMP1の非反転入力端子に入力される。
【0050】
一方、バッファアンプBAMP2の非反転入力端子には、スイッチSW1_2、入力端子14
1、ローパスフィルタLPF1を介して、電池セルVc2の低電位側の電圧が入力される。ここでは、上記ステップS100の処理により、寄生容量C2に蓄積された電荷が放電されているため、バッファアンプBAMP2の非反転入力端子には、寄生容量C2に蓄積された電荷に応じた電圧は入力されない。バッファアンプBAMP2から出力された電圧は、アナログレベルシフタ30のアンプAMP1の反転入力端子に入力される。
【0051】
従って、アナログレベルシフタ30のアンプAMP1からは、バッファアンプBAMP1から出力された電圧と、バッファアンプBAMP2から出力された電圧との差に応じた電圧が出力される。すなわち、アンプAMP1からは、電池セルVc2の高電位側の電圧と、低電位側の電圧との差に応じた電圧が出力されるため、アンプAMP1からは、電池セルVc2の電池電圧に応じた電圧が出力される。
【0052】
電池セルVc2の電池電圧の測定が終わると、次のステップS112で、CNT12は、全電池セルVcの電池電圧を測定したか否か判断する。この後、全電池セルVcの電池電圧の測定が終了するまで、ステップS104、S106、S10、S112の処理が繰り返される。
【0053】
一方、全電池セルVcの電池電圧の測定が終了した場合は、ステップS112からステップS114へ移行する。
【0054】
ステップS114で、CNT12は、半導体装置10の全スイッチSWをオフ状態にした後、本処理を終了することで、1回の電池セルVcの各電池電圧の測定が終了する。
【0055】
なお、電池セルVc1の電池電圧の測定を最下段から順次、最上段まで行う場合、後段の電池セルVcの電池電圧を測定する場合には、寄生容量C1、C2の各々に電荷が蓄積された状態になるが、電池電圧の測定に与える影響は少ない。
【0056】
具体例として、本実施の形態の半導体装置10において、電池セルVc3を測定する場合の寄生容量C1、C2の影響について説明する。電池セルVc3を測定する際には、その前に行われた電池セルVc1、Vc2の電池電圧の測定により、寄生容量C1、C2の各々に電荷が蓄積された状態になっている。
【0057】
そのため、アナログレベルシフタ30のアンプAMP1からは、電池セルVc3の高電位側の電圧+寄生容量C1に蓄積された電荷に応じた電圧と、電池セルVc3の低電位側の電圧+寄生容量C2に蓄積された電荷に応じた電圧との差に応じた電圧が出力される。この場合、寄生容量C1に蓄積された電荷に応じた電圧と寄生容量C2に蓄積された電荷に応じた電圧との差は、比較的小さい。例えば、上述した、電池セルVc4の測定後に寄生容量C1に蓄積された電荷よりも極めて小さい。従って、寄生容量C1、C2に蓄積された電荷が電池電圧の測定に与える影響は少なく、アンプAMP1から出力される電圧は、電池セルVc3の電池電圧であるといえる。
【0058】
以上説明したように、本実施の形態の半導体装置10は、バッファアンプBAMP1、2と、スイッチSW0_1と、スイッチSW_Gと、アナログレベルシフタ30と、を備える。バッファアンプBAMP1には、最下段の電池セルVc1から最上段の電池セルVc4まで直列に接続された複数の電池セルVcから電池電圧を測定するために選択された1つの電池セルVcの高電圧側の電圧が入力される。また、バッファアンプBAMP2には、電池セルVcのうち最下段の電池セルVc1以外(電池セルVc2〜Vc4)の、電池電圧を測定する電池セルVcの低電圧側の電圧が入力される。アナログレベルシフタ30のアンプAMP1には、バッファアンプBAMP1から出力される電圧及びバッファアンプBAMP2から出力される電圧が入力される。スイッチSW_Gは、電池セルVc1の電池電圧の測定を行う場合に、アンプAMP1に入力される電圧を、バッファアンプBAMP2から出力される電圧から基準電圧VSSに切り替える。スイッチSW0_1は、バッファアンプBAMP1に入力される電圧を、電池電圧を測定する電池セルVcの高電圧側の電圧から基準電圧VSSに切り替える。また、本実施の形態の半導体装置10は、バッファアンプBAMP2に入力される電圧を、基準電圧VSSに切り替えるスイッチSW0_2を備える。
【0059】
本実施の形態の半導体装置10では、1回の電池電圧の測定において、最下段の電池セルVc1から順次、最上段の電池セルVc4まで、各電池セルVcの電池電圧の測定を行う。半導体装置10のCNT12は、次回の電池電圧の測定の開始前、すなわち、電池セルVc1の電池電圧の測定前にスイッチSW0_1、SW0_2をオン状態にして、寄生容量C1、C2に蓄積された電荷を放電させる。
【0060】
また、本実施の形態の半導体装置10では、電池セルVc1の電池電圧を測定する場合は、CNT12が、スイッチSW1_1、SW_Gをオン状態にする。
【0061】
これにより、電池セルVc1の電池電圧を測定する場合は、アンプAMP1の非反転入力端子にはバッファアンプBAMP1から出力された電池セルVc1の高電位側の電圧が入力され、反転入力端子には基準電圧VSSが入力される。アンプAMP1からは、電池セルVc1の電池電圧に応じた電圧が出力される。
【0062】
このように、本実施の形態の半導体装置10では、電池セルVc1の電池電圧の測定を行う場合に、寄生容量C1、C2の影響を抑制することができる。従って、電池セルVcの電池電圧の測定において発生する寄生容量C1、C2に蓄積された電荷による測定誤差を抑制することができる。
【0063】
また、本実施の形態の半導体装置10では、スイッチSW_Gを備えており、電池セルVc1の高電位側の電圧と、基準電圧VSSとの差により電池セルVc1の電池電圧を測定しているため、従来の半導体装置に比べて、端子(入力端子14)の数を削減することができる。
【0064】
従来の電池セルVcの電池電圧測定用の半導体装置では、電池セルVc1の電池電圧を測定する場合、本実施の形態の半導体装置10において電池セルVc2〜Vc4の電池電圧を測定する場合と同様に、半導体装置に、電池セルVc1の高電位側の電圧と、低電位側の電圧とが入力されていた。
図8には、このような従来の半導体装置の一例の回路図を示す。
図8に示した従来の半導体装置100には、電池セルVc1の低電位側の電圧に接続される入力端子14
0が備えられている。また、従来の半導体装置100のスイッチ群120は、電池セルVc1の電池電圧を測定する場合に、電池セルVc1の低電位側の電圧を、入力端子14
0を介してバッファアンプBAMP2の非反転入力端子に入力させるためのスイッチSW0_2を備える。
【0065】
従来の半導体装置100に対して本実施の形態の半導体装置10では、電池セルVc1の低電位側の電圧の入力を必要としないため、従来の半導体装置100が備えていた入力端子14
0が不要になる。その結果、入力端子14
0を削減することができ、入力端子14の数を削減することができる。
【0066】
なお、本実施の形態では、最下段の電池セルVc1から順次、最上段の電池セルVc4まで、各電池セルVcの電池電圧の測定を行ったが、電池電圧を測定する電池セルVcの順番は、これに限らない。例えば、最上段の電池セルVc4から順次、最下段の電池セルVc1まで、各電池セルVcの電池電圧の測定を行ってもよい。この順序で電池電圧の測定を行う場合は、電池セルVc2の電池電圧の測定の後、電池セルVc1の測定前に、CNT12によりスイッチSW0_1、SW0_2をオン状態にして蓄積された寄生容量C1、C2に蓄積された電荷を放電すれば、電池セルVc1の電池電圧の測定における寄生容量C1、C2の影響を抑制することができる。
【0067】
また、本実施の形態の半導体装置10では、測定動作においてCNT12は、スイッチSW0_1、SW0_2をオン状態にした後、寄生容量C1、C2に蓄積された電荷が十分に放電されたとみなせる所定時間が経過した後、オフ状態にしている。CNT12が、スイッチSW0_1、SW0_2をオン状態からオフ状態に切り替えるタイミングは、当該タイミングに限らず、その他のタイミングであってもよい。その他のタイミングで、CNT12が、スイッチSW0_1、SW0_2をオン状態からオフ状態に切り替える場合の半導体装置10について
図7を参照して説明する。
図7には、本実施の形態の半導体装置10のその他の一例の回路図を示す。
図7に示した半導体装置10は、アナログレベルシフタ30から出力された電圧を測定する測定回路18を備え、CNT12には、測定回路18の測定結果が入力される。測定回路18は、アナログレベルシフタ30から出力された電圧を測定して、電圧が「零」とみなせるか否かを判断して判断結果を出力する。
【0068】
CNT12は、まず、スイッチSW0_1とスイッチSW_Gとをオン状態、他をオフ状態にしてアナログレベルシフタ30から、バッファアンプBAMP1から出力される電圧と、基準電圧VSSとの差に応じた電圧を出力させる。寄生容量C1に電荷が蓄積されている場合は、電位差が生じるため、当該電位差の有無を測定回路が測定結果としてCNT12に出力する。当該電位差が無くなると、次に、CNT12は、スイッチSW_Gをオフ状態にし、スイッチSW0_2をオン状態にする。寄生容量C2に電荷が蓄積されている場合は、電位差が生じるため、当該電位差の有無を測定回路が測定結果としてCNT12に出力する。当該電位差が無くなった後、CNT12は、電池セルVcの測定(
図2に示した測定動作のステップS104〜S114)を実行する。このように、測定回路18で測定した電位差に基づいてCNT12が、スイッチSW0_1、SW0_2を制御することにより、より確実に寄生容量C1、C2の各々に蓄積された電荷を放電することができる。なお、測定回路18は、半導体装置10の外部に備えられていてもよい。
【0069】
また、本実施の形態の半導体装置10では、スイッチSW0_1、SW0_2を備える場合について説明したが、スイッチSW0_1のみを備える場合であっても蓄積された寄生容量C1に蓄積された電荷を放電できる。上述のように、電池セルVc1の電池電圧を測定する場合は、寄生容量C1の影響が主であるため、寄生容量C1に蓄積された電荷を放電できれば、電池セルVc1の電池電圧の測定を適切に行うことができる。なお、スイッチSW0_2を備えることにより、電池セルVc2の電池電圧を測定する場合における、寄生容量C2の影響を抑制することができるため、電池セルVc2の電池電圧を測定する観点からは、スイッチSW0_2を備えていることが好ましい。
【0070】
また、本実施の形態の半導体装置10で示した、電池セルVcの個数等は、一例であり、特に限定されるものではない。
【0071】
また、本実施の形態で説明した半導体装置10等の構成及び測定動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることは言うまでもない。