(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(D)発泡剤の含有量が、前記重合性化合物の量、又は前記重合性化合物及び前記可塑剤の合計量に対して0.1〜30質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
(C)オイルゲル化剤の含有量が、前記重合性化合物の量、又は前記重合性化合物及び前記可塑剤の合計量に対して0.1〜30質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
(A)重合性化合物が、(A2)(メタ)アクリロイル基を有し重量平均分子量が1000未満である低分子(メタ)アクリロイル化合物を更に含み、かつ(A1)ポリジエン化合物の重量平均分子量が1000以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
(C)オイルゲル化剤が、ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸アミド、及びラウロイル−L−グルタミン酸−α,γ−ジブチルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
一実施形態に係る硬化性樹脂組成物は、(A)エチレン性不飽和基を分子内に少なくとも1つ有する重合性化合物と、(B)ラジカル開始剤と、(C)オイルゲル化剤と、(D)発泡剤とを含有する。この硬化性組成物は、加熱及び/又は活性光線の照射によって硬化し、さらに加熱により発泡する。以下、(A)重合性化合物を「(A)成分」、(B)ラジカル開始剤を「(B)成分」、(C)オイルゲル化剤を「(C)成分」、(D)発泡剤を「(D)」成分ともいう。
【0014】
(A)重合性化合物
(A)成分はエチレン性不飽和基を分子内に1つ以上有する化合物であれば特に制限されない。エチレン性不飽和基は(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
【0015】
ここで、「(メタ)アクリロイル基」とは「アクリロイル基」及びそれに対応する「メタクリロイル基」のことを意味する。「(メタ)アクリロイルオキシ基」を有する化合物を「(メタ)アクリレート」ともいう。「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」の一方又は双方を意味する。
【0016】
(A)成分は、衝撃吸収性、樹脂発泡体の強度の観点から、(A1)ポリイソプレン鎖又はポリブタジエン鎖のうち少なくとも一方のポリジエン鎖を有するポリジエン化合物を含むことが好ましい。
【0017】
ポリジエン化合物の重量平均分子量は1000以上50000以下であることが好ましい。重量平均分子量が1000以上であれば硬化物の強度がより良好となる傾向がある。また、重量平均分子量が50000以下であれば、取り扱いが容易な粘度を維持し、硬化性樹脂組成物の配合及び成形が容易となる傾向がある。このような観点から、ポリジエン化合物の重量平均分子量は、より好ましくは1500以上40000以下、更に好ましくは2000以上30000以下である。本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することで決定した値を意味する。また、重量平均分子量(Mw)は以下の式にて定義される。ここで、M
iは分子量であり、N
iは分子量M
iの分子のモル数である。
Mw=Σ(N
iM
i2)/ΣN
iM
i
【0018】
ポリジエン化合物は、ポリジエン鎖の側鎖中に、又はポリジエン鎖の末端基として、エチレン性不飽和基を有し得る。エチレン性不飽和基を有するポリジエン化合物としては、(メタ)アクリロイル基を有するポリイソプレン(メタ)アクリレート、及びポリブタジエン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0019】
ポリイソプレン(メタ)アクリレートは、例えば下記式(1)で表される化合物である。
【化1】
【0020】
式(1)中、aは50〜1000の数を示し、bは1〜5の数を示し、R
11は水素原子又はメチル基を示す。aは、硬化物の弾性及び硬化性樹脂組成物の粘度の観点から、好ましくは100〜800であり、より好ましくは150〜700であり、更に好ましくは200〜600である。bは、反応性及び硬化性樹脂組成物の保存安定性の観点から、好ましくは1.5〜4.0であり、より好ましくは2.0〜3.5であり、更に好ましくは2.0〜3.0である。
【0021】
式(1)で表されるポリイソプレン(メタ)アクリレートの市販品としては、クラプレンUC−102、クラプレンUC−203(共に株式会社クラレ製、クラプレンは登録商標)等が挙げられる。
【0022】
ポリブタジエン(メタ)アクリレートは、例えば下記式(2)又は(3)で表される化合物である。
【化2】
【0023】
式(2)中、cは5〜1000の数を示し、dは5〜1000の数を示し、R
21、及びR
22はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を示す。R
21及びR
22は同じであってもよく、異なっていてもよい。cは、硬化性樹脂組成物の粘度及び硬化性の観点から、好ましくは10〜800であり、より好ましくは30〜700であり、更に好ましくは50〜600である。dは、硬化性樹脂組成物の粘度及び硬化性の観点から、好ましくは10〜800であり、より好ましくは30〜700であり、更に好ましくは50〜600である。
【0024】
式(2)中の繰り返し構造単位が有するエチレン性不飽和基の一部又は全部が、水素により還元されて飽和結合となっていてもよい。ポリジエン鎖中の飽和結合の割合が高くなることで、硬化性樹脂組成物の安定性が向上する傾向がある。
【0025】
式(2)で表されるポリブタジエン(メタ)アクリレートの市販品としては、BAC−45(大阪有機化学工業株式会社製)等が挙げられる。
【0027】
式(3)中、eは5〜1000の数を示し、fは5〜1000の数を示し、R
31及びR
32はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を示す。R
31及びR
32は同じであってもよく、異なっていてもよい。eは、硬化性樹脂組成物の粘度及び硬化性の観点から、好ましくは10〜750であり、より好ましくは15〜700であり、更に好ましくは20〜500である。fは、硬化性樹脂組成物の粘度及び硬化性の観点から、好ましくは10〜750であり、より好ましくは15〜700であり、更に好ましくは20〜500である。
【0028】
式(3)中の繰り返し構造単位が有するエチレン性不飽和基の一部又は全部が、水素により還元されて飽和結合となっていてもよい。ポリジエン鎖中の飽和結合の割合が高くなることで、硬化性樹脂組成物の安定性が向上する傾向がある。
【0029】
式(3)で表されるポリブタジエン(メタ)アクリレートの市販品としては、TEAI−1000(日本曹達株式会社製)等が挙げられる。また、水素還元により形成された飽和結合を含むポリブタジエン(メタ)アクリレート(水素添加ポリブタジエン(メタ)アクリレート)の市販品としては、TE−2000(日本曹達株式会社製)等が挙げられる。
【0030】
ポリジエン化合物の含有量は、硬化性樹脂組成物の総量に対して、10〜99質量%が好ましい。ポリジエン化合物の含有量が10質量%以上であれば、硬化性樹脂組成物の硬化性が向上して、硬化後の樹脂の強度がより良好となる傾向がある。ポリジエン化合物の含有量が99質量%以下であれば、硬化収縮率が小さくなる傾向、及び、硬化物の衝撃吸収性がより高くなる傾向がある。このような観点から、ポリジエン化合物の含有量は15〜80質量%がより好ましく、20〜70質量%が更に好ましい。
【0031】
(B)ラジカル開始剤
(B)成分は、加熱又は活性光線の照射によってラジカル重合を開始させる化合物であれば、特に制限されない。例えば、(A)成分として(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物を重合させる場合、熱ラジカル重合開始剤及び/又は光ラジカル重合開始剤が好適である。特に、硬化速度が速く、常温で硬化が可能なことから、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
【0032】
熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、メチルシクロヘキサノンパーオキシド等のケトンパーオキシド;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール;p−メンタンヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド;α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシドなどのジアルキルパーオキシド;オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ステアリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド;ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシカーボネート等のパーオキシカーボネート;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテートなどのパーオキシエステル;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2’−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物などが挙げられる。
【0033】
熱ラジカル重合開始剤は、硬化性、透明性及び耐熱性の観点から、ジアシルパーオキシド、パーオキシエステル又はアゾ化合物であることが好ましい。
【0034】
光ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンゾインケタール;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシケトン;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のα−アミノケトン;1−[(4−フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタジオン−2−(ベンゾイル)オキシム等のオキシムエステル;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;ベンゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル化合物;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9、9’−アクリジニルヘプタン)等のアクリジン化合物;N−フェニルグリシン;クマリンなどが挙げられる。
【0035】
2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体において、2つのトリアリールイミダゾール部位のアリール基の置換基は、同一で対称な化合物を与えてもよく、相違して非対称な化合物を与えてもよい。
【0036】
光ラジカル重合開始剤は、硬化性、透明性及び耐熱性の観点から、α−ヒドロキシケトン又は/及びホスフィンオキシドであることが好ましい。これらの熱及び光ラジカル重合開始剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。さらに、光ラジカル重合開始剤を適切な増感剤と組み合わせることもできる。
【0037】
(C)オイルゲル化剤
(C)成分は、硬化性樹脂組成物をゲル化させることのできる成分である。(C)成分は、例えば、ヒドロキシステアリン酸(特に12−ヒドロキシステアリン酸)等のヒドロキシ脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸アミド(特に12−ヒドロキシステアリン酸アミド)等のヒドロキシ脂肪酸アミド、n−ラウロイル−L−グルタミン酸−α,β−ジブチルアミド、n−ラウロイル−L−グルタミン酸−α,γ−ジブチルアミド、ジ−p−メチルベンジリデンソルビトールグルシトール、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−グルシトール、1,3:2,4−ビス−O−(4−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、ビス(2−エチルヘキサノアト)ヒドロキシアルミニウム、及び、下記式(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)又は(17)で表わされる化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、相溶性の観点から12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、及びn−ラウロイル−L−グルタミン酸−α,γ−ジブチルアミドが好ましい。
【0038】
【化4】
式(4)中、fは3〜10の整数であり、gは2〜6の整数であり、R
4は炭素数1〜20の飽和炭化水素基であり、Xは硫黄又は酸素である。
【0039】
【化5】
式(5)中、R
5は炭素数1〜20の飽和炭化水素基であり、Y
5は直接結合又はアリーレン基である。
【0040】
【化6】
式(6)中、R
6は炭素数1〜20の飽和炭化水素基であり、Y
6は直接結合又はアリーレン基である。
【0041】
【化7】
式(7)中、R
7は炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。
【0042】
【化8】
式(8)中、R
81及びR
82は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。
【0043】
【化9】
式(9)中、R
91及びR
92は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。
【0044】
【化10】
一般式(10)中、R
10は、炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。
【0045】
【化11】
式(11)中、R
111は、炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。
【0046】
【化12】
式(12)中、R
121及びR
122は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。
【0047】
【化13】
式(13)中、R
131はアリール基である。
【0048】
【化14】
式(14)中、R
141及びR
142はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。
【0049】
【化15】
式(15)中、R
151、R
152及びR
153はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。
【0050】
【化16】
式(16)中、R
161は水素原子又は炭素数1〜20の飽和炭化水素基であり、R
162は2価の有機基(例えば、炭素数1〜20の直鎖型、分岐型、又は環状の2価の炭化水素基)であり、R
163は炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。
【0052】
式(17)中、R
171は水素原子又は炭素数1〜20の飽和炭化水素基であり、R
172は2価の有機基(例えば、炭素数1〜20の直鎖型、分岐型、又は環状の2価の炭化水素基)であり、R
173は炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。
【0053】
オイルゲル化剤の含有量は、硬化性樹脂組成物中の重合性化合物の量、又は、硬化性樹脂組成物が可塑剤を含む場合は重合性化合物及び可塑剤の合計量に対して、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましい。オイルゲル化剤の含有量が0.1質量%以上であると、オイルゲル化剤が形成するマトリックスに樹脂が取り込まれやすく、30質量%以下であると、オイルゲル化剤が凝集し、遊離することが少なくなる傾向がある。このような観点から、オイルゲル化剤の含有量は0.5〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。硬化性樹脂組成物が可塑剤を含まない場合、オイルゲル化剤の含有量は、重合性化合物の量を基準として調整することができる。
【0054】
(D)発泡剤
(D)成分の発泡剤は、加熱等により樹脂組成物を発泡し得るものであれば特に制限されない。発泡剤を含む硬化性樹脂組成物は、発泡性樹脂組成物であることができる。例えば、発泡剤は、熱分解型発泡剤、揮発型発泡剤、中空粒子型発泡剤、無機型発泡剤、熱膨張型発泡剤、又はこれらの組み合わせであることができる。発泡性の制御の観点から、発泡剤は、熱分解型発泡剤、熱膨張型発泡剤又はこれらの組み合わせであることが好ましく、硬化性樹脂組成物の安定性及び発泡後の樹脂の強度の観点から、熱膨張型発泡剤であることがより好ましい。
【0055】
熱分解型発泡剤は、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスヘキサヒドロベンゾニトリル、アゾビスホルムアミド等のアゾ系化合物、ヒドラゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等のヒドラジン系化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジニトロソ−N,N’−ジメチルテレフタルアミド等のニトロソ系化合物から選ばれる少なくとも1種の有機系熱分解型発泡剤であることができる。
【0056】
熱分解型発泡剤の市販品としては、例えば、ビニホールシリーズ(永和化成工業株式会社製)、ユニフォームAZ(大塚化学株式会社製)、セルマイクCシリーズ(三協化成株式会社製)等のアゾ系発泡剤、ネオセルボンシリーズ(永和化成工業株式会社製、ネオセルボンは登録商標)、セルマイクSシリーズ、セルマイク142(いずれも三協化成株式会社製)等のヒドラジン系発泡剤、セルラーシリーズ(永和化成工業株式会社製)、セルマイクA(三協化成株式会社製)等のニトロソ系発泡剤が入手できる。
【0057】
熱分解型発泡剤の分解温度を下げる目的で、尿素、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛等の発泡助剤を硬化性樹脂組成物が含んでいてもよい。熱分解型発泡剤の分解温度を発泡成形の加工温度帯に調整しやすいことから、ステアリン酸亜鉛、及び酸化亜鉛が好ましい。発泡助剤の含有量は、特に限定されないが、熱分解型発泡剤100重量部に対し1〜50質量部が好ましい。
【0058】
熱膨張型発泡剤は、一般に、熱可塑性樹脂を含む殻(シェルともいう)と、殻に内包された、室温で液体である低沸点の炭化水素等とを有する。熱膨張型発泡剤の市販品としては、例えば、マツモトマイクロスフィア(松本油脂製薬工業株式会社製)、エクスパンセル(日本フェライト株式会社製)、アドバンセル(積水化学工業株式会社製)が入手できる。
【0059】
熱膨張型発泡剤の膨張前の体積平均粒子径は、特に限定されないが、10〜200μmが好ましい。膨張前の体積平均粒子径が10μm未満であると、樹脂発泡体の気泡が小さくなりすぎ、軽量化の効果が小さくなる傾向がある。体積平均粒子径が200μmを超えると、樹脂発泡体の気泡が大きくなりすぎ、強度が不足し易い傾向がある。以上の観点から熱膨張型発泡剤の体積平均粒子径は、より好ましくは15〜175μmで、更に好ましくは20〜150μmである。
【0060】
発泡剤は1種又は2種以上を組み合わせることができる。熱分解型発泡剤と熱膨張型発泡剤とを組み合わせてもよい。
【0061】
発泡剤の含有量は、硬化性樹脂組成物中の重合性化合物の量、又は、硬化性樹脂組成物が可塑剤を含む場合は重合性化合物及び可塑剤の合計量に対して、0.5〜50質量部が好ましい。発泡剤の含有量が0.5質量部以上であれば、軽量化の点でより顕著な効果が得られる。発泡剤の含有量が50質量部以下であれば、樹脂中における発泡剤の分散性が良好となるため、樹脂発泡体中の空孔が均一に分布し易い傾向がある。このような観点から、発泡剤の含有量は、より好ましくは0.7〜30質量部、更に好ましくは1〜20質量部である。硬化性樹脂組成物が可塑剤を含まない場合、発泡剤の含有量は、重合性化合物の量を基準として調整することができる。
【0062】
(E)可塑剤
一実施形態に係る硬化性樹脂組成物は、(A)〜(D)成分に加えて、可塑剤(以下(E)成分ともいう)を更に含んでいてもよい。可塑剤は、硬化物の柔軟性を向上させて、樹脂発泡体の破壊を抑制することができる。
【0063】
可塑剤は、例えば、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、シリコンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、クロルスルホン化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム、水素化ニトリルゴム、エピクロルヒドリンゴムの液状物;ポリブテン等のポリα−オレフィン、水添ポリブテン等の水添α−オレフィンオリゴマー、アタクチックポリプロピレン等のポリビニル系オリゴマー;ビフェニル、トリフェニル等の芳香族系オリゴマー;水添液状ポリブタジエン等の水添ポリエン系オリゴマー;パラフィン油、塩化パラフィン油等のパラフィン系オリゴマー;ナフテン油等のシクロパラフィン系オリゴマー;ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジフェニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジ(ヘプチル,ノニル,ウンデシル)フタレート、ベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジノニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等のフタル酸誘導体;ジメチルイソフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)イソフタレート、ジイソオクチルイソフタレート等のイソフタル酸誘導体;ジ−(2−エチルヘキシル)テトラヒドロフタレート、ジ−n−オクチルテトラヒドロフタレート、ジイソデシルテトラヒドロフタレート等のテトラヒドロフタル酸誘導体;ジ−n−ブチルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジイソノニルアジペート等のアジピン酸誘導体;ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジ−n−ヘキシルアゼレート等のアゼライン酸誘導体;ジ−n−ブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート等のセバシン酸誘導体;ジ−n−ブチルマレート、ジメチルマレート、ジエチルマレート、ジ−(2−エチルヘキシル)マレート等のマレイン酸誘導体;ジ−n−ブチルフマレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フマレート等のフマル酸誘導体;トリ−(2−エチルヘキシル)トリメリテート、トリ−n−オクチルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート、トリ−n−ヘキシルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテート等のトリメリット酸誘導体;テトラ−(2−エチルヘキシル)ピロメリテート、テトラ−n−オクチルピロメリテート等のピロメリット酸誘導体;トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−(2−エチルヘキシル)シトレート等のクエン酸誘導体;モノメチルイタコネート、モノブチルイタコネート、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジ−(2−エチルヘキシル)イタコネート等のイタコン酸誘導体;ブチルオレート、グリセリルモノオレート、ジエチレングリコールモノオレート等のオレイン酸誘導体;メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシノレート等のリシノール酸誘導体;n−ブチルステアレート、グリセリンモノステアレート、ジエチレングリコールジステアレート等のステアリン酸誘導体;ジエチレングリコールモノラウレート、ジエチレングリコールジペラルゴネート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル等のその他の脂肪酸誘導体;トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート等のリン酸誘導体;ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ−(2−エチルヘキソエート)、ジブチルメチレンビスチオグリコレート等のグリコール誘導体;グリセロールモノアセテート、グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレート等のグリセリン誘導体、エポキシ化大豆油、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソデシル、エポキシトリグリセライド、エポキシ化オレイン酸オクチル、エポキシ化オレイン酸デシル等のエポキシ誘導体;(メタ)アクリロイル基を有する化合物を重合させて得られるアクリル共重合体等が挙げられる。これら化合物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0064】
可塑剤は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、チオール基、チオカルボキシ基、スルホニル基、無水カルボキシ基、アミノ基、アミド基等の官能基を有していてもよい。可塑剤がこれら官能基を有することで、異種材料への接着性及び耐熱性などを硬化性樹脂組成物に付与することができる。
【0065】
可塑剤は、イソプレン重合体、ブタジエン重合体、並びに、スチレン、イソプレン、ブタジエン及びエチレンから選ばれる2種以上の化合物の共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であって、エチレン性不飽和基を有しないものを含んでいてもよい。ここで、ブタジエン重合体は、「1,4−構造単位」又は「1,2−構造単位」を有することができる。「1,4−構造単位」とは、下記式(18)又は(19)で表される繰り返し単位であり、「1,2−構造単位」とは、下記式(20)で表される繰り返し単位である。
【0067】
イソプレン重合体は、例えば、クラプレンLIR−10、LIR−30、LIR−50、LIR−700、LIR−403、LIR−410(いずれも株式会社クラレ製、クラプレンは登録商標)として商業的に入手可能である。LIR−403及びLIR−410は、官能基を有するイソプレン重合体である。
【0068】
ブタジエン重合体は、例えば、RICON130、RICON131(いずれもCRAY VALLEY社製、1,4−構造単位が主であるポリブタジエン(1,4−構造単位の含有割合:72%)、クラプレンLBR−302、LBR−305、LBR−307、LBR352(いずれも株式会社クラレ製、クラプレンは登録商標、(LBR−302、LBR−305、LBR−307は1,4−構造単位が主であるポリブタジエン、LBR−352は1,2−構造単位及び1,4−構造単位の混合である))、B−1000,B−2000、B−3000(いずれも日本曹達株式会社製、1,2−構造単位が主であるポリブタジエン)、官能基を有するブタジエン重合体であるG−1000、G−2000、G−3000(いずれも日本曹達株式会社製、1,2−構造単位が主であるポリブタジエン)として商業的に入手可能である。
【0069】
スチレン、イソプレン、ブタジエン及びエチレンから選ばれる2種以上の化合物の共重合体は、例えば、クラプレンLIR−310、LIR−390、L−SBR−820、L−SBR−841(いずれも株式会社クラレ製、クラプレンは登録商標、LIR−310、LIR−390はスチレン−イソプレン共重合体、L−SBR−820、L−SBR−841はスチレン−ブタジエン共重合体)として商業的に入手可能である。
【0070】
揮発性、粘度、作業性、耐黄変性、相溶性、耐熱性の観点から、可塑剤は、ブタジエン重合体、イソプレン重合体、ポリα−オレフィン、水添α−オレフィンオリゴマー、アクリル共重合体又はこれらの組み合わせを含むことが好ましい。
【0071】
可塑剤の含有量は、硬化物の柔軟性を適度な範囲に調整する観点から、硬化性樹脂組成物の総量に対して、好ましくは1〜90質量%、より好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは10〜70質量%である。
【0072】
(A2)低分子(メタ)アクリロイル化合物
一実施形態に係る硬化性樹脂組成物は、重合性化合物として、分子内に(メタ)アクリロイル基を1つ以上有し、ポリジエン鎖を有しない低分子(メタ)アクリロイル化合物(以下(A2)成分ともいう)を更に含有してもよい。低分子(メタ)アクリロイル化合物は、例えば、下記式(21)で表される(メタ)アクリレート誘導体、又は下記式(22)で表される(メタ)アクリルアミド誘導体のうち少なくともいずれか一方であることが好ましい。低分子(メタ)アクリロイル化合物の重量平均分子量又は分子量が、1000未満であってもよい。
【0073】
【化19】
式(21)中、R
211は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基、環式アルキル基、芳香族含有官能基、又は複素環式官能基を示し、R
212は水素原子又はメチル基を示す。
【0074】
【化20】
一般式(22)中、R
221及びR
222はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、R
223は水素原子又はメチル基を示す。R
221及びR
222は同じであっても、異なっていてもよい。
【0075】
式(21)で表される(メタ)アクリレート誘導体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)スクシネート等の脂肪族(メタ)アクリレート;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)テトラヒドロフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)ヘキサヒドロフタレート、1−デカヒドロナフタレン(メタ)アクリレート、2−デカヒドロナフタレン(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、o−ビフェニル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、1−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(1−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(2−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;2−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−N−カルバゾール等の複素環式(メタ)アクリレート、これらのカプロラクトン変性体などが挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0076】
式(22)で表されるアクリルアミド誘導体としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の水酸基含有(メタ)アクリルアミド;ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミドが挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0077】
低分子(メタ)アクリロイル化合物の重量平均分子量は1000以下であることが好ましい。低分子(メタ)アクリロイル化合物の重量平均分子量が1000以下であれば、硬化性樹脂組成物の粘度が下がり、その取り扱い性が向上する傾向がある。低分子(メタ)アクリロイル化合物の重量平均分子量の下限は、特に制限されないが、50以上であってもよい。
【0078】
硬化性樹脂組成物中の低分子(メタ)アクリロイル化合物の含有量は、硬化性樹脂組成物の適度な粘度の観点、並びに、硬化収縮率、及び硬化物の弾性率の調整の観点から、硬化性樹脂組成物の総量に対して、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは0.5〜25質量%、更に好ましくは1〜25質量%、特に好ましくは3〜20質量%である。低分子(メタ)アクリロイル化合物の含有量が0.1質量%以上であれば、適度な粘度を有する硬化性樹脂組成物が得られ易く、それにより塗布時の作業性を良好なものとすることができる。更に、硬化収縮率が低くなる傾向、硬化性樹脂組成物の遮光部における硬化性が良好になる傾向、及び、硬化物の透明性が向上する傾向がある。(メタ)アクリロイル化合物の含有量が30質量%以下であれば、硬化収縮率が適度に小さくなる傾向がある。
【0079】
その他の添加剤
一実施形態に係る硬化性樹脂組成物は、酸化防止剤、黄変防止剤、紫外線吸収剤、可視光吸収剤、着色剤、可塑剤、安定剤、充填剤等のいわゆる添加剤を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で含んでいてもよい。
【0080】
添加剤としては例えば、亜燐酸トリフェニル等の安定剤、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)等のチオール化合物が挙げられる。
【0081】
硬化性樹脂組成物は、相溶性及び粘度の観点から好適な有機溶剤を用いて希釈されて樹脂ワニスを形成していてもよい。ここで用いる有機溶剤としては、硬化性樹脂組成物を溶解し得るものであれば特に制限はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、p−シメン等の芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル;メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、3−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ノルマルブチル、酢酸イソブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の炭酸エステル;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の多価アルコールアルキルエーテルアセテート;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミドなどが挙げられる。
【0082】
これらの中で、溶解性及び沸点の観点から、トルエン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、3−ペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ノルマルブチル、酢酸イソブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート又はN,N−ジメチルアセトアミドが好ましい。
【0083】
有機溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、樹脂ワニス中の固形分濃度(有機溶剤以外の成分の濃度)は、特に制限されないが、10〜90質量%であることが好ましい。樹脂ワニスの固形分濃度が10質量%以上であれば乾燥により溶剤を除去しやすくなり、90質量%以下であればハンドリングが容易となる傾向がある。
【0084】
以下に、本実施形態に係る硬化性樹脂組成物から製造される硬化物及び樹脂発泡体の形態について説明する。樹脂発泡体は、発泡によって形成された気泡を含む硬化物である。
【0085】
樹脂発泡体は、例えば、活性光線の照射又は加熱によって硬化性樹脂組成物を硬化する工程と、硬化物を発泡させる工程とを含む方法により、製造される。硬化物及び樹脂発泡体の形態は、特に制限されないが、例えば、シート状、糸状、繊維状、又はその他の立体形状であることができる。
【0086】
硬化性樹脂組成物の硬化方法としては、取り扱い性、短タクト性、及び省エネルギーの観点から、活性光線の照射による方法が好ましい。活性光線の光源としては、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射する光源が挙げられる。他の光源として写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射するものが挙げられる。活性光線の照射量は、0.01〜50J/cm
2であることが好ましい。照射量が0.01J/cm
2以上であると、硬化反応が十分に進行し、目的とする形状の硬化物を得やすい傾向がある。照射量が50J以下であれば、エネルギーが過剰とならず、効率的に(樹脂)硬化物を得ることができる。
【0087】
活性光線の照射の後に、硬化性樹脂組成物を発泡剤が反応しない程度に加熱してもよい。露光後の加熱を行うことで、硬化反応が促進され、硬化物の強度が向上する傾向がある。このときの加熱温度は40℃〜200℃が好ましく、加熱時間は30秒〜1時間が好ましい。発泡剤の反応性等に応じて、適宜加熱温度、加熱時間を調整することが好ましい。
【0088】
次に、得られた硬化物を加熱して発泡させることで、目的とする樹脂発泡体を得ることができる。加熱温度は、発泡剤の反応温度に応じて調整すればよく、例えば、60〜300℃であることが好ましい。加熱時間は、例えば1〜90分であってもよい。発泡前の硬化工程で硬化性樹脂組成物を部分的に硬化し、発泡工程において硬化を更に進行させながら樹脂を発泡させてもよい。
【0089】
一実施形態に係る硬化性樹脂組成物から製造される樹脂発泡体は、軽量かつ衝撃吸収性、柔軟性に富むことができる。設計の自由度の高さから、樹脂発泡体は、例えば、衝撃吸収材、衝撃緩衝材、圧力分散材、制振材、防振材、吸音材、防音材、遮音材、蓄熱材、断熱材、又は感触改善部材として用いることができる。感触改善部材は、例えば、スポーツ用品用途、玩具・遊具用途、文房具用途、医療・介護用途、履物用途、寝具・寝装品用途、家具用途、衣料用途、各種雑貨用途、輸送用途、梱包用途、OA機器、家電製品、オーディオ機器、携帯機器、産業用機械・機器、精密機器電気電子機器、電気電子部品、ロボット用部材用途、建材用途、床材用途に用いられ得る。設計の自由度、軽量性、柔軟性の観点から、樹脂発泡体はスポーツ用途に特に有用である。
【0090】
本実施形態に係る樹脂発泡体が有用なスポーツ用途の例としては、球技場、競技場のフェンス等に設置する衝撃緩衝材、体操競技又は運動用の着地マット、床運動用マット、ジムのストレッチ用マット、キッズマット、ボルダリング用マット、高飛び用のクッション材、ウエットスーツ、ゴルフクラブ・バット・テニスラケットなどのグリップ又は心材、グラブ又はミットの心材、スポーツシューズの上敷き、中敷き、衝撃吸収部材、靴底、スキーブーツ・スノーボードブーツのライナー、ゴルフクラブヘッドの内材、スポーツ用プロテクター類(例えば、ラグビー及びボクシング等の格闘技で使用するヘッドギア、野球又はフットボールのヘルメット、野球・サッカー・格闘技等のひじあて、レガース(シンガード)等)、ラケットのガット又はグリップ、ボール、ライダー用スーツ、グローブ(サッカーのキーパーグローブ、ゴルフ、スキー、ライダー用)、ライフルジャケット(例えば肩パット)が挙げられる。このなかでも、樹脂発泡体をスポーツシューズの上敷き、中敷き、衝撃吸収部材、靴底等に用いることが好ましい。
【実施例】
【0091】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0092】
1.硬化性樹脂組成物の調製
表1に示す配合比で、(A)〜(E)成分を混合した。混合物を80℃に加温し、自転公転ミキサーを用いて均一になるまで攪拌して、実施例1〜6及び比較例1〜5の樹脂組成物を調製した。表1中の、(A)〜(E)成分についての数値の単位は質量部である。
【0093】
【表1】
【0094】
以下に表1中に示す各成分の詳細について示す。
(A)重合性化合物
(A1)ポリジエン化合物
・UC−203M:メタクリロイル基を有するイソプレン重合体(株式会社クラレ製、製品名:クラプレンUC−203M(クラプレンは登録商標)、重量平均分子量:35,000)
・BAC−45:アクリロイル基を有するブタジエン重合体(大阪有機化学工業株式会社製、製品名:BAC−45、末端アクリロイル基変性1,2−構造単位ブタジエン重合体)
(A2)(メタ)アクリロイル基を1つ以上有し、重量平均分子量が1000未満である化合物
・FA−513AS:トリシクロデカンメチルアクリレート(日立化成株式会社製、製品名:ファンクリルFA−513AS、ファンクリルは登録商標、分子量:206.3)
【0095】
(B)ラジカル開始剤
・I−1173:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(BASF社製、製品名:IRGACURE 1173(IRGACUREは登録商標))
・I−TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(BASF社製、製品名:IRGACURE TPO(IRGACUREは登録商標))
【0096】
(C)オイルゲル化剤
・12−ヒドロキシステアリン酸(和光純薬株式会社製)
【0097】
(D)発泡剤
・アゾジカルボンアミド(和光純薬株式会社製)
・EML101(アドバンセル EML101、積水化学工業株式会社製、平均粒径:14〜20μm、アドバンセルは登録商標)
・EM403(アドバンセル EM403、積水化学工業株式会社製、平均粒径:26〜34μm、アドバンセルは登録商標)
・EM501(アドバンセル EM501、積水化学工業株式会社製、平均粒径:22〜28μm、アドバンセルは登録商標)
【0098】
(E)可塑剤
・LBR−307(1,4−ブタジエン重合体、株式会社クラレ製、製品名:クラプレンLBR−307、クラプレンは登録商標、重量平均分子量:8000)
・LIR−410(カルボキシ基を有するイソプレン重合体、株式会社クラレ製、製品名:クラプレンLIR−410、クラプレンは登録商標、重量平均分子量:30,000)
【0099】
2.樹脂硬化物の作製
ガラス板(厚み3mm)の上に離型PETフィルム(藤森工業(株)製、フィルムバイナDG−50)を載せ、その上に35mm×35mmの開口が形成されるように切り抜いたシリコーンシート(厚み5mm、十川ゴム(株)製)を載せ、型枠とした。この型枠の中に、「1.硬化性樹脂組成物の調製」で調製した硬化性樹脂組成物を80℃に加熱して流し込み、離型PETフィルム、ガラス板(厚み3mm)の順に載せ、サンプルの厚みが5mmになるように荷重をかけて、室温になるまで冷却した。次いで、紫外線照射装置(ウシオ電機(株)製、UV−Xe−FL)を用いて、両面をそれぞれ2500mJ/cm
2で露光した。その後、ガラス板、離型PETフィルムを取り除き、型枠から樹脂硬化物のサンプルを取り出した。
【0100】
3.樹脂発泡体の作製
(1)(D)発泡剤としてEM403、EM501、アゾジカルボンを用いた場合(実施例1、3、4)
「2.樹脂硬化物の作製」で得られた樹脂硬化物を防爆型恒温槽(ESPEC(株)製)を用いて、200℃、30分間加熱することで発泡させ、樹脂発泡体を得た。
(2)(D)発泡剤としてEML101を用いた場合(実施例2、5、6)
温度を160℃にした以外、(1)の方法と同様にして樹脂発泡体を得た。
【0101】
4.評価
(1)比重
各樹脂組成物から得た発泡体又は樹脂硬化物の比重を、デジタル比重計SD−200L(ALFA MIRAGE社製)で測定した。
【0102】
(2)衝撃吸収率
図1に示す落球衝撃試験装置を用いて、各発泡体又は樹脂硬化物の衝撃吸収率を測定した。SUS板3a(厚さ1m)/シリコーンシート5(厚さ1mm)/SUS板3b(厚さ1mm)が重ねられた積層体の上に、サンプルとしてのシート状の樹脂発泡体1(又は樹脂硬化物)(厚み5mm)を載せ、樹脂発泡体1の中央部に筒状のガイド11を置いた。ガイド11上部の高さ400mmの位置から、加速度計9(昭和測器株式会社製、MODEL−1340)をつけた重り7(315g)を樹脂発泡体1に向けて自由落下させた。重り7が樹脂発泡体1に衝突した時のピーク加速度(以下、「衝撃加速度A」ともいう)を測定した。また、樹脂発泡体1を積層体に載せず、積層体に向けて同様に加速度計9をつけた重り7(315g)を高さ400mmから自由落下させ、重り7が積層体に衝突した時のピーク加速度(以下、「衝撃加速度B」ともいう)を測定した。衝撃強度A,Bから、下記式により衝撃吸収率を算出した。
衝撃吸収率(%)={(衝撃加速度B−衝撃加速度A)/(衝撃加速度B)}×100
【0103】
表1に比重及び衝撃吸収率の測定結果を示す。表1より実施例1〜6の発泡体は、比較例1〜5の樹脂硬化物と比較して、15〜50%程度小さい比重を有しながら、比較例の樹脂硬化物と同等の衝撃吸収性を有することが分かった。