(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」および、それらの用語を含む別の用語)を用いる。それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一の部分又は部材を示す。また、第1被覆部材、第1透光性部材、第2透光性部材等の樹脂部材については、硬化又は固化前の液状の場合と、硬化又は固化後の固体状の場合等について同じ名称を用いる。また、個片化前の集合体の状態及び個片化された状態においても同じ名称を用いる。
【0009】
<実施形態1>
実施形態1に係る発光装置100を
図1A、
図1Bに示す。発光装置100は、発光素子10と、発光素子10の上面に設けられた第1透光性部材20と、第1透光性部材20の側面を覆う第1被覆部材30とを含む。第1透光性部材20の上面は発光装置100の発光面(光取り出し面)21として機能する。発光素子10は、一対の電極13、14を備える第1面101と、反対側にある第2面102と、第1面と第2面との間にある側面103と、を備える。
【0010】
図1Cに示すように、発光装置は発光素子の側面103及び/又は第2面102を被覆する第2透光性部材40を備えていてもよい。
【0011】
図2〜
図8を参照しながら、実施形態1に係る発光装置の製造方法について説明する。
【0012】
工程1−1.発光素子を準備する工程
図2に示すように、発光素子10として、例えば発光ダイオード等の半導体発光素子を準備する。発光素子の発光波長は、可視域(380〜780nm)を含め、紫外域から赤外域まで選択することができる。発光素子10は、透光性基板11と、半導体積層体12と、一対の電極13、14と、を備える。
【0013】
また、発光素子10は、一対の電極13、14を備える第1面101と、反対側にある第2面102と、第1面と第2面との間にある側面103と、を備える。一対の電極13、14の各々は、任意の形状にすることができる。本実施の形態の発光装置では、第1面101は半導体積層体12の下面であり、第2面102は透光性基板11の上面である。
【0014】
工程1−2.金型を準備する工程
図3A、
図3Bに示すように、上面に第1凹部61を備え、第1凹部の底面611に凸部62を備える金型60を準備する。上面に複数の第1凹部61を備えることが好ましい。このようにすることで、複数の発光装置を一度に製造することができる。凸部62は、発光素子を載置させるための上面621を備える。凸部の上面621は、平坦な面を備えていることが好ましい。このようにすることで、発光素子を凸部の上面に載置させやすくなる。尚、金型の凸部は、後述する工程で金型を除去することにより、第1被覆部材を側壁とする第2凹部となる部分である。金型は凸部の上面621に真空吸着用の貫通孔63を備えている。このようにすることで、後述する発光素子の載置工程において、凸部の上面に載置した発光素子を固定することができる。
【0015】
例えば、1つの凸部に1つの発光素子を載置する場合、凸部の上面の大きさは、少なくとも発光素子の第2面の面積の50%〜200%程度の大きさの面積とすることが好ましく、更に、100%〜120%程度の面積とすることが好ましい。
【0016】
金型の凸部の上面の形状は、円形、楕円形、多角形(例えば、四角形、六角形)、もしくは、これらを組みあわせた形状とすることができる。金型の凸部の上面の形状は、後述する第1透光性部材の下面の形状と略同一になる。また、凸部の側面622は、凸部の上面621に対して垂直又は傾斜した面とすることができる。つまり、凸部の側面622を垂直とすると、凸部62の形状は円柱状、角柱状(例えば、四角柱状、六角柱状)などの柱状とすることができる。また、傾斜した面とする場合は、凸部の形状は、円錐台、角錐台などの錐台形とすることができる。尚、このとき凸部の側面622を傾斜させる場合は、傾斜角は上面(水平面)に対して30度〜90度程度とすることができる。また、凸部62の高さは、例えば、0.1mm〜0.5mm程度とすることが好ましく、さらに、0.15mm〜0.25mm程度が好ましい。尚、凸部62の高さとは第1凹部の底面611から凸部の上面621までのZ方向の距離Dとする。
【0017】
1つの金型に設けられる複数の第1凹部は、全て同じ形状とすることが好ましい。さらに、隣接する第1凹部との距離が等しくなるように配置するのが好ましい。より好ましくは、縦方向及び横方向に規則正しく配列(行列状に配列)させることが好ましい。更に複数の第1凹部に設けられる凸部も全て同じ形状とすることが好ましい。このようにすることで、同じ形状の発光装置を複数製造することができる。
【0018】
上面視における金型の第1凹部61形状は、円形、楕円形、多角形(例えば、四角形、六角形)、もしくは、これらを組みあわせた形状とすることができる。また、第1凹部の内側面612は、第1凹部の底面611に対して垂直又は傾斜した面とすることができる。第1凹部の内側面612は、第1凹部の底面611に対して87度〜89.9度程度傾斜することが好ましい。このようにすることで、後述する工程で金型を除去することが容易になる。
【0019】
後述する第1被覆部材を形成する時は、上述のように、上面に複数の第1凹部を備え、第1凹部の底面に凸部を備える金型(下金型)のみを用いることができるほか、上金型を備えていてもよい。金型(下金型)のみの場合は、後述の第1被覆部材の形成を、ポッティング、印刷、スプレー等で行うことができる。金型(下金型)と上金型とを用いる場合は、後述の第1被覆部材の形成を、トランスファモールド、圧縮成形、射出成型などで行うことができる。上金型を用いる場合は、上金型の下面と、金型(下金型)の上面とが対向するように配置する。上金型の下面は、平坦面としてもよいし、微細な凹凸を設けてもよい。また、上金型の下面と、金型(下金型)の凸部の上面との間に硬化前の第1被覆部材を注入可能な隙間を空けて配置することが好ましい。つまり、上金型の下面と、金型(下金型)の凸部の上面は離間することが好ましい。
【0020】
工程1−3.発光素子を載置する工程
図4Aに示すように、凸部の上面621を発光素子の第2面102と向かい合うようにして、金型60の凸部の上面621に発光素子10を載置する。発光素子10の固定には、真空吸着を用いてもよい。真空吸着する場合は、金型の凸部の上面に真空吸着用の貫通孔63を設けておき、その上に載置した発光素子を吸着することで固定できる。この場合、貫通孔の開口径は、発光素子の第2面の面積よりも小さくすることが好ましい。
【0021】
図4Bに示すように、発光素子10の固定には、第2透光性部材40を用いてもよい。硬化前の液状の第2透光性部材40を凸部の上面621と発光素子の第2面102との間に配置した後、第2透光性部材40を硬化する。これにより、凸部の上面621と発光素子の第2面102との間に配置された第2透光性部材40により発光素子を固定することができる。硬化前の液状の第2透光性部材40は凸部の上面621に設けていてもよいし、発光素子の第2面102に設けていてもよい。
【0022】
第2透光性部材40は、発光素子の第2面102から発光素子の側面103まで被覆してもよい。第2透光性部材40が発光素子の側面103と接して被覆することで、発光素子と凸部との接着力が向上するので好ましい。発光素子と凸部との接着力が向上することで、後述する第1被覆部材を形成時に発光素子が凸部の上面から移動することを抑制できる。第2透光性部材は、後述する第1被覆部材よりも発光素子からの光の透過率が高い。このため、第2透光性部材40が透光性基板11及び半導体積層体12の側面まで被覆することが好ましい。また、第2透光性部材40の外面401は、発光素子10の第1面101側から第2面102側に向かって外向きに傾斜するのが好ましい。このようにすることで、発光素子10からの光が第2透光性部材40を通して発光素子10の外側に出やすくなる。
【0023】
発光素子を凸部の上面に載置した後に、金型の凸部の上面に発光素子の側面を被覆する第2透光性部材を配置してもよい。この場合は、金型の凸部の上面の大きさが、その上に載置される発光素子の第2面の面積よりも大きい。つまり、凸部の上面に、発光素子が載置されていない、露出された上面があることが必要である。例えば、金型の凸部の上面に発光素子を載置した後に、発光素子から露出された凸部の上面に硬化前の第2透光性部材を設ける。硬化前の第2透光性部材は、流動性のある液体の状態であり、硬化前の第2透光性部材を凸部の上面に設けることで、発光素子の側面を這い上がる。この後で、硬化前の第2透光性部材を硬化することで、少なくとも発光素子の側面の一部を覆う第2透光性部材を形成することができる。発光素子の側面のほぼ全面を覆うように第2透光性部材を設けてもよい。
【0024】
第2透光性部材40は、金型の凸部の上面以外の領域、すなわち、凸部の側面や第1凹部の底面には設けられないようにするのが好ましい。このようにすることで、第2透光性部材40が発光装置の外面にまで設けられることを抑制できるので、発光装置の見切り性を向上させることができる。
【0025】
金型の1つの凸部の上面に1つの発光素子を載置してもよく、あるいは、
図4Cに示すように、1つの凸部に複数の発光素子を載置してもよい。1つの凸部に複数の発光素子を載置することで、複数の発光素子を備えた発光装置を得ることができる。これにより、1つの発光素子を備えた発光装置を複数並べたものに比べて、それらと同じ数の発光素子を備えており、同等の出力を提供できる発光装置をより小型化にすることができる。
【0026】
また、
図4Dに示すように、複数の凸部に1つの発光素子を載置してもよい。このようにすることで、発光素子の第2面102と金型60との間に空洞64が位置する。空洞64内に後述する第1被覆部材を形成することで、第1被覆部材を側壁とする第2凹部を複数形成することができる。これにより、発光素子の上面に後述する第1透光性部材を複数形成することができる。複数の第1透光性部材のそれぞれは、同じ材料を用いても、異なる材料を用いてもよい。例えば、異なる蛍光体を含有させた複数の第1透光性部材が発光素子の上面を被覆することで、第1透光性部材毎に異なる波長の光を発する発光装置とすることができる。
【0027】
工程1−4.第1被覆部材を形成する工程
図5Aに示すように、金型の第1凹部内において、金型の第1凹部の内側面612と、金型の凸部の側面622と、発光素子の側面103と、を被覆する第1被覆部材30を形成する。尚、第1被覆部材30は、光反射性を有する。第1被覆部材30は、金型の第1凹部の底面611を被覆してもよい。第1被覆部材30は、発光素子の側面103の全面を覆うように設けることが好ましい。金型の第1凹部の内側面612と第1被覆部材30は別部材を介して被覆してもよいが、第1凹部の内側面と第1被覆部材30とが接することが好ましい。このようにすることで、第1被覆部材30の形状を第1凹部の形状と略同一にすることができる。第1被覆部材30の形状を第1凹部の形状と略同一になることで、第1被覆部材30の形状がばらつくことを抑制できる。
【0028】
第1被覆部材30は、例えば、第1被覆部材の原材料となる液状樹脂材料を金型の第1凹部内に流し入れる。その後に、液状樹脂材料を加熱等によって硬化させることで、第1被覆部材30を形成することができる。
【0029】
図5Bに示すように、金型60の凸部の上面621と発光素子10とが第2透光性部材40により固定されている場合は、第1被覆部材30が、第2透光性部材40と接して発光素子の側面103を被覆してもよい。また、第2透光性部材40が発光素子の側面103を被覆している場合は、第1被覆部材30は、第2透光性部材40を介して発光素子の側面103を被覆してもよい。
【0030】
発光素子10の第1面101のうち、電極13、14が形成されていない部分も、第1被覆部材30で覆ってもよい。このとき、電極13、14の一部が、第1被覆部材30から露出するように、第1被覆部材30の厚さ(Z方向の寸法)を調節してもよい。また、電極13、14を埋設する厚みの第1被覆部材30を形成した後に、第1被覆部材30の一部を除去し、電極13、14を露出させるようにしてもよい。第1被覆部材30を除去する際は、当該分野で公知の方法のいずれを利用してもよい。例えば、エッチング、切削、研削、研磨、ブラスト等が挙げられる。
【0031】
複数の第1凹部内に形成された第1被覆部材はそれぞれ離間することが好ましい。複数の第1被覆部材が繋がっている場合には、第1被覆部材を切断等して発光装置を個片化しなければならない。このため、切断箇所がずれると発光装置の形状がばらつくおそれがある。複数の第1凹部内に形成された第1被覆部材がそれぞれ離間することで第1被覆部材を個片化した状態で形成することができる。これにより、第1被覆部材の形状がばらつくことを抑制できる。また、複数の第1被覆部材が離間している形態は、発光装置を個片化するために複数の第1被覆部材が繋がっている箇所を切断する工程が不要になるので、発光装置を容易に製造することができる。
【0032】
工程1−5.第1被覆部材をシートに貼り付ける工程
図6に示すように、複数の第1被覆部材30をシート70に貼り付ける工程を含んでもよい。また、複数の発光素子10をシート70に貼り付けもよい。発光装置中間体80がシートで繋がっていることで、後述する金型を除去する時に、複数の発光装置中間体を個別に金型から除去する場合よりも容易に発光装置中間体から金型を除去することができる。ここで、発光装置中間体80とは、発光素子10と第1被覆部材30とを備えたものであり、後述する第1透光性部材が形成される前の段階の成形品を指す。尚、発光素子の側面を被覆する第2透光性部材を備える場合には、発光装置中間体は、発光素子と第1被覆部材と第2透光性部材とを備える。
【0033】
シートは、1つの金型の上面の全体を1枚で覆うことができる大きさのシートが好ましく、発光装置中間体の形状に沿って変形可能な伸縮性のあるシートが好ましい。例えば、シリコーン、塩化ビニール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリイミド等からなるシートが挙げられる。シートの厚みは、特には限定されないが、発光素子の高さよりも低い程度とすることが好ましい。シートの厚みは、0.02mmから0.1mm程度とすることが好ましい。また、第1被覆部材及び/又は発光素子の電極と対向するシートの上面は、粘着性を有する。
【0034】
工程1−6.第2凹部を形成する工程
図7Aに示すように、金型を除去することにより、凸部の側面を被覆していた第1被覆部材30を側壁301とする第2凹部90を形成する。尚、
図7Aは、金型から取り出した発光装置中間体80を上下反転させた状態を示す。第2凹部90は、発光素子10の第2面102を底面の一部とし、第1被覆部材30を側壁301としている。金型の凸部の上面の面積が発光素子の第2面の面積よりも大きい場合には、第2凹部90の底面は、発光素子の第2面と、その周囲に設けられた第1被覆部材30と、から構成されている。金型の凸部の上面の面積が発光素子の第2面の面積よりも小さい場合には、第2凹部の底面は、発光素子の第2面により構成されている。
【0035】
図7Bに示すように、発光装置中間体80が第2透光性部材40を備える場合には、第2凹部90の底面が第2透光性部材の上面402により構成されてもよい。第2透光性部材の上面402とは、第2透光性部材において発光素子と対向する面と反対側にある面のことである。また、第2凹部の底面が第2透光性部材の上面及び発光素子の第2面により構成されてもよい。
【0036】
工程1−7.第1透光性部材を形成する工程
図8に示すように、第2凹部内に第1透光性部材20を配置する。第1透光性部材20の側面201は、光反射性を有する第1被覆部材30により被覆される。これによって、発光装置の見切り性が向上する。また、上面視において、第1透光性部材20が第1被覆部材30に囲まれることが好ましい。これにより、発光装置の見切り性が更に向上する。第1透光性部材は、ポッティング、スプレー塗布、印刷等で設けることができ、特にポッティングが好ましい。例えば、
図8に示す例では、第1被覆部材30の上端と同じ高さまで第1透光性部材20を配置している。本実施の形態では、予め第2凹部の側壁が上述した第1被覆部材によって構成されていることで、硬化前の第1透光性部材を第2凹部に注入し、その後、第1透光性部材を硬化することで、第1透光性部材の側面を第1被覆部材により被覆することができる。従来の発光装置の製造方法では、個片化及び硬化された第1透光性部材を準備し、個片化及び硬化された第1透光性部材の側面を被覆する第1被覆部材を形成する工程を行っていたが、本実施形態では、従来の個片化及び硬化された第1透光性部材を準備する工程が不要になるので、発光装置を容易に製造することができる。
【0037】
第1透光性部材は、透光性材料により構成される。また、第1透光性部材は、透光性材料と波長変換部材とを含有していてもよい。透光性材料を調整する際に波長変換部材を所定の割合で混合させた後に、第2凹部内に充填することができる。このように、第2凹部内に波長変換部材を含む第1透光性部材を設けることで、発光素子と波長変換部材との混色光を発光可能な発光装置とすることができる。
【0038】
第1透光性部材内において、波長変換部材が発光素子と対向する面側に偏在することが好ましい。このようにすることで、波長変換部材として水分に弱いものを使用した場合には、波長変換部材が偏在していない第1透光性部材が保護層としての機能を果たす。これにより、波長変換部材が劣化されることを抑制し、良好な色度を保つことができる。例えば、水分に弱い蛍光体としてはKSF系蛍光体が挙げられる。
【0039】
上記の工程により、実施形態1に係る発光装置100を得ることができる。
【0040】
<実施形態2>
実施形態2に係る発光装置200を
図9A〜9Dに示す。本実施の形態に係る発光装置200は、発光素子の側面103と第1透光性部材20とが対向する点で第1実施形態の発光装置100と相違する。その他の点については、第1実施形態の発光装置100と同様である。発光装置200は、発光素子の側面103方向から主に光を取り出すことができる。発光素子の側面103は、透光性基板11及び半導体積層体12の側面により構成される。尚、実施形態1の変形例と同様に発光装置200は発光素子の側面を被覆する第2透光性部材を備えていてもよい。第2透光性部材は発光素子の第1面及び/又は第2面の一部を被覆してもよい。
【0041】
図9Bに示すように、正面視における発光装置200の厚みH(Z方向)は、発光装置200の幅W(X方向)より短いことが好ましい。これにより、薄型の発光装置とすることができる。
【0042】
図10〜
図14Bを参照しながら、実施形態2に係る発光装置の製造方法について説明する。
【0043】
工程2−1.発光素子を準備する工程
第1実施形態に係る発光装置の製造方法と同様に発光素子を準備する。
【0044】
工程2−2.金型を準備する工程
図10に示すように、上面に第1凹部61を備え、第1凹部の底面に凸部62を備える金型60を準備する。上面に複数の第1凹部61を備えることが好ましい。このようにすることで、複数の発光装置を一度に製造することができる。凸部62は、発光素子を載置させるための上面621を備える。金型は凸部の上面621及び/又は第1凹部の内側面612に真空吸着用の貫通孔63を備えている。このようにすることで、後述する発光素子の載置工程において、凸部の上面及び/又は第1凹部の内側面に発光素子を固定することができる。
【0045】
本実施の形態では、発光素子の側面を凸部の上面と向かい合わせて配置する。このため、1つの凸部に1つの発光素子を載置する場合、凸部の上面621の大きさは、少なくとも発光素子の側面の面積の50%〜200%程度の大きさの面積とすることが好ましく、更に、100%〜120%程度の面積とすることが好ましい。尚、発光素子の側面の面積とは、凸部の上面と向かい合う発光素子の一側面の面積である。
【0046】
工程2−3.発光素子を載置する工程
図11Aに示すように、凸部の上面621を発光素子の側面103と向かい合うようにして、金型60の凸部の上面621に発光素子10を載置する。発光素子10の固定には、例えば真空吸着を用いることができる。真空吸着する場合は、金型に設けた貫通孔63により発光素子を吸着して固定する。発光素子の側面を固定する場合は、貫通孔の開口径は、発光素子の側面の面積よりも小さくすることが好ましい。
【0047】
発光素子の電極は、第1凹部の内側面と接するように配置することが好ましい。このようにすることで、後述する第1被覆部材から発光素子の電極を露出させやすくなる。第1凹部の内側面に設けた貫通孔を用いて発光素子の電極を真空吸着することで容易に発光素子の電極と第1凹部の内側面とが接するように配置することができる。発光素子の電極部を吸着する場合は、貫通孔の開口径は、発光素子の電極の面積よりも小さくすることが好ましい。
【0048】
発光素子10の固定には、第1実施形態に係る発光装置の製造方法と同様に第2透光性部材を用いてもよい。硬化前の液状の第2透光性部材を凸部の上面と発光素子の側面との間に配置した後、第2透光性部材を硬化する。これにより、
図11Bに示すように、凸部の上面と発光素子の側面との間に配置された第2透光性部材により発光素子を固定することができる。硬化前の液状の第2透光性部材は凸部の上面に設けていてもよいし、発光素子の側面に設けていてもよい。
【0049】
第2透光性部材40は、発光素子の第1面101、発光素子の側面103、発光素子の第2面102の一部を被覆してもよい。また、発光素子を凸部の上面に載置した後に、発光素子の第1面、発光素子の第2面及び/又は発光素子の側面の一部を被覆する第2透光性部材を形成してもよい。
【0050】
工程2−4.第1被覆部材を形成する工程
図12に示すように、金型の第1凹部内において、金型の第1凹部の内側面612と、金型の凸部の側面622と、発光素子の側面103と、を被覆する第1被覆部材30を形成する。第1被覆部材30は、金型の第1凹部の底面611を被覆してもよい。本実施の発光装置の製造方法では、第1被覆部材30が、金型の凸部と対向する発光素子の側面の反対側にある発光素子の側面を被覆する。また、第1被覆部材30が発光素子の第1面101及び第2面102を被覆する。金型の凸部と対向する発光素子の側面の少なくとも一部は第1被覆部材から露出される。
【0051】
金型の凸部の上面と発光素子とが第2透光性部材により固定されている場合は、第1被覆部材が、第2透光性部材と接して発光素子の側面を被覆してもよい。また、第2透光性部材が発光素子の第1面及び第2面を被覆している場合は、第1被覆部材は、第2透光性部材を介して発光素子の第1面及び第2面を被覆してもよい。
【0052】
発光素子の電極が金型の第1凹部の内側面と接することで、発光素子の電極の一部を第1被覆部材から露出させることができる。発光素子の電極が第1被覆部材に被覆されている場合は、第1被覆部材の一部を除去して発光素子の電極の一部を第1被覆部材から露出させる。
【0053】
工程2−5.第1被覆部材をシートに貼り付ける工程
図13に示すように、複数の第1被覆部材30をシート70に貼り付ける工程を含んでもよい。このようにすることで、容易に複数の発光装置中間体80から金型60を除去することができる。
【0054】
工程2−6.第2凹部を形成する工程
図14Aに示すように、金型を除去することにより、凸部の側面を被覆していた第1被覆部材を側壁301とする第2凹部90を形成する。尚、
図14Aは、金型から取り出した発光装置中間体80を上下反転させた状態を示す。第2凹部90は、発光素子10の側面103を底面の一部とし、第1被覆部材30を側壁301としている。金型の凸部の上面の面積が発光素子の側面の面積よりも大きい場合には、第2凹部の底面は、発光素子の側面と、その周囲に設けられた第1被覆部材と、から構成されている。金型の凸部の上面の面積が発光素子の側面の面積よりも小さい場合には、第2凹部の底面は、発光素子の側面により構成されている。
【0055】
図14Bに示すように、発光装置中間体80が第2透光性部材40を備える場合には、第2凹部90の底面が第2透光性部材の上面402により構成されてもよい。第2透光性部材の上面402とは、第2透光性部材において発光素子と対向する面と反対側にある面のことである。また、第2凹部の底面が第2透光性部材の上面及び発光素子の側面により構成されてもよい。
【0056】
工程2−7.第1透光性部材を形成する工程
第1実施形態に係る発光装置の製造方法と同様に第2凹部内に第1透光性部材を配置する。これにより、本実施形態の発光装置の製造方法は、第1実施形態に係る発光装置の製造方法と同様に個片化及び硬化された第1透光性部材を準備する工程が不要になるので、発光装置を容易に製造することができる。
【0057】
上記の工程により、実施形態2に係る発光装置200を得ることができる。発光装置200は、実施形態1に係る発光装置100と同様に第1透光性部材20の側面201が、第1被覆部材30に被覆されるので見切り性がよい。
【0058】
<実施形態3>
実施形態3に係る発光装置300を
図15A、15Bに示す。本実施の形態に係る発光装置300は、第1被覆部材30が第2被覆部材31と第3被覆部材32とを備え、第3被覆部材が第2被覆部材を被覆する点で第1実施形態の発光装置100と相違する。第3被覆部材は、第2被覆部材の上面を被覆する。その他の点については、第1実施形態の発光装置100と同様である。
【0059】
発光装置が例えば、ディスプレイ等の表示装置に用いられる場合は、第3被覆部材32が暗色系の部材で形成されることが好ましい。第3被覆部材が暗色系の部材で形成されることで、第3被覆部材が太陽光、照明等の外来光を反射することを抑制できる。これにより、外来光が反射することにより生じる表示コントラストの低下を抑制できる。また、発光素子のピーク波長における第2被覆部材31の反射率は、第3被覆部材32の反射率よりも高いことが好ましい。第2被覆部材31は発光素子の側面103を被覆しているので、第2被覆部材の反射率が高いことで発光装置の光取り出し効率を向上させることができる。尚、実施形態1の発光装置の製造方法の変形例と同様に発光装置300は発光素子の側面及び/又は第2面を被覆する第2透光性部材を備えていてもよい。
【0060】
第3被覆部材が暗色系の部材で形成される場合には、
図15Cに示すように、第1透光性部材の側面201において、第1透光性部材と第2被覆部材と接する面積が、第1透光性部材と第3被覆部材と接する面積よりも大きいことが好ましい。このようにすることで、発光素子からの光が第3被覆部材に吸収されることを抑制できる。
【0061】
図16を参照しながら、実施形態3に係る発光装置の製造方法について説明する。
【0062】
工程3−1.発光素子を準備する工程
第1実施形態に係る発光装置の製造方法と同様に発光素子を準備する。
【0063】
工程3−2.金型を準備する工程
第1実施形態に係る発光装置の製造方法と同様に金型を準備する。
【0064】
工程3−3.発光素子を載置する工程
第1実施形態に係る発光装置の製造方法と同様に金型の凸部の上面に発光素子を載置する。
【0065】
工程3−4.第1被覆部材を形成する工程
図16に示すように、金型の第1凹部内において、金型の第1凹部の内側面612と、金型の凸部の側面622と、発光素子の側面103と、を被覆する第1被覆部材30を形成する。第1被覆部材30は、第2被覆部材31と第3被覆部材32とを備えている。また、第2被覆部材が第3被覆部材を被覆している。
【0066】
金型の第1凹部内において、金型の第1凹部の内側面612と、金型の凸部の側面622と、を被覆する第3被覆部材32を形成する。第3被覆部材32は、少なくとも金型の第1凹部の底面611を被覆する。これにより、平面視において、発光装置の発光面を囲む第3被覆部材を形成することができる。また、第3被覆部材32は、第1凹部の内側面612及び/又は凸部の側面622を被覆してもよい。例えば、第3被覆部材を形成する時に、第3被覆部材が形成されたくない箇所には、その箇所を覆うマスクを用いる。第3被覆部材が第1凹部の内側面及び/又は凸部の側面を被覆することで、第1凹部の内側面及び/又は凸部の側面を覆うマスクが不要になる。これにより、第3被覆部材の形成が容易になる。
【0067】
第3被覆部材を形成した後に、金型の第1凹部内において、発光素子の側面103を被覆し、第3被覆部材に被覆される第2被覆部材31を形成する。上述のように、金型(下金型)のみの用いる場合は、第2被覆部材及び第3被覆部材の形成を、ポッティング、印刷、スプレー等で行うことができる。金型(下金型)と上金型とを用いる場合は、第2被覆部材及び第3被覆部材の形成を、トランスファモールド、圧縮成形、射出成型などで行うことができる。第3被覆部材の形成は、特にスパッタ法で行うことが好ましい。スパッタ法で第3被覆部材を形成することで、均一な厚みの第3被覆部材を形成しやすくなる。また、スパッタ法は、第3被覆部材の厚みを制御しやすい。第3被覆部材が暗色系の部材で形成されている場合には、白色系の部材よりも発光素子からの光が第3被覆部材に吸収されやすくなる。第3被覆部材の厚みを制御することで、発光素子の光が第3被覆部材に吸収されることを抑制できる。
【0068】
第3被覆部材は発光素子を凸部の上面に載置する前に形成するか、もしくは発光素子を凸部の上面に載置した後に形成してもよい。発光素子を凸部の上面に載置する前に第3被覆部材を形成する場合は、凸部の上面を覆うマスクを用いることが好ましい。このようにすることで、凸部の上面に第3被覆部材が形成されることを抑制できる。凸部の上面に第3被覆部材が形成されにくいことで、発光素子と発光面との間に第3被覆部材が配置されにくくなる。これにより、第3被覆部材を暗色系の部材で形成しても発光素子からの光が第3被覆部材に吸収されることを抑制することができる。第3被覆部材を形成した後で、発光素子を金型の凸部の上面に載置する。発光素子を載置した後で、第2被覆部材を形成する。
【0069】
発光素子を凸部の上面に載置した後に第3被覆部材を形成する場合は、発光素子を覆うマスクを用いることが好ましい。このようにすることで、発光素子と第3被覆部材とが接することを抑制できる。これにより、第3被覆部材を暗色系の部材で形成しても発光素子からの光が第3被覆部材に吸収されることを抑制することができる。第3被覆部材を形成した後で、第2被覆部材を形成する。
【0070】
工程3−5.第1被覆部材をシートに貼り付ける工程
第1実施形態に係る発光装置の製造方法と同様に第1被覆部材をシートに貼り付ける工程を含んでもよい。また、複数の発光素子をシートに貼り付けもよい。このようにすることで、容易に複数の発光装置中間体から金型を除去することができる。
【0071】
工程3−6.第2凹部を形成する工程
第1実施形態に係る発光装置の製造方法と同様に、金型を除去することにより、凸部の側面を被覆していた第1被覆部材を側壁とする第2凹部を形成する。
【0072】
工程3−7.第1透光性部材を形成する工程
第1実施形態に係る発光装置の製造方法と同様に第2凹部内に第1透光性部材を配置する。これにより、本実施形態の発光装置の製造方法は、第1実施形態に係る発光装置の製造方法と同様に個片化及び硬化された第1透光性部材を準備する工程が不要になるので、発光装置を容易に製造することができる。
【0073】
上記の工程により、実施形態3に係る発光装置300を得ることができる。発光装置300は、実施形態1に係る発光装置100と同様に第1透光性部材20の側面201が、第1被覆部材30に被覆されるので見切り性がよい。
【0074】
<実施形態4>
実施形態4に係る発光装置400を
図17に示す。本実施の形態に係る発光装置400は、発光素子10が支持基板50に実装されている点で第1実施形態の発光装置100と相違する。その他の点については、第1実施形態の発光装置100と同様である。支持基板50は絶縁性の基体52と導電性の配線53とを備えている。発光素子10が支持基板50に実装されることで、支持基板50を介して発光素子に電気を供給することができる。尚、実施形態1の変形例と同様に発光装置400は発光素子の側面及び/又は第2面を被覆する第2透光性部材を備えていてもよい。
【0075】
図18〜
図22を参照しながら、実施形態4に係る発光装置の製造方法について説明する。
【0076】
工程4−1.発光素子を準備する工程
第1実施形態に係る発光装置の製造方法と同様の発光素子を準備する。
図18に示すように、本実施形態の発光素子10は支持基板50に実装されている。また、
図19に示すように複数の発光素子10が、複数の支持基板50が繋がった集合基板51に実装されていてもよい。
【0077】
工程4−2.金型を準備する工程
第1実施形態に係る発光装置の製造方法と同様に金型を準備する。
【0078】
工程4−3.発光素子を載置する工程
図20に示すように、金型の凸部の上面に発光素子10を載置する。第1実施形態に係る発光装置の製造方法と同様に、真空吸着を用いて発光素子10を固定してもよい。支持基板の一部は、第1凹部内に位置していてもよい。複数の支持基板50が繋がった集合基板51に複数の発光素子10が実装されている場合は、集合基板51の一部は第1凹部の外側に位置する。
【0079】
発光素子10の固定には、第1実施形態に係る発光装置の製造方法と同様に第2透光性部材を用いてもよい。これにより、凸部の上面と発光素子の第2面との間に配置された第2透光性部材により発光素子を固定することができる。
【0080】
工程4−4.第1被覆部材を形成する工程
図21に示すように、金型の第1凹部内において、金型の第1凹部の内側面612と、金型の凸部の側面622と、発光素子の側面103と、を被覆する第1被覆部材30を形成する。第3被覆部材32は、金型の第1凹部の底面611を被覆してもよい。第1被覆部材30は、支持基板の金型と対向する面の一部を被覆してもよい。
【0081】
工程4−5.第2凹部を形成する工程
第1実施形態に係る発光装置の製造方法と同様に金型を除去することにより、凸部の側面を被覆していた第1被覆部材を側壁とする第2凹部を形成する。
【0082】
工程4−6.第1透光性部材を形成する工程
第1実施形態に係る発光装置の製造方法と同様に第2凹部内に第1透光性部材を配置する。これにより、本実施形態の発光装置の製造方法は、第1実施形態に係る発光装置の製造方法と同様に個片化及び硬化された第1透光性部材を準備する工程が不要になるので、発光装置を容易に製造することができる。
【0083】
工程4−7.集合基板を個片化する工程
支持基板50が繋がった集合基板51の場合は、
図22に示すように、Ct−Ct線(破線)の部分を切断等して支持基板50を個片化してもよい。つまり、複数の支持基板50が繋がった部分を切断等して個片化してもよい。
【0084】
上記の工程により、実施形態4に係る発光装置400を得ることができる。発光装置400は、実施形態1に係る発光装置100と同様に第1透光性部材20の側面201が、第1被覆部材30に被覆されるので見切り性がよい。
【0085】
以下に、各実施形態の発光装置の各構成部材に適した材料等について説明する。
【0086】
(発光素子)
発光素子としては、例えば発光ダイオード等の半導体発光素子を用いることができる。発光素子の発光波長は、可視域(380〜780nm)を含め、紫外域も選択することができる。発光素子は、透光性基板と半導体積層体と電極を含むことができる。
【0087】
(半導体積層体)
半導体積層体は、複数の半導体層を含む。半導体積層体の一例としては、第1導電型半導体層(例えばn型半導体層)、発光層(活性層)および第2導電型半導体層(例えばp型半導体層)の3つの半導体層を含むことができる。紫外光や、青色光から緑色光の可視光を発光可能な半導体層としては、例えば、III−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体等の半導体材料から形成することができる。具体的には、In
XAl
YGa
1−X−YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)等の窒化物系の半導体材料(例えばInN、AlN、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlN等)を用いることができる。赤色を発光可能な半導体積層体としては、GaAs、GaAlAs、GaP、InGaAs、InGaAsP等を用いることができる。
【0088】
(透光性基板)
発光素子の透光性基板は、サファイア(Al
2O
3)のような透光性の絶縁性材料や、半導体積層体からの発光を透過する半導体材料(例えば、窒化物系半導体材料)を用いることができる。また、GaAs等の半導体材料の場合、GaAlAs、InGaAs等が挙げられる。透光性基板は、発光素子から出射される光の60%、65%、70%又は80%程度以上を透過することができる。
【0089】
(電極)
発光素子が有する一対の電極は、半導体層の同一面側に配置されている。これらの一対の電極は、上述した第1導電型半導体層及び第2導電型半導体層と、それぞれ、電流−電圧特性が直線又は略直線となるようなオーミック接続されるものであれば、単層構造でもよいし、積層構造でもよい。このような電極は、当該分野で公知の材料及び構成で、任意の厚みで形成することができる。例えば、10μm〜300μmが好ましい。また、電極としては、電気良導体を用いることができ、例えばCu、Au、Ag、AuSn等の金属が好適である。
【0090】
(第1透光性部材)
第1透光性部材は、発光素子からの光を透過する部材であり、発光装置の発光面を構成する部材である。第1透光性部材の材料としては、透光性樹脂、ガラス等が使用できる。特に、透光性樹脂が好ましく、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。特に、耐光性、耐熱性に優れるシリコーン樹脂が好ましい。
【0091】
第1透光性部材は、上記の材料に加え、波長変換部材として蛍光体の粒子を含んでもよい。蛍光体は、発光素子からの発光で励起可能なものが使用される。例えば、青色発光素子又は紫外線発光素子で励起可能な蛍光体としては、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(Ce:YAG);セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(Ce:LAG);ユウロピウムおよび/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム系蛍光体(CaO−Al
2O
3−SiO
2);ユウロピウムで賦活されたシリケート系蛍光体((Sr,Ba)
2SiO
4);βサイアロン蛍光体、CASN系蛍光体、SCASN系蛍光体等の窒化物系蛍光体;KSF系蛍光体(K
2SiF
6:Mn);硫化物系蛍光体、量子ドット蛍光体などが挙げられる。これらの蛍光体と、青色発光素子又は紫外線発光素子と組み合わせることにより、様々な色の発光装置(例えば白色系の発光装置)を製造することができる。また、第1透光性部材には、粘度を調整する等の目的で、各種のフィラー等を含有させてもよい。
【0092】
(第2透光性部材)
第2透光性部材は、発光素子の側面及び/又は発光素子の第2面を被覆する部材である。第2透光性部材の材料としては、透光性樹脂、ガラス等が使用できる。特に、透光性樹脂が好ましく、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。特に、耐光性、耐熱性に優れるシリコーン樹脂が好ましい。第2透光性部材は発光素子の表面と接触しているので、点灯時に発光素子で発生する熱の影響を受けやすい。熱硬化性樹脂は、耐熱性に優れているので、第2透光性部材に適している。
【0093】
第2透光性部材は、光の透過率が高いことが好ましい。そのため、通常は、第2透光性部材には、光を反射、吸収又は散乱する添加物は添加されないことが好ましい。しかし、望ましい特性を付与するために、第2透光性部材に添加物を添加するのが好ましい場合もある。例えば、第2透光性部材の屈折率を調整するため、または硬化前の第2透光性部材の粘度を調整するために、各種フィラーを添加してもよい。
【0094】
(第1被覆部材)
第1被覆部材は、発光素子からの光を反射する部材であり、光反射性部材で構成される。第1被覆部材は、第1透光性部材の側面を覆うように設けられる。さらに、第1被覆部材は発光素子の側面も覆うように設けられる。発光装置が第2透光性部材を備える場合は、第1被覆部材が第2透光性部材を覆うように設けられる。
【0095】
第1被覆部材は、第1透光性部材、第2透光性部材、発光素子に対する熱膨張率の関係が、所定の関係となるような材料から形成される。すなわち、第1被覆部材は、第1被覆部材と発光素子との熱膨張率差ΔT
40が、第1透光性部材と発光素子との熱膨張率差ΔT
30よりも小さくなるように、材料が選択される。例えば、発光素子が、サファイアの透光性基板と、GaN系半導体から成る半導体積層体とを含む場合、発光素子の熱膨張率はおよそ5〜7×10
−6/Kとなる。一方、第1透光性部材又は第2透光性部材を、シリコーン樹脂から形成した場合、第1透光性部材の熱膨張率は、2〜3×10
−5/Kとなる。よって、第1被覆部材は、シリコーン樹脂よりも熱膨張率の小さい材料から形成することにより、ΔT
40<ΔT
30とすることができる。
【0096】
第1被覆部材に樹脂材料を使用する場合、一般的に、熱膨張率は10
−5/Kオーダーとなり、一般的な発光素子の熱膨張率に比べて一桁大きい。しかしながら、樹脂材料にフィラー等を添加することにより、樹脂材料の熱膨張率を低減することができる。例えば、シリコーン樹脂に、シリカ等のフィラーを添加することにより、フィラーを添加する前のシリコーン樹脂に比べて、熱膨張率を低くすることができる。
【0097】
第1被覆部材に使用できる樹脂材料としては、特に、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性の透光性樹脂であるのが好ましい。
【0098】
第1被覆部材は、光反射性樹脂から形成することができる。光反射性樹脂とは、発光素子からの光に対する反射率が70%以上の樹脂材料を意味する。第1被覆部材に達した光が反射されて、発光装置の発光面に向かうことにより、発光装置の光取出し効率を高めることができる。
【0099】
光反射性樹脂としては、例えば透光性樹脂に、光反射性物質を分散させたものが使用できる。光反射性物質としては、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライトなどが好適である。光反射性物質は、粒状、繊維状、薄板片状などが利用できるが、特に、繊維状のものは第1被覆部材の熱膨張率を低下させる効果も期待できるので好ましい。
【0100】
第1被覆部材は、第2被覆部材と第3被覆部材とを備えていてもよい。第2被覆部材及び第3被覆部材は上述の第1被覆部材と同様の材料を用いることができる。第3被覆部材は暗色系の部材でもよい。暗色系の部材は、例えば樹脂材料に暗色系の顔料を含有させることで形成できる。暗色系の顔料としては、例えばカーボンブラックを主成分とする無機顔料を用いることができる。無機顔料は、染料などの有機顔料に比較して光劣化に対して優れた耐久性を有するため、劣化による色変化を最小限に抑えることができる。
【0101】
(支持基板)
支持基板は発光素子を実装する基板である。支持基板は絶縁性の基体上に配線が形成されている。基体の材料としてはアルミナ、窒化アルミナ、ガラスエポキシ樹脂等を用いることができる。配線の材料としては、金、銀、銅等の導電性の材料を用いることができる。
【0102】
以上、本発明に係るいくつかの実施形態について例示したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意のものとすることができることは言うまでもない。