【実施例】
【0036】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
【0037】
[測定および評価]
フッ素を含有する硫酸および実施例の石膏の製造方法により製造された石膏を以下のように測定および評価した。
(1)溶液のpH
pH計((株)堀場製作所 製、商品名:pHメータ D−51)、pH電極((株)堀場製作所 製、商品名:スリーブTough電極 9681−10D)を使用して、溶液のpHを測定した。
(2)析出物の同定
X線回折装置を使用して、廃硫酸にカルシウム源を添加して廃硫酸から析出させた析出物の同定を行った。その結果、析出物は石膏であった。
(3)析出させた石膏中のフッ素の含有量
燃焼式イオンクロマトグラフ装置を使用して、フッ素を含有する硫酸にカルシウム源を添加して析出させた石膏中のフッ素含有量を測定した。
(4)溶液中のフッ化物イオン(F
−)およびテトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度
イオンクロマトグラフ装置を使用して、溶液中のフッ化物イオン(F
−)、テトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度を測定した。
(5)溶液中のホウ素換算のホウ酸の濃度
ICP発光分光分析装置を使用して、溶液中のホウ素(B)の濃度を測定した。
【0038】
[フッ素含有硫酸およびフッ素−ホウ素含有硫酸の製造]
(フッ素含有硫酸)
40%硫酸のフッ素の濃度が0.5質量%になるようにフッ化水素酸(関東化学(株)製、グレード:特級)を40%硫酸に添加して、フッ素含有硫酸(
図1の符号1に相当)を製造した。なお、フッ素含有硫酸中のフッ化物イオン(F
−)の濃度は6500mg/Lであった。
【0039】
(フッ素−ホウ素含有硫酸)
フッ素含有硫酸のホウ素の濃度が0.07質量%になるような量のホウ酸(和光純薬工業(株)製、グレード:試薬特級)をフッ素含有硫酸に添加して、フッ素−ホウ素含有硫酸(
図1の符号3に相当)を製造した。なお、フッ素−ホウ素含有硫酸中のフッ化物イオン(F
−)の濃度は2,450mg/Lであり、テトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度は4,810mg/Lであった。
【0040】
[石膏の製造方法]
(実施例1の石膏の製造方法)
<カルシウム源を添加する工程>
フッ素−ホウ素含有硫酸に同重量の純水を加えた。そして、純水を加えたフッ素−ホウ素含有硫酸のpHが5.0になるまでフッ素−ホウ素含有硫酸に炭酸カルシウム(関東化学(株)製、グレード:鹿1級)を添加し、石膏を析出させた。
【0041】
<テトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程>
石膏を析出させたフッ素−ホウ素含有硫酸を吸引ろ過にて固液分離を行い、フッ素−ホウ素含有硫酸から石膏を除去した。除去した石膏を水洗した。水洗した後の石膏(
図1の符号6に相当)中のフッ素の含有量を後述の表1に示す。水洗した後の水洗水は、析出させた石膏を除去した後に残る溶液と混合した。析出させた石膏を除去した後に残る溶液および水洗水を混合した混合溶液(
図1の符号7に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度およびテトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度を後述の表2に示す。
【0042】
上記混合溶液に、硫酸アルミニウム溶液(硫酸アルミニウムの濃度:Al
2O
3換算で8質量%)を、アルミニウム元素換算で混合溶液中の硫酸アルミニウムの濃度が1000質量ppmになるように添加した。そして、硫酸アルミニウム溶液を添加した溶液を40℃の液温を維持した状態で2日間放置した。2日間放置後の溶液(
図1の符号9に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度およびテトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度を後述の表3に示す。
【0043】
<フッ化カルシウムを析出させる工程>
2日間放置後の溶液のpHが6.0になるまで2日間放置後の溶液に炭酸カルシウム(関東化学(株)製、グレード:鹿1級)を添加し、フッ化カルシウムを析出させた。フッ化カルシウムを析出させた溶液を吸引ろ過にて固液分離を行い、溶液からフッ化カルシウムを除去した。析出させたフッ化カルシウムを除去した後に残る溶液(
図1の符号13に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度、テトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度およびホウ素換算のホウ酸イオンの濃度を後述の表4に示す。
【0044】
(実施例2の石膏の製造方法)
<カルシウム源を添加する工程>
実施例2におけるカルシウム源を添加する工程は、実施例1におけるカルシウム源を添加する工程と同じであった。
【0045】
<テトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程>
実施例2におけるテトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程は、混合溶液に、硫酸アルミニウム溶液を、アルミニウム元素換算で混合溶液中の硫酸アルミニウムの濃度が2000質量ppmになるように添加した点を除いて、実施例1におけるテトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程と同じであった。水洗した後の石膏(
図1の符号6に相当)中のフッ素の含有量を後述の表1に示す。析出させた石膏を除去した後に残る溶液および水洗水を混合した混合溶液(
図1の符号7に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度およびテトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度を後述の表2に示す。さらに、2日間放置後の溶液(
図1の符号9に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度およびテトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度を後述の表3に示す。
【0046】
<フッ化カルシウムを析出させる工程>
実施例2におけるフッ化カルシウムを析出させる工程は、実施例1におけるフッ化カルシウムを析出させる工程と同じであった。析出させたフッ化カルシウムを除去した後に残る溶液(
図1の符号13に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度、テトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度およびホウ素換算のホウ酸イオンの濃度を後述の表4に示す。
【0047】
(実施例3の石膏の製造方法)
<カルシウム源を添加する工程>
実施例3におけるカルシウム源を添加する工程は、純水を加えたフッ素−ホウ素含有硫酸のpHが6.0になるまでフッ素−ホウ素含有硫酸に炭酸カルシウムを添加して、石膏を析出させた点を除いて、実施例1におけるカルシウム源を添加する工程と同じであった。
【0048】
<テトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程>
実施例3におけるテトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程は、実施例1におけるテトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程と同じであった。水洗した後の石膏(
図1の符号6に相当)中のフッ素の含有量を後述の表1に示す。析出させた石膏を除去した後に残る溶液および水洗水を混合した混合溶液(
図1の符号7に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度およびテトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度を後述の表2に示す。さらに、2日間放置後の溶液(
図1の符号9に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度およびテトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度を後述の表3に示す。
【0049】
<フッ化カルシウムを析出させる工程>
実施例3におけるフッ化カルシウムを析出させる工程は、実施例1におけるフッ化カルシウムを析出させる工程と同じであった。析出させたフッ化カルシウムを除去した後に残る溶液(
図1の符号13に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度、テトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度およびホウ素換算のホウ酸イオンの濃度を後述の表4に示す。
【0050】
(実施例4の石膏の製造方法)
<カルシウム源を添加する工程>
実施例4におけるカルシウム源を添加する工程は、純水を加えたフッ素−ホウ素含有硫酸のpHが6.0になるまでフッ素−ホウ素含有硫酸に炭酸カルシウムを添加して、石膏を析出させた点を除いて、実施例1におけるカルシウム源を添加する工程と同じであった。
【0051】
<テトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程>
実施例4におけるテトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程は、混合溶液に、硫酸アルミニウム溶液を、アルミニウム元素換算で混合溶液中の硫酸アルミニウムの濃度が2000質量ppmになるように添加した点を除いて、実施例1におけるテトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程と同じであった。水洗した後の石膏(
図1の符号6に相当)中のフッ素の含有量を後述の表1に示す。析出させた石膏を除去した後に残る溶液および水洗水を混合した混合溶液(
図1の符号7に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度およびテトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度を後述の表2に示す。さらに、2日間放置後の溶液(
図1の符号9に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度およびテトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度を後述の表3に示す。
【0052】
<フッ化カルシウムを析出させる工程>
実施例4におけるフッ化カルシウムを析出させる工程は、実施例1におけるフッ化カルシウムを析出させる工程と同じであった。析出させたフッ化カルシウムを除去した後に残る溶液(
図1の符号13に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度、テトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度およびホウ素換算のホウ酸イオンの濃度を後述の表4に示す。
【0053】
(実施例5の石膏の製造方法)
<カルシウム源を添加する工程>
実施例5におけるカルシウム源を添加する工程は、純水を加えたフッ素−ホウ素含有硫酸のpHが7.0になるまでフッ素−ホウ素含有硫酸に炭酸カルシウムを添加して、石膏を析出させた点を除いて、実施例1におけるカルシウム源を添加する工程と同じであった。
【0054】
<テトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程>
実施例5におけるテトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程は、実施例1におけるテトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程と同じであった。水洗した後の石膏(
図1の符号6に相当)中のフッ素の含有量を後述の表1に示す。析出させた石膏を除去した後に残る溶液および水洗水を混合した混合溶液(
図1の符号7に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度およびテトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度を後述の表2に示す。さらに、2日間放置後の溶液(
図1の符号9に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度およびテトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度を後述の表3に示す。
【0055】
<フッ化カルシウムを析出させる工程>
実施例5におけるフッ化カルシウムを析出させる工程は、実施例1におけるフッ化カルシウムを析出させる工程と同じであった。析出させたフッ化カルシウムを除去した後に残る溶液(
図1の符号13に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度、テトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度およびホウ素換算のホウ酸イオンの濃度を後述の表4に示す。
【0056】
(実施例6の石膏の製造方法)
<カルシウム源を添加する工程>
実施例6におけるカルシウム源を添加する工程は、純水を加えたフッ素−ホウ素含有硫酸のpHが7.0になるまでフッ素−ホウ素含有硫酸に炭酸カルシウムを添加して、石膏を析出させた点を除いて、実施例1におけるカルシウム源を添加する工程と同じであった。
【0057】
<テトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程>
実施例6におけるテトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程は、混合溶液に、硫酸アルミニウム溶液を、アルミニウム元素換算で混合溶液中の硫酸アルミニウムの濃度が2000質量ppmになるように添加した点を除いて、実施例1におけるテトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程と同じであった。水洗した後の石膏(
図1の符号6に相当)中のフッ素の含有量を後述の表1に示す。析出させた石膏を除去した後に残る溶液および水洗水を混合した混合溶液(
図1の符号7に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度およびテトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度を後述の表2に示す。さらに、2日間放置後の溶液(
図1の符号9に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度およびテトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度を後述の表3に示す。
【0058】
<フッ化カルシウムを析出させる工程>
実施例6におけるフッ化カルシウムを析出させる工程は、実施例1におけるフッ化カルシウムを析出させる工程と同じであった。析出させたフッ化カルシウムを除去した後に残る溶液(
図1の符号13に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度、テトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度およびホウ素換算のホウ酸イオンの濃度を後述の表4に示す。
【0059】
(実施例8の石膏の製造方法)
<カルシウム源を添加する工程>
実施例8におけるカルシウム源を添加する工程は、ホウ酸をフッ素含有硫酸に添加して製造したフッ素−ホウ素含有硫酸の代わりに、実施例1の石膏の製造方法で作製された、析出させたフッ化カルシウムを除去した後に残る溶液と、ホウ酸をフッ素含有硫酸に添加してフッ素−ホウ素含有硫酸を製造したときのホウ酸の添加量に対して、17%の量のホウ酸とを添加して製造したフッ素−ホウ素含有硫酸を用いた点を除いて、実施例1におけるカルシウム源を添加する工程と同じであった。なお、フッ素−ホウ素含有硫酸中のフッ化物イオン(F
−)の濃度は2600mg/Lであり、テトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度は4600mg/Lであった。石膏を析出させたフッ素含有硫酸を吸引ろ過にて固液分離を行い、フッ素含有硫6に相当)中のフッ素の含有量を後述の表1に示す。
【0060】
<テトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程>
実施例8におけるテトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程は、実施例1におけるテトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程と同じであった。水洗した後の石膏(
図1の符号6に相当)中のフッ素の含有量を後述の表1に示す。析出させた石膏を除去した後に残る溶液および水洗水を混合した混合溶液(
図1の符号7に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度およびテトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度を後述の表2に示す。さらに、2日間放置後の溶液(
図1の符号9に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度およびテトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度を後述の表3に示す。
【0061】
<フッ化カルシウムを析出させる工程>
実施例8におけるフッ化カルシウムを析出させる工程は、実施例1におけるフッ化カルシウムを析出させる工程と同じであった。析出させたフッ化カルシウムを除去した後に残る溶液(
図1の符号13に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度、テトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度およびホウ素換算のホウ酸イオンの濃度を後述の表4に示す。
【0062】
(比較例1の石膏の製造方法)
<カルシウム源を添加する工程>
比較例1におけるカルシウム源を添加する工程は、実施例1におけるカルシウム源を添加する工程と同じであった。
【0063】
<テトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程>
比較例1におけるテトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程は、析出させた石膏を除去した後に残る溶液および水洗水を混合した混合溶液に硫酸アルミニウム溶液を添加しなかった点、および混合溶液を40℃の液温を維持した状態で5日間放置した点を除いて、実施例1におけるテトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程と同じであった。水洗した後の石膏(
図1の符号6に相当)中のフッ素の含有量を後述の表1に示す。析出させた石膏を除去した後に残る溶液および水洗水を混合した混合溶液(
図1の符号7に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度およびテトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度を後述の表2に示す。さらに、5日間放置後の溶液(
図1の符号9に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度およびテトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度を後述の表3に示す。
【0064】
<フッ化カルシウムを析出させる工程>
テトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程でテトラフルオロホウ酸イオンはほとんど分解しなかったので、比較例1では、フッ化カルシウムを析出させる工程を実施しなかった。
【0065】
(比較例2の石膏の製造方法)
<カルシウム源を添加する工程>
比較例2におけるカルシウム源を添加する工程は、純水を加えたフッ素−ホウ素含有硫酸のpHが6.0になるまでフッ素−ホウ素含有硫酸に炭酸カルシウムを添加して、石膏を析出させた点を除いて、実施例1におけるカルシウム源を添加する工程と同じであった。
【0066】
<テトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程>
比較例2におけるテトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程は、析出させた石膏を除去した後に残る溶液および水洗水を混合した混合溶液に硫酸アルミニウム溶液を添加しなかった点、および混合溶液を40℃の液温を維持した状態で5日間放置した点を除いて、実施例1におけるテトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程と同じであった。水洗した後の石膏(
図1の符号6に相当)中のフッ素の含有量を後述の表1に示す。析出させた石膏を除去した後に残る溶液および水洗水を混合した混合溶液(
図1の符号7に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度およびテトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度を後述の表2に示す。さらに、5日間放置後の溶液(
図1の符号9に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度およびテトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度を後述の表3に示す。
【0067】
<フッ化カルシウムを析出させる工程>
テトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程でテトラフルオロホウ酸イオンはほとんど分解しなかったので、比較例2では、フッ化カルシウムを析出させる工程を実施しなかった。
【0068】
(比較例3の石膏の製造方法)
<カルシウム源を添加する工程>
比較例3におけるカルシウム源を添加する工程は、純水を加えたフッ素−ホウ素含有硫酸のpHが7.0になるまでフッ素−ホウ素含有硫酸に炭酸カルシウムを添加して、石膏を析出させた点を除いて、実施例1におけるカルシウム源を添加する工程と同じであった。
【0069】
<テトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程>
比較例3におけるテトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程は、析出させた石膏を除去した後に残る溶液および水洗水を混合した混合溶液に硫酸アルミニウム溶液を添加しなかった点、および混合溶液を40℃の液温を維持した状態で5日間放置した点を除いて、実施例1におけるテトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程と同じであった。水洗した後の石膏(
図1の符号6に相当)中のフッ素の含有量を後述の表1に示す。析出させた石膏を除去した後に残る溶液および水洗水を混合した混合溶液(
図1の符号7に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度およびテトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度を後述の表2に示す。さらに、5日間放置後の溶液(
図1の符号9に相当)中のフッ化物イオン(F
−)の濃度およびテトラフルオロホウ酸イオン(BF
4−)の濃度を後述の表3に示す。
【0070】
<フッ化カルシウムを析出させる工程>
テトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程でテトラフルオロホウ酸イオンはほとんど分解しなかったので、比較例3では、フッ化カルシウムを析出させる工程を実施しなかった。
【0071】
(比較例4の石膏の製造方法)
<カルシウム源を添加する工程>
比較例4におけるカルシウム源を添加する工程は、フッ素−ホウ素含有硫酸の代わりにフッ素含有硫酸を用いた点を除いて、実施例1におけるカルシウム源を添加する工程と同じであった。石膏を析出させたフッ素含有硫酸を吸引ろ過にて固液分離を行い、フッ素含有硫6に相当)中のフッ素の含有量を後述の表1に示す。
【0072】
<テトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程>
カルシウム源を添加する工程で析出させた石膏中のフッ素の含有量が高かったため、比較例4では、テトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程を実施しなかった。
【0073】
<フッ化カルシウムを析出させる工程>
カルシウム源を添加する工程で析出させた石膏中のフッ素の含有量が高かったため、比較例4では、フッ化カルシウムを析出させる工程を実施しなかった。
【0074】
(比較例5の石膏の製造方法)
<カルシウム源を添加する工程>
比較例5におけるカルシウム源を添加する工程は、フッ素−ホウ素含有硫酸の代わりにフッ素含有硫酸を用いた点および純水を加えたフッ素含有硫酸のpHが6.0になるまでフッ素含有硫酸に炭酸カルシウムを添加して、石膏を析出させた点を除いて、実施例1におけるカルシウム源を添加する工程と同じであった。石膏を析出させたフッ素含有硫酸を吸引ろ過にて固液分離を行い、フッ素含有硫酸から石膏を除去した。除去した石膏を水洗した。水洗した後の石膏(
図1の符号6に相当)中のフッ素の含有量を後述の表1に示す。
【0075】
<テトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程>
カルシウム源を添加する工程で析出させた石膏中のフッ素の含有量が高かったため、比較例5では、テトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程を実施しなかった。
【0076】
<フッ化カルシウムを析出させる工程>
カルシウム源を添加する工程で析出させた石膏中のフッ素の含有量が高かったため、比較例5では、フッ化カルシウムを析出させる工程を実施しなかった。
【0077】
(比較例6の石膏の製造方法)
<カルシウム源を添加する工程>
比較例6におけるカルシウム源を添加する工程は、フッ素−ホウ素含有硫酸の代わりにフッ素含有硫酸を用いた点および純水を加えたフッ素含有硫酸のpHが7.0になるまでフッ素含有硫酸に炭酸カルシウムを添加して、石膏を析出させた点を除いて、実施例1におけるカルシウム源を添加する工程と同じであった。石膏を析出させたフッ素含有硫酸を吸引ろ過にて固液分離を行い、フッ素含有硫酸から石膏を除去した。除去した石膏を水洗した。水洗した後の石膏(
図1の符号6に相当)中のフッ素の含有量を後述の表1に示す。
【0078】
<テトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程>
カルシウム源を添加する工程で析出させた石膏中のフッ素の含有量が高かったため、比較例6では、テトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程を実施しなかった。
【0079】
<フッ化カルシウムを析出させる工程>
カルシウム源を添加する工程で析出させた石膏中のフッ素の含有量が高かったため、比較例6では、フッ化カルシウムを析出させる工程を実施しなかった。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】
【表3】
【0083】
【表4】
【0084】
(結果)
実施例1〜6では、フッ素を含有する廃硫酸にホウ素化合物を添加し、ホウ素化合物を添加した廃硫酸にカルシウム源を添加して石膏を析出させ、析出させた石膏を除去した後に残る溶液中のテトラフルオロホウ酸イオンを分解し、テトラフルオロホウ酸イオンを分解した溶液にカルシウム源を添加してフッ化カルシウムを析出させ、析出させたフッ化カルシウムを除去することによって得られた溶液中のフッ素の濃度が低いことがわかった。これより、その溶液を、廃硫酸中のフッ素をテトラフルオロホウ酸イオンに変化させるためのホウ素化合物として使用できることがわかる。
一方、比較例1〜3では、溶液中のテトラフルオロホウ酸イオンの大部分は分解されないため、溶液中のホウ素の多くは、テトラフルオロホウ酸イオンの状態で残り、溶液中のホウ酸の多くは、廃硫酸中のフッ素と反応しない。このため、比較例1〜3で得られた溶液にカルシウム源を添加してフッ化カルシウムを析出させ、析出させたフッ化カルシウムを除去することによって得られた溶液を、廃硫酸中のフッ素をテトラフルオロホウ酸イオンに変化させるためのホウ素化合物として使用しても、廃硫酸中のフッ素をテトラフルオロホウ酸イオンに変化させる効果が低いことがわかる。
実施例1〜6と比較例4〜6とを比較することにより、廃硫酸中にホウ素化合物を添加することにより、廃硫酸にカルシウム源を添加することによってフッ素の濃度が低い石膏を得ることのできるpHの範囲を広げられることがわかった。これにより、廃硫酸から得られる石膏の量を増やすことができる。
実施例8より、フッ素を含有する廃硫酸にホウ素化合物を添加し、ホウ素化合物を添加した廃硫酸にカルシウム源を添加して石膏を析出させ、析出させた石膏を除去した後に残る溶液中のテトラフルオロホウ酸イオンを分解し、テトラフルオロホウ酸イオンを分解した溶液にカルシウム源を添加してフッ化カルシウムを析出させ、析出させたフッ化カルシウムを除去することによって得られた溶液を用いて、フッ素を含有する廃硫酸へのホウ素化合物の添加量を低減できること、およびフッ素の含有量の低い石膏を製造できることがわかった。また、実施例8で得られた、析出したフッ化カルシウムを除去した後に残る溶液も、フッ素の濃度が低いので、廃硫酸中のフッ素をテトラフルオロホウ酸イオンに変えるために用いることができることがわかった。