(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の検出部は、前記基板保持部が保持している前記基板の周縁部の位置を夫々異なる位置で検出するための複数のセンサにより構成されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の基板搬送装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の基板搬送装置が搬送機構として組み込まれた、基板処理装置である塗布、現像装置1を構成する単位ブロックE3について、
図1の斜視図を用いて説明する。単位ブロックE3は円形の基板であるウエハWの搬送領域11を備えており、この搬送領域11は横方向に直線状に伸びている。当該搬送領域11の長さ方向の一端側には、単位ブロックE3へウエハWを搬入するために、当該ウエハWが載置される受け渡しモジュールTRS3が設けられている。搬送領域11の長さ方向を前後方向とし、受け渡しモジュールTRS3が設けられる一端側を前方側とする。前後の水平方向は便宜上、Y方向として記載する場合が有る。また、以下の説明で右側、左側とは、前方側から後方側へ向かって見たときの右側、左側とし、左右の水平方向については便宜上、X方向として記載する場合が有る。X方向、Y方向は互いに直交する。
【0014】
搬送領域11の左側には、前後方向に沿って多数の加熱モジュール12が配置されており、各加熱モジュール12は2段に積層されている。加熱モジュール12は熱板を備え、当該熱板に載置されたウエハWを加熱処理する。搬送領域11の右側には、2つのレジスト膜形成モジュール4が前後方向に沿って設けられている。搬送領域11の後方側は、単位ブロックE3に対して区画されたインターフェイスブロックD3に接続されており、このインターフェイスブロックD3には、単位ブロックE3からウエハWを搬出するために、当該ウエハWが載置される受け渡しモジュールTRS31が設けられている。
【0015】
単位ブロックE3には、ウエハWの搬送機構F3が設けられている。受け渡しモジュールTRS3に搬送されたウエハWは、搬送機構F3によりレジスト膜形成モジュール4に搬送されて液処理された後、加熱モジュール12に搬送されて加熱処理を受け、さらに受け渡しモジュールTRS31に搬送される。
図2は単位ブロックE3の平面図であり、この
図2も参照しながら搬送機構F3について、さらに詳しく説明する。
【0016】
搬送機構F3は、前後駆動ユニット21、フレーム22、昇降台23、基台24、2つのフォーク25及びウエハ検出ユニット3を備える。前後駆動ユニット21は、加熱モジュール12の下方に設けられ、フレーム22を前後に水平移動させる。フレーム22は、昇降台23を囲むように起立して設けられ、当該昇降台23を鉛直方向に昇降させる。基台24は昇降台23上に設けられており、昇降台23により鉛直軸周りに回転される。2つのフォーク25は、互いに上下に重なるように基台24上に設けられ、基台24は、これらのフォーク25を基台24上における後退位置と前進位置との間で、各々独立して進退移動させる。このように各部を移動させることができるように、前後駆動ユニット21、フレーム22、昇降台23及び基台24は、モータ、タイミングベルト及びプーリからなる駆動機構を備えている。モータは、後述の制御部10が各部の位置を検出できるようにエンコーダを備えている。
【0017】
図3は、基板保持部をなすフォーク25の平面図である。2つのフォーク25のうちの一方はモジュールからウエハWを受け取るために、他方はモジュールに対してウエハWを受け渡すために用いられる。フォーク25は、基部から先端部が2又に分かれて当該フォーク25の前進方向に向けて伸出し、ウエハWの側周を囲むように概ね馬蹄形状に構成された、扁平な本体部を備えている。この本体部からはウエハWの裏面を支持する爪部26が4つ突出しており、各爪部26には、ウエハWを支持している間に当該ウエハWの裏面を吸引して保持する吸引孔27が形成されている。ウエハWをモジュールに受け渡すために基台24が下降するときには、この吸引は停止する。また、フォーク25の基端側には、進退方向と直交する方向に間隔を空けて、2つの貫通孔が設けられている。前方側の貫通孔、後方側の貫通孔を夫々28A、28Bとする。
【0018】
ウエハ検出ユニット3について、
図4の斜視図も参照して説明する。このウエハ検出ユニット3は、各フォーク25の下方に設けられる4つの投光部31と、各フォーク25の上方に設けられる4つの受光部32と、投光部31及び受光部32を基台24に対して支持するための支持部33と、を備えている。1つの投光部31と1つの受光部32とは互いに組をなし、1つの透過型の光電センサとして構成されている。この投光部31と受光部32との組をウエハ検出用センサ30とし、ウエハ検出用センサは第1の検出部を構成する。同じ組をなす投光部31及び受光部32は、後退位置に位置するフォーク25に保持されるウエハWの周縁部を上下から挟むように設けられており、各組は、ウエハWの周方向に間隔を空けて設けられている。
【0019】
投光部31は上方へ光を照射するように構成され、図中の矢印は当該光路を示している。受光部32は、ウエハWの中心側から外周側へ向かうように直線状に配置された多数の受光素子により構成されている。上記の後退位置のフォーク25に保持されるウエハWの周縁部により、投光部31から照射された光について、一部は遮られ、他の一部はウエハWの側方を通過して受光部32に照射される。従って、投光部31の直上におけるウエハWの周端の位置に応じて、受光部32において光が照射される領域の大きさ、即ち光を受光する受光素子の数が変化する。受光部32は、光の照射領域の大きさに応じた検出信号を後述の制御部10に送信する。制御部10は当該検出信号に基づいて各受光部32の直上におけるウエハWの周端の各位置を検出し、検出された各位置からフォーク25に保持されたウエハWの中心位置を算出する。
【0020】
図2に戻って、レジスト膜形成モジュール4について説明する。図中41はスピンチャックであり、ウエハWの裏面の中心部を吸着することで当該ウエハWを水平に保持すると共に、図示しない回転機構によって回転し、保持したウエハWを鉛直軸回りに回転させる。スピンチャック41は、左右方向に沿って2つ設けられている。図中42はカップであり、各スピンチャック41に保持されたウエハWの下方及び側方を囲むように2つ設けられ、薬液の飛散を抑える。図中43は各カップ42内に設けられた、昇降自在な3本の昇降ピンであり、カップ42上に位置したフォーク25とスピンチャック41との間でウエハWを受け渡す。
【0021】
図中44は、鉛直下方にレジストを吐出するレジスト吐出ノズルであり、移動機構45により、スピンチャック41に保持されたウエハWの中心部上と、平面で見たカップ42の外側領域との間で移動し、2つのカップ42で共用される。図中46は、鉛直下方にレジストの溶剤であるシンナーを吐出するシンナー吐出ノズルであり、移動機構47により、スピンチャック41に保持されたウエハWの周縁部上と、平面で見たカップ42の外側領域との間で移動する。このレジスト膜形成モジュール4においては、スピンチャック41により回転するウエハWの中心部にレジスト吐出ノズル44によりレジストが吐出され、スピンコーティングによりウエハWの表面全体にレジスト膜が形成された後、回転するウエハWの周縁部に処理液供給ノズルであるシンナー吐出ノズル46からシンナーが吐出され、不要なレジスト膜が環状に除去される。
【0022】
レジスト膜形成モジュール4は、搬送領域11から当該レジスト膜形成モジュールを区画する垂直な壁部48を備え、当該レジスト膜形成モジュール4で行われる上記の処理が、搬送領域11における気流の影響を受けることが防止される。壁部48において各スピンチャック41の上方には、ウエハWの搬送口49が開口している。各搬送口49の搬送領域11側の口縁部には、投光部51、受光部52、投光部53及び受光部54が設けられている。これら投光部51、53及び受光部52、54を示した平面図である
図5も参照して説明する。この
図5は、スピンチャック41にウエハWを受け渡すために、搬送口49を介してレジスト膜形成モジュール4内に進入したフォーク25についても示している。
【0023】
投光部51及び投光部53は搬送口49の下方に、受光部52及び受光部54は搬送口49の上方に夫々設けられており、投光部51及び受光部52が互いに組をなし、投光部53及び受光部54が互いに組をなしている。そのように組となる投光部、受光部については上下方向に配置され、上記の投光部31及び受光部32の組と同様に1つの透過型の光電センサとして構成されている。投光部51及び受光部52をフォーク検出用センサ55とし、投光部53及び受光部54をフォーク検出用センサ56とする。これらフォーク検出用センサ55、56は第2の検出部をなす。投光部51、53は投光部31と同様に構成されており、上方に光を照射する。受光部52はY方向に受光素子が配列されることを除いて、受光部32と同様に構成され、受光部54はX方向に受光素子が配列されることを除いて、受光部32と同様に構成されている。
【0024】
図6は、
図5のフォーク25についてのA−A′矢視断面を示しており、図中に投光部51によって形成される光路を矢印で模式的に示している。この
図6に示すように投光部51は、ウエハWを受け渡すためにスピンチャック41上に位置したフォーク25の貫通孔28A及び当該貫通孔28Aの前方側(Y方向側)の縁部に光を照射するように配置されている。貫通孔28Aの前方側の縁部の位置に応じて受光部52が受光する領域の大きさは異なり、受光部52はこの受光領域の大きさに応じた信号を制御部10に出力する。制御部10はこの出力信号に基づいて、上記した貫通孔28Aの前方側の縁部(以下、単に貫通孔28Aの縁部と記載する)のY方向における位置を検出することができる。
【0025】
図7は、
図5のフォーク25についてのB−B′矢視断面を示しており、図中に投光部53によって形成される光路を矢印で模式的に示している。この
図7に示すように投光部53は、ウエハWを受け渡すためにスピンチャック41上に位置したフォーク25の貫通孔28B及び当該貫通孔28Bの右側(フォーク25の進行方向側)の縁部に光を照射するように配置されている。貫通孔28Bの右側の縁部の位置に応じて受光部54が受光する領域の大きさは異なり、受光部54はこの受光領域の大きさに応じた信号を制御部10に出力する。制御部10はこの出力信号に基づいて、上記した貫通孔28Bの右側の縁部(以下、単に貫通孔28Bの縁部と記載する)のX方向における位置を検出することができる。このようにフォーク検出用センサ55、56は、互いに直交する2つの水平軸におけるフォーク25の位置を検出することができるように設けられている。
【0026】
図2に示すように、塗布、現像装置1にはコンピュータからなる制御部10が設けられている。位置決定部をなす制御部10は、プログラム格納部を有している。このプログラム格納部には、後述のようにウエハWの搬送を行い、当該ウエハWの処理を行うことができるように命令が組まれたプログラムが格納される。このプログラムにより、塗布、現像装置1を構成する各部に制御信号が送信され、そのようなウエハWの搬送及び処理が実施される。このプログラムは、例えばコンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)、メモリーカードなどの記憶媒体により格納されて制御部10にインストールされる。
【0027】
続いて、レジスト膜形成モジュール4のスピンチャック41へのウエハWの搬送の概要について説明する。スピンチャック41にウエハWを受け渡すためのフォーク25の位置は予め設定されており、この設定位置を受け渡し初期位置とする。より詳しくは、受け渡し初期位置として、基台24上におけるフォーク25の前進位置及びフォーク25の向きについて予め設定されている。言い換えると、フォーク25を進退させる基台24、フォーク25及び基台24を回転させる昇降台23に夫々含まれるモータに設けられたエンコーダから各々出力されるパルス数(エンコーダ値)について予め設定されていることになる。このように予め設定された基台24上のフォーク25の位置、フォーク25の向きについて、夫々前進設定位置、設定向きとする。
【0028】
フォーク25においてウエハWが所定の基準保持位置に保持され、且つフォーク25がこの受け渡し初期位置に位置するときには、スピンチャック41上でウエハWの中心が当該スピンチャック41の回転軸上に位置する。上記の
図5はフォーク25、ウエハWがそのように受け渡し初期位置、基準位置に夫々位置した状態を示している。各図で、基準保持位置に保持される場合のウエハWの中心点をP0、実際に保持されたウエハWの中心点をP1、スピンチャック41の回転軸をP2として示す。なお、上記のフォーク25の向きとは、フォーク25の回転中心から見た中心点P0の向きである。
【0029】
基準保持位置からずれてウエハWがフォーク25に保持されている場合、ウエハWをスピンチャック41に受け渡すにあたり、このずれを補償するために上記の前進設定位置、設定向きから夫々ずれるようにフォーク25が移動する。つまり予め設定されたエンコーダ値からウエハWのずれに対応する分だけずれたエンコーダ値が出力されるようにフォーク25が移動する。このフォーク25が移動した位置を受け渡しの暫定位置とする。そして、フォーク検出用センサ55、56によって貫通孔28A、28Bの縁部の位置が夫々検出される。この検出された各縁部の位置と、受け渡し初期位置から受け渡しの暫定位置へとフォーク25をずらしたことが加味された、各縁部について検出されるべき位置とのずれが検出される。つまり、設定された受け渡しの暫定位置と実際のフォーク25の位置との位置ずれが検出される。
【0030】
そして、この位置ずれが解消されるように、フォーク25の向きが設定向きからさらにずれると共に、基台24上のフォーク25の位置が前進設定位置からさらにずれる。つまり、フォーク25の位置ずれ分、上記の各エンコーダから出力されるエンコーダ値が予め設定されたエンコーダ値からさらにずれるようにフォーク25を移動させ、回転軸P2上にウエハWの中心点P1が位置した状態で、ウエハWの受け渡しが行われる。
【0031】
上記のフォーク25の位置ずれの原因としては、ウエハWを処理するレシピの変更により加熱モジュール12の熱板の温度が変化してレジスト膜形成モジュール4を構成するフレームが熱により伸縮することや、この温度変化によって搬送機構F3の各部位を駆動させる駆動機構を構成するタイミングベルトが伸縮することや、搬送機構F3の基台24が水平移動する間に当該基台24が旋回することで、慣性によりこの水平移動が影響を受けることなどが挙げられる。上記のように位置ずれが補正されることで、このような各種の原因による、ウエハWの受け渡しの異常の発生を防ぐことができる。
【0032】
続いて、フォーク25の動作を具体的に示した
図8〜
図10を参照しながら、レジスト膜形成モジュール4へのウエハWの受け渡しについて詳しく述べる。
図8では説明の便宜上、鎖線の矢印の先にウエハWの中心点P0、P1を含む領域を拡大して示している。また、フォーク25の受け渡し初期位置において検出される貫通孔28Aの縁部の位置、貫通孔28Bの縁部の位置を、各々縁部の基準位置とする。
【0033】
先ず、基台24が受け渡しモジュールTRS3の手前に位置し、フォーク25が前進位置に位置する状態で基台24が上昇し、ウエハWが受け渡しモジュールTRS3からフォーク25に受け渡されて保持される。然る後、フォーク25が後退位置に移動し、各ウエハ検出用センサ30からの検出信号に基づいてウエハWの中心点P1の位置が算出され、当該中心点P1と上記の基準保持位置に保持されるウエハWの中心点P0とのずれ量が検出される。このずれ量としては具体的に、フォーク25の回転中心と中心点P1とを結ぶ第1の直線L1に沿った水平方向のずれ量ΔX1、当該第1の直線と直交する第2の直線L2に沿った水平方向のずれ量ΔY1について夫々算出される(
図8)。つまり、フォーク25におけるウエハWの位置が検出される。
【0034】
続いて、搬送機構F3の前後駆動ユニット21により、フレーム22が所定の位置に移動する。つまり、前後駆動ユニット21のモータから所定のエンコーダ値が出力されるようにフレーム22が移動する。このフレーム22の移動に並行して、フォーク25が設定向きとされる。然る後、スピンチャック41上へウエハWを受け渡すために、フォーク25の前進とフォーク25の回転とが例えば並行して行われる。フォーク25の前進は、ずれ量ΔX1に対応する分、前進設定位置からずれた位置に当該フォーク25が位置するように行われ、フォーク25の回転はずれ量ΔY1に対応する分、設定向きからずれた向きをフォーク25が向くように行われる。つまり、ずれ量ΔX1、ΔY1が補償されてウエハWの中心点P1とスピンチャック41の回転軸P2とが揃うように、フォーク25が上記の受け渡しの暫定位置へと移動して静止する(
図9)。
【0035】
続いて、フォーク検出用センサ55によりフォーク25の貫通孔28Aの縁部の位置が、フォーク検出用センサ56によりフォーク25の貫通孔28Bの縁部の位置が夫々検出される。一方で、貫通孔28Aの縁部の基準位置について、設定向きからフォーク25の向きを変更した分、即ちずれ量ΔY1に対応する分が補正され、貫通孔28Aの縁部について検出されるべき位置として取得される。同様に、貫通孔28Bの縁部の基準位置についてずれ量ΔX1に対応する分が補正され、貫通孔28Bの縁部について検出されるべき位置として取得される。そして、貫通孔28Aについて、検出されるべき位置と検出された位置とのずれ量(ΔY2とする)が算出されると共に、貫通孔28Bについて、検出されるべき位置と検出された位置とのずれ量(ΔX2とする)が算出される。
【0036】
然る後、ΔX2に対応する分のフォーク25の進退と、ΔY2に対応する分のフォーク25の回転とが例えば並行して行われ、それによってウエハWの中心点P1がスピンチャック41の回転軸P2上に位置するようにフォーク25が移動する。つまり、フォーク25が上記の受け渡しの暫定位置から、当該暫定位置とずれ量ΔX2、ΔY2とに基づいて新たに設定されたウエハWの受け渡し位置へと移動する(
図10)。以降は、レジスト膜形成モジュール4の昇降ピン43が上昇して、フォーク25から当該昇降ピン43にウエハWが受け渡され、然る後フォーク25の後退、昇降ピン43の下降が順に行われて、スピンチャック41にウエハWが受け渡される。
【0037】
なお、上記の説明では省略しているが、フォーク25がウエハWを保持してフレーム22が予め設定された位置に移動した後、ウエハWを保持したフォーク25が回転及び前進して受け渡しの暫定位置へ移動する前に、ウエハWを保持していない状態のフォーク25の進退と昇降ピン43の昇降との協働により、スピンチャック41に保持されていたウエハWが当該フォーク25に受け渡される。また、受け渡し初期位置、基準保持位置、貫通孔28A、28Bについての縁部の基準位置、ΔX1、ΔX2の各大きさに対するフォーク25の進退量、ΔY1、ΔY2の各大きさに対するフォーク25の回転量など、上記のフォーク25の位置の補正を行うために必要なデータは、制御部10に予め格納されており、このデータに基づいて既述のフォーク25の動作の制御が行われる。
【0038】
この塗布、現像装置1に設けられる搬送機構F3によれば、ウエハ検出ユニット3によってフォーク25におけるウエハWが保持された位置が検出され、この検出結果に基づいて当該フォーク25が、レジスト膜形成モジュール4のスピンチャック41にウエハWを受け渡すために予め設定された受け渡し初期位置からずれた受け渡しの暫定位置へ位置するように移動する。そして、このフォーク25は、フォーク検出用センサ55、56により検出される貫通孔28A、28Bの縁部の位置に基づいて、受け渡しの暫定位置からさらに移動するように制御されて、ウエハWの受け渡しが行われる。従って、ウエハWの中心点P1が精度高くスピンチャック41の回転軸P2に揃うように当該ウエハWを搬送することができる。結果として、レジスト膜形成モジュール4においてシンナーによってレジスト膜が除去される幅が設定値からずれることを防ぐことができるので、ウエハWの歩留りの向上を図ることができる。
【0039】
上記の例では、フォーク検出用センサ55、56を用いて、水平面において互いに直交する2つの方向におけるフォーク25の位置ずれを各々検出し、各方向の位置ずれを補償するようにフォーク25を移動させている。しかし、例えばフォーク検出用センサ55、56のうちの1つを用いて、1方向におけるフォーク25の位置ずれを検出し、当該1方向の位置ずれが解消されるようにフォーク25の移動を行う場合も上記のウエハWの中心点P1と回転軸P2とのずれを抑えることができるので、本発明の権利範囲に含まれる。また、フォーク検出用センサ55、56については、レジスト膜形成モジュール4に設けることには限られず、搬送領域11においてレジスト膜形成モジュール4から離れた位置に設けてもよい。つまり、フォーク検出用センサ55、56については、レジスト膜形成モジュール4へ当該ウエハWを受け渡すための移動路におけるフォーク25の位置を検出することができればよく、レジスト膜形成モジュール4に設けられることには限られないが、搬送機構F3との接触を防ぐために上記のようにレジスト膜形成モジュール4に設けることが好ましい。
【0040】
ところで、上記の例では搬送口49の口縁部にフォーク検出用センサ55、56を設けているが、口縁部から若干離れた位置に設けたり、搬送口49内に設けてもよい。第2の検出部が、モジュールに開口する前記基板の搬入口に設けられるとは、搬送口49(搬入口)内にセンサ55、56を設けることに限られず、上記のように口縁部やその付近にセンサ55、56を設けることが含まれる。つまり、搬送口49内に位置するフォーク25を検出することができるように、搬送口49の近傍にフォーク検出用センサ55、56を設けることが含まれる。
【0041】
上記の例ではフォーク25を検出する第2の検出部として投光部と受光部とからなる光電センサを用いているが、光電センサの代わりにCCD(Charge Coupled Device)カメラを用いてもよく、このCCDカメラによりフォーク25の貫通孔28A、28Bを検出することでフォーク25の位置を検出してもよい。そのようにCCDカメラを用いる場合、フォーク25には貫通孔28A、28Bを設ける代りに点や星印などのマークを付し、撮像された当該マークの位置に基づいてフォーク25の位置を検出してもよい。つまり、当該マークはフォーク25の位置を検出するための目印である。従って、フォーク25には貫通孔28A、28Bを形成することには限られない。CCDカメラについてもフォーク検出用センサ55、56と同様に、レジスト膜形成モジュール4に設けることに限られず、搬送領域11において当該レジスト膜形成モジュール4から離れた位置に配置され、当該搬送領域11を移動するフォーク25を撮像するように設けられていてもよい。さらに、ウエハ検出用センサ30の代わりにこのCCDカメラを基台24に設けて、フォーク25に保持されたウエハWを撮像することで、フォーク25におけるウエハWの位置が検出されるようにしてもよい。
【0042】
ところで、フォーク検出用センサ55、56について、フォーク25に受光部及び投光部のうちの一方を設け、レジスト膜形成モジュール4に投光部及び受光部のうちの他方を設ける。そして、上記のように受け渡しの暫定位置にフォーク25が移動したときに投光部から受光部へ光照射され、受光部の受光量に基づいてフォーク25の位置ずれが検出できるようにしてもよい。さらに上記のCCDカメラを例えばフォーク25の下面に設け、レジスト膜形成モジュール4には所定の位置に上記のマークを付しておく。受け渡しの暫定位置にフォーク25が移動したときに当該マークの撮像が行われ、取得された画像中のマークの位置に基づいてフォーク25の位置ずれを検出してもよい。このように第2の検出部としては、フォーク25に設けられていてもよい。また、上記のマークとしては、モジュールではなく搬送領域11に付しておいてもよい。
【0043】
なお、フォーク25としては鉛直軸周りに回転することによりウエハWを受け渡す構成とされており、フォーク25におけるウエハWの位置に基づいた暫定位置に位置するようにフォーク25が回転して向きを変え、この向き変更したときの位置と暫定位置とのずれに基づいてフォーク25の向きをずらし、ウエハWの受け渡しを行ってもよい。つまり、フォークの横方向への移動には、回転移動が含まれる。
【0044】
また、ウエハ検出用センサ30についても基台24に設けることには限られず、搬送領域11の所定の位置に固定されて設けられ、ウエハWを保持したフォーク25がレジスト膜形成モジュール4へ移動する前に、搬送領域11の所定の位置に移動することで当該フォーク25におけるウエハWの位置が検出されてもよい。さらに上記の搬送例では、スピンチャック41の回転軸P2に対するウエハWの中心点P1のY方向におけるずれの修正を、フォーク25を回転させることにより行っているが、搬送機構F3のフレーム22をY方向に移動させてフォーク25のY方向の位置をずらすことで行うようにしてもよい。
【0045】
レジスト膜形成モジュール4に対するウエハWの受け渡しを例に挙げて説明したが、搬送先のモジュールとしてはレジスト膜形成モジュール4には限られない。例えば加熱モジュール12に対して上記の受け渡しを行ってもよく、その場合には加熱モジュール12に対応する位置にフォーク検出用センサ55、56を設けて、フォーク25の検出を行うようにする。また、回転するウエハWの周縁部に処理液を供給して処理するモジュールに対して上記のような搬送制御を行うことが好ましいが、この処理液としてはシンナーに限られない。例えば、ウエハWの周縁部に局所的に成膜するためのレジストであってもよいし、ウエハWの周縁部を局所的に洗浄するための洗浄液であってもよい。
【0046】
図8〜
図10で説明した搬送方法とは別の搬送方法について示す。先ず、フォーク25が受け渡しモジュールTRS3からウエハWを受け取り、
図8で説明したウエハWの中心点P0、P1のずれ量ΔX1、ΔY1が検出されると、このずれ量ΔX1、ΔY1に関わらず、受け渡し初期位置に位置するように移動させる。この移動した位置が受け渡しの暫定位置となる。その後、フォーク検出用センサ55、56により貫通孔28Aの縁部、貫通孔28Bの縁部の位置を検出し、貫通孔28Aについての縁部の基準位置と実際に検出された縁部の位置との差(ΔY3とする)、貫通孔28Bについての縁部の基準位置と実際に検出された縁部の位置との差(ΔX3とする)を夫々取得する。
【0047】
そして、ΔX1及びΔX3の合計が補償されるように基台24上のフォーク25を進退させると共にΔY1及びΔY3の合計が補償されるようにフォーク25を回転させることで、フォーク25の位置を補正することで、ウエハWの中心点P1をスピンチャック41の回転軸P2に揃えるようにしてもよい。ただし、
図8〜
図10で説明したように搬送を行う場合、フォーク25が位置ずれしていない場合には、受け渡しの暫定位置が受け渡し位置となる。即ち受け渡しの暫定位置からフォーク25を動かさずに当該位置でウエハWをレジスト膜形成モジュール4に受け渡すことができるので、スループットの低下を防ぐことができるため好ましい。また、
図8〜
図10で説明した手法では、実際にウエハWが受け渡される位置の間近に位置した状態のフォーク25の位置ずれを検出するため、ウエハWの中心点P1がスピンチャック41の回転軸P2に揃うように、より正確にフォーク25の位置を修正することができる。
【0048】
続いて塗布、現像装置1の全体の構成について、
図11の平面図及び
図12の縦断側面図を参照しながら説明する。塗布、現像装置1は、キャリアブロックD1と、処理ブロックD2と、インターフェイスブロックD3と、を前後方向に直線状に接続して構成されている。インターフェイスブロックD3には露光装置D4が接続されている。キャリアブロックD1は、キャリアCを塗布、現像装置1内に対して搬入出し、キャリアCの載置台61と、開閉部62と、開閉部62を介してキャリアCからウエハWを搬送するための搬送機構63と、を備えている。
【0049】
処理ブロックD2は、ウエハWに液処理を行う単位ブロックE1〜E6が下方から順番に積層されて構成されており、これらの単位ブロックE1〜E6では互いに並行してウエハWの搬送及び処理が行われる。単位ブロックE1、E2が互いに同様に構成され、単位ブロックE3、E4が互いに同様に構成され、単位ブロックE5、E6が互いに同様に構成されている。
【0050】
処理ブロックD2は、ウエハWに液処理を行う単位ブロックE1〜E6が下方から順番に積層されて構成されており、これらの単位ブロックE1〜E6では互いに並行してウエハWの搬送及び処理が行われる。単位ブロックE1、E2が互いに同様に構成され、単位ブロックE3、E4が互いに同様に構成され、単位ブロックE5、E6が互いに同様に構成されている。
【0051】
単位ブロックE1、E2、E5、E6は、ウエハWに供給する薬液が異なることを除き、単位ブロックE3、E4と同様に構成される。単位ブロックE1、E2は、レジスト膜形成モジュール4の代わりに、ウエハWに反射防止膜形成用の薬液を供給する反射防止膜形成モジュールを備えている。単位ブロックE5、E6は、レジスト膜形成モジュール4の代わりに、ウエハWに薬液として現像液を供給してレジスト膜を現像する現像モジュールを備える。
図12では各単位ブロックE1〜E6の搬送機構を、F1〜F6として示している。
【0052】
処理ブロックD2におけるキャリアブロックD1側には、各単位ブロックE1〜E6に跨って上下に伸びるタワーT1と、タワーT1に対してウエハWの受け渡しを行うための昇降自在な搬送機構64とが設けられている。タワーT1は互いに積層された複数のモジュールにより構成されており、ウエハWが載置される受け渡しモジュールTRSを備えている。
【0053】
インターフェイスブロックD3は、単位ブロックE1〜E6に跨って上下に伸びるタワーT2、T3、T4を備えており、タワーT2とタワーT3に対してウエハWの受け渡しを行うための昇降自在な搬送機構65と、タワーT2とタワーT4に対してウエハWの受け渡しを行うための昇降自在な搬送機構66と、タワーT2と露光装置D4の間でウエハWの受け渡しを行うための搬送機構67と、が設けられている。
【0054】
タワーT2は、受け渡しモジュールTRS、露光処理前の複数枚のウエハWを格納して滞留させるバッファモジュール、露光処理後の複数枚のウエハWを格納するバッファモジュール、及びウエハWの温度調整を行う温度調整モジュールSCPLなどが互いに積層されて構成されているが、ここでは、バッファモジュール及び温度調整モジュールの図示は省略する。
図1で示した受け渡しモジュールTRS3、TRS31は、タワーT1、T2に夫々設けられている。なお、タワーT3、T4にも夫々モジュールが設けられているが、ここでは説明を省略する。
【0055】
この塗布、現像装置1及び露光装置D4からなるシステムにおけるウエハWの搬送経路について説明する。ウエハWは、キャリアCから搬送機構63により、処理ブロックD2におけるタワーT1の受け渡しモジュールTRS0に搬送される。この受け渡しモジュールTRS0からウエハWは、単位ブロックE1、E2に振り分けられて搬送される。例えばウエハWを単位ブロックE1に受け渡す場合には、タワーT1の受け渡しモジュールTRSのうち、単位ブロックE1に対応する受け渡しモジュールTRS1(搬送機構F1によりウエハWの受け渡しが可能な受け渡しモジュール)に対して、上記の受け渡しモジュールTRS0からウエハWが受け渡される。また、ウエハWを単位ブロックE2に受け渡す場合には、タワーT1の受け渡しモジュールTRSのうち、単位ブロックE2に対応する受け渡しモジュールTRS2に対して、前記TRS0からウエハWが受け渡される。これらのウエハWの受け渡しは、搬送機構64により行われる。
【0056】
このように振り分けられたウエハWは、受け渡しモジュールTRS1(TRS2)→反射防止膜形成モジュール→加熱モジュール12→受け渡しモジュールTRS1(TRS2)の順に搬送され、続いて搬送機構64により単位ブロックE3に対応する受け渡しモジュールTRS3と、単位ブロックE4に対応する受け渡しモジュールTRS4とに振り分けられる。
【0057】
このように受け渡しモジュールTRS3、TRS4に振り分けられたウエハWは、受け渡しモジュールTRS3(TRS4)から既述したように単位ブロックE3(E4)内を搬送されて処理を受け、タワーT2の受け渡しモジュールTRS31(TRS41)に搬送される。その後、このウエハWは、搬送機構65、67により、タワーT3を介して露光装置D4へ搬入され、レジスト膜が露光される。
【0058】
露光後のウエハWは、搬送機構66、67によりタワーT2、T4間を搬送されて、単位ブロックE5、E6に対応するタワーT2の受け渡しモジュールTRS51、TRS61に夫々搬送される。然る後、ウエハWは加熱モジュール12に搬送されて加熱される。いわゆるポストエクスポージャベーク(PEB)が行われる。続いてウエハWは、現像モジュールに搬送されて現像液が供給され、レジストパターンが形成される。その後、ウエハWはタワーT1の受け渡しモジュールTRS5、TRS6に搬送された後、搬送機構63を介してキャリアCに戻される。
【0059】
本発明は、上記の単位ブロックE3の搬送機構F3に適用されることに限られず、塗布、現像装置1に設けられる他の搬送機構にも適用することができる。さらに、本発明は、塗布、現像装置内に設けられる基板搬送装置(基板搬送機構)に適用されることに限られず、ウエハWを洗浄するための洗浄モジュールや、ウエハWに絶縁膜を形成するために薬液を塗布する塗布モジュールや、ウエハWを接着するための接着剤をウエハWに塗布する処理モジュールなどを備えた基板処理装置に含まれるウエハWの搬送装置に適用されてもよい。搬送する基板としてもウエハWに限られず、例えばフラットパネルディスプレイの製造に用いられるガラス基板であってもよい。このように、本発明は上記した実施形態に限られず、適宜変更することや、組み合わせることが可能である。