【文献】
渡邊金之助,平澤俊和,スラリーを含めた粉体の流量計の選択,計測技術,日本,日本工業出版株式会社,2015年 1月 5日,第43巻第1号,p.14−17
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、理解の容易のため、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。また、以下の説明において、粉体供給機構の高さ方向の一方を上または上方といい、粉体供給機構の高さ方向の他方を下または下方という場合がある。また、本明細書では、3軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)の3次元直交座標系を用い、粉体供給機構の幅方向をX方向とし、奥行き方向をY方向とし、高さ方向をZ方向とする。
【0012】
<粉体供給機構>
本実施形態に係る粉体流量計を適用した粉体供給機構について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る粉体流量計を適用した粉体供給機構の構成を壁面の一部を外した状態で簡略に示す図であり、
図2は、
図1のA−A方向から見た図であり、
図3は、
図1の部分拡大図であり、
図2のI−I断面図である。
図1〜
図3に示すように、粉体供給機構10は、粉体供給部20、粉体流量計30、および制御部40を有する。なお、
図1中、矢印方向は、粉体Pの流れの主方向を表す。また、
図1および
図3では、説明の便宜のため、粉体流量計30の制動部材34、天板36、および蓋部39を部分断面(
図2のI−I断面)で示す。
【0013】
(粉体供給部)
粉体供給部20は、粉体Pを搬送路Lに供給する。粉体供給部20は、粉体Pを貯留する粉体貯留部21と、粉体貯留部21に連結されたスクリューフィーダ22と、スクリューフィーダ22を駆動する駆動部23とを有する。なお、本実施形態では、粉体の供給手段として、スクリューフィーダが用いられているが、粉体Pを搬送路Lに供給することができればよく、例えば、パンコンベアやロータリーバルブなどの公知の供給手段を用いることができる。
【0014】
粉体供給部20から搬送路Lに排出された粉体Pは、搬送路L内を落下して、粉体流量計30の近傍を通過する。
【0015】
(粉体流量計)
粉体流量計30は、粉体供給部20よりも粉体Pの流れ方向の下流側に設けられている。粉体流量計30は、搬送路Lを移動する粉体Pの流量を測定する。なお、粉体流量計30において測定する粉体Pの流量は、例えば、粉体Pの質量流量である。
【0016】
粉体流量計30は、抵抗体31A、衝撃力伝達部材32、検出器33、および制動部材34を有する。
【0017】
抵抗体31Aは、搬送路Lの途中に設けられている。抵抗体31Aは、粉体Pの流れの主方向から見たとき、搬送路Lの水平方向における断面の大きさよりも大きく形成されている。抵抗体31Aの構成を
図4および
図5に示す。
図4は、抵抗体31Aの上面図である。
図5は、
図4に示す抵抗体31AのII−II断面図であり、
図4および
図5に示すように、抵抗体31Aは、2本の横梁311Aと、2本の横梁311Aに架け渡された6本の縦梁312Aとを有する。抵抗体31Aは、横梁311Aと縦梁312Aとにより、格子状に形成されている。
【0018】
横梁311Aは、板状に形成された部材である。横梁311Aは、粉体Pの流れの主方向に対し垂直な垂直面311aを有する。垂直面311aは、上流側から衝突する粉体Pを受けている。
【0019】
縦梁312Aは、板状に形成された部材である。縦梁312Aは、粉体Pの流れの主方向に対し垂直な垂直面312aを有する。垂直面312aは、上流側から衝突する粉体Pを受けている。
【0020】
抵抗体31Aは、抵抗体31Aを上流側から下流側に貫通する通路31aを有する。通路31aは、横梁311Aと縦梁312Aとにより柵状に囲んで形成される四角形の隙間である。粉体Pが搬送路Lの上流側から抵抗体31Aに落下してくると、粉体Pは抵抗体31Aに衝突する。抵抗体31Aに衝突した粉体Pは、縦梁312Aで跳ねたり、落下してくる粉体Pと衝突するなどして、通路31aに落ちる。通路31aに落ちた粉体Pは、上流側から下流側に通路31aを通過する。通路31aを通過した粉体Pは、粉体供給部20よりも粉体Pの流れの下流側に設けられている、図示しない粉体処理部に供給される。前記粉体処理部は、粉体Pを処理する。前記粉体処理部としては、例えば、自熔炉、転炉、精製炉、溶解炉、燃焼炉、化学反応槽などが挙げられる。
【0021】
また、粉体Pが抵抗体31Aの通路31aを通過する際、粉体Pが抵抗体31Aに衝突することで、抵抗体31Aは、粉体Pから衝撃を受ける。抵抗体31Aが粉体Pから受けた衝撃は、衝撃力伝達部材32に伝達される。
【0022】
また、空気などの気流が、搬送路Lの上流側から下流側に向かって、粉体Pと共に通過する。抵抗体31Aの上流側または下流側において気圧が変動しても、抵抗体31Aは通路31aを有しているので、気流は通路31aを通過する。そのため、抵抗体31Aに風圧が作用するのを抑制することができる。これにより、粉体Pの流量の測定誤差を低減することができる。
【0023】
なお、本実施形態では、粉体Pの流れの主方向から見たときの抵抗体31Aの大きさは、搬送路Lの水平方向における断面の大きさよりも大きくしているが、これに限定されない。粉体Pの流れの主方向から見たときの抵抗体31Aの大きさは、搬送路L内を移動する粉体Pが抵抗体31Aに衝突できればよく、搬送路Lの水平方向における断面の大きさと同等またはそれより小さくてもよい。
【0024】
また、本実施形態では、横梁311Aの本数は2本とし、縦梁312Aは6本としているが、横梁311Aおよび縦梁312Aの本数は、これに限定されない。
【0025】
衝撃力伝達部材32は、抵抗体31Aに作用する粉体Pの衝撃力を抵抗体31Aから検出器33に伝達する。衝撃力伝達部材32の一端32aは、抵抗体31Aに連結され、他端32bは、制動部材34に回動可能に保持されている。衝撃力伝達部材32の一端32aには抵抗体31Aが連結されているため、後述する衝撃力伝達部材32の連結部材35を支点とすると、一端32a側の方が他端32b側よりも重い。そのため、衝撃力伝達部材32は、連結部材35を支点として、他端32b側を上方にして傾こうとする。本実施形態では、他端32bは、溝部34a内に収容されているので、制動部材34の溝部34aの底面に押圧されて、上方への移動が制止された状態で、溝部34a内に保持されている。
【0026】
また、衝撃力伝達部材32は、その一端32aと他端32bとの間に検出器33が連結されている。本実施形態では、衝撃力伝達部材32は、その一端32aと他端32bとの間に、検出器33に着脱自在に連結される連結部材35を有する。衝撃力伝達部材32は、連結部材35により検出器33と連結されている。
【0027】
連結部材35は、衝撃力伝達部材32を検出器33から着脱自在に固定できる部材であれば、特に限定されず、例えば、カラビナやフックなどを用いることができる。これにより、検出器33への衝撃力伝達部材32の取り付けや取り外しを容易に行うことができる。
【0028】
また、衝撃力伝達部材32は、連結部材35を、衝撃力伝達部材32の中央部の近傍に有することが好ましく、衝撃力伝達部材32の重心の近傍に有することがより好ましい。これにより、衝撃力伝達部材32は、検出器33にバランス良く吊り下げることができると共に、連結部材35の負担を軽減することができる。
【0029】
抵抗体31Aに粉体Pが落下して衝突すると、抵抗体31Aには粉体Pから下向きの衝撃力がかかる。下向きの力は、衝撃力伝達部材32と連結部材35を介して検出器33によって支えられる。抵抗体31Aに衝突する粉体Pの供給量が多いほど、抵抗体31Aに作用する粉体Pの衝撃力は大きくなるので、検出器33の受ける力は大きくなる。
【0030】
ここで、抵抗体31Aに粉体Pが落下して衝突することで、衝撃力伝達部材32は、連結部材35を支点として、
図1および
図3において反時計方向に回転しようとする。連結部材35を支点とすることで、衝撃力伝達部材32に働く力は、連結部材35から抵抗体31A側(一端32a側)と、連結部材35から溝部34a側(他端32b側)とに分けられる。
【0031】
連結部材35から抵抗体31A側(一端32a側)には、連結部材35を支点として、下向きの回転力が働く。一方、連結部材35から溝部34a側(他端32b側)には、上向きの回転力が働く。このとき、制動部材34の他端32bは溝部34aで抑えられるため、溝部34aで前記上向きの回転力に対して反作用の力を受ける。よって、前記下向きの回転力と、前記上向きの回転力に対する反作用力とにより、連結部材35から抵抗体31A側(一端32a側)と、連結部材35から溝部34a側(他端32b側)とには、それぞれ、連結部材35が上向きに凸となる曲げ力がかかる。
【0032】
ところで、粉体Pの流量が変化すると、抵抗体31Aが粉体Pから受ける衝撃力は経時的に変化する。短時間でも衝撃力が大きくなることが想定される場合は、抵抗体31Aの強度、衝撃力伝達部材32の強度、および検出器33の測定可能範囲などに余裕を持たせておくことが望ましい。
【0033】
抵抗体31Aの強度、衝撃力伝達部材32の強度、および検出器33の測定可能範囲などに余裕を大きく持たせる代わりに、検出器33として、例えば、バネなどの弾性体を用いることができる。弾性体を用いることにより、衝撃力の一部を弾性体である検出器33で吸収させることができるので、衝撃力伝達部材32に作用する衝撃力、抵抗体31Aに作用する衝撃力、検出器33で測定する衝撃力などを経時的に分散して平均化することができる。特に、抵抗体31Aが粉体Pから受ける、経時的に変化する衝撃力の緩和に有効である。
【0034】
衝撃力を検出器33の弾性体で吸収する場合、連結部材35は支点ではなくなり、他端32bが支点として働くようになる。このとき、衝撃力伝達部材32は、実質的に他端32bを支点として回転するように動くので、連結部材35に余計な力がかからず、連結部材35が上向きに凸となる曲げ力を抑制することができる。
【0035】
また、検出器33として弾性体を用いる場合、粉体Pの衝撃力は、検出器33の長さ(伸び)によって測定することができる。
【0036】
また、衝撃力伝達部材32の他端32bは、制動部材34によって溝部34a内に回動可能に保持されている。そのため、抵抗体31Aに作用する粉体Pの衝撃力によって、衝撃力伝達部材32が振動したり移動する力が作用しても、他端32bの位置は制動部材34の溝部34a内に保持させることができる。これにより、検出器33の姿勢を安定させることができるので、粉体Pの衝撃力を検出器33で安定して検出することができる。よって、検出器33における粉体Pの流量の測定誤差を小さくすることができる。
【0037】
検出器33は、抵抗体31Aに粉体Pが衝突した時に抵抗体31Aに作用する粉体Pの衝撃力を検出する。検出器33は、その一端33aが搬送路Lと連通した空間Sの天板(検出器支持部)36の連結部材37に連結され、空間Sの天板36に吊り下げた状態で設けられている。また、検出器33の他端33bは、連結部材35により、衝撃力伝達部材32と連結されている。
【0038】
検出器33は、抵抗体31Aに粉体Pが衝突して、衝撃力伝達部材32の一端32aが、制動部材34の溝部34a内に収容されている他端32bを支点に下方に下がった時の衝撃力伝達部材32の移動量を力または変位として検出する。これにより、検出器33は、抵抗体31Aに作用する粉体Pの衝撃力を検出する。
【0039】
検出器33としては、抵抗体31Aに粉体Pが衝突した時に抵抗体31Aに作用する粉体Pの衝撃力を検出することができるものであれば、特に限定されない。検出器33としては、例えば、歪ゲージ式、静電容量式、磁歪式などを使用することができる。
【0040】
検出器33は、連結部材35と天板36との間に設けられている。そのため、検出器33は、抵抗体31Aから離れた場所に設置されている。よって、検出器33に粉体Pが衝突することを防ぐことができるので、検出器33の破損などを抑制することができる。
【0041】
制動部材34は、衝撃力伝達部材32を回動可能に保持している。制動部材34は、搬送路Lと連通した空間Sの天板36の開口部36aに着脱可能に設けた蓋部39の下方の面(衝撃力伝達部材32との接触面)に設けられている。本実施形態では、制動部材34は、蓋部39と共に、天板36に着脱可能に構成されている。
【0042】
制動部材34は、制動部材34の長手方向における断面形状がチャンネル構造に形成されており、一対の対応した側面(凸部)と、前記一対の側面同士の間に形成された溝部34aとを有する。溝部34aは、衝撃力伝達部材32の他端32bが収容可能な大きさの幅を有している。衝撃力伝達部材32の他端32bは、溝部34a内に挟み込まれて収容されている。そのため、抵抗体31Aに大きな衝撃が加わった場合でも、他端32bの位置がずれるのを抑制することができ、衝撃力伝達部材32の姿勢を安定して維持することができる。
【0043】
なお、本実施形態では、制動部材34は、長手方向における断面形状がチャンネル構造に形成されているが、これに限定されない。例えば、制動部材34は、制動部材34の衝撃力伝達部材32との接触面側に一対の凸部を有し、前記一対の凸部同士の間に形成される溝部に、衝撃力伝達部材32の他端32bが挟み込まれるように収容できるように構成されていればよい。
【0044】
また、天板36は、天板36と着脱可能な蓋部39に設けた制動部材34の両側に、それぞれ、衝撃力伝達部材32の他端32bの両端を保持する補助制動部材38を有する。本実施形態では、補助制動部材38は、制動部材34と同様、補助制動部材38の長手方向における断面形状がチャンネル構造に形成されている。補助制動部材38は、衝撃力伝達部材32の長手方向から見たとき、制動部材34と略同じ長さの幅を有している。そのため、衝撃力伝達部材32の他端32bは、制動部材34の溝部34aおよび補助制動部材38の溝部38aに挟み込まれた状態で収容されている。よって、蓋部39を天板36から外して開口部36aを開いた場合のように他端32bは制動部材34で保持されない場合にも、補助制動部材38の溝部38aで衝撃力伝達部材32の他端32bを仮止めすることができる。これにより、他端32bの位置が移動しないように保持することができる。
【0045】
なお、補助制動部材38の溝部38aの底面は、制動部材34の溝部34aの底面よりも上方に位置している。そのため、制動部材34で他端32bを保持している場合、衝撃力伝達部材32の他端32bは、溝部34a内に保持される。一方、開口部36aが開放されている場合、他端32bは、溝部38a内に保持される。なお、本実施形態では、溝部38aの底面は、溝部34aの底面よりも上方に位置しているが、溝部34aの底面と略同じ位置とし、制動部材34と補助制動部材38とで他端32bを保持させるようにしてもよい。
【0046】
このように、粉体流量計30は、衝撃力伝達部材32の途中を検出器33に連結しつつ、衝撃力伝達部材32の他端32bを制動部材34の溝部34aに回動可能に保持している。そのため、他端32bの位置は制動部材34の溝部34a内または溝部38a内に安定して保持させることができるので、粉体Pの流量の測定誤差を小さくすることができる。
【0047】
(制御部)
制御部40は、制御プログラムや各種記憶情報を格納する記憶手段と、制御プログラムに基づいて動作する演算手段とを有している。制御部40は、演算手段が記憶手段に格納されている制御プログラムなどを読み出して実行する。制御部40は、粉体流量計30の測定結果が送られると、粉体流量計30の測定結果に基づいて、粉体Pの衝撃力から粉体Pの流量を算出する。また、制御部40は、粉体流量計30の測定結果に基づいて、粉体供給部20の各部を制御して、搬送路Lに供給される粉体Pの供給量を制御する。これにより、粉体Pは、図示しない粉体処理部に定量的に供給される。
【0048】
粉体Pの衝撃力と粉体Pの流量との関係は、予め試験などにより求められている。例えば、粉体Pの衝撃力と粉体の流量とは比例関係にある。よって、予め試験などにより求められた、粉体Pの衝撃力と粉体Pの流量との関係に基づいて、粉体Pの衝撃力から粉体Pの流量が換算される。
【0049】
(粉体流量の測定方法)
以上のように構成された粉体供給機構10では、本実施形態に係る粉体流量計30を用いることで、以下のように、粉体Pの流量を測定する。本実施形態に係る粉体流量計30を用いた粉体Pの流量の測定方法について説明する。
【0050】
抵抗体31Aに粉体Pが衝突することにより、抵抗体31Aに作用する粉体Pの衝撃力によって、衝撃力伝達部材32の一端32aが、制動部材34の溝部34a内に保持されている他端32bを支点として下方に移動する。検出器33で、一端32aの移動量から粉体Pの衝撃力を検出する。検出器33で検出された粉体Pの衝撃力の値は、制御部40に送られる。制御部40は、検出された粉体Pの衝撃力の値から粉体Pの流量を算出する。
【0051】
本実施形態に係る粉体流量の測定方法によれば、衝撃力伝達部材32の他端32bを制動部材34の溝部34a内に保持させることで、検出器33の姿勢を安定させて粉体Pの衝撃力を検出できるので、粉体Pの流量の測定誤差を低減しつつ測定することができる。
【0052】
(粉体流量計の掃除方法)
粉体供給機構10の運転状況、または粉体Pの形状や大きさなどによっては、粉体Pや塊状異物が抵抗体31Aの表面に乗っていたり、抵抗体31Aの通路31aに挟まってしまうなど、粉体Pが抵抗体31Aに残っている場合がある。このような場合は、抵抗体31Aの掃除または交換をする必要がある。次に、本実施形態に係る粉体流量計30による粉体流量計30の掃除方法について説明する。
【0053】
図6は、粉体流量計30の掃除時、蓋部39を上方に移動した状態を簡略に示す図である。
図6に示すように、制動部材34が取り付けられている蓋部39を天板36よりも上方に移動して、制動部材34を衝撃力伝達部材32から離す。このとき、衝撃力伝達部材32の他端32bの両側は、天板36の下方の面(衝撃力伝達部材32との接触面)に設けた補助制動部材38の溝部38aに挟み込まれた状態を維持している。
【0054】
その後、開口部36aから器具または作業員の手などを空間Sの内部に侵入させて、他端32bを下方に押し下げる。
図7に、衝撃力伝達部材32を下方に押し下げた状態を簡略に示す。この結果、
図7に示すように、連結部材35と連結部材37とを軸として、衝撃力伝達部材32の他端32bを下向き(搬送路Lの下流側)に衝撃力伝達部材32を回転させながら移動させる。これにより、抵抗体31Aを傾斜させることができる。また、他端32bを小さく上下方向に振動させ、抵抗体31Aを上下方向に振動させたりする。抵抗体31Aを傾斜させたり、振動させたりなどすることで、抵抗体31Aの上面に残っている粉体Pや、抵抗体31Aの通路31aに詰まっている粉体Pなどを抵抗体31Aから下方に落とし、除去することができる。なお、抵抗体31Aを傾斜させたり、振動させたりなどしても、抵抗体31Aの上面に残っている粉体Pや、抵抗体31Aの通路31aに詰まっている粉体Pなどを直ぐには落下させることができない場合がある。この場合には、開口部36aから、例えば、圧縮空気噴射ノズルなどを侵入させて、圧縮空気を吹き付けて、粉体Pを抵抗体31Aから除去するようにしてもよい。
【0055】
抵抗体31Aに残っている粉体Pを除去した後、衝撃力伝達部材32の他端32bを連結部材35と連結部材37とを軸として、他端32bを上向きに衝撃力伝達部材32を回転させながら移動させる。これにより、他端32bを天板36の下方の面に設けた補助制動部材38の溝部38aに保持させる。その後、蓋部39を天板36の開口部36aに戻す。これにより、粉体流量計30の掃除を終了する。
【0056】
よって、本実施形態に係る粉体流量計30の掃除方法によれば、粉体流量計30を搬送路Lから取り出すことや、衝撃力伝達部材32を検出器33から取り外すことなどの作業を要することはない。よって、簡易に粉体流量計30の掃除を行うことができる。
【0057】
このように、粉体供給機構10は、本実施形態に係る粉体流量計30を備えているので、粉体Pの流量を誤差を小さくして安定して測定することができると共に、粉体流量計30の掃除を簡易に行うことができる。
【0058】
よって、粉体供給機構10は、自熔炉、転炉、精製炉、溶解炉、燃焼炉、化学反応槽などの粉体処理部に粉体を供給する粉体供給機構として有効に用いることができる。粉体供給機構10は、粉体流量計30を備えているので、所定量の粉体を安定して供給するように調整することができる。
【0059】
なお、本実施形態では、抵抗体31Aは、粉体Pの流れの主方向に対し垂直な垂直面312aを有する縦梁312Aを用いて、格子状に形成されているが、抵抗体31Aの構成はこれに限定されない。抵抗体31Aの構成の変形例を以下に示す。
【0060】
図8および
図9に、抵抗体31Aの構成の変形例の一例を示す。
図8は、抵抗体の他の構成の一例を示す上面図である。
図9は、
図8に示す抵抗体のIII−III断面図である。
図8および
図9に示すように、抵抗体31Bは、粉体Pの流れの主方向に対し一方の方向に傾斜させた傾斜面312bを有する縦梁312Bにより、ルーバー状に形成されている。
図8および
図9では、抵抗体31Bは、2本の横梁311Bと、2本の横梁に架け渡された8本の縦梁312Bとを有する。各横梁311Bは、上流側から衝突する粉体Pを受ける垂直面311bを有する。垂直面311bは、粉体Pの流れの主方向に対し垂直な面である。一方、各縦梁312Bは、上流側から衝突する粉体Pを側方に流す傾斜面312bを有する。傾斜面312bは、下流側に向かうにしたがって側方に突き出すように形成されている。
【0061】
抵抗体31Bは、横梁311Bと縦梁312Bとにより形成された通路31bを有する。通路31bは、抵抗体31Bの上流側から下流側に貫通し、通路31bを粉体Pや気流が通過する。よって、抵抗体31Bの上流側または抵抗体31Bの下流側において気圧が変動した場合、気流が抵抗体31Bの通路31bを通過することで、抵抗体31Bに風圧が作用するのを抑制することができるので、粉体Pの流量の測定誤差を低減することができる。
【0062】
また、抵抗体31Bは、上流側から衝突する粉体Pを側方に流す傾斜面312bを有する。そのため、傾斜面312bに衝突した粉体Pが傾斜面312bを転がり落ちるので、傾斜面312bに粉体Pが堆積することを抑制することができる。さらに、
図8および
図9に示すように、粉体Pの流れの主方向から見て、通路31bは傾斜面312bによって隙間なく塞がれている。そのため、抵抗体31Bを通過する粉体Pのうち、抵抗体31Bに衝突する粉体Pの割合を多くすることができるので、粉体Pの流量の測定精度を向上させることができる。
【0063】
なお、
図8および
図9では、横梁311Bは2本とし、縦梁312Bは8本としているが、横梁311Bおよび縦梁312Bの本数は特に限定されない。また、
図8および
図9では、傾斜面312bは、平面に形成されているが、下流側に向かうにつれ側方(
図9において、左側方または右側方)に突き出す面であればよく、曲面でもよい。また、
図8および
図9では、傾斜面312bは、縦梁312Bのみに形成されているが、粉体Pの堆積を抑制することができれば、特に限定されない。例えば、傾斜面312bは、横梁311Bのみに形成されてもよいし、縦梁312Bおよび横梁311Bの両方に形成されてもよい。
【0064】
図10および
図11に、抵抗体31Aの構成の他の変形例の一例を示す。
図10は、抵抗体の他の構成の一例を示す上面図である。
図11は、
図10に示す抵抗体のIV−IV断面図である。
図10および
図11に示すように、抵抗体31Cは、傾斜面312c−1を有する縦梁312C−1と、傾斜面312c−2を有する縦梁312C−2とにより、ルーバー状に形成されている。
図10および
図11では、傾斜面312c−1は、粉体Pの流れの主方向に対し第1側方(
図11において左側方)側に傾斜させた面であり、傾斜面312c−2は、第1側方とは反対方向である第2側方(
図11において右側方)側に傾斜させた面である。
【0065】
図10および
図11では、抵抗体31Cは、2本の横梁311Cと、2本の横梁に架け渡された8本の縦梁312Cとを有する。各横梁311Cは、上流側から衝突する粉体Pを受ける垂直面311cを有する。垂直面311cは、粉体Pの流れの主方向に対し垂直な面である。一方、各縦梁312Cは、上流側から衝突する粉体Pを側方に流す傾斜面312cを有する。8本の縦梁312Cのうち、第1側方(
図11において左側方)側の4本の縦梁312C−1は、それぞれ、上流側から衝突する粉体Pを第1側方に流す傾斜面312c−1を有する。第1側方とは反対方向である第2側方(
図11において右側方)側の4本の縦梁312C−2は、それぞれ、上流側から衝突する粉体Pを第2側方に流す傾斜面312c−2を有する。なお、
図10および
図11では、傾斜面312c−1、312c−2は、それぞれ、異なる縦梁312Cに形成されている。
【0066】
抵抗体31Cは、横梁311Cと縦梁312Cとにより形成された通路31cを有する。通路31cは、抵抗体31Cを上流側から下流側に貫通し、通路31cを粉体Pや気流が通過する。よって、抵抗体31Cの上流側または抵抗体31Cの下流側において気圧が変動した場合、気流が抵抗体31Cの通路31cを通過することで、抵抗体31Cに風圧が作用するのを抑制することができるので、粉体Pの流量の測定誤差を低減することができる。
【0067】
また、
図10および
図11に示すように、粉体Pの流れの主方向から見て、通路31cは傾斜面312cによって隙間なく塞がれている。そのため、抵抗体31Cを通過する粉体Pのうち、抵抗体31Cに衝突する粉体Pの割合を多くすることができるので、粉体Pの流量の測定精度を向上させることができる。
【0068】
さらに、抵抗体31Cは、上流側から衝突する粉体Pを側方に流す傾斜面312cを有する。傾斜面312cに衝突した粉体が傾斜面312cを転がり落ちるので、傾斜面312cに粉体Pが堆積することを抑制することができる。また、四つの傾斜面312c−1は、粉体Pを第1側方(
図11において左側方)側に流すように傾斜し、四つの傾斜面312c−2は、第2側方(
図11において右側方)側に流すように傾斜している。そのため、粉体Pの流れの主方向から見ると隙間なく塞がっている通路31cに粉体Pが詰まることを抑制することができる。
【0069】
また、傾斜面312c−1と傾斜面312c−2とは、抵抗体31C内で、同枚数および同角度で対称配置されている。すなわち、傾斜面312c−1と傾斜面312c−2とは、粉体Pの流れの主方向に対して対称配置されている。そのため、抵抗体31Cは、傾斜面312c−1に作用する衝撃力の水平方向分力と、傾斜面312c−2に作用する衝撃力の水平方向分力とを相殺することができる。
【0070】
なお、
図10および
図11では、横梁311Cは2本とし、縦梁312Cは8本としているが、横梁311Cおよび縦梁312Cの本数は特に限定されない。また、
図10および
図11では、傾斜面312cは、平面に形成されているが、下流側に向かうにつれ側方(
図10において左側方または右側方)に突き出す面であればよく、曲面でもよい。
【0071】
図12および
図13に、抵抗体31Aの構成の他の変形例の一例を示す。
図12は、抵抗体の他の構成の一例を示す上面図である。
図13は、
図12に示す抵抗体の他の構成のV−V断面図である。
図12および
図13に示すように、抵抗体31Dは、円筒状に形成された縦梁312Dにより、格子状に形成されている。
図12および
図13では、抵抗体31Dは、2本の横梁311Dと、2本の横梁に架け渡された4本の縦梁312Dとを有する。各横梁311Dは、上流側から衝突する粉体Pを受ける垂直面311dを有する。垂直面311dは、粉体Pの流れの主方向に対し垂直な面である。一方、各縦梁312Dは、上流側から衝突する粉体Pを側方に流す曲面312dを有する。曲面312dは、下流側に向かうにつれ側方に突き出す面である。
【0072】
各縦梁312Dは、上流側から衝突する粉体Pを第1側方(
図13において左側方)に流す曲面312d−1と、上流側から衝突する粉体Pを第1側方とは反対方向である第2側方(
図13において右側方)に流す曲面312d−2とを有する。
【0073】
抵抗体31Dは、横梁311Dと縦梁312Dとにより形成された通路31dを有する。通路31dは、抵抗体31Dを上流側から下流側に貫通し、通路31dを粉体Pや気流が通過する。よって、抵抗体31Dの上流側または抵抗体31Dの下流側において気圧が変動した場合、気流が抵抗体31Dの通路31dを通過することで、抵抗体31Dに風圧が作用するのを抑制することができるので、粉体Pの流量の測定誤差を低減することができる。
【0074】
また、抵抗体31Dは、上流側から衝突する粉体Pを側方に流す曲面312dを有する。曲面312dに衝突した粉体Pが曲面312dを転がり落ちるので、曲面312dに粉体Pが堆積することを抑制することができる。
【0075】
抵抗体31Dは、粉体Pの流れの主方向から見て通路31dの大きさが変化する方向に、曲面312dを揺動可能に支持する支持部314dを有する。本実施形態では、支持部314dは、縦梁312Dの内部に設けられ、円柱状に形成された丸部材である。支持部314dと縦梁312Dとの間には隙間があるので、縦梁312Dは支持部314dの周囲を揺動可能に支持されるので、曲面312dは揺動可能である。縦梁312Dは、粉体Pの衝撃力の水平方向分力によって揺動し、重力によって元の位置に戻る。そのため、大きな粉体Pが衝突した場合、または多量の粉体Pが一気に衝突した場合、通路31dが広がるので、粉体Pが通路31dに詰まるリスクを低減することができる。また、大きな粉体Pが通路31dを通過した後、通路31dは元の大きさに戻る。
【0076】
また、抵抗体31Dは、曲面312d−1と曲面312d−2とを有する。曲面312d−1と曲面312d−2とは対称配置されている。そのため、曲面312d−1に作用する衝撃力の水平方向分力と、曲面312d−2に作用する衝撃力の水平方向分力とを相殺することができる。
【0077】
なお、
図12および
図13では、横梁311Dは2本とし、縦梁312Dは4本としているが、横梁311Dおよび縦梁312Dの本数は特に限定されない。また、
図12および
図13では、曲面312d−1と曲面312d−2とは、それぞれ、円弧状に形成されているが、楕円状に形成されていてもよい。曲面312dの上面側は、下流側に向かうにつれ側方(
図13において左側方または右側方)に突き出す面であればよい。また、曲面312dは、
図8では縦梁312Dのみに形成されるが、横梁311Dのみに形成されてもよく、縦梁312Dと横梁311Dの両方に形成されてもよい。
【0078】
また、
図12および
図13では、支持部314dは、円柱状に形成された丸部材が用いられているが、縦梁312Dを揺動可能に支持することができれば特に限定されない。
【0079】
さらに、縦梁312Dの揺動は、粉体Pの流れの主方向から見て通路31dの大きさが変化する方向の移動であればよく、曲線移動、直線移動、または曲線移動と直線移動の組合せのいずれでもよい。
【0080】
また、抵抗体31A〜31Dの形状は、格子状またはルーバー状としているが、これ以外に、例えば、櫛歯状、渦巻き状などでもよい。
【0081】
また、
図1に示すように、本実施形態では、粉体Pは粉体供給部20から搬送路Lに落下させているので、粉体Pの流れの主方向は、上下方向であるが、これに限定されず、水平方向でもよい。粉体Pの流れの主方向が水平方向の場合、粉体Pは、粉体供給部20において、ポンプなどの圧送手段により、圧送して、搬送路Lに供給するようにしてもよい。
【0082】
本実施形態では、検出器33は、天板36の下側の面に設けた連結部材37で天板36と連結されているが、これに限定されず、制動部材34または蓋部39に連結されていてもよい。
【0083】
本実施形態では、検出器33は、抵抗体31Aに粉体Pが衝突した時に抵抗体31Aに作用する粉体Pの衝撃力を検出するものであるが、これに限定されない。例えば、検出器33は、制御部40の機能を備え、粉体Pの衝撃力から粉体Pの流量を算出する機能を有していてもよい。
【0084】
本実施形態では、衝撃力伝達部材32の移動を規制する部材として制動部材34を用いているが、衝撃力伝達部材32の移動を規制するために補助制動部材38を主として用いて、蓋部39から制動部材34を省略するようにしてもよい。
【0085】
本実施形態では、計測対象として、粉体を用いて説明したが、計測対象は特に限定されない。計測対象は、例えば、液体、フレーク状のものやスラリー状のものなど、搬送路Lを落下して、抵抗体31Aに対して衝撃力を付与し得るものであればよい。
【0086】
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。