(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、
図1を参照しながら、本発明の好ましい例である、実施形態に係る静電チャック装置について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。また以下の例は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。発明を逸脱しない範囲で、数や位置や大きさや数値などの変更や省略や追加をする事ができる。第一から三の態様は、互いの特徴や、好ましい例を、問題の無い限り、互いに組み合わせて使用することができる。
【0025】
[静電チャック装置]
図1は、本発明の好ましい例である、本実施形態の静電チャック装置を示す断面図である。静電チャック装置1は、一主面(上面)側を載置面とした平面視円板状の静電チャック部2と、この静電チャック部2の下方に設けられて、静電チャック部2を所望の温度に調整する、厚みのある、平面視円板状の温度調節用ベース部3と、を備えている。また、静電チャック部2と温度調節用ベース部3とは、静電チャック部2と温度調節用ベース部3の間に設けられた接着剤層8を介して接着されている。
以下、順に説明する。
【0026】
(静電チャック部)
静電チャック部2は、上面を半導体ウエハ等の板状試料Wを載置する載置面11aとした載置板11と、この載置板11と一体化され前記載置板11の底部側を支持する支持板12と、これら載置板11と支持板12との間に設けられた静電吸着用電極13、および静電吸着用電極13の周囲を絶縁する絶縁材層14と、を有する。載置板11および支持板12は、本発明における「基体」に該当する。
【0027】
載置板11および支持板12は、重ね合わせた面の形状を同じくする円板状の部材である。載置板11および支持板12は、機械的な強度を有し、かつ腐食性ガスおよびそのプラズマに対する耐久性を有する、セラミックス焼結体からなる。載置板11および支持板12について、詳しくは後述する。
【0028】
載置板11の載置面11aには、直径が板状試料の厚みより小さい突起部11bが複数所定の間隔で形成され、これらの突起部11bが板状試料Wを支える。
【0029】
載置板11、支持板12、静電吸着用電極13および絶縁材層14を含めた全体の厚み、即ち、静電チャック部2の厚みは、一例を挙げれば、0.7mm以上かつ5.0mm以下である。
【0030】
例えば、静電チャック部2の厚みが0.7mm以上であると、静電チャック部2の機械的強度を十分に確保することができる。静電チャック部2の厚みが5.0mm以下であると、静電チャック部2の熱容量が大きくなりすぎず、載置される板状試料Wの熱応答性が劣化することがない。従って静電チャック部の横方向の熱伝達の増加がなく、板状試料Wの面内温度を所望の温度パターンに維持することができる。なお、ここで説明した各部の厚さは一例であって、前記範囲に限るものではない。
【0031】
静電吸着用電極13は、電荷を発生させて静電吸着力で板状試料Wを固定するための静電チャック用電極として用いられる。その用途によって、その形状や、大きさが適宜調整される。
【0032】
静電吸着用電極13は任意に選択される材料から構成できる。例えば、酸化アルミニウム−炭化タンタル(Al
2O
3−Ta
4C
5)導電性複合焼結体、酸化アルミニウム−タングステン(Al
2O
3−W)導電性複合焼結体、酸化アルミニウム−炭化ケイ素(Al
2O
3−SiC)導電性複合焼結体、窒化アルミニウム−タングステン(AlN−W)導電性複合焼結体、窒化アルミニウム−タンタル(AlN−Ta)導電性複合焼結体、酸化イットリウム−モリブデン(Y
2O
3−Mo)導電性複合焼結体等の導電性セラミックス、あるいは、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)等の高融点金属により形成されることが好ましい。
【0033】
静電吸着用電極13の厚みは、特に限定されず任意に選択できる。例えば、0.1μm以上かつ100μm以下の厚みを選択することができ、1μm以上かつ50μm以下の厚みが好ましく、5μm以上かつ20μm以下の厚みがより好ましい。
【0034】
静電吸着用電極13の厚みが0.1μm以上であると、充分な導電性を確保することができる。静電吸着用電極13の厚みが100μm以下であると、静電吸着用電極13と載置板11および支持板12との間の熱膨張率差に起因し、静電吸着用電極13と載置板11および支持板12との接合界面にクラックが入ることを防止できる。
【0035】
このような厚みの静電吸着用電極13は、スパッタ法や蒸着法等の成膜法、あるいはスクリーン印刷法等の塗工法により容易に形成することができる。
【0036】
絶縁材層14は、静電吸着用電極13を囲繞して腐食性ガスおよびそのプラズマから静電吸着用電極13を保護する。また絶縁材層14は、載置板11と支持板12との境界部を、すなわち静電吸着用電極13以外の外周部領域を、接合一体化する。絶縁材層14は、載置板11および支持板12を構成する材料と同一組成または主成分が同一の絶縁材料により構成されている。
【0037】
(温度調整用ベース部)
温度調節用ベース部3は、静電チャック部2を所望の温度に調整するためのもので、厚みのある円板状の部材である。この温度調節用ベース部3としては、例えば、その内部に冷媒を循環させる流路3Aが形成された液冷ベース等が好適である。
【0038】
この温度調節用ベース部3を構成する材料としては、熱伝導性、導電性、及び加工性に優れた金属、またはこれらの金属を含む複合材であれば特に制限はなく選択できる。例えば、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、銅(Cu)、銅合金、ステンレス鋼(SUS) 等が好適に用いられる。この温度調節用ベース部3の少なくともプラズマに曝される面は、アルマイト処理が施されているか、あるいはアルミナ等の絶縁膜が成膜されていることが好ましい。
【0039】
温度調節用ベース部3の上面側には、接着層6を介して絶縁板7が接着されている。接着層6は、任意に選択される材料、例えば、ポリイミド樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂等の耐熱性、および、絶縁性を有するシート状またはフィルム状の接着性樹脂からなる。接着層の厚さは任意に選択でき、例えば、厚み5〜100μm程度に形成される。絶縁板7は、任意に選択される材料、例えば、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの耐熱性を有する樹脂の、薄板、シートあるいはフィルムからなる。
【0040】
なお、絶縁板7は、樹脂シートに代えて、絶縁性のセラミック板でもよく、またアルミナ等の絶縁性を有する溶射膜でもよい。
【0041】
(フォーカスリング)
フォーカスリング10は、温度調節用ベース部3の周縁部に載置される、平面視円環状の部材である。フォーカスリング10は、任意に選択される材料から形成され、例えば、載置面に載置されるウエハと同等の電気伝導性を有する材料を形成材料とすることが好ましい。このようなフォーカスリング10を配置することにより、ウエハの周縁部においては、プラズマに対する電気的な環境をウエハと略一致させることができ、ウエハの中央部と周縁部とでプラズマ処理の差や偏りを生じにくくすることができる。
【0042】
(その他の部材)
静電吸着用電極13には、静電吸着用電極13に直流電圧を印加するための給電用端子15が接続されている。給電用端子15は、温度調節用ベース部3、接着剤層8、及び支持板12を厚み方向に貫通する貫通孔16の内部に挿入されている。給電用端子15の外周側には、絶縁性を有する碍子15aが設けられ、この碍子15aにより、金属製の温度調節用ベース部3に対し給電用端子15が絶縁されている。
【0043】
図1では、給電用端子15を一体の部材として示している。しかしながら、複数の部材が電気的に接続して給電用端子15を構成していてもよい。給電用端子15は、熱膨張係数が互いに異なる温度調節用ベース部3および支持板12に挿入されている。このため、例えば、温度調節用ベース部3および支持板12に挿入されている部分について、それぞれ異なる材料で構成することが好ましい。
【0044】
給電用端子15のうち、静電吸着用電極13に接続され、支持板12に挿入されている部分(取出電極)の材料としては、耐熱性に優れた導電性材料であれば特に制限されるものではない。例えば、熱膨張係数が静電吸着用電極13および支持板12の熱膨張係数に近似したものが好ましい。例えば、Al
2O
3−TaCなどの導電性セラミック材料からなる。
【0045】
給電用端子15のうち、温度調節用ベース部3に挿入されている部分は、例えば、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、及びコバール合金等の金属材料からなることが好ましい。
【0046】
これら2つの部材は、柔軟性と耐電性を有するシリコン系の導電性接着剤で接続するとよい。
【0047】
静電チャック部2の下面側には、ヒータエレメント5が設けられている。ヒータエレメント5の構造や材料は、任意に選択できる。例を挙げれば、厚みが0.2mm以下、好ましくは0.1mm程度の一定の厚みを有する非磁性金属薄板を、例えばチタン(Ti)薄板、タングステン(W)薄板、及びモリブデン(Mo)薄板等を、フォトリソグラフィー法やレーザー加工により、所望のヒータ形状、例えば帯状の導電薄板を蛇行させた形状などであって、全体輪郭が円環状の形状など、に加工することで得られる。
【0048】
このようなヒータエレメント5は、静電チャック部2に非磁性金属薄板を接着した後に、静電チャック部2の表面で加工成型することで設けてもよい。静電チャック部2とは異なる位置でヒータエレメント5を別途加工成形したものを、静電チャック部2の表面に転写印刷することで設けてもよい。
【0049】
ヒータエレメント5は、厚みの均一な耐熱性および絶縁性を有する、シート状またはフィルム状のシリコン樹脂またはアクリル樹脂などからなる接着層4により、支持板12の底面に接着及び固定されている。
【0050】
ヒータエレメント5には、ヒータエレメント5に給電するための給電用端子17が接続されている。給電用端子17を構成する材料は先の給電用端子15を構成する材料と同等の材料を好ましく用いることができる。給電用端子17は、それぞれ温度調節用ベース部3に形成された貫通孔3bを貫通するように設けられている。
【0051】
ヒータエレメント5の下面側には温度センサー20が設けられている。本例の静電チャック装置1には、温度調節用ベース部3と絶縁板7を厚さ方向に貫通するように設置孔21が形成され、これらの設置孔21の最上部に温度センサー20が設置されている。なお、温度センサー20はできるだけヒータエレメント5に近い位置に設置することが望ましい。このため、図に示す構造から更に接着剤層8側に突き出るように設置孔21を延在して形成し、温度センサー20とヒータエレメント5とを近づけることとしてもよい。
【0052】
温度センサー20は任意に選択でき、一例を挙げれば、石英ガラス等からなる直方体形状の透光体の上面側に蛍光体層が形成された、蛍光発光型の温度センサーである。この温度センサー20が、透光性および耐熱性を有するシリコン樹脂系接着剤等により、ヒータエレメント5の下面に接着されている。
【0053】
蛍光体層は、ヒータエレメント5からの入熱に応じて蛍光を発生する材料からなる。蛍光体層の形成材料としては、発熱に応じて蛍光を発生する材料であれば任意に選択でき、多種多様の蛍光材料から選択できる。蛍光体層の形成材料は、一例として、発光に適したエネルギー順位を有する希土類元素が添加された蛍光材料、AlGaAs等の半導体材料、酸化マグネシウム等の金属酸化物、及び、ルビーやサファイア等の鉱物を挙げることができる。これらの材料の中から適宜選択して用いることができる。
【0054】
ヒータエレメント5に対応する温度センサー20は、それぞれ給電用端子などと干渉しない位置であって、かつヒータエレメント5の下面周方向である、任意の位置にそれぞれ設けられている。
【0055】
これらの温度センサー20の蛍光から、ヒータエレメント5の温度を測定する温度計測部22は、任意に選択できる。例を挙げれば、温度調節用ベース部3の設置孔21の外側(下側)に、前記蛍光体層に対して励起光を照射する励起部23と、蛍光体層から発せられた蛍光を検出する蛍光検出器24と、励起部23および蛍光検出器24を制御するとともに前記蛍光に基づき主ヒータの温度を算出する制御部25とから、構成されることができる。
【0056】
静電チャック装置1は、温度調節用ベース部3から載置板11までをそれらの厚さ方向に貫通するように設けられたピン挿通孔28を有している。このピン挿通孔28には、板状試料離脱用のリフトピンが挿通される。ピン挿通孔28の内周部には筒状の碍子29が設けられている。
【0057】
静電チャック装置1は、温度調節用ベース部3から載置板11までをそれらの厚さ方向に貫通するように設けられた不図示のガス穴を有している。ガス穴は、例えばピン挿通孔28と同様の構成を採用することができる。ガス穴には、板状試料Wを冷却するための冷却ガスが供給される。冷却ガスは、ガス穴を介して載置板11の上面において複数の突起部11bの間に形成される溝19に供給され、板状試料Wを冷却する。
静電チャック装置1は、以上のような構成となっている。
【0058】
(基体)
次に、本発明の第一〜三の態様の基体(載置板11および支持板12)の好ましい例や特徴について、更に詳述する。
載置板11および支持板12は、炭化ケイ素粒子および酸化アルミニウム粒子を含むセラミックス粒子の焼結体を形成材料として形成されている。
本発明において、炭化ケイ素粒子および酸化アルミニウム粒子の割合は任意に選択可能であるが、質量比で99:1〜80:20が好ましく、97:3〜85:15がより好ましく、92:8〜87:13がより好ましい。酸化アルミニウム粒子の平均粒子径は任意に選択可能であるが0.2μm以下が好ましい。炭化ケイ素粒子の平均粒子径は任意に選択可能であるが、0.6μm以下が好ましい。
【0059】
SiC(炭化ケイ素)には、結晶構造が多数あることが知られている。立方晶系で3C型(閃亜鉛鉱型)の結晶構造を有するもの、4H型、6H型等の六方晶系でウルツ鉱型の結晶構造を有するもの、及び、菱面体晶系で15R型の結晶構造を有するもの、などが挙げられる。このうち、3C型の結晶構造を有するものを「β−SiC」と称する。また、それ以外の結晶構造を有するもの全てを「α−SiC」と称する。
【0060】
載置板11および支持板12は、焼結体に含まれるSiCが、β−SiCであることが好ましい。また、焼結体においては、β−SiCの結晶粒が、マトリックス材料である酸化アルミニウムの結晶粒に取り囲まれる状態で、分散して存在していることが好ましい。焼結体において、β−SiCの体積比率は、全体の4体積%以上15体積%以下が好ましく、6体積%以上10体積%以下がより好ましい。
なお焼結体に含まれるSiC以外の物質としては、任意に選択でき、Y
2O
3などが挙げられる。
【0061】
β−SiCの体積比率が4体積%以上であると、SiC粒子による電子導電性の十分な発現効果が得られる。また、β−SiCの体積比率が15体積%以下であると、SiC粒子同士の接触が生じてSiC粒子を介した抵抗値低下を生じるおそれがない。
【0062】
焼結体においては、アルミニウム及びケイ素以外の金属不純物含有量が100ppm以下である。金属不純物含有量は、50ppm以下であることが好ましく、25ppm以下であることがより好ましい。
【0063】
本発明において、体積固有抵抗値や絶縁破壊強度は、酸化アルミニウム中の金属不純物含有量を制御することで調整可能である。酸化アルミニウム中の不純物量が高い場合、酸化アルミニウムは、共有結合性が低下し、格子欠陥が増加する。これにより、酸化アルミニウムの高温での体積固有抵抗値や絶縁破壊強度が減少する。
【0064】
そのため、酸化アルミニウム中のアルミニウムおよびシリコン以外の金属不純物含有量を100ppm以下に抑制することで、酸化アルミニウムの高温での体積固有抵抗値を増加させることができる。結果として、焼結体の高温での体積固有抵抗値や絶縁破壊強度を増加させる方向に調整することができる。
【0065】
第一と第二の態様の基体において、好ましい特性について更に以下に説明する。
第一の態様において、焼結体は、体積固有抵抗値が、24℃から300℃までの全範囲において0.5×10
15Ωcm以上である。
【0066】
また、焼結体は、体積固有抵抗値の温度依存性を測定した場合に、焼結体の体積固有抵抗値の測定温度に対する、焼結体の体積固有抵抗値の関係を示すグラフが、24℃から300℃までの範囲において極大値を有している。
【0067】
載置板11および支持板12のこのような性質は、(i)酸化アルミニウム粒子の高純度化、及び/又は(ii)炭化ケイ素粒子の結晶欠陥の除去、により実現することができる。
【0068】
すなわち、「(i)酸化アルミニウム粒子の高純度化」を行うと、酸化アルミニウム粒子のイオン導電性が低減する。酸化アルミニウム粒子は、イオン導電性が低減すると、温度上昇により体積固有抵抗値が低下する傾向を示す。酸化アルミニウム粒子の高純度化は、必要に応じて選択される方法により行う事ができる。
【0069】
一方、「(ii)炭化ケイ素粒子の結晶欠陥の除去」を行うと、炭化ケイ素粒子の電子伝導性が向上する。炭化ケイ素粒子は、電子伝導性が向上すると、温度上昇により体積固有抵抗値が増加する傾向を示す。炭化ケイ素粒子の結晶欠陥の除去は、必要に応じて選択される方法により行う事ができる。
【0070】
載置板11および支持板12においては、焼結体を構成する炭化ケイ素粒子および酸化アルミニウム粒子のこれらの傾向に応じて、体積固有抵抗値を制御することができる。
【0071】
図2は、本発明の載置板11および支持板12を構成する焼結体について、測定温度に対する体積固有抵抗値の関係を模式的に示す、片対数グラフである。
図2においては、横軸が測定温度の逆数(単位:K
−1)、縦軸が体積固有抵抗値(単位:Ω・cm)を示している。また、
図2には、載置板11および支持板12を構成する、本発明で使用される焼結体(Al
2O
3−SiC)と、比較のための酸化アルミニウム焼結体(Al
2O
3)との結果を示している。
図2に示される測定温度は、24〜300℃(3.367〜1.745(1000/T(K
−1)))である。
なお
図2で比較のための酸化アルミニウム焼結体(Al
2O
3)の不純物は795ppmである。
【0072】
図に示すように、図中“丸”で示される本発明で使用される焼結体は、上記グラフにおいて、温度上昇とともに体積固有抵抗値が上昇する領域(領域1)と、温度上昇とともに体積固有抵抗値が低下する領域(領域2)を有する。この結果は、温度上昇により体積固有抵抗値がただ上昇する“四角”で示される酸化アルミニウム焼結体と異なる。
【0073】
まず、領域1においては、酸化アルミニウム粒子の性質よりも炭化ケイ素粒子の性質のほうが色濃く表れ、温度上昇により体積固有抵抗値が増加する傾向を示している。一方、領域2においては、炭化ケイ素粒子の性質よりも酸化アルミニウム粒子の性質のほうが色濃く表れ、温度上昇により体積固有抵抗値が低下する傾向を示している。なお炭化ケイ素焼結体の測定を行った場合、温度上昇するに従い体積固有抵抗値が低下する。
【0074】
このように、焼結体の温度に応じて色濃く表れる、2種類の粒子の性質の違いにより、本発明の載置板11および支持板12を構成する焼結体は、測定温度と体積固有抵抗値との関係を示すグラフが、24℃から300℃までの範囲において極大値を示す。
【0075】
なお、「24℃から300℃までの範囲」は、静電チャック装置の使用環境の温度条件を考慮して定めたものである。すなわち、静電チャック装置は、室温(24℃)から、プラズマ処理工程における温度条件として想定される温度を上回る温度(300℃)までの範囲において、焼結体の測定温度と体積固有抵抗値との関係を示すグラフが上に凸となり極大値を示す。
【0076】
上述したような、焼結体の測定温度と体積固有抵抗値との関係を示すグラフが極大値を示すという挙動について、発明者は、焼結体の金属不純物含有量が100ppm以下と高純度化されたものであるために明らかになってきたと考えている。
すなわち、焼結体においては、例えば、酸化アルミニウム粒子の金属不純物含有量を低減して高純度にすることにより、酸化アルミニウム粒子の電気伝導性(イオン伝導性)が低減し、炭化ケイ素粒子の電気伝導性(電子伝導性)の影響が強くなる。その結果、測定温度に対する酸化アルミニウム粒子の電気伝導性(イオン伝導性)の挙動と、炭化ケイ素粒子の電気伝導性(電子伝導性)の挙動とのバランスにより、焼結体の測定温度と体積固有抵抗値との関係を示すグラフが上に凸となり極大値を示すと考えられる。
なお焼結体の金属不純物含有量が多い場合、
図2で示すような明確な極大値は現れない。
【0077】
第二の態様の基体において、好ましい特性について更に以下に説明する。
第二の態様において、焼結体の180℃の絶縁破壊強度は、焼結体の24℃の絶縁破壊強度の0.85倍以上である。
【0078】
ここで、本明細書において「絶縁破壊強度」とは、JIS C2110−2で規定する短時間試験において、焼結体の試験片を直径25mmの電極で挟持し、電圧上昇速度2000V/秒にて測定したとき、試験片に流れる電流値(漏れ電流値)が5mAの時の電圧値を、試験片の厚みで除した値のことを指す。
【0079】
このような絶縁破壊強度は、市販の絶縁破壊試験装置(例えば、HAT−300−100RHO、ヤマヨ試験機社製)を用いて測定することができる。
【0080】
載置板11および支持板12のこのような性質は、酸化アルミニウム粒子の高純度化により実現することができる。
【0081】
「酸化アルミニウム粒子の高純度化」を行うと、酸化アルミニウム粒子のイオン導電性が低減する。酸化アルミニウム粒子は、イオン導電性が低減すると、温度上昇により体積固有抵抗値が低下しにくくなる。
【0082】
したがって、載置板11および支持板12においては、焼結体を構成する酸化アルミニウム粒子を高純度化することで、高温時(180℃)の絶縁性を担保しやすく、絶縁破壊強度を所望の値とすることができる。
【0083】
[静電チャック装置の製造方法]
本発明の静電チャック装置の製造方法は、酸化アルミニウム粒子と炭化ケイ素粒子とを、それぞれ高速で噴射してお互いに衝突させながら混合しスラリーを得る工程と、混合する工程で得られたスラリーから分散媒を除去した後、成形する工程と、得られる成形体を、非酸化性雰囲気下、25MPa以上の圧力で押し固めながら1600℃以上に加熱して加圧焼結する工程と、得られるセラミックス焼結体を研削して基体(載置板11および支持板12)を形成する工程と、を有する。
【0084】
好ましい例について以下に説明する。
本発明の静電チャック装置の製造方法では、用いる酸化アルミニウム粒子は、不純物が少ない、すなわり、酸化アルミニウムの含有量が99.99%以上であることが好ましい。このような高純度の酸化アルミニウム粒子は、ミョウバン法を用いることにより調整可能である。ミョウバン法とは、例えば、アンモニウム塩と炭酸水素アンモニウムからアンモニウムドーソナイトを合成し、焼成することで酸化アルミニウム粒子を得る方法である。ミョウバン法を用いて調整した酸化アルミニウム粒子は、例えばバイヤー法を用いて調整した酸化アルミニウム粒子と比べると、金属不純物であるナトリウム原子の含有量を大幅に低減することが可能である。また、所望の純度の酸化アルミニウム粒子が得られるのであれば、種々の方法を採用可能である。
酸化アルミニウム粒子と炭化ケイ素粒子の粒子や比率は任意に選択でき、上述した粒径を好ましく使用することができる。炭化ケイ素粒子は、炭化ケイ素の含有量が99.9%以上であることが好ましい。
【0085】
混合する工程においては、2流粒子衝突型の粉砕混合装置を用い、必要に応じて分散剤を含んでよい純水などの分散媒に分散させた、酸化アルミニウム粒子と炭化ケイ素粒子とを、加圧することで高速で噴射して、それぞれお互いに衝突させながら混合する。これにより、酸化アルミニウム粒子と炭化ケイ素粒子とが粉砕され、これらの粉砕粒子を含む分散液(スラリー)が得られる。
【0086】
酸化アルミニウム粒子と炭化ケイ素粒子とを衝突させる際、大きい粒子は、衝突時の運動エネルギーが大きく、粉砕されやすい。一方、小さい粒子は、衝突時の運動エネルギーが小さく、粉砕されにくい。そのため、上記粉砕混合装置を用いて得られる酸化アルミニウム粒子と炭化ケイ素粒子は、粗大粒子や過粉砕の粒子の少ない、粒度分布幅の狭い粒子となる。したがって、2流粒子衝突型の粉砕混合装置を用いて粉砕混合した混合粒子を用いると、焼結工程において、粗大粒子を核とする異常粒成長を抑制することができる。
【0087】
また、このような粉砕混合装置を用いて粉砕混合する場合、例えば、ボールミルやビーズミル等のメディアを用いて粉砕混合する方法と比べると、各メディアの破損に起因した不純物の混入を抑制することが可能である。
【0088】
次に分散媒を除去する。成形する工程においては、まず、粉砕混合装置で得られた分散液をスプレードライすることにより、酸化アルミニウム粒子と炭化ケイ素粒子との混合粒子からなる顆粒を得る。
【0089】
次いで、目的とする焼結体の形状に応じて、得られた顆粒を成形、例えば一軸成形(一軸プレス成形)する。
【0090】
次いで、得られた成形体を、不活性ガス雰囲気下、常圧で(プレスすることなく)加熱、例えば500℃に加熱する。加熱によって、成形体に含まれる水分や分散媒等の夾雑物を除去する(成形体の加熱工程A)。不活性ガスとしては任意に選択でき、例えば、窒素またはアルゴンを好ましく用いることができる。この操作においては、成形体を変性することなく成形体から夾雑物を除去できるならば、加熱温度は500℃に限られない。例を挙げれば400〜600℃を使用でき、450〜550℃を好ましく使用でき、500〜525℃をより好ましく使用できる。
【0091】
さらに、本発明の製造方法は、夾雑物(不純物)を除去した成形体を、酸化処理が可能な条件下で、例えば大気中で、酸化処理が可能な温度で、例えば400℃の温度で加熱して、成形体を構成する混合粒子を、酸化処理する酸化工程を有することが好ましい(成形体の加熱工程B)。プレスを行わないことが好ましい。このような操作によれば、酸化処理において混合粒子に含まれる炭化ケイ素粒子の表面には酸化膜が形成される。酸化膜には、混合粒子に含まれる金属不純物が溶け出しやすいため、混合粒子に含まれる金属不純物が粒子表面に偏って存在することになる。すると、後述する加圧焼結する工程において、金属不純物を除去しやすく、好ましい。酸化処理の温度は例えば、300〜600℃を使用でき、320〜550℃を好ましく使用でき、350〜525℃をより好ましく使用できる。
【0092】
次に加圧焼成工程を行う。
加圧焼成する工程においては、まず、好ましくは成形体をモールド等にセットする。その後、上述の成形体を、真空雰囲気(第1の非酸化性雰囲気)において、1600℃よりも低い温度、且つ好ましくは常圧で(プレスすることなく)、加熱(予備加熱)する(成形体の加熱工程C)。このような操作によれば、予備加熱時の温度を適宜設定することにより、混合粒子に含まれるアルカリ金属等の金属不純物が蒸発し、金属不純物を容易に除去できる。そのため、このような操作によれば、混合粒子の純度を向上しやすくなり、基体の体積抵抗値を制御しやすくなる。
予備加熱時間も任意に選択できる。なお必要に応じて、予備加熱において、加圧焼成に使用される圧力より小さな圧力で、プレスを行っても良い。
【0093】
また、上述したように夾雑物を除去した成形体に対し酸化処理を施していると、成形する工程において、真空雰囲気下で予備加熱することにより、粒子表面に形成された酸化膜が揮発する。同時に、酸化膜に含まれる金属不純物が蒸発する。そのため、成形体から金属不純物を容易に除去できる。したがって、このような操作によれば、混合粒子の純度を向上しやすくなり、基体の体積抵抗値を制御しやすくなる。
【0094】
なお、本発明において「真空」とは、「大気圧より低い圧力の基体で満たされた空間内の状態」のことであり、JIS規格において工業的に利用できる圧力として定義された状態のことを指す。本発明においては、真空雰囲気は、低真空(100Pa以上)であってもよいが、中真空(0.1Pa〜100Pa)であると好ましく、高真空(10
−5Pa〜0.1Pa)であるとより好ましい。
【0095】
本例の静電チャック装置の製造方法においては、例えば、真空雰囲気下、1200℃で4時間以上予備加熱した後、大気圧までアルゴンで気圧を戻す。
【0096】
次いで、前記予備加熱を施した成形体を更に加圧焼成により処理をする(加熱工程D)。加圧焼成の条件は任意に選択される。例えば、前記成形体を、アルゴン雰囲気(第2の非酸化性雰囲気)において、5MPa以上の圧力で押し固めながら、1600℃以上に加熱して、加圧焼結する。このような操作によれば、成形体に含まれる酸化アルミニウム粒子や炭化ケイ素粒子の焼結が進行し、気孔の少ない緻密な焼結体が得られる。
【0097】
本実施形態の静電チャック装置の製造方法においては、非酸化性雰囲気下、例えば、アルゴン雰囲気下、1600℃以上1850℃以下で、焼結圧力25MPa以上50MPa以下の範囲で焼結する。ただし、この条件のみに限定されない。
【0098】
このような方法で製造して得られた焼結体は、金属不純物含有量が低減し高純度なものとなる。金属不純物含有量が目標値に達しない場合には、予備加熱の時間を長くする、または予備加熱の温度を高くするとよい。
【0099】
次いで、基体を形成する工程では、得られた焼結体を研削し、所望の形の基体を形成する。
【0100】
以上のような構成の静電チャック装置によれば、高温加熱時においてもウエハの取り外しが容易な静電チャック装置を提供することができる。
【0101】
また、以上のような静電チャック装置の製造方法によれば、高温加熱時においてもウエハの取り外しが容易な静電チャック装置を容易に製造することができる。
【0102】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0103】
[実施例]
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0104】
(実施例1)
出発原料として、平均粒子径が0.03μmであり熱プラズマCVDで合成されたβ−SiC型の炭化ケイ素(β−SiC)粒子と、平均粒子径が0.1μmであり金属不純物含有量が95ppmの酸化アルミニウム(Al
2O
3)粒子とを用いた。
【0105】
β−SiC粒子とAl
2O
3粒子との全体量に対し、β−SiC粒子が8質量%となるように、Al
2O
3粒子が92質量%となるように、秤量した。β−SiC粒子800g及びAl
2O
3粒子9200gを、分散剤が入った7250ccの蒸留水に投入した。β−SiC粒子とAl
2O
3粒子とを投入した分散液について、超音波分散装置にて分散処理の後、2流粒子衝突型の粉砕混合装置を用いて粉砕混合した。
【0106】
得られた混合溶液(スラリー)をスプレードライ装置にて噴霧乾燥させ、β−SiCとAl
2O
3との混合粒子とした。
【0107】
混合粒子をプレス圧8MPaで一軸プレス成形し、直径320mm×15mm厚の成形体とした。
【0108】
次いで、成形体を窒素雰囲気下、プレス圧を加えることなく500℃まで昇温させ、水分および分散剤(夾雑物)を除去した。その後、夾雑物を除去した成形体を大気中400℃に加熱し、成形体に含まれるβ−SiC粒子の表面を酸化した。
【0109】
得られた成形体を黒鉛製のモールドにセットし、加圧焼結を行った。まず、成形体を、真空雰囲気下、プレス圧を加えることなく1200℃まで昇温させた(予備加熱)。その後、アルゴン雰囲気下、プレス圧40MPa、1800℃で焼結を行い、実施例1の焼結体を得た。
【0110】
実施例1の焼結体の金属不純物含有量は、80ppmであった。なお、本実施例において金属不純物含有量は、ICP−MS法にて測定した値を採用した。
【0111】
実施例1においては、以下のように直流三端子法により円盤状の焼結体の体積固有抵抗値を測定した。
【0112】
(使用機器)
スクリーン印刷機:MODEL MEC−2400型、ミタニマイクロニクス株式会社製
抵抗率測定装置:西山製作所製
絶縁計:デジタル絶縁計(型式DSM−8103、日置電機株式会社)
【0113】
(測定条件)
温度:室温(24℃)、50℃、100℃、150℃、200℃、250℃、300℃
雰囲気:窒素(純度99.99995%、流量200ml/分)
印加電圧:0.5kV、1kV
【0114】
(測定方法)
スクリーン印刷機を用いて、銀ペースト(NP−4635、株式会社ノリタケカンパニーリミテッド製)を焼結体の上面及び下面に印刷し、大気中100℃で12時間乾燥させた後、大気中450℃で1時間焼き付け、主電極、ガード電極、対極を形成した。
図3は、本実施例で体積固有抵抗値を測定する際の焼結体の様子を示す模式図である。図において、符号100は焼結体、符号110は主電極、符号120はガード電極、符号130は対極を示す。
【0115】
このとき、主電極直径は1.47cmであり、ガード電極の内径は1.60cmであった。
【0116】
上述のように電極を形成した焼結体に対し、各測定温度において直流電圧を印加し、1分間充電後の電流を測定して、焼結体の体積抵抗を求めた。その後、焼結体の厚み、および電極面積を用いて下記式(1)より体積固有抵抗率(ρv)を算出した。
ρv=S/t×Rv=S/t×V/I …(1)
(S:電極の有効面積(cm
2)、t:焼結体の厚み(cm)、Rv:体積抵抗、V:直流電圧(V)、I:電流(A))
【0117】
(実施例2)
出発原料として、平均粒子径が0.03μmであり熱プラズマCVDで合成されたβ−SiC型の炭化ケイ素(β−SiC)粒子と、平均粒子径が0.1μmである酸化アルミニウム(Al
2O
3)粒子とを用いた。β−SiC粒子の金属不純物量は、50ppmであった。また、Al
2O
3粒子の金属不純物量は、150ppmであった。
【0118】
β−SiC粒子とAl
2O
3粒子との全体量に対し、β−SiC粒子が8体積%となるように、Al
2O
3粒子が92質量%となるように、秤量した。β−SiC粒子800g及びAl
2O
3粒子9200gを、分散剤が入った、7250ccの蒸留水に投入した。β−SiC粒子とAl
2O
3粒子とを投入した分散液について、超音波分散装置にて分散処理の後、2流粒子衝突型の粉砕混合装置を用いて粉砕混合した。
【0119】
得られた混合溶液をスプレードライ装置にて噴霧乾燥させ、β−SiCとAl
2O
3との混合粒子とした。
【0120】
混合粒子をプレス圧8MPaで一軸プレス成形し、直径320mm×15mm厚の成形体とした。
【0121】
次いで、成形体を窒素雰囲気下、プレス圧を加えることなく500℃まで昇温させ、水分および分散剤(夾雑物)を除去した。その後、夾雑物を除去した成形体を大気中400℃に加熱し、成形体に含まれるβ−SiC粒子の表面を酸化した。
【0122】
得られた成形体を黒鉛製のモールドにセットし、加圧焼結を行った。焼結条件は、1100℃までは、真空雰囲気下、プレス圧5MPaとした。その後、アルゴン雰囲気下、プレス圧40MPa、1800℃で焼結を行い、実施例2の焼結体を得た。
【0123】
実施例2の焼結体の金属不純物含有量は、50ppmであった。なお、本実施例において金属不純物含有量は、ICP−MS法にて測定した値を採用した。
【0124】
次いで、焼結体の表面を研削して、厚みが1mmである実施例2の試験片を得た。
【0125】
(実施例3)
焼結体の表面を研削して、厚みが0.5mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の試験片を得た。
【0126】
(実施例4)
焼結体の表面を研削して、厚みが0.3mmとしたこと以外は、実施例2と同様にして、実施例4の試験片を得た。
【0127】
(比較例1)
Al
2O
3粒子として、金属不純物含有量が800ppm、平均粒子径が0.5μmのものを用いた。成形体に使用される粒子の総量は実施例1や2と同じとした。また、夾雑物を除去した成形体を、室温から焼結温度に至るまで真空雰囲気に曝すことなく、アルゴン雰囲気下で熱処理(焼結)を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の焼結体を得た。
【0128】
比較例1の焼結体の金属不純物含有量は、795ppmであった。
【0129】
(参考例1)
出発原料として、平均粒子径が1.0μmであり金属不純物含有量が1500ppmのAl
2O
3粒子と酸化マグネシウム(MgO)粒子とを用いた。
MgO粒子とAl
2O
3粒子との全体量に対し、MgO粒子が0.04質量%となるようにAl
2O
3粒子が99.96質量%となるように、秤量した。MgO粒子4g及びAl
2O
3粒子9996gを、分散剤が入った蒸留水に投入して16時間混合した。
得られた混合溶液をスプレードライ装置にて噴霧乾燥させ、MgOとAl
2O
3との混合粒子とした。
【0130】
得られた混合粒子について、プレス圧98MPaでCIP(Cold Isostatic Pressing)を行い、直径320mm×15mm厚の成形体とした。
【0131】
次いで、成形体を大気雰囲気下、500℃で5時間保持した後、1650℃で4時間焼結を行い、参考例1の焼結体を得た。
【0132】
参考例1の焼結体の金属不純物含有量は、1900ppmであった。
【0133】
次いで、参考例1の焼結体の表面を研削して、厚みが1mmである参考例1の試験片を得た。
【0134】
(絶縁破壊強度)
本実施例2〜4においては、得られた試験片の絶縁破壊強度を、絶縁破壊試験装置(HAT−300−100RHO、ヤマヨ試験機社製を使用)にて測定した測定値を用いて求めた。
【0135】
具体的には、JIS C2110−2で規定する短時間試験において、焼結体の試験片を直径25mmの電極で挟持し、電圧上昇速度2000V/秒にて測定したとき、試験片に流れる電流値(漏れ電流値)が5mAの時の電圧値を、試験片の厚みで除した値のことを絶縁破壊強度として求めた。
【0136】
この絶縁破壊強度を、23℃、100℃、180℃において測定した。その他の測定条件は、以下の通り。
(測定条件)
サンプル周囲媒質:23℃…トランス油、100℃、180℃…シリコーン油
試験環境温度:23℃±2℃
試験環境湿度:50%RH±5%RH
【0137】
以下に実施例及び比較例の結果について述べる。
図4は、実施例1の結果を示すグラフ、
図5は、比較例1の結果を示すグラフ、
図6は参考例1の結果を示すグラフである。
図4〜6においては、横軸が測定温度の逆数(単位:K
−1)、縦軸が体積固有抵抗値(単位:Ω・cm)を示している。
【0138】
図4に示すように、実施例1の焼結体は、24℃から300℃までの全範囲において0.5×10
15Ωcm以上であり、
図4に示すグラフにおいて、24℃から300℃までの範囲において極大値を有することが分かった。
【0139】
対して、
図5に示すように、比較例1の焼結体は、高温域において体積固有抵抗値が0.5×10
15Ωcmを下回っていることが分かった。
【0140】
図6に示すように、参考例1の焼結体は、24℃から300℃までの範囲において極大値を有さないことが分かった。
【0141】
実施例1に示す焼結体を基体に用いた静電チャック装置によれば、高温加熱時においてもウエハの取り外しが容易となる。
【0142】
図7は、実施例2、比較例1、参考例1の結果を示すグラフである。
図8は、実施例3の結果を示すグラフである。
図9は、実施例4の結果を示すグラフである。
図7〜9においては、横軸が測定温度(単位:℃)、縦軸が絶縁破壊強度(単位:kV/mm)を示している。
【0143】
図7に示すように、実施例2の試験片は、24℃における絶縁破壊強度が約45kV/mmであるのに対し、180℃における絶縁破壊強度が約41kV/mmであり、180℃の絶縁破壊強度が24℃の絶縁破壊強度の0.85倍以上の値を示した。
【0144】
また、
図8,9に示すように、実施例2の焼結体を用い、厚みを変更した実施例3,4の試験片についても、180℃の絶縁破壊強度が24℃の絶縁破壊強度の0.85倍以上の値を示した。
【0145】
対して、
図7に示すように、比較例1および参考例1の試験片は、24℃における絶縁破壊強度が50kV/mmを超えているのに対し、180℃における絶縁破壊強度が40kV/mmを下回り、180℃の絶縁破壊強度が24℃の絶縁破壊強度の0.8倍未満の値を示した。
【0146】
実施例2の焼結体を基体に用いた静電チャック装置によれば、高温加熱時においても基体が絶縁破壊しにくく、比較例1や参考例1の焼結体を基体に用いた静電チャック装置と比べ、歩留まりよくウエハを処理可能となる。
【0147】
以上の結果より、本発明が非常に有用であることが分かった。