特許第6863384号(P6863384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6863384カバー部材、これを有する携帯情報端末及び表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863384
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】カバー部材、これを有する携帯情報端末及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/28 20060101AFI20210412BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   H04R1/28 330
   H04M1/02 C
【請求項の数】18
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-538380(P2018-538380)
(86)(22)【出願日】2017年8月31日
(86)【国際出願番号】JP2017031439
(87)【国際公開番号】WO2018047710
(87)【国際公開日】20180315
【審査請求日】2020年2月6日
(31)【優先権主張番号】特願2016-176326(P2016-176326)
(32)【優先日】2016年9月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】留野 暁
【審査官】 大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0013394(US,A1)
【文献】 米国特許第7400750(US,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0215150(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/02
H04R 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、超音波機器が設置される側の第2主面とを有するカバー部材であって、音響インピーダンスZが3〜25(×10kg/m/s)の部材を有することを特徴とするカバー部材。
【請求項2】
前記部材がガラスである、請求項1に記載のカバー部材。
【請求項3】
前記ガラスが無機ガラスである、請求項2に記載のカバー部材。
【請求項4】
前記部材の厚さが0.1〜1.5mmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカバー部材。
【請求項5】
前記部材が孔または凹部を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカバー部材。
【請求項6】
前記超音波機器を保護する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のカバー部材。
【請求項7】
前記超音波機器が超音波センサである、請求項6に記載のカバー部材。
【請求項8】
前記超音波機器で使用する超音波の周波数が1〜30MHzである、請求項5または6に記載のカバー部材。
【請求項9】
前記部材のヤング率が60GPa以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のカバー部材。
【請求項10】
第1主面の算術平均粗さRaが5000nm以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のカバー部材。
【請求項11】
前記部材の少なくとも一方の主面に圧縮応力層を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のカバー部材。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のカバー部材を備えた携帯情報端末。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のカバー部材を備えた表示装置。
【請求項14】
第1主面と第2主面とを有するカバー部材と、前記第2主面側に配置された超音波機器と、を備える超音波装置であって、
前記カバー部材は、音響インピーダンスが3〜25(×10kg/m/s)の部材である、ことを特徴とする、超音波装置。
【請求項15】
前記超音波機器は、発信機と受信機とを備え、前記発信機から発信される超音波の周波数が1〜30MHzである、請求項14に記載の超音波装置。
【請求項16】
前記部材が無機ガラスである、請求項14または15に記載の超音波装置。
【請求項17】
前記超音波機器が超音波センサである、請求項14〜16のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項18】
前記部材が孔または凹部を有する、請求項14〜17のいずれか1項に記載の超音波装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバー部材、これを有する携帯情報端末及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器類における高度なセキュリティ対策として、暗証番号などに代わり、指紋などを個人の認証に用いる生体認証技術が注目されつつある。中でも指紋認証方式は、携帯電話、タブレットに採用されており、光学方式、感熱方式、圧力方式、静電容量方式などのセンサが使用されている。センシング感度や消費電力の観点から静電容量方式のセンサが優れているとされている。
【0003】
静電容量方式センサは、被検出物が接近、または、接触した部位の局所的な静電容量の変化を検出する。一般的な静電容量方式センサは、センサ内に配置された電極と被検出物との距離を静電容量の大きさによって測定する。例えば、特許文献1の静電容量方式センサパッケージングでは、センサが対象物を検出できるようにカバーガラスに孔を設け、その孔にセンサカバーを配置することが開示されている。
しかしながら、静電容量方式センサは、手が濡れている場合のように、検出対象物の状態に認証感度が左右され、誤認率が高くなる問題があった。
そこで、検出対象物との間に液体などの異物があっても透過して検出でき、セキュリティを向上した超音波方式センサが注目されつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2013/173773号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
超音波方式センサを、従来の静電容量方式センサの代わりにセンサカバーと組み合わせた場合、超音波方式センサから発せられた超音波がセンサカバーにおいて減衰してしまい、認証感度が低下することが考えられる。
【0006】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、超音波を減衰しにくいカバー部材、これを有する携帯情報端末及び表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 第1主面と、超音波機器が設置される側の第2主面とを有するカバー部材であって、音響インピーダンスZが3〜25(×10kg/m/s)の部材を有することを特徴とするカバー部材。
(2) 前記部材がガラスである、(1)に記載のカバー部材。
(3) 前記ガラスが無機ガラスである、(2)に記載のカバー部材。
(4) 前記部材の厚さが0.1〜1.5mmである、(1)〜(3)のいずれか1つに記載のカバー部材。
(5) 前記部材が孔または凹部を有する、(1)〜(4)のいずれか1つに記載のカバー部材。
(6) 前記超音波機器を保護する、(1)〜(5)のいずれか1つに記載のカバー部材。
(7) 前記超音波機器が超音波センサである、(6)に記載のカバー部材。
(8) 前記超音波機器で使用する超音波の周波数が1〜30MHzである、(5)または(6)に記載のカバー部材。
(9) 前記部材のヤング率が60GPa以上である、(1)〜(7)のいずれか1つに記載のカバー部材。
(10) 第1主面の算術平均粗さRaが5000nm以下である、(1)〜(9)のいずれか1つに記載のカバー部材。
(11) 前記部材の少なくとも一方の主面に圧縮応力層を有する、(1)〜(10)のいずれか1つに記載のカバー部材。
(12) (1)〜(11)のいずれか1つに記載のカバー部材を備えた携帯情報端末。
(13) (1)〜(11)のいずれか1つに記載のカバー部材を備えた表示装置。
(14) 第1主面と第2主面とを有するカバー部材と、前記第2主面側に配置された超音波機器と、を備える超音波装置であって、前記カバー部材は、音響インピーダンスが3〜25(×10kg/m/s)の部材である、ことを特徴とする超音波装置。
(15) 前記超音波機器は、発信機と受信機とを備え、前記発信機から発信される超音波の周波数が1〜30MHzである、(14)に記載の超音波装置。
(16) 前記部材が無機ガラスである、(14)または(15)に記載の超音波装置。
(17) 前記超音波機器が超音波センサである、(14)〜(16)のいずれか1つに記載の超音波装置。
(18) 前記部材が孔または凹部を有する、(14)〜(17)のいずれか1つに記載の超音波装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、超音波を減衰しにくいカバー部材、これを有する携帯情報端末及び表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】カバー部材と超音波機器とを有する超音波装置に、検出対象物としての指が接触する様子を示した側面視模式図。
図2図1の構成における、カバー部材の音響インピーダンスとエネルギー残存率との関係を示すグラフ。
図3A図1の構成に印刷層9を加えた構成の側面視模式図。
図3B図3Aの構成における、カバー部材の音響インピーダンスとエネルギー残存率との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されない。また、本発明の範囲を逸脱することなく、以下の実施形態に種々の変形及び置換等を加えられる。
【0011】
(カバー部材)
本発明に係るカバー部材は、超音波機器を保護し、音響インピーダンスZが3〜25(×10kg/m/s)の部材からなる。本発明のカバー部材は、超音波機器を高性能に作動させる部材として、特に超音波センサを高い感度で認証させる部材として、機能するとともに、超音波機器を保護するために有用である。なお、ここでいう「保護」とは、例えば、超音波機器にカバーガラスを直接貼着したり、近接配置したり、隙間を有して対面配置したり、印刷層などを挟んで配置すること、等を示す。具体的には本発明のカバーガラスにより後述の超音波機器の発信機および受信機を覆うことを示す。
【0012】
本発明のカバー部材の音響インピーダンスZは、3(×10kg/m/s)以上が好ましい。その場合、音響インピーダンスZが大きい超音波機器をカバー部材と組み合わせた際に、超音波機器とカバー部材との界面等において超音波が減衰しにくくなるため、超音波機器の所望の効果を発揮させられる。カバー部材の音響インピーダンスZは、5(×10kg/m/s)以上がより好ましく、12(×10kg/m/s)以上がさらに好ましい。
【0013】
本発明のカバー部材の音響インピーダンスZは、25(×10kg/m/s)以下が好ましい。これは本発明のカバー部材を超音波機器の保護部材に使用すると、音響インピーダンスZが小さい検出対象物、例えば指紋、をカバー部材に接触させても、検出対象物とカバー部材との界面において超音波が減衰しにくくなるため、超音波機器の所望の効果を発揮させられる。また、後述の通り、音響インピーダンスZはカバー部材の密度ρと音速cの積で求められ、音速cが一定の場合、音響インピーダンスZが大きいと密度ρが大きくなる。この場合、カバー部材として重量が重くなるが、音響インピーダンスZが上記範囲以下であると超音波装置1を携帯情報端末に使用しても重量が嵩まない。カバー部材の音響インピーダンスZは、20(×10kg/m/s)以下がより好ましく、18(×10kg/m/s)以下がさらに好ましい。
【0014】
なお、音響インピーダンスZは、音波がどの程度伝達しやすいかを示す指標であり、式(1)で求められる。
Z = ρ × c …(1)
(ただし、式(1)で音響インピーダンスZの単位はkg/m/s、密度ρの単位はkg/m、音速cの単位はm/sである。)
【0015】
図1は、カバー部材3と超音波機器5とを有する超音波装置1に、検出対象物7としての指が接触する様子を示した側面視模式図を示す。カバー部材3は、超音波装置1の使用者が触れられる第1主面31と、超音波機器5が設置され超音波装置1に内包される第2主面33とを有する。超音波機器5は、超音波を発信する発信機51と、超音波を受信する受信機53とを有する。また、カバー部材3と検出対象物7との界面37と、カバー部材3と超音波機器5との界面35とが存在する。
【0016】
超音波装置1が検出対象物7を検出する手順は以下の通りである。検出対象物7がカバー部材3の第1主面31に触れるなどにより、起動信号が超音波機器5に送信される。この起動信号により、発信機51が超音波S1initを発信し、超音波S1initが界面35を透過し、カバー部材3内を進行し、界面37で検出対象物7に到達する。この際、到達した超音波の一部が検出対象物7により反射して超音波S2となる。この超音波S2は、超音波機器5に向かって界面37、カバー部材3、界面35の順に透過し、最終的に超音波S2endとして受信機53で受信される。
【0017】
ここで受信機53に到達した超音波S2endのエネルギーは、発信機51から発信された超音波S1initのエネルギーに比べ非常に小さくなる。これは界面35、37における超音波の減衰と、カバー部材3内部における減衰とが生じるためである。これらのうち、界面における散乱や反射などによるエネルギーの減衰が大きく、前者が超音波を減衰させる支配的な原因と考えられる。
【0018】
図2は、図1の構成で超音波S1initのエネルギーに対する、超音波S2endのエネルギーの割合S2end/S1init(以降、エネルギー残存率と記載)を縦軸に、カバー部材の音響インピーダンスを横軸にプロットした図である。カバー部材の音響インピーダンスZが3(×10kg/m/s)以上であると、エネルギー残存率が1%以上となり、超音波機器5が適正に機能できる程度のエネルギーが得られる。なお、超音波機器5、検出対象物7の音響インピーダンスはそれぞれ30(×10kg/m/s)、1.4(×10kg/m/s)とした。
【0019】
また、図3Aに示すように、使用者から内部の機器を視認できないようにする隠蔽層として印刷層9を超音波装置1に形成することがある。図3Aの構成で、図2と同様にエネルギー残存率を概算し、その結果をプロットしたグラフを図3Bに示す。印刷層9も組み合わせた構成ではカバー部材の音響インピーダンスZがある値より大きくなると、エネルギー残存率が低下する。カバー部材の音響インピーダンスZが25(×10kg/m/s)以下であると、エネルギー残存率3%以上得られるカバー部材となり、超音波装置1の重量が嵩むことなく、超音波機器5が適正に機能できる程度のエネルギーが得られる。なお、印刷層9の音響インピーダンスは4(×10kg/m/s)とした。
【0020】
超音波装置1の構成としては、図示しない接着層や、反射防止処理層、防汚処理層などの機能層が付与され、よりエネルギー残存率が低下する。これらの更なる構成が加わっても超音波機器5が適正に機能できる程度の超音波S2endのエネルギーを得るには、図3Aの構成でエネルギー残存率が3%以上必要と推定される。この場合、カバー部材3の音響インピーダンスZとして下限値は5(×10kg/m/s)以上、上限値は25(×10kg/m/s)以下が特に好ましい。
【0021】
(部材)
カバー部材3の部材として、ガラス、シリコン等が挙げられる。ガラスとして、無機ガラスや有機ガラスが挙げられる。有機ガラスとして、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル等が挙げられる。携帯情報端末や表示装置に使用した場合、安全性や強度の観点からガラスが好ましい。さらにカバー部材3に無機ガラスを使用した表示装置を車載用部材として使用する場合には、高い耐熱性、高い耐候性が得られる観点からも好ましい。
【0022】
カバー部材3の部材が無機ガラスである場合、少なくとも1つの主面が強化処理されていることが好ましい。これにより必要な機械的耐久性及び耐擦傷性を確保できる。強化処理としては物理強化処理、化学強化処理ともに使用できるが、比較的に薄いガラスでも強化処理できる点から化学強化処理が好ましい。
【0023】
化学強化処理されたガラスは、一般に、表面に形成される圧縮応力(CS;Compressive stress)層、その圧縮応力の深さ(DOL;Depth of layer)、内部に形成される引張応力(CT;Central tention)を有する。ガラスが少なくとも一方の主面にCS層を有することで、ガラス表面に機械的耐久性及び耐擦傷性を付与できる。
【0024】
ガラスの組成は、化学強化処理を実施しない場合には、例えば、無アルカリガラス、ソーダライムガラスが、化学強化処理を行う場合には、例えば、ソーダライムガラス、ソーダライムシリケートガラス、アルミノシリケートガラス、ボレートガラス、リチウムアルミノシリケートガラス、ホウケイ酸ガラスが挙げられる。厚さが薄くても強化処理によって大きな応力が入りやすく薄くても高強度なガラスが得られる点から、アルミノシリケートガラスが好ましい。
【0025】
本実施形態のカバー部材3の厚さtは1.5mm以下が好ましく、1.3mm以下がより好ましく、0.8mm以下がさらに好ましく、0.5mm以下が特に好ましい。カバー部材3が薄いほど、カバー部材3内での超音波の減衰が抑制でき、超音波機器5の機能性が向上する。一方、本実施形態のカバー部材3の厚さの下限は、特に制限はないが、過度に薄くなると、強度が低下し、カバー部材3としての適切な機能を発揮し難くなる傾向がある。したがって、カバー部材3の厚さtは、0.1mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましい。
【0026】
本実施形態のカバー部材3が超音波機器5の上部に設けられるとき、カバー部材3は、超音波機器5に対向する領域のみが前述の厚さtとなっていればよい。したがって、カバー部材3の超音波機器5を配置しない領域の厚さは1mmより大きくてもよい。これにより、カバー部材の剛性を高められる。
また、本実施形態のカバー部材3は、第1主面31が3次元形状に成形されていてもよく、全体が湾曲している形状、一部に屈曲部を備える形状としてもよい。
【0027】
本実施形態のカバー部材3のヤング率は60GPa以上が好ましく、65GPa以上がより好ましく、70GPa以上がさらに好ましい。カバー部材3のヤング率が60GPa以上であると、外部からの衝突物との衝突に起因するカバー部材の破損を十分に防止できる。また、超音波機器5が携帯情報端末等に搭載される場合には、携帯情報端末等の落下や衝突に起因するカバー部材3の破損を十分に防止できる。さらに、カバー部材3により保護される超音波機器5の破損等を十分に防止できる。本実施形態のカバー部材3のヤング率の上限は特に制限はないが、生産性の観点から、ヤング率は、例えば200GPa以下が好ましく、150GPa以下がより好ましい。なお、カバー部材3のヤング率は、日本工業規格JIS R 1602 (1995)に基づき、超音波法を用いて、縦20mm×横20mm×厚さ10mmの試験片について測定し算出できる。
【0028】
本実施形態のカバー部材3のビッカース硬度は、400Hv(3.9GPa)以上が好ましく、500Hv(4.9GPa)以上がより好ましい。カバー部材3のビッカース硬度が400Hv以上であると、外部からの衝突物との衝突に起因するカバー部材の擦傷を十分に防止できる。また、超音波機器5が携帯情報端末等に搭載される場合には、携帯情報端末等の落下や衝突に起因するカバー部材3の擦傷を十分に防止できる。さらに、カバー部材3により保護される超音波機器5の破損等を十分に防止できる。また、本実施形態のカバー部材3のビッカース硬度の上限は、特に制限はないが、過度に高すぎると研磨や加工が困難となる場合がある。したがって、カバー部材3のビッカース硬度は、例えば1200Hv(11.8GPa)以下が好ましく、1000Hv(9.8GPa)以下がより好ましい。
【0029】
本実施形態のカバー部材3の使用者が触れる第1主面31における算術平均粗さRaは、5000nm以下が好ましく、3000nm以下がより好ましく、2000nm以下がさらに好ましい。超音波機器5のカバー部材3として使用した場合、検出対象物7とカバー部材3との間に空隙ができにくく、超音波機器5が高精度に機能する。特に超音波機器5として超音波センサを使用し、検出対象物7として指紋を検出した際に、高いセンシング感度が得られる。また、本実施形態のカバー部材3の第1主面31における算術平均粗さRaの下限は、特に制限はないが、例えば0.1nm以上が好ましく、0.15nm以上がより好ましく、0.5nm以上がさらに好ましい。
【0030】
(超音波機器)
超音波機器5は、超音波を発信する発信機51と、超音波を受信する受信機53とを有し、超音波を使用して検出対象物7を検出できる機器であれば特に制限はないが、特に超音波機器5として超音波センサが好ましい。本実施形態のカバー部材3を超音波センサに使用した場合、高強度かつ軽量な保護部材としてだけでなく、超音波センサのセンシング感度を高く維持できる。
また、超音波機器5の超音波の周波数として、1〜30MHzが好ましく、10〜25MHzがより好ましく、15〜20MHzがさらに好ましい。この範囲の周波数であれば、超音波が減衰しにくく、かつ対象物で反射しやすく高精度の超音波機器5が得られる。
【0031】
(超音波装置)
本実施形態のカバー部材3と超音波機器5とを備える超音波装置1としては特に制限はなく、具体例としては、スマートホンやタブレット等の携帯情報端末、表示部をさらに備えた表示装置、医療用装置、入国管理などの大型セキュリティ装置が挙げられる。
本実施形態のカバー部材3を携帯情報端末や表示装置に使用した場合、高強度かつ軽量な保護部材としてだけでなく、超音波センサのセンシング感度を高く維持できる。
【0032】
<変形例>
なお、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良ならびに設計の変更等が可能であり、その他、本発明の実施の際の具体的な手順、及び構造等は本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
例えば、カバー部材3には以下のような工程・処理がされていてもよい。
【0033】
(第2主面の算術平均粗さRa)
本実施形態のカバー部材3の第2主面33における算術平均粗さRaは、特に制限はないが、5000nm以下が好ましく、3000nm以下がより好ましく、2000nm以下がさらに好ましい。超音波機器5を第2主面33に貼合により設置する場合、超音波機器5とカバー部材3との間に空隙ができにくく、超音波機器5を高精度に機能させる。特に超音波機器5として超音波センサを使用し、検出対象物7として指紋を検出した際に、高いセンシング感度が得られる。また、本実施形態のカバー部材3の第2主面33における算術平均粗さRaの下限は、特に制限はないが、例えば0.1nm以上が好ましく、0.15nm以上がより好ましく、0.5nm以上がさらに好ましい。
【0034】
(第1主面および第2主面のその他の粗さ)
第1主面31および第2主面33の最大高さ粗さRzは5000nm以下が好ましく、4500nm以下がより好ましく、4000nm以下がさらに好ましい。Rzが5000nm以下であれば、検出対象物として指紋の凹凸に追従しやすく検出感度が向上する。第1主面31および第2主面33の最大高さ粗さRzは0.1nm以上が好ましく、0.15nm以上がより好ましく、0.3nm以上がさらに好ましい。Rzが0.1nm以上であれば認証中に検出対象物がずれにくくなり認証の信頼性が向上する。
第1主面31および第2主面33の他の粗さとして、例えば、二乗平均平方根粗さRqは、ざらつきと指すべり性の観点から0.3nm以上5000nm以下が好ましい。最大断面高さ粗さRtは、ざらつきと指すべり性の観点から0.5nm以上5000nm以下が好ましい。最大山高さ粗さRpは、ざらつきと指すべり性の観点から0.3nm以上5000nm以下が好ましい。最大谷深さ粗さRvは、ざらつきと指すべり性の観点から0.3nm以上5000nm以下が好ましい。平均長さ粗さRsmは、ざらつきと指すべり性の観点から0.3nm以上10000nm以下が好ましい。クルトシス粗さRkuは、触感の観点で1〜3が好ましい。スキューネス粗さRskは、視認性、触感などの均一性の観点から−1〜1が好ましい。これらは粗さ曲線Rを元にした粗さであるが、これに相関したうねりWや断面曲線Pで規定してもよく、特に制限はない。
【0035】
(ガラス組成)
カバー部材3の部材が無機ガラスである場合、ガラス組成の具体例としては、酸化物基準のモル%で表示した組成で、SiO2を50〜80%、Al23を0.1〜25%、Li2O+Na2O+K2Oを3〜30%、MgOを0〜25%、CaOを0〜25%およびZrO2を0〜5%含むガラスが挙げられる。より具体的には、以下のガラスの組成が挙げられる。なお、例えば、「MgOを0〜25%含む」とは、MgOは必須ではないが25%まで含んでもよい、の意である。(i)のガラスはソーダライムシリケートガラスに含まれ、(ii)および(iii)のガラスはアルミノシリケートガラスに含まれる。
(i)酸化物基準のモル%で表示した組成で、SiO2を63〜73%、Al23を0.1〜5.2%、Na2Oを10〜16%、K2Oを0〜1.5%、Li2Oを0〜5%、MgOを5〜13%及びCaOを4〜10%を含むガラス。
(ii)酸化物基準のモル%で表示した組成が、SiO2を50〜74%、Al23を1〜10%、Na2Oを6〜14%、K2Oを3〜11%、Li2Oを0〜5%、MgOを2〜15%、CaOを0〜6%およびZrO2を0〜5%含有し、SiO2およびAl23の含有量の合計が75%以下、Na2OおよびK2Oの含有量の合計が12〜25%、MgOおよびCaOの含有量の合計が7〜15%であるガラス。
(iii)酸化物基準のモル%で表示した組成が、SiO2を68〜80%、Al23を4〜10%、Na2Oを5〜15%、K2Oを0〜1%、Li2Oを0〜5%、MgOを4〜15%およびZrO2を0〜1%含有するガラス。
(iv)酸化物基準のモル%で表示した組成が、SiO2を67〜75%、Al23を0〜4%、Na2Oを7〜15%、K2Oを1〜9%、Li2Oを0〜5%、MgOを6〜14%およびZrO2を0〜1.5%含有し、SiO2およびAl23の含有量の合計が71〜75%、Na2OおよびK2Oの含有量の合計が12〜20%であり、CaOを含有する場合その含有量が1%未満であるガラス。
【0036】
さらに、ガラスに着色を行い使用する際は、所望の化学強化特性の達成を阻害しない範囲において着色剤を添加してもよい。着色剤としては、例えば、可視域に吸収を持つ、Co、Mn、Fe、Ni、Cu、Cr、V、Bi、Se、Ti、Ce、Er、およびNdの金属酸化物である、Co、MnO、MnO、Fe、NiO、CuO、CuO、Cr、V、Bi、SeO、TiO、CeO、Er、Nd等が挙げられる。
【0037】
無機ガラスとして着色ガラスを用いる場合、ガラス中に酸化物基準のモル百分率表示で、着色成分(Co、Mn、Fe、Ni、Cu、Cr、V、Bi、Se、Ti、Ce、Er、およびNdの金属酸化物からなる群より選択される少なくとも1成分)を7%以下の範囲で含有してよい。着色成分が7%を超えると、ガラスが失透しやすくなる。この含量は5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましい。また、ガラスは、溶融の際の清澄剤として、SO、塩化物、フッ化物などを適宜含有してよい。
【0038】
(ガラスの製造方法)
カバー部材3の部材が無機ガラスである場合、無機ガラスの製造方法では、各工程は特に限定されず適切に選択すればよく、典型的には従来公知の工程を適用できる。例えば、まず、各成分の原料を後述する組成となるように調合し、ガラス溶融窯で加熱溶融する。バブリング、撹拌、清澄剤の添加等によりガラスを均質化し、従来公知の成形法により所定の厚さのガラス板に成形し、徐冷する。
ガラスの成形法としては、例えば、フロート法、プレス法、フュージョン法、ダウンドロー法及びロールアウト法が挙げられる。特に、大量生産に適したフロート法が好適である。また、フロート法以外の連続成形法、すなわち、フュージョン法およびダウンドロー法も好適である。また、着色ガラスを成形する場合はロールアウト法が最適な場合がある。また、ガラスを平板状以外の、例えば凹状もしくは凸状に成形して用いる場合、平板状やブロック状等に成形したガラスを再加熱し、溶融させた状態でプレス成形したり、溶融ガラスをプレス型上に流し出し、プレス成形することで、所望の形状に成形される。
成形したガラスを必要に応じ研削及び研磨処理し、化学強化処理をした後、洗浄及び乾燥する。その後、切断、研磨などの加工を施すことにより、カバー部材3が得られる。
【0039】
(化学強化処理)
カバー部材3を化学強化処理する場合、表面に圧縮応力層が形成され、強度及び耐擦傷性が高められる。化学強化処理としては、450℃弱の溶融塩で、カバー部材3の主面に存在するイオン半径が小さいアルカリ金属イオン(典型的にはLiイオン、Naイオン)を、イオン半径のより大きいアルカリイオン(典型的にはLiイオンに対してはNaイオン又はKイオンであり、Naイオンに対してはKイオンである。)に交換することで、ガラス表面に圧縮応力層を形成する処理である。化学強化処理は従来公知の方法によって実施でき、一般的には硝酸カリウム溶融塩にガラスを浸漬する。この溶融塩に炭酸カリウムを10質量%程度入れて使用してもよい。これによりガラスの表層のクラックなどを除去でき高強度のガラスが得られる。化学強化時に硝酸カリウムに硝酸銀などの銀成分を混合することで、ガラスがイオン交換され銀イオンを表面に有し抗菌性を付与できる。また、化学強化処理は1回に限らず、例えば異なる条件で2回以上実施してもよい。
【0040】
カバー部材3は主面に圧縮応力層が形成されており、その圧縮応力層の圧縮応力(CS)は、500MPa以上が好ましく、550MPa以上がより好ましく、600MPa以上がさらに好ましく、700MPa以上が特に好ましい。圧縮応力(CS)が高くなると強化ガラスの機械的強度が高くなる。一方、圧縮応力(CS)が高くなりすぎるとガラス内部の引張応力が極端に高くなるおそれがあるため、圧縮応力(CS)は1800MPa以下とするのが好ましく、1500MPa以下とするのがより好ましく、1200MPa以下とするのがさらに好ましい。
【0041】
カバー部材3の主面に形成される圧縮応力層の深さ(DOL)は、5μm以上が好ましく、8μm以上がより好ましく、10μm以上がさらに好ましい。一方、DOLが大きくなりすぎるとガラス内部の引張応力が極端に高くなるおそれがあるため、圧縮応力層の深さ(DOL)は180μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、80μm以下がさらに好ましく、典型的には50μm以下である。
【0042】
またカバー部材3に以下の工程・処理がなされてもよい。
(研削・研磨加工工程)
カバー部材3の少なくとも一方の主面を研削・研磨加工を実施してもよい。
(孔あけ加工工程)
カバー部材3の少なくとも一部に孔を形成してもよい。孔はカバー部材3を貫通していても、貫通していなくてもよく、この場合は凹部となる。孔あけ加工は、ドリルやカッタなどの機械加工でも、レーザなどの光学的加工でも、フッ酸などを使用したエッチング加工でもよく、特に制限はない。またこれらの加工方法を組み合わせてもよい。
孔や凹部の開口直径(面積を算出し真円換算)は特に制限はないが、10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましく、100μm以上がさらに好ましい。これにより、発信した超音波などが減衰されにくくなり、センシングが高感度となる。開口径は、5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、2mm以下がさらに好ましい。これにより、ガラスの強度を維持しつつ、良好な外観も得られる。
【0043】
孔や凹部は複数形成されてもよく、複数形成されている場合の開口ピッチは、0.1mm以上3mm以下が好ましく、0.1mm以上2mm以下が好ましい。孔や凹部を複数形成することで、発信した超音波などがより減衰しにくくなるため、センシング感度が向上する。一方で、複数の孔や凹部を形成することにより、一般的には機械的強度が低下するが、ピッチを下限以上とすることで機械的強度の低下を抑制でき、良好なカバー部材が得られる。孔や凹部の開口形状は、円形でも四角形でもよく、特に制限はない。
【0044】
(端面加工工程)
カバー部材3の端面は、面取加工などの処理がなされていてもよい。カバー部材3がガラスの場合、機械的な研削により一般的にR面取、C面取と呼ばれる加工を行うのが好ましいが、エッチングなどで加工を行ってもよく、特に限定されない。
【0045】
(表面処理工程)
カバー部材3について必要な個所に、各種表面処理層を形成する工程を実施してもよい。表面処理層としては、反射防止処理層、防汚処理層、防眩処理層などが挙げられ、これらを併用してもよい。表面処理層を形成する面は、カバー部材3の第1主面31又は第2主面33のいずれの面でもよい。
【0046】
[反射防止処理層]
反射防止処理層とは、反射率低減の効果をもたらし、光の映り込みによる眩しさを低減するほか、表示装置に使用した場合には、表示装置からの光の透過率を向上でき、表示装置の視認性を向上できる層のことである。
反射防止処理層が反射防止膜である場合、カバー部材3の第1主面31または第2主面33に形成されることが好ましいが制限は無い。反射防止膜の構成としては光の反射を抑制できれば限定されず、例えば、波長550nmでの屈折率が1.9以上の高屈折率層と屈折率が1.6以下の低屈折率層とを積層した構成、もしくは膜マトリックス中に中空粒子や空孔を混在させた波長550nmでの屈折率が1.2〜1.4の層を含む構成とできる。
【0047】
[防汚処理層]
防汚処理層とは表面への有機物、無機物の付着を抑制する層、または、表面に有機物、無機物が付着した場合においても、ふき取り等のクリーニングにより付着物が容易に除去できる効果をもたらす層のことである。
防汚処理層が防汚膜として形成される場合、カバー部材3の第1主面31と第2主面33上またはその他表面処理層上に形成されることが好ましい。防汚処理層としては、防汚性を付与できれば限定されない。中でも含フッ素有機ケイ素化合物を加水分解縮合反応により得られる含フッ素有機ケイ素化合物被膜からなることが好ましい。
【0048】
(印刷層形成工程)
印刷層9は、用途に応じて種々の印刷方法、インキ(印刷材料)により形成されてよい。印刷方法としては、例えば、スプレー印刷、インクジェット印刷やスクリーン印刷が利用される。これらの方法により、面積の広い板状ガラスでも良好に印刷できる。特に、スプレー印刷では、屈曲部を有するカバー部材3に印刷しやすく、印刷面の表面粗さを調整しやすい。一方、スクリーン印刷では、広い板状ガラスに平均厚さが均一になるように所望の印刷パターンを形成しやすい。また、インキは、複数使用してよいが、印刷層9の密着性の観点から同一のインキであるのが好ましい。印刷層9を形成するインキは、無機系でも有機系であってもよい。印刷層9の厚さは隠蔽性の観点から10μm以上が好ましく、設計の観点から100μm以下が好ましい。
【0049】
(接着層形成工程)
接着層は、例えば超音波機器5をカバー部材3や印刷層9に固定するため、形成されてよい。接着層としては、特に制限はないが、例えば、液状の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる透明樹脂層が挙げられる。硬化性樹脂組成物としては、光硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物などが挙げられる。また、あらかじめ別途フィルム状としたOCA樹脂を貼合してよい。接着層の形成方法としては、例えば、ダイコータ、ロールコータを使用するなど挙げられるが、特に制限はない。接着層の厚さは確実な固定を達成するため1μm以上が好ましく、設計上の観点から20μm以下が好ましい。
【実施例】
【0050】
本発明の実施例について説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例1〜18は実施例、例19は比較例である。
【0051】
(例1〜14、例16〜19)
表1および表2に示す、例1〜14、例16〜19のそれぞれについて、モル質量%表示で示すガラスが得られるように、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の一般に使用されているガラス原料を適宜選択し混合し、ガラスとして1000gとなるように秤量した。
次いで、混合した原料を白金製るつぼに入れ、1500〜1800℃の抵抗加熱式電気炉に投入し、4時間程度溶融し、脱泡、均質化した。得られた溶融ガラスを型材に流し込み、ガラス転移点以上の温度で1時間保持した後、1℃/分の速度で室温まで冷却し、ガラスブロックを得た。このガラスブロックを切断、研削し、最後に両面を鏡面に加工して、サイズが50mm×50mm、厚さが0.5mmの板状ガラスをそれぞれ得た。
【0052】
(例15)
旭硝子社製石英ガラスを、サイズが50mm×50mm、厚さが0.5mmの板状ガラスとなるように加工した。これを例15として使用した。
【0053】
例1〜7に係る板状ガラスについて、化学強化処理を実施し、例1〜7にかかる化学強化ガラスを得た。化学強化条件としては、425〜450℃の100%硝酸カリウム溶融塩にガラスを1〜6時間浸漬させた。
【0054】
例1〜7にかかる化学強化ガラス、例8〜19にかかるガラスについて、密度(単位kg/m)、ヤング率(単位GPa)、圧縮応力値(単位MPa)、圧縮応力層深さ(単位μm)、音速(単位m/s)、音響インピーダンス(単位×10kg/m/s)を測定または算出し、その結果を表1および表2に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
例1〜7の化学強化ガラス、例8〜19のガラスをカバー部材として、図1のように超音波機器として超音波式指紋認証センサを配置し、超音波装置として超音波式指紋認証センサデバイスを作製した。超音波式指紋認証センサの発信周波数は16MHzおよび19MHzの2種類使用した。それぞれの周波数において検出対象物としての指紋を検出及び画像化し(指紋画像化試験)、認証可能なレベルの鮮明さが得られるか確認した。
【0058】
例1〜7の化学強化ガラス、例8〜19のガラスにより作製した超音波式指紋認証センサでは、発信周波数に関わらず結果的に得られた指紋の画像が鮮明となり、認証可能なレベルのセンシング感度が得られた。一方、例19により作製した超音波式指紋認証センサでは、特に16MHzの周波数において、得られた指紋画像が不鮮明となり、認証に使用できないセンシング感度となった。
【0059】
また、実用に耐えうるカバーガラスか確認するため、以下のような試験を実施した。
SUS製の平滑な板の上にTRUSCO社製のシートベーパー #30 GBS30を使用面が上に向いた状態で設置し、その上に例1〜7の化学強化ガラス、例9〜20のガラスそれぞれを設置し、その上に65gの鉄球を150cmの高さより落下させ、衝撃付加後の各ガラスを得た。これらの衝撃付加後のガラスそれぞれについて、図1のように超音波機器として超音波式指紋認証センサを配置し、超音波装置として超音波式指紋認証センサデバイスを作製した。なお、例16〜18のガラスについては衝撃付加時に完全に破砕してしまったため、超音波式指紋認証センサデバイスを作製できなかった。これはヤング率が低く、機械的に強度が低いためと考えられる。これらのガラスについては非荷重部位には使用できる。
衝撃付加後のガラス例1〜7の化学強化ガラス、例8〜15のガラスにより作製した超音波式指紋認証センサでは、発信周波数に関わらず結果的に得られた指紋の画像が鮮明となり、認証可能なレベルのセンシング感度が得られた。
【0060】
例1〜7の化学強化ガラス、例8〜15のガラスについては、さらに、摩擦子として金巾を使用し、荷重として1kg付加した状態で、100,000回の往復摺動試験を実施した。これら摺動試験後の例1〜7の化学強化ガラス、例8〜15のガラスそれぞれについて、図1のように超音波機器として超音波式指紋認証センサを配置し、超音波装置として超音波式指紋認証センサデバイスを作製した。結果として、例1〜8の化学強化ガラスでは、発信周波数に関わらず結果的に得られた指紋の画像が鮮明となり、認証可能なレベルのセンシング感度が得られた。一方、例8〜15のガラスでは、ガラス表面に視認できる擦傷があり、指紋画像化試験を10回実施したうち、2〜3回程度しか鮮明な画像が得られなかった。
【0061】
以上より、各実施例の化学強化ガラス又はガラスは、超音波機器を保護するカバー部材として有用である。
本出願は、2016年9月9日出願の日本特許出願2016−176326に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のカバー部材は、ディスプレイ装置、スマートホンやタブレットPCなどのモバイルディスプレイ装置、時計、腕時計、ウェアラブルディスプレイ、リモコンなどの電子機器などのカバー部材として使用できる。モバイルできない据え付けの生体認証装置のカバー部材としても使用できる。また、輸送機器など車載用装置として起動スイッチに使用する場合のカバー部材としても使用できる。
【符号の説明】
【0063】
1 超音波装置
3 カバー部材
31 第1主面
33 第2主面
35 界面
37 界面
39 界面
5 超音波機器
51 発信機
53 受信機
59 界面
9 印刷層
図1
図2
図3A
図3B