(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成分(B)が、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、及びモノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタンから選ばれるものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の水中油型乳化組成物を構成する成分(A)は、後述する成分(A1)と成分(A2)との付加重合物、及び成分(A3)からなるペースト状シリコーン組成物である。
【0013】
成分(A1)は、SiO
4/2単位、HSiO
3/2単位、R
1SiO
3/2単位、R
1HSiO
2/2単位、R
12SiO
2/2単位、R
12HSiO
1/2単位、R
13SiO
1/2単位(ここで、R
1はそれぞれ同一もしくは異なってもよい脂肪族不飽和基を除く炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖の非置換又は置換の一価炭化水素基である。)からなる群から選択される構造単位で構成され、かつ分子中にケイ素原子に結合した水素原子を平均で1.5個以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
【0014】
成分(A1)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンにおけるR
1は、脂肪族不飽和基を除く炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐鎖の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル基、フェニル、トリル等のアリール基、シクロヘキシル等のシクロアルキル基などの一価炭化水素基、並びにこれら一価炭化水素基が有する1個又は2個以上の水素原子が塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子、シアノ基等によって置換された置換一価炭化水素基、例えば、γ−トリフルオロプロピル基、クロロメチル基などが挙げられる。R
1として、好ましくはメチル基であり、特にはR
1の50モル%以上がメチル基であることが好ましい。
【0015】
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子(Si−H結合)を平均で1.5個以上、好ましくは2〜50個、より好ましくは2〜20個、更に好ましくは2〜5個含有するものである。また、このケイ素原子に結合した水素原子の分子中での含有割合は、ケイ素原子に結合した水素原子及び有機基の合計量に対し、通常0.5〜50モル%、特に1〜20モル%であることが望ましい。
【0016】
また、成分(A1)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよいが、成分(A2)との付加重合を円滑に進めるためには、直鎖状であることがより好ましい。
【0017】
成分(A1)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの平均分子量は、500〜50,000であることが好ましく、1,000〜10,000であることがより好ましい。平均分子量が小さすぎると膨潤性が低くなりすぎる場合があり、大きすぎると糸引き性が生じ、感触が悪くなる場合がある。なお、本発明において、平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により求めたポリスチレン換算の数平均分子量である(以下、同じ)。
【0018】
上記成分(A1)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの代表的な例としては、式[(R
1)
3SiO
1/2]
a[(R
1)
2HSiO
1/2]
b[(R
1)
2SiO
2/2]
c[(R
1)HSiO
2/2]
d[(R
1)SiO
3/2]
e[HSiO
3/2]
f[SiO
4/2]
g(ここで、R
1は上記と同じであり、a及びbはそれぞれ0〜8の整数で、a+bは2〜8の整数であり、cは4〜650の整数、好ましくは10〜130の整数であり、dは0〜50の整数、好ましくは0〜20の整数であり、eは0〜2の整数であり、fは0〜2の整数であり、gは0〜2の整数であり、b+d+fは2〜50の整数、好ましくは2〜20の整数である。)で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
成分(A1)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独で使用することも、2種類以上のものを混合して使用することも可能である。
【0019】
成分(A1)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、具体的には、下記式で表されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
(式中、c1は4〜650の整数であり、c2、c3は1以上の整数で、c2+c3が4〜650の整数を満たす数であり、d1は2〜50の整数、好ましくは2〜20の整数であり、d2は1〜50の整数、好ましくは1〜18の整数である。)
【0020】
成分(A2)は、後述する成分(A2−1)〜(A2−3)から選ばれる1種又は2種以上のアルケニル基含有化合物である。
【0021】
成分(A2−1)は、SiO
4/2単位、(CH
2=CH)SiO
3/2単位、R
2SiO
3/2単位、R
2(CH
2=CH)SiO
2/2単位、R
22SiO
2/2単位、R
23SiO
1/2単位、R
22(CH
2=CH)SiO
1/2単位(ここで、R
2はそれぞれ同一もしくは異なってもよい脂肪族不飽和基を除く炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖の非置換又は置換の一価炭化水素基である。)からなる群から選択される構造単位から構成され、かつ分子中にケイ素原子に結合したビニル基を平均で1.5個以上含有するオルガノポリシロキサンである。
【0022】
成分(A2−1)のビニル基含有オルガノポリシロキサンにおけるR
2は、前記R
1と同様のものが例示でき、R
2として、好ましくはメチル基であり、特には、R
2(ビニル基以外の有機基)の50モル%以上がメチル基であることが望ましい。
【0023】
このビニル基含有オルガノポリシロキサンは、1分子中にケイ素原子に結合したビニル基を平均で1.5個以上、好ましくは2〜50個、より好ましくは2〜20個、更に好ましくは2〜5個含有するものである。また、このケイ素原子に結合したビニル基の分子中での含有割合は、ケイ素原子に結合している有機基の合計量に対して0.5〜50モル%、特に1〜20モル%であることが望ましい。
【0024】
また、成分(A2−1)のビニル基含有オルガノポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよいが、成分(A1)との付加重合を円滑に進めるためには、直鎖状であることがより好ましい。
【0025】
成分(A2−1)のビニル基含有オルガノポリシロキサンの平均分子量は、300〜50,000であることが好ましく、500〜20,000であることがより好ましい。平均分子量が小さすぎると付加反応が進行しにくくなる場合があり、大きすぎると糸引き性が生じ、感触が悪くなる場合がある。
【0026】
成分(A2−1)のビニル基含有オルガノポリシロキサンの代表的な例としては、式[(CH
2=CH)(R
2)
2SiO
1/2]
h[(R
2)
3SiO
1/2]
i[(R
2)
2SiO
2/2]
j[(CH
2=CH)R
2SiO
2/2]
k[(R
2)SiO
3/2]
l[(CH
2=CH)SiO
2/2]
m[SiO
4/2]
n(ここで、R
2は上記と同じであり、h及びiはそれぞれ0〜8の整数で、h+iは2〜8の整数であり、jは4〜650の整数、好ましくは5〜250の整数であり、kは0〜50の整数、好ましくは2〜20の整数であり、lは0〜2の整数であり、mは0〜2の整数であり、nは0〜2の整数であり、h+k+mは2〜50の整数、好ましくは2〜20の整数である。)で表されるメチルビニルポリシロキサンが挙げられる。
成分(A2−1)のビニル基含有オルガノポリシロキサンは、1種単独で使用することも、2種類以上のものを混合して使用することも可能である。
【0027】
成分(A2−1)のビニル基含有オルガノポリシロキサンとして、具体的には、下記式で表されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【化5】
【化6】
【化7】
(式中、j1は4〜650の整数であり、k1は2〜50の整数、好ましくは2〜20の整数であり、k2は1〜50の整数、好ましくは1〜18の整数である。)
【0028】
成分(A2−2)は、下記式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物である。
CH
2=CH(CH
2)
LO(C
2H
4O)
p(C
3H
6O)
q(CH
2)
LCH=CH
2 (1)
(式中、p及びqはそれぞれ0〜200の整数で、p+qは3〜200の整数であり、Lは独立に1〜10の整数である。)
【0029】
上記式(1)において、p及びqはそれぞれ独立に0〜200の整数であり、好ましくは2〜100の整数であり、より好ましくは5〜50の整数であり、更に好ましくは5〜30の整数である。p及びqが200より大きいと成分(A1)と成分(A2−2)の付加重合が進行しにくくなる。一方で、2未満だと成分(A1)と成分(A2−2)との付加重合物が硬くなり、成分(A3)の液状油に分散しにくくなる。また、p+qは3〜200の整数であり、好ましくは5〜60の整数である。p+qが200より大きいと成分(A1)と成分(A2−2)の付加重合が進行しにくくなり、一方で、3未満だと成分(A1)と成分(A2−2)との付加重合物が硬くなり、成分(A3)の液状油に分散しにくくなる。Lは1〜10の整数であり、汎用性の観点から1が好ましい。
【0030】
成分(A2−2)のポリオキシアルキレン化合物は、1種単独で使用することも、2種類以上のものを混合して使用することも可能である。
【0031】
成分(A2−2)のポリオキシアルキレン化合物として、具体的には、下記式で表されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
CH
2=CHCH
2O(C
2H
4O)
5(C
3H
6O)
5CH
2CH=CH
2
CH
2=CHCH
2O(C
2H
4O)
10(C
3H
6O)
5CH
2CH=CH
2
CH
2=CHCH
2O(C
2H
4O)
10(C
3H
6O)
10CH
2CH=CH
2
CH
2=CHCH
2O(C
2H
4O)
30(C
3H
6O)
30CH
2CH=CH
2
【0032】
成分(A2−3)は、下記式(2)で表されるアルキレン化合物である。
CH
2=CH(CH
2)
rCH=CH
2 (2)
(式中、rは2〜24の整数である。)
【0033】
上記式(2)において、rは2〜24の整数であり、好ましくは2〜20の整数である。rが2より小さいもしくは24より大きいと、成分(A1)と成分(A2−3)による付加重合物を含む本発明の水中油型乳化組成物を化粧料として用いた場合に、さっぱり感が低下する。
【0034】
成分(A2−3)のアルキレン化合物は、1種単独で使用することも、2種類以上のものを混合して使用することも可能である。
【0035】
成分(A2−3)のアルキレン化合物として、具体的には、下記式で表されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
CH
2=CH(CH
2)
6CH=CH
2
CH
2=CH(CH
2)
12CH=CH
2
CH
2=CH(CH
2)
20CH=CH
2
【0036】
成分(A2)のアルケニル基含有化合物としては、成分(A3)の液状油の種類や本発明の水中油型乳化組成物の用途によって、成分(A2−1)のビニル基含有オルガノポリシロキサン、成分(A2−2)のポリオキシアルキレン化合物及び成分(A2−3)のアルキレン化合物から選ばれる少なくとも1種を使用すればよいが、汎用性の観点から成分(A2−1)のビニル基含有オルガノポリシロキサンを用いることが好ましい。
【0037】
成分(A2−1)のビニル基含有オルガノポリシロキサンを用いる場合、上述したように、成分(A1)のオルガノハイドロジェンポリシロキサン及び成分(A2−1)のビニル基含有オルガノポリシロキサンのいずれにおいても、それぞれの反応性基であるケイ素原子に結合した水素原子又はビニル基の1分子中における数は平均で1.5個以上あることが必要である。これらのいずれか一方でも1.5個未満であると、付加重合により得られる重合体中に三次元構造の形成が困難となり、得られるペースト状シリコーン組成物の増粘効果に乏しいものとなる。また、これらの反応性基の含有量は、それぞれのポリシロキサン中で0.5〜50モル%であることが好ましい。含有量が50モル%を超えると付加重合により形成される三次元構造の架橋密度が高く、成分(A3)の液状油が三次元構造中に包蔵されにくくなり、表面にブリードして安定性が低下する。含有量が0.5モル%未満であると三次元構造形成が不十分になり、成分(A3)の液状油が該三次元構造中に包蔵されにくくなる。また、成分(A3)の液状油の使用量が比較的多い場合や、後述するように成分(A3)の液状油とともに得られた付加重合物を剪断力下で処理する場合、付加重合物が成分(A3)の液状油に溶解しやすくなるため、得られるペースト状シリコーン組成物(A)の十分な増粘性を獲得できなくなる。
【0038】
次に、成分(A3)は、液状油であり、25℃において流動性を示す油の中から適宜選択して用いることができる。その具体例としては、シリコーン油、炭化水素油、エステル油、高級脂肪酸、天然動植物油、半合成油等を挙げることができる。
【0039】
シリコーン油としては、25℃における動粘度が50mm
2/s以下、特に10mm
2/s以下のものが好適に使用される。この動粘度が50mm
2/sを超えると、シリコーン油を包蔵した付加重合物の増粘性が乏しいものになり、また最終的に得られるペースト状シリコーン組成物(A)の安定性が低くなる場合がある。また、得られる水中油型乳化組成物を化粧料等に配合した際にはべたつき感が現れ、さっぱり感が低下する場合がある。なお、動粘度はオストワルド粘度計により測定することができる(以下、同じ)。
【0040】
シリコーン油の例としては、低重合度の鎖状又は分岐状のメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、エチルポリシロキサン、エチルメチルポリシロキサン、エチルフェニルポリシロキサン、環状のオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられ、好ましくは環状のデカメチルシクロペンタシロキサンもしくは下記に示すメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンが挙げられる。シリコーン油としては、必要に応じてこれらの1種又は2種以上が適宜選択されて用いられる。
【化8】
(式中、sは0〜50の整数である。)
【化9】
【化10】
【0041】
炭化水素油としては、直鎖状又は分岐状で揮発性の炭化水素油等が挙げられる。その具体例としては、イソドデカン、α−オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、流動イソパラフィン等が挙げられる。要求する使用感等によって選択すればよいが、イソドデカン、イソパラフィン、スクワラン等が好ましい。
【0042】
エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、ラウロイルサルコシンイソプロピルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等が挙げられる。
【0043】
またエステル油の中で、グリセライド油の範疇にあるものとしては、アセトグリセリル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル等が挙げられる。
【0044】
高級脂肪酸としては、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、乳酸等が挙げられ、高級アルコールとしては、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)等が挙げられる。
【0045】
また、天然動植物油及び半合成油としては、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、オリーブ油、肝油、牛脚脂、キョウニン油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サザンカ油、サフラワー油、シナモン油、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、ナタネ油、日本キリ油、胚芽油、パーシック油、ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミンク油、メドウホーム油、綿実油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、落花生油、液状ラノリン、酢酸ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、卵黄油等が挙げられる。
【0046】
本発明における成分(A)のペースト状シリコーン組成物は、上述した成分(A1)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと成分(A2)のアルケニル基含有化合物との付加重合物、及び成分(A3)の液状油から構成される。
このとき、前記の付加重合に供される成分(A1)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと成分(A2)のアルケニル基含有化合物との割合は、成分(A1)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが有するケイ素原子に結合した水素原子/成分(A2)のアルケニル基含有化合物が有するアルケニル基(成分(A2)中のアルケニル基に対する成分(A1)中のケイ素原子に結合した水素原子)のモル比が、1/2〜1.5/1となる範囲が好ましく、特に1/1.5〜1.2/1となる範囲が好ましい。モル比が1/2未満もしくは1.5/1より大きい場合、反応生成物中に未反応成分(ケイ素原子に結合した水素原子、あるいはアルケニル基)が多量に存在するため、最終的に得られるペースト状シリコーン組成物の安定性が損なわれるおそれがある。また、モル比が1/2未満だと糸引き性が生じ、感触が悪くなるおそれがある。
【0047】
また、成分(A3)の液状油の割合は、成分(A1)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと成分(A2)のアルケニル基含有化合物との合計量100質量部に対して、好ましくは50〜2,500質量部の範囲、より好ましくは100〜2,000質量部の範囲である。成分(A3)の液状油の割合が50質量部未満であると、得られるペースト状シリコーン組成物の増粘性が低く、また、得られる付加重合物を剪断力下で成分(A3)の液状油とともに処理して得られるペースト状シリコーン組成物の透明性が失われる場合がある。また、成分(A3)の液状油の割合が、2,500質量部を超えると、成分(A3)の液状油中で成分(A1)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと成分(A2)のアルケニル基含有化合物とを反応させる際の反応率が低下し、十分な増粘性を有するペースト状シリコーン組成物が得られなくなる場合がある。
【0048】
前記成分(A1)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと成分(A2)のアルケニル基含有化合物との付加重合は、有機溶剤、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール等の脂肪族アルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族もしくは脂環式炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、フッ化又は塩素化炭化水素等のハロゲン化炭化水素等に可溶性の触媒を用いて、室温又は加熱下(約50〜120℃)で反応させればよい。付加重合時に使用した有機溶剤は、必要に応じて留去する。なお、有機溶剤の留去は付加重合後に行う。
【0049】
付加重合に用いる触媒は、付加重合反応を促進するための触媒であり、白金系触媒、ロジウム系触媒、パラジウム系触媒が例示され、好ましくは白金系触媒である。この白金系触媒としては、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、白金のオレフィン錯体、白金のケトン錯体、白金のビニルシロキサン錯体、四塩化白金、白金微粉末、アルミナ又はシリカの担体に固体状白金を担持させたもの、白金黒、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金のカルボニル錯体等が例示されるが、安定性や汎用性から、塩化白金酸もしくは白金のビニルシロキサン錯体、イソプロパノール溶液が好ましい。
触媒の含有量は、有効量であれば特に限定されないが、成分(A1)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと成分(A2)のアルケニル基含有化合物の合計質量に対して触媒が金属質量換算で0.1〜1,000ppmの範囲内となる量であることが好ましく、特に0.5〜100ppmの範囲内となる量であることが好ましい。
【0050】
成分(A1)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと成分(A2)のアルケニル基含有化合物との付加重合の具体的操作を以下に例示する。
プラネタリーミキサー((株)井上製作所製)等の反応器を用いて、所要量の成分(A1)のオルガノハイドロジェンポリシロキサン及び成分(A2)のアルケニル基含有化合物と、成分(A3)の液状油を前記成分(A1)及び成分(A2)の合計100質量部に対して好ましくは0〜1,000質量部、より好ましくは20〜1,000質量部、更に好ましくは20〜500質量部配合した後、更に触媒等を添加し、50〜120℃、好ましくは60〜100℃の温度で0.5〜5時間、好ましくは1〜3時間撹拌する。これにより、成分(A3)の液状油に不溶であるが十分膨潤する性質を有する付加重合物が得られる。このとき、成分(A1)及び成分(A2)の合計100質量部に対し、成分(A3)の液状油が1,000質量部を超えると、成分(A1)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと成分(A2)のアルケニル基含有化合物との反応率が低下し、十分な増粘性を有するペースト状シリコーン組成物が得られなくなる場合がある。
上記付加重合時に成分(A3)の液状油を配合する場合、成分(A3)の液状油に不溶であるが十分膨潤する性質を有する付加重合物が、成分(A3)の液状油を包蔵した状態で得られる。付加重合反応の進行とともに、成分(A3)の液状油を包蔵した付加重合物(付加重合反応混合物)は液状から次第に軟らかい塊状を経て、崩壊により粗粉末状〜軟ゲル状となる。こうして製造された付加重合反応混合物は、そのまま成分(A3)の液状油と混合した状態のペースト状シリコーン組成物として用いることができるが、本発明においては、上記付加重合により得られた付加重合物又は成分(A3)の液状油を包蔵した付加重合反応混合物に、更に成分(A3)の液状油を配合し、剪断力下で処理することによりペースト状シリコーン組成物を得ることが好ましい。
【0051】
剪断力下で処理する方法は次の通りである。前記で得られた付加重合物、又は成分(A3)の液状油を包蔵してなる塊状あるいは粉末状の付加重合反応混合物を、前記成分(A3)の液状油の配合量の範囲となる量(即ち、上記配合量において、付加重合反応で使用した残量)、具体的には、前記付加重合に用いた成分(A1)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと成分(A2)のアルケニル基含有化合物との合計量100質量部に対して50〜2,500質量部、好ましくは80〜1,980質量部の成分(A3)の液状油とともに、剪断力下で処理を行う。この処理により被処理物は混練され、均一なペースト状シリコーン組成物が得られる。このとき、剪断力下で処理する際に用いられる成分(A3)の液状油が50質量部未満であると、均一なペースト状とはならない場合があり、また2,500質量部を超えると、得られたペースト状シリコーン組成物は十分な増粘性を獲得できず、良好なペースト状にならない場合がある。また、剪断力下で処理することは、比較的高粘度で、均一な、外観が滑らかなペースト状シリコーン組成物を得る上で不可欠なことである。この剪断力を加えないか、又は不十分であると、付加重合物の液状油への溶解が不十分で、両成分は混和せずに存在するため、得られるペースト状シリコーン組成物は不均一となり、それ自体低粘度であって十分な増粘性を獲得できず、またペースト状シリコーン組成物中に膨潤が不十分な付加重合物が残留することから、ざらついた感触で外観は滑らかさのないペースト状シリコーン組成物となるおそれがある。また、剪断力による処理の工程において、成分(A3)を一括で加えても分割で加えてもよい。
【0052】
上記の剪断力下で行う処理は、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドグラインダー、コロイドミル、ガウリンホモジナイザーなどで行うことができ、これらは被処理物の性状等に応じて選択すればよいが、好ましくは三本ロールミルである。
【0053】
成分(A)のペースト状シリコーン組成物の25℃における粘度は、1,000mPa・s未満であると、得られる水中油型乳化組成物を化粧料として用いた場合に、しっとり感や滑り性及び艶等の効果が十分でないおそれがあり、また100万mPa・sを超えると水中油型乳化組成物への乳化分散が困難となる場合があるため、1,000〜100万mPa・sの範囲が好適であり、より好ましくは10,000〜100,000mPa・sの範囲である。これらの要件を満たすことにより、得られる水中油型乳化組成物を化粧料へ配合する際に、ペースト状シリコーン組成物特有のさっぱり感、伸展性あるいは滑り性等を付与することができるペースト状シリコーン組成物(A)を製造することができる。なお、本発明において、粘度は回転粘度計により測定することができる(以下、同じ)。
【0054】
本発明の水中油型乳化組成物を構成する成分(B)は、エチレンオキサイド(EO)付加モル数が15以上で、HLBが11以上のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである。なお、本発明の水中油型乳化組成物は、成分(B)以外のノニオン界面活性剤を含まないものである。この場合、アニオン界面活性剤を含まないことがより好ましく、特には成分(B)以外の界面活性剤を含まないことが好ましい。
成分(B)としては、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、イソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンが挙げられる。乳化性の点から、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンが好ましく、苦みなどの観点から、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンがより好ましく、総じてモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタンが特に好ましい。
【0055】
エチレンオキサイドの付加モル数は15以上であり、好ましくは15〜100であり、より好ましくは20〜80である。エチレンオキサイドの付加モル数が15より少ないと乳化性が低下し、成分(A)のペースト状シリコーン組成物が乳化できなくなり、100より多いと室温で固体になり、取扱いにくくなるおそれがある。
【0056】
また、HLBは11以上であり、好ましくは13〜18、より好ましくは14〜17である。HLBはグリフィンの式による。HLBが11未満であると乳化しなくなる。
【0057】
成分(B)としては、1種単独で使用することも、2種類以上のものを混合して使用することも可能である。
【0058】
上記の要件を満たさない成分(B)のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを配合すると、成分(A)のペースト状シリコーン組成物が乳化しないもしくはゲル成分が析出するおそれがある。一般的に分子量が小さい、アミノ基等の官能基を有する、もしくは塩を多く含む界面活性剤を配合した乳化組成物は、皮膚に対する刺激や苦みを生じる場合がある。上記に記載の要件を満たすポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである成分(B)を配合することで、苦みが少なく、刺激性が少なく、かつ保存安定性が良好な水中油型乳化組成物を得ることができる。
なお、本発明の水中油型乳化組成物の苦みをより低減させるためには、塩や低分子化合物の含有量がより少ないポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを選択するとよい。例えば、日油(株)製のノニオンST−60(モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(付加モル数:20、HLB:15.7))もしくはノニオンOT−80(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(付加モル数:20、HLB:15.7))を用いることで、水中油型乳化組成物の苦みをより低減することが可能である。
【0059】
成分(A)のペースト状シリコーン組成物の含有量は、水中油型乳化組成物を構成する成分中、70〜85質量%であり、好ましくは70〜80質量%、より好ましくは75〜80質量%である。70質量%より少ないと水中油型乳化組成物の安定性が低下し、数日で濃淡分離を生じる場合がある。一方で、85質量%より多いと水中油型乳化組成物の粘度が高くなり、取扱いにくくなる。
【0060】
成分(B)のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの含有量は、水中油型乳化組成物を構成する成分中、2〜10質量%であり、好ましくは4〜8質量%である。2質量%より少ないと乳化性が低下し、成分(A)のペースト状シリコーン組成物を乳化できなくなる。一方で、10質量%より多いと、水中油型乳化組成物の粘度が高くなり、取扱いにくくなる。
【0061】
本発明の水中油型乳化組成物を構成する成分(C)の水の含有量は、水中油型乳化組成物を構成する成分中、5〜27質量%であり、好ましくは10〜20質量%である。5質量%より少ないと水中油型乳化組成物の粘度が高くなり、取扱いにくくなる。また、乳化しなくなるおそれがある。より取扱いやすい含有量は10質量%以上である。一方で、27質量%より多いと、水中油型乳化組成物の粘度が低くなり、安定性が低下し、数日で分離する可能性がある。
【0062】
更に、本発明の水中油型乳化組成物には、高い防腐効果を付与するために、成分(D)のポリオールを配合することが好ましい。
ポリオールとしては、化粧品に通常用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、ダイナマイトグリセリン、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、ペンチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール等を挙げることができる。
成分(D)のポリオールの配合量は、水中油型乳化組成物を構成する成分中、0.1〜10質量%、好ましくは1〜7質量%である。配合量が0.1質量%未満であると、防腐効果がない場合があり、10質量%を超えて配合すると、水中油型乳化組成物を用いた化粧料の塗布時に重い感触となる場合がある。
【0063】
本発明の水中油型乳化組成物には成分(A)〜(D)以外に、pH調整剤、酸化防止剤、抗菌剤、薬剤、香料等を配合することができる。
【0064】
乳化する際の温度について、好ましくは0〜80℃、より好ましくは0〜40℃である。0℃未満の温度もしくは80℃より高い温度では乳化しなくなる場合や製造した乳化物が不安定になる可能性がある。乳化する際、圧力は常圧だけでなく減圧もしくは加圧でもよい。減圧もしくは加圧下で乳化する場合、泡が混入しにくくなり効果的に乳化できることがある。減圧にする場合の圧力は原料の蒸気圧より高くし、原料が揮発しないように注意する。また、乳化時間は特に限定されないが、1〜300分間、特に5〜180分間とすることが好ましい。
【0065】
乳化する際の乳化機は、高剪断撹拌ができるものを選択することが好ましい。例えば、ホモディスパー(プライミクス(株)製)、アジホモミキサー(プライミクス(株)製)、ホモミキサーとホモディスパーとアンカーミキサーを組み合わせた3軸型分散混練機であるコンビミックス(プライミクス(株)製)、ローターとステーターからなる撹拌部を有するコロイドミル(IKA社、PUC社、(株)日本精機製作所、(株)イワキ製)、ハイシェアミキサ(silverson社、プライミクス(株)製)及び2枚のブレードの公転運動と自転運動と歯形の羽根の高速回転による撹拌機であるハイビスディスパーミックス3D−5型(プライミクス(株)製)等を使用することが可能である。
【0066】
本発明の水中油型乳化組成物の製造方法として、具体的には、以下に示す通りである。ただし、製造方法は以下に限定されない。成分(A)のペースト状シリコーン組成物と成分(B)のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルと成分(C)の水との混合物をホモディスパー(プライミクス(株)製)で乳化し、目的の粒径まで撹拌した後、成分(C)の水をホモミキサー(プライミクス(株)製)もしくはホモディスパー(プライミクス(株)製)で混合する。また、成分(D)のポリオールを配合する場合は、成分(A)のペースト状シリコーン組成物と成分(B)のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルと成分(C)の水及び/又は成分(D)のポリオールの一部又は全部との混合物をホモディスパー(プライミクス(株)製)で乳化し、目的の粒径まで撹拌した後、成分(C)の水及び/又は成分(D)のポリオールの残部とをホモミキサー(プライミクス(株)製)もしくはホモディスパー(プライミクス(株)製)で混合する。
【0067】
本発明の水中油型乳化組成物の25℃における粘度は3,000mPa・s以上であり、好ましくは3,000〜40,000mPa・sであり、より好ましくは3,000〜30,000mPa・sであり、更に好ましくは3,000〜20,000mPa・sである。粘度が3,000mPa・sより低いと数日で濃淡分離を生じるおそれがあり、40,000mPa・sを超えると粘度が高く、取扱いにくくなる。
【0068】
なお、本発明の水中油型乳化組成物がすぐに濃淡分離する場合は、増粘剤を加えて上記粘度範囲内にすることで濃淡分離を抑制できる。増粘剤としては、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルギン酸塩、キサンタンガム、アクリル酸重合体などの水溶性高分子が挙げられる。
【0069】
本発明の水中油型乳化組成物の平均粒径は特に制限はないが、20μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以下である。20μmより平均粒径が大きいと、すぐに分離が生じる場合がある。水中油型乳化組成物の粒度分布は複数のピークを示す場合があるが、平均粒径及び粘度が上記の値を満たせば、すぐに分離はしない。平均粒径の下限は特に限定されないが、通常0.1μm以上、特に0.5μm以上である。なお、本発明の水中油型乳化組成物の平均粒径は、(株)堀場製作所製LA920もしくはLA960により測定することができる。
【0070】
本発明の水中油型乳化組成物は、化粧料に配合することができる。本発明の水中油型乳化組成物を配合し得る化粧料として、具体的には、化粧水、乳液、クリーム、クレンジング、パック、マッサージ料、美容液、洗浄剤、脱臭剤、ハンドクリーム、リップクリーム、及びしわ隠し等のスキンケア化粧料、メークアップ下地、コンシーラー、リキッドファンデーション、クリームファンデーション、頬紅、アイシャドウ、及び口紅等のメークアップ化粧料、シャンプー、リンス、トリートメント、及びセット剤等の毛髪化粧料、制汗剤、日焼け止め乳液、及び日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料等が挙げられる。
化粧料の形状は特に制限されるものでない。例えば、液状、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、多層状、ムース状、スプレー状、スティック状、及びペンシル状等、種々の形態を選択することができる。
【0071】
この場合、水中油型乳化組成物の配合量は、化粧料によって異なるが、化粧料中1〜90質量%、特に3〜70質量%とすることが好ましい。配合量が少なすぎるとペースト状シリコーン組成物特有のさっぱり感、伸展性あるいは滑り性等の効果が感じられない場合があり、多すぎると粉浮きしたり、重い感触になる場合がある。
【0072】
本発明の水中油型乳化組成物を含む化粧料には、通常の化粧料に使用される種々の成分を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。成分としては、例えば、〔1〕油剤、〔2〕アルコール性水酸基を有する化合物、〔3〕界面活性剤、〔4〕粉体、〔5〕架橋型オルガノポリシロキサンと室温で液状の油剤からなる組成物、〔6〕シリコーンワックス、〔7〕皮膜形成剤、〔8〕制汗剤、〔9〕抗菌剤、〔10〕その他の添加剤を含んでよい。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0073】
〔1〕油剤
本発明の水中油型乳化組成物を含む化粧料には、発明の効果を損なわない範囲で、本発明に係る成分(A3)の液状油の他に油剤を配合することができる。油剤は、固体、半固体、液状のいずれであってもよく、例えば、天然動植物油脂類及び半合成油脂、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、シリコーンオイル、及びフッ素系油剤を使用することができる。
【0074】
・天然動植物油脂類及び半合成油脂
天然動植物油脂類及び半合成油脂としては、イボタロウ、エノ油、カカオ脂、カポックロウ、カヤ油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、精製キャンデリラロウ、牛脂、牛骨脂、硬化牛脂、鯨ロウ、硬化油、サトウキビロウ、シアバター、シナギリ油、ジョジョバロウ、セラックロウ、豚脂、ヌカロウ、馬脂、パーム油、パーム核油、硬化ヒマシ油、ベイベリーロウ、ミツロウ、綿ロウ、モクロウ、モクロウ核油、モンタンロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコールアセテート、ポリオキシエチレン水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0075】
・炭化水素油
炭化水素油としては、直鎖状又は分岐状の炭化水素油が挙げられ、揮発性の炭化水素油であっても不揮発性の炭化水素油であってもよい。具体的には、オゾケライト、イソヘキサデカンセレシン、パラフィン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレン・ポリプロピレンワックス、(エチレン/プロピレン/スチレン)コポリマー、(ブチレン/プロピレン/スチレン)コポリマー、プリスタン、ポリイソブチレン、水添ポリイソブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。
【0076】
・高級脂肪酸
高級脂肪酸としては、成分(A3)の液状油として挙げた高級脂肪酸の他に、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
【0077】
・高級アルコール
高級アルコールとしては、例えば、炭素数が好ましくは6以上のアルコールが挙げられる。高級アルコールの具体例としては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、コレステロール、フィトステロール、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)等が挙げられる。
【0078】
・エステル油
エステル油としては、成分(A3)の液状油として挙げたエステル油の他に、トリベヘン酸グリセリル等が挙げられる。
【0079】
・シリコーンオイル
シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、カプリリルメチコン、フェニルトリメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルヘキシルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等の低粘度から高粘度の直鎖状又は分岐状のオルガノポリシロキサン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、ピロリドン変性オルガノポリシロキサン、ピロリドンカルボン酸変性オルガノポリシロキサン、高重合度のガム状ジメチルポリシロキサン、ガム状アミノ変性オルガノポリシロキサン、ガム状のジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等のシリコーンゴム、及びシリコーンガムやゴムの環状オルガノポリシロキサン溶液、トリメチルシロキシケイ酸、トリメチルシロキシケイ酸の環状シロキサン溶液、ステアロキシシリコーン等の高級アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、長鎖アルキル変性シリコーン、アミノ酸変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、シリコーン樹脂及びシリコーンレジンの溶解物等が挙げられる。
【0080】
・フッ素系油剤
フッ素系油剤としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等が挙げられる。
【0081】
〔2〕アルコール性水酸基を有する化合物
アルコール性水酸基を有する化合物としては、エタノール、イソプロパノール等、炭素数が好ましくは2〜5の低級アルコール;ソルビトール、マルトース等の糖アルコール等が挙げられる。また、コレステロール、シトステロール、フィトステロール、ラノステロール等のステロール;ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジブチレングリコール、ペンチレングリコール等の多価アルコール等が挙げられる。
【0082】
〔3〕界面活性剤
界面活性剤としては、非イオン性、アニオン性、カチオン性及び両性の活性剤があるが、特に制限されるものではなく、通常の化粧料に使用されるものであれば、いずれのものも使用することができる。これらの界面活性剤の中でも、部分架橋型ポリエーテル変性シリコーン、部分架橋型ポリグリセリン変性シリコーン、直鎖状又は分岐状ポリオキシエチレン変性オルガノポリシロキサン、直鎖状又は分岐状ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性オルガノポリシロキサン、直鎖状又は分岐状ポリオキシエチレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、直鎖状又は分岐状ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、直鎖状又は分岐状ポリグリセリン変性オルガノポリシロキサン、直鎖状又は分岐状ポリグリセリン・アルキル共変性オルガノポリシロキサンであることが好ましい。これらの界面活性剤において、親水性のポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基又はポリグリセリン残基の含有量が、分子中の10〜70質量%を占めることが好ましい。具体例としては、信越化学工業(株)製:KSG−210,240,310,320,330,340,320Z,350Z,710,810,820,830,840,820Z,850Z、KF−6011,6013,6017,6028,6038,6043,6048,6100,6104,6105,6106等が挙げられる。
【0083】
〔3〕界面活性剤を配合する場合の配合量としては、化粧料全体の0.1〜20質量%が好ましい。0.1質量%未満では分散や乳化の機能を果たさない場合があり、20質量%を超える量では化粧料として用いた場合にべたついた使用感になることがある。界面活性剤のHLBは限定されないが、化粧料の耐水性を維持するという目的から2〜14.5が好ましい。
【0084】
〔4〕粉体
粉体としては、着色顔料、無機粉体、金属粉体、有機粉体、無機・有機複合粉体等が挙げられる。具体的には次の通りである。
【0085】
・着色顔料
着色顔料としては、通常、化粧料の着色を目的に使用される顔料であれば、特に限定はなく、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、白色酸化チタン、黒色酸化鉄、ベンガラ、グンジョウ、コンジョウ、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト、酸化鉄ドープ酸化チタン、チタン酸鉄、(チタン/酸化チタン)焼成物、チタン酸(Li/コバルト)、チタン酸コバルト、窒化チタン、水酸化鉄、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄土等の無機黄色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの等の有色顔料等、いずれのものも使用することができる。また、顔料の形状としては、球状、略球状、棒状、紡錘状、花弁状、短冊状、不定形状等、いずれの形状であってもよく、化粧料に色を付与することが可能であれば、その幾何学的態様には特に限定はない。
【0086】
・無機粉体
無機粉体としては、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、劈開タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、二酸化ケイ素、フュームドシリカ、含水二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックス、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン、ガラス等からなる微粒子が挙げられる。また、無機着色パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等のパール顔料が挙げられる。
【0087】
・金属粉体
金属粉体としては、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、銀等からなる金属微粒子が挙げられる。
【0088】
・有機粉体
有機粉体としては、例えば、シリコーン、ポリアミド、ポリアクリル酸・アクリル酸エステル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ポリウレタン、ビニル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン、ポリメチルベンゾグアナミン、テトラフルオロエチレン、ポリメチルメタクリレート(例えば、ポリメタクリル酸メチル等)、セルロース、シルク、ナイロン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート等からなる粉体が挙げられる。特に、シリコーンとしては、シリコーン樹脂粒子(具体例としては、信越化学工業(株)製:KMP−590、591等)やシリコーン樹脂被覆シリコーンゴム粉末(具体例としては、信越化学工業(株)製:KSP−100、101、102、105、300、411、441等)が挙げられる。また、金属石鹸等も挙げられ、具体例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等からなる粉体も挙げられる。更に、有機系色素等も挙げられ、具体例としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等のタール色素、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等の天然色素が挙げられる。
【0089】
・無機・有機複合粉体
無機・有機複合粉体としては、例えば、無機粉体表面が、公知の方法により有機粉体で被覆された複合粉体が挙げられる。
【0090】
なお、上述した粉体は、粒子表面を処理したものも使用できる。また、その表面処理剤は、化粧料の耐水性を損なわない目的から疎水性を付与できるものが好ましく、疎水性を付与できるものであれば特に限定されず、シリコーン処理剤、ワックス類、パラフィン類、ペルフルオロアルキルとリン酸塩等の有機フッ素化合物、界面活性剤、N−アシルグルタミン酸等のアミノ酸、ステアリン酸アルミニウム、ミリスチン酸マグネシウム等の金属石鹸等の処理剤などが挙げられる。より好ましくはシリコーン処理剤で、カプリルシラン(信越化学工業(株)製:AES−3083)、トリメトキシシリルジメチコン等のシラン類又はシリル化剤、ジメチルシリコーン(信越化学工業(株)製:KF−96Aシリーズ)、メチルハイドロジェン型ポリシロキサン(信越化学工業(株)製:KF−99P、KF−9901等)、シリコーン分岐型シリコーン処理剤(信越化学工業(株)製:KF−9908、KF−9909等)等のシリコーンオイル、アクリルシリコーン(信越化学工業(株)製:KP−541、KP−574)等が挙げられる。
上記の表面疎水化処理剤は、1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0091】
〔5〕架橋型オルガノポリシロキサンと室温で液状の油剤からなる組成物
架橋型オルガノポリシロキサンと室温で液状の油剤からなる組成物において、架橋型オルガノポリシロキサンは、液状の油剤に対し、自重以上の該液状の油剤を含んで膨潤するものが好ましい。架橋型オルガノポリシロキサンとして、具体的には、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビスビニルジメチコン)クロスポリマー等が挙げられる。また、液状の油剤としては、成分〔1〕中の液状のシリコーン油、炭化水素油、エステル油、天然動植物油、半合成油、フッ素系油等を用いることができ、例えば、0.65〜100mm
2/s(25℃)の低粘度シリコーン油、流動パラフィン、スクワラン、イソドデカン、イソヘキサデカン等の炭化水素油やトリオクタノイン等のグリセライド油、イソノナン酸イソトリデシル、N−アシルグルタミン酸エステル、ラウロイルサルコシン酸エステル等のエステル油、マカデミアナッツ油等の天然動植物油が挙げられる。成分〔5〕は、本発明に係る成分〔3〕の界面活性剤とは異なり、分子構造中、ポリエーテル又はポリグリセリン構造を有しない化合物であり、具体例としては、信越化学工業(株)製:KSGシリーズ(商品名)、特に、KSG−15、16、016F、19、41、42、43、44、042Z、045Z等が挙げられる。
【0092】
〔6〕シリコーンワックス
シリコーンワックスは、艶出しや使用感調整の目的で配合される。具体的には、アクリル/シリコーングラフト又はブロック共重合体のアクリルシリコーン樹脂、シリコーン変性オレフィンワックス等を使用することができる。これらの具体例としては、信越化学工業(株)製:長鎖アルキル基を有するアクリルシリコーン樹脂:KP−561P、KP−562P、シリコーン変性オレフィンワックス:KF−7020S等が挙げられる。
【0093】
〔7〕皮膜形成剤
皮膜形成剤は、主に化粧料の効果持続性を維持させる目的で配合される。皮膜形成剤としては特に限定はないが、撥水性付与の観点からシリコーン系組成物であることが好ましい。具体的には、トリメチルシロキシケイ酸、アクリル−シリコーン皮膜剤、シリコーン変性ノルボルネン、シリコーン変性プルラン等を使用することができる。これらの具体例としては、信越化学工業(株)製:トリメチルシロキシケイ酸:KF−7312J、アクリル−シリコーン皮膜剤:KP−545、KP−549、シリコーン変性ノルボルネン:NBN−30−ID、シリコーン変性プルラン:TSPL−30−ID、TSPL−30−D5等が挙げられる。
【0094】
〔8〕制汗剤
本発明の水中油型乳化組成物を含む化粧料がデオドラント剤である場合には、制汗剤を任意に配合することができる。
制汗剤は、皮膚を収斂させることに依って、汗の発生を抑える成分であれば、特に限定はなく、汎用の成分を広く利用できる。例えば、クロルヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインアルミニウム塩、タンニン酸、硫酸アルミニウムカリウム、酸化亜鉛、パラフェノールスルホン酸亜鉛、焼きミョウバン、テトラクロロ(Al/ジルコニウム)水和物、トリクロロハイドレックスグリシン(Al/ジルコニウム)等が挙げられる。特に、高い効果を発現する成分として、好ましくは、ハロゲン化アルミニウム、ヒドロキシハロゲン化アルミニウム、並びにそれらとオキシハロゲン化ジルコニル及びヒドロキシハロゲン化ジルコニルとの錯体又は混合物からなる群より選択される制汗活性分である。これらの制汗剤は、水に溶解して配合させたり、また、粉末をそのまま製剤に配合して使用することができる。
制汗剤は、市販品を用いることができる。用いる市販品は、他の成分との混合原料の形態であってもよい。
【0095】
〔9〕抗菌剤
抗菌剤は、体臭の原因物質を作り出す皮膚の常在菌の増殖を抑制させることに依って、防臭効果が得られる成分であれば、特に限定はない。例えば、トリクロサン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、ハロカルバン、イソメチルフェノール等の抗菌薬剤が一般に利用される。また、緑茶乾留エキス等、生薬由来の精油や抽出物などで抗菌性を有するものを配合してもよい。生薬由来の精油や抽出物などの防臭効果を有する抗菌剤としては、例えば、緑茶エキス、ラベンダーエキス、オウゴンエキス、オウレンエキス、オオバクエキス、カワラヨモギエキス、キダチアロエエキス、クララ根エキス、クマザサ葉エキス、ニンニクエキス、ハマメリスエキス、紅茶エキス、セージ葉エキス、サンショウエキス、ショウガ根エキス、ショウブ根エキス、セイヨウキズタエキス、ドクダミエキス、モモ果実エキス、モモ葉エキス、セイヨウハッカ葉エキス、センキュウエキス、ユーカリ葉エキス、ラッカセイ種皮エキス、レイシエキス、ワレモコウエキスなどを用いることができる。植物抽出物は、1種単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
【0096】
〔10〕その他の添加剤
その他の添加剤としては、油溶性ゲル化剤、紫外線吸収剤、紫外線吸収散乱剤、保湿剤、防腐剤、香料、塩類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分(美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン、包接化合物等が挙げられる。
【0097】
・油溶性ゲル化剤
油溶性ゲル化剤としては、アルミニウムステアレート、マグネシウムステアレート、ジンクミリステート等の金属石鹸;N−ラウロイル−L−グルタミン酸、α,γ−ジ−n−ブチルアミン等のアミノ酸誘導体;デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2−エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル;ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル;フラクトオリゴ糖ステアリン酸エステル、フラクトオリゴ糖2−エチルヘキサン酸エステル等のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステル;モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体;ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムヘクトライトクレー等の有機変性粘土鉱物などが挙げられる。
【0098】
・紫外線吸収剤
紫外線吸収剤としては、サリチル酸ホモメンチル、オクトクリレン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、4−(2−β−グルコピラノシロキシ)プロポキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、サリチル酸オクチル、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジメチコジエチルベンザルマロネート、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオン、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、テトラヒドロキシベンゾフェノン、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、ドロメトリゾールトリシロキサン、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、2,4−ビス−[{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその三水塩、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、2,2’−メチレンビス[6−(2Hベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]が挙げられる。
【0099】
・紫外線吸収散乱剤
紫外線吸収散乱剤としては、微粒子酸化チタン、微粒子鉄含有酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウム及びそれらの複合体等、紫外線を吸収散乱する粒子が挙げられ、これらの紫外線を吸収散乱する粒子をあらかじめ油剤に分散させた分散物を用いることもできる。紫外線を吸収散乱する粒子をあらかじめ油剤に分散させた分散物の具体例としては、信越化学工業(株)製:SPDシリーズ(商品名)、特に、SPD−T5、Z5、T6、Z6等が挙げられる。
【0100】
・保湿剤
保湿剤としては、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンチレングリコール、グルコース、キシリトール、マルチトール、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ピロリドンカルボン酸塩、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、卵黄レシチン、大豆レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴリン脂質等が挙げられる。
【0101】
・防腐剤
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール等、抗菌剤としては、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、トリクロロカルバニリド、感光素、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0102】
・香料
香料としては、天然香料及び合成香料がある。天然香料としては、花、葉、材、果皮、などから分離した植物性香料;ムスク、シベットなどの動物性香料がある。合成香料としては、モノテルペンなどの炭化水素類、脂肪族アルコール、芳香族アルコールなどのアルコール類;テルペンアルデヒド、芳香族アルデヒドなどのアルデヒド類;脂環式ケトンなどのケトン類;テルペン系エステルなどのエステル類;ラクトン類;フェノール類;オキサイド類;含窒素化合物類;アセタール類などが挙げられる。
【0103】
・塩類
塩類としては、無機塩、有機酸塩、アミン塩及びアミノ酸塩が挙げられる。無機塩としては、例えば、塩酸、硫酸、炭酸、硝酸等の無機酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、ジルコニウム塩、亜鉛塩等;有機酸塩としては、例えば、酢酸、デヒドロ酢酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、アスコルビン酸、ステアリン酸等の有機酸類の塩;アミン塩及びアミノ酸塩としては、例えば、トリエタノールアミン等のアミン類の塩、グルタミン酸等のアミノ酸類の塩等が挙げられる。また、その他、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等の塩、アルミニウムジルコニウムグリシン錯体等や、更には、化粧料処方の中で使用される酸−アルカリの中和塩等も使用することができる。
【0104】
・酸化防止剤
酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、カロチノイド、アスコルビン酸及びその塩、ステアリン酸アスコルビル、トコフェノール、酢酸トコフェノール、トコフェロール、p−tert−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、フィチン酸、フェルラ酸、チオタウリン、ヒポタウリン、亜硫酸塩、エリソルビン酸及びその塩、クロロゲン酸、エピカテキン、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、アピゲニン、カンフェロール、ミリセチン、ケルセチン等が挙げられる。酸化防止剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0105】
・pH調整剤
pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl−リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。
【0106】
・キレート剤
キレート剤としては、アラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸等が挙げられる。
【0107】
・清涼剤
清涼剤としては、L−メントール、カンフル等が挙げられる。
【0108】
・抗炎症剤
抗炎症剤としては、アラントイン、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸及びグリチルレチン酸ステアリル、トラネキサム酸、アズレン等が挙げられる。
【0109】
・美肌用成分
美肌用成分としては、胎盤抽出液、アルブチン、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤;ロイヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体、幼牛血液抽出液等の細胞賦活剤;肌荒れ改善剤;ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤;酸化亜鉛、タンニン酸等の皮膚収斂剤;イオウ、チアントロール等の抗脂漏剤等が挙げられる。
【0110】
・ビタミン類
ビタミン類としては、ビタミンA油、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類;リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB
2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート、ピリドキシントリパルミテート等のビタミンB
6類、ビタミンB
12及びその誘導体、ビタミンB
15及びその誘導体等のビタミンB類;L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類;エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のビタミンE類;ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類;ビタミンH、ビタミンP、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、ビオチン等が挙げられる。
【0111】
・アミノ酸類
アミノ酸類としては、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、システイン、メチオニン、トリプトファン等が挙げられる。
【0112】
・核酸
核酸としては、デオキシリボ核酸等が挙げられる。
【0113】
・ホルモン
ホルモンとしては、エストラジオール、エテニルエストラジオール等が挙げられる。
【0114】
・包接化合物
包接化合物としては、シクロデキストリン等が挙げられる。
【0115】
本発明によれば、エチレンオキサイド(EO)付加モル数が15以上で、HLBが11以上のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルにて、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとアルケニル基含有化合物との付加重合物と液状油からなるペースト状シリコーン組成物を乳化分散させることにより、油相成分の乳化性が良好であり、また保存安定性が良好な水中油型乳化組成物を得ることができる。本発明の水中油型乳化組成物を化粧料に配合した場合、皮膚に対する刺激性が弱く、また苦みが少なく、ペースト状シリコーン組成物特有のさっぱり感、伸展性あるいは滑り性等を付与することができる。
【実施例】
【0116】
以下、調製例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において、平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により求めたポリスチレン換算の数平均分子量であり、動粘度はオストワルド粘度計により測定した25℃における値であり、粘度はBM型もしくはBH型回転粘度計により測定した25℃における値である。
【0117】
[シリコーン組成物(A−1)の調製]
内容積約5リットルのプラネタリーミキサー((株)井上製作所製)に、トリメチルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサンメチルハイドロジェンシロキサン共重合体(平均分子量2,280、Si−H含有量3.1モル%)600g、ジメチルビニルシロキシ末端封鎖ジメチルポリシロキサン(平均分子量930、ビニル基含有量7.7モル%)267g、及びトリメチルシロキシ末端封鎖ジメチルポリシロキサン(粘度6mm
2/s)1,300gを配合し、撹拌混合した。得られた混合溶液に塩化白金酸の2質量%イソプロパノール溶液を0.5g添加し、70〜80℃で2時間撹拌を続けたところ、白色粉末の付加重合反応混合物が得られた。得られた付加重合反応混合物100質量部とトリメチルシロキシ末端封鎖ジメチルポリシロキサン(粘度6mm
2/s)150質量部を分散混合し、三本ロールミルにより剪断力下で十分混練し、膨潤させてペースト状のシリコーン組成物(A−1)を作製した。このペースト状シリコーン組成物(A−1)の外観は無色透明であり、粘度は40,000mPa・sであった。
【0118】
[シリコーン組成物(A−2)の調製]
内容積約5リットルのプラネタリーミキサーに、トリメチルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサンメチルハイドロジェンシロキサン共重合体(平均分子量2,280、Si−H含有量3.1モル%)250g、ジメチルビニルシロキシ末端封鎖ジメチルポリシロキサン(平均分子量5,000、ビニル基含有量1.5モル%)613g、及びフェニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン1,294gを配合し、塩化白金酸の2質量%イソプロパノール溶液を0.5g添加した以外の操作はペースト状シリコーン組成物(A−1)の場合と同様にして行い、粉体の付加重合反応混合物を得た。得られた付加重合反応混合物100質量部とフェニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン270質量部とを配合した以外の操作は、ペースト状シリコーン組成物(A−1)の場合と同様にして行い、ペースト状のシリコーン組成物(A−2)を得た。このペースト状シリコーン組成物(A−2)の外観は滑らかで伸展性に優れたものであり、粘度は66,000mPa・sであった。
【0119】
[実施例1]
上記のペースト状シリコーン組成物(A−1)750g、成分(B−1)であるノニオンST−60(モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.、HLB15.7)、日油(株)製)40g、成分(B−2)であるノニオンOT−80(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.、HLB15.7)、日油(株)製)20g、及び成分(C−1)であるイオン交換水60gをホモディスパー(プライミクス(株)製)により2,000rpmで60分撹拌した後に、成分(C−2)であるイオン交換水130gを配合し、ホモミキサー(プライミクス(株)製)により5,000rpmで10分撹拌し、乳化組成物(1)を得た。乳化組成物(1)の粘度は10,000mPa・sであり、HORIBA LA960((株)堀場製作所製)により測定した平均粒径は5μmであった。
【0120】
[実施例2]
上記のペースト状シリコーン組成物(A−1)700g、成分(B−1)であるノニオンST−60(モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.、HLB15.7)、日油(株)製)40g、成分(B−2)であるノニオンOT−80(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.、HLB15.7)、日油(株)製)20g、及び成分(C−1)であるイオン交換水60gをホモディスパー(プライミクス(株)製)により2,000rpmで60分撹拌した後に、増粘剤であるCarbopol Ultrez 10Polymer(Lubrizol製)0.1質量%、及びpH調整剤である水酸化ナトリウム0.1質量%の水溶液180g(水酸化ナトリウム0.1質量%の水溶液中の成分(C−2)であるイオン交換水は約180g)を配合し、ホモミキサー(プライミクス(株)製)により5,000rpmで10分撹拌し、乳化組成物(2)を得た。乳化組成物(2)の粘度は8,000mPa・sであり、HORIBA LA960((株)堀場製作所製)により測定した平均粒径は2μmであった。
【0121】
[実施例3]
上記のペースト状シリコーン組成物(A−2)750g、成分(B−1)であるノニオンST−60(モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.、HLB15.7)、日油(株)製)40g、成分(B−2)であるノニオンOT−80(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.、HLB15.7)、日油(株)製)20g、及び成分(C−1)であるイオン交換水60gをホモディスパー(プライミクス(株)製)により2,000rpmで60分撹拌した後に、成分(C−2)であるイオン交換水130gを配合し、ホモミキサー(プライミクス(株)製)により5,000rpmで10分撹拌し、乳化組成物(3)を得た。乳化組成物(3)の粘度は12,000mPa・sであり、HORIBA LA960((株)堀場製作所製)により測定した平均粒径は7μmであった。
【0122】
[実施例4]
上記のペースト状シリコーン組成物(A−1)700g、成分(B−1)であるノニオンST−60(モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.、HLB15.7)、日油(株)製)40g、(B−2)であるノニオンOT−80(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.、HLB15.7)、日油(株)製)20g、及び成分(C−1)であるイオン交換水60gをホモディスパー(プライミクス(株)製)により2,000rpmで60分撹拌した後に、成分(C−2)であるイオン交換水180gを配合し、ホモミキサー(プライミクス(株)製)により5,000rpmで10分撹拌し、乳化組成物(4)を得た。乳化組成物(4)の粘度は3,000mPa・sであり、HORIBA LA960((株)堀場製作所製)により測定した平均粒径は1μmであった。
【0123】
[比較例1]
上記のペースト状シリコーン組成物(A−1)650g、成分(B−1)であるノニオンST−60(モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.、HLB15.7)、日油(株)製)40g、成分(B−2)であるノニオンOT−80(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.、HLB15.7)、日油(株)製)20g、及び成分(C−1)であるイオン交換水60gをホモディスパー(プライミクス(株)製)により2,000rpmで60分撹拌した後に、成分(C−2)であるイオン交換水230gを配合し、ホモミキサー(プライミクス(株)製)により5,000rpmで10分撹拌し、乳化組成物(5)を得た。乳化組成物(5)の粘度は1,000mPa・sであり、HORIBA LA960((株)堀場製作所製)により測定した平均粒径は1μmであった。
【0124】
[比較例2]
上記のペースト状シリコーン組成物(A−1)700g、成分(B−1)であるノニオンST−60(モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.、HLB15.7)、日油(株)製)45g、成分(B−3)であるレオドールS106V(モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(6E.O.、HLB9.6)、花王(株)製)15g、及び成分(C−1)であるイオン交換水60gをホモディスパー(プライミクス(株)製)により2,000rpmで撹拌したが、乳化しなかった。
【0125】
[比較例3]
上記のペースト状シリコーン組成物(A−1)700g、成分(B−2)であるノニオンOT−80(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.、HLB15.7)、日油(株)製)45g、成分(B−4)であるレオドールO106V(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(6E.O.、HLB10.0)、花王(株)製)15g、及び成分(C−1)であるイオン交換水60gをホモディスパー(プライミクス(株)製)により2,000rpmで60分撹拌した後に、成分(C−2)であるイオン交換水180gを配合し、ホモミキサー(プライミクス(株)製)により5,000rpmで10分撹拌し、乳化組成物(6)を得た。乳化組成物(6)はゲルが多く生成していた。
【0126】
[比較例4]
上記のペースト状シリコーン組成物(A−1)700g、成分(B−5)であるエマルゲン123P(ポリオキシエチレン(23E.O.、HLB16.9)ラウリルエーテル、花王(株)製)45g、成分(B−6)であるエマルゲン104P(ポリオキシエチレン(4E.O.、HLB9.7)ラウリルエーテル、花王(株)製)15g、及び成分(C−1)であるイオン交換水60gをホモディスパー(プライミクス(株)製)により2,000rpmで60分撹拌した後に、成分(C−2)であるイオン交換水180gを配合し、ホモミキサー(プライミクス(株)製)により5,000rpmで10分撹拌し、乳化組成物(7)を得た。乳化組成物(7)の粘度は2,800mPa・sであり、HORIBA LA960((株)堀場製作所製)により測定した平均粒径は1.5μmであった。
【0127】
実施例1〜4、比較例1〜4の乳化組成物の配合組成、平均粒径、粘度、苦みの有無、ゲル状成分の有無及び保存安定性を調べて表1、表2にまとめた。
ゲル状成分については、乳化組成物をガラス瓶に入れ、外観を目視して、ゲル状成分の有無を調べた。
保存安定性は、乳化組成物(1)〜(5)及び(7)100gをそれぞれガラス瓶に入れ、1ヶ月静置をした後に上層部と下層部の不揮発分(105℃、3時間)を測定した。上層部の不揮発分を下層部の不揮発分で割った値が1から離れた値であるほど分離していることを示す。
苦みについては、参加者10人が乳化組成物(1)〜(5)及び(7)をそれぞれ手のひらに約0.025g塗布して、なめて評価した。苦みを感じた人数が8人以上の場合は×とし、3〜7人の場合は△とし、2人以下の場合は○とした。
なお、乳化組成物(6)は、ゲル状の成分が多く析出していたため、保存安定性及び苦みの評価はしていない。
【0128】
【表1】
【0129】
【表2】
【0130】
[処方例]
以下、実施例の処方例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。配合量は特に指定のない限り%(質量%)で示す。
【0131】
[実施例5]乳液
<調製方法>
(1)〜(9)を均一に混合した。
成分(%)
(1)エタノール 5.00
(2)グリセリン 4.00
(3)1,3−ブチレングリコール 3.00
(4)精製水 残量
(5)カルボキシビニルポリマー(1%水溶液) 15.00
(6)水酸化ナトリウム 0.05
(7)キサンタンガム(2%水溶液) 10.00
(8)エデト酸二ナトリウム 0.05
(9)実施例1の乳化組成物 20.00
合計 100.00
得られた乳液は、伸び広がりが軽く、滑り性が良く、みずみずしい使用感のもので、経時安定性にも優れていた。
【0132】
[実施例6]O/Wクリーム
<調製方法>
A:成分(3)〜(10)を混合した。
B:成分(1)、(2)を混合し、Aを加えて撹拌乳化した。
成分(%)
(1)実施例3の乳化組成物 15.0
(2)トリエチルヘキサン酸グリセリル 5.0
(3)ジプロピレングリコール 7.0
(4)グリセリン 5.0
(5)メチルセルロース(2%水溶液)(注1) 7.0
(6)ポリアクリルアミド系乳化剤(注2) 2.0
(8)防腐剤 適量
(9)香料 適量
(10)精製水 残量
合計 100.0
(注1)信越化学工業(株)製:メトローズSM−4000
(注2)SEPPIC社製:セピゲル305
本クリームは、べたつきがなく、塗布時の伸びが良く、なじんだ後の滑り性も良好で、肌への密着感が感じられるものであった。また、経時安定性にも優れていた。
【0133】
[実施例7]ヘアリンス
<調製方法>
A:成分(1)〜(6)を加熱して混合し、更に成分(10)を加えて混合し冷却した。
B:成分(7)〜(9)を混合し、Aに加えて良く混合した。
成分(%)
(1)セテアリルアルコール 2
(2)エチルヘキサン酸セチル 3
(3)ベヘントリモニウムクロリド 1
(4)パラベン 適量
(5)プロピレングリコール 5
(6)メチルフェニルポリシロキサン(注1) 1
(7)ヒドロキシエチルセルロース(1%水溶液) 10
(8)実施例2の乳化組成物 5
(9)香料 適量
(10)精製水 残量
合計 100
(注1)信越化学工業(株)製:KF−56A
得られたヘアリンスは、洗い流し時に髪が絡まず、滑り性の良い仕上がりのものとなった。
【0134】
[実施例8]O/W化粧下地
<調製方法>
成分(1)〜(8)を均一に混合した。
成分(%)
(1)実施例1の乳化組成物 25
(2)アルコール 5
(3)1,3−ブチレングリコール 6
(4)アクリル系高分子(2%水溶液)(注1) 20
(5)キサンタンガム(2%水溶液) 12
(6)塩化ナトリウム 0.01
(7)防腐剤 適量
(8)精製水 残量
合計 100.00
(注1)クライアント社製:AristoflexAVC
本化粧下地は、伸び広がりが良く、塗布後の肌の滑り性が良好で、肌の凹凸をぼかしてきれいに見せる効果のあるものであった。また、経時安定性も良好であった。
【0135】
[実施例9]クリーム状口紅
<調製方法>
A:成分(2)の一部に、成分(9)を混合し、ローラーミルにて分散後、得られた分散物を成分(1)〜(5)とともに加熱混合した。
B:成分(6)〜(8)を加熱し、Aで得られた混合物に加えて乳化後冷却した。
C:成分(10)をBで得られた乳化物に添加し、クリーム状口紅を得た。
成分(%)
(1)パルミチン酸/エチルヘキサン酸デキストリン(注1) 9
(2)トリエチルヘキサノイン 5
(3)アクリルシリコーンのD5溶解品(注2) 5
(4)アルキル変性分岐型ポリグリセリン変性シリコーン(注3)2
(5)デカメチルシクロペンタシロキサン 40
(6)1,3−ブチレングリコール 5
(7)実施例2の乳化組成物 10
(8)精製水 16
(9)着色剤 適量
(10)マイカ 適量
合計 100
(注1)千葉製粉(株)製:レオパールTT
(注2)信越化学工業(株)製:KP−545(固形分30%)
(注3)信越化学工業(株)製:KF−6105
得られたクリーム状口紅は、のびが軽く、べたつきや油っぽさがなく、持ちのよい膜を唇上に形成した。また、塗布したときの苦みや違和感もなく、使用しやすいものであった。