(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1粘着層のドットが、互いに0.1mmないし10mmの間隔で離隔されて規則的に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウム電池用セパレータ。
前記第1粘着層が、0.5μmないし2μmの厚み、但し前記浸透部は含まない、を有するドットを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウム電池用セパレータ。
前記第1粘着層が、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエチレンオキシド、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリル化スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリエピクロロヒドリン、ポリホスファゼン、エチレンプロピレンジエン共重合体、ポリビニルピリジン、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、熱可塑性ポリエステルゴム(PTEE)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びジアセチルセルロースから選択された1種以上の高分子から構成されるドットを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウム電池用セパレータ。
前記多孔性基材の、前記多孔性コーティング層とは反対側の面上に、互いに所定の間隔で離隔されて配置されたドットから形成される第2粘着層をさらに含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のリチウム電池用セパレータ。
前記高分子粒子が、アクリル酸エステル系高分子粒子及びスチレン−ブタジエンラバー粒子のうち1種以上を含むことを特徴とする請求項10に記載のリチウム電池用セパレータ。
前記多孔性コーティング層に含まれた高分子粒子の含量が、前記無機粒子100重量部に対して、0.1ないし10重量部であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のリチウム電池用セパレータ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施態様によるリチウム電池用セパレータ、それを含むリチウム電池及び該リチウム電池の製造方法について、詳細に説明する。それは、例示として提示されるものであり、それによって本発明が制限されるものではなく、本発明は、特許請求の範囲の範疇によってのみ定義されるのである。
本明細書において、「及び/または」というのは、一つ以上の関連目録の任意または全ての組み合わせを含む。「1種以上」というのは、要素の目録に先行するとき、要素の全体目録を修飾し、前記目録の個別的な要素を修飾するものではない。
【0010】
本明細書において、「一面上に配置されている」というのは、「disposed on a(the) surface」及び「disposed above a(the) surface」をいずれも含む意味であり、「一面上に直接接触して配置されている」というだけではなく、「一面の上側に配置されている」ということも含む意味である。
【0011】
図1は、一実施態様によるリチウム電池用セパレータ10の模式図を示したものである。
図1を参照すれば、前記セパレータ10は、多孔性基材1の一面上に形成された多孔性コーティング層2、及び前記多孔性コーティング層2の表面上に、複数のドットが、互いに所定の間隔で、好ましくは多孔性基材の全面に多数、離隔されて形成されて成る第1粘着層3を含む。前記第1粘着層3のドットは、前記多孔性コーティング層2に浸透している浸透部を備える。一実施態様において、前記第1粘着層3のドットの浸透部は、前記多孔性基材1の前記一面に接触している。
【0012】
一実施態様によれば、前記第1粘着層3のドットは、前記多孔性基材1の一面上に形成された多孔性コーティング層2中に浸透する浸透部を備える。多孔性基材の一面において、多孔性コーティング層を含むリチウム電池用セパレータは、一般的に電極との接着力が弱く、電池セルを製造する過程において、電極からセパレータが容易に分離する現象が生じてしまう。これに対して、本発明の一実施態様によるセパレータ10は、前記第1粘着層3の複数のドットが、前記多孔性コーティング層2中に浸透する構造を有し、これによって前記多孔性コーティング層2の脱離を防止し、電池セル組み立て過程中の変形(deform)を防止することができる。それにより、前記セパレータ10は、電極との接着力が改善される。従って、前記セパレータ10を含むリチウム電池の寿命特性が改善される。
【0013】
前記第1粘着層3のドットは、平均直径が10μm以上であってよい。例えば、前記第1粘着層3のドットは、平均直径が10μmないし500μmであってよい。例えば、前記第1粘着層3のドットは、平均直径が100μmないし500μmであってよい。例えば、前記第1粘着層3のドットは、平均直径が200μmないし500μmであってもよい。前記第1粘着層3のドットの平均直径が10μm以上であるならば、前記多孔性コーティング層2中に浸透する構造の形成が容易であり、前記セパレータ10と電極との接着力が改善される。
【0014】
前記第1粘着層3の複数のドットは、好ましくは多孔性基材の全面に多数、互いに所定の間隔で離隔されて規則的に配置されている。例えば、前記第1粘着層3のドットは、互いに0.1mmないし10mmの間隔で離隔されて配置されている。多数のドットが、互いに所定の間隔で離隔されて配置される場合、前記多孔性コーティング層及び前記第1粘着層の間に、接着力がさらに向上する。前記ドットは、任意の多様な形状を有することができる。例えば、前記ドットは、円形、三角形、四角形、菱形、楕円形、扇形などの形状を有することができる。前記第1粘着層は、その浸透部を除いた多孔性コーティング上の厚みが、例えば、0.5μmないし2μmである。
【0015】
前記第1粘着層3は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエチレンオキシド、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリル化スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリエピクロロヒドリン、ポリホスファゼン、エチレンプロピレンジエン共重合体、ポリビニルピリジン、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、熱可塑性ポリエステルゴム(PTEE)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びジアセチルセルロースから選択された1種以上の高分子から構成されるドットを含んでもよい。
【0016】
前記高分子構造体のドットを得るために利用する重合性単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルのようなエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−シアノエチルアクリロニトリルのようなシアノ基含有エチレン性不飽和単量体;1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、クロロプレンのような共役ジエン単量体;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸のようなエチレン性不飽和カルボン酸及びその塩;スチレン、アルキルスチレン、ビニルナフタレンのような芳香族ビニル単量体;フルオロエチルビニルエーテルのようなフルオロアルキルビニルエーテル;ビニルピリジン;ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエンのような非共役ジエン単量体;エチレン、プロピレンのようなα−オレフィン;(メタ)アクリルアミドのようなエチレン性不飽和アミド単量体;アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸のようなスルホン酸系不飽和単量体などが高分子構造体を有するドットを形成するのに使用される。
【0017】
例えば、前記第1粘着層3は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリル化スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリルゴム、ブチルゴム及びフッ素ゴムから選択された1種以上の高分子構造体を有するドットを含んでもよい。
【0018】
前記第1粘着層3は、水系高分子構造体または非水系高分子構造体のドットを含んでもよい。例えば、水系高分子構造体のドットを含む。前記水系高分子構造体は、水に容易に分散したり溶解されたりする高分子構造体を意味するものであり、例えば、粒子状である。
【0019】
前記第1粘着層3は、前記セパレータ10がリチウム電池に使用されるとき、負極に対面して配置される。前記第1粘着層3を構成する高分子のうち一部が、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体である場合、正極電位に対して耐酸化性が不足しており、前記第1粘着層3と正極との間で接触する面において、スチレン−ブタジエン共重合体の酸化が容易に生じる。従って、前記セパレータ10が、リチウム電池に使用されるとき、前記第1粘着層3は、正極より負極に対面して配置されることが望ましい。
【0020】
図1を参照すれば、前記セパレータ10は、多孔性基材1の、前記多孔性コーティング層2とは反対側の面上に、多数のドットが、互いに所定の間隔で離隔されて配置された第2粘着層4をさらに含んでもよい。前記第2粘着層4でのドットの平均直径、厚み、構成成分及び間隔については、第1粘着層3のドットの平均直径、厚み、構成成分及び間隔で記載した通りである。
【0021】
前記第1粘着層3及び第2粘着層4の総面積は、前記セパレータ10の総面積に対して、10%ないし70%である。例えば、前記第1粘着層3及び第2粘着層4の総面積は、前記セパレータ10の総面積に対して、20%ないし70%である。前記第1粘着層3及び第2粘着層4の総面積が前記範囲内である場合、電解液の含浸がさらに容易であるだけではなく、セパレータと電極との接着力が改善される。セパレータの総面積は、多孔性基材表面上の第1粘着層または第2粘着層が配置されたセパレータの特定面の面積である。
【0022】
前記多孔性コーティング層2は、無機粒子及び高分子粒子を含んでもよい。
前記無機粒子は、例えば、α−アルミナ(α−Al
2O
3)、γ−アルミナ(γ−Al
2O
3)、ベーマイト(γ−AlO(OH))、ギブサイト(γ−Al(OH)
3)、コロイダルシリカ、酸化ジルコニウム、フッ化マグネシウム、BaTiO
3、Pb(Zr,Ti)O
3(PZT)、Pb
1−xLaZr
1−yTi
yO
3(PLZT)、PB(Mg
3Nb
2/3)O
3−PbTiO
3(PMN−PT)、HfO
2、SrTiO
3、TiO
2、SiC、SnO
2及びCeO
2からなる群のうちから選択された1種以上である。前記無機粒子は、リチウムイオン伝導性セラミックスを追加して含んでもよい。前記リチウムイオン伝導性セラミックスは、例えば、リチウムホスフェート(Li
3PO
4)、リチウムチタンホスフェート(Li
xTi
y(PO
4)
3、0<x<2、0<y<3)、リチウムアルミニウムチタンホスフェート(Li
xAl
yTi
z(PO
4)
3、0<x<2、0<y<1、0<z<3)、ジルコニウム、ハフニウム、またはラザホージウムでドーピングされたリチウムアルミニウムチタンホスフェート(Li
1+xAl
xTi
2−xM
α(PO
4+β)
3、0<x<0.5、0≦α≦0.1、0≦β≦0.1であり、Mは、Zr、HfまたはRfである)、シリコンでドーピングされたリチウムアルミニウムチタンホスフェート(Li
1+x+yAl
xTi
2−xSi
yP
3−yO
12、0≦x≦1、0≦y≦1)、またはそれらの混合物であってもよい。そのような無機粒子の平均粒径は、例えば、1nmないし100nmである。
【0023】
前記高分子粒子は、アクリル酸エステル系高分子粒子及びスチレン−ブタジエンラバー粒子のうち1種以上を含んでもよい。前記高分子粒子の平均直径は、例えば、10nmないし150nmであり、例えば、10nmないし120nmである。
【0024】
前記多孔性コーティング層2に含まれた高分子粒子の含量は、前記無機粒子100重量部に対して、0.1ないし10重量部であってよい。例えば、前記多孔性コーティング層2に含まれた高分子粒子の含量は、前記無機粒子100重量部に対して、0.1ないし5重量部である。前記多孔性コーティング層2に含まれた無機粒子の含量が、前記範囲内である場合、前記多孔性コーティング層2の無機粒子は、それらの間に適切な大きさの気孔を維持し、リチウムイオンの伝達を低下させずに、無機粒子間の接着力を維持させる。
【0025】
前記多孔性基材1は、例えばポリオレフィン系多孔性基材である。前記多孔性基材は、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンを、それぞれ単独で、またはそれらを混合して形成した膜(membrane)状の基材、またはファイバ状の基材である。
【0026】
前記多孔性基材1は、多重膜積層構造を有することができ、例えば、ポリエチレン/ポリプロピレン2層構造、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレン3層構造、またはポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン3層構造などを含んでもよい。
前記セパレータ10は、7μmないし25μmの総厚みを有することができ、例えば、9μmないし22μmの総厚みを有する。前記セパレータ10が前記範囲の総厚みであるとき、前記セパレータ10は、短絡防止を容易にするために、負極と正極とを分離させて優れた寿命特性を達成する。
【0027】
一実施態様によるセパレータの製造方法は、下記の通りである。
まず、多孔性基材を準備する。前記多孔性基材としては、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどを、それぞれ単独で、またはそれらを積層して形成した膜状の基材またはファイバ状の基材を準備する。
【0028】
次に、前記多孔性基材の一面において、多孔性コーティング層を形成する。前記多孔性コーティング層は、無機粒子を水と混合して均一に分散させ、そのような水分散液に、前述の高分子粒子、例えば、アクリル酸エステル系高分子粒子を添加し、均一に分散させた液を準備する。得られた分散液を、前記多孔性基材の一面にコーティングして乾燥させる。
【0029】
前記アクリル酸エステル系高分子は、エチレン性不飽和カルボン酸エステルと、エチレン性不飽和カルボン酸エステルと共重合が可能なそれ以外の単量体を重合して製造される。ここで、前記重合は、架橋反応を含む意味で使用される。
【0030】
前記エチレン性不飽和カルボン酸エステルの例は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソボニル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ラウリルのようなアクリル酸アルキルエステル及び置換アルキルエステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ラウリルのようなメタクリル酸アルキルエステル及び置換アルキルエステル;クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、クロトン酸プロピル、クロトン酸ブチル、クロトン酸イソブチル、クロトン酸n−アミル、クロトン酸イソアミル、クロトン酸n−ヘキシル、クロトン2−エチルヘキシル、クロトン酸ヒドロキシプロピルのようなクロトン酸アルキルエステル及び置換アルキルエステル;メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルのようなアミノ基含有メタクリル酸エステル;メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステルのようなアルコキシ基含有メタクリル酸エステル;マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノブチル、イタコン酸モノオクチルのような不飽和ジカルボン酸モノエステルなどである。一般的に、エチレン性不飽和カルボン酸エステルが使用される。
【0031】
前記エチレン性不飽和カルボン酸エステルと共重合可能な単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸のような不飽和カルボン酸類;ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどの、2個以上の炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸エステル類;スチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ビニルベンゾ酸、ビニルベンゾ酸メチル、ビニルナフタレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンのようなスチレン系単量体;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のようなアミド系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルのようなα,β−不飽和ニトリル化合物;エチレン、プロピレンのようなオレフィン類;ブタジエン、イソプレンのようなジエン系単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデンのようなハロゲン原子含有単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブチル酸ビニル、ベンゾ酸ビニルのようなビニルエステル類;アリルグリシジルエーテル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルのようなビニルエーテル類;メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、ブチルビニルケトン、ヘキシルビニルケトン、イソプロペニルビニルケトンのようなビニルケトン類;N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾールのような複素環含有ビニル化合物などである。エチレン性不飽和カルボン酸エステルと共重合可能な一般的な単量体が使用される。
【0032】
例えば、エチレン性不飽和カルボン酸エステルと共重合可能な単量体は、2個以上の炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸エステル類、アミド系単量体、α,β−不飽和ニトリル化合物及びビニルエーテル類からなる群から選択される1種以上を含んでもよい。
【0033】
前記エチレン性不飽和カルボン酸エステルと、エチレン性不飽和カルボン酸エステルと共重合可能な単量体の混合比は、0.1:99.9ないし99.9:0.1モル比であってよい。
【0034】
前記アクリル酸エステル系高分子は、例えば、水系エマルジョンの形態で使用されてよい。前記水系エマルジョンは、高分子粒子が、水に分散及び/または溶解されている状態を意味する。前記アクリル酸エステル系高分子の重量平均分子量は、1,000,000ないし1,500,000ほどであってよい。
【0035】
前記多孔性コーティング層を形成するアクリル酸エステル系高分子は、水系エマルジョンの状態そのままで使用することができ、前記アクリル酸エステル系高分子に溶媒をさらに付加して使用することができる。このとき、溶媒は、例えば、水、アセトン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキサン、またはそれらの混合物であってよい。前記アクリル酸エステル系高分子は、乳化重合または溶液重合などの多様な方法で製造される。このとき、前記アクリル酸エステル系高分子の固形分濃度は、前記アクリル酸エステル系高分子エマルジョンまたは前記アクリル酸エステル系高分子溶液の総重量対比で、例えば、1重量%ないし25重量%ほどである。
【0036】
前記多孔性コーティング層を形成するコーティング法は、例えば、スプレーコーティング、ディップコーティング、ダイコーティング、ロールコーティング、マイクログラビアコーティングのような多様なコーティング法を使用することができる。
次に、前記多孔性コーティング層の一面上に、または前記多孔性コーティング層の一面上及び多孔性基材の、前記多孔性コーティング層とは反対側の面上に、それぞれマイクログラビア法を利用して、平均直径が10μm以上であり、厚みが0.5μmないし2μmである複数のドットを、所定の間隔に離隔して、好ましくは基材全面に多数配置し、室温で0.5時間ないし4時間ほど維持し、第1粘着層を形成する。一の実施態様において、平均直径が10μm以上であり、厚みが0.5μmないし2μmである複数のドットを含む第2粘着層は、多孔性基材の、前記多孔性コーティング層とは反対の一面上に、前記第1接着層を形成するときに使用された方法と同一の方法で形成される。次に、前記第1粘着層及び/または前記第2粘着層を有する多孔性基材を、真空下で50℃ないし60℃ほどで、4時間ないし10時間乾燥させ、前記第1粘着層のドットから、前記多孔性コーティング層の中へと延びて該コーティング層を通って浸透し、多孔性基材の一面、すなわち、前記多孔性コーティング層がその上に形成された多孔性基材の一面に達する浸透部が形成されるようにして、セパレータを製造する。
【0037】
前記マイクログラビア法用途のコーティング溶液は、例えば、重量平均分子量が1,000,000ないし1,500,000ほどであるスチレン−ブタジエン共重合体と溶媒とを適切な比率で入れ、室温で撹拌及び分散させて準備する。前記コーティング溶液の溶媒は、水、アセトン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキサン、またはそれらの混合物である。前記コーティング溶液のスチレン−ブタジエン共重合体の固形分濃度は、前記スチレン−ブタジエン共重合体溶液の総重量に対して、例えば、1重量%ないし25重量%ほどである。
【0038】
他の側面で、リチウム電池は、正極と、負極と、前記正極及び負極の間に配置された前述のセパレータと、を含む。
図2は、一実施態様によるリチウム電池100の構造の分解斜視図を示したものである。
図2のリチウム電池100は、円筒状電池の構成を図示した図面を提示しているが、一実施態様によるリチウム電池は、角形やポーチ型などのような他の形状が可能であるということは、言うまでもない。
【0039】
リチウム電池は、リチウム二次電池である。前記リチウム二次電池は、使用するセパレータと電解質との種類によって、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池またはリチウムポリマー電池に分類される。前記リチウム二次電池は、形態によって、円筒状、角形、コイン型またはポーチ型などに分類される。前記リチウム二次電池は、サイズによって、バルクタイプと薄膜タイプとに分けることができる。一実施態様によるリチウム二次電池は、多様な形態を有することができる。
【0040】
図2を参照し、さらに詳細に説明すれば、リチウム電池100は、円筒状であり、負極112、正極114、前記負極112と正極114との間に配置されたセパレータ113、前記負極112・正極114及びセパレータ113に含浸された電解質(図示せず)、電池容器120、及び前記電池容器120を封入する封入部材140を主な部分にして構成されている。そのようなリチウム電池100は、負極112、セパレータ113及び正極114を順に積層した後、スパイラル状に巻き取られた状態で、電池容器120に収納して構成される。前記セパレータ113は、前述の一実施態様によるセパレータ10と同一である。
【0041】
前記負極112は、電流集電体、及び前記電流集電体に形成される負極活物質層を含む。
前記負極112に使用される電流集電体として、Cu電流集電体を使用することができる。前記電流集電体の他の例としては、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、熱処理炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン・ニッケル・チタン・銀などで表面処理したもの、アルミニウム−カドミウム合金などが挙げられる。また、前記負極電流集電体は、表面に微細な凹凸を形成し、負極活物質の結合力を強化させることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態で使用される。
【0042】
前記負極活物質層を形成するための負極活物質は、一般的に使用されるものであってよい。前記負極活物質の例としては、リチウム金属、リチウムと合金化可能な金属、遷移金属酸化物、リチウムをドーピングしたり脱ドーピングしたりすることができる物質、またはリチウムイオンを可逆的に吸蔵/放出することができる物質などが挙げられる。
【0043】
前記遷移金属酸化物の例としては、タングステン酸化物、モリブデン酸化物、チタン酸化物、リチウムチタン酸化物、バナジウム酸化物またはリチウムバナジウム酸化物などが挙げられる。
【0044】
前記リチウムをドーピングしたり脱ドーピングしたりすることができる物質の例としては、Si、SiO
x(0<x≦2)、Si−Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素ないし16族元素、遷移金属、希土類元素、またはそれらの組み合わせ元素であり、Siではない)、Sn、SnO
2、Sn−Y(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素ないし16族元素、遷移金属、希土類元素、またはそれらの組み合わせ元素であり、Snではない)などが挙げられ、それらのうち少なくとも一つと、SiO
2とを混合して使用することもできる。前記元素Yとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ti、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、またはそれらの組み合わせである。
【0045】
前記リチウムイオンを可逆的に吸蔵/放出することができる物質は、適切なリチウム電池用炭素系負極活物質である。かような炭素系負極活物質の例としては、結晶質炭素、非晶質炭素、またはそれらの混合物が挙げられる。前記結晶質炭素の例としては、無定形、板状、鱗片状(flake)、球形またはファイバ状の天然黒鉛;または人造黒鉛を含んでもよい。前記非晶質炭素の例としては、ソフトカーボン(低温焼成炭素)またはハードカーボン、メゾ相ピッチ炭化物、または焼成されたコークスなどを含んでもよい。
【0046】
前記負極活物質層はまた、バインダ及び導電材を含んでもよい。
前記バインダは、負極活物質粒子を互いに良好に付着させ、また負極活物質を電流集電体に望ましく付着させる役割を行う。前記バインダの例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化されたポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンラバー、アクリル化スチレン−ブタジエンラバー、エポキシ樹脂またはナイロンなどが挙げられる。
【0047】
前記導電材は、前記負極に導電性を付与するために使用される。前記導電材は、構成される電池において、化学変化を引き起こさない電子伝導性材料であるならば、いかなるものでも使用可能である。前記導電材の例としては、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブレック、炭素ファイバ、銅・ニッケル・アルミニウム・銀などの金属粉末または金属ファイバなどが挙げられ、またポリフェニレン誘導体などの導電性材料を1種、または1種以上混合して使用される。
このとき、前記負極活物質、バインダ及び導電材の含量は、リチウム電池の形態によって決定される。例えば、前記負極活物質と、前記導電材とバインダとの混合物との重量比は、98:2ないし92:8ほどである。前記導電材及びバインダの混合比は、1:1.0ないし3ほどである。
【0048】
前記正極114は、電流集電体、及び前記電流集電体に形成される正極活物質層を含む。
前記電流集電体として、Alが使用される。また、負極に使用される電流集電体と同様に、前記正極電流集電体は、表面に微細な凹凸を形成し、正極活物質の結合力を強化させることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で使用される。
【0049】
前記正極活物質は、一般的に使用される正極活物質である。例えば、前記正極活物質は、リチウムの可逆的な吸蔵/放出が可能な化合物が使用される。前記正極活物質は、コバルト、マンガン、ニッケル、及びそれらの組み合わせのうちから選択される金属と、リチウムとの複合酸化物のうち1種以上のものが使用され、その具体的な例としては、Li
aA
1−bB1
bD
2(前記式で、0.90≦a≦1.8及び0≦b≦0.5である);Li
aE
1−bB1
bO
2−cD
c(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);LiE
2−bB1
bO
4−cD
c(前記式で、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);Li
aNi
1−b−cCo
bB1
cD
α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である);Li
aNi
1−b−cCo
bB1
cO
2−αF1
α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);Li
aNi
1−b−cCo
bB1
cO
2−αF1
2(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);Li
aNi
1−b−cMn
bB1
cD
α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である);Li
aNi
1−b−cMn
bB1
cO
2−αF1
α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);Li
aNi
1−b−cMn
bB1
cO
2−αF1
2(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);Li
aNi
bE
cG
dO
2(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0.001≦d≦0.1である。);Li
aNi
bCo
cMn
dG
eO
2(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、0.001≦e≦0.1である。);Li
aNiG
bO
2(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);Li
aCoG
bO
2(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);Li
aMnG
bO
2(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);Li
aMn
2G
bO
4(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);LiQO
2;LiQ
S
2;LiV
2O
5;LiZO
2;LiNiVO
4;Li
3−fJ
2(PO
4)
3(0≦f≦2);Li
3−fFe
2(PO
4)
3(0≦f≦2);LiFePO
4の化学式のうちいずれか一つで表示される化合物が使用される。
【0050】
前記正極活物質の例としては、LiMn
2O
4、LiNi
2O
4、LiCoO
2、LiNiO
2、LiMnO
2、Li
2MnO
3、LiFePO
4またはLiNi
xCo
yO
2(0<x≦0.15、0<y≦0.85)が挙げられる。
【0051】
前記化学式において、Aは、Ni、Co、Mn、またはそれらの組み合わせであり、B1は、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素、またはそれらの組み合わせであり、Dは、O、F、S、P、またはそれらの組み合わせであり、Eは、Co、Mn、またはそれらの組み合わせであり、F1は、F、S、P、またはそれらの組み合わせであり、Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、またはそれらの組み合わせであり、Qは、Ti、Mo、Mn、またはそれらの組み合わせであり、Zは、Cr、V、Fe、Sc、Y、またはそれらの組み合わせであり、Jは、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、またはそれらの組み合わせである。
【0052】
前記化合物表面にコーティング層を有するものを使用することもでき、前記化合物と、コーティング層を有する化合物とを混合して使用することもできる。前記コーティング層は、コーティング元素のオキシド、コーティング元素のヒドロキシド、コーティング元素のオキシヒドロキシド、コーティング元素のオキシカーボネート、またはコーティング元素のヒドロキシカーボネートのようなコーティング元素化合物を含んでもよい。それらコーティング層をなす化合物は、非晶質または結晶質である。前記コーティング層に含まれるコーティング元素としては、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zr、またはそれらの混合物を使用することができる。コーティング層の形成工程は、前記化合物にかような元素を使用し、正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えば、スプレーコーティング法、浸漬法など)でコーティングすることができるのであれば、いかなるコーティング法を使用しても差し支えない。
【0053】
前記正極活物質層はまた、バインダ及び導電材を含んでもよい。
前記バインダは、正極活物質粒子を互いに良好に付着させ、また正極活物質を電流集電体に望ましく付着させる役割を行う。前記バインダの例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化されたポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンラバー、アクリル化スチレン−ブタジエンラバー、エポキシ樹脂またはナイロンなどが挙げられる。
【0054】
前記導電材は、電極に導電性を付与するために使用される。構成される電池において、化学変化を引き起こさず、電子伝導性材料であるならば、いかなるものでも使用可能である。前記導電材の例としては、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブレック、炭素ファイバ、銅・ニッケル・アルミニウム・銀などの金属粉末・金属ファイバなどが挙げられ、またポリフェニレン誘導体などの導電性材料を、1種または1種以上混合して使用することも可能である。
このとき、前記正極活物質、バインダ及び導電材の含量は、リチウム電池の形態によって決定される。例えば、前記正極活物質と、前記導電材とバインダとの混合物との重量比は、98:2ないし92:8である。前記導電材及びバインダの混合比は、1:1.0ないし3である。
【0055】
前記負極112と正極114は、活物質、バインダ及び導電材を、溶媒内で混合して活物質組成物を製造し、該組成物を電流集電体に塗布して製造する。前記溶媒は、N−メチルピロリドンなどである。前記溶媒の含量は、負極活物質100重量部に対して、または正極活物質100重量部に対して、1ないし10重量部ほどである。
【0056】
前記正極114と負極112との間に介在されたセパレータ113を含んでもよい。そのようなセパレータ113は、多孔性基材と、多孔性基材の一面上に形成された多孔性コーティング層と、前記多孔性コーティング層の表面上に、複数のドットが、互いに所定の間隔で離隔されて配置されて成る第1粘着層と、を含み、前記第1粘着層を形成するドットは、前記多孔性コーティング層中に浸透する浸透部を備える。
【0057】
前記第1粘着層のドットは、平均直径が10μm以上であってよい。前記第1粘着層のドットは、前記多孔性コーティング層中に浸透する浸透部を備え、前記多孔性コーティング層の脱離を防止し、電池セル組み立て過程中の変形を防止することができる。それにより、前記セパレータ113は、電極との接着力が改善される。前記セパレータ113を含むリチウム電池は、寿命特性が改善される。一の実施態様において、前記セパレータ113は、多孔性基材の、前記多孔性コーティング層とは反対側の一面上に、複数のドットが、互いに所定の間隔で離隔されて形成された第2粘着層をさらに含んでもよい。
【0058】
前記セパレータ113に係わる具体的な内容は、前述の通りである。そのようなセパレータ113が含まれたリチウム電池100は、その種類にかかわらず、容量を維持することができる。前記セパレータ113が電解液に含浸される場合、スウェリング(swelling)が抑制され、電池セルを製造する過程で変形が起きなくなる。
【0059】
さらに他の側面で、正極、負極、及び前記正極及び負極の間に、前述のセパレータを配置して電極組立体を製造する段階と、前記電極組立体を積層し及び巻き取った後、70℃ないし120℃で熱圧着を行い、一体化された電極組立体を製造する段階と、前記電極組立体に電解液を注入する段階と、を含むリチウム電池の製造方法が提供される。前記正極活物質層、正極、負極活物質層、負極及びセパレータについては、前述の通りである。
【0060】
前記電極組立体を積層し及び巻き取った後、70℃ないし120℃で熱圧着が行われ、例えば、前記熱圧着は100℃前後で行われる。前記温度範囲内で熱圧着する場合、電池セルの変形なしに、セパレータと電極との電極接着力が改善される。前記電極組立体に電解液を注入し、前記結果物がポーチに収容されて密封されれば、リチウム電池が完成される。
【0061】
また、前記電極組立体は、複数個積層されて電池パックを形成し、そのような電池パックが、高容量及び高出力が要求される全ての機器に使用される。例えば、ノート型パソコン、スマーフォン、電気車などに使用される。
【0062】
以下では、本発明の具体的な実施例を提示する。ただし、以下で記載する実施例は、本発明を具体的に例示したり説明したりするためのものに過ぎず、それでもって本発明が制限されるものではない。
また、ここに記載されていない内容は、当該技術分野で当業者であるならば、十分に技術的に類推することができるものであるので、その説明を省略する。
【実施例】
【0063】
製造例1:アクリル酸エステル系高分子エマルジョンの製造
コンデンサ、温度計、単量体乳化液導入管、窒素ガス導入管及び撹拌器を装着したフラスコ反応器の内部を窒素で置換し、軟水60部及びドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.5部を添加し、70℃に昇温させた。次に、軟水40部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、2−エチルヘキシルアクリレート30部、アクリロニトリル15部、イソボニルアクリレート50部、メタクリル酸1部、アクリル酸1.5部、ヒドロキシエチルアクリレート1.5部、エチレンジメタクリレート1部で構成された単量体乳化液の10%を反応器に添加し、5分間撹拌した後、過硫酸アンモニウムの5%水溶液10部を反応器に添加して反応を開始させた。1時間後、残りの前記単量体乳化液を3時間にわたって反応器に滴下させた。このとき、過硫酸アンモニウムの5%水溶液6部を同時に3時間にわたって滴下させた。単量体乳化液体の滴下終了後、反応を2時間さらに持続させた後、重合転換率は、98.2%であった。その次に、20℃に冷却し、減圧して残留単量体を除去し、pHを8に調整すると共に、固形分濃度を40重量%に調整し、アクリル酸エステル系高分子水系エマルジョン(平均粒径:約120nm、重量平均分子量:1,000,000)を得た。
【0064】
実施例1:セパレータの製造
厚み12μmのポリエチレン多孔性基材(Asahi社)を準備した。平均粒径が50nmであるα−Al
2O
3粉末、及び前記製造例1によって得たアクリル酸エステル系高分子エマルジョンを97:3の比率で混合した後、蒸溜水を添加し、前記アクリル酸エステル系高分子の固形分濃度が10重量%である分散液を製造した。前記分散液を、前記ポリエチレン多孔性基材の一面に、マイクログラビアコータを利用して、4μm厚の層を形成するように塗布した。前記塗布層を、50℃のオーブンで4時間加熱乾燥させ、前記ポリエチレン多孔性基材の一面において、多孔性コーティング層を形成した。
次に、前記多孔性コーティング層の一面、及び前記多孔性コーティング層が形成されたポリエチレン多孔性基材の反対面に、それぞれマイクログラビア法を利用して、平均直径220μm及び厚み1μmの多数のドットを、150μm間隔に離隔して形成した後、室温で2時間維持し、前記多孔性コーティング層の一面に、前記多数のドットが形成された第1粘着層、及び前記多孔性コーティング層が形成された多孔性基材の反対面に、前記多数のドットが形成された第2粘着層を形成した。
前記第1粘着層及び第2粘着層が形成された多孔性基材を、真空下で50℃で4時間乾燥させ、前記第1粘着層を形成する多数のドットが、前記多孔性コーティング層中に浸透している浸透部を備えた、セパレータを製造した。
前記マイクログラビア法に使用した溶液としては、蒸溜水にスチレン−ブタジエン共重合体(ゼオン社製、重量平均分子量:1,000,000)を、固形分濃度10重量%に分散させた溶液を準備した。このとき、前記第1粘着層及び第2粘着層の面積は、それぞれセパレータ総面積に対して、27%であり、前記第1粘着層及び第2粘着層の総面積は、セパレータ総面積に対して、54%であった。
【0065】
比較例1:セパレータの製造
厚み12μmのポリエチレン多孔性基材(Asahi社)を準備した。平均粒径が50nmであるα−Al
2O
3粉末、及び前記製造例1によって得たアクリル酸エステル系高分子エマルジョンを97:3比率で混合した後、蒸溜水を添加し、前記アクリル酸エステル系高分子の固形分濃度が10重量%である分散液を製造した。前記分散液を、前記ポリエチレン多孔性基材の一面に、マイクログラビアコータを利用して、4μm厚の層を形成するように塗布した。前記塗布層を、50℃のオーブンで、4時間加熱乾燥させ、前記ポリエチレン多孔性基材の一面において、多孔性コーティング層を形成した。
次に、前記多孔性コーティング層の一面、及び前記多孔性コーティング層の反対面の多孔性基材の一面に、それぞれマイクログラビア法を利用して、平均直径220μm及び厚み1μmの多数のドットを、150μm間隔に離隔して形成した後、60℃で1時間乾燥させ、前記多孔性コーティング層の一面に、前記多数のドットが形成された第1粘着層、及び前記多孔性コーティング層の反対面の多孔性基材の一面に、前記多数のドットが形成された第2粘着層を形成した。
前記マイクログラビア法において使用した溶液としては、蒸溜水にスチレン−ブタジエン共重合体(ゼオン社製、重量平均分子量:1,000,000)を、固形分濃度10重量%に分散させた溶液を準備した。このとき、前記第1粘着層及び第2粘着層の面積は、それぞれセパレータ総面積に対して、27%であり、前記第1粘着層及び第2粘着層の総面積は、セパレータ総面積に対して、54%であった。
【0066】
実施例2:リチウム電池の製造
2−1.正極の製造
LiCoO
2粉末97.2重量部、バインダとして、ポリフッ化ビニリデン1.5重量部、及び導電材として、カーボンブラック1.3重量部を、N−メチルピロリドン溶媒内に分散させてスラリーを製造した。前記スラリーを、ドクターブレード(ギャップ:170mm)を使用して、アルミニウム電極基材上に、145μmほどの厚みに塗布し、真空内で100℃の条件で、5.5時間熱処理して乾燥させた後、ロールプレスで圧延し、正極活物質層が形成された正極板を製造した。前記正極板を切り取り、横457mm及び縦70.0mmである帯状の正極を製造した。
【0067】
2−2.負極の製造
グラファイト98重量部、バインダとして、スチレン−ブタジエンラバー1重量部、及び増粘剤として、カルボキシメチルセルロース1重量部を、N−メチルピロリドン溶媒内に分散させ、メノウ乳鉢で混合してスラリーを製造した。前記スラリーを、ドクターブレード(ギャップ:160mm)を使用して、アルミニウム集電体上に、140μm厚ほどに塗布し、145℃の真空オーブンで、6.5時間熱処理して乾燥させた後、ロールプレスで圧延し、負極活物質層が形成された負極板を製造した。前記負極板を切り取り、横448mm及び縦70.0mmである帯状の負極を製造した。
【0068】
2−3.セパレータの準備
前記実施例1によって製造されたセパレータを準備した。
【0069】
2−4.リチウム電池の製造
前記2−1で製造された正極、前記2−2で製造された負極、及び前記正極及び負極の間に、実施例1で製造されたセパレータを介在させて電極組立体を製造した。前記電極組立体を積層し、前記電極組立体を、ヒートプレスを使用して、110℃ほど、250kgfの圧力で50秒間プレスした。
その後、前記電極組立体をケースに内蔵した後、1.13M LiPF
6が、エチレンカーボネート(EC)+ジメチレンカーボネート(DMC)+ジエチレンカーボネート(DEC)(3:5:2体積比)に溶解されている電解液を注入して真空に密封し、リチウム電池を製造した。このとき、前記セパレータは、第1粘着層が負極に対面して配置されるようにした。
【0070】
比較例2:リチウム電池の製造
前記実施例1で製造されたセパレータの代わりに、前記比較例1で製造されたセパレータを使用したことを除いては、実施例2と同一の方法でリチウム電池を製造した。
【0071】
評価例1:走査電子顕微鏡(SEM)またはレーザ走査顕微鏡(LSM) 評価
前記実施例1及び比較例1のセパレータ表面及び断面に対して、レーザ走査顕微鏡(LSM)または走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った。その結果を
図3A(実施例1)、
図3B(実施例1)及び
図4(比較例1)に示した。
図3Aを参照すれば、前記実施例1のセパレータ表面に存在する第1粘着層は、平均直径が約222.7μm(「A」で表示されている)であるドットが、200μmの間隔で規則的に離隔されて形成されていることを確認することができる。
図3Bを参照すれば、前記実施例1のセパレータは、第1粘着層を形成するドットが、多孔性コーティング層中に浸透し(点線中の「C」で表示されている)、ポリエチレン多孔性基材の上部に達しているということを確認することができる。
図4を参照すれば、前記比較例1のセパレータ表面にのみ、第1粘着層を形成するドットが形成されているということを確認することができる。
【0072】
評価例2:セパレータと電極との接着力評価
前記実施例1及び比較例1のセパレータを正極上に積層し、離型ポリエチレンテレフタレート(PET)で覆い包んだ後、120℃で50秒間熱圧着(heat press)を行い、正極とセパレータとを接合させた。前記正極と接合されたセパレータを、それぞれ幅20mm及び長さ70mmに切断した後、イントロン社の引っ張り強度試験機を利用した180°剥離試験(peel test)を行い、前記実施例1及び比較例1のセパレータを正極極板から引き離す力(gf/mm)、すなわち、セパレータと正極との接着力を測定するために、多孔性コーティング層と正極極板との接着力を測定した。その結果を下記表1及び
図5に示した。
【表1】
【0073】
前記表1及び
図5を参照すれば、前記実施例1のセパレータの多孔性コーティング層と正極極板との接着力は、0.348gf/mmであり、前記比較例1のセパレータの多孔性コーティング層と正極極板との接着力は、0.134gf/mmであるということを確認することができる。
それにより、前記実施例1のセパレータの多孔性コーティング層と正極極板との接着力が、前記比較例1のセパレータの多孔性コーティング層と正極極板との接着力に比べ、改善されているということを確認することができる。
【0074】
評価例3:寿命特性評価
実施例1及び比較例1のセパレータを使用して製造された実施例2及び比較例2のリチウム電池に対して、25℃で0.2C レートの電流で、電圧が4.2Vに至るまで定電流充電し、4.2Vを維持しながら、電流が0.01Cになるまで定電圧充電した。次に、放電時に、電圧が3.05Vに至るまで、0.2Cの定電流で放電した(化成段階)。
前記化成段階を経たリチウム電池に対して、25℃で0.5Cレートの電流で、電圧が4.2Vに至るまで定電流充電し、4.2Vを維持しながら、電流が0.01Cになるまで、定電圧充電した。次に、放電時に、電圧が3.0Vに至るまで、0.5Cの定電流で放電するサイクルを40回反復した。前記充放電実験の結果を、下記表2及び
図6に示した。容量維持率は、下記数式1から計算した。
[数1]
容量維持率(%)=[(40回目のサイクルでの放電容量/最初のサイクルでの放電容量)×100]
【表2】
【0075】
前記表2及び
図6を参照すれば、実施例2のリチウム電池は、比較例2のリチウム電池に比べ、容量維持率が向上している。それにより、実施例2のリチウム電池が、比較例2のリチウム電池に比べ、寿命特性が改善さているということを確認することができる。