(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。
【0025】
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化がなされるものである。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。
【0026】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0027】
また、以下に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置と方向とを意味する用語が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、実際に実施される際の方向とは関係しないものである。
【0028】
<実施の形態>
以下、本実施の形態に関する積載装置、および、測定機構について説明する。
【0029】
<積載装置の構成>
図1は、本実施の形態に関する積載装置を実現するための構成を概略的に例示する図である。
図1には、積載装置の具体例として椅子が例示される。なお、構成を理解しやすくする観点から、
図1においては、一部の構成要素が省略、または、簡略化されて示される場合がある。
【0030】
図1に例示されるように、椅子は、複数の測定機構と、支持部14と、座面16と、背もたれ18とを備える。
図1に例示される複数の測定機構とは、具体的には、測定機構12a、測定機構12b、測定機構12c、測定機構12d、および、測定機構12eである。それぞれの測定機構の構成については後述する。また、
図1においては、少なくともいずれかの測定機構と通信を行う演算装置20が例示されている。
【0031】
なお、
図1においては、5つの測定機構が示されているが、測定機構の数は
図1に例示された数には限定されない。
【0032】
支持部14は、上部において座面16を支持する構造体である。
図1に例示される場合では、支持部14は椅子の脚部であり、支持部14の上部に備えられる支持軸が座面16の裏面の穴に挿入される態様で、座面16を回転可能に支持する。
【0033】
支持部14の下部には、複数の測定機構が取り付けられる。
図1に例示される場合では、支持部14の放射状に延びる下部の端部に、同心円状に等間隔で、5つの測定機構、すなわち、測定機構12a、測定機構12b、測定機構12c、測定機構12d、および、測定機構12eが取り付けられている。
【0034】
座面16は、支持部14の上部に支持される構造体である。座面16は、人が座る面である。そして、座面16は、対象物が積載される積載面として機能する。また、支持部14および座面16は、対象物が積載される積載構造を構成する。
【0035】
背もたれ18は、座面16の端部に連結され、かつ、上方に向かって延びる構造体である。背もたれ18は、人が座る際に、人の背中が接触する部分である。
【0036】
演算装置20は、たとえば、中央演算処理装置(central processing unit、すなわち、CPU)を備えるパーソナルコンピュータなどである。演算装置20は、少なくともいずれかの測定機構から出力される信号を受信し、さらに、当該信号を解析する。
図1に例示される演算装置20は、積載装置としての椅子の外部に設けられるが、積載装置の内部、たとえば、支持部14の内部などに設けられるものであってもよい。また、
図1に例示される場合では、演算装置20と測定機構とは無線通信を行っているが、有線通信を行うものであってもよい。
【0037】
<測定機構の構成>
図2は、本実施の形態に関する積載装置における、測定機構の構成を概略的に例示する図である。
図2においては、
図1に例示される測定機構のうちの測定機構12aの構成が例示されるが、他の測定機構の構成も同様である。
【0038】
図2に例示されるように、測定機構12aは、円柱状の取り付け部121と、重量測定部123と、取り付け部121と重量測定部123とを固定する固定ネジ122と、キャスター125と、重量測定部123とキャスター125とを固定する固定ネジ124とを備える。
【0039】
取り付け部121は、支持部14の下部に着脱可能に取り付けられる。
図2に例示される場合では、支持部14の下端にz軸方向に長さを有する穴141が設けられており、穴141に取り付け部121の上端が挿入されることによって、取り付け部121が支持部14の下端に取り付けられる。この際、取り付け部121の周方向に沿って形成された溝121aに、穴141の内壁に形成された突起141aが引っかかる。
【0040】
なお、測定機構12aは、キャスター125内に設けられる軸受けによって、z軸を中心に回転可能に取り付けられる。このような態様で取り付けられた場合には、測定機構12aにおけるキャスター125は、床面における移動方向を自在に変更することができる。
【0041】
なお、測定機構12aの支持部14に対する取り付け態様は上記の場合に限られるものではなく、たとえば、取り付け部121がネジ形状であり、取り付け部121が支持部14の穴141にネジ固定される場合であってもよい。
【0042】
キャスター125は、取り付け部121の下部に取り付けられる。キャスター125は、
図2におけるy軸を中心に回転することによって床面を移動することができる。取り付け部121が支持部14に対して回転可能に取り付けられる場合には、キャスター125の回転軸もxy平面内で変化することとなる。
【0043】
重量測定部123は、
図2のz軸方向において、取り付け部121とキャスター125とに挟まれて配置される。重量測定部123は、キャスター125に加えられる重量を測定する。そうすることによって、重量測定部123は、座面16に座る人の体重の少なくとも一部を測定する。
【0044】
また、重量測定部123は、キャスター125に加えられる正の重量、および、負の重量を測定することができる。具体的には、重量測定部123は、キャスター125をz軸方向の負の向きに押し下げる力と、キャスター125をz軸方向の正の向きに引っ張る力とを測定することができる。
【0045】
重量測定部123は、支持板123aと、支持板123aの下面における凸部123dと、ひずみゲージ123bと、支持板123cと、支持板123cの上面における凸部123eとを備える。
【0046】
支持板123aおよび支持板123cは、ひずみゲージ123bを鉛直方向、すなわち、
図2におけるz軸方向に挟んで配置される。具体的には、支持板123aの凸部123dがひずみゲージ123bの上面に接触し、かつ、支持板123cの凸部123eがひずみゲージ123bの下面に接触する。ここで、凸部123dと凸部123eとは、平面視において重ならない位置に設けられる。
【0047】
支持板123aは、固定ネジ122によって取り付け部121に固定され、支持板123cは、固定ネジ124によってキャスター125に固定される。
【0048】
ひずみゲージ123bは、支持板123aの凸部123dによる押し下げ方向の力、すなわち、
図2のz軸方向の負の向きの力と、支持板123cの凸部123eによる押し上げ方向の力、すなわち、
図2のz軸方向の正の向きの力とを受けて変形する。そして、当該変形に起因して変化した抵抗値を出力する。当該抵抗値の変化量は、鉛直方向において圧縮する力を受けた場合のひずみ量に換算することができる。
【0049】
一方で、ひずみゲージ123bは、鉛直方向において圧縮する力を受けた場合のひずみ量のみならず、鉛直方向において引っ張る力を受けた場合のひずみ量についても測定することができる。具体的な測定方法としては、ひずみゲージ123bを圧縮する方向に力が加わった場合の抵抗値の変化率と、ひずみゲージ123bを引っ張る方向に力が加わった場合の抵抗値の変化率との違いを利用する手法がある。または、ひずみゲージ123bに重量が加えられていない状態を基準として、支持部14の重量、座面16の重量、および、背もたれ18の重量が加わった状態よりも小さな重量が加わった場合を、鉛直方向において引っ張る力を受けた場合とする手法がある。
【0050】
なお、ひずみゲージ123bを圧縮する方向の力は、積載される対象物を含むひずみゲージ123bよりも鉛直方向上側に位置する構造全体の重さに起因する力であり、一方で、ひずみゲージ123bを引っ張る方向の力は、ひずみゲージ123bよりも鉛直方向下側に位置するキャスター125の重さに起因する力である。
【0051】
ひずみゲージ123bから出力された抵抗値は、通信部(ここでは図示しない)を介して演算装置20へ信号出力される。通信部は、たとえば、測定機構12aまたは支持部14などに設けられる。
【0052】
なお、重量測定部123の構造は、上記の場合に限られるものではなく、たとえば、光学式変位センサーが用いられてもよい。
【0053】
図3は、本実施の形態に関する測定機構の他の構成を概略的に例示する図である。
図3においては、
図2に例示される構成に加えて、回転測定部126を備える測定機構13aが例示される。回転測定部126を備える測定機構が備えられる場合は、積載装置における複数の測定機構のうちの一部が回転測定部126を備える測定機構であってもよいし、積載装置における複数の測定機構のすべてが回転測定部126を備える測定機構であってもよい。
【0054】
回転測定部126は、たとえば、ポテンショメーターである。回転測定部126は、キャスター125の回転軸に対応して配置され、キャスター125の回転量を測定する。
【0055】
回転測定部126において測定された回転量は、通信部(ここでは図示しない)を介して演算装置20へ信号出力される。通信部は、たとえば、測定機構13aまたは支持部14などに設けられる。
【0056】
なお、
図1に例示される場合では、積載装置において5つの測定機構に対応して5つの重量測定部123が備えられているが、積載装置に備えられる重量測定部123は少なくとも1つあればよい。
【0057】
すなわち、重量測定部123を備えずに、取り付け部121と、取り付け部121を介して支持部14の下部に取り付けられるキャスター125とを備える移動機構が、測定機構の代わりに設けられていてもよい。また、
図3に例示される回転測定部126を備える測定機構13aにおいて、重量測定部123を有さない移動機構が存在していてもよい。
【0058】
<機能的構成>
図4は、本実施の形態に関する測定機構および演算装置の、機能ブロック図である。
図4においては、測定機構12aと、演算装置20とが例示される。
【0059】
測定機構12aは、重量測定部123と通信部200とを備える。演算装置20は、通信部202と演算部204と記憶部206とを備える。
【0060】
測定機構12aにおいては、重量測定部123において測定されたひずみゲージ123bの抵抗値が、通信部200を介して演算装置20へ信号出力される。なお、重量測定部123および回転測定部126を備える測定機構13aであれば、上記の抵抗値に加えて、回転測定部126において測定されたキャスター125の回転量も、通信部200を介して演算装置20へ信号出力される。
【0061】
一方で、演算装置20においては、測定機構12aから信号出力された上記の抵抗値を通信部202において受信する。そして、演算部204は、記憶部206にあらかじめ記憶された対応テーブルに基づいて、抵抗値をひずみ量に換算し、さらには、キャスター125に加えられた重量に換算する。
【0062】
なお、演算部204は、回転測定部126において測定されたキャスター125の回転量を受信した場合には、記憶部206にあらかじめ記憶された対応テーブルに基づいて、当該回転量をキャスター125の移動距離などに換算する。
【0063】
記憶部206は、少なくとも、ひずみゲージ123bから出力される抵抗値とひずみゲージ123bのひずみ量との関係を記述する対応テーブル、および、ひずみゲージ123bのひずみ量と対象物の重量との関係を記述する対応テーブルを記憶する。記憶部206は、たとえば、ハードディスク(Hard disk drive、すなわち、HDD)、ランダムアクセスメモリ(random access memory、すなわち、RAM)、リードオンリーメモリ(read only memory、すなわち、ROM)、フラッシュメモリ、erasable programmable read only memory(EPROM)およびelectrically erasable programmable read−only memory(EEPROM)などの、揮発性または不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクまたはDVDなどを含むメモリ(記憶媒体)などである。
【0064】
<積載装置の動作>
次に、本実施の形態に関する積載装置の動作を、
図5を参照しつつ説明する。ここで、
図5は、本実施の形態に関する積載装置における、特に、演算装置20の動作を説明するためのフローチャートである。以下では、積載装置が5つの測定機構、すなわち、測定機構12a、測定機構12b、測定機構12c、測定機構12d、および、測定機構12eを備える場合について説明する。
【0065】
まず、座面16に人が座ると、支持部14の下部に取り付けられたそれぞれの測定機構における複数の重量測定部123の、ひずみゲージ123bが出力する抵抗値が変化する。そして、それぞれの重量測定部123から出力された当該抵抗値は、通信部200を介して、演算装置20の通信部202にそれぞれ受信される(ステップST10を参照)。
【0066】
また、回転測定部126によって測定されたキャスター125の回転量が出力された場合には、当該回転量は、通信部200を介して、演算装置20の通信部202にそれぞれ受信される。
【0067】
そして、演算装置20における演算部204は、通信部202において受信したひずみゲージ123bの抵抗値、さらには、キャスター125の回転量が、基準値に対してあらかじめ定められたしきい値よりも大きく変化しているか否かを判断する(ステップST11を参照)。ここで、抵抗値の基準値は、座面16に人が座っていない状態での、ひずみゲージ123bが出力する抵抗値である。
【0068】
そして、抵抗値の変化量がしきい値よりも大きい場合、または、回転量が0でない場合、演算部204は、これらの値に基づいて積載状態に関する演算を行う(ステップST12を参照)。ここで、対象物の積載状態とは、対象物が積載されているか否か、積載されている対象物の重量、積載されている対象物の重心位置、または、積載されている対象物の姿勢などを含む概念である。具体的には、演算部204は、座面16に座っている人の体重の測定、座面16に座っている人の重心位置の測定、および、座面16に座っている人の姿勢の推定、のうちの少なくとも1つのための演算を行う。
【0069】
<重量の測定>
演算部204は、それぞれの重量測定部123から出力された抵抗値に基づいて、それぞれの重量測定部123において測定された重量を算出する。具体的には、演算部204は、座面16に人が座っていない状態を基準として、出力された抵抗値の変化量に基づいて、それぞれのひずみゲージ123bのひずみ量を算出する。さらに、演算部204は、当該ひずみ量に対応する重量を算出する。抵抗値の変化量とひずみゲージ123bのひずみ量との対応関係、および、ひずみゲージ123bのひずみ量と対象物の重量との対応関係については、たとえば、記憶部206にあらかじめ記憶された対応テーブルを参照する。
【0070】
そして、演算部204は、それぞれのひずみゲージ123bによって測定された重量の総和を、座面16に座っている人の体重とする。
【0071】
座面16に人が座っていない状態でひずみゲージ123bから出力される抵抗値を基準値とすれば、抵抗値の基準値からの変化によって、座面16に人が座っているか否かを判断することができる。
【0072】
積載される対象物の重量が種類ごとにあらかじめ分かっている場合には、演算部204は、上記のように算出された対象物の重量に基づいて、積載されている対象物の識別を行うことができる。また、積載装置の最大重量があらかじめ分かっている場合には、積載されている対象物の重量が最大重量を超えるか否かによって、警告を発することができる。
【0073】
また、演算部204は、それぞれのひずみゲージ123bによって測定された重量の時間推移を求めることによって、積載されている対象物の識別精度を高めることができる。たとえば、積載される対象物が人である場合、座面16に座る動作の癖が重量の時間推移に表れる場合があるため、同程度の体重である人同士の識別を容易にすることができる。
【0074】
<重心位置の測定>
演算部204は、それぞれのひずみゲージ123bによって測定された重量、および、それぞれのひずみゲージ123bが配置された位置に基づいて、座面16に座っている人の重心位置を算出する。具体的には、以下の式(1)および
図6にしたがって、座面16に座っている人の重心位置を算出する。
【0076】
ここで、
図6は、支持部14の下部に取り付けられた状態の測定機構の、平面視における配置を例示する平面図である。また、式(1)において、x
Gは座面16に座っている人の重心位置を示す。また、m
1、m
2、m
3、m
4、および、m
5は、それぞれ、測定機構12aにおいて測定された重量、測定機構12bにおいて測定された重量、測定機構12cにおいて測定された重量、測定機構12dにおいて測定された重量、および、測定機構12eにおいて測定された重量を示す。また、x
1、x
2、x
3、x
4、および、x
5は、それぞれ、測定機構12aの平面視における位置、測定機構12bの平面視における位置、測定機構12cの平面視における位置、測定機構12dの平面視における位置、および、測定機構12eの平面視における位置を示す。なお、重心位置の算出は、少なくとも3つの重量測定部123が備えられていれば可能である。
【0077】
ここで、ひずみゲージ123bが鉛直方向において圧縮する力を受けた場合のひずみ量のみならず、鉛直方向において引っ張る力を受けた場合のひずみ量についても測定することができる場合には、上記の重心位置を算出するに際して、鉛直方向において引っ張る力を受けた場合にそれぞれのひずみゲージ123bにおいて測定された重量を、負の重量として換算することができる。
【0078】
その場合には、m
1、m
2、m
3、m
4、および、m
5が正の重量である場合の重心位置の範囲、すなわち、
図6における領域Yのみならず、m
1、m
2、m
3、m
4、および、m
5のうちいずれかの重量が負の重量である場合の範囲、すなわち、
図6における領域Yの外側の範囲にまで、重心位置の測定範囲を拡張することができる。そうすると、座っている人の重心位置が平面視において座面16から大きく外れている状態、すなわち、
図6における領域Yから外れているなどの好ましくない状態を、Y領域からどの程度重心位置が外れているかを含めて具体的に測定することができる。
【0079】
また、演算部204は、上記のように測定された重心位置の時間推移を求めることによって、後述するような対象物の姿勢の推定を行うことができる。たとえば、積載される対象が人である場合、重心位置の時間推移のパターンから、座面16に座っている人の疲労度または眠気なども推定することができる。
【0080】
<姿勢の推定>
演算部204は、上記のように算出された座面16に座っている人の体重、および、重心位置に基づいて、座面16に座っている人の姿勢を推定する。具体的には、既知の複数種の姿勢をとった場合の着座者のそれぞれの重量、および、重心位置を特徴量として抽出し、たとえば、support vector machine(SVM)などによって学習させる。そして、実際に座面16に座っている人の体重、および、重心位置を用いて上記学習結果に基づく分類を行うことによって、着座者の姿勢を推定することができる。
【0081】
また、積載される対象物が人である場合、上記複数種の姿勢には、たとえば、「直立して座る」、「前屈みになる」、「左に傾く」、「右に傾く」、「右足を組む」、「左足を組む」、「左に傾きながら右足を組む」、「右に傾きながら左足を組む」、「背もたれにもたれる」、または、「猫背で座る」などが含まれる。
【0082】
上記のうち、たとえば、重心位置が座面16の前方に位置する場合を「前屈みになる」、または、「猫背で座る」などに分類することができる。また、たとえば、重心位置が座面16の左右いずれかに偏って位置する場合を「左に傾く」、または、「右に傾く」などに分類することができる。
【0083】
上記の手法によって対象物の姿勢を推定することで、たとえば、椅子に座る人の姿勢を推定する場合に、対象者に測定を意識させずに、比較的高い精度で対象者の姿勢を推定することができる。
【0084】
<その他の動作>
回転測定部126によって測定されたキャスター125の回転量を用いることによって、演算部204は、キャスター125の移動量を算出することができる。また、演算部204は、キャスター125の単位時間当たりの回転量に基づいて、キャスター125の移動速度および加速度を算出することができる。さらには、演算部204は、複数のキャスター125の回転量に基づいて、積載装置の曲がり角度を算出することができる。
【0085】
その場合、演算部204は、上記のように算出された対象物の重量、対象物の重心位置、および、対象物の姿勢が、キャスター125の移動量、移動速度、加速度、および、曲がり角度に基づいて算出される慣性力(たとえば、遠心力)などを考慮して適切であるか否かを判断することができる。
【0086】
また、対象物の重量の測定、対象物の重心位置の測定、および、対象物の姿勢の推定をリアルタイムで行うことによって、それらが適切でない場合の警告をリアルタイムで発することができる。
【0087】
また、支持部14が座面16を回転可能に支持する場合、外部センサー、たとえば、ポテンショメーターなどを用いることによって、支持部14と座面16との間の相対的な回転量を測定することもできる。その場合、座面16が回転する場合であっても、着座者の姿勢を精度よく推定することができる。
【0088】
また、キャスター125の回転を、重量測定部123をはじめとするそれぞれのセンサーの給電に流用することも可能である。
【0089】
<以上に記載された実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された実施の形態によって生じる効果を例示する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態に例示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。
【0090】
以上に記載された実施の形態によれば、積載装置は、対象物を積載する積載構造と、複数の移動機構と、重量測定部123とを備える。移動機構は、積載構造の下部に着脱可能に取り付けられる。また、移動機構は、転動体を有する。重量測定部123は、複数の移動機構のうちの少なくとも1つに設けられる。また、重量測定部123は、移動機構における転動体に加えられる重量を測定する。ここで、積載構造は、たとえば、支持部14と座面16とからなる。また、移動機構は、たとえば、重量測定部123を備えずに、取り付け部121と、取り付け部121を介して支持部14の下部に取り付けられるキャスター125とを備える構造体である。また、転動体は、たとえば、キャスター125に対応するものであるが、キャスターのみならず、たとえば、球状の部材、または、柱状の部材などである場合も含む。
【0091】
このような構成によれば、重量測定部123を備える移動機構、すなわち、測定機構は、比較的形状のバリエーションが少ない支持部14の下部に着脱可能に取り付けられる。そのため、椅子の座部の構造および形状が様々なバリエーションを有する場合であっても同様に、重量測定部123を取り付けることができる。すなわち、支持部14の下部に着脱可能に取り付けられる測定機構を用いることによって、汎用性が高い構成を用いて、対象物の重量を測定することができる。また、測定機構が支持部14の下部に着脱可能に取り付けられる構造であるため、重量測定部123が故障した場合であっても、修理作業または付け替え作業が容易である。
【0092】
なお、これらの構成以外の本願明細書に例示される他の構成については適宜省略することができる。すなわち、少なくともこれらの構成を備えていれば、以上に記載された効果を生じさせることができる。
【0093】
しかしながら、本願明細書に例示される他の構成のうちの少なくとも1つを以上に記載された構成に適宜追加した場合、すなわち、以上に記載された構成としては記載されなかった本願明細書に例示される他の構成を以上に記載された構成に追加した場合でも、同様に以上に記載された効果を生じさせることができる。
【0094】
また、以上に記載された実施の形態によれば、積載装置は、重量測定部123によって測定されたキャスター125に加えられる重量に基づいて、対象物の積載構造における積載状態を判断する状態判断部を備える。ここで、状態判断部は、たとえば、演算装置20に対応するものである。このような構成によれば、重量測定部123によって測定された重量に基づいて、積載されている対象物の総重量、重心位置、さらには、姿勢を判断することができる。
【0095】
また、以上に記載された実施の形態によれば、重量測定部123を複数備える。そして、演算装置20は、それぞれの重量測定部123によって測定された対応するキャスター125に加えられる重量に基づいて、対象物の積載構造における積載状態を判断する。このような構成によれば、複数の重量測定部123によって測定された重量に基づいて、積載されている対象物の重心位置、さらには、姿勢を判断することができる。
【0096】
また、以上に記載された実施の形態によれば、複数の移動機構のうちの少なくとも1つに設けられ、かつ、当該移動機構におけるキャスター125の回転量を測定する回転測定部126を備える。そして、演算装置20は、重量測定部123によって測定されたキャスター125に加えられる重量および回転測定部126によって測定されたキャスター125の回転量に基づいて、対象物の積載構造における積載状態を判断する。このような構成によれば、演算部204は、キャスター125の移動速度および加速度を算出することができる。さらには、複数のキャスター125の回転量に基づいて、積載装置の曲がり角度を算出することができる。そのため、対象物の重量、対象物の重心位置、および、対象物の姿勢が、キャスター125の移動量、移動速度、加速度、および、曲がり角度に基づいて算出される慣性力などを考慮して適切であるか否かを判断することができる。
【0097】
また、以上に記載された実施の形態によれば、積載構造は、椅子の座面16と、座面16を支持する支持部14とを備える。このような構成によれば、椅子の脚部の下部に取り付けられた測定機構を用いて、椅子に座る人の体重、重心位置、および、姿勢を判断することができる。
【0098】
以上に記載された実施の形態によれば、測定機構は、取り付け部121と、キャスター125と、重量測定部123とを備える。取り付け部121は、積載構造の下部に着脱可能に取り付けられる。キャスター125は、取り付け部121の下部に取り付けられる。重量測定部123は、取り付け部121とキャスター125とに挟まれて配置される。また、重量測定部123は、キャスター125に加えられる重量を測定する。
【0099】
このような構成によれば、重量測定部123は、比較的形状のバリエーションが少ない支持部14の下部に取り付け部121を介して着脱可能に取り付けられる。そのため、椅子の座部の構造および形状が様々なバリエーションを有する場合であっても同様に取り付けることができる。すなわち、上記の測定機構を用いることによって、汎用性が高い構成を用いて、対象物の重量を測定することができる。
【0100】
なお、これらの構成以外の本願明細書に例示される他の構成については適宜省略することができる。すなわち、少なくともこれらの構成を備えていれば、以上に記載された効果を生じさせることができる。
【0101】
しかしながら、本願明細書に例示される他の構成のうちの少なくとも1つを以上に記載された構成に適宜追加した場合、すなわち、以上に記載された構成としては記載されなかった本願明細書に例示される他の構成を以上に記載された構成に追加した場合でも、同様に以上に記載された効果を生じさせることができる。
【0102】
<以上に記載された実施の形態における変形例について>
以上に記載された実施の形態では、支持部14は、座面16を支持する脚部として示されたが、支持部の態様はそのような場合に限られるものではない。すなわち、キャスターを備える台車など、積載面として機能する天板の上面に対し、天板の下面に直接キャスターが取り付けられる積載装置においても、少なくとも、天板の下面における当該キャスターの取り付け箇所が支持部である。また、車椅子など、積載面として機能する座面の上面に対し、座面の下方における下面または側面に車輪が取り付けられる積載装置においても、少なくとも、座面の下方における当該車輪の取り付け箇所が支持部である。ここで、車椅子に測定機構を搭載する場合には、車輪が大きく、かつ、着座者が手で操作する部分である後輪よりも、車輪が小さい前輪の方が、測定機構を搭載する箇所としては好適である。
【0103】
なお、積載装置が車椅子である場合には、座っている人の状態を把握するだけでなく、たとえば、車椅子が平坦ではない路面を進む際に車椅子自体が傾いて倒れる可能性などを把握することも可能である。また、車椅子が倒れる可能性が高まった場合に、あらかじめ定められた警告などを発するように制御することも可能である。
【0104】
図7は、本実施の形態に関する積載装置を実現するための構成を概略的に例示する図である。
図7には、積載装置の具体例として台車が例示される。なお、構成を理解しやすくする観点から、
図7においては、一部の構成要素が省略、または、簡略化されて示される場合がある。
【0105】
図7に例示されるように、台車は、複数の測定機構と、支持部13と、天板15と、ハンドル部17とを備える。
図7に例示される複数の測定機構とは、具体的には、測定機構12f、測定機構12g、測定機構12h、および、測定機構12iである。それぞれの測定機構の構成は、測定機構12aと同様である。
【0106】
支持部13は、上部において天板15を支持する構造体である。
図7に例示される場合では、支持部13は、台車の天板15の下面における測定機構の取り付け箇所である。
【0107】
支持部13の下部には、複数の測定機構が取り付けられる。
図7に例示される場合では、支持部13の下部のそれぞれの角部には、4つの測定機構、すなわち、測定機構12f、測定機構12g、測定機構12h、および、測定機構12iが取り付けられている。
【0108】
天板15は、支持部13の上部に支持される構造体である。天板15は、積載物300が積載される面である。また、支持部13および天板15は、積載物300が積載される積載構造を構成する。
【0109】
ハンドル部17は、天板15の端部に連結され、かつ、上方に向かって延びる構造体である。ハンドル部17は、台車を移動する際に力が加えられる部分である。
【0110】
また、以上に記載された実施の形態では、測定機構12aはキャスター125を備えているが、キャスター125が備えられていない場合、すなわち、支持部14の下部に取り付け部121および重量測定部123が備えられる場合も想定することができる。このような構成である場合でも同様に、演算装置20における演算部204は、重量測定部123によって出力される抵抗値に基づいて、積載されている対象物の重量の測定、積載されている対象物の重心位置の測定、および、積載されている対象物の姿勢の推定、のうちの少なくとも1つのための演算を行う。
【0111】
また、以上に記載された実施の形態では、それぞれの構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面において例示であって、本願明細書に記載されたものに限られることはないものとする。
【0112】
したがって、例示されていない無数の変形例、および、均等物が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合が含まれるものとする。
【0113】
また、矛盾が生じない限り、以上に記載された実施の形態において「1つ」備えられるものとして記載された構成要素は、「1つ以上」備えられていてもよいものとする。
【0114】
さらに、以上に記載された実施の形態におけるそれぞれの構成要素は概念的な単位であって、本願明細書に開示される技術の範囲内には、1つの構成要素が複数の構造物から成る場合と、1つの構成要素がある構造物の一部に対応する場合と、さらには、複数の構成要素が1つの構造物に備えられる場合とを含むものとする。
【0115】
また、以上に記載された実施の形態におけるそれぞれの構成要素には、同一の機能を発揮する限り、他の構造または形状を有する構造物が含まれるものとする。
【0116】
また、本願明細書における説明は、本技術に関するすべての目的のために参照され、いずれも、従来技術であると認めるものではない。