(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発泡剤Bが、アゾジカルボンアミド又は4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を含み、前記活性化剤Aが、N,N−ジメチル尿素を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱膨張性組成物。
前記発泡剤Bが、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を含み、前記活性化剤Aが、尿素を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱膨張性組成物。
陸上乗物、水用乗物、若しくは飛行乗物の空洞若しくは中空構造及び/又は建物の空洞を閉塞、遮断又は補強して、雑音、振動、湿気及び/若しくは熱の伝搬を低減し、並びに/又は前記空洞を囲む物体を機械的に強化する、請求項10又は11に記載の遮断用及び/又は補強用構成要素の使用。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、幅広い温度範囲に亘り、例えば120℃〜200℃、特に120℃〜150℃の間のいわゆる超低温において制御された形で均一に膨張し、この範囲内のあらゆる温度で良好な接着性を示す安定な発泡体を生成する熱膨張性組成物が得られることが望ましい。
【0008】
本発明の目的は、幅広い温度範囲に亘って、例えば、120℃〜200℃の間で、特に超低温すなわち120℃〜150℃の間で均一に膨張することが可能であり、非常に優れた接着性を示す安定で高度に膨張した発泡体を生成する熱膨張性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、本発明は、過酸化物架橋性ポリマーと、過酸化物と、好ましくは酸化防止剤と、化学的発泡剤と、活性化剤と、を含む組成物であって、活性化剤は少なくとも1種の尿素又は尿素誘導体を含む、組成物を提供することにより、この問題の解決策を提供するものである。
【0010】
したがって本発明は、独立請求項1に記載する特徴により、
(a)過酸化物架橋性を有する少なくとも1種のポリマーPと、
(b)少なくとも1種の過酸化物と、
(c)好ましくは少なくとも1種の酸化防止剤と、
(d)少なくとも1種の化学的発泡剤Bと、
(e)少なくとも1種の活性化剤Aと、
を含む、熱膨張性組成物であって、
上記活性化剤Aは、式(I):
【化1】
(式中、R
1基及びR
4基は、独立に、水素原子を表すか又は1〜10個の炭素原子を有し、さらに任意選択的に酸素原子を含む1価のアルキル基を表し;
R
2及びR
3は、独立に、水素原子を表すか又は1〜10個の炭素原子を有し、さらに任意選択的に酸素原子、窒素原子及び/若しくは芳香族部分を含む1価のアルキル基を表すか、あるいは一緒になって、1〜10個の炭素原子を有し、さらに任意選択的に酸素原子、窒素原子又は芳香族部分を含む2価のアルキル基を形成する)から選択される少なくとも1種の化合物を含む熱膨張性組成物を提供することにより、この目的を達成するものである。
【0011】
本発明による組成物は、例えば自動車用途において、閉塞用、遮断用又は補強用構成要素に使用するのに特に好適である。本発明のさらなる態様は他の独立的態様の主題である。本発明の好ましい実施形態は従属的態様の主題である。
本発明の態様として、以下の態様を挙げることができる:
《態様1》
以下を含む、熱膨張性組成物:
(f)少なくとも1種の過酸化物架橋性を有するポリマーP、
(g)少なくとも1種の過酸化物、
(h)好ましくは少なくとも1種の酸化防止剤、
(i)少なくとも1種の化学的発泡剤B、及び
(j)以下の式(I)から選択される少なくとも1種の化合物を含む、少なくとも1種の活性化剤A:
【化1-1】
(式中、R
1基及びR
4基は、独立して、水素原子を表すか、又は1〜10個の炭素原子を有し、さらに酸素原子を含んでいてもよい1価のアルキル基を表し;
R
2及びR
3は、独立して、水素原子を表すか、又は1〜10個の炭素原子を有し、さらに酸素原子、窒素原子及び/若しくは芳香族部分を含んでいてもよい1価のアルキル基を表すか、あるいは一緒になって、1〜10個の炭素原子を有し、
さらに酸素原子、窒素原子又は芳香族部分を含んでいてもよい2価のアルキル基を形成する)。
《態様2》
R
1、R
2、R
3及びR
4が、独立して、水素原子又はメチル基を表す、態様1に記載の熱膨張性組成物。
《態様3》
前記発泡剤Bが、アゾジカルボンアミド又は4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を含む、態様1又は2に記載の熱膨張性組成物。
《態様4》
前記発泡剤Bが、アゾジカルボンアミド又は4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を含み、前記活性化剤Aが、N,N−ジメチル尿素を含む、態様1〜3のいずれか一項に記載の熱膨張性組成物。
《態様5》
前記発泡剤Bが、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を含み、前記活性化剤Aが、尿素を含む、態様1〜3のいずれか一項に記載の熱膨張性組成物。
《態様6》
前記酸化防止剤が、テトラキス−(メチレン−(3,5−ジ−(tert)−ブチル−4−ヒドロキシ
−ヒドロシンナメート))メタン及び/又は2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを含む、態様1〜5のいずれか一項に記載の熱膨張性組成物。
《態様7》
前記ポリマーPが、エチレン酢酸ビニル及び/又はエチレンアクリル酸ブチルを含む、態様1〜6のいずれか一項に記載の熱膨張性組成物。
《態様8》
前記ポリマーPが、少なくとも2種のポリマーP1及びP2を含むか、又は少なくとも2種のポリマーP1及びP2から本質的になり、P1のメルトフローインデックス(MFI)が、100〜200g/10minの間にあり、P2のメルトフローインデックスが、0.1〜60g/10minの間にあり、MFIは、ASTM D1238により測定される、態様1〜7のいずれか一項に記載の熱膨張性組成物。
《態様9》
グリシジルメタクリレート基を有する接着促進剤をさらに含む、態様1〜8のいずれか一項に記載の熱膨張性組成物。
《態様10》
中空構造体の遮断用及び/又は補強用構成要素であって、前記構成要素は、態様1〜9のいずれか一項に記載の熱膨張性組成物を含むか又は態様1〜9のいずれか一項に記載の熱膨張性組成物から本質的になる、構成要素。
《態様11》
前記構成要素が、前記熱膨張性組成物をその上に堆積又は付着させる支持体を含み、前記支持体は、熱可塑性材料から、好ましくは、エポキシ樹脂、エチレン−酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリオレフィン又はこれらの誘導体若しくは混合物から選択される少なくとも1種の熱可塑性ポリマーから作製されている、態様10に記載の遮断用及び/又は補強用構成要素。
《態様12》
態様11に記載の遮断用及び/又は補強用構成要素の製造方法であって、前記熱膨張性組成物は、前記支持体上に射出成形されるか又は前記支持体と一緒に共押出される、方法。
《態様13》
態様1〜9のいずれか一項に記載の熱膨張性組成物の発泡方法であって、前記熱膨張性組成物が、120〜150℃の間の温度に10〜20分間曝露される、方法。
《態様14》
陸上乗物、水用乗物、若しくは飛行乗物の、好ましくは自動車の、空洞若しくは中空構造及び/又は建物の空洞を閉塞、遮断又は補強して、雑音、振動、湿気及び/若しくは熱の伝搬を低減し、並びに/又は前記空洞を囲む物体を機械的に強化する、態様10又は11のいずれか一項に記載の遮断用及び/又は補強用構成要素の使用。
《態様15》
空洞又は中空構造を閉塞、遮断及び/又は補強するための方法であって、態様1〜9のいずれか一項に記載の熱膨張性組成物を含む構成要素を、前記空洞又は中空構造に導入し、次いで熱的に膨張させて、前記空洞又は中空構造の少なくとも一部を、膨張した前記組成物によって充填することを含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
単位を表す語である「重量%」は、特段の指定がない限り、各組成物の総重量を基準とする重量百分率を意味する。「重量」及び「質量」という語は、本文書全体を通して互換的に使用される。
【0013】
本文書における分子に関連する「官能価数」という語は、1分子当たりの化学官能基の数を表す。「多官能性」という語は、1個を超える所与の種類の官能基を有する分子を表す。例えば、官能価数が3の多官能性アクリレートとは、3個のアクリレート基を有する分子を表す。「平均官能価数」は、工業用化学物質に関し時々使用される語であるが、個々の官能価数がわずかに異なる分子の混合物が存在し、平均値が所与の官能価数となる場合に使用される。
【0014】
本文書において過酸化物架橋性を有するポリマーに関連して用いられる「ラジカル」という語は、化学の当業者に知られているように、不対価電子を有する化学種を表す。本発明の高分子系の硬化(curing)すなわち硬質化(hardening)に関与する架橋反応はラジカル機構に従う。
【0015】
メルトフローインデックス(MFI)は、ASTM D1238標準法により、キャピラリーレオメータを使用し、190℃で2.16kgの錘を用いて求められる。MFI値は、規定の錘による圧力下及び規定の温度下で所与の時間内にキャピラリーから押し出されたポリマーの量を表す。
【0016】
熱膨張性材料の体積変化は、脱イオン水中で密度測定(アルキメデスの原理)を行うDIN EN ISO 1183法を用いて、精密天秤により測定した試料の質量と一緒に求められる。
【0017】
本文書において述べる工業標準は全て出願時におけるそれぞれの最新版を参照している。
【0018】
本発明は、第1の必須成分として、過酸化物架橋性を有する少なくとも1種のポリマーPを含む。原則として、過酸化物架橋性を有するあらゆる熱可塑性ポリマー又は熱可塑性エラストマーが適している。ポリマーが、ラジカル開始剤(例えば、過酸化物)の影響下にその主鎖又は側鎖から水素原子を放出する官能基(例えば、C−C二重結合)を含み、ラジカルが、次の段階で他の高分子鎖をラジカル的に攻撃することが可能な状態のままラジカル連鎖反応による架橋過程を進行させ、最終的に高分子の網目を生成する場合に、当業者はこのようなポリマーを「過酸化物架橋性を有する」と表現する。
【0019】
好適なポリマーPとしては、例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−イソプレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン−メタクリル酸エステルコポリマー、エチレン−アクリル酸エチルコポリマー、エチレン−アクリル酸ブチルコポリマー(EBA)、エチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、エチレン−アクリル酸2−エチルヘキシルコポリマー、エチレン−アクリル酸エステルコポリマー、ポリオレフィン性ブロックコポリマー及びポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンが挙げられる。コポリマーとは、1を超える種類のモノマーから製造されたポリマーを意味し、ブロック型コポリマーとすることもランダム型コポリマーとすることもできる。
【0020】
ポリマーPはさらに官能基化することもでき、これは、ヒドロキシル基、カルボキシ基、無水物基、アクリレート基及び/又はグリシジルメタクリレート基等のさらなる官能基を含むことができることを意味する。しかしながら、このようなさらなる官能基化が行われていないポリマーPを、官能基化された反応性接着促進剤と組み合わせて使用することが好ましい。この手法により、硬化機構及び接着特性をより適切に制御することが可能になる。以下にこの種の官能基化が行われた好適な接着促進剤に関しさらに検討する。
【0021】
本発明には、平均メルトフローインデックス(MFI)が1〜200g/10minの間、好ましくは10〜100g/10minの間、より好ましくは25〜75g/10minの間、最も好ましくは35〜55g/10minの間にある1種又は2種以上のポリマーPが好ましい。
【0022】
ポリマーPは、好ましくは、エチレン−酢酸ビニル(EVA)を含むか又はエチレン−酢酸ビニル(EVA)から基本的になる。その場合、EVAの酢酸ビニルモノマー含有量は、EVAポリマーの総重量を基準として、8〜45重量%の間、好ましくは15〜30重量%の間となるべきである。
【0023】
好ましい実施形態において、ポリマーPは、酢酸ビニルモノマーを32重量%含むEVAを含み、MFIは43g/10minである。
【0024】
他の好ましい実施形態において、ポリマーPは、アクリル酸ブチルモノマーを35重量%含むエチレン−アクリル酸ブチル(EBA)コポリマーを含み、MFIは40g/10minである。
【0025】
1を超える種類のポリマーが使用される場合は、個々のMFI(これらが組み合わさることで、使用されるポリマー混合物の平均MFIとなる)を、ASTM D1238に準拠して測定する必要がある。
【0026】
本発明による熱膨張性組成物は、好ましくは、上記少なくとも1種のポリマーPを、組成物の総重量を基準として20〜80重量%の間、好ましくは25〜75重量%の間、より好ましくは30〜70重量%の間の量で含む。
【0027】
好ましい実施形態においては、ポリマーPとして1種を超えるポリマーが使用される。メルトフローインデックス(MFI)が異なり、一方が他方よりもはるかに高い少なくとも2種のポリマー(本明細書においてはP1及びP2と称する)を使用することが本発明の組成物に特性に有利となることを見出した。例えば、特に好ましい実施形態は、MFIが100〜200g/10minの間にある第1ポリマーP1と、MFIが0.1〜60g/10minの間、好ましくは0.1〜10g/10minの間にある第2ポリマーP2とを使用し、好ましくは組成物中の2種のポリマーP1:P2の重量比は0.7〜2.0、好ましくは1〜1.7である。
【0028】
2種のEVAコポリマーを使用する好ましい実施形態は、ポリマーP1として、酢酸ビニルモノマーを18重量%含み、メルトフローインデックス(MFI)が150g/10minであるEVAと、ポリマーP2として、酢酸ビニルモノマーを28重量%を含み、MFIが6g/10minであるEVAとを含む。2種のポリマーの最も好ましい重量比P1:P2は1.3〜1.7の間にある。
【0029】
MFIが100〜200g/10minの間にあるP1と、MFIが0.1〜60g/10minの間にある第2ポリマーP2とを含む2種のポリマーを使用する場合、好ましいP1の量は1〜35重量%の間、好ましくは10〜35重量%の間にあり、P2は10〜50重量%の間、好ましくは15〜30重量%の間にある。
【0030】
他の好ましい実施形態においては、P1として、アクリル酸ブチルモノマーを34重量%含み、MFIが40g/10minであるEBAと、P2として、アクリル酸ブチルモノマーを30重量%含み、MFIが2g/10minであるEBAとを含む2種のエチレン−アクリル酸ブチル(EBA)コポリマーを使用する。
【0031】
本発明による熱膨張性組成物の第2の必須成分は、少なくとも1種の過酸化物であり、その量は、組成物の総重量を基準として0.2〜2.5重量%の間、好ましくは0.3〜2重量%の間、より好ましくは0.4〜1.5重量%の間にある。
【0032】
本発明の組成物が、室温(23℃)では基本的に不活性であり、意図された目的に適した温度で活性化する過酸化物を使用すると有利である。例えば、この組成物を自動車製造において遮断用及び/又は補強用構成要素に使用する場合、活性化温度は110〜250℃の間にあることが好ましい。さらに、発泡剤の分解温度に近い(compatible)活性化温度を有する過酸化物を選択すると賢明である。これらの2つの温度があまりにかけ離れていると、最適な性能及び安定性を有する熱膨張性組成物を得ることがより困難になる可能性がある。このこととは別に、室温下に固体である他の成分(例えば、場合によってはポリマーP)も、例えば軟化点及び融点がこれらの成分に近いことが必要である。
【0033】
本発明の組成物に、90℃〜130℃の間の温度における半減期が10時間である少なくとも1種の過酸化物を使用するとさらに有利である。超低温の実施形態、すなわち120℃〜150℃の間で膨張するように最適化された実施形態においては、50℃〜100℃の間の温度における半減期が10時間である過酸化物が好ましい。
【0034】
本発明の組成物に好ましい過酸化物は、ケトン過酸化物、過酸化ジアシル、過酸エステル、過酸ケタール、過酸化水素等の有機過酸化物である。この種の好ましい過酸化物の例としては、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオキシド、ビス(t−ブチルペルオキシ)−ジイソプロピルベンゼン、ジ(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルペルオキシド、ペルオキシ安息香酸t−ブチル、ペルオキシジ炭酸ジアルキルエステル、ジペルオキシケタール(1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等)、ケトン過酸化物(メチルエチルケトンペルオキシド等)及び4,4−ジ−t−ブチルペルオキシ−吉草酸n−ブチルが挙げられる。
【0035】
3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルペルオキシド、4,4−ジ(t−ブチルペルオキシ)吉草酸ブチル、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ペルオキシ安息香酸t−ブチル、ジ(4−メチルベンゾイル)ペルオキシド及び過酸化ジベンゾイルが特に好ましい。
【0036】
本発明の組成物に最も好ましい過酸化物としては、ジクミルペルオキシド及び/又はジ(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン及び/又は1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが挙げられ、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが特に好ましい。超低温、すなわち120℃〜140℃に最適化された実施形態の場合、過酸化ジベンゾイルが最も好ましい。
【0037】
シリカ、カオリン及び/若しくは炭酸カルシウム等の担体材料又は他の好適な材料に固定化された過酸化物を使用すると本発明に有利となり得る。この手法を用いることにより、取扱い、適用(dosage)及び組成物中に過酸化物を均一に分布させることが容易になる。この種の固定化された過酸化物として、炭酸カルシウム上の40重量%ジクミルペルオキシド、クレー及びシリカ上の40重量%ジ(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン並びに炭酸カルシウム上の40重量%1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが挙げられる。但し、その場合、組成物中における活性物質の重量%及び当量を正確に計算するように注意を払うことが必要である。その理由は、本文書においてこれらの値は常に活性化合物について言及しており、炭酸カルシウム等の存在し得る担体を含まないためである。
【0038】
さらに好ましくは、本発明の組成物は、少なくとも1種の酸化防止剤を含む。酸化防止剤はポリマーをベースとする組成物に慣用されており、ポリマーをベースとする組成物を配合する当業者に知られている。本発明においては、これらを使用することにより、組成物を均一に膨張させ、又は、ポリマーPを幅広い温度範囲で架橋させる等、発泡プロセスがより高度に制御されるという利点が得られる。酸化防止剤を使用することなく、例えば150℃未満で低温硬化系を得ることも可能であるが、この同じ組成物は、高温、例えば200℃を超える温度で安定な発泡体を生成することはできない。したがって、全温度範囲に亘って高品質の安定な発泡体を生成することが可能な組成物を得るために酸化防止剤が必要である。酸化防止剤を使用せずに配合することが勧められるのは、超低温、すなわち120℃〜150℃の間に最適化された実施形態のみである。
【0039】
好適な酸化防止剤の例としては、立体障害芳香族アミン及び/又は立体障害フェノール、例えば、ビス(3,3−ビス(4’−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブタン酸)グリコールエステル又はテトラキス(メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナメート))メタンが挙げられる。最も好ましい酸化防止剤はテトラキス(メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナメート))メタンである。テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニルジホスホナイトも同様に好ましい。
【0040】
酸化防止剤は、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05〜1.5重量%の間、好ましくは0.075〜1重量%の間、より好ましくは0.1〜0.5重量%の間の量で含有される。
【0041】
相乗剤を、酸化防止剤と一緒に使用するか、あるいは酸化防止剤を添加せずに単独で使用すると有利となり得る。相乗剤は、特に高温下での酸化防止剤の性能を向上し、本発明の組成物を一層良好に膨張させることができる。相乗剤はそれ自体酸化防止性を有するため、酸化防止剤を使用しなくても膨張の安定性を向上することができる。好適な相乗剤の例としては、3,3’−チオジプロピオン酸ジドデシル、3,3’−チオジプロピオン酸ジステアリル及び/又は2−メルカプトトルイミダゾール亜鉛塩等の立体障害チオエーテルが挙げられる。3,3’−チオジプロピオン酸ジドデシルが最も好ましい。
【0042】
幾つかの実施形態において、特に、後にさらに説明する方法(例えば、押出又は射出成形)によって比較的多量の本発明の組成物を調製する場合、酸化防止剤及び/又は相乗剤を使用すると、加工器具内において早期に望ましくない架橋が起こることにより、例えば、最終生成物の接着性が低下することを防止又は阻害することができる。このようなプロセスには、スチレン系添加剤が酸化防止剤として特に有利であることが見出された。その理由は、これらがこの種のプロセスにおける望ましくない早期の架橋を防止するのに優れているためである。これに分類される最も好ましい酸化防止剤は2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンである。この種の酸化防止剤は、本発明のあらゆる組成物中の他の酸化防止剤と同じ量で添加することができる。
【0043】
好ましい実施形態において、酸化防止剤は、組成物の総重量を基準として0.05〜1.5重量%の間、好ましくは0.075〜1重量%の間、より好ましくは0.1〜0.5重量%の間の量で、組成物の総重量を基準として0.05〜1.5重量%の間、好ましくは0.075〜1重量%の間、より好ましくは0.1〜0.5重量%の間の相乗剤と一緒に使用される。
【0044】
本発明の組成物の次の必須成分は、少なくとも1種の化学的発泡剤Bである。
【0045】
化学的発泡剤は、例えば、温度又は湿度の影響下に分解し、それと同時に生成する分解物の少なくとも1種が気体である、有機又は無機化合物である。
【0046】
本発明の組成物に好ましい化学的発泡剤としては、アゾ化合物、ヒドラジド、ニトロソ化合物、カルバメート及びカルバジドが挙げられる。
【0047】
好適な化学的発泡剤Bとしては、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジアミノベンゼン、ベンゼン−1,3−スルホニルヒドラジド、カルシウムアジド、4,4’−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トリヒドラジノトリアジン及びN,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド及びこれらの組合せ等が挙げられる。
【0048】
好ましい実施形態において、発泡剤は、アゾジカルボンアミド及び/若しくは4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を含むか又は基本的にアゾジカルボンアミド及び/若しくは4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)からなる。
【0049】
好ましくは、化学的発泡剤Bは、本発明の組成物中に、組成物の総重量を基準として2〜15重量%の間、好ましくは4〜12重量%の間、より好ましくは5〜10重量%の間の量で含まれる。
【0050】
発泡(膨張)を引き起こす分解反応に必要な熱は、外部又は内部から印加することが可能であり、後者は、例えば、発熱反応に由来するものである。好ましくは、発泡剤は、160℃未満、特に80℃〜150℃の間、より好ましくは90℃〜140℃の間の温度で活性化される(すなわち、気体を放出する分解を開始する)。
【0051】
本発明の熱膨張性組成物が、例えば、自動車製造における遮断用及び/又は補強用構成要素に利用される場合は、発泡剤の活性化温度を遮断又は補強すべき自動車部品の製造条件に適応させることが好ましい。一例として、遮断用及び/又は補強用構成要素は、電着塗装液で処理する必要がある構造の空洞内に、未膨張状態で、構造体の表面に到達可能な余地を依然として残したまま挿入される。次いで自動車部品を熱処理する際に(すなわち、電着塗装液の硬化処置において)、遮断用及び/又は補強用構成要素は、同時に(又はその直後に)意図された最終形状に膨張し、空洞の少なくとも一部を閉鎖又は充填する。そのような場合、膨張温度は、実施形態に応じて、上記熱処理の温度条件、例えば140℃〜200℃の間又は120℃〜150℃の間に対応させるべきである。
【0052】
したがって、本発明組成物に使用する過酸化物の活性化温度を、発泡剤の分解温度と同じ範囲になるように、又は僅かに下回るように選択すると賢明である。こうすることにより、安定な発泡体様構造を生成することが可能になった時点で確実にポリマー架橋が起こるラジカル機構が得られる。
【0053】
本発明の組成物の次の必須成分は少なくとも1種の活性化剤Aである。活性化剤Aは、化学的発泡剤Bの分解を、特により低温、例えば150℃未満で制御することを可能にするために重要である。
【0054】
活性化剤Aは、式(I):
【化2】
(式中、R
1基及びR
4基は、独立に、水素原子を表すか又は1〜10個の炭素原子を有し、さらに任意選択的に酸素原子を含む1価のアルキル基を表し;
R
2及びR
3は、独立に、水素原子を表すか又は1〜10個の炭素原子を有し、さらに任意選択的に酸素原子、窒素原子及び/若しくは芳香族部分を含む1価のアルキル基を表すか、あるいは一緒になって1〜10個の炭素原子を有し、さらに任意選択的に酸素原子、窒素原子又は芳香族部分を含む2価のアルキル基を形成する)から選択される少なくとも1種の化合物を含む。
【0055】
好ましい実施形態において、R
1基及びR
2基は、独立に、水素原子を表すか又は1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜4個の炭素原子を有する1価の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、場合によりこれらは一緒になって、隣接する窒素原子と共に環構造を形成する2価のアルキル基を表す。これと同一又は異なる実施形態において、R
3基及びR
4基は、独立に、水素原子を表すか又は1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜4個の炭素原子を有する1価の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、場合によりこれらは一緒になって、隣接する窒素原子と共に環構造を形成する2価のアルキル基を表す。これらの中でも好ましい実施形態は、尿素、N−メチル尿素、N,N−ジメチル尿素、N,N’−ジメチル尿素、N,N,N’−トリメチル尿素、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素及びこれらの一部又は全部のメチル基がエチル基に替わった誘導体である。
【0056】
非常に好ましい実施形態において、式(I)のR
1基及びR
2基は、両方共水素基を表す。同一又は他の好ましい実施形態において、R
3基及びR
4基は、両方共エチル又はメチル、好ましくはメチル基を表す。
【0057】
式(I)中、R
1、R
2、R
3及びR
4が全てエチル基若しくはメチル基、好ましくはメチル基を表すか、又はR
1、R
2及びR
3がエチル基若しくはメチル基、好ましくはメチル基を表し、R
4が水素基を表すか、又はR
1及びR
4基が両方共水素基を表し、R
2基及びR
3基が両方共エチル基若しくはメチル基、好ましくはメチル基を表す実施形態も同じく非常に好ましい。その中でも、N,N’−ジメチル尿素及びN,N,N’,N’−テルトラ(tertra)メチル尿素が最も好ましい。これらの2種の活性化剤は、アゾジカルボンアミドを含む発泡剤Bと一緒に使用すると、より高温、例えば200℃における膨張率が1900%を超え、より低い温度、例えば140℃における膨張率が1000%を超える。
【0058】
特に好ましい実施形態においては、R
1、R
2、R
3及びR
4が全て水素基を表し、したがって尿素を表す。この活性化剤は、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を含む化学的発泡剤Bと一緒に使用すると特に好適であり、少なくとも140℃〜200℃の全温度範囲に亘って膨張率は少なくとも1000%と極めて高くなり、好ましくはこの範囲内のあらゆる温度において膨張率は少なくとも1100%となる。
【0059】
他の特に好ましい実施形態において、活性化剤Aは、式(I)のR
1基及びR
2基が両方共水素基を表し、R
3基及びR
4基が両方共メチル基を表し、したがってN,N−ジメチル尿素を表す化合物を含む。この活性化剤Aは、アゾジカルボンアミドを含む化学的発泡剤Bと組み合わせると特に好適である。この組合せにより、少なくとも140℃〜200℃の全温度範囲に亘って並外れた膨張率を示す非常に安定な発泡体が得られ、この範囲のあらゆる温度において膨張率が少なくとも1000%、好ましくは少なくとも1100%となる。これらの膨張率は、全温度範囲に亘って、30分間という短い焼付け時間、好ましくは15分間という短い焼付け時間、より好ましくは10分間という短い焼付け時間で達成することができる。
【0060】
同じ活性化剤A、すなわちR
1基及びR
2基が両方共水素基を表し、R
3基及びR
4基が両方共メチル基を表す式(I)に従う化合物を含む活性化剤Aを、さらに4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を含む化学的発泡剤Bと組み合わせると特に好適である。この組合せにより、120℃〜150℃の超低温範囲において並外れた膨張率を示す非常に安定な発泡体が得られ、この範囲のあらゆる温度において膨張率は少なくとも900%、好ましくは少なくとも1000%となる。
【0061】
本発明の熱膨張性組成物は、この種の活性化剤Aを、組成物の総重量を基準として0.1〜10重量%の間の量、好ましくは1〜9重量%の間の量、より好ましくは1.5〜8重量%の間の量で含む。
【0062】
発泡剤Bの量に対する活性化剤Aの量を最適化することが非常に賢明である。本発明においては、活性化剤Aを、組成物に含まれる発泡剤Bの重量を基準として10〜80重量%の間の量、好ましくは12〜60重量%の間の量、より好ましくは15〜50重量%の間の量、最も好ましくは20〜35重量%の間の量で使用することが好ましい。
【0063】
活性化剤Aを第2の活性化剤、促進剤又は触媒を併用すると本発明に有利となり得る。この目的に好適な化合物の例としては、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ビス(p−トルエンスルフィン酸)亜鉛、ビス(ベンゼンスルフィン酸)亜鉛等の亜鉛化合物、酸化チタン又は酸化マグネシウムが挙げられる。亜鉛化合物(特に、酸化亜鉛)及び亜鉛化合物の混合物(特に、酸化亜鉛及び酢酸亜鉛の混合物)が最も好ましい。これらの第2の活性化剤は、好ましくは、組成物中に、組成物の総重量を基準として1〜10重量%の間の量、好ましくは1.25〜7.5重量%の間の量、より好ましくは1.4〜5重量%の間の量で存在する。
【0064】
発泡剤Bの量に対する任意的に存在する第2の活性化剤の量を最適化することも非常に賢明である。本発明に関しては、第2の活性化剤を、組成物に含まれる発泡剤Bの重量を基準として10〜80重量%の間の量、好ましくは12〜60重量%の間の量、より好ましくは15〜50重量%の間の量、最も好ましくは20〜35重量%の間の量で使用することが好ましい。
【0065】
好ましい実施形態において、本発明組成物は接着促進剤も含む。好ましくは、これらの物質は、架橋反応の最中に、ポリマーPに存在する官能基と類似の官能基(アクリレート基等)を介して高分子の網目に組み込まれる。この接着に有利な官能基としては、例えば、ヒドロキシル基、アミン基、チオール基、カルボキシル基、無水物基、アクリレート基及び/又はグリシジルメタクリレート基が挙げられる。好適な接着促進剤としては、例えば、エチレン−メタクリル酸グリシジルコポリマーが挙げられる。最も好ましいこの種の接着促進剤としては、MFIが1〜25g/10minの間、好ましくは2〜15g/10minの間、特に3〜10g/10minの間にあるエチレン−メタクリル酸グリシジルコポリマーが挙げられる。この種の接着促進剤は、例えば、自動車製造においてよく見られる油が付着した鋼等の油性表面への膨張組成物の接着を大幅に改善するため有利である。
【0066】
接着促進剤は、好ましくは、本発明による組成物中に、組成物の総重量を基準として2〜25重量%の間、好ましくは5〜20重量%の間、より好ましくは9〜15重量%の間の量で使用される。
【0067】
本発明の組成物は、さらに有利には、分子量が2500g/mol未満、より好ましくは1000g/mol未満であり、好ましくはアクリレート官能価数が少なくとも2又は3、好ましくは少なくとも4又は5、あるいはそれを超える低分子量の多官能性アクリル酸エステルを含むことができる。このアクリル酸エステルはポリマーPの架橋を促進し、安定な発泡体構造の生成を助けることができる。これらが存在する場合、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.1〜2.5重量%の間、好ましくは0.2〜2重量%の間、より好ましくは0.25〜1.5重量%の間の量で含有される。
【0068】
官能価数が2である好適なアクリル酸エステルとしては、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジアクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸トリプロピレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブタンジオール、ジメタクリル酸1,4−ブタンジオール、ジメタクリル酸1,10−ドデカンジオール、ジメタクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジメタクリル酸ネオペンチルグリコール及びジメタクリル酸ポリブチレングリコール及びジアクリル酸ヘキサンジオールが挙げられる。官能価数が2である最も好ましいアクリル酸エステルはジアクリル酸ヘキサンジオールである。官能価数が3を超える好適なアクリル酸エステルとしては、トリアクリル酸グリセロール、トリアクリル酸ペンタエリスリトール、トリメタクリル酸ペンタエリスリトール、トリアクリル酸トリメチロールプロパン、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、テトラアクリル酸テトラメチロールメタン、テトラアクリル酸ジ(トリメチロールプロパン)、テトラアクリル酸ペントラエリスリトール(pentraerythritol)、ペンタアクリル酸ジペンタエリスリトール、ヘキサアクリル酸ジペンタエリスリトール、トリメリット酸トリ(2−メタクリロキシエチル)、イソシアヌル酸トリ(2−アクリロキシエチル)に加えて、これらのエトキシル化又はプロポキシル化誘導体が挙げられる。官能価数が5である最も好ましいアクリル酸エステルはペンタアクリル酸ジペンタエリスリトールである。官能価数が6〜16であるか又はそれを超える非常に高度に官能基化された高分岐アクリル酸エステルがさらに好適である。この種のアクリル酸エステルの例としては、高分岐ポリエステル−ポリアクリル酸エステルが挙げられる。
【0069】
上に列挙した必須成分及び任意的成分とは別に、本発明の熱膨張性組成物は、この種の組成物に慣用されており、当該技術分野の当業者に知られている他の成分も含むことができる。そのようなものとして、例えば、フィラー、着色剤、分散助剤又は均質化剤、他の接着促進剤、安定剤等が挙げられる。
【0070】
フィラーとして好適なものは、例えば、粉砕又は沈降炭酸カルシウム、炭酸カルシウム−マグネシウム、滑石、石膏、グラファイト、バライト、シリカ、ケイ酸塩、雲母、珪灰石、カーボンブラック又はこれらの混合物等である。
【0071】
フィラーが使用される場合、好ましくは、本発明組成物に、組成物の総重量を基準として1〜15重量%の間の量で混合される。
【0072】
着色剤又は染料、例えば、カーボンブラックを原料とする顔料等を本発明の組成物に含有させることができる。これらの量は、好ましくは組成物の総重量を基準として0〜1重量%である。
【0073】
粘着付与剤に加えて加工助剤も組成物の均質な混合を促進するために本発明の組成物に有利となり得る。好ましく使用されるこの種の化合物としては、炭化水素樹脂、例えば、芳香族変性C5系炭化水素樹脂又はポリオレフィンワックス、例えば、融点が100℃〜12℃の間にあるポリオレフィンホモポリマーワックスが挙げられる。この種の化合物は、好ましくは、本発明組成物中に、組成物の総重量を基準として2〜10重量%、好ましくは4〜8重量%、より好ましくは5〜7重量%の量で含有される。
【0074】
本発明による組成物は、任意の好適な混合装置、例えば、分散撹拌機、プラネタリーミキサー、二軸混練機、連続混練機、押出機又は二軸押出機で構成成分を混合することにより製造することができる。
【0075】
混合を行う前又は途中に、粘度を低下させ、及び/又は個々の構成成分を溶融させることによって構成成分が均質な混合物に加工されることを促進するために、外部から熱源を適用するか又は混合プロセス自体により発生する摩擦熱のいずれかによって構成成分を加熱すると有利となり得る。しかしながら、温度監視を行うと共に、適切であれば冷却装置を使用することによって、発泡剤及び/又は過酸化物の活性化温度を超えないように注意を払うことが必要である。最終組成物は、好ましくは室温(23℃)で基本的に固体である。これは、この温度下で少なくとも24時間、外見的には単に重力による変形がないことを意味する。
【0076】
混合後、結果として得られた組成物を、例えば、押出、ブロー成形、造粒、射出成形、圧縮成形、パンチング若しくはスタンピング又は他の任意の好適なプロセスによって所望の形態に付形することができる。
【0077】
熱膨張性組成物は、全ての構成成分を順次及び/又は同時に添加することを含む、実質的に1段階のプロセスで生成することができる。しかしながら、組成物を2液系(two−part system)として配合するか、あるいはそれどころか多液系(multi part system)として配合し、これらの液剤を後段で混合して最終組成物とすることが有利な場合もある。この種の手法により、例えば、過酷な条件(極めて高い温度等)下にある場所における組成物の貯蔵寿命が延長され、貯蔵室の要件及び輸送重量が最適化され、様々な用途の個々の必要に合わせたモジュール構成の組成物を得ることが可能になる。
【0078】
本発明による熱膨張性組成物の膨張は熱により誘起される。これは、発泡剤及び過酸化物成分が両方共それぞれの活性化温度を超える温度で熱的プロセスにより活性化され、その時間が、両方の過程(過酸化物により開始されるラジカル重合及びガス生成を含む発泡剤の分解)を、膨張性材料が所望の最終(十分に膨張した安定な)状態に膨張して硬化するまで進行させるのに十分に長い間持続することを意味する。最適温度及び持続時間(保持時間)は、本発明組成物に使用される発泡剤及び過酸化物に依存する。これらの値はこの種の構成成分の製造業者によって提示されており、及び/又は当業者に知られている。一般に、この種の活性化温度は120℃〜250℃の範囲、好ましくは140℃〜200℃の範囲にあり、5〜90分間、好ましくは10〜60分間の保持時間を必要とする。
【0079】
本発明の他の態様は、この種の熱膨張性組成物の遮断用及び/又は補強用構成要素の製造のための使用である。この種の構成要素は、中空構造体、例えば、自動車の中空構造部材の空洞を閉塞、遮断及び/又は補強するために使用される。車両の中空部材としては、車体構成部品(例えば、パネル)、フレーム構成部品(例えば、ハイドロフォーム成形されたチューブ)、ピラー構造(例えば、A、B、C又はDピラー)、バンパー、ルーフ等を挙げることができる。
【0080】
本発明による熱膨張性組成物を自動車製造に使用する場合の活性化に関しては、組成物の熱的活性化を、熱処理を含む他のプロセスステップと一緒に行うと有利である。この種のプロセスステップの例は、シャーシ又は車体の電着塗装(カチオン型電着塗装(cathodic dip painting/coating))である。
【0081】
好ましい一実施形態において、中空構造体を遮断及び/又は補強するためのこの種の構成要素は熱膨張性組成物から基本的になる。その場合、この構成要素の形状を、遮断及び/又は補強すべき中空構造体の壁面に適合させること及び取付けることが容易になるように設計すると有利である。この場合の製造は、好ましくは、射出成形、パンチング若しくはスタンピング又は異形金型を介する押出しにより行われる。
【0082】
他の好ましい実施形態において、中空構造体を遮断及び/又は補強するためのこの種の構成要素は、熱膨張性組成物以外に、本発明の熱膨張性組成物をその上に堆積又は付着させる支持体構成要素を含む。このような設計を用いることによって費用効率を向上させることができ、また、支持体構成要素上に、例えば、ピン、ボルト又はフックを組み込むことにより、遮断及び/又は補強すべき構造の壁面上に遮断用及び/又は補強用構成要素を容易に固定することができる。さらに、適切に設計された支持体構成要素を用いることにより、本発明による遮断用及び/又は補強用構成要素の機械的性能及び機械的安定性を向上させることができる。
【0083】
上記支持体構成要素は、本発明の実施形態に使用することができる形状に加工することが可能な任意の材料から構成することができる。好ましい材料は、プラスチック、エラストマー、熱可塑性物質、熱硬化性ポリマー、これらのブレンド物又は他の組合せ等の高分子材料である。好ましい熱可塑性物質としては、これらに限定されるものではないが、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン等のポリマーが挙げられる。ポリ(フェニルエーテル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、好ましくは、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド11、ポリアミド12又はこれらの混合物等の高温安定性を有するポリマーが特に好ましい。他の好適な材料としては、金属、特に、アルミニウム若しくは鋼又は木材若しくは他の(圧縮された)繊維質材料等の自然に生育した有機材料が挙げられる。ガラス質材料又はセラミックス材料を使用することもできる。この種の材料の任意の組合せを使用することも可能である。この種の材料は、充填(例えば、繊維、鉱物、クレー、ケイ酸塩、炭酸塩、これらの組合せ等による)することが可能であることも、発泡させることが可能であることも想定されている。
【0084】
さらに支持体構成要素は、任意の形状又は幾何学的配置を有することもできる。これは、直接連結していない幾つかの部材から構成することもできる。例えばこれは、塊状体、中空体又は発泡体であってもよいし、あるいは格子様構造を有していてもよい。支持体構成要素の表面は、通常、遮断用及び/又は補強用構成要素の意図された使用に応じて、平滑であっても、凹凸があっても、構造化されていてもよい。
【0085】
本発明による遮断用及び/又は補強用構成要素の製造プロセスは支持体構成要素の材料に大きく依存する。支持体構成要素の材料を(射出)成形又は押出することができる場合は、支持体構成要素及び熱膨張性組成物の2段階射出成形プロセス又は共押出プロセスを行うことによって遮断用及び/又は補強用構成要素全体を製造することができる。2段階射出成形プロセスを用いる場合、第1段階においては、支持体構成要素の材料を金型に射出成形する。これを固化した後、射出成形金型のキャビティを拡張若しくは調整するか又は射出成形片を他の金型に移し、第2の構成成分(この場合は熱膨張性組成物を得るための材料)を射出する。
【0086】
支持体構成要素の付形を射出成形や押出によって行わない場合、例えば、支持体構成要素が金属又は合金からなる場合は、最初に支持体構成要素を好適なプロセスにより製造し、次いでこれを射出成形金型内に装入し、支持体構成要素を配置した金型内に熱膨張性組成物を射出成形することができる。あるいは、予め作製しておいた支持体構成要素の上に熱膨張性組成物を押出すことも可能である。無論、支持体構成要素及び膨張性組成物を好適なプロセスによって別々に製造した後、膨張性組成物の構成要素を任意の好適な手段(接着剤による接着等による化学的若しくは物理的手段、又はボルト止め、ネジ止め等の機械的手段等)により支持体構成要素に取り付けることも可能である。
【0087】
本発明の他の態様は、陸上乗物、水上/水中乗物、飛行乗物、好ましくは自走車両の空洞若しくは中空構造体及び/又は建物の空洞の、雑音、振動、湿気及び/若しくは熱の伝搬を低減し、並びに/又は上記空洞を囲む物体を機械的に強化するように、閉塞、遮断又は補強するための、上に述べた遮断用及び/又は補強用構成要素の使用である。
【0088】
本発明のさらなる態様は、空洞又は中空構造体を閉塞、遮断及び/又は補強するための方法であって、上記に従う熱膨張性組成物を含む構成要素を上記空洞又は中空構造体内に導入し、次いで上記空洞又は中空構造体の少なくとも一部が膨張した組成物で充填されるように熱的に膨張させることを特徴とする、方法である。この熱膨張プロセスに好ましい温度は110℃〜210℃である。組成物の好ましい焼付け時間は5分間〜30分間である。
【0089】
以下に示す実験部により本発明をさらに説明するが、本発明の範囲を制限するものと解釈すべきではない。
【実施例】
【0090】
1.実施例組成物の配合
1.1.組成
以下に示す手順に従い8種類の例示的な本発明組成物(C−1〜C−8)及び4種類の発明外の参照用組成物(R−1〜R−4)を調製した。それぞれ個々の組成物の総重量を基準とした正確な個々の組成(重量%)を表1(本発明組成物)及び表2(発明外組成物)に列挙する。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
本明細書に記載する本発明の例示的な組成物C−1〜C−8及び発明外の参照用組成物R−1〜R−4に使用される原料の詳細を表3に列挙する。
【0094】
【表3】
【0095】
1.2.混練及び成形手順
本文書における本発明及び発明外の例示的組成物は全て、熱可塑性物質を温度制御しながら配合するのに適した標準的な製造設備、すなわち二軸押出機、ブスニーダー又はバンバリーミキサーにて製造した。ポリマーを均質になるまで混合した後、この系を、熱反応性を有する原料の活性化未満に冷却した。次いでこの系を熱反応性原料と均質になるまで混合した。次いでこの材料が高温のうちに、膨張試験手順に用いるための試験片形状に付形した。
【0096】
2.例示的組成物の膨張試験
個々の試験片を様々な温度のオーブンで10分間熱処理(焼付け)することにより、全ての試験片の膨張率及び膨張安定性について試験を行った。室温(23℃)から各焼付け温度までの昇温勾配(heating ramp)は常に20分間とした。温度及び対応する焼付け温度における膨張性(膨張前の初期体積を基準とする)(単位:%)を、本発明組成物については表4に示し、発明外の参照用組成物については表5に示す。
【0097】
膨張前後の密度を測定することにより各試験片の膨張率を定量化した。密度はDIN EN ISO 1183に準拠し、水中浸漬法(アルキメデスの原理)を用いて脱イオン水中で測定し、精密天秤を用いて質量を測定した。
【0098】
異なる温度における試験片の体積熱膨張率(膨張前の状態の初期体積を基準とする)(単位:%)を比較することにより膨張安定性を評価することができる。
【0099】
【表4】
【0100】
【表5】
【0101】
表4及び5の結果は、本発明組成物のみが10分間という非常に短い焼付け時間内でさえも、低温(140℃)及びより高い温度(180℃〜200℃まで)の両方において、膨張率が1000%を超え、好ましい場合は1500%を超えることができたことを示している。これは、全温度範囲に亘る高い膨張性及び膨張安定性を示している。他方、参照用例示的組成物は、低温での性能に劣るか又は高温での膨張が不十分であるかのいずれかである。
【0102】
3.超低温実験
120℃〜150℃の間の温度における超低温下の膨張を実証するために、3種(本発明実施例による1種及び発明外の参照用例による2種)についてさらなる実験を行った。本発明組成物C−9及び参照例R−5及びR−6の詳細並びにこれらの体積熱膨張率に関する結果を表6に示す。これらの例はかなり先に述べた手順に従い調製した。
【0103】
【表6】
【0104】
表6は、120℃〜150℃の超低温下における膨張に最適化された本発明組成物も体積熱膨張率が1000%を超え、極めて優れた膨張性を示す一方で、発明外の参照用組成物は特に120℃における性能に欠けることを示している。
【0105】
4.活性化剤Aの直接比較
他の一連の実験を行うことにより、異なる活性化剤Aを、活性化剤A以外は同一である本発明組成物中で比較した。これを行うために、表7に列挙した原料及び量を使用し、他の実施例に関し上に記載した調製方法に従い本発明組成物C−10〜C−12を調製した。
【0106】
【表7】
【0107】
【表8】
【0108】
表7から、本発明組成物C−10〜C−12が高温(200℃)及び低温(140℃)の両方において体積膨張率が1300%を超える極めて優れた膨張性を示したことが分かる。これらの実験は、活性化剤Aの様々な実施形態が発泡剤Bの膨張性能に非常に有利な影響を与えることを例証するものである。
【0109】
5.油が付着した表面に対する接着実験
好ましい本発明組成物の実施形態の接着性を実証するためにさらに4種類を用いて実験を行った。この本発明組成物C−13〜C−16の詳細に加えて、これらの体積熱膨張率及び油が付着した表面に対するこれらの接着性に関する結果を表8に示す。これらの実施例はかなり先に記載した手順に従い調製した。油で覆われた2枚の溶融亜鉛メッキ鋼板の間に挟んだ個々の組成物を140℃で10分間膨張させた試験片の接着性に関する試験を行った。試験に使用した油はFerrocote(登録商標)6130N(Quaker Chemical,USA)とし、これを鋼板上に3g/m2の量で塗布した。結果に関する表に示した値は凝集破壊の比率である。100を下回る値は、試験片の一部が接着破壊したことを示唆している。
【0110】
【表9】
【0111】
【表10】
【0112】
当然のことながら、本発明は本明細書に記載した実施例に限定されるものではなく、これらは本発明の一般原則又は選択された実施形態を例示するのみである。しかしながら、特定の修正が本発明の教示の範囲に包含されることを当業者は理解するであろう。したがって、本発明の真の範囲及び内容を確定するために以下に示す特許請求の範囲を検討すべきである。