(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
==開示の概要==
本明細書の記載により、上記主たる発明の他、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
すなわち、(A)成分は、エポキシ樹脂またはアクリレート樹脂の少なくとも一方を含む樹脂組成物が明らかとなる。(A)成分をこれらの樹脂とすることにより、硬化反応性が高く、接着性に優れる。またその硬化物は、耐水・耐湿・耐薬品性が高い。
【0012】
また、(B)成分は、塩基性硬化触媒である樹脂組成物が明らかとなる。塩基性硬化触媒を用いることにより、(A)成分をアニオン重合系で反応させることができる。
【0013】
また、前記塩基性硬化触媒は、潜在性である樹脂組成物が明らかとなる。このような潜在性の硬化触媒を用いることにより、樹脂組成物のポットライフを長くすることができる。
【0014】
また、(D)成分として、フェノール系硬化剤またはチオール系硬化剤を含む樹脂組成物が明らかとなる。このような硬化剤を用いることにより、樹脂組成物の硬化反応性を高めることができる。
【0015】
更に、上記の樹脂組成物を用いた接着剤が明らかとなる。このような接着剤は、ポットライフが長いため、半導体装置や電子部品等、様々な用途に利用できる。
【0016】
更に、上記の樹脂組成物、または接着剤を硬化させた硬化物が明らかとなる。このような硬化物の元となる樹脂組成物または接着剤は長時間のポットライフを有する。従って、その硬化物は様々な対象に利用できる。
【0017】
また、上記硬化物を用いたことを特徴とする半導体装置が明らかとなる。硬化物の元となる上記樹脂組成物、及び接着剤は長時間のポットライフを有する。従って、その硬化物は様々な半導体装置に利用できる。
【0018】
==実施形態==
[樹脂組成物]
本実施形態の樹脂組成物は、少なくとも(A)熱硬化性樹脂、(B)触媒、及び(C)触媒の安定化剤を含む。
【0019】
本実施形態において、「常温」とは25℃±5℃をいう。「ポットライフ」とは、樹脂組成物の作製後、当該樹脂組成物が使用可能な状態を維持している時間をいう。
【0020】
(熱硬化性樹脂)
(A)成分である熱硬化性樹脂は、樹脂組成物に接着性、及び硬化性を付与する。(A)成分は、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等を用いることができる。(A)成分は、樹脂成分100質量部中、20質量部〜80質量部であることが好ましい。(A)成分は、硬化反応性、接着性、耐水・耐湿・耐薬品性の観点からエポキシ樹脂やアクリレート樹脂が好ましい。エポキシ樹脂は、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等を用いることができる。エポキシ樹脂は、上述したエポキシ樹脂のうち、いずれか1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。市販されているエポキシ樹脂の例としては、エピクロンEXA835LV(液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂・ビスフェノールA型エポキシ樹脂混合物。DIC株式会社製)がある。アクリレート樹脂は、アクリル酸エステルモノマー及び/またはメタクリル酸エステルモノマー、或いはこれらのオリゴマーを用いることができる。市販されているアクリレート樹脂の例としては、ライトアクリレートDCP−A(共栄社化学株式会社製)がある。(A)成分は、1種類の熱硬化性樹脂のみ(たとえばエポキシ樹脂のみ)を用いてもよいし、2種以上(たとえばエポキシ樹脂とアクリレート樹脂)を併用してもよい。
【0021】
(触媒)
(B)成分である触媒は、塩基性硬化触媒であり、熱硬化性樹脂のアニオン重合反応を開始させる開始剤としての役割を有する。(B)成分は、樹脂組成物のポットライフを長くする観点から、常温での不測の反応開始を抑制することができる潜在性の塩基性硬化触媒であることが好ましい。(B)成分は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜40質量部であることが好ましく、0.5〜35質量部であることがより好ましく、1.0〜30質量部であることがさらに好ましい。
【0022】
潜在性の塩基性硬化触媒は、常温では不溶の固体で、加熱することにより可溶化し、アニオン重合反応の開始剤として機能する化合物である。潜在性の塩基性硬化触媒は、たとえば、常温で固体のイミダゾール化合物や、固体分散型アミンアダクト系、または包接化合物である。市販されている固体分散型アミンダクト系の例としては、ノバキュアHXA9322HP(旭化成イーマテリアルズ株式会社製)やフジキュアーFXR−1121(株式会社T&K TOKA製)がある。塩基性硬化触媒のより詳細な例は、特開2014−77024号公報の記載を援用する。
【0023】
(安定化剤)
(C)成分である安定化剤は(B)成分である塩基性硬化触媒を安定化させる。すなわち、(C)成分は、酸として機能する。また、(C)成分は、塩基性硬化触媒を安定化させることにより、(A)成分のアニオン重合反応の開始を遅らせる。すなわち、(C)成分は、樹脂組成物のポットライフを長くすることに寄与する。
【0024】
通常、潜在性の塩基性硬化触媒は、常温では触媒の機能を発揮できない。一方、意図しない原因により触媒の機能が発揮され、アニオン重合反応が開始される場合がある。そこで、(C)成分である安定化剤を予め添加し、塩基性硬化触媒の塩基性部位を保護することにより、塩基性硬化触媒を安定化させ、意図しないアニオン重合反応の開始を抑制する。その結果、樹脂組成物のポットライフを長く保つことができる。
【0025】
(C)成分は、(C1)アルミニウムキレート及び(C2)シラノール化合物を含む。
【0026】
(C1)アルミニウムキレートは、アセチルアセトネート基のような多座配位子がアルミニウムに結合した金属錯体であり、たとえば式(1)で表される。
【0028】
式(1)中、R
1〜R
6は、それぞれ、アルキル基(メチル基、エチル基等)またはアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、オレイルオキシ基等)である。市販されている(C1)アルミニウムキレートの例としては、アルミニウム元素に3つのアセチルアセトネート基が結合した、アルミニウムトリスアセチルアセトネート(AL A 川研ファインケミカル株式会社製。式(2)参照)、アルミニウム元素に1つのアルキルアセトアセテート基と2つのイソプロポキシ基が結合した、アルミニウムアルキルアセトアセテートジイソプロピレート(プレーンアクトAL−M 味の素ファインテクノ株式会社製、またはアルミキレートM 川研ファインケミカル株式会社)、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート(ALCH 川研ファインケミカル株式会社製)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)(ALCH−TR 川研ファインケミカル株式会社製)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)(アルミキレートD 川研ファインケミカル株式会社製)等がある。なお、(C1)アルミニウムキレート自体は酸であり、単独でも塩基性硬化触媒の塩基性部位を保護(中和)することは可能であるが、中和のためには相当量の添加が必要となる。
【0030】
(C2)シラノール化合物は、分子内に1以上の水酸基又はアルコキシル基を有するシラン化合物であり、たとえば、式(3)で表される。
【0032】
式(3)中、X
1〜X
4は、それぞれ水素、水酸基、アルキル基、アルコキシル基、アリール基等である。但し、X
1〜X
4の少なくとも一つは水酸基又はアルコキシル基である。(C2)シラノール化合物は、式(4)に示すトリフェニルシラノールを用いることが化学的安定性の面で好ましい。
【0034】
(C)成分は、(C1)成分と(C2)成分を、それぞれ所定量ずつ樹脂組成物中に配合することで生成される。(C1)成分は、(B)触媒成分100質量部に対し0.1〜40質量部であることが好ましく、0.2〜35質量部であることがより好ましく、0.3〜30質量部であることがさらに好ましい。(C1)成分が、(B)触媒成分100質量部に対し0.01未満では、所望のポットライフを得られない可能性がある。また、(C1)成分が、(B)触媒成分100質量部に対し40質量部を越える場合には、樹脂組成物の硬化反応を阻害するおそれがある。また(C2)成分は(C1)成分100質量部に対し、1〜15000質量部であり、かつ(B)成分100質量部に対し、0.1〜100質量部であることが好ましく、(B)成分100質量部に対し、0.5〜80質量部であることがより好ましい。(C2)成分が(B)成分100質量部に対して100質量部を越える場合には、硬化反応に組み込まれない成分が多く含まれることとなり、硬化物の接着性や耐水・耐湿・耐薬品性が悪化するおそれがある。
【0035】
(硬化剤)
(D)成分である硬化剤は、樹脂組成物の硬化速度や硬化物の物性を改良するために使用される。特に低温での硬化性を向上させる目的からは、(D)成分を添加することが好ましい。具体的に、(D)成分は、フェノール系硬化剤またはチオール系硬化剤を用いることができる。硬化反応性の観点から、チオール系硬化剤の方がより好ましい。市販されているチオール系硬化剤の例としては、たとえばTS−G(四国化成工業株式会社製)やPEMP(SC有機化学株式会社製)がある。また、市販されているフェノール系硬化剤の例としては、MEH8005(明和化成株式会社製)がある。(D)成分は、(A)成分1当量に対し0.5〜3.0当量であることが好ましく、0.6〜2.5当量であることがより好ましい。
【0036】
(その他の添加物)
また、本実施形態において、樹脂組成物は、更に溶剤、レベリング剤、着色剤、イオントラップ剤、消泡剤、難燃剤、その他の添加剤等を配合することができる。
【0037】
[樹脂組成物の製造方法]
本発明の樹脂組成物は、(A)熱硬化性樹脂に対し、(B)触媒、及び(C1)(C2)の安定化剤を添加し、混練することにより製造できる。樹脂組成物の製造方法は特に限定されない。たとえば、本実施形態に係る樹脂組成物は、上記(A)〜(C)(必要に応じて(D))成分を含む原料を、ライカイ機、ポットミル、三本ロールミル、ハイブリッドミキサー、回転式混合機、あるいは二軸ミキサー等の混合機によって混合することで製造することができる。これらの成分は、同時に混合してもよく、一部を先に混合し、残りを後から混合してもよい。また、上記装置を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0038】
[接着剤]
本実施形態に係る接着剤は、上述の樹脂組成物を用いる。すなわち、本実施形態に係る接着剤は、長時間のポットライフを有する。本実施形態に係る接着剤は、以下に述べる半導体装置の他、パーソナルコンピュータや携帯端末(スマートフォン等)の内部に設けられる電子部品用の接着剤として用いることができる。
【0039】
[樹脂組成物の硬化物]
本実施形態に係る硬化物は、上述の樹脂組成物または接着剤を硬化させることにより得られる。本実施形態に係る硬化物の元となる樹脂組成物または接着剤は、長時間のポットライフを有する。従って、樹脂組成物等を大量に生産し、保存しておくことが可能となる。また、樹脂組成物等の硬化を遅らせるために2液系で保管、輸送等を行う必要もない。すなわち、本実施形態に係る接着剤は1液系の接着剤である。
【0040】
具体的な硬化条件としては、たとえば、80〜150℃、30〜180分である。
【0041】
[半導体装置]
本実施形態に係る半導体装置は、上述の樹脂組成物または接着剤の硬化物を含む。半導体装置は、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電子部品、半導体回路、これらを組み込んだモジュール、電子機器等を含むものである。本実施形態に係る樹脂組成物を含有する接着剤は、80℃程度の低温で熱硬化することも可能であるため、カメラモジュールやイメージセンサーモジュール等の製造時に使用する一液型の接着剤として好適である。
【0042】
また、本実施形態に係る樹脂組成物の用途としては、半導体装置の製造時に使用する液状封止材の可能性もある。このように、硬化物の元となる樹脂組成物または接着剤はポットライフが長いため、半導体装置の様々な部分に利用できる。
【0043】
==実施例==
以下の実施例1〜12、及び比較例1〜4で得られた樹脂組成物について、増粘倍率の変化からポットライフの長さを求めた。
【0044】
(A)成分は、以下に示すいずれかを使用した。
・「エピクロンEXA835LV」(エポキシ樹脂。DIC株式会社製。当量165)
・「CDMDG」(エポキシ樹脂。昭和電工株式会社製。当量134)
・「ライトアクリレートDCP−A」(アクリレート樹脂。共栄社化学株式会社製。当量204.3)
【0045】
(B)成分は、以下に示すいずれかを使用した。
・「HXA9322HP」(マイクロカプセル型イミダゾールアダクト。旭化成イーマテリアルズ株式会社製。重量の1/3がイミダゾール、2/3がエポキシ樹脂。当量180)
・「フジキュアーFXR−1121」(固体分散型アミンアダクト。株式会社T&K TOKA製)
【0046】
(C)成分は、以下に示すいずれか一つ、または2つを組み合わせて使用した。
・「プレンアクトAL−M」((C1)成分:アルミニウムキレート。味の素ファインテクノ株式会社製)
・「AL A」((C1)成分:アルミニウムキレート。川研ファインケミカル株式会社製)
・「TSL8161D」((C2)成分:トリフェニルシラノール。モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
【0047】
(D)成分は、以下に示すいずれかを使用した。
・「TS−G」(チオール系硬化剤。四国化成工業株式会社製。当量94)
・「PEMP」(チオール系硬化剤。SC有機化学株式会社製。当量122)
・「MEH8005」(フェノール系硬化剤。明和化成株式会社製。当量135)
【0048】
(実施例1)
「エピクロンEXA835LV」40質量部、「TSL8161D」1.0質量部、「プレンアクトAL−M」0.1質量部、「HXA9322HP」10質量部、「TS−G」50質量部を混合し、ハイブリッドミキサーで攪拌・脱泡することによって樹脂組成物aを作製した。
【0049】
(実施例2)実施例1に対し、安定化剤の量を少なくした例
「エピクロンEXA835LV」40質量部、「TSL8161D」0.1質量部、「プレンアクトAL−M」0.05質量部、「HXA9322HP」10質量部、「TS−G」50質量部を混合し、ハイブリッドミキサーで攪拌・脱泡することによって樹脂組成物bを作製した。
【0050】
(実施例3)実施例1に対し、安定化剤の量を多くした例
「エピクロンEXA835LV」40質量部、「TSL8161D」6.0質量部、「プレンアクトAL−M」3.0質量部、「HXA9322HP」10質量部、「TS−G」50質量部を混合し、ハイブリッドミキサーで攪拌・脱泡することによって樹脂組成物cを作製した。
【0051】
(実施例4)実施例1に対し、(C2)成分を少なくした例
「エピクロンEXA835LV」40質量部、「TSL8161D」0.01質量部、「プレンアクトAL−M」0.1質量部、「HXA9322HP」10質量部、「TS−G」50質量部を混合し、ハイブリッドミキサーで攪拌・脱泡することによって樹脂組成物dを作製した。
【0052】
(実施例5)実施例1に対し、(C1)成分を少なくし、(C2)成分を多くした例
「エピクロンEXA835LV」40質量部、「TSL8161D」6.0質量部、「プレンアクトAL−M」0.05質量部、「HXA9322HP」10質量部、「TS−G」50質量部を混合し、ハイブリッドミキサーで攪拌・脱泡することによって樹脂組成物eを作製した。
【0053】
(実施例6)実施例1から(C1)成分を変更
「エピクロンEXA835LV」40質量部、「TSL8161D」1.0質量部、「AL A」0.1質量部、「HXA9322HP」10質量部、「TS−G」50質量部を混合し、ハイブリッドミキサーで攪拌・脱泡することによって樹脂組成物fを作製した。
【0054】
(実施例7)実施例1から(B)成分を変更
「エピクロンEXA835LV」40質量部、「TSL8161D」1.0質量部、「プレンアクトAL−M」0.1質量部、「フジキュアーFXR−1121」3.0質量部、「TS−G」50質量部を混合し、ハイブリッドミキサーで攪拌・脱泡することによって樹脂組成物gを作製した。
【0055】
(実施例8)(D)成分なし
「エピクロンEXA835LV」40質量部、「TSL8161D」1.0質量部、「プレンアクトAL−M」0.1質量部、「HXA9322HP」10質量部を混合し、ハイブリッドミキサーで攪拌・脱泡することによって樹脂組成物hを作製した。
【0056】
(実施例9)実施例1から(D)成分を変更
「エピクロンEXA835LV」40質量部、「TSL8161D」1.0質量部、「プレンアクトAL−M」0.1質量部、「HXA9322HP」10質量部、「PEMP」50質量部を混合し、ハイブリッドミキサーで攪拌・脱泡することによって樹脂組成物iを作製した。
【0057】
(実施例10)実施例1から(D)成分を変更
「エピクロンEXA835LV」40質量部、「TSL8161D」1.0質量部、「プレンアクトAL−M」0.1質量部、「HXA9322HP」10質量部、「MEH8005」50質量部を混合し、ハイブリッドミキサーで攪拌・脱泡することによって樹脂組成物jを作製した。
【0058】
(実施例11)実施例1から(A)成分を変更
「CDMDG」40質量部、「TSL8161D」1.0質量部、「プレンアクトAL−M」0.1質量部、「HXA9322HP」10質量部、「TS−G」50質量部を混合し、ハイブリッドミキサーで攪拌・脱泡することによって樹脂組成物kを作製した。
【0059】
(実施例12)実施例1から(A)成分を変更
「ライトアクリレートDCP−A」40質量部、「TSL8161D」1.0質量部、「プレンアクトAL−M」0.1質量部、「HXA9322HP」10質量部、「TS−G」50質量部を混合し、ハイブリッドミキサーで攪拌・脱泡することによって樹脂組成物lを作製した。
【0060】
(比較例1)(C2)成分なし
「エピクロンEXA835LV」40質量部、「HXA9322HP」10質量部、「AL A」0.1質量部、「TS−G」50質量部を混合し、ハイブリッドミキサーで攪拌・脱泡することによって樹脂組成物mを作製した。
【0061】
(比較例2)(C2)成分なし
「エピクロンEXA835LV」40質量部、「HXA9322HP」10質量部、「プレンアクトAL−M」0.1質量部、「TS−G」50質量部を混合し、ハイブリッドミキサーで攪拌・脱泡することによって樹脂組成物nを作製した。
【0062】
(比較例3)(C1)成分なし
「エピクロンEXA835LV」40質量部、「HXA9322HP」10質量部、「TSL8161D」1.0質量部、「TS−G」50質量部を混合し、ハイブリッドミキサーで攪拌・脱泡することによって樹脂組成物oを作製した。
【0063】
(比較例4)(C)成分なし
「エピクロンEXA835LV」40質量部、「HXA9322HP」10質量部、「TS−G」50質量部を混合し、ハイブリッドミキサーで攪拌・脱泡することによって樹脂組成物pを作製した。
【0064】
(増粘倍率の算出)
樹脂組成物を作製した直後(表1では0hで示す)、24時間経過後、48時間経過後における粘度を測定した。そして、作製直後の粘度を1.0とした場合の粘度変化の割合を増粘倍率として算出した。増粘倍率が大きく増加する場合、時間経過と共に樹脂組成物の粘度が高くなっていることを示す。従って、接着剤として使用できない状態に近づいているといえる。逆に、増粘倍率の変化が少ない場合には、時間経過によって粘度の変化が起きていないことを示す。従って、接着剤として使用できる状態が続いているといえる。すなわち、増粘倍率の変化が少ない場合には、ポットライフが長いといえる。
【0066】
表1に示したように、(C)成分を含む実施例1〜12の樹脂組成物は、48時間経過後の増粘倍率が作製直後の増粘倍率からほとんど変化していない。すなわち、48時間後であっても接着剤として使用可能な状態を保っているといえる。さらに、実施例1〜12から明らかなように、安定化効果は、特に(C2)成分を(C1)成分100質量部に対して200〜12000質量部加えたものにおいて顕著である。
【0067】
一方、(C1)及び/または(C2)成分を含まない比較例1〜4の樹脂組成物の場合、増粘倍率は、24時間後には作製直後の値よりも3倍以上に増加し、48時間後ではゲル化した。このようにゲル化した状態では接着剤として使用することができない。
【0068】
以上の結果から明らかなように、実施例1〜12の樹脂組成物は、比較例1〜4の樹脂組成物に比べ、少なくとも48時間という長時間のポットライフを有する。
【0069】
本発明の実施形態及び実施例を説明したが、これらは例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。