【文献】
舟木剛,分散電源用系統連系システムの実効値解析,システム/制御/情報,システム制御情報学会,2012年 7月15日,第56巻,第7号,pp. 348-354
【文献】
川上紀子 外3名,モジュラーマルチレベル変換器(MMC)の電力系統適用時の技術課題,平成28年電気学会全国大会講演論文集 第6分冊[CD−ROM],一般社団法人電気学会,2016年 3月 5日,pp. S10(21)-S10(24)
【文献】
佐野憲一朗 外4名,モジュラーマルチレベル変換器のゲートブロック中の現象解析を可能とした瞬時値解析用平均値モデル,平成26年電気学会全国大会講演論文集 第6分冊[CD−ROM],一般社団法人電気学会,2014年 3月 5日,pp. 333-334
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の三相インバータ瞬時値解析装置1の概略構成図である。
図2は、第1実施形態の三相インバータ瞬時値解析装置1の変換器制御部M3などの詳細図である。
図1および
図2に示す例では、三相インバータ瞬時値解析装置1が、解析モデルMを用いることによって、三相インバータの瞬時値(特には、瞬時値電圧および瞬時値電流)を解析する。解析モデルMは、三相インバータ主回路MMの交流端子側部M1と、三相インバータ主回路MMの直流端子側部M2と、変換器制御部M3と、直流電流算出部M4とを備えている。
図1および
図2に示す例では、三相インバータ主回路MMがシミュレーション装置において実現されるが、他の例では、三相インバータの実機を用いて三相インバータ主回路MMを実現してもよい。
【0019】
図1および
図2に示す例では、交流端子側部M1が、第1交流端子M11と、第2交流端子M12と、第3交流端子M13と、配線ML1と、配線ML2と、配線ML3と、配線ML4と、電流源M14と、電流源M15と、電圧計M16と、電圧計M17とを備えている。
配線ML1は、第1交流端子M11と第2交流端子M12とを接続している。電流源M14は、配線ML1に配置されている。配線ML2は、第2交流端子M12と第3交流端子M13とを接続している。電流源M15は、配線ML2に配置されている。
配線ML3は、第1交流端子M11と第2交流端子M12とを接続しており、配線ML1に並列に接続されている。電圧計M16は、配線ML3に配置されており、第1交流端子M11と第2交流端子M12との間の交流電圧v
uvを検出する。
配線ML4は、第2交流端子M12と第3交流端子M13とを接続しており、配線ML2に並列に接続されている。電圧計M17は、配線ML4に配置されており、第2交流端子M12と第3交流端子M13との間の交流電圧v
vwを検出する。
【0020】
図1および
図2に示す例では、直流端子側部M2が、第1直流端子M21と、第2直流端子M22と、配線ML5と、配線ML6と、電流源M23と、電圧計M24と、コンデンサM25とを備えている。
配線ML5は、第1直流端子M21と第2直流端子M22とを接続している。電流源M23は、配線ML5に配置されている。電流源M23は、直流電流i
dcを直流端子側部M2に注入する。配線ML6は、第1直流端子M21と第2直流端子M22とを接続しており、配線ML5に並列に接続されている。電圧計M24は、配線ML6に配置されており、第1直流端子M21と第2直流端子M22との間の直流電圧v
dcを検出する。コンデンサM25は、第1直流端子M21と第2直流端子M22との間に配置され、電流源M23および電圧計M24に並列に接続されている。
【0021】
図1および
図2に示す例では、変換器制御部M3が、三相インバータ主回路MMを制御する。変換器制御部M3は、位相検出器M31と、交流電流指令値算出部M32と、交流電流指令値算出部M33と、位相補正量算出部M34と、位相補正量加算部M35とを備えている。
交流電流指令値算出部M32は、有効・無効電力制御器M32aである。有効・無効電力制御器M32aは、d−q座標系の交流電流の指令値i
d*、i
q*を算出する。d−q座標系の交流電流の指令値i
d*、i
q*は、交流電流指令値算出部M33に入力される。
交流電流指令値算出部M33は、abc−dq逆変換部M33aである。abc−dq逆変換部M33aは、d−q座標系の交流電流の指令値i
d*、i
q*から、abc−dq逆変換によって、a−b−c座標系の交流電流の指令値i
u*、i
v*、i
w*を算出する。指令値i
u*と指令値i
v*と指令値i
w*との和は、ゼロである。つまり、三相インバータが出力する三相の交流電流値の和はゼロに保持されるため、U相とW相とに電流源M14、M15を接続すれば,残りのV相の交流電流値も決定される。
【0022】
図1および
図2に示す例では、電圧計M16は、直流電圧が第1直流端子M21と第2直流端子M22との間に入力されることによって、第1交流端子M11と第2交流端子M12との間に発生する交流電圧v
uvを検出する。電圧計M17は、直流電圧が第1直流端子M21と第2直流端子M22との間に入力されることによって、第2交流端子M12と第3交流端子M13との間に発生する交流電圧v
vwを検出する。交流電圧v
uvおよび交流電圧v
vwは、位相検出器M31に入力される。
位相検出器M31は、交流電圧v
uvと交流電圧v
vwとに基づいて交流電圧位相θsを検出する。
交流電流指令値算出部M33は、基本的に、交流電圧位相θsに基づいて、交流電流の指令値i
u*および交流電流の指令値i
w*を算出する。
直流電流算出部M4は、エネルギー保存則に基づいて(すなわち、交流端子側部M1と直流端子側部M2とでエネルギー保存則が成り立つように)、直流電流i
dcを算出する。つまり、直流電流算出部M4は、交流電流の指令値i
u*と電圧v
uvとの積v
uvi
u*と、交流電流の指令値i
w*と電圧v
vwとの積v
vwi
w*との和(v
uvi
u*+v
vwi
w*)が、直流電流i
dcと電圧v
dcとの積v
dci
dcと等しくなるように、直流電流i
dcを算出する。
電流源M14は、指令値i
u*に基づいて、交流電流を交流端子側部M1に注入し、電流源M15は、指令値i
w*に基づいて、交流電流を交流端子側部M1に注入する。電流源M23は、算出された直流電流i
dcを注入する。
【0023】
第1実施形態の三相インバータ瞬時値解析装置1では、例えば計算負荷の抑制、所要計算時間の短縮などの目的のために、変換器制御部M3における計算時間刻み(計算時間間隔)が、他の電力設備と同程度の大きい値に設定されている。
そのため、ある時間(時刻)に得られた交流電圧位相θsの値は、次の指令値i
u*、i
w*を算出するための交流電流指令値算出部M33の次の計算時には、既に古い値になってしまっており(つまり、1計算時間刻み分だけ遅延してしまっており、)、次の計算時における交流電圧位相θsの真の値とは異なっている。
従って、次の指令値i
u*、i
w*を算出するための交流電流指令値算出部M33の次の計算時に、仮に、交流電流指令値算出部M33が、交流電圧位相θsの値(つまり、古い値)に基づいて次の指令値i
u*、i
w*を算出すると、算出された次の指令値i
u*、i
w*には、誤差が含まれてしまう。
そこで、第1実施形態の三相インバータ瞬時値解析装置1では、後述するように、次の指令値i
u*、i
w*を算出するための交流電流指令値算出部M33の次の計算時に、交流電流指令値算出部M33は、交流電圧位相θsを補正したものに基づいて次の指令値i
u*、i
w*を算出する。
【0024】
図1および
図2に示す例では、位相補正量算出部M34が、交流電圧位相θsを補正する位相補正量2πf△tを算出する。fは交流端子側部M1における基本波周波数であり、△tは変換器制御部M3における計算時間刻みである。位相補正量加算部M35は、交流電圧位相θsと位相補正量2πf△tとを加算し(つまり、位相を予め進めておき)、合計値(θs+2πf△t)を算出する。その結果、変換器制御部M3から三相インバータ主回路MMへ信号を受け渡す際の遅延時間が補正され、計算誤差の発生(詳細には、三相インバータの出力電流の位相遅れ)を抑制することができる。
交流電流指令値算出部M33は、a−b−c座標系の交流電流の指令値i
u*、i
v*、i
w*を前回算出した時刻から計算時間刻みに相当する時間が経過した時刻である次の計算時に、合計値(θs+2πf△t)と、d−q座標系の交流電流の指令値i
d*、i
q*とに基づいて、a−b−c座標系の交流電流の指令値i
u*、i
v*、i
w*を算出する。
【0025】
図3は、第1実施形態による三相インバータ瞬時値解析方法の一例を示すフローチャートである。
図3に示す例では、ステップS1において、三相インバータ瞬時値解析装置1が、初期値の設定を行い、直流電圧を第1直流端子M21と第2直流端子M22との間に入力する。この時、電流源M14、M15による交流電流の注入量はゼロに設定され、電流源M23による直流電流の注入量はゼロに設定される。
次いで、ステップS2では、三相インバータ瞬時値解析装置1が、電圧v
uv、v
vw、v
dcを計算する。具体的には、電圧計M16が交流電圧v
uvを検出し、電圧計M17が交流電圧v
vwを検出し、電圧計M24が直流電圧v
dcを検出する。
次いで、ステップS3では、位相検出器M31が、交流電圧v
uvと交流電圧v
vwとに基づいて交流電圧位相θsを検出する。
次いで、ステップS4では、位相補正量算出部M34が、交流電圧位相θsを補正する位相補正量2πf△tを算出する。
次いで、ステップS5では、交流電流指令値算出部M33が、交流電圧位相θsと位相補正量2πf△tとの合計値(θs+2πf△t)と、d−q座標系の交流電流の指令値i
d*、i
q*とに基づいて、a−b−c座標系の交流電流の指令値i
u*、i
v*、i
w*を算出する。
次いで、ステップS6では、直流電流算出部M4が、エネルギー保存則(v
uvi
u*+v
vwi
w*=v
dci
dc)と、指令値i
u*と、指令値i
w*とから直流電流i
dcを算出する。
次いで、ステップS7では、変換器制御部M3が、次の計算があるか否か、つまり、交流電流指令値算出部M33によるa−b−c座標系の交流電流の指令値i
u*、i
v*、i
w*の次の算出があるか否かを判定する。YESの場合にはステップS8に進み、NOの場合には、
図3に示すルーチンを終了する。
ステップS8では、電流源M14が、指令値i
u*に基づいて、交流電流を交流端子側部M1に注入し、電流源M15は、指令値i
w*に基づいて、交流電流を交流端子側部M1に注入する。電流源M23は、直流電流i
dcを直流端子側部M2に注入する。次いで、ステップS2に戻る。
【0026】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態の三相インバータ瞬時値解析装置1について説明する。第2実施形態の三相インバータ瞬時値解析装置1は、後述する点を除き、第1実施形態の三相インバータ瞬時値解析装置1と同様に構成されている。従って、第2実施形態の三相インバータ瞬時値解析装置1によれば、後述する点を除き、第1実施形態の三相インバータ瞬時値解析装置1と同様の効果を奏することができる。
【0027】
図4は、第2実施形態の三相インバータ瞬時値解析装置1の概略構成図である。
図5は、第2実施形態の三相インバータ瞬時値解析装置1の変換器制御部M3などの詳細図である。
上述したように、
図1および
図2に示す例では、直流端子側部M2が、第1直流端子M21と、第2直流端子M22と、配線ML5と、配線ML6と、電流源M23と、電圧計M24と、コンデンサM25とを備えている。
一方、
図4および
図5に示す例では、直流端子側部M2が、第1直流端子M21と、第2直流端子M22と、配線ML5と、配線ML6と、配線ML7と、配線ML8と、配線ML9と、電流源M23と、電圧計M24と、コンデンサM25と、ダイオードM2a〜M2fとを備えている。
【0028】
図4および
図5に示す例では、配線ML7が、第1直流端子M21と第2直流端子M22とを接続している。直列接続されたダイオードM2a、M2bは、配線ML7に配置されている。ダイオードM2aとダイオードM2bとの中間位置Mabは、交流端子側部M1の第1交流端子M11に接続されている。
配線ML8は、第1直流端子M21と第2直流端子M22とを接続している。直列接続されたダイオードM2c、M2dは、配線ML8に配置されている。ダイオードM2cとダイオードM2dとの中間位置Mcdは、交流端子側部M1の第2交流端子M12に接続されている。
配線ML9は、第1直流端子M21と第2直流端子M22とを接続している。直列接続されたダイオードM2e、M2fは、配線ML9に配置されている。ダイオードM2eとダイオードM2fとの中間位置Mefは、交流端子側部M1の第3交流端子M13に接続されている。
【0029】
図4および
図5に示す例では、直流端子側部M2がダイオードM2a〜M2fを備えており、変換器制御部M3が、後述する乗算器M3a、M3b、M3cを備えているため、三相インバータ瞬時値解析装置1は、三相インバータがゲートブロックを行った場合における三相インバータの瞬時値を解析することができる。
【0030】
上述したように、
図1および
図2に示す例では、変換器制御部M3が、位相検出器M31と、交流電流指令値算出部M32と、交流電流指令値算出部M33と、位相補正量算出部M34と、位相補正量加算部M35とを備えている。
一方、
図4および
図5に示す例では、変換器制御部M3が、位相検出器M31と、交流電流指令値算出部M32と、交流電流指令値算出部M33と、位相補正量算出部M34と、位相補正量加算部M35と、乗算器M3a、M3b、M3cとを備えている。乗算器M3a、M3b、M3cには、三相インバータの動作状態を示す信号S
SWが入力される。三相インバータがスイッチングをしながら動作している場合には、信号S
SW=1が、乗算器M3a、M3b、M3cに入力される。三相インバータのゲートブロック中には、信号S
SW=0が、乗算器M3a、M3b、M3cに入力される。
【0031】
図4および
図5に示す例では、乗算器M3aが、信号S
SWに基づいて、三相インバータ主回路MMに入力される交流電流の指令値i
u*を切り替える。信号S
SW=1が乗算器M3aに入力される場合、交流電流指令値算出部M33によって算出された交流電流の指令値i
u*に1を乗算したもの(つまり、交流電流の指令値i
u*)が、三相インバータ主回路MMに入力される。その結果、電流源M14は、指令値i
u*に基づいて交流電流を交流端子側部M1に注入する。一方、信号S
SW=0が乗算器M3aに入力される場合、交流電流指令値算出部M33によって算出された交流電流の指令値i
u*にゼロを乗算したもの(つまり、ゼロの値)が、三相インバータ主回路MMに入力される。その結果、電流源M14は、交流電流を交流端子側部M1に注入しない。つまり、乗算器M3aは、電流源M14に対する指令値i
u*の入力を遮断する。
乗算器M3bは、信号S
SWに基づいて、三相インバータ主回路MMに入力される交流電流の指令値i
v*を切り替える。信号S
SW=1が乗算器M3bに入力される場合、交流電流指令値算出部M33によって算出された交流電流の指令値i
v*に1を乗算したもの(つまり、交流電流の指令値i
v*)が、三相インバータ主回路MMに入力される。一方、信号S
SW=0が乗算器M3bに入力される場合、交流電流指令値算出部M33によって算出された交流電流の指令値i
v*にゼロを乗算したもの(つまり、ゼロの値)が、三相インバータ主回路MMに入力される。
乗算器M3cは、信号S
SWに基づいて、三相インバータ主回路MMに入力される交流電流の指令値i
w*を切り替える。信号S
SW=1が乗算器M3cに入力される場合、交流電流指令値算出部M33によって算出された交流電流の指令値i
w*に1を乗算したもの(つまり、交流電流の指令値i
w*)が、三相インバータ主回路MMに入力される。その結果、電流源M15は、指令値i
w*に基づいて交流電流を交流端子側部M1に注入する。一方、信号S
SW=0が乗算器M3cに入力される場合、交流電流指令値算出部M33によって算出された交流電流の指令値i
w*にゼロを乗算したもの(つまり、ゼロの値)が、三相インバータ主回路MMに入力される。その結果、電流源M15は、交流電流を交流端子側部M1に注入しない。つまり、乗算器M3cは、電流源M15に対する指令値i
w*の入力を遮断する。
【0032】
図4および
図5に示す例では、三相インバータ主回路MMに入力される指令値i
u*、i
v*、i
w*の値がゼロの場合、交流端子側部M1の電流源M14、M15に流れる電流はゼロとなる。つまり、この場合には、
図4に示す三相インバータ主回路MMのうちのダイオードM2a〜M2fのみが、実質的に残る。三相インバータ主回路MMのうちのダイオードM2a〜M2fのみが実質的に残っている状態は、ゲートブロックされた三相インバータに相当する。
すなわち、
図4および
図5に示す例では、信号S
SW=0を乗算器M3a、M3b、M3cに入力することによって、ゲートブロック中の三相インバータの動作を模擬することができる。
【0033】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態の三相インバータ瞬時値解析装置1について説明する。第3実施形態の三相インバータ瞬時値解析装置1は、後述する点を除き、第1実施形態の三相インバータ瞬時値解析装置1と同様に構成されている。従って、第3実施形態の三相インバータ瞬時値解析装置1によれば、後述する点を除き、第1実施形態の三相インバータ瞬時値解析装置1と同様の効果を奏することができる。
【0034】
図6は、第3実施形態の三相インバータ瞬時値解析装置1の概略構成図である。詳細には、
図6(A)は、第3実施形態の三相インバータ瞬時値解析装置1の三相インバータ主回路MMの構成図である。
図6(B)は、
図6(A)に示す三相インバータ主回路MMのうちの三相インバータのスイッチング動作時に実質的に残っている部分を示す図である。
図6(C)は、
図6(A)に示す三相インバータ主回路MMのうちの三相インバータのゲートブロック時に実質的に残っている部分を示す図である。
図7は、第3実施形態の三相インバータ瞬時値解析装置1の変換器制御部M3などの詳細図である。
上述したように、
図1および
図2に示す例では、直流端子側部M2が、第1直流端子M21と、第2直流端子M22と、配線ML5と、配線ML6と、電流源M23と、電圧計M24と、コンデンサM25とを備えている。
一方、
図6および
図7に示す例では、直流端子側部M2が、第1直流端子M21と、第2直流端子M22と、配線ML5と、配線ML6と、配線ML7と、配線ML8と、配線ML9と、電流源M23と、第1直流端子M21と第2直流端子M22との間の直流電圧v
dcを検出する電圧計(図示せず)と、コンデンサM25と、ダイオードM2a〜M2fとを備えている。
【0035】
図6および
図7に示す例では、配線ML7が、第1直流端子M21と第2直流端子M22とを接続している。直列接続されたダイオードM2a、M2bは、配線ML7に配置されている。ダイオードM2aとダイオードM2bとの中間位置Mabは、交流端子側部M1のスイッチMS1を介して第1交流端子M11に接続されている。
配線ML8は、第1直流端子M21と第2直流端子M22とを接続している。直列接続されたダイオードM2c、M2dは、配線ML8に配置されている。ダイオードM2cとダイオードM2dとの中間位置Mcdは、交流端子側部M1のスイッチMS2を介して第2交流端子M12に接続されている。
配線ML9は、第1直流端子M21と第2直流端子M22とを接続している。直列接続されたダイオードM2e、M2fは、配線ML9に配置されている。ダイオードM2eとダイオードM2fとの中間位置Mefは、交流端子側部M1のスイッチMS3を介して第3交流端子M13に接続されている。
【0036】
図6および
図7に示す例では、三相インバータのスイッチング動作時に、直流電圧制御器M32bによって直流電圧が交流電圧より高い状態に保持される。このため、ダイオードM2a〜M2fは常時オフ状態になる。従って、
図6(A)に示す三相インバータ主回路MMは、
図6(B)に示す三相インバータ主回路MMとして動作する。このとき、交流端子側から見れば、電流源M14、M15、M23が現れる。
図6および
図7に示す例では、三相インバータのゲートブロック時に、電流源M14、M15、M23が出力する電流値はゼロになる。従って、
図6(C)に示すように、
図6(A)に示す三相インバータ主回路MMのうち、ダイオードM2a〜M2fのみが実質的に残っている状態になる。
図6(C)に示す回路は、三相インバータの実機におけるゲートブロック後の回路そのものである。
図6および
図7に示す例では、直流端子側部M2がダイオードM2a〜M2fを備えており、変換器制御部M3が、第2実施形態と同様に、乗算器M3a、M3b、M3cを備えているため、三相インバータ瞬時値解析装置1は、三相インバータがゲートブロックに移行した後の動作を模擬することができ、三相インバータがゲートブロックを行った場合における三相インバータの瞬時値を解析することができる。
【0037】
上述したように、
図1および
図2に示す例では、交流電流指令値算出部M32が、有効・無効電力制御器M32aである。
一方、
図6および
図7に示す例では、交流電流指令値算出部M32が、直流電圧制御器M32bと、計算部M32cと、無効電力制御器M32dと、計算部M32eとを備えている。
【0038】
図6および
図7に示す例では、電圧計M24によって検出された直流電圧v
dcと、直流電圧の指令値v
dc*とが、計算部M32cに入力される。計算部M32cは、直流電圧v
dcから直流電圧の指令値v
dc*を減算したもの(直流電圧v
dcと直流電圧の指令値v
dc*との差分)を、直流電圧制御器M32bに出力する。直流電圧制御器M32bは、PI制御を行うことによって、d−q座標系の交流電流の指令値i
d*(d軸成分)を算出する。つまり、直流電圧制御器M32bは、直流電圧v
dcと直流電圧の指令値v
dc*との差分に基づいて、d−q座標系の交流電流の指令値i
d*(d軸成分)を算出する。d−q座標系の交流電流の指令値i
d*は、交流電流指令値算出部M33に入力される。
無効電力の指令値q
ac*と、無効電力の検出値q
acとが、計算部M32eに入力される。計算部M32eは、無効電力の指令値q
ac*から無効電力の検出値q
acを減算したもの(無効電力の指令値q
ac*と無効電力の検出値q
acとの差分)を、無効電力制御器M32dに出力する。無効電力制御器M32dは、PI制御を行うことによって、d−q座標系の交流電流の指令値i
q*(q軸成分)を算出する。つまり、無効電力制御器M32dは、無効電力の指令値q
ac*と無効電力の検出値q
acとの差分に基づいて、d−q座標系の交流電流の指令値i
q*(q軸成分)を算出する。d−q座標系の交流電流の指令値i
q*は、交流電流指令値算出部M33に入力される。
【0039】
図6および
図7に示す例では、解析モデルMが、模擬対象とする周波数帯域を、基本波周波数に近い低周波帯域に絞り込む。そのため、
図6および
図7に示す例では、
図9に示す例よりも、計算時間刻みを大きく設定することができ、計算量を削減することができる。
図6および
図7に示す例では、直流電圧制御器M32bおよび無効電力制御器M32dで演算された指令値を、電流制御やパルス幅変調(PWM:pulse width modulation)を行わずに、電流源M14、M15によって交流端子側部M1に出力する。基本波周波数に近い低周波帯域の応動については、出力電流が電流指令値に対して十分によく追従できると見なす。
【0040】
(第1から第3実施形態の効果)
図10は、第1から第3実施形態の解析モデルMの定常特性などを示した図である。詳細には、
図10は、計算時間刻みが600μsに設定された第1から第3実施形態の解析モデルMの定常特性と、計算時間刻みが1μsに設定された
図8に示す従来の解析モデルRM1の定常特性と、計算時間刻みが40μsに設定された
図9に示す他の従来の解析モデルRM2の定常特性とを示した図である。
図10(A)の縦軸は解析モデルの定常時における連系点線間電圧(解析モデルの出力電圧)[V]を示している。
図10(B)の縦軸は解析モデルの定常時における連系点電流(解析モデルの出力電流)[A]を示している。
図10(C)の縦軸は解析モデルの定常時における連系点有効電力[pu]を示している。
図10(D)の縦軸は解析モデルの定常時における連系点無効電力[pu]を示している。
図10(E)の縦軸は解析モデルの定常時における直流端子電圧[V]を示している。
図10(A)〜
図10(E)の横軸は時間を示している。
図10(A)、
図10(B)、
図10(D)および
図10(E)に示すように、計算時間刻みが大きい値に設定された第1から第3実施形態の解析モデルMの定常時における連系点線間電圧[V]、連系点電流[A]、連系点無効電力[pu]および直流端子電圧[V]を、計算時間刻みが小さい値に設定された解析モデルRM1、RM2の定常時における連系点線間電圧[V]、連系点電流[A]、連系点無効電力[pu]および直流端子電圧[V]にほぼ一致させることができた。
【0041】
図11は、第1から第3実施形態の解析モデルMの位相急変時における特性などを示した図である。詳細には、
図11は、計算時間刻みが600μsに設定された第1から第3実施形態の解析モデルMの位相急変時における特性と、計算時間刻みが1μsに設定された
図8に示す従来の解析モデルRM1の位相急変時における特性と、計算時間刻みが40μsに設定された
図9に示す他の従来の解析モデルRM2の位相急変時における特性とを示した図である。
図11(A)の縦軸は解析モデルの位相急変時における連系点線間電圧(解析モデルの出力電圧)[V]を示している。
図11(B)の縦軸は解析モデルの位相急変時における連系点電流(解析モデルの出力電流)[A]を示している。
図11(C)の縦軸は解析モデルの位相急変時における連系点有効電力[pu]を示している。
図11(D)の縦軸は解析モデルの位相急変時における連系点無効電力[pu]を示している。
図11(E)の縦軸は解析モデルの位相急変時における直流端子電圧[V]を示している。
図11(A)〜
図11(E)の横軸は時間を示している。
図11に示す例では、時刻0.4[s]に、電源電圧に60度の位相の急変が与えられた。
図11(A)および
図11(B)に示すように、位相の急変から1電源周期経過後には、計算時間刻みが大きい値に設定された第1から第3実施形態の解析モデルMの連系点線間電圧[V]および連系点電流[A]を、計算時間刻みが小さい値に設定された解析モデルRM1、RM2の連系点線間電圧[V]および連系点電流[A]にほぼ一致させることができた。
【0042】
図12は、第2および第3実施形態の解析モデルMのゲートブロック時における特性などを示した図である。詳細には、
図12は、計算時間刻みが600μsに設定された第2および第3実施形態の解析モデルMのゲートブロック時における特性と、計算時間刻みが1μsに設定された
図8に示す従来の解析モデルRM1のゲートブロック時における特性と、計算時間刻みが40μsに設定された
図9に示す他の従来の解析モデルRM2のゲートブロック時における特性とを示した図である。
図12(A)の縦軸は解析モデルのゲートブロック時における連系点線間電圧(解析モデルの出力電圧)[V]を示している。
図12(B)の縦軸は解析モデルのゲートブロック時における連系点電流(解析モデルの出力電流)[A]を示している。
図12(C)の縦軸は解析モデルのゲートブロック時における連系点有効電力[pu]を示している。
図12(D)の縦軸は解析モデルのゲートブロック時における連系点無効電力[pu]を示している。
図12(E)の縦軸は解析モデルのゲートブロック時における直流端子電圧[V]を示している。
図12(A)〜
図12(E)の横軸は時間を示している。
図12に示す例では、時刻0.5[s]から時刻0.6[s]の間に、電源電圧が三相ともに90%低下した。三相インバータは、電圧低下を検出してゲートブロックし、電圧復帰後に再起動した。
図12(A)、
図12(B)、
図12(D)および
図12(E)に示すように、ゲートブロック中および電圧復帰後において、計算時間刻みが大きい値に設定された第2および第3実施形態の解析モデルMの連系点線間電圧[V]、連系点電流[A]、連系点無効電力[pu]および直流端子電圧[V]を、計算時間刻みが小さい値に設定された解析モデルRM1、RM2の連系点線間電圧[V]、連系点電流[A]、連系点無効電力[pu]および直流端子電圧[V]にほぼ一致させることができた。
【0043】
図13は、第1から第3実施形態の解析モデルMの電源電圧低下時における特性などを示した図である。詳細には、
図13は、計算時間刻みが600μsに設定された第1から第3実施形態の解析モデルMの電源電圧低下時における特性と、計算時間刻みが1μsに設定された
図8に示す従来の解析モデルRM1の電源電圧低下時における特性と、計算時間刻みが40μsに設定された
図9に示す他の従来の解析モデルRM2の電源電圧低下時における特性とを示した図である。
図13(A)の縦軸は解析モデルの電源電圧低下時における連系点線間電圧(解析モデルの出力電圧)[V]を示している。
図13(B)の縦軸は解析モデルの電源電圧低下時における連系点電流(解析モデルの出力電流)[A]を示している。
図13(C)の縦軸は解析モデルの電源電圧低下時における連系点有効電力[pu]を示している。
図13(D)の縦軸は解析モデルの電源電圧低下時における連系点無効電力[pu]を示している。
図13(E)の縦軸は解析モデルの電源電圧低下時における直流端子電圧[V]を示している。
図13(A)〜
図13(E)の横軸は時間を示している。
図13に示す例では、時刻0.5[s]から時刻0.6[s]の間に、電源電圧が三相ともに50%低下した。三相インバータは、事故時運転継続(FRT:Fault ride through)要件に対応して運転を継続した。
図13(A)、
図13(B)および
図13(D)に示すように、電源電圧低下中および電圧復帰後において、計算時間刻みが大きい値に設定された第1から第3実施形態の解析モデルMの連系点線間電圧[V]、連系点電流[A]および連系点無効電力[pu]を、計算時間刻みが小さい値に設定された解析モデルRM1、RM2の連系点線間電圧[V]、連系点電流[A]および連系点無効電力[pu]にほぼ一致させることができた。
【0044】
図14は、系統電圧が一相低下した場合における第1から第3実施形態の解析モデルMの特性などを示した図である。詳細には、
図14は、系統電圧が一相低下した場合における計算時間刻みが600μsに設定された第1から第3実施形態の解析モデルMの特性と、系統電圧が一相低下した場合における計算時間刻みが1μsに設定された
図8に示す従来の解析モデルRM1の特性と、系統電圧が一相低下した場合における計算時間刻みが40μsに設定された
図9に示す他の従来の解析モデルRM2の特性とを示した図である。
図14(A)の縦軸は系統電圧が一相低下した場合における解析モデルの連系点線間電圧(解析モデルの出力電圧)[V]を示している。
図14(B)の縦軸は系統電圧が一相低下した場合における解析モデルの連系点電流(解析モデルの出力電流)[A]を示している。
図14(C)の縦軸は系統電圧が一相低下した場合における解析モデルの連系点有効電力[pu]を示している。
図14(D)の縦軸は系統電圧が一相低下した場合における解析モデルの連系点無効電力[pu]を示している。
図14(E)の縦軸は系統電圧が一相低下した場合における解析モデルの直流端子電圧[V]を示している。
図14(A)〜
図14(E)の横軸は時間を示している。
図14に示す例では、時刻0.5[s]から時刻0.6[s]の間に、電源電圧が一相だけ50%低下した。
図14(A)、
図14(B)および
図14(D)に示すように、電源電圧低下中および電圧復帰後において、計算時間刻みが大きい値に設定された第1から第3実施形態の解析モデルMの連系点線間電圧[V]、連系点電流[A]および連系点無効電力[pu]を、計算時間刻みが小さい値に設定された解析モデルRM1、RM2の連系点線間電圧[V]、連系点電流[A]および連系点無効電力[pu]にほぼ一致させることができた。
【0045】
図15は、三相インバータに接続された太陽光発電設備の発電出力が変化した場合における第1から第3実施形態の解析モデルMの特性などを示した図である。詳細には、
図15は、太陽光発電設備の発電出力が変化した場合における計算時間刻みが600μsに設定された第1から第3実施形態の解析モデルMの特性と、太陽光発電設備の発電出力が変化した場合における計算時間刻みが1μsに設定された
図8に示す従来の解析モデルRM1の特性と、太陽光発電設備の発電出力が変化した場合における計算時間刻みが40μsに設定された
図9に示す他の従来の解析モデルRM2の特性とを示した図である。
図15(A)の縦軸は太陽光発電設備の発電出力が変化した場合における解析モデルの連系点線間電圧(解析モデルの出力電圧)[V]を示している。
図15(B)の縦軸は太陽光発電設備の発電出力が変化した場合における解析モデルの連系点電流(解析モデルの出力電流)[A]を示している。
図15(C)の縦軸は太陽光発電設備の発電出力が変化した場合における解析モデルの連系点有効電力[pu]を示している。
図15(D)の縦軸は太陽光発電設備の発電出力が変化した場合における解析モデルの連系点無効電力[pu]を示している。
図15(E)の縦軸は太陽光発電設備の発電出力が変化した場合における解析モデルの直流端子電圧[V]を示している。
図15(A)〜
図15(E)の横軸は時間を示している。
図15に示す例では、太陽光発電パネルの日射量が、時刻0.4[s]に20%から80%にステップ状に増加し、時刻0.6[s]に80%から20%にステップ状に低下した。
図15(A)、
図15(B)および
図15(D)に示すように、太陽光発電パネルの日射量の変化にかかわらず、計算時間刻みが大きい値に設定された第1から第3実施形態の解析モデルMの連系点線間電圧[V]、連系点電流[A]および連系点無効電力[pu]を、計算時間刻みが小さい値に設定された解析モデルRM1、RM2の連系点線間電圧[V]、連系点電流[A]および連系点無効電力[pu]にほぼ一致させることができた。
【0046】
図16は、三相インバータの緊急停止時における第2および第3実施形態の解析モデルMの特性などを示した図である。詳細には、
図16は、三相インバータの緊急停止時における計算時間刻みが600μsに設定された第2および第3実施形態の解析モデルMの特性と、三相インバータの緊急停止時における計算時間刻みが1μsに設定された
図8に示す従来の解析モデルRM1の特性と、三相インバータの緊急停止時における計算時間刻みが40μsに設定された
図9に示す他の従来の解析モデルRM2の特性とを示した図である。
図16(A)の縦軸は三相インバータの緊急停止時における解析モデルの連系点線間電圧(解析モデルの出力電圧)[V]を示している。
図16(B)の縦軸は三相インバータの緊急停止時における解析モデルの連系点電流(解析モデルの出力電流)[A]を示している。
図16(C)の縦軸は三相インバータの緊急停止時における解析モデルの連系点有効電力[pu]を示している。
図16(D)の縦軸は三相インバータの緊急停止時における解析モデルの連系点無効電力[pu]を示している。
図16(E)の縦軸は三相インバータの緊急停止時における解析モデルの直流端子電圧[V]を示している。
図16(A)〜
図16(E)の横軸は時間を示している。
図16に示す例では、時刻0.5[s]に三相インバータが緊急停止した。
図16(A)、
図16(B)および
図16(D)に示すように、三相インバータの緊急停止から第2および第3実施形態の解析モデルMの1計算時間刻み分だけ時間が経過した後において、計算時間刻みが大きい値に設定された第2および第3実施形態の解析モデルMの連系点線間電圧[V]、連系点電流[A]および連系点無効電力[pu]を、計算時間刻みが小さい値に設定された解析モデルRM1、RM2の連系点線間電圧[V]、連系点電流[A]および連系点無効電力[pu]にほぼ一致させることができた。
【0047】
上述したように、第1から第3の実施形態の三相インバータ瞬時値解析装置1によれば、従来の解析モデルRM1、RM2と比べて、計算時間刻みを大きく設定して解析を実施することができる。具体的には、
図8に示す解析モデルRM1において1μs、
図9に示す解析モデルRM2において40μs必要であった計算時間刻みを、第1から第3の実施形態の解析モデルMにおいては600μsとすることができる。それにより、計算時間を短縮することができる。
上述したように、第1から第3の実施形態の解析モデルMにおいて計算時間刻みを600μs程度とした場合であっても、三相インバータ瞬時値解析装置1は、実用上十分に小さい誤差で計算することができる。
【0048】
以上のように、第1から第3実施形態の三相インバータ瞬時値解析装置1は、解析モデルMを用いることによって、三相インバータの瞬時値を解析する三相インバータ瞬時値解析装置1であって、解析モデルMは、三相インバータ主回路MMの交流端子側部M1と、三相インバータ主回路MMの直流端子側部M2と、三相インバータ主回路MMを制御する変換器制御部M3と、直流電流算出部M4とを備え、交流端子側部M1は、第1交流端子M11と第2交流端子M12とを接続する配線ML1に配置された電流源M14と、第2交流端子M12と第3交流端子M13とを接続する配線ML2に配置された電流源M15とを備え、直流端子側部M2は、第1直流端子M21と第2直流端子M22とを接続する配線ML5に配置された電流源M23を備え、変換器制御部M3は、交流電流指令値算出部M33と、位相検出器M31と、位相補正量算出部M34とを備え、位相検出器M31は、直流電圧が第1直流端子M21と前記第2直流端子M22との間に入力されることによって発生する、第1交流端子M11と第2交流端子M12との間の電圧v
uvと、第2交流端子M12と第3交流端子M13との間の電圧v
vwとに基づいて、交流電圧位相θsを検出し、位相補正量算出部M34は、交流電圧位相θsを補正する位相補正量2πf△tを算出し、交流電流指令値算出部M33は、交流電圧位相θsと位相補正量2πf△tとを加算した合計値(θs+2πf△t)に基づいて、交流電流の指令値i
u*および交流電流の指令値i
w*を算出し、直流電流算出部M4は、指令値i
u*と電圧v
uvとの積v
uvi
u*と、指令値i
w*と電圧v
vwとの積v
vwi
w*との和(v
uvi
u*+v
vwi
w*)が、第3電流源M23によって注入される直流電流i
dcと、第1直流端子M21と第2直流端子M22との間の電圧v
dcとの積v
dci
dcと等しくなるように、直流電流i
dcを算出し、電流源M14は、指令値i
u*に基づいて、交流電流を交流端子側部M1に注入し、電流源M15は、指令値i
w*に基づいて、交流電流を交流端子側部M1に注入し、電流源M23は、直流電流i
dcを注入する。
【0049】
この構成によって、第1から第3実施形態では、計算時間刻みを大きく設定しても計算誤差を抑制することができる。
【0050】
なお、本発明における三相インバータ瞬時値解析装置1の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより解析を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0051】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0052】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。例えば、本実施形態に示した変形例等を、他の実施形態に適用することができる。