特許第6864548号(P6864548)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新日本無線株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6864548-半導体装置 図000002
  • 特許6864548-半導体装置 図000003
  • 特許6864548-半導体装置 図000004
  • 特許6864548-半導体装置 図000005
  • 特許6864548-半導体装置 図000006
  • 特許6864548-半導体装置 図000007
  • 特許6864548-半導体装置 図000008
  • 特許6864548-半導体装置 図000009
  • 特許6864548-半導体装置 図000010
  • 特許6864548-半導体装置 図000011
  • 特許6864548-半導体装置 図000012
  • 特許6864548-半導体装置 図000013
  • 特許6864548-半導体装置 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6864548
(24)【登録日】2021年4月6日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/45 20060101AFI20210419BHJP
   H03F 1/52 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   H03F3/45
   H03F1/52
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-92803(P2017-92803)
(22)【出願日】2017年5月9日
(65)【公開番号】特開2018-191163(P2018-191163A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2020年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】新日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大澤 衛
【審査官】 渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−011433(JP,A)
【文献】 特開2017−009340(JP,A)
【文献】 特開2007−166019(JP,A)
【文献】 米国特許第04158863(US,A)
【文献】 特表2014−516276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/52
H03F 3/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反転入力端子と非反転入力端子を備え前記反転入力端子と出力端子との間に帰還回路が接続される第1演算増幅回路と、該第1演算増幅回路の前記反転入力端子と前記非反転入力端子の一方に入力ノードが接続され他方に出力ノードが接続されるリーク電流補償回路と、を備える半導体装置において、
前記リーク電流補償回路は、非反転入力端子が前記入力ノードに接続される第2演算増幅回路と、該第2演算増幅回路の出力端子と高電位電源端子及び低電位電源端子との間に接続されるESD保護回路と、前記第2演算増幅回路の反転入力端子に一端が接続され前記第2演算増幅回路の前記出力端子に他端が接続される第1アンチパラレルダイオードと、前記出力ノードに一端が接続され前記第2演算増幅回路の前記出力端子に他端が接続され且つ前記第1アンチパラレルダイオードと同一特性の第2アンチパラレルダイオードと、一端が前記第2演算増幅回路の前記反転入力端子に接続され他端が前記第2演算増幅回路の前記出力端子に接続される第1キャパシタと、一端が前記出力ノードに接続され他端が前記第2演算増幅回路の前記出力端子に接続され前記第1キャパシタと同一特性の第2キャパシタと、を備え
前記ESD保護回路は、カソードが前記高電位電源端子に接続される第1ダイオードと、アノードが前記低電位電源端子に接続される第2ダイオードとからなり、前記第1ダイオードのアノードと前記第2ダイオードのカソードの共通接続点が前記第2演算増幅回路の前記出力端子に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1キャパシタは前記一端が第1抵抗を介して前記第2演算増幅回路の前記反転入力端子に接続され、前記第2キャパシタは前記一端が第2抵抗を介して前記出力ノードに接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第1キャパシタは前記他端が第3抵抗を介して前記第2演算増幅回路の前記出力端子に接続され、前記第2キャパシタは前記他端が第4抵抗を介して前記第2演算増幅回路の前記出力端子に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第2演算増幅回路の前記出力端子と前記ESD保護回路の前記共通接続点との間に第5抵抗が挿入接続され、前記第1アンチパラレルダイオードの前記他端と前記第2アンチパラレルダイオードの前記他端が前記ESD保護回路の前記共通接続点に接続され、前記第1キャパシタの前記他端と前記第2キャパシタの前記他端が前記第2演算増幅回路の前記出力端子に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1つに記載の半導体装置において、
前記リーク電流補償回路は、前記入力ノードが前記第1演算増幅回路の前記非反転入力端子に接続され、前記出力ノードが前記第1演算増幅回路の前記反転入力端子に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れか1つに記載の半導体装置において、
前記リーク電流補償回路は、前記入力ノードが前記第1演算増幅回路の前記反転入力端子に接続され、前記出力ノードが前記第1演算増幅回路の前記非反転入力端子に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1乃至4の何れか1つに記載の半導体装置において、
前記リーク電流補償回路として、前記入力ノードが前記第1演算増幅回路の前記非反転入力端子に接続され、前記出力ノードが前記第1演算増幅回路の前記反転入力端子に接続されている第1リーク電流補償回路と、前記入力ノードが前記第1演算増幅回路の前記反転入力端子に接続され、前記出力ノードが前記第1演算増幅回路の前記非反転入力端子に接続されている第2リーク電流補償回路が用いられていることを特徴とする半導体装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はESD保護回路が接続された増幅回路を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
演算増幅回路の特性に影響を与える要素として入力バイアス電流がある。入力バイアス電流は演算増幅回路の入力端子に流れる電流であり、入力端子に入力する信号を増幅する場合の誤差要因の1つとなる。通常、入力バイアス電流の小さな演算増幅回路が要求されるときは、MOS型半導体装置が使用される。MOS型半導体装置はゲ一トが絶縁体で構成されており、ゲ一トには電流が流れないためである。
【0003】
しかし、MOS型半導体装置で演算増幅回路を構成しても、入力バイアス電流をゼロにすることはできない。通常では、入力端子にはESD破壊を防ぐためのESD保護回路が接続されており、このESD保護回路の2個のダイオードのリーク電流の差分がその入力端子に流れるためである。このリーク電流は温度に依存して高温になるほど指数関数的に大きくなる。そこで、ESD保護回路に流れるリーク電流の影響を受けないようにする手法が提案されている。
【0004】
図9に従来のリーク電流補償回路を備えた半導体装置を示す。この半導体装置は、最高電位VDDが印加する高電位電源端子1と、最低電位VSSが印加する低電位電源端子4と、反転入力端子2に印加される電圧と非反転入力端子3に印加される電圧の差分を増幅して出力端子5に出力する第1演算増幅回路6と、第1、第2リーク電流補償回路10E1、10E2を有する。第1演算増幅回路6の反転入力端子2と出力端子5の間には帰還回路7が接続されている。
【0005】
第1リーク電流補償回路10E1は、入力ノード12が非反転入力端子3に接続され出力ノード13が反転入力端子2に接続され、内部のESD保護回路14により反転入力端子2に印加するESDを吸収すると共に、その反転入力端子2にリーク電流が流れないようにしている。第2リーク電流補償回路10E2は、第1リーク電流補償回路10E1と同一構成であり、入力ノード12が反転入力端子2に接続され出力ノード13が非反転入力端子3に接続されている。
【0006】
このように、第1、第2リーク電流補償回路10E1,10E2によって、反転入力端子2と非反転入力端子3をESDから保護すると共に、そこにリーク電流が流れないようにしている。
【0007】
第1リーク電流補償回路10E1は、非反転入力端子が入力ノード12に接続された第2演算増幅回路11を有する。その第2演算増幅回路11の出力端子と高電位電源端子1との間に接続されたダイオードD1及び低電位電源端子4との間に接続されたダイオードD2により、ESD回路14が構成されている。また、第2演算増幅回路11の反転入力端子と出力端子の間に第1アンチパラレルダイオードD3,D4が接続され、第2演算増幅回路11の出力端子と出力ノード13の間に第2アンチパラレルダイオードD5,D6が接続されている。ダイオードD3とダイオードD5、ダイオードD4とダイオードD6はそれぞれ同一特性である。出力ノード13に印加される静電気は、第2アンチパラレルダイオードD5,D6を介してESD保護回路14によって電源端子1,4へ放出される。第2リーク電流補償回路10E2も同じ構成であり、同様に動作する。
【0008】
図10図9の第1リーク電流補償回路10E1をP型半導体基板上に作成したときの等価回路である。この場合、P型半導体基板が低電位電源端子4に接続されるので、ダイオードD4のカソードとP型半導体基板との間に寄生ダイオーDaが生成され、ダイオードD6のカソードとP型半導体基板との間にも寄生ダイオードDbが生成される。なお、キャパシタCaは寄生素子で、ダイオードD4のカソードとP型半導体基板との間に生成される空乏層容量や、第2演算増幅回路11の入力容量及び配線容量で生成される。また、キャパシタCbも寄生素子で、ダイオードD6のカソードとP型半導体基板との間に生成される空乏層容量や配線容量、出力ノード13に接続される容量等で生成される。第2リーク電流補償回路10E2も同じP型半導体基板上に作成されるので、同様である。
【0009】
第1演算増幅回路6は、反転入力端子2と出力端子5との間に帰還回路7が接続されるので、負帰還作用によってその反転入力端子2と非反転入力端子3は同電位となる。また、第2演算増幅回路11は、出力端子と反転入力端子の間に第1アンチパラレルダイオードD3,D4が接続されているので、同様に、負帰還作用によってその反転入力端子と非反転入力端子は同電位となる。以上から、第1演算増幅回路6の反転入力端子2、非反転入力端子3、第2演算増幅回路11の反転入力端子、非反転入力端子はすべて同電位となる。
【0010】
このため、出力ノード13に接続される第2寄生ダイオードDbに印加される電圧と、第2演算増幅回路11の反転入力端子に接続される第1寄生ダイオードDaに印加される電圧は等しくなる。
【0011】
第1寄生ダイオードDaで発生するリーク電流は、第1アンチパラレルダイオードD3,D4を介して供給される。このとき、第1アンチパラレルダイオードD3,D4の両端に発生する電圧と等しい電圧が、第2アンチパラレルダイオードD5,D6の両端に印加される。このため、第1寄生ダイオードDaに流れるリーク電流と等しい電流が、第2アンチパラレルダイオードD5,D6を介して第2寄生ダイオードDbへ供給される。
【0012】
図10に示すように、ダイオードD3の逆方向電流をIa1、ダイオードD4の順方向電流をIa2、寄生ダイオードDaの逆方向電流をIa3、寄生キャパシタCaの電流をIa4とすると、ダイオードD3のアノードのノードの電流は、キルヒホッフの法則によって、
Ia1+Ia2+Ia3+Ia4=0 (1)
となる。
【0013】
また、ダイオードD5の逆方向電流をIb1、ダイオードD6の順方向電流をIb2、寄生ダイオードDbの逆方向電流をIb3、寄生キャパシタCbの電流をIb4とし、出力ノード13に流れるリーク電流をIrとすると、ダイオードD5のアノードのノードの電流は、キルヒホッフの法則によって、
Ib1+Ib2+Ib3+Ib4+Ir=0 (2)
となる。
【0014】
ダイオードD3〜D6,Da,Dbは同一特性、つまりD3=D5、D4=D6、Da=Dbであるので、Ia1=Ib1、Ia2=Ib2、Ia3=Ib3、Ia4=Ib4であり、この結果リーク電流Ir=0となり、出力ノード13に流れるリーク電流を0にすることができる。なお、ESD保護回路14のダイオードD1に付随する図示しない寄生ダイオードによりリーク電流が流れるが、このリーク電流は第2演算増幅回路11の出力端子で吸収され出力ノード13には影響を与えない。
【0015】
ところで、図9の構成では、第1リーク電流補償回路10E1において第2演算増幅回路11に第1アンチパラレルダイオードD3,D4で構成される負帰還ループが形成され、第2演算増幅回路11の出力信号の位相が第1アンチパラレルダイオードD3,D4と反転入力端子の寄生容量Caによって遅らされ、この遅れた信号が反転入力端子に帰還されるので、負帰還ループシステムの安定性が悪化して発振するおそれがあった。第2リーク電流補償回路10E2においても同様であった。
【0016】
この安定性の悪化は、図11に示すように、第1リーク電流補償回路10E1の第1アンチパラレルダイオードD3,D4に並列に第1キャパシタC1を接続した第1リーク電流補償回路10Fによって解決することができる。第2リーク電流補償回路10E2についても同様にして解決することができる。
【0017】
このように第1キャパシタC1を接続した場合は、出力ノード13に静的な電圧が入力されたときは、第2演算増幅回路11の出力端子の電圧も静的で、第1キャパシタC1に電流は流れないため、第1アンチパラレルダイオードD3,D4と同一構造の第2アンチパラレルダイオードD5,D6により、出力ノード13のリーク電流Irを0に補償することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、矩形波等の動的な電圧が出力ノード13に入力する場合は、リーク電流Irを0に補償することができない問題があった。それは、第2演算増幅回路11の出力電圧が動的になるため、図12に示すように、キャパシタC1に流れる電流Ia5が動的な電流となるためである。この電流Ia5は補償されないため、リーク電流Irが動的に増加する。矩形波電圧が入力された時の動的なリーク電流Irは次に示す手順により導くことができる。
【0019】
ダイオードD3のアノードのノードの電流は、キルヒホッフの法則によって、
Ia1+Ia2+Ia3+Ia4+Ia5=0 (3)
となる。
【0020】
出力ノード13に入力する矩形電圧の非連続点(時刻t=0)後の直流信号として扱うことができる時刻において、第2演算増幅回路11の反転入力端子の寄生キャパシタCa及び出力ノード13の寄生キャパシタCbには電流が流れないため、式(2)と式(3)を引算すると、Ia5=|−Ir|であり、電流の方向に注意して、リーク電流Irは、
Ia5=Ir (4)
となる。
【0021】
このリーク電流Irを求めるには、電流Ia5を求めればよく、時刻t>0において電流Ia5は、各ダイオードの飽和電流Isを用いて、以下のように表される。Is1はダイオードD3の飽和電流、Is2はダイオードD4の飽和電流、Is4は寄生ダイオードDaの飽和電流である。
Ia5+Is2・exp[(q/kT)×(1/C1)∫Ia5・dt−1]
=−(Is1+Is4) (5)
【0022】
この式(5)の解であるIa5が位相補償用キャパシタC1に流れる電流である。式(4)によりリーク電流Irの動的な変化を表している。図13図12の出力ノード13に矩形波電圧を入力した時のリーク電流Irの動的な変化のシミュレーション結果である。式(4)で示した通り、リーク電流Irと位相補償用キャパシタC1の電流Ia5は一致しており、式(5)で示された電流の変化の様子を表している。
【0023】
以上のように、図11に示したような位相補償用キャパシタC1を接続したリーク電流補償回路10Fでは、出力ノード13に入力する信号が動的な電圧であるときに、リーク電流が動的に変動する問題点があった。
【0024】
本発明の目的はこのような問題点を解消し、静的な入力電圧だけでなく動的な入力電圧に対してもリーク電流を補償した半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、反転入力端子と非反転入力端子を備え前記反転入力端子と出力端子との間に帰還回路が接続される第1演算増幅回路と、該第1演算増幅回路の前記反転入力端子と前記非反転入力端子の一方に入力ノードが接続され他方に出力ノードが接続されるリーク電流補償回路と、を備える半導体装置において、前記リーク電流補償回路は、非反転入力端子が前記入力ノードに接続される第2演算増幅回路と、該第2演算増幅回路の出力端子と高電位電源端子及び低電位電源端子との間に接続されるESD保護回路と、前記第2演算増幅回路の反転入力端子に一端が接続され前記第2演算増幅回路の前記出力端子に他端が接続される第1アンチパラレルダイオードと、前記出力ノードに一端が接続され前記第2演算増幅回路の前記出力端子に他端が接続され且つ前記第1アンチパラレルダイオードと同一特性の第2アンチパラレルダイオードと、一端が前記第2演算増幅回路の前記反転入力端子に接続され他端が前記第2演算増幅回路の前記出力端子に接続される第1キャパシタと、一端が前記出力ノードに接続され他端が前記第2演算増幅回路の前記出力端子に接続され前記第1キャパシタと同一特性の第2キャパシタと、を備え、前記ESD保護回路は、カソードが前記高電位電源端子に接続される第1ダイオードと、アノードが前記低電位電源端子に接続される第2ダイオードとからなり、前記第1ダイオードのアノードと前記第2ダイオードのカソードの共通接続点が前記第2演算増幅回路の前記出力端子に接続されていることを特徴とする。
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の半導体装置において、前記第1キャパシタは前記一端が第1抵抗を介して前記第2演算増幅回路の前記反転入力端子に接続され、前記第2キャパシタは前記一端が第2抵抗を介して前記出力ノードに接続されていることを特徴とする。
請求項3にかかる発明は、請求項2に記載の半導体装置において、前記第1キャパシタは前記他端が第3抵抗を介して前記第2演算増幅回路の前記出力端子に接続され、前記第2キャパシタは前記他端が第4抵抗を介して前記第2演算増幅回路の前記出力端子に接続されていることを特徴とする。
請求項4にかかる発明は、請求項2に記載の半導体装置において、前記第2演算増幅回路の前記出力端子と前記ESD保護回路の前記共通接続点との間に第5抵抗が挿入接続され、前記第1アンチパラレルダイオードの前記他端と前記第2アンチパラレルダイオードの前記他端が前記ESD保護回路の前記共通接続点に接続され、前記第1キャパシタの前記他端と前記第2キャパシタの前記他端が前記第2演算増幅回路の前記出力端子に接続されていることを特徴とする。
請求項5にかかる発明は、請求項1乃至4の何れか1つに記載の半導体装置において、前記リーク電流補償回路は、前記入力ノードが前記第1演算増幅回路の前記非反転入力端子に接続され、前記出力ノードが前記第1演算増幅回路の前記反転入力端子に接続されていることを特徴とする。
請求項6にかかる発明は、請求項1乃至4の何れか1つに記載の半導体装置において、前記リーク電流補償回路は、前記入力ノードが前記第1演算増幅回路の前記反転入力端子に接続され、前記出力ノードが前記第1演算増幅回路の前記非反転入力端子に接続されていることを特徴とする。
請求項7は、請求項1乃至4の何れか1つに記載の半導体装置において、前記リーク電流補償回路として、前記入力ノードが前記第1演算増幅回路の前記非反転入力端子に接続され、前記出力ノードが前記第1演算増幅回路の前記反転入力端子に接続されている第1リーク電流補償回路と、前記入力ノードが前記第1演算増幅回路の前記反転入力端子に接続され、前記出力ノードが前記第1演算増幅回路の前記非反転入力端子に接続されている第2リーク電流補償回路が用いられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、第1キャパシタと第2キャパシタに同一電流が流れるので、出力ノードに入力する電圧が静的な電圧ばかりでなく動的な電圧であっても、そこに流れるリーク電流を補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1実施例の半導体装置の回路図である。
図2図1の半導体装置のリーク電流補償回路の詳細回路図である。
図3図2のリーク電流補償回路のリーク電流とキャパシタの電流の特性図である。
図4】本発明の第2実施例のリーク電流補償回路の回路図である。
図5】本発明の第3実施例のリーク電流補償回路の回路図である。
図6】本発明の第4実施例のリーク電流補償回路の回路図である。
図7】本発明の第5実施例の半導体装置の回路図である。
図8】本発明の第6の実施例の半導体装置の回路図である。
図9】従来例の半導体装置の回路図である。
図10図9の半導体装置のリーク電流補償回路の詳細回路図である。
図11】別の従来例のリーク電流補償回路の回路図である。
図12図11の半導体装置のリーク電流補償回路の詳細回路図である。
図13図12のリーク電流補償回路のリーク電流とキャパシタの電流の特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1実施例>
図1は本発明の第1実施例の第1リーク電流補償回路10A1と第2リーク電流補償回路10A2を有する半導体装置を示す回路図である。第1リーク電流補償回路10A1は、最高電位VDDが印加する高電位電源端子1と、最低電位VSSが印加する低電位電源端子4と、非反転入力端子が入力ノード12に接続された第2演算増幅回路11と、その第2演算増幅回路11の反転入力端子と出力端子の間に接続された第1アンチパラレルダイオードD3,D4と、第2演算増幅回路11の出力端子と出力ノード13の間に接続された第2アンチパラレルダイオードD5,D6と、第2演算増幅回路11の出力端子と高電位電源端子1との間に接続されたダイオードD1及び第2演算増幅回路11の出力端子と低電位電源端子4との間に接続されたダイオードD2により構成されるESD保護回路14とを備える。ダイオードD3とダイオードD5、ダイオードD4とダイオードD6はそれぞれ同一特性である。さらに、第1アンチパラレルダイオードD3,D4には並列に位相補償用キャパシタC1が接続され、第2アンチパラレルダイオードD5,D6には並列にリーク電流補償用キャパシタC2が接続されている。リーク電流補償用キャパシタC2は位相補償用キャパシタC1と同一特性、つまり同一構造同一容量である。第1リーク電流補償回路10A2も第1リーク電流補償回路10A1と同じ構成である。
【0029】
第1リーク電流補償回路10A1の入力ノード12は非反転入力端子3に接続され、出力ノード13は反転入力端子2に接続される。また、第2リーク電流補償回路10A2の入力ノード12は反転入力端子2に接続され、出力ノード13は非反転入力端子3に接続される。反転入力端子2に印加されるESDは、第1リーク電流補償回路10A1の出力ノード13と第1リーク電流補償回路10A1の第2アンチパラレルダイオードD5,D6を介してESD保護回路14によって電源端子1,4へ放出される。非反転入力端子3に印加されるESDは、第2リーク電流補償回路10A2の出力ノード13と第2リーク電流補償回路10A2の第2アンチパラレルダイオードD5,D6を介してESD保護回路14によって電源端子1,4へ放出される。
【0030】
図2図1の半導体装置の第1リーク電流補償回路10A1をP型半導体基板上に作成したときの等価回路である。このとき、ダイオードD4とP型半導体基板との間に寄生ダイオーDaが生成され、ダイオードD6とP型半導体基板との間に寄生ダイオードDbが生成される。なお、キャパシタCaは寄生素子で、ダイオードD4のカソードとP型半導体基板との間に生成される空乏層容量や、第2演算増幅回路11の入力容量及び配線容量で生成される。また、キャパシタCbも寄生素子で、ダイオードD6のカソードとP型半導体基板との間に生成される空乏層容量や配線容量、出力ノード13に接続される容量等で生成される。第2リーク電流補償回路10A2も同様であるので、以下では第1リーク電流補償回路10A1を代表して説明する。
【0031】
入力ノード12には、そこに前記した第1演算増幅回路6の反転入力端子2が接続され、出力ノード13には非反転入力端子3が接続されているので、その第1演算増幅回路6の負帰還作用によってその入力ノード12と出力ノード13は同電位となる。また、第2演算増幅回路11は、出力端子と反転入力端子の間に第2アンチパラレルダイオードD3,D4が接続されているので、同様に、負帰還作用によってその第2演算増幅回路11の反転入力端子と非反転入力端子も同電位となる。
【0032】
このため、第1演算増幅回路6の反転入力端子2に接続される第2寄生ダイオードDbに印加される電圧と第2演算増幅回路11の反転入力端子に接続される第1寄生ダイオードDaに印加される電圧は等しくなる。
【0033】
第1寄生ダイオードDaで発生するリーク電流は、第1アンチパラレルダイオードD3,D4を介して供給される。このとき、第1アンチパラレルダイオードD3,D4の両端に発生する電圧と等しい電圧が、第2アンチパラレルダイオードD5,D6の両端に印加される。このため、第1寄生ダイオードDaに流れるリーク電流と等しい電流が、第2アンチパラレルダイオードD5,D6を介して第2寄生ダイオードDbへ供給される。
【0034】
ここで、図2に示すように、ダイオードD3の逆方向電流をIa1,ダイオードD4の順方向電流をIa2、寄生ダイオードDaの逆方向電流をIa3、寄生キャパシタCaの電流をIa4、キャパシタC1の電流をIa5とする。また、ダイオードD5の逆方向電流をIb1、ダイオードD6の順方向電流をIb2、寄生ダイオードDbの逆方向電流をIb3、寄生キャパシタCbの電流をIb4、キャパシタC2に流れる電流をIb5とし、出力ノード13に流れるリーク電流をIrとする。
【0035】
これによって、ダイオードD3のアノードのノードの電流は、キルヒホッフの法則によって、
Ia1+Ia2+Ia3+Ia4+Ia5=0 (6)
となり、ダイオードD5のアノードのノードの電流は、キルヒホッフの法則によって、
Ib1+Ib2+Ib3+Ib4+Ib5+Ir=0 (7)
となる。ダイオードD3〜D6、Da,Dbは同一特性であり、Ia1=Ib1、Ia2=Ib2、Ia3=Ib3、Ia4=Ib4、Ia5=Ib5であるので、リーク電流Ir=0となり、出力ノード13から反転入力端子2に流れるリーク電流をキャンセルすることができる。
【0036】
出力ノード13で発生する動的なリーク電流は、第1アンチパラレルダイオードD3,D4及びキャパシタC1に動的に流れる電流と、第2アンチパラレルダイオードD5,D6及びキャパシタC2に動的に流れる電流の差により発生するが、その差をなくすことでリーク電流を補償できる。
【0037】
静的および動的な電圧に対して、第2演算増幅回路11の反転入力端子に接続される位相補償用キャパシタC1とリーク電流補償回路10A1の出力ノード13に接続されるリーク電流補償キャパシタC2の両端電圧が等しくなる。キャパシタC1とキャパシタC2が同一構造であれば、キャパシタC1に流れる過渡電流Ia5とキャパシタC2に流れる過渡電流Ib5は等しくなる。
【0038】
図3に入力信号として矩形波電圧を入力したときのリーク電流IrとキャパシタC1,C2の電流Ia5,Ib5の波形を示す。リーク電流Ir=0となり、キャパシタC1に流れる電流Ia5とキャパシタC2に流れる電流Ib5は同じである。
【0039】
以上のことから、図1の第1リーク電流補償回路10A1を持つ半導体装置は、同一構造の位相補償用のキャパシタC1とリーク電流補償用のキャパシタC2を備えることによって、静的な電圧だけでなく、動的な電圧に対しても反転入力端子2のリーク電流を補償できる。第2リーク電流補償回路10A2も同様に動作して、非反転入力端子3のリーク電流を補償できる。
【0040】
なお、N型基板上に半導体装置を構成した場合は、高電位電源端子1をカソードとする寄生ダイオードがダイオードD3,D5のアノード側にそれぞれ生成される。しかしこの場合でも、入力ノード12、出力ノード13、第2演算増幅回路11の反転入力端子と非反転入力端子は同一電位に制御されるので、ダイオードD3のアノード側の寄生ダイオードと、ダイオードD5のアノード側の寄生ダイオードに同じリーク電流が流れ、P型基板上に半導体装置を構成した場合と同様に、出力ノード13のリーク電流を補償できる。
【0041】
<第2実施例>
図4は第2実施例のリーク電流補償回路10Bを示す。本実施例では、位相補償用キャパシタC1と第2演算増幅回路11の反転入力端子との間に保護抵抗R1を挿入し、リーク電流補償用キャパシタC2と出力ノード13との間に保護抵抗R2を挿入している。保護抵抗R1,R2は同一構造同一抵抗値である。このように保護抵抗R1,R2を挿入接続することにより、ESD印加によるキャパシタC1,C2の絶縁破壊や容量変動を防ぐことができる。
【0042】
このリーク電流補償回路10Bも、図1の半導体装置に適用するときは、入力ノード12を非反転入力端子3に接続し、出力ノード13を反転入力端子2に接続する第1リーク電流補償回路と、入力ノード12を反転入力端子2に接続し、出力ノード13を非反転入力端子2に接続する第2リーク電流補償回路として使用することができる。
【0043】
<第3実施例>
図5は第3実施例のリーク電流補償回路10Cを示す。本実施例では、位相補償用キャパシタC1の両側に直列に保護抵抗R1,R3を挿入し、リーク電流補償用キャパシタC2の両側に直列に保護抵抗R2,R4を挿入している。保護抵抗R1,R2は同一構造同一抵抗値である。また、保護抵抗R3,R4も同一構造同一抵抗値である。
【0044】
このように保護抵抗R1〜R4を挿入接続することにより、ESD印加によるキャパシタC1,C2の絶縁破壊や容量変動をより効果的に防ぐことができる。本実施例では、キャパシタC1,C2のESD耐性を第2実施例よりも高めることができる。
【0045】
このリーク電流補償回路10Cも、図1の半導体装置に適用するときは、入力ノード12を非反転入力端子3に接続し、出力ノード13を反転入力端子2に接続する第1リーク電流補償回路と、入力ノード12を反転入力端子2に接続し、出力ノード13を非反転入力端子2に接続する第2リーク電流補償回路として使用することができる。
【0046】
<第4実施例>
図6は第4実施例のリーク電流補償回路10Dを示す。本実施例では、図4で説明したリーク電流補償回路10Bにおいて、演算増幅回路11の出力端子とESD保護回路14の間に直列に保護抵抗R5を挿入接続する。また、位相補償用キャパシタC1とリーク電流補償用キャパシタC2の共通接続点を、抵抗R5と第2演算増幅回路11の出力端子の共通接続点に接続する。さらに、第1及び第2アンチパラレルダイオードD3〜D6の共通接続点を、抵抗R5とESD保護回路14との共通接続点に接続する。
【0047】
本実施例によれば、ESD印加による第2演算増幅回路11の出力トランジスタの破壊および特性変動を防ぐことができる。また、図5のリーク電流補償回路10Cにおける保護抵抗R3,R4を保護抵抗R5によって共通化できるので、素子数を削減して回路面積を小さくすることができる。
【0048】
このリーク電流補償回路10Dも、図1の半導体装置に適用するときは、入力ノード12を非反転入力端子3に接続し、出力ノード13を反転入力端子2に接続する第1リーク電流補償回路と、入力ノード12を反転入力端子2に接続し、出力ノード13を非反転入力端子2に接続する第2リーク電流補償回路として使用することができる。
【0049】
<第5実施例>
図7は第5実施例の半導体装置を示す。本実施例は、反転入力端子2のESD保護を第1リーク電流補償回路10A1内のESD保護回路14によって行い、非反転入力端子3のESD保護はESD保護回路8によって行うようにしたものである。ESD保護回路8は、カソードが高電位電源端子1に接続されアノードが非反転入力端子3に接続されたダイオードD7と、カソードが非反転入力端子3に接続されアノードが低電位電源端子4に接続されたダイオードD8とで構成されている。
【0050】
本実施例は、非反転入力端子3のリーク電流補償が不要な場合に適用できる。なお、リーク電流補償回路10A1に代えて、図4のリーク電流補償回路10B、図5のリーク電流補償回路10C、図6のリーク電流補償回路10Dを使用することもできる。
【0051】
<第6実施例>
図8は第6実施例の半導体装置を示す。本実施例は、非反転入力端子3のESD保護を第2リーク電流補償回路10A2内のESD保護回路14によって行い、反転入力端子2のESD保護はESD保護回路9によって行うようにしたものである。ESD保護回路9は、カソードが高電位電源端子1に接続されアノードが反転入力端子2に接続されたダイオードD9と、カソードが反転入力端子2に接続されアノードが低電位電源端子4に接続されたダイオードD10とで構成されている。
【0052】
本実施例は、反転入力端子2のリーク電流補償が不要な場合に適用できる。なお、リーク電流補償回路10A2に代えて、図4のリーク電流補償回路10B、図5のリーク電流補償回路10C、図6のリーク電流補償回路10Dを使用することもできる。
【符号の説明】
【0053】
1:高電位電源端子、2:反転入力端子、3:非反転入力端子、4:低電位電源端子、5:出力端子、6:演算増幅回路、7:帰還回路、8,9:ESD保護回路
10A〜10F:リーク電流補償回路、11:演算増幅回路、12:入力ノード、13:出力ノード、14:ESD保護回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13