(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
フリーラジカル(又はラジカル)を素子へと送達する技術が開示される。フリーラジカルは素子の表面上に集まるデブリと結合し、それによってデブリを表面から除去し素子を清浄化する。フリーラジカルは、素子がその動作環境から取り外されることなく清浄化されることを可能にするフリーラジカル搬送システムによって、素子へと送達される。
【0021】
フリーラジカルとは、不対価電子又は開電子殻を持つ原子、分子、又はイオンであり、したがってダングリング共有結合を有するものと見なされ得る。ダングリング結合はフリーラジカルを化学的に高反応性にすることができる。すなわち、フリーラジカルは他の物質と容易に反応し得る。フリーラジカルは、その反応特性により、オブジェクトから物質(デブリなど)を除去するために使用可能である。フリーラジカルは、例えばデブリのエッチング、デブリとの反応、及び/又はデブリの燃焼によって、デブリを除去することができる。
【0022】
レーザ生成プラズマ(LPP)極端紫外(EUV)光源においては、ターゲット混合物が増幅光ビームで照射され、EUV光を放出するプラズマへと変換される。プラズマ生成プロセスは、粒子、蒸気残留物、又はターゲット混合物中の物質片という形態でデブリも生成する。このデブリは、プラズマの経路中のオブジェクトの表面上に堆積し得る。例えば、ターゲット混合物はスズなどの溶融金属を含むことがあり、スズ粒子がプラズマの経路中にあるコレクタミラー上に堆積し得る。
【0023】
スズデブリの存在はコレクタミラーの性能を低下させ得ることから、ミラーを清浄化することはシステム性能にとって有益であり得る。しかしながら、コレクタミラー(及び/又はプラズマの経路中の他の素子)は、真空チャンバの内側に特定の光学アライメントで位置している。清浄化のためにコレクタミラーをEUV光源から取り外すことは、システム時間の損失を引き起こし得る。本明細書に開示される搬送システムは、フリーラジカル源から真空チャンバの内側にある素子へとフリーラジカルを送達する。フリーラジカルをコレクタミラー又はデブリによる影響を被るEUV光源内の他の素子へと送達することによって、素子は、EUV光源から取り外されることなく、フリーラジカルへの曝露により清浄化可能である。
【0024】
フリーラジカルは、例えばマイクロ波プラズマ発生器によって生成され得る。しかしながら、フリーラジカルは多くの材料、特に金属と容易に結合可能であるため、ラジカルを発生地点からフリーラジカル源とは別のより大きなシステム(EUV光源など)の内側にある清浄化の場所へと搬送することは困難であり得る。
【0025】
後述するように、容易にフリーラジカルと結合しない材料から作製され、且つフリーラジカルの移動も促進しつつ源と清浄化対象の素子との間の距離にわたって延びることを可能にする形状を有する搬送システムを形成することによって、フリーラジカルは、清浄化対象の素子をフリーラジカル源の場所に移転させることなく、外部のフリーラジカル源から清浄化対象の素子へと送達されることができる。すなわち、素子はその動作環境から取り外されることなく清浄化され得る。
【0026】
フリーラジカル搬送システムについて述べる前に、EUV光源について述べる。
【0027】
図1Aを参照すると、LPP EUV光源100が示されている。LPP EUV光源100はフリーラジカル搬送システム200を含む。搬送システム200は源100の一部として示されている。しかしながら、搬送システム200は、源100から取り外されこの源に再挿入されてもよい。フリーラジカル搬送システム200について述べる前に、EUV光源100について述べる。フリーラジカル搬送システム200については、
図2A以降で詳細に述べる。
【0028】
LPP EUV光源100は、ターゲット混合物114をターゲット位置105において、ターゲット混合物114に向かうビーム経路に沿って進む増幅光ビーム110で照射することによって形成される。照射箇所とも称されるターゲット位置105は、真空チャンバ130の内部107にある。増幅光ビーム110がターゲット混合物114に当たると、ターゲット混合物114中のターゲット材は、EUV領域に輝線がある元素を有するプラズマ状態に変換される。創出されたプラズマは、ターゲット混合物114中のターゲット材の組成に応じた一定の特徴を有する。これらの特徴は、プラズマにより生成されたEUV光の波長と、プラズマから放出されたデブリの種類及び量とを含み得る。
【0029】
光源100は、液滴、液流、固体粒子又はクラスタ、液滴に含まれた固体粒子又は液流に含まれた固体粒子という形態のターゲット混合物114を送達し、制御し、誘導する、ターゲット材送達システム125も含む。ターゲット混合物114は、例えば水、スズ、リチウム、キセノン、又はプラズマ状態に変換されたときにEUV領域に輝線を有する任意の材料などのターゲット材を含む。例えば、スズ元素は、純スズ(Sn)として;SnBr
4,SnBr
2,SnH
4などのスズ化合物として;スズ−ガリウム合金、スズ−インジウム合金、スズ−インジウム−ガリウム合金、又はこれらの合金の任意の組み合わせなどのスズ合金として、用いることができる。ターゲット混合物114は非ターゲット粒子などの不純物も含み得る。したがって、不純物が無い状態では、ターゲット混合物114はターゲット材のみから成る。ターゲット混合物114は、ターゲット材送達システム125によって、チャンバ130の内部107及びターゲット位置105へと送達される。
【0030】
光源100は駆動レーザシステム115を含み、このレーザシステムは、同レーザシステム115の単数又は複数の利得媒質における反転分布に起因して、増幅光ビーム110を生成する。光源100はレーザシステム115とターゲット位置105との間にビームデリバリシステムを含み、このビームデリバリシステムはビーム搬送システム120及び焦点アセンブリ122を含む。ビーム搬送システム120は、増幅光ビーム110をレーザシステム115から受光し、増幅光ビーム110を必要に応じて操向し修正し、増幅光ビーム110を焦点アセンブリ122へと出力する。焦点アセンブリ122は増幅光ビーム110を受光し、ビーム110をターゲット位置105に集束させる。
【0031】
いくつかの実装形態においては、レーザシステム115は、1つ以上の主パルス及び場合によっては1つ以上の先行パルスを提供する、1つ以上の光学増幅器、レーザ、及び/又はランプを含み得る。各光学増幅器は、所望の波長を高利得で光学的に増幅することのできる利得媒質と、励起源と、内部光学素子とを含む。光学増幅器は、レーザミラー又はレーザキャビティを形成する他のフィードバックデバイスを有していてもよく、有していなくてもよい。したがって、レーザシステム115は、たとえレーザキャビティが無い場合であっても、レーザ増幅器の利得媒質における反転分布に起因して、増幅光ビーム110を生成する。また、レーザシステム115は、レーザシステム115に十分なフィードバックを提供するためのレーザキャビティがある場合には、コヒーレントなレーザビームである増幅光ビーム110を生成し得る。「増幅光ビーム」という用語は、単に増幅されているのみで必ずしもコヒーレントなレーザ発振ではないレーザシステム115からの光と、増幅されており且つコヒーレントなレーザ発振でもあるレーザシステム115からの光とのうち、1つ以上を包含する。
【0032】
レーザシステム115内の光学増幅器は、利得媒質としてCO
2を含む充填ガスを含んでいてもよく、約9100乃至約11000nm、特に約10600nmの波長の光を、100以上の利得で増幅し得る。レーザシステム115における使用に適した増幅器及びレーザは、例えばDC又はRF励起により、例えば約9300nm又は約10600nmの放射線を生成し、例えば10kW以上の比較的高出力と、例えば40kHz以上の高いパルス繰り返し数とで動作する、パルスガス放電CO
2レーザデバイスなどのパルスレーザデバイスを含み得る。レーザシステム115内の光学増幅器は、レーザシステム115をより高出力で運転する際に使用可能な水などの冷却システムも含み得る。
【0033】
図1Bは例示的な駆動レーザシステム180のブロック図を示す。駆動レーザシステム180は源100の駆動レーザシステム115として使用可能である。駆動レーザシステム180は、3つの出力増幅器181,182,及び183を含む。出力増幅器181,182,及び183のいずれか又はすべては、内部光学素子(図示しない)を含み得る。
【0034】
光184は出力増幅器181から出力窓185を通って出射され、曲面ミラー186に反射される。反射後、光184は、空間フィルタ187を通過し、曲面ミラー188に反射され、入力窓189を通って出力増幅器182に入射する。光184は、出力増幅器182において増幅され、再誘導されて出力増幅器182から出力窓190を通り光191として外に出る。光191は、折り畳みミラー192によって増幅器183の方に誘導され、入力窓193を通って増幅器183に入射する。増幅器183は光191を増幅し、その光191を、出力ビーム195として、出力窓194を通して増幅器183の外へと誘導する。折り畳みミラー196は出力ビーム195を(ページから出ていく)上方に、ビーム搬送システム120の方へと誘導する。
【0035】
空間フィルタ187はアパーチャ197を定義し、このアパーチャは例えば約2.2mm乃至3mmの直径を有する円形であってもよい。曲面ミラー186及び188は、例えばそれぞれ約1.7m及び2.3mの焦点距離を有するオフアクシスパラボラミラーであってもよい。空間フィルタ187は、アパーチャ197が駆動レーザシステム180の焦点と一致するように位置決めされてもよい。
【0036】
再び
図1Aを参照すると、光源100は、増幅光ビーム110が通過してターゲット位置105に到達することを可能にするアパーチャ140を有するコレクタミラー135を含む。コレクタミラー135は、例えば、ターゲット位置105に第1焦点を、中間位置145(中間焦点とも称される)に第2焦点を有する楕円ミラーであってもよく、この第2焦点においてEUV光が光源100から出力され得るとともに例えば集積回路リソグラフィツール(図示しない)に入力され得る。光源100は、増幅光ビーム110がターゲット位置105に到達することを可能にしつつ焦点アセンブリ122及び/又はビーム搬送システム120に侵入するプラズマ生成デブリの量を減少させるようにコレクタミラー135からターゲット位置105に向かって先細になった、開放端を有する中空で円錐形のシュラウド150(例えばガス円錐)も含み得る。この目的のため、シュラウド内には、ターゲット位置105に向かって誘導されたガス流が提供されてもよい。
【0037】
光源100は、液滴位置検出フィードバックシステム156と、レーザ制御システム157と、ビーム制御システム158とに接続されたマスタコントローラ155も含み得る。光源100は1つ以上のターゲット又は液滴イメージャ160を含んでいてもよく、この液滴イメージャは、例えばターゲット位置105に対する液滴の位置を表す出力を提供するとともに、この出力を例えば、液滴位置及び軌道を計算することができる液滴位置検出フィードバックシステム156に提供する。この液滴位置及び軌道から、液滴単位又は平均で、液滴位置の誤差を計算することが可能である。したがって、液滴位置検出フィードバックシステム156は、液滴位置の誤差を、マスタコントローラ155への入力として提供する。よって、マスタコントローラ155は、レーザ位置、方向、及びタイミング補正信号を、例えばレーザタイミング回路を制御するために用いられ得るレーザ制御システム157、及び/又は、チャンバ130内のビーム焦点スポットの場所及び/又は焦点力を変更するようにビーム搬送システム120の増幅光ビーム位置及び整形を制御するビーム制御システム158などに提供し得る。
【0038】
ターゲット材送達システム125は、マスタコントローラ155からの信号に応答して、例えば所望のターゲット位置105に到着する液滴の誤差を補正するべくターゲット材供給装置127により放出される液滴の放出地点を修正するように動作可能な、ターゲット材送達制御システム126を含む。
【0039】
追加的には、光源100は、パルスエネルギ、波長の関数としてのエネルギ分布、特定の波長帯域内のエネルギ、特定の波長帯域外のエネルギ、並びにEUV強度及び/又は平均出力の角度分布を含むがこれらに限られない1つ以上のEUV光パラメータを測定する光源検出器165及び170を含み得る。光源検出器165はマスタコントローラ155により用いられるフィードバック信号を発生する。このフィードバック信号は、例えば、効果的且つ効率的なEUV光生成にとって適切な位置及び時間に液滴を適正にインターセプトするためのレーザパルスのタイミング及び焦点などのパラメータの誤差を表してもよい。
【0040】
光源100は、光源100の様々な部分を整列させるため又は増幅光ビーム110をターゲット位置105へと操向するのを補助するために使用可能なガイドレーザ175も含み得る。ガイドレーザ175と関連して、光源100は、ガイドレーザ175及び増幅光ビーム110からの光の一部を抽出するように焦点アセンブリ122内に配置されたメトロロジーシステム124を含む。他の実装形態においては、メトロロジーシステム124はビーム搬送システム120内に配置される。メトロロジーシステム124は光のサブセットを抽出及び再誘導する光学素子を含んでいてもよく、そのような光学素子はガイドレーザビーム及び増幅光ビーム110の出力に耐え得る任意の材料で作製されている。マスタコントローラ155がガイドレーザ175から抽出された光を分析し、この情報をビーム制御システム158を通じて焦点アセンブリ122内のコンポーネントを調整するために用いることから、メトロロジーシステム124及びマスタコントローラ155からはビーム分析システムが形成される。
【0041】
したがって、まとめると、光源100は、混合物114中のターゲット材をEUV領域の光を放出するプラズマに変換するべく、ターゲット位置105にあるターゲット混合物114を照射するためにビーム経路に沿って誘導される増幅光ビーム110を生成する。増幅光ビーム110は、レーザシステム115の設計及び特性に基づいて決定される特定の波長(源波長とも称される)で動作する。追加的には、増幅光ビーム110は、ターゲット材がコヒーレントなレーザ光を生成するためにレーザシステム115に十分なフィードバックを提供するとき、又は駆動レーザシステム115がレーザキャビティを形成するために適切な光学的フィードバックを含む場合には、レーザビームであってもよい。
【0042】
図2A乃至2Cは、それぞれ3つの異なる時刻t1、t2、t3における例示的なフリーラジカル搬送システム200のブロック図を示す。時刻t1が最先の時刻であり、時刻t2がt1の後に発生し、時刻t3が時刻t2の後に発生する。フリーラジカル搬送システム200は、フリーラジカル205を、容器230の内側にある素子220へと送達する。フリーラジカル搬送システム200は
図1Aにも示されている。
【0043】
フリーラジカル搬送システム200は、フリーラジカル205の源210に接続する導管250を含む。フリーラジカル205は、導管250により定義される開口252に流入し、方向207に沿って導管250内を進む。導管250は、導管250の内部258と容器230の内部232との間の通路を提供するために、導管250の側壁256を貫通する別の開口254も規定する。容器230は、上述の真空チャンバ130のような真空チャンバであってもよい。素子220は、容器230の内部232において発生したデブリに曝露される任意の素子であり得る。素子220は、内部232において発生したプラズマの経路内にある光学素子であってもよい。例えば、素子220は、
図1Aのコレクタミラー135のようなコレクタミラーであってもよい。
【0044】
図2Aを参照すると、フリーラジカル205は源210から導管250を通って方向207に進み、開口254を通って内部232に出る。開口254は、ラジカル205が開口254を通って出た後に素子220へと流れるように位置している。例えば、開口254は、素子220の表面222に対向するように位置していてもよい。開口254は表面222から距離226を置いて位置している。距離226は、例えば15乃至30cmであってもよい。図示する例においては、導管250は1つの追加的な開口254を含んでいるが、
図3A乃至3C及び5乃至11に示されるような他の実装形態においては、導管には複数の開口が形成される。
【0045】
素子220は容器230の内部232に配置されている。導管250は、容器230の壁236にある密閉された開口又はポート234を貫通する。こうして導管250は、外部の源210から素子220へとフリーラジカル205を搬送する。フリーラジカル205は開口254を通り導管250を出て、内部232に移る。
【0046】
図2Bを参照すると、ラジカル205は表面222上のデブリ224に到達する。素子220が内部232で発生したプラズマの経路内にある例を続けると、デブリ224は、プラズマを発生するために用いられるターゲット混合物から形成された蒸気、イオン、粒子、及び/又はクラスタに由来する汚染物であり得る。ターゲット混合物は、プラズマに変換されたときにEUV光を放出する任意の材料であってもよい。したがって、デブリ224は、スズ、リチウムなどの金属又はプラズマに変換されたときにEUV光を放出する任意の他の物質の蒸気残留物、粒子、イオン、又はクラスタを含み得る。
図2Cに示されるように、ラジカル205は、デブリ224と再結合して、デブリ224を表面222から除去する。再結合はデブリ224の無い清浄化済み領域228を創出する。清浄化済み領域228は、例えば6インチ(15.24cm)以上の直径を有する円形部分であってもよい。
【0047】
導管250は、フリーラジカルと反応もしくは結合しない材料、又は低い再結合係数(例えば約5×10
−3以下の再結合係数)を有する材料で作製される。再結合係数は、ラジカルのうち材料表面上で再結合するか又は材料表面に付着する分の指標である。導管250を通って進むフリーラジカル205に関しては、部分的には、内壁における材料と開口252及び254との再結合係数が源210により生成されたラジカルのうち素子220に到達する分を決定する。源310により発生されたフリーラジカル205のうち、導管250の内壁との衝突による再結合で失われるものは比較的少ないため、より低い再結合係数を有する材料は、発生したラジカル205のうちより多くが素子220に到達することを可能にする。
【0048】
導管250は、テフロン、石英、又はホウケイ酸ガラス(例えばパイレックス)などのガラスで作製され得る。いくつかの実装形態においては、導管250は、フリーラジカル205と接触し得る箇所が低い再結合係数を有する材料で被覆された金属で作製されてもよい。例えば、導管250は、パイレックスで被覆された内部表面及び端部を有するアルミニウム導管であってもよい。別の一例においては、導管250は、二酸化シリコン(SiO
2)、酸化チタン(TiO
2)、又は酸化アルミニウム(AlO
2)などの酸化金属で作製されてもよい。さらに別の一例としては、導管は、アルマイトなどの陽極酸化金属で作製されてもよい。金属酸化物から作製された導管は非金属材料から作製されたものよりも高い再結合係数を有することがあるが、金属導管は機械加工が比較的容易であり得るとともにより頑丈であり得る。
【0049】
導管250の材料及び導管を通るラジカル205の質量流量は、導管250がラジカル205を素子220にインサイチュで、つまり素子が容器230の内側にある間に、送達するのに十分なほど長くなることを可能にする。例えば、導管250は、方向207に沿って0.8乃至2メートルの長手方向の大きさを有し得る。
【0050】
図3A乃至3Cを参照すると、別の例示的なフリーラジカル搬送システム300のブロック図が示されている。
図3Aは搬送システム300の側面図を示し、
図3Bは
図3Aの線3B−3Bに沿った搬送システム300の図を示し、
図3Cは
図3Aの線3C−3Cに沿った搬送システム300の図を示す。
【0051】
フリーラジカル搬送システム300は開口354a乃至354lを定義する導管350を含み、フリーラジカル305はこれらの開口を通り導管350を出て素子320の方へと誘導される。開口354a乃至354lの可変の寸法及び特定の配置は、システム300がラジカルを素子320に均一な速さで提供し、それによって素子320を均一な速さで清浄化することを可能にする。開口354a乃至354lの寸法は方向307の方向に拡大し、最小の開口(開口354a)が源310に最も近く、最大の開口(開口354l)が源310から最も遠い。
【0052】
図3Aを参照すると、フリーラジカル搬送システム300は、フリーラジカル305を生成する源310を含む。
図3Aは導管350を側面から示しており、開口354a乃至354lは、フリーラジカル305が開口354a乃至354lから方向308に素子320へと向かって流出するように、方向307に対して垂直に配向されている。導管350は、源310に接続して発生したフリーラジカル305を受け取る開口352を定義する。導管350は容器330(例えば真空チャンバ)の側壁336及び密閉ポート334を貫通し、容器330の内部332に移る。フリーラジカル305は導管350内を方向307に進み、開口354a乃至354lを通って素子320の方に出る。導管350は素子320から距離326を置いて配置されている。導管に対向する湾曲した表面を有する素子320のような素子については、距離326は導管から素子までの最大距離である。この距離326は、例えば15乃至30cmであり得る。
【0053】
素子320は容器330の内部332にある。容器330は(
図1A及び1Bの光源100のような)LLP EUV光源の一部である。素子320は容器330内で発生したプラズマの経路中にある表面322を定義し、プラズマ発生は表面322上にデブリ324を形成させ得る。デブリは、例えば、プラズマを発生させるために用いられるターゲット混合物の一部であるスズ液滴の蒸気残留物、粒子、及びイオンを含み得る。
【0054】
ラジカル305がデブリ324に到達するとき、ラジカル305はデブリ324と結合し、それによって表面322からデブリ324を除去する。導管350がフリーラジカル305を素子320に送達するので、清浄化のために容器330から素子320を取り外す必要はない。その代わりに、素子320は、容器330の内側にありながら清浄化される。容器330から取り外すことなく素子320を清浄化することは、例えば素子320が妨害されず、清浄化の後で再整列されることも要さないため、システムのダウンタイムを低減する。
【0055】
図3B及び3Cも参照すると、導管350は開口354a乃至354lを含み、その各々が導管350の壁356を貫通する通路を形成する。
図3Bは、方向308とは反対の方向に、素子320から導管350を見上げた場合の導管350の図を示す。
図3Cは素子320を見下ろした図を示し、方向308はページに入り込んでいる。
図3Cは、それぞれ素子320の表面322上にある、開口354a乃至354lの各々の射影329a乃至329lも示している。射影329a乃至329lは一緒になって、素子320のうち開口354a乃至354lから放出されるフリーラジカル305に曝露される部分であるスウォース328を定義する。
【0056】
開口354a乃至354lの寸法は方向307で拡大し、最小の開口(開口354a)が源310に最も近く、最大の開口(開口354l)が源310から最も遠い。後述するように、方向307で拡大していく開口354a乃至354lの寸法が、フリーラジカル305を均一な速さでスウォース328に到達させる。
【0057】
源310はマイクロ波プラズマ発生器であってもよい。そのような源によってフリーラジカルを生成するためには、フリーラジカルを形成するガスが源310に提供される。例えば、水素ラジカルを生成するためには水素ガス(H
2)が提供される。源310にガスを提供する前に、そのガスに追加的なガスが加えられてもよい。例えば、アルゴンと酸素との(Ar/O
2)混合物が水素ガスに加えられてもよい。源310に提供されるとき、水素ガス及び追加的なガス混合物はいずれも、ある質量流量及び速度を有する。例えば、水素ガスは3毎分標準リットル(SLM:standard liters per minute)の質量流量で源310に提供されてもよく、Ar/O
2混合物は21毎分標準立方センチメートル(SCCM:standard cubic centimeters per minute)の質量流量で源に提供されてもよい。
【0058】
水素ガス及びAr/O
2ガスは源310に入り、水素フリーラジカルと、方向307で導管350内へ移入する移動ガスとを生成するために用いられる。導管内を進む移動ガスは、方向307とは反対の方向に沿って作用する背圧を引き起こす。背圧とは、移動ガスが導管350を通って流れる際に遭遇する抵抗である。
【0059】
背圧は、存在するときには、導管350内を進むガスの質量流量又は速度を減少させる効果を有し、これは次いで、ガスによって運ばれるフリーラジカルをより長い期間にわたって導管350内に留まらせる。フリーラジカル305が導管350内にある時間は「滞留時間」である。背圧の存在は水素ラジカルのより長い滞留時間をもたらし得るものであり、このより長い滞留時間は、ラジカルが導管350の内部壁と再結合する機会を増やすとともに、素子320に到達する水素ラジカルが少なくなることにつながる。
【0060】
導管350内を方向307に流れるガスの質量流量又は速度を増加させることは、フリーラジカル305が導管350内を進むスピードをも急速に増加させ、それによってフリーラジカルをより高速で素子320に送達するとともに素子320をより迅速に清浄化し得る。しかしながら、流れるガスの質量流量又は速度を増加させることは、背圧も増大させ得るものであり、これは(導管内でのラジカルの延長された滞留時間における再結合の増大によって)素子320に送達されるフリーラジカルの量を低減させ得るとともに、(背圧により引き起こされる流れるガスの速度の低下によって)ラジカルが素子320に送達されるスピードも低下させ得る。このように、導管350内を流れるガスの質量流量又は速度の増大は、背圧の創出との釣り合いを保つ。
【0061】
追加的には、側壁に開口が無い導管においては、その導管内を流れるガスが遭遇する圧力又は抵抗は、ガス流の方向に増加し得る。側壁の開口がすべて同一の寸法である場合には、導管350の内側の圧力は源310の方に向かって増加するため、他のどの開口よりも源に最も近い開口からより多くのラジカル305が出ていく。さらに、この場合ラジカル305は、方向307で減少又は低減していく質量流により、導管350内を通って方向307に移動するにつれて速度が低下する。その結果、導管側壁の開口のすべてが同一の寸法である場合には、ラジカル305はスウォース328に到達するけれども、スウォース328に到達するラジカル305の速度はスウォース328の様々な部分の全体にわたって一定ではないかもしれない。
【0062】
それに対して、導管350の開口354a乃至354lは異なる寸法を有し、その開口の寸法はガス流の方向(方向307)に拡大する。この構成は、上述の影響を減少させる。したがって、ラジカル305を表面322に送達するために導管350のように側壁に様々な寸法の開口を有する導管が用いられるときには、スウォース328のすべての部分が同一の速さで清浄化される。
【0063】
いくつかの実装形態においては、導管内の背圧は0.9乃至1.2torrよりも低く保たれ、方向307に流れるガスの中心線速度は1乃至4SLMである。デブリ324のエッチング速さ又は除去の速さは、例えば5乃至125毎分ナノメートル(nm/min)であってもよい。除去の速さは125nm/minよりも速くてもよい。
【0064】
開口354a乃至354lは、直径4.5乃至6,5mmの円形の断面を有していてもよく、導管350上で方向307に互いに等距離間隔であってもよい。方向307に沿った各開口間の長手方向の間隔は、例えば40mmであってもよい。
図3A乃至3Cに示される例は12個の開口を含んでいるが、他の例においては、より多くの又はより少ない開口が用いられ得る。例えば、導管350は10個の開口又は12個よりも多くの開口を定義してもよい。
【0065】
図3B及び3Cを参照すると、素子320上の清浄化される面積を拡大するために、導管350は、導管350により定義され方向307に平行な方向に沿って延伸する長手軸359を中心として回転してもよい。代替的又は追加的には、導管350は方向309に沿って前後に並進運動してもよい。システム300は、システム300のユーザが導管350を移動させることを可能にする位置決め機構340を含む。位置決め機構340は、例えばレバー、車輪、又は容器330の外部からアクセス可能でユーザが導管350を移動させることを可能にする他の機械的デバイスによる手動操作用に構成されていてもよい。位置決め機構340はコンピュータ制御されてもよい。例えば、導管350は、ステッパモータ又はユーザもしくは自動化された電子的なプロセスにより作動されたときに導管350を移動させる他のデバイスに連結されてもよい。
【0066】
方向309に沿った導管350の前後並進運動は、距離326(
図3A)を一定に保ちつつ、素子320に対して導管350を移動させる。換言すれば、導管350は素子320に対して、素子320の外周又は端縁327を含む平面に平行な平面内で移動する。軸359を中心として導管350を回転させることにより、フリーラジカル305が、領域321a及び321bのように素子320のうちスウォース328の外側にある領域に送達されることが可能になる。導管350を方向309に沿って前後並進運動させることも、フリーラジカル305が素子320のうちスウォース328の外側にある領域に送達されることを可能にする。
【0067】
図4を参照すると、EUV光源の真空チャンバ内の光学素子を、その素子を真空チャンバから取り外すことなく清浄化する例示的なプロセス400のフローチャートが示されている。プロセス400は、本明細書に開示されているいずれのフリーラジカル搬送システムによっても実施可能である。例えば、プロセス400は搬送システム200又は300によって実施され得る。プロセス400の議論においては、システム300が一例として用いられる。
【0068】
フリーラジカル305は、導管350により定義された第1の開口352において受け取られる(410)。フリーラジカルは清浄化対象の素子上でデブリと結合する。デブリはターゲット混合物がEUV光を放出するプラズマに変換されたときに発生され得るもので、このデブリは、素子がプラズマの経路中にあることによって、素子の表面上に堆積し得る。フリーラジカル305は源310によって発生される。源310は、例えばマサチューセッツ州アンドーバーのMKSインスツルメンツ・インクから入手可能なスマートパワージェネレータのようなマイクロ波プラズマ発生器であってもよい。源は、例えば3000ワットで動作可能である。
【0069】
フリーラジカルを発生させるためには、フリーラジカルに解離することのできるガスが源310に提供される。このガスは、例えば水素(H
2)、ヨウ化水素(HI)、臭素(Br
2)、塩素(Cl
2)、ヨウ素(I
2)、メタン、又は水であってもよく、又はこれらを含んでいてもよい。追加的なガス(アルゴンと酸素との混合物など)が、混合物を源310に提供する前に追加されてもよい。ガスはある質量流量又は速度で源310に提供され、源310で発生したフリーラジカルは源310からのガス流とともに導管350へと流入する。
【0070】
開口352と、導管350のうちフリーラジカル305を搬送する又はフリーラジカル305の経路内にある部分とは、低い再結合係数を有する材料から作製される。開口352は、開口352がフリーラジカル305を受け取るように、マイクロ波プラズマ発生器のアプリケータに連結される。マイクロ波プラズマ発生器のアプリケータはサファイアで作製されてもよく、導管350及び開口352は、フリーラジカルが源310から導管350内へと流入する間に金属表面に遭遇しないように、サファイアのアプリケータに連結されてもよい。そのような構成は、連結部におけるラジカル損失を低減するのに役立ち得る。
【0071】
導管350内のフリーラジカル305は開口354a乃至354lの方へと誘導される(420)。フリーラジカル305は、源310から導管350内を流れるガスによって開口354a乃至354lの方へと誘導されてもよい。追加的又は代替的には、開口354a乃至354lがそこへの通路を提供している容器330の内部323の圧力は、源310及び導管350内における圧力よりも低い。例えば、容器330の内側の圧力は300mtorr(40パスカル)であり得る。その結果、フリーラジカル305は導管350から開口354a〜354lを通って内部332に引き入れられる。
【0072】
上述のように、ラジカルの搬送の促進を助けるために、導管350は、導管350に流入するフリーラジカルとの再結合速さが低速である材料から作製される。追加的には、導管内のラジカルを運ぶガスの質量流量又は速度が、背圧の影響を最小限にしながら、できる限り増加される。導管350内でフリーラジカル305が移動する速度を増加させることは、フリーラジカル305が導管350内にある時間の量も減少させ、導管350の内部壁との衝突に起因するラジカル損失の量を少なくする。フリーラジカル305の速度を増加させることは、素子の清浄化の速さも増加させる。いくつかの実装形態においては、フリーラジカル305は、導管350の長手方向の大きさ全体にわたって一定の1乃至4SLMで導管350内を進む。導管350の長手方向の大きさは、例えば0.8乃至2メートルであってもよい。
【0073】
フリーラジカル305は開口354a乃至354lのうち少なくとも1つを通って素子320の表面322の方へと移される(430)。上述のように、容器330内の圧力を最も低いものとして、容器330の内部332と、源310と、導管350の内部との間の圧力差が、フリーラジカル305に開口354a乃至354lを通過させてもよい。開口354a乃至354lはスウォース328に向けて配向され、フリーラジカル305をスウォース328へと誘導する。ラジカル305はスウォース328上のデブリ324と結合してデブリ324を除去する。ラジカルは、例えばデブリ324のエッチング、デブリ324の燃焼、又はデブリ324との反応によってデブリと結合し得る。ラジカル305は、5乃至125nm/minの速さでデブリを除去することができる。
【0074】
図3B及び3Cに示されるようないくつかの実装形態においては、開口354a乃至354lは、開口354a乃至354lが素子320の特定の部分に向けられるように導管350を回転させること及び/又は並進運動させることによって、素子320に向けて配向されてもよい。
【0075】
図5乃至8はそれぞれ他の例示的な導管550乃至850を示す。これらの導管のいずれもが搬送システム200又は300において使用可能である。
【0076】
図5を参照すると、例示的な導管550が示されている。導管550は、長手軸559及び2つの端部と、源側端部560と、容器側端部561とを定義する。導管550は長手方向の大きさ563を有し、これは長手軸559に平行な方向における源側端部560と容器側端部561との間の距離である。大きさ563は0.8乃至2mであってもよい。例えば、大きさ563は、0.8m、0.9m、0.95m、0.975m、又は1mであってもよい。導管550は、外部表面556と、内部表面565と、周縁566とを定義する壁567を有する。源側端部の周縁566は、564という直径を有する開口552を定義する。直径564は、例えば2.5cmであってもよい。
【0077】
壁567は開口554a乃至554pを定義し、その各々が、流体及びフリーラジカルが導管550の内部から導管550の外部へと移ることを可能にする通路を形成するために、壁567を貫通する。開口554a乃至554pの寸法は可変であり、この寸法は方向507に沿って拡大する。すなわち、開口554aが最も小さな開口であり、開口554pが最も大きな開口である。開口554a乃至554pは、断面が円形であってもよく、4.5乃至6.5mmの範囲内の直径を有し得る。開口は方向507において互いに20乃至40mm間隔であってもよい。さらに、導管550は、
図5に示される例よりも多い又は少ない開口を有していてもよい。
【0078】
周縁566及び内部表面565は、低い再結合係数を有する材料から作製され、及び/又はこの材料によって被覆される。周縁566及び内部表面565は、例えばパイレックス、石英、ガラス、自然酸化物(二酸化シリコン又は二酸化チタンなど)、又はアルマイトなどの陽極酸化金属であってもよく、又はこれらによって被覆されていてもよい。周縁566及び内部表面565は、約5×10
−3以下の再結合係数を有する任意の材料であり得る。そうすれば、周縁566及び内部表面565は比較的少ないフリーラジカルと再結合し、その代わりに導管を通じてフリーラジカルを搬送するとともにフリーラジカルを清浄化対象の素子へと送達する。他の場合には、1×10
−2以上の再結合係数を有する材料も用いられ得るが、対応する清浄化速さの低減を伴う。
【0079】
使用時には、源側端部560はフリーラジカル源と連結され、開口552においてフリーラジカルを受け取る。例えば、源側端部560はマイクロ波プラズマ発生器のアプリケータに連結されてもよい。マイクロ波プラズマ発生器のアプリケータとは、マイクロ波エネルギをプラズマに変換する素子である。マイクロ波プラズマ発生器のアプリケータは、例えばサファイアで作製された管であってもよい。サファイアのアプリケータ管を開口552に連結することは、源によって発生されたフリーラジカルが、フリーラジカルと再結合する金属又は他の元素に遭遇することなく導管550に流入することを可能にする。その結果、導管550の源への連結は、あるにしてもほとんど無いフリーラジカルの損失をもたらす。フリーラジカルは源から導管550内へと進み、孔554a乃至554pを通って導管を出る。
【0080】
図6及び7はそれぞれ他の例示的な導管650及び750を示す。導管650及び750は、例えば上述のシステム200又は300など、本明細書に記載された搬送システムのいずれにおいても使用可能である。導管650及び750が導管650,750の側壁667,767上の異なる点を通過するように位置決めされることにより異なる角度で偏位された開口を有するという点を除いて、導管650及び750は、導管550と同様である。この位置決めは、導管650及び750から放出されるラジカルを、清浄化対象の素子のより大きな面積にわたって放出させる。換言すれば、清浄化対象の素子上に投射されたとき、導管650及び750の開口は、清浄化対象の素子に対してすべてが同一の角度で配向されている開口を有する導管の開口よりも大きな面積をカバーする。そのような導管の一例は、開口のすべてが導管の長手軸に平行な線に沿って整列されているもの(導管550など)である。
【0081】
図6を参照すると、導管650は源側端部660と容器側端部661とを有する。導管650は、長手軸659と、外部表面656と、内部表面665と、周縁666とを定義する壁667を有する。源側端部660の周縁666は、664という直径を有する開口652を定義する。直径664は、例えば2.5cmであってもよい。壁は開口654a乃至654sも定義する。開口654a乃至654sは壁657上に螺旋状配列で配設される。開口654a乃至654sは、
図6に示されるように、導管の片半部のみに配設されてもよい。他の実装形態においては、開口654a乃至654sは、ラジカルが導管650からすべての方向に放出されるように、導管650全体の表面上に配設されてもよい。
【0082】
導管650は長手軸659に平行な方向において大きさ663を有する。大きさ663は、0.8乃至2mであってもよい。例えば、大きさ663は、0.8m、0.9m、0.95m、0.975m、又は1mであってもよい。導管550と同様、導管650の内部表面665及び周縁666は、低い再結合係数を有する材料である。
【0083】
図7を参照すると、導管750は源側端部760と容器側端部761とを有する。導管750は、長手軸759と、外部表面756と、内部表面765と、周縁766とを定義する壁767を有する。源側端部760の周縁766は、764という直径を有する開口752を定義する。直径764は、例えば2.5cmであってもよい。壁は複数の開口754も定義し、その各々が導管650の内部と外部との間にラジカル及びガスのための通路を提供する。開口754は、長手軸759に平行に延びる列状に配設される。開口754は異なる寸法を有し、この寸法は方向707に拡大する。
図7に示される例示的な導管750は3列の開口を有する。もっとも、より多い又はより少ない列の開口が用いられてもよい。
【0084】
導管750は長手軸759に平行な方向において大きさ763を有する。大きさ763は、0.8乃至2mであってもよい。例えば、大きさ763は、0.8m、0.9m、0.95m、0.975m、又は1mであってもよい。導管550と同様、導管750の内部表面765及び周縁766は、低い再結合係数を有する材料である。
【0085】
図8Aを参照すると、別の例示的な導管850が示されている。導管850は、本明細書に開示されている搬送システムのうちいずれにおいても導管として使用可能である。例えば、
図8Bも参照すると、導管850は搬送システム300の導管350に代えて用いることができる。導管850が曲率半径870を有するという点を除いて、導管850は導管550と同様である。この曲率半径のために、導管850は、長手軸859を定義する直線部分871と、直線部分871から遠ざかるように湾曲し軸873に沿って延伸する湾曲部分872とを有する。曲率半径870は、長手軸859と軸873との間の角度「A」が0°よりも大きく90°以下となるような任意の曲率であってもよい。
【0086】
導管850は源側端部860と容器側端部861とを含む。この導管は、長手軸859に平行な方向807に沿って大きさ874を有する。大きさ874は、0.8m、0.9m、0.95m、0.975m、又は1mであってもよい。
【0087】
導管850は、長手軸859と、外部表面856と、内部表面865と、周縁866とを定義する壁867を有する。源側端部860の周縁866は、864という直径を有する開口852を定義する。直径864は、例えば2.5cmであってもよい。壁は複数の開口854も定義し、その各々が導管850の内部と外部との間にラジカル及びガスのための通路を提供する。開口854は異なる寸法を有し、この寸法は方向807に拡大する。
【0088】
導管550と同様、導管850の内部表面865及び周縁866は、低い再結合係数を有する材料である。
【0089】
図9A及び9Bを参照すると、別の例示的なフリーラジカル搬送システム900のブロック図が示されている。
図9Aは搬送システム900の側面図を示す。
図9Bは
図9Aの線9B−9Bに沿った搬送システム900の断面図を示す。
【0090】
搬送システム900は、複数の導管950a乃至950gを備えたマニホールド950(
図9B)を含む。複数の導管950a乃至950gはフリーラジカル905の源に接続される。いくつかの実装形態においては、各導管950a乃至950gは独立したフリーラジカル源に接続される。源910は、それぞれ開口952a乃至952gで導管950a乃至950gに入り導管950a乃至950g内を方向907に流れるフリーラジカル905を生成する。
【0091】
導管950a乃至950gの各々は開口954a乃至954lを有しており、そのすべてが導管の壁を貫通する通路を形成し素子920に向かってフリーラジカル905を放出する。したがって、単一の導管を含む搬送システムと比較して、搬送システム900は、マニホールド950を回転又は並進運動させることを要さずに、素子920のより大きな面積を清浄化することができる。しかしながら、いくつかの実装形態においては、マニホールド950は、フリーラジカル905により清浄化される領域の寸法をさらに拡大するために、回転又は並進運動されてもよい。
【0092】
また、導管950a乃至950gにおいて、開口954a乃至954lは各々異なる寸法であり、この寸法は方向907に拡大する。これは、
図3A乃至3Cに関連して上述した導管350の開口354a乃至354lと同様である。したがって、導管950a乃至950gはフリーラジカル905を均一な速さで素子920に送達し、その結果、デブリが均一な速さで素子920から清浄化される。他の実装形態においては、開口954a乃至954lはすべて同一の寸法であってもよい。マニホールド950は7つの導管を含むが、それよりも多い又は少ない導管が用いられてもよい。追加的には、マニホールドの導管は、図示されるよりも多い又は少ない開口を含んでいてもよく、導管は異なる数の開口を含んでいてもよい。
【0093】
図10Aを参照すると、別の例示的なフリーラジカル搬送システム1000のブロック図が示されている。搬送システム1000の図は、清浄化対象の素子1020に向かって下向きである。搬送システム1000は
図1Aの源100のようなLPP EUV光源の一部であり、素子1020は容器1030の内部1032にある。
【0094】
搬送システム1000は導管1050a,1050bを含み、その各々がそれぞれフリーラジカル源1010a,1010bと接続されている。源1010a,1010bからのフリーラジカルは導管1050a,1050bに流入する。上述の導管550と同様、導管1050a,1050bは低速の再結合速さを有する材料から作製される。
【0095】
素子1020は、容器1030内で発生するプラズマの経路中にあることによりデブリ1024を堆積する表面1022を定義する。プラズマは、増幅光ビームに素子1020内のアパーチャ1019を通過させてターゲット混合物(図示しない)を照射しターゲット混合物をプラズマへと変換することにより生成され得る。素子1020は、例えば、プラズマにより放出されたEUV光を受光しその光を
図10Aのページ外の場所に収束させるコレクタミラーであってもよい。したがって、
図10Aにおいて、増幅光ビーム及び収束されたEUV光の光路は、(ページに入り込む方向308とは逆の)ページから出ていく方向にある。増幅光ビームの光路はページから出ていくが、アパーチャ1019も通過する。
【0096】
図3A乃至3C,8B,9A及び9Bに示された搬送システムと比べて、搬送システム1000の導管1050a及び1050bは、光路の外側にある。搬送システム300のように、搬送システム1000は、「インサイチュ」で、すなわち素子1020が容器1030の内側にある間に、素子1020を清浄化するために使用可能である。追加的には、搬送システム1000は光路外にあるため、搬送システム1000は光源が動作中である間に使用することが可能である。
【0097】
導管1050a,1050bは直線部分1080a,1080b及び湾曲部分1081a,1081bを有する。湾曲部分1081a,1081bは、光路を避けて素子1020の端縁1027を辿る。導管1050a,1050bは低い再結合係数を有する材料で作製されており、したがって源1010a,1010bからのフリーラジカルを容器1030の内部へと送達する。
【0098】
図10Bも参照すると、同図は湾曲部分1081aをより詳細に示しており、この湾曲部分1081aは、フリーラジカル及びガスを導管1050の内部から素子1020の方へと移す開口1054a乃至1054kを定義する。開口1054a乃至1054kは異なる寸法を有し、この寸法は源1010aからの距離の増大とともに拡大する。
【0099】
図10Bの例に示されるよりも多い又は少ない開口が湾曲部分1081aに形成されてもよい。開口は、
図3A,3B,5,6及び7に関して図示され説明された開口の配置のうち1つ以上と同様に配設されてもよい。例えば、開口1054a乃至1054kの集合と同様の複数行の開口が1081aの一部分に形成されてもよい。導管1050bは、1081bの一部に、フリーラジカルを素子1020の方へと誘導するように配向された同様の開口を有していてもよい。
【0100】
図11を参照すると、別の例示的なフリーラジカル搬送システム1100が示されている。フリーラジカル搬送システム1100は、清浄化対象の素子1120の端縁1127を辿る導管1150を含む。
図10Aの搬送システム1000のように、搬送システム1100はプラズマ及び/又は素子1120により収束されるEUV光を発生させるために用いられる増幅光ビームの光路外にある導管を含む。
【0101】
搬送システム1100は、フリーラジカル源1110に連結された導管1150を含む。導管1050a,1050bのように、導管1150は低い再結合係数を有する材料で作製されており、したがって源1110により発生されたフリーラジカルを、素子1120を保持する容器1130の内部1132へと搬送する。導管1150はフリーラジカルを素子1120の方へと移す開口を定義する。
【0102】
他の実装形態は以下の特許請求の範囲の範囲内にある。