特許第6864738号(P6864738)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6864738
(24)【登録日】2021年4月6日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】デフォーカス検出方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/28 20210101AFI20210419BHJP
   G03F 9/02 20060101ALI20210419BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   G02B7/28 M
   G03F9/02 H
   H01L21/66 J
【請求項の数】19
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-515812(P2019-515812)
(86)(22)【出願日】2017年9月15日
(65)【公表番号】特表2019-532339(P2019-532339A)
(43)【公表日】2019年11月7日
(86)【国際出願番号】US2017051901
(87)【国際公開番号】WO2018057433
(87)【国際公開日】20180329
【審査請求日】2020年9月8日
(31)【優先権主張番号】62/399,251
(32)【優先日】2016年9月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/669,030
(32)【優先日】2017年8月4日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジァン シューグァン
(72)【発明者】
【氏名】リ シーファン
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン ヨン
【審査官】 藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0114597(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0016895(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0117812(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0103433(US,A1)
【文献】 特許第5526014(JP,B2)
【文献】 特開2013−156269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/28 − 7/40
G03F 9/00 − 9/02
H01L 21/64 −21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラを用いウェハのダイにセグメントマスクを適用することでそのダイ上にセグメントを形成するステップと、
前記コントローラを用い、前記セグメントの平均強度を、明視野モードを用い赤色、緑色及び青色にて、並びに暗視野モードを用い赤色、緑色及び青色にて計算するステップと、
前記コントローラを用いデフォーカス値をそれら平均強度と比較するステップと、
前記コントローラを用い、デフォーカス感度が最適になる色組合せを特定するステップと、
前記コントローラを用い、デフォーカスに対する感度を前記セグメント内の画素毎に求めるステップと、
前記コントローラを用い、感度に対するしきい値を前記画素毎に適用するステップと、
記しきい値を上回る諸画素に基づき、前記コントローラを用い、前記ダイ上に第2セグメントマスクを生成するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記ウェハが焦点変調を伴う訓練ウェハである方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記ウェハが前記ダイを複数個有し、前記生成及び前記計算がそのウェハ上のダイ毎に反復される方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記ダイの一部を覆うよう前記セグメントマスクが構成される方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記比較が、前記平均強度に対するデフォーカス値の散布図の生成を含む方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、更に、前記コントローラを用い前記しきい値を調整するステップを有する方法。
【請求項7】
請求項1の方法であって、前記しきい値を前記画素毎に適用する際にダイ内全画素平均強度を用いる方法。
【請求項8】
プログラムが格納される非一時的コンピュータ可読媒体であり、そのプログラムが、プロセッサに指令することにより、
ダイにセグメントマスクを適用することでそのダイ上にセグメントを形成し、
明視野モード使用時の赤色、緑色及び青色を含むデータで以て、並びに暗視野モード使用時の赤色、緑色及び青色を含むデータで以て、前記セグメントの平均強度を計算し、
デフォーカス値をそれら平均強度と比較し、
デフォーカス感度が最適になる色組合せを特定し、
デフォーカスに対する感度を前記セグメント内の画素毎に求め、
感度に対するしきい値を前記画素毎に適用し、且つ
記しきい値を上回る諸画素に基づき、前記ダイ上に第2セグメントマスクを生成するよう、
構成されている非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項9】
請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読媒体であって、ウェハが前記ダイを複数個有し、前記生成及び前記計算がそのウェハ上のダイ毎に反復される非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項10】
請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記ダイの一部を覆うよう前記セグメントマスクが構成される非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項11】
請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記デフォーカス値の比較が、前記平均強度に対する前記デフォーカス値の散布図の生成を含む非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項12】
請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記プログラムが、更に、前記しきい値を調整するよう構成されている非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記しきい値を前記画素毎に適用する際にダイ内全画素平均強度が用いられる非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
ウェハを保持するよう構成されたチャックと、
前記ウェハの表面を計測するよう構成された計測システムであり、明視野モード及び暗視野モードを用いそのウェハの像をもたらす計測システムと、
前記計測システムと電子通信するコントローラであり、プロセッサ、そのプロセッサと電子通信する電子データ格納ユニット、並びにそのプロセッサと電子通信する通信ポートを有するコントローラと、
を備え、前記コントローラが、
前記ウェハのダイにセグメントマスクを適用することでそのダイ上にセグメントを形成し、
前記明視野モード使用時の赤色、緑色及び青色を含むデータで以て、並びに前記暗視野モード使用時の赤色、緑色及び青色を含むデータで以て、前記セグメントの平均強度を計算し、
デフォーカス値をそれら平均強度と比較し、
デフォーカス感度が最適になる色組合せを特定し、
デフォーカスに対する感度を前記セグメント内の画素毎に求め、
感度に対するしきい値を前記画素毎に適用し、且つ
記しきい値を上回る諸画素に基づき、前記ダイ上に第2セグメントマスクを生成するよう、
構成されているシステム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムであって、前記ウェハが複数個のダイを有するシステム。
【請求項16】
請求項14に記載のシステムであって、前記コントローラにより適用される前記セグメントマスクが、前記ダイの一部を覆うよう構成されているシステム。
【請求項17】
請求項14に記載のシステムであって、前記デフォーカス値の比較が、前記平均強度に対する前記デフォーカス値の散布図の生成を含むシステム。
【請求項18】
請求項14に記載のシステムであって、前記コントローラが、更に、前記しきい値を調整するよう構成されているシステム。
【請求項19】
請求項14に記載のシステムであって、前記しきい値を前記画素毎に適用する際にダイ内全画素平均強度を用いるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件開示はリソグラフィデフォーカス(焦点ずれ;離焦)検出に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願への相互参照)
本願は、2016年9月23日付米国仮特許出願第62/399251号に基づく優先権主張を伴うので、この参照を以てその開示内容を本願に繰り入れることにする。
【0003】
半導体製造業の発展につれ歩留まり管理に対する期待、とりわけ計量及び検査システムに対するそれがかつてなく強まっている。限界寸法(クリティカルディメンション)が縮小される一方でウェハサイズは増している。市場により、同業界は、高歩留まり高付加価値生産の達成時間の短縮へと駆り立てられている。即ち、歩留まり問題を検出してからそれを正すまでの総時間を短縮することで、半導体製造業者にとっての投資収益率が決まってくる。
【0004】
限界寸法が縮小されるにつれ、リソグラフィ分解能を良好にすることが、小さくなったフィーチャ(外形特徴)を印刷するのに必要となっている。リソグラフィ焦点深度が小さくなりつつあることは、些細な問題でもリソグラフィ焦点に影響すること、例えばアライメント(整列)問題や機械的振動でそうなることを意味している。リソグラフィでは、フォトレジストにおけるフィーチャの焦点外れ露出によりフォトレジストエッジが不鮮明になりかねず、ひいては横方向フィーチャ寸法が不正確になりかねない。このデフォーカスが検出されなかったら半導体歩留まりが害を被るであろう。有効な検査無しでは、デフォーカス問題が検出されないまま、そのリソグラフィ工程の後、数多くの製造工程が行われてしまう。
【0005】
既存のマクロ検査システムでは、限界寸法が縮小されるにつれデフォーカスの検出が一層難しくなることが明らかであろう。デフォーカス検出感度が高い新規技術の開発が、局所及び拡張デフォーカス欠陥のいずれに関しても、限界寸法が縮小を続けるにつれ重要になろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0114597号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のアルゴリズムでは、各色源からのデータについて欠陥検出が相独立に実行され、その上で検出結果が結合合成される。1個の色源では全てのデフォーカス値を感知できない。全体的なデフォーカス検出が、強いデフォーカスしか検知できないのでは貧弱になる。そのため、より秀逸なデフォーカス検出技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1実施形態では方法が提供される。セグメントマスクをウェハのダイに適用することでそのダイ上にセグメントを形成する。そのセグメントの平均強度を、明視野モードを用い赤色、緑色及び青色にて、また暗視野モードを用い赤色、緑色及び青色にて計算する。デフォーカス値をそれら平均強度と比較する。デフォーカス感度が最適になる色組合せ(色値結合;色コンビネーション)を特定する。デフォーカスに対する感度をそのセグメント内の画素毎に求める。その感度に対するしきい値を画素毎に適用する。その対感度しきい値を上回る諸画素に基づき、そのダイ上に第2セグメントマスクを生成する。これらのステップはいずれもコントローラを用い実行すればよい。
【0009】
ウェハは焦点変調を伴う訓練ウェハにするとよい。
【0010】
ウェハは、ダイを複数個有するものとすることができる。上掲の生成及び計算は、そのウェハ上のダイ毎に反復させることができる。
【0011】
セグメントマスクは、ダイの一部を覆うよう構成することができる。
【0012】
前記比較には、前記平均強度に対するデフォーカス値の散布図の生成を含めることができる。
【0013】
本方法は、更に、コントローラを用い前記しきい値を調整するステップを有するものとすることができる。
【0014】
画素毎感度にしきい値を適用する際、ダイ内の全画素の平均強度を用いてもよい。
【0015】
第2実施形態では、プログラムが格納される非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。そのプログラムは、プロセッサに指令することで、セグメントマスクをダイに適用してそのダイ上にセグメントを形成し、明視野モード使用時の赤色、緑色及び青色を含むデータで以て、並びに暗視野モード使用時の赤色、緑色及び青色を含むデータで以て、そのセグメントの平均強度を計算し、デフォーカス値をそれら平均強度と比較し、デフォーカス感度が最適になる色組合せを特定し、デフォーカスに対する感度をそのセグメント内の画素毎に求め、その画素毎感度にしきい値を適用し、且つその対感度しきい値を上回る諸画素に基づきそのダイ上に第2セグメントマスクを生成するよう、構成される。
【0016】
ウェハは、ダイを複数個有するものとすることができる。上掲の生成及び計算は、そのウェハ上のダイ毎に反復させることができる。
【0017】
セグメントマスクは、ダイの一部を覆うよう構成することができる。
【0018】
デフォーカス値の比較には、前記平均強度に対するデフォーカス値の散布図の生成を含めることができる。
【0019】
前記プログラムを、前記しきい値を調整するよう構成することができる。
【0020】
しきい値を画素毎感度に適用する際に、ダイ内の全画素の平均強度を用いてもよい。
【0021】
第3実施形態ではシステムが提供される。本システムは、ウェハを保持するよう構成されたチャックと、そのウェハの表面を計測するよう構成された計測システムと、その計測システムと電子通信するコントローラと、を有する。そのコントローラは、プロセッサと、そのプロセッサと電子通信する電子データ格納ユニットと、そのプロセッサと電子通信する通信ポートと、を有する。前記計測システムは、明視野モード及び暗視野モードを用いウェハの像をもたらす。前記コントローラは、ウェハのダイにセグメントマスクを適用することでそのダイ上にセグメントを形成し、明視野モード使用時の赤色、緑色及び青色を含むデータで以て、並びに暗視野モード使用時の赤色、緑色及び青色を含むデータで以て、そのセグメントの平均強度を計算し、デフォーカス値をそれら平均強度と比較し、デフォーカス感度が最適になる色組合せを特定し、デフォーカスに対する感度をセグメント内の画素毎に求め、しきい値をその画素毎感度に適用し、且つその対感度しきい値を上回る諸画素に基づきそのダイ上に第2セグメントマスクを生成するよう、構成される。
【0022】
ウェハは、ダイを複数個有するものとすることができる。
【0023】
コントローラにより適用されるセグメントマスクを、ダイの一部を覆うよう構成することができる。
【0024】
デフォーカス値の比較には、前記平均強度に対するデフォーカス値の散布図の生成を含めることができる。
【0025】
コントローラは、前記しきい値を調整するよう構成することができる。
【0026】
前記しきい値を画素毎感度に適用する際に、ダイ内の全画素の平均強度を用いてもよい。
【0027】
本件開示の性質及び諸目的のより遺漏なき理解のためには、以下の添付図面と併せ後掲の詳細記述を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本件開示の一実施形態に係る方法のフローチャートである。
図2】明視野又は暗視野照明使用時の三色に関し強度とデフォーカスとを比較する一例チャートである。
図3A図1中の一ステップの例を示す図である。
図3B図1中の他ステップの例を示す図である。
図3C図1中の他ステップの例を示す図である。
図3D図1中の他ステップの例を示す図である。
図3E図1中の他ステップの例を示す図である。
図3F図1中の他ステップの例を示す図である。
図4】本件開示の他実施形態に係る方法のフローチャートである。
図5】本件開示の一実施形態に係るシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
特許請求の範囲記載の主題を特定の諸実施形態により記述するけれども、本願中で説明される長所及び特徴全てを提供しない諸実施形態を含め、他の諸実施形態もまた本件開示の技術的範囲内である。様々な構造的、論理的、処理ステップ的及び電子的改変を、本件開示の技術範囲から離隔することなく施すことができる。従って、本件開示の技術的範囲は添付する特許請求の範囲への参照によってのみ定義される。
【0030】
二通り以上の色データを組み合わせれば新たなデータ源を形成することができる。その色組合せによってデフォーカス信号に対する感度を向上させる。その新規形成データ源についてデフォーカス検出を実行する。これら本願記載の諸技術はリソグラフィデフォーカス検出に用いうるものである。
【0031】
それらの技術では設定ステップ及び検出ステップが必要となりうる。設定ステップでは、訓練ウェハを用い、最良な色組合せを選ぶこと及びデフォーカス検出しきい値を得ることができる。検出ステップでは、選ばれた色組合せを計算することができ、且つそのしきい値を適用してデフォーカス検出結果を得ることができる。
【0032】
図1は一実施形態に係る方法100のフローチャートである。本方法100中の諸ステップのうち一部又は全てをコントローラにより実行することができる。
【0033】
101ではセグメントマスクがウェハのダイ(例.ウェハのダイの像)に適用され、それによりそのダイ上にセグメントが形成される。このセグメントマスクのことを粗セグメントマスクと呼ぶことができる。一例を図3A中に見ることができる。粗セグメントマスクを用いることで、デフォーカスに対し敏感であると判明しているエリア又はエリア群に焦点を当てることができる。そのセグメントマスクをユーザが選んでもよい。例えば、ダイパターンレイアウトについての知識に基づきユーザがセグメントマスクを選ぶことができる。それが可能でないなら、ダイ全体を粗セグメントマスクとして用いてもよい。粗セグメントマスクをデザインから得ることもできる。例えば、方形その他の形状でダイの一部を覆うことで、セグメント、例えばそのダイの周縁エリア(例.メモリセルにより占められないエリア)を形成することができる。
【0034】
図1中の102では、そのセグメントの平均強度が、明視野モードを用い赤色、緑色及び青色にて、並びに暗視野モードを用い赤色、緑色及び青色にて計算される。そのセグメントの諸エリアのうちデフォーカスに対し敏感でないものを含めることで、付加的な情報を得ることができる。
【0035】
103では一通り又は複数通りのデフォーカス値がそれら平均強度と比較される。どのダイでもデフォーカス値が現れうる。その比較に際し平均強度に対するデフォーカス値の散布図を生成してもよい。図2の例では単純化のため散布図に代え傾向線が用いられている。図2の例では、赤色(R)強度がデフォーカスにつれ上昇し、緑色(G)強度がデフォーカスにつれ低下している。青色(B)も示されている。従って、赤を緑で除したもの(R/G)に等しい新たなデータは、デフォーカスにつれより一層上昇するので、デフォーカス信号に対しより敏感となろう。他の潜在的色組合せ候補としてはR/B、(R*R)/(G*B)、R−G、B*G又はB+Gがある。
【0036】
図1に戻ると、104ではデフォーカス感度が最適になる色組合せ(例.赤を緑で除したもの)が特定される。幾通りかの色組合せをユーザ又はアルゴリズム側で選んでもよい。例えば図3Bに見られるように、色組合せ毎に散布図を生成することができる。その上で、ユーザ又はアルゴリズム側で、最良のものを選べばよい。ある種の例では、色組合せ候補それぞれについて新たなデータが生成される。その新規データについてダイ毎のセグメント平均が計算される。各新規データに関し同じ散布図が生成される。その上で、デフォーカスに対し最も敏感なコンビネーションが選ばれる。
【0037】
デフォーカス感度が最適になる組合せは処理工程毎に異なりうる。ウェハ上のパターンはデバイス毎、処理工程又はリソグラフィ工程毎に固定される。これは、最良な色組合せもまた固定されうるということである。反面、別のデバイス又は別の処理工程に関しては色組合せを選び直す必要がある。
【0038】
デフォーカスと強度との間の関係を比較し、或いはデフォーカス感度が最適になる色組合せに関しプロットしてもよい。これにより、そのコンビネーションが個別の色又はモードのいずれよりも良いことを、確認することができる。
【0039】
図1中の105ではデフォーカスに対する感度がそのセグメント内の画素毎に求められる。粗セグメント内の画素毎に、その新規データの対デフォーカス感度が計算される。例えば、図3Cには感度マップが示されている。それら画素のうちデフォーカスに対し最も敏感な画素群を選んで第2セグメントマスク、即ち細セグメントマスクと称しうるそれを形成すればよい。図3Dには細セグメントマスクの一例が示されている。図3D中の細セグメントマスクは図3C中の感度マップに基づくものである。
【0040】
図1中の106ではしきい値が画素毎感度に適用される。細セグメントマスク内の全画素がそのしきい値を上回る必要がある。
【0041】
ある種の例では、細セグメントマスク内の全画素に関し差分強度が個々のダイについて計算される。一例として、図3Eに、二通りの値を呈する差分強度を示す。第1値については、単純化のため、7個のうち2個しか注記していない。差分強度についてのしきい値をチューニングすることで、デフォーカスを検出することができる。これを踏まえ、しきい値を調整すればよい。
【0042】
図1の107では、その対感度しきい値を上回る諸画素に基づき、そのダイについて第2セグメントマスクが生成される。図3Fでは図3E中のダイにしきい値が適用され、それにより二つの値が除去されている。
【0043】
そのしきい値は反復的要領で設定されうる。例えば、画素感度しきい値を設定して、細セグメントマスクを計算し、デフォーカス検出を実行し、そしてそれらの結果を評価する。その結果から見て改善が必要な場合にしきい値が調整される。
【0044】
方法100の諸ステップを設定ステップと呼ぶことができる。設定ステップからの出力には、色組合せ、第2(細)セグメントマスク及び検出しきい値が含まれうる。
【0045】
焦点変調を伴う訓練ウェハを選んでもよい。例えば、焦点露光マトリクス(FEM)ウェハを選ぶことができる。
【0046】
ウェハがダイを複数個有していてもよい。上掲の生成及び計算はそのウェハ上のダイ毎に反復しうるものである。
【0047】
第2セグメントマスク生成後には、生産ウェハについて検出を実行することができる。しきい値を上回るもの全てをデフォーカスとしてマークすることができる。これを検出ステップと呼ぶことができる。ある実施形態では、各試験対象ウェハについての検出ステップで、設定ステップに倣い色組合せが計算され、細セグメントマスク内差分強度が計算され、差分強度に対し検出しきい値が適用され、そしてデフォーカス検出結果が得られる。
【0048】
図4は他実施形態に係る方法200のフローチャートである。本実施形態では生産ウェハについてのデフォーカス検出が描出されている。破線は、設定ステップからの出力が検出ステップへの入力として用いられることを、指し示している。3個の検出内ステップは、それら検出内ステップで生産ウェハが用いられること以外は設定ステップ内の対応するものと同じでよい。
【0049】
本願記載のアルゴリズムによれば、複数通りの色源データを組み合わせて新規データ源を形成すること、またそれをデフォーカス信号に対し元々の色源データよりも敏感なものとすることができる。
【0050】
本アルゴリズムによれば、生成されるセグメントマスクを、デフォーカス信号に対し最も敏感な画素しか含まれないものにすることができる。デフォーカス検出を、そのセグメントマスク内の画素のみについて実行することで、誤検出を抑えることができる。
【0051】
この画素毎結果を、ダイ平均又はフィールド(レティクル)平均を求め、プロセス変動や実ウェハ欠陥(例えば粒子やスクラッチ)からの影響を更に抑圧することで、改善することができる。即ち、平均強度であれば偽像やノイズを排することができる。
【0052】
実施形態によっては、各画素について検出を実行するのに代え、ダイ又はレティクル内セグメントマスク内全画素平均強度が用いられうる。ダイ平均やレティクル平均の長所は、局所的プロセス変動や実欠陥(例えば粒子やスクラッチ)からの影響を抑圧できることにある。
【0053】
図5は一実施形態に係るシステム300のブロック図である。本システム300は、ウェハ307その他のワークピースを保持するよう構成されたチャック306を有している。チャック306は、1軸、2軸又は3軸運動又は回動するよう構成することができる。チャック306は、例えばZ軸周りでスピンするよう構成することもできる。
【0054】
本システム300は、ウェハ307の表面を計測するよう構成された計測システム301をも有している。計測システム301により、光ビーム、電子ビーム又は広帯域プラズマを発生させ或いはその他の技術を用い、ウェハ307の表面を計測することができる。
【0055】
本システム300及び/又は計測システム301によれば、CIS画素に対し色整合した照明波長を選択可能にすること、並びに欠陥管理のため感度及びスループットセッティングを調整可能にすることができる。計測システム301内センサの各画素を、色フィルタにより、特定色(例.赤、緑又は青)に応答するものにすることができる。本システム300及び/又は計測システム301によれば、ウェハ307の明視野及び/又は暗視野照明を行うことができる。
【0056】
本システム300及び/又は計測システム301によれば、明視野光学チャネル及び暗視野光学チャネルの同時提供により広範囲な欠陥種別を単一パスにて捉えること、例えばマイクロレンズ変形、レジスト及びフォールオン欠陥、色汚染或いは大きな汚れ及びストライエーションを捉えることができる。
【0057】
本システム300はコントローラ302と通信する。そのコントローラ302は、例えば、計測システム301その他、システム300の構成部材と通信することができる。コントローラ302は、プロセッサ303と、そのプロセッサ303と電子通信する電子データ格納ユニット304と、プロセッサ303と電子通信する通信ポート305とを、有するものとすることができる。お察し頂けるように、実際のところ、コントローラ302はハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアのどのような組合せで実現してもよい。また、その機能であり本願記載のものを単一のユニットによって実行しても複数個の部材間で分かち合ってもよく、更にはその部材それぞれをハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアのどのような組合せで実現してもよい。コントローラ302に諸方法及び諸機能を実行・実現させるためのプログラムコード又は命令は、コントローラ可読格納媒体、例えば電子データ格納ユニット304内メモリ、コントローラ302内、コントローラ302外、或いはそれらの組合せに格納すればよい。
【0058】
コントローラ302を、どのようなものであれ好適な要領で(例.1個又は複数個の伝送媒体例えば「有線」及び/又は「無線」伝送媒体を含むそれを介し)本システム300の構成諸部材に結合させることで、本システム300により生成された出力例えば計測システム301からの出力を、そのコントローラ302にて受け取れるようにすることができる。コントローラ302を、その出力を用い多数の機能を実行するよう構成するとよい。例えば、ウェハ307の検査を実行するようコントローラ302を構成してもよい。また例えば、その出力を電子データ格納ユニット304その他の格納媒体へとその出力の吟味無しで送るよう、コントローラ302を構成してもよい。その他、コントローラ302は本願記載の如く構成されうる。
【0059】
コントローラ302その他、本願記載のシステム(群)及びサブシステム(群)は、パーソナルコンピュータシステム、イメージコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、ネットワーク機器、インターネット機器その他の装置を含め、様々な形態を採りうる。一般に、語「コントローラ」は、記憶媒体から得た命令を実行するプロセッサを1個又は複数個有する装置全てが包括されるよう、広義に定義することができる。そのサブシステム(群)やシステム(群)が、更に、本件技術分野で既知で好適な何らかのプロセッサ、例えば並列プロセッサを有していてもよい。加えて、そのサブシステム(群)やシステム(群)が、スタンドアロンツール又はネットワーク化ツールたる高速処理プラットフォーム及びソフトウェアを有していてもよい。
【0060】
本システムに複数個のサブシステムを具備させる場合、それら異種サブシステム同士を結合させることで、画像、データ、情報、命令等々をそれらサブシステム間で送れるようにすることができる。例えば、あるサブシステムを更なるサブシステム(群)へと何らかの好適な伝送媒体により結合させればよく、それには本件技術分野で既知で好適なあらゆる有線及び/又は無線伝送媒体が含まれうる。そうしたサブシステムのうち2個以上を共有コンピュータ可読格納媒体(図示せず)によって実質的に結合させてもよい。
【0061】
本システム300を、欠陥レビューシステム、検査システム、計量システムその他の種類のシステムの一部としてもよい。即ち、本願記載の諸実施形態により語られている幾つかの構成を、相異なる能力を有し相異なる用途に多少とも適するシステム向けに、多様な要領で仕上げることができる。
【0062】
コントローラ302は、計測システム301その他、本システム300の構成部材と電子通信することができる。コントローラ302を本願記載の諸実施形態のうちいずれに従い構成してもよい。また、コントローラ302を、計測システム301の出力を用い、或いは他の源泉からの画像又はデータを用い、他の諸機能又は付加的な諸ステップを実行するよう、構成してもよい。
【0063】
更なる実施形態は、コントローラ上で実行可能なプログラムが格納される非一時的コンピュータ可読媒体であり、本願記載の如くデフォーカス検出向けのコンピュータ実施方法を実行するためのものに、関するものである。とりわけ、図5に示すように、コントローラ302に、電子データ格納ユニット304内メモリその他の電子データ格納媒体と併せ、コントローラ302上で実行可能なプログラム命令群が組み込まれた非一時的コンピュータ可読媒体を具備させることができる。そのコンピュータ実施方法には、本願記載のいずれの方法(群)のいずれのステップ(群)を含めてもよい。例えば、図1又は図4の諸ステップのうち幾つか又は全てを実行するようコントローラ302に対しプログラミングしてもよい。ある種の例によれば、コントローラ302によって、セグメントマスクをダイに適用することでそのダイ上にセグメントを形成し、明視野モード使用時の赤色、緑色及び青色を含むデータで以て、並びに暗視野モード使用時の赤色、緑色及び青色を含むデータで以て、そのセグメントの平均強度を計算し、デフォーカス値をそれら平均強度と比較し、デフォーカス感度が最適になる色組合せを特定し、デフォーカスに対する感度をそのセグメント内の画素毎に求め、その画素毎感度にしきい値を適用し、且つその対感度しきい値を上回る諸画素に基づきそのダイ上に第2セグメントマスクを生成することができる。電子データ格納ユニット304内メモリその他の電子データ格納媒体は格納媒体、例えば磁気又は光ディスク、磁気テープその他、本件技術分野で知られており好適なあらゆる非一時的コンピュータ可読媒体とすることができる。
【0064】
それらプログラム命令は、就中、手続きベース技術、要素ベース技術及び/又はオブジェクト指向技術を含め、諸手法のいずれで実装してもよい。例えば、それらプログラム命令を、望むところに従い、ActiveX(登録商標)コントロール、C++オブジェクト、JavaBeans(登録商標)、Microsoft(登録商標)FoundationClasses(“MFC”)、SSE(ストリーミングSIMDエクステンション)その他のテクノロジ又は方法論を用い、実装すればよい。
【0065】
また、他の実施形態に従い、コントローラ302をシステム300の構成部材又はサブシステムのうちいずれに可通信結合させてもよく、またそれを本件技術分野で既知ないずれの要領で行ってもよい。更に、伝送媒体例えば有線及び/又は無線区間を有するそれにより他システムからのデータ又は情報(例.検査システム例えばレビューツールからの検査結果、デザインデータを含むリモートデータベース等)を受け取り及び/又は捉えるよう、コントローラ302を構成してもよい。こうすることで、その伝送媒体を、コントローラ302と本システム300の他サブシステム又は本システム300外のシステムとの間のデータリンクとして働かせるとよい。
【0066】
実施形態によっては、システム300並びに本願記載の諸方法の諸ステップ、機能及び/又は動作が、電子回路、論理ゲート、マルチプレクサ、プログラマブル論理デバイス、ASIC、アナログ又はディジタルコントローラ/スイッチ、マイクロコントローラ及び情報処理システムのうち1個又は複数個により実行される。プログラム命令であり方法例えば本願記載のそれを実現するそれを、キャリア媒体上で伝送させ又はその上に格納してもよい。そのキャリア媒体には格納媒体、例えばリードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気又は光ディスク、不揮発性メモリ、固体メモリ、磁気テープ等が含まれうる。キャリア媒体には伝送媒体、例えばワイヤ、ケーブル又は無線伝送リンクが含まれうる。例えば、本件開示の随所に記載の諸ステップを、単一のコントローラ302(又はコンピュータシステム)により実行しても、或いは複数個のコントローラ302(又は複数個のコンピュータシステム)により実行してもよい。更に、本システム300の諸サブシステムに1個又は複数個の情報処理又は論理システムを具備させてもよい。従って、上掲の記述は本件開示についての限定としてではなく単なる例証として解されるべきである。
【0067】
本件開示の随所で用いられている「ウェハ」は、半導体又は非半導体素材で形成された基板のことを指しているといえよう。半導体又は非半導体素材の例としては、これに限られるものではないが、単結晶シリコン、ヒ化ガリウム及び燐化インジウムがある。ウェハが1個又は複数個の層を有していてもよい。そうした層の例としては、これに限られるものではないが、レジスト、誘電素材、導電素材又は半導体素材を含むものがあろう。本件技術分野ではその種の層について多くの種類、例えばこれに限られるものではないがアイソレーション層、インプランテーション層等が知られている。本願中の用語「ウェハ」は、その上に何であれそうした層が形成されうる基板を包括する意図のものである。
【0068】
本方法の各ステップは本願記載の如く実行されうる。また、本方法に、本願記載のコントローラ及び/又はコンピュータサブシステム(群)又はシステム(群)により実行可能ないずれの他ステップ(群)を含めてもよい。それらのステップは1個又は複数個のコンピュータシステムにより実行することが可能であり、またそのコンピュータシステムを本願記載の諸実施形態のいずれに従い構成してもよい。加えて、上述の諸方法を本願記載のシステム実施形態のうちいずれにより実行してもよい。
【0069】
本件開示について、1個又は複数個の具体的実施形態を基準にして記述してきたが、本件開示の技術的範囲から離隔することなく、本件開示の他の諸実施形態をなすことができる。従って、本件開示は、添付する諸請求項及びその合理的解釈によってのみ限定されるものと認められる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5