特許第6865156号(P6865156)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6865156
(24)【登録日】2021年4月7日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/468 20060101AFI20210419BHJP
   B65D 5/462 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   B65D5/468 100
   B65D5/462 110
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-249094(P2017-249094)
(22)【出願日】2017年12月26日
(65)【公開番号】特開2019-112133(P2019-112133A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2018年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小澤 佳奈
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 貴史
(72)【発明者】
【氏名】山内 良枝
【審査官】 武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−037288(JP,A)
【文献】 特開平06−032348(JP,A)
【文献】 実開平04−019410(JP,U)
【文献】 特許第5608438(JP,B2)
【文献】 登録実用新案第3054937(JP,U)
【文献】 特開平08−034428(JP,A)
【文献】 特開2013−241216(JP,A)
【文献】 特開2016−037297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/468
B65D 5/462
B65D 77/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の胴部と、
前記胴部の開口端縁に前記胴部内側に折り曲げられて設けられた内フラップと、
前記胴部の開口端縁であって前記胴部内側に折り曲げられて前記内フラップの上に重なるように設けられた外フラップと、
前記外フラップに設けられた切込部によって該切込部の内側に形成され、先端を遥動して内側に折り込まれた外側中折部と、
前記内フラップであって、前記外側中折部に対応する部分に位置させて、先端を遥動して内側に折り込まれた内側中折部と、を備え、
前記外側中折部と前記内側中折部とは、前記外側中折部と前記内側中折部とを夫々内側に折り込む前の状態において、前記外側中折部の基端から先端に向かう先端方向と前記内側中折部の先端から基端に向かう基端方向とが同一且つ平行な方向となるように、配置されており、
前記外側中折部は、前記外側中折部の基端縁と平行な折目線を介して連設された複数の分割片で構成されており、内側に折り込まれた先端側の前記分割片の外表面が前記内フラップの外表面に接触していることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記外フラップに設けられた前記切込部はU字状であることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項1から請求項2の何れか1項に記載の包装箱であって、
前記包装箱は、注出口を備えた内袋を収容し、天面と底面とを備えるバッグインボックスタイプの包装箱であり、
前記内フラップと前記外フラップとで前記天面を構成し、
前記天面には、前記注出口を突出させるための注出口対応部が設けられ、
前記包装箱を傾けて注出口から内袋の内容物が注出される側を前方として、
前記注出口対応部に対して、前記前方とは反対の後方に前記外側中折部と前記内側中折部とが配置されており、
前記内側中折部の基端は先端よりも前記前方に位置することを特徴とする包装箱。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の包装箱であって、
前記包装箱は、注出口を備えた内袋を収容し、天面と底面とを備えるバッグインボックスタイプの包装箱であり、
前記内フラップと前記外フラップとで前記底面を構成し、
前記天面には、前記注出口を突出させるための注出口対応部が設けられ、
前記包装箱を傾けて注出口から内袋の内容物が注出される側を前方とし、前記前方とは反対の方向を後方として、
前記底面には、複数の前記外側中折部及び前記内側中折部が設けられ、
前記内側中折部の先端は、前記後方側に位置し、前記内側中折部の基端は前記前方側に位置することを特徴とする包装箱。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の包装箱であって、
前記外側中折部は、接続部を備えた前記切込部によって、前記外フラップに形成されていることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天面と底面とが夫々一対の内フラップの外面に一対の外フラップを重ね合わせて貼り合わせて閉塞される包装箱が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この包装箱は、外フラップに指を引っ掛けるための開口が設けられ、この開口を内フラップで閉塞している。これにより、外フラップに設けられた開口の段差部に指を引っ掛けて包装箱を持つことができると共に、包装箱内への埃の侵入を内フラップで防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5608438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の包装箱の取っ手では、外フラップの開口によって形成される段差部に指を引っ掛けるだけであるため、指が引っ掛かる部分が小さく持ち難いという問題があった。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、内部に埃が入り難くすることができると共に、取っ手に指を掛け易い包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]上記目的を達成するため、本発明の包装箱は、
筒状の胴部(例えば、実施形態の胴部2。以下同一。)と、
前記胴部の開口端縁(例えば、実施形態の開口端縁2a,2b。以下同一。)に前記胴部内側に折り曲げられて設けられた内フラップ(例えば、実施形態の天面内フラップ3、底面内フラップ19。以下同一。)と、
前記胴部の開口端縁であって前記胴部内側に折り曲げられて前記内フラップの上に重なるように設けられた外フラップ(例えば、実施形態の天面外フラップ4、底面外フラップ20。以下同一。)と、
前記外フラップに設けられた切込部(例えば、実施形態の切込部16。以下同一。)によって該切込部の内側に形成され、先端を遥動して内側に折り込まれた外側中折部(例えば、実施形態の外側中折部9。以下同一。)と、
前記内フラップであって、前記外側中折部に対応する部分に位置させて、先端を遥動して内側に折り込まれた内側中折部(例えば、実施形態の内側中折部8。以下同一。)と、
を備え、
前記外側中折部と前記内側中折部とは、前記外側中折部と前記内側中折部とを夫々内側に折り込む前の状態において、前記外側中折部の基端から先端に向かう先端方向と前記内側中折部の先端から基端に向かう基端方向とが平行な方向となるように、配置されており、
内側に折り込まれた前記外側中折部の一部が前記内側中折部の表面(例えば、実施形態の表面8c。以下同一。)に接触していることを特徴とする。
【0008】
かかる構成によれば、外側中折部と内側中折部とで包装箱内への埃の侵入を抑えることができる。また、外側中折部が内側へ折り曲げられることにより形成される外フラップの開口に指を差し入れると、外側中折部と接触していた内側中折部を更に内側へ押し込むように開口を広げながら、使用者は、外側中折部に沿ってしっかりと包装箱をつかむことができる。これにより、包装箱内に比較的重いものが収納されている場合であっても、使用者は、外側中折部によって形成される取手部をしっかりと握ることができる。
【0009】
[2]また、本発明においては、前記外側中折部は、前記外側中折部の基端縁と平行な折目線を介して連設された複数の分割片(例えば、実施形態の第1分割片6、第2分割片7。以下同一。)で構成されることが好ましい。
【0010】
かかる構成によれば、内側へ折り曲げられた分割片同士が復元力によって互いに離れようとする力が分割片の間に発生する。このため、同じく復元力によって内フラップの開口を閉塞しようとする内側中折部を分割片同士の復元力によって押し戻そうとして、外側中折部と内側中折部とが適切に係合して閉塞状態を維持することができる。
【0011】
また、複数の分割片が内側へ折れ曲がるため、外側中折部を把持した使用者は、外側中折部の先端を介して包装箱の荷重が手の平に加わることがなく、容易に外側中折部に手を掛けることができる。
【0012】
また、外側中折部及び内側中折部によって外フラップ及び内フラップに形成される開口は、埃侵入防止の観点から考えれば、小さいほうが好ましいが、取っ手として使用者の手の平が挿入されることを考慮するとある程度の大きさが望まれる。そして、内側中折部ができるだけ開かないようにするためには、外側中折部における基端から内側中折部に最初に接触する部分までの距離ができるだけ短いことが好ましい。
【0013】
しかしながら、外側中折部の先端が内側中折部の表面に当接するように構成した場合、外フラップの開口を大きくし、外側中折部の長さを短くすると、切込部と外側中折部の先端との間の部分を切り落とす必要があり、製造過程でゴミが比較的多く発生してしまう。
【0014】
これに対し、上述した本発明の如く複数の分割片で外側中折部を構成すれば、外側中折部の先端で内側中折部の表面に係合させる必要がなく、製造過程におけるゴミの発生を低減することができる。
【0015】
[3]また、本発明においては、前記外フラップに設けられた前記切込部はU字状とすることができる。
【0016】
[4]また、本発明においては、
前記包装箱は、注出口を備えた内袋を収容し、天面と底面とを備えるバッグインボックスタイプの包装箱であり、
前記内フラップと前記外フラップとで前記天面を構成し、
前記天面には、前記注出口を突出させるための注出口対応部(例えば、実施形態の注出口用破断部5。以下同一。)が設けられ、
前記包装箱を傾けて注出口から内袋の内容物が注出される側を前方として、
前記注出口対応部に対して、前記前方とは反対の後方に前記外側中折部と前記内側中折部とが配置されており、
前記内側中折部の基端は先端よりも前記前方に位置することが好ましい。
【0017】
かかる構成によれば、包装箱から突出する注出口の後方に位置する外側中折部に手を掛けて、容易に包装箱を傾けて内袋の注出口から内容物を注出させることができる。
【0018】
[5]また、本発明においては、
前記包装箱は、注出口を備えた内袋を収容し、天面と底面とを備えるバッグインボックスタイプの包装箱であり、
前記内フラップと前記外フラップとで前記底面を構成し、
前記天面には、前記注出口を突出させるための注出口対応部が設けられ、
前記包装箱を傾けて注出口から内袋の内容物が注出される側を前方とし、前記前方とは反対の方向を後方として、
前記底面には、複数の前記外側中折部及び前記内側中折部が設けられ、
前記内側中折部の先端は、前記後方側に位置し、前記内側中折部の基端は前記前方側に位置することが好ましい。
【0019】
かかる構成によれば、包装箱を傾けて内袋から内容物を抽出させるときに、内袋の内容物の残量に応じて底面の取手部の位置を選択することができる。特に、左右方向ではなく前後方向に間隔を存して複数の前記外側中折部及び前記内側中折部を設ける場合には、内容物の残量に応じて適切に抽出させることができる。
【0020】
[6]また、本発明においては、前記外側中折部は、接続部(例えば、実施形態の接続部16a。以下同一。)を備えた前記切込部によって、前記外フラップに形成されていることが好ましい。
【0021】
かかる構成によれば、外側中折部を内側へ折り曲げて取っ手とする前の状態においては、外側中折部とが外フラップと面一となって開口が存在しないため、取っ手を形成する前の状態における包装箱内への埃やゴミなどの侵入を防止することができる。
【0022】
[7]また、本発明の包装箱は、
筒状の胴部と、
前記胴部の開口端縁に前記胴部内側に折り曲げられて設けられた内フラップと、
前記胴部の開口端縁であって前記胴部内側に折り曲げられて前記内フラップの上に重なるように設けられた外フラップと、
前記外フラップに設けられた切込部によって該切込部の内側に形成され、先端を遥動して内側に折り込まれた外側中折部と、
を備え、
前記外側中折部は、前記外側中折部の基端縁と平行な折目線を介して連設された複数の分割片で構成されており、
内側に折り込まれた前記外側中折部の一部が前記内フラップの表面に接触していることを特徴とする。
【0023】
かかる構成によれば、外側中折部と内フラップとで包装箱内への埃の侵入を抑えることができる。また、外側中折部が内側へ折り曲げられることにより形成される外フラップの開口に指を差し入れると、外側中折部と接触していた内フラップを更に内側へ押し込むように開口を広げながら、使用者は、外側中折部に沿ってしっかりと包装箱をつかむことができる。これにより、包装箱内に比較的重いものが収納されている場合であっても、使用者は、外側中折部によって形成される取手部をしっかりと握ることができる。
【0024】
また、内側へ折り曲げられた分割片同士が復元力によって互いに離れようとする力が分割片の間に発生する。このため、同じく復元力によって開口を閉塞しようとする内フラップを分割片同士の復元力によって押し戻そうとして、外側中折部と内フラップとが適切に係合して閉塞状態を維持することができる。
【0025】
また、複数の分割片が内側へ折れ曲がるため、外側中折部を把持した使用者は、外側中折部の先端を介して包装箱の荷重が手の平に加わることがなく、容易に外側中折部に手を掛けることができる。
【0026】
また、外側中折部及び内フラップによって外フラップに形成される開口は、埃侵入防止の観点から考えれば、小さいほうが好ましいが、取っ手として使用者の手の平が挿入されることを考慮するとある程度の大きさが望まれる。そして、内フラップができるだけ開かないようにするためには、外側中折部における基端から内フラップに最初に接触する部分までの距離ができるだけ短いことが好ましい。
【0027】
しかしながら、外側中折部の先端が内フラップの表面に当接するように構成した場合、外フラップの開口を大きくし、外側中折部の長さを短くすると、切込部と外側中折部の先端との間の部分を切り落とす必要があり、製造過程でゴミが比較的多く発生してしまう。
【0028】
これに対し、上述した本発明の如く複数の分割片で外側中折部を構成すれば、外側中折部の先端で内側中折部の表面に係合させる必要がなく、製造過程におけるゴミの発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の包装箱を示す説明図。
図2】本実施形態の外側中折部及び内側中折部を断面で示す説明図。
図3】本実施形態の包装箱を展開して示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図を参照して、本発明の包装箱の実施形態を説明する。本実施形態の包装箱は、注出口を備えた内袋を収容するバッグインボックスタイプの包装箱である。図1に示すように、本実施形態の包装箱1は、天面側の開口端縁2aと底面側の開口端縁2bとを有する四角筒状の胴部2を備える。
【0031】
天面側の開口端縁2aには、互いに対向する一対の辺(図3の折目線L7参照)に設けられた一対の天面内フラップ3,3と、天面側の開口端縁2aであって、天面内フラップ3が設けられた辺(図3の折目線L7参照)に隣接して互いに対向する一対の辺(図3の折目線L8参照)に設けられた一対の天面外フラップ4,4と、一方の天面外フラップ4に設けられ収容された内袋の注出口を突出させるための注出口用破断部5と、を備える。
【0032】
図2に示すように、他方の天面外フラップ4は、U字状(C字型を含む)に切り込まれて形成され、切り込まれた内側を、折目線L1を介して内側に遥動させて折り込むことで形成される第1分割片6と、第1分割片6の先端6aに折目線L2を介して連設され、更に内側に折り込むことで形成される第2分割片7と、を備える。折目線L2は、外側中折部9の基端縁としての折目線L1に対して平行となっている。ここで、折目線L1と折目線L2とは、厳密な意味での平行のみならず、ほぼ平行といえる程度の平行であってもよい。
【0033】
天面内フラップ3は、第1分割片6及び第2分割片7に対応する部分(重なる領域)に位置させてU字状(C字型を含む)に切り込まれて形成され、切り込まれた内側を、内側に遥動させて折り込むことで形成される内側中折部8を備える。内側中折部8が内側へ折り曲げられることにより、第1分割片6及び第2分割片7を内側へ折り込むことが可能となる。本実施形態においては、第1分割片6及び第2分割片7で外側中折部9が構成される。
【0034】
第1分割片6の基端6bは、先端6aに対し、内側中折部8の遥動する自由端である先端8aと同じ側の後方に位置している。第1分割片6の遥動する自由端としての先端6aは、基端6bに対し、内側中折部8の基端8bと同じ側の前方に位置している。内側中折部8の先端8aは基端8bに対して後方に位置している。
【0035】
内側に折り込まれた第2分割片7の表面7cは、内側中折部8の表面8cと接触している。ここで、表面7c、8cとは、包装箱1の外面に連なる面であり、包装箱1の内面とは異なる面である。
【0036】
図3は、本実施形態の包装箱1の展開した状態を示している。図3に示すように、本実施形態の包装箱1は、1枚の段ボール原紙から打ち抜いた1枚の段ボール板紙10を折り曲げて組み立てられるものである。
【0037】
この段ボール板紙10は、胴部2を構成する長方形状の右側板11と、右側板11の側縁に折目線L3を介して連設される長方形状の前板12と、前板12の側縁に折目線L4を介して連設される長方形状の左側板13と、左側板13の側縁に折目線L5を介して連設される長方形状の後板14と、後板14の側縁に折目線L6を介して連設され、右側板11に接着するための接着片15と、を備える。
【0038】
右側板11及び左側板13の上縁には、折目線L7,L7を介して天面内フラップ3,3が夫々連設されている。前板12及び後板14の上縁には、折目線L8を介して天面外フラップ4,4が夫々連設されている。前板12の上縁に連設される天面外フラップ4には、収容される内袋の注出口を突出させるために破断可能な注出口用破断部5が設けられている。
【0039】
後板14の上縁に連設される天面外フラップ4には、図3における下方に折目線L1が位置するようにU字状(C字型を含む)に切り込まれた切込部16によって、第1分割片6及び第2分割片7からなる外側中折部9が形成されている。なお、切込部16は、完全に切断されておらず、部分的に接続された接続部16aを有する。
【0040】
この接続部16aにより、第1分割片6及び第2分割片7を取手として利用する前の状態においては、第1分割片6及び第2分割片7が内側に折り込まれておらず、天面外フラップ4に開口が形成されていないため、取手を利用する前の状態における包装箱1内への埃やゴミなどの侵入を防ぐことができる。
【0041】
天面内フラップ3には、包装箱1が組み立てられたときに、天面外フラップ4の第1分割片6及び第2分割片7に対応する部分(重なる領域)に位置するように、J字状の切込部17が設けられている。切込部17は、天面内フラップ3の先端まで延びており、切込部17と天面内フラップ3の先端縁とで、折目線L9を介して内側へ遥動して折り曲げ可能な内側中折部8の半体8eを構成している。包装箱1が組み立てられると2つの半体8e,8eで1つの内側中折部8として機能する。
【0042】
また、天面内フラップ3には、天面外フラップ4に設けられた注出口用破断部5(注出口用対応部)から内袋の注出口を突出させる際に、天面内フラップ3が邪魔とならないように切り欠かれた切欠部18が設けられている。この切欠部18によって、天面内フラップ3はL字状となっている。また、両天面内フラップ3は、図3の展開図において左右対称形状となっている。
【0043】
右側板11及び左側板13の下縁には、折目線L10,L10を介して底面内フラップ19,19が夫々連設されている。前板12及び後板14の下縁には、折目線L11,L11を介して底面外フラップ20,20が夫々連設されている。
【0044】
前板12の下縁に連設される底面外フラップ20には、図3における下方に折目線L12が位置するようにU字状(C字型を含む)に切り込まれた切込部16によって、第1分割片6及び第2分割片7が形成されている。この第2分割片7は、第1分割片6の先端6aに折目線L13を介して遥動自在に連設されている。また、天面と同様に底面の切込部16も完全に切断されておらず、部分的に接続された接続部16aを有する。
【0045】
後板14の下縁に連設される底面外フラップ20には、図3における上方に折目線L14が位置するようにU字状(C字型を含む)に切り込まれた切込部16によって、第1分割片6及び第2分割片7が形成されている。この第2分割片7は、第1分割片6の先端6aに折目線L15を介して遥動自在に連設されている。また、この底面外フラップ20に設けられた切込部16も完全に切断されておらず、部分的に接続された接続部16aを有する。
【0046】
底面を構成する底面外フラップ20の接続部16aによれば、第1分割片6及び第2分割片7を取手として利用する前の状態においては、第1分割片6及び第2分割片7が内側に折り込まれておらず、天面外フラップ4に開口が形成されていないため、取手を利用する前の状態における包装箱1内への埃やゴミなどの侵入を防ぐことができる。
【0047】
底面内フラップ19には、包装箱1が組み立てられたときに、天面外フラップ4の第1分割片6及び第2分割片7に対応する部分(重なる領域)に位置するように、J字状の切込部17と天面内フラップ3の先端縁とで、折目線L16を介して内側へ遥動して折曲可能な内側中折部8の半体8eを構成している。包装箱1が組み立てられると2つの半体8e,8eで1つの内側中折部8として機能する。
【0048】
以上のように構成される段ボール板紙10を組み立てるには、まず、折目線L3〜L6で折り曲げて、右側板11、前板12、左側板13、後板14とで四角筒状の胴部2を形成し、接着片15を右側板11に接着する。次に、底面内フラップ19を折目線L10を介して内側へ直角に折り曲げる。そして、底面外フラップ20を折目線L11を介して内側へ直角に折り曲げ、底面内フラップ19と底面外フラップ20とを接着して胴部2の底面を閉塞する。このとき、第1分割片6及び第2分割片7が内側中折部8と接着されないように注意する。
【0049】
次に、胴部2に内袋を収容する。そして、天面内フラップ3を折目線L7を介して内側へ直角に折り曲げ、その後、天面外フラップ4を折目線L8を介して内側へ直角に折り曲げて、天面内フラップ3及び天面外フラップ4とを接着させる。このとき、第1分割片6及び第2分割片7が内側中折部8と接着されないように注意する。また、必要に応じて、前板12の上縁に連設される天面外フラップ4に設けられた注出口用破断部5を破断して、図示省略した内袋の注出口が包装箱1の外方へ露出させる。
【0050】
このようにして、本実施形態の包装箱1が組み立てられる。
【0051】
本実施形態の包装箱1を使用する際には、包装箱1を傾けて注出口から内袋の内容物を注出させる。包装箱を傾けたときに注出口から内袋の内容物が注出される側を前方、前方の反対側を後方として、外側中折部9及び内側中折部8は、注出口用破断部5の後方に配置されている。
【0052】
本実施形態の包装箱1によれば、図2に示すように、外側中折部9と内側中折部8とが互いに支えあって、外側中折部9を構成する第1分割片6及び第2分割片7を内側に折り曲げることで形成される開口を閉じて、天面外フラップ4及び底面外フラップ20の開口領域を小さくすることができる。このため、包装箱1内への埃やゴミなどの侵入を抑えることができる。
【0053】
また、第1分割片6及び第2分割片7が内側へ折り曲げられることにより形成される天面外フラップ4及び底面外フラップ20の開口に指を差し入れると、第2分割片7の表面7cと接触していた内側中折部8を更に内側へ押し込むように天面外フラップ4の開口を広げながら、使用者は、第1分割片6及び第2分割片7に沿ってしっかりと包装箱1をつかむことができる。
【0054】
これにより、包装箱1内に比較的重いものが収容されている場合であっても、使用者は、第1分割片6及び第2分割片7からなる外側中折部9で構成される取手をしっかりと握ることができ、比較的容易に内容物を注出口から出すことができる。また、握る部分が増えるために、手の平にかかる荷重が分散し、使用者の負担を軽減させることができる。
【0055】
さらに、使用者が指を挿入するときに、使用者は内側中折部8のみを内側へ押し込むだけで外側中折部9を把持することができるため、内側中折部8と共に外側中折部9をも内側へ押し込まなければ指を挿入できないものと比較して、指の挿入が容易となる。
【0056】
また、本実施形態の包装箱1では、外側中折部9は、第1分割片6及び第2分割片7で構成され、底面に前後方向に間隔を存して2つの外側中折部9が形成されている。これにより、包装箱1を傾けて内袋から内容物を注出させるときに、内袋の内容物の残量に応じて使用する底面の外側中折部9の位置を選択することができ、内容物の残量に応じて適切に内容物を注出させることができる。
【0057】
なお、本実施形態においては四角筒状の胴部2を説明したが、本発明の胴部は筒状であればよく、他の形状、例えば六角筒状であってもよい。
【0058】
また、本実施形態においては、包装箱1の天面と底面とが何れも内フラップと外フラップとで閉塞されたものを説明したが、本発明の包装箱は天面と底面との少なくとも何れか一方が内フラップと外フラップとで閉塞されていればよく、例えば、天面と底面の何れか一方のみが内フラップと外フラップとで閉塞され、他方は他の閉塞構造であってもよい。他の閉塞構造としては、例えば、フラップの側縁一方を隣接するフラップの側縁他方の内側に差し込むようにして4つのフラップが互いに支え合うようにして閉塞する構造がある。
【0059】
また、本実施形態としては、図1及び図3においてC字型の切込部16を説明したが、本発明の切込部は、U字状(U字型、C字型、V字型、J字型、コ字型を含む)であればよく、例えば、切込部の形状はU字型、V字型、J字型、コ字型であってもよい。本発明においてU字状とは、一部が折目線L1を介して外フラップと接続するように切り欠かれているものを指し、外側中折部を形成することができればその形状に限定はないが、例えば、U字型、C字型、V字型、J字型、コ字型などの形状を含む概念として用いている。
【0060】
また、本実施形態においては、折目線L1を、その両端が切込部16の両端に接続されるものを説明したが、折目線L1はこれに限らず、例えば、折目線L1の一端を切込部16の一端と接続し、折目線L1の他端を切込部16の中間地点と接続してもよい。又は、折目線L1の両端を切込部16の2つの中間地点に夫々接続させてもよい。
【0061】
また、本実施形態においては、図1及び図3においてJ字型の切込部17を説明したが、切込部17の形状はJ字型に限らず、例えば、L字型、コ字型、H字型であってもよい。
【0062】
この切込部17は、天面内フラップ3又は底面内フラップ19の先端又は左端又は右端まで伸びていてもよく、折目線L9又は折目線L16を介して内側へ遥動させて内側中折部8が折り曲げ可能であればよい。このとき、折目線L9、折目線L16の一端は、切込部17の一端または切込部17の中間地点のいずれかに位置させてもよい。
【0063】
また、本実施形態の包装箱1では、天面および底面の何れにも外側中折部9及び内側中折部8を設けたものを説明したが、外側中折部9及び内側中折部8は、天面と底面の少なくとも一方に設けられていればよく、また、底面の取手部は1つであってもよい。
【0064】
また、本実施形態においては、外側中折部9が第1分割片6と第2分割片7の2つの分割片で構成されるものを説明したが、本発明の外側中折部はこれに限らず、例えば、分割片を設けず1枚フラップの外側中折部としてもよいし、3つ以上の分割片を備える外側中折部としてもよい。
【0065】
また、本実施形態においては、底面に前後方向に間隔を存して2つの外側中折部9が形成したものを説明したが、底面の外側中折部は前後方向に間隔を存するものに限らず、例えば、左右方向に間隔を存していてもよい。これによっても、包装箱を傾けて内袋から内容物を注出させるときに、使用者は持ち易い方の底面の外側中折部の位置を選択することができるという作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0066】
1 包装箱
2 胴部
2a 天面側の開口端縁
2b 底面側の開口端縁
3 天面内フラップ
4 天面外フラップ
5 注出口用破断部
6 第1分割片
6a 先端
6b 基端
7 第2分割片
7c 表面(外面)
7d 裏面(内面)
8 内側中折部
8a 先端
8b 基端
8c 表面(外面)
8d 裏面(内面)
8e 半体
9 外側中折部
10 段ボール板紙
11 右側板
12 前板
13 左側板
14 後板
15 接着片
16 切込部
16a 接続部
17 切込部
18 切欠部
19 底面内フラップ
20 底面外フラップ
L1〜L16 折目線
図1
図2
図3