特許第6865544号(P6865544)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6865544空間光変調器および空間光変調器の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6865544
(24)【登録日】2021年4月8日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】空間光変調器および空間光変調器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/09 20060101AFI20210419BHJP
   H01L 43/08 20060101ALI20210419BHJP
   H01L 29/82 20060101ALI20210419BHJP
   H01L 43/12 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   G02F1/09 503
   H01L43/08 U
   H01L29/82 Z
   H01L43/08 Z
   H01L43/12
【請求項の数】3
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-147895(P2016-147895)
(22)【出願日】2016年7月27日
(65)【公開番号】特開2018-17881(P2018-17881A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大典
(72)【発明者】
【氏名】麻生 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】金城 秀和
(72)【発明者】
【氏名】船橋 信彦
(72)【発明者】
【氏名】青島 賢一
(72)【発明者】
【氏名】町田 賢司
(72)【発明者】
【氏名】久我 淳
(72)【発明者】
【氏名】菊池 宏
【審査官】 井部 紗代子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−118723(JP,A)
【文献】 特開2002−026123(JP,A)
【文献】 特開2015−115446(JP,A)
【文献】 米国特許第04500177(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00 − 1/125
G02F 1/21 − 7/00
H01L21/8239
H01L27/105
H01L27/22
H01L29/82
H01L43/00 −43/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と第2基板とを接合層を介して接合した空間光変調器であって、
前記第1基板は、矩形に形成された第1基体と、前記第1基体上で対向する辺に向かって形成された複数の第1電極と、隣り合う前記第1電極間を絶縁する第1絶縁層と、を備え、表面には前記第1電極によって縞状のパターンが形成されており、
前記第2基板は、矩形に形成された第2基体と、前記第2基体上に前記第1電極と交差する方向に形成された複数の第2電極と、前記第2電極上で前記第1電極と交差する交点に当該第2電極から突出して2次元配列された複数の光変調素子と、隣り合う前記第2電極間および隣り合う前記光変調素子間を絶縁すると共に2次元配列された前記各光変調素子の一部が前記第1基板側に突出するように形成された第2絶縁層と、を備え、表面には前記光変調素子によって2次元配列の凸形状パターンが形成されており、
前記接合層は、前記第1基板の表面に成膜された第1金属膜と、前記第2基板の表面に成膜された第2金属膜と、を備え、突出した前記各光変調素子の一部により当該第1金属膜と当該第2金属膜との接合部が形成されると共に、前記接合部以外の当該接合層の表面部分が酸化膜として形成されることを特徴とする空間光変調器。
【請求項2】
前記光変調素子の前記第1基板側には、保護層が形成されており、
前記光変調素子の突出量は、前記保護層の厚み未満であることを特徴とする請求項1に記載の空間光変調器。
【請求項3】
矩形に形成された第1基体、前記第1基体上で対向する辺に向かって形成された複数の第1電極、隣り合う前記第1電極間を絶縁する第1絶縁層、前記第1電極および前記第1絶縁層の表面に形成された第1金属膜を有する第1基板と、矩形に形成された第2基体、前記第2基体上に前記第1電極と交差する方向に形成された複数の第2電極、前記第2電極上で前記第1電極と交差する交点に当該第2電極から突出して2次元配列された複数の光変調素子、隣り合う前記第2電極間および隣り合う前記光変調素子間を絶縁すると共に2次元配列された前記各光変調素子の一部が突出するように形成された第2絶縁層、前記光変調素子および前記第2絶縁層の表面に形成された第2金属膜を有する第2基板と、を準備する基板準備工程と、
前記第1電極と前記第2電極とが交差するように対面させ、前記各光変調素子を覆う前記第2金属膜の部分と前記第1金属膜の対向する部分とを接合する接合工程と、
接合後に前記第1金属膜および前記第2金属膜の接合部以外の部分の表面を酸化させる酸化膜形成工程とからなり、
前記第1基板には、前記第1電極によって縞状のパターンが前記第1金属膜の下に形成されており、
前記第2基板には、前記光変調素子によって2次元配列の凸形状パターンが前記第2金属膜の下に形成されている、
ことを特徴とする空間光変調器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射した光を磁気光学効果により光の位相や振幅等を空間的に変調して出射する空間光変調器および空間光変調器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空間光変調器は、画素として光学素子(光変調素子)を用い、これをマトリクス状に2次元配列して光の位相や振幅等を空間的に変調するものであって、ディスプレイ技術や記録技術等の分野で広く利用されている。空間光変調器として、従来より液晶が用いられているが、近年では、高速処理かつ画素の1μm以下の微細化の可能性が期待される磁気光学材料を用いた磁気光学式空間光変調器の開発が進められている。
【0003】
磁気光学式空間光変調器においては、磁性体に入射した光が透過または反射する際にその偏光の向きを変化(旋光)させて出射するファラデー効果(反射の場合はカー効果)を利用している。すなわち磁気光学式空間光変調器(以下、空間光変調器)は、選択された画素(選択画素)における光変調素子の磁化方向とそれ以外の画素(非選択画素)における光変調素子の磁化方向を異なるものとして、選択画素から出射した光と非選択画素から出射した光で、その偏光の回転角(旋光角)に差を生じさせた2値の光に変調する。このような光変調素子の磁化方向を変化させる方法として、光変調素子に磁界を印加する磁界印加方式(例えば、特許文献1)や、光変調素子に電流を供給する、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)にも適用されているスピン注入方式(例えば、特許文献2,3)や磁壁移動方式(例えば、特許文献4)がある。
【0004】
スピン注入方式の空間光変調器は、CPP−GMR(Current Perpendicular to the Plane Giant MagnetoResistance:垂直通電型巨大磁気抵抗効果)素子や、TMR(Tunnel MagnetoResistance:トンネル磁気抵抗効果)素子等のスピン注入磁化反転素子が光変調素子として搭載される。一般的に、スピン注入磁化反転素子は、非磁性膜または絶縁膜(中間層)を挟んだ2つの磁性膜からなる少なくとも3層の積層構造で、膜面に垂直に電流を供給することにより電子のスピンが注入されて、磁性膜の一方が磁化自由層としてその磁化方向が変化する。すなわち、この磁化自由層が前記磁界印加方式の光変調素子に相当する。スピン注入磁化反転素子は、上下面に一対の電極を接続するので、磁界印加方式の光変調素子のように、電極を画素サイズに対して極度に細い配線として形成しなくてよく、配線幅による素子サイズの制約が少ない。さらに、スピン注入磁化反転素子は、駆動電流が膜面での電流密度によるため、素子サイズ(面積)が小さい程電流が抑えられる上、容易に磁化反転させるために1辺が500nm程度以下、好ましくは100〜300nm程度に形成される。このようなスピン注入磁化反転素子を搭載した空間光変調器は、一対の電極の、少なくともスピン注入磁化反転素子の光の入出射側に接続する電極、ここでは磁化自由層に接続する電極を構成する配線を透明電極材料で形成して、スピン注入磁化反転素子に光が入射するように構成される。また、スピン注入磁化反転素子は、光変調素子として2次元配列して空間光変調器を構成する場合に、上に接続する配線(電極)と下に接続する配線とを平面視で互いに直交するストライプ状に形成すればよいので、磁界印加方式よりも画素のいっそうの微細化を可能とする。さらに、特許文献5,6のように、磁化自由層に電極を接続しない並設デュアルピン構造のスピン注入磁化反転素子を適用して、一対の電極を構成する各配線の両方を良導体の金属電極材料で形成することもできる。
【0005】
磁壁移動方式の空間光変調器は、細線状の磁性膜(磁性細線)が光変調素子として搭載され、その両端に一対の電極が接続される。磁性細線に電流を細線方向に供給すると、電流と逆方向に磁壁が移動するため、所定領域における磁化方向が変化する。磁壁移動方式では、駆動に必要な電流が、細線方向における(細線方向に垂直な断面での)電流密度によるため、スピン注入方式よりも電流が抑えられる。さらに、20nm程度以下の薄膜でないと磁化反転し難いスピン注入磁化反転素子の磁化自由層と異なり、磁壁移動方式の空間光変調器は、磁性細線が70nm程度まで厚膜化されてもよく、磁気光学効果を高くすることが容易である。また、MRAMに適用されているように、磁性細線に生成している磁壁が安定して維持されるために、磁性細線の両端に磁化固定層を積層して電極を接続することが好ましい(例えば、特許文献7)。
【0006】
また、スピン注入方式や磁壁移動方式の空間光変調器は、選択トランジスタ型のMRAMと同様に、光変調素子をMOSFETで形成したトランジスタ等を経由して電極の一方を構成する配線に接続してもよい(例えば、特許文献6,7)。このような構成にすることにより、電流の回り込みによる損失を削減して消費電流を低減することができ、スピン注入方式ではさらに、MRAMの読出しと同様の方法で書込みエラー検出を可能とすることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4596468号公報
【特許文献2】特許第4829850号公報
【特許文献3】特許第5001807号公報
【特許文献4】特許第4939489号公報
【特許文献5】特許第5567969号公報
【特許文献6】特開2013−195594号公報
【特許文献7】特開2011−119537号公報
【特許文献8】特開2005−101186号公報
【特許文献9】特許第2791429号公報
【特許文献10】特許第5401661号公報
【特許文献11】特開2013−243333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
空間光変調器は、スピン注入方式においては3層以上の多層膜からなる光変調素子を基板上に2次元配列して、電極として少なくとも2層の配線、およびこれらを互いに絶縁するために間に設けられる絶縁層を備え、あるいはさらにトランジスタを備える。そのため、空間光変調器の製造は、これらの各層の成膜と加工とを繰り返す多数の工程を要し、製品完成のための所要時間(TAT:turn around time)が長くなる。特に、並設デュアルピン構造のスピン注入磁化反転素子や磁壁移動方式の光変調素子は、面内に分離した2つの磁化固定層を備えるため、工程が繁雑である。
【0009】
そこで、本発明者らは、近年、高集積化された半導体素子(半導体装置)のチップ面積を縮小するために開発された積層型半導体装置に着目した。積層型半導体装置は、それぞれ回路を形成したウェハまたはチップを貼り合わせて製造されるので、ウェハ毎に別ラインで製造することができる。具体的には、例えば、ウェハに一対の電極の一方を構成する配線を形成し、他方を構成する配線および光変調素子を別のウェハに形成して、これら2枚のウェハを貼り合わせて光変調素子と配線(電極)とを接合する。
【0010】
このような積層型半導体装置において各ウェハの配線同士を機械的にかつ電気的に接続するためには、貫通電極を形成したり、一方のウェハまたはチップの接合面にバンプ等を形成して、高温や加圧等で圧着する方法が知られている(例えば、特許文献8)。しかし、1μm程度以下のピッチの微細な画素毎に貫通孔を形成することは困難である。一方、バンプによる接合は、熱で光変調素子の磁性膜へのダメージを生じる虞があり、また、微細な画素の空間光変調器では、配線の幅が狭いため、十分な密着力が得られ難く、剥離する虞がある。
【0011】
また、金属材料や絶縁材料にかかわらず、さらに室温等の低温で、ウェハやチップを接合する技術として、表面活性化接合、水酸基接合、および原子拡散接合が知られている。表面活性化接合は、Ar等の不活性ガス雰囲気で、不活性ガスのイオンやプラズマを両方の接合面に照射した後、この環境下で接触させることにより接合する(例えば、特許文献9)。表面活性化接合は、被接合材料にもよるが、密着力が強くなく剥離する虞がある。原子拡散接合は、一方または両方の接合面に、真空または不活性ガス雰囲気でAl等の金属を膜厚0.2nm〜1μmに成膜して、成膜した金属膜同士をこの環境下で接触させることにより接合する(例えば、特許文献10)。したがって、それぞれのウェハに形成した2組以上の配線同士を電気的に接続するためには、各接合面に露出させた異なる配線間が金属膜で短絡しないように、配線パターンを空けたマスクを成膜チャンバー内で離脱自在にウェハ上に設置する必要があり、また、結果として、バンプによる接合と同様に、配線の幅が狭いために十分な密着力が得られ難い。水酸基接合は、接合面に水洗等により水酸基を付着させて親水化処理し、この接合面同士を接触させることにより接合する(例えば、特許文献11)。水酸基接合のためには、両接合面を算術平均粗さRaで1nm以下に平滑化する必要があり、光変調素子を形成したウェハを化学的機械研磨(CMP)等で研磨すると、光変調素子にダメージを与える虞がある。
【0012】
しかしながら、これら2枚のウェハを電気的に接続するためには、金属薄膜の光変調素子や配線(電極)への高精細なパターニングを必要としていた。その為、空間光変調器の製造工程が複雑になってしまっていた。
【0013】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであって、製造工程が簡素である空間光変調器および空間光変調器の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するために本発明の一態様による空間光変調器は、第1基板と第2基板とを接合層を介して接合した空間光変調器である。
ここで、前記第1基板は、矩形に形成された第1基体と、前記第1基体上で対向する辺に向かって形成された複数の第1電極と、隣り合う前記第1電極間を絶縁する第1絶縁層とを備え、表面には前記第1電極によって縞状のパターンが形成されている。
【0015】
また、前記第2基板は、矩形に形成された第2基体と、前記第2基体上に前記第1電極と交差する方向に形成された複数の第2電極と、前記第2電極上で前記第1電極と交差する交点に当該第2電極から突出して2次元配列された複数の光変調素子と、隣り合う前記第2電極間および隣り合う前記光変調素子間を絶縁すると共に2次元配列された前記各光変調素子の一部が前記第1基板側に突出するように形成された第2絶縁層とを備え、表面には前記光変調素子によって2次元配列の凸形状パターンが形成されている。
【0016】
また、前記接合層は、前記第1基板の表面に成膜された第1金属膜と、前記第2基板の表面に成膜された第2金属膜と、を備え、突出した前記各光変調素子の一部により当該第1金属膜と当該第2金属膜との接合部が形成されると共に、前記接合部以外の当該接合層の表面部分が酸化膜として形成される。
【0017】
このような構成を備える空間光変調器は、突出した各光変調素子によって凸形状パターンが第2基板に形成される。そして、この凸形状パターンは、第2金属膜が成膜されることで、第1基板に成膜される第1金属膜との接合部を形成する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様によれば、第2絶縁層の表面から突出した各光変調素子に第2金属膜が成膜されることで第1基板との接合部になるので、接合のためのパターニングが不要であり、製造工程を簡素化、短縮することができる
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係る空間光変調器の概略構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る空間光変調器に用いる光変調素子の概略図であり、(a)はON状態(明)を示し、(b)はOFF状態(暗)を示す。
図3】本発明の第1実施形態に係る空間光変調器の上部電極が延設される方向(Y方向)の断面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る空間光変調器の下部電極が延設される方向(X方向)の断面図であり、(a)は全体図を示し、(b)は要部拡大図を示す。
図5】本発明の第1実施形態に係る空間光変調器を説明するための図であり、(a)は第2基板である上部基板の外観斜視図であり、(b)は第1基板である下部基板の外観斜視図である。
図6】第1基板である下部基板の製造工程の例示であり、(a)ないし(c)は各工程を示す。
図7】第2基板である上部基板の製造工程の例示であり、(a)ないし(g)は各工程を示す。
図8】第1基板である下部基板および第2基板である上部基板の接合工程の例示であり、(a)ないし(c)は各工程を示す。
図9】本発明の第2実施形態に係る空間光変調器の上部電極が延設される方向(Y方向)の断面図であり、(a)は全体図を示し、(b)は要部拡大図を示す。
図10】本発明の第2実施形態に係る空間光変調器を説明するための図であり、(a)は第2基板である上部基板の外観斜視図であり、(b)は第1基板である下部基板の外観斜視図である。
図11】第1基板である下部基板の製造工程の例示であり、(a)ないし(d)は各工程を示す。
図12】第2基板である上部基板の製造工程の例示であり、(a)ないし(f)は各工程を示す。
図13】第1基板である下部基板および第2基板である上部基板の接合工程の例示であり、(a)ないし(c)は各工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る空間光変調器を実現するための形態について図を参照して説明する。ここで、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、参照する図面における寸法は、説明を明確にするために誇張して表現されている場合がある。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0025】
[第1実施形態]
≪第1実施形態に係る空間光変調器の構成≫
本発明の第1実施形態に係る空間光変調器1の構成の概略を図1に示す。なお、図1では、光の変調に関する構成以外のもの(例えば、基体や絶縁層など)を省略して記載している。本発明の第1実施形態に係る空間光変調器1は、入射した光を異なる2値の光(偏光成分)に変調して出射するスピン注入方式の光変調素子23を2次元配列して備える。光変調素子23は、Y方向(図1における縦方向)に延設された上部電極22と、上部電極22に直交するX方向(図1における横方向)に延設された下部電極12との交点に設置されており、一対の電極としての上部電極22と下部電極12によって上下から挟まれている。各々の光変調素子23は、空間光変調器1による表示の最小単位での情報(明/暗)を表示する手段を指す画素となる。
【0026】
本実施形態では、説明を簡潔にするために、空間光変調器1は、Y方向(図1における縦方向)に延設された4本(D1〜D4)の上部電極22と、上部電極22と直交するX方向(図1における横方向)に延設された4本(S1〜S4)の下部電極12と、を備える。そして、上部電極22と下部電極12との交点毎に1つの光変調素子23(画素)が形成されることで、4行×4列の16個の光変調素子23(画素)からなる構成で例示される。これは、後記の第2実施形態も同様とする。
【0027】
上部電極22には、上部電極選択部2が接続されており、一方、下部電極12には、下部電極選択部3が接続されている。また、上部電極選択部2および下部電極選択部3には、電流源4と、電流制御手段5とが接続されている。なお、上部電極選択部2、下部電極選択部3、電流源4および電流制御手段5は、空間光変調器1と別の構成にしてもよい。
上部電極選択部2は、D1〜D4の上部電極22から1つの電極を選択し、また、下部電極選択部3は、S1〜S4の下部電極12から1つの電極を選択する。これら上部電極選択部2および下部電極選択部3によって、マトリクス状の複数の光変調素子23(画素)の中から1個が特定されることになる。
【0028】
電流源4は、光変調素子23にパルス電流を供給するものである。なお、電流源4は、直流電流を供給するように構成してもよい。
電流制御手段5は、上部電極選択部2、下部電極選択部3および電流源4を制御するものである。この電流制御手段5は、各光変調素子23に流れる電流の方向および大きさを制御して、各光変調素子23にスピン注入することによって、光変調素子23の磁化を反転させる。
【0029】
次に、図2を参照して、スピン注入方式の光変調素子23の動作原理を簡単に説明する。光変調素子23は、スピン注入磁化反転と磁気光学効果を利用したCPP−GMR素子またはTMR素子である。光変調素子23は、主に、磁化固定層231、中間層232、磁化自由層233により構成され、上部(自由層233側)に上部電極22が接続されると共に下部(固定層231側)に下部電極12が接続される。
【0030】
磁化固定層231は、磁化方向が所定方向に固定された層である。ここで、磁化固定層231内の矢印は磁化方向の例示であり、図2では下向きに磁化している場合を想定している。中間層232は、磁化固定層231と磁化自由層233とに挟まれた中間に位置したトンネルバリヤ層である。磁化自由層233は、上部電極22,下部電極12を介して流される電流の大きさと向きにより、磁化の向きが反転される層である。ここで、磁化自由層233内の矢印は、磁化方向の例示である。
【0031】
例えば、電流を磁化自由層233側から流した場合には、電子は下から上へ流れる。ここで、磁化固定層231が下向きに磁化しているので、磁化固定層231に入ろうとする上向きのスピンの電子は磁化固定層231で反射され、下向きのスピンの電子だけが磁化固定層231、中間層232を通過して磁化自由層233に注入される。したがって、磁化自由層233の磁化は、下向きに反転する(図2(a)参照)。一方、電流を磁化固定層231側から流した場合には、電子は上から下へ流れる。ここで、磁化固定層231が下向きに磁化しているので、磁化自由層233、中間層232を通過した電子のうち、磁化固定層231の磁化の向きと反対の上向きのスピンの電子は磁化固定層231で反射される。したがって、磁化自由層233には上向きのスピンの電子が多く存在することになり、磁化自由層233の磁化は、上向きに反転する(図2(b)参照)。
【0032】
このように、光変調素子23は、電流源4から流される電流の大きさと向きにより、磁化自由層233の磁化の向きを制御することができる。つまり、上部電極22に透明電極材料を用いて、レーザ光源92から偏光フィルタ94a越しに当てたレーザー光は、磁気光学カー効果により磁化自由層233の磁化の向きや大きさにより偏光面が回転する。
【0033】
次に、図3および図4を参照して、本発明の第1実施形態に係る空間光変調器1の具体的な構成について説明する。図3は、本発明の第1実施形態に係る空間光変調器1の上部電極22が延設される方向(Y方向)の断面図である。図4は、本発明の第1実施形態に係る空間光変調器1の下部電極12が延設される方向(X方向)の断面図であり、(a)は全体図を示し、(b)は図4(a)の要部拡大図を示すものである。なお、空間光変調器1の上部側(Z方向側)が光の入射面である。
【0034】
図3および図4に示すように、空間光変調器1は、共に板状の上部基体21および下部基体11を備えて構成され、重ねられた2枚の基体21,11の間に、光変調素子23が2次元配列されている。下部基体11は、第1基体であり、また、上部基体21は、第2基体である。光変調素子23の上部には、上部電極22が接続され、一方、光変調素子23の下部には、接合層30を介して下部電極12が接続されている。これにより、空間光変調器1は、下から主に、下部基体11、下部電極12、接合層30、光変調素子23、上部電極22、上部基体21の順に積層されている。
【0035】
空間光変調器1は、後記製造方法にて説明するように、各基体11,21を土台として光変調素子23等の要素が別々に形成され、第1基板である下部基板10(図5(b)参照)および第2基板である上部基板20(図5(a)参照)が製造される。そして、上部電極22と下部電極12とが交差(ここでは、直交)するように対面させ、図3および図4に示すように、これら二つの基板10,20が接合層30を介して1つに貼り合わされて製造される。なお、各基板10,20の構成を個別に説明するに際して、基体11,21のそれぞれにおける平面(上面や表面と呼ぶ場合がある)は、光変調素子23や電極12,22が形成された側を指し、各要素については、土台とする基体11または基体21の側を下として説明する場合がある。以下、各構成について説明する。
【0036】
<下部基板>
第1基板である下部基板10の構成について説明する。図3に示すように、下部基板10は、第1基体である下部基体11と、下部基体11上にパターン形成される第1電極である下部電極12と、パターン形成された下部電極12の間に形成される第1絶縁層である絶縁層13とからなる。
【0037】
下部基体11は、例えば、Si基板である。下部基体11には、図1に示す上部電極選択部2、下部電極選択部3、電流源4、電流制御手段5を含む回路が形成されていてもよい。下部電極12は、例えば、リソグラフィ技術を用いて下部基体11上にパターン形成される。下部電極12は、Cu,Al,Au,Ag,Ta,Cr等の金属やその合金のような一般的な金属電極材料であってよい。絶縁層13は、パターン形成された下部電極12の間に形成されており、隣接する下部電極12間を絶縁する。
【0038】
下部基板10の表面10aは、図5(b)に示すように、下部電極12および絶縁層13が同一平面状(面一)に形成されている。下部基板10の表面粗さは、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)処理等により小さいことが望ましい。
【0039】
<上部基板>
第2基板である上部基板20の構成について説明する。図4(a)に示すように、上部基板20は、第2基体である上部基体21と、上部基体21上にパターン形成される第2電極である上部電極22と、上部電極22から突出して2次元配置されている光変調素子23と、パターン形成された上部電極22や光変調素子23の間に形成される第2絶縁層である絶縁層24とからなる。
【0040】
上部基体21は、例えば、ガラスなどの透明基板である。上部電極22は、光を通す透明電極であり、例えば、リソグラフィ技術を用いて上部基体21上にパターン形成される。上部電極22は、インジウム亜鉛酸化物(IZO:Indium Zinc Oxide)、インジウム−スズ酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、酸化スズ(SnO2)、酸化アンチモン−酸化スズ系(ATO)、酸化亜鉛(ZnO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム(In23)等の公知の透明電極材料からなる。上部電極22は、特に、比抵抗と成膜の容易さとの点からIZOが最も好ましい。
【0041】
光変換素子23は、例えば、リソグラフィ技術を用いて上部電極22上にパターン形成される。ここでの光変調素子23は、図4(b)に示すように、上部電極22側から磁化自由層233、中間層232、磁化固定層231、保護層234の順に積層されている4層構造である。
【0042】
磁化固定層231および磁化自由層233は、CPP−GMR素子、TMR素子に用いられる公知の磁性材料であって、特に、極カー効果で旋光角が大きくなる垂直磁気異方性材料を適用することが好ましい。磁化固定層231および磁化自由層233は、例えば、Fe,Co,Ni等の遷移金属とPd,Ptのような貴金属とを繰り返し積層したCo/Pd多層膜のような多層膜、Tb−Fe−Co,Gd−Fe等の希土類金属と遷移金属との合金(RE−TM合金)、L10系の規則合金としたFePt,FePd等からなる。
【0043】
光変調素子23をGMR構造とする場合、中間層232は、Cu,Ag,Alのような非磁性金属からなり、厚さは1〜10nmとすることが好ましい。また、TMR構造とする場合、中間層232は、非磁性金属ではなく、MgO,Al23,MgAl24,HfO2からなり、厚さが0.6〜2nm程度の極めて薄い絶縁膜とすることが好ましい。
【0044】
保護層234は、磁化固定層231を形成する磁性膜に連続して成膜される。保護層234は、Ta,Ru,Cuの単層、またはCu/Ta,Cu/Ruの2層(Cuが内側(下層))等から構成される。保護層234の厚さ(膜厚)は、1nm未満であると連続した膜を形成し難く、一方、10nmを超えて厚くしても、製造工程において磁化固定層231を保護する効果がそれ以上には向上しない。したがって、保護層234の厚さは、1〜10nmが好ましく、3〜5nmがより好ましい。
【0045】
絶縁層24は、パターン形成された上部電極22や光変調素子23の間に形成されており、隣接する上部電極22間や隣接する光変調素子23間を絶縁する。上部基板20の表面20aは、光変調素子23および絶縁層24からなり、光変調素子23の一部が絶縁層24に対して露出することにより段差構造を形成している。つまり、絶縁層24は、光変調素子23の先端が下部基板10側に所定量だけ露出するように形成されている。光変調素子23の露出量(突出量)H(図4(b)参照)は、例えば、0.2nm以上あることが好ましく、また、製造過程において磁化固定層231が大気に暴露されないようにするため、保護層234の厚み未満であることが望ましい。これにより、上部基板20の表面20aには、図5(a)に示すように、露出した光変調素子23によって2次元配列の凸形状パターンが形成される。
【0046】
光変調素子23による凸形状パターンは、種々の方法により形成されてよく、形成するための方法は特に限定されない。以下では、凸形状パターンの形成方法の例を示す。
例えば、リソグラフィで光変調素子23のレジストのパターニング、エッチングの後に絶縁層24で埋め戻す場合、エッチング深さよりも保護層234の厚み分だけ浅く埋め戻すようにする。その後、可能であればCMP等で表面平坦化処理をするのが好ましい。
【0047】
また、リソグラフィで光変調素子23のレジストのパターニング、エッチングの後に絶縁層24で埋め戻す場合、絶縁層24を適切な厚みで埋め戻して(必要に応じてCMP等で表面を平坦化して)、CF4などの反応性ガスで絶縁層24のみを数nmエッチングしてもよい。この際、光変調素子23は、ほとんどエッチングされないので(光変調素子23と絶縁層24とはエッチングレートが異なるため)容易に凸形状パターンが完成する。
【0048】
また、上部基体21上に絶縁層24を形成し、フォトリソグラフィにより光変調素子23のパターンのレジスト孔をパターニングし、エッチングをした後に、光変調素子23の成膜およびリフトオフを行う場合、エッチングの深さよりも厚く光変調素子23を成膜してからリフトオフを行うようにする。その後、可能であればCMP等で表面平坦化処理をするのが好ましい。
【0049】
<接合層>
接合層30の構成について説明する。図4(a)に示すように、接合層30は、第1基板である下部基板10と第2基板である上部基板20とを接合するものである。接合層30は、図4(b)に示すように、上部基板20の表面に形成された上部側の金属薄膜32と下部基板10の表面に形成された下部側の金属薄膜31とからなり、例えば、原子拡散接合法によりこれらの金属薄膜31,32が接合されている。金属薄膜31,32は、スパッタ等の方法で基板10,20上に成膜されればよく、略均一の厚さに形成される。上部側の金属薄膜32は、上部基板20と同様の凸形状パターンを有する。これにより、光変調素子23の下部が上部側の金属薄膜32と下部側の金属薄膜31とを接合する接合部33となる。なお、以下では、下部基体11と、下部電極12と、絶縁層13と、下部電極12および絶縁層13の表面に形成された金属薄膜31とを含めて「第1基板」と呼ぶ場合がある。また、上部基体21と、上部電極22と、光変調素子23と、絶縁層24と、光変調素子23および絶縁層24の表面に形成された金属薄膜32とを含めて「第2基板」と呼ぶ場合がある。
【0050】
また、接合層30は、導通部30aと絶縁部30bとの二つの部分からなる。導通部30aは、光変調素子23の下部(特に、接合部33の中央付近)に形成されており、光変調素子23と下部電極12とを電気的に接続させる。一方、絶縁部30bは、導通部30aの周囲および接合部33以外の部分に形成されている。導通部30aおよび絶縁部30bは、金属薄膜31,32が接合された状態の下部基板10および上部基板20を大気中に暴露することにより、金属薄膜31,32の表面が酸化されることによって形成される。つまり、接合部33以外の接合層30の表面部分が酸化膜として形成されている。
【0051】
接合層30の材料は、接合のための自己拡散係数が大きく、かつ大気中で酸化しやすい材料が望ましく、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)にクロム(Cr)やニッケル(Ni)を加えた合金などが適している。また、各金属薄膜31,32の厚さは、接合の強度や、接合部33以外の部分を完全に酸化させる必要があることを考えた場合に、数nm程度であることが望ましい。
【0052】
≪第1実施形態に係る空間光変調器の製造方法≫
次に、第1実施形態に係る空間光変調器1の製造方法について説明する。
本実施形態に係る空間光変調器1は、光変調素子23や電極12,22をそれぞれ基体11または基体21に形成することで、図5に示す下部基板10および上部基板20を製造する。そして、上部電極22と下部電極12とが交差(ここでは、直交)するように対面させ、これら二つの基板10,20を貼り合わせて製造される。以下、各工程について説明する。
【0053】
<下部基板の製造工程>
第1基板である下部基板10の製造工程について説明する。下部基板10の製造工程は、一般的な半導体装置の製造工程と同様の方法を適用することができる。例えば、フォトリソグラフィにより下部基板10の製造を行う場合について、図6を参照して説明する。
【0054】
最初に、Siなどの下部基体11上にSiO2などの絶縁膜13pを成膜し(図6(a)参照)、下部電極の形成位置を開口するレジスト41を用いて成膜した絶縁膜13pに下部電極パターンの孔を形成する(図6(b)参照)。次に、下部電極材料である銅などを成膜してからレジスト41をリフトオフして、下部電極12をパターン形成する(図6(c)参照)。これにより、第1基板である下部基板10が完成する。
【0055】
<上部基板の製造工程>
第2基板である上部基板20の製造工程について説明する。上部基板20の製造工程は、光変調素子23の一部が絶縁層24に対して露出することで、光変調素子23による2次元配列の凸形状パターンを上部基板20の表面20aに形成することができればよく、種々の方法を用いることができる。ここでは、リソグラフィ技術を用いて上部電極22および光変調素子23を形成した後に、絶縁層24を埋め戻す工程で凸形状パターンを形成する場合について、図7を参照して説明する。なお、絶縁層24を先に形成した後で、光変調素子23を形成する工程で光変調素子23による凸形状パターンを形成してもよい。
【0056】
最初に、ガラスなどの透明な上部基体21上に上部電極材料であるインジウム亜鉛酸化物などの上部電極膜22pを成膜し(図7(a)参照)、上部電極の形成位置以外を開口するレジスト42を用いて成膜した上部電極膜22pを上部電極パターンにエッチングする(図7(b)参照)。次に、エッチングした部分をSiO2で埋め戻すことで絶縁層24の一部分24pを形成してから、レジスト42をリフトオフすることで上部電極22をパターン形成する(図7(c)参照)。
【0057】
次に、光変調素子23の磁化自由層233、中間層232、磁化固定層231、保護層234を形成するための金属膜や磁性膜からなる光変調素子層23pを成膜し(図7(d)参照)、光変調素子の形成位置以外を開口するレジスト43を用いて成膜した光変調素子層23pを光変調素子パターンにエッチングする(図7(e)参照)。
【0058】
次に、エッチングした部分をSiO2で埋め戻すことで絶縁層24を形成してから、レジスト43をリフトオフすることで光変調素子層23を二次元配列にパターン形成する(図7(f)参照)。そして、必要に応じてCMP処理で表面を平坦化してから、CF4などの反応性ガスで絶縁層24のみを数nmエッチングし、凸形状パターンを形成する(図7(g)参照)。この際、光変調素子23と絶縁層24とはエッチングレートが異なるため、光変調素子23はほとんどエッチングされない。その為、容易に凸形状パターン(段差構造)を完成することができる。
【0059】
これにより、第2基板である上部基板20が完成する。なお、接合工程において、上部基板20の表面粗さは小さいことが望ましいので、最後に上部基板20の表面20aをCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理等することが好ましい。
なお、図7(f)に示すエッチングした部分をSiO2で埋め戻す工程において、エッチング深さよりも保護層234の厚み分だけ浅く埋め戻すようにして凸形状パターンを形成するようにしてもよい。これにより、図7(g)に示すエッチングの工程を省略することができる。この際にも、CMP処理等で表面を平坦化することが好ましい。
【0060】
また、ここでは、リソグラフィ技術を用いて上部電極22および光変調素子23を形成した後に、絶縁層24を埋め戻す工程で凸形状パターンを形成する場合を説明したが、絶縁層24を先に形成した後で、光変調素子23を形成する工程で凸形状パターンを形成してもよい。その場合、例えば、ガラスなどの透明の上部基体21上に絶縁層24を形成し、フォトリソグラフィにより光変調素子パターンのレジスト孔をパターニングし、エッチングをした後に、光変調素子層23pの成膜およびリフトオフを行うことで光変調素子23をパターン形成する。この際に、エッチングの深さよりも厚く光変調素子層23pを成膜し、リフトオフを行うようにする。その後、可能であればCMP処理等で表面を平坦化することが好ましい。
【0061】
<上部基板と下部基板との接合工程>
第2基板である上部基板20(図5(a)参照)と第1基板である下部基板10(図5(b)参照)とを製造した後に、これらの両基板10,20を接合する接合工程について図8を参照して説明する。ここでは、両基板10,20の接合に原子拡散接合法を用いる場合を想定する。原子拡散接合法は、金属薄膜の粒界や表面における原子拡散を利用することで、大きな圧力を印加することなく室温で対象物を接合することが可能である。
【0062】
真空中で下部基板10や上部基板20の表面に金属薄膜31,32をスパッタ等の方法で成膜し(図8(a)参照)、引き続き同一真空中で成膜した金属薄膜31,32を相互に接触させて接合する(図8(b)参照)。この際に、上部基板20の表面20aには、光変調素子23によって凸形状パターンが形成されているために、光変調素子23の下部が上部側の金属薄膜32と下部側の金属薄膜31とを接合する接合部33となる。これにより、二つの金属薄膜31,32からなる接合層30が形成される。
【0063】
金属薄膜31,32の材料は、接合のための自己拡散係数が大きく、かつ大気中で酸化しやすい材料が望ましく、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)にクロム(Cr)やニッケル(Ni)を加えた合金などが適している。また、金属薄膜31,32の厚さは、この後の工程における接合の強度や酸化される範囲を考慮した場合に、数nm程度にするのが望ましい。
【0064】
次に、接合されて一体となった基板10,20を真空空間から取り出して、大気中に暴露する。これによって、成膜した金属薄膜31,32の表面が酸化して酸化領域(絶縁部30b)が形成される。この絶縁部30bは、接合部33全体が酸化しないようにする保護の役割と、各電極12や各光変調素子23間を絶縁する絶縁層としての役割とを有する。
【0065】
以上のように、第1実施形態に係る空間光変調器1およびその製造方法は、光変調素子23の一部が絶縁層24に対して露出することで、上部基板20の表面20aに光変調素子23による凸形状パターンが形成される。そして、この凸形状パターンは、金属薄膜32が成膜されることで、下部基板10(具体的には、下部電極12)との接合部33になる。その為、第1実施形態に係る空間光変調器1は、接合のための金属薄膜31,32のパターニングが不要になるので、製造工程を簡素化、短縮することが可能である。
なお、両基板10,20を接合した後で大気中に暴露されることで、金属薄膜31,32の表面は酸化される。この酸化膜は、接合部33全体が酸化しないようにするための保護の役割と、各電極間や各素子間を絶縁する絶縁層として働く。
【0066】
[第2実施形態]
第1実施形態に係る空間光変調器1では、光変調素子を絶縁層から露出させることで2次元配列の凸形状パターン(段差構造)からなる接合部を形成していた。第2実施形態に空間光変調器1Aでは、下部電極を絶縁層から露出させることで線状の凸形状パターン(段差構造)からなる接合部を形成する。
【0067】
≪第2実施形態に係る空間光変調器の構成≫
図9を参照して、本発明の第2実施形態に係る空間光変調器1Aの具体的な構成について説明する。図9は、本発明の第2実施形態に係る空間光変調器1Aの上部電極22が延設される方向(Y方向)の断面図であり、(a)は全体図を示し、(b)は図9(a)の要部拡大図を示すものである。なお、空間光変調器1Aの上部側(Z方向側)が光の入射面である。
【0068】
図9に示すように、空間光変調器1Aは、共に板状の上部基体21および下部基体11を備えて構成され、重ねられた2枚の基体21,11の間に、光変調素子23が2次元配列されている。下部基体11は、第1基体であり、また、上部基体21は、第2基体である。光変調素子23の上部には、上部電極22が接続され、一方、光変調素子23の下部には、接合層30Aを介して下部電極12が接続されている。これにより、空間光変調器1Aは、下から主に、下部基体11、下部電極12、接合層30A、光変調素子23、上部電極22、上部基体21の順に積層されている。
【0069】
空間光変調器1Aは、後記製造方法にて説明するように、各基体11,21を土台として光変調素子23等の要素が別々に形成され、第1基板である下部基板10A(図10(b)参照)および第2基板である上部基板20A(図10(a)参照)が製造される。そして、上部電極22と下部電極12とが交差(ここでは、直交)するように対面させ、図9に示すように、これら二つの基板10A,20Aが接合層30Aを介して1つに貼り合わされて製造される。なお、各基板10A,20Aの構成を個別に説明するに際して、基体11,21のそれぞれにおける平面(上面や表面と呼ぶ場合がある)は、光変調素子23や電極12,22が形成された側を指し、各要素については、土台とする基体11または基体21の側を下として説明する場合がある。以下、各構成について説明する。
【0070】
<下部基板>
第1基板である下部基板10Aの構成について説明する。図9(a)に示すように、下部基板10Aは、第1基体である下部基体11と、下部基体11上にパターン形成される第1電極である下部電極12と、パターン形成された下部電極12の間に形成される第1絶縁層である絶縁層13Aとからなる。
【0071】
下部基体11は、例えば、Si基板である。下部電極12は、例えば、リソグラフィ技術を用いて下部基体11上にパターン形成される。下部電極12は、Cu,Al,Au,Ag,Ta,Cr等の金属やその合金のような一般的な金属電極材料であってよい。絶縁層13Aは、パターン形成された下部電極12の間に形成されており、隣接する下部電極12間を絶縁する。
【0072】
下部基板10Aの表面10Aaは、下部電極12および絶縁層13Aからなり、下部電極12の一部が絶縁層13Aに対して露出することにより段差構造を形成している。
つまり、絶縁層13Aは、下部電極12の先端が上部基板20A側に所定量だけ露出するように形成されている。下部電極12の露出量(突出量)Hは、例えば、0.2nm以上あることが好ましい。これにより、下部基板10Aの表面10Aaには、図10(b)に示すように、露出した下部電極12によって線状の凸形状パターンが形成される。
【0073】
下部電極12による凸形状パターンは、種々の方法により形成されてよく、形成するための方法は特に限定されない。以下では、凸形状パターンの形成方法の例を示す。
例えば、リソグラフィで下部電極12のレジストのパターニング、エッチングの後に絶縁層13Aで埋め戻す場合、下部電極12の厚さよりも浅く埋め戻すようにする。その後、可能であればCMP等で表面平坦化処理をするのが好ましい。
【0074】
また、リソグラフィで下部電極12のレジストのパターニング、エッチングの後に絶縁層13Aで埋め戻す場合、絶縁層13Aを適切な厚みで埋め戻して(必要に応じてCMP等で表面を平坦化して)、CF4などの反応性ガスで絶縁層13Aのみを数nmエッチングしてもよい。この際、下部電極12は、ほとんどエッチングされないので(下部電極12と絶縁層13Aとはエッチングレートが異なるため)容易に凸形状パターンが完成する。
【0075】
また、下部基体11上に絶縁層13Aを形成し、フォトリソグラフィにより下部電極12のパターンのレジスト孔をパターニングし、エッチングをした後に、下部電極12の成膜およびリフトオフを行う場合、エッチングの深さよりも厚く下部電極12を成膜してからリフトオフを行うようにする。その後、可能であればCMP等で表面平坦化処理をするのが好ましい。
【0076】
<上部基板>
第2基板である上部基板20Aの構成について説明する。図9(a)に示すように、上部基板20Aは、第2基体である上部基体21と、上部基体21上にパターン形成される第2電極である上部電極22と、上部電極22から突出して2次元配置されている光変調素子23と、パターン形成された上部電極22や光変調素子23の間に形成される第2絶縁層である絶縁層24Aとからなる。
【0077】
上部基体21、上部電極22および光変調素子23は、第1実施形態で説明した通りである。すなわち、上部基体21は、例えば、ガラスなどの透明基板である。上部電極22は、光を通す透明電極である。光変換素子23は、例えば、リソグラフィ技術を用いて上部電極22上に形成され、磁化自由層233、中間層232、磁化固定層231、保護層234の4層構造からなる。
【0078】
絶縁層24Aは、パターン形成された上部電極22や光変調素子23の間に形成されており、隣接する上部電極22間や隣接する光変調素子23間を絶縁する。上部基板20Aの表面20Aaは、図10(a)に示すように、光変調素子23および絶縁層24Aが同一平面状(面一)に形成されている。上部基板20Aの表面粗さは、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)処理等により小さいことが望ましい。
【0079】
<接合層>
接合層30Aの構成について説明する。図9(a)に示すように、接合層30Aは、第1基板である下部基板10Aと第2基板である上部基板20Aとを接合するものである。接合層30Aは、図9(b)に示すように、上部基板20Aの表面に形成された上部側の金属薄膜32Aと下部基板10Aの表面に形成された下部側の金属薄膜31Aとからなり、例えば、原子拡散接合法によりこれらの金属薄膜31A,32Aが接合されている。金属薄膜31A,32Aは、スパッタ等の方法で基板10A,20A上に成膜されればよく、略均一の厚さに形成される。下部側の金属薄膜31Aは、下部基板10Aと同様の凸形状パターンを有する。これにより、下部電極12の上部が上部側の金属薄膜32Aと下部側の金属薄膜31Aとを接合する接合部33Aとなる。
【0080】
また、接合層30Aは、導通部30Aaと絶縁部30Abとの二つの部分からなる。導通部30Aaは、下部電極12の上部(特に、接合部33Aの中央付近)に形成されており、光変調素子23と下部電極12とを電気的に接続させる。一方、絶縁部30Abは、導通部30Aa周囲および接合部33A以外の部分に形成されている。導通部30Aaおよび絶縁部30Abは、金属薄膜31A,32Aが接合された状態の下部基板10Aおよび上部基板20Aを大気中に暴露することにより、金属薄膜31A,32Aの表面が酸化されることによって形成される。つまり、接合部33A以外の接合層30Aの表面部分が酸化膜として形成されている。
【0081】
接合層30Aの材料は、接合のための自己拡散係数が大きく、かつ大気中で酸化しやすい材料が望ましく、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)にクロム(Cr)やニッケル(Ni)を加えた合金などが適している。また、各金属薄膜31A,32Aの厚さは、接合の強度や、接合部33A以外の部分を完全に酸化させる必要があることを考えた場合に、数nm程度であることが望ましい。
【0082】
≪第2実施形態に係る空間光変調器の製造方法≫
次に、第2実施形態に係る空間光変調器1Aの製造方法について説明する。
本実施形態に係る空間光変調器1Aは、光変調素子23や電極12,22をそれぞれ基体11または基体21に形成することで、図10に示す下部基板10Aおよび上部基板20Aを製造する。そして、上部電極22と下部電極12とが交差(ここでは、直交)するように対面させ、これら二つの基板10A,20Aを貼り合わせて製造される。以下、各工程について説明する。
【0083】
<下部基板の製造工程>
第1基板である下部基板10Aの製造工程について説明する。下部基板10Aの製造工程は、下部電極12の一部が絶縁層13Aに対して露出することで、下部電極12による凸形状パターンを下部基板10Aの表面10Aaに形成することができればよく、種々の方法を用いることができる。ここでは、フォトリソグラフィにより下部基板10Aの製造を行う場合について、図11を参照して説明する。
【0084】
最初に、Siなどの下部基体11上にSiO2などの絶縁膜13pを成膜し(図11(a)参照)、下部電極の形成位置を開口するレジスト41を用いて成膜した絶縁膜13pに下部電極パターンの孔を形成する(図11(b)参照)。次に、下部電極材料である銅などを成膜してからレジストをリフトオフして、下部電極12をパターン形成する(図11(c)参照)。
【0085】
そして、必要に応じてCMP処理で表面を平坦化してから、CF4などの反応性ガスで絶縁層13Aのみを数nmエッチングし、下部電極12による凸形状パターンを形成する(図11(d)参照)。この際、下部電極12と絶縁層13Aとはエッチングレートが異なるため、下部電極12はほとんどエッチングされない。その為、容易に凸形状パターン(段差構造)を完成することができる。
これにより、第1基板である下部基板10Aが完成する。なお、接合工程において、下部基板10Aの表面粗さは小さいことが望ましいので、最後に下部基板10Aの表面10AaをCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理等することが好ましい。
【0086】
なお、図11(c)に示す下部電極材料である銅などを成膜する工程において、エッチングの深さよりも厚く下部電極12を成膜し、リフトオフを行うようにしてもよい。これにより、図11(d)に示すエッチングの工程を省略することができる。この際にも、CMP処理等で表面を平坦化することが好ましい。
【0087】
また、リソグラフィ技術を用いて下部電極12を形成した後に、絶縁層13Aを埋め戻す工程で凸形状パターンを形成してもよい。その場合、絶縁層13Aで埋め戻す際に、下部電極12の厚さよりも浅く絶縁層13Aを埋め戻すようにする。この場合にも、CMP処理等で表面を平坦化することが好ましい。
【0088】
<上部基板の製造工程>
第2基板である上部基板20Aの製造工程について説明する。上部基板20Aの製造工程は、一般的な半導体装置の製造工程と同様の方法を適用することができる。例えば、フォトリソグラフィにより上部基板20Aの製造を行う場合について、図12を参照して説明する。
【0089】
最初に、ガラスなどの透明な上部基体21上に上部電極材料であるインジウム亜鉛酸化物などの上部電極膜22pを成膜し(図12(a)参照)、上部電極の形成位置以外を開口するレジスト42を用いて成膜した上部電極膜22pを上部電極パターンにエッチングする(図12(b)参照)。次に、エッチングした部分をSiO2で埋め戻すことで絶縁層24Aの一部分24pを形成してから、レジスト42をリフトオフすることで上部電極22をパターン形成する(図12(c)参照)。
【0090】
次に、光変調素子23の磁化自由層233、中間層232、磁化固定層231、保護層234を形成するための金属膜や磁性膜からなる光変調素子層23pを成膜し(図12(d)参照)、光変調素子の形成位置以外を開口するレジスト43を用いて成膜した光変調素子層23pを光変調素子パターンにエッチングする(図12(e)参照)。
【0091】
次に、エッチングした部分をSiO2で埋め戻すことで絶縁層24Aを形成してから、レジスト43をリフトオフすることで光変調素子層23を二次元配列にパターン形成する(図12(f)参照)。
これにより、第2基板である上部基板20Aが完成する。なお、接合工程において、上部基板20Aの表面粗さは小さいことが望ましいので、最後に上部基板20Aの表面20AaをCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理等することが好ましい。
【0092】
<上部基板と下部基板との接合工程>
第2基板である上部基板20A(図10(a)参照)と第1基板である下部基板10A(図10(b)参照)とを製造した後に、これらの両基板10A,20Aを接合する接合工程について図13を参照して説明する。ここでは、両基板10A,20Aの接合に原子拡散接合法を用いる場合を想定する。原子拡散接合法は、金属薄膜の粒界や表面における原子拡散を利用することで、大きな圧力を印加することなく室温で対象物を接合することが可能である。
【0093】
真空中で下部基板10Aや上部基板20Aの表面に金属薄膜31A,32Aをスパッタ等の方法で成膜し(図13(a)参照)、引き続き同一真空中で成膜した金属薄膜31A,32Aを相互に接触させて接合する(図13(b)参照)。この際に、下部基板10Aの表面10Aには、下部電極12によって凸形状パターンが形成されているために、下部電極12の上部が上部側の金属薄膜32Aと下部側の金属薄膜31Aとを接合する接合部33Aとなる。これにより、二つの金属薄膜31A,32Aからなる接合層30Aが形成される。
【0094】
金属薄膜31A,32Aの材料は、接合のための自己拡散係数が大きく、かつ大気中で酸化しやすい材料が望ましく、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)にクロム(Cr)やニッケル(Ni)を加えた合金などが適している。また、金属薄膜31A,32Aの厚さは、この後の工程における接合の強度や酸化される範囲を考慮した場合に、数nm程度にするのが望ましい。
【0095】
次に、接合されて一体となった基板10A,20Aを真空空間から取り出して、大気中に暴露する。これによって、成膜した金属薄膜31A,32Aの表面が酸化して酸化領域(絶縁部30Ab)が形成される。この絶縁部30Abは、接合部33A全体が酸化しないようにする保護の役割と、各電極12や各光変調素子23間を絶縁する絶縁層としての役割とを有する。
【0096】
以上のように、第2実施形態に係る空間光変調器1Aおよびその製造方法は、下部電極12の一部が絶縁層13Aに対して露出することで、下部基板10Aの表面10Aaに下部電極12による凸形状パターンが形成される。そして、この凸形状パターンは、金属薄膜31Aが成膜されることで、上部基板20A(具体的には、光変調素子23)との接合部33Aになる。その為、第2実施形態に係る空間光変調器1Aは、接合のための金属薄膜31A,32Aのパターニングが不要になるので、製造工程を簡素化、短縮することが可能である。
なお、両基板10A,20Aを接合した後で大気中に暴露されることで、金属薄膜31A,32Aの表面は酸化される。この酸化膜は、接合部33A全体が酸化しないようにするための保護の役割と、各電極間や各素子間を絶縁する絶縁層として働く。
【0097】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を変えない範囲で実施することができる。
【0098】
各実施形態では、上部基板20,20A側(上部電極22側)に光変換素子23が配設される場合について説明したが、下部基板10,10A側(下部電極12側)に光変換素子23が配設されていてもよい。その場合、光変換素子23は、例えば、リソグラフィ技術を用いて下部電極12上に形成され、下部電極12側から磁化固定層231、中間層232、磁化自由層233、保護層234の順に積層された4層構造になる。そして、凸形状パターンは、下部基板10に配設された光変換素子23の先端が絶縁層13に対して露出するか、または、上部電極22の先端が絶縁層24に対して露出するようにする。つまり、各実施形態において「第1基板」は下部基板10,10Aであり、「第2基板」は上部基板20,20Aであったが、この場合において「第1基板」は上部基板20,20Aであり、「第2基板」は下部基板10,10Aになる。
【0099】
また、各実施形態では、各々の基板10,20または基板10A,20Aをすべて製造した後に、各基板10,10A,20,20Aの表面に金属薄膜31,31A,32,32Aを成膜していた。しかしながら、各々の基板10,20または基板10A,20Aを接合する前段階の工程(例えば、各基板10,10A,20,20Aの製造や金属薄膜31,31A,32,32Aの成膜をする工程であり、まとめて「基板準備工程」と呼ぶ場合がある)の順番はこれに限定されるものではない。例えば、基板準備工程は、第2基板である上部基板20を製造して金属薄膜32を成膜した後に、第1基板である下部基板10を製造して金属薄膜31を成膜する順番であってもよい。
【符号の説明】
【0100】
1,1A 空間光変調器
2 上部電極選択部
3 下部電極選択部
4 電流源
5 電流制御手段
10,10A 下部基板(第1基板)
11 下部基体(第1基体)
12 下部電極(第1電極)
13,13A 絶縁層(第1絶縁層)
20,20A 上部基板(第2基板)
21 上部基体(第2基体)
22 上部電極(第2電極)
23 光変調素子
24,24A 絶縁層(第2絶縁層)
231 磁化固定層
232 中間層
233 磁化自由層
234 保護層
30,30A 接合層
31,31A 金属薄膜(第1金属膜)
32,32A 金属薄膜(第2金属膜)
33,33A 接合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13