(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置では、チャンバー内に真空環境を作り出すことを目的として半導体製造工程に使用されるガスをチャンバー内から排気する真空ポンプが広く使用されている。このような真空ポンプとしては、ルーツ型やスクリュー型のロータを備えた容積式タイプの真空ポンプが知られている。
【0003】
一般に、容積式の真空ポンプは、ケーシング内に配置された一対のロータと、このロータを回転駆動するためのモータとを備えている。一対のロータ間及びロータとケーシングの内面との間には微小なクリアランスが形成されており、ロータは、ケーシングに非接触で回転するように構成されている。そして、一対のロータが同期しつつ互いに反対方向に回転することにより、ケーシング内の気体が吸入側から吐出側に移送され、吸込口に接続されたチャンバーなどから気体が排気される。
【0004】
半導体製造工程に使用されるガス、あるいは使用されるガスが化学反応によって生成する物質には、温度が低下すると固形化あるいは液状化する成分が含まれるものがある。通常、上述した真空ポンプは、ガスを移送する過程で圧縮熱が発生するため、運転中の真空ポンプは、ある程度高温となっている。圧縮熱による高温化ではガス中の成分あるいは生成物質の固形化あるいは液状化温度より高くならない場合には、ポンプ本体を外部加熱あるいは流入するガスの加熱により真空ポンプの高温を維持している。上記真空ポンプを用いて上述した成分を含むガスを排気した場合でもガス中の成分あるいは生成物質が固形化又は液状化せずに良好な真空排気が行われる。
【0005】
しかしながら、上述した真空ポンプの高温化では使用されるガス、あるいは使用されるガスからの生成物資の液状化、固形化を防ぐことができない半導体製造工程がある。この工程での真空ポンプの運転を継続すると、この固形化した生成物(反応生成物)がポンプロータ間やポンプロータとケーシングとの隙間に堆積する。ポンプ運転中の高温化ではポンプロータとケーシングに隙間が存在するが、ポンプ停止後、ポンプ低温化においては堆積した生成物の影響により隙間がなくなる場合がある。ポンプロータとケーシングに隙間が存在しない場合、ポンプが起動できない状況が発生し、製造プロセスを開始できなくなる。また、真空ポンプの運転を停止し、真空ポンプの温度が徐々に低下すると、ケーシング内に残留するガスに含まれる成分が固形化し、この固形化した生成物(反応生成物)がロータ間やロータとケーシングとの隙間に堆積する場合もある。そして、この生成物の堆積が進行すると、真空ポンプの起動が妨げられるばかりでなく、真空ポンプの運転中に真空ポンプに過剰な負荷がかかることによって、製造プロセス中に真空ポンプが停止し、製造プロセスに多大な損害を与えることになる。
【0006】
特許文献1には、ケーシング内に回転自在に配置されたロータを備える真空ポンプの運転制御装置において、ロータの回転を制御するロータ制御部を備え、ロータ制御部は真空ポンプの運転停止時に所定タイミングパターンに沿ってロータを正方向及び/又は逆方向に回転させた後に、該ロータを停止する機能を備えることが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の技術であっても、真空ポンプの停止時に、ケーシング内で固形化又は液状化した生成物を排除しきれずに、真空ポンプを正常に起動できない場合がある。そのため、真空ポンプの運転を一度停止した状態から真空ポンプの運転を再開して真空ポンプを正常に起動できない場合には、再度、真空ポンプの運転を停止して真空ポンプのメンテナンスまたは交換をしなくてはならない。このため、真空ポンプの運転の再停止により半導体製造装置の停止期間が延びてしまう。このように、真空ポンプの生成物由来の異常に伴い半導体製造装置の停止期間が長くなってしまうという問題がある。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、真空ポンプの生成物由来の異常に伴って半導体製造装置の停止期間が長くなる事態の発生を抑えることを可能とする情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、対象の真空ポンプの運転停止後の再起動が可能であるか否かを検出する情報処理装置であって、真空ポンプの停止工程時の負荷に応じて変動する状態量である対象状態量であって前記対象の真空ポンプまたは他の真空ポンプの過去の停止工程時の対象状態量を少なくとも一つ用いて、当該停止工程時の対象状態量の正常変動範囲または正常時間変動挙動を決定する決定部と、前記対象の真空ポンプの今回の停止工程時の対象状態量と前記正常変動範囲または前記正常時間変動挙動とを比較し、比較結果を出力する比較部と、を備える。
【0011】
この構成によれば、再起動できない状態量の変動(異常な変動)の有無が検出されるため、オペレータが真空ポンプの運転停止後の再起動が可能でないことを把握することができるので、再起動の開始前に真空ポンプの交換またはメンテナンスを行うことができる。このため、再起動開始後に再度停止する確率が低減するので、真空ポンプの生成物由来の異常に伴って半導体製造装置の停止期間が長くなる事態の発生を抑えることができる。
【0012】
本発明の第2の態様に係る情報処理装置は、第1の態様に係る情報処理装置であって、前記対象の真空ポンプは、ケーシング内に回転自在に配置されたロータを有しており、前記停止工程は、ポンプ停止開始後、前記ロータを正方向及び/又は逆方向に回転させた後に、該ロータを停止する工程である。
【0013】
この構成によれば、停止工程は、ポンプ停止開始後、ロータを正方向及び/又は逆方向に回転させた後に、該ロータを停止する工程である。
【0014】
本発明の第3の態様に係る情報処理装置は、第2の態様に係る情報処理装置であって、前記停止工程において、前記ロータの正方向及び/又は逆方向への回転は、所定タイミングパターンに沿って行われる。
【0015】
この構成によれば、ロータの正方向及び/又は逆方向への回転は、所定タイミングパターンに沿って行われる。
【0016】
本発明の第4の態様に係る情報処理装置は、第1から3のいずれかの態様に係る情報処理装置であって、前記停止工程は、前記真空ポンプの温度が、所定の温度分だけ下がるまで当該真空ポンプを停止し、その後に当該真空ポンプを作動する工程を含む。
【0017】
この構成によれば、停止工程において、真空ポンプの温度が、所定の温度分だけ下がるまで当該真空ポンプが停止し、その後に当該真空ポンプが作動する。
【0018】
本発明の第5の態様に係る情報処理装置は、第1から4のいずれかの態様に係る情報処理装置であって、前記正常変動範囲は、停止工程における正常状態時の前記対象状態量の時間変化の変動範囲であり、前記比較部は、前記対象の真空ポンプの今回の停止工程時の対象状態量の時間変化と、前記停止工程における正常状態時の前記対象状態量の時間変化の変動範囲とを比較する。
【0019】
この構成によれば、対象の真空ポンプの今回の停止工程時の対象状態量の時間変化と、停止工程における正常状態時の対象状態量の時間変化の変動範囲とを比較することにより、真空ポンプの運転停止後の再起動が可能であるか否かの判定精度を向上させることができる。
【0020】
本発明の第6の態様に係る情報処理装置は、第1から5のいずれかの態様に係る情報処理装置であって、前記比較部は、前記対象の真空ポンプの今回の停止工程時の対象状態量が、前記正常変動範囲または前記正常時間変動挙動を脱する場合、前記真空ポンプの運転停止後の再起動が可能でない旨の判定結果を前記比較結果として出力する。
【0021】
この構成によれば、真空ポンプの運転停止後の再起動が可能であるか否かを、再起動の開始前に判断することができるので、再起動開始後に再度停止する確率が低減する。これにより、真空ポンプの生成物由来の異常に伴って半導体製造装置の停止期間が長くなる事態の発生を抑えることができる。
【0022】
本発明の第7の態様に係る情報処理装置は、第1から6のいずれかの態様に係る情報処理装置であって、前記他の真空ポンプは、前記対象の真空ポンプと仕様が略同一である。
【0023】
この構成によれば、対象の真空ポンプと仕様が略同一である他の真空ポンプの過去の停止工程時の対象状態量を少なくとも一つ用いて、当該停止工程時の対象状態量の正常変動範囲または正常時間変動挙動を決定することができる。
【0024】
本発明の第8の態様に係る情報処理システムは、対象の真空ポンプの運転停止後の再起動が可能であるか否かを検出する情報処理システムであって、真空ポンプの停止工程時の負荷に応じて変動する状態量である対象状態量であって前記対象の真空ポンプまたは他の真空ポンプの過去の停止工程時の対象状態量を少なくとも一つ用いて、当該対象状態量の正常変動範囲または正常時間変動挙動を決定する決定部と、前記対象の真空ポンプの今回の停止工程時の対象状態量と前記正常変動範囲または前記正常時間変動挙動とを比較し、比較結果を出力する比較部と、を備える。
【0025】
この構成によれば、再起動できない状態量の変動(異常な変動)の有無が検出されるため、オペレータが真空ポンプの運転停止後の再起動が可能でないことを把握することができるので、再起動の開始前に真空ポンプの交換またはメンテナンスを行うことができる。このため、再起動開始後に再度停止する確率が低減するので、真空ポンプの生成物由来の異常に伴って半導体製造装置の停止期間が長くなる事態の発生を抑えることができる。
【0026】
本発明の第9の態様に係る情報処理方法は、対象の真空ポンプの運転停止後の再起動が可能であるか否かを検出する情報処理方法であって、真空ポンプの停止工程時の負荷に応じて変動する状態量である対象状態量であって前記対象の真空ポンプまたは他の真空ポンプの過去の停止工程時の対象状態量を少なくとも一つ用いて、当該対象状態量の正常変動範囲または正常時間変動挙動を決定する工程と、前記対象の真空ポンプの今回の停止工程時の対象状態量と前記正常変動範囲または前記正常時間変動挙動とを比較し、比較結果を出力する工程と、を有する。
【0027】
この構成によれば、再起動できない状態量の変動(異常な変動)の有無が検出されるため、オペレータが真空ポンプの運転停止後の再起動が可能でないことを把握することができるので、再起動の開始前に真空ポンプの交換またはメンテナンスを行うことができる。このため、再起動開始後に再度停止する確率が低減するので、真空ポンプの生成物由来の異常に伴って半導体製造装置の停止期間が長くなる事態の発生を抑えることができる。
【0028】
本発明の第10の態様に係るプログラムは、対象の真空ポンプの運転停止後の再起動が可能であるか否かを検出するプログラムであって、真空ポンプの停止工程時の負荷に応じて変動する状態量である対象状態量であって前記対象の真空ポンプまたは他の真空ポンプの過去の停止工程時の対象状態量を少なくとも一つ用いて、当該対象状態量の正常変動範囲または正常時間変動挙動を決定する決定部と、前記対象の真空ポンプの今回の停止工程時の対象状態量と前記正常変動範囲または前記正常時間変動挙動とを比較し、比較結果を出力する比較部と、としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0029】
この構成によれば、再起動できない状態量の変動(異常な変動)の有無が検出されるため、オペレータが真空ポンプの運転停止後の再起動が可能でないことを把握することができるので、再起動の開始前に真空ポンプの交換またはメンテナンスを行うことができる。このため、再起動開始後に再度停止する確率が低減するので、真空ポンプの生成物由来の異常に伴って半導体製造装置の停止期間が長くなる事態の発生を抑えることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一態様によれば、再起動できない状態量の変動(異常な変動)の有無が検出されるため、オペレータが真空ポンプの運転停止後の再起動が可能でないことを把握することができるので、再起動の開始前に真空ポンプの交換またはメンテナンスを行うことができる。このため、再起動開始後に再度停止する確率が低減するので、真空ポンプの生成物由来の異常に伴って半導体製造装置の停止期間が長くなる事態の発生を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。真空ポンプの生成物由来の異常に伴って半導体製造装置の停止期間が長くなる事態の発生を抑えるために、真空ポンプの停止工程時の状態量を用いて、生成物由来の異常の有無を検出することが考えられる。その場合に、真空ポンプの停止工程時に、真空ポンプ内で固形化または液状化した生成物由来の状態量の変動からポンプ再起動可能な変動(正常な変動)と再起動できない状態量の変動(異常な変動)とそれ以外の要因による状態量の変動(正常な変動)を区別することが難しいという新たな課題が存在する。
【0033】
この課題に対し、本実施形態に係る情報処理装置は、真空ポンプの停止工程時に応じて変動する状態量である対象状態量であって当該対象の真空ポンプまたは他の真空ポンプの過去の停止工程時の対象状態量を少なくとも一つ用いて、当該停止工程時の対象状態量の正常変動範囲または正常時間変動挙動を決定する。そして本実施形態に係る情報処理装置は、対象の真空ポンプの今回の停止工程時の対象状態量と当該停止工程時の対象状態量の正常変動範囲または正常時間変動挙動とを比較する。これにより、再起動できない状態量の変動(異常な変動)の有無を検出することができる。
【0034】
図1は、本実施形態に係る半導体製造システム10の概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係る半導体製造システム10は、半導体製造装置1と、真空ポンプ3と、半導体製造装置1と真空ポンプ3とを繋ぐ配管2と、真空ポンプ3に接続された制御装置4と、情報処理装置5と、情報処理装置5に接続された表示装置6を備える。半導体製造装置1は、チャンバー成膜炉11と、チャンバー成膜炉11を制御する制御部12とを備える。チャンバー成膜炉11と真空ポンプ3は、配管2を介して連通しており、真空ポンプ3が運転することによって、チャンバー成膜炉11内の気体(ガス)が排出され略真空にひかれる。制御装置4は、真空ポンプ3の運転を制御する。本実施形態に係る情報処理装置5は、対象の真空ポンプ3の運転停止後の再起動が可能であるか否か検出し、検出結果を表示装置6に表示させる。
【0035】
図2は、本実施形態に係る真空ポンプ3の概略機能構成図である。
図2に示すように、真空ポンプ3は、電源38と、入力が電源38に接続されたインバータ39と、入力がインバータ39の出力に接続されたモータ33と、モータ33の回転軸に連結されたロータ31とを備える。また、真空ポンプ3は、圧力計61と、温度計62を備える。
【0036】
図2に示すように、モータ33の回転数を示す回転数信号が、モータ33からインバータ39に供給される。そして、駆動電流の電流実効値と、回転数信号から得られるモータ33の回転速度がインバータ39から情報処理装置5に供給される。また、圧力計61によって計測された真空ポンプ3内の圧力値が情報処理装置5に供給される。
【0037】
また、圧力計61で計測された圧力を示す圧力信号が情報処理装置5に供給される。また、温度計62で計測された温度を示す温度信号が制御装置4に供給される。
【0038】
インバータ39は、電源38から供給された交流電流を周波数変換し、周波数変換して得られた駆動電流をモータ33に供給する。これにより、この駆動電流によってモータ33の回転軸が回転し、それに伴ってロータ31が回転することにより、配管2から吸入されたガスがロータ31の回転に伴って真空ポンプ3の外部へ排出される。
【0039】
図3は、真空ポンプの構成例を示す断面図である。
図4は、
図3のI−I断面図である。
図3及び
図4に示すように、本実施形態に係る真空ポンプ3は、一対のロータ31と、ロータ31が収容される排気室37を持つケーシング32と、ロータ31を回転駆動するモータ33とを備えている。ケーシング32はガスを吸入する吸入口(図示せず)と、ガスを吐出する排気口(図示せず)とを備えている。各ロータ31は、軸受35により回転自在に支持された2本の軸34にそれぞれ固定されている。
【0040】
一方の軸34にはモータロータ(図示せず)が固定されており、このモータロータの周りにはモータステータ(図示せず)が配置されている。そして、このモータロータ及びモータステータによりモータ33が構成されている。なお、本実施形態では一例として、モータ33として誘導電動機が使用されている。2本の軸34の端部には、それぞれタイミングギヤ36が固定され、このタイミングギヤ36により、一対のロータ31が互いに同期しつつ反対方向に回転するようになっている。一対のロータ31間及びケーシング32の排気室37内面との間には微小な隙間が形成されており、各ロータ31は、ケーシング32内に回転自在に配置されており、ケーシング32に非接触で回転するようになっている。
【0041】
上記構成の真空ポンプ3において、モータ33を駆動し一対のロータ31を回転することにより、吸込口(図示せず)から吸入されたガスが各ロータ31に従って排気側に移送され、排気口(図示せず)から排気される。そして、吸入側から排気側にガスが連続して移送されることにより、吸込口に接続されたチャンバー成膜炉11内のガスが真空排気される。
【0042】
図3に示すように制御装置4は、ロータ31の回転及び停止動作を制御するロータ制御部41を内部に備えている。
【0043】
図4に示すように、本実施形態に係る真空ポンプ3は一例として、ルーツ型のロータ31を備える。なお、真空ポンプ3は、スクリュー型のロータを備えたものでもよい。また真空ポンプ3は、クロー型またはスクロール形の真空ポンプであってもよい。また、本実施形態に係る真空ポンプ3は複数段のポンプであるが、これに限らず、一段のポンプであってもよい。
【0044】
制御装置4は、対象の真空ポンプ3の運転を停止するときに、停止工程を実行するようロータの回転を制御する。ここで停止工程は、ポンプ停止開始後、ロータ31を正方向及び/又は逆方向に回転させた後に、該ロータ31を停止する工程である。
【0045】
図5は、制御装置によるポンプ停止制御パターンの第1の例を示す図である。
図5に示すように、
図5の第1の例では停止工程において、ロータ31の正方向及び/又は逆方向への回転は、所定タイミングパターンに沿って行われる。ロータ制御部41には
図5に示すように、オペレータによって不図示の運転停止スイッチが操作され真空ポンプの運転停止が開始になると、時間の経過に対して真空ポンプをON、OFFにするポンプ停止制御パターン(ポンプ停止制御するためのタイミングパターン)が記憶されている。真空ポンプに停止開始信号が発生されると、ロータ制御部41に内蔵されるタイマー(図示せず)を利用し、
図5の停止パターンに沿って真空ポンプのON、OFF、即ちポンプ停止開始から時間t1が経過するまでポンプをOFF、時間t1が経過したら時間t2を経過するまでポンプをONとするように、時間t1の間真空ポンプをOFF、時間t2の間真空ポンプをONにする操作を繰り返すポンプ停止制御パターンを実施する。これによりロータ31を回転、停止させる。本実施形態では、正転(正方向への回転)、停止、正転の順にロータ31が駆動されるようにタイマーのパターンが設定されている。
【0046】
ロータ31が正方向へ回転すると、ロータ31のうちの一方はある方向(例えば右回り)に回転し、他方は反対方向(例えば左回り)に回転する。この場合、ガスは吸入口からケーシングに吸い込まれて排気口側に移送され、そして排気口から吐出される。即ち、ロータ31の正方向への回転とは、ケーシング32内のガスが吸入口から排気口に向って移送されるような方向へのロータ31の回転をいう。
【0047】
上記のように、真空ポンプ3の停止時に、ロータ31を停止させた後、一旦運転して再度ロータ31を回転させることにより、ロータ31とケーシング32との間などに真空ポンプの温度低下とともに析出する生成物に対し、ロータ31の力を加えることができる。その結果、収縮に伴う生成物の噛み込みを防止することができると共に、生成物を除去するので、真空ポンプ3の起動をスムーズに行なうことが可能となる。なお、ロータ31の回転動作と停止動作を数回繰り返すようなパターンを設定すれば、更に確実に生成物を除去することができる。真空ポンプが正常に起動した後は、定常状態にてロータ31が正方向に回転し、ガスの排気が行なわれる。
【0048】
図6は、制御装置によるポンプ停止制御パターンの第2の例を示す図である。
図6に示すように、
図6の第2の例では停止工程は、真空ポンプ3の温度が、所定の温度分だけ下がるまで当該真空ポンプ3を停止し、その後に当該真空ポンプを作動する工程を含む。
図6に示すように、真空ポンプ3の最初の停止後、規定の時間(ここでは一例として30秒)作動(オン)し、真空ポンプ3内の生成物の除去を促進する。続いて、温度計62によって計測された温度(すなわち真空ポンプ3内の温度)が所定の温度分ΔT(ここでは一例として10度)だけ下がるまで、真空ポンプ3を停止(オフ)する。その後、温度計62によって計測された真空ポンプ3内の温度が10度下がった場合に、再度、規定の時間(ここでは一例として30秒)、作動(オン)し、次いで、温度計62によって計測された温度が更に10度下がるまで再び停止(オフ)する。このサイクルは、温度計62によって計測された温度が規定の温度になるか、シーケンスのスタートから経過した時間が規定の時間になるかのいずれかになるまで繰り返される。
【0049】
図7は、本実施形態に係る情報処理装置5の概略構成図である。
図7に示すように、情報処理装置5は、入力部51と、出力部52と、記憶部53と、メモリ54と、CPU(Central Processing Unit)55とを備える。
【0050】
入力部51は、インバータ39及び圧力計61に接続されており、駆動電流の電流実効値、モータ33の回転速度、真空ポンプ3内の圧力値が入力部51に入力される。出力部52は、CPU55の指令に従って、情報を出力する。記憶部53は、CPU55が実行するためのプログラムが格納されている。メモリ54は、一時的に情報を格納する。CPU(Central Processing Unit)55は、記憶部53に保存されたプログラムを読み出して実行する。これにより、CPU(Central Processing Unit)55は、決定部552、及び比較部553として機能する。
【0051】
図8は、停止工程における正常変動範囲と現在のデータとを比較した模式図である。
図5で説明したように、停止工程では、時間t1の間、真空ポンプをOFF、時間t2の間、真空ポンプをONにする操作を繰り返す。
図8の向かって左側のグラフにおいて、真空ポンプをONにする時間t2の間の、モータ33の駆動電流の電流実効値の正常変動範囲R1、R2が示されている。一方、
図8の向かって右側のグラフにおいて、現在の停止工程中のモータ33の駆動電流の電流実効値の時間変化が示されている。現在の停止工程中の真空ポンプをONにする時間t2の間の電流実効値の時間変化が、正常変動範囲R1、R2に収まっていれば、正常であると判断することができる。
【0052】
本実施形態に係る決定部552は一例として、真空ポンプ3の停止工程時の負荷に応じて変動する状態量である対象状態量(ここでは一例として駆動電流の電流実効値)であって対象の真空ポンプ3の過去の停止工程時の対象状態量を少なくとも一つ用いて、当該停止工程時の対象状態量の正常変動範囲または正常時間変動挙動を決定する。ここで状態量とは、真空ポンプ3の状態量であり、対象状態量には例えば、真空ポンプに含まれるモータの駆動電流、モータの電力、ロータの回転数、真空ポンプの温度、真空ポンプ内の圧力、真空ポンプの振動数などであり、これらの計測値が用いられる。
【0053】
決定部552は、対象の真空ポンプ3が稼働後、規定回数分(例えば、10回分)の停止工程時の対象状態量に基づいて、停止工程時の対象状態量の正常変動範囲または正常時間変動挙動を決定する。
【0054】
比較部553は、対象の真空ポンプ3の今回の停止工程時の対象状態量と前記正常変動範囲または前記正常時間変動挙動とを比較し、比較結果を出力する。本実施形態では一例として、正常変動範囲は、停止工程における正常状態時の対象状態量の時間変化の変動範囲であり、比較部553は、対象の真空ポンプ3の今回の停止工程時の対象状態量の時間変化と、停止工程における正常状態時の対象状態量の時間変化の変動範囲とを比較する。この構成によれば、対象の真空ポンプの今回の停止工程時の対象状態量の時間変化と、停止工程における正常状態時の対象状態量の時間変化の変動範囲とを比較することにより、真空ポンプ3の運転停止後の再起動が可能であるか否かの判定精度を向上させることができる。
【0055】
このように時間変化同士を比較し、今回の停止工程時の対象状態量が正常変動範囲または正常時間変動挙動を逸脱する場合、真空ポンプ3の運転停止後の再起動が可能でない旨の判定結果を比較結果として出力する。このため、真空ポンプ3の運転停止後の再起動が可能であるか否かを、再起動の開始前に判断することができるので、再起動開始後に再度停止する確率が低減する。これにより、真空ポンプの生成物由来の異常に伴って半導体製造装置の停止期間が長くなる事態の発生を抑えることができる。
【0056】
具体的には例えば
図8に示すように、比較部553は、対応する工程毎に、対象の真空ポンプ3の現在の対象状態量の時間変化と対象状態量の時間変化の正常変動範囲または正常時間変動挙動とを比較する。
図8に示すように本実施形態では対象状態量の時間変化の正常変動範囲は、一例として駆動電流の実効値の時間変化の正常変動範囲(例えば
図8の正常変動範囲R1)であり、比較部553は、対象の真空ポンプ3の今回の停止工程時の対象状態量の時間変化と、停止工程における駆動電流の実効値の時間変化の正常変動範囲とを比較する。
【0057】
図8の例では、比較部553は、この
図8の正常変動範囲R1と今回の停止工程時の駆動電流の電流実効値の時間変化とを比較して、今回の停止工程時の駆動電流の電流実効値の時間変化がこの正常変動範囲R1に収まる場合には、真空ポンプ3の運転停止後の再起動が可能と判断し、収まらない場合には、真空ポンプ3の運転停止後の再起動が可能でないと判断する。
【0058】
比較部553は例えば、真空ポンプ3の運転停止後の再起動が可能でないと判断した場合、今回の停止工程時の駆動電流の電流実効値の時系列データを出力して、記憶部53に保存してもよい。これにより、真空ポンプ3の管理者が、真空ポンプ3の運転停止後の再起動が可能でないと判断したデータを把握することができる。
【0059】
図9は、真空ポンプ3の運転停止後の再起動が可能か否かを検出する処理の一例を示すフローチャートである。
図9の処理は例えば、予め決定部552によって、停止工程時の駆動電流の実効値の正常変動範囲が決定され、この正常変動範囲が記憶部53に保存された後に実行される。
【0060】
(ステップS101)まず、CPU55は、停止工程実行時において、規定周期でモータ33の駆動電流の実効値を収集する。
【0061】
(ステップS102)次に、比較部553は、記憶部53を参照して、今回の停止工程の駆動電流の実効値の時間変化と、停止工程時の駆動電流の実効値の正常変動範囲とを比較し、今回の停止工程の駆動電流の実効値の時間変化が正常か否か判定する。この際、例えば、今回の停止工程の駆動電流の実効値の時間変化が、停止工程時の駆動電流の実効値の時間変化の正常変動範囲から逸脱する場合、駆動電流の実効値の正常時間変動挙動(例えば上昇、下降、凸形、凹形など)とは異なる場合、予め設定された正常変動範囲を超えるスパイク(瞬間的な変動)がある場合、異常と判定される。
【0062】
(ステップS103)ステップS102で今回の停止工程の駆動電流の実効値の時間変化が正常であると判定された場合、比較部553は、真空ポンプ3の運転停止後の再起動が可能である旨の判定結果を表示装置6に出力する。これにより、オペレータは、真空ポンプ3の運転停止後の再起動が可能であることを把握することができる。
【0063】
(ステップS104)一方、ステップS102で今回の停止工程の駆動電流の実効値の時間変化が正常でない(異常である)と判定された場合、比較部553は、真空ポンプ3の運転停止後の再起動が可能でない旨の判定結果を表示装置6に出力する。これにより、オペレータは、真空ポンプ3の運転停止後の再起動が可能でないことを把握することができるので、再起動の開始前に真空ポンプ3の交換またはメンテナンスを行うことができる。このため、再起動開始後に再度停止する確率が低減するので、真空ポンプの生成物由来の異常に伴って半導体製造装置1の停止期間が長くなる事態の発生を抑えることができる。
【0064】
以上、本実施形態に係る情報処理装置5は、対象の真空ポンプ3の運転停止後の再起動が可能であるか否かを検出する。決定部552は一例として、真空ポンプ3の停止工程時の負荷に応じて変動する状態量である対象状態量であって対象の真空ポンプの過去の停止工程時の対象状態量を少なくとも一つ用いて、当該停止工程時の対象状態量の正常変動範囲または正常時間変動挙動を決定する。比較部553は、対象の真空ポンプ3の今回の停止工程時の対象状態量と当該正常変動範囲または当該正常時間変動挙動とを比較し、比較結果を出力する。
【0065】
この構成によれば、オペレータが真空ポンプ3の運転停止後の再起動が可能でないことを把握することができるので、再起動の開始前に真空ポンプ3の交換またはメンテナンスを行うことができる。このため、再起動開始後に再度停止する確率が低減するので、真空ポンプ3の生成物由来の異常に伴って半導体製造装置1の停止期間が長くなる事態の発生を抑えることができる。
【0066】
なお、本実施形態では、真空ポンプ3の停止工程時の負荷に応じて変動する状態量である対象状態量は、対象の真空ポンプ3に含まれるモータ33を駆動する駆動電流の実効値としたが、実効値に限らず、ピーク値、平均値、中央値など他の電流値であってもよい。また、対象状態量は、電流に限らず、モータ33の回転数、モータ33の電力、ロータ31の回転数、真空ポンプ3の温度、真空ポンプ3の振動等の計測値であってもよい。
【0067】
また、本実施形態では、決定部552は、一つの対象状態量(一例として駆動電流の実効値)について停止工程時の正常変動範囲を決定したが、これに限らず、複数の対象状態量について停止工程時の正常変動範囲を決定してもよい。その場合、比較部553は、停止工程における当該複数の正常変動範囲それぞれについて、これに対応する対象の真空ポンプ3の今回の停止工程時の対象状態量と比較し、対象の真空ポンプ3の今回の対象状態量が一つでも、対応する正常変動範囲を逸脱する場合に、真空ポンプ3の運転停止後の再起動が可能でないと判断すると判定してもよい。
【0068】
また、本実施形態では、決定部552は、真空ポンプ3の停止工程時の負荷に応じて変動する状態量である対象状態量であって対象の真空ポンプ3の過去の停止工程時の対象状態量を少なくとも一つ用いて、当該停止工程時の対象状態量の正常変動範囲を決定したが、これに限ったものではない。決定部552は、他の真空ポンプの過去の停止工程時の対象状態量を少なくとも一つ用いて、当該停止工程時の対象状態量の正常変動範囲を決定してもよい。ここで、他の真空ポンプは、対象の真空ポンプと仕様が略同一である。対象の真空ポンプと仕様が略同一であるとは、例えば、機種が同じであるもの、機種が違うが仕様が同じものあるいはほぼ同じものを含む。
【0069】
なお、決定部552は、対象の真空ポンプ3内の圧力に基づいて、過去の対象状態量を補正し、補正後の過去の対象状態量を用いて、正常変動範囲または正常時間変動挙動を決定してもよい。その際に比較部553は、対象の真空ポンプ3内の圧力または他の真空ポンプ内の圧力に基づいて、対象の真空ポンプ3の現在の対象状態量を補正し、補正後の対象状態量と正常変動範囲または正常時間変動挙動とを比較してもよい。
【0070】
具体的には、決定部552は、対象の真空ポンプ3内の圧力値に基づいて、停止工程中のポンプ排気側の状態に応じた負荷変動に伴って対象状態量が変動するので、その変動分が無くなるように過去の対象状態量を補正する。その際に比較部553は、対象の真空ポンプ3内の圧力値に基づいて、対象の真空ポンプ3の現在の対象状態量を補正し、補正後の対象状態量と補正後の正常変動範囲または補正後の正常時間変動挙動とを比較してもよい。この構成により、圧力による対象状態量(例えば、電流値)の変化を補正することにより、対象状態量が正常であるか否かの判定精度を向上させることができる。
【0071】
なお、複数の装置を備える情報処理システムが、本実施形態に係る情報処理装置の各処理を、それらの複数の装置で分散して処理してもよい。また、本実施形態に係る情報処理装置の各処理を実行するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、プロセッサが実行することにより、本実施形態に係る情報処理装置に係る上述した種々の処理を行ってもよい。
【0072】
以上、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。