(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の硬化性組成物について詳細に説明する。
【0015】
本発明に使用する上記カチオン重合性成分(A)は、エネルギー線照射又は加熱により活性化したカチオン重合開始剤により高分子化又は、架橋反応を起こす化合物であり、飽和脂肪族環を有する多官能のグリシジル化合物(A1)を含有し、グリシジル化合物(A1)を除く多価アルコールアルキレンオキサイド付加物のグリシジル化合物、芳香族エポキシ化合物、その他のエポキシ化合物、オキセタン化合物、脂環式エポキシ化合物及びビニルエーテル等を併用することができる。また、本発明に使用する上記カチオン重合性成分(A)は、硬化物の密着性や耐熱密着性、耐薬品性が優れることから、本発明の硬化性組成物中に10〜70質量%含有され、30〜60質量%含有されることがより好ましい。
【0016】
上記、グリシジル化合物(A1)としては、飽和脂肪族環を含む2価以上のアルコール化合物の水酸基の一部又は全部をグリシジルエーテル化したエポキシ化合物が好ましく挙げられる。飽和脂肪族環としては、トリシクロデカン環、シクロヘキサン環、イソボロニル環、シクロヘプタン環、シクロブタン環等が挙げられる。グリシジル化合物(A1)は、飽和脂肪族環を1つのみ含有する場合もあり、或いは、飽和脂肪族環を2以上含有する場合もある。飽和脂肪族環を2以上含有する場合、例えば2以上の飽和脂肪族環同士が結合基で結合されていることが好ましい。また、グリシジル化合物(A1)では、1の飽和脂肪族環に2以上のグリシジル基が結合していてもよく、2以上の飽和脂肪族環それぞれに1つずつグリシジル基が結合していてもよい。グリシジル基は、直接又は結合基を介して飽和脂肪族環に結合している。上記の結合基としては、直接結合、炭素原子数1〜6の炭化水素基、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NR
11−、−NR
11CO−、−S−、−CS−、−SO
2−、−SCO−、−COS−、−OCS−若しくはCSO−又はそれらを組み合わせた基が挙げられる。尚、上記R
11は一般式(II)中のR
11と同一である。
飽和脂肪族環を有する多価アルコールのグリシジル化合物の具体例としては、ジシクロペンタジエンジメタノールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAのジグリジジルエーテル等が挙げられる。
【0017】
上記グリシジル化合物(A1)としては、市販品のものを用いることができ、例えば、アデカレジンEP−4088S、アデカレジンEP−4088L、EP−4080、EP−4080L(以上、ADEKA社製)、HP−7200L、HP−7200、HP−7200H、HP−7200HH、HP−7200HHH(以上、DIC社製)等が挙げられる。
【0018】
上記グリシジル化合物(A1)の中でも上記一般式(I)で表される基を有するグリシジル化合物は、硬化性組成物が硬化性に優れることから好ましい。
【0019】
上記一般式(I)中の水素原子を置換しえる炭素原子数1〜20の炭化水素基及び上記一般式(I)中のR
1で表される炭素原子数1〜20の炭化水素基は、特に限定されるものではないが、好ましくは、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基及び炭素原子数7〜20のアリールアルキル基等が挙げられる。硬化性組成物の感度が良好なことから、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数4〜10のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基及び炭素原子数7〜10のアリールアルキル基等がより好ましい。
【0020】
炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル及びイコシル等が挙げられ、上記炭素原子数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、ノニル、イソノニル、デシル及びイソデシル等が挙げられる。
【0021】
炭素原子数2〜20のアルケニル基としては、例えば、ビニル、2−プロペニル、3−ブテニル、2−ブテニル、4−ペンテニル、3−ペンテニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、5−ヘキセニル、2−ヘプテニル、3−ヘプテニル、4−ヘプテニル、3−オクテニル、3−ノネニル、4−デセニル、3−ウンデセニル、4−ドデセニル、3−シクロヘキセニル、2,5−シクロヘキサジエニル−1−メチル、及び4,8,12−テトラデカトリエニルアリル等が挙げられ、上記炭素原子数2〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル、2−プロペニル、3−ブテニル、2−ブテニル、4−ペンテニル、3−ペンテニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、5−ヘキセニル、2−ヘプテニル、3−ヘプテニル、4−ヘプテニル、3−オクテニル、3−ノネニル及び4−デセニル等が挙げられる。
【0022】
炭素原子数3〜20のシクロアルキル基とは、3〜20の炭素原子を有する、飽和単環式又は飽和多環式アルキル基を意味する。例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、アダマンチル、デカハイドロナフチル、オクタヒドロペンタレン、ビシクロ[1.1.1]ペンタニル及びテトラデカヒドロアントラセニル等が挙げられ、上記炭素原子数3〜10のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、アダマンチル、デカハイドロナフチル、オクタヒドロペンタレン及びビシクロ[1.1.1]ペンタニル等が挙げられる。
【0023】
炭素原子数4〜20のシクロアルキルアルキル基とは、アルキル基の水素原子が、シクロアルキル基で置換された4〜20の炭素原子を有する基を意味する。例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、シクロオクチルメチル、シクロノニルメチル、シクロデシルメチル、2−シクロブチルエチル、2−シクロペンチルエチル、2−シクロヘキシルエチル、2−シクロヘプチルエチル、2−シクロオクチルエチル、2−シクロノニルエチル、2−シクロデシルエチル、3−シクロブチルプロピル、3−シクロペンチルプロピル、3−シクロヘキシルプロピル、3−シクロヘプチルプロピル、3−シクロオクチルプロピル、3−シクロノニルプロピル、3−シクロデシルプロピル、4−シクロブチルブチル、4−シクロペンチルブチル、4−シクロヘキシルブチル、4−シクロヘプチルブチル、4−シクロオクチルブチル、4−シクロノニルブチル、4−シクロデシルブチル、3−3−アダマンチルプロピル及びデカハイドロナフチルプロピル等が挙げられ、炭素原子数4〜10のシクロアルキルアルキル基としては、例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、シクロオクチルメチル、シクロノニルメチル、2−シクロブチルエチル、2−シクロペンチルエチル、2−シクロヘキシルエチル、2−シクロヘプチルエチル、2−シクロオクチルエチル、3−シクロブチルプロピル、3−シクロペンチルプロピル、3−シクロヘキシルプロピル、3−シクロヘプチルプロピル、4−シクロブチルブチル、4−シクロペンチルブチル及び4−シクロヘキシルブチル等が挙げられる。
【0024】
炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル、ナフチル、アンスリル、フェナントレニル等や、上記アルキル基、上記アルケニル基やカルボキシル基、ハロゲン原子等で1つ以上置換されたフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アンスリル等、例えば、4−クロロフェニル、4−カルボキシルフェニル、4−ビニルフェニル、4−メチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル等が挙げられ、上記炭素原子数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル及びナフチル等や、上記アルキル基、上記アルケニル基やカルボキシル基、ハロゲン原子等で1つ以上置換されたフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アンスリル等、例えば、4−クロロフェニル、4−カルボキシルフェニル、4−ビニルフェニル、4−メチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル等が挙げられる。
【0025】
炭素原子数7〜20のアリールアルキル基とは、アルキル基の水素原子が、アリール基で置換された7〜30の炭素原子を有する基を意味する。例えば、ベンジル、α−メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジル、フェニルエチル及びナフチルプロピル等が挙げられ、上記炭素原子数7〜20のアリールアルキル基とは、アルキル基の水素原子が、アリール基で置換された7〜20の炭素原子を有する基を意味する。例えば、ベンジル、α−メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジル及びフェニルエチル等が挙げられる。
【0026】
上記一般式(I)中の水素原子を置換しえる複素環を含有する炭素原子数2〜20の基は、特に限定されるものではないが、例えば、ピロリル、ピリジル、ピリジルエチル、ピリミジル、ピリダジル、ピペラジル、ピペリジル、ピラニル、ピラニルエチル、ピラゾリル、トリアジル、トリアジルメチル、ピロリジル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、モルフォリニル、チオモルフォリニル、2−ピロリジノン−1−イル、2−ピペリドン−1−イル、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル及び2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル等が挙げられ、置換基等を含めて具体的に記載すると下記の構造を有する基等が挙げられる。
【0027】
【化3】
(上記式中、Rはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、Zは直接結合又は炭素原子数1〜6のアルキレン基を表す。尚、式中の*は、これらの式で表される基が、*部分で、隣接する基と結合することを意味する。)
【0028】
上記式中のRで表される炭素原子数1〜6のアルキル基としては、上述した炭素原子数1〜20のアルキル基として例示したものの中の炭素原子数1〜6のものを挙げることができる。
上記式中のZで表される炭素原子数1〜6のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、メチルエチレン、ブチレン、1−メチルプロピレン、2−メチルプロピレン、1,2−ジメチルプロピレン、1,3−ジメチルプロピレン、1−メチルブチレン、2−メチルブチレン、3−メチルブチレン、4−メチルブチレン、2,4−ジメチルブチレン、1,3−ジメチルブチレン、ペンチレン、へキシレン、エタン−1,1−ジイル、プロパン−2,2−ジイルを挙げることができる。
【0029】
上記多価アルコールアルキレンオキサイド付加物のグリシジル化合物としては、飽和脂肪族環及び芳香族環を非含有である多価アルコールアルキレンオキサイド付加物をグリシジル化したものが好ましく挙げられる。
上記多価アルコールアルキレンオキサイド付加物のグリシジル化合物としては、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル化物、ポリエチレングリコールのグリシジル化物及びポリプロピレングリコールのグリシジル化物等が挙げられる。
【0030】
上記多価アルコールアルキレンオキサイド付加物のグリシジル化物としては、市販品のものを用いることができ、例えば、デナコールEX−145、デナコールEX−171(以上、ナガセケムテックス社製);エポライト200E、エポライト400E、エポライト70P、エポライト200P、エポライト400P(以上、共栄社化学社製)等が挙げられる。
【0031】
上記芳香族エポキシ化合物とは、芳香族環を含むエポキシ化合物を指し、該芳香族エポキシ化合物の具体例としては、フェノール、クレゾール、ブチルフェノール等、少なくとも1個の芳香族環を有する多価フェノール又は、そのアルキレンオキサイド付加物のモノ/ポリグリシジルエーテル化物、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、又はこれらに更にアルキレンオキサイドを付加した化合物のグリシジルエーテル化物やエポキシノボラック樹脂;レゾルシノールやハイドロキノン、カテコール等の2個以上のフェノール性水酸基を有する芳香族化合物のモノ/ポリグリシジルエーテル化物;フェニルジメタノールやフェニルジエタノール、フェニルジブタノール等のアルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のグリシジルエーテル化物;フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の2個以上のカルボン酸を有する多塩基酸芳香族化合物のグリシジルエステル、安息香酸のグリシジルエステル、スチレンオキサイド又はジビニルベンゼンのエポキシ化物等が挙げられる。
【0032】
上記芳香族エポキシ化合物としては、市販品を用いることができ、例えば、デナコールEX−146、デナコールEX−147、デナコールEX−201、デナコールEX−203、デナコールEX−711、デナコールEX−721、オンコートEX−1020、オンコートEX−1030、オンコートEX−1040、オンコートEX−1050、オンコートEX−1051、オンコートEX−1010、オンコートEX−1011、オンコート1012(ナガセケムテックス社製);オグソールPG−100、オグソールEG−200、オグソールEG−210、オグソールEG−250(大阪ガスケミカル社製);HP4032、HP4032D、HP4700(DIC社製);ESN−475V(東都化成社製);YX8800(三菱化学社製);マープルーフG−0105SA、マープルーフG−0130SP(日油社製);エピクロンN−665、エピクロンHP−7200(DIC社製);EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、XD−1000、NC−3000、EPPN−501H、EPPN−501HY、EPPN−502H、NC−7000L(日本化薬社製);アデカレジンEP−4000、アデカレジンEP−4005、アデカレジンEP−4100、アデカレジンEP−4901(ADEKA社製);TECHMORE VG−3101L(プリンテック社製)等が挙げられる。
上記芳香族エポキシ化合物としては、多官能のものが、硬化性に優れるため好ましい。
【0033】
上記、その他のエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2-エチルへキシルグリシジルエーテル、ラウリルアルコールグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチルプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル及びソルビトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0034】
上記、その他のエポキシ化合物としては、デナコールEX−111、デナコールEX−121、デナコールEX−192、デナコールEX−211、デナコールEX−212、デナコールEX−313、デナコールEX−314、デナコールEX−321、デナコールEX−411、デナコールEX−421、デナコールEX−512、デナコールEX−521、デナコールEX−612、デナコールEX−614及びデナコールEX−614B(以上、ナガセケムテックス社製)エポライトM−1230、エポライトM−1500NP、エポライト80MF、エポライト100MF(共栄社化学社製)アデカグリシロールED−502、アデカグリシロールED−503、アデカグリシロールED−503G、アデカグリシロールED−523T、アデカグリシロールED−505(以上、ADEKA社製)等が挙げられる。
【0035】
上記オキセタン化合物としては、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン等の二官能脂肪族オキセタン化合物、3―エチル―3−[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3―エチル―3−(ヘキシロキシメチル)オキセタン、3―エチル―3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3―エチル―3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、3―エチル―3−(クロロメチル)オキセタン等の一官能オキセタン化合物等が挙げられる。これらは1種単独或いは2種以上を組み合わせて用いることができ、多官能オキセタン化合物が、硬化物の硬化性及び密着性が高くなるので好ましい。
【0036】
上記オキセタン化合物としては、市販品のものを用いることができ、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(丸善石油化学社製);アロンオキセタンOXT−121、アロンオキセタンOXT−221、アロンオキセタンEXOH、アロンオキセタンPOX、アロンオキセタンOXA、アロンオキセタンOXT−101、アロンオキセタンOXT−211、アロンオキセタンOXT−212(東亞合成社製)、エタナコールOXBP、OXTP(宇部興産社製)等が挙げられる。
【0037】
上記脂環式エポキシ化合物とは、飽和環に結合基を介さず直接オキシラン環が結合しているものをさし、該脂環式エポキシ化合物の具体例としては、シクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイドやシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、プロパン−2,2−ジイル−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシ−2−エポキシエチルシクロヘキサン、α−ピネンオキシド、リモネンジオキシド等が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート又は3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレートが、密着性向上の観点から好ましい。
【0038】
上記脂環式エポキシ化合物としては、市販品のものを用いることができ、例えば、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2000、セロキサイド3000(ダイセル社製)等が挙げられる。
【0039】
上記ビニルエーテル化合物としては、例えば、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、1,6−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等が挙げられる。
【0040】
上記カチオン重合性成分(A)において、飽和脂肪族環を有する多官能グリシジル化合物(A1)の含有量は、カチオン重合性成分(A)100質量部に対して、好ましくは10〜100質量部であり、より好ましくは30〜100質量部であり、特に好ましくは、50〜100質量部である。飽和脂肪族環を有する多官能グリジシル化合物(A1)の含有量が、上記の範囲である場合、硬化性が向上するので好ましい。
【0041】
本発明に使用する上記カチオン重合開始剤(B)とは、エネルギー線照射又は加熱によりカチオン重合を開始させる物質を放出させることが可能な化合物であればどのようなものでも差し支えないが、好ましくは、エネルギー線の照射によってルイス酸を放出するオニウム塩である複塩、又はその誘導体である。また、本発明で使用する上記カチオン重合開始剤(B)は、本発明の硬化性組成物中に1〜10質量%含有される。
【0042】
上記カチオン重合開始剤(B)として代表的なものとしては、下記一般式、
[A]
r+[B]
r-
で表される陽イオンと陰イオンの塩を挙げることができる。
【0043】
ここで陽イオン[A]
r+はオニウムであることが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式、
[(R
2)
aQ]
r+
で表すことができる。
【0044】
更にここで、R
2は炭素原子数が1〜60であり、炭素原子以外の原子をいくつ含んでいてもよい有機の基である。aは1〜5なる整数である。a個のR
2は各々独立で、同一でも異なっていてもよい。また、少なくとも1つは、芳香環を有する上記の如き有機の基であることが好ましい。QはS,N,Se,Te,P,As,Sb,Bi,O,I,Br,Cl,F,N=Nからなる群から選ばれる原子或いは原子団である。また、陽イオン[A]
r+中のQの原子価をqとしたとき、r=a−qなる関係が成り立つことが必要である(但し、N=Nは原子価0として扱う)。
【0045】
また、陰イオン[B]
r-は、ハロゲン化物錯体であることが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式、
[LY
b]
r-で
表すことができる。
【0046】
更にここで、Lはハロゲン化物錯体の中心原子である金属又は半金属(Metalloid)であり、B,P,As,Sb,Fe,Sn,Bi,Al,Ca,In,Ti,Zn,Sc,V,Cr,Mn,Co等である。Yはハロゲン原子である。bは3〜7なる整数である。また、陰イオン[B]
r-中のLの原子価をpとしたとき、r=b−pなる関係が成り立つことが必要である。
【0047】
上記一般式の陰イオン[LY
b]
r-の具体例としては、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン(ClO
4)
-、テトラフルオロほう酸イオン(BF
4)
−、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF
6)
−、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF
6)
-、ヘキサフルオロアルセネート(AsF
6)
-、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl
6)
-等の無機イオン;トリフルオロメタンスルホン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、ブタンスルホン酸イオン、フルオロスルホン酸イオン(FSO
3)
-、ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸イオン、カンファースルホン酸イオン、ノナフルオロブタンスルホン酸イオン、ヘキサデカフロロオクタンスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン;テトラアリールほう酸イオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸イオン等のほう酸イオン;メタンカルボン酸イオン、エタンカルボン酸イオン、プロパンカルボン酸イオン、ブタンカルボン酸イオン、オクタンカルボン酸イオン、トリフルオロメタンカルボン酸イオン、ベンゼンカルボン酸イオン、p−トルエンカルボン酸イオン等のカルボン酸イオン;トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF
3SO
3)
-、メチル硫酸イオン(CH
3OSO
3)
−、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン、(CF
3CF
2)
3PF
3−、((CF
3)
2C
6H
3)
4B
−、(C
6F
5)
4Ga
−、((CF
3)
2C
6H
3)
4Ga
−の他、下記群より選択されるものを挙げることができる。
【0049】
また、陰イオン[B]
r-は、下記一般式、
[LY
b-1(OH)]
r-
で表される構造のものも好ましく用いることができる。L,Y,bは上記と同様である。また、その他用いることのできる陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO
4)
-、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF
3SO
3)
-、フルオロスルホン酸イオン(FSO
3)
-、トルエンスルホン酸陰イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸陰イオン、カンファースルフォネート、ノナフロロブタンスルフォネート、ヘキサデカフロロオクタンスルフォネート、テトラアリールボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を挙げることができる。
【0050】
本発明では、このようなオニウム塩の中でも、下記の(イ)〜(ハ)の芳香族オニウム塩を使用することが特に有効である。これらの中から、その1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0051】
(イ) フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メトキシフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等のアリールジアゾニウム塩
【0052】
(ロ)ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のジアリールヨードニウム塩
【0053】
(ハ)下記群I又は群IIで表されるスルホニウムカチオンとヘキサフルオロアンチモンイオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン等のスルホニウム塩
【0056】
また、その他好ましいものとしては、(η
5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)〔(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン〕−アイアン−ヘキサフルオロホスフェート等の鉄−アレーン錯体や、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(エチルアセトナトアセタト)アルミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニウム等のアルミニウム錯体とトリフェニルシラノール等のシラノール類との混合物;チオフェニウム塩、チオラニウム塩、ベンジルアンモニウム、ピリジニウム塩、ヒドラジニウム塩等の塩;ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアルキルポリアミン類;1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−3,6−ジエチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン類;m−キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミン類;上記ポリアミン類と、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類又はカルボン酸のグリシジルエステル類等の各種エポキシ樹脂とを常法によって反応させることによって製造されるポリエポキシ付加変性物;上記有機ポリアミン類と、フタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸などのカルボン酸類とを常法によって反応させることによって製造されるアミド化変性物;上記ポリアミン類とホルムアルデヒド等のアルデヒド類及びフェノール、クレゾール、キシレノール、第三ブチルフェノール、レゾルシン等の核に少なくとも1個のアルデヒド化反応性場所を有するフェノール類とを常法によって反応させることによって製造されるマンニッヒ化変性物;多価カルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸、水添ダイマー酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸類;トリメリト酸、トリメシン酸、ひまし油脂肪酸の三量体等のトリカルボン酸類;ピロメリット酸等のテトラカルボン酸類等)の酸無水物;ジシアンジアミド、イミダゾール類、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、アミンイミド等を挙げることができる。
【0057】
これらの中でも、実用面と光感度向上の観点から、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、鉄−アレーン錯体を用いることが好ましく、下記一般式(V)で表される構造を有する芳香族スルホニウム塩を、カチオン重合開始剤(B)100質量%に対して、少なくとも0.1質量%以上含有することが更に好ましい。
【0058】
【化7】
(式中、R
101、R
102、R
103、R
104、R
105、R
106、R
107、R
108、R
109及びR
110は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基又は炭素原子数2〜10のエステル基を表し、R
111、R
112、R
113及びR
114は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、R
115は、下記(α)〜(γ)より選択されるいずれかの置換基を表し、An
q−はq価の陰イオンを表し、pは電荷を中性にする係数を表す。)
【0059】
【化8】
(式中、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27、R
28、R
29、R
30、R
45、R
46、R
47、R
48及びR
49は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基又は炭素原子数2〜10のエステル基を表し、R
31、R
32、R
33、R
34、R
36、R
37、R
38、R
39、R
40、R
41、R
42、R
43及びR
44は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。)
【0060】
上記一般式(V)で表される化合物において、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27、R
28、R
29、R
30、R
31、R
32、R
33、R
34、R
35、R
36、R
37、R
38、R
39、R
40、R
41、R
42、R
43、R
44、R
45、R
46、R
47、R
48及びR
49で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、
R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27、R
28、R
29、R
30、R
31、R
32、R
33、R
34、R
35、R
36、R
37、R
38、R
39、R
40、R
41、R
42、R
43、R
44、R
45、R
46、R
47、R
48及びR
49で表される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、エチルオクチル、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、2−ブトキシエチル、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、3−メトキシブチル、2−メチルチオエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、ジフルオロエチル、トリクロロエチル、ジクロロジフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、デカフルオロペンチル、トリデカフルオロヘキシル、ペンタデカフルオロヘプチル、ヘプタデカフルオロオクチル、メトキシメチル、1,2−エポキシエチル、メトキシエチル、メトキシエトキシメチル、メチルチオメチル、エトキシエチル、ブトキシメチル、t−ブチルチオメチル、4−ペンテニルオキシメチル、トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、メトキシシクロヘキシル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、1−メチル−1−メトキシエチル、エチルジチオエチル、トリメチルシリルエチル、t−ブチルジメチルシリルオキシメチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、t−ブトキシカルボニルメチル、エチルオキシカルボニルメチル、エチルカルボニルメチル、t−ブトキシカルボニルメチル、アクリロイルオキシエチル、メタクリロイルオキシエチル、2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニルメチル、アセチルエチル、2−メトキシ−1−プロペニル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、1,2−ジヒドロキシエチル等が挙げられ、
R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27、R
28、R
29、R
30、R
45、R
46、R
47、R
48及びR
49で表される炭素原子数1〜10のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、s−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、ペンチルオキシ、イソアミルオキシ、t−アミルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘキシルメチルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、テトラヒドロピラニルオキシ、2−メトキシエチルオキシ、3−メトキシプロピルオキシ、4−メトキシブチルオキシ、2−ブトキシエチルオキシ、メトキシエトキシエチルオキシ、メトキシエトキシエトキシエチルオキシ、3−メトキシブチルオキシ、2−メチルチオエチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ等が挙げられ、
R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27、R
28、R
29、R
30、R
45、R
46、R
47、R
48及びR
49で表される炭素原子数2〜10のエステル基としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、フェノキシカルボニル、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、クロロアセチルオキシ、ジクロロアセチルオキシ、トリクロロアセチルオキシ、トリフルオロアセチルオキシ、t−ブチルカルボニルオキシ、メトキシアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。
【0061】
上記カチオン重合性成分(A)に対するカチオン重合開始剤(B)の使用割合は、カチオン重合性成分(A)100質量部に対して、カチオン重合開始剤(B)0.001〜15質量部、好ましくは0.1〜10質量部である。少なすぎると硬化が不十分となりやすく、多すぎると硬化物の吸水率や硬化物強度などの諸物性に悪影響を与える場合がある。
【0062】
本発明に使用する上記ラジカル重合性成分(C)は、エネルギー線照射又は加熱により活性化したラジカル重合開始剤により高分子化又は、架橋反応を起こす化合物であり、上記飽和脂肪族環を有する(メタ)アクリル化合物(C1)[以下、(メタ)アクリル化合物(C1)とも記載]を含有し、(メタ)アクリル化合物(C1)を除く既知の不飽和エチレン性化合物などと併用できる。硬化物の密着性や耐熱密着性、耐薬品性が優れることから、本発明に使用する上記ラジカル成分(C)は、本発明の硬化性組成物中に1〜90質量%含有され、30〜90質量%含有されることがより好ましい。
【0063】
上記(メタ)アクリル化合物(C1)としては、飽和脂肪族環及びアクリル基又はメタクリル基を分子内に含有していればよい。(メタ)アクリル化合物(C1)は単官能であっても多官能であってもよい。飽和脂肪族環としては、トリシクロデカン環、シクロヘキサン環、イソボロニル環、シクロヘプタン環、シクロブタン環等が挙げられる。(メタ)アクリル化合物(C1)は、飽和脂肪族環を1つのみ含有する場合もあり、或いは、飽和脂肪族環を2以上含有する場合もある。飽和脂肪族環を2以上含有する場合、2以上の飽和脂肪族環同士が結合基で結合されていることが好ましい。また、(メタ)アクリル化合物(C1)では、1の飽和脂肪族環に2以上のアクリル基又はメタクリル基が結合していてもよく、2以上の飽和脂肪族環それぞれに1つずつアクリル基又はメタクリル基が結合していてもよい。アクリル基又はメタクリル基は、通常、直接又は結合基を介して飽和脂肪族環に結合している。上記の結合基としては、直接結合、炭素原子数1〜6の炭化水素基、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NR
11−、−NR
11CO−、−S−、−CS−、−SO
2−、−SCO−、−COS−、−OCS−若しくはCSO−又はそれらを組み合わせた基が挙げられる。尚、上記R
11は一般式(II)中のR
11と同一である。
特に制限されないが、(メタ)アクリル化合物(C1)の具体例としては、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキサンアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキサンメタアクリレート、イソボロニルアクリレート、イソボロニルメタクリレート、シクロへキシルメタクリレート、シクロへキシルアクリレート、2-メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、が挙げられる。
【0064】
上記(メタ)アクリル化合物(C1)としては、市販品のものを用いることができ、DCP、A−DCP(以上、新中村化学工業社製)EM70、EM90、EM2104、EM2204、(以上、ETERNAL社製)ライトエステルIBX−A、ライトエステルIBX−MA、ライトエステルCH、ライトエステルHO−HH、ライトエステルDCP−M、ライトエステルDCP−A(以上、共栄社化学社製)カヤラッドR−684(日本化薬社製)等が挙げられる。
【0065】
上記(メタ)アクリル化合物(C1)としては、硬化性に優れることから上記一般式(II)で表される基を有する化合物が好ましい。
【0066】
上記一般式(II)中の水素原子を置換しえる炭素原子数1〜20の炭化水素基及び上記一般式(II)中のR
11で表される炭素原子数1〜20の炭化水素基は、上記一般式(I)中の水素原子を置換しえる炭素原子数1〜20の炭化水素基及び上記一般式(I)中のR
1で表される炭素原子数1〜20の炭化水素基とそれぞれ同じである。
【0067】
上記不飽和エチレン性化合物としては、分子内に不飽和エチレン性基を有している化合物であればよく、特に限定されないが、単官能(メタ)アクリル化合物、多官能(メタ)アクリル化合物を好ましく使用することができる。
【0068】
単官能(メタ)アクリル化合物としては、アクリル基又はメタクリル基を分子内に1つ含有する化合物であればよく、特に制限されないが、水酸基を有する単官能(メタ)アクリル化合物は、得られる硬化物の硬化性が良好なことから特に好ましい。
【0069】
上記、水酸基を有する単官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシ−プロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシメチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸及び5,6−ジヒドロキシヘキシルメタクリレートが挙げられ、上記の中でも2−ヒドロキシエチルアクリレート及び4−ヒドロキシブチルアクリレートが得られる硬化物の密着性が良好なことから特に好ましい。
【0070】
水酸基を有しない単官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、ステアリルメタクリレート、イソアミルアクリレート、ラウリルアクリレート、エトキシ-ジエチレングリコールアクリレート、エトキシ-ジエチレングリコールアクリレート、メトキシ-トリエチレングルコールアクリレート、2-エチルヘキシル-ジグルコールアクリレート、メトキシ-ポリエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングルコールアクリレート、イソボルニルアクリレート等が挙げられ、上記の中でもテトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等のテトラヒドロフルフリル基を有する化合物が、得られる硬化物の密着性が良好なことから特に好ましい。
【0071】
上記、水酸基を有しない単官能(メタ)アクリル化合物としては、市販品も使用することができ、例えばM−90G、M−230G、S、SA(以上、新中村工業製)ライトアクリレートIAA、L−A、S−A、EC−A、MTG−A、EHDG−AT、130A、DPM−A、THF−A、THF−MA、IB−X、IB−XA(共栄社化学社製)等が挙げられる。
【0072】
上記、水酸基を有する単官能(メタ)アクリル酸エステル(C1)としては、市販品も使用することができ、例えば、ライトエステルHOP−A、HOB−A、HOA−MPE(N)(以上、共栄社化学製)が挙げられる。
【0073】
上記多官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコール#650ジアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
【0074】
上記、多官能(メタ)アクリル化合物としては、市販品も使用することができ、例えば、NKエステルA−200、NKエステルA−400、NKエステルA−1000、NKエステルA−B1206PE、NKエステルABE−300、NKエステルA−BPE−10、NKエステルA−BPE−20、NKエステルA−BPE−30、NKエステルA−BPE−4、NKエステルA−BPEF、NKエステルA−DCP、NKエステルA−DOD−N、NKエステルA−NOD−N、NKエステルAPG−200、NKエステルAPG−400、NKエステルAPG−700、NKエステルA−PTMG−65、NKエステルA−9300、NKエステルA−9300S、NKエステルA−9300−1CL、NKエステルA−GLY−9E、NKエステルA−GLY−20E、NKエステルA−TMM−3、NKエステルA−TMM−3L、NKエステルA−TMPT、NKエステルAD−TMP、NKエステルATM−4E、NKエステルATM−35E、NKエステルA−TMMT、NKエステルA−DPH(以上、新中村化学工業製);カヤラッドDPHA、カヤラッドDPEA−12、カヤラッドDPCA−60、カヤラッドPEG400DA、カヤラッドTHE−330、カヤラッドRP−1040、カヤラッドPET30、カヤラッドR−684(以上、日本化薬製);アロニックスM−215、アロニックスM−350(以上、東亞合成製);ライトアクリレートDCP−A、ライトアクリレートTMP−A、ライトアクリレートPE−3A、ライトアクリレートDPE−6A(共栄社化学製)SPC−1000、SPC−3000(以上、昭和電工製);等が挙げられる。
【0075】
上記ラジカル重合性成分(C)において、(C1)の割合は、硬化性が良好であることから30質量%以上が好ましい。
【0076】
上記ラジカル開始剤(D)としては、光ラジカル重合開始剤と熱ラジカル重合開始剤が挙げられ、反応性が高いことから光ラジカル重合開始剤がより好ましい。また、本発明に使用する上記ラジカル重合開始剤(D)は、本発明の硬化性組成物中に1〜10質量%含有される。
【0077】
光ラジカル重合開始剤としては、光照射によりラジカルを発生するものであれば特に制限されず従来既知の化合物を用いることが可能であり、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンジル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物及びオキシムエステル系化合物等を好ましいものとして例示することができる。
【0078】
アセトフェノン系化合物としては例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ターシャリブチルジクロロアセトフェノン、p−ターシャリブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル及び1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等が挙げられる。
【0079】
ベンジル系化合物としては、ベンジル等が挙げられる。
【0080】
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン及び4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド等が挙げられる。
【0081】
チオキサントン系化合物としては、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。
【0082】
オキシムエステル系化合物としては、例えば、下記に示す化合物No.D1〜D15が挙げられる。
【0085】
その他のラジカル重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド系化合物及びビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)]チタニウム等のチタノセン系化合物等が挙げられる。
【0086】
市販のラジカル開始剤としては、アデカオプトマーN−1414、N−1717、N−1919、アデカアークルズNCI−831、NCI−930(以上、ADEKA製);IRGACURE184、IRGACURE369、IRGACURE651、IRGACURE907、IRGACURE OXE 01、IRGACURE OXE 02、IRGACURE784(以上、BASF製);TR−PBG−304、TR−PBG−305、TR−PBG−309及びTR−PBG−314(以上、Tronly製);等が挙げられる。
【0087】
熱ラジカル重合開始剤としては、加熱によりラジカルを発生するものであれば特に制限されず従来既知の化合物を用いることが可能であり、例えば、アゾ系化合物、過酸化物及び過硫酸塩等を好ましいものとして例示することができる。
【0088】
アゾ系化合物としては、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(メチルイソブチレ−ト)、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)等が挙げられる。
【0089】
過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート及びジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
【0090】
過硫酸塩としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウム等の過硫酸塩等が挙げられる。
【0091】
本発明の硬化性組成物において、好ましくは、上記カチオン重合性成分(A)、カチオン重合開始剤(B)、上記ラジカル重合性成分(C)、上記ラジカル重合開始剤(D)の総和100質量部に対して上記カチオン重合性成分(A)は15〜85質量部、上記カチオン重合開始剤(B)は1〜10質量部、上記ラジカル重合性成分(C)は15〜85質量部、上記ラジカル重合開始剤(D)は1〜10質量部である。上記配合割合以外であると、硬化物の硬化性及び密着性が悪くなる恐れがある。
【0092】
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、更に、増感剤及び/又は増感助剤を用いることができる。増感剤は、カチオン重合開始剤(B)が示す極大吸収波長よりも長い波長に極大吸収を示し、カチオン重合開始剤(B)による重合開始反応を促進させる化合物である。また増感助剤は、増感剤の作用を一層促進させる化合物である。
【0093】
増感剤及び増感助剤としては、アントラセン系化合物、ナフタレン系化合物等が挙げられる。
【0094】
アントラセン系化合物としては、例えば、下式(IIIa)で表されるものが挙げられる。
【0095】
【化11】
(式中、R
9及びR
10は、各々独立に水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数2〜12のアルコキシアルキル基を表し、R
11は水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。)
【0096】
上記式(IIIa)で表されるアントラセン系化合物の具体例を挙げると、次のような化合物がある。
【0097】
9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジイソプロポキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジペンチルオキシアントラセン、9,10−ジヘキシルオキシアントラセン、9,10−ビス(2−メトキシエトキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−エトキシエトキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−ブトキシエトキシ)アントラセン、9,10−ビス(3−ブトキシプロポキシ)アントラセン、2−メチル−又は2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−メチル−又は2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−メチル−又は2−エチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2−メチル−又は2−エチル−9,10−ジイソプロポキシアントラセン、2−メチル−又は2−エチル−9,10−ジブトキシアントラセン、2−メチル−又は2−エチル−9,10−ジペンチルオキシアントラセン、2−メチル−又は2−エチル−9,10−ジヘキシルオキシアントラセン等が挙げられる。
【0098】
ナフタレン系化合物としては、例えば、下式(IIIb)で表されるものが挙げられる。
【0099】
【化12】
(式中、R
12及びR
13は各々独立に炭素原子数1〜6のアルキル基を表す)
【0100】
上記式(IIIb)で表されるナフタレン系化合物の具体例を挙げると、次のような化合物がある。
【0101】
4−メトキシ−1−ナフトール、4−エトキシ−1−ナフトール、4−プロポキシ−1−ナフトール、4−ブトキシ−1−ナフトール、4−ヘキシルオキシ−1−ナフトール、1,4−ジメトキシナフタレン、1−エトキシ−4−メトキシナフタレン、1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジプロポキシナフタレン、1,4−ジブトキシナフタレン等が挙げられる。
【0102】
上記カチオン重合性成分(A)に対する増感剤及び増感助剤の使用割合は特に限定されず、本発明の目的を阻害しない範囲内で概ね通常の使用割合で使用すればよいが、例えば、上記カチオン重合性成分(A)の100重量部に対して、増感剤及び増感助剤それぞれ0.1〜3質量部以上であるのが、硬化性向上の観点から好ましい。
【0103】
本発明の硬化性組成物には、必要に応じてシランカップリング剤を用いることができる。
シランカップリング剤としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシランなどのアルキル官能性アルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシランなどのアルケニル官能性アルコキシシラン、3−メタクリロキシブロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシブロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシラン、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシドなどのチタンアルコキシド類、チタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)などのチタンキレート類、ジルコウニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネートなどのジルコニウムキレート類、ジルコニウムトリブトキシモノステアレートなどのジルコニウムアシレート類、メチルトリイソシアネートシランなどのイソシアネートシラン類等を用いることができる。
【0104】
上記シランカップリング剤の使用量は、特に限定されないが、通常、硬化性組成物中の固形物の全量100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲である。
【0105】
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて熱可塑性有機重合体を用いることによって、硬化物の特性を改善することもできる。該熱可塑性有機重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレートエチルアクリレート共重合体、メチルメタクリレートグリシジルメタクリレート共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−メチルメタクリレート共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート−ポリメチル(メタ)アクリレート共重合体、ポリビニルブチラール、セルロースエステル、ポリアクリルアミド、飽和ポリエステル等が挙げられる。
【0106】
本発明の硬化性組成物には、特に制限されず通常用いられる上記(A)、(B)、(C)及び(D)の各成分を溶解又は分散しえる溶媒を用いることができ、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル、テキサノール等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、イソ−又はn−プロパノール、イソ−又はn−ブタノール、アミルアルコール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート等のエーテルエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等のBTX系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テレピン油、D−リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油社)、ソルベッソ#100(エクソン化学社)等のパラフィン系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;プロピレンカーボネート、カルビトール系溶媒、アニリン、トリエチルアミン、ピリジン、酢酸、アセトニトリル、二硫化炭素、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられ、これらの溶媒は1種又は2種以上の混合溶媒として使用することができる。
【0107】
本発明の硬化性組成物は、硬化性、接着性、液保存安定性が向上するので水分量が5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることが更に好ましい。水分が多すぎると、白濁したり成分が析出したりする恐れがあるので好ましくない。
【0108】
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、更に、紫外線吸収剤や、常温では不活性であり所定の温度への加熱・光照射・酸等により保護基が脱離し、活性化されて紫外線吸収能が発現する化合物を用いることもできる。
【0109】
また、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、ポリオール、無機フィラー、有機フィラー、顔料、染料などの着色剤、消泡剤、増粘剤、界面活性剤、レべリング剤、難燃剤、チクソ剤、希釈剤、可塑剤、安定剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、静電防止剤、流動調整剤、接着促進剤等の各種樹脂添加物等を添加することができる。
【0110】
本発明の硬化性組成物は、ロールコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の手段で、支持基体上に適用される。また、一旦フィルム等の支持基体上に施した後、他の支持基体上に転写することもでき、その適用方法に制限はない。
【0111】
上記支持基体の材料としては、特に制限されず通常用いられるものを使用することができ、例えば、ガラス等の無機材料;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリイミド;ポリウレタン;エポキシ樹脂;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4'−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等のビニル化合物;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン、ノルボルネン樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)等の高分子材料が挙げられる。
尚、上記支持基体に、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を行ってもよい。
【0112】
本発明の硬化性組成物を活性エネルギー線の照射により硬化させる方法において、活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波などを挙げることができ、紫外線が経済的に最も好ましい。紫外線の光源としては、紫外線レーザ、水銀ランプ、キセノンレーザ、メタルハライドランプなどが挙げられる。
【0113】
本発明の硬化性組成物を加熱により硬化させる方法における条件は、70〜250℃で1〜100分である。プレベイク(PAB;Pre applied bake)した後、加圧して、ポストベイク(PEB;Post exposure bake)してもよいし、異なる数段階の温度でベイクしてもよい。
加熱条件は各成分の種類及び配合割合によって異なるが、例えば、70〜180℃で、オーブンなら5〜15分間、ホットプレートなら1〜5分間である。その後、塗膜を硬化させるために180〜250℃、好ましくは200〜250℃ で、オーブンなら30〜90分間、ホットプレートなら5〜30分間加熱処理することによって硬化膜を得ることができる。
【0114】
本発明の硬化性組成物又はその硬化物の具体的な用途としては、接着剤、メガネ、撮像用レンズに代表される光学材料、塗料、コーティング剤、ライニング剤、インキ、レジスト、液状レジスト、印刷版、カラーテレビ、PCモニタ、携帯情報端末、デジタルカメラ、有機EL、タッチパネル等の表示素子、絶縁ワニス、絶縁シート、積層板、プリント基盤、半導体装置用・LEDパッケージ用・液晶注入口用・有機EL用・光素子用・電気絶縁用・電子部品用・分離膜用等の封止剤、成形材料、パテ、ガラス繊維含浸剤、目止め剤、半導体用・太陽電池用等のパッシベーション膜、層間絶縁膜、保護膜、液晶表示装置のバックライトに使用されるプリズムレンズシート、プロジェクションテレビ等のスクリーンに使用されるフレネルレンズシート、レンチキュラーレンズシート等のレンズシートのレンズ部、又はこのようなシートを用いたバックライト等、マイクロレンズ等の光学レンズ、光学素子、光コネクター、光導波路、光学的造形用注型剤等を挙げることができる。
【0115】
本発明の表示装置としては、透明支持体に、必要に応じて下塗り層、反射防止層、偏光素子層、位相差層、複屈折率層、光散乱層、ハードコート層、潤滑層、保護層等の各層を設けたものが挙げられ、各層に本発明の硬化物からなるフィルムを用いることができる。
【実施例】
【0116】
以下、実施例等を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0117】
以下、本発明の硬化性組成物及び該硬化性組成物を硬化して得られる硬化物に関し、実施例、評価例及び比較例により具体的に説明する。尚、実施例及び比較例では部は質量部を意味する。
【0118】
[硬化性組成物の調製:実施例1〜29、比較例1〜7]
下記の[表1]〜[表5]に示す配合で各成分を十分に混合して、各々実施硬化性組成物1〜29、比較硬化性組成物1〜7を得た。[表1]〜[表5]における数字の単位は質量部である。
【0119】
カチオン重合性成分(A)として下記の化合物を用いた。
A1−1:化合物A1−1 [(A1)成分;下記に構造式を記載]
A1−2:アデカレジンEP−4080
[(A1)成分;ADEKA社製]
A2−1:アデカレジンEP−4000
[(A1)成分に属さない(A)成分;ADEKA社製]
A2−2:アデカレジンEP−4005
[(A1)成分に属さない(A)成分;ADEKA社製]
A2−3:アデカグリシロールED−523T
[(A1)成分に属さない(A)成分;ADEKA社製]
A2−4:デナコールEX−201
[(A1)成分に属さない(A)成分;ナガセケムテックス社製]
A2−5:化合物A2−5
[(A1)成分に属さない(A)成分;下記に構造式を記載]
A2−6:セロキサイド2021P
[(A1)成分に属さない(A)成分;ダイセル社製]
A2−7:アロンオキセタンOXT−221
[(A1)成分に属さない(A)成分;東亞合成社製]
【0120】
【化13】
【0121】
【化14】
【0122】
カチオン重合開始剤(B)としては下記の化合物を用いた。
B−1:下記式(ア)で表される化合物及び下記式(イ)で表される化合物の混合物のプロピレンカーボネート50質量%溶液
【0123】
【化15】
【0124】
【化16】
【0125】
ラジカル重合性成分(C)としては、下記の化合物を用いた。
C1−1:R−684 [(C1)成分;日本化薬社製]
C1−2:ライトエステルIB−X[(C1)成分;共栄社化学社製]
C1−3:ライトエステルIB−XA
[(C1)成分;共栄社化学社製]
C2−1:テトラヒドロフルフリルアクリレート
[(C1)成分に属さない(C)成分]
C2−2:4−ヒドロキシブチルアクリレート
[(C1)成分に属さない(C)成分]
C2−3:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
[(C1)成分に属さない(C)成分]
C2−4:A−9300S[(C1)成分に属さない(C)成分;新中村化学工業社製]
C2−5:トリメチロールプロパントリアクリレート
[(C1)成分に属さない(C)成分]
C2−6:カヤラッドDPHA
[(C1)成分に属さない(C)成分;日本化薬社製]
【0126】
ラジカル重合開始剤(D)としては、下記D−1を用いた。
D−1:IRGACURE184(BASF社製)
【0127】
[硬化性組成物及び硬化物の評価:実施例1〜29、比較例1〜7]
下記の評価方法に従い、硬化性試験、密着性試験、耐薬品性試験及び耐熱密着性試験を行った。評価結果を[表1]〜[表5]に併記する。
【0128】
(硬化性試験)
以下の方法で硬化性試験を実施した。
上記で得られた実施組成物1〜29と比較組成物の1〜7を、コロナ放電処理を施したCOP(シクロオレフィンポリマー、日本ゼオン製:品番ゼオノアフィルム14-060)フィルムにそれぞれ塗布し、コロナ処理を行ったTACフィルム(トリアセチルセルロース、富士フィルム社製 TD80ULM)とラミネーターを用いて貼り合わせ、メタルハライドランプ(400mW/cm
2)を用いて400mJ/cm
2に相当する紫外線をCOPフィルム越しに露光した。露光直後にCOPフィルムを剥離し、タックが無い場合を〇、タックがある場合を×とした。評価が〇の場合、硬化性が高く接着剤として有用である。
【0129】
(密着性)
以下の方法で密着性試験を実施した。
上記で得られた実施組成物1〜29及び比較組成物の1〜7それぞれを、一枚のPETフィルム(東洋紡製:品番コスシャインA4300)に塗布した後、もう一枚のコロナ放電処理を施したCOP(シクロオレフィンポリマー、日本ゼオン製:品番ゼオノアフィルム14-060)フィルムとラミネーターを用いて貼り合わせ、無電極紫外光ランプを用いて1000mJ/cm
2に相当する光をCOPフィルム越しに照射して接着して試験片を得た。得られた試験片についてAIKOH社製FTN−13A/500を用いて90度ピール試験を行い、下記基準により評価した。
密着性が2.0N/cm以上:◎
密着性が1.0N/cm以上2.0N/cm未満:〇
密着性が1.0N/cm未満:×
密着性の評価が◎のものは、接着剤として特に好ましく使用でき、〇のものは、接着剤として好ましく使用でき、×のものは接着剤として使用できない。
【0130】
(耐薬品性試験)
以下の方法で耐薬品性試験を実施した。
上記で得られた実施組成物1〜29及び比較組成物の1〜7それぞれを、銀ボール紙6号にバーコーター#14を用いてそれぞれ塗布した後、メタルハライドランプ(380mW/cm
2)を用いて紫外線照射(400mJ/cm
2×2Pass)し、評価サンプルを得た。得られた評価サンプルをMEKで湿らせた綿棒で擦り、硬化膜が剥離するまでの回数を比較した。
剥離するまでの回数が150往復超のものを◎、100往復以上、150往復未満のものを〇、50往復以上、100往復未満のものを△、50往復未満のものを×とした。
耐薬品性試験の評価が◎のものは、接着剤として特に好ましく使用でき、〇のものは、接着剤として好ましく使用でき、△のものは、適応できる接着剤の用途が少なく、×のものは、接着剤として使用できない。
【0131】
(耐熱密着性)
以下の方法で耐熱密着性試験を実施した。
上記で得られた実施組成物1〜29及び比較組成物の1〜7それぞれを、イーグルXG(コーニング社)にバーコーター#14を用いてそれぞれ塗布した後、メタルハライドランプ(400mW/cm
2)を用いて紫外線照射(870mJ/cm
2×3Pass)し、評価サンプルを得た。得られた評価サンプルを200℃において3時間ベークした後、1mm間隔で10×10の100マスをクロスカットし、セロハンテープにより100マスの剥離を試みた。その結果、剥離のないものを◎とし、1〜10マスの剥離が見られるものを〇とし、11マス以上の剥離が見られるものを×とした。評価が◎のものは、接着剤として特に、好ましく使用することができ、〇のものは、接着剤として好ましく使用することができる。
【0132】
【表1】
【0133】
【表2】
【0134】
【表3】
【0135】
【表4】
【0136】
【表5】
【0137】
[表1]〜[表5]より、本発明の硬化性組成物は、硬化物の硬化性、密着性、耐薬品性及び耐熱密着性に優れることが明らかである。また本発明の硬化性組成物は、接着剤として特に有用である。