特許第6865713号(P6865713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6865713清掃シート、及び清掃シート用の表面シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6865713
(24)【登録日】2021年4月8日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】清掃シート、及び清掃シート用の表面シート
(51)【国際特許分類】
   A47L 13/17 20060101AFI20210419BHJP
【FI】
   A47L13/17 A
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-114968(P2018-114968)
(22)【出願日】2018年6月15日
(65)【公開番号】特開2019-216855(P2019-216855A)
(43)【公開日】2019年12月26日
【審査請求日】2021年2月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(72)【発明者】
【氏名】山道 あゆか
(72)【発明者】
【氏名】須田 朋和
(72)【発明者】
【氏名】眞鍋 優佳
【審査官】 永冨 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−238821(JP,A)
【文献】 特開2013−027682(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3140483(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0233795(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 13/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面シートと、薬液を保持する保水シートとを備えており、お互いに直交する第1方向、第2方向及び厚さ方向と、清掃領域とを備えている清掃シートであって、
前記表面シートが、不織布から構成され、被清掃面側の第1面と、前記保水シート側の第2面とを有し、
前記表面シートが、前記清掃領域に、複数のフラップ部であって、そのそれぞれが、一端及び他端と、前記一端及び前記他端を連結する固定端部と、前記一端及び前記他端を起点として前記固定端部から遠ざかる方向に突出している自由端部とから構成されるものを備えている、
前記清掃シート。
【請求項2】
前記表面シートが、第1方向及び/又は第2方向において、前記複数のフラップ部として、内方に配置された、相対的に面積の小さなフラップ部と、外方に配置された、相対的に面積の大きなフラップ部とを備えている、請求項1に記載の清掃シート。
【請求項3】
前記複数のフラップ部のそれぞれが、任意の位置で折り返した場合に、前記フラップ部が存在しうる最大領域である可動領域を備えており、
前記表面シートが、前記複数のフラップ部として、隣接する2つのフラップ部の可動領域が、前記厚さ方向において重複しているものを含む、請求項1又は2に記載の清掃シート。
【請求項4】
前記表面シートが、前記複数のフラップ部として、隣接する2つのフラップ部が、前記厚さ方向において重複しているものを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の清掃シート。
【請求項5】
前記表面シートが、前記複数のフラップ部として、隣接する2つのフラップ部であって、自由端部同士が交差していないが、固定端部同士が交差しているものを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の清掃シート。
【請求項6】
前記表面シートが、前記複数のフラップ部として、第1方向の一方向に突出している前記自由端部を備えている一方向フラップ部と、第1方向の他方向に突出している前記自由端部を備えている他方向フラップ部とを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の清掃シート。
【請求項7】
前記表面シートが、第1面を構成するとともに、親水性繊維及び疎水性繊維を含む第1層と、第2面を構成するとともに、親水性繊維及び疎水性繊維を含む第2層とを含み、第2層を構成する疎水性繊維の比率が、第1層を構成する疎水性繊維の比率よりも高い、請求項1〜6のいずれか一項に記載の清掃シート。
【請求項8】
清掃面を構成する表面シートと、薬液を保持する保水シートとを備えており、お互いに直交する第1方向、第2方向及び厚さ方向と、清掃領域とを備えている清掃シート用の表面シートであって、
前記表面シートが、不織布から構成され、清掃面を構成する第1面と、第1面と反対側の第2面とを有し、
前記表面シートが、前記清掃領域に、複数のフラップ部であって、そのそれぞれが、一端及び他端と、前記一端及び前記他端を連結する固定端部と、前記一端及び前記他端を起点として前記固定端部から遠ざかる方向に突出している自由端部とから構成されるものを備えている、
前記表面シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、清掃シート、及び清掃シート用の表面シートに関する。
【背景技術】
【0002】
被清掃面に存在するほこり、ゴミ等を清掃するための清掃シートが知られており、清掃性を向上させる等の観点から種々の改良が加えられている。
例えば、特許文献1には、清掃部を形成しているシート構造体からなる清掃シートであって、シート構造体は、シート原材に所定のパターンで多数の切れ目を形成してなる切れ目群を設けてシート原材の厚み方向に対して交差する方向にシート原材を引き伸ばして切れ目群の少なくとも一部を構成する複数の切れ目を拡幅してなる複数のスリット穴を形成しているシート材を備えており、且つ、清掃部に、シート材における少なくとも一部のスリット穴が位置している、ことを特徴とする清掃シートが記載されている。
なお、特許文献1は、いわゆる、乾式の清掃シートに関するもので有り、湿式の清掃シート、すなわち、薬液を保持する保水シートを備える清掃シートに関するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−27682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の清掃シートは、そもそも、乾式の清掃シートであり、そして引例1に記載の清掃シートでは、切れ目群は、清掃シートを、その厚さ方向と交差する方向に引き延ばすために設けられたものであり、切れ目群が、清掃シートの清掃性に直接寄与するものではない。
従って、本開示は、小さなゴミを取り込むことができるとともに、大きなゴミを絡め取ることができ、そして汚れを除去しやすい清掃シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示者らは、表面シートと、薬液を保持する保水シートとを備えており、お互いに直交する第1方向、第2方向及び厚さ方向と、清掃領域とを備えている清掃シートであって、上記表面シートが、不織布から構成され、被清掃面側の第1面と、上記保水シート側の第2面とを有し、上記表面シートが、上記清掃領域に、複数のフラップ部であって、そのそれぞれが、一端及び他端と、上記一端及び上記他端を連結する固定端部と、上記一端及び上記他端を起点として上記固定端部から遠ざかる方向に突出している自由端部とから構成されるものを備えている清掃シートを見出した。
【発明の効果】
【0006】
本開示の清掃シートは、小さなゴミを取り込むことができるとともに、大きなゴミを絡め取ることができ、そして汚れを除去しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に従う清掃シート1の正面図である。
図2図2は、清掃シート1の背面図である。
図3図3は、清掃シート1の、図1のIII−III端面における端面図である。
図4図4は、図1の領域IVの拡大斜視図である。
図5図5は、第1フラップ部21の往復運動を説明するための図であり、図1の領域IVの拡大斜視図に相当する。
図6図6は、図3の領域VIの拡大図である。
図7図7は、被清掃面を清掃中の清掃シート1を説明するための図である。
図8図8は、清掃シート1が、清掃具101に取付られた状態を説明するための図である。
図9図9は、フラップ部の可動領域を説明するための図である。
図10図10は、本開示の清掃シートにおけるフラップ部の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[定義]
・フラップ部の「面積」
本明細書において、フラップ部の面積は、フラップ部を構成する自由端部及び固定端部により画定される区画を、清掃シートの厚さ方向から測定した面積を意味する。
【0009】
・フラップ部の「可動領域」
本明細書において、フラップ部の可動領域は、フラップ部を任意の位置で、1又は複数回、表面シートの残余の部分と接するように折り返した場合に、フラップ部が存在しうる最大領域を意味する。
【0010】
図9は、フラップ部の可動領域を説明するための図であり、フラップ部201は、一端203及び他端205と、一端203及び他端205を直線的に連結する固定端部207と、一端203及び他端205を起点として固定端部207から遠ざかる方向に突出している自由端部209とから構成されるものを備えており、自由端部209は、一端203及び最遠部211を通る直線部と、他端205及び最遠部211を通る直線部とから構成されている。
【0011】
図9にはまた、フラップ部201を、異なる位置で1回折り返した場合のフラップ部201a,フラップ部201b,フラップ部201c,及びフラップ部201d(固定端部207にて折り返した場合)が示されており、可動領域213は、一端203を中心とし、一端203及び最遠部211を通る直線部を半径とする円弧215と、他端205を中心とし、他端205及び最遠部211を通る直線部を半径とする円弧217とにより区画される。
【0012】
フラップ部が、図10(a)に示されるような半円弧部から構成される自由端部309を備えるフラップ部301である場合には、フラップ部301の可動領域は、フラップ部301の自由端部309と、フラップ部301を、固定端部307のところで折り返したときの自由端部309とにより区画される。
フラップ部が、半円弧部未満の円弧部から構成される自由端部を備えるフラップ部である場合における可動領域も同様である。
【0013】
具体的には、本開示は以下の態様に関する。
[態様1]
表面シートと、薬液を保持する保水シートとを備えており、お互いに直交する第1方向、第2方向及び厚さ方向と、清掃領域とを備えている清掃シートであって、
上記表面シートが、不織布から構成され、被清掃面側の第1面と、上記保水シート側の第2面とを有し、
上記表面シートが、上記清掃領域に、複数のフラップ部であって、そのそれぞれが、一端及び他端と、上記一端及び上記他端を連結する固定端部と、上記一端及び上記他端を起点として上記固定端部から遠ざかる方向に突出している自由端部とから構成されるものを備えている、
上記清掃シート。
【0014】
上記清掃シートは、表面シートに、所定の構成を有する、複数のフラップ部を備えている。従って、上記清掃シートを、表面シートが被清掃面に接するように清掃具に固定し、被清掃面を清掃する(以下、「清掃シートを、表面シートが被清掃面に接するように清掃具に固定し、被清掃面を清掃する」ことを、単に、「清掃シートを使用する」と称する場合がある)際に、表面シートに存在するフラップ部が、被清掃面の摩擦の高い部分(例えば、ゴミ、汚れ等が存在する部分)と接触すると、上記フラップ部が、第1面を内側にして、自由端部から固定端部に向かう方向に折り返される(以下、「フラップ部が、第1面を内側にして、自由端部から固定端部に向かう方向に折り返される」ことを、単に、『フラップ部が折り返される』と称する場合がある)ことになり、その結果、保水シートが、表面シートを介さずに、保持している薬液を、汚れ部分に適用し、汚れ部分を湿潤化し、除去しやすくすることができる(以下、「汚れ部分湿潤化作用」と称する場合がある)。
【0015】
また、フラップ部が折り返されることにより、表面シートの、フラップ部が存在していた場所には、開口部が形成され、小さなゴミを、当該開口部(特に、固定端部の周辺)から、清掃シートの内部(表面シートと、保水シートとの間)に取り込むことができる(以下、フラップ部が、小さなゴミを、開口部から、清掃シートの内部に取り込む作用を、「小ゴミ取り込み作用」と称する場合がある)。
さらに、フラップ部が、折り返されることと、元に戻ることとの往復運動を行う際に、フラップ部が、大きなゴミを絡め取ることができる(以下、フラップ部が往復運動を行うことにより大きなゴミを絡め取ることを、「大ゴミ絡め取り作用」と称する場合がある)。
【0016】
さらに、清掃シートを使用する場合、被清掃面に存在する、髪の毛、ホコリ等のゴミは、最初に、清掃シートの周辺部にて清掃シートに捕捉され、周辺部にて清掃シートに捕捉されなかったゴミが、清掃シートの中央部に移動する傾向がある。従って、清掃シートの使用に伴って、清掃シートの周縁部では、捕捉された、髪の毛、ホコリ等のゴミの量と、被清掃面に存在する、髪の毛、ホコリ等のゴミとが繋がり合い、棒状のゴミ連結体を形成し、清掃シートが捕捉するゴミの量が増えるに伴って、ゴミ連結体が肥大化していく傾向がある。上記フラップ部は、往復運動を行う際に、フラップ部が、ゴミ連結体を巻き込むこと等により、ゴミ連結体を保持し続ける(以下、フラップ部が、往復運動を行う際に、ゴミ連結体を保持し続ける作用を、「ゴミ連結体保持作用」と称する場合がある)ことができる。
【0017】
さらに、フラップ部が折り返されることにより、清掃シートが、折り返されたフラップ部と、上記厚さ方向に重複する領域である凸領域と、開口部と、上記厚さ方向に重複する領域である凹領域とを含む凹凸領域を有することになるため、清掃シートによる、汚れ(例えば、固形状の皮脂汚れ)の拭き取り性が向上する(以下、フラップ部が折り返されることにより凹凸領域を形成し、汚れを拭き取ることを、「汚れ拭き取り作用」と称する場合がある)。
以上より、上記清掃シートは、小さなゴミを取り込むことができるとともに、大きなゴミを絡め取ることができ、そして汚れを除去しやすい。
【0018】
[態様2]
上記表面シートが、第1方向及び/又は第2方向において、上記複数のフラップ部として、内方に配置された、相対的に面積の小さなフラップ部と、外方に配置された、相対的に面積の大きなフラップ部とを備えている、態様1に記載の清掃シート。
【0019】
上記清掃シートでは、第1方向及び/又は第2方向において、外方に配置されている、相対的に面積の大きなフラップ部が、相対的に大きな往復運動をする際に、ゴミ連結体を巻込むこと等により、肥大化したゴミ連結体を保持しやすくなる。また、内方に配置されている、面積の小さなフラップ部は、相対的に小さな往復運動を行い、外方に配置されている、面積の大きなフラップ部が取り残したゴミを捕捉することができる。
【0020】
[態様3]
上記複数のフラップ部のそれぞれが、任意の位置で折り返した場合に、上記フラップ部が存在しうる最大領域である可動領域を備えており、
上記表面シートが、上記複数のフラップ部として、隣接する2つのフラップ部の可動領域が、上記厚さ方向において重複しているものを含む、態様1又は2に記載の清掃シート。
【0021】
上記清掃シートでは、表面シートが、所定のフラップ部を含むので、清掃シートを用いる際に、当該所定のフラップ部が相互に干渉しあうことにより、複雑な動きをすることができ、上述の小ゴミ取り込み作用、大ゴミ絡め取り作用、ゴミ連結体保持作用、及び汚れ拭き取り作用をより発揮することができる。
【0022】
[態様4]
上記表面シートが、上記複数のフラップ部として、隣接する2つのフラップ部が、上記厚さ方向において重複しているものを含む、態様1〜3のいずれか一項に記載の清掃シート。
【0023】
上記清掃シートでは、表面シートが、所定のフラップ部を含むので、清掃シートを使用する際に、当該所定のフラップ部が、相互に干渉しあうことにより、それらが複雑な動きをすることができ、上述の小ゴミ取り込み作用、大ゴミ絡め取り作用、ゴミ連結体保持作用、及び汚れ拭き取り作用をより発揮することができる。
【0024】
[態様5]
上記表面シートが、上記複数のフラップ部として、隣接する2つのフラップ部であって、自由端部同士が交差していないが、固定端部同士が交差しているものを含む、態様1〜4のいずれか一項に記載の清掃シート。
【0025】
上記清掃シートでは、表面シートが所定のフラップ部を含むため、清掃シートを用いる際に、当該所定のフラップ部が、往復運動を行う際に起点となる自由端部の自由度を保持しながら、相互に干渉しあうことにより、それらが複雑な動きをすることができ、上述の小ゴミ取り込み作用、大ゴミ絡め取り作用、ゴミ連結体保持作用、及び汚れ拭き取り作用をより発揮することができる。
【0026】
[態様6]
上記表面シートが、上記複数のフラップ部として、第1方向の一方向に突出している上記自由端部を備えている一方向フラップ部と、第1方向の他方向に突出している上記自由端部を備えている他方向フラップ部とを含む、態様1〜5のいずれか一項に記載の清掃シート。
【0027】
上記清掃シートでは、表面シートが、複数のフラップ部として、所定の第1フラップ部と、所定の第2フラップ部とを含むので、清掃シートを、第1方向に往復させる際に、いずれの方向に動かした場合でも、上述の小ゴミ取り込み作用、大ゴミ絡め取り作用、ゴミ連結体保持作用、及び汚れ拭き取り作用を発揮することができる。
【0028】
[態様7]
上記表面シートが、第1面を構成するとともに、親水性繊維及び疎水性繊維を含む第1層と、第2面を構成するとともに、親水性繊維及び疎水性繊維を含む第2層とを含み、第2層を構成する疎水性繊維の比率が、第1層を構成する疎水性繊維の比率よりも高い、態様1〜6のいずれか一項に記載の清掃シート。
【0029】
上記清掃シートでは、第1層及び第2層のそれぞれが、所定の疎水性繊維の比率を有する。従って、第1層は、保水シートが保持する薬液を被清掃面に拡げる能力が相対的に高く、そして第2層は、第1層よりも疎水性繊維の比率が高いことから、汚れ部分の掻き取り性に相対的に優れる。また、疎水性繊維の比率の高い第2層が、保水シートに張り付きにくくなるため、複数のフラップ部が、清掃シートの使用時に折り返されやすくなる。
【0030】
上記清掃シートでは、被清掃面がきれいな場合には、表面シートの第1層が、被清掃面に薬液を拡げ、被清掃面を清浄化することができる。また、被清掃面が、ゴミ、汚れ等が存在する摩擦の高い部分を有する場合には、複数のフラップ部が折り返され、高比率で疎水性繊維を含む第2層が、湿潤した汚れ部分と接触し、汚れ部分を掻き取り、除去することができる。
【0031】
[態様8]
清掃面を構成する表面シートと、薬液を保持する保水シートとを備えており、お互いに直交する第1方向、第2方向及び厚さ方向と、清掃領域とを備えている清掃シート用の表面シートであって、
上記表面シートが、不織布から構成され、清掃面を構成する第1面と、第1面と反対側の第2面とを有し、
上記表面シートが、上記清掃領域に、複数のフラップ部であって、そのそれぞれが、一端及び他端と、上記一端及び上記他端を連結する固定端部と、上記一端及び上記他端を起点として上記固定端部から遠ざかる方向に突出している自由端部とから構成されるものを備えている、
上記表面シート。
【0032】
上記表面シートは、清掃シートに用いられた場合に、小さなゴミを取り込むことができるとともに、大きなゴミを絡め取ることができ、そして汚れを除去しやすい。
【0033】
本開示の清掃シート、及び清掃シート用の表面シートについて、以下、詳細に説明する。
図1図8は、本開示の実施形態の1つ(以下、「第1実施形態」と称する)に従う清掃シート1を説明するための図である。具体的には、図1は、清掃シート1の正面図である。図2は、清掃シート1の背面図である。図3は、清掃シート1の、図1のIII−III端面における端面図である。図4は、図1の領域IVの拡大斜視図である。図5は、第1フラップ部21の往復運動を説明するための図であり、図1の領域IVの拡大斜視図に相当する。図6は、図3の領域VIの拡大図であり、説明のため、一方向第1フラップ部31が折り返されている。図7は、被清掃面を清掃中の清掃シート1を説明するための図である。図8は、清掃シート1が、清掃具101に取付られた状態を説明するための図である。
【0034】
第1実施形態に従う清掃シート1は、お互いに直交する、平面方向Pと、厚さ方向Tとを備えている。平面方向Pは、お互いに直交する、第1方向D1と、第2方向D2とを含み、第1方向D1は、一方向D11と、他方向D12とに区画される。
なお、第1方向D1及び第2方向D2は、それぞれ、清掃シート1の短手方向及び長手方向と一致し、そして図8に示されるように、清掃シート1は、その第1方向D1(短手方向)が清掃具101の清掃シート取付部105の短手方向Sと一致し、そしてその第2方向D2(長手方向)が清掃具101の清掃シート取付部105の長手方向Lと一致するように取り付けられ、使用される。
【0035】
清掃シート1は、清掃面を構成する第1表面シート3と、薬液を保持する保水シート9と、清掃面を構成する第2表面シート11とを、その順番で備えており、第1表面シート3及び第2表面シート11の両面を、被清掃面の清掃に用いることができる。
清掃シート1は、被清掃面を清掃するための領域である清掃領域CRを備えている。
【0036】
第1表面シート3は、不織布から構成され、被清掃面側に配置された第1面5と、第1面5と反対側且つ保水シート9側に配置された第2面7とを備えている。第2面7は、保水シート9と接している。
第1表面シート3は、清掃領域CRに、複数の第1フラップ部21を備えている。複数の第1フラップ部21のそれぞれは、第1一端23及び第1他端25と、第1一端23及び第1他端25を直線的に連結する第1固定端部27と、第1一端23及び第1他端25を起点として第1固定端部27から遠ざかる方向に突出している第1自由端部29とから構成される。
【0037】
複数の第1フラップ部21は、第1方向D1の一方向D11に突出している、複数の一方向第1フラップ部31と、第1方向D1の他方向D12に突出している、複数の他方向第1フラップ部33とから構成されている。
【0038】
第1表面シート3は、第2方向D2に延びており、第1方向D1に離間して配置されている、7列の第1フラップ部群、具体的には、第1フラップ部第1群35、第1フラップ部第2群37、第1フラップ部第3群39、第1フラップ部第4群41、第1フラップ部第5群43、第1フラップ部第6群45、第1フラップ部第7群47を備えている。
【0039】
第1フラップ部第1群35〜第1フラップ部第7群47のそれぞれでは、複数の一方向第1フラップ部31と、複数の他方向第1フラップ部33とが、相反する方向に突出するように隣接して配置されている。
【0040】
第1方向D1において、内方に配置されている、第1フラップ部第2群37〜第1フラップ部第6群45に含まれる、複数の第1フラップ部21のそれぞれの面積は、外方に配置されている、第1フラップ部第1群35及び第1フラップ部第7群47に含まれる、複数の第1フラップ部21のそれぞれの面積よりも相対的に小さい。
【0041】
そうすることにより、第1方向D1において、外方に配置されている、第1フラップ部第1群35及び第1フラップ部第7群47に含まれる、複数の第1フラップ部21のそれぞれが、相対的に大きな往復運動をする際に、ゴミ連結体を巻込むこと等により、肥大化したゴミ連結体を保持しやすくなる。また、内方に配置されている、第1フラップ部第2群37〜第1フラップ部第6群45に含まれる、複数の第1フラップ部21のそれぞれが、相対的に小さな往復運動を行い、外方に配置されている、第1フラップ部第1群35及び第1フラップ部第7群47に含まれる、複数の第1フラップ部21が取り残したゴミを捕捉することができる。
【0042】
また、第1フラップ部第1群35〜第1フラップ部第7群47のそれぞれでは、第1方向D1の一方向D11に突出している第1自由端部29を備えている一方向第1フラップ部31と、第1方向D1の他方向D12に突出している第1自由端部29を備えている他方向第1フラップ部33とが、第2方向D2に交互に配置されている。そうすることにより、一方向第1フラップ部31と、他方向第1フラップ部33とが、相互に干渉しあい、小ゴミ取り込み作用、大ゴミ絡め取り作用、ゴミ連結体保持作用、及び汚れ拭き取り作用をより発揮することができる。
【0043】
図4には、一方向第1フラップ部31(第1一端23,第1他端25,第1固定端部27,第1自由端部29,可動領域MR,一方向第1開口部49)、具体的には、一方向第1フラップ部31a(第1一端23,第1他端25,第1固定端部27a,第1自由端部29a,可動領域MR1,一方向第1開口部49a)、及び一方向第1フラップ部31c(第1一端23,第1他端25,第1固定端部27c,第1自由端部29c,可動領域MR3,一方向第1開口部49c)と、他方向第1フラップ部33(第1一端23,第1他端25,第1固定端部27,第1自由端部29,可動領域MR,他方向第1開口部51)、具体的には、他方向第1フラップ部33b(第1一端23,第1他端25,第1固定端部27b,第1自由端部29b,可動領域MR2,他方向第1開口部51b)、及び他方向第1フラップ部33d(第1一端23,第1他端(図示せず),第1固定端部27d,第1自由端部29d,可動領域MR4,他方向第1開口部51d)が示されている。
【0044】
図4に示されるように、隣接する2つの第1フラップ部、すなわち、一方向第1フラップ部31と、他方向第1フラップ部33とは、それらの可動領域MRが、厚さ方向Tに重複している。具体的には、一方向第1フラップ部31aの可動領域MR1と、他方向第1フラップ部33bの可動領域MR2とが、厚さ方向Tに重複しており、他方向第1フラップ部33bの可動領域MR2と、一方向第1フラップ部31cの可動領域MR3とが、厚さ方向Tに重複しており、一方向第1フラップ部31cの可動領域MR3と、他方向第1フラップ部33dの可動領域MR4とが、厚さ方向Tに重複している。
【0045】
そうすることにより、一方向第1フラップ部31と、他方向第1フラップ部33とが相互に干渉しあうことにより、複雑な動きをすることができ、小ゴミ取り込み作用、大ゴミ絡め取り作用、ゴミ連結体保持作用、及び汚れ拭き取り作用をより発揮することができる。
【0046】
また、図4に示されるように、隣接する2つの第1フラップ部、すなわち、一方向第1フラップ部31そのものと、他方向第1フラップ部33そのものとは、厚さ方向Tに重複している。具体的には、一方向第1フラップ部31aそのものと、他方向第1フラップ部33bそのものとが、厚さ方向Tに重複しており、他方向第1フラップ部33bそのものと、一方向第1フラップ部31cそのものとが、厚さ方向Tに重複しており、そして一方向第1フラップ部31cそのものと、他方向第1フラップ部33dそのものとが、厚さ方向Tに重複している。
【0047】
そうすることにより、一方向第1フラップ部31と、他方向第1フラップ部33とが相互に干渉しあうことにより、複雑な動きをすることができ、小ゴミ取り込み作用、大ゴミ絡め取り作用、ゴミ連結体保持作用、及び汚れ拭き取り作用をより発揮することができる。
【0048】
さらに、図4に示されるように、一方向第1フラップ部31aの第1自由端部29aが、隣接する他方向第1フラップ部33bの第1自由端部29bと交差しておらず、一方向第1フラップ部31aの第1固定端部27aが、隣接する他方向第1フラップ部33bの第1固定端部27bと交差している。
また、一方向第1フラップ部31cの第1自由端部29cが、隣接する他方向第1フラップ部33dの第1自由端部29dと交差しておらず、一方向第1フラップ部31cの第1固定端部27cが、隣接する他方向第1フラップ部33dの第1固定端部27dと交差している。
【0049】
そうすることにより、一方向第1フラップ部31a及び他方向第1フラップ部33bが、往復運動を行う際に起点となる、第1自由端部29a及び第1自由端部29bの自由度を保持しながら、相互に干渉しあうことにより、それらが複雑な動きをすることができ、小ゴミ取り込み作用、大ゴミ絡め取り作用、ゴミ連結体保持作用、及び汚れ拭き取り作用をより発揮することができる。また、一方向第1フラップ部31c及び他方向第1フラップ部33dが、往復運動を行う際に起点となる、第1自由端部29c及び第1自由端部29dの自由度を保持しながら、相互に干渉しあうことにより、それらが複雑な動きをすることができ、小ゴミ取り込み作用、大ゴミ絡め取り作用、ゴミ連結体保持作用、及び汚れ拭き取り作用をより発揮することができる。
【0050】
図4では、第1フラップ部第4群41を構成する、一方向第1フラップ部31及び他方向第1フラップ部33の関係について説明したが、第1フラップ部第1群35〜第1フラップ部第7群47のそれぞれにおいても、一方向第1フラップ部31及び他方向第1フラップ部33は、同様の関係性を有する。
【0051】
図5に示されるように、清掃シート1が、第1方向D1の一方向D11に動かされると、一方向第1フラップ部31(一方向第1フラップ部31a,及び一方向第1フラップ部31c)が、第1方向D1の他方向D12に向かって折り畳まれる。その際、他方向第1フラップ部33(他方向第1フラップ部33b,及び他方向第1フラップ部33d)が、第1方向D1の一方向D11に折り畳まれていた場合には、一方向第1フラップ部31(一方向第1フラップ部31a,及び一方向第1フラップ部31c)が折り畳まれるのに合わせて、他方向第1フラップ部33(他方向第1フラップ部33b,及び他方向第1フラップ部33d)が、第1方向D1の他方向D12に向かって倒れ、元の位置に戻りやすくなる。
【0052】
なお、一方向第1フラップ部31(一方向第1フラップ部31a,及び一方向第1フラップ部31c)が、第1方向D1の他方向D12に折り畳まれることにより、一方向第1フラップ部31(一方向第1フラップ部31a,及び一方向第1フラップ部31c)が存在していた場所に、一方向第1開口部49(一方向第1開口部49a,及び一方向第1開口部49c)が形成され、そして他方向第1フラップ部33(他方向第1フラップ部33b,及び他方向第1フラップ部33d)が、第1方向D1の一方向D11に折り畳まれることにより、他方向第1フラップ部33(他方向第1フラップ部33b,及び他方向第1フラップ部33d)が存在していた場所に、他方向第1開口部51(他方向第1開口部51b,及び他方向第1開口部51d)が形成される。
【0053】
なお、一方向第1フラップ部31が折り畳まれることにより形成される一方向第1開口部49は、一方向第1フラップ部31の折り返し起点である第1固定端部27付近において、上述の小ゴミ取り込み作用が最も高くなる傾向があるため、一方向第1開口部49a,及び一方向第1開口部49cは、清掃シート1を第1方向D1の一方向D11に動かす場合に、上述の小ゴミ取り込み作用が高くなる傾向がある。また、他方向第1フラップ部33が折り畳まれることにより形成される他方向第1開口部51は、他方向第1フラップ部33の折り返し起点である第1固定端部27付近において、上述の小ゴミ取り込み作用が最も高くなる傾向があるため、他方向第1開口部51b、及び他方向第1開口部51dは、清掃シート1を第1方向D1の他方向D12に動かす場合に、上述の小ゴミ取り込み作用が高くなる傾向がある。
【0054】
図示されていないが、清掃シート1が、第1方向D1の他方向D12に動かされると、他方向第1フラップ部33(他方向第1フラップ部33b、及び他方向第1フラップ部33d)が、第1方向D1の一方向D11に向かって折り返される。それに合わせて、一方向第1フラップ部31(一方向第1フラップ部31a、及び一方向第1フラップ部31c)が、第1方向D1の一方向D11に向かって倒れ、元の位置に戻りやすくなる。
【0055】
図6に示されるように、第1表面シート3は、第1面5を構成するとともに、親水性繊維及び疎水性繊維を含む第1表面シート第1層53と、第2面7を構成するとともに、親水性繊維及び疎水性繊維を含む第1表面シート第2層55とを含み、第1表面シート第2層55の疎水性繊維の比率が、第1表面シート第1層53の疎水性繊維の比率よりも高い。そうすることにより、第1表面シート第1層53が、被清掃面に薬液を拡げ、被清掃面を清浄化することができ、そして被清掃面が、ゴミ、汚れ等が存在する摩擦の高い部分を有する場合には、第1フラップ部21が折り返され、高比率で疎水性繊維を含む第1表面シート第2層55が、湿潤した汚れ部分と接触し、汚れ部分を掻き取り、除去することができる。また、疎水性繊維の比率の高い第1表面シート第2層55が、保水シート9に張り付きにくくなるため、複数の一方向第1フラップ部31(及び複数の他方向第1フラップ部)が、清掃シート1の使用時に折り返されやすくなる。
【0056】
第2表面シート11は、第1表面シート3と同様の構造を有する。すなわち、第2表面シート11は、不織布から構成され、被清掃面側に配置された第1面13と、第1面13と反対側且つ保水シート9側に配置された第2面15とを備えている。第2面15は、保水シート9と接している。
【0057】
第2表面シート11は、清掃領域CRに、複数の第2フラップ部61を備えている。複数の第2フラップ部61のそれぞれは、第2一端(図示せず)及び第2他端(図示せず)と、第2一端及び第2他端を連結する第2固定端部(図示せず)と、第2一端及び第2他端を起点として第2固定端部(図示せず)から遠ざかる方向に突出している第2自由端部(図示せず)とから構成されるものを備えている。
【0058】
また、第2表面シート11は、第1方向D1の一方向D11に突出している第2自由端部(図示せず)を備えている、複数の一方向第2フラップ部71と、第1方向D1の他方向D12に突出している第2自由端部(図示せず)を備えている、複数の他方向第2フラップ部73とから構成されている。
【0059】
第2表面シート11における、第2一端、第2他端、第2固定端部、第2自由端部、一方向第2フラップ部、及び他方向第2フラップ部は、それぞれ、第1表面シート3における、第1一端23、第1他端25、第1固定端部27、第1一端23、第1自由端部29、他方向第1フラップ部33、及び一方向第1フラップ部31と同様であるため、説明を省略する。
また、第2表面シート11は、第2フラップ部第1群75〜第2フラップ部第7群87を備え、それらは、それぞれ、第1フラップ部第1群35〜第1フラップ部第7群47と同様であるため、説明を省略する。
【0060】
図8に示されるように、清掃シート1を、把持部103及び清掃シート取付部105を備える清掃具101の、清掃シート取付部105に、第1表面シート3が被清掃面と接するように取付け、被清掃面を清掃すると、図7に示されるように、複数の一方向第1フラップ部31と、複数の他方向第1フラップ部33のそれぞれとが、ゴミ連結体107を巻込むことにより保持するとともに、小さなゴミ(図示せず)を、複数の一方向第1開口部49のそれぞれと、複数の他方向第1開口部51のそれぞれとを介して収集し、小さなゴミ(図示せず)を、第1表面シート3と、保水シート9との間に保持する。
【0061】
本開示の清掃シートは、表面シートと、薬液を保持する保水シートとを備えている限りは、清掃シートの構成は、特に制限されない。本開示の清掃シートは、例えば、第1実施形態と同様に、2枚の表面シートと、それらの間に配置された保水シートとから構成され、清掃シートの両面を被清掃面の清掃に用いることができるものであることができ、そして表面シートと、フィルム等の液不透過性シートと、それらの間に配置された保水シートとから構成されていてもよい。さらに、本開示の清掃シートでは、複数枚の表面シート(例えば、複数のフラップ部の形状が異なる複数枚の表面シート)と、当該複数枚の表面シートの一方に配置された保水シートとを含むものであってもよい。
【0062】
また、本開示の清掃シートは、表面シートと、保水シートとの間に、追加のシート、例えば、メッシュシートを含んでもよい。なお、保水シートが保持する薬液を被清掃面に存在するゴミ、汚れ等に直接適用する観点からは、表面シートと、保水シートとは、清掃シートの厚さ方向に隣接していることが好ましい。
【0063】
本開示の清掃シートでは、表面シートを構成する不織布は、被清掃面側の第1面と、保水シート側の第2面とを有するものであれば特に制限されず、当技術分野で表面シートとして用いられるものを挙げることができ、例えば、スパンレース不織布、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、SMS不織布、サーマルボンド不織布、ポイントボンド不織布、メルトブローン不織布、ケミカルボンド不織布、エアレイド不織布等が挙げられる。
【0064】
上記不織布は、親水性繊維と、疎水性繊維とを含むことが好ましく、そして親水性繊維及び疎水性繊維を、より好ましくは5〜45質量%及び55〜95質量%、さらに好ましくは20〜30質量%及び70〜80質量%、そしてさらにいっそう好ましくは23〜28質量%及び72〜77質量%の比率で含む。そうすることにより、表面シートが、保水シートが保持する薬液を、表面シートを介して被清掃面に供給しつつ、被清掃面に存在する、固形状の汚れを掻き取りやすくなり、そしてゴミ等を収集しやすくなる。
なお、上記不織布が、後述する2層又は3層以上の複層から構成される場合には、上述の親水性繊維及び疎水性繊維の比率は、不織布全体としての比率を意味する。
【0065】
本開示の清掃シートでは、上記表面シートは、単層から構成されていてもよく、そして複層から構成されていてもよい。
上記表面シートが、2層又は3層以上の複層から構成される場合には、第1面を構成する第1層と、第2面を構成する第2層とのそれぞれが、親水性繊維及び疎水性繊維を含むことが好ましく、そして第2層を構成する疎水性繊維の比率が、第1層を構成する疎水性繊維の比率よりも好ましくは高く、より好ましくは1.00〜2.00倍高く、そしてさらに好ましくは1.05〜1.50倍高く、そしてさらにいっそう好ましくは1.10〜1.20倍高い。そうすることにより、第1層が、保水シートが保持する薬液を被清掃面に拡げる能力が相対的に高くなり、そして第2層が、汚れ部分の掻き取り性に相対的に優れることになる。
【0066】
上記親水性繊維としては、セルロース系繊維、例えば、パルプ繊維、再生セルロース繊維、及び半合成セルロース繊維が挙げられる。上記再生セルロース繊維としては、レーヨン繊維、例えば、ビスコースから得られるビスコースレーヨン、ポリノジック及びモダール、セルロースの銅アンモニア塩溶液から得られる銅アンモニアレーヨン繊維(「キュプラ」とも称される);有機化合物及び水の混合溶液である有機溶剤を用いた有機溶剤紡糸法によって得られ、セルロース誘導体を経ないリヨセル及びテンセル等が挙げられる。
上記半合成セルロース繊維としては、例えば、アセテート繊維、例えば、トリアセテート繊維及びジアセテート繊維が挙げられる。
【0067】
上記疎水性繊維としては、合成繊維、例えば、熱融着性繊維、例えば、ポリオレフィン系ポリマー、例えば、ポリエチレン若しくはポリプロピレン;ポリエステル系ポリマー、例えば、テレフタレート系ポリマー、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリブチレンテレフタレート,ポリペンチレンテレフタレート;ポリアミド系ポリマー、例えば、ナイロン6若しくはナイロン6,6;アクリル系ポリマー;ポリアクリロニトリル系ポリマー;又はそれらの変性物、あるいはそれらの組み合わせ等から形成された繊維が挙げられる。
【0068】
本開示の清掃シートでは、保水シートは、薬液を保持しうるものであれば、特に制限されず、当技術分野で保水シートとして用いられているものを制限なく採用することができ、例えば、エアレイドパルプ、スパンレース不織布、パルプシート、シート状のスポンジ等から構成されうる。
上記保水シートは、薬液を保持するため、親水性繊維を含むことができる。上記親水性繊維としては、表面シートの箇所で説明したものと同様のものが挙げられる。例えば、上記エアレイドパルプは、表面シートの箇所で説明した合成繊維と、親水性繊維(例えば、パルプ繊維)とを含むことができる。
本開示の清掃シートでは、保水シートが保持する薬液は、当技術分野で公知の薬液を採用しうる。
【0069】
本開示の清掃シートでは、表面シートは、清掃領域に、複数のフラップ部を備えている。複数のフラップ部のそれぞれは、一端及び他端と、一端及び他端を連結する直線状の固定端部と、一端及び他端を起点として固定端部から遠ざかる方向に突出している自由端部とから構成されるものであれば、特に制限されず、任意の形状を有することができる。
上記複数のフラップ部のそれぞれは、自由端部が、湾曲部(例えば、円弧部、楕円弧部)、2以上の直線部、並びに湾曲部及び直線部の組み合わせからなる群から選択されることが好ましい。
【0070】
また、上記フラップ部のそれぞれは、自由端部の、固定端部から最も遠い最遠部が、湾曲部又は固定端部と並行又は交差する方向に延びる直線部から構成されることが好ましい。
上記湾曲部は、曲率半径が、好ましくは3.0〜25.0mm、より好ましくは5.0〜20.0mm、そしてさらに好ましくは7.0〜15.0mmである。上記直線部は、固定端部と、好ましくは5.0〜30.0°、より好ましくは10.0〜25.0°、そしてさらに好ましくは15.0〜20.0°の交差角を有することが好ましい。そうすることにより、本開示の清掃シートを用いる際に、フラップ部が往復運動しやすくなる。
【0071】
図10は、本開示の清掃シートにおけるフラップ部の例を説明するための図である。図10(a)に示されるフラップ部301は、一端303及び他端305と、一端303及び他端305を直線的に連結する固定端部307と、一端303及び他端305を起点として固定端部307から遠ざかる方向に凸になるように湾曲している自由端部309とから構成されており、自由端部309が曲率半径R1の半円弧部であり、そして最遠部311がまた、曲率半径R1を有する。
【0072】
図10(b)に示されるフラップ部301は、一端303及び他端305と、一端303及び他端305を直線的に連結する固定端部307と、一端303及び他端305を起点として固定端部307から遠ざかる方向に凸になるように湾曲している自由端部309とから構成されており、自由端部309が楕円弧部であり、そして最遠部311が、曲率半径R2を有する。
【0073】
図10(c)に示されるフラップ部301は、一端303及び他端305と、一端303及び他端305を直線的に連結する固定端部307と、2本の直線部及びそれらの間の楕円弧部から構成される自由端部309とから構成されており、そして最遠部311が、曲率半径R3を有する。
図10(d)に示されるフラップ部301は、一端303及び他端305と、一端303及び他端305を直線的に連結する固定端部307と、3本の直線部から構成される自由端部309とから構成されており、そして最遠部311が、固定端部307と0°の交差角を有する直線部から構成されている。なお、図9に示されるフラップ部201もまた、本開示の清掃シートにおけるフラップ部に該当する。
【0074】
本開示の清掃シートでは、表面シートは、任意の大きさを有する、複数のフラップ部を備えることが可能であり、そして表面シートが、複数のフラップ部として、第1方向及び/又は第2方向において、内方に配置された、相対的に面積の小さなフラップ部と、外方に配置された、相対的に面積の大きなフラップ部とを備えているが好ましい。そうすることにより、外方に配置されている、相対的に面積の大きなフラップ部が、相対的に大きな往復運動をする際に、ゴミ連結体を巻込むこと等により、肥大化したゴミ連結体を保持しやすくなる。また、内方に配置されている、面積の小さなフラップ部は、相対的に小さな往復運動を行い、外方に配置されている、面積の大きなフラップ部が取り残したゴミを捕捉することができる。
【0075】
本開示の清掃シートでは、表面シートが、複数のフラップ部として、隣接する2つのフラップ部の可動領域が、清掃シートの厚さ方向において重複しているものを含むことがこのましい。そうすることにより、本開示の清掃シートが、上述の小ゴミ取り込み作用、大ゴミ絡め取り作用、ゴミ連結体保持作用、及び汚れ拭き取り作用をより発揮することができる。
【0076】
本開示の清掃シートでは、表面シートが、複数のフラップ部として、隣接する2つのフラップ部が、清掃シートの厚さ方向において重複しているものを含むことが好ましい。そうすることにより、本開示の清掃シートが、上述の小ゴミ取り込み作用、大ゴミ絡め取り作用、ゴミ連結体保持作用、及び汚れ拭き取り作用をより発揮することができる。
【0077】
本開示の清掃シートでは、表面シートが、複数のフラップ部として、隣接する2つのフラップ部であって、一方のフラップ部の自由端部が、他方のフラップ部の固定端部と交差しているとともに、他方のフラップ部の自由端部と交差していないフラップ部を含むものを含むことが好ましい。そうすることにより、本開示の清掃シートが、上述の小ゴミ取り込み作用、大ゴミ絡め取り作用、ゴミ連結体保持作用、及び汚れ拭き取り作用をより発揮することができる。
【0078】
本開示の清掃シートでは、表面シートが、複数のフラップ部として、第1方向の一方向に突出している自由端部を備えている一方向フラップ部と、第1方向の他方向に突出している自由端部を備えている他方向フラップ部とを含むことが好ましい。そうすることにより、本開示の清掃シートを、第1方向に往復させる際に、いずれの方向に動かした場合でも、上述の小ゴミ取り込み作用、大ゴミ絡め取り作用、ゴミ連結体保持作用、及び汚れ拭き取り作用を発揮することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 清掃シート
3 第1表面シート
5 第1面
7 第2面
9 保水シート
11 第2表面シート
13 第1面
15 第2面
21 第1フラップ部
23 第1一端
25 第1他端
27 第1固定端部
29 第1自由端部
31 一方向第1フラップ部
33 他方向第1フラップ部
35 第1フラップ部第1群
37 第1フラップ部第2群
39 第1フラップ部第3群
41 第1フラップ部第4群
43 第1フラップ部第5群
45 第1フラップ部第6群
47 第1フラップ部第7群
49 一方向第1開口部
51 他方向第1開口部
53 第1表面シート第1層
55 第1表面シート第2層
CR 清掃領域
P 平面方向
1 第1方向
11 一方向
12 他方向
2 第2方向
T 厚さ方向
MR 可動領域
L 長手方向
S 短手方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10