(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記掴み部により搬送時の待機位置に移動された前記フレームを、前記フレームの移動方向に直交する幅方向の両側から挟持して幅方向の位置決めを行うアライメント部を備え、
前記ガイド部は、前記掴み部が掴んだ状態の前記フレームを前記幅方向の両側で載置する一対のレールを備え、
前記アライメント部は、前記一対のレールの外側から前記一対のレールに設けられる切り欠きを通って、前記一対のレールに載置されている前記フレームと接触することによって前記フレームを挟持するよう、前記ガイド部と別体で構成される、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の搬送装置。
前記搬送装置に含まれるアライメント部で、掴み部により搬送時の待機位置に移動された前記フレームを、前記フレームの移動方向に直交する幅方向の両側から挟持して幅方向の位置決めを行う、
請求項9に記載の搬送方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一の又は対応する構成には、同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。以下の説明において、X方向、Y方向、Z方向は互いに垂直な方向であり、X方向およびY方向は水平方向、Z方向は鉛直方向である。鉛直軸を回転中心とする回転方向をθ方向とも呼ぶ。本明細書において、下方とは鉛直方向下方を意味し、上方とは鉛直方向上方を意味する。
【0013】
[第1実施形態]
<基板処理システムによる処理前の基板>
図1は、第1実施形態による基板処理システムによる処理前の基板を示す斜視図である。基板10は、例えば半導体基板、サファイア基板などである。基板10の第1主表面11は格子状に形成された複数のストリートで区画され、区画される各領域には予め素子、回路、端子などが形成される。格子状に形成された複数のストリートに沿って基板10を分割することで、チップ13(
図2参照)が得られる。
【0014】
基板10の第1主表面11には、保護テープ14が貼合される。保護テープ14は、ダイシングや薄板化などの加工が行われる間、基板10の第1主表面11を保護して、第1主表面11に予め形成された素子、回路、端子などを保護する。
【0015】
保護テープ14は、シート基材と、シート基材の表面に塗布された粘着剤とで構成される。その粘着剤は、紫外線を照射すると硬化して、粘着力を低下するものであってよい。粘着力の低下後に、剥離操作によって簡単に保護テープ14を基板10から剥離できる。
【0016】
<基板処理システムによる処理後の基板>
図2は、第1実施形態による基板処理システムによる処理後の基板を示す斜視図である。基板10は、ダイシングされ薄板化されたうえで、粘着テープ18を介してフレーム19に装着される。尚、
図1に示す保護テープ14は、基板10から剥離され、除去される。
【0017】
粘着テープ18は、シート基材と、シート基材の表面に塗布された粘着剤とで構成される。粘着テープ18は、環状のフレーム19の開口部を覆うようにフレーム19に装着され、フレーム19の開口部において基板10と貼合される。これにより、フレーム19を保持して基板10を搬送でき、基板10のハンドリング性を向上できる。
【0018】
粘着テープ18と基板10との間には、
図2に示すようにDAF(Die Attach Film)15が設けられてもよい。DAF15は、ダイボンディング用の接着シートである。DAF15は、チップ13の積層などに用いられる。DAF15は、導電性、絶縁性のいずれでもよい。
【0019】
DAF15は、フレーム19の開口部よりも小さく形成され、フレーム19の内側に設けられる。DAF15は、基板10の第2主表面12の全体を覆う。尚、チップ13の積層が行われない場合、DAF15は不要であるので、基板10は粘着テープ18のみを介してフレーム19に装着されてよい。
【0020】
<基板処理システム>
図3は、第1実施形態による基板処理システムを示す平面図である。
図3において、
図11に示す第1保持部60、第2保持部70および第3保持部80のうち、第1保持部60のみを図示する。また、
図3において、搬入カセット35および搬出カセット45を破断して、搬入カセット35の内部および搬出カセット45の内部を図示する。
【0021】
基板処理システム1は、基板10のダイシング、基板10の薄板化、保護テープ14に対する紫外線照射、基板10のマウント、基板10からの保護テープ14の剥離、フレーム19に対するID貼付などの各種の処理を行う。
【0022】
基板処理システム1は、制御部20と、搬入部30と、搬出部40と、搬送路50と、搬送部58(搬送装置)と、各種の処理部とを備える。処理部としては、特に限定されないが、例えば、ダイシング部100、薄板化部200、紫外線照射部400、マウント部500、剥離部600およびID貼付部700が設けられる。
【0023】
制御部20は、例えばコンピュータで構成され、
図3に示すようにCPU(Central Processing Unit)21と、メモリなどの記憶媒体22と、入力インターフェース23と、出力インターフェース24とを有する。制御部20は、記憶媒体22に記憶されたプログラムをCPU21に実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御部20は、入力インターフェース23で外部からの信号を受信し、出力インターフェース24で外部に信号を送信する。
【0024】
制御部20のプログラムは、情報記憶媒体に記憶され、情報記憶媒体からインストールされる。情報記憶媒体としては、例えば、ハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどが挙げられる。尚、プログラムは、インターネットを介してサーバからダウンロードされ、インストールされてもよい。
【0025】
搬入部30は、処理前の基板10を収納した搬入カセット35が搬入されるものである。搬入カセット35は、例えば粘着テープ18を介してフレーム19に装着される前であって薄板化される前の基板10を、Z方向に間隔をおいて複数収納する。
【0026】
搬入カセット35は、複数枚の基板10をZ方向に間隔をおいて収納するため、水平に配置される一対の収納板36をZ方向に間隔をおいて複数有する。一対の収納板36は、
図3に示すように、基板10のY方向両端部を支持する。
【0027】
搬入部30は、搬入カセット35が載置される載置板31を備える。載置板31は、Y方向に一列に複数設けられる。尚、載置板31の個数は、図示のものに限定されない。
【0028】
搬出部40は、処理後の基板10を収納した搬出カセット45が搬出されるものである。搬出カセット45は、例えば粘着テープ18を介してフレーム19に装着された後であって薄板化された後の基板10を、Z方向に間隔をおいて複数収納する。
【0029】
搬出カセット45は、複数枚の基板10をZ方向に間隔をおいて収納するため、水平に配置される一対の収納板46をZ方向に間隔をおいて複数有する。一対の収納板46は、
図3に示すように、フレーム19のY方向両端部を支持する。
【0030】
搬出部40は、搬出カセット45が載置される載置板41を備える。載置板41は、Y方向に一列に複数設けられる。尚、載置板41の個数は、図示のものに限定されない。
【0031】
搬送路50は、搬送部58が搬入部30、搬出部40および複数の処理部に対し基板10を搬送する通路であり、例えばY方向に延びている。搬送路50にはY方向に延びるY軸ガイド51が設けられ、Y軸ガイド51に沿ってY軸スライダ52が移動自在とされる。
【0032】
搬送部58は、基板10を保持すると共に搬送路50に沿って移動し、搬入部30、搬出部40および複数の処理部に対し基板10を受け渡す。搬送部58は、搬送基体としてのY軸スライダ52などを含む。
【0033】
搬入部30、搬出部40および複数の処理部は、搬送路50に隣接して設けられる。例えば、搬送路50はY方向に延在し、搬送路50のX方向片側に搬入部30と搬出部40が隣接して設けられ、搬送路50のX方向反対側にダイシング部100、薄板化部200、紫外線照射部400、マウント部500および剥離部600が隣接して設けられる。また、搬送路50のY方向片側には、ID貼付部700が隣接して設けられる。
【0034】
本実施形態によれば、搬入部30および複数の処理部は、搬送路50に隣接して設けられる。そのため、搬送部58は、搬入部30および複数の処理部に対し基板10を受け渡すことができる。これにより、搬送部58を多機能化して、搬送部58の仕事量を増やすことができ、搬送部58の稼働率を改善できる。
【0035】
また、本実施形態によれば、搬出部40も搬送路50に隣接して設けられる。そのため、搬送部58は、搬出部40に対し基板10を引き渡すことができる。これにより、搬送部58をさらに多機能化して、搬送部58の仕事量をさらに増やすことができ、搬送部58の稼働率をさらに改善できる。また、複数の処理部と搬出部40とが搬送路50に隣接して設けられるため、一の処理部で基板10に異常が生じた場合に、異常が生じた基板10を他の処理部に搬送することなく搬出部40に速やかに搬送できる。
【0036】
尚、処理部の配置や個数は、
図3に示す配置や個数に限定されず、任意に選択可能である。また、複数の処理部は、任意の単位で、分散または統合して配置してもよい。以下、各処理部について説明する。
【0037】
<ダイシング部>
図4は、第1実施形態によるダイシング部を示す図である。ダイシング部100は、基板10のダイシングを行う。本明細書において、基板10のダイシングとは、基板10を複数のチップ13に分割するための加工を意味し、基板10を分割すること、基板10に分割の起点を形成することを含む。ダイシング部100は、例えば、ダイシングテーブル110と、基板加工部120と、移動機構部130とを有する。
【0038】
ダイシングテーブル110は、保護テープ14を介して基板10を保持する。例えば、ダイシングテーブル110は、基板10の第2主表面12を上に向けて、基板10を水平に保持する。ダイシングテーブル110としては、例えば真空チャックが用いられるが、静電チャックなどが用いられてもよい。
【0039】
基板加工部120は、例えばダイシングテーブル110で保持されている基板10のダイシングを行う。基板加工部120は、例えばレーザ発振器121と、レーザ発振器121からのレーザ光線を基板10に照射する光学系122とを有する。光学系122は、レーザ発振器121からのレーザ光線を基板10に向けて集光する集光レンズなどで構成される。
【0040】
移動機構部130は、ダイシングテーブル110と基板加工部120とを相対的に移動させる。移動機構部130は、例えばダイシングテーブル110をX方向、Y方向、Z方向およびθ方向に移動させるXYZθステージ等で構成される。
【0041】
制御部20は、基板加工部120および移動機構部130を制御して、基板10のストリートに沿って基板10のダイシングを行う。
図4に示すように基板10の内部に破断の起点となる改質層2を形成してもよいし、基板10のレーザ照射面(例えば
図4では上面)にレーザ加工溝を形成してもよい。レーザ加工溝は、基板10を板厚方向に貫通してもよいし貫通しなくてもよい。
【0042】
基板10の内部に改質層2を形成する場合、基板10に対し透過性を有するレーザ光線が用いられる。改質層2は、例えば基板10の内部を局所的に溶融、固化させることにより形成される。一方、基板10のレーザ照射面にレーザ加工溝を形成する場合、基板10に対し吸収性を有するレーザ光線が用いられる。
【0043】
尚、基板加工部120は、本実施形態ではレーザ光線を基板10に照射するレーザ発振器121を有するが、基板10を切削する切削ブレードを有してもよいし、基板10の表面にスクライブ溝を形成するスクラバーを有してもよい。
【0044】
尚、ダイシング部100は、本実施形態では基板処理システム1の一部として設けられるが、基板処理システム1の外部に設けられてもよい。この場合、基板10は、ダイシングされたうえで、外部から搬入部30に搬入され、搬入部30において搬入カセット35から取り出され、ダイシング部100の代わりに、薄板化部200に搬送される。
【0045】
<薄板化部>
薄板化部200(
図3参照)は、ダイシングされた基板10の保護テープ14で保護されている第1主表面11とは反対側の第2主表面12を加工することにより、基板10を薄板化する。
【0046】
ダイシング部100で分割の起点を形成する場合、薄板化部200で基板10に加工応力が作用することにより、分割の起点から板厚方向にクラックが進展し、基板10が複数のチップ13に分割される。
【0047】
また、ダイシング部100で基板10の内部に改質層2を形成する場合、薄板化部200で基板10を薄板化することにより、改質層2が除去される。
【0048】
薄板化部200は、例えば
図3に示すように、回転テーブル201と、チャックテーブル202と、粗研削部210と、仕上げ研削部220と、ダメージ層除去部230とを有する。
【0049】
回転テーブル201は、回転テーブル201の中心線を中心に回転させられる。回転テーブル201の回転中心線の周りには、複数(例えば
図3では4つ)のチャックテーブル202が等間隔で配設される。
【0050】
複数のチャックテーブル202は、回転テーブル201と共に、回転テーブル201の中心線を中心に回転する。回転テーブル201の中心線は、鉛直とされる。回転テーブル201が回転する度に、粗研削部210、仕上げ研削部220およびダメージ層除去部230と向かい合うチャックテーブル202が変更される。
【0051】
各チャックテーブル202は、保護テープ14を介して基板10を保持する。チャックテーブル202は、基板10の第2主表面12を上に向けて、基板10を水平に保持する。チャックテーブル202としては、例えば真空チャックが用いられるが、静電チャックなどが用いられてもよい。
【0052】
図5は、第1実施形態による薄板化部の粗研削部を示す図である。粗研削部210は、基板10の粗研削を行う。粗研削部210は、例えば
図5に示すように、回転砥石211を有する。回転砥石211は、その中心線を中心に回転させられると共に下降され、チャックテーブル202で保持されている基板10の上面(つまり第2主表面12)を加工する。
【0053】
仕上げ研削部220は、基板10の仕上げ研削を行う。仕上げ研削部220の構成は、粗研削部210の構成とほぼ同様である。但し、仕上げ研削部220の回転砥石の砥粒の平均粒径は、粗研削部210の回転砥石の砥粒の平均粒径よりも小さい。
【0054】
ダメージ層除去部230は、粗研削や仕上げ研削などの研削によって基板10の第2主表面12に形成されたダメージ層を除去する。例えば、ダメージ層除去部230は、基板10に対して処理液を供給してウェットエッチング処理を行い、ダメージ層を除去する。尚、ダメージ層の除去方法は特に限定されない。
【0055】
尚、薄板化部200は、基板10の研磨を行う研磨部を有してもよい。研磨部の構成は、粗研削部210の構成とほぼ同様である。基板10の研磨としては、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)などが挙げられる。また、薄板化部200は、不純物を捕獲するゲッタリングサイト(例えば結晶欠陥や歪み)を形成するゲッタリング部を有してもよい。チャックテーブル202の数は、
図3では4つであるが、加工の種類の数に応じて適宜変更される。また、一の加工部(例えばダメージ層除去部230)が、複数種類の加工(例えばダメージ層除去とゲッタリングサイト形成)を行ってもよい。
【0056】
<紫外線照射部>
図6は、第1実施形態による紫外線照射部を示す図である。紫外線照射部400は、保護テープ14に紫外線を照射する。保護テープ14の粘着剤を紫外線の照射によって硬化でき、保護テープ14の粘着力を低下できる。粘着力の低下後に、剥離操作によって簡単に保護テープ14を基板10から剥離できる。
【0057】
紫外線照射部400は、保護テープ14で保護された基板10が搬入される筐体の内部に、UVランプ410を有する。UVランプ410は、保護テープ14を基準として基板10とは反対側から、保護テープ14に紫外線を照射する。
【0058】
<マウント部>
図7は、第1実施形態によるマウント部を示す図である。
図7において、二点鎖線は粘着テープ18およびDAF15のマウント後の状態を示す。マウント部500は、ダイシングされ薄板化された基板10を、粘着テープ18を介してフレーム19に装着する。粘着テープ18は、環状のフレーム19の開口部を覆うようにフレーム19に装着され、フレーム19の開口部において基板10と貼合される。
【0059】
マウント部500は、ダイシングされ薄板化された基板10を、粘着テープ18のみを介してフレーム19に装着してもよいが、
図7では予め積層された粘着テープ18およびDAF15を介してフレーム19に装着する。DAF15は、フレーム19の開口部よりも小さく形成され、フレーム19の内側に設けられる。DAF15は、基板10の第2主表面12の全体を覆う。
【0060】
マウント部500は、例えば、基板10およびフレーム19を保持するマウントテーブル510と、マウントテーブル510で保持されているフレーム19に対し粘着テープ18を介して基板10を装着する貼合部520とを有する。
【0061】
マウントテーブル510は、フレーム19と、フレーム19の開口部に配される基板10とを平行に保持する。フレーム19および基板10は、水平に保持されてよい。フレーム19の上面と基板10の上面とは、DAF15の厚さと同程度の高低差を有してよい。尚、DAF15が用いられない場合、フレーム19の上面と基板10の上面とは同一平面上に配されてよい。
【0062】
貼合部520は、例えばラミネート用ローラで構成される。
【0063】
粘着テープ18などは、芯に巻き取られた状態で供給され、芯から引き出して使用される。粘着テープ18は、張力によってラミネート用ローラに抱き付きながらラミネート用ローラと基板10との間を通過し、基板10に積層される。また、粘着テープ18は、張力によってラミネート用ローラに抱き付きながらラミネート用ローラとフレーム19との間を通過し、フレーム19に積層される。
【0064】
マウント部500は、
図7に示すように、粘着テープ18を、フレーム19の一端側から他端側に向けて順次、フレーム19および基板10と貼合させる。これにより、空気の噛み込みなどを抑制できる。また、粘着テープ18を基板10と貼合させる間、基板10平坦に保持するため、基板10の破損を抑制できる。
【0065】
<剥離部>
図8は、第1実施形態による剥離部を示す図である。
図8において、二点鎖線は保護テープ14の剥離前の状態を示す。剥離部600は、粘着テープ18を介してフレーム19に装着された基板10から、保護テープ14を剥離する。不要になった保護テープ14を除去できる。剥離部600は、例えば剥離テーブル610と、剥離用ローラ620とを有する。
【0066】
保護テープ14は、張力によって剥離用ローラ620に抱き付きながら剥離用ローラ620と基板10との間を通過し、基板10から剥離される。この間、剥離テーブル610は、粘着テープ18などを介して基板10およびフレーム19を平坦に保持する。基板10から剥離された保護テープ14は、不図示の巻取芯に巻き取られる。
【0067】
剥離部600は、
図8に示すように、保護テープ14を、基板10の一端側から他端側に向けて順次変形させながら、基板10から剥離する。これにより、保護テープ14と基板10とを円滑に剥離できる。また、保護テープ14と基板10とを剥離する間、基板10を平坦に保持するため、基板10の破損を抑制できる。
【0068】
尚、剥離部600は、保護テープ14と基板10とを平行に剥離してもよい。
【0069】
<ID貼付部>
図9は、第1実施形態によるID貼付部を示す図である。ID貼付部700は、基板10に予め形成された識別情報16(
図2参照)を読み取り、読み取った識別情報16をラベル17(
図2参照)に印刷し、印刷したラベル17をフレーム19に貼付する。識別情報16は、基板10を識別する情報であって、数字や文字、記号、1次元コード、2次元コードなどで表される。
【0070】
ID貼付部700は、例えば、ID貼付テーブル710と、読取装置720と、ラベル印刷装置730とを有する。ID貼付テーブル710は、粘着テープ18などを介して基板10およびフレーム19を保持する。読取装置720は、基板10に予め形成された識別情報16を読み取る。ラベル印刷装置730は、読取装置720で読み取った識別情報16をラベル17に印刷し、印刷したラベル17をラミネータなどでフレーム19に貼付する。
【0071】
<基板処理方法>
次に、上記構成の基板処理システム1を用いた基板処理方法について説明する。
図10は、第1実施形態による基板処理方法のフローチャートである。
【0072】
図10に示すように基板処理方法は、搬入工程S101と、ダイシング工程S102と、薄板化工程S103と、紫外線照射工程S104と、マウント工程S105と、剥離工程S106と、ID貼付工程S107と、搬出工程S108とを有する。これらの工程は、制御部20による制御下で実施される。尚、これらの工程の順序は、
図10に示す順序には限定されない。
【0073】
搬入工程S101では、搬送部58が、搬入部30に置かれた搬入カセット35から基板10を取り出し、取出した基板10をダイシング部100に搬送する。
【0074】
ダイシング工程S102では、
図4に示すように、ダイシング部100が、基板10のダイシングを行う。基板10のダイシングが行われる間、基板10の第1主表面11は保護テープ14で保護される。ダイシング部100においてダイシングされた基板10は、搬送部58によって薄板化部200に搬送される。
【0075】
薄板化工程S103では、
図5に示すように、薄板化部200が、基板10の第2主表面12を加工することにより、基板10を薄板化する。基板10の薄板化が行われる間、基板10の第1主表面11は保護テープ14で保護される。薄板化部200において薄板化された基板10は、搬送部58によって紫外線照射部400に搬送される。
【0076】
紫外線照射工程S104では、
図6に示すように、紫外線照射部400が、保護テープ14に紫外線を照射する。保護テープ14の粘着剤を紫外線の照射によって硬化でき、保護テープ14の粘着力を低下できる。粘着力の低下後に、剥離操作によって簡単に保護テープ14を基板10から剥離できる。
【0077】
紫外線照射工程S104は、マウント工程S105の後に行われてもよいが、本実施形態ではマウント工程S105の前に行われる。これにより、マウント工程S105で基板10と貼合される粘着テープ18の紫外線照射による劣化を防止できる。紫外線照射部400において紫外線照射された保護テープ14が付いた基板10は、搬送部58によってマウント部500に搬送される。
【0078】
マウント工程S105では、
図7に示すように、マウント部500が、ダイシングされ薄板化された基板10を、粘着テープ18を介してフレーム19に装着する。マウント部500は、ダイシングされ薄板化された基板10を、粘着テープ18のみを介してフレーム19に装着してもよいが、本実施形態では予め積層された粘着テープ18およびDAF15を介してフレーム19に装着する。マウント部500において粘着テープ18を介してフレーム19に装着された基板10は、搬送部58によって剥離部600に搬送される。
【0079】
剥離工程S106では、
図8に示すように、剥離部600が、マウント部500によって粘着テープ18を介してフレーム19に装着された基板10から、保護テープ14を剥離する。不要になった保護テープ14を除去できる。剥離部600において保護テープ14が剥離された基板10は、搬送部58によってID貼付部700に搬送される。
【0080】
ID貼付工程S107では、
図9に示すように、ID貼付部700が、基板10に予め形成された識別情報16(
図2参照)を読み取り、読み取った識別情報16をラベル17(
図2参照)に印刷し、印刷したラベル17をフレーム19に貼付する。
【0081】
搬出工程S108では、搬送部58が、ID貼付部700から搬出部40に基板10を搬送し、搬出部40において搬出カセット45の内部に基板10を収納する。搬出カセット45は、搬出部40から外部に搬出される。搬出カセット45と共に外部に搬出された基板10は、チップ13ごとにピックアップされる。このようにして、チップ13が製造される。
【0082】
<搬送部>
図11は、第1実施形態による搬送部に備えられる第1保持部、第2保持部、および第3保持部を示す斜視図である。
図11において、第1保持部60および第3保持部80で保持される基板10の概形、および第3保持部で保持されるフレーム19の概形を破線で示す。
【0083】
搬送部58は、第1保持部60、第2保持部70および第3保持部80を有する。第1保持部60は、搬入部30から一の処理部(例えばダイシング部100)へ基板10を搬送するときに基板10を保持する。第2保持部70は、一の処理部(例えばダイシング部100)から他の一の処理部(例えば薄板化部200)へ基板10を搬送するときに基板10を保持する。第3保持部80は、一の処理部(例えばID貼付部700)から搬出部40へ基板10を搬送するときに基板10を保持する。
【0084】
第1保持部60、第2保持部70および第3保持部80は、例えば、
図11に示すようにZ方向に間隔をおいて設けられ、搬送路50に沿ってY方向に同時に移動される。第1保持部60、第2保持部70および第3保持部80は、Y方向、Z方向およびθ方向には同時に移動されてよく、X方向には独立に移動されてよい。以下、第1保持部60、第2保持部70および第3保持部80について説明する。
【0085】
<第1保持部>
先ず、第1保持部60について
図11および
図12を参照して説明する。
図12は、第1実施形態による搬送部が処理前の基板を搬入カセットから取り出す動作を示す平面図である。
【0086】
搬送部58は、
図12に示すように、搬送路50に沿って移動する搬送基体としてのY軸スライダ52と、Y軸スライダ52と共にY方向に移動する第1保持部60とを有する。搬送部58は、Y軸スライダ52に対し第1保持部60をX方向、Z方向およびθ方向に移動させる。
【0087】
例えばY軸スライダ52には、Z軸ガイド53が固定される。Z軸ガイド53に沿って移動されるZ軸スライダ54には、回転板55が回転可能に設けられる。回転板55にはX軸ガイド56が設けられ、X軸ガイド56に沿って第1保持部60が移動可能とされる。
【0088】
尚、X軸ガイド56は、基本的に第1保持部60をX方向に案内するが、回転板55と共に回転することで、第1保持部60をX方向とは異なる方向(例えばY方向)にも案内できる。
【0089】
第1保持部60は、例えば、搬入部30に置かれた搬入カセット35から基板10を取り出し、搬入部30から最初の処理部(例えばダイシング部100)に基板10を搬送するときに、基板10を保持する。尚、ダイシング部100が基板処理システム1の外部に設けられ、予めダイシングされた基板10が搬入カセット35に収容される場合、最初の処理部は薄板化部200であってもよい。
【0090】
第1保持部60は、基板10を吸着する吸着部63を有する。吸着部63は例えば吸引孔を有し、その吸引孔のガスは例えば真空ポンプなどの吸引源で吸引される。吸引源を作動させて吸着部63に負圧を生じさせることで、吸着部63が基板10を真空吸着する。一方、吸引源の作動を停止させ吸着部63の吸引孔を大気開放することで、吸着部63が基板10の真空吸着を解除する。真空吸着の解除時に、吸着部63に正圧を生じさせてもよい。本明細書において、負圧とは大気圧よりも低い圧力のことであり、正圧とは大気圧よりも高い圧力のことである。
【0091】
第1保持部60は、例えば、基端部から先端部にかけて二股に分岐した板状に形成され、基端部および2つの先端部のそれぞれに吸着部63を有してよい。尚、吸着部63の数は、3つには限定されず、1つ、2つ、4つ以上でもよい。
【0092】
搬送部58は、処理前の基板10を搬入カセット35から取り出すとき、先ず、第1保持部60を
図12に二点鎖線で示す位置から
図12に実線で示す位置に移動させ、基板10を第1保持部60で保持する。その後、搬送部58は、第1保持部60を
図12に二点鎖線で示す位置に戻す。
【0093】
次に、
図12を再度参照して、処理前の基板10を搬入カセット35から取り出すときの搬送部58の動作について詳しく説明する。
【0094】
先ず、搬送部58は、搬入カセット35に対する第1保持部60のZ方向位置を調整したうえで、第1保持部60を
図12に二点鎖線で示す位置から
図12に実線位置で示す位置にX方向に移動させる。これにより、第1保持部60は、搬入カセット35の内部においてZ方向に並ぶ複数の基板10の間に挿入される。
【0095】
次いで、搬送部58は、搬入カセット35の内部に挿入された第1保持部60を上方に移動させて一対の収納板36の間に差し込み、基板10を第1保持部60で保持する。そのため、第1保持部60の幅Y1は一対の収納板36の間隔Y2よりも狭く設定される。一対の収納板36の間隔Y2は基板10の主表面(例えば第2主表面12)の直径よりも狭いため、基板10の主表面の直径よりも第1保持部60の幅Y1は狭く設定される。
【0096】
次いで、搬送部58は、第1保持部60を
図12に実線で示す位置から
図12に二点鎖線で示す位置までX方向に移動させる。これにより、第1保持部60が搬入カセット35から引き抜かれ、搬入カセット35から基板10が取り出される。搬入カセット35から取り出された基板10は、第1保持部60で保持されながら、搬入部30から最初の処理部(例えばダイシング部100)に搬送される。
【0097】
ところで、搬入カセット35は、保護テープ14の捲れなどの変形を抑制するため、保護テープ14を上に向けて基板10を水平に収納する。一方、ダイシング部100や薄板化部200は、保護テープ14ではなく基板10を加工するため、保護テープ14を下に向けて基板10を水平に保持する。
【0098】
そこで、搬送部58は、搬入部30から一の処理部(例えばダイシング部100または薄板化部200)に基板10を搬送する間に基板10を上下反転できるように、第1保持部60で水平に保持されている基板10を上下反転させる反転部65を有する。反転部65は、例えばモータ66と、モータ66の回転運動を第1保持部60に伝達するタイミングベルトとで構成される。反転部65は、例えばX方向に延びる回転軸を中心に第1保持部60を180°回転させることにより、第1保持部60で水平に保持されている基板10を上下反転させる。
【0099】
第1保持部60は、基板10を上下反転させるときに基板10を安定して保持できるように、基板10を吸着する吸着部63を複数(例えば3つ)有してよい。尚、第1保持部60は、本実施形態では基板10を真空吸着するが、静電吸着してもよい。
【0100】
尚、第1保持部60は、本実施形態では搬入部30から最初の処理部(例えばダイシング部100)への基板10の搬送のみに用いられるが、これに加えて、ダイシング部100から薄板化部200への基板10の搬送にも用いられてもよい。このように、第1保持部60は、一の処理部から他の一の処理部への基板10の搬送にも用いられてもよい。
【0101】
<第2保持部>
次に、第2保持部70について
図11および
図13を参照して説明する。
図13は、第1実施形態による搬送部が第2保持部を洗浄部に出し入れする動作を示す平面図である。
【0102】
搬送部58は、
図13に示すように、搬送路50に沿って移動する搬送基体としてのY軸スライダ52と、Y軸スライダ52と共にY方向に移動する第2保持部70とを有する。搬送部58は、Y軸スライダ52に対し第2保持部70をX方向、Z方向およびθ方向に移動させる。
【0103】
例えばY軸スライダ52には、Z軸ガイド53が固定される。Z軸ガイド53に沿って移動されるZ軸スライダ54には、回転板55が回転可能に設けられる。回転板55にはX軸ガイド56が設けられ、X軸ガイド56に沿って第2保持部70が第1保持部60とは独立に移動可能とされる。
【0104】
尚、X軸ガイド56は、基本的に第2保持部70をX方向に案内するが、回転板55と共に回転することで、第2保持部70をX方向とは異なる方向(例えばY方向)にも案内できる。
【0105】
第1保持部60と第2保持部70とは、同一のY軸スライダ52に取り付けられる。これにより、第1保持部60と第2保持部70の中から、基板10の処理段階に適したものを選択的に使用して基板10を保持できる。
【0106】
第2保持部70は、例えば、ダイシング部100から薄板化部200や紫外線照射部400を経由してマウント部500に基板10を搬送するときに、基板10を保持する。第2保持部70は、ダイシングや薄板化などの加工によって強度が低下した基板10を保持する。
【0107】
第2保持部70は、基板10の変形や破損を抑制するため、基板10の主表面(例えば第1主表面11)よりも大きい吸着面71(
図14参照)を有する。基板10の第1主表面11の全体を平坦に保持でき、基板10の変形や破損を抑制できる。
【0108】
図14は、第1実施形態による第2保持部を示す斜視図である。
図14において、第2保持部70で保持される基板10の概形を破線で示す。
図15は、第1実施形態による第2保持部を分解して示す斜視図である。
【0109】
図14および
図15に示すように、第2保持部70は、例えばポーラスチャックで構成される。第2保持部70は、円盤状の多孔質体72と、多孔質体72と接触する面に同心円状の吸引溝および放射状の吸引溝が形成される円盤73と、多孔質体72および円盤73を収納する基台74とを有する。
【0110】
基台74は、円盤73の吸引溝を介して多孔質体72と連通する吸引孔75を有し、その吸引孔のガスは例えば真空ポンプなどの吸引源で吸引される。吸引源を作動させて多孔質体72に負圧を生じさせることで、多孔質体72が基板10を真空吸着する。一方、吸引源の作動を停止させ多孔質体72を大気開放することで、多孔質体72が基板10の真空吸着を解除する。真空吸着の解除時に、多孔質体72に正圧を生じさせてもよい。
【0111】
尚、第2保持部70は、本実施形態では基板10を真空吸着するが、静電吸着してもよい。
【0112】
ところで、第2保持部70は、薄板化部200で薄板化された基板10を保持する。そのため、基板10の薄板化で生じる加工屑が第2保持部70に付くことがある。
【0113】
基板処理システム1は、第2保持部70による基板10の保持を解除した後、第2保持部70に付いた加工屑を除去するため、第2保持部70を洗浄する洗浄部800(
図3および
図13参照)を備える。洗浄部800は、搬送路50に隣接して設けられ、例えば搬送路50を基準として搬入部30や搬出部40と同じ側に設けられる。
【0114】
搬送部58は、第2保持部70を洗浄部800で洗浄するとき、第2保持部70を
図13に二点鎖線で示す位置から
図13に実線で示す位置に移動させ、洗浄部800で第2保持部70を洗浄する。その後、搬送部58は、洗浄部800で洗浄された第2保持部70を、
図13に二点鎖線で示す位置に戻す。
【0115】
図16は、第1実施形態による洗浄部を示す図である。洗浄部800は、第2保持部70と接触するブラシ810を有する。ブラシ810は、
図16ではロールブラシであるが、ディスクブラシであってもよい。
【0116】
ブラシ810は、水などの洗浄液を供給するノズルを有する。尚、ノズルは、ブラシ810とは別に設けられ、ブラシ810に洗浄液を供給してもよい。ブラシ810に供給された洗浄液は、回収パン820で回収される。
【0117】
洗浄部800は、ブラシ810に洗浄液を供給しながら、
図16に矢印で示すようにブラシ810と第2保持部70とを相対的に移動させ、第2保持部70の吸着面71をブラシ810で洗浄する。これにより、吸着面71に付いた加工屑を除去できる。
【0118】
<第3保持部>
次に、第3保持部80について
図11および
図17を参照して説明する。
図17は、第1実施形態による搬送部が処理後の基板を搬出カセットに収納する動作を示す平面図である。
【0119】
搬送部58は、
図17に示すように、搬送路50に沿って移動する搬送基体としてのY軸スライダ52と、Y軸スライダ52と共にY方向に移動する第3保持部80とを有する。搬送部58は、Y軸スライダ52に対し第3保持部80をX方向、Z方向およびθ方向に移動させる。
【0120】
例えばY軸スライダ52には、Z軸ガイド53が固定される。Z軸ガイド53に沿って移動されるZ軸スライダ54には、回転板55が回転可能に設けられる。回転板55にはX軸ガイド56が設けられ、X軸ガイド56に沿って第3保持部80が第1保持部60および第2保持部70とは独立に移動可能とされる。
【0121】
尚、X軸ガイド56は、基本的に第3保持部80をX方向に案内するが、回転板55と共に回転することで、第3保持部80をX方向とは異なる方向(例えばY方向)にも案内できる。
【0122】
X軸ガイド56に沿って、第3保持部80の一部(後述の掴み部81)のみが移動可能とされてもよい。第3保持部80の残部(後述のガイド部85)は、X軸ガイド56に沿って移動可能とされてもよいし移動不能とされてもよい。
【0123】
第1保持部60と第2保持部70と第3保持部80とは、同一のY軸スライダ52に取り付けられる。これにより、第1保持部60と第2保持部70と第3保持部80の中から、基板10の処理段階に適したものを選択的に使用して基板10を保持できる。
【0124】
第3保持部80は、例えば、マウント部500から剥離部600やID貼付部700を経由して搬出部40に基板10を搬送するときに、基板10を保持する。第3保持部80は、粘着テープ18を介してフレーム19に装着された基板10を保持する。
【0125】
第3保持部80は、フレーム19を保持することにより、フレーム19に装着される粘着テープ18にフレーム19の開口部で貼合された基板10を保持する。ダイシングや薄板化などの加工が施された基板10の変形や破損を抑制できる。
【0126】
第3保持部80は、基板10が粘着テープ18を介して装着されたフレーム19を掴む掴み部81と、掴み部81で掴むフレーム19が載置されるガイド部85とを有する。ガイド部85は、掴み部81と共に搬送路50に沿って移動する。ガイド部85が固定されないため、搬送路50の広い範囲において、ガイド部85でフレーム19を支持でき、フレーム19の重力による撓み変形を抑制でき、基板10の変形を抑制できる。
【0127】
掴み部81は、例えばY方向に間隔おいて設けられる一対のガイド部85の間において、フレーム19のX方向端部を掴む。各ガイド部85は、L字状の断面形状を有し、フレーム19をX方向に案内するとき、フレーム19のZ方向下面およびフレーム19のY方向端面と接触する。
【0128】
搬送部58は、ガイド部85に対し掴み部81を移動させることにより、掴み部81で掴んだフレーム19をガイド部85に沿って移動させる移動機構部を有する。移動機構部は、例えば、X軸ガイド56と、X軸ガイド56に沿って掴み部81を移動させるモータとで構成される。
【0129】
搬送部58は、処理後の基板10を搬出カセット45に収納するとき、掴み部81を
図17に二点鎖線で示す位置から
図17に実線で示す位置に移動させ、掴み部81による基板10の保持を解除する。その後、搬送部58は、掴み部81を
図17に二点鎖線で示す位置に戻す。
【0130】
次に、
図17および
図18を参照して、処理後の基板10を搬出カセット45に収納するときの搬送部58の動作について詳しく説明する。
図18は、第1実施形態による搬送部が処理後の基板を搬出カセットに収納する動作を示す断面図である。
【0131】
先ず、搬送部58は、搬出カセット45の外部で第3保持部80のZ方向位置を調整して、ガイド部85のフレーム19が載置される載置面86を、搬出カセット45の収納板46のZ方向上面に対し略同一水平面上に配する。ガイド部85の載置面86には、粘着テープ18を介してフレーム19が載置されてよい。
【0132】
次いで、搬送部58は、ガイド部85に対し掴み部81を
図17に二点鎖線で示す位置から
図17に実線で示す位置までX方向に移動させることにより、掴み部81で掴んだフレーム19をガイド部85に沿って移動させる。これにより、フレーム19がガイド部85から収納板46に載せ替えられ、基板10が搬出カセット45の内部に収納される。
【0133】
次いで、搬送部58は、掴み部81によるフレーム19の保持を解除すると共に、掴み部81を下方に移動させることで、掴み部81をフレーム19から分離する。その後、搬送部58は、掴み部81を
図17に実線で示す位置から
図17に二点鎖線で示す位置までX方向に移動させる。これにより、掴み部81が元の位置に戻り、処理後の基板10を搬出カセット45に収納する動作が終了する。
【0134】
ところで、本実施形態では、上述の如く、ガイド部85に対し掴み部81を移動させることにより、掴み部81で掴んだフレーム19をガイド部85に沿って移動させる。そのため、
図18に示すように、ガイド部85を搬出カセット45の外部に配置した状態で、搬出カセット45の内部にフレーム19を収納できる。このように、搬出カセット45の内部にガイド部85を挿入しないため、搬出カセット45の内部構造に関係なくガイド部85のZ方向寸法を設計できる。従って、ガイド部85の剛性を大きくでき、ガイド部85の重力による撓み変形を抑制できる。その結果、フレーム19の重力による撓み変形を抑制でき、基板10の変形を抑制できる。
【0135】
掴み部81は、例えば、ベース部82と、フレーム吸着部83と、フレームプッシュ部84とを有する。ベース部82は板状に形成され、ベース部82の上面にフレーム吸着部83とフレームプッシュ部84とが設けられる。
【0136】
フレーム吸着部83は例えば吸引孔を有し、その吸引孔のガスは例えば真空ポンプなどの吸引源で吸引される。吸引源を作動させてフレーム吸着部83に負圧を生じさせることで、フレーム吸着部83がフレーム19を真空吸着する。一方、吸引源の作動を停止させフレーム吸着部83の吸引孔を大気開放させることで、フレーム吸着部83がフレーム19の真空吸着を解除する。真空吸着の解除時に、フレーム吸着部83に正圧を生じさせてもよい。
【0137】
尚、フレーム吸着部83は、本実施形態ではフレーム19を真空吸着するが、静電吸着してもよい。
【0138】
フレーム吸着部83は、ゴムなどの弾性体であってよい。ガイド部85から収納板46にフレーム19を載せ替えるときに、ガイド部85と収納板46との段差を許容するようにフレーム吸着部83が弾性変形できる。最初に行われる第3保持部80のZ方向位置の調整における許容誤差を緩和できる。
【0139】
フレームプッシュ部84は、ガイド部85に対しフレーム19を移動させるときにフレーム19のX方向端部を押す。フレームプッシュ部84は、フレーム19をX方向に安定して押すことができるように、Y方向に間隔をおいて複数設けられてよい。
【0140】
尚、掴み部81は、本実施形態ではフレーム吸着部83とフレームプッシュ部84の両方を有するが、フレーム吸着部83とフレームプッシュ部84の少なくとも一方を有していれば、ガイド部85から収納板46にフレーム19を載せ替えることができる。
【0141】
また、掴み部81は、本実施形態では、フレーム19を下方から掴むが、フレーム19を上方から掴んでもよい。この場合、掴み部81とガイド部85とは、フレーム19を上下方向から挟んで保持する。
【0142】
[第1実施形態の第1変形例]
上記実施形態の搬送部58は、第1保持部60と第2保持部70とを常に同時に搬送路50に沿って移動させる。これに対し、本変形例の搬送部は、第1保持部60Aで第2保持部70を吸着しているときのみ、第1保持部60Aと第2保持部70とを搬送路50に沿って同時に移動させる。第1保持部60Aと第2保持部70とは、同一のY軸スライダ52に取り付けられる。以下、相違点について主に説明する。
【0143】
図19(a)は、第1変形例による第1保持部の表側を示す斜視図である。
図19(b)は、第1変形例による第1保持部の裏側を示す斜視図である。
図20(a)は、第1変形例による第1保持部の第3吸着部で吸着される基板を示す斜視図である。
図20(b)は、第1変形例による第1保持部の第1吸着部で吸着される第2保持部を示す斜視図である。
図21は、第1変形例による第1保持部の吸着力供給部を示す平面図である。
【0144】
第1保持部60Aは、
図19(b)に示すように、第2保持部70(
図20(b)参照)を分離可能に吸着する第1吸着部61Aと、第1吸着部61Aで吸着されている第2保持部70を介して基板10を吸着する第2吸着部62Aとを有する。これにより、第2保持部70を洗浄部800で洗浄する間、第2保持部70を第1保持部60Aから分離できる。そのため、第2保持部70の洗浄終了を待つことなく、第1保持部60Aを搬送路50に沿って移動でき、第1保持部60Aで保持されている基板10を搬入部30から一の処理部に搬送できる。尚、洗浄部800は、第2保持部70を、第1保持部60Aから受け取り、第1保持部60Aに引き渡す受渡部を有する。
【0145】
第1保持部60Aは、
図21に示すように、第1吸着部61Aおよび第2吸着部62Aに独立に吸着力を供給する吸着力供給部93Aを有する。これにより、第1保持部60Aに第2保持部70を吸着している状態で、第2保持部70に基板10を吸着したりその吸着を解除したりできる。
【0146】
吸着力供給部93Aは、例えば、第1吸着部61Aの吸引孔からガスを吸引することで第1吸着部61Aに負圧を生じさせる第1吸引路94Aと、第2吸着部62Aの吸引孔からガスを吸引することで第2吸着部62Aに負圧を生じさせる第2吸引路95Aとを別々に有する。第1吸引路94Aが第1吸着部61Aに負圧を生じさせることで、第1吸着部61Aが第2保持部70を真空吸着する。また、第2吸引路95Aが第2吸着部62Aに負圧を生じさせることで、第1吸着部61Aで真空吸着されている第2保持部70が基板10を真空吸着する。
【0147】
第1吸引路94Aは、第1リーク弁96Aなどが途中に設けられる第1配管を介して第1吸引源97Aと接続される。第1吸引源97Aとしては真空ポンプなどが用いられる。第1リーク弁96Aを閉じると共に第1吸引源97Aを作動させることにより、第1吸着部61Aに負圧が生じる。一方、第1リーク弁96Aを開くと共に第1吸引源97Aの作動を停止することにより、第1吸着部61Aに生じた負圧が解除される。尚、第1吸引源97Aの作動を停止すると共に、第1吸着部61Aに正圧を生じさせてもよい。
【0148】
第2吸引路95Aは、第2リーク弁98Aなどが途中に設けられる第2配管を介して第2吸引源99Aと接続される。第2吸引源99Aとしては真空ポンプなどが用いられる。第2リーク弁98Aを閉じると共に第2吸引源99Aを作動させることにより、第2吸着部62Aに負圧が生じる。一方、第2リーク弁98Aを開くと共に第2吸引源99Aの作動を停止することにより、第2吸着部62Aに生じた負圧が解除される。尚、第2吸引源99Aの作動を停止すると共に、第2吸着部62Aに正圧を生じさせてもよい。
【0149】
第1吸着部61Aが第2保持部70を吸着しているとき、第2吸着部62Aの吸引孔は第2保持部70の吸引孔75(
図14参照)と連通される。この状態で、第2吸着部62Aに負圧が生じると、第2保持部70の多孔質体72(
図14参照)に負圧が生じ、多孔質体72に基板10が真空吸着される。その後、第2吸着部62Aに生じた負圧が解除されると、基板10の真空吸着が解除される。
【0150】
ところで、第1保持部60Aは、搬入部30から一の処理部に基板10を搬送するとき、第1吸着部61Aで基板10を吸着してもよいが、本実施形態では第1吸着部61Aとは別に設けられる第3吸着部63A(
図19(a)参照)で基板10(
図20(a)参照)を吸着する。この場合、吸着力供給部93Aは、
図21に示すように、例えば、第3吸着部63Aの吸引孔からガスを吸引することで第3吸着部63Aに負圧を生じさせる第3吸引路67Aを有する。第3吸引路67Aが第3吸着部63Aに負圧を生じさせることで、第3吸着部63Aが基板10を真空吸着する。
【0151】
第3吸引路67Aは、第3リーク弁68Aなどが途中に設けられる第3配管を介して第3吸引源69Aと接続される。第3吸引源69Aとしては真空ポンプなどが用いられる。第3リーク弁68Aを閉じると共に第3吸引源69Aを作動させることにより、第3吸着部63Aに負圧が生じる。一方、第3リーク弁68Aを開くと共に第3吸引源69Aの作動を停止することにより、第3吸着部63Aに生じた負圧が解除される。尚、第3吸引源69Aの作動を停止すると共に、第3吸着部63Aに正圧を生じさせてもよい。
【0152】
本変形例の搬送部は、上記実施形態の搬送部58と同様に、搬入部30から一の処理部に基板10を搬送する間に基板10を上下反転できるように、第1保持部60Aで水平に保持されている基板10を上下反転させる反転部65(
図11参照)を有してよい。反転部65は、第1保持部60Aを介して、第2保持部70で水平に保持されている基板10を上下反転させてもよい。
【0153】
尚、第1吸着部61Aは、本実施形態では第2保持部70を真空吸着するが、静電吸着してもよい。同様に、第2吸着部62Aは、本実施形態では第1吸着部61Aで吸着されている第2保持部70を介して基板10を真空吸着するが、静電吸着してもよい。
【0154】
[第1実施形態の第2変形例]
上記第1変形例の搬送部は、Y軸スライダ52と共に移動する第1保持部60Aに対し、第2保持部70を分離可能に吸着する。これに対し、本変形例の搬送部は、Y軸スライダ52と共に移動する付替部90Bに対し、第1保持部60Bと第2保持部70を付け替え可能に吸着する。第1保持部60Bと第2保持部70とは、同一のY軸スライダ52に取り付けられる。以下、相違点について主に説明する。
【0155】
図22(a)は、第2変形例による付替部を示す斜視図である。
図22(b)は、第2変形例による付替部に吸着される第1保持部を示す斜視図である。
図23(a)は、第2変形例による付替部の吸引路を示す平面図である。
図23(b)は、第2変形例による付替部に吸着される第1保持部の吸引路を示す平面図である。
【0156】
付替部90Bは、
図22(a)に示すように、第1保持部60Bおよび第2保持部70を交換可能に吸着する第1吸着部91Bと、第1吸着部91Bで吸着されている第1保持部60Bまたは第2保持部70を介して基板10を吸着する第2吸着部92Bとを有する。これにより、第2保持部70を洗浄部800で洗浄する間、第2保持部70を付替部90Bから分離できる。そのため、第2保持部70の洗浄終了を待つことなく、付替部90Bに吸着した第1保持部60Bを搬送路50に沿って移動でき、第1保持部60Bで保持されている基板10を搬入部30から一の処理部に搬送できる。また、第1保持部60Bを洗浄部800で洗浄する間、第1保持部60Bを付替部90Bから分離できる。そのため、第1保持部60Bの洗浄終了を待つことなく、付替部90Bに吸着した第2保持部70を搬送路50に沿って移動でき、第2保持部70で保持されている基板10を一の処理部から他の一の処理部に搬送できる。尚、洗浄部800は、第1保持部60Bおよび第2保持部70を、付替部90Bから受け取り、付替部90Bに引き渡す受渡部を有する。
【0157】
付替部90Bは、第1吸着部91Bおよび第2吸着部92Bに独立に吸着力を供給する吸着力供給部93B(
図23(a)参照)を有する。これにより、付替部90Bに第1保持部60Bを吸着している状態で、第1保持部60Bに基板10を吸着したりその吸着を解除したりできる。また、付替部90Bに第2保持部70を吸着している状態で、第2保持部70に基板10を吸着したりその吸着を解除したりできる。
【0158】
吸着力供給部93Bは、例えば、第1吸着部91Bの吸引孔からガスを吸引することで第1吸着部91Bに負圧を生じさせる第1吸引路94Bと、第2吸着部92Bの吸引孔からガスを吸引することで第2吸着部92Bに負圧を生じさせる第2吸引路95Bとを別々に有する。第1吸引路94Bが第1吸着部91Bに負圧を生じさせることで、第1吸着部91Bが第1保持部60Bまたは第2保持部70を真空吸着する。また、第2吸引路95Bが第2吸着部92Bに負圧を生じさせることで、第1吸着部91Bで真空吸着されている第1保持部60Bまたは第2保持部70が基板10を真空吸着する。
【0159】
第1吸引路94Bは、第1リーク弁96Bなどが途中に設けられる第1配管を介して第1吸引源97Bと接続される。第1吸引源97Bとしては真空ポンプなどが用いられる。第1リーク弁96Bを閉じると共に第1吸引源97Bを作動させることにより、第1吸着部91Bに負圧が生じる。一方、第1リーク弁96Bを開くと共に第1吸引源97Bの作動を停止することにより、第1吸着部91Bに生じた負圧が解除される。尚、第1吸引源97Bの作動を停止すると共に、第1吸着部91Bに正圧を生じさせてもよい。
【0160】
第2吸引路95Bは、第2リーク弁98Bなどが途中に設けられる第2配管を介して第2吸引源99Bと接続される。第2吸引源99Bとしては真空ポンプなどが用いられる。第2リーク弁98Bを閉じると共に第2吸引源99Bを作動させることにより、第2吸着部92Bに負圧が生じる。一方、第2リーク弁98Bを開くと共に第2吸引源99Bの作動を停止することにより、第2吸着部92Bに生じた負圧が解除される。尚、第2吸引源99Bの作動を停止すると共に、第2吸着部92Bに正圧を生じさせてもよい。
【0161】
第1吸着部91Bが第1保持部60Bを吸着しているとき、第2吸着部92Bの吸引孔は第1保持部60Bの第3吸着部63B(
図23(b)参照)の吸引孔と連通される。この状態で、第2吸着部92Bに負圧が生じると、第3吸着部63Bに負圧が生じ、第3吸着部63Bに基板10が真空吸着される。その後、第2吸着部92Bに生じた負圧が解除されると、基板10の真空吸着が解除される。
【0162】
また、第1吸着部91Bが第2保持部70を吸着しているとき、第2吸着部92Bの吸引孔は第2保持部70の吸引孔75(
図14参照)と連通される。この状態で、第2吸着部92Bに負圧が生じると、第2保持部70の多孔質体72(
図14参照)に負圧が生じ、多孔質体72に基板10が真空吸着される。その後、第2吸着部92Bに生じた負圧が解除されると、基板10の真空吸着が解除される。
【0163】
本変形例の搬送部は、上記実施形態の搬送部58と同様に、搬入部30から一の処理部に基板10を搬送する間に基板10を上下反転できるように、第1保持部60Bで水平に保持されている基板10を上下反転させる反転部65(
図11参照)を有してよい。反転部65は、第2保持部70で水平に保持されている基板10を上下反転させてもよい。
【0164】
尚、第1吸着部91Bは、本実施形態では第1保持部60Bおよび第2保持部70を交換可能に真空吸着するが、静電吸着してもよい。同様に、第2吸着部92Bは、本実施形態では第1吸着部91Bで吸着されている第1保持部60Bまたは第2保持部70を介して基板10を真空吸着するが、静電吸着してもよい。
【0165】
[第1実施形態の第3変形例]
上記実施形態の搬送部58は、第1保持部60および第2保持部70が取り付けられるY軸スライダ52と、第3保持部80が取り付けられるY軸スライダ52とが同一である。上記第1変形例および上記第2変形例において同様である。これに対し、本変形例の搬送部58Cは、第1保持部60および第2保持部70が取り付けられるY軸スライダ52と、第3保持部80が取り付けられるY軸スライダ52とが異なる。以下、相違点について主に説明する。
【0166】
図24は、第3変形例による搬送部を備える基板処理システムを示す平面図である。
図24において、第1保持部60、第2保持部70および第3保持部80のうち、第1保持部60および第3保持部80のみを図示し、第2保持部70の図示を省略する。
【0167】
本変形例の搬送部58Cは、上記実施形態の搬送部58と同様に、第1保持部60、第2保持部70および第3保持部80を有する。
【0168】
第1保持部60と第2保持部70とは、同一のY軸スライダ52と共に移動する。これにより、第1保持部60と第2保持部70の中から、基板10の処理段階に適したものを選択的に使用して基板10を保持できる。尚、第1保持部60と第2保持部70とは、Y方向、Z方向およびθ方向には同時に移動されてよく、X方向には独立に移動されてよい。
【0169】
尚、第1保持部60と第2保持部70とは、同一のY軸スライダ52と共に移動すればよい。上記第1変形例と同様に、第1保持部60Aに対し第2保持部70を分離可能に吸着してもよい。また、上記第2変形例と同様に、付替部90Bに対し第1保持部60Bと第2保持部70を付け替え可能に吸着してもよい。
【0170】
ところで、第1保持部60および第2保持部70とはフレーム19に装着される前の基板10を保持するのに対し、第3保持部80はフレーム19に装着された後の基板10を保持する。そのため、第1保持部60および第2保持部70によって基板10を搬送する領域と、第3保持部80によって基板10を搬送する領域とは、マウント部500の近傍の領域を除き、異なる。
【0171】
そこで、本変形例の搬送部58Cは、上記実施形態の搬送部58とは異なり、第1保持部60および第2保持部70が取り付けられるY軸スライダ52と、第3保持部80が取り付けられるY軸スライダ52とが異なる。第1保持部60および第2保持部70と、第3保持部80とをY方向に独立に移動できるため、フレーム19に装着される前の基板10と、フレーム19に装着された後の基板10とを同時に搬送できる。
【0172】
[第2実施形態]
上記第1実施形態およびその変形例では、粘着テープ18を介してフレーム19に装着される前であって薄板化される前の基板10が搬入カセット35に収納される。本実施形態では、保護テープ14を介してフレーム19に装着された後であって薄板化される前の基板10が搬入カセット35Dに収納される。以下、相違点について主に説明する。
【0173】
<基板処理システムによる処理前の基板>
図25は、第2実施形態による基板処理システムによる処理前の基板を示す斜視図である。基板10の第1主表面11には、保護テープ14が貼合される。保護テープ14は、ダイシングや薄板化などの加工が行われる間、基板10の第1主表面11を保護して、第1主表面11に予め形成された素子、回路、端子などを保護する。
【0174】
保護テープ14は、環状のフレーム19の開口部を覆うようにフレーム19に装着され、フレーム19の開口部において基板10と貼合される。これにより、フレーム19を保持して基板10を搬送でき、基板10のハンドリング性を向上できる。
【0175】
<基板処理システムによる処理後の基板>
図26は、第2実施形態による基板処理システムによる処理後の基板を示す斜視図である。基板10は、ダイシングされ薄板化される。処理後の基板10は、複数のチップ13に分割されており、保護テープ14を介してフレーム19に装着されている。
【0176】
尚、処理後の基板10は、本実施形態では保護テープ14を介してフレーム19に装着されているが、上記第1実施形態およびその変形例と同様に、粘着テープ18(
図2参照)を介してフレーム19に装着されてもよい。
【0177】
粘着テープ18は、薄板化された基板10の第2主表面12に貼合される。粘着テープ18と基板10との間には、DAF15(
図2参照)が設けられてもよい。その後、基板10の第1主表面11から、保護テープ14が剥離される。
【0178】
粘着テープ18が装着されるフレーム19と、保護テープ14が装着されるフレーム19とは、同一のものでもよいし、異なるものでもよい。前者の場合、フレーム19の使用数を低減できる。前者の場合、薄板化の後にフレーム19を十分に洗浄し、加工屑を除去したうえで、フレーム19に粘着テープ18を装着する。一方、後者の場合、薄板化の後にフレーム19を洗浄する手間を削減できる。
【0179】
<基板処理システム>
図27は、第2実施形態による基板処理システムを示す平面図である。また、
図27において、搬入カセット35Dおよび搬出カセット45Dを破断して、搬入カセット35Dの内部および搬出カセット45Dの内部を図示する。
【0180】
基板処理システム1Dは、基板10のダイシング、基板10の薄板化などの各種の処理を行う。基板処理システム1Dは、制御部20と、搬入部30Dと、搬出部40Dと、搬送路50Dと、搬送部58Dと、各種の処理部とを備える。処理部としては、特に限定されないが、例えば、ダイシング部100Dおよび薄板化部200Dが設けられる。
【0181】
搬入部30Dは、処理前の基板10を収納した搬入カセット35Dが搬入されるものである。搬入カセット35Dは、保護テープ14を介してフレーム19に装着された後であって薄板化される前の基板10を、Z方向に間隔をおいて複数収納する。
【0182】
搬入カセット35Dは、複数枚の基板10をZ方向に間隔をおいて収納するため、水平に配置される一対の収納板36DをZ方向に間隔をおいて複数有する。一対の収納板36Dは、
図27に示すように、フレーム19のY方向両端部を支持する。
【0183】
搬入部30Dは、搬入カセット35Dが載置される載置板31Dを備える。載置板31Dは、Y方向に一列に複数設けられる。尚、載置板31Dの個数は、図示のものに限定されない。
【0184】
搬出部40Dは、処理後の基板10を収納した搬出カセット45Dが搬出されるものである。搬出カセット45Dは、保護テープ14を介してフレーム19に装着された後であって薄板化された後の基板10を、Z方向に間隔をおいて複数収納する。
【0185】
搬出カセット45Dは、複数枚の基板10をZ方向に間隔をおいて収納するため、水平に配置される一対の収納板46DをZ方向に間隔をおいて複数有する。一対の収納板46Dは、
図27に示すように、フレーム19のY方向両端部を支持する。
【0186】
搬出部40Dは、搬出カセット45Dが載置される載置板41Dを備える。載置板41Dは、Y方向に一列に複数設けられる。尚、載置板41Dの個数は、図示のものに限定されない。
【0187】
搬送路50Dは、搬送部58Dが搬入部30D、搬出部40Dおよび複数の処理部に対し基板10を搬送する通路であり、例えばY方向に延びている。搬送路50DにはY方向に延びるY軸ガイド51Dが設けられ、Y軸ガイド51Dに沿ってY軸スライダ52Dが移動自在とされる。
【0188】
搬送部58Dは、基板10を保持すると共に搬送路50Dに沿って移動し、搬入部30D、搬出部40Dおよび複数の処理部に対し基板10を受け渡す。搬送部58Dは、搬送基体としてのY軸スライダ52Dなどを含む。
【0189】
搬入部30D、搬出部40Dおよび複数の処理部は、搬送路50Dに隣接して設けられる。例えば、搬送路50DはY方向に延在し、搬送路50DのX方向片側に搬入部30Dと搬出部40Dが設けられ、搬送路50DのX方向反対側にダイシング部100Dおよび薄板化部200Dが設けられる。
【0190】
本実施形態によれば、搬入部30Dおよび複数の処理部は、搬送路50Dに隣接して設けられる。そのため、搬送部58Dは、搬入部30Dおよび複数の処理部に対し基板10を受け渡すことができる。これにより、搬送部58Dを多機能化して、搬送部58Dの仕事量を増やすことができ、搬送部58Dの稼働率を改善できる。
【0191】
また、本実施形態によれば、搬出部40Dも搬送路50Dに隣接して設けられる。そのため、搬送部58Dは、搬出部40Dに対し基板10を引き渡すことができる。これにより、搬送部58Dをさらに多機能化して、搬送部58Dの仕事量をさらに増やすことができ、搬送部58Dの稼働率をさらに改善できる。また、複数の処理部と搬出部40Dとが搬送路50Dに隣接して設けられるため、一の処理部で基板10に異常が生じた場合に、異常が生じた基板10を他の処理部に搬送することなく搬出部40Dに速やかに搬送できる。
【0192】
尚、処理部の配置や個数は、
図27に示す配置や個数に限定されず、任意に選択可能である。また、複数の処理部は、任意の単位で、分散または統合して配置してもよい。以下、各処理部について説明する。
【0193】
<ダイシング部>
図28は、第2実施形態によるダイシング部を示す図である。ダイシング部100Dは、基板10のダイシングを行う。ダイシング部100Dは、ダイシングテーブル110Dが
図28に示すように保護テープ14を介してフレーム19を保持する点を除き、上記第1実施形態のダイシング部100と同様に構成される。
【0194】
尚、ダイシング部100Dは、本実施形態では基板処理システム1Dの一部として設けられるが、基板処理システム1Dの外部に設けられてもよい。この場合、基板10は、ダイシングされたうえで、外部から搬入部30Dに搬入され、搬入部30Dにおいて搬入カセット35Dから取り出され、ダイシング部100Dの代わりに、薄板化部200Dに搬送される。
【0195】
<薄板化部>
薄板化部200D(
図27参照)は、ダイシングされた基板10の保護テープ14で保護されている第1主表面11とは反対側の第2主表面12を加工することにより、基板10を薄板化する。薄板化部200Dは、チャックテーブル202Dが
図29に示すように保護テープ14を介してフレーム19を保持する点を除き、上記第1実施形態の薄板化部200と同様に構成される。
【0196】
チャックテーブル202Dの吸着面(例えば
図29では上面)に対し垂直な方向から見たとき、フレーム19の外周はチャックテーブル202Dの吸着面よりも外側に配置される。チャックテーブル202Dの吸着面は、当該吸着面よりも大きいフレーム19に装着された保護テープ14で覆われる。これにより、チャックテーブル202Dの吸着面への加工屑などの異物の付着を抑制でき、異物を洗い流す洗浄の手間を削減でき、基板10を交換する時の手間を削減できる。
【0197】
<基板処理方法>
次に、上記構成の基板処理システム1Dを用いた基板処理方法について説明する。
図30は、第2実施形態による基板処理方法のフローチャートである。
【0198】
図30に示すように基板処理方法は、搬入工程S201と、ダイシング工程S202と、薄板化工程S203と、搬出工程S204とを有する。これらの工程は、制御部20による制御下で実施される。尚、これらの工程の順序は、
図30に示す順序には限定されない。
【0199】
搬入工程S201では、搬送部58Dが、搬入部30Dに置かれた搬入カセット35Dから基板10を取り出し、取出した基板10をダイシング部100Dに搬送する。
【0200】
ダイシング工程S202では、
図28に示すように、ダイシング部100Dが、基板10のダイシングを行う。基板10のダイシングが行われる間、基板10の第1主表面11は保護テープ14で保護される。ダイシング部100Dにおいてダイシングされた基板10は、搬送部58Dによって薄板化部200Dに搬送される。
【0201】
薄板化工程S203では、
図29に示すように、薄板化部200Dが、基板10の第2主表面12を加工することにより、基板10を薄板化する。基板10の薄板化が行われる間、基板10の第1主表面11は保護テープ14で保護される。
【0202】
搬出工程S204では、搬送部58Dが、薄板化部200Dから搬出部40Dに基板10を搬送し、搬出部40Dにおいて搬出カセット45Dの内部に基板10を収納する。搬出カセット45Dは、搬出部40Dから外部に搬出される。搬出カセット45Dと共に外部に搬出された基板10は、チップ13ごとにピックアップされる。このようにして、チップ13が製造される。
【0203】
<搬送部>
搬送部58Dは、
図11等に示す第1保持部60および第2保持部70が無い点を除き、上記第1実施形態の搬送部58と同様に構成される。搬送部58Dは、
図11等に示す第3保持部80と同一の構成を有する保持部80を有する。
【0204】
保持部80は、例えば、搬入部30Dからダイシング部100Dおよび薄板化部200Dを経由して搬出部40Dに基板10を搬送するときに、基板10を保持する。保持部80は、保護テープ14を介してフレーム19に装着された基板10を保持する。
【0205】
保持部80は、フレーム19を保持することにより、フレーム19に装着される保護テープ14にフレーム19の開口部で貼合された基板10を保持する。ダイシングや薄板化などの加工が施された基板10の変形や破損を抑制できる。
【0206】
保持部80は、基板10が保護テープ14を介して装着されたフレーム19を掴む掴み部81と、掴み部81で掴むフレーム19が載置されるガイド部85とを有する。ガイド部85は、掴み部81と共に搬送路50Dに沿って移動する。ガイド部85が固定されないため、搬送路50Dの広い範囲において、ガイド部85でフレーム19を支持でき、フレーム19の重力による撓み変形を抑制でき、基板10の変形を抑制できる。
【0207】
搬送部58Dは、ガイド部85に対し掴み部81を移動させることにより、掴み部81で掴んだフレーム19をガイド部85に沿って移動させる移動機構部を有する。そのため、ガイド部85を搬入カセット35Dの外部に配置した状態で、搬入カセット35Dの内部からフレーム19を取り出すことができる。また、ガイド部85を搬出カセット45Dの外部に配置した状態で、搬出カセット45Dの内部にフレーム19を収納できる。このように、搬入カセット35Dの内部や搬出カセット45Dの内部にガイド部85を挿入しないため、搬入カセット35Dの内部構造や搬出カセット45Dの内部構造に関係なくガイド部85のZ方向寸法を設計できる。従って、ガイド部85の剛性を大きくでき、ガイド部85の重力による撓み変形を抑制できる。その結果、フレーム19の重力による撓み変形を抑制でき、基板10の変形を抑制できる。
【0208】
次に、処理前の基板10を搬入カセット35Dから取り出すときの搬送部58Dの動作について説明する。処理後の基板10を搬出カセット45Dに収納するときの搬送部58Dの動作は、上記第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0209】
先ず、搬送部58Dは、搬入カセット35Dの外部で保持部80のZ方向位置を調整したうえで、ガイド部85に対し掴み部81をX方向に移動させることにより、掴み部81を搬入カセット35Dの内部に挿入させる。掴み部81は、搬入カセット35Dの内部においてZ方向に並ぶ複数のフレーム19の間に挿入される。
【0210】
次いで、搬送部58Dは、保持部80のZ方向位置を調整して、ガイド部85のフレーム19が載置される載置面86を、搬入カセット35Dの収納板36DのZ方向上面に対し略同一水平面上に配する。ガイド部85の載置面86には、保護テープ14を介してフレーム19が載置されてよい。このとき、搬送部58Dは、掴み部81によってフレーム19を掴む。
【0211】
次いで、搬送部58Dは、ガイド部85に対し掴み部81をX方向に移動させ、掴み部81を搬入カセット35Dの内部から引き抜く。これにより、フレーム19が収納板36Dからガイド部85に載せ替えられ、フレーム19および基板10が搬入カセット35Dの内部から取り出される。
【0212】
搬入カセット35Dや搬出カセット45Dに対し基板10を受け渡す搬送部58Dの動作と、各処理部に対し基板10を受け渡す搬送部58Dの動作とは同様である。そのため、後者の動作の説明は省略する。
【0213】
尚、本実施形態では、搬送部58Dは、保持部80を1つのみ有するが、複数有してもよい。複数の保持部80は、同一のY軸スライダ52Dに取り付けられてよい。一の処理部(例えばダイシング部100D)に基板10を引き渡すと同時に、同じ一の処理部(例えばダイシング部100D)から基板10を受け取ることができる。
【0214】
[第3実施形態]
図31〜
図48を参照して第3実施形態を説明する。
図31は、第3実施形態に係る第3保持部180の概略構成を示す図である。
図31の(a)は上方から視た平面図であり、(b)はY方向正側から視た側面図である。第3保持部180(掴み保持部)は、
図11や
図17を参照して説明した第1実施形態の第3保持部80の別形態であり、フレーム19を掴んで保持するなど、基本的な動作や機能は同様である。
【0215】
図31に示すように、第3保持部180は、一対のリニアガイド181と、掴み部182と、一対の補助レール部183(ガイド部)と、アライメント部184と、を有する。なお、これらの要素が取り付けられる第3保持部180の筐体は図示を省略している。
【0216】
一対のリニアガイド181は、それぞれX方向に延在し、平行に配置されている。一対のリニアガイド181は、掴み部182及び補助レール部183と連結し、これらをX方向に沿って移動自在とする。一対のリニアガイド181は、例えば第1実施形態に示した回転板55に固定される。
【0217】
掴み部182は、一対のリニアガイド181の間において、フレーム19のX方向端部を掴む。掴み部182は、一対のリニアガイド181に沿ってX方向に移動することにより、掴んだ状態のフレーム19をX方向に移動させることができる。
【0218】
掴み部182は、基部182Aと、一対の摺動部182Bと、クランプ部182Cとを有する。基部182Aは一対のリニアガイド181の間に配置される。一対の摺動部182Bは、基部182AのY方向両端に設置され、それぞれ一対のリニアガイド181の一方と他方に連結される。クランプ部182Cは、基部182AのX負方向側端部、かつ、Y方向の略中央部に設置される。クランプ部182Cは、例えばZ方向に対向配置される一対の板材であり、一対の板材のZ方向の間隔を変更することにより、フレーム19をクランプした状態と、クランプを解除した状態とを切り替えることができる。
【0219】
一対の補助レール部183は、一対のリニアガイド181の外側にそれぞれ配置され、掴み部182が掴んだ状態のフレーム19を載置する。また、補助レール部183は、掴み部182が掴んだ状態のフレーム19の移動をX方向に沿って案内する。
【0220】
一対の補助レール部183のそれぞれは、X方向に延在するレール183Aと、リニアガイド181と連結する摺動部183Bとを有する。レール183Aは、L字状の断面形状を有し、フレーム19をX方向に案内するとき、フレーム19のZ方向下面及びY方向端面と接触する。
【0221】
摺動部183Bは、レール183Aの略中間位置に設けられる。このため、補助レール部183は、Z方向から視たときに略T字状に形成されている。一対の補助レール部183は、摺動部183Bを介してリニアガイド181の一方と他方にそれぞれ連結され、リニアガイド181に沿って連動してX方向に移動可能となっている。補助レール部183の摺動部183Bは、掴み部182の摺動部182BよりX負方向側にて、リニアガイド181に連結されている。
【0222】
一対の補助レール部183は、掴み部182により第3保持部180がフレーム19を受け取る際、または、掴み部182により第3保持部180がフレーム19を送り出す際に、フレーム19を受け取るまたは送り出す相手側に進出可能に構成される。
【0223】
アライメント部184は、フレーム19の移動方向(X方向)に直交する幅方向(Y方向)の両側からフレーム19を挟持して幅方向の位置決めを行う。アライメント部184は、Y方向に対向する一対の板状部材184Aを有し、この板状部材184Aがフレーム19のY方向端部と接触可能となっている。また、アライメント部184は、一対の板状部材184Aを、フレーム19のY方向端部と接触する位置(
図31に示す位置)と、Y方向に沿って外側の位置(
図32参照)との間で移動可能に構成される。一対の板状部材184AのY方向の移動は、例えばシリンダなどの駆動部184Bにより連動して行うことができる。
【0224】
補助レール部183のレール183AのX方向中央部(T字形状の交点近傍)には、Y方向に窪む切り欠き183Cが形成されており、この部分ではレール183AのL字状断面のうち上方に立設する部分が無い。アライメント部184の板状部材184Aは、補助レール部183の切り欠き183CにてY方向の最内まで移動することにより、補助レール部183に載置されているフレーム19と接触可能となる。
【0225】
また、アライメント部184の板状部材184AがY方向外側の位置に移動することにより、板状部材184Aが補助レール部183のレール183AとX方向で重ならなくなるので、補助レール部183がX方向に移動可能となる。
【0226】
また、第3保持部180は、X方向負側の端部にて、一対のリニアガイド181の中間位置にフレーム19の有無を検知するセンサ185を有する。センサ185の直上にフレーム19が存在するとき、すなわちフレーム19が第3保持部180の所定位置に正常に収納されているときに、センサ185はフレーム19の存在を検知できる。
【0227】
第3保持部180は、第1実施形態の搬送部58と同様の駆動系を有し、掴み部182及び補助レール部183のX方向の移動の駆動源としている。
【0228】
次に
図32〜
図38を参照して、第3実施形態の第3保持部180によるフレーム19の受取動作を説明する。
図32〜
図38は、第3実施形態の第3保持部180によるフレーム19の受取動作の第1〜第7段階の各段階を示す図である。
図32〜
図38と、後述する
図39〜
図41では、
図31に図示した第3保持部180に加えて、第3保持部180がフレーム19を受け取る相手方装置(マウント部500や剥離部600)のレールRと、このレールRに載置されているフレーム19が図示されている。なお、各図の(b)では、レールRは点線で示している。
【0229】
図32に示す第3保持部180の初期位置では、掴み部182が相手方のレールRから最奥に配置され、クランプ部182Cは開状態となっている。補助レール部183は、摺動部183Bがアライメント部184と重なる位置にあり、アライメント部184の板状部材184Aは、レール183Aの切り欠き183Cの位置にあり、Y方向外側に開いて状態となっている。
図32では、第3保持部180は、相手方装置のレールRに載置されているフレーム19を受け取るべく、補助レール部183の延在方向が、相手方装置のレールRの延在方向と重なる位置に第3保持部180が配置される。
【0230】
まず、補助レール部183がX方向負側に前進して、レール183AのX方向負側の端部が相手方装置のレールRのX方向正側の端部と対向する(
図33)。このときレール183AとレールRは接触しなくてもよく、両者間をフレーム19がスムーズに移動できる程度の間隔をとっていればよい。
【0231】
次に掴み部182がX方向負側に前進して、開状態のクランプ部182Cにフレーム19の端部が入り込み、その後、クランプ部182Cが閉状態となってクランプ部182Cがフレーム19をクランプした状態となる(
図34)。なお、この段階の動作では、開状態のクランプ部182Cにフレーム19の端部が入り込んだ状態でクランプ部182Cを上昇させて、クランプ部182Cの下側板材をフレーム19の下部に接触させた後に、クランプ部182Cを閉状態にしてもよい。
【0232】
次に、掴み部182が、フレーム19を掴んだ状態でX方向正側の後端まで後退する(
図35)。これにより、フレーム19もX方向正側に移動し、レールRから補助レール部183に載り替わる。その後に、補助レール部183が初期位置まで後退する(
図36)。
【0233】
次に、掴み部182のクランプ部182Cが開状態に切り替えられる。これにより、フレーム19はクランプ部182Cにクランプされておらず、クランプ部182C及び補助レール部183に単に載置されている状態となる。この状態で掴み部182がX方向負側へ所定量移動する(
図37)。これにより、クランプ部182CのX方向正側の端面でフレーム19の端部を押してX方向負側へ移動させて、フレーム19がX方向の所定の待機位置に位置決めされる。このとき、フレーム19のX方向負側の端部がセンサ185の直上に介在するので、センサ185がフレーム19を検知できる。
【0234】
そして、アライメント部184がフレーム19側に移動してフレーム19をY方向両側から挟持して、フレーム19がY方向の所定の待機位置に位置決めされ、クランプ部182Cが閉状態となってクランプ部182Cがフレーム19をクランプした状態となって(
図38)、受取動作を終了する。
【0235】
次に
図39〜
図41と、
図32及び
図33とを参照して、第3実施形態の第3保持部180によるフレーム19の送出動作を説明する。
図39〜
図41は、第3実施形態の第3保持部180によるフレーム19の送出動作の第1〜第3段階の各段階を示す図である。送出動作の第4、第5段階については、それぞれ
図33、
図32に示す状態が等しいのでこれらの図面を流用して説明する。
【0236】
図38に示した第3保持部180がフレーム19を待機位置に保持している状態から、アライメント部184がY方向の外側に開いて、補助レール部183がX方向負側に前進して、レール183AのX方向負側の端部が相手方装置のレールRのX方向正側の端部と対向する(
図39)。
【0237】
次に、掴み部182のクランプ部182Cが開状態に切り替えられ、掴み部182がX方向負側に前進する(
図40)。これにより、クランプ部182CのX方向正側の端面でフレーム19の端部を押してX方向負側へ移動させて、フレーム19が補助レール部183から相手方装置のレールRに載り替わり、フレーム19がレールRの所定位置に位置決めされる。
【0238】
次に、掴み部182のクランプ部182Cが下方に移動してフレーム19から離間した状態として(
図41)、掴み部182がX方向正側の初期位置まで後退する(
図33)。その後に、補助レール部183が初期位置まで後退して(
図32)、送出動作を終了する。
【0239】
このように、第3実施形態では、第3保持部180がアライメント部184を備え、掴み部182により搬送時の待機位置に移動されたフレーム19を、フレームの幅方向(Y方向)の両側から挟持して幅方向の位置決めを行うので、第3保持部180に収容されたフレーム19のX方向、Y方向の位置決めを精度良くできる。これにより、次の処理で第3保持部180からフレーム19を相手側装置に送り出す際に、相手側装置との位置合わせが容易となり、フレーム19の受け渡しをより一層確実にできる。
【0240】
また、第3実施形態では、第3保持部180が補助レール部183を備え、補助レール部183は、掴み部182によりフレーム19を受け取る際、または、掴み部182によりフレーム19を送り出す際に、フレーム19を受け取るまたは送り出す相手方装置のレールRの側に進出可能に構成される。この構成により、フレーム19の受取または送出を行うとき以外には、補助レール部183を第3保持部180から突出させずに収容でき、体格を縮小できるので、第3保持部180の旋回半径を確保できる。
【0241】
なお、本実施形態では、フレーム19が所定の待機位置に配置されたかを検出するためのセンサ185を、第3保持部180のX負方向側の端部にて、一対のリニアガイド181の中間位置に設ける構成を例示したが、センサ185の設置位置はこれ以外でもよく、例えば補助レール部183やアライメント部184のフレーム19との接触部分に配置してもよいし、クランプ部182Cに配置してもよい。
【0242】
[第4実施形態]
図42〜
図44を参照して第4実施形態を説明する。
図42は、第4実施形態に係る第2保持部170の概略構成を示す平面図である。
図42の(a)は上方から視た平面図であり、(b)は下方から視た平面図である。第2保持部170(吸着保持部)は、
図11や
図13を参照して説明した第1実施形態の第2保持部70の別形態であり、基板10を吸着により保持するなど、基本的な動作や機能は同様である。
【0243】
第2保持部170は、アーム171と、中間ディスク172と、ポーラスパッド173と、アライメントピン174と、吊り下げ機構175A,175Bと、を備える。
【0244】
アーム171は、搬送部58などの搬送手段によって、第2保持部170をX、Y、Z方向に移動させる。
【0245】
中間ディスク172は、アーム171の下方に連結される。中間ディスク172は、ポーラスパッド173より直径が大きい円板状の部材であり、ポーラスパッド173と同心円状に配置される。中間ディスク172は、例えば金属製である。
【0246】
ポーラスパッド173は、中間ディスク172の下方に連結される。ポーラスパッド173は、下方の吸着面によって基板10を吸着して保持できる装置であり、第1実施形態の第2保持部70と同様に、円盤状の多孔質体72、多孔質体72と接触する面に同心円状の吸引溝および放射状の吸引溝が形成される円盤73、多孔質体72および円盤73を収納する基台74などを有して構成される。
【0247】
アライメントピン174は、中間ディスク172の下面から鉛直下方に突出して設けられる。アライメントピン174は、ポーラスパッド173より外周側の位置にて、周方向に沿って略均等に複数個が配置されている。複数のアライメントピン174のZ方向の長さは均一であり、第3保持部180が他部材と接触せず空中にある無負荷状態の場合に、ポーラスパッド173の下面の位置より下方に先端が突出するように形成されている(
図48(a)など参照)。
【0248】
吊り下げ機構175A(第1吊り下げ機構)は、アーム171と中間ディスク172とを連結する。吊り下げ機構175Aは、バネなどの弾性部材によって中間ディスク172をアーム171から吊り下げる構成をとり、Z方向以外の移動が規制されている。これにより、上方または下方からの外力が加わった場合には適宜収縮または伸長して、部材間の距離を縮小または増大できる。吊り下げ機構175Aは、例えば
図42に示すように、円形の中間ディスク172の中心から径方向に略等距離の位置に、周方向に等間隔を取って複数設けられる。なお、
図42では3個設ける構成が例示されているが、吊り下げ機構175Aの個数は3個以外でもよい。
【0249】
吊り下げ機構175B(第2吊り下げ機構)は、アーム171とポーラスパッド173とを連結する(
図43(a)など参照)。吊り下げ機構175Bは、アーム171とポーラスパッド173とを連結するピン175B1と、アーム171と中間ディスク172との間に配置される弾性体175B2とを有する。
【0250】
中間ディスク172には、z方向から視たときにピン175B1が配置される位置に孔が設けられ、この孔の内周面に樹脂製のスリーブ172Aが形成されている。ピン175B1はスリーブ172Aを貫通した状態で、ポーラスパッド173をアーム171から吊り下げる。ピン175B1は例えば金属などz方向に弾性変形しない材料で形成される。また、中間ディスク172も例えば金属製である。ピン175B1をスリーブ172Aに貫通させることにより、ピン175と中間ディスク172とが直接接触して摩耗することを防止できる。
【0251】
弾性体175B2は、ピン175B1の周囲に配置される。弾性体175B2を設けることにより、アーム171に対するピン175B1やポーラスパッド173の揺れや振動を低減できる。
【0252】
なお、
図42では吊り下げ機構175Bは、円形のポーラスパッド173の中心位置に1個設ける構成が例示されているが、吊り下げ機構175Bの配置や個数はこれに限られない。また、樹脂製のスリーブ172Aを設けずに、金属製の中間ディスク172に設けた孔に吊り下げ機構175Bのピン175B1を貫通する構成でもよい。また、吊り下げ機構175Bが弾性体175B2を有しない構成でもよい。
【0253】
吊り下げ機構175A、及び、吊り下げ機構175Bの弾性体175B2は、例えばバネ式のシリンダやエアシリンダを適用できる。なお、本実施形態では、
図43(a)などに示すように、吊り下げ機構175A、及び、吊り下げ機構175Bの弾性体175B2は球状で模式的に図示し、
図43(c)などに示すように、球形状の変形によって収縮や伸長を表現している。
【0254】
図43を参照して、第4実施形態の第2保持部170による基板10の受取動作を説明する。
図43は、第4実施形態の第2保持部170による基板10の受取動作の各段階(a)〜(g)を示す図である。
図43(a)〜(g)は、
図42に示した第4実施形態の第2保持部170を側面視で図示し、下方に配置される相手方装置(ダイシング部100、薄板化部200、紫外線照射部400、マウント部500など)の吸着装置Cの上に載置されている基板10を上方から受け取る構成を例示する。
【0255】
図43(a)に示すように、吸着装置Cの上に載置されている基板10は、吸着装置Cにより下方に吸着されている。第2保持部170は、ポーラスパッド173を作動させ、上方に吸着力を発生させながら基板10の上方から下降して基板10に接近する。
【0256】
まず最初にアライメントピン174が吸着装置Cの上面に突き当たり(
図43(b))、中間ディスク172の下降が規制される。このとき、吊り下げ機構175Aにより、アライメントピン174の全てが吸着装置Cの上面に突き当たることによって、中間ディスク172が吸着装置Cに対して平行に調整される。
【0257】
この状態からさらにアーム171が下方に移動することによって、吊り下げ機構175Aと、吊り下げ機構175Bの弾性体175B2とが収縮する。これにより、吊り下げ機構175Bのピン175B1が中間ディスク172に対して下方に進出して、ポーラスパッド173が下降して基板10と面接触する(
図43(c))。
【0258】
次に、ポーラスパッド173と基板10との接触状態を維持しつつ、相手方装置の吸着装置Cによる下方への吸着を停止し(
図43(d))、吸着装置Cによる上方へのパージを開始する(
図43(e))。
【0259】
次に、アーム171を上昇しはじめると、まずは吊り下げ機構175Aと、吊り下げ機構175Bの弾性体175B2の収縮が戻り、ポーラスパッド173が基板10を吸着した状態で初期位置に上昇する(
図43(f))。さらにアーム171が上昇すると、アライメントピン174が吸着装置Cの上面から離れて(
図43(g))、基板10の受取動作が終了する。
【0260】
図44を参照して、第4実施形態の第2保持部170による基板10の送出動作を説明する。
図44は、第4実施形態の第2保持部170による基板10の送出動作の各段階(a)〜(g)を示す図である。
図44(a)〜(g)は、
図42に示した第4実施形態の第2保持部170を側面視で図示し、下方に配置される相手方装置の吸着装置Cの上面に、ポーラスパッド173が吸着している基板10を送り出す構成を例示する。
【0261】
図44(a)に示すように、吸着装置Cは下方に吸着力を発生させている。第2保持部170は、ポーラスパッド173で基板10を吸着させながら、吸着装置Cの上方から下降して吸着装置Cの上面に接近する。
【0262】
まず最初にアライメントピン174が吸着装置Cの上面に突き当たり(
図44(b))、中間ディスク172の下降が規制される。このとき、吊り下げ機構175Aにより、アライメントピン174の全てが吸着装置Cの上面に突き当たることによって、中間ディスク172が吸着装置Cに対して平行に調整される。
【0263】
この状態からさらにアーム171が下方に移動することによって、吊り下げ機構175Aと、吊り下げ機構175Bの弾性体175B2とが収縮する。これにより、吊り下げ機構175Bのピン175B1が中間ディスク172に対して下方に進出して、ポーラスパッド173及び基板10が下降して、基板10が吸着装置Cの上面と面接触する(
図44(c))。
【0264】
次に、吸着装置Cと基板10との接触状態を維持しつつ、ポーラスパッド173による上方への吸着を停止し(
図44(d))、ポーラスパッド173による下方へのパージを開始する(
図44(e))。
【0265】
次に、アーム171を上昇しはじめると、まずは吊り下げ機構175Aと、吊り下げ機構175Bの弾性体175B2の収縮が戻り、ポーラスパッド173が基板10から離れて初期位置に上昇する(
図44(f))。さらにアーム171が上昇すると、アライメントピン174が吸着装置Cの上面から離れて(
図44(g))、基板10の送出動作が終了する。
【0266】
第4実施形態では、アライメントピン174が、無負荷状態のときポーラスパッド173の下面の吸着面より下方に突出するよう設けられるので、ポーラスパッド173が相手型装置と接触する前に吸着面が正確に相手方装置と対向するように平行調整が可能となる。また、アーム171とポーラスパッド173との間に中間ディスク172を介在させ、各部材間に吊り下げ機構175A,175Bを設けることにより、ポーラスパッド173と吸着装置Cとを平行にした状態で、アーム171からの力を吊り下げ機構175A,175Bを介してポーラスパッド173の全面に万遍なく伝達でき、吸着面の接触をより一層確実にできる。これにより、ポーラスパッド173への基板10の吸着、及び、ポーラスパッド173からの基板10の送出しをより安定して行うことが可能となる。
【0267】
なお、アライメントピン174が吸着装置Cに接触(突き当たり)した後のアーム171の下降距離(長さ)は、基板10の厚さに応じて変化させると、より安定してポーラスパッド173への基板10の吸着、及び、ポーラスパッド173からの基板10の送出しをできる。
【0268】
[変形、改良]
以上、搬送装置、基板処理システム、搬送方法、および基板処理方法の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【0269】
本国際出願は2017年7月12日に出願された日本国特許出願2017−136322号、及び、2018年1月19日に出願された日本国特許出願2018−007669号に基づく優先権を主張するものであり、2017−136322号及び2018−007669号の全内容をここに本国際出願に援用する。