(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本願の開示するプラズマ処理装置の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を付すこととする。また、本実施形態により開示する発明が限定されるものではない。各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0009】
[プラズマ処理装置の構成]
最初に、実施形態に係るプラズマ処理装置10の概略的な構成を説明する。
図1は、実施形態に係るプラズマ処理装置の概略的な構成の一例を示す概略断面図である。プラズマ処理装置10は、気密に構成され、電気的に接地電位とされた処理容器1を有している。この処理容器1は、円筒状とされ、例えば表面に陽極酸化被膜が形成されたアルミニウム等から構成されている。処理容器1は、プラズマが生成される処理空間を画成する。処理容器1内には、被処理体(work-piece)である半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)Wを水平に支持する第1の載置台2が収容されている。
【0010】
第1の載置台2は、上下方向に底面を向けた略円柱状を呈しており、上側の底面がウエハWの載置される載置面2aとされている。第1の載置台2の載置面2aは、ウエハWと同程度のサイズとされている。第1の載置台2は、第1の部材20と、シート部材21と、第2の部材22とを含んでいる。
【0011】
第1の部材20は、上面が平坦な円盤状とされ、当該上面がウエハWの載置される載置面2aとされている。第1の部材20は、絶縁体20a及び電極20bを有している。電極20bは、絶縁体20aの内部に設けられており、電極20bには不図示の給電機構により直流電源12が接続されている。第1の部材20は、電極20bに直流電源12から直流電圧が印加されることにより、クーロン力によってウエハWを吸着するように構成されている。すなわち、第1の部材20は、ウエハWを吸着する静電チャックの機能を有する。
【0012】
第2の部材22は、導電性の金属、例えばアルミニウム等を含んで構成されている。第2の部材22は、第1の部材20を支える基台として機能すると共に、下部電極として機能する。第2の部材22は、導電性部材のRFプレート4に支持されている。RFプレート4は、絶縁層の支持台23に支持されている。支持台23は、処理容器1の底部に設置されている。また、第1の部材20と第2の部材22の間には、シート部材21が設けられている。シート部材21は、ヒータが設けられており、後述する給電機構を介して電力が供給され、ウエハWの温度を制御する。
【0013】
第1の載置台2は、外周面に沿って周囲に第2の載置台7が設けられている。第2の載置台7は、内径が第1の載置台2の外径よりも所定サイズ大きい円筒状に形成され、第1の載置台2と軸を同じとして配置されている。第2の載置台7は、上側の面が環状のフォーカスリング5の載置される載置面9dとされている。フォーカスリング5は、例えば単結晶シリコンで形成されており、第2の載置台7に載置される。
【0014】
第2の載置台7は、基台8と、フォーカスリングヒータ9を含んでいる。基台8は、例えば表面に陽極酸化被膜が形成されたアルミニウム等で構成されている。基台8は、RFプレート4に支持されている。フォーカスリングヒータ9は、基台8に支持されている。フォーカスリングヒータ9は、上面が平坦な環状の形状とされ、当該上面がフォーカスリング5の載置される載置面9dとされている。フォーカスリングヒータ9は、ヒータ9a及び絶縁体9bを有している。ヒータ9aは、絶縁体9bの内部に設けられ、絶縁体9bに内包されている。ヒータ9aは、不図示の給電機構を介して電力が供給され、フォーカスリング5の温度を制御する。このように、ウエハWの温度とフォーカスリング5の温度は、異なるヒータによって独立に制御される。
【0015】
RFプレート4には、給電棒50が接続されている。給電棒50には、第1の整合器11aを介して第1のRF電源10aが接続され、また、第2の整合器11bを介して第2のRF電源10bが接続されている。第1のRF電源10aは、プラズマ発生用の電源であり、この第1のRF電源10aからは所定の周波数の高周波電力が第1の載置台2の第2の部材22に供給されるように構成されている。また、第2のRF電源10bは、イオン引き込み用(バイアス用)の電源であり、この第2のRF電源10bからは第1のRF電源10aより低い所定周波数の高周波電力が第1の載置台2の第2の部材22に供給されるように構成されている。
【0016】
第2の部材22の内部には、冷媒流路22dが形成されている。冷媒流路22dは、一方の端部に冷媒入口配管22bが接続され、他方の端部に冷媒出口配管22cが接続されている。また、基台8の内部には、冷媒流路7dが形成されている。冷媒流路7dは、一方の端部に冷媒入口配管7bが接続され、他方の端部に冷媒出口配管7cが接続されている。冷媒流路22dは、ウエハWの下方に位置してウエハWの熱を吸熱するように機能する。冷媒流路7dは、フォーカスリング5の下方に位置してフォーカスリング5の熱を吸熱するように機能する。プラズマ処理装置10は、冷媒流路22d及び冷媒流路7dの中に冷媒、例えば冷却水等をそれぞれ循環させることによって、第1の載置台2及び第2の載置台7の温度を個別に制御可能な構成とされている。なお、プラズマ処理装置10は、ウエハWやフォーカスリング5の裏面側に冷熱伝達用ガスを供給して温度を個別に制御可能な構成としてもよい。例えば、第1の載置台2等を貫通するように、ウエハWの裏面にヘリウムガス等の冷熱伝達用ガス(バックサイドガス)を供給するためのガス供給管が設けられてもよい。ガス供給管は、ガス供給源に接続されている。これらの構成によって、第1の載置台2の上面に吸着保持されたウエハWを、所定の温度に制御する。
【0017】
一方、第1の載置台2の上方には、第1の載置台2に平行に対面するように、上部電極としての機能を有するシャワーヘッド16が設けられている。シャワーヘッド16と第1の載置台2は、一対の電極(上部電極と下部電極)として機能する。
【0018】
シャワーヘッド16は、処理容器1の天壁部分に設けられている。シャワーヘッド16は、本体部16aと電極板をなす上部天板16bとを備えており、絶縁性部材95を介して処理容器1の上部に支持される。本体部16aは、導電性材料、例えば表面に陽極酸化被膜が形成されたアルミニウム等からなり、その下部に上部天板16bを着脱自在に支持できるように構成されている。
【0019】
本体部16aの内部には、ガス拡散室16cが設けられ、このガス拡散室16cの下部に位置するように、本体部16aの底部には、多数のガス通流孔16dが形成されている。また、上部天板16bには、当該上部天板16bを厚さ方向に貫通するようにガス導入孔16eが、上記したガス通流孔16dと重なるように設けられている。このような構成により、ガス拡散室16cに供給された処理ガスは、ガス通流孔16d及びガス導入孔16eを介して処理容器1内にシャワー状に分散されて供給される。
【0020】
本体部16aには、ガス拡散室16cへ処理ガスを導入するためのガス導入口16gが形成されている。このガス導入口16gには、ガス供給配管15aの一端が接続されている。このガス供給配管15aの他端には、処理ガスを供給する処理ガス供給源15が接続される。ガス供給配管15aには、上流側から順にマスフローコントローラ(MFC)15b、及び開閉弁V2が設けられている。そして、処理ガス供給源15からプラズマエッチングのための処理ガスが、ガス供給配管15aを介してガス拡散室16cに供給され、このガス拡散室16cから、ガス通流孔16d及びガス導入孔16eを介して処理容器1内にシャワー状に分散されて供給される。
【0021】
上記した上部電極としてのシャワーヘッド16には、ローパスフィルタ(LPF)71を介して可変直流電源72が電気的に接続されている。この可変直流電源72は、オン・オフスイッチ73により給電のオン・オフが可能に構成されている。可変直流電源72の電流・電圧ならびにオン・オフスイッチ73のオン・オフは、後述する制御部90によって制御される。なお、後述のように、第1のRF電源10a、第2のRF電源10bから高周波が第1の載置台2に印加されて処理空間にプラズマが発生する際には、必要に応じて制御部90によりオン・オフスイッチ73がオンとされ、上部電極としてのシャワーヘッド16に所定の直流電圧が印加される。
【0022】
また、処理容器1の側壁からシャワーヘッド16の高さ位置よりも上方に延びるように円筒状の接地導体1aが設けられている。この円筒状の接地導体1aは、その上部に天壁を有している。
【0023】
処理容器1の底部には、排気口81が形成されており、この排気口81には、排気管82を介して第1排気装置83が接続されている。第1排気装置83は、真空ポンプを有しており、この真空ポンプを作動させることにより処理容器1内を所定の真空度まで減圧することができるように構成されている。一方、処理容器1内の側壁には、ウエハWの搬入出口84が設けられており、この搬入出口84には、当該搬入出口84を開閉するゲートバルブ85が設けられている。
【0024】
処理容器1の側部内側には、内壁面に沿ってデポシールド86が設けられている。デポシールド86は、処理容器1にエッチング副生成物(デポ)が付着することを防止する。このデポシールド86のウエハWと略同じ高さ位置には、グランドに対する電位が制御可能に接続された導電性部材(GNDブロック)89が設けられており、これにより異常放電が防止される。また、デポシールド86の下端部には、第1の載置台2に沿って延在するデポシールド87が設けられている。デポシールド86,87は、着脱自在に構成されている。
【0025】
上記構成のプラズマ処理装置10は、制御部90によって、その動作が統括的に制御される。この制御部90には、CPUを備えプラズマ処理装置10の各部を制御するプロセスコントローラ91と、ユーザインターフェース92と、記憶部93とが設けられている。
【0026】
ユーザインターフェース92は、工程管理者がプラズマ処理装置10を管理するためにコマンドの入力操作を行うキーボードや、プラズマ処理装置10の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等から構成されている。
【0027】
記憶部93には、プラズマ処理装置10で実行される各種処理をプロセスコントローラ91の制御にて実現するための制御プログラム(ソフトウェア)や処理条件データ等が記憶されたレシピが格納されている。そして、必要に応じて、ユーザインターフェース92からの指示等にて任意のレシピを記憶部93から呼び出してプロセスコントローラ91に実行させることで、プロセスコントローラ91の制御下で、プラズマ処理装置10での所望の処理が行われる。また、制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、コンピュータで読取り可能なコンピュータ記憶媒体(例えば、ハードディスク、CD、フレキシブルディスク、半導体メモリ等)などに格納された状態のものを利用したり、又は、他の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させてオンラインで使用したりすることも可能である。
【0028】
[第1の載置台及び第2の載置台の構成]
次に、第1の載置台2及び第2の載置台7の要部構成について説明する。
図2は、第1の載置台及び第2の載置台の要部構成の一例を示す概略断面図である。
【0029】
第1の載置台2は、第1の部材20と、シート部材21と、第2の部材22とを含んでいる。
【0030】
第1の部材20は、例えば、セラミック等の絶縁体20aで構成され、上下方向に底面を向けた円筒状に形成されている。第1の部材20は、上側の底面がウエハWの載置される載置面2aとされている。また、第1の部材20は、上側の底面を構成する平面部20cにおいて、載置面2a側となる上部よりも下部が径方向外側へ突出したフランジ部20dが形成されている。すなわち、第1の部材20の平面部20cは、側面の位置に応じて外径が異なり、上部よりも下部が径方向外側へ突出して形成されている。第1の部材20は、平面部20cの上部の絶縁体20aの内部に電極20bが設けられている。第1の部材20の電極20bには、不図示の給電機構を介して電力が供給される。電極20bへの給電機構としては、第1の部材20の内部に給電用の配線を形成してもよく、シート部材21に給電用の配線を形成してもよく、シート部材21および第2の部材22に貫通穴を形成して給電用の配線を形成してもよい。
【0031】
第1の部材20は、第1の部材20の下側の底面において載置面2aに対応する範囲に凹部24が形成されている。すなわち、第1の部材20は、載置面2aに対する裏面側の、載置面2aに対応する範囲に窪んだ凹部24が形成されている。凹部24は、底面24aが、載置面2aと平行で、ウエハWと同程度、または、ウエハWよりも若干大きいサイズとされ、底面24aを囲む側面24bが形成されている。凹部24には、シート部材21が配置されている。
【0032】
図3は、シート部材の要部構成の一例を示す概略平面図である。シート部材21は、例えば、ポリイミドなどの有機材料によりシート状に形成されており、円形に形成された円形部分21aと、円形部分21aの周囲に円形部分21aから延びた配線部21bとが設けられている。配線部21bは、円形部分21aから放射状に8つ設けられている。なお、シート部材21は、耐熱性、難燃性および耐電圧性を備えた材料であれば、何れの材料を用いて形成してもよい。例えば、ポリイミドの代わりに、ポリアミド、ポリエステル、テフロン(登録商標)や液晶ポリマーなどを用いてもよい。
【0033】
円形部分21aは、内部にヒータ21cが設けられ、凹部24の内部の載置面2aに対応する領域のサイズに形成される。例えば、円形部分21aは、凹部24の底面24aに対応するサイズに形成される。配線部21bは、内部に引き出し配線21dが設けられている。
【0034】
このようなシート部材21は、FPC(Flexible printed circuits)により容易に作成できる。FPCのフィルムは、ベースフィルムと呼ばれ、主にポリイミドなどで作られている。FPCは、配線も含めて薄く、柔軟で自在に曲げることができる。例えば、FPCでは、ポリイミドなどにより作成された絶縁性のフィルム上に、太さや厚さなど断面積による抵抗率を変えて配線を形成することにより、ヒータ21cと引き出し配線21dを形成したシート部材21を作成できる。例えば、シート部材21をFPCで形成し、引き出し配線21dなどの配線には最大で電流を0.3A流すものとする。この場合、引き出し配線21dなどの配線は、発熱しない様に厚さを18μm、幅を1mmに形成する。ヒータ21cは、厚さを9μm、幅を極力細く形成し、ヒータ21cが抵抗加熱として発熱するように引き出し配線21dなどの配線に比べて抵抗を高くする。なお、抵抗率を変えるならば、配線の断面積に限らず、配線材料の材質の変更、または、材質と断面積の組み合わせでも構わない。
【0035】
ヒータ21cは、載置面2aの領域全面に1つ設けてもよく、載置面2aを分割した領域毎に個別に設けてもよい。すなわち、シート部材21の円形部分21aには、載置面2aを分割した領域毎にヒータ21cを個別に複数設けてもよい。例えば、ヒータ21cは、第1の載置台2の載置面2aを中心からの距離に応じて複数の領域に分け、各領域で第1の載置台2の中心を囲むよう環状に延在させてもよい。もしくは、中心領域を加熱するヒータと、中心領域の外側を囲むように環状に延在するヒータとを含んでもよい。また、載置面2aの中心を囲むよう環状に延在させた領域を、中心からの方向に応じて複数の領域に分け、各領域にヒータ21cを設けてもよい。シート部材21は、ヒータ21cを複数設けた場合でも、配線部21bを複数設けることにより、それぞれのヒータ21cへの電力を供給するための引き出し配線21dを容易に設けることができる。
【0036】
図4は、ヒータを配置した領域の一例を示す概略平面図である。
図4は、第1の載置台2及び第2の載置台7を上方向から見た上面図である。
図4には、円板状に第1の載置台2の載置面2aが示されている。載置面2aは、中心からの距離及び方向に応じて複数の領域HT1に分けられており、各領域HT1に個別にヒータ21cが設けられている。これにより、プラズマ処理装置10は、ウエハWの温度を、領域HT1毎に、制御できる。
【0037】
シート部材21の円形部分21aには、ヒータ21cを設けた領域を重複させて設けてもよい。
【0038】
図5は、シート部材の断面の一例を示す概略断面図である。
図5には、ヒータ21cとして、比較的広い領域を温めるベースヒータ21c1と、ベースヒータ21c1の上部に、ベースヒータ21c1よりも狭い領域を温めるトリムヒータ21c2と、重複させて設けた場合を示している。このようなシート部材21では、例えば、ベースヒータ21c1により、比較的広い領域を安定的に温度制御の基本となる温度に全体的に温め、トリムヒータ21c2により、各領域の温度を個別に調整する。
【0039】
図2に示すように、シート部材21は、ヒータ21cが設けられた円形部分21aが凹部24の内部の載置面2aに対応する領域に位置し、引き出し配線21dが設けられて配線部21bが凹部24の側面24bに位置するように、凹部24内に配置される。
【0040】
第2の部材22は、シート部材21を配置した凹部24に嵌合される。第2の部材22の内部には、冷媒流路22dが形成されている。
【0041】
図6は、第2の部材の要部構成の一例を示す概略斜視図である。
図6には、第2の部材22と、第1の部材20との嵌合前の状態を示している。なお、
図6の例は、第1の部材20の載置面2a側を下側としており、
図2とは上下方向が逆向きとなっている。すなわち、
図6は、
図1、
図2と比べて、上下が反対(天地反転)となっている。
【0042】
第2の部材22は、例えばアルミニウム等の導電性の金属により、凹部24と同サイズまたは、凹部24よりも若干小さいサイズで円筒状に形成されている。また、第2の部材22は、凹部24の側面24bと対向する面22eに、凹部24に対する裏面側へ連通する貫通穴22fが形成されている。貫通穴22fは、シート部材21の配線部21bが配置される位置に設けられている。
図6の例では、貫通穴22fが等間隔で8つ設けられている。
【0043】
図2に示すように、シート部材21は、配線部21bが第2の部材22の貫通穴22fに通過して、端部が第2の部材22の下側まで延びている。第2の部材22の下側には、不図示の給電端子が設けられており、配線部21bの端部が給電端子に接続されている。シート部材21には、制御部90の制御に応じて、ヒータ電源から電力が給電端子に供給される。載置面2aは、シート部材21のヒータ21cによって加熱制御される。
【0044】
第1の載置台2は、第1の部材20に第2の部材22を嵌合した状態で、周囲がRFプレート4に支持されており、RFプレート4と接触する部分にはオーリング(O-Ring)25が設けられている。これにより、第1の載置台2は、処理空間の真空を保つことができる。また、第1の載置台2は、処理空間で生成されたプラズマが下部に回り込むことを抑制できる。また、オーリング(O-Ring)25の内側には金属製のスパイラルリング26が設けられており、これにより、第2の部材22とRFプレート4が電気的に接続されている。
【0045】
このように第1の載置台2は、例えば、セラミック等の絶縁体20aにより形成された第1の部材20が外周面に設けられている。これにより、プラズマからシート部材21や第2の部材22を保護できる。
【0046】
第2の載置台7は、基台8と、フォーカスリングヒータ9を含んでいる。フォーカスリングヒータ9は、不図示の絶縁層を介して基台8に接着されている。フォーカスリングヒータ9の上面は、フォーカスリング5の載置される載置面9dとされている。なお、フォーカスリングヒータ9の上面には、熱伝導性の高いシート部材などを設けてもよい。
【0047】
第2の載置台7の高さは、ウエハWへの熱の伝達やRF電力と、フォーカスリング5への熱の伝達やRF電力とが一致するように適宜調整される。すなわち、
図2では、第1の載置台2の載置面2aと第2の載置台7の載置面9dの高さが一致しない場合を例示しているが、両者が一致してもよい。
【0048】
フォーカスリング5は、円環状の部材であって、第2の載置台7と同軸となるように設けられている。フォーカスリング5の内側側面には、径方向内側へ突出した凸部5aが形成されている。すなわち、フォーカスリング5は、内側側面の位置に応じて内径が異なる。例えば、フォーカスリング5の凸部5aが形成されていない箇所の内径は、ウエハWの外径よりも大きい。一方、フォーカスリング5の凸部5aが形成された箇所の内径は、第1の部材20のフランジ部20dが形成されていない箇所の外径よりも大きい。
【0049】
フォーカスリング5は、凸部5aが第1の部材20のフランジ部20dの上面と離間し、かつ、第1の部材20の平面部20cの側面からも離間した状態となるように第2の載置台7に配置される。すなわち、フォーカスリング5の凸部5aの下面とフランジ部20dの上面との間には、隙間が形成されている。また、フォーカスリング5の凸部5aの側面と平面部20cのフランジ部20dが形成されていない側面との間には、隙間が形成されている。そして、フォーカスリング5の凸部5aは、第1の載置台2と第2の載置台7との間の隙間34の上方に位置する。すなわち、載置面2aと直交する方向からみて、凸部5aは、隙間34と重なる位置に存在し該隙間34を覆っている。これにより、プラズマが、第1の載置台2と第2の載置台7との間の隙間34へ進入することを抑制できる。
【0050】
フォーカスリングヒータ9は、絶縁体9bの内部にヒータ9aが設けられている。ヒータ9aは、基台8と同軸な環状を呈している。ヒータ9aは、載置面9dの領域全面に1つ設けてもよく、載置面9dを分割した領域毎に個別に設けてもよい。すなわち、ヒータ9aは、載置面9dを分割した領域毎に個別に複数設けてもよい。例えば、ヒータ9aは、第2の載置台7の載置面9dを第2の載置台7の中心からの方向に応じて複数の領域に分け、各領域にヒータ9aを設けてもよい。例えば、
図4には、円板状に第1の載置台2の載置面2aの周囲に、第2の載置台7の載置面9dが示されている。載置面9dは、中心からの方向に応じて複数の領域HT2に分けられており、各領域HT2に個別にヒータ9aが設けられている。ヒータ9aには、不図示の給電機構を介して給電端子に接続されている。ヒータ9aへの給電機構としては、基台8の外周部に給電用の配線を形成してもよく、基台8に貫通穴を形成して給電用の配線を形成してもよい。フォーカスリングヒータ9には、制御部90の制御に応じて、ヒータ電源から電力が給電端子に供給される。載置面9dは、フォーカスリングヒータ9のヒータ9aによって加熱制御される。これにより、プラズマ処理装置10は、フォーカスリング5の温度を、領域HT2毎に、制御できる。
【0051】
[作用及び効果]
次に、本実施形態に係るプラズマ処理装置10の作用及び効果について説明する。エッチングなどのプラズマ処理では、ウエハWの面内の加工精度の均一性を実現するため、ウエハWの温度のみならず、ウエハWの外周領域に設置されているフォーカスリング5の温度を調整することが要求されている。
【0052】
そこで、プラズマ処理装置10は、ウエハWが載置される第1の載置台2と、フォーカスリング5が載置される第2の載置台7を分離して設け、熱の移動が抑制されるように工夫している。これにより、プラズマ処理装置10は、ウエハWの温度のみならず、フォーカスリング5の温度を個別に調整できる。例えば、プラズマ処理装置10は、ウエハWの設定温度に比べてフォーカスリング5の設定温度をより高温度帯域に設定することもできる。これにより、プラズマ処理装置10は、ウエハWの面内の加工精度の均一性を実現できる。
【0053】
また、プラズマ処理装置10では、第1の載置台2を、第1の部材20と、シート部材21と、第2の部材22とにより構成している。第1の部材20は、ウエハWが載置される載置面2aに対する裏面側の載置面2aに対応する範囲に凹部24が形成されている。シート部材21は、シート状に形成され、ヒータ21cおよび当該ヒータ21cに電力を供給するための引き出し配線21dが設けられている。そして、シート部材21は、ヒータ21cが凹部24の内部の載置面2aに対応する領域に位置し、引き出し配線21dが凹部24の側面に位置するように凹部24内に配置されている。第2の部材22は、シート部材21を配置した凹部24に嵌合されている。
【0054】
ここで、例えば、第1の載置台2に貫通孔を形成してヒータ21cに電力を供給する構成とした場合、載置面2aの貫通孔が形成された部分は、熱伝導が部分的に悪くなり、熱の均一性が低下する特異点となる。これにより、ウエハWの周回方向での温度分布に不均一が発生しやすくなり、ウエハWに対するプラズマ処理の面内の均一性が低下する。
【0055】
一方、プラズマ処理装置10では、第1の部材20の載置面2aに対応する範囲に凹部24が形成され、凹部24内に配置されたシート部材21が第2の部材22の裏面側の給電端子と接続している。これにより、プラズマ処理装置10は、第1の載置台2に貫通孔を形成することなくヒータ21cに電力を供給できるため、ウエハWに対するプラズマ処理の面内の均一性の低下を抑制できる。また、プラズマ処理装置10は、ヒータ21cへの給電に必要な配線を配置するフランジ部20dの径方向の幅を小さくでき、第1の載置台2の径方向のサイズを小さくできる。これにより、プラズマ処理装置10は、フォーカスリング5と、フランジ部20dとの重複部分を小さくできるため、フォーカスリング5の温度分布に不均一が発生することを抑制でき、ウエハWに対するプラズマ処理の面内均一性の低下を抑制できる。
【0056】
また、第2の部材22は、凹部24の側面24bと対向する面22eに、凹部24に対する裏面側へ連通する貫通穴22fが形成されている。シート部材21は、ヒータ21cが設けられ、凹部24の内部の載置面2aに対応する領域のサイズに形成された円形部分21aと、引き出し配線21dが設けられ、当該円形部分21aから延びた配線部21bとが形成されている。そして、シート部材21は、配線部21bが第2の部材22の貫通穴22fを通過するように配置されている。これにより、プラズマ処理装置10は、第2の部材22の裏面側まで配線部21bを容易に配置できる。
【0057】
また、プラズマ処理装置10は、第2の載置台7のフォーカスリング5が載置される載置面9dにヒータ9aを設けている。これにより、プラズマ処理装置10は、ウエハWの温度のみならず、フォーカスリング5の温度を個別に調整できるため、ウエハWの面内の加工精度の均一性を向上させることができる。
【0058】
また、プラズマ処理装置10は、第2の部材22の内部に、冷媒流路22dが形成されている。プラズマ処理装置10は、冷媒流路22dに冷媒を流すことにより、ウエハWの温度を制御できるため、プラズマ処理によるウエハWに対する加工精度を向上させることができる。
【0059】
以上、種々の実施形態について説明してきたが、上述した実施形態に限定されることなく種々の変形態様を構成可能である。例えば、上述したプラズマ処理装置10は、容量結合型のプラズマ処理装置10であったが、第1の載置台2は任意のプラズマ処理装置10に採用され得る。例えば、プラズマ処理装置10は、誘導結合型のプラズマ処理装置10、マイクロ波といった表面波によってガスを励起させるプラズマ処理装置10のように、任意のタイプのプラズマ処理装置10であってもよい。
【0060】
また、上述したプラズマ処理装置10では、第2の部材22の面22eに、凹部24に対する裏面側へ連通する貫通穴22fを形成し、シート部材21の配線部21bが貫通穴22fを通過するように配置する場合を例に説明したがこれに限定されるものではない。例えば、第2の部材22の面22eに、凹部24に対する裏面側へ連通する溝を形成し、シート部材21の配線部21bが溝を通過するように配置してもよい。この場合も、プラズマ処理装置10は、第2の部材22の裏面側まで配線部21bを容易に配置できる。
【0061】
また、上述した第1の部材20、シート部材21及び第2の部材22は、それぞれ複数の部品を組み合わせ構成されてもよい。例えば、第1の部材20は、平面部20cを構成する部品と、凹部24の側面を構成する円環状の部品とを組み合わせ構成されてもよい。
【0062】
また、上述した第1の部材20は、内部に電極20bを設けて静電チャックの機能を有する場合を例に説明したがこれに限定されるものではない。例えば、プラズマ処理装置10では、第1の部材20とは別に静電チャックが設けられていてもよい。